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1947-08-02 第1回国会 衆議院 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年八月二日(土曜日)     午後一時四十分開議  出席委員    委員長 加藤 勘十君    理事 武藤運十郎君 理事 吉田  安君    理事 本多 市郎君 理事 石田 一松君       足立 梅市君    清澤 俊英君       荊木 一久君    小島 徹三君       福田 繁芳君    鍛冶 良作君       北浦圭太郎君    辻  寛一君       水田三喜男君    徳田 球一君  出席國務大臣         國 務 大 臣 和田 博雄君  委員外出席者         議     員 世耕 弘一君         總理廳事務官  國鹽耕一郎君     ————————————— 本日の會議に付した事件  隱退藏物資等に關する問題  證人出頭要求の件     —————————————
  2. 加藤勘十

    加藤委員長 前會に引続いて開會いたします。  前會の徳田君の要求によりまして和田安定本部長官が出席されておりますが、和田安定本部長官は二時からやむを得ざる所用のために出かけられるそうでありますから、その前に御質問の點があつたならば御質疑をしていただきます。もしあとに殘るようでありましたならば次會にまわすことにして、大體二時になつたならばここを引上げられるということを御了承おき願いたいと思います。  さらに前囘の委員會世耕君から發言のありました、世耕君の持つておる資料が全部總司令部提出してあるということでありましたので、話をいたしましたところが、G・H・Qにおいては快く世耕君から提出されておつた關係書類は全部委員會の方に貸す。保管だけは責任をもつてもらいたいというので貸してくれました、同時に、その時私の折衝しました係の方は、この議會にできた委員會については非常な期待をもつて、その成行きを見守つております。どういう困難があつてもこの目的を達してもらいたい。もし委員諸君にあるいは干渉がましい、あるいは脅迫がましい、もしくは危害を加えるようなことが起つた場合には、第八軍に言つてくれれば、第八軍からM・Pを出して保護もするし協力もする、であるからしつかりやつてもらいたい。こういう言葉さえ與えられたのであります。私はその時に申しました。われわれは國會の權威と同時に國會の品位を傷つけないように、しかも徹底的にこの眞相を追究したいと思う。だからその點は諒としてもらいたいという言葉を發して來ました。  今ここに世耕君か司令部に出したという書類が、和文のものも英文のものも全部あります。まだ私ももらつてきたばかりで内容を見ておりません。從つてこれをどういうぐあいに處理して皆さんに御檢討を願うかということについては、この會議の散會後に理事會を開いて、そこで決定をしたいと思いますが、さしあたつて、いずれにしても今後なお集まつてくるのであろうと思われます厖大資料に對しては、現在の委員部の人だけではとうてい不足で、滿足に整理することはむずかしいと思いますから、とりあえず私は昨日議長と事務總長に話をしまして、委員部臨時の人を入れてもらつて、特に本委員會資料整理に専屬してもらうように話をしまして、この點議長と事務總長との快諾を得ました。いずれ委員部長手もとにおいて臨時に入選されて増員されることと存じます。從つてこの審議は提出されました諸般の資料に基いて精密に、しかもできるだけ迅速に行いたいと存じます。その點あらかじめお含みおきを願いたいと存じます。  さらに、これは私の手もとで集めた資料でありますが、その大部分は終戰當時の、主として海軍霞ケ浦航空隊——あそこに海軍關係航空隊がいくつかありましたが、この航空隊の所有しておつた軍需物資保安隊が解散する時に地方警察署とか、あるいは村であるとか、あるいは農業會であるとか、そういうところに現物を無償讓渡しました當時の、その當事者の受取書が全部一應ここにそろつております。この一點から見ましても。さきに政府請求しました十四箇項目にわたる資料のうち、第一の終戰當時部隊配置状況を知りますならば、どの部隊にもこれだけのものが必ずなくてはならぬはずであります。この中には机一つなんというこまかいものもあるようでありますが、そういうこまかいものはともかくとして、これを全部追究していけばきつと全貌がわかると思います。これについてもいかにこれを整理するかということを、後ほど世耕君の問題と一諸に理事會において協議したいと思います。  それから先ほど復員廳から代理の方が安本の方と一緒に見えまして、資料提出の問題でありますが、何しろただいま申しますように一海軍航空部隊だけでもこれでけのものがありますし、さらにこれが全國的にわたり、全部隊にわたることになれば容易なことではないのでありまして、資料作成上原本はいつでも手にあるものは自由にごらんに入れますが、ここにもつてくるのにはあまりに厖大でありますから、一應一見して直ちに全貌がつかみ得られるような整理された資料を出してもらつて、その資料に疑問があるときには現物についてさらに擔任者にここに來てもらつて説明を聽く、さらに質疑を重ねていく、こういう段取りをしたい、こう思いましてきよういろいろ資料提出の方法について打合をしました結果、あるいは一日、二日時間が延びるかもしれませんが、ざつとしたものでなくて、全貌がただちにわかり得る程度のものを第一次に出してもらうということを話合つたわけであります。  それからさらに営日中野君から請求のありました最近における自發的供出實例について、どういうものがどこから出されておるかという資料請求でありましたが、これにつきましては、一通りここに品物の名前と數量と件別が出ております。さらにこれは所有者所在場所とが明らかにされなければならぬのでありますが、まだ現物取引が濟んでおりませんから、場所ももちろん所有者もわかつておりますが、それはこの表には載せてありません。必要ならばいつでも説明をすることができますし、實物ごらんに入れることができる。さらに現物取引が濟んでしまえば、當然氏名場所とを御報告することができます。こういう話でありましたから、この點は私も諒としております。その點あらかじめ御了承おきを願います。  それだけ委員長として御報告を申し上げまして、引續いて和田安本長官に御質疑がありましたならば、なるべく二時までに切り上げられるように御質問を願いたいと存じます。
  3. 徳田球一

    徳田委員 二時と言えばもう二時ですよ。
  4. 加藤勘十

    加藤委員長 それならば概要だけを一應先に和田長官から聽して、質問はこの次ぎのときに廻していただくならば結構じやないかと思いますが、もしあなたに差支えなければそういうふうにしてどうですか。
  5. 和田博雄

    和田國務大臣 この次ぎにしましよう。この次ぎに出て來ます。
  6. 徳田球一

    徳田委員 毎日新聞に、この前聽こうと思つておるのが出ております。毎日新聞だけ出ておる。これについてまだわれわれの疑問とするところがたくさんありますので、これを一つ聽きたいのですけれども、十分やそこらではどうにもならないと思う。そのほかにもまだ聽きたいことがありますので、それならこのあとにいたします。
  7. 加藤勘十

    加藤委員長 ではこの次ぎに一つお願いいたしたいと思います。
  8. 辻寛一

    辻委員 私はほんの五分くらいですが……。
  9. 加藤勘十

    加藤委員長 どうぞ。
  10. 辻寛一

    辻委員 隱退藏物資というものは正式のルートに乘らない物資であるという、隱退藏物資の定義ついて片山總理からお話がありましたが、そうしますと、正式のルートに乘つておらないものということになりますと、どれだけあるであろうかということは、これは推定よりしようがない。世耕さんは終戰當時の軍の抱えておつた物資、あるいは民間情報等から察して、五百億は下らぬ、こう言つておられます。安本におきましてはこの正式のルートに乘らない、いわゆる隱退藏物資が現在大體どれくらいあるというお見込を立てられておるか。そしてそれは大體どういう資料に基いておられますか。委員長からたくさんの資料要求が出ておりまするが、まだこちらにまわつておりません。ただ目の子勘定ではないだろうと思いますから、大體どのような資料に基いて、また現在どのくらいの隱退藏物資があるというお見込を立てられておりますか、この點をお伺いします。
  11. 和田博雄

    和田國務大臣 その點は本會議等でもしばしば御説明申し上げましたように、正確にはわかつていないのであります。隱退物資等緊等措置令とか、その他指定生産財在庫品調整規則、あるいは不急物品製造販賣制限規則、といつたよう規則によりまして、今まで隱れております未活用物資活用をいろいろはかる施設をやつて來たわけでありますが、この前のたとえば在庫品調査等に基きまして調査しましたものについても、まだ集計が實は出ていない。そういつたような状態でありまして、隱匿物資について正確にどの程度にあるかということにつきましては、正確な數字はわれわれの方としても申し上げられないのであります。從いまして今囘政府の方といたしましては、ここに委員會をつくりまして、至急に正確な數字をこの際把握したい。こう考えておる次第であります。
  12. 辻寛一

    辻委員 大體の見當もついておらぬようでありまするが、世耕さんの出されました、いつかの委員會なんかに出ておりましたものに對して、監査局長からのお話のようでありましたが、百五十通のうちで完全に摘發されたものはわずかに二件である、相當あいまいの情報に基いて摘發されておるのであるから、というようなお話がありましたが、そういうようなところから考えまして、五百億などということは思いもよらぬ。約三千萬圓くらいの程度であるというようなお話も出ておつたようであります。そうすると大體のところは約三千萬圓くらいのところに仰えておいでになるのでありましようか。詳しい資料に基かなければはつきりしたことは言えますまいが、現在の心づもりはそんなところにあるのでございましようか
  13. 和田博雄

    和田國務大臣 そうも私は斷定できないと思います。と申しますのは、監査局長が申し上げましたのは、安定本部の方でやりましたものの處理の件數に基いて言つたのでありまして、それは四月の二十二日から六月三十日までの間、その間にやりました處理件數は、大體受理件數が二百八十二件、摘發件数が百四十五件だ、これが大體において三千百萬圓だと、こういうことを言つているわけでありますから、このほかにまだないとは斷定できないのであります。從いまして私がただいま申し上げましたように、正確に一體どれだけあるかということを今申し上げられない、しかし三千百萬圓だけではない、こういうことは申し上げられると思います。
  14. 辻寛一

    辻委員 いわゆる世耕機關が今度解消になりまして、遊休物資活用委員會ができるそうでありまするが、この遊休物資というのは隱退物資名前をかえたのでございますか。それともまたあるいは特殊物件とか、正式のルートに乘つているものであつても、あるいは官廳の、あるいは特殊人の倉庫に眠つてつて、一向に動いておらないというような物資も含めて遊休物資と稱されるのでありますか。
  15. 和田博雄

    和田國務大臣 さようであります。今度は結局遊休物資とありますから、ただ隱退藏物資だけではありませんで、お話のようにもつと廣く考えております。死藏され、偏在されているものまでも含めて、われわれの方としては考えております。
  16. 辻寛一

    辻委員 そうしますと、それならば今まで稱せられておりましたいわゆる隱退藏物資摘發を進めると同時に、今までのいわゆる遊休物資活用も考えていく、こういうことなんでございますか。
  17. 和田博雄

    和田國務大臣 さようでございます。
  18. 本多市郎

    本多委員 世上いろいろなことが傳えられて、事實でなければ大變御迷惑もされていると思いますので、この際單刀直入一つお伺いしておきたいと思います。私ども靜岡砂糖事件隱退藏物資調査の一環としてやつておりますが、これに關連して和田長官を指したように傳えられておりますのは、砂糖としての拂下げは困難であるが、糖蜜としてならば拂下げができるという入智惠をした者があつた。しかもそのお禮をもらつた人があつた。それがあたかも和田長官のごとく風設されておりますので、こういう疑雲も拂つておいた方がいいと思いますからお伺いすることが一つ。  さらに、新聞にも出ておりはしなかつたかと思いますが、あの事件については一千萬圓というような謝禮はもらつたことはないけれども砂糖二、三斥はもらつたことがある、言わたれたようなことが新聞に出ておりました。小さなことではありますが、そういう事實があつたかどうか。  それからもう一つ。この靜岡砂糖に關連して、やはり農林省に和田さんがおられたとき、職員に對する砂糖の特配があつたということを聞いておりますが、そういうことがあつかどうか。あつたとすれば、長官がもらわれたという砂糖の出所は靜岡のこの問題と關係があつたか。それともほかのものであるならば、どういうところのものであつたかということについて、この際事實がないとするならば、疑雲を一掃する意味において御説明を願いたいと思います。
  19. 和田博雄

    和田國務大臣 非常に御好意のある御質問で、私も非常にうれしいのでありますが、今のお話の三點について、全然そういう事實はございません。この間鈴木司法大臣がこの委員會で御説明になりましたように、あの砂糖事件はああいう内容でありまして、私は實は新聞にあの會社が出、人が出たのを見て、一面識もなし、また聞いたこともないので、實は響いたような次第でありまして、はなはだどうもデマといいましても、まつたく私どもとしては實に響いたような次第でありまして、何にも關係はございません。それからただいま砂糖をもらつたかということがありますが、それも、もらつたことはございません。私があの當時農政局長をやつておりましたときの記憶によりますれば、砂糖配給があつたということもありませんし、私はそういうものを配給としてもらつたことも毛頭ないのでありまして、全然デマでありまするので、さように御承知をお願いしたいと思います。
  20. 小島徹三

    小島委員 隱退藏物資等處理委員會權限というものはどういうものであつたか、聽きたいのであります。
  21. 和田博雄

    和田國務大臣 調査であります。
  22. 小島徹三

    小島委員 隱退藏物資等處理委員會權限はどういうものであつたか。憲法上の權限はどんなものであつたか。たとえばその委員會が直接隱退藏物資をもつている人の所に行つて家宅捜索をするとか、あるいは面會を強要するとか、そういうことができるものかどうかということをお聽きしたい。
  23. 和田博雄

    和田國務大臣 そういうことはできません。
  24. 小島徹三

    小島委員 そういたしますると委員會が第三者をしてそういう隱退藏物資摘發せしめるというようなこともできないわけでありますか。權限をもつた者は別として、權限をもたない者をしてやらせることができるのですか。
  25. 和田博雄

    和田國務大臣 それはちやんとその隱退藏物資調査をする權限をもつた調査班というものがありますから、その調査班になつた者はその權限によつてできますが、それ以前の者はできないわけであります。
  26. 小島徹三

    小島委員 そういたしますと、世耕君が副委員長としていろいろな指令書をお出しになつておりまするが、その際に指令された者は全部この調査班員であつたものか、それとも調査班は構成されていなかつたものでありますか、この點をお伺いいたします。
  27. 和田博雄

    和田國務大臣 調査班というのは構成されていなかつたのであります。
  28. 小島徹三

    小島委員 そういたしますると、世耕君から出された指令書をもつて摘發行つた人間は、何らの摘發する權限のない者がやつたということになるのですか。
  29. 和田博雄

    和田國務大臣 處理委員會に基く權限はないということであります。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員 この隱退藏物資摘發委員會というものは、何か法律なり命令に基いておるのですか。その資料はいただけませんでしようか。
  31. 加藤勘十

    加藤委員長 それは委員長から申し上げます。ただいまお手もと隱退藏物資處理委員會前副委員長世耕弘一氏より發せられた指令に關する件という資料を配付いたしましたが、その一番しまいの方に、隱退藏物資等摘發處理要領という昭和二十二年二月十四日閣議決定内容がここに記されております。これによつて安定本部内にできた處理委員會というものの權限その他については、一應これをお讀みくださると、よく御質問に對する御答辯なりを御了解ができるのじやないかと思いますが、これを先にごらんになつてつた方がいいと思います。
  32. 和田博雄

    和田國務大臣 ただいま委員長のおつしやいましたように、閣議決定に基いてできました委員會であります。
  33. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それはよろしうございますが、これに基いて何か命令とか規則とかいうものは、省令なり勅令なりで出ておらぬですか。ただこの前のこういう決議だけでやつたんですか。何かあるだろうと思いますが……。
  34. 和田博雄

    和田國務大臣 それだけであります。
  35. 武藤運十郎

    武藤(運)委員 簡單に伺います。第一に、ここのところ問題になつております、社會黨からも質問書は出ておるようでありますが、經濟安定本部の性格というものを、あらためて和田さんから簡單にお伺いいたしたいと思います。それに關連しまして、きよう毎日新聞に詳細に發表されておる實施要綱ですが、この中で遊休物資委員會委員というものが、官民双方から任命または委囑する委員をもつて組織するということになつており、中央委員地方委員にやつておるようであります。そうしてその委員會權限というものは、遊休物資調査引取買取等に關する重要方針策定ということであります。それから出ました物資の處分につきましては、當該物資主務官廳の指示により處分するということになつておりまして、委員會はただ供出さした遊休物資配分については、主務官公署を督勵するとともに、その結果につき報告を受けることにする。こういうふうになつておりまして、委員會というものは主として策定だけであつて執行方面には何等權限がないような形になつております。こういうことは今まで隱匿物資摘發というものが、官僚によつて行われて、かえつて隱匿物資の出てくることを妨げたというふうな例もあり、非難もあります。またこの摘發せられたものが官僚によつて猫ばば言つては語弊がありますけれども、最も適當生産または配給ルート、消費のルートに乘せられなかつたというようなこともありますので、私はこの實施要綱を見て、もつと委員というものは、官民双方ということでなくて、民間から出す。またその委員會には、ただ單に重要方針策定ということだけでなくて、遊休物資調査引取買取配分等に關する實際事務も行わせるというふうにした方が、遥かに遊休物資出現をよくするのではないかというふうに考えるのでありますけれども、この要綱に關しまして和田さんの御意見を承りたいと思います。
  36. 和田博雄

    和田國務大臣 時間がございませんので、簡單にお許しを願いますが、安定本部のやりまする事柄は、安定本部の官制に書いてありますように、いろいろの政策の調査立案でありますが、それと同時に今度は經濟行政の方の監査仕事をやるようになつておるのであります。立案經濟行政監査事務というものがはいつておるような機構になつております。ただいまお話委員會でありますが、われわれとしてはこれは委員會が主になつて動く考え方でありまして、ただその委員會事務をやる事務組織を別につくらずに、さいわい經濟安定本部監査という、ちようどこの委員會と同じような仕事をやつておる事務局がありますから、それで委員會の方は總理大臣委員長になつておりますので、委員會の方に使つていただくことにいたしておるわけであります。從つて委員會として、自分で摘發していくということは實際上できませんが、委員會の方が調査班の中にはいつて摘發をやつていただくことは、當然できることであります。もう一つ買取るというようなことでありますが、これはやはり委員會一つの資金をもつて買取るというのではなくして、さいわいに産業復興公團というものがあるわけでありますから、そこでその事務として、買上げていくという仕事をその方にやらしていくのが、別の機關にまたやらせますよりも便宜かと考えて、さようにいたしたわけであります。それから委員會といたしましては、もちろん買上げられましたものが、實際上どういうように配分されたかということについては、常に報告を受けて、それが正規のルートに乘り、必要な部面に配給されたかどうかを十分知つていただいて、もしもそうでないような場合は、十分に監督をし、勸告をしていただく。こういうようにわれわれの方としては一應の案として考えた次第でございまして、ただこの委員會の構成としては、もちろん官廳だけではありませんので、これはほんとうに國民的な運動としてでなければ、本來の效果は達せられませんので、農民團體とか勞働團體とか、あるいは國會議員、その他民間人たち委員の主體を占めるということに考えております。こういう次第でございます。
  37. 武藤運十郎

    武藤(運)委員 この案の御説明としては、大體これに書いてある通りの御説明のようでありますけれども、私の申し上げますのは、その仕事は經濟安定本部監査局及び地方經濟安定局監査部機構を擴充してやるのだということになつておりまして、實際仕事をしますのは、ほとんど經濟安定本部關係の役人がやるということになるのではないかと思います。そして今國民的な運動として事業團體とか、勞働組合協力を得ると申しますけれども、これはただ情報提供というような程度にこの機構ではなると思います。むしろよく知つておるのは勞働組合、殊に丸通關係勞働組合というものが一番よく知つておると思いますけれども、そういうものをただ單に情報提供というのではなくて、私の申し上げるのは、これを委員の中に民間委員として參加させて、實際仕事にあたらせるような機構を考える方が、いわゆる官僚がやつたからいけないのだという非難を免れて實際において遊休物資出現をよくするというふうになるのではないかという意味で、この要綱をもう少しかえるように考慮を拂つてはどうか。こういう意圖から申し上げるのであります。
  38. 和田博雄

    和田國務大臣 お話通りに私は考えております。勞働組合人たち、あるいは農民團體人たちにやはり委員になつていただくつもりなんであります。それからまた末端の調査員の方にも、たとえば勞働組合の方で推薦された委員のある人に調査員になつていただく。ただ經濟安定本部監査局事務をやつていただく。いろいろな事務がありますから、その事務をやつていただくというだけでありまして、調査員の中にはもちろん勞働組合から推薦された責任のある人、勞働組合人たち國會議員、そういう人もはいつていただくという考えであります。
  39. 加藤勘十

    加藤委員長 これでは和田安定本部長官に關しては、この次にさらに出席してもろうことに約束ができておりますし、先ほど申しましたように、二時から用事があるという前もつてお斷りもありましたので、この次に和田長官に對する御質問は延ばしていただきたいと思います。さらにまだ政府委員の發令はみておりませんが、事務的な關係については監査局長がおられますので、もし安定本部關係監査局長答辯し得られる範圍で御質問の方がありますれば、お答えを願うことにいたします。
  40. 水田三喜男

    水田委員 先ほどの小島君の質問に對する和田長官答辯は、なんかうやむやでさつぱりわかりませんでしたが、處理委員會調査班を組織して、現地の調査摘發をやる權限があつたかなかつたかということで、何か權限がないというようにうやむや答辯に終つておりますが、そうだとすれば、世耕氏のやつた行為が何ら權限に基かない行為ということになるので、この點明確にしておいていただきたいと思います。小島君のさつきの質問はそういうところへ誘導的にもつてつたような形で、和田長官もそういうような答えでありますが、そういうふうじやないと思います。閣議決定事項ではつきりと摘發權限を與えておるので、この機關でやつた摘發はかなり廣汎にやつたので、これをうやむやにしないで、この點ははつきりしておきたいと思います。
  41. 石田一松

    石田(一)委員 ただいまの御質問ですが、これは提出された資料の十三、隱退藏物資等處理委員會前副委員長世耕弘一氏の指令書に關する件、これの五のところに「上記の通り退隱藏物資處理委員會の運營の根據は、前掲摘發處理要領のみであつて民間情報提供者に對して假摘發指令書を發したり、物資調査、集荷、輸送を委託したり、又摘發物資に關する拂下の指令書を發したりすることの出來る何等の法的根據も有權的な取極めもない」とはつきりここに資料提出されておるのでありますから、何らここであらためてこの問題を言うことはないと思います。それよりか特にこの際私要求しておきたいことは、過日の委員會において、世耕氏は例の飴の事件について述べられておつたようでございますが、それに關して世耕氏が非常に清廉潔白の士であつて、相當強力にこれを摘發しようというふうな氣概が見えていたことは、私たちもよく知つておるのであります。それがいつの間にやらこの隱退藏物資處理委員會範圍から追出されてしまつて、全然これに近寄れなくされたというような事實があります。何がゆえに世耕氏がこの隱退藏物資等處理委員會の副委員長から退けられ、またこれに對する權限ももたないようになつたか。聞くところによると、これはまだ調査の結果でなければわかりませんが、前内閣の吉田前總理、石橋氏あたりが世耕氏を除外したというふうな風評もあるようでございますから、この際でき得ることならば、現在の自由黨吉田總裁の出席をこの委員會において求め、また石橋氏の出席を求めて、その當時の事情をここで説明していただいたならば、なおこの世耕氏の問題は明瞭になるのではないかと考えます。ぜひ私のこの要求を聞きいれてもらいたいと思います。
  42. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま石田君から、世耕弘一君が安定本部隱退藏物資處理委員會の副委員長としていろいろな仕事をなさつたのに、はつきりしないうちに副委員長が免ぜられておつたということについて、世上當時の吉田内閣總理大臣竝びに石橋安定本部長官などによつて廢されたということが傳えられておるが、それをこの際明確にするという意味で、吉田前總理大臣か石橋前安定本部長官かのいずれかをこの委員會に出席してもらつて、當時の事情を明かにしたい。こういう申出がありましたが、これをいかが取計らいますか。
  43. 鍛冶良作

    鍛冶委員 別に私はそれに反對ではありませんが、直接その衝にあたつた世耕君が今日たしか見えると思います。まず世耕君に聞いたらわかる。それでなお疑問の點があればそうする。私はそういう意見です。
  44. 北浦圭太郎

    ○北浦委員 これは私は詳しいその内容も知つておりますが。吉田總裁よりは石橋湛山君が適當であると思つております。呼ぶことを妨げる必要は何もないのでありますから、當時委員長でありまして、直接その責任の衝にあたつてつた石橋君のお呼び出しは贊成であります。
  45. 加藤勘十

    加藤委員長 それではただいまの石田君の御提議に對しましては、次會に當時安定本部長官であり、隱退藏等物資處理委員會委員長でありました石橋湛山君の出席、これは議員でありませんから證人として出席してもらうことにして、この問題に關する證言をしていただくことにします。
  46. 本多市郎

    本多委員 私も證人と資料についてこの際お願いがあるのですが、世耕君が先だつてせつかくの計畫も官僚のどちらかというと反對を受けたり、じやまをされたために效果をあげることができなかつた、そのなまなましい實例については、證人の説明を求められればよくわかる、ということを言われたのでありますが、今後調査していく上の參考になることと思いますから、世耕君と委員長において、その何人であるかを打合わせられまして、その證人に出頭していただくように取計らいを願いたいと思います。  もう一つは、私がお願いいたしました資料の中で、世耕君の出した前後二百通近くの資料に基く結果の報告でありますが、わずか十一件ばかりが、正式ルート物資であつたために摘發不可能であつたという結果の報告がありますけれども、その他のものについては結果の報告がついておりません。これは安本ではその結果について調査が困難なような文章にはなつております。しかし本部でも必ずその記録はあることと思いますし、わからぬことは世耕君自體からでも結構でありますから、その結果の報告と、さらにもう一つは、靜岡砂糖事件に對する資料でありますが、鈴木司法大臣説明せられたところと相當の開きがありますので、その點について司法大臣に質したい點もありますので、次會でももう一度司法大臣に御足勞ながら御出席をお願いいたしたいと存じます。その三點をお願いいたします。
  47. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま本多市郎君から、前囘の委員會において世耕君が述べられた、摘發にあたつて官吏の妨害のために實際にその仕事を行うことのできなかつた當時の直接の關係者二名もしくは一名、いずれにしても當時の關係者を證人としてここに出席してもらうようにという御意見と、第二には、證人關係からいきますれば、鈴木司法大臣の前會における答辯と、今度提出された農林省からの資料に大きな食い違いがあるから、その點に對する鈴木司法大臣の意見を確めたいために、鈴木司法大臣の出席を求めるという御意見、それから資料につきましては、ただいま世耕君が控室を出たそうでありますから、これは後に世耕君がここに來てから尋ねてみた上で、さらに諮ることにいたします。ただいまの二件のうち一人は證人として、一人は閣僚としてここに出席してもらうことについて御異議ございませんか。
  48. 吉田安

    ○吉田(安)委員 今の、世耕君の官吏が妨害をした、これについての證人の申請を本多君がしておりますが、世耕君があとから來られたならば、その證人が何人かお確めを願つて、その上で證人をお呼びになつたらどうですか。
  49. 加藤勘十

    加藤委員長 もう名前をこの前言いましたね。
  50. 石田一松

    石田(一)委員 ただいまの世耕君の、要するに證人というのは先だつてのあめの問題のことであらうと思います。それに關係のある者も出ること思います。ほぼ私も推察がついておりますが、官憲がこれを妨害した。妨害された方ばかりの證人を呼び出して調べてみても、それは妨害されたことばかりが出るのでありまして、これを妨害した事實があるならば、妨害した官憲をも合わせここに證人として出頭してもらつて、しかもこの官憲がこれらの摘發を妨害せざるを得なかつた背後關係をまで、この官憲の口を通じてここで追究する必要があると思います。おそらく私たちの考えるところによると、ただ一警察署の署長や、一警視廳の經濟部の警部が、自分の獨斷をもつてかかる大きな重大問題を未然に、摘發を中止しろとか、これを妨害するとかいうことは、ちよつと常識としても考え得られないのでございます。その背後の關係、すなわち官僚的にいえば、その長官であつた警保局長とか、内務大臣とかから出たか、それともどこかの有力なる筋からの策謀があつたか、そこまで追究しなければ、妨害された方ばかり證人を呼んだつて何ら意味がないと私は思います。
  51. 加藤勘十

    加藤委員長 今の石田君の意見と、それから本多君は栃木縣の方の件でありますか。
  52. 本多市郎

    本多委員 そうです。
  53. 加藤勘十

    加藤委員長 石田君のは、本多君の栃木の件と目白の水あめ事件と關連させて言つておられますから、それならば、石田君は目白の水あめ摘發についての問題として、別に證人喚問を發議されたいと思うのです。まずとりあえず本多君の栃木の摘發妨害をされた人の氏名は、後ほどここに世耕君が参りますから、世耕君から氏名を聽いた上で決定いたしたいと存じます。それから、もし石田君が水あめ問題に關して證人を呼びたいというならば、あらためて御提議をしていただきたいと思います。
  54. 石田一松

    石田(一)委員 ただいま大變結構な裁量を委員長からしていただきましてありがとうございました。あらためて私はその水あめ事件に關して、警視廳竝びに目白の前署長である秋田氏あたりがこれを妨害した、しかも妨害せざるを得なかつた背後關係があるのではないかと相當私も考えておりますので、私は妨害された方よりか、妨害をしたその當時の官憲をまず證人として呼んで、その妨害した根據、すなわち法律的な權限とか、その背後關係などを相當強くお尋ねしてみたい。こういう考えをもつております。
  55. 加藤勘十

    加藤委員長 これは石田君、前の世耕君の御意見は、目白の場合には、妨害というよりは、中止命令が出たために途中でその仕事を打切つた、こういう世耕君の御意見でありました。
  56. 石田一松

    石田(一)委員 中止命令が出たという事情……
  57. 加藤勘十

    加藤委員長 わかりました。
  58. 水田三喜男

    水田委員 私はそういうふうな證人を呼ぶことは贊成ですが、ここは世耕事件の法廷ではないのだし、それに關係した者を次ぎ次ぎに無統制で呼ぶことになつたら、この委員會は何日かかつてもやれない。まずこの委員會のプログラムをつくることが先で、本筋の隠退藏物資全貌をはつきりする仕事をやりながら、この委員會のほかの仕事として、官僚が今まで妨害したそれの事例を國民の目の前に發表させなければいかぬ、そういう時においては、世耕氏の關係した限りにおいては官僚が妨害したのだということが出てきたらそういう證人を喚ぶし、民間情報としてもたくさん集まつてくるから、その報告委員會が審議しようというときには、それに關連した事件を整理して、どの事件の參考人をこの委員會で喚ぶかということをきめて、統制をとつてやるのでなければ、ばらばらに、あめ屋の關係者を呼ぶ、さらに次のを喚ぶなどということで、この委員會が無統制な思いつきで證人をどんどん呼ぶなどという調査方法では、本筋をそれたところへ行つてしまうので、そういう無統制に證人を喚ぶということは反對です。この次はどういう項目を取扱い、それに必要な人を喚ぶというように、一つ一つ調査項目を整理して片づけていかなければいけないので、あめ屋とか何とかわれわれ委員會が今喚ぶ段階ではないと思います。
  59. 加藤勘十

    加藤委員長 今の水田君の御意見でありますが、先ほども申しますように、この委員會に集まつた資料の整理竝びに運營の方法については、後ほど理事會を開きまして整理するつもりであります。つきましては、御承知のように、ここに出ておるだけでも、これはみな一枚々々千何百通にわたるものなのであります。これを委員部において整理して、皆さまに直ちに理解ができるようにしまするためには、若干の時間を要するわけであります。さらに今後今おつしやつたように、民間からも適切と思われる情報なり、資料なりが提供されると思いますので、そういう場合においては、もちろん民間からの證人も來ていただかなければならぬことになるのでありますが、今それと二つの線で、いわゆる世耕事件なるものが審議の對象になつておりまする關係から、それに關連ありとする問題は、世耕事件とは單にどこの何の事件であるという意味でなく、先般世耕君から述べられた點から見ましても、さまざまな事件が出ておるわけであります。從つて世耕君の問題も併わせて審議を進め、そうしてこの參考書類が時間的に見て整理できまするときに、相呼應して本格的に隠退藏物資の筋道を追う。實はこのことにつきまして先ほども申しましたように、復員廳から關係者がまいりまして、ほとんど毎晩十二時くらいまで書類の整理にあたつておるそうであります。非常に時間を急いでやつておるその誠意は認めなければならぬと思いますが、いかに誠意を認めましても人の力には限度がありますから、時間的に若干の時間を要すると思います。隠退藏物資の本格的な調査につきましては、そういう書類が整理されまして、皆さんのお手もとに整理書類がまわつた上でいたしたいと思います。それまではなお何囘かの委員會において、當面問題となつておる世耕事件をまず明らかにしていきたいというのが委員長の考えでありますから、この點御了承願いたいと思います。そういう意味で先般世耕君が述べられた、いわゆる目白の水あめ事件なるものも併わせてこれを明白にしておけば、一層好都合と思いますので、そういう點で委員長としても石田君の提案は、ごもつともだと思うわけであります。辻君。
  60. 辻寛一

    辻委員 監察局長にお尋ねいたしたいと思います。
  61. 加藤勘十

    加藤委員長 ちよつとお待ちください。その前に先ほどの證人の問題につきまして、世耕君にちよつとお伺いいたしますが、先般委員會でお述べになりました栃木縣下における官權の妨害のために、實際仕事を不能に終らしめられた被害者的地位におる人をここに證人として喚びたいと思います。それで氏名と住所がわかれば知らしていただきたいと思います。
  62. 世耕弘一

    世耕弘一君 その點についてはあと委員部の方へ……。
  63. 鍛冶良作

    鍛冶委員 ちよつとその點について被害者がどうか知らぬが、當時辯護士もその中にはいつてつたのですから、その辯護士の方がかえつてよくわかるのではないかと思います。それからこの間世耕君のお話を聽いて、はなはだ腑に落ちぬと思つておるのは、檢事が封印をして來たのを警察官が破棄したと言われる。これはちよつとわれわれとしては常識上考えられぬので、どういうわけであつたか。同時にその封印したる檢事、そうして破棄されたのはどういう手續でどうなつたのか。それと先ほど石田さんが言われたそういうことをした警察官、これらも一緒に喚ぶ方がいいと思います。
  64. 加藤勘十

    加藤委員長 それではただいま鍛冶君からの補足提議がありまして、ひとり摘發仕事を妨害された人ばかりでなく、世耕君が派遣された辯護士の方、それから水あめ事件に關する警視廳の方のお名前がわかつておりましたら知らしていただきたいと思います。
  65. 世耕弘一

    世耕弘一君 その書類は全部G・H・Qに行つております。その中に全部あると思いますすが、それはあと委員部の方へ……。
  66. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは後ほど委員部の方へ知らしていただきまして、以上三名を證人として……。
  67. 鍛冶良作

    鍛冶委員 檢事及び關係した警察官竝びに辯護士も……。
  68. 加藤勘十

    加藤委員長 これは委員長一任ということでなく、委員會決定において正式のものといたしたいと思います。氏名については後ほど書類を見ればはつきりいたしますから、人員は當時の世耕君が派遣された辯護士、摘發仕事を妨害されたと言われる人、それから檢事と、檢事の封印を破棄した警察官、栃木縣下においてはこの四名。それから水あめ事件については當時の目白警察署長と、警視廳から警察へ中止命令を出した人、さらに追加しまして、水あめ所在の情報提供した情報提供者、それから石橋湛山君と、以上八名を次會の本委員會に證人として出席を求めることにいたします。
  69. 加藤勘十

    加藤委員長 ちよつとお諮りいたしますが、次會と申しましても、遠いところで栃木縣近いところで市内でありますから二度にわけまして、次會に喚び得る人を第一に喚び、時間的に間に合わない人はその次に來てもらう。こういうことにいたします。御異議ありませんか。
  70. 加藤勘十

    加藤委員長 それではそのように計らいます。清澤君。
  71. 清澤俊英

    清澤委員 だんだん發展してきまして、初め第一囘できめました調査方針から大分からを破つてきていると思いますし、同時に各人の手もとには個人の隱退藏物資があるという申告もたくさんきております。これも放置しておくことはできないと考えますので、それらいろいろの點が先も本多さんの言われた通りこのまま行きましたら抑えることのできないようなところに行つてしまうと思いますので、委員長の仰せられる通り理事會でもつて方法をきめるといつておられますが、そのときそういつた點も一つ一切加味して十分秩序立つた方法で進められるように考えていただきたいと思うのであります。
  72. 鍛冶良作

    鍛冶委員 なお資料の點で世耕さんが見えておるからお聲きしたいと思います。これはこの間の新聞に出ておりましたが、元官吏、調査員の手記として、世耕氏と相前後して調査員たるもので、いろいろの隱退藏物資を調べて、役所を歸つてみたら首にせられたという者がある、こういう手記が新聞に出ております。これは大變重要なことだと思います。これについて世耕さんは何か思い當るところがありましようか。全然あなたと無關係なものでありましようか。世耕弘一君 その點については本人から手記が參つております。本人の承諾を得ておりますから必要があればここで發表してよいと思います。
  73. 加藤勘十

    加藤委員長 それではただいま鍛冶君の提議によります新聞紙に出ておつた一官吏の手記なるものを世耕君が所持しておりますので、これをここで朗讀することにいたします。御異議ありませんか。
  74. 加藤勘十

    加藤委員長 御異議がなければさようにいたします。
  75. 世耕弘一

    世耕弘一君 これは本人の手記であると同時に本人から發表の了解を得ましたことで、委員會が必要があるときには何どきでも出頭すると申しておりまするから、そのことをお含みおき願います。  七月二十九日夜私の所へ來訪されて話された方で、元運輸事務官黒田五郎という人であります。「二十二年四月二十五日大阪村三島郡春日村字郡井和印刷所隱退藏の紙類(帳簿用紙、ザラ紙、模造紙その他)三千連、八千連、九千連の倉庫を調査せり。社長松村氏は地元警察署員へ現在まで莫大なる手當を出してあり、黒田に對しても見逃してもらいたいと申込あり、他の摘發員が調査に來ても大藏省財務局の委託品ということに帳簿を作成すべく、財務局員ともわたりがついていると申し述ぶ。黒田がこれを聞い流して第三の倉庫を臨檢すべく一歩を入れたるところ茨木警察署員が(あらかじめ尾行して用意していたことが後刻判明)強制留置の手段に出で來り、經濟主任警部補監田友秋はべろべろに酔うて、「黒田貴樣がここで恥さらしの憂目を見ているのは貴樣が惡いのでなく安本が惡いのだ、東京へ歸つたらよく報告しとけ、おれなんかいつ首になつつた食うにや困らぬよ」と捜査主任ともども罵聲をあげて部下刑事どもに亂暴極まる身體檢査を命じ「お前を首にしてやるからそう思え」と。——東京へ歸りました結果遂に免官にされたまま經濟安定本部からも相手にされぬ状態なり。」黒田君が出發に際して隱退藏物資摘發に出かけるから關係官廳へ十分協力するようにということを、本省から官用電報を打つてもらつて出かけたとのことであります。  次にもう一つの手記でありますが、「奈良縣櫻井警察署管内櫻井乾繭倉庫二つに四十萬反の綿布あり。これは終戰當時海軍黒潮部隊が三重縣、和歌山県の沿岸に置去りにした物資の一部で相當横流ししていたために、數多のブローカーが縣當局と氣脈を通じ、問題化し檢察當局の調査が開始されるや、管理人の河井某は三月二十日に自殺し、檢事局方面では松井縣會議員がもみ消し運動をし殘品、軍衣袴十萬著、くつ、綿布、毛布等奈良縣下高田町乾繭倉庫へ移轉した。これを知つた奥田勇なる中華人が六萬反を引出し京都方面に流しているとの情報を得たる黒田の情報部員が眞否を調査したる結果、奈良縣八木町乾繭倉庫へ二十萬反隱匿せることほぼ確實となりたり。これは橿原警察前署長佐々木正三、前巡査部長筒井茂等の證言あり。なお元上海民團長であり引揚同胞援護會全國理事長前田秀次郎及びその友人である長濱支部長田中庄次郎等の綿布買付委任状(綿布買付にかかる一切の件)等の書類を示されたことあり。」  以上が私のところへ來訪されて手記した内容であります。なお本人は必要あれば何どきでも出頭してなお詳しい報告を申し上げる、こういうようなことであります。  なお一言私はこの機會に皆樣にお願いいたしたいことは、私の指令書發令の資格云々のことについて本委員會で論議されておられるようで、まことに適當な御處置だと思いまするが、私はできることならば現在私の指令書に關する問題に對しては司直の手が動いてそろそろ調査が進められておるのであります。願わくばさような面の仕事は檢察廳にお任せを願つて隱退藏物資實際的の摘發に一日も早く效果あるようなお取計らいをこの委員會でおとり願うことを特にお願いしてやまない次第であります。
  76. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それではその手記は出してもいいと言われるから委員會へ出していただきます。それから時期は委員長にお任せしますが、ここに本人をよんでもつと詳しく實際のことを話してもらうようにお願いいたします。
  77. 加藤勘十

    加藤委員長 それは適當の時期に審査の進行につれてここでお諮りすることにいたしますから一時留保しておきます。
  78. 清澤俊英

    清澤委員 世耕さんと政府委員の方にお伺いしますが、はなはだ根據が薄弱でありますが、この間の新聞を見ますと何か八億圓の品物を非常に經費を使つて摘發にあたつた。それが全部摘發に終らないでどこかへ散逸してしまつた。自分らは經費だけ殘つたから政府に今損害賠償を出しておる、こういう新聞記事がありましたが、この事件世耕さんは御關係なさつておるかどうかということをお伺いすると同時に、政府委員の方にはそういう要求があつたかなかつたか、また八億圓というような物資が現在摘發せらるべく言うてきたものが今一つ摘發せられないで、そういう問題が省内にあるのかないのか、その點をお伺いしておきたいと思う。
  79. 加藤勘十

    加藤委員長 清澤君、ちよつと申し上げます。實はその問題について、關係者からこの委員會に對して費用の損害賠償をしてもらいたいという請願書が出ておりますが、これはまだ議長の手もとへ渡つておりませんから、議長の方へ出して、議長から本委員會に付託されて初めて委員會の問題になるわけでありまして、今私の手もとへもつてこられましたから、これはいずれ議長に渡すつもりであります。同時に今の八億圓云々の問題はここに全部書類はあります。その内容について眞偽のほどはもとより私知りませんが、持參された書類はここにあります。これについてさらに政府がどういう處置をとられるか、これは去年の五月に打切られておるわけですから、きわめて短時間の間にこれだけの摘發が行われたわれたわけでありますが、内容はもちろん、今言う通り直偽もとより私はあずかり知りませんが、そういう關係者から申出があつたということをちよつと申し上げておきます。いずれ正式にはそういう請願書が議長の手もとにはいりまして、議長から委員會に付託にされたならば、委員會としてこれを取上げたい、そういう意味でこの問題については私觸れないでおりましたが、たまたま清澤君からそういう御意見がありましたので、あらかじめ御參考にちよつとそのことを申し上げておきます。これは政府に直接關係ありませんから、政府の方は別にお答えを願います。
  80. 國鹽耕一郎

    ○國鹽政府委員 ただいまの問題につきましては、私ども新聞で拜見したのみでありまして、安定本部としては現在のところ何ら關與しておりません。内容の物件は軍放出の特殊物件のようでありますので、當時その問題を取扱つた所管は内務省の調査局であります。
  81. 世耕弘一

    世耕弘一君 その問題は私が内務政務次官就任當時に書類をもつて請願がありました。問題は復員局の囑託として摘發をやつた。だからその摘發した當時は司令部の方にも摘發の結果の報告と、その摘發した物件に對する認證を得ましてその原本を内務省の方へ出したのが、當時の金で八億ばかりとなつております。實はそれについては百四、五十萬圓實費がかかつておる。それの手數料がもらえなければ實費でもほしい、こういう申出であつたのであります。おそらく新聞竝びに今委員長手もとに屆いておる文書というのはそのことではないかと思います。なお最近特にそういうような問題に觸れて私のところにまいりました情報によりますと、現にその當時差押えた品物が依然として一部そのままに放置されておることは遺憾だ、何とかならぬのかということを地元から二三言うてきた例があります
  82. 辻寛一

    辻委員 去る十五日に開かれました衆議院の治安委員會で國鹽査局長は、今後は安本に新設された監査局と各地方經濟安定局に配置される行政査察官を中心に地方の警察官の協力を求めて積極的に摘發を行いたい、こういうことを申しておられますが。この摘發行動は即刻お始めになつたのでありますか、またこの地方經濟安定局にはどういうような指合をお出しになつて地方警察とはどういう連絡をとつてやれとかいうような具體的な御指示をなすつたのでありますか。
  83. 國鹽耕一郎

    ○國鹽政府委員 先ほど和田安本長官からもお話ありましたように、今後の隱匿物資摘發に關しましては、内閣の方針に基きまして委員會が構成されてやることになりましたので、若干やる上に變化を來すだろうと存じます。すなわち説明した當時と、委員會ができるまでの間は、安定本部監査局が中心になりまして事務を進めていく、こういう意味に御了解願いたいと思います。そうして地方におきましては地方安定局の中に監査部というのがあります。この監査部の中に在庫品課というのがあり、中央の監査局にはやはり在庫品課というものがありまして、この課が中心になりまして、經濟警察竝びに檢察廳とも連絡をとつて摘發に從事する、この陳容につましては本部はほぼ整備を見たのでありますが、地方は目下陳容の整備中であります。人員は全國で約八百名ということになつておるのでありますが、安定本部關係はさしあたり九月まで三百名を充足するということを目當にしております。
  84. 辻寛一

    辻委員 私は善は急げで即刻お始めになつたかと實は思つたのであります。これは生々しい事件でございますが、生糸の摘發でございまして、「中部日本」のきのうの新聞に出ておるのであります。三十日に起つた事件でありますが、名古屋商工局隱匿物資摘發擔當事務官重見という事務官と、それから愛知縣隱匿物資調査委員平松という人、そのほか八名が生絲が隱匿されておるというので笠松に出かけた。そうすると笠松署の黒田司法主任以下武裝警官五名がやつてきて、摘發するとはけしからぬ、この新憲法下隱匿物資摘發などする權利はないと臨檢を拒み、約三時間もすつたもんだを演じ、ようやく臨檢を認めまして、倉庫内に四千百二十七貫の生絲を摘發したということになつております。今官憲とやみ屋との結託とか何とか盛んに言われておる最中に、こういう生々しい事件が起つておるわけでありまして、先ほどもお答えになりましたように、地方警察官の協力を求めて積極的に摘發をやりたいと仰せになるが、地方警察官そのものがやみ屋とこうした直接の關係を結んでおるのでありまして、これも聞きますれば何か顏役さんであつて、警察へ大變寄附をしておるそうです。そういうくされ縁があるそうです。摘發部隊が語つておるところによれば、こういうわけでありますから、ただ地方警察官の協力を求めてやればできると簡單にお考えいただいてはいかぬと思います。やはり先ほどの黒田事務官の報告にもあります通り、また世耕さんの言われます通り、相當末端においてくされ縁が結ばれておると思いますから、このきずなを斷ち切つて、新しく出發していただかなければならぬと思います。そういう意味においてこの事件をよくお調べを願います。
  85. 國鹽耕一郎

    ○國鹽政府委員 承知いたしました。
  86. 清澤俊英

    清澤委員 今の辻さんのおつしやる通り。私も痛感しておりますから、できるならばやめてもらいたい。それは逃がすということです。へんなやり方をやりましたら、みんな上手に隱してしまう。これは私ら身をもつて體驗しておりますし、ほかかられそういういろいろの評判もあるし、これは事實だらうと思う。世耕さんの言われておる點もその點で十分無理はない。こう考えておりますので、下手なことはおやめになつていただきい、こう考えております。
  87. 加藤勘十

    加藤委員長 清澤君、ちよつとお伺いしますが、やめるというのは何をやめるのですか。
  88. 清澤俊英

    清澤委員 妙な委員會というようなものをつくつてこちよこちよとやるのでなく、もつとしつかりしたものをつくつてやる。
  89. 加藤勘十

    加藤委員長 摘發をやめるというのではなくして……。
  90. 清澤俊英

    清澤委員 今ならば、そういう地方官に電報一本くらい打つてつて變なごたごたするような摘發くらいならやめてもらいたい。それは逃がすことだ。
  91. 北浦圭太郎

    ○北浦委員 私はなるべくなら、こういうことは默つておりたいと思うのでありますが、先ほどから盛んに論議せられまするから、本調査會の委員の一人として、これはよほど愼重にやらなければならぬという根據をひとつお聽き願いたい。と申しまするのは、世耕君もそう言うし、先ほどわが黨の同僚も警察が新憲法下ではできないのだと言つてじやまする。じやまするじやますると言われますが、これは私の信念でございますが、舊憲法下の吉田内閣當事には、天皇は何事もできた。今はできない。憲法第三十五條によりますと、何人も日本の國民は、隱退藏物資をもつておるものも、あるいは不正な物をもつておるものでも、だれでもいい、その住居に侵入されたり、あるいはその帳簿を調査されたり、あるいはまたその持物を檢索されたり、そういうことは權限ある司法官の令状をもたなければできないことは自明の理である。これに反した法律をつくつても無效なんです。三十五條をごらんなつたらわかりますが、きのうまで吉田内閣のやつた通りのことをきようもやろうと思うのは大間違いである。憲法は變つておる。そこで世耕君も、二言目には官僚がじやまするじやまする——私と世耕君とは同黨派であり、また親密な間柄でありますが、一概に官僚がじやまするじやますると言いますが、考えなければならぬ點がある。本調査會はまつすぐにやはり履むべき方法に履んで、憲法に明記されておることはその手續を履んでやらないと事が間違う。と言うて、私は摘發して惡いというのではない。大いに摘發してよろしい。どしどしすべきだ。するのには、憲法の條文に反しない方法でやらなければならぬ。默つていたかつたのでありまするけれども、再再そういうことが出ますので、私の意見として申し上げます。間違つておればいつでも論議し、また訂正することはいたします。
  92. 加藤勘十

    加藤委員長 今の北浦君の御意見に對しては、一番初めの委員會においても私から申す上げました通り、この委員會はそういう公訴權をもつものでもないし、また處分權をもつものでもない。ただ事實事實として、ありのままに白日のもとにさらすということがこの委員會の使命である。その白日のもとにさらされた事實から、公訴すべきものがあれば公訴權をもつたものがこれを公訴するであろうし、處分權をもつたものが、處分すべきである。それは司法權に屬することであり、行政權に屬することであつて、本委員會としましてはあくまでも事實を探求していくというところに使命がある。こういう意味でありまするから、ただいま北浦君がおつしやつたような逸脱は、本委員會に關する限りにおいてはまず私は起らないと思います。但し摘發政府がやろうという場合に、その白日のもとにさらされた資料政府提供することは、審議の途中においても私はなし得ることと思うのであります。そういう程度でありまするから、この委員會が直接に公訴權をもつてどうこうしたり、あるいは處分權をもつてどうこうするということは毫もありません。その點、今御心配になりましたけれども、どうか本委員會の性格、使命について十分御理解になつておる委員諸君は、御了承のことと思います。どうか御安心を願いたいと思います。
  93. 北浦圭太郎

    ○北浦委員 よくわかつておりますが、官僚が妨害した、官吏がいけないのだというその事實、いけないからこれを告發する、そんな權限はここには少しもない。そういう事實を不正な事實なんだ、間違つた事實なんだと言うて調査すること、それ自體がよほど考えなければいかぬ。こう私は申し上げる。衆議院の調査會が行つて摘發するとは毛頭考えておりません。あなたの御意見の通り。そういう官僚々々と言うてせられることもよく考えなければいかぬ。これを私の意見として申し上げたいのであります。
  94. 加藤勘十

    加藤委員長 よくわかりました。初めから間違つておるとか、惡いとかいう前提の上で調査にあたるのではなくして、その眞否を確かめるというためでありますから、その點は御了解をしておいていただきたい。
  95. 世耕弘一

    世耕弘一君 私が調査會を要求したのは、隱退藏物資をめぐつていろいろな疑惑が起り、それがまたいろいろ派生的な問題が起つておるから、できれば國會の大きな力によつてその眞否を御批判願いたい、實情を御調査つてごひろう願いたいというのが私の最初の目的で出發したわけであります。 次に今北浦君から大きな憲法問題を振上げて御説明がありましたが、私もいささか法律を學んだ者でありまするから、憲法問題がどうであるか、人權がどうであるか、新憲法がどうであるかというぐらいのことは承知しております。しかし私が出した指令書によつて、未だ家宅侵入とか法的越權行為があつたということは一つも取上げられておりません。なぜ取上げられなかつたか、私はそういう點に細心の注意を拂つたからであります。殊に摘發にあたつては、できるだけ時局認識をして、その隱匿しておる者からできれば任意供出をするということが私の本旨であります。萬一どうしてもいかない場合は警察の立合を頼む。かような、きわめて微温的ではありますが、私はそれでなければこの隱退藏物資摘發は成功せぬと最初から思つたからであります。ゆえに檢事とか警察的立場においてやつておらないということを御承知おき願いたいのであります。  次に、私が口を開けばすぐ官僚を攻撃するがごとくお聞きになるような御説明があつたようでありますが、この間の委員會で申し上げたのは、不良官僚があるからこれを征伐したいというのが私の希望であります。優良な、りつぱな官僚がないと言うのではない。優良な官僚も多くあるけれども、不良な官僚のためにかえつてりつぱな官僚が葬られている。これを明らかにしたいというのが私の希望であります。  なおもう一つ北浦君に申し上げたいことは、この黒田君の手記を見ましても、また私が情報をとつてみましても、あなたの出身地である奈良縣に隱匿物資がかなり多くあるということははなはだ遺憾であります。できればあなたのお力によつて、これを供出するように御協力願いたいということを申し上げておきます。
  96. 小島徹三

    小島委員 私は世耕君の發言を決して止めるわけではありませんけれども世耕君にきよう證人として喚ばれておるわけでもなんでもないのだから、その資格をはつきりしておかないと委員會がでたらめになつてしまう。
  97. 加藤勘十

    加藤委員長 いや、そうではありません。委員外の議員はその問題に關連して意見があるときは、自由に意見を述べる資格をもつております。
  98. 小島徹三

    小島委員 何人でもいいのですか。
  99. 加藤勘十

    加藤委員長 もちろん委員長がこれを許可した場合であります。
  100. 小島徹三

    小島委員 證人ではないのですね。
  101. 加藤勘十

    加藤委員長 證人ではありません。議員はいつでも出席して意見を述べる資格をもつております。
  102. 徳田球一

    徳田委員 そんな法律問題はどうでもいいのだから、それはどんどん述べていいと思いますが、官僚の惡いという點は非常に衝かなければならぬ。この隱退藏物資が生じたゆえんのものは官僚統制の腐敗から來ているのであつて、今北浦さんがいろいろ憲法問題をもち出されたのでありますけれども、この憲法問題で、家宅侵入を防ぐために官僚が出てきたのではなくて、これらの官僚というものは大概隱退藏物資の隱退藏をやつている人間と利害關係があつてこれをやつている惡人の類なのだから、こういう隱退藏の關係者はこの委員會でどんどん暴露するべきであります。これは數が多ければ多いほどよろしい。それから事實は綿密であればあるほどよろしい。この點をわれわれは大いに暴露したい。これは監査局長に申したいのでありますが、大體安本でも監査局でも、官僚を頼りにして事をやろうという、このやり方がいけないということがこの暴露によつて明白になつてくるのであります。ですから今後この調査會はこの隱退藏物資をめぐる官僚を被告的に扱い、これを徹底的にやつつける、これが主でありますから、そういう趣旨で官僚の暴露ということは大いにやりたい。また監査局でもそういう立場で今後やつてもらわぬと、この問題は解決しないと思いますから、これを特に申し上げておきたいと思います。
  103. 北浦圭太郎

    ○北浦委員 世耕君は妙なことを言われましたが、私の出身地の奈良縣にはこれが非常に多いということは私は初耳であります。しからばどこそこにどういう物があつて、だれがそれを隱匿しておるのだということを、至急この調査部に出していただきたいということを、委員長から御注文願いたいのであります。
  104. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいま北浦君から、世耕君の御發言に對してお聽きの通りの御要求がありました。できるだけ早い期間にできるだけの資料を整えて出していただきたいと思います。
  105. 世耕弘一

    世耕弘一君 その點について申し上げます。今の黒田君の手記がそれをよく明瞭にいたしております。なお詳細の點はあなたが選擧地へお歸りになりまして、熱心に御調査くださればなお結構であります。ことに隱退藏物資が今日日本の經濟をいかに左右するかという重大な問題のときでありますから、私の手を煩わすまでもなく、御熱心に御協力願いたいということを私からお願いする次第であります。なお私の手もとに届く關係資料がございましたならば、どんどん提供することは御催促に及びません。
  106. 北浦圭太郎

    ○北浦委員 私は世耕君のように私設調査隊、摘發隊をやるということは不適法である、こう考えておりますがゆえに、いまさら奈良縣に歸つて、わざわざ名刺に書いて判を捺して、ブローカーをたくさん使つて、人の家に侵入しようというような氣は毛頭ありません。ここで暑いのに毎日やつておる。それよりも主張者に擧證の責任があるということは古今の原則でありますから、奈良縣に多いということであれば、あなたはどしどしお出しなさい、願わくは明日、明後日までにお出しにならんことをお願いいたします。
  107. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私はこういう書類があるということを聞いたので申し上げますが、進駐軍から拂下げられた物質の原簿が内務省にあるという。
  108. 加藤勘十

    加藤委員長 それはこの間徳田君が請求しております。
  109. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その次は第一復員省から昭和二十年九月、十月、十一月の三囘進駐軍に報告した當時の在庫物質の報告書というものがあるそうですから……。
  110. 加藤勘十

    加藤委員長 それもくることになつております。  それでは今日は後ほど理事會を開いてこれらの資料についての整理方針なり、運營について協議いたしたいと思いますから、本日はこの程度で散會いたしたいと思います。次會は證人を呼びます都合などもありますので、事務の方とよく協議いたしまして、公報をもつてお知らせいたします。世耕君どうも御苦勞さんでありました。  それでは本日はこの程度で散會いたします。    午後三時十六分散會