○林(百)
委員 共産党を代表しまして一應
賛意を表したいと思いますが、
法案自体としては大体満足すべきものだと思うのであります。
共産党の方から実は
裁判官彈劾法案についていろいろの
意見があつたのでありますが、それは大体この中に含まれておると思うのであります。われわれ考ふなければならないことは、むしろ
民衆が
官吏から支配されるのではなくして、
民衆が
官吏を支配するのだという氣持をまずもつてもらつて、この法を殺さないで、活かすように
運用するのが大事だと痛感するのであります。そこでそうした基本的な
立場から、三点ほど
將來の
運営について希望すべき事項を申し上げて
賛意を表したいと思うのであります。まず第一は第二條の
義務違反、
職務違反あるいは威信を失墜すべき
行爲のあつた場合、こういう解釈をなるべく
廣範に解釈して、
民衆をして
裁判官彈劾の途を容易に開くように注意していただくことが第一点、それから第十三條の、ただいま
石田委員からの
意見でありますが、これは法の涙もいいですが、一方
考えようによりますと、
訴追委員が
衆議院から出ておる。これはただいま
石田委員から
参議院から出ておらないから、
將來問題が起るかもしれないという御注意がありましたが、これは
國会法の百二十六條で、われわれが
國会法を改正しない限りこれはやむを得ない。そこで
訴追委員が
衆議院から出ておるということで、
將來もし政治的なかけ引のために公正な
訴追が行われないようなことのないように、あくまで
訴追委員は公平な
立場に立つて、しかも情状によ
つて訴追を猶予するというようなことを
愼重に考慮して、なるべく
人民をして
裁判官彈劾の途を開かしめる方に本
法案を
運用するように注意していただきたいということが第二点。最後にやはり重要な点として考えられるのは、四十三條の
虚僞申告の罪がありますが、これは從來官僚によつてわれわれが支配されていた。泣く子と地頭には勝てないという
封建思想は、まだ非常に強い
日本において、もし
虚僞の申告をしたならば三箇月以上十年以下の懲役に処せられる。この
規定がありますとこれは非常に大きな重圧になる。しかも宣告前に自白したときには刑を減刑または免除するというような
規定がありまして、また
裁判官をして罷免させておらなくて、
当該事件の
裁判官として、あるいは
被告の
地位にある者が
裁判官の
彈劾をするような場合があるかもしれない。その場合に
被告と
裁判官というような
地位を利用して、もし圧力を加えてくるということになると、
民衆からこの
法案を大いに利用するという途が塞がれる危險があると思います。
從つてこの四十三條の
運用については
愼重にして、基本的な精神はあくまでも
人民をして
裁判官彈劾の途が容易に開かれておるのだという、そうした基本的な
立場から本
法案を
運用してもらうように、以上三つの点について希望を述べまして、
共産党も本
法案に
賛意を表したいのであります。永い間の
委員長並び各
委員の御苦心を謝するとともに、
賛意を表明したいと思うのであります。