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徳田委員 樂泉園のことはまた
大臣が歸
つてきてからということになりますと、きわめて
簡單にはしよられるので不利でありますから、政務次官でよろしうございます。だから言うことだけは言
つて、それで
調査すベきことは
調査してもらわなければならぬのでありますから、政務次官から御
答辯を願いたいと思うのであります。先ほど
武藤委員から御
質問がありました諸點にさらに附加えて、これだけの重大なことでありますからぜひとも
調査せられんことを
希望する次第であります。先ほど死亡者の件について
武藤君から
質問がありましたが、そのうちに最も重大なることは、獄内で首をくくり、また凍死した者の數が莫大であります。これは全體の死亡者數の六四%でありまして、これは重大な問題だと思うのであります。單に死亡したというだけではなしに、その
原因が那邊にあるかということを十分これは
調査しなければならぬと思うのであります。すなわち首をくくるということは、これはやはり獄内の生活がきわめて不合理にできておることと、またこれに關連したことがきわめて不合理にできていたために悲觀して首をくく
つたと見ざるを得ないのであります。この一端につきましてはすでに
武藤君からお話がありましたから、これ以上申さないのでありますが、ぜひともこれは必要であります。さらに凍死の一件でありますが、この特別室というものはほとんど防寒用の夜具もなく、ま
つたくこれは地獄的である。その上に冬期になりますと、零下十六、七度になるというのに疊さえも敷いていない、ござさえも場合によ
つては敷かれてない所があるというのであります。
從つて全身が凍傷に侵されて死んでおる
事實が
報告されておるのであります。これはきわめて重大なことでありますから、死因、殊に首をくくるということと、凍死をしておるということに對して、特別に念入りに
調査せられんことを
希望する次第であります。さらに村山全生園というのがあるのでありまして、これはやはり
癩患者の
療養所でありますが、ここでは生活
保護法による
保護を昨年の十月から施行しておるようであります。しかるにこの
樂泉園においては何らこれを施行しておらぬ。これは一體どういうわけであるか。一方において施行しておるにかかわらず、こつちでは施行しておらぬ。殊に一般的にはどうしても施行すベきであるにかかわらず、こういうことを施行しておらぬのでありますから、この理由を私どもは十分に
調査をしてもらいたい。殊にこのことに關しましては
患者諸君から一月二百圓支給しろという
要求書が出ておるのであります。この
要求書に對して
政府は一體どういう考えをもたれるか、このことを聽きたいのであります。實はこの
要求書の出るゆえんのものも、何も向うにいて實際上生活ができ、金を必要としないならばこういう
要求はしないだろうと思う。ところが實際は非常に金が要るというように
報告されておるのであります。なぜならば食糧が一日にわずかに五圓十四錢であ
つて、それではとうてい食えない。先ほどの
武藤君のお話によりますと、大分
厚生省では肉も魚も玉子も食わしておるように言われておるのでありますが、そういうものが一切ないからとても生活ができない。野菜も何もほとんどないような
状態であります。
從つてやはり自分で何か食わなければや
つていけない。や
つていけないから自然金が要るのであります。金が要るためにどうしてもああいう
状態では得るところがない、だから生活
保護法から
要求するのは無理からぬことだと思うのであります。これが一つ。
もう一つはこういう
状態にあるために、どうしてもみずから勞働をして、この勞働賃金によ
つて、何とか實際に死を免れるようなものを補
つていかなければならぬ。ところがこの勞銀がきわめて不合理にできておる。一日にいくら拂
つておるのかというと、わずかに一圓八十錢だというのであります。一日勞働して今ごろ一圓八十錢、そんなばかな話はない。これでこの
患者諸君はこれに對して一日に三圓六十錢、すなわち倍額をくれろと言うのであります。三圓六十錢、これは問題にならぬくらい安いのであります。それだけの金さえもくれないというようなそんなばかげた話はないと思う。それで一圓八十錢くらいでこういうみじめな生活をさせておるということはきわめて不合理である。これは一體どういうわけで、こういうばかげたことをさせておるのか。ま
つたくこの一圓八十錢では數十年前の話であります。戰爭ずつと前の話であります。とうてい問題にならぬのだが、こういう問題に對してはやはり同一勞働に對しては同一賃金を拂うベきである。いかにこれが
癩患者とはいえ、彼らは癩病
療養所に入れられてお
つても人間としても
つておる權利は同様である。ただ癩病を
療養するために必要な制限は受けておるけれども、勞働に對する報酬までかかるみじめな
状態に制限されるという法はないのである。でありますからこの點は十分調ベてもらいたい。三圓六十錢くらいの話じやない、やはり勞働の質と量に應じてこれに適切なるものを與えるベきである。いかに
癩患者だからとい
つてこういう不當の取扱いをなすベきではない。こういうことを
調査せられんことを
希望するのであります。また何ゆえにこういう亂暴なことをしておるかを尋ねたいのである。
さらに勞働に關してでありますが、實際上彼ら
患者が作業して得ておるはずの賃金より
患者に支拂
つておる賃金がきわめて少い。これは一體どういうわけか。松葉鑛山というのがあるのでありますが、これに採鑛作業に出ておるのである。勞働賃金はこういう鑛山に出ますと一日一人三圓八十錢と
つておる。しかるに鑛山からこれだけ受取
つておるのに、
患者にはわずかに一圓しか拂
つておらぬ。そうすると二圓八十錢は一體どこに行
つておるか。こういうばかな話はないはずである。これをひとつどういうわけか囘答を願いたいのである。同時にこれを
調査していただきたい。
それから現在
患者が實際田畑をや
つておるようであります。この田畑をやるのは實際は
患者が非常に食えないからである。食糧を十分や
つておらぬからである。食糧を十分や
つていればそういう畑や田をやる必要はないのである。
報告によりますと、手がないから腕だけにくわをはさんでや
つておるような
状態である。それから足がないから畑までは足のない者は負ぶ
つて行
つてもら
つて、そうしてそこで兩手でや
つておるというようなみじめな
状態である。これは結局するところ半強制的になるわけであ
つて、すなわち食い物をも
つてこれをいじめて、さらに實際上苦しいから働かざるを得ないように追いこむのでありまして、これはま
つたく不當である。かくのごときことをすベき何らの法規上の根據はないのである。また人道上から考えてもそんなばかな話はない。こういう半強制的勞働というものは即時廢止すベきものだと思うのである。これは
厚生省においてはどう思われるか。こういう殘酷なことをするから逃亡がある。または出てい
つて後歸園すベき者も歸園しないような
状態が非常にある。要するにここから逃亡し、あるいは首をくく
つて死ぬるという
事實があるのである。そういう逃亡するような者が相當たくさん出ておりますが、これを一體どうするか。せつかく
療養所に入れて、そうしてこれの
傳染を防いでおるのに、こういうばかげたことをして、これが逃亡すれば、何のために
療養所を設けたかわけがわからぬ。この點もひとつ御囘答願いたいのである。
さらに新聞の配達料として
樂泉園からは正常には二百三十七圓一箇月に出ておるそうでありますが、實際上はそれだけは支拂
つておらぬ。子供に支拂
つておるのは一箇月僅かに十二圓しか支拂
つておらぬ。
從つて子供はきわめてみじめな
状態であるので月額十圓づつ
患者が負擔しておるという
事實が
報告されておるのである。こういうふうに園から出て、そうして渡すベきものが皆渡
つていない。そんな不正なことが公々然と行われておる。そういうことは一體どこに
原因するものか、はたしてこういう不正があるとすれば、これは徹底的に處斷さるべきであると思うのであります。
さらに最後にお尋ねもし、かつ
調査も願わなければなるぬのは、やみもうけのことであります。
武藤君の話では五十
萬圓くらいだという話だ
つたかと思いますが、
事實においてはおそらくこれが千
萬圓以上に上るだろうと言われておる。ここにわか
つていてがつちり握
つているものだけでも六百
萬圓はあると言われておる。これは實に厖大な話である。これはみな
患者に與えるべきものを不當に横流しして、そうして
職員が腹を肥やしておる。その結果
患者がこういうみじめな
状態にな
つておるわけであります。そうするとこれはもう一大事でありまして、こういうふうな
状態であるならば、
療養所というものが
職員の食いものにな
つている。
職員が盗人するための根據地にな
つておる。そういうのではこれはたいへんである。
政府の機關がどろぼうの根據地だなどということはま
つたくどうも恐ろしい話である。これはやはり徹底的に
調査しなければいかぬ。この
調査こそこの追返された根本的
原因ではないか。すなわち
共産黨がここに入
つたということが問題ではなくして、
共産黨はそういうところにはきわめて鋭い感覺をも
つておる。
從つてこの問題がきめて中心的な問題にな
つたのではないか。こういうものが中心的な問題になれば、そこで
職員のみならず、これを監督している
厚生省まで大きな責任を負わなければならぬ。だからもうめんどうだからこれをやはりすり消そうとすることにな
つたのではないか。それが不
信頼のものにな
つているのではないか。だから私は
厚生大臣にみな
報告しなさいと言
つておる。
共産黨は云々と言うから、
共産黨が何か脅喝でもしているかのごとくほのめかす危險がある。ほのめかしたというのではないけれども、ほのめかす危險がある。何か
共産黨の亂暴者が脅喝でもするかのごとく一般にふれまわ
つておるために
共産黨が入
つたために歸
つたということになりますと、ややともすると世人はこういうふうにくつつけたがる。だから私は全部
報告しろと言
つておるのである。全部
報告してしまえば明らかになる。これは
共産黨が惡いのではない。
共産黨が惡いのではなくて、やはり世間の暗黒な、殊に官僚統制の暗黒なことに關しては
共産黨はきわめて鋭い感覺をも
つておるから、その鋭い感覺からここに觸れておるのである。ここがまた一番要所であるのに、これを徹底的に摘發し、これに徹底的な鐵槌を與えない限り、すべてこういう不正な
事實が現われるのである。またこういう地獄が發生するのである。こういうことに觸れれば結局
職員が最も苦しむところであるから、不正分子だ、やあ何だとかかんだとかいう名義をつけて特別病室にぶちこみ、しかもこれが一箇年半という長いものをぶちこんで、平均しても四、五箇月という長いものをぶちこんで、そうしてこれを威嚇しておる。これを隱蔽しようとしておるのである。ここが根源である。これがこの問題の根源だと私は思う。そうして今實際やみとインフレとの
状態がきわめて糜爛した
状態で横行しておるのである。この問題が起るのである。これは世間一般の常識からい
つても、政治經濟上の諸問題からしても最も中心的な問題であ
つて、これを衝かない限り問題は解決しないのである。その點を私は深く追究すべきであると思うのである。でありますから、この點につきましては忌憚なくひとつ
調査してもらいたい。またこの點につきまして
調査された
中間報告においてもどういうふうな
状態であるかということを御囘答を願いたいのであります。