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1947-10-06 第1回国会 衆議院 厚生委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十月六日(月曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 小野  孝君    理事 田中 松月君 理事 山崎 道子君    理事 飯村  泉君 理事 武田 キヨ君    理事 大瀧亀代司君 理事 徳田 球一君       中原 健次君    福田 昌子君       武藤運十郎君    園田  直君       中嶋 勝一君    小暮藤三郎君       近藤 鶴代君    榊原  亨君       村上 清治君  出席國務大臣         厚 生 大 臣 一松 定吉君  出席政府委員         厚生事務官   米澤 常道君         農林事務官   三堀 參郎君         農林事務官   遠藤 三郎君     ————————————— 十月二日  生活協同組合法案反對の請願外二件(佐々木盛  雄君紹介)(第七三四號)  産兒制限に關する請願武田キヨ君外二名紹  介)(第七七六號) の審査を本委員會に付託された。     ————————————— 本日の會議に付した事件  兒童福祉法案内閣提出)(第三三號)     —————————————
  2. 小野孝

    小野委員長 これより會議を開きます。  前會に引續いて兒童福祉法案を議題として審査を續けます。山崎道子さん。
  3. 山崎道子

    山崎(道)委員 第二十八條の中に「當該吏員」とありますのを、はつきり兒童委員とかなんとかちやんと書いた方がいいと思いますが、その點はどういうふうにお考えなつておられますか。  それから里親に預けるということがございますが、この里親に從來預けました成績はどういうふうでございましようか。それから里親に委託した兒童の今日までの實績と、それから絶えざる連絡指導をどういうふうになされておるかをお伺いしたいと思います。
  4. 米澤常道

    米澤政府委員 第二十八條の「當該吏員」は、山崎委員お話通り兒童委員あるいは兒童關係の吏員を考えておるのでありまして、ただ今まで普通こういうふうな當該吏員という表現をいたしておるので、そうしたのでありますが、もしはつきり現わすという御意見がありますれば、それはまた研究していいと考えておるのであります。  それから里親の問題でありますが、これは御承知のように、この法律の建前といたしましては、今後里親へ委託しますのは都道府縣知事が里親に委託する。こういうはつきりした法律上の制度にいたしたいと考えておるのでありますが、現在あります里親は、實際問題としまして、各施設においてさらにその施設からその施設從來關係のあります里親に委託しておるというふうな實情であります。御承知のようにこれは全國的にありませんで、關西方面でありますとか、東京にも近邊に多少あるようでありますが、實際問題といたしまして、制度として法律の上でしつかりやつておるわけではありませんから、今後できるだけはつきりした制度としまして、これを開拓していきたいと考えておるのであります。この數字その他につきましては後ほどお知らせしたいと思いますので御了承願います。
  5. 山崎道子

    山崎(道)委員 從來はとかくこの里親制度にいろいろな缺陷があつたことを私は承知いたしておりますので、今後これを制度化しました場合には、十分なる連絡指導をやるようにはつきりしていかなければならぬ。弊害を除去していきたいと考えております。  それから第三十三條の問題でございますが、子役とかまたは半玉というようなものは、この法律ではどういうふうにやつていかれ、また現在やつておるものに對する對策整備等の用意があられるかどうか。
  6. 米澤常道

    米澤政府委員 御承知のように、映畫の子役であるとか、その他につきましては、勞働基準法において相當詳細に規定はいたしております。この三十三條はさらに兒童に對する一般的な刑法の立場をとるような規定でありまして、この三十三條に規定しております、たとえば第三號或は第四號、第五號、こういうふうな行為がもしありますれば、これは基準法その他に關係なく、この三十三條違反として處罰し、取締りができると考えております。三十三條は御承知のように、刑法等から漏れております行為を網羅して、兒童をできるだけ擁護するために規定いたした次第であります。
  7. 山崎道子

    山崎(道)委員 御答辯でございますけれどもこの六十九條、最後へまいりまして、「滿十四歳以上の兒童で、學校教育法第九十六條の規定により、義務教育課程又はこれと同等以上と認める課程を修了した者については、第三十三條第三號から第五號までの規定は、これを適用しない。」ということがありますが、こういうものがはいつたのでは、この第三十三條の意義が減殺されると思うのであります。これはどういう意味でここへお入れになつたのでありますか。
  8. 米澤常道

    米澤政府委員 この六十九條の規定は、實は大體これと同じ趣旨の規定勞働基準法にも規定いたしましたので、これは附則の方に盛つておりますが、大體經過規定に相當する規定でありまして、六・三制が實施に相なりまして、過渡期には十四歳以上ですでに義務教育を修了した者があります關係上、この經過的規定として六十九條を入れたのであります。將來ここ二三年いたしますれば、十四歳以上で義務教育課程を修了した者がなくなりますので、その場合には自然この六十九條の規定は働かなくなりますから、經過規定意味と御了解を願いたいのであります。
  9. 山崎道子

    山崎(道)委員 勞働基準法にあるからといつて、私は今本法に入れる必要はないと思います。それと同時にこういう規定がございますと、これを口實として相當これから脱法行為が行われる。これを修了したものと認めるという理由のもとに、やはり子役とか、半玉とか、あるいは「兒童に戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で歌謡、遊藝その他の演技を業務としてさせる行為」というようなことが行われることになる。少くとも十八歳までの者を保護するというこの兒童福祉法に、この六十九條の規定を挿入するということは間違つておる。保護するという一面に、拔け道をわざわざつくつてやるようなものでありますから、兒童福祉法精神を活かすならば、この條文考え直さなければならない。かように私は考えますが、その點はどうでありますか。
  10. 米澤常道

    米澤政府委員 お説の通り、理想といたしましては、十八歳未滿の兒童を全面的に保護していきたいというのでありますが、現在におきましては、やはり一應、たとえば三十二條に規定してありますような禁止事項は、必ずしも全部十八歳までとしなくてもいいという見方もありますし、またこの中には家庭のいろいろな職業その他の關係もありまして、三十三條には十五歳という年齡の制限をもつてきておるのでありますが、六十九條におきまして大體義務教育の終了ということを一つの標準にいたしましたので、少くとも十四歳でありましても、現在すでに義務教育を終了している者については、特に經過的に例外を認めた方が、實情とよく合うのではないかということで、六十九條を挿入しているような次第であります。
  11. 山崎道子

    山崎(道)委員 現在やかましく言われておりますパンパンガールの問題にしましても、十二歳ですでにパンパンガールなつているのがございます。こうした小さい十二歳くらいのパンパンガール養父によつて犯され、養父に使嗾されて、こういう道へ落ちているというような實例がございますので、こういうことがあると、十四歳くらいで親の生活の犧牲に供される危險があると思う。私は殊に女子の場合に非常に憂うるものでありますから、この條文にはあくまで反對したい。十二歳くらいでパンパンになり、そして病毒に冒されている者がございますが、それに對してはどういうふうな見解をおもちなつておられますか。
  12. 米澤常道

    米澤政府委員 ただいまのパンパンガールお話でございますが、この點については本法では非常に嚴重に規定いたしたつもりであります。三十三條の第六號「兒童淫行をさせる行為」、この規定を相當働かせることができると思うのでありまして、この「兒童淫行をさせる行為」の第六號に對しては罰則が非常に重くなつております。現在の刑法によります取締り規定その他の罰則よりもうんと重くなつておりますので、この第六號を働かしますれば、ただいま御指摘のような場合は、相當嚴重に取締りをすることができると考えておるのであります。
  13. 山崎道子

    山崎(道)委員 とにかく兒童福祉を護る法律でございますから、十分に法の精神を活かしてくださることを強く要望しておきます。  三十四條の兒童福祉施設の方へまいりまして、これに對します豫算はどの程度に用意されておいでになるか。またどんな施設ができましても、人を得なければ成果をあげることはできないと思いますが、この兒童福祉施設職員養成施設というようなものに對してのお考えは、どのように考えおいでになりましようか。
  14. 米澤常道

    米澤政府委員 兒童福祉施設の本年度における設置豫算は、先般の委員會でもお話し申し上げました通り、二十二年度の追加豫算としては計上いたしていないのであります。職員養成につきましては、お話通り、最も大事な問題でありまして、國の施設、たとえば武藏野學院等におきまして教護關係職員養成のために現に第一囘生を入れておりますが、これを徹底的にやりたいと考えております。各府縣にありますそれぞれの施設におきましても職員養成をやらせ、それに對しましては費用を國庫から助成する考えでおります。
  15. 山崎道子

    山崎(道)委員 第三十五條に「助産施設」とございますが、これは煩わしい名前でございまして、私はこの際これを産院というふうに率直に書き現わした方がよいと思います。  第三十八條の「兒童厚生施設は」というところももつと的確な名前を使いたい。それに對して政府ではどういうふうに考えおいでになりますか。  それから本案が何としても施設法に隨するきらいがありますので、この兒童厚生施設兒童遊園兒童館等につきましては全面的に思い切つた豫算をもつてほんとう兒童を幸福にするために各所に完備したものを欲しい。こういうことを私は考えております。今子供遊び場がないためにどれだけ不幸になつているか。つい三日ばかり前の新聞だと記憶いたしますが、警視廳からやかましく指令が出ておりまして、子供道路で遊ばしてはならない、けがをした場合は、けがをする方の側も惡いのだというようなことが發表されておりましたけれども、それはまことにけしからぬことだと思います。今の子供遊び場所がないのであります。少しも保護されてないのであります。子供道路で遊んではいけないということは私たちもわかりますけれども、それならば安心して遊ベるような施設を親心をもつてこしらなければならない。かように強く感じておりますけれども、これに對してはどの程度までこれを行われる考えであるか、伺いたいのでございます。こうした施設、町の子供クラブというようなものをつくる。そして子供のときから民主主義社會性を育成助長するように仕向けてまいりたい。こうした意味からいきましても、非常に重大なことだと考えますが、政府の方は豫算をどういうふうに考えておられるか。地方におきましては本省から豫算がもらわれれば、相當なことができるというようなことも申しておりますので、その點についてちよつとお考えが聽きたいと思います。
  16. 米澤常道

    米澤政府委員 第三十五條の「助産施設」の文字でありますが、これは御指摘のように、あまりぴつたりとこない字句でありまして、産院というふうな字が最も社會に知られてよく理解されておりますので、そういう字を使つた方がよいのでありますけれども、實は産院につきましては、國民醫療法規定いたしておりまして、しかも國民醫療法におきましては、この産院の定義がまだ制定されておらないのであります。しこうして國民醫療法産院と、この福祉法に申します産院とは範圍が違いますので、特別のこの「助産施設」という字を使つておるのでありまして、御了承を願いたいと思うのであります。  それから第三十八條の「兒童厚生施設」につきましてのいろいろ御意見があつたのでありまして、ぜひともこういつた兒童に對する遊び場所とか、あるいはクラブというものの創設が、今日の兒童を護る上において、最も考慮せられなくてはならない問題であるのでありますが、この厚生施設につきましては、法律上の補助豫算を實はこの法律では規定いたしていないのであります。この兒童遊園、あるいは兒童館等につきましては、これはただいま山崎委員から御指摘があつたのでありますけれども、やはりできるだけ地方公共團體においてみずからやるべき筋合のものであろう。これについて國庫から法律上の助成をすることは現在においてはどうかという考えで、この厚生施設につきましては、できるだけ地方當局の自發的な計畫を期待いたしておるのであります。しかし實際法律上の豫算でありませんで、かかる施設に對して獎勵的な意味で、國庫から何かしかのものが出ることは非常に好ましいのでありまして、そういう意味において多少でも助成できるように、ぜひとも財政當局と話を進めたいと考えておる次第であります。
  17. 小野孝

    小野委員長 山崎さんに申し上げますが、農林省から食品局長畜産局長が見えておりますから、念のために申し上げておきます。
  18. 山崎道子

    山崎(道)委員 ほんとう兒童の幸福を思うならば、やはり地方に任しておきましたのでは、こういう施設は後囘しになつてなかなかできないのであります。どうしても本省から少しでも豫算を割いてやらなければ、これを育成することは不可能であります。ぜひこの點を私は強く強調いたしておきたいと思います。  それから兒童館に對しての構想は……。
  19. 米澤常道

    米澤政府委員 兒童館につきましては、これは兒童クラブというふうなものに考えるのでありますが、兒童遊園と同様に、できるだけ地方公共團體——府縣市においてできるだけやつていただきたい。それらに對するいろんな最低基準等につきましては、これは法律上いろいろ標準を設けたいと考えますが、設置そのものにつきましては、むしろ地方の方が主體になつてやつていただきたい。國庫からは法律上の補助はできませんが、できるだけ奬勵的意味において若干の助成でもしたいというので、それは財政當局とできるだけの折衝をしたいと考えておるのであります。
  20. 山崎道子

    山崎(道)委員 大切な子供の問題でございます。とかく厚生省は弱いと思います。もつと強くひとつ主張していただきたい。ほんとう子供を愛するならば、そしてまた兒童福祉施設健康増進と同時に、不良兒の豫防の意味からいきましても、完備したものができなければなりません。それと同時に今子供のおもちやとか、繪本とか、映畫とかいうようなもので、子供によろしくないもの、惡いものができた場委合には、この兒童福祉委員の人々から禁止してほしい。そのくらいの強い權限を兒童福祉員會がもつべきであると私は考えますけれども、この點はどういうふうに考えおいでになるでしようか。
  21. 米澤常道

    米澤政府委員 兒童の讀み物、玩具その他につきましては、お話通り最も大事な問題であるのでありまして、いろいろ研究もいたしたのでありますが、それらに對する從前の檢閲的な取締りというふうなことは、これを新憲法の精神考えまして、廢止いたしておるのであります。しかし健全な玩具、讀み物その他につきましては、今山崎委員から御指摘になりましたように、この兒童福祉委員會等におきましても、專門の方々がいろいろ御研究をしていただいて、これの助長等について、委員會としていろいろ協力していただくということを、實は期待しておるのであります。
  22. 山崎道子

    山崎(道)委員 子供に本が足りない、いろいろな點が足りない、あつても非常に高い、紙がないということで、いつも子供のことは深く考えられておりませんけれども、私はこの子供繪本などの紙が足りないというようなことは、今市販の化粧品などのボール箱や、包裝紙、ああしたものをやめさせれば、相當な量が浮くということを業者から聞いておりますので、この點もひとつお考え願つて、とにかく私は子供にもつと繪本が欲しい。音樂が欲しい。今の子供には歌がない。ですから私はこういう施設で、こういう文化面を強く生かしていくというふうにしていただきたい。していかなければならない。かように考えております。  一應この點は後囘しにいたしまして、食品局長が見えておりますか——それではちよつとお伺いしたいと思います。ただいま子供の幸福を護るために、兒童福祉法を審議いたしておるのでございますが、このごろ乳幼兒の保健というような面を考えまするときに、何といたしましても、赤ちやんのためにミルクを確保しなければならない。かように考えるのでございますが、おとなの主食遲配缺配になりますと、これは國家としても非常に努力されるのでございなす。ところが赤ちやんの主食であるところのミルクに對しましては非常に冷淡である。かようにまで私は考えておるのでございます。このミルクに對しまして、どういうお考えをもつて今進まれておるか、その點をひとつ伺いたいと思います。
  23. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 子供の特に乳幼兒食糧につきましての御心配の點は、われわれもまつたく同様に考えておる點でございまして、できるだけの努力は今までもいたしておりますし、今後も引き續きいたしたいと思つておるのでございます。ただ現在の牛乳不足の根本の問題は、えさの問題にあると思うのでございまして、えさの問題が解決いたしませんと、容易にこの牛乳の問題は見透しがつきかねるのではないかと思つております。その點につきましては、十分の努力もちろん拂われなければならないのでありますけれども、主食状態が現在のような状態でありますので、なかなか簡單には樂觀的な見透しはできないのではないかと思つております。ただまあそうは申しましても、與えられた條件のもとにおいて、できるだけのことをしなければならぬということは當然のことなんでありまして、現在といたしましても、牛乳生産は非常に減つてはおりますけれども、この減つておる條件のもとにおいて、できるだけ乳幼兒食糧を確保するという點につきましては、いろいろと努力はいたしております。たとえば煉粉乳につきましても、もちろんのことでございますけれども、煉粉乳だけでは容易にその量が確保できませんので、育兒食という名前で呼ばれておりますけれども、さいわいにいたしまして連合軍の好意による脱脂粉乳の輸入が相當量ございますので、これに小麥粉その他の榮養的な價値のあるものを加えまして、そうして七箇月以後の人工榮養兒に對する人工食を確保するといような手段も講じておるのでありまして、煉粉乳の確保と、ただいま申しました育兒食の今後の生産の増加、それからもちろん生の牛乳配給の面にできるだけ大量に乗せるという點これらの三つ點を併せ考えまして、できる限りの量は確保したいと思つておるのでございます。そうしてそれに對する裏打ちといたしましては、この八月以降飲用牛乳並びに煉粉乳生産に對しまする原料牛乳に對しての供給につきましては、えさのリンクもいたしておりまして、少いながらもできるだけの量は確保したいという考え方で進んでおるのであります。
  24. 山崎道子

    山崎(道)委員 えさの點からミルクが少いということは、後ほどいろいろお伺いたしますが、足りないミルクが町の喫茶店にはあるのでございます。それから相當な特殊な家庭を訪問したりしますと、香り高いミルクが出されるのでございます。そうして板橋の養育院に参りますと、あの捨て子十七人の施設に對して牛乳が三十本より配給されていない。一人の赤ちやんにどのくらいの牛乳が要るかは、私が申し上げるまでもなくすでに御承知のことでございます。親に捨てられたかわいそうな子供が、わずかあてがい扶持の十七人で三十本というふうなミルクで育つものでございましようか。こうしたことを考えますと、ミルク配給方法缺陷があると思う。結局足りない時期であるが、赤ちやんにはそれがなくては命が保てないのでありますから、他への一切の配給を禁止いたしまして、とにもかくにも、この際赤ちやんのための牛乳を確保するというような方法に進んでいただかなければ、とうていこの危局は乗り切ることはできないと思います。よくララ物資によつて現在は赤ちやんが太つてきた。一應の危機は突破したようなことを言われますけれども、ララ物資にすがつて、そうして一時の危機を突破しておりながら、一面におきましては喫茶店その他町にそういうものが流れておる。こういうことは私了解に苦しむのでございますけれども、これはどういうふうになつておるのでございましようか。
  25. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 牛乳統制につきましてはもちろんできるだけのことはいたしております。そうして現在のところ生牛乳配給は申し上げるまでもなく、御承知通り人工榮養兒に對するものを第一順位におきまして、この第一順位が確保されない以上は、現在におきましては病人用にも配給がない。という程度のことなのでありまして、できる限りの統制はいたしておるのでございますけれども、何しろ現在の取締りの力をもつていたしましては、容易に全部を統制の面に漏れなくすくい上げるというわけにはまいらないのでありまして、ただいま御指摘のように、喫茶店その他にある程度のものが流れておるという實情は、これは非常に残念なことでありますけれども、現在の實情として事實そのことはあるようでございまして、われわれといたしましても非常に遺憾に思つておるのでございます。ただ現在の配給方法といたしましては、もちろん人工榮養兒に對する牛乳を最優先に確保するということは、できるだけの力をいたしておるつもりでございます。
  26. 山崎道子

    山崎(道)委員 私は昨日靜岡縣に参りまして不思議なことを聞いたのでございます。學童給食が今靜岡縣では七市の兒童に行われておるのでございますが、これに對しまして來月から學童給食ミルク配給になる。そうしてこのミルク配給すると一人およそ一箇月五十圓になる。そういたしますと、子供榮養のためには欲しいけれども、現在の生活状態からいけば、一週四囘飲む牛乳に一箇月五十圓、三人子供を出しておりますと、その給食だけに百五十圓かかる。これではとうてい負擔ができない、一體どうしたらいいのだろうといつて騒いでをるのを耳にいたしましたが、一方においては赤ちやんにミルクがない。學童の健康も大切でございますけれども、學童に對する給食はほかの面でも事足りるのでございまして、ない赤ちやんのミルク學童配給する。そうして一方それを受ける家庭親たちは非常に苦悶しておる。こういう矛盾に對しましてはどういうことになつておるのでございましようか。私はこの點はまつたく不可解に感じまして、今日はお伺いしたいと思つて朝から來ておりました。
  27. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 ただいま御指摘事實は、おそらく輸入されております脱脂粉乳學童給食の問題ではなかろうかと思うのであります。現在計畫といたしましては、司令部の方と連絡をとりまして、二萬三千トン一箇年に脱脂粉乳が輸入されるという計畫になつておりまして、八月までに一萬四千トン餘りのものがすでにはいつておるのであります。そうしてその全部はもちろんまだ放出許可なつておりませんが、ある程度のものは育兒食の主要な原料にまわされまして、それを他の原料と合わせまして、育兒食として人工榮養兒配給されることになりますし、また相當部分のものが、文部省の手を通じて學童給食にまわされるのでありまして、今御指摘になりました學童ミルクがいくという問題は、おそらくこの輸入されました脱脂粉乳給食用配給されるということだろうと思つております。
  28. 山崎道子

    山崎(道)委員 その脱脂粉乳配給されるということになりますと、この一人當り一箇月五十圓というような負擔が今の家庭にできるでしようか。もしこの配給を受け得られない家庭というものはどうなるか。これは何らか別途お考え願えるものであるかどうか。
  29. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 そういう點につきましては、實は私どもの方としてははつきりした考えはないのでありまして、學童給食について、經濟的に苦しい家庭學童に對して、補助をするとかしないとかいうことを考えるとすれば、おそらく文部省の方として考える問題でございまして、われわれといたしましては、その點に對して別段の意見をもつておらないのであります。
  30. 山崎道子

    山崎(道)委員 それから乳のない主婦の苦勞を何とか解消するために、そうしてまた乳のない赤ちやんを護るために、横流れを防ぐべく行われた檢乳であろうと存じまするのに、この檢乳をいたしました結果、今まで三ポンドまで配給なつておりましたのが、一ポンドに減らされてしまいました。そうして一箇月四ポンドなければ足りないというような主婦の今のみじめな苦勞を見ていることができないような状態でございます。そうして私の知つている人が今まで三ポンド配給なつていたのが一ポンドになつて、どうしても足りなので、再三醫師の所へお願いに行つても、駄目だ、乳が足りないからということで門前拂いになつて、そうして診察を受けたいということで診察を受けて、その結果ほんとうミルクが出ないというので、やつと一ポンド殖やしてもらつたというような實例もございますが、この檢乳ということについて、今の方法で事足れりというお考えでございましようか。そうしてほんとうに乳のない赤ちやんに對しましては、もつと親心をもつてこれを護つてほしい。かように考えるのでございます。
  31. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 現在までのところではわれわれの計畫といたしましては、人工榮養兒に對しまして、全國平均二合ということで數字を立てておつたのでありますが、それをこの八月以降の食糧緊急對策といたしまして、飼料のリンクその他によりまして、ある程度の目途がつきますので、平均二合五勺、これは生牛乳煉粉乳も合わせてでございますけれども、二合五勺という數字に引上げまして、現在のところその目標で計畫を立て、かつ實施をいたしておるのでございます。ただ今年の七、八月にかけまして、一時状態が非常に悪くなりましたのは、生牛乳の値段が上りまして、煉粉乳にいわゆる製品の値段が當然引上げられなければならないのが、その手續が遅れまして、その結果生産者が出荷をしぶつたという事實があつたのでございます。そのために東京その他の都市を通じまして、非常に皆様に御迷惑をかけた事實は、われわれとしては申譯なく存じておつたのでありますが、さいわいにいたしまして、その後値段も大體におきまして正常にいきまして、その後出荷も順調にまいつております。一時そういう事實はございましたけれども、現在におきましては、まずただいま申しました二合五勺という平均によつて煉粉乳の數字は確保されておると思つておるのでございまして、現在におきましてはそうひどい不足はないと思つております。  それから少し計畫が遅れましたけれども、もうぼつぼつ先ほど申し上げました育兒食も出まわりつつありますので、今後におきましては消費者にそう迷惑をかけることはなかろうと思つております。
  32. 山崎道子

    山崎(道)委員 二合五勺というのは、絶對に乳の出ない赤ちやんにでございますか。
  33. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 人工榮養兒全體に對する平均が二合五勺ということで、計畫を立てておるわけでありまして、從つてそれよりもなお少くて濟む人もありましようし、また多く配給される人もあろうと思います。平均が二合五勺であります。
  34. 山崎道子

    山崎(道)委員 赤ちやんに對しまして二合五勺で足りるとはお考えなつていないと思います。でございますからおとなの主食を確保いたしますと同じように、ほんとう赤ちやんに足りるだけのミルクは、ぜひ確保していただかなければならないと存じます。そのためにはいろいろめんどうなこともございましようし、隘路もございましようけれども、それを何とか突破いたしまして、ミルクでなければ育つことのできない、命を保つことのできない赤ちやんでございますから、これはもつと眞劍にひとつお考えが願いたい。  それから離乳期の赤ちやんに雜穀の配給では困るのでございまして、離乳期の赤ちやんにだけは、少くともお米を配給してやつてほしいと思います。離乳期の食糧のために、貧しい主婦がどれだけ苦勞をしてお米を探しておるかということを考えますときに、どうしても赤ちやんの主食としてのミルクと、離乳期の赤ちやんのための米の確保、これがなければ私は子供の幸福は護つていけない。かように考えておりますが、この點はぜひ實現してほしいと要求いたしまするが、どういうお考えでございましようか
  35. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 最初のお話乳幼兒のためにできる限り牛乳を確保する方策を考えるという點につきましては、もちろん私どもとしても、できるだけの力を注いでおるつもりでございますが、ただ數字的に申しますと、最近の數字で牛乳生産の一番多かつたのは昭和十六年でございまして、その當時には大體二百十萬石程度生産があつたのでございます。それが現在においては大體八十萬石程度の數字になつておるのでございまして、また一方煉粉乳にしても、昭和十七、八年ごろは百八十萬箱程度生産なつておつたわけでありますけれども、これは最低を確保するとしても百二十萬箱なければならないわけでございまして、現在においてはその百二十萬箱の最低量を目ざして、ようやく計畫を立てて進んでおるという程度でございまして、全體の生産が非常に減つておるということが、根本の需給のバランスを失つておるということになつておりますから、この點を解決しないと容易に樂にならないわけでありまして、それには先ほど申しましたえさの問題がすべてにつきまとつておるということを御承知つて、いろいろとお力添えを願いたいと思うのでございます。  それから離乳期の赤ちやんの問題でございますが、ただいまのお話はまことにごもつともと思うのでございます。われわれとしては別段何ら異存をもつておらないのでございますが、問題はおそらくそういう全國各地に散らばつておる赤ん坊に對しまして、米を用意して配給することができるかどうかという、主食状態におかると思うのでございまして、われわれとしては、ただいまのお話の趣旨はよくわかるのでございますし、育兒食というような方法も講じておるのでございますから、厚生省なり、あるいは省内の食糧管理局とも連絡をとつて、計畫を立ててみたいと思つております。
  36. 山崎道子

    山崎(道)委員 その點ぜひお願いしたいと思います。授乳期の赤ちやんのためのミルクと、離乳食の確保、これをぜひ達成しなければならないと存じますので、ぜひお願いいたします。  それからただいま餌料の問題が根本的な隘路であるというお話でございました。その點は了承いたします。畜産局長にお伺いいたしたいのでございますが、戰前の日本における畜産の状況と、今日の状況について、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  37. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 戰前の畜産の大體の概況を申し上げますと、戰爭の初期においては比較的畜産は増殖の傾向をたどつておつたのでございます。しかるに戰爭がだんだん苛烈になつてまいりまして、食糧事情が窮屈になつてまいりますと同時に、餌料が非常な壓迫を受けてまいりまして、戰爭の末期においては畜産は非常に減退してまいりました。特に戰爭が濟みまして一年間程度は極端に減つてまいりまして、わが國の畜産としては最も衰微した状態を現出したような次第であります。餌料の状況については、やはり戰爭の末期において、この畜産の全體の状況と相竝んで、漸次情勢が悪くなつてまいりまして、特に昭和十四年ごろにおいては輸入餌料においても百萬トン以上の輸入がありましたのが、二十一年においてはわずかに一萬三千トン程度の輸入しかなかつたのであります。ほとんど皆無に近いような數字になつてまいりました。その結果として、あらゆる畜産の方面に非常に無理な状態が出てまいりまして、先ほど來お話の乳用牛の餌料さえも窮屈になつてまいつたのであります。昨年の餌料の配給の總數量は、正規のルートで配給いたしましたものが、わずかに二萬數千トンでございました。その結果としまして非常に各方面に御迷惑もかけ、いろいろな點に不都合な問題が出てまいつておつたのでありますけれども、その後輸入食糧の副産物が漸次殖えてまいりまして、今年度におきましては、飼料の統制をきちつとすることにいたしまして、二十數萬トン程度配給をするようにということに目標に、ただいまやつておるような状況でございます、大體の畜産の状況及び飼料の概況はその程度なつております。
  38. 山崎道子

    山崎(道)委員 畜産の奨勵は乳幼兒の問題だけではない。農村における肥料の問題にも關連してくるのでありますけれども、これからの畜産に對する計畫はどういうふうにお立てになつおいでになりますか。
  39. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 ただいま御指摘のように、畜産が日本の農業に漸次はいつていきませんならば、日本の農業の生産力はほとんど伸びていかない。日本の農業の生産力をいわゆる擴大再生産に轉換していく非常に大きな契機は、やはり畜産にあるということが各方面から議論せられまして、ほとんど一致した意見なつてまいりましたので、先般來畜産の審議會を設けまして、各方面の學者、實際家等にお集りを願いまして、審議會で畜産の根本方針の檢討をしていただいておつたのであります。審議會としましてつい數日前に一應の結論が出てまいりまして、五箇年計畜を立てることになつたのでありますが、この畜産振興の五箇年計畫におきましては、現在三百四十萬単位、これは小家畜も大家畜に換算いたしまして、単位の計算をしておりますが、たとえば豚は五頭をもつて大家畜一頭、鶏は百羽をもつて大家畜一頭というような計算をするのでありますが、単位に換算いたしまして、三百四十萬単位程度の家畜があるのであります。五箇年の後に四百三十萬単位程度の畜産を維持する。大體において三割程度の増産を目標に各種の家畜の増産計畜を立てて、この計畫に從いまして家畜の増殖を實際遂行してまいりたい。こういうふうに考えております。
  40. 山崎道子

    山崎(道)委員 私はこの點よほど腹を入れてやつていただかなければ、とうてい解決できないのじやないか、かように憂慮いたしております。實はある所で、戰爭には乳牛が百三十八頭いた。それが現在では三頭しかいない。ですから戰前にはトラツク二臺くらいの牛乳を運んでおりましたのが、現在では一臺のサイド・カー、オート三輪にも足りないというような實情でありまして、しかもその土地は山村でありますから、どうしてもそういうものを飼つていかなければ農産物ではやつていけないのであります。それを飼いたくても現在飼料の關係で禍いされておりますので、飼料が幾分ゆるやかになるという見透しがつきましても、現在では非常に高いのであります。生後二箇月ぐらいの牝牛でありましたならば二萬圓くらい、妊娠中の牛は十萬圓ということでございまして、とうてい今のお百姓ではこれを購入する餘力がございません。こういう飼いたくても飼えない、しかも飼わなければほかの農産物も増産することができないというような農村に對して、何らかこれを貸與するとかという方法をお考えでございましようか。
  41. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 家畜の價格がどんどん上つてまいりまして、そして實際家畜の飼養を希望しておる農家の方などが、手に入れようと思いましても、なかなか手にはいらないというような實情が出てまいりました。その點についての御質問のようでありますが、その點は私どもも非常に苦慮いたしております。家畜の價格がどんどん上つてまいりまして、これを何らかの形である程度抑えてまいりませんと、それを飼つて農業經營をやつていきます農家の立場から見ますと、その經營がきわめて不健全なものになつてまいります。そういう見地から見ますと、ある程度價格を抑えていく必要がどうしてもあるように思うのであります。しかし實際問題としましては、家畜の價格を統制することが非常に困難でありまして、今その問題について鋭意研究はしておりますけれども、なかなか見透しのついたはつきりした結論が出てまいらないのでありまして、その點非常に苦慮しているような次第でございます。しかしだんだんこの問題も研究してまいりたいと思つております、なお現在としましては、事實家畜の價格が非常に高いのでありますから、それをもつことができないような農業に對して、政府なり大きな團體なりが家畜を買いまして、それを希望する農家その他に貸與するような方法、こういう御質問でありましたが、その點についてもいろいろ計畫はしてございます。しかし何にいたしましても非常に多くの資金を要し、政府が直接やるといたしましても大きな豫算を要しますので、なかなか困難でありますけれども、この次の機會にはそういう施設政府としてもやりたいということを希望しておりまして、財政當局とも折衝しているような次第でございます。
  42. 山崎道子

    山崎(道)委員 現在の日本の經濟状態からいたしまして、なかなか豫算その他で苦しいことはよくわかつておりますけれども、これをしなければどうしても日本の農村が振興しない大切なことでありますから、現在は苦しいても何とか捻出していただいて、私はこれを政府でやつていただきたいのであります。私はある特定の會社がこれをやることには絶對に反對でございます。現在生乳の不足を來している原因の一つは、大會社がこうした方法をとつておりますので、またふすまその他の飼料がリンク制になつておりますので、これが會社に流れている。これが煉乳になつて、正規に流れてくればよいのでありますが、なかなかそうなつてまいりません。またそこには搾取が行われますので、これはどうしても政府の手でやつてもらわなければ、いろいろな弊害が出てまいります。根本的には酪農調整法等の改正もございましようが、こういう大きな病源をどんどん断切つていちただきまして、ぜひこの點を確保していただきたいと思います。そうして現在一頭に對しまして飼料地として五畝歩だけ供出から除外されることになつておりますが、これがなかなか實現されていないように聞いております。その點どうなつておりましようか。
  43. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 ただいま御質問の前段の方でございますが、これは御指摘のように政府が直接やつた方がよいと思いまして、その方向で來年度の豫算の折衝をただいまやつているような次第であります。  それから後段の問題でございますが、一應五畝歩とか一段とかいうような飼料用圃場を設けて、これを供出の除外地にするというようなことをやつている縣がございます。政府といたしましては、なるベくそういうふうにしなさいということを言つているのでありまして、必ずそうしなけりばならぬとはまだ申しておりません。と申しますのは、非常に食糧事情が苦しいのでありますから、食糧の割當をどうしても完遂しなかつた場合には、その中にどんどん食いこんでいくというようなこともあるいはあるだろうということで、必ず一段とか五畝歩というようなものを、供出の除外地にしろということにはなつておりませんが、できるだけそういう方面でやるようにということにしているのであります。ただ問題は作付の場合、何をどれだけ作付するかということがその先の大きな問題でございますので、来年度の作付計畫をいたします場合には、飼料用等についても相當考慮した作付の計畫をするように、從つて農業の生産調整關係の方針をきめます場合には、その點を重視してまいりたいという考えであります。
  44. 山崎道子

    山崎(道)委員 非常に、大切な問題でございますから、強く要求していただきまして、豫算をとつていただいて、そうしてこれを早速實行していただくと同時に、この飼料地の問題ももう少しお考えをいただきまして、百姓がやつていけるようにしてほしいと思います。お百姓といたしましても、養蠶の場合にもそうでございますし、お茶の場合、また畜産農家の場合も——米作農家には保育米が許される。けれどもこれらの人のためにはほとんど考慮されていないというような點も、非常な不平の中に算えられますので、その點も御考慮が必要であると私はかように解釋しております。この點をくどくお願いいたしましたことは、結局どうしても私は赤んぼのためにミルクが確保したいからでございまして、食品課長にもくどくお願いしておきますが、赤ちやんの主食の確保には全面的に努力していただきたいことを強く要望いたしまして、この點の質問は終りたいと思います。
  45. 小野孝

    小野委員長 ちよつとお諮りしますが、この法案に關連して農林省關係に御質疑のあります方にはこの際お許しいたしたいと思います。福田昌子さん。
  46. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 乳兒の主食である煉乳及び乳製品に對しまするところの質問で、私の申し上げたいと思うことは大半山崎さんがおつしやいましたので、それに對する不足の分を質問申し上げたいと思うのでございます。先ほどの御質問に、ただいまの統制では横流れを防ぐことができないというような御答辯でありましたが、それはまことに私は當らない御答辯だと思うのでございます。それだけの心構えがないからそれだけの統制ができないのでありまして、この例といたしましては私は出身縣の福岡縣の例をとつて申し上げますと、福岡縣は非常に乳幼兒の乳製品及び牛乳は、全國的に見て一番状態が悪かつたのでございますが、縣當局の非常なる努力によりまして、ことしの七月でございましたか、銀河という喫茶店牛乳配給されて、これを健康なるおとなが飲んでおる現場を押えまして、そういう牛乳のやみ配給というものを押えたのでございます。一囘押えましたのですが、一月くらい經つた後においてまた當局が監督に参りましたら、また同じようなことが行われておつたそうでありまして、これをまた押えまして、遂にその銀河の営業を停止したのでございます。そういう措置によりまして、他の喫茶店におきましても、その他の料飲店におきましても、牛乳のやみ配給、やみの接待というものが全然なくなりまして、その分が全部赤ちやんの方に浮いてまいり、なおかつ飼料のリンク制と相まちまして、福岡縣の九月の乳兒に配給されます牛乳状態は非常に好轉してまいりまして、福岡市内ではむしろだぶついて餘つた日も出てきたような現状を呈したのであります。ですから全國的にこういうふうな取締りをしていただいたならば、必ず赤ちやんの乳製品、牛乳赤ちやんの主食というものがずつと潤澤になつてまいるだろうと思うのであります。政府において、殊に末端の關係當局において、そういうような取締りをしていただくことをこの際墾請いたします。  次に飼料の問題でありまするが、政府におきましては、この飼料をどういうふうな重點的な形式をもつて配給なさるおつもりであるかということを承りたいと思います。
  47. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 ただいまの御質問の最後の飼料の面についてのお答えを申し上げます。飼料の配給につきましては、こういうふうな順序でやつております。第一に乳牛に配給することになつております。それはただいま統制されております飼料の大體半分を乳牛にやることになつております。他の残りの半分のうちの約半分を輓牛馬用に配給しております。輓牛馬と言いましてもすべての輓牛馬ではなくして、重要な計畫物資配給する輓牛馬に配給することになつております。残りの二分の一はこれを重要な種畜に配給する。その程度でもつてようやくからからの配給をしておるような事情でありまして、現在のところは、乳牛と輓牛馬と種畜、これを中心に配給しておるような次第であります。
  48. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 競馬に使う馬に對する配給はどういうことになつておりますか。
  49. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 競馬の馬につきましては、實は競馬は御承知のように、日本競馬會のやつておりますいわゆる公認競馬と地方競馬の二種類がありますが、いずれも馬主がきわめて熱心に飼料の自給自足をやつておりますから、配給の方はほとんどノミナルなものになつております。ただ出場の直前等に非常に飼料がなくて困るというような場合に、ほんとうに少しばかりの配給をやつた例はございますけれども、今までほとんど配給をやつておりません。今後といえども、なるべく競馬には配給をしないようにして、それぞれ馬主が自給自足をしていただくというふうな考え方で進みたいと思つております。
  50. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 私自給自足の内容がよくわからないのでありますが……。
  51. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 馬主がそれぞれ農場をもつておりまして、その農場と飼料の生産をして賄つていく、こういう意味でございます。
  52. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 それはよくわかりますけれども、そういう農地というものは、一般の農耕地としての供出は免除されておるのでございますか。それともそういう特例があるわけですか。
  53. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 供出の割當をします場合に、麥等につきましては、飼料用が計算されて残ることになつております。それから牧草その他の飼業につきましては、供出の對象になつておりません。そういう方面からはゆとりが出てくるのであります。
  54. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 それと同じような形式のものを乳牛のためにつくるということはできないのですか。
  55. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 乳牛についても同様になつております。乳牛を飼つておりますと、その農家の供出については家畜一頭當りいくらというふうに、供出の場合に乳牛の保有量というものが認められることになつております。それかれ一般の飼料作物については、供出の對象にならないということは、今の競馬の場合と同様でございます。
  56. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 ただいまのお話は、主として酪農に關する牛の飼料に非常に關係があると思いますが、一般の赤ちやんの生の牛乳配給というものを非常に求めておるのでございますが、そういう點に對する取締りのお考えはありませんか。
  57. 遠藤三郎

    ○遠藤(三)政府委員 ちよつと聽きとれなかつたのですが……。
  58. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 ただいま飼料のお話がございましたが、乳牛に對しても、それと同一のことが行われておるという話でございます。それはおもに農家におけるいわゆる酪農關係の飼料がそういうふうな關係にあるのだと思いますが、酪農によつて集められたところの牛乳というものは、今日においては法的にきめられたこと以外に、主としてやみに二大製薬會社の手によつて囘收されておるような傾向がありまして、これが普通の生の牛乳として赤ちやんの食糧なつている面が非常に少いのであります。これに對する政府取締りに關する計畫をお話願いたいと思います。
  59. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 あるいは私の御質問の趣旨を誤解しておるかとも思いますが、もしそうだつたら訂正していただきいと思います。現在のところでは、先ほどもちよつと申し上げましたけれども、緊急對策用として十九萬何千石でしたか、えさを確保いたしまして、これを都市の乳兒用牛乳に對する供出と煉粉乳、いわゆる乳製品に對する原料牛乳の供出と、この二つに對してリンクをいたして配給しておるのであります。また各地方の供給に對しても、原料牛乳として供給したものにはやはり配給があるわけであります。そうして先ほど御指摘の點は、おそらく明治、森永等の現在の煉粉乳の大きなメーカーのことに關してのお話ではないかと思うのですが、もちろん北海道の興農公社のほかには明治、森永は大きいメーカーでありますけれども、それらの業者の手によつてつくられました製品は、もちろんこれは全部はつきりと統計のルートの中に乘つておるわけなのでありまして、煉粉乳に關する限りにおきましては、明治、森永その他の各メーカーとも横流れの事實はわれわれといたしましては認めておらないのでございまして、その製品の原料乳に對するえさは確保いたしております。それは別段横流れをしておるわけではございませんし、そう不當なことはないと思つております。
  60. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 先ほど乳兒一人當り一日二合五勺ということでありましたが、それは煉粉乳の場合だけでありますか。
  61. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 煉粉乳と生の牛乳を合わせて二合五勺平均といも計畫を立てておるのであります。
  62. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 赤ちやんの一日の食糧が、平均して二合五勺で足りるはずのないことは、すでに常織でもお考えいただけることと思います。そういう状態であるならば、これを煉粉乳にして、いろいろの操作を加え、そして量を減らすよりも、かえつてこれを生のままで配給するように力を入れた方がよくはないですか。
  63. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 もちろん二合五勺でわれわれも足りておるとは思わないのでありまして、でき得る限り量を殖やしたいというつもりでいろいろ努力しておりますことは、先ほどから申し上げておる通りでありますが、ただ現在のところ、他のいろいろの條件が苦しいために、容易に計畫通りにいかないという點を御了承願いたいと思うのであります。  それからできるだけ生で配給をしたらどうかというお話でありますが、これは先ほどもお話がございましたように、牛乳を生で供給できるのは地域的に限られとおるのであつて、いわゆる酪農地帶において生産された牛乳は、これはどうしても製品として供給する以外に方法がないわけなのであります。特に北海道の大産地における牛乳は、當然これは製品にする以外に供給の方法はないわけでありまして、その意味でこれをあるいは粉乳にし、あるいにまたその他煉乳——煉乳は最近制限しております。若干のものは煉乳になつておりますが、できるだけ粉乳にいたしまして、供給を確保して全國的に平均した供給をする。こういう計畫で進んでおります。
  64. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 ララ物資の乳製品を學童給食したり、先般見せていただきましたいわゆるパンパンガールの収容施設にも、それに類似したものの配給があつたように記憶しておりますが、そういう所に乳製品をお渡しいただくよりは、もつと赤ちやんの主食であり、乳製品であるということを考慮していただいて、學童には乳製品でなく、それに代るものを配給していただくように考慮していただきたいと思います。
  65. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 先ほどもお話を申し上げましたように、學童に對する分はいはゆる乳製品ではないのでございまして、連合軍の好意によります二萬三千トン計畫の中の脱脂粉乳でありまして、これはいわゆるただいま計畫しております乳製品の計畫とは別でございます。向うの方でそのうちいわゆる育兒食にまわすと、學童給食にまわすものと、大體考慮して運用されておるわけなのでありまして、それが學童給食にまわされたからと申しまして、乳製品の生産に非常な大きな影響を與えるというわけのもではないのであります。それは相當程度のものが育兒食にまわりまして、育兒食として生産されておるわけなのでありまして、それ以外には國内産の原料牛乳によります乳製品ができておるのであります。  それからララ物資は全然これは別でございまして、量もごくわずかでありますし、別の見地から配給されておるのでありまして、得了承を願いたいと思います。
  66. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 ララ物資のことはまた別個というお話でございましたけれども、牛乳という問題に對しては別個に取扱いがたいと思いますが、それに對する厚生省の御意向を承りたいと思います。
  67. 小野孝

    小野委員長 福田さんに申し上げますけれども、これはこの間われわれ話を聴きました通りララ物資配給經路は、一般の統制配給品の物資と違つたルートでやつておりますので、これはまたあとの機會に厚生省方面とお話を願います。農林省關係はそれでよろしゆうございますか——それでは中島君。
  68. 中嶋勝一

    ○中嶋(勝)委員 今の育兒食の話でございますが、これは私文教委員會に出席しておりまして遅刻いたしましたので、これまで御質疑があつたらやめてもよろしゆうございます。あれは今全國に配給になるように原料が出ておるのでございますか。
  69. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 育兒食は全國生産の量にも限度がございますし。それから生産工場等の關係もございますので、なるベく廣くまわしたいと思つておりますけれども、現在ようやく生産ができ上つたというところでございまして、全國そう隅々までまわるというほでにはまいつておらぬのであります。
  70. 中嶋勝一

    ○中嶋(勝)委員 今度の今お話にございました脱脂粉乳、アイスミツクス、あれは非常に原料がよろしゆうございます。あんなものが全國にまわることになると、非常に乳幼兒として仕合せだと思いますが、今配給になる基準は、生後七箇月後一年間と聞いておりますが、その通りでありますか。
  71. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 御質問の通りでございます。
  72. 中嶋勝一

    ○中嶋(勝)委員 そうしますと、あの輸入食糧は今後續いてくる見透しがついておりますか。
  73. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 その點が實は問題なんでございまして、脱脂粉乳につきましては、先ほど申し上げたように相當量見透しがついておるのでございますが、アイス・ミツクスには乾燥鶏卵その他の原料が要るわけで、これらの問題につきましては必ずしも見透しがついておりません。
  74. 中嶋勝一

    ○中嶋(勝)委員 今私の出身縣の山口縣に例をとつて申しますと、山口縣では十市二町に育兒食配給いたしております。ところが農村におきましてはあれを非常に渇望しておるのであります。農村の人々もこのごろ煉乳の配給が非常に少くて困つておるのであります。それでぜひ農村にも配給してほしいという要望があるのですが、農村の實情を聞いてみますと、配給の必要があるように思います。と申しますのは乳幼兒が乳離れにおいて補助食がないために非常に死亡率が高い。これは御調査の結果はつきりとおわかりになつておることと思います。そうした状態がございますので、いろいろなもので補助食をつくつておるけれども、それらによつて完全が得られぬために、おなかを壊すということによつて乳幼兒の死亡率が高くなつておるのでありまするが、ひとつこの食糧不足のとき、はなはだ困難な事柄とは思いまするけれども、御當局が極力御努力になりまして、そうして原料を多量に取入れていただきまして、全國津々浦々、農村にまで配給のできるように御配慮をお願いしたい、こういうことを私お願いいたしまして終ります。
  75. 小野孝

    小野委員長 榊原亨君。
  76. 榊原亨

    ○榊原(亨)委員 ちよつと先ほど二合五勺平均というお話でございますが、それでは人工榮養兒に完全な人工榮養がどれくらいございまして、部分的な人工榮養兒がどれくらいございますか。數字的な調査をお示し願いたいと思います。
  77. 米澤常道

    米澤政府委員 今育兒食その他に關連して計算の基礎にいたしておりますのは、完全人工と混合を合わせまして九十一萬四千人でございます。このうちの比率は約三對一というふうに考えております。
  78. 榊原亨

    ○榊原(亨)委員 そういたしますると、九十一萬四千人という統計はどこからどういう調査によつてお調ベになりました。
  79. 米澤常道

    米澤政府委員 これは乳兒の數につきましては、統計で御承知通り出てまいるのでありますが、人工、混合の比率は今までの各種の統計、實際の部分的の調査その他によりまして、大體混合榮養につきましては三〇%、完全人工の子供につきましては一〇%、こういう比率をわれわれといたしましてもつておりますので、これによつて全體の數字にかけた數字でございます。
  80. 榊原亨

    ○榊原(亨)委員 もう一度お伺いいたしますが、三〇%が完全人工榮養ということでありますか。
  81. 米澤常道

    米澤政府委員 逆でございます。
  82. 榊原亨

    ○榊原(亨)委員 この問題につきましては、今の數字について今後質問を保留いたします。
  83. 武田キヨ

    武田委員 今の育兒食やさらに妊産婦の榮養に關しては、農林省の方で御用意があるのでございましようか。
  84. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 妊産婦につきましては、ただいまのところ格別なものをもつておりません。
  85. 武田キヨ

    武田委員 あらためてそれでは厚生省の方へお伺いいたします。
  86. 山崎道子

    山崎(道)委員 妊産婦には増配があるのでございましようか。
  87. 三堀參郎

    ○三堀政府委員 増配はあります。
  88. 山崎道子

    山崎(道)委員 榮養食のお考えはないようですが、その點御考慮願いたいと思います。
  89. 小野孝

    小野委員長 これをもつて散會いたいます。    午後零時五分散會