○徳田
委員 一松
大臣の今さきの言葉でありますが、非常に
政府は衛生その他の厚生
設備に關しまして、特別の留意を拂われて、大いの今後これを擴充するという
お話である。それに對しまして私の言うのは、それは言うことと、することと違
つているということを言
つたのでありますが、それに對しまして、一松
大臣は、何がそんなことがあるかというわけであります。これは
事實が現われておるのであります。すなわち今度
保健所をや
つたり、いろいろのことを擴充してやると言いますけれ
ども、これは非常に結構なことである。まあいろいろの缺陥があるにしましても、やらないよりやるがよろしい。非常に結構である。しかしながら一方においては、現在
結核患者が非常にたくさんお
つて、その
結核患者の中に、
實際今無料で
國立療養所にはい
つている者がある。今度これが
有料になる。現在無料の場合におきましても一日の食費は七圓であ
つて、そのために
實際上
結核療養には非常に
食糧が足りない。しかたがないから皆私費で買
つているようなわけである。しかるにこれに對して
有料になると一體どうなるか。これは
患者同盟から出してきている資料でありますが、調べた
對象が
肺結核だけで一萬人である。ところで
有料に
なつた場合に、これがどれくらい留まることができるかというと、わずかに一〇%
——一割しか留まることができない。その以外の者は皆退所しなければならないというのである。これには多くの有菌者も含まれておりまして、大體三〇%くらいは最も猛烈な有菌者と言われているのである。こういうものを何ゆえに
有料にするか。言うこととすることと違
つているじやないか。殊に今度の傳染病
豫防法の一部改正におきましては、
結核豫防はこれまで府縣に對して四分の一の補助ゑ與えていたものを、二分の一に改めている。すなわち二倍に増加しているのである。二倍に補助が増加しながら、一方においては何ゆえにこれを
有料にする必要があるか。しかも現在
——先ほども
榊原さんの質問に對しまして
政府委員の囘答がありましたが、これによりましても、八萬の病床に對してまだまだこれはあいておる。そうして今度こういうことをするというと、いよいよますますあく。一方では
重症患者のベッドをあかしておいて、他方ではごく簡易な
保健所をや
つてみたところでどうなるか。こんなことをして、ただ
豫防豫防、
指導指導と言えば、それはなるほど金はかからぬが、結局するところそれではごまかしにな
つてしまう。ほんとうに民族を愛し、民族の保健をするというならば、この本になる有菌者が最もたくさんいるのを、ほかに開放してはたいへんなことになる。これをまず押えなければならぬ。こういう者が家庭に歸りますれば、家庭にこれはどんどん傳染するのである。今のような
状態では、さつきも
委員諸君から申されていました
通り、まだ
政府委員も
認めておる
通り、衞生の
設備におきましても、
食糧の點におきましても、あるいは居住の點におきましても、きわめて不完全であるがために、いよいよますますこれは傳染力を増大せしめるのである。こんな逆なことをしておるのでは、ちつとも言うこととすることとは合
つておらぬのである。さらにまたあなたは、民族が、人民が積極的に衞生を重んじてもらいたいと言う。なるほどそうである。そうなれば結構な話である。しかるに一方においては、
保健所においても
有料で金をとる。金をと
つてだれが積極的になるか。貧乏で、今主食を買うにさえ、皆ふらふらしておる。そういうのに病氣が多いのである。それに
有料だなんて、だれが行くものか。それにこの
有料が幾分かもうけるような心持でやる。なあんだ。幾分かもうけるような心持ならば、それはだれも行きはしない。行きつこありはせぬ。かえ
つて監獄の方が衞生はいいくらいである。監獄はわれわれは無料ではいれる。これはいつでも、少しでも傷がつけば、少しでも危いと思えば、無料だからどんどん行く。文句があれば文句を言
つて、なあんだ、これじやだめだ。それだから、かえ
つて監獄の方が衛生はいいくらいである。そういうふうな
状態で、これを金をとる。金をとるのでは何にもならないのである。あなたがほんとうにこれをやられるというならば、むしろ全部これを無料にすべきである。一切の病氣は全部無料にすべきである。現に、このためには
社會保險を擴充すればこれはできるのである。これくらいの金は、むしろこれは大やみ業者や隠匿物資からとりさえすればあるのである。何もむずかしいことじやない。ソヴイエトは現にこれは全部無料でや
つておる。やれるのである。やればこれは積極的になる。だれだ
つて病氣なんかしたくはない。要するに、ふところとの勘定だ。ふところがさびしくては、いくら早くやらうとしてもできない。いくら衞生を重んじようとしても重んぜられない。結局そこにあるのであるのに、しかもそういうことは閑却しておいて、こういうふうに逆の手を一方でや
つてくる。ここが私は、あなたの言われることとすることとは逆だと言うのであります。なおさらに
國立病院については、
國立病院の
患者がたびたびあなたのところに行
つたはずでありまして、
設備の改善、待遇の改善についてははなはだ悶著を起しておる。これは遂にハンガー・ストライキまでや
つておるのである。またこれは醫療に從事している醫療組合においても非常に問題にな
つておる。そうして賃金が安いために、今やお
醫者さんはま
つたくひあが
つている。だからやみ
醫者にでもならなければ、
實際生活ができないような
状態で、こういうことを放
つたらかしておいて
保健所を擴充しておる。ただ仕事を擴げるばかりが能ではない。現在あるものをなぜ充實せぬか。これを徹底的に充實すれば、それから仕事が始まるのである。これをなさずして、ただ看板ばかり、宣傳、廣告ばかり多くしたところで
實際上何にもならない。そういうのが私の趣旨でありまして、あなたに對す
先ほど言いました抗議は、こういう内容をも
つているのであります。明快なる囘答を願いたいのであります。