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1947-10-06 第1回国会 衆議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年十月六日(月曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 安東 義良君    理事 加藤シヅエ君 理事 武藤 嘉一君    理事 堀江 實藏君       猪俣 浩三君    田中  齊君       竹内 克巳君    戸叶 里子君       和田 敏明君   長野右ヱ門君       菊池 義郎君    竹尾  弌君       佐々木盛雄君    仲内 憲治君       若松 虎雄君    多賀 安郎君  出席政府委員         外務事務官   與謝野 秀君  委員外出席者         議     員 坂東幸太郎君         外務事務官   萩原  徹君         專門調査員   佐藤 敏人君         專門調査員   村瀬 忠夫君     ————————————— 本日の會議に付した事件  擇捉島國後島及び色丹諸島日本領土復歸  の請願坂東幸太郎紹介)(第十五號)を審  査のため、小委員選定。     —————————————
  2. 安東義良

    安東委員長 ただいまより會議を開きます。  擇捉島國後島及び色丹諸島日本領土復歸請願文書表第十五號の審議をいたします。紹介議員坂東幸太郎君の御説明を求めます。
  3. 坂東幸太郎

    坂東幸太郎君 日本國北海道選出衆議院議員の名において、連合國軍總司令官マツカーサー元帥閣下に對し請願したのでありますが、ここに私より衆議院請願紹介をいたします。  現在ソ連軍の占領しております千島諸島のうち、擇捉島國後島及び根室國の一部であります色丹諸島、その色丹諸島の名前は色丹、多樂、志發、水晶、エリ、アキユリの各島でありますが、これらは日本固有附屬諸小島であるにかかわらず、現在ソ連軍占領下にあつて北海道本島と一切の交通を遮斷されておるために、地方の民衆が多大の困難を感じておる事情を申し述べてあるのであります。  その内容を申し上げますと、現在ソ連軍占領下にあります北海道色丹諸島は、行政的にすでに徳川時代から北海道本島根室の一部をなしておりました。地理學的についても千島列島には含まれません。しかしてこれに接續する千島列島のうち択捉島、國後島は一八五四年、すなわち安政元年日本國ロシヤ國通商條約により明確に日本領土であります。さらにこれを裏書する事實といたしましては、一八七五年、すなわち明治八年、樺太千島交換條約があります。この條約にも擇捉島以南の諸小島交換對象とはなつておらず、クリル群島十八島すなわちウルツプ島以北でありますが、この十八島をもつて樺太交換することを規定してをおります。すなわち擇捉島國後島はこれが交換對象でないことが明瞭であり、日本固有領土なることを嚴然事實に示してあります。從つてこの二島は、ロシヤから譲り受けたるものでもなく、いわんやカイロ宣言の、いわゆる暴力及び貧欲に依り日本が略取した領土でもありません。ただクリル群島を譲り受け、以後この二島を併せ日本國において千島列島と總稱するに至つたものであります。擇捉島國後島には二百年以前より日本民族が居住して漁業を經營しております。すなわち明治維新を去ること百數十年前よりわが民族が居住し、異民族が居住した事實がなく、その傳統は實に歴然としておりまして、殊に北海道住民との間には血族の關係からいつても、經濟上の關係からいつても、深くかつ古い結びがあるのであります。しかるに今これらの諸島北海道本島とは完全に切り離されていて、その結果北海道北部の漁民は、かに、さけ、ます、たら等の最も重要な漁場であり、こんぶの採取場であるこれら諸島附近水域失つたのみならず、出漁する度に霧の深いこの水面でソ連軍占領下諸島水域に迷い入つて抑留されたりして、多大の不便を感じております。  さらに日本漁業の三分の一は北海道において生産し、北海道における漁業精算の三分の一は根室千島方面にあるのでありますから、これを失えば日本人の蛋白質源は深刻に不足を生ずるのであります。これらのことを考察するときは、まことに深憂にたえざるものがあります。  終戰以來右諸島ソ連軍占領下にあり、北海道本島民とこれらの島民との一切の交通は、鐵のカーテンをもつて隔絶されており、この地域の同朋がいかなる程度の民主的な自由を與えられておるのか判明いたしませんが、北海道本島においては、すでに米占領軍の理解ある指導のもとに、民主政治の發展漸く顯著なるものがあり、かかる情勢下北海道島民の自由な意思によりその代表として選ばれ、國會に席をおくわれわれとしましては、わが親愛なる郷土、郷民の一部が、かかる鐵のカーテンの後ろに切り離されておる事態につき、かねがね憂悶を禁じ得なかつた次第であります。  でありますから人類の福祉、繁榮と自由、平等を信條とせらるるところの各位にいきましては、十分にこれを審査せられ、この目的を達成するように特にお願いするのが、この請願趣旨であります。何とぞ御採擇をお願い申し上げます。
  4. 安東義良

    安東委員長 御意見はありませんか。
  5. 菊池義郎

    菊池(義)委員 地圖か何かありませんか。
  6. 坂東幸太郎

    坂東幸太郎君 今ここにもつておりません。
  7. 和田敏明

    和田委員 ただいまの請願扱いでありますが、北海道島民があの島の日本への歸環希望しておることは十分了解いたしますが、この領土の問題は非常にデリケートな關係にあるし、またわれわれとしては實はそうにいつた希望を述べるのもどうかという多少の遠慮もあるし、殊にこの請願の題目の、日本領土復歸というような文字なども、はなはだ、適當じやないと考えます。私をして率直に言わしむるならば、實に領土はどこであつてもいいのです。われわれがその領土内にあるいろいろな資源なり、あるいは今御擧示になつ水産資源を利用できる態勢にあるならば、われわれとしてはあえて片々たる領土歸環のごときは實は問題ではないのであります。しかもいろいろお話を伺いますと、色丹諸島と擇捉、國後は多少趣を異にしておる觀もありますから、これらの重要性に鑑みていま少しく檢討されるために、本委員會が特別の小委員會を設置されのことを私としては希望する次第であります。これを動議として提出いたします。
  8. 安東義良

    安東委員長 ただいまの和田君の動議に御賛成でありますか。
  9. 仲内憲治

    仲内委員 動議を決する前に政府委員の方に伺いたい。こういつた領土問題に關する請願ですから、希望のある民意を反映するということは結構なことだと思うのでありますが、性質が今和田委員のおつしやるように、相當デリケートな問題ですから。もしこの請願を採擇した場合に政府當局としてはどういう扱いができるか。請願者から直接マツカーサー元帥にも出ておるようなお話ですから、この委員會がとりあげた場合に、これをどういう形式で取扱うのか、もし御説明を願えるならば伺いたい。
  10. 安東義良

    安東委員長 ただいまの仲内君のお話でありますが、政府委員が出席しておりませんので、説明員の條約局長に一つ差支えのない程度においてお答え願うことにいたします。
  11. 萩原徹

    萩原説明員 領土の問題は御承知のように、ポツダム宣言によりまして、日本の主權は本州、四國、北海道及び連合國の決定する諸小島に限られることになつております。その限りにおきましては、日本といたしましてそういうことをすでに受諾いたしておるわけでありますが、從いまして、ただいま問題になつておりますような諸小島連合國が決定するに際しまして、どういう方針で決定するのかわれわれにはわからないのであります。私どもとしては、この前芦田外務大臣の話も一部誤つて傳えられた點もありますが、正確には芦田外務大臣がそういう諸島連合國において決定する際に、それぞれ島の歴史的、民族的、經濟的事情十分調査をした上において決定してもらうことを希望するという趣旨を申述べられたものと思つております。從いまして連合國側で決定する際に、この島はこういう事情にあつて北海道の方方がこういう關係にあるのだから、自分たちとしてはこうしてほしいのだということを、すでに連合國司令部請願されておるようでありまして、そういうことはもちろん適當に、自由に、自分たちとしてはこう考えるということを言われることは少しも差支えないと思いますし、その種の請願連合國最高司令官においても、すでに二、三件受取つているようであります。政府といたしましては國會からこういう請願があれば、國會でこういう請願があつたそうであるということを、連合國司令部に傳えることはもちろんできると思いますが、それ以上國會でこういう決議があつたから、ぜひこうしてもらわなければならないということを、交渉する地位には現在ないと思います。
  12. 菊池義郎

    菊池(義)委員 すでに司令部に對して請願を出されているのでありますから、向うとしてもその事情は十分にわかるだろうと思いますが、ただ國會を通じてそういう請願を出すということが、はたして穏當であるかどうか、この前芦田さんの話が問題になつたくらいでありますから、どうも私としては國會を通じてそういうことを出すということは、却つて向うのプライドを傷つけるような形になつて面白くないじやないかと考えおります。それで國會としてこれを取上げることは、外交上却つて下手なやり方ではないかと考えます。
  13. 安東義良

    安東委員長 ほかに御意見ございませんか。もし御意見がありませんでしたら、先ほどの和田君の動議を採決したらいかがですか、もし御異議ありませんでしたら、八名の特別小委員會をつくりたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 安東義良

    安東委員長 御異議ないと認めます。委員委員長において指名して差支えありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 安東義良

    安東委員長 それでは指名いたします。     和田 敏明君    戸叶 里子君    長野右ェ門君    武藤 嘉一君     仲内 憲治君    菊池 義郎君     堀江 實藏君    多賀 安郎君 以上の方々にお願いいたしたいと思います。なお特別小委員會の小委員長は互選を願います。  それではこれで委員會は散會いたします。     午前十一時八分散會