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大池事務總長 一昨日の御
決定に基きまして、
民事訴訟法等の
關係とにらみ合せて、
議院の
證人に對する
宣誓竝びに證言に關しても、その
證言の
拒否竝びに宣誓の
拒否という
ような途が、
刑事裁判の場合には
議會にまいりますとそれが全部除けられてしま
つて、全部がこれにいくということになるのは非常に不都合な感があるから、それを一應全面的に正當の
理由の中に入れるということに修正したらどうかという御
意見に基きまして第
二條を入れたわけであります。第
一條はこの前と全然變りはございませんで、「各
議院は、
議案その他の
審査又は
國政に關する
調査のため、
出頭した証人に
證言を求めるときは、その前に
宣誓をさせなければならない。」
宣誓を前提といたします。そこで
「第
二條 各
議院は、前條の
規定にかかわらず、
證人に正當の
理由があると認めるときは、
宣誓をさせ、又は
證言を求めてはならない。
前項の正當の
理由については、
宣誓又は
證言を拒むことができる場合に關し
民事訴訟法の定めるところの例により、これを認定するものとする。」
民事訴訟法の場合は、拒み得る場合は拒んでも、それは正当の
理由ということに、全面的にこれを準用したわけであります。次に
「第三條
宣誓を行う場合は、
證人に
宣誓書を朗讀させ、且つ、これに署名捺印させるものとする。
宣誓書には、良心に
從つて、
眞實を述べ、
何事もかくさず、又、
何事もつけ加えないことを誓う旨が記載されていなければならない。
第四條 この
法律により
宣誓した
證人が
虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に處する。
前項の罪を犯した者がその
議院において
證言をした
事件の
審査又は
調査の終了前に自白したときは、その刑を
減輕又は免除することができる。
第
五條 證人が正當の
理由がないのに
出頭せず、又は
宣誓若しくは
證言をしないときは、三
千圓以下の
過料に處する。」
ということに
ただ二條をさし加えただけであります。一昨日の
法案で最後のときに、「
證言を拒んだときは」とありましたが、これには「
證言をしないときは」とあります。これは
證言をいたしませんと、現實に
拒否の行動をした場合と、全然
默つてお
つてしなか
つた場合と兩方入れませんと、こういう
刑罰規定の問題については、それは拒んだのじやないという
ような、拒むという言葉がまた議論のもとになり得るので、
證言をしないという方が、むしろすべてを含んでよかろうという
法制部からの御
意見がありまして、「
證言を拒んだ」を「しない」に直したのであります。