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1947-08-22 第1回国会 衆議院 議院運営委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年八月二十二日(金曜日)午前十一時五十六分開議  出席委員    委員長 淺沼稻次郎君    理事 土井 直作君 理事 大石 倫治君       佐々木更三君    森 三樹二君       安平 鹿一君    吉川 兼光君       工藤 鐡男君    後藤 悦治君       石田 一松君    川野 芳滿君       中野 四郎君    林  百郎君  委員外出席者         衆議院法制部         第一部長    三浦 義男君     ————————————— 八月二十一日  衆議院における第一党決定方に関する請願(木村公平君外一名紹介)(第一五六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  裁判官彈劾法案起草の件     —————————————
  2. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 それでは会議を開きます。  裁判官彈劾法案起草に関する小委員会との連合審査会は終了いたしました。これより本委員会成案を御決定願いたいと存じます。昨日本委員会におきまして協議決定をいただきました一應の成案を議題にして、討議を進めていただきたいと存じます。安平鹿一君。
  3. 安平鹿一

    安平委員 私は本案の性質上党を代表してということが適切でないかもしれませんが、わが党の委員意見を代表いたしまして、私はただいまの裁判官彈劾法案の一應の成案に対しまして賛成をするものであります。本案はわれわれ委員が約二箇月の長きにわたりましていろいろ研究調査の上、これが起草に当りまして、その條文整理に努めてまいつたのであります。しかしてその到達いたしました案の内容も十分に愼重討議済でありまして、きわめて適切なものであると考えるのでございまして、私は本案に対しまして満腔の賛意を表する次第であります。
  4. 淺沼稻次郎

  5. 後藤悦治

    後藤委員 私は本委員会において起草されました裁判官彈劾法婚に対しまして、民主党立場から賛成意見を述べたいと思います。連合審査委員会においても一應御意見がありましたが、私どもが心しなければならぬことは、やはり日本三権の分立という建前はどこまでも明らかにしなければならぬという点であります。同時にこの三権がそれぞれ牽制、抑制される方途をもつていなければならぬという点でございます。そのうちの司法権の独立に関しましては、この司法官に対しまする國民の主権のあり方というものは、十年目ごとに行われますところの裁判官審査法と、この裁判官彈劾法案によつて國民主権の発動を見る、この二つの方途よりないと思われるのであります。しかも新しい憲法によりまして、もはや最高裁判所長官任命裁判官任命、それぞれ最高裁判所機構陣容成立したのであります。しからばこれに対しまする抑制機関といたしましての裁判官彈劾法案は一日も速やかに成立を見る——殊にこの憲法規定から申しましても、國会法規定から申しましても、また本案に示しております点によりましても、これは第一回の國会において一日も速やかにこれが運用を見まするように、それぞれの法案成立後ただちに私どもはこの國会の期日内において、裁判官並びに訴追委員の選定を國会においてみなければならぬのであります。すなわち本案將來を予想いたしますると、まず本案がただいまようやく成案を得たという過程にあるのでございまして、今後これを國会両院において速やかに議決をし、これが法律公布をまちまして、速やかに私ども國会内において裁判官訴追委員任命しなければならぬ。かように前途を予測されるのでございます。この意味から申しましても、私どもはこの委員会において成案を得ましたものが両院において議決され、公布されることの一日も速やかならんことを希つてやまないのであります。法案内容に至りましては、二箇月有余にわたりまして、それぞれ愼重審議を重ねた成果でございまするからして、私どもは今日予想し得る限りにおいては、もはや異議はないと思うのであります。しかしなおこれによつて任命されるところの、裁判官並びに訴追委員はおのおの両院によつて成立をするのでございまするからして、万一これが実施にあたりまして、疑議あるいは缺陷に逢着いたしますならば、むしろその際に改正の方途も見出されるであろうと思うのでございまするが、新憲法規定に基きまして、これが速やかなる公布を見る、こういうことを私どもは心がけねばならんと思うのであります。その意味から申しまして、私どもは今日可能な限り愼重審議を遂げられました本案に対しましては、委員会はこれをただちに承認をいたしまして、速やかに本会議に上程することを望んでやまないのでございます。以上は私が民主党立場からいたしました本案に対しまする賛成意見でございます。
  6. 淺沼稻次郎

  7. 大石倫治

    大石(倫)委員 本案は長い間当委員会審議檢討をいたして、ここに成案を得たのであります。自由党といたしましては本案賛成するものでございます。
  8. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 石田一松君
  9. 石田一松

    石田(一)委員 私は國民協同党を代表いたしまして、裁判官彈劾法案がこの委員会において相当愼重なる審議を繰返えされ、ここに決定運びに至りましたことに心より賛成の意を表明するものであります。ただそれにつきまして、一言ここに申し述べたいことは、憲法の第六十四條によつて認められた今回の裁判官に対する彈劾裁判権で、訴追委員及び予備員本案においては衆議院議員より選び出される。こういうことになつておりますが、後日これが衆議院によつて可決され、参議院に送付された場合に、これらの点においてまた再び他の最近起つている議案のごとく、何か参議院において問題が発生するのではないかというような杞憂も抱いておるものでございますが、私たち本案にかくあることが正しいと思つてこれに賛意を表するのであります。しかも特に本案の十三條訴追の猶予の点におきましては、われわれは終始一貫、この裁判官彈劾法案にも法の涙というものはあるのである。大きな人類愛的観点に立ちまして、この條文を主張しました私たちは、今これが委員会において決定されようとするときに、感慨無量の感を抱きます。私は本案が速やかに衆議院を通過し、また参議院においてもこれが無修正で通過することを心より祈りまして、賛意を表明したいと思います。
  10. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 林百郎君
  11. 林百郎

    ○林(百)委員 共産党を代表しまして一應賛意を表したいと思いますが、法案自体としては大体満足すべきものだと思うのであります。共産党の方から実は裁判官彈劾法案についていろいろの意見があつたのでありますが、それは大体この中に含まれておると思うのであります。われわれ考ふなければならないことは、むしろ民衆官吏から支配されるのではなくして、民衆官吏を支配するのだという氣持をまずもつてもらつて、この法を殺さないで、活かすように運用するのが大事だと痛感するのであります。そこでそうした基本的な立場から、三点ほど將來運営について希望すべき事項を申し上げて賛意を表したいと思うのであります。まず第一は第二條の義務違反職務違反あるいは威信を失墜すべき行爲のあつた場合、こういう解釈をなるべく廣範に解釈して、民衆をして裁判官彈劾の途を容易に開くように注意していただくことが第一点、それから第十三條の、ただいま石田委員からの意見でありますが、これは法の涙もいいですが、一方考えようによりますと、訴追委員衆議院から出ておる。これはただいま石田委員から参議院から出ておらないから、將來問題が起るかもしれないという御注意がありましたが、これは國会法の百二十六條で、われわれが國会法を改正しない限りこれはやむを得ない。そこで訴追委員衆議院から出ておるということで、將來もし政治的なかけ引のために公正な訴追が行われないようなことのないように、あくまで訴追委員は公平な立場に立つて、しかも情状によつて訴追を猶予するというようなことを愼重に考慮して、なるべく人民をして裁判官彈劾の途を開かしめる方に本法案運用するように注意していただきたいということが第二点。最後にやはり重要な点として考えられるのは、四十三條の虚僞申告の罪がありますが、これは從來官僚によつてわれわれが支配されていた。泣く子と地頭には勝てないという封建思想は、まだ非常に強い日本において、もし虚僞の申告をしたならば三箇月以上十年以下の懲役に処せられる。この規定がありますとこれは非常に大きな重圧になる。しかも宣告前に自白したときには刑を減刑または免除するというような規定がありまして、また裁判官をして罷免させておらなくて、当該事件裁判官として、あるいは被告地位にある者が裁判官彈劾をするような場合があるかもしれない。その場合に被告裁判官というような地位を利用して、もし圧力を加えてくるということになると、民衆からこの法案を大いに利用するという途が塞がれる危險があると思います。從つてこの四十三條の運用については愼重にして、基本的な精神はあくまでも人民をして裁判官彈劾の途が容易に開かれておるのだという、そうした基本的な立場から本法案運用してもらうように、以上三つの点について希望を述べまして、共産党も本法案賛意を表したいのであります。永い間の委員長並び委員の御苦心を謝するとともに、賛意を表明したいと思うのであります。
  12. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 これにて討論は終局いたしました。関係筋との交渉の結果、字句の修正等においては、委員長に一任することを條件といたして、採決するに御異議はありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 御異議なければさよう決定いたします。なおただいま決定いたしました法案は、これを委員会提出法律案として取技うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 淺沼稻次郎

    淺沼委員長 御異議なければさよう決定いたします。  さきに七月の九日彈劾裁判所に関する國政調査承認を得て本案起草に着手いたしまして以來一箇月半、その間回を重ねること十七回に及び、今日ここに成案を得て提出運びに至りましたことは、委員一同喜びとするところであります。  なほ本彈劾法案さきに本委員会起草された新衆議院規則に基いて取扱われる委員会提出法律案の嚆矢でありますことは、國会自主的活動の強く要求されておる点に鑑みまして、きわめて意義深いことを思いまして、議院運営委員会としてさらに大なる喜びであります。これらはひとえに委員各位の御熱心と連日の御努力の賜でありまして、委員長として厚くお礼を申し上げる次第であります。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十一分散会      ————◇—————