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1947-07-25 第1回国会 衆議院 外務委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
付託事件
平和會議
に關する
決議案
(
尾崎行雄
君
提出
)(
決議
第一號) ————————
—————————————
昭和二十二年七月二十五日(金曜日) 午前十時三十八分
開議
出席委員
委員長
安東
義良君
理事
細川
隆元
君
理事
原 健三郎君
理事
堀江
實藏
君 猪俣 浩三君 田中 齊君 高瀬 傳君
戸叶
里子君 馬場 秀夫君 和田 敏明君 竹田 儀一君 長野重
右ヱ門
君
佐々木盛雄
君 仲内 憲治君 若松 虎雄君
唐木田藤五郎
君
多賀
安郎君
出席政府委員
司 法 次 官
佐藤
藤佐
君
司法事務官
國宗
榮君 七月七日
委員芦田均
君及び
松本瀧藏
君辭任につき、その
補闕
として同月八日
中山マサ
君及び
多賀安郎
君 が議長の指名で選任された。
—————————————
七月二日
平和會議
に關する
決議案
(
尾崎行雄
君
提出
) の
審査
を本
委員
に付託された。
—————————————
本日の
會議
に付した
事件
理事互選
刑法
の一部を
改正
する
法律案
中
國交
に關する罪 についての
説明聽取竝びに意見交換
—————————————
安東義良
1
○
安東委員長
ただいまより
會議
を開きます。お諮りいたします。本
委員會
に
理事
一名を増員いたしたいと思いますが、御
異議
はございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
安東義良
2
○
安東委員長
御
異議
なきものと認めまして、これより
理事
一名の
互選
をいたしたいと思います。
細川隆元
3
○
細川
(隆)
委員
理事
は
委員長
において指名せられんことを望みます。
安東義良
4
○
安東委員長
細川
君の御
意見
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
安東義良
5
○
安東委員長
御
異議
なきものと認めまして、それでは
堀江實藏
君を
理事
に指名いたします。
—————————————
安東義良
6
○
安東委員長
次に御報告申し上げたいことがございますが、
外務省
より「
アメリカ議會
における
外交委員會
の
運營
について」、「
日本
及び
歐米諸國
の
外交豫算
について」、「
生産物賠償
と
日本經濟
」、「ソ連の
對外經濟政策
」、「
ロシヤ人
の
民族性
」、「
インド問題解説
(一)、(二)、(三)」、これを送
つて
まいりましたが、初めの「
アメリカ議會
における
外交委員會
の
運營
について」、「
日本
及び
歐米諸國
の
外交豫算
について」、「
生産物賠償
と
日本經濟
」、この三つのみ
部數
が各
委員
にわたります。あまりのものにつきましては、前
囘同樣委員部
において一時保管いたしますので、御用の方は書記から借りられることを希望いたします。
—————————————
安東義良
7
○
安東委員長
次に、今
囘司法委員會
の方に付託せられました
刑法
の一部を
改正
する
法律案
におきましては、
外國
の
元首
、
使節
に對する
暴行
、
脅迫
、
侮辱
の
特別罪
の
規定
、すなわち第九十條及び第九十
一條
でありまするが、これを
削除
しておるのであります。この問題は事小さいようではありまするが、
國交
竝びに
國際法
關連する問題でありまして、
當委員會
としても、
愼重審議
を要するものと考慮いたしまするので、まず、ただいまより
司法省
御當局の本件についての
立法理由
、
竝びに
御
措置ぶり
について伺いたいと思うのであります。
佐藤藤佐
8
○
佐藤
(藤)
政府委員
ただいま、
委員長
から御
説明
ございましたように、このたび
政府
から
提出
いたしました
刑法
中の一部を
改正
する
法立案
中には、
現行刑法
の
外國
の
君主
、
大統領
及び
使節
に對する
特別
なる
保護規定
が
削除
されておるのであります。この
外國
の
元首
、
大統領
及び
使節
に對する
特別
な
保護規定
と申し上げますれば、
身體
、名譽に對する
特別
な
保護規定
でありまするが、この點を特に
削除
いたしましたのは、新
憲法
において、
國民
は
個人
として尊重されるべきであ
つて
、しかも、
國民
はすべての法の
もと
に平等であるべきであるという
原則
が掲げられてありまするので、この
憲法
の
精神
を徹底して、
皇室
に對する
特別
な
保護規定
と同様に、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
特別
な
保護規定
も
削除
いたしたのであります。
皇室
に對する
特別
な
保護規定
を
削除
した點についても、おそらく國内においているいろいろな
異論
のあることと存ずるのでありますが、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
特別
な
保護規定
についても、
國際法
上この
規定
を
削除
することは、いかがなものであろうという
異論
のあることは存じておるのであります。しかしなから、新
憲法
において、法の
もと
に
國民
が平等であるべきであるというその
原則
は、
個人
としての尊重の
立場
を徹底させた
原則
なのであります。しかるに
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
がわが國に滯在しておる場合に、その
身體及び名譽
を
保護
するということは、その人の
個人
としての
身體及び名譽
を特に尊重さるべきであるという
趣旨
と解釋されまするので、その點は新
憲法
の
精神
を徹底させますると、やはり一
般國民
と同様な
保護
をなさるべきではないかと思うのであります。ただ
國際法
上、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對しては、各國において
特別
に厚く
保護
しなければならぬという
原則
が確立されておることは、承知いたしておるのであります。これは
國際法上治外法權
と竝んで、いわゆる
不可侵權
と稱せられておるものでありますが、その國の
刑罰法規
において、特に
身體及び名譽
に關する
特別
な
規定
があれば、それで足りるのであ
つて
、相當重い
刑罰
をも
つて
保護
しておるのに、さらにそれ以上に
特別
な
規定
をも
つて
保護
しなければならぬという
趣旨
には解せられないのであります。
國際法
上いわゆる
不可侵權
とは稱しておりますけれ
ども
、その國の
刑罰法規
において厚く
保護
されれば、それで十分なのであります。言いかえれば、
不可侵權
を
保護
するのに相當な、
不可侵權
を
保護
するに足りるだけの
刑罰規定
があればよろしいのではないかというふうに考えられるのでありまして、他面
改正刑法
の案におきましては、
一般
の
暴行
、
脅迫
、名譽の
刑罰法規
が、
現行刑法
よりも一段と刑を高めてありまするので、この點に關しましては
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
保護
は、
國際法
上要請されておる點を滿たすのに十分であろう。こう考えましたので、新
憲法
の
精神
を貫いて、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
暴行竝びに名譽毀損
の
特別
な
規定
は、これを
削除
いたしたのであります。
安東義良
9
○
安東委員長
ただいま、
司法次官
より御
説明
がございましたが、これにつきまして私より
意見
を申し述べたいことがございますから、
細川理事
に
委員長
を代わ
つて
いただきたいと思います。 〔
委員長退席
、
細川委員長代理
著席〕
細川隆元
10
○
細川委員長代理
安東委員
より發言を求められておりますから、これを許します、
安東委員
。
安東義良
11
○
安東委員長
ただいま、
佐藤司法次官
より、今囘の修正に對する
理由
を承りましたが、私の見るところをも
つて
申し上げまするならば、今囘
外國
の
元首
、
使節
に對する
暴行
、
脅迫
、
侮辱
の
特別罪
の
規定
を
削除
するということは、これはただいま御
説明
のように、單純に
個人
平等の思想を徹底したということをも
つて
は、不充分であるように考えるのであります。また
個人
に對する
暴行
、
脅迫
、
侮辱等
について刑を重くしたがるがゆえに、
外國
の
元首
、もしくは
使節
に對する
不可侵權
を、十分
保護
するにたるものであるからして、それらの
規定
を設ける必要はないという御
意見
につきましては、私はにわかに贊同し得られぬのであります。何となれば、この
刑法
が
外國
の
元首
及び
使節
に對する
特別罪
の
規定
を設けました
趣旨
は、
外國
の
元首
なり、
使節
なりが
特別
な
個人
であるという
觀念
に基づいたるものではないと思うのであります。これは
元首
なり、
使節
なりの
代表
する
國家
の名譽、尊厳、
獨立
というものに對して、
侮辱
を加うることを取締る
趣旨
でありまして、自國の
元首
に對する
特別規定
とは、全然
立法趣旨
を異にするものであると考えるのであります。現に
刑法
は自國の
國旗
に對する
侮辱
の罪を、特に
規定
しておりませんけれ
ども
、
外國
の
國旗
その他の
國章
に對する
侮辱
につきましては、第九十
二條
に
特別
の
規定
を設けておりまして、
外國
の
元首
、
使節
に對する
特別罪
とともに、
國交
に關する罪の章に一括しておるのであります。しかも今囘の
刑法
の一部を
改正
する
法立案
には、この點はそのまま存置せられておるのでありまして、
國交
に關する罪から、
元首
、
使節
に對する罪だけを廢止するということは、やや矛盾のように思うのであります。
國際法
は、一国は自國に滯在する
外國
の
外首
もしくは
外交使節
に對し、
特別
の
保護
を加うる
義務
ありとしております。この點につきましては、先ほど
司法次官
も御同説であつたようであります。
從つて
これに危害を加うる者に對しては、特に
嚴重
なる
處罰
をなす
義務
があるというのが、
國際法學者
のほとんどの一致した言であります。またこれにつきましては、一八九五年、
國際法學界
の
決議
もあるのであります。要するに、
現行刑法
の
規定
は、この
國際法
上の
國家
の
義務
に基づくものでありまして、この
規定
を
廢止せん
とする
改正案
は、
憲法
第九十八條第二項にありまする「確立された
國際法規
は、これを
誠實
に遵守することを必要とする。」という
規定
から考えてみましても、
憲法違反
、あるいはこれは少し言い過ぎた言であるかもしれませんが、少なくとも
憲法
の
精神
に反し、あるいは
改正案
の
效力有無
の問題をさえ、生ずるおそれがないわけではないのであります。現に各國の
刑法
の
立法例
を見ますと、ほとんどおもなる國は何らかの形で、
外國
の
元首
及び
使節
に對する
特別罪
の
規定
を設けておるのであります。ここに各國の
立法例
につきまして、
外務省方面
に依頼してつく
つて
頂きました調書がございます。十分に
部數
はございませんが、ご
参考
におわけしたいと思います。
米國
のごときは、自
國大統領
に對しては、何ら
特別罪
を設けてはおりませんが、
外國使節
に對する
特別罪
の
規定
は設けておるのでございます。
從つて
もし今囘の
改正案
のようになりますならば、
日本
の
元首
、
在外使節
が
外國
において
特別
の
保護
を受けるにかかわらず、
外國
の
元首
または
使節
には、
日本
においては
特別
の
保護
を與えないという、まことに不
條理
な
立場
ができるのであります。各國の
立法例
を見ましても、中には
相互主義
を揚げておるところもあります。たとえばイタリヤのごときがありますが、これらの國はきわめて少いのであります。大
部分
の文明各國は相互條件によらないで、これを認めておるのであります。
日本
の今後の
世界
における
地位
を考えますと、
日本
として
國交
をます尊重んじなければならないことは明らかでありまして、萬一
外國
の
元首
及び
使節
に對する
暴行
、
脅迫
、
侮辱等
の
事件
が起きて、
外國
から犯人の嚴罰を要求せられた場合に、
刑法
に
特別規定
がないゆえをも
つて
、これを
嚴重
に
處罰
することができないということは、これはおそらく不可能なことであろうと思われます。
刑法
の一部を
改正
する
法立案
の
起草者
は、
一般人
に對する
暴行
、
脅迫
、名
譽毀損等
の罪を加重しておるがゆえに、十分の
處罰
をなし得るという
見解
をと
つて
おられるでありましようけれでも、
國際法
上は、
被害者
の本國は
加害者
の
政府
に對し、特に重く罰することを要求する權利があり、その場合特に重く罰する
義務
があるのであります。 なお從來第九十條第二項、第九十
一條
第二項に、
外國元首
、
使節
に對する
侮辱
の罪に對しては、
外國政府
または
被害者
の
請求
をま
つて
、その罪を論ずることにな
つて
おるのでありますが、これはひつきようするに
外國
として、
外交機關
を通じて
處罰
を要求することをも
つて
足りるとする
趣旨
でありまして、今次
改正案
におきましては、これを
外國元首
に代わる
外國使節
に對する
侮辱
の場合は、
使節自身
が
裁判所所定
の
手續
により、
告訴
をしなければならないということにな
つて
おるのであります。この
種事件發生
についての
國際
間の慣例といたしまして、
外交手段
で
處罰
を要求するのは當然であり、
外國使節
に對し、
日本法
の
手續
によ
つて裁判所
に
告訴
しなければ
處罰
ができないというのは、
不適當
ではなかろうかと思うのであります。 これを要するに、第九十條及び第九十
一條
を
廢止せん
とする案は、
外國
の
元首
及び
使節
に對する罪が、あたかも
個人
の
特別
の身分、
地位
に基づくものであるかのような
見解
に出發して、この
種規定
を設ける
國際法
上の
義務
があることを閑却しておる傾きがあるのでありまして、
日本
の
外交
の
見地
から見て、政治的に
不適當
であるだけでなく、
憲法
第九十八條との抵觸の問題を生じ、
刑法改正法
の效力の問題をも惹起するおそれあるものとしなければならないのであります。
從つて
私はこの九十條及び九十
一條
は
もと
の
刑法
のことごとく存置せられることを可なりと存ずるのであります。
細川隆元
12
○
細川委員長代理
議事進行
についてお諮りいたしたいと思いますが、本日
議題
にな
つて
おりますのは
刑法
の一部
改正
に關する
法律案
に關して、
外務委員會
として
意見
を
交換
するというのが、本日の
議題
であります。その
意見
の
交換
の最初において、
刑法改正
を
提出
せられた
主務省
である
司法省
の
佐藤司法次官
より、
外務委員會
としてその權限の
範圍内
で、
當然議題
とな
つて
も差支えないところの
刑法
第九十條及び九十
一條
の
國交
に關する罪のある
部分
の
削除
についての御
説明
があり、それに對して
安東委員
から
削除不可
という御
意見
が述べられたわけであります。
從つて
ここに相反する二つの
意見
が出たわけでありますから、この相反する
意見
を中心として
質疑應答
の形で
審議
を進めたらどうかと存じます。そうして、はたしてこれが本日一囘で終わるか、あるいはさらに引續いて
意見交換
が續くか存じませんが、その
意見
の經過を見て、もし必要であるならば、
當然主管
の
委員會
である
司法委員會
との間に、この
國交
に關する罪の
部分
だけの
合同審査
ということになるかもわからないのであります。これは今後の
審議
の結果を見なければわかりませんが、少くとも本日は
議題
に明記されております
意見交換
という
範圍内
で、ただいま述べられました
削除
すべしという
司法省側
の御
意見
と、
削除
すべからずとする
安東委員
のただいまの御
意見
に對して、お互いに
質疑應答
の形で
意見
を
交換
していきたいと存じます。それでただいま
安東委員
からお述べになりましたことについてまず
司法次官
より御
意見
がありますならば、これに對して御
意見
を承ることができればさいわいと存じます。
佐藤藤佐
13
○
佐藤
(藤)
政府委員
ただいま、
刑法
中の一部
改正
に關する
法律案
中、
國交
に關する罪の一部を
削除
したことにつきまして、
安東委員
から詳細な反駁の御
意見
を承つたのであります。その點について考えまするに、私
ども
の見るところと
安東委員
のお考えと違う點が數點あるのであります。 まず第一に、
國際法
において、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對し、
治外法權
と同時に、いわゆる
不可侵權
を
國際法
上認められておるのでありますが、この
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
不可侵權
に關する
保護規定
は、特に
刑法
上
一般人
に對する
保護規定
よりも重い
刑罰
をも
つて
保護規定
しなければならないという、
國際法
上の
原則
が確立されておるのであるかという點について、
見方
が違
つて
おるように思われます。御説のように、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對して
接受國
がこれを重く
保護
するために、
刑法
上いろいろな
刑罰規定
を設けておるということは、お話の
通り
でありまして、この點は何ら私
ども
の見るところと違う點はないのでありまするが、自國の
刑法
をも
つて
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
不可侵權
の
保護
に關して、十分なる
規定
があるのにかかわらず、なおそれ以上
特別
な
保護規定
を設くべきかどうかという點が異なるのであります。私
ども
の見るところではそれほどの
國際法
上の
原則
が確立されておるというふうには承知いたしておらないのであります。その例といたしましては、申し上げるまでもなく、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
不可侵權
のおもなるものは、
身體及び名譽
であります。
身體
に對する
保護規定
として一番最たるものは、
殺人罪
であるに違いないのであります。ところが各國の
刑法
を見ましても、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
殺人罪
について、一
般國民
に對する
殺人罪
よりも重い
刑罰
を
規定
している
刑法
は、まだ見ておらないのであります。
身體
の
保護
として最も重く科すべき
殺人罪
に對する
刑罰法規
は、重ければ
死刑
というような極刑を科しておるのであるから、たとえ
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
保護
であ
つて
も、重い
刑罰
をも
つて
科し得る
刑法
がある以上は、
外國
の
君主大統領使節
に對して、さらにそれよりも重い
刑罰
を科すような
規定
を設ける必要がないというところから、おそらく
特別
の
規定
を設けなかつたのではなかろうかというふうに考えられるのであります。 もう一つは、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
保護規定
として、
特別
なる
規定
を設けておる各國の
立法例
を見ますると、ある國の
刑法
においては、名
譽毀損
について特に
特別
な取扱いをしておるという例もあります。またある國の
刑法
では
暴行
、
脅迫
についてのみ
特別
な
規定
を設けて、名
譽及び侮辱
に關する罪については、何ら
規定
を設けておらないというような
規定
もありまして、その間の
立法例
はまちまちなのであります。かような
實例
から見ましても、要するに各國の
刑法
において、
國際法
上要求されておる
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に關する
不可侵權
を
保護
するのに十分な
規定
を設けよう。こういう
趣旨
から、各國の
刑法
においてその一部について
特別
なる
規定
を設けているのではなかろうか、かような
見方
をいたしておりますので、
刑法
を
改正
するにあたりまして、
現行刑法
の
暴行
、
脅迫
、名
譽毀損等
について、
現行刑法
よりも重い
刑罰
を科し得るように、
現行刑法
を改める以上はさらにそれ以上
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對して、
特別
な
保護規定
を設けるには及ぶまいというふうな、
結論
に到達いたしたのであります。また
國民
の
一般感情
といたしまして、新
憲法
の
國民
平等という
精神
に添わんがために、
皇室
に對する罪を全部
削除
いたしまして、天皇及び皇族に對する
身體
、名譽等に關する
保護規定
を特にもうけなかつた。この點の筋合から考えましても、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對して、この際さらに
特別
の
保護規定
を設けるということは
適當
でなかろうという
結論
に到達いたしたのであります。さらに、御
意見
と私
ども
の考えておりますところと違いますのは、
現行刑法
の
國交
に關する罪の中で、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對する
保護規定
は、これは
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
の
個人
としての
立場
における方々の
保護規定
か、あるいはその
個人
の
立場
を離れて、
外國
の
機關
あるいは
外國
自體に對する
暴行
、
脅迫
、
侮辱
というふうにみるべきかという點が、おそらく
見解
が違
つて
いるのではなかろうかと存ずるのであります。その點につきまして
安東委員
が
外國
の
國旗國章
の
損壊除去
に對する九十
二條
の
特別
な
規定
があるにかかわらず、
日本國
の
國旗國章
の
損壊
、
除去
に對する
保護規定
はないではないかというようなことも申されたのでありますが、この
外國
の
國旗國章
の
損壊除去
ということはなるほど九十
二條
におきましては、
外國
に對して
侮辱
を加うる
目的
、これは明らかに
外國
自體に
侮辱
を加える
目的
で
國旗國章
を
損壊除去
した場合の
規定
でありますから、九十
二條
についての御説はまつたくその
通り
でありますけれ
ども
、九十條及び九十一条においては何ら、
外國
に對して
暴行
、
脅迫
を加える
目的
というようなことは特に掲げておらないのでありまして、おそらく九十條及び九十一条の
規定
はわが國に滞在する
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
の
個人
としてのその
身體及び名譽
を特に重く
保護
しようという
趣旨
から
規定
された
規定
であろうと考えられるのであります。そういうふうに考えますと、新
憲法
の
國民
の
權利義務
を平等に尊重しなければならぬという
精神
を貫く上から、
帝國
に滯在する
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對して一
般國民
よりも厚く
保護
しなければならぬという
特別
な
規定
を設ける必要がなかろうというふうに考えたのであります。 それから、もう一點は
現行刑法
においては、
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
に對して
暴行
、
脅迫
、
侮辱罪
が行われた場合には、
外國政府
の
請求
あるいは
被害者
の
請求
をま
つて
論ずるというふうにな
つて
いるのに、
改正刑法
の
法律案
によると、
君主大統領
の場合には、
外國政府
の
代表者
が代わ
つて告訴
を必要をする。また
外國
の
使節
については、
使節自身
が
告訴
をしなければその罪を論ずることができないというふうに
改正
したのは、やはり
外國
の
君主
、
大統領
、
使節
を
保護
するのに不充分ではないかという御
意見
でございまするが、このたび
提出
いたしました
刑法
の
改正案
によりますると、
暴行
、
脅迫
についてはすべて非
親告罪
といたしたのであります。
被害者
の
告訴
をま
つて
論ずるのではなく、
犯罪
があれば檢事が直ちにこれを訴追することができる、
一般犯罪
と同様なる非
親告罪
といたしましたので、この點は
現行刑法
よりもむしろ
保護
が厚く
改正
されたと見られるのであります。
ただ外國
の
使節
に對する名
譽毀損罪
については、
使節自身
の
告訴
がなければその罪を論ずることができないという本來の
親告罪
にたちかえつたのであります。これは前に申し上げましたように、九十一条の第二項自體が、
外國
の
使節
の
個人
たる
使節
の名譽を厚く
保護
しようという
規定
でありまして、名
譽毀損罪
をすべて
親告罪
とする建前から、この點は一
般國民
に對する場合と同じように、
使節自身
の
告訴
がなければその罪を論ずることができない、しかしながら名
譽毀損罪
の
刑罰
は
現行刑法
よりも重く
處罰
し得るように
刑法
を
改正
するのであるから、この點においても
現行刑法
よりも
使節
に對する
保護
が厚くないというふうには言い得ないだろうと考えるのであります。
安東義良
14
○
安東委員
ただいまの御
説明
に、二、三私は
見解
を同じうする點があるのでありますが、第一番は何と申しましても、この
外國
の
君主
及び
外交使節
に對するこれらの
特別規定
というものは、その
個人
に自體に對するものではないということであります。これは
國際法
上その
代表
しておる本國の
獨立
、名譽、
尊嚴
に對するものである。
法益
はそこにある、またほかの論者は、たとえば
アメリカ
の
國際法學者
中の第一人者といわれるようなムアーの
學説
をみますると、彼は、
國際
間の安寧のために必要なる
保護
であ
つて
、これは
世界
自體に對するものである。そういうような
見解
をと
つて
おる者もあるのであるます。またそこまでいかないにしても、少くとも直接これらを
保護
する
法益
というものは、
個人自身
の生命もしくは名譽の
保護
ではなくて、これを
代表
としておる
國家
にあるということは、私は、各國の
立法令
それ自體が、間接に
説明
しておるものであろうと思うのであります。
もと
より先ほどおつしやいましたように、
死刑
をきめておりますような
殺人罪
につきましては、いずれの國もほとんどが
殺人罪
をきめておりまするが、特にこれを
保護
するような
規定
を設ける必要はないであろうと思うのでありまして、むしろ實際問題として起こ
つて
くる
元首
もしくは
使節
に對する
侮辱
、
名誉毀損
、こういう問題に對して特に厚く
保護
する必要を認められるのであります。ところがただいま御
説明
があつたように、かかるものは
一般人
と同様に
保護
することにな
つて
いる。しかもその
罰則規定
は加重せられているからして、何ら差支えないじやないかという御
意見
は、また別の方からみますならば、この
外國
の
元首
も、また
外交使節
も、
個人
と平等である、同じことであるという
觀念そのもの
にほかならないのでありまして、そのこと
自身
につきましては、私は
國際法
上の
見地
から
異議
を申立てざるを得ないのであります。
日本
の新
刑法
におきまして、
刑罰
を加重せられた、それらの點が最高の限度は
上つた
でありましようが、最低の
見地
から考えますと、
元首
及び
外交使節
については、何ら區別がないという
事實
は認めざるを得ないのであります。そこに何ら
特別
の
保護
の
精神
は現れていないと申して差支えないではないかというふうにも考えます。この點なお御
参考
のために申し上げたいのでありますが、今まで二十七の各國の
立法例
、これを基礎として調査したものが先ほどお配りしたものでありますが、この
國名
をごらんになりますれば一目瞭然でありますように、
日本
として關係の深いオーストラリア、ブラジル、
英國
、フランス、ドイツ、イタリー、オランダ、ポルトガル、スペイン、スエーデン、スイス、トルコ、
米國
、これらの國はいずれも
特別
な法規をも
つて
おります。またソビエツトにいたしましても、いわゆる
特別
な法規はないのでありますけれ
ども
、しかし
外交使節
が一國の刑事裁判權の管轄外にあるという
原則
をはつきり明定しております。
從つて
外交使節
の
不可侵權
、その他の特權を國内法において何らかの形で明白にしておくということは、今後の
日本
の
國際
的活動の
見地
から言
つて
、決して不利でない、また必要である、利益でもあるというように、私は考えざるを得ないのであります。
細川隆元
15
○
細川委員長代理
ただいままでの
司法次官
及び
安東委員
の御
意見
に關連しまして、
委員
各位の間で質問なり御
意見
を述べていただければ、結構であろうと思います。仲内
委員
。
仲内憲治
16
○仲内
委員
裁量で刑を加重するというのは、どういう方法で實際上できるのでありますか。
特別
の
規定
がない場合に、特に
外國
の
元首
、使臣なるがゆえに、刑事の執行に當る當局として、どの程度にできることになるのでありますか。
佐藤藤佐
17
○
佐藤
(藤)
政府委員
その點につきましては、具體的な
事件
が起きた場合に、その取調に當つた裁判所において、法律上許される
範圍内
において重い刑罪を科するということは自由にできるのであります。その限度は
刑法
上定められたる最高刑がマキシマムになると思います。これは
外國
の
元首
、
大統領
、
使節
に對する場合ばかりではなく、
日本
の天皇、皇族に對する場合も同様であります。
仲内憲治
18
○仲内
委員
裁判官のいわゆる自由裁量の意味でありますか。
佐藤藤佐
19
○
佐藤
(藤)
政府委員
そうです。
細川隆元
20
○
細川委員長代理
どうぞ御自由に質問なり、御
意見
を述べていただきたいと存じます。—ございませんか。
安東委員
、もう御發言はありませんか。—ほかの方はないようですから、そうすると大體質疑、御
意見
の發表は盡きたと思いますが、—ありましたならばどうぞお延べを願いたいと思います。
長野重右ヱ門
21
○長野(重)
委員
ただいま、いろいろと質疑が交わされておりまする
外國
使臣に對する
特別
な法
規定
削除
の問題に關しましては、本
委員會
といたしましても、かなり重要な問題であると考えるのであります。突然この問題がただいま
議題
にな
つて
おりますので、われわれ
委員
といたしましても、もう少しかなり突込んで研究をする必要があるかと考えますので、質疑はこの程度で打切
つて
、次會の
委員會
になお引續いて討議せられんことの動議を
提出
致したいと存じます。
細川隆元
22
○
細川委員長代理
ただいま長野
委員
から
提出
されました、お互い
委員
がまだ深く研究の餘裕もなかつたし、準備もなかつたろうと存じますから、本日現れました
意見
に基いてお互いに研究をして、さらに次會において、質疑なり
意見
の
交換
を行うという動議に、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
細川隆元
23
○
細川委員長代理
御
異議
ないと認めまして、引續き次會において
意見
の
交換
、あるいは當局に對する質疑を續行いたしたいと思います。 その時日は公報をも
つて
御通知することにして、本日はこれにて散會いたします。 午前十一時二十九分散會