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伊原説明員 ただいま
委員長から
一般金融状況というお話でございますが、最近金が相當詰
つておるということをよく言われておりますが、どういう
原因であるかということにつきましては、いろいろな
原因があると思います。今までよく言われておりましたのは、
政府の
支拂が遲れておるということを言われております。それから最近の
現象といたしまして、
金融機關といたしましては、手持の金はある。すなわち融資をする
限度から言いますと、金は貸し得るのでありますけれども、
相手の
企業體の方に不安がある。たとえばこの
會社は引合うかどうかというような不安がありましたり、それから最近傳えられておりまする
企業の經濟力の
集中排除に關する
問題等によりまして、
相手の
企業體がいくつに分割されるのかどうもわからないというふうな場合に、金を貸しましてもそれがどうなるかわからないというような、
相手の
企業體自身に對する不安から金を貸しにくい場合もあるのであります。それから第三の
原因としましては、
金融機關自身に
ほんとうに金がないというふうな場合があると思うのであります。
私の主として擔當いたしております一番初めの
政府支拂促進の問題につきまして、お
示しがありましたのでごく
簡單に申し上げてみたいと思います。
政府の
支拂が
一般に遲れておる、これが
金融が相當引締
つておる
原因であるということを言われておりましたので、
政府でも、
閣議で
決定をいたしまして、できるだけ早く
政府の
支拂が溜
つておるものを、拂うことにいたしましたことは
御存じの
通りでありますが、その大體につきまして申し上げますと、まず
鐵道事業の
關係でありますが、これも
數字にわた
つてはなはだ恐縮でありますが、七月末に調べましたところが、七月末現在で
鐵道の
支拂未濟が四十八億八千九百
萬圓ほどございます。そこでこれらにつきましては、八月中に
閣議決定の
趣旨等に從いまして、
鐵道の
手もと資金、それから
日本銀行から十億圓の
借入金をしたりいたしまして、
配炭公團への
支拂の
石炭代、それから
官廳への
支拂の十五億圓というものは、
ちよつと
支拂未濟が殘りましたが、殘りの三十三億五千八百
萬圓というものは八月中にほとんど
支拂をいたしたわけであります。そこで十五億三千二百
萬圓だけはまだ
支拂未濟が
殘つておるというかつこうであ
つたわけでありますが、なお九月の
數字はまだ明らかでありませんけれども、九月中には八月中に新しく生じた借金の
支拂につきましても、
鐵道でまだ日銀から
借入をし得る餘力が
殘つておりますので、その
借入を實行いたしまして、極力
支拂を促進したいというふうに考えておるわけであります。
鐵道の
用炭の
支拂について、
從來山元の送
炭高の確認の
手續というふうなものがなかなか面倒なので、三箇月
程度遲れてお
つたそうでありますが、これらにつきましてもできるだけ早く
支拂をするようにということで進めておりますので、
鐵道關係等におきましては八月中に非常に
支拂關係が促進されたと思
つております。それからもう
一つよく問題になりますのは
貿易資金の問題でありますが、これが八月二十日現在で十五億圓ほどの
支拂未濟がございます。ところが、これは
御存じの
通り、
貿易資金特別會計というのは五十億圓の
借入の
限度しかありませんで、それが一ぱいぱいもう借りてしまいましたので、金がなか
つた。そこで八月二十八日に
食糧管理特別會計で
食糧證券十八億というものを發行いたしまして、そうしてその中から十五億圓ほど
輸入食糧代金として
貿易會計に
支拂いました。その金で
貿易會計は
支拂をいたしましたから、現在では
貿易資金の方も相
當支拂關係の方は緩和せられておると思うのであります。近いうちに
貿易資金特別會計の
借入の
限度の擴張に關する
法律案を
議會に
提出せられるようになると思
つております。もう
一つ大きな課目としてよく言われてありますのは
終戰處理費の
關係でございます。これはなかなかむずかしい問題でありまするけれども、七月の一日現在で大體調べましたところが、
工事費の約三割ないし四割ぐらいの
支拂未濟があ
つたようであります。これらにつきましても、いろいろ
概算拂とか前拂の
方法によ
つて、
支拂をするというふうなことも
研究をいたしております。それから率直に申しまして、
工事の
請負契約は、その
支出の方は規制されておりますが、
工事の
請負契約はどんどんできるものでありますから、金と
關係なく、
請負契約が先に結ばれてしまうという事情もあります。それでその邊の
状態も調整しなければならぬものと考えまして、これも
研究をいたしておるのであります。こんなわけで一時やかましか
つた政府の
支拂の遲延と申しますか、
政府の
支拂の促進の問題につきましては、大體八月中
竝びに九月にかけまして、相當促進に努めました結果、
一般の
金融界、
産業界に對する
影響は、よほど緩和をせられてまい
つたのではないかとこう考えておるのであります。