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1947-07-28 第1回国会 衆議院 隠退蔵物資等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十二年七月二十八日(月曜日)     午前九時三十六分開議  出席委員    委員長 加藤 勘十君    理事 武藤運十郎君 理事 吉田  安君    理事 本多 市郎君 理事 石田 一松君       足立 梅市君    清澤 俊英君       田中 健吉君    川崎 秀二君       小島 徹三君    福田 繁芳君       鍛冶 良作君    北浦圭太郎君       辻  寛一君    野本 品吉君       中野 四郎君    徳田 球一君  出席國務大臣         司 法 大 臣 鈴木 義男君  出席政府委員         經濟安定本部副         長官      田中己代治君 本日の會議に付した事件  隱退藏物資等に關する問題     —————————————
  2. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいまより會議を開きます。  この際隱退藏物資、特にいわゆる世耕事件なるものについて、内閣の所見を質すため、石田君から發言を求められております。これを許します。石田君。
  3. 石田一松

    石田(一)委員 私はこの隱退藏物資竝びに特殊物件處理に關する調査につきましては、與黨とか野黨とかいう立場を全然超越いたしまして、嚴正公平なる觀點に立つてこれを追究したいと思つておるものであります。すなわち私は正しい眞の意味國民の代表の一人であるという氣持から、以下二、三の點について責任のある政府當局の所信を質したいと思うものであります。  現内閣片山總理大臣は、去る國會において、ほとんど全員一致意思によつて。内閣總理大臣に指名された方であります。しかもこの内閣こそ、疲弊のどん底にある、今まさに瀕死の状態にある日本に、起死囘生の妙手を施さんとするほど重大な役割をもつておるものと思うのであります。國民も相當これに期待をかけているのであります。にも拘らず、最近この内閣が三派の連立内閣であるという弱點を衝く意味か、あらゆる面から一種のデマ的な、何らそれほど確實根據もないのに、あれやこれやと策謀がめぐらされている。しかもこれが世界の輿論にまで訴えられるようなことを、われわれは今耳にしておるのであります。いわゆるこの世耕事件なるものは、實にわれわれから言わしむれば、唾棄すべき問題でございまして、この世耕事件は、最近問題になつたがごとく世間では言われておりますが、この問題はすでに前内閣吉田内閣當時から、われわれは十分これを熟知していたものであります。それがたまたま最近問題になりまして、過日の自由黨代議士會において新聞の報ずるところによりますと、現内閣閣僚に、二人くらいこの問題に關係がないとは言えないような閣僚がいるというふうなことが發言された。私はこの新聞記事を讀みましたときに、むしろ自分不徳不信を何ら責めることなく、罪を他に轉嫁するかのごとき口吻が漏らされたということを、實に國民の一人として遺憾とするものであります。こういう觀點に立つて國民道義が頻廢しているなどとは、いやしくもかかる人たち國民道義の頻廢を云々する資格なしと言わざるを得ません。われわれは何も事を好んでどろ試合をしようとするものではありませんが、調査進展につれましては、一々確證をあげまして、たとえそれが法律上の問題、犯罪は構成しないまでも少くとも政治道徳に反するものであつたならば、あくまでもこれを政治的にわれわれは追究せんとするものであります。それがたとえ現閣僚であろうと、與黨であろうと、あるいはまた野黨であろうと、何らわれわれはこれに假借するものではありません。またこれらの隱退藏物資竝びに特殊物件處理に關して、あるいは摘發した物資がたまたま統制品以外の物資であつたがために、政治的には何らこれを追究されることなく、また法律的にもこれが犯罪を構成せず、統制品以外のものであるというので、自分地位とか職權を濫用して、これから不常なる利益を得たものがあつたなどということがあつた場合においても、われわれはこれを追究しようとするものであります。  私が以上のことを申し述べましたのは、われわれは本件に關する以上斷然これを最後まで追究し、必ず政界を郭清せんとする重大なる決意をもつているということを表明したかつたのであります。さて現内閣閣僚の中で二人くらいわゆる世耕事件なるものに關係があるという新聞報道がありましたが、私はこの問題のために現内閣國民から相當の疑惑をもつて見られていると深く信ずる節があるのであります。この際政府責任ある立場において、事實二人か、あるいは何人がこの問題に關係があるかどうか。もし關係がないというならば、ただないというばかりでなくて、その具體的事實理由とをあげて、そのないことを天下に表明せられんことを要求するものであります。この責任ある答辯によつて、もし關係がないとここで斷言され、しかも今後この委員會調査進展に伴いまして、いやしくも現閣僚に何らかの疑いがかかるような事件が發生した場合には、現内閣はその責任をどうとろうとするのか、その決意を伺いたいのであります。しかもその御答辯にあたつて、それは假定の上に立つものであるから、假定の上に立つての返事はこの際できないなどといういたずらなる逃げ口上は、この際、聞きたくないのであります。政府決意いかんによつては、われわれはあくまでもこれを追究し、あくまでもこれを是正し、本問題を天下に餘するところなく曝露して、政黨政治家政府も何らこの問題に關して疑惑をもつて見られるような事件がなかつたことを、併せて天下に表明したいと思つているものであります。  さて私はただいま多くを申し述べましたけれども、この政府が、陽退藏物資竝びに特殊物件處理等に關して疑いをもたれるような閣僚があるかないか。ないとすれば、その事實理由、しかも私がひとつここで申し述べておきたいことは、これらのものに關係していた人が、公職追放令によつてすでに追放されたから、すでに政黨に所屬しないから、すでに現在その官職に留まつていないから、その責任政黨竝びにその官職の上官の責任が解除されたとは全然考えません。  さて、もう一つお尋ねしたいことは、最近この問題が非常にやかましく論議されるようになりましてから、種種なる理由をつけて相當の隱退藏物資らしきものが安本あたりに届け出られておるようでございますけれども、最近この二十日間くらいの間に、ある理由をつけて届け出られたものの數量、種類、價格、しかも届け出られた物資處分はどういうふうになつておるか。届け出た人の職業竝びに姓名、住所がもし御報告願えるならば、併せてそれをもこの際報告願いたい。  以上私は最近世耕問題についていまわしき世間の風評を拂拭するためにも、政府當局からはつきりした御答辯を得たいものであります。
  4. 加藤勘十

    加藤委員長 ただいまの石田君の質問に對して、司法大臣鈴木義男君から答辯されることになつております。鈴木義男君。
  5. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 石田君の御質問にお答えいたします前に、政府として隱退藏物資、現内閣遊休物資という言葉を使うことにいたしておりますが、それに對する態度を一言いたしておきたいと思います。  今までは適法、不適法というようなことが問題にされておりまして、行つてみて物はあつたが、適法なものであるからそのままにしたということが多かつたのでありますが、政府適法、不適法を問わず、遊んでおる物資がありましたならば、すべてこれを生産のルートに乗せるという決意をもちまして、近く大規模な機關を設けて、發足をいたす豫定であります。すでに存在いたしておりまする安定本部監査部も、もとよりその目的をもつて存在しておるものでありますから、これと密接に連絡をしてやつていくつもりである。それから司法省において關係いたしておりますのは、この隱退藏物資の摘發に絡んで行われたる犯罪について檢擧をいたしておるのでありまして、決して隱退蔵物資摘發竝びに處理全般にあたつて干與しておるのではないのでありますから、申し上げるまでもないことでありますが、誤解のないように御了承を願いたいのであります。隱退藏物資全般についての主管大臣としては、政府林國務大臣をその任にあてる豫定でおるのであります。  いわゆる世耕指令竝びに世耕情報ということに絡んで若干の犯罪事實があるということは遺憾なことでありますが否定しがたいことであります。世耕氏自身がこれに責任があるか、關係をしておるかということは未だ明言すべき限りではありません。ただこの情報に絡んで幾多の詐欺類似の行為が行われて、それが檢擧の對象となつておるということは申し上げるまでもないのであります。しかしいずれも捜査中でありまして、捜査の祕密に屬しますがゆえに、結論を得ますまでは、遺憾ながら發表をいたすわけにまいらぬのであります。その點も御了承を願いたいのであります。  ただいま石田委員から御質問の、そのまた一部分に當りまする静岡縣砂糖の問題に絡んで、現内閣閣僚の中にうしろめいた者が一、二あるというわけであるが、ほんとうか、その眞相いかんという御質問のように承つたのでありまして、その點についてお答えをいたします。  近來經濟界の逼迫に鑑みまして、狡智の徒が實在しない物資あるいは他人物資をたねにして賣買の豫約をいたしまして、手附金詐欺のような事犯が頻發いたしておりますことはまことに遺憾とするところであります。また詐欺事件にはほとんど常に社會の名士または官憲、はなはだしきは閣僚というような人の名が利用されることは常則でありまして、そうでなければ詐欺をうまく行うことができないからであります。しかるに思慮足らざる人はこうした架空の一種の創作ともいうべき筋書を輕卒に信じて、深くその眞相を究めないうちにこれを事實であるとして發表し、口外し、不當に他人の名譽を毀損するのは、一層遺憾なことであります。靜岡縣大仁東洋釀造株式會社所有砂糖に絡んで物資やみ取引が行われ、それに現閣僚のうち一、二の者が關與しておるかのごとき流言が行われておりますことは、驚くべき荒唐無稽でありまして、石田君の御質問は事の眞相について政府説明機會を與えられたのでありまして、むしろ感謝するところであります。終戰直後靜岡縣大仁東洋釀造株式會社には、戰時中ブタノール製造に從事いたしましたために、その原料として使つておりました砂糖の殘品が一千三百五十グラムトンあつたのであります。そこでこの砂糖を戰さが終つてブタノール製造が必要なくなつたので、どうするかということが農林省靜岡縣廳等において問題となりました結果、とにかくこれは一般配給に廻わすべきものであるということで、とりあえず二十年の九月十日、終戰直後、一千トンだけは全糖連の手を通じまして靜岡に運んで一般配給にあてたのであります。なお三百五十トン殘つておりまして、これは後に事件になりましたために、詳細沼津檢事局において取調べた結果、すべて明らかになつておることでありますから申し上げるのでありますが、三百五十トンにつきましては、會社戰時中いくたの資材を立替えて軍の御用を勤めてきておるのである。その資材の立替えはこの際いただかなければならぬ。金でいただくか物でいただきたい。三百五十トンはちようどそれに匹敵すると思うから、ぜひ會社代替物資として下げ渡してもらいたいという請願があつたのであります。農林當局調査の結果、三百五十トン全部やるというのは多過ぎる。百トンくらいならばやつてよろしいだけの立替えがあるようだ。こういうことに相なりまして、二十一年の三月十一日、時の農林大臣副島千八氏でありますが指令農林省食品局長名前になつております。三月十一日附の指令を念のため讀み上げます。  二一食局第一五〇號   昭和二十一年三月十一日          農林省食品局長   東洋釀造株式會社々長殿   在庫砂糖處理に關する件  豫て協議中なりし貴社在庫砂糖處理に關しては各般の事情を考慮し在庫良質品二五〇トンは日本砂糖統制株式會社に買取らしめることと相成候條引渡方御手配相成度   尚殘量荷粉糖良質品等貴社事業の為使用相成度差支無之候條了承相成度此段通牒候也 こういう指令が出ておるのであります。これに基きまして、二百五十トンの砂糖もまた全糖連に引渡されたのでありまして、ただしこれを運搬する途中、はなはだしくこぼれたために、それを持つて行つた者が若干またやみ流しをしたというような、ごく小さい派生的な問題が起りましたが、大體この二百五十トンは正當なる配給ルートに乘せられたことは、證據によつて明らかになつているのであります。そこで與えられは百トンが會社が自由に處分することのできる砂糖であつたわけでありまするが、これで會社シロツプをつくり、それを著しく公定價格よりも高い價格で賣つたものであります。これが經濟違反に問われまして、その後愼重に調査せられました結果、會社はもちろん飯田某三福商事會社遠藤某、關某、島某、ただいま公判繋屬中でありますから、名前はなるたけ明かにしないように某ということにいたしておきますが、これらの人々は百數十萬圓やみ取引のゆえをもつてただいま沼津裁判所において公判に付せられておるのであります。またこの砂糖のうち百三十五貫匁というものが沼津税務署役人原川某に贈賄されておるのでありまして、この事件もただいま沼津裁判所において公判に繋屬いたしておるのであります。この双方を合わせますと、ほぼ百トンの砂糖は消費されつくしたのでありまして、そのほかに砂糖が現存すると考へらるべき根據は亳末もないのであります。しかして御留意を願いたいことは、當時農林大臣副島千八氏であつて、傳えられるがごとき和田博雄君がこれに關與するはずがない。そのとき和田君は農政局長でありますが、砂糖處分について關與すべき何らの地位になかつたのであります。後五月二十三日に初めて農林大臣になつたのでありまして、そのときは、すでに大方の砂糖處分され盡して、ただいま申すような經路で會社においてそれぞれ消費せられつつあつたのであります。  しかるに一方この會社砂糖を運ぶときに、少しよけいこぼし過ぎた。シロツプにして賣つているとか、いくらかは賄賂として提供したということが問題になりまして巷間傳えられた。これを耳にはさんだ矢島某は、これは種になるというので、靜岡縣に非常にたくさんな砂糖があるが、どうだ、一つ買わないか。これについては某公爵、某々大臣その他が關係しておつて確實なものである。こういうふうなことを口から出まかせにしやべつたらしいのでありまして、中にはそれを眞面目にとつて筆記して書類に認め、そうしてこれを渡したというような人もあるようであります。とにかく數日前の朝日新聞詳細芝居の筋は御調査になりました結果が公表されておりますから、檢察當局でも獨立に調べてはおりますが、大體ああいう筋書でこの芝居が仕組まれたわけであります。その中に和田農林大臣の名が出ており、木村内務大臣の名が出ておるのでありますが、時の關係がはなはだしく食い違つておることに御留意を願わなければならぬと思う。當時すでに砂糖一つもなくなつておるのでありまして、全部配給と消費になつておる。すなはち架空の物を持ち歩いて利得いたしたのでありますから、典型的詐欺である。その詐欺の材料として現閣僚二人の名前が利用されたのであります。しかるに傳聞するところによりますれば、かくのごとき事實を詳細調査せずに、公開の席上において、ある衆議院議員は、現閣僚の中にも一人や二人關係がないとは申されませんというような、重大な發言行つたというようなことでありまして、われわれははなはだしく遺憾に存じておるのであります。それがそれだけに止まらずして、その某々閣僚とはだれであるかということをうるさく追究する者がありまして、どこからだれが語つたかは存じませんが、それは和田である。木村である。さらに木村から芦田に行つておる。西尾もいくらかわけ前にあずかつておるだろうというようなことで、遂には荒唐無稽なる事實が、外國電報をもつて海外にまで打電せられるということに相なつたのでありまして、これに對しましては、政府といたしまして、重大なる名譽毀損である。政府に對する名譽毀損は同時に國家の體面を害するものである。ゆえにこれをただ捨ておくことはよろしくないということになりまして、かくのごとき無責任なる暴言、流言飛語を放ちました者を、よく出發點からたぐつてまいりまして、根本的に調べて、責任のありまする者が現われましたならば、これを告發をする。また閣員は告訴をして、その名譽の囘復をはかるという決意をいたした次第であるのでありまして、これが事の經過であります。少くともこの砂糖に關する限り、千三百五十トンは明らかにその行方がわかつておるのでありまするから、現閣僚が關與しておるというようなことは、物理上もあり得ないことを、私は斷言してはばからぬのであります。ゆえにそういうことがあつたならば、いかなる責任をとるかというような御質問は、無用であると存じまするが、かりに今後何らかの形において關與しておるというようなことがありましたならば、もとより政府は道徳的竝びに政治的、進んて法律上の責任がありまするならば、法律上の責任をとることを、ここに明らかに申し上げておくのであります。かような次第でありまして、近來この詐欺事件がいわゆる遊休物資にからんで、全國各地に數十をもつて算うるほど起つておりますることは、まことに遺憾とするところであります。行つてみると、物がない。なるほど積んではあるが他人のものである。さらにあつたけれど、それは正當なる權限に基いて獲得したものであつたというようなことで、いわゆる隱退藏物資としてこれを徴發することができないものが多くあります。しかしそれを承知の上でいろいろな情報、いろいろなドラマを仕組んで詐欺を行いまして、その被害數億に上るというような状態であります。これはまことに概嘆すべき次第でありますから、政府におきましても、斷固たる決意をもつて檢事總長以下に命じまして、全國に檢擧網を張り、すべてこれを檢擧して、その責任を明らかにするという決意を固め、實行をいたしておる最中であります。そういうような次第でありまして、政府はこの砂糖問題に關する限り、まつた荒唐無稽のことであるということを、ここに明らかにいたしまして、諸君の御了解を得たいと存ずるのであります。
  6. 武藤運十郎

    武藤(運)委員 ただいま司法大臣答辯によりまして、現在閣僚がこの問題に關係がないということが、大體明らかになつたように考えますが、これについて現閣僚のうち、關係があるということを放言した者があるというようなわけであつて、それに對しては西尾官房長官も、名譽毀損告訴をすると言明されまして、新聞紙にも載つております。今司法大臣もそのことについて、政府斷固たる決意をもつておると言われておりますけれども、この問題は非常に重大でありまして、ぜひ政府において斷固たる處置をとつていただきたい。先日治安及び地方制度委員會における花村議員質問に對する鈴木司法大臣の御答辯を、私は新聞で拜見したのでありますが、それによると、あれは西尾君のことであつて自分としてはよく知らぬというような御趣旨の御答辯があつたのではないかと思うのでありますが、その點が本日の御答辯と食ひ違つておるように考えます。政府としてほんとうにこれを告訴して、斷固明らかにするという決意があるのかどうか。またその取調ベ等は、どの程度まで進んでおるのか。お差支えない限度で、御説明を願いたいと思います。
  7. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 お答えいたします。先日司法委員會における花村委員の御質問は、七月十九日附かの讀賣新聞であつたかと記憶いたしますが、この新聞にこういうことが出ておる。すなわち西尾官房長官談として、私が西尾官房長官内閣代理人として、世耕代議士告訴することにいたしたというふうに出ておるが、その通り間違いないかというお尋ねであつたのであります。そこで私は、この新聞記事については、自分西尾官房長官と相談の上、談話を發表して載せてもらつたものではないのであつて、このことには自分は關與しておらない。しかもそれは二つの點において自分の考えと違つておる。一つ内閣告訴すると申しましても、内閣は法人ではないのでありますから、法廷代理人をもつて告訴するというようなことは考えられないことで、かりに特定數人のうちの二、三の閣僚というような言葉で名譽毀損をされました場合には、いわゆる不特定數人が名譽毀損を受けたのでありますから、特定數人全部告訴をする以外にはないのであります。自分が言えばそういうふうに言うのであるから、自分の言つたことではない。いま一つ世耕弘一氏を告訴すると言つたことはない。世耕弘一氏がこの責任を負うべき一人であるかどうかということは、目下調査中でありまして、ここに明言するわけにはいかぬのでありますが、少くともまだ相手方が確定いたさぬのでありますから、司法大臣としては、世耕氏を告訴するということは申し上げないのである。いやしくも内閣閣僚の名譽を毀損した者は矢島某であるとだれであるとを問はずとにかく一連のこの流説を傳えましたものを取調べまして、確かに無責任にもそういうことを申したという人がありましたならば、それは相當數に上るかも知れません。あるいはその根源だけを衝くかも知れませんが、まだ世耕氏を告訴するときめたわけでもなし、申したわけでもない。こういうことを申したのであります。それが比較的簡單な形で新聞に發表されましたので、世耕氏を告訴する意思なしと書かれた新聞もありましたが、これも正確には私の申したことを傳えておらないのであります。すべてはただいま調査中でありますから、調査の結果を待つて申し上げなければならぬのであります。私の意思はそういうところにあるということを釋明いたしておきます。
  8. 北浦圭太郎

    北浦委員 ただいま司法大臣の御答辯中に、原川某という者が收賄罪公判にかかつておるというようなことがありました。そうするとこれは公務員に違いないが、何省の公務員であるか。司法大臣は今公判中であるから名を言わないのを適當とすると言われた。なるほど道徳的にはそうであるかもわからぬが、法律家である司法大臣の御承知通り裁判所公開であり、すでに公判中であるといたしますと、世にあまねく發表されておる事件でなければならぬ、そういたしますと、原川某という者はどこの役所のどういう公務員であつてどういう收賄をしておるか、この點一つ明からにしていただきたい。
  9. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 從來の例によりますと、すでに公判にかかつた以上は發表して差支えないのであります。また重大であれば發表することを爵せないのでありますが、ほんの小物でありまして、また公判濟むまでは有罪無罪が決定しないのでありますから、なるたけは全貌を明らかにしない方が御本人のためであろうという老婆心から、申さなかつただけでありまして、皆さんの疑惑を深めるようでは遺憾でありますから、特にここで申し上げておきますが、これは沼津税務署間税課主席事務官であります。この會社在庫品の屆出について寛大な處置があつたということに對する謝禮意味をもつて、百三十五貫の砂糖を贈賄し收賄した、こういう事案に相なつておるのであります。
  10. 北浦圭太郎

    北浦委員 まことに司法大臣のお言葉のごとく、きわめてごもつともであつて閣僚なんかに何の關係もないことはよくわかりました。  もう一點ですが、今司法大臣は御答辯中代議士のある者が閣僚關係なしとせずと言うたと言われた。これはもう明らかに司法大臣が何と言われようと世耕弘一氏を指しておられることは、これも法律家である司法大臣承知通り名前を指さなくとも具體的に人をして認識せしむるに足る言葉は、すなわつこれ世耕氏を指しておる。私は世耕弘一氏をお指しになつて別に惡いとは申さない。申さないが、西尾國務相のように今少しくものを研究して發表なさぬと、ものは間違う。現に世耕氏は自由黨の内輪でどういうことを言つておるか。これは何のたあいもないことであつて、庄司君が、大物として閣僚中にもあるとうわさされておるがこれを主張し得る確信があるか、こう聽いた。そこで世耕君は、ないとは言えない、これだけ言つておる。別に事實を指摘して人の名譽を毀損しておるのではない。御承知通り事實を指摘して人の名譽を毀損せなければ、名譽毀損罪というものは成立しない。司法大臣承知通り、これを告訴する、告訴するとおつしやつたところで、名譽毀損罪のほかに告訴する方法がない、途がない、この點も釋迦に説法、法律堪能なる司法大臣に言うのではありませんが、とにかくわれわれは黨籍せひとしくいたしておりますが、最初から申しますと、世耕君が惡ければ私どもも摘發するに躊躇しない。だから間違いのないことだけずんずん進めていただきたい。さように申し上げておきます。
  11. 加藤勘十

    加藤委員長 ちよつとこの際申し上げておきますが、十時から運輸委員會のあるのをこちらの關係で十一時まで延ばしてもらつておる關係がありますので、十一時ちよつと前にこの委員會は散會いたしたいと思いますので、そのおつもりで御發言を願いたいと思います。
  12. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 今の北浦氏の質問に關連して私も聽きたい。先日司法委員會司法大臣が述べられたことは、ただいま承つた通り斷固たる處置をとる、しかして某代議士公開の席上で現閣僚二名に關係ある者がある、さらにそれがもとになつて西尾であるとか和田であるとかだれそれであるという名前が出た。こういうことで斷固たる處置をとると言われると、その名前世耕が言つたそこから出たというように聞えますが、そういうおつもりでしようか、それとも抽象的の御主張でしようか。
  13. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 それらの點は、すべて目下調査中でありまして、だれがどこでどう言つたかということも、實は議會開會中でありますから、國會議員たる人を喚問しお調べをするということは、なるたけ差控えておるわけでありまして、すべては調査後でなければ正確なことはわからないわけであります。從つて私が申しておることは抽象的と御承知を願います。
  14. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 そうすれば先ほどおつしやつた代議士が二名閣僚關係があるということも、まだ調査中で確定ではないのですね。
  15. 鈴木義男

    鈴木國務大臣 そうです。
  16. 鍛冶良作

    ○鍛冶委員 先ほどは間違いないように承つたのですが、それではそう聞いておいてよろしい。
  17. 中野四郎

    ○中野(四)委員 私は政府側の責任ある方として、次囘には西尾官房長官片山總理大臣の御出席を願いたいと思いますので、鈴木法相にお聽きする點も後日に讓りたいと思います。時間が十一時という制約を受けておりまするから、二つ三つ私の意見を申し述べてみたいと思います。  この衆議院内における特別委員會が設置されるということが、一般報道機關を通して發表されまして以來、おそらく皆さん方もそうだろうと存じまするが、われわれ個人の委員のところに、現に不肖ごとき者にも、數十通のいわゆる隱匿物資の所在を明らかにしてこれを調査せよというような投書が舞いこんでおります。一昨日のこの委員會成立當時における委員長の言明によりますれば、委員會はあくまでも公開主義で、祕密會は斷じてとらざる考えであると言われました。むろんわれわれも贊成するところでありまするが、ただここで非常におそれることは、この投書あるいは密告等がおのおの各個人のもとに集まつてきまして、材料を提出せんとする場合に、調査未了の場合が多うございます。しかもこれは本物やら、にせ物やら、第三、第四の世耕さんの情報のような場面が想像される危險があります。また個人の名譽を非常に毀損するおそれが多分にありまするが、こういうようないわゆる一般から集まつた情報を、委員會においてはどう取扱つていくかということについて、委員長からの御意見を伺いたいということが一つ。  いま一つは、この委員長提案に基く材料でありまするが、これはなかなか蘊蓄を傾けられたものであつて、かなり苦心された材料であちうとは思いまするが、その數量と範圍があまりに多きに過ぎて、速急を必要とする本委員會の性格上いささか迂遠の憾みなしとしないのであります。もしこの調査によつていろいろと資料を求め、または委員が連日努力をいたしましても、その結果の現われまするのは、短時日では容易に解決わぬと私は思います。これは本委員會の性格上からいつても、たいへんに心配になる點でありまするから、これが取扱いに關しては、どうか委員諸君、あるいは理事諸君と御相談の上、この委員會に一部なり三部、あるいは四部というような部制をつくつて、それぞれの部面を專門的に擔當してこれが調査をするというふうにいかれてはいかがかと私は思うのであります。  それからいま一つつておきたいことは、委員長が御提案になりました材料による資料は一體いつごろ委員の手もとにつくかということ。これはなかなか容易なことではないと思いまするけれども、この點も特に委員長から承つておきたいと思うのであります。以上三つの點について適當に御處置を願います。
  18. 武藤運十郎

    武藤(運)委員 ただいまの中野君の御提案は、私どもも大體において贊成でありますが、委員長の私案としてこの委員會に採用になつたこまかい項目が十四項目あるのでありますが、この項目に基く資料を出すだけでも、おそらく政府は一月以上要するのじやないかと思う。それに基いてさらにわれわれが調査するというふうなことは、なかなかこれは困難だと思うのであります。今、中野君の言われたことは、結局この委員會の性格なり、進行のやり方などにつきましての一つの考えを申されたのだと思いますけれども、私もそういうふうな全般的なものについて、その委員會で取上げてやるということは、非常にむずかしいと思います。從つて私はさらに範圍を限定いたしまして、一番問題になつております世耕情報などを中心として、その線に沿うて、その關係のものについてわれわれが協力していきたい。そうして一應の結論を得たい。こういうふうな考え方をもつております。  もう一つ今中野君の言われたように、各地からどこどこに隱退藏物資があるというふうなことを言つてきておりますが、私もそれらを一々われわれが行つて突き止めて調べ上げるということは、この委員會が總動員してやつてもできないのでありまして、相當大きな補助機關をもち、場合によりましては豫算をもちましてやらなければ、私はできないと思うのでありますが、そういうことにつきましても、われわれが十分に考えて、方向なり範圍なりをきめたと思うのであります。
  19. 加藤勘十

    加藤委員長 中野君なり武藤君のお言葉に對して、私からお答えいたします。武藤君は昨日ここでこの委員會が取扱う範圍をきめましたことについては御承知通りでありまして、今これをあらためて世耕事件とか何とかいうようなただ幻象的な末端的なことだけを扱うということに對して、本委員會は方針をきめておるのでありまして、その決定の中に現われることのみこれは取扱うべきである。これを御了承願いたいと思います。  それから中野君のお言葉にありました各地から集まつてくる民間情報をいかに取扱うか。その場合に公開でやれば、個人の名譽なり、あるいは信用なり、あるいは徳義上の點において不便が生じはせぬかという御心配でありました。その御心配につきましては、その眞偽を確かめるについては、委員會としてでなく、委員の非公式の打合せ會においてできると私は思つておるのです。そうしていよいろこれが扱うべきものか、扱わぬべきものかというものが、この打合せ會においてきまつたら、ただ理事だけでなくして、委員全員で打合せをやつて、きまつたものについては公開されて差支えないと思う。自分名前を出してくれるな、秘密に隱してくれということはいけないと思うのです。もし秘密にしなければならぬという性質のものであるならば、それは當然この打合せ會だけで始末して差支えない。私はそういう考え方をもつております。それから資料の問題でありますが、中野君も武藤君も、政府がこれを提出するのに非常に困難であろうと言われております。もし忠實にほんとう政府がこの問題を明かにしようとするならば、一箇月なんかかかるはずない。終戰當時の軍關係においも、私はまず政府から連合軍に提出しておる書類があると思う。その書類は國會に、全國民に明らかにされるということは當然なことである。さらにまた私の出しました十四項目につきまして、もし時間を要するならば、たとえば終戰後の商事會社なりの事例については、全國の登記所を調べらばただちにわかることである。こんなことは電報一本でやれる。これがほんとう國民に忠實なゆえんである。從つてこれに一箇月かかるわけはない。そういう考えで本委員會をいたしますならば、結局政府は何もしないことになる。われわれは最も短い期間に政府から提出せしめる。もちろんわれわれはこの資料だけに頼つてかれこれ言うのではありません。しかし資料は何といつても根本をなすのです。根本なしでかりに世耕事件を調べてもどうして調べるか。うわさからうわさを尋ねて調べていけば、結局この中にはいつてしまうのです。あくまでもわれわれは本質を衝いていかなけばならぬ、こういう意味におきまして私は政府に、殊に安本の第四副長官田中己代治君が出席されておりますから、特にお尋ねするわけであります。一昨日議長を經由して資料を請求しておりますが、これは一體いつごろ委員會に提出していただけまするか、大よその見込みを聽かしてもらいたいと思います。
  20. 田中己代治

    田中(己)政府委員 その中には、すぐにでも差上げられるものもございまするし、あるいはまた全國的に調査をしなければならぬものもございまして、一樣には申し上げかねるのでございますが、私どもといたしましては、なるべく最短日に、できるだけの努力をして提出いたしたいと思います。
  21. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは特に附け加えておきますが、出せるものは速やかに出していただきたい。それから全國的な調査を必要とされるものについては、最短期間において出していただきたい。この委員會は原則的には本會期中としたいのでありますが、もし本會期中に完了しない場合には、院議によつてさらに休會後といえども繼續してやりたいと思いますけれども、できるだけ本會期中に完了したいという趣旨のもとに、審議を進めていきたいと思います。
  22. 中野四郎

    ○中野(四)委員 ちよつと關連して——今の安本の方御答辯はとても滿足することはできません。それから政府側に誠意があるとかないかということは、今ここで議論するよりも、明日でも明後日でも、繼續委員會において、總理大臣あるいは安本長官の出席をまつてその意思を質すという方が、私は賢明の策であろうと思つております。ただここで、委員會の話はちよつと食い違つております。武藤君の話にも大分食い違つた御意見がありましたが、私の申し上げましたのは、いろいろ投書や密告に參りましても、これは自分名前を隱してくれというのじやない、自分名前を明らかにし、人の名前も明らかにしている。現にいろいろな材料がたくさん集まつてくるので、私はびつくりしております。ところが、この人の名前公開の席上で出す場合には、出した人はよろしいけれども、出された方は實際にこれは正規のルートに乘つておる物だ、隱匿物資ではなかつたということが往々出てくると思うのであります。こういう場合に相手の名譽の毀損をおそれて、何らかの形において取扱いを考えてもらいたいということを申し上げたのでありまして、自分名前他人名前ということではないのであります。  それから非公式の委員會できめたらよかろうというようなお話でありましたが、私は各委員の方に續々びつくりするほど參るだろうと思います。殊に共産黨なんか山をなすほどあるだろうと思います。こういうものを非公開委員會において一々出し合つて警察にまわしたり、檢察當局にまわそうと言つたつてなかなか大變だろうと思う。この點はあとで理事會においてでも結構ですけれども、いろいろ運營上の御相談を願いたいと思つております。
  23. 石田一松

    石田(一)委員 私の質問に對してまだ全部お答えがないのでありますが……。
  24. 加藤勘十

    加藤委員長 よくわかつております。今田中政府委員からお答えになります。
  25. 田中己代治

    田中(己)政府委員 お答え申上げます。最近お話のように、隱退藏物資の摘發強化の聲におびえたというか、二、三安定本部の監査局に生ゴムその他の届出があつたのでありますが、ただいま正確な資料を持ち合わせておりませんので、早速その正確なところを調べ。こちらの方に書面で御報告申し上げたいと存じますが、いかがでございましよう。
  26. 石田一松

    石田(一)委員 結構です。
  27. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは本多君。
  28. 本多市郎

    ○本多委員 ちよつと資料の要求を、この際大臣の御出席中にしておきたい。さいぜんお話のありました砂糖千三百五十トンの量の認定をやつたときの状況、それから具體的にどういう方法で、どういう係官がやつたかということを書面で結構ですから調べ出していただきたい。  その次には一千トンと二百五十トンの砂糖はそれぞれ正規のルート配給されたということでありますが、それがいつごろ輸送されて、どういうふうに、どういう地域に一人當りどのくらいの量で正確に配給されているかという調書をお願いしたい。もう一つは、百トンは糖蜜として販賣されたということでありますから、その糖蜜の量竝びに賣先別の量と金額、さらにその先があれば、できることならなるべく消費されるところまでお話し願いたい。
  29. 清澤俊英

    清澤委員 今の質問に關連してお伺いしておきたい。それは鈴木さんのお話の中に、何か砂糖會社が拂下げを願い出します理由一つは、前の軍の方に立替えたものがあるから、千三百トンを全部拂下げてくれないか、こういつて電話をしたものがわずかに百トンで收まつたということになりますと、そこに非常なかけ引があるのでありまして、立替えておつたという數量の疑惑が出てくる。大體どういうものを立替えて、いくらに對して千三百五十トンもくれと言うたのか、その立替量をいくらとみて百トンを渡したのかというような點を明確にし、これに當つて査定したところの係官をはつきりさせて貰いたいと思うのであります。
  30. 小島徹三

    ○小島委員 私は先ほどからいろいろな質問を聽いているのでありますけれども、だんだんこの問題が横の方にそれていつて、肝腎かなめのことが忘れられているのではないかと思います。この隱退藏物資の特別委員會ができたのは、要するに世耕情報が問題となつてできたのでなりまして、もちろん隱退藏物資の全貌にわたつて調べるということは、最も必要であろうと思いますので、その話は中野君、徳田君のいわれる通りと思います。また委員長の考えもその通りであると思ますが、一番大事なことは、現内閣國民に耐乏生活を要望しなければならぬという立場にあり、非常に國民を苦しい目に遭わさなければならぬという政策を行つている政府でございます。その政府が現にこの妙な世耕情報のために疑惑をもたれているということを、まず解決しなければならぬのでないかと私は思う。でありますから、隱退藏物資の全貌にわたつて調査をするということは、もちろん必要でありますけれども、竝行的というか、もつと優先的にでもよいから、問題となつ世耕情報をはつきりと解決する。しかしてまた徐々にほかの隱退藏物資にわたつていくことが本當だと思うのであります。現に昨日名古屋方面から來た人の話によりますと、世耕情報眞相という題の下に、世耕代議士來る、というような大きなビラが張つてつて、町の人氣が非常にそれに拂われているというような状態であります。また東京におきましても、世耕君の御説明というか、世耕情報眞相が發表されて、それを信用している人もたくさんある。でありますから、まずこの點をひとまず解決する。武藤君の御意見もそういうことであろうと思いますが、そういうように御進行を願いたいと思います。
  31. 徳田球一

    ○徳田委員 これに對しては、私は全面的に反對したいと思うのであります。一體世耕情報なるものは、いろいろの處報もありますし、また世耕君自體に對する以外のものがたくさんあるのでありまして、こういうことに關しては司法省は責任をもつて追究しておるでしよう。追究しておるのでありますから、これを委員會で云々してみたところで、委員會は何らの權力ももつていないのです。そんなことができるはずはないと思う。そういうできないことを委員會がぐんぐんやつてみても始まらない。この調査の範圍は昨日すでに本委員會で全會一致決定しておる次第でありますから、この點はもうこれから變更することなく一つ進行したいと思う。  そこで私はこの問題につきまして最も重大なる問題は、終戰後直ちに内閣は東久邇内閣に送つたのであります。この東久邇内閣から、軍隊に對して特に命令が發せられておると、軍隊にいた者は言つておる。これは無償でどんどん軍の軍需品を拂い下げてよろしい、たくさんもつていける者はどんどんもつていけ、拂い下げられるものはどんどん拂い下げろと言つておるのであります。これが大體一週間以上續けられたと思うのでありますが、これは非常に重大なる問題である。これがあつたために、あとみな隱退藏物資、殊に特殊物件等に非常に困難が起つておる。これが大もとである。このときどきつと締めておけば、こういうことはなかつたであろうと思うのである。むろんあるにはあつても、これほど大混亂を起さなかつたと思うのである。そうしてこのときに軍關係においては書類を燃してよいと言つたというわさがあるのであります。軍隊に行つてつた者はみな言うておる。そのために特殊物件に關する内容がすつかりわからなくなつてしまつて、これがもとになつてあらゆる不正事件が起る可能性をつくつておるのでありますから、特にこの點は重大である。この隱退藏物資の根源を衝にあたりまして、これが第一の重點であると思うのであります。でありますからここに東久邇前首相を證人として召喚いたしまして、そのときの事情及びそのときの内容、いかなる政治的な責任をもつてこれをやつたか、これが政治的に正しいかまた行政的にも正しいか、どういうことをやつたか、この點をはつきりさせる必要があると思うのであります。さもなければ、現内閣においてこのときの事情はわからぬのである。何らの書類もないと思う。内閣から出てくる書類もないからこの問題については觸れられない。ここだけは空白になるのでありますから、當時責任者である東久邇首相を特にここへ召喚いたしまして、特別の調査をする必要があると信ずるのであります。本委員會全員一致この問題を採決せられんことを希望する次第であります。
  32. 小島徹三

    ○小島委員 私は徳田君の言われることに反對であります。徳田君の考え方ですと、隱退藏物資特別委員會の性質を間違えておるのでないかと思うのであります。私どもは何も過去の内閣責任を追究するためにこの隱退藏資物の調査委員會を開いておるのでないのであります。現在もしも隱退藏物資があれば、それをわれわれは國民のために正規のルートに乘せてこれを再生産の原料として使うことができるならば、それが最もよいと思つて、この隱退藏物資委員會ができておるのであります。決して過去何代前の内閣責任を追究する、その人を責める目的のためにできておるものでないのであります。たまたまこの調査をする上に當時閣僚がどうであるか、だれそれが責任をもつておるということが、たとえわかつても、私どもはそれを追究することは目的でないと思います。現にこの委員會ができた根本の原因は、先ほど申し上げました通り世耕情報というものが問題になつて、ここにこの隱退物資委員會が開かれることになつたのであります。その肝腎の世耕情報というものを調査することなく、今徳田君の言われるような、過去の何代かにわたつた内閣閣僚調査するとか、その當時のことを調べることに日に送つていたのでは、肝腎の目的が達せられないと思うのであります。でありますから、武藤君が言われた通りに、私は徳田君の言われたようなことを調査することは、もちろん必要だと思いますけれども、それと竝行するなり、あるいは優先的にでも、まずこの世耕事件眞相をつかまえて、最後にすべての調査ができた後に全部發表するということでなく、一つの完全にできた調査がすんだならば、その調査がすんだところでこれを發表するというような方法によつて、とにかく一應この委員會を設置するに至つた原因を明らかにすることが絶對必要だと思うのであります。
  33. 辻寛一

    ○辻委員 私も大體小島君の意見に贊成でありますが、委員長から資料の提出を求められた、その資料というものは、全部揃つては早急には出ぬようでありまして、至急お出しいただくようにはなつておりましようけれども、何しろ終戰當時にさかのぼつて、軍の放出物資、その後の特殊物件あるいは一般の統制物資の動きとか足どりというものを系統的に調査いたしますには、どうしもある程度まとまつた資料が出ぬことには、てんでんばらばら出てまいりました資料にしがみついてやつておりましたところが、調査は行きつもどりつになりましてなかなか進まぬだろうと思います。もちろんわれわれ委員會も熱心にやりますが、當局も誠意をお示しいただきますれば、相當短日月にできることとは思いますけれども、しかし一般國民の關心は、いわゆる世耕事件、しかも有力な新聞紙が一ページの大半を割いて、いろいろと世耕事件から現われております問題を報道いたしておりますので、委員會が開かれたならば、一體世耕事件のもろもろなる問題はうそか、まことか、是か非か、國民はまことにきつねにつままれたような状態なんだが、その點が明からになるであろう。興味と申しますと語弊があると存じますが、少くとも國民の關心はここに集まつているのだと思いますから、もとよりこの委員會の根本方針は、一昨日の第一囘の委員會においても確認いたしましたごとく、單に世耕事件に限定せず、廣くこの隱退藏物資の突き止めまして、再建の一つのプラスにしなければならぬ、こういう意氣ごみでは進んでおりますけれども、やはりある程度の時日を要すると思いますから、それと少くとも竝行して、こうした個々に現われております問題を取り上げていただきたい。もとよりわれわれには司法權などというものはございませんから、そうした點につきましては、當局の積極的なる御協力をいただかなければなりませんけれども、少くとも世耕氏も自由黨代議士會において、五百億の隱退藏物資は、どこから考えても必ずあるということを申しております。それに對して安本の監査局長でありますか、今まで出た百五十通の指令書の中で、出たのはわずかに二件だけであるという世耕指令の不確實性につきまして指摘せられておりますが、世耕氏は物が出ないのは官廳とやみ屋が結托しておるからだと斷定しております。それが事實であるかどうかはわかりませんが、ただいま砂糖事件においても收賄事件が起きておるのでありまして、少くともそうした場面がかなりありはしないかと思います。ゆえに世耕氏は自由黨代議士會におきましても言われておりましたように、國會において調査會ができたならば、ぜひともそこで自分のもつている資料を公開して御批判を仰ぎたいと申しておられるのでありますが、少くとも自由黨代議士會におきまして世耕氏が發表されましたいろいろの問題がございます。即刻取上げてある程度までその眞相を突き止め得られるがごとき問題もありますので、この場合世耕氏にお出でをいただきまして、世耕氏からその世耕情報というものをお聽きいただくことも、一つの方法ではなかろうかと存ずるのであります。
  34. 加藤勘十

    加藤委員長 まだ石田君の質問に對する田中安本副長官の御答辯が殘つておりますが、運營委員會の方で非常に待ちかねておるようでありまするから、田中安本副長官答辯をもつて、今日は散會することにしたいと思いますが、その前に先ほど小島君なり、武藤君なり、中野君なり、徳田君なり、それぞれの御意見がありまして、こうした意見を總合いたしまして、證人の噂間ということもなかなか重大な問題でありますので、これは十分に問題と證人と結びつけて考えて、研究をする必要があると思いますから、正確にどの證人を喚ぶかということについては一應研究をしたいと思います。  それからさしあたつての問題として、次會に政府側の片山首相、西尾官房長官、今、辻君から言われた世耕君、この三名の人を主として御出席を願う。このうち二人は閣僚でありますから當然來てもらえるし、世耕君については、それぞれ來てもらう手續をとることにします。小島君からも御意見がありましたし、辻君からも御意見がありましたが、もちろんわれわれは基本的な問題から系統的に調べると同時に、當面問題になつておる問題そのものもできるだけ糾明することは、この委員會の當然の建前でありますから、決してそれを忘れておるわけではありません。その點もお含みの上で、この委員會を進めていきたいと思います。どうか問題が問題でありまして、十分に突きつめていかなければなりませんから、あくまでも冷靜に冷靜を重ねてやつていきたいと思います。その點お含みおきを願いたいと思います。  なお石田君に對する安本副長官答辯は、文書で答えるということです。
  35. 石田一松

    石田委員 その方が正確です。
  36. 中野四郎

    ○中野(四)委員 先ほどここで投書を取扱うということを言明になりましたが、この投書の取扱上のことを、早くお考え願いたいと思います。
  37. 加藤勘十

    加藤委員長 それでは今日はこれで散會いたしたいと思いますが、次會はほかの委員會との關連もありますのす、できるだけほかの委員會にぶつからないように考えて、時間を十分とりたいと思いますから、公報で御通知申し上げることにいたします。  今日はこれで散會いたします。    午前十時五十九分散會