○水谷國務大臣 ただいま
中野さんの御
質問に答える前に、經濟
安定本部に
隱退藏物資の
摘發處理が移される以前における
商工省の
隱退藏物資處理方法及びその實績を一
通り御説明申し上げれば、大體よくおわかりであろうと思います。それを
一つ御説明申し上げまして、
あとは一々の點にお答えいたしたいと思います。
昭和二十一年二月十七日
隱匿物資等緊急措置令を公布いたしまして、石油、繊維、鐵鋼等、十六品目の
調査物資につきまして、一定
數量以上の
所有者及び占有者から申告を徴し、主として各道都府
縣廳及び商工局におきまして、書面
調査及び實地
調査によりまして隱退藏の認定を行い、また申告を行つたものにつきましては、警察の協力を得て
摘發に努めまして、右により
所在の確認された
隱退藏物資は、これを各
物資別の統制機關に買上げさしたのでございます。同令は舊軍保有の
特殊物件、官廳の所有
物資等、一部の保有
物資につきましては除外したのでございますが、一應廣く全國的に主要倉庫、工場等についての
調査を行つたのでございまして、その結果として、現在までに石油類が約五キロリツター、織物約七十九
萬反、服及び外套約六十一萬點、鐵鋼約三萬三千五百トン等、公定
價格にいたしまして約十億圓の
物資が買上げられており、なお今後におきましてもある程度増加する見込みでございます。買上げられました
物資につきましては生ゴム、革、錫のような、主として輸入に依存しておる
物資、特に大口のものは中央
配分とし、いずれも
物資需給計畫の供給力に組み入れまして、正規の
割當を得たものに
配給されたのでございまするが、その他のもの——これが大部分でございまするが、その他のものは、これをば
物資需給計畫外の調整分といたしまして、その
處分を各
地方廳に委ねたのでございます。各
地方廳におきましては官吏合同の買上諮問
委員會、
關係官吏、産業
團體代表、政黨人、新聞人等をも
つて構成された諮問
委員會に諮問いたしまして、各地の
具體的實情を勘案しながら、おおむね中央の
指示した方針に從いまして、消費財は農村の食糧供出見返り用、引揚者、戰災者用にこれを用いまして、生産財は進駐軍用、石炭、化學肥料、その他重點産業用に振り向けられて
配給中でございます。
配給先の詳細につきましては、
商工省は
報告を求めていないので、
具體的な
割當先はわか
つておりません。
隱匿物資等緊急措置令が公布以來すでに一箇年半を經過いたしまして、當初の豫定よりも
處理が遲延しつつあるのは御指摘の
通りきわめて遺憾でございまするが、この原因は人手不足による
調査及び認定事務の遲延によるものであり、第二には工場在庫
物資については經濟
事情の變化による遊休資材の稼働化、たとえば工場操業再開等に基くもの等によりまして、讓渡
命令の解除が續出いたしましたこと、第三には相繼ぐ物價騰貫によりまして、供出
價格に關し
所有者との折合いがなかなかつかなかつたこと、第四には買上げと決定しても、輸送、荷役の
關係でネツクが續出したこと、及び引取
費用が
實際上高騰して、周旋機關の資金繰りがむつかしかつたことがあげられると思います。しかしこの
處理は近日中に全部一應完了する見込みであります。近日と申しましても、半年というような先ではございませんので、二、三箇月中に全部完了する見込みでございます。
さらにただいま
中野さんの御
質問によりまして、
商工省がこれらの
物資を退藏しておるというような御
質問でございましたが、これはこの説明で明らかでございますように、
一つの品といえ
ども退藏してはおりません。