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1947-11-11 第1回国会 衆議院 海外同胞引揚に関する特別委員会 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十二年十一月十一日(火曜日) 午前十一時二十三分
開議
出席委員
委員長
天野
久君
理事
庄司 彦男君
理事
藤原繁太郎
君
理事
中嶋 勝一君
理事
根本龍太郎
君
理事
若松 虎雄君 高瀬 傳君 成田 知巳君
松原喜之次
君 和田 敏明君 坂口 主税君
中曽根康弘
君
中山
マサ
君 最上 英子君
水谷
昇君 内藤 友明君 受田 新吉君
出席政府委員
復員事務官
荒尾
興功
君
復員事務官
遠藤
武勝
君 ————————————— 本日の
會議
に付した事件 未
復員軍人
の
給與
に關する
説明聽取
—————————————
天野久
1
○
天野委員長
これより
會議
を開きます。
會議
に入ります前に御
報告
いたすことがありますが、先般本
委員議
で議決されました
政府
に對する
緊急質問
はこれを本日行うことにな
つて
おりますから御了承願いたいと存じます。しかして
質問
は
委員長
において行うということになりましたので御了承願いたいと存じます。 それからなお昨日
世界メリスト教團
の
方々
が
東京會館
に見えられましたので、參議院の
委員長
と同伴いたしてそれぞれ代表の方十三名にお目にかか
つて歸還促
進の陳情をいたしてまいりました。非常に好意をも
つて
、今後働こう、こういうような
お話
を承
つて
まいりましたので、御
報告
いたします。 それでは續いて
復員廳
の方から諸般の
報告事項
がありますので、この御
説明
を願います。
ちよつて速記
を止めて。
天野久
2
○
天野委員長
速記
を始めて。
荒尾興功
3
○
荒尾政府委員
ただいまお
手もと
にお配りいたしました長い
圖表
について申し上げます。これは各
都道
府縣
におきますところの
復員
の
進捗状況
を
圖表
に現
わし
たものでありまして、元の陸軍、すなわち第一
復員局關係
だけを統計にしたものであります。この長い
圖表
をお開きになりますと、右側の方の網の目のような暈おう、これは
從來生死状況
の不明な
方々
につきまして各
都道
府縣
の
世話課
が
調査
いたしました結果、このくらいの率がわか
つて
きまして、お
留守宅
にそれぞれその
確定状況
を御通知した數であります。それから向
つて左側
の網の目で書いてありまするのは、各般の御盡力の結果、
現地
から生きて
歸つてきた者
の數であります。これは昨年の八月、未
復員者
の届けを各
留守宅
から出すようにお願いをしたのでありますが、その以後本年の八月まで一箇年間にどれだけの
仕事
が進んだかという表であります。すなわちただいま申し上げました
兩方
の網の目のような
暈おうが復員事務
の終了した
パーセンテージ
を示しております。眞中のぼつぼつと書いてありますのが
ソ連地域
以外におきましていまだ
生死状況
の確定しておらない
パーセンテージ
であります。それから眞中の白いのが
ソ連地域
におきまして
生死状況
の不明な方でございます。それから
左側
の斜線で書いてありまするものが
外地
におきまして
南方ソ連
を含めまして確實に生きておるか、なお未歸還の
方々
を
パーセンテージ
で現
わし
ております。すなわち網の目の
暈おうが復員
が濟んだところ、その他の三段に書いてあるのが
復員處理
が終
つて
おらないというところを現
わし
ております。
概要
をごらんいただきますと、大
體一箇年間
に半分終
つて
おります。たとえば
東京
の例で申しますると、右と左を
比ベ
ますと四九%終
つて
おります。殘りがまん中に殘
つて
おるわけであります。非常に
勉強
しておるところは
滋賀縣
でありまして、滋然縣は非常な
勉強
の結果、
状況不明者
の
處理
がその
圖表
にありますように四五%にな
つて
おります。それから歸還者が二一%、合計いたしまして六六%濟んでおります。それからなお
ソ連地域
の
状況不明者
が八%で、
現地
の殘留者が約九%と書いてございまするが、これは
滋賀縣
におきましては、現に
滋賀縣
に本籍をも
つて
おられる方の、
ソ連
におる人の五七%はその生きておるという
状態
をつかんでおるのであります。
ソ連地域
が一番不明だと
一般
に言われますが、いろいろの
調査
の結果、
ソ連
の白い區域の欄の非常に少いところ、すなわち
滋賀縣
であるとか、
福井縣
、これは非常に
勉強
しておりまして、
福井縣
も
ソ連地域
におる者から五八%は現在
向う
に生き殘
つて
おるということをつかんでおる次第であります。これは非常に地道な
作業
でありますが、皆樣の御
鞭撻
によりまして、各縣がすべて
滋賀縣
とか
福井縣
のような
成績
を出し得まして、できるならば現在の機構、現在の
構成員
をもちまして、
來年一ぱいにおおむねこういうふうな成績
を出して、最後にやむを得ざるものが若干殘るというふうになりますと、
復員
の
事務
が非常に進捗するのではないかと思います。非常な地道な
作業
でありまして、お
留守宅
の
氣持
をくみながら
仕事
をいたしませんと、こういう
仕事
はなかなか進捗いたしませんので、一日二日放
つて
おけばわずかの端緒をも
つて
わかり得るものがそのまま放置せられます。あるいは
適任者
が缺けます。そうするとその人の記憶が
作業
の上に現われてこない。あるいはその人が適任なる者を
知つて
お
つて
、それを呼んでくるという
作業
が一目遲れれば遲れるほど、この
作業
が遲れますので、非常に
鞭撻
をいたしまして、
生存者
の
復員
を促進していただきますと同時に、その人の
状況
の不明なる者の
處理
、これにつきまして
萬全
に期して努力しておる次第であります。この一年間の各
府縣
の
勉強
の度合がここに出ておる次第でありますので、お國にお歸りの節はどうぞ御
鞭撻
していただきまして、いい
成績
の出るように御指導を願いたいと思います。私の
報告
はこれで終ります。
遠藤武勝
4
○
遠藤
(武)
政府委員
私第一
復員局
の
經理部長
であります。このたび
議會
に
追加豫算
として提出されております第一
復員局
の
引揚げ在外者關係
の
追加豫算
の
内容
について御
説明
いたします。 今度の
追加豫算第
七號としまして提出されております第一
復員局關係
の
追加豫算
は、
追加額
が九億七千六百餘
萬圓
それから
減少額
が二億三千
萬圓
で、差引七億四千六百
萬圓餘
の提出をしておるのであります。そのうち大體どういう
項目
で要求しているかと申し上げますと、
復員官省竝びに世話部等
で
行方不明者
、
状況不明者
の
調査
をするために、すでに
復員
して歸
つて
まいりました
人々
に來てもらいまして
調査
するとか、あるいは
職員
が出張しましてそれらの
人々
について
調査
するかといつたふうな
仕事
をするための
經費
が、六百六十
萬圓
ばかり
追加豫算
で出してございます。これは必ずしも十分な
經費
ではないと思いますが、とりあえず一遍郷里に
歸つた人々
を來てもら
つて
り、また
職員
が出向いて
調査
しますための
旅費
としてはまず大體や
つて
いけるではないかと思いますけれども、御承知のように
復員官省
の
仕事
は通信でありますとか、それに伴う
消耗品
、
紙類
の問題でございますが、そういつたふうのものが非常にたくさん要る
仕事
でございますので、こういつたふうな
經費
が最近の物價の値上りに伴いましてなお
不足
するように思
つて
おります。年内で約一千
萬圓
くらいの
不足
を生ずるではないかと思
つて
おりますが、こういうふうな
經費
の
不足
、もちろん
經費
については節約しなければなりませんけれども、こういうことのために
状況等
の究明が遅れるということがあ
つて
はならぬと思いますので、極力
既定豫算
のやり繰りはやりますけれども、なお足らぬところは何とかして追加してもらいたいと思
つて
おる次第であります。 さつき申し上げましたその差引き約七億あまりの
追加豫算
の大部分というものは、
在外者
の
給與
を改正するという
經費
であります。この件につきましては先般概略前の
復員廳時分
の
官房長
から
説明
があつたと思いますが、その
概要
について御
説明
申し上げます。お
手もと
に差上げてあると思いますが、未
復員軍人
新
舊給與比較概要
という表がございますので、これについて御
説明
申し上げます。この未
復員軍人給與
につきましては、現在
豫算
がここに出ておりますが、
法律案
が
法制局
で現在審議中でございまして、これがそのうちに
議會
に提案になると思います。まだ
政府
としても
法律案
としたものが完成しておりませんので、
法律案そのもの
をお目にかけるわけにいかぬと思いますが、大體その骨子となる
事項
を以下御
説明
申し上げたいと思います。現在の
規定
と新しい
規定
とを大體對照して申し上げます。それにつきましては大體
給與
の
給額
とそれを
支給
する
方法
と二つに分けて申し上げなければならぬと思いますが、まず第一にその
支給金額そのもの
の問題について申し上げます。現在は
給與
の種目は
本俸
といろいろな
手當
と
兩方
にわかれておりますが、その
本俸
におきましては、戰爭中から引續きまして、大體前の
軍人
としての
給與規定
を適用してまい
つて
いるのであります。すなわちここの
給與規定
という欄に書いてございます本俵の欄に、大將の月五百五十圓から二等兵の月九圓まで、戰時中からの
給與
の
規定
そのままによ
つて
これを實行しておるのであります。それから
手當
につきましては、
下士官
以上、つまり
從來官吏
と稱してその範疇にはい
つて
おるものでございますが、それにつきましては
内地
における
物價騰貴等
に伴いまして、
一般官公吏
の
給與
の
増額
がございましたが、その
増額
に應じましてこれを
増額
してまい
つたの
であります。すなわち
物價手當
であるとか、
臨時手當
であるとか、さらに
暫定加給
であるとか、
家族手當
であるとかいうものを、
内地
の
官公吏
と大體同じような歩調にとりまして、
下士官
以上について
家族
をも
つて
おる者に限り、これを
増加
してまい
つたの
であります。しかし兵の
階級
にある者は、
從來官吏
として取扱
つて
いなかつたために、こういう者は
家族
をも
つて
おるとないとにかかわらず、何ら
手當
をせずにきております。こういう
給與法
は、詳しい
説明
を申し上げるまでもなく
現状
に適しませんので、實は
終戰後復員
の大體の見透し、
引揚げ
の見透しというものがつき始めました昨年の初めごろから、この改正に手をつけてまい
つたの
でございますけれども、なかなかいろいろな問題に突き當
つて
きまりませんで、やつと今年の七月ごろこの提案する案が、大
體關係方面
との間に話がきまりまして、この
議會
に
法律案
を提出する段取りに
なつ
たわけであります。その變り方につきましては、
本法
はつまり
從來
の
軍人
の
階級制度
を認めておりましたのを全部やめまして、すべて
階級
にかかわらず、一律に月百圓と決定しております。それからいろいろな
手當
は、
下士官
以上兵の
區分
なく、
月扶養家族
一名について百五十圓、
扶養家族
が二人おれば三百圓になりますが、要するに一名に
扶養家族
について、月百五十圓というものを設けまして、これが全然
從來
のものにかかわらず、新しい
給與規程
の
一般原則
としたのであります。ただ現在まで、さつき申し上げました
本法
と
諸手當
というものを加えました額が、この新しい
給與額
と比べてみました場合におきまして、古い額の方が多い場合には、これはいろいろな
理窟
は別といたしまして、
給與
の上から
現状
において
給與
を下げることは
適當
でないと
考え
まして、新しい
規定
より多いものは、
從來
の
規定
によるという
方法
で、
法律案
をつく
つたの
であります。それが
具體的
にどうなるかということはあとで表がございますので申し上げます。そういうような
方法
によりまして、この舊
規程
から新
規程
をつく
つて
まい
つたの
であります。そこでこの
支給額
をどういう
方法
で
支給
するかという問題が起きてまいります。すなわち現在におきましては、この
留守家族渡し
という欄に書いてございますが、現在の
規定
によりましては、
營外者
は、
——營外者
と言いますと、大
體もと
の
曹長
の中間から上の者が
營外者
でございますが、それに對しましては全部の者に對して、現在の
支給金額
の
全額
を
留守宅
に
支給
しておるのであります。それから
曹長
の眞中ぐらいから下の者は、ただ
希望者
のみに
全額
を
留守宅渡し
にしておるという
状況
でございます。これをこのままでは非常に不公平を生じますので、結局その
區分
をやめまして、營内外の區別なく、
家族
をも
つて
おる者には全部
家族手當
を
留守宅
に渡す。
從つて家族
をも
つて
いない者に對しては、現在
營外者
でも
獨身者
があるわけでございますが、それに對しては
留守宅渡し
をしておりますけれども、新しい
規定
によりますと
留守宅渡し
をやめまして、
家族持
だけに對して、
留守宅渡し
をする。その
留守宅渡し
をする
金額
はさつき申しました
金額
のうち、
家族手當
だけを
留守宅渡し
にする。こういう
方法
でまいることにしております。そうしますと現在はこれは大體六月末の
計算
でございますが、月約十一
萬件
の
留守宅渡し
をしてお
つたの
が、約四十
萬件
の
留守宅渡し
になるのであります。それ以外の
給與
は
登録地
に歸りました
旅費
の三百圓の
支給
、それから亡く
なつ
た方の御
遺族
に對するいろいろな
支給金
というのは現在のままであります。これも同時に
考え
てまい
つたの
でありますけれども、
豫算金額
その他の問題から、今
議會
にはこれに手を觸れることができずにきたのであります。以上のような
方法
で新しい
法律案
の構想を今研究しておりますのと、現在の
豫算
はこの基礎において著算しておるのでありますが、次をはぐ
つて
いただきますと今申しましたことが、未
復員者給與規程
としてここに書いてあります。その次に三枚目に
別表
というのがございます、この表が結局新しい
制度
に基きまして、
扶養家族
をも
つて
おるものの
留守宅渡し
の
月渡し額
になるわけであります。たとえば
扶養家族
一人をも
つて
おるものにつきましては、
大尉
ぐらいで月七百六十圓、それから兵は百五十圓となるのであります。これは結局新しい
制度
はさつき申しましたように一律ではありますが、現在の
制度
で七百六十
圓大尉
ぐらいはもら
つて
おりますので、これはそのまま据置きとしたのでありまして、下の方だけが上
つて
きたのであります。兵が百五十圓、二人になると三百圓、それから四百五十圓、六百圓、七百五十圓というふうになるわけでありまして、
家族
一名
あたり
の
金額
が現在の
制度
より高いのでありますから、
家族數
が殖えれば殖えるほど上下の
差額
は少くな
つて
まいりますが、
家族數
が少いとこういうふうな
差額
があるわけであります。 大體以上申し上げましたのが、新しく今後
法律案
が出ます
給與法
の
概要
でございます。從いまして
追加豫算
の
構成
の
内容
を大體なしておるわけでありますが、これをつくりましたときには、實は本年の春でございましたが、逐次今日にな
つて
まいりますと、いろいろな物價の騰貴その他の變化に伴いまして、當時
考え
ましたよりは非常になお不十分な
金額
に、結果としてな
つて
おるような氣が私どももいたします。しかし今これを動かすということは、實際問題として施行の期日が遅れるだけになりますので、次の
機會
において全面的に各種の
給與
も
考え
て、
増額
することにお願いしたい。こういう
氣持
をも
つて
おる次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。
天野久
5
○
天野委員長
ただいまの御
説明
に對して、何か御質疑はありませんでしようか。
水谷昇
6
○
水谷
(昇)
委員
ただいま御
説明
をいただいてよく了承したのでありますが、この改正せられた分に對しても非常に少いと思うのであります。たとえば
歸郷旅費
の三百圓だとか、
死亡
の
給與
、新法案によりますと二百七十圓は元
通り
でありまして
——埋葬費
これも同じですか。
遠藤武勝
7
○
遠藤
(武)
政府委員
この
金額はちよ
つと
項目
を變えただけでありまして、同じです。
水谷昇
8
○
水谷
(昇)
委員
金額
は同じですね。これらの點が非常に少いと思うのでありますが、ただいまの場合これが
増額
ができないという御
説明
でありましたので、近き將來においてはこれはもつと
増額
をしていただきたいと私は
希望
いたします。 それから
別表
の
留守宅渡し
の
月額表
を見ましても、今日の物價から
考え
ましていかにも少いようであります。これも
増額
をしていただきたいと思いますが、
當局
のお
考え
にな
つて
おりまする今日の物價から
考え
てどの
程度
が
適當
であるとお
考え
になりますか、この點をひとつお伺いしたいと思います。
遠藤武勝
9
○
遠藤
(武)
政府委員
これは實はまだ私の方の一案として
大藏省
に話しておる
程度
でありまして、決定的な問題としてお取上げ願いますと困るのでありますが、一應
事務
的に
考え
ておるところをざつくばらんに申し上げておきたいと思います。現在
歸郷旅費
、つまり
上陸地
において三百圓もら
つて
おります
金額
、これが非常に少いということは、私が申し上げるまでもない皆
樣御承知
の
通り
でありまして、歸
つて
きた
人々
、また
上陸地
に勤務する
人々
からやかましく痛烈なる聲があるのであります。中にはせつかくも
つて
歸りました被服を途中で賣
拂つて歸
りの
旅費
を調達しておるという人もあることを承知しておりますし、三百圓ではどうにもならぬというので、現在の物價
程度
で
考え
ましても、少くとも三倍
程度
ぐらいには上げてもらつたらどうかという氣がいたしております。それからさつき申し上げました
家族手當百五
十圓、これも今日の物價から
考え
てこれだけでは非常に少いということも明瞭であると
考え
ますので、これは大體倍ぐらいにしてもらつたらどうか、つまり
家族
一名につき百五十圓というのを三百圓にしてもらつたらどうだろう、それから遺骨をお渡しします場合にその埋葬諸費竝びに受取りに來られた御
遺族
に對して
旅費
というものの
金額
は合計五百八十圓でございますが、これを大體三倍前後ということにしてもらつたらどうかというような案をも
つて
、今役所の中ではそんな
氣持
で
仕事
を續けておる次第であります。ただ
豫算
の點につきましては今後の
復員
の速度によ
つて
大分違
つて
まいりますけれども、このまま大體殘
つて
おりますものが來年度中に歸
つて
くるというような
計算
の
もと
で
考え
ますと、現在の
規定
のままでいく場合に比して十億圓前後の
豫算
の
増加
になるんじやないか、こういうつもりでございます。
水谷昇
10
○
水谷
(昇)
委員
ただいまの御
説明
を
伺つたの
でありますが、三倍
程度
に
増額
したいという御
希望
のようでありますが、これはそのときの物價から
考え
まして
適當
にひとつ勘案をいたしまして
増額
をしてもらうことを
希望
いたします。 それから
別表
ですが、大將から兵に至るまでの
本俸
でありますが、これがたいへん少いように思います。
扶養家族
に對する額は三百圓なら三百圓でよいと思いますが、
もと
の
本俸
がたいへん少いように思うが、これは
増額
の御意思はないのでありますか。
遠藤武勝
11
○
遠藤
(武)
政府委員
本俸
は百圓でございますが、實はこれも決して滿足すべき額とは思
つて
いないのでありますけれども、これは
理窟
を言いますと、
本人
は
外地
にお
つて
一應
生活
しているのである、だから
本人
の
生活費
は要らないじやないかという
一つ
の
理窟
がありますのと、そういう
理窟
をつけますゆえんのものは、實は
本俸
を
増加
いたしますと、
家族
をもたない者全部に對しての
本俸
の
増加
になりまして、
豫算金額
が急激に殖えるわけです。そこでちどらかといえば、
扶養家族
をも
つて
いる
人々
をできるだけ安心し得る
状態
にも
つて
いくということに重點をおくことが必要でないか。
獨身者
で比較的
留守家族
について心配のない人についてはがまんしてもらうほかしかたがないだろうというので、金の使い方の重點を、
扶養家族
をも
つて
いる
人々
、また
扶養家族
において
考え
るほかしかたがないと
考え
ますので、
本俸
の
増加
に對してはがまんをするのはどうもやむを得ぬじやないかと思
つて
おります。
天野久
12
○
天野委員長
中山マサ
君。
中山マサ
13
○
中山マサ
君
委員外
でございますけれども、
ちよ
つと申し上げたいと思います。
私選擧當日
に
街頭演説
にまい
つて
おりましたときに、二人のお婆さんが私のところにまいりまして、もしあなたが當選したならば、
自分たち
二人は
子供
をお國に捧げて、その後何の音さたもない、どうかこの點をひとつ何とかしてくれということを言われましたのを、今この
埋葬費
とかいろいろな費用について伺いまして、しみじみと思い出している次第でございます。こちらの方が仰せになりましたように、とにかく生きて歸
つて
くる人はまた笑う日もあるのでございますけれども、
子供
あるいは夫を捧げた
人たち
はなかなか笑う日も歸
つて
まいりませんので、どうぞ戰死者に對しては特に厚いお
手當
を御考慮くださいますように、切に私はお願いしておきます。
中曽根康弘
14
○
中曽根委員
いろいろ御
當局
で
復員者手當
、
死亡者
の
手當
に對して御協力いただいて感謝にたえない次第でありますが、私は根本的な精神においてどうも遠慮しているんじやないかという氣がいたす次第であります。新聞でもよく見ますように、千八百
圓ベース
とか何とかいうことが今非常に叫ばれておりますが、この未
復員者
の
給與
についてもやはり食えないということは同じ
條件
であ
つて
、
生活費
が一人當り大體千八百圓要るとするならば、未
復員者
の家庭でもやはり同じ
條件
じやないかと思います。日本は敗けたのであるから、特に
軍人
であるからとい
つて
厚遇はできないとは思いますが、やはり人間としての、あるいは
家族
としての
最低生活
を保障するということは、これは
憲法
でも保障されているのであります。この
軍人
あるい未
復員者
の
人々
が
一般
の
國民
よりきわめて惡い待遇にあるということは、私は
考え
ようによ
つて
は
憲法
にも反する
措置
でないかと
考え
る次第であります。この點は私は
復員當局竝びに國會
その他の關係者において相當反省しなくてはいかないのではないか、そういう意味から私はこの
委員會
においてもう少し
大藏當局
なりあるいは
關係當局
に對して
考え
方の基準を、
委員會
として今までのものを是正するという方向に
措置
せられたらいいと思うのですが、この點について
委員長
の御考慮をひとつ促しておきたいと思います。これは
とつぴな發言
のようですが、純粹理論から
考え
て、私は私の言
つて
おることが正しいと思います。 それからもう
一つ
は、
中共地區
の未引揚者の點であります。私の
知つて
おる
浦野正孝
という人、この人は
兵庫縣
の人で非常に
篤志家
でありまして、
中共地帶
から歸
つて
きたあらゆる人をつかまえて、
向う
の動向を
調査
しておるのですが、この人の
お話
によりますと、現在
一般者
は約十
萬人
くらい抑留されておる。その中には
技術家
もあれば
一般家族
、個人及び難民、そういうものがはい
つて
おるそうであります。そのほか
見習看護婦
として二
萬人
、正規の
看護婦
として三千五百人、これくらいの女があるということを言
つて
おります。これらの
人々
の
状況
を聽いてみると、實は精神的に參
つて
おるらしいのであります。
ソ連
に
おいで
になる
方々
は、月五
萬人
ずつ返していただけるという
希望
があるので、まだ
生活
に若干の光明があるのですが、
中共地區
に
おいで
になる
方々
は實際いつ歸えれるのだかわからない。
國民政府
と
中共軍
との軍事的なあるいは
政府
的な推移のまにまに
自分たち
の運命が左右されておるというわけで、非常に精神的に苦痛を味わ
つて
おるそうであります。
ソ連
の
方面
は
割合
に人の
關心
を得ておるのですが、この
中共地區
におる人に對しては、
國會
も
國民
も
割合
に
關心
が薄いと思うのであります。これは何とかして打開して
希望
を與えてやることが、私は
國民
として重大な義務であろうと思うのですが、その對策として何とい
つて
も
國民政府
と
中共
の
首腦部
に對して、こちらの方から
外交交渉
でも
つて
かけ合
つて
もらうより以外に
方法
はないと思います。この
状況
をひとつ
委員會
として特別に
浦野
氏
あたり
を
ひつぱつてきて
、
状況
を聽取して、
關係當局
に對して正式に
國民政府
なりあるいは
中共首腦部
に對して
交渉
をしていただく、そういう
措置
をぜひ講じていただきたいと思います。
天野久
15
○
天野委員長
ただいま
中曽根委員
の
お話
はごもつともでありまして、私もこの
給與
の表を拜見いたして、
復員廳關係當局
の御苦心のほどは感謝いたしますが、いかにも少けないので、これに對しては何とかいたすことが當然ではないかと
考え
ております。お説の
通り
これは
委員長
といたしまして、
大藏當局
その他
關係方面
に
増額方
を懇請することにいたします。 それから第二の
中共地區
の問題につきましては、
委員會
といたしましても何か手づるを見つけて、これに絲口をつけたい、こういうことでそれぞれ苦慮いたしておりますが、さいわい實は
浦野
氏は
中共
の事情をお知りだというわけで、今日の
委員會
へ
おいで願つて
御
説明
を願うということでいろいろ折衝したのでありますが、お見えにな
つて
いただけないので、いつかまた時期を見て御
説明
を願いたいと
考え
ております。
天野久
16
○
天野委員長
そこでなお續いて皆樣にお諮りいたしたいことは、實は今世界キリスト教の各國の青年代表がわが國に來られておりまして、先ほども御
報告
申し上げました
通り
、
委員長
といたしましては、昨日參りまして各國代表にそれぞれ歸還促進方の御助力をお願いいたしたのであります。この
方々
はまだしばらくこちらにおられるらしいのですが、こういう絶好の
機會
はないと存じますので、この
方々
に歸還促進の世界的輿論に訴えて、何か運動していただく
方法
等について、各
委員
に何かお
考え
がありましたら腹藏なく
お話
願いたいと存じます。
委員會
といたしまして今
考え
ておりますことは、この十五日に總理官邸において招待があるという話でありますので、それを
機會
に總理及び外務大臣等を通じて特に懇請をいたし、でき得れば兩院にその
人たち
の
おいで
を願
つて
、
議會
において
緊急質問
という形か何かでこれを行い、そしてわが國の
引揚げ
に對して熱望する
状況
を見ていただいて、各國に運動を願うというようなことも必要ではないか、あるいはその他今までやりましたことに對して、書類を作成して
手もと
に届けて、ゆつくり船の中ででも見ていただいて、そして
關心
を高めていただいたらどうかというようなことも
考え
ておるわけであります。なおそのほかに何かよい
方法
がお
考え
つきで、御發議願えましたら、できるだけこの歸還促進のために有效に取扱
つて
まいりたいと
考え
ております。何かお
考え
つきのことがありましたら御遠慮なく御發議願いたいと存じます。
中山マサ
17
○
中山マサ
君 私一昨日シンガポールからお歸り
なつ
た
軍人
のお二人に會いましたところが、くれぐれもこの三點を何とかしてほしいという
お話
がありました。いろいろ
向う
でつらい目に遭
つて
、歸ることはできないと思
つて
ほとんど絶望しておつたところ、歸れるという報を得た。そこで喜び勇んで船に乘つたところが今度はそこで自分の國の
人たち
に食糧的に虐げられて實に悲しい思いをしたというのであります。その船に乘りますときに英軍の方から
給與
、レーシヨンが與えられたそうでありますが、それを船の方の方が、船員さんたちにはレーシヨンを一人に一箱づつ渡しておるのに、
復員軍人
には一箱を四人でわけるようにと言
つて
渡したそうであります。それをある
方面
から聞きこんで、英軍から渡された量とは大分違うと思
つて
、靜かに見ておきましたところ、その船員が倉庫を破つたそうであります。ところがそこからレーシヨンの箱が四十とか出てきました。それでそれについて
交渉
したところが、いやにこれはある場合に必要なときがあつたらと思
つて
と
つて
おいたのだ、そうい
つて
言を左右にしたそうです。ところがどういうはずみでありましたか、電氣の作用で、ほとんど壁としか思えないその壁がはずれたそうです。そこが必密倉庫にな
つて
おつたそうでございますが、それからまたそのレーシヨンが八十個ほど出てきた、それから今度は
事務
長やすべての責任者を呼びまして、そようどその船には千人ほどの
復員者
が乘
つて
おつたそうですか、皆が取巻いていろいろ詰問をいたしましたところが、非常に苦しい答辯ばかりいたしまして、それはあらしのとき、あるいは難破のときのための用意であつたということを、言を左右にして申したそうです。しかしこれまでの經驗上、タバコでも、あるいはそのほかの食糧でも、吸い殘したり何かすると必ずそれだけは差引いて
給與
があるものですから、絶對に必要量だけは兵隊に渡すことにな
つて
おる。それが渡
つて
おらないということはわか
つて
おりましたので、いろいろと責めたてまして、遂にそれが
復員者
に渡すべき食糧であつたということを白状したということをおつしや
つたの
であります。これが第一に、國のためにと思
つて
戰いに行
つたの
に、
向う
ではそうして外人にひどい目に遭い、船に乘
つて
わが國の人と懷しく思つたところが自分の國の人にそういう目に遭
つて
、大和民族腐つたかと思つた。どうぞこういう
復員
してくる方に絶對にそういうことのないように、ひとつ
政府
にあなたからおつしや
つて
くださいということをおつしやつた。 第二は、
内地
に上陸して——その方は佐世保でありましたか、長崎でありましたかに上陸した方であつたそうでございますが、福岡で食事が渡ると聽いて、福岡に來てみたところが、食事の用意もない、どうな
つて
おるかと思
つて
聽いてみたところが廣島で渡るからと言う。それではというので、しかたがないのでひもじい腹を抱えて廣島まで來てみたところがそこでも食事の用意がない。そうしてその人は
東京
の人ですが、何日かとうとう
東京
に著くまでひもじい思いをして歸
つて
きた、何とか人後歸る人のためにお辯當が必ず渡るようにしてや
つて
ほしいということが第二でございます。 第三は、今の
給與
の點でございますが、自分の友だちがまだ歸
つて
きていないので、
向う
の
状況
なんか
報告
しようと思
つて
向う
へ尋ねていきましたところが、まだ
留守宅
の
人たち
に渡すお
手當
が六月までしか渡
つて
いないというので、とても
家族
が困
つて
おる。この點どうぞぜひ月々に渡すべきものは渡していただくように、何とか
お話
が願えないものだろうかということを、私はこの
軍人
さん方に伺いまして、ぜひひとつ
政府
の方でその三點を御善處いただけるようにお願いをいたしたいと思いまして、今日伺いました次第でございます。
遠藤武勝
18
○
遠藤
(武)
政府委員
さつき申されましたうち最後の點について
一つ
申し上げたいと思います。
一般
の
留守宅
への給料を渡すのは、さきに申し上げましたように
營外者
に對しては
全額
渡しておりますし、營内者、すなわち下の方の
下士官
竝びに兵に對しましては、大體渡していないという
状況
であります。六月まで渡しておつたと申しますのは、その人は何であつたかわかりませんけれども、
一般
的には七月から今申し上げました
制度
を實施するつもりであつたものでございますから、それがこう實は延びるとは思いませんので、もう少し早くできるつもりであつたものですから一時止めまして、新しい
制度
によ
つて
支給
しよう、こういうふうにしてお
つたの
であります。ところが今日延びましたのでございますから、その後
從來
支給
しておつた人には
支給
するように處置しておりまして、今は大體
支給
しておるんじやないかと思います。ただ
獨身者
には新しい
制度
でも渡さないことにな
つて
おりますので、
獨身者
には渡しておりませんけれども、
扶養家族
をも
つて
おられる人には渡すように處置しておりますから、多分行
つて
おるんじやないか、こう思います。 それから歸ります時分の辯當の問題でございますが、その方はいつ歸られたかしりませんが、現在では大體において
上陸地
におきまして、現物の辨當とかあるいは乾パンを
支給
することはあり得るのでございますが、非常に遠くになりますと腐ります關係もありますので、外食券を渡しておる、こういうことにな
つて
おりまして、距離によ
つて
違うのでございますが、大體その點は一番初めのころはなかなかうまくいかなか
つたの
でございますけれども、現在は大體改善されてきておるように存じます。もつともこの方は
給與
の方とは直接扱う方が違いまして、厚生省の引揚援護院の方でや
つて
おりますけれども、聞いたところではそういうふうにな
つて
おります。
天野久
19
○
天野委員長
ただいまたいへんいい
お話
を承
つたの
で、
委員會
といたしましても
關係方面
にできるだけ注意します。ほかにだれか御發議はありませんでしようか——それでは今日は
中共地區
の
お話
を承りたいと思いましたが、
浦野
さんがお見えになりませんので、また次會にお願いすることにいたします。 本日はこの
程度
で
會議
を閉じます。 午後零時十五分散會