○
大池事務總長 それから
國會法の一部を
改正する
法律案という形で、
參考案をお
手もとに差上げたはずでありますが、これは過般
證人の
僞證罪法案審議の際、數案起草されましたので、これらにつき
先方も十分檢討した結果、最善と思われる
一つの
參考案ができたから、それを十分
研究した上で
參考にしてもらいたい、こういう
意味で提示されたものであります。
衆議院から出してありまするのは、
獨立法として出す形にな
つておるわけでありますが、
向うは
國會法の一部
改正で來ておるわけであります。これは形としてはどこまでも
國會法の一部
改正が正しい、そこで
國會法の中に
證人に關する章を一章設けて、その中で
宣誓の問題を片づけることが一番
穩當であると思うから、
獨立法にすることの方がまずいいじやないかという
議論がありました。この
點淺沼委員長と再々討議した結果、實は
國會法の一部
改正の
法案の形でやる方がいいか、
獨立法にするがいいかということを
十分考慮の結果、
獨立法の方をと
つて、
國會法の一部
改正の方をとらなか
つたのは、
國會法の一部
改正ということになれば、他に
國會法に手をつけたいような問題が相當あるし、なお
參議院の方へ
行つた場合に、ここで申し上げてよいか
惡いか知りませんが、例の
訴追委員會の
構成問題等が起
つてきて、
せつかくのこの
案件がはなはだしく遲延されるというようなことがあ
つてはいかぬからというような、いろいろの
情勢を話したわけであります。その結果それならば獨立にするか、一部
改正にするかは
議院にお任せするけれ
ども、
國會法の一部
改正のの
法案の方が正しいという原則だけは認めて、
將來國會法を全面的に
改正するという場合には、今の
獨立法にしたものを廢して、
國會法の中に盛り込むようにしたらということでありました。そこで試案はこちらでなるべく
忠實に飜譯した結果
意味が通らないというか、きわめて
不明暸な點があるわけでありますので、この用語をそのままと
つてもらいたいという
意味ではなく、なるべくこういう筋のものが、むしろ
國會の權威を守るという一點と、
個人の
利益をどこまでも保護したいという點と、兩方を勘案した結果、
穩當な線であろうと思うから、その點を考えてもらいたいということでありました。大體これについて私
どもの疑問とする點、それから
向うと話合いしたことだけを申し上げまして、今日すぐ決定するということはとうてい困難だろうと思いますから、その中でこの
條項はとうていとれないとか、この
條項はこの
意味をと
つた方がよいじやないかという點があれば、そういう點をお聽かせ願えれば、非常に
都合がよいと思います。一番
最初の百六條の二というものは「各
議院の
議長又は
委員長は、
審査中の
事件又は
事項について
證人に
宣誓をさせることが出來る。」
事件及び
事項とありますが、要するに
審査中の
事件で
國會法の
建前から言えばいいわけであります。「(
合同審査會の
會長を含む)」とありますのは、各
議院の
議長委員長のほか
兩院が
合同審査委員會を開いたときに、そこへ呼び出した場合でもそのときの
會長ができるようにするために入れてあるわけであります。
それから二項は、何のことか、初めはわからなか
つた。「各
議院の
議員は、その院の會議又は
委員會に於て
審議中の
事件につき、
證人に
宣誓させる事が出來る。」この一項と二項との關連がわからなか
つたのでありますが、
向うと話をしてみたら、よくわかりました。各
議院に
議長や
委員長がいない場合には、
議長や
委員長に代
つて議員が主宰しているというようなときでもできる。こういう
意味に解釋しておりましたので、結局第二項は削除して、要らぬという
結論にな
つたのであります。
それから第百六條の三は、別に
内容的には問題はありません。「
證人が、
虚僞の
證言をしたときは、三月以上十年以下の懲役に處する。」ということと、二項もこちらにすでに書いてあることと同じであります。
第百六條の四は、問題は
證人に喚んだ場合に、
書類の
提出までこの中へ含めてある。
衆議院の從來の案では
書類提出は認めてありませんでしたが、
書類提出の
要求權まで認めて、
範圍が廣ま
つているというだけであります。
第百六條の五は非常に
長つたらしい法文で、實ははつきりわからぬのでありますが、結局こちらは
民訴を準用し、
向うは刑訴の方をと
つている。この第百八十六條、第百八十七條、第百八十八條という三條は、こちらでは從來御
説明申し上げました
民訴の四箇條に當るもので、別に
内容は變
つておりません。第百八十九條も、これは
民訴の中にもありまして、問題はありません。但書以下が非常に長くありまして、この點はやはり
民訴の中にも
公務員等が
祕密事項の
證言をする場合には
云々とあり、それは正當の事由の中にわれわれの方の案でもはい
つているのでありますが、
參考案の方が
具體的に規定されて明瞭にしてあります。一
應委員會でその
理由を
承認することができない場合には
國家の
利益に重大な惡影響を與える旨の
内閣の
聲明を
要求ができる。この
要求後十日以内に
聲明を出さないときには、
證人は
證言をしなければならないというような、いろいろ
具體的な
事實がはい
つているのであります。
それから第百六條の六でございますが、それは過般
議院または
委員會がその多
數決をも
つて違反したものかどうかということを認定して
告發なら
告發をするということにな
つた案を、私の方で考えて出したこともありましたがそれはおかしい、
僞證罪というものは、だれでもやれるものであるのに
議院または
委員會の多
數決で、多數だけの認定によ
つてやるということはいかぬというので、あの
條文は除かれたわけでありますが、
向うの方からまたこれを入れてまい
つたのであります。これについては
淺沼委員長も長い間かか
つて、こちらの方で討議を繰返した
事實を述べて、
向うと
議論をしたわけでありますが、
結論的に言えば、
向うとしては、いやしくも
證言というものは
議會内の
證言で、
議會内の
事柄である。
議會内の
事柄をその
ハウスとして問題を起す場合には、その
メンバー個人個人が起訴するということはいかぬ。やはり
ハウスの
事柄は
ハウスが取上げるということである限りは、
ハウスの
マジヨリテイ、もしくはコミツテイの
マジヨリテイで決定すべきものであるということを一歩も讓らず
向うは主張しておりました。そこでそれならば
ハウスの方で取上げなか
つた事實、少數の方が主張したけれ
ども、少數が通らずに
委員會でもこれを認められなか
つた事實はそのままにな
つてしまうのか、どうも
方法がないのかということでいろいろと話をしたときに、
個人的にある
事實を知
つてお
つて、その
個人がある
事柄も取上げてこれを檢察廳に告訴をするという場合は、それは
個人的な行動であ
つて、その
ハウスの行動でないのだから、そんなことは
ハウスの規定に書く必要はない。
ハウスに對して
證言をしたことが僞證であるということで取上げる限りは、
ハウスとしての決議が必要であるということであ
つたのであります。そこで三行目の「地方檢察廳の長に移して起訴させなければならない」ということですが、この起訴ということはおかしいじやないかということをそこで
議論したわけでありまして、告訴するかしないかということは、檢察廳が決定することで、こちらから起訴させなければならぬというふうにきめつけてしまうことは、今の法の
建前から見てどうしても變だと思う。そうすると起訴するかしないかという
事柄が二段に決定される形にな
つて、たとえば
ハウスがまず起訴するかしないか、これで起訴
意見を決定してしまうと、檢察廳が起訴の權能があることを豫定してこちらでやることは行き過ぎで、おかしいじやないかということでいろいろ
議論しました。その點については、起訴という
言葉は、
向うの
意味しておる
事柄がここにいう法律語の起訴でなくて、
告發というような
意味であるかもしれませんので、
事柄をこういう線に考えてもらいさえすれば、
言葉自體はこの
言葉でなければいかぬということを主張せぬから十分考えてくれということでありましたので、この起訴の問題は私の方は
告發という
意味で
マジヨリテイの
議院の決議によ
つて告發するという
意味に解釋して
歸つてまいりました。最後の
條文はあまり
意味のないことだと思いましたが
向うは非常に大切なことだということを
言つてお
つたので附け加えておきます。
從つて各
條文のうちとるべき
事柄といたしましてお考え願いたいのは、
書類の
提出というものまで含めるという點と、こちらでは、
理由なくして出頭を拒んだり
證言を拒んだ場合には三千圓以下とな
つておるのを、この中に百六條の方を見ると、審問の答辯を拒むときは一月以上一年以下の禁錮という重いもの、または三千圓というのが一萬圓に上
つておりまして、一萬圓以下の過料にな
つており、しかもこれを併科することができることにな
つております。この點は一般の他の場合には一千圓以下というのをこちらが三千圓にしたことさえもいろいろ
議論があ
つたけれ
ども、彈劾
裁判所の方で三千圓までい
つたから、同じ
國會の方としてはそこまで上げたのだというのに、禁錮にも
つていくことになると、
國會の
證人の
僞證罪は非常に重くな
つて、一般の僞證はそれ以下のものになる。そういう
國家法律として不均衡な點はどういうものであろうかというような
質問をしてきたのでありますが、
向うは、最高の機關であるからそれくらいのことはよくないかという點と、この程度にしなければ目的を達せられないという二點だけでありました。そういう不釣合の點を採用していいかどうかという點を御考慮願いたいという點だけであります。