○竹谷
委員 徳川
政府時代の封建的鎖國時代から、明治維新の革命によりましてわれわれは明治
政府をもちまして、そしてこの明治
政府におきましては、特に
内務省は國の政治にとりましてきわめて重要な役割を演じてまいつたのでありまするが、今この敗戰後の日本の民主革命期にあたりまして、
内務省解體という大きな事實を迎えますことは實に感慨無量なものがある次第であります。明治
政府の當初におきましては、
内務省はきわめて廣汎なる内務
行政の權限をも
つておつたのでありますが、逐次
政府行政が擴充發展するにつれまして、各省に分離していつたものがありますが、特に最近におきましては、厚生
行政につきましてはこれが分離して厚生省ができる、また厚生省から勞働省が分離するというふうに擴大していきました。しかるに
内務省はその後また土木
關係あるいは港灣交通等に關しては、運輸省等にその
事務の一部が吸收せられ、逐次その
事務の
範圍が縮小せられていつたのでありますが、新憲法によるところの
地方自治の擴充また警察の民主化に伴いまして、
地方行政の問題については、大體これは都道
府縣市町村等の自治體の自治に任してよろしいような情勢にな
つてまいりまして、
地方局の
行政關係の
仕事も大半必要がなくな
つてくる。なお新
警察法によりまして、警察は
國家地方警察竝びに自治體警察の二つに分屬して、特に
内務省として一省において警察
行政を掌る必要もないような情勢にもなり、また國土
行政につきましては、これは戰災復興院と合體して、もつと
目標の大きい國土計畫に向
つて進むべきところの對象ともなるべき建設院に吸收合併せられるというようなことになり、また選擧
事務に關しましては、全國選擧管理
委員會等において選擧を民主的に執行するということになりますと、
内務省としては殘るところのものは、
地方自治
行政の中に
地方財政をいかに處理するかということに相なるのでありますが、これも今囘提案せられました
地方財政委員會等においてできるだけ自主的に
地方財政を運營していく、
國家の保護助長以外の
監督等はできるだけこれを
廢止するというような
方向に向いますと、自然
内務省というものの存置理由も乏しく相な
つてきたのでありますので、さような
意味合いから
内務省及び
内務省の機構に關する各般の
勅令等、
官制に對する法立案をここに
政府から提出せられましたが、これについては當然のことでありまして、贊意を表する次第であります。なお
内務省が
廢止になりますれば、これに伴うところの
法令の整理を要する次第でありまして、
從つて内務省官制等廢止に伴う
法令の整理に關する
法律案、當然こに
法律を必要といたす次第でありまして、これまた贊意を表する次第であります。地法
財政の企畫立案に
臨時にあたるべきところの
地方財政委員會につきまして、これはいろいろ本
委員會においても論議もありましてが、できるだけ早急にこの
委員會をつくり速やかに各般の計畫を立案をする必要があるのでありまして、これにつきましては、この
委員會の
仕事はなかなか廣汎多岐、しこうしてきわめて重要な事項でありまして、この點については各
委員會から熱心な御
質疑もあつたのでありまするが、
政府當局は十分この各
委員の御
意見を參酌いたしまして、この
地方財政委員會の運營上遺憾のないように
希望をいたす次第であります。ただこの
地方財政委員會法につきましては、第七條について各派協同で修正案を提出する次第であります。その修正の趣旨を辯明申し上ゲまいるが、第七條の原案によりますると、都道
府縣、知事、市長及び町村長の
代表者として
地方財政委員會の
委員となる人々は、それぞれの
地方公共圓體において定められておるところの給與を受けておるのであります。その上
一般官吏の俸給よりも高い、國務大臣よりも低いところの
範圍内の手當を支給されるということにな
つておりましてこの點非常に待遇が厚いようで、その地位を保障してあるようでありますが、一面から
考えますと、
地方自治體の
財源は、これは
國費と同樣にやはり
國民の負擔するところの公共の費用でありまして、むろん
國費と
地方費とは別々のものでありまして、それぞれ重複して支出することはあえて
法律上は差支えないのでありますけれ
ども。實質上から見まして
地方財政もまた
國家財政と同樣に
國民の公共の負擔であり、さようなものから重複して支給するということは公務員の給與基準という
觀點から見ましても、はなはだ不合理であり、また同樣に
地方財政委員でありますところの國務大臣たる
委員竝びに
國會議員たる
委員とくらべまして、はなはだ公平を失すると思うのであります。この趣旨によりまして、第七條の「
地方財政委員會の
委員(國務大臣たる
委員を除く)は、」の次「
一般官吏の俸給の額よりも高く、國務大臣の俸給の額よりも低の額の
範圍内で、」この部分を削除するという修正案を提出いたす次第でありますが、これによりまして
地方財政委員のうち都道
府縣知事、市長、町村長代表であるところの三人の
委員につきましては
内閣總理大臣が定めるところの適當な額を支給するということに相なるようにいたしたい、こういう趣旨であります。しかしながら「
一般官吏の俸給の額よりも高く、國務大臣の俸給の額よりも低い額の
範圍内で」、という字句を削りましても、決して
地方財政委員の地位を低くするというような趣旨では毛頭ございません。やはり趣旨におきましては
一般官吏の俸給よりも高い。
一般官吏よりも地位が上であるという趣旨と同樣でありまして、この點御了解を願
つておきたい次第であります。以上の第七條の第一項の修正以外につきましては原案に贊成をいたす次第であります。
要するに
内務省及び
内務省に機構に關する
勅令等を
廢止する
法律案、
地方財政委員會法案及び内務
官制等
廢止に伴う
法令の整理に關する
法律案はいずれも贊成でありまして、ただ
地方財政委員會法案の第七條を先ほど申し上げたように修正をして贊成をいたす次第であります。