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1947-10-13 第1回国会 衆議院 運輸及び交通委員会 第27号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十二年十月十三日(月曜日) 午前十一時二十二分
開議
出席委員
委員長
正木
清君 理事
高瀬
傳君 井谷 正吉君 重井
鹿治
君 館 俊三君
成重
光眞
君 橘 直治君 原 彪君 堀川 恭平君
岡村利右衞門
君 田村 虎一君 高橋 英吉君 木下 榮君 前田 正男君
出席政府委員
運輸事務官
郷野
基秀
君
委員外
の
出席者
專門調査員
岩村 勝君
—————————————
十月十一日
兵庫縣宍粟
郡における省
營自動車開設促進
に關 する
陳情外
二件(第三八三號) を本
委員會
に送付された。
—————————————
本日の
會議
に付した事件
道路運送法案
(
内閣提出
)(第四七號)
—————————————
正木清
1
○
正木委員長
會議
を開きます。 前會に
引續
き
道路運送法案
を議題として
質疑
を續行いたします。
質疑
はこれを許します。
高瀬傳
2
○
高瀬委員
この前の
委員會
において、私は
道路運送法
第
八條
の
中央道路運送委員會及び地方道路運送委員會
の
性格
について卑見を開陳いたしましたが、なおその點について本日
意見
の開陳を
引續
き行いたいと存じます。私はこの前、この
運送委員會
が
民主主義
的な角度から、どうしてもこの
道路運送法
を完全に施行するためには必要なりという
政府委員
の御
意見
を伺いましたが、もし眞にこの
道路運送委員會
を
民主主義
的な
意味
において活用せんとするならば、
政府當局
の考えているような
制度
ではとうていその
實現
ができない。なお現在においては、未だ
道路運送委員會
の
性格
を
いかよう
にするかという點については、
はつ
きり
政府委員
の
意見
は開陳されていないように思いますが、おそらくこの
道路運送委員會
を
行政官廳
の
諮問機關
にされる
意向
ではないか、かように考えるわけであります。私は
鐵道會議
の
性格
につきましても、昨年
來種々意見
を申し述べて、
諮問機關
である
鐵道會議
のごときは、單に
官廳
の
責任囘避
の一つの道具である、すこぶる非
民主主義
的な組織としてこれの廢止方を熱望して現在に至
つて
いる一人でありますが、それと
性格
を同じくするようなこの
道路運送委員會
を今囘
設置
して、これを
主務官廳
の
諮問機關
とするならば、少くともこの
委員會
の
設置
によ
つて自動車事業
の
民主的發展開發
は
絶對
に行われないと
言つて
も私は差支えないと思うのであります。この前の
委員會
において、この
道路運送委員會
はこれをやめるか、しからずんば、存置するとするならば、この
委員會
を
政府
の
機關
にすべきであるというような
意味
のことを大ざつぱに申し上げましたが、本日は、
はつ
きりとこの
道路運送委員會
を明らかに
政府
の
機關
にいたしまして、
中央道路運送委員會
の主管する
項目
、
地方道路運送委員會
の審議する
項目
、こういうものを
畫然
とわけまして、この
道路運送委員會
は
中央
、
地方兩者
とも
政府
の
機關
として、この
自動車運送事業
に關する限り、
道路運送
に關する限り、權威ある
決定機關
とすべきであるというのが私の見解であります。
從つて
この
道路運送委員會
を設けた
趣旨
が、民意を尊重するという
立場
において設けられたということは、もちろん各
委員竝びに政府當局
も御異論のないところと存じますが、はたしてしかりとすれば、明らかにこの
道路運送委員會
は
政府
の
決議機關
をすることによ
つて
、その
設置
の
趣旨
を完全に徹底することができると私は確信する次第であります。
從つて
この
道路運送委員會
が
決議機關
として
政府
の
機關
の一部に
設置
された場合に、その主管する
事項
はどこに所屬すべきかという問題も起きるでありましようが、それは
内閣
の直
屬機關
でもよろしいし、あるいは
主管大臣
、
運輸大臣
の直
屬機關
でも決して差支えはないし、新
憲法
の
趣旨
にも
絶對
に抵觸しないと私は確信いたします。そういうような
理由
で、この
道路運送委員會
の
設置
を
政府當局
が主張されるならば、少くとも
決定機關
とし、その所屬を明らかにし、
事務當局
はこの
運送委員會
を通して
自動車運送
の、あるいは
自動車業務
の健全なる發達に寄與すべく努力されるべきであると私は信ずるものであります。どうぞそういう點について十分御考慮の上、この
道路運送委員會
をあくまで
設置
するという御意思ならば、この
道路運送委員
を
政府
の
機關
として
決定機關
とする、同時に
中央道路運送委員會
と
地方道路運送委員會
の主管する
事項
を
畫然
と
條章
に明記さるべきではないか、こういうように私は考えますので、この前の
質問
になお敷衍いたしまして本日
質疑
を行つたような次第であります。
郷野基秀
3
○
郷野政府委員
お答え申し上げます。
道路運送委員會
の
性格
につきましてのただいまの御
意見
につきましては、私
ども
といたしましても、その御
趣旨
に對しまして十分これをさらに檢討いたしまして、御
意向
に副うように、少くとも
道路運送委員會
の今後の
運用
につきましては
措置
を講じなければならないと考える次第でございます。
道路運送委員會
は私
ども
の考えておるところによりますと、
實質
的にはただいま
お話
のありましたような
運用
でや
つて
まいりたいと考えておるものでございます。從いまして第
八條
の
規定
にございます。
道路運送委員會
の
意見
を徴しなければならないということは、
道路運送委員會
の
意見
を徴しまして、その
意見
を尊重いたしまして、
行政官廳
は
行政措置
を講じなければならない、かように考えておるのでございます。さらに
具體的
に申しますならば、
憲法
あるいはこの
道路運送法
その他法律に明らかに抵觸するような答申でない限り、その
道路運送委員會
の
意見通り
に
行政官廳
は處置をしてまいらなければならない、かように考えておるものでございます。ただこれを形式的な關係におきまして、ただいま
高瀬
さんのおつしやいましたような
決定機關
と申しますか、
むしろ官廳
の
性格
を與えるということをいたしませんでしたその
理由
は、結局
日本憲法
の建前から申しまして、
運輸大臣
が
國會
に對しまして
責任
を負うということにな
つて
おりまするし、また
行政官廳
の機構につきましても、こういう
委員會組織
の
官廳
というものを十分に豫想しての
規定
もできておりませんので、これらの點を考えまして、やはり形の上におきましては
道路運送委員會
を
諮問委員會
という形にいたしまして、
運輸大臣
その他
行政官廳
がその
事務
の處理につきましては
責任
を負うという形をとつたのでございます。しかしながら御指摘のごとく
實際
の
運用
にあたりましては、
道路運送委員會
を
決定機關
であるかのごとく
運用
してまいりたいということを考えておるのでございます。從いまして
委員
の資格につきましても、またその
審議事項
につきましても、やはりこの線に沿いまして考えてまいりたいと、かように考えておるのでございます。
お話
のように
アメリカ
あるいはイギリスのこの種の
委員會
につきましては、やはり
行政官廳
としてこの
考え方
をとりまして、この
委員會
が名
實とも
に
行政權關
として
實際
を擔當していくというような
考え方
で取扱われておるようでございます。從いまして私
ども
といたしましては、
道路運送委員會
を、今の私
ども
の法律的な
考え方
、そういう點からいたしまして、形式的には
諮問機關
として取扱
つて
まいりますか、
實質
的には、これに
外國
の例における
委員會
のごとき
實質
を與えましてその
運用
に當
つて
いきたい。なおこの
制度
につきましては、私
ども
といたしては新しく取入れる
制度
でございますし、從いまして第一の段階として、ただいま申し上げましたような、この
法案
に盛られておりまするような
道路運送委員會
の
考え方
で
運用
に
當つて經驗
を積んでまいりまして、將來の行き方といたしましては、諸般の問題を關連いたしまして考究いたしまして、ただいま
お話
のような形などにつきましても、十分に研究をしてまいるべきものと存じておるのでございます。
高瀬傳
4
○
高瀬委員
ただいま
政府委員
の御
答辯
でありますが、先ほど私が述べました
意見
の中でやや足りない點があるのであります。この
道路運送委員會
の
設置
に
伴つて
、いわゆる
行政主務官廳
たる
運輸省
の
責任
に對する事情が
はつ
きりしない。この點私はこの
條文
を見ても妙に考えるおる一人であります。でありまするので、こういう
委員會
を置かないならば、これらの
事項
は
運輸省
の
責任
と
創意
で行
つて
いく。もし強いて、この
責任
と
創意
が明らかにされたもとにおいて
諮問機關
としての
委員會
を置くというのならば
——
かりに
議論
を一歩讓りますと、そういうことが考えられるのでありますが、とにかくこの第
八條
の
道路運送委員會
の
設置
の
條文
を見ますと、いわゆる
主務行政官廳
、として
自動車
、あるいは
道路交通
の、あるいは
運送義務
についての
責任體制
が形式的にも
實質
的にも明らかにされていない。一
體運輸大臣
は、これらの重大な
陸上運送
について、
行政官廳
としてのいかなる
責任
を形式的にも
實質
的にも負うのか、その點はこの
條章
では明らかにされていないのであります。しかも表面だけこの
條章
を見ますと、
道路運送委員會
の
設置
によ
つて
、ただいま
郷野政府委員
の御
説明
に
なつ
たように、
實際
は
道路運送委員會
がすべてのことに
諮問機關
としてではあるけれ
ども
決定權
をも
つて
おるので、
行政官廳
がその
責任
は全部負うのだ、こういつたような御
説明
であります。だから本當のところを言いますと、この
道路運送委員會
の
設置
によ
つて
、
自動車行政
の
萬般
を規制し、あるいは決定して、形式的には
行政官廳
が
責任
を負うというように相なろうと思うのであります。そうすると、いわゆる
國家
の
公企業
を扱
つて
おる
運輸省
の
大臣
としての
責任體制
というものは、この
陸上交通
の
發達助長
、あるいは規制について非常に
あいまい模糊
たるものになる。そういう
状態
はわが國の
現状
においては決して許されることでもなし、また
運輸大臣
が
はつ
きりとそういう點について
責任
を負うとしましたところが、これは
民主主義
の
原則
に反するものでは
絶對
になかろうと私は考えるのであります。
從つて
そういう點で、
政府
の
道路運送
に對する
責任
を明らかにされるために、また
道路運送
を
發達助長
されるために、この
道路運送法
が修正されると私は了解しておりますが、もしそれならば、この
道路運送委員會
は
中央
、
地方
を問わず、その
委員會
の
責任
においてこれを決定すべきであるというのが當然の
議論
の結論にな
つて
くるわけでありまして、その點を明らかにせず、
行政官廳
は
責任
は負うけれ
ども
、
實際
は
道路運送委員會
は
諮問機關
としてほとんどすべてのことを決定する
機關
なんだというような、
あいまい模糊
たる
状態
は、決して
民主主義
の
原則
に反しないとおつしや
つて
も、私は
日本
の
現状
ではどうかと思うのであります。もしそれくらいならば、明らかにこの
道路運送委員會
を
決定機關
にしまして、
運輸省
の
機關
である
陸運監理局
なり、あるいは
地方
の
自動車
事務
所なり、この
中央道路運送委員會
、
地方道路運送委員會
を補助する
立場
にする。そうでないと、こんな重大な
陸上運送
について、こんな重大な
陸上運送
について、
指揮命令
あるいは規制するということにな
つて
、
民主主義
の
原則
に反するという考えをもたれる向きもあるかもわかりません。
アメリカ
の
國情
から言うと、おそらくそういう
考え方
になろうと思いますが、もしそういうことなら、なおさらこの
道路運送委員會
を
はつ
きりした
政府
の
決定機關
にして、これがすべてを決定するというところまでいかなければ、いわゆる
民主主義
の
原則
が徹底しないと私は考えておるわけであります。しかもただいま
郷野政府委員
の御
説明
のうちに、こういう
道路運送委員會
を
政府
の
機關
にしたという前例は今までない、
從つて
そういうことも困るという
意味
合いの御
答辯
がありましたが、私はむしろほんとうにこの
道路運送法
を
民主主義
的な
運送法
にするならば、明らかにかくのごとき
道路運送委員會
を
國家
の
機關
として
規定
する新しい
制度
を設けて、そうして新しい機軸をこの
道路運送委員會
の
設置
に見出すのが
民主主義
的な
當局
の
考え方
ではなかろうかと考えまするので、どうしてもこの
道路運送委員會
を
政府
の
機關
の一部として
決議機關
にすべきであることを重ねて要望して私の
質問
を終ります。
正木清
5
○
正木委員長
他に
質問
はございませんか
——
それでは本日はこれにて散會し、午後一時より打
合會
を開いて、本
法案
に對する態度を決定したいと思いますがいかがでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
正木清
6
○
正木委員長
では本日はこれにて散會いたします。 午前十一時四十九
分散會