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2021-05-14 第204回国会 参議院 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月十四日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      大野 泰正君     堀井  巌君      山田 太郎君     宮崎 雅夫君      石川 大我君     川田 龍平君      小沢 雅仁君     岸 真紀子君  五月十三日     辞任         補欠選任      安江 伸夫君     下野 六太君  五月十四日     辞任         補欠選任      下野 六太君     安江 伸夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井 浩郎君     理 事                 進藤金日子君                 本田 顕子君                 山田 修路君                 宮沢 由佳君                 竹谷とし子君     委 員                 上野 通子君                 太田 房江君                 徳茂 雅之君                 藤末 健三君                 堀井  巌君                 三木  亨君                 宮崎 雅夫君                 山田 俊男君                 川田 龍平君                 岸 真紀子君                 野田 国義君                 福島みずほ君                 伊藤 孝江君                 下野 六太君                 安江 伸夫君                 松沢 成文君                 柳ヶ瀬裕文君                 伊藤 孝恵君                 田村 まみ君                 大門実紀史君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地方創        生))      坂本 哲志君    副大臣        内閣府副大臣   三ッ林裕巳君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        吉川  赳君    事務局側        常任委員会専門        員        宮崎 一徳君        常任委員会専門        員        佐藤 研資君    政府参考人        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        新井 孝雄君        内閣官房まち・        ひと・しごと創        生本部事務局次        長        菅家 秀人君        内閣地方創生        推進室次長    武井佐代里君        内閣地方分権        改革推進室長   宮地 俊明君        内閣地方創生        推進事務局審議        官        桜町 道雄君        内閣地方創生        推進事務局審議        官        佐藤 朋哉君        内閣地方創生        推進事務局審議        官        北浦 修敏君        内閣知的財産        戦略推進事務局        次長       渡邊 厚夫君        警察庁長官官房        審議官      檜垣 重臣君        消費者庁審議官  片桐 一幸君        総務省大臣官房        審議官      阿部 知明君        総務省情報流通        行政局郵政行政        部長       佐々木祐二君        法務省大臣官房        審議官      保坂 和人君        厚生労働省大臣        官房審議官    宮崎 敦文君        厚生労働省大臣        官房審議官    堀内  斉君        厚生労働省子ど        も家庭局児童虐        待防止等総合対        策室長      岸本 武史君        農林水産省大臣        官房生産振興審        議官       安岡 澄人君        農林水産省大臣        官房審議官    神井 弘之君        農林水産省大臣        官房参事官    谷村 栄二君        農林水産省農林        水産技術会議事        務局研究総務官  川合 豊彦君        国土交通省大臣        官房審議官    天河 宏文君        国土交通省大臣        官房審議官    黒田 昌義君        国土交通省不動        産・建設経済局        次長       吉田  誠君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○地域自主性及び自立性を高めるための改革の  推進を図るための関係法律整備に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) ただいまから地方創生及び消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、石川大我君、小沢雅仁君、大野泰正君、山田太郎君及び安江伸夫君が委員辞任され、その補欠として川田龍平君、岸真紀子君、堀井巌君、宮崎雅夫君及び下野六太君が選任されました。     ─────────────
  3. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣地方分権改革推進室長宮地俊明君外二十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 自由民主党の徳茂雅之でございます。  本日は、地方分権一括法質疑機会を頂戴しました。石井委員長各党理事の皆様には感謝申し上げます。  本法案質疑、審議するに当たりまして、今回の件名にあります地域自主性自立性を高めるための改革、ちょっと舌をかみそうでありますけれども、いわゆる地方分権改革について少し振り返ってみたいなというふうに思います。  昨年、本院の行政監視委員会に国と地方行政役割分担に関する小委員会というのが設置されました。私も、機会がありましたので、そこで地方創生あるいは地方分権改革についての質問をする機会を頂戴いたしました。その際にも少し質問したのですが、改めて、これまで地方分権改革というのはどういう取組経緯で行われてきたのか、あるいは、その点について政府としてはどのように評価をしているのかという点をお伺いしたいと思います。  お手元に資料をお配りいたしました。資料一でございます。これは内閣府の資料でございまして、地方分権改革流れを一覧にしたものでありますので、これを参考に御答弁いただければというふうに思います。よろしくお願いします。
  7. 宮地俊明

    政府参考人宮地俊明君) お答え申し上げます。  地方分権改革の起点となりました平成五年の衆参両院における地方分権推進に関する決議以降、第一次地方分権改革では、機関委任事務制度廃止等により、国と地方関係上下主従から対等協力関係に変え、国は外交、安全保障など国家の本来的任務を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体が担うということを基本的な役割分担といたしました。  さらに、平成十八年からの第二次分権改革におきましては、地方分権改革推進委員会勧告を踏まえた第一次から第四次までの地方分権一括法により、国から地方都道府県から市町村への権限移譲義務付け枠付け見直し等を行ってまいりました。  平成二十六年からは、提案募集方式に基づきまして地方の声にきめ細かく対応することにより、地域課題を解決し、住民サービスの向上を図る具体的な取組推進してきたところであります。  これまでのこうした取組によりまして、地方分権改革は着実に進んできたものと考えております。
  8. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございました。  ただいまの御説明のとおり、地方分権改革というのは平成五年の衆参両院における国会決議、これが嚆矢となった、まさにそれがきっかけとなって始まったということでございます。まさに、国会としてもしっかりとフォロー責任を持って取り組んでいかなければいけないということだろうと思います。  現在行われています第二次地方分権改革、これは、先ほどありましたとおり、平成二十三年に始まり、その後、平成二十六年から現行方式であります提案募集方式、いわゆる手挙げ方式に変更になったわけであります。それ以来、ずっとこの提案募集方式が続いてきたということで、ある意味地方分権改革の手法が定着してきたという評価も可能かなというふうに思っております。  その上で、それを踏まえて、坂本大臣には、地方分権改革の意義あるいは目的、そういったものについてどのように受け止めておられるか、御答弁いただきたいと思います。
  9. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 地方分権改革で目指すべき姿は、個性を生かし、自立した地方をつくるということであります。そのためには、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方に委ねることが必要であります。改革取組を通じまして、国、地方双方の機能の強化につながるものというふうに考えております。
  10. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 大臣、ありがとうございます。  まさに地方分権改革というのは、住民に身近なサービス行政サービスはできるだけ住民に近いところで行うと。まさに国から地方地方でも、例えば都道府県から中核市、あるいはその基礎自治体市町村にというところで実施できるようにしていく、まさに法律名にあるとおり、地域自主性あるいは自立性を高めるためのものなんだと、権限を中央から地方に移譲していくんだということだと理解しております。  こういった地方分権流れがある一方で、人口の減少、高齢化過疎化、これが進んできており、その一方で、東京一極集中がなかなか是正されないと。坂本大臣地方創生担当大臣でもいらっしゃいますけれども、ちょうど一昨年末には第二期のまちひと・しごと創生総合戦略も策定されたということで、政府を挙げて地方創生取組を一方ではしっかり進めておられます。  大臣にお尋ねしたいのですが、この同じ地方ということで、地方分権地方創生関係というんでしょうか、位置付け、これについてどのようにお考えか、お尋ねします。
  11. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 地方創生は、将来にわたりまして活力ある地域社会実現、そして東京圏への一極集中の是正を目指すものであります。各地域が意欲と熱意を持ち、その地域の強みや魅力を生かした取組を自主的、主体的に行うことが重要であるというふうに認識しております。  一方、地方分権改革は、地方に対する権限移譲義務付け枠付け見直し等取組によりまして、地方自主性自立性を高め、地域が自らの発想と創意工夫により地域の諸課題に取り組めるようするための改革であり、地方創生基盤となるものと考えております。  地方分権地方創生、まさに密接に結び付いているものというふうに考えます。
  12. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 分かりやすい御説明、ありがとうございます。  ある意味地方創生というのが追求すべき目標、目的であり、その基盤あるいは支えるのが地方分権であるというような御理解かと思いました。  昨年来、新型コロナ感染症の影響が拡大し、感染拡大防止あるいは経済対策というのが地方においても重要な課題となっています。国と地方との連携あるいはそれぞれの果たすべき役割分担について、全国知事会では昨年、研究会を立ち上げて検討を進めてきた経緯がございます。それで、昨年十月にはその報告書が提出されています。  その内容としては、例えば、自治立法権の充実でありますとか、計画策定規定見直し、ある意味地方に対して計画を策定しないと財政的な措置をしませんよといったような規制、それから国の政策決定プロセス地方がどのように関与していくのか、あるいは国と地方とのパートナーシップの在り方についてはどうすべきだ、それから地方財源強化していくといったような五項目提言がなされておりますけれども、こういった報告書提言に対して、政府としてはどのように受け止めているんでしょうか。
  13. 宮地俊明

    政府参考人宮地俊明君) お答え申し上げます。  御指摘の研究会報告書は、学識経験者知事から成る地方分権改革推進に向けた研究会において議論の上取りまとめられたものでありまして、政府といたしましては、真摯に受け止め、地方分権改革推進に生かしていくべきものと認識をいたしております。  例えば、自治立法権の拡充、強化につきましては、法令による地方公共団体への義務付け枠付け見直し等により地方公共団体条例制定権を拡大し、地方責任において地域の実情に即した対策を講ずることができるようにすることは重要と考えております。  以上でございます。
  14. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございました。  現行のその平成二十六年から始まった提案募集方式ですけれども、始まった当初というのは非常に提案件数も多くて、その割には認められた率が六割程度ということで低かったわけでありますけれども、最近は定着してきたということで、提案件数が減ってきている一方、それを実現している率というのが大体九割を超えてきているということであります。  こういった形での実現率が高まってきた背景、理由についてはどのようにお考えでしょうか。
  15. 宮地俊明

    政府参考人宮地俊明君) お答え申し上げます。  提案募集方式において、内閣府が関係府省と調整を行った提案のうち提案趣旨を踏まえた対応などを行ったものの割合は、初年度の平成二十六年には約六割でしたが、平成二十九年以降は約九割で推移しているところであります。  その要因といたしましては、提案募集方式の仕組みが定着し、関係府省から真摯な対応が得られたこと、また、提案に先立つ事前相談の中で、どのように提案すれば現場支障を解消する上で効果的か、提案団体への助言に努めてきたことなどが考えられます。  提案への対応につきましては地方側からも評価いただいているところでありまして、内閣府といたしましては、引き続き地域における課題提案に結び付くよう支援するとともに、提案の最大限の実現に向け取り組んでまいりたいと考えております。
  16. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございます。  ある意味、定着してきたということとともに、また内閣府、政府の方でも地方に対してしっかりキャッチボールをし、御説明されているということだろうというふうに思っています。  一方で、ある意味実現率も高まってきたと。内容を拝見しますと、こう言ったら申し訳ないかもしれませんが、細かい、割とその地方にとってみても細かい内容のものが多いということで、こういったものは政府の方が、むしろ提案募集を受けるのではなくて、率先していろんな法律改正あるいは規制緩和をしていくべきではないかといったような御意見も少し聞いたこともございます。  我が党内でも、法案審査をする際に、部会の中でも実はそういった意見がちょっとあったのかなと思いまして、私自身はこの後ちょっと一例挙げさせていただきますけれども、なかなか霞が関にいると地方での切実ないろんな面での要望とかあるいは困っていることが見えなくなっていると。なかなかその霞が関の役人の皆さんに率先してそういう規制緩和を行っていくような、そういった人力というんでしょうか、リソースも少ないということもあると。逆に、こういったものが気付きということで霞が関の動きを変えていくという、岩盤としては薄い岩盤かもしれないけれども、その岩盤を打ち破る一つきっかけではないかというような話もしたことがありますけれども、どのように受け止めておられるでしょうか。
  17. 宮地俊明

    政府参考人宮地俊明君) お答え申し上げます。  地方に対する義務付け枠付け見直しにつきましては、地方分権改革推進委員会勧告等を踏まえ、国主導で横断的に進めてまいりましたが、平成二十六年からは地方の発意に基づく提案募集方式を導入し、地方公共団体意見を広く取り上げ、改革推進してまいりました。  義務付け枠付け見直しに当たりましては、まずは地方現場で抱えている支障を把握することが重要であると考えておりまして、提案募集方式におきまして具体的な支障を伺いながら、それを解消していく手だてを検討してまいりたいと考えているところでございます。
  18. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございます。  じゃ、法案に関連してお尋ねしたいと思います。  令和二年、昨年に出された提案というのは全体で二百五十九件ございました。この提案をどういうプロセスで整理していくかといえば、まず内閣府さんの方でそれぞれの所管している省庁ヒアリングを行います。これは第一次ヒアリングということでキャッチボールをすると。その上で、なかなかその各省庁がうんと言わない場合には、専門部会という部会にかけてヒアリングをしていただく、あるいは地方団体からの要望、その意見ヒアリングするというプロセスを経て、さらに内閣府さんがそれぞれ所管している省庁に対してまたヒアリングを掛けるということで、ある意味しっかりとキャッチボールをし、スクリーニングを掛けて、最終的に法改正が必要なものは今回のように地方分権一括法という形で提出する、あるいは、その各省庁が自ら行政として措置する場合にはそれをやっていただくというようなプロセスを経るわけであります。  今回、九法律項目要望というか、法律対応するわけでありますけれども、その中の一つで、地方公共団体特定事務郵便局における取扱いに関する法律という法律が改正されています。これについて取り上げたいと思います。  資料の二を御覧いただきたいと思いますが、これ、先ほど申し上げた、実は内閣府さんの方でこういった形で、先ほど申し上げました百件を超える多くの案件について一件一件、こういうチェックシートというんでしょうか、フォローシートで管理をされています。どういった提案事項であるのか、所管省庁はどこなのか、その内容はどういうことがあり、実際地方にとってどういう支障があるのか。その上で、後ろのページを御覧いただきますと、各省庁がどういう意見を言っているのかという一次回答でありますとか、こういった形で、本当に実は一件一件細かい話でありますけれども、内閣府さん、本当に丁寧に真摯に中身を御覧になり、各省庁とのキャッチボールもされているという状況でございます。  今回の提案でありましたのが、郵便局において、例えば自治体窓口業務であります住民異動届あるいは印鑑登録受付事務を、これなかなかその地方自治体の支所の窓口人員削減等で維持できなくなってきていると。特に過疎地における窓口サービスについて、それを郵便局に委託できないかというものであります。その制約になっているのが、先ほど申し上げた郵便局事務委託法ということでございます。  実は、この件につきましては昨年の総務委員会で、私、総務委員会理事をしておりましたので、当時総務省質問をさせていただき、大変有意義な取組であるといったような、あっ、大変有効な業務であるという答弁を大臣からもいただいたものであります。その上で、内閣府さんあるいは総務省さんとも、昨年何回か少しお話もさせてきていただいたものということでございます。  その上で、まずお尋ねしたいのが、今回の郵便局における地方公共団体特定事務取扱いに関して、実はその住民票写し等代理人による請求という要求事項要望事項もございました。今回これが法律事項に入っていないんですけれども、これについてはどのように対応されたのか、お尋ねしたいと思います。
  19. 阿部知明

    政府参考人阿部知明君) お答えいたします。  郵便局事務取扱法におけます証明書等交付請求受付についてでございますが、代理人委任権限存否判断が必要になることから、運用上、地方団体において慎重に判断すべき旨、通知により示していたものでございます。  しかしながら、令和二年の提案募集におけます地方からの提案を受け、検討した結果、住民ニーズが一定程度見込まれると考えられること、それから法の施行から約二十年が経過し、地方公共団体から郵便局への事務委託実績が蓄積されていること、さらに、郵便局窓口業務におきましても、今日では、口座開設や高額の送金の際、代理人による取引を含めた本人確認実績が蓄積されており、郵便局職員代理人委任権限存否判断することも十分可能となっていると考えられること等を踏まえまして、令和三年三月十五日付け通知によりまして、代理人による請求受付について郵便局において取り扱うことが可能であることなどを明確化してございます。
  20. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございました。  途中の議論では法律改正が必要ではないかというような議論もあったようでありますけれども、ある意味総務省あるいは法務省判断によって行政としてそれはできるということで、過去の解釈を変更したのかどうかというのは微妙でありますけれども、そういった形で対応をすることができたと、ある意味こういう地方からの要望を受けて霞が関の従来の対応を変更することができたという事例だというふうに私は理解しております。  それから、もう一点地方公共団体から今回要望があったのが、例えば転入届であるとか印鑑登録事務といった事務について今回は法改正のやはり対象外となっておりますけれども、その理由についてお尋ねします。
  21. 阿部知明

    政府参考人阿部知明君) お答えいたします。  今般改正することといたしました地方公共団体特定事務郵便局における取扱いに関する法律でございますけれども、地方公共団体事務のうち、いわゆる公証行為の一環を成す重要な事実行為について、同法に基づく適切な取扱いの下、郵便局に委託することを可能とするための制度でございます。  今般の地方公共団体からの提案のうち転出届受付印鑑登録廃止申請受付等の手続につきましては、内容を精査いたしまして事実行為としての整理が可能であることから、郵便局における取扱いを可能とさせていただきたいと考えてございます。  他方で、住民基本台帳法上の転入届等は、これが受理されますと居住関係公証を始め、選挙人名簿の作成、それから保険給付課税等の様々な行政事務基礎となるものであること、また、印鑑登録申請につきましても、登録された印鑑につきましては実印として広く民間の経済取引に用いられることなどを踏まえまして、市町村職員の対面による厳格な本人確認及び実質的審査が必要とされているものでございます。  これらはいずれも公権力の行使たる公証行為と密接不可分なものであるため、事実行為として事務局に委託することは困難なものと整理をさせていただいたところでございます。
  22. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございます。  しかし、公権力の行使かどうかというのは、その時代時代の状況とか、あるいは、今回、やはり地方において、ある意味地方公共団体の切実な御要望と、職員がなかなかもう削減されて窓口事務が提供できない、しかし住民サービスは提供しなければいけないといったようなそういう御要望を受けているものでありますので、今後引き続き御検討いただきたいというふうに思います。  最後に、坂本大臣に、地方分権改革推進と、先ほど、今回の件であります郵便局の果たすべき役割について、どのようなものを期待するのか、お尋ねしたいと思います。
  23. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 郵便局役割につきましては、分権の点からも、そして、私が担当します地方創生の点からも大変重要であるというふうに考えます。例えば、日本郵便と石川県が連携協定を結んで、県内の郵便局長が移住・定住希望者の生活全般の相談等のサポートを行っているというふうに承知をしております。先月、閣議後の記者会見で質問もありましたので、そのことについては私も会見で触れさせていただきました。  郵便局には、地方公共団体住民に身近な行政サービスを提供するに当たって住民の利便性向上に資する役割を担っていただくこと、これから担っていただくことが望ましいというふうに考えております。今後とも、地方公共団体住民サービスを提供する際の連携のパートナーとして郵便局に期待をしているところでございます。
  24. 徳茂雅之

    徳茂雅之君 ありがとうございました。  時間が参りましたので、終わります。
  25. 藤末健三

    ○藤末健三君 自由民主党・国民の声の藤末健三でございます。  本日は、地域分権一括法案につきまして、eスポーツによる地域の振興の観点からお話しさせていただきたいと思います。  今、委員各位の元に資料をお配りさせていただいていますが、これは新聞の記事の切り抜きでございます。eスポーツで地域活性化ということでございまして、例えば、二〇一九年には、茨城国体に付随する文化プログラムとして、このeスポーツ、ゲームによる競技の大会というのが開かれまして、何と、その予選も含めまして全国で一万五千人が参加して行われた。  また、左側の方に、富山県、先進県の一つと書いてございますが、富山県におきましてはもうプロチームがあるという状況でございまして、また、学校、高校におきましても部活としてのeスポーツが行われていると。こちらにございますように、トヤマゲーマーズという大会が開かれまして、そのドームには三千人が集まり、また競技に七百人参加した、そのうち三分の二が県外から来てくれたと。若い人たちが集まっているという状況でございます。  そしてまた同時に、企業も動いていまして、NTT東日本と書いてございますが、NTTなどがこのeスポーツによる地域振興を推進するための会社までつくって動いているという状況にございます。  実際に、このeスポーツ、世界的な動きを見ますと、二〇一九年の世界市場約九億ドル、日本円にしては約一兆円であります。そして、これが二〇二三年には約二兆円、倍増するという予測がございます。  そしてまた、この新聞記事に書いてございますように、日本国内の市場を見ますと、二〇一八年に四十八億円、そして二〇二二年には九十九億円と倍増するということでございまして、今後、5G、高速で多人数が通信できるという5Gが普及したときに、恐らくこのeスポーツ、より加速して普及するんではないかと言われています。  しかしながら、我が国は、任天堂、ソニーというゲーム機器メーカーが非常に大きなポジションを取っていただいているわけでございますけれど、このeスポーツについては世界市場の中の五%しか占めていないと。実際に、皆様もユーチューブとかネットでいろいろ見ていただければと思うんですけど、eスポーツと引くと、もういろんな大会が出てきます、世界大会が。で、ほとんどがというか、ほぼ全てがアメリカとか中国なんですね。  eスポーツの先進国と言われているのがアメリカ、中国、大体ここで半分ぐらいを占めていると。そして、次に続くのが韓国でございます。韓国も非常に進んでいる。あと、ドイツ、ポーランドがございますが、日本は非常に遅れている状況にあるということであります。  ちなみに、中国を見ますと、中国はeスポーツ特区という特区制度を使って、江蘇省、あと浙江省などがeスポーツ特区に認められ、例えばeスポーツのトレーニングや教育、あと大会の誘致などを積極的に行っております。  また、大きなeスポーツの国際大会の誘致の例でいきますと、ポーランドのカトヴィツェという都市がありますが、ここは国際大会を誘致していまして、都市として、何と十万人が参加して、賞金が三十億円になっているというほど非常にフィーバーしている。  また、このeスポーツ、今非常に若者の間で加熱しているわけで、加熱というか人気があるわけでございますけれど、一つの要因として、ニューヨークで開催されました大会、世界大会で十六歳のこのゲームの少年が何と三億円の賞金を稼いだという、それがインパクトがあり、一気にeスポーツも普及しているという状況にあります。  しかしながら、我が国におきましては、このeスポーツ、いろんな規制があって、賞金が例えば億レベルの、数千万でもできない、大きな国際大会に匹敵するような大会を国内でできないような状況にあります。一方で、この記事にありますように、いろんな自治体の方々がeスポーツ大会を誘致して地域活性化をしたいと願っている中、やはりこの規制の壁を突破しなきゃいけないという思いから今日は御質問させていただきます。  まず一つ目にございますのは、景品等表示法、これは消費者庁の法律でございますけれど、eスポーツ大会における賞金につきましては、景品等表示法二条の三項に定めます景品類という定義がございます。ここの四条の適用を受けましてその最高の商品の価格の上限が決まっている。一般的には大体十万円というレベルであります。ただ、特例がありまして、一定の場合には仕事の報酬等と認められる金品の提供に該当するものとして景品類の提供に当たらないとされるということになっていますけれど、こういうeスポーツの大会の商品は景品類に該当するという前提になっているというふうに聞いております。  しかしながら、eスポーツ大会を進めるに当たりまして、eスポーツ大会事業における賞金を景品類に該当するというのは、ちょっといろいろ考えて御検討いただきたいと思います。  この景品類といいますのは、顧客を誘引するための手段として、方法のいかんを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であるということが、これは告示で決まっているわけですけれど、何か景品類というのは自分の商品を売るために提供するものというふうになっておりますが、このeスポーツ大会を開催するに当たりまして、先ほど、一万七千人とか七千人が参加したということですけれど、やはり参加費をいただき、その中から賞金を、スポンサーも付きますけど、出しているという状況でございまして、参加者の参加費を原資とする賞金はゲームなどの販売のために顧客を誘導する手段ではないというふうに考えられると思います。  また、商品類に該当するためには、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して提供されるということでありますけれど、この賞金というのは、事業者から提供されたものではなく、参加する方々が集まり、そしてスポンサーが付いて提供されるということでございまして、この賞金というのが事業者が自分のために提供するものではないというふうに考えております。  このように、景品類の定義に関する告示や、あと解釈基準というのが出されていますけれど、これらを勘案しましても、eスポーツ大会事業における商品は景品類に該当しないんではないかと考えますが、その点いかがでしょうか。  そしてまた同時に、参加者が参加費をプールして賞金の原資とするという場合があるわけでございますけれど、これについても景品類に該当しないという解釈でいいかどうかを、消費者庁、お答えいただきたいと思います。お願いします。
  26. 片桐一幸

    政府参考人(片桐一幸君) お答えいたします。  景品表示法第四条は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため、景品類の最高額、総額等を規制しております。  委員御指摘のとおり、景品類とは、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して提供する金銭等をいいます。このため、eスポーツ大会が特定のスポンサー企業によって開催されるものでなく、その賞金が参加者の参加費を原資として提供される場合や、ゲームの提供事業者以外の事業者が賞金を提供する場合であっても、別途、当該賞金提供者の提供する商品、役務の購入を条件としているような事情のない場合は、そもそも景品類の定義に該当せず、規制対象とはなりません。  また、景品表示法の運用基準において、取引の相手方に提供する経済上の利益であっても、仕事の報酬に当たる金品の提供は景品類に該当しないことを明らかにしてございます。  ゲームの提供事業者が賞金を提供する場合においても、eスポーツ大会については、一般に、多数の観客、視聴者が各ゲーム参加者の競技を見て楽しんでいるという実態があると承知しており、例えばこのような興行性のある大会における上位者に対する賞金は仕事の報酬と見ることができるものであることから、景品表示法上の景品類に該当しないと考えてございます。  なお、このような考え方が妥当するのは、いわゆるプロが参加する大会に限られるものではございません。
  27. 藤末健三

    ○藤末健三君 消費者庁の御見解、ありがとうございます。このeスポーツ大会の賞金が景品表示法に該当しないという見解、非常に前向きな回答、有り難いと思います。  もう一つ法的な問題がございまして、それは刑法の賭博罪でございます。  これ法務省にお聞きしたいんですけれど、先ほど申し上げましたように、eスポーツ大会、参加者が支払う参加費を原資として開催する、そして賞金もそこの参加費から出すというときに、賭博罪に該当する可能性があるというふうにお聞きしています。  eスポーツは、賭博ではなく、個人がいろいろ技能を磨いて、そして戦うと、簡単に言えば、将棋や囲碁と、あとはゴルフなんかと同じスキルゲームであると考えますが、このスキルゲームの大会であるeスポーツの事業において参加費を賞金の原資とする方式がなぜ賭博罪に該当するか、その解釈根拠及びその解釈に至った具体的な経緯を私は知りたいと思います。  そこで質問させていただきたいんですが、このように、eスポーツ大会の事業、参加者が払う参加費を賞金の原資にするということは賭博罪に該当するかどうかというのを教えていただきたいと思います。eスポーツは、もう本当にみんなで、参加者は個人の努力によりスキルを磨き、そして勝敗を決めるという一般的なスポーツと同じスキルゲームでありますので、賭博罪に該当する偶然の勝負に関し財物の得失を争うものではないと考えますけれど、その点いかがでしょうか。
  28. 保坂和人

    政府参考人(保坂和人君) 刑法百八十五条の賭博罪の要件は賭博をしたとなっておりますが、この賭博をしたといいますのは、一般に、偶然の勝負に関し財物の得喪を争うことをいうというふうに解されております。  お尋ねの点はこの要件に該当するかどうかということだと思われますけれども、この犯罪の成否といいますのは、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、私どもとしてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  29. 藤末健三

    ○藤末健三君 法務省のそのスタンスは理解させていただきたいと思います。  ただ、一方でカジノとか競馬については賭博罪が成立されないというふうになっておりますけれど、このeスポーツについても同じように扱うことはできないかと考えますが、いかがでしょうか。法務省の見解をお聞かせください。
  30. 保坂和人

    政府参考人(保坂和人君) まず、御指摘のカジノにつきましては、特定複合観光施設区域整備法というのが制定されておりまして、この法律において定める要件に基づいて行われる行為、これについては刑法の賭博罪の規定を適用しない旨の規定が置かれております。  また、競馬につきましては、競馬法が制定されておりまして、一般に、この競馬法の定めに従って実施されることを理由として、刑法三十五条に言う法令行為、法令による行為として違法性が阻却されまして賭博罪が成立しないというふうにされております。  このように、カジノや競馬につきましては、それぞれの事業を所管する省庁の方でその事業の推進に当たりまして法整備を行って、賭博罪との法律関係を整理したというふうに承知をしているところでございます。
  31. 藤末健三

    ○藤末健三君 分かりました。賭博罪を外すためには、法律的な手当てが必要ということと、あと、所管官庁が動かなきゃいけないということを教えていただいたわけでございますけれど、そもそも論として、例えば、先ほどおっしゃっていたようなカジノや競馬、競輪といったものについては誰もが賭博だと分かると思います。しかしながら、例えば、将棋や囲碁、ゴルフなんかのトーナメントの試合でも賞金を出しているという状況の中で、この囲碁や将棋、そしてプロゴルフなどは賭博罪に該当していないという状況になっています。  ですから、賞金を出すeスポーツ大会でありましても、将棋等と同じようなスキルゲームであることを踏まえると、賞金がその参加者がプールしたものから出されるかどうかに関係なく賭博罪には関係しないと考えますが、いかがでしょうか。  将棋や囲碁やプロゴルフなどは実施ルールを作って運営しているので、その実施ルールを守れば賭博罪に当たらないのか。また、そのルールに従っていれば賭博罪に該当しないということが前提としてなければ、これ簡単に言うと、賭博罪、刑法ですから、例えば自治体が試しにやってみようとか、企業が試しにやってみようと、いや、実はこれ賭博罪ですよと言われた可能性があるならば、やはり自治体も企業も安心して踏み切れない状況にあります。これ、大きなところです。  もし、やってみてくださいよと言われたときに、いや、これ刑法で賭博罪に当たりますよと、犯罪なんですよと言われたときにはもう何もできなくなってしまうわけでございますが、その点をある程度明らかにしていただきたいと思いますが、これ、実際に刑法を執行する警察庁にお聞きしたいと思います。お願いします。
  32. 檜垣重臣

    政府参考人(檜垣重臣君) お答えいたします。  どのようなeスポーツ大会であれば賭博罪に該当しないかにつきましては、一概にお答えすることは困難でございまして、賭博罪が成立するか否かにつきましては個別具体的な事実関係に即して判断されるものであると考えております。
  33. 藤末健三

    ○藤末健三君 では、警察庁にちょっとお聞きしたいんですけれど、先ほど法務省の方から、所管するその省庁判断してやるということをおっしゃったわけですが、その点はいかがですか、警察庁として見解は。
  34. 檜垣重臣

    政府参考人(檜垣重臣君) 所管する省庁ということで、ちょっとよく分からないところもございますが、私どもの方で風俗営業を所管しておりまして、そちらの方でゲームセンター等の対象となっております。eスポーツ大会ですので、そのゲームセンターで提供されているようなゲームも関係してくることになろうかと思います。  私どもの方では、ゲームセンターであれば風俗営業法、風適法の規制に従ってやっていただくという形になりますが、eスポーツ大会がそういったものに該当するかどうかにつきましては、やはり個別具体的な実施方法にもよってこようかと思います。  また、eスポーツ大会が賭博には該当しないというようなことにつきまして規定するかどうかにつきましては、いろいろな議論が必要かと思っております。
  35. 藤末健三

    ○藤末健三君 議論の主体はどうなるんですかね。先ほど法務省の見解をお聞きしていますと、例えば所管であるということでおっしゃっていまして、一応、eスポーツで所管を考えますと内閣府の知的財産事務局になるわけですけど、そこら辺で議論すればいいというふうに理解すればよろしいですか。警察庁にお聞きします。
  36. 檜垣重臣

    政府参考人(檜垣重臣君) eスポーツ大会がどのようなところで所管されるのかというのは、ちょっと私どもの方で判断し難いところがございます。  eスポーツ大会の実施方法につきましては、いろいろなやり方があろうかと思いますので、そこを慎重に検討されて、いろいろな法令に抵触しないようにやっていただければというふうに考えます。
  37. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。  恐らく、こういう今議論していますこの地域分権化法で、自治体が安心してこういう新しい事業できるように、是非立法府の皆様と議論を深めてやっていきたいと思います。  ただ、大事なことは、やはり所管する役所の方でサポートが必要だと思いますので、次に内閣府の知財事務局にお聞きしたいと思います。  先ほど申し上げましたように、国際レベルのeスポーツ大会の開催は、地域振興とか、またいろいろな社会的な意義があると考えております。政府におけるeスポーツの振興全体を取りまとめます内閣府知財事務局として、是非とも地域振興に資するような形でのeスポーツの振興を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 渡邊厚夫

    政府参考人(渡邊厚夫君) お答え申し上げます。  eスポーツは、日本の魅力を生かすクールジャパンの一環として、委員御指摘のとおり、地方創生のほか、新市場、新産業の創出、教育、健康増進など、様々な社会的意義があるというふうに認識しております。  知的財産推進計画二〇二〇におきましても、関連する政策分野においてeスポーツを適切に位置付けることに関して、関係府省において検討を進めることとしております。  地域振興の観点も含めまして、知的財産推進計画にのっとって関係省庁取組推進し、eスポーツの健全かつ多面的な発展のための環境整備に努めてまいりたいと考えております。
  39. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、自治体やいろいろな方々からeスポーツを、世界大会を国内でやりたい、地域でやりたいという要望がございますので、是非知財事務局などの力をお借りしましてこれから議論を深めていきたいと思います。  以上で質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。
  40. 川田龍平

    川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。  まず、国連食料システムサミットが本年の九月に開催される予定となっております。そこでまず、サミットが開催される経緯と、それに臨む政府の方針について伺います。  国連はこれまで、持続可能な農業を推進するため、アグロエコロジーと小規模家族農業の二つの原則を柱に据えてきました。アグロエコロジーとは、生態系を守るエコロジーの原則を農業に適用したものであり、そのような農業の科学、実践、社会運動であります。  二〇〇七年から二〇〇八年にかけて世界の食料価格が急激に高騰し、いわゆる世界食料危機が起きました。二〇〇九年には、国連や世界銀行などから構成された研究プロジェクトが、化学農薬、化学肥料に依存した工業的農業から生物多様性と地域コミュニティーを重視するアグロエコロジーへの早急な方向転換を求めました。二〇一一年の国連総会では二〇一四年を国際家族農業年とすることを決定し、家族農業経営がSDGsに貢献する主要な主体に位置付けられることとなりました。二〇一三年には、国連食糧農業機関、FAOが国際的な小農民運動団体でありますビア・カンペシーナと連携し、アグロエコロジーを推進していくこととなりました。  そこで、アグロエコロジー、小規模家族農業を推進する世界の状況と我が国における位置付けについて、この我が国におけるアグロエコロジーと小規模家族農業の推進を支援する仕組みについて是非聞きたいと思うんですが、ちょっと用意していないかもしれませんので、次の質問に行きます。  国連食料システムサミットには、世界中の多くの農民団体、市民団体が反対の声を上げ、科学者がボイコットを求める署名を行っています。それは、国連がアグロエコロジーと小規模家族農業という二つの原則に反し、企業寄りの食料システムへの転換を目指していることが理由と聞いています。  サミットの特別代表を務めるアグネス・カリバタ氏は、ビル・ゲイツ財団などにより設立されたアフリカ緑の革命同盟、AGRAの議長ですが、AGRAはアフリカに遺伝子組換え作物、化学肥料、農薬を使用する農業の導入を進めてきました。これらは、国連がこれまで推進してきた先ほど申しましたアグロエコロジー、そして小規模家族農業の方向性に逆行して、工業的農業を推し進め、農業者をグローバルバリューチェーンに組み込もうとするものです。  こうしたことから、農民団体、市民団体、科学者が国連食料システムサミットに反対し、ボイコットを呼びかける動きがありますが、政府はこの現状について把握し、どのような見解をお持ちか、伺います。
  41. 谷村栄二

    政府参考人(谷村栄二君) お答えいたします。  本年九月に開催されます国連食料システムサミットは、二〇三〇年までのSDGs達成に向けた行動の十年の一環として、食料システムを改革するための行動を議論する場として開催されるものでございます。  本サミットに対しまして御指摘のような様々な観点からの意見があるということは承知しておりますけれども、このような意見に対しまして、国連の方からは、サミットでは、アグロエコロジーを含め全ての解決方法についての議論が必要であること、また、食料システム対話などを通じて全ての扉が全ての人々に開かれているということを説明していると承知しております。  現に進められているサミットに向けた議論におきましても、パブリックフォーラムなどを通じ広く意見を聴取しているところであり、様々な関係者からアグロエコロジーや小規模農家などの重要性も提起されているというふうに認識をしているところでございます。
  42. 川田龍平

    川田龍平君 この国連食料システムサミットは、農業にデジタライゼーションとファイナンシャリゼーション、バイオテクノロジーを導入しようとしています。これらは、グーグルなどの巨大IT企業、それからモンサントを買収したバイエルなどの巨大化学企業が世界を牛耳る分野であります。  世界の食料システムをこれらの巨大企業に委ねることは、日本の国益の観点からも大きな問題をはらんでいると言わざるを得ません。日本で進められているスマート農業、そして、現在検討の進められているみどりの食料システム戦略が目指すイノベーションによる目標の実現は、国連食料システムサミットと同じ方向性を持ち、一部のごくごく限られた大企業にのみ利益をもたらし、食料安全保障上においても大きな問題になるのではないかと危惧いたします。  国連食料システムサミットの方向性は、農業分野において一部の、本当にごく一部の大企業にのみ巨大な利益をもたらし、支配を許すことにつながる可能性について、政府はどのように考えているのか。  また、五月十二日の策定されるみどりの食料システム戦略は、その検討過程を見ると、昨年十一月に検討を開始してから僅かな期間で取りまとめが行われ、パブコメ期間も二週間と非常に短いものでした。これでは国民の意見を広く集め、検討するのに十分な時間が確保されたとは言えないと思います。日本の農業の将来を大きく変えるこのみどりの食料システム戦略の策定に当たっては、もっと多くの関係者の声に耳を傾けて、もっと時間を掛けて慎重に検討を行うべきであったと考えますが、政府の見解を併せて伺います。
  43. 谷村栄二

    政府参考人(谷村栄二君) お答えいたします。  今委員御指摘の点につきましては、サミットの関連文書の中で、精密農業やバイオテクノロジーなどへの言及があることを捉えて、一部でそのような指摘がなされているということは承知しております。そこに対しましては、国連からは、変化を生み出す上で民間部門の関与は重要であるけれども、企業がサミットの作業を主導したり、サミットの結果を規定するために単独で責任を負うわけではないということについても説明をしているというふうに承知しております。  我が国といたしましても、これまでの持続的な食料システムの在り方について、生産者団体や消費者団体など、食料システムを構成する幅広い関係者と意見交換を行ってきております。これらを踏まえまして、我が国の考える持続的な食料システムの目指す姿ということを取りまとめた上で国連に提出をするとともに、サミットにおいて積極的にそれを発信して、議論に積極的に貢献をしていくという考えでございます。
  44. 川合豊彦

    政府参考人(川合豊彦君) お答えいたします。  みどりの食料システム戦略については、昨年十月に野上農林水産大臣から、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を農業者において実現させるための新たな政策方針として、みどりの食料システム戦略の検討指示があり、精力的に検討を進めてまいりました。その検討過程では、大臣、副大臣、政務官も参加し、各品目の生産者、若手の新規就農者、中山間、中小・家族経営などの生産者の方々や、食品事業者、メーカー、消費者団体などの幅広い関係者と二十二回にわたり意見交換を行いました。このほか、有識者との意見交換、審議会、パブリックコメントを行うなど、関係者の皆様の御意見を踏まえて五月十二日に策定したところでございます。  なお、パブリックコメントにおいては、戦略の策定以降も消費者や現場の生産者との対話と理解促進を望む意見が大変多かったことから、新たに国民理解の促進の項目を設け、戦略策定後も関係者との意見交換を続ける考えを明記しております。  本戦略は、これまでにない新たな政策方針であり、生産者、事業者、消費者、それぞれの理解と協働の上で実現するものであります。その実践に当たっては、我が国の食料、農林水産業を取り巻く状況に加え、本戦略の理念や目指す姿、取組方向などについて、分かりやすい情報発信、関係者との意見交換などを通じ、関係者の皆様方に御理解いただけるように取り組んでまいります。
  45. 川田龍平

    川田龍平君 農林水産省は、二〇一四年の環境保全型農業センスアップ戦略研究会を設置し、アグロエコロジーな社会をデザインするための議論を行いました。また、二〇一七年の国連総会において、二〇一九年から二〇二八年の十年間を家族農業の十年とすることを全会一致で決定をしておりますが、日本は議案の共同提案国となっています。このように、日本は国連が掲げてきたアグロエコロジーや小規模家族農業を推進する方針に賛同してきました。さらに、二〇二〇年に閣議決定された第五次食料・農業・農村基本計画では、中小・家族経営など、多様な経営体への支援が明記されました。  このように、政府は、アグロエコロジーや小規模家族農業について支援し、推進する方針を持っておりましたが、この二日前に策定されたみどりの食料システム戦略は、イノベーションに期待した農業政策が中心であり、アグロエコロジーや小規模家族農業について位置付けは行われていません。これは従来の政策から逸脱するものであると考えますが、政府の見解を伺います。  みどりの食料システム戦略には、有機農業の取組面積拡大に向けた技術革新の工程表が示されていますが、政府の当面の政策方針を見通すことができる二〇三〇年時点の取組や既存の技術体系による取組の域を出ておらず、目新しいものは見出せません。また、二〇三〇年時点の有機農業の取組面積は六万三千ヘクタールであり、二〇五〇年までの目標百万ヘクタールとは差が極めて大きく、本当に達成する意思があるのか疑問に感じます。  みどりの食料システム戦略の中間取りまとめの後のパブリックコメントを受け、現場で培われた優れた技術の横展開が追加されたことは、現在の日本の有機農業の高い技術を取り入れる姿勢として評価に値すると考えます。  日本の稲作の有機農法は、世界的にもトップの水準にあると考えられます。しかし、その横展開が実に難しい現実にぶつかっています。そのための新たな施策が求められると思いますが、例えば千葉県いすみ市では、市の僅かな予算、年間数回の講習だけの技術支援で、僅か四年で市内小中学校の学校給食を全て有機米にすることに成功しました。僅かな予算で実現可能です。  現在、学校給食の有機化を求める声は大きく、これに政府の施策を加えることで短期間に有機農業を大きく広げることが可能で、市民にも評価されるものになるはずです。この技術の横展開を可能にさせるためには、やはりそこに予算を確保し、慣行農業を行う農家が有機転換するための技術研修をする機会を提供することが重要であると考えます。農家から農家へ伝える方法は世界でも有効性が高いことが知られています。こうした機会の具体化について見解を求めます。
  46. 川合豊彦

    政府参考人(川合豊彦君) お答えいたします。  みどりの食料システム戦略は、自然災害や気候変動に伴う影響、生産者の減少などによる生産基盤の脆弱化や農山漁村に地域のコミュニティーの衰退、様々な産業でSDGsや環境への対応が重視されていることなどを背景に、若手の新規就農者、中山間地域の生産者、中小・家族経営などの生産者の方々も含む幅広い関係者との意見交換を精力的に行い、御意見を伺いながら策定したものであります。本戦略の策定によりまして、農作業の安全性や生産性の向上と生産者の裾野の拡大などを通じた持続的な産業基盤の構築を目指しております。  本戦略は、中小・家族経営を始めとする様々な生産者、事業者、消費者のそれぞれの理解と協働の上で実現するものでありまして、関係者が総力を挙げて食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立に向けて全力で取り組んでまいります。
  47. 安岡澄人

    政府参考人(安岡澄人君) 有機農業の問いに関して御説明をさせていただきます。  有機農業については、委員が御指摘のとおり、みどりの食料システム戦略で示す目標の達成に向けて、まずは二〇三〇年までに取組面積を六万三千ヘクタールに拡大するということにしているところでございます。この実現に向けて、近年、技術的な面を見てみますと、水稲やニンジン、バレイショなどの根菜類では有機栽培の栽培技術の確立が進んでおります。手間やコストはかさむものの、安定的に現場では、委員御指摘のとおり、栽培を可能にしているといったような例も出てきているところでございます。当面はこうした技術を実際に基にして有機農業を指導できる人材の育成、さらには、委員御指摘のとおり、実際農家の技術習得を進めていくと、こういった取組が重要だというふうに考えております。現場で実践されている様々な先進的な有機農家の取組を横展開する、委員御指摘のようなアプローチを進めることによって有機農業の取組拡大を進めていくこととしてございます。  さらに、議員御指摘のとおり、有機農業の取組拡大に当たっては、有機栽培を行う上での課題である雑草管理といったような労力の問題、さらには収量や品質が不安定であることなどの技術的な課題の解決というのも重要でございます。様々な形の技術開発進めることにしてございまして、例えば、雑草管理を可能にするための深水管理の実証であるとか除草ロボットの開発、さらには様々なAIを活用した病害虫発生予察技術の開発、土壌診断データベースの構築など、農薬や化学肥料に依存しないで生産しやすくする技術開発なども進めていくということにしてございます。  いずれにしても、今後ともこうした技術開発を進めて、現場の実態や声を聞きながら技術の普及拡大をして、有機農業の大幅拡大を進めていきたいと考えてございます。
  48. 川田龍平

    川田龍平君 是非、既存の技術の横展開、まずしっかりやっていただきたいと思います。  このいすみ市のケースは画期的で、僅かな予算で短い時間で有機農業を大幅に離陸させることに成功しました。今、日本では有機農産物は買いたくても売っていない、売っていたとしても高くて買えないというのが現状であり、消費者を啓蒙すればすぐに広がる状態にはありません。世界各国においても、公共調達政策で、まず政府が、あるいは自治体が買い上げるという政策が有機農業の離陸にとって大きな役割を果たしてきたことが知られています。  今、日本の有機農地、値は、フィブルという、FiBL、スイスにある、スイスに本部のある有機農業研究所の統計によると、面積でも面積比でも世界百位くらいということで、程度という厳しい現実にあります。この現実を変えていくためには、この公共調達政策でしっかりと目標を設定して、広く打ち出すことが不可欠と考えられますが、それについては農水省いかがでしょうか。
  49. 安岡澄人

    政府参考人(安岡澄人君) お答えいたします。  公共調達、特に学校給食において有機食品を活用するということは、農業が生物多様性の保全などSDGsの達成に貢献することを児童生徒、さらには地域住民に理解していただくとともに、地域で有機農業を展開していく上でも有意義な取組一つだと考えてございます。実際、農水省で行った調査では、全国で九十二の自治体で実際に学校給食に有機農産物が活用されているというふうに承知しています。  ただ、こうした取組を拡大していくためには、まずは地域で有機農業に取り組む農業者を増やす、さらには、学校給食で必要とされる様々な品目や量をしっかり安定的に確保、供給できるような産地づくり、体制づくりが重要だというふうに考えてございます。  このため、農林水産省では、自治体が行う例えば有機栽培の技術の研修会の開催など、産地づくりの取組を支援するほか、地域の有機農業者、学校給食の関係者の間でこういった調達を進めるために、栽培計画、集荷方法、納品規格などを調整する打合せ、すなわち給食利用に向けた体制づくりなどを支援しているところでございます。  今後、有機農業の取組の更なる拡大が必要でございますので、学校給食など公共調達における有機食品の活用を含め、更にどのような取組が必要か、検討してまいりたいと思っております。
  50. 川田龍平

    川田龍平君 この学校給食に有機農産物を使うには、それほど大きな予算も必要ないと思います。地産地消や地方創生の観点からも、是非、坂本大臣考えていただきたいと思います。  これ、現場の実践と農研機構や大学などの研究が融合していくことが重要になりますが、有機農業の実践とバイオテクノロジーの研究とは余りに水と油の関係にあり、融合は不可能です。気候変動、生物多様性の激変などに対してみどりの戦略を打ち立てるのであれば、アグロエコロジーという生態系の力を活用する農業に関する科学が不可欠になります。  これは、国連FAOもその方向で動いており、先進国や発展途上国の大学でもアグロエコロジー学科が設置され、多くの学生、研究者が活動し、有機農業を総合的に科学として深めています。それが更に大きな政策をつくることを可能にしています。しかし、日本にはこのアグロエコロジー学科は存在しておりません。世界では、このアグロエコロジー研究と有機農業の実践の発展がお互いを刺激し合う関係になっていますが、日本ではその研究がなく、農家の実践のみの状態になっています。それでも日本の有機農業の技術は世界的にも高い水準にありますが、市民の理解は各国に比べて非常に低く、政策としては個別の技術としてのみ扱われ、統合的な農業戦略になっていません。  日本は、有機農業のパイオニアであり、世界の模範でありました。しかし、今や日本の有機農業の地位は世界の百位前後まで落ち込んでいるのが現実ではないでしょうか。これは研究の遅れが原因になっているのではないかと考えますが、もっとも、農研機構でもこのアグロエコロジーで重要視される個別の課題は研究されています。  例えば、みどりの戦略でも取り上げられているカバークロップの研究は農研機構でも行われており、地域によってどんな作物にはどんな種類のカバークロップが適しているか、オンラインで調べることができる優れたオンラインデータベースが以前は存在していました。しかし現在は、予算が続かなかったのでしょうか、そのデータベースは消えてしまっています。これでは、こうした重要技術の横展開もできません。  統合的なアグロエコロジー戦略をつくるための研究が不可欠であり、農研機構で行われているカバークロップや土壌の炭素蓄積の個別の研究は、その研究によって大きな戦略に統合されることでもっと大きな役割を果たすと考えられます。そして、そうした研究を進めることで技術も情報も人材も世界から集まってきます。みどりの食料システム戦略を成功させるためにはそのような研究が重要と考えますが、認識を伺います。
  51. 川合豊彦

    政府参考人(川合豊彦君) 委員御指摘のとおり、農研機構は新しい中長期計画を発表しまして、その中でしっかりやっていきます。予算の確保にも努めてまいりますので、引き続き御指導よろしくお願いいたします。
  52. 川田龍平

    川田龍平君 ありがとうございます。  それでは、法案の審議もしなきゃいけないと思いますので、します。  昨年来のコロナ禍における対応は、保健所や市区町村の窓口が最前線となり、現在もワクチン接種に向けた対応が続けられていますが、この一年以上にわたる地方自治体における事務は、法律に基づくものとそうでないものとがありました。  例えば、コロナ禍における法律に基づかない事務としては、全国一斉休校の要請がありました。これは、昨年二月二十七日に当時の安倍総理からの要請があり、文部科学事務次官名の通知により方針が示されたものでありますが、まさに法令に基づく指示ではなく、お願いでありました。  また、十万円の特別定額給付金については、一般的には国の政策と考えられていますが、事業の実施主体は市区町村で、その経費、給付事業費及び事務費については国が一〇〇%補助する自治事務でありました。もちろん、十万円の給付金はほとんどの国民が待ち望んでいたものであり、重要な施策であったと思いますが、市町村にとっては、法令上の根拠のない自治事務であったにもかかわらず、実施しないという選択肢は事実上なかったと言ってよいと思います。  コロナへの対応については、言うまでもなく緊急性、迅速性が重要ですが、一方、地域の実情を踏まえた分権的な取組が共に求められるところでありますが、この一年間のコロナ禍への取組について、法定受託事務と自治事務に整理された地方分権改革の観点からどのように評価すべきか、大臣のお考えを最後にお伺いしたいと思います。
  53. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 国と地方につきましては、私は、この一年間、それぞれ連携し、難局に対処してきたというふうに考えております。  ただ、この新型コロナウイルスの感染が落ち着いてきた段階で今般の政府対応について検証が行われる予定であります。その中で、新型コロナウイルス感染症への対応に係る国と地方役割分担についても、また改めて必要な検討が行われていくものというふうに思います。
  54. 川田龍平

    川田龍平君 終わります。
  55. 岸真紀子

    岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。  先ほど坂本大臣から地方分権の意義お聞きしましたが、私も、川田委員に引き続いて、この新型コロナウイルス感染症の対策を見ていると、どうもこれまで国で進めてきた分権改革に逆行しているんじゃないかなと思うことが多々あります。これまで地方と国というのは対等の協力関係というふうにしてきたのが分権改革だったんですが、残念ながら、今、コロナのワクチン接種を見ても、急に菅総理が七月末までに接種を完了せよという号令を始めたことから、二時間置きに自治体上下主従のような関係で国から圧力のようなものが行われてきたりしています。こういった一連の動きを見ても、国と地方が対等とは残念ながら言い切れないのではないかと疑うところがあるんです。むしろ中央集権化が始まってしまっているように感じます。  また、相変わらず、交付税とか地方財政によって自主性を損なうようなことが行われています。例えば、今でいうと、国が目玉政策として挙げたデジタルとかグリーンにはお金が付くんですが、予算が付くんですけど、それ以外の本当にその地域に必要な自主的な事業についてはなかなかお金が付きにくいといった悩みが自治体現場では抱えています。  分権改革で機関委任事務廃止であったり国の関与のルール化によって、これまでせっかく進めてきた地方の自立化が逆行して、危ういと私は感じるんですが、坂本大臣はこの点いかがお考えでしょうか。
  56. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 地方分権改革におきましては、今委員言われましたように、国と地方関係上下主従関係から対等協力関係に変えていくということを理念として掲げ、これまで取り組んでまいりました。機関委任事務廃止するとともに、国と地方公共団体役割分担の基本原則や国の関与の基本ルールの確立、さらには地方に対する権限移譲義務付け枠付け見直し等規制緩和など、地方自主性自立性を高めるための改革を積み重ねてきたところでございます。私は、その成果は着実に上がっているというふうに思います。  ただ、今回のコロナ感染の場合には、言ってみれば非常時でございます、平時とはちょっと違う対応をしなければなりません。その中で、やはり国の対処方針に基づいて地方がそれぞれの立場で政策を実施していく、そういうような構図になっているんだろうというふうに思います。  地方分権そのものは確実に成果を出してきているものというふうに思いますので、引き続き国と地方対等協力関係であることを踏まえまして地方分権改革推進に取り組んでまいります。
  57. 岸真紀子

    岸真紀子君 ありがとうございます。  坂本大臣はきっと地方を大事にしていただけていると私はこの間の答弁を聞いても感じていますので、引き続きその観点で進めていただくようにお願いいたします。  また、道府県と指定都市との権限移譲についてお伺いをします。  指定都市は約八割の事務権限が道府県から移譲されていますが、このコロナにおいて感染症の対策も多く担っているんですが、特措法に基づく休業要請などの権限知事にしかないということがあって、なかなか指定都市の市長には権限がなくて、実際に今朝の北海道新聞にも、札幌市長が、動きが鈍い国と北海道に対して憤慨しているというような記事も載っています。  今回、今日急遽、緊急事態宣言に北海道が指定されるというような予定にもなっているみたいですが、こういったように、本当であればもっともっと素早い対応を、札幌市なり政令指定都市に権限があれば対策が取れたのではないかと思うことがあります。  これまでも権限移譲要望など、指定都市会からも様々なものが上がってきていると思いますが、この指定都市への権限移譲をもっと進めるべきではないかと考えます。進まない要因は何があるのかというのをお伺いいたします。
  58. 宮地俊明

    政府参考人宮地俊明君) お答え申し上げます。  道府県から指定都市への権限移譲につきましては、地方分権改革推進委員会勧告等に基づき、累次の地方分権一括法により推進してきたところであります。また、平成二十六年に導入した提案募集方式におきましても、権限移譲を求める提案について順次対応してきております。  今後とも、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立ちまして、道府県から指定都市への権限移譲など、地方分権改革を着実に進めてまいりたいと考えておりますけれども、特に都道府県から指定都市への権限移譲等につきましては、それぞれ都道府県の立場、それからまた指定都市の立場、いろいろあろうかと思いますが、そこの業務の実情も踏まえて、しっかりと調整した上で方針を決めていくべきものであるというふうに考えております。
  59. 岸真紀子

    岸真紀子君 今おっしゃられたとおり、都道府県の立場と政令の立場でそれぞれいろんな調整とかが必要だと思いますが、可能な限り身近なものは身近で対応するというのが基本だと思いますので、引き続き、なるべく身近なところで権限を持たせる立場で進めていただければと思います。  次に、地方分権による自立化を進めるに当たっての課題は、私は省庁の、省庁間の連携だと考えています。いまだに根強い縄張意識とまでは言いませんが、そういったものが残っています。もちろん、省庁ごとの専門性は誇りを持って取り組んでもらいたいですし、更に高めていただきたいと私も考えます。縦割り行政の全てが悪いとは考えません。  しかし、自治体は、特に小規模自治体窓口が一本であるのに対して、国は省庁ごとに、例を挙げると、書類をばらばらに提出しなかったらならないとか、そういうような連携が不十分なところがまだあるんですね。地方分権の観点からも、省庁間の連携を更に進めるにはどういった取組をお考えか、坂本大臣にお伺いします。
  60. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 御指摘のような地方公共団体の負担となっている事例が生じているのであれば、これは今言われましたように、省庁間が連携して改善すべきというふうに思います。  このような事例につきまして、地方から支障の改善に関する提案があった場合、今回のような提案型で提案があった場合には、地域の実情も踏まえながらしっかりと対応をしてまいりたいというふうに思います。
  61. 岸真紀子

    岸真紀子君 引き続き、提案もそうですが、この後の質問にもかぶってくるんですが、今回の改正の法律内容を見ると小ぶりなものばかりになってしまっているんです、残念ですが。これまでの提案内容を振り返っても、権限移譲に関する提案義務付け枠付けの緩和とか、必置の規制見直しに関する提案は、どちらを見ても年々減少している状況にあります。特に今年は市町村事務の簡略化が多くなっているように感じますが、これは分権と言えるのかと、素直に言うとそう思ってしまうところがあります。  二〇一四年から導入された提案募集方式は、地方からの提案を基にしているんですけど、近年の状況を見ると事務の簡素化とか効率化が多いように感じます。もちろん、簡素化、効率化はいいことだとは思うんです。良いことだとは思うんですが、本来の地方分権改革の姿ではないんじゃないかなと感じます。  提案募集という手法は地方自治体職員からの発信という点ではいいですが、一方で、その自治体職員地方分権というテーマを考え機会が減ってきているように感じます。企画担当部門などの職員が、国から通知が来た文書の写しと提出期限などを記した文書を各部へ回しているといった形式的な形となっていないかという課題です。  ほとんどの自治体議論の積み上げができていないんじゃないかなと感じるんですが、このやり方、限界に来ているんではないでしょうか。大臣見直しませんか。
  62. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 提案募集方式につきましては、平成二十六年の導入以来、地方創生、そして、子ども・子育て支援関連法を始めといたしまして、地方現場における様々な分野の幅広い問題を解決してきたというふうに考えております。  また、提案募集方式は、地方の具体の意見を反映させる仕組みとして、地方側から、これは地方三団体からもですけれども、評価をされているところであります。令和二年も、新型コロナウイルス感染症対応で多忙な中、それぞれの県、市区町村、二百五十九件の提案をいただくなど、現時点では提案募集方式に対する地方のニーズというのは底堅いというふうに認識しております。  今後さらに、各地方それぞれ、人口減少やあるいはデジタル化への対応をどうするかということで、地方が新たな課題に直面するということも十分考えられます。現場支障を踏まえて対応していくことが今後とも重要であると考えております。  地方の声に耳を傾けながら、地方分権改革のより一層の前進に向けて、提案募集方式のますますの充実を図っていかなければいけないというふうに思います。
  63. 岸真紀子

    岸真紀子君 正直もうネタ切れになってきているので、提案募集提案募集で残していいと思うんですが、ハイブリッド方式ですね、例えば委員会勧告方式とハイブリッドにするとか、検討はした方がいいと思います。  今回の改正案の郵便局において転出届等の受付事務が可能となることは、要望のあった地域にとっての利便性なので、よいと思います。ただ、若干の懸念があるのでお聞きします。  印鑑登録廃止申請はその事務で完結するので問題がないんですが、転出に関する手続は、届出の受付と転出証明書の引渡しだけで切り取ることに私は意味があるのか疑問なんです。  何を言っているかというと、通常、転出というのは、介護保険とか国保とか児童手当とか軽自動車税とか、様々なものが手続が必要なんですよ。結果としてまた役場に出向かなければならないのであれば、余り意味がないように感じます。また、そういったほかの手続が必要なことを自治体として説明する責任というのが自治体職員にあるんですよ。ですが、そういうのはどうなるのかというところがあるんですが、この辺りの議論はどのようにされてきたのか、お伺いします。
  64. 阿部知明

    政府参考人阿部知明君) お答えいたします。  今回の郵便局事務取扱法の改正は、地方公共団体からの提案に基づき、転出届受付等について郵便局における取扱いを可能にしようとするものでございます。  御指摘の転出届以外の転出に伴う各種行政手続につきましては、地方公共団体転出届受付郵便局に委託した場合にどのような取扱いにするのか、またしたいのかにつきまして、まずその当該地方公共団体において整理することが必要であろうかと思っております。その上で、転出届を行う者に対する周知など、郵便局において実施してもらいたい内容につきまして地方公共団体郵便局が協議、調整した上で事務を委託していくということになるものと考えてございます。
  65. 岸真紀子

    岸真紀子君 自治体でそれぞれ考えていくのは当然なんですが、本当であれば、そういったことも含めてこの規制緩和がいいのかどうかというのを検討すべきではないかなと思います。  その郵便局職員にも実際にお話を聞いてきました。事務を担うということは、その地域住民のためであれば担いたいという気持ちがあるとおっしゃっていました。ただ一方で、十分な事務委託料が出ていない自治体もあるらしくて、新しい業務を覚えるための時間とか手間の割には採算取れない料金という課題もお聞きしました。  郵便局事務取扱法に基づき郵便局自治体事務を受託している数は増えています。市町村合併で支所とか出張所が閉じる代わりに郵便局事務をお願いしているという事例があるからなんですが、二〇〇一年から事務手数料が変わらず、現状と合っていないという課題があります。  自治体判断することではあるんですが、委託料は、ですが、国が法改正を行って推奨するのであれば、適正な価格での委託料となるように対策を取るべきではないでしょうか。お答えください。
  66. 佐々木祐二

    政府参考人佐々木祐二君) お答え申し上げます。  自治体事務の受託によりまして郵便局に支払われる手数料につきましては、委託する自治体と受託する郵便局との間の協議により設定されるということになるものでございます。  この手数料でございますけれども、自治体郵便局との間の協議を通じまして、新しい事務を覚えるための費用というお話ありましたけれども、その際、導入のときには研修が必要になるということなどもございますので、そういったような必要になる費用を含めまして、郵便局業務負担に見合った適正な対価になるよう、自治体郵便局との間におきまして十分な調整が図られる必要があるものだと考えてございます。  総務省といたしましては、今般の法改正によりまして郵便局取扱い可能な事務が追加されることも踏まえまして、自治体郵便局が緊密に連携をして、郵便局が安定的に地域の拠点としての役割を担っていくことを期待しておるところでございます。
  67. 岸真紀子

    岸真紀子君 期待だけではなくて、適正な事務料にするようにお願いします。  次に、質問の順番を入れ替えて、小規模多機能居宅介護の利用定員に関する基準について、従うべき基準から標準に見直すことを市町村が独自に定めることが可能となります。  小規模多機能型の居宅介護の施設、訪問したこと私もありますので、その地域にとって必要な施設であり、そこの場所によってはそこしかないので規制緩和はやむを得ないということは考えますが、一方で、事故なく安全に介護をするに当たっては、基準は重要なものです。特に、介護職員の負担が安易に増えるようなことはさせないためには対策どうお考えか、お聞きします。
  68. 堀内斉

    政府参考人(堀内斉君) お答え申し上げます。  今御指摘がございました小規模多機能型居宅介護につきましては、今般、全国的に小規模多機能型居宅介護が相当程度普及していること、また事業所が少ない過疎地や利用者が多い大都市などより、小規模多機能型居宅介護に対する利用ニーズの増加を背景とした基準の見直しに対する御提案があったことを踏まえまして、社会保障審議会介護給付費分科会で議論した結果、地域の特性に応じたサービス整備、提供を促進する観点から、従うべき基準から標準に見直すこととしたものでございます。  今般の見直しにより、小規模多機能型居宅介護の利用定員に係る基準につきましては、市町村責任判断におきまして、法令の標準を通常よるべき基準としつつ、合理的な理由がある範囲内で、地域の実情に応じた標準と異なる内容を定めることができることとなりますが、標準と異なる定員の基準を定める場合には条例の改正を伴うものでございまして、市町村において合理的な理由説明責任が求められるものでございます。したがいまして、小規模多機能型居宅介護につきましても、市町村責任判断により、地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えております。  また、例えば通いの利用の場合の利用者が三人に一人というふうな介護従業者の配置を義務付けている人員配置基準等がございますが、これにつきましては、これまでと同様、引き続き従うべき基準というふうにされておりますので、今回の改正後におきましてもサービスの質が担保されております。  厚生労働省といたしましては、小規模多機能型居宅介護が引き続き地域において小規模でなじみの職員による家庭的なケアの実施という本旨を果たしていくことができるよう、調査研究事業等を通じて地域における実施状況を適切に把握してまいりたいと考えております。
  69. 岸真紀子

    岸真紀子君 次に、第九次の一括法で、放課後学童の事業の従うべき基準から参酌すべき基準に見直されたということがありました。  昨年の四月一日から施行となっていますが、衆参の附帯決議にも、今後もその調査を行って把握していくというふうになっていたので、それはどうなっているのか、また、問題は起きていないのかというのをお伺いします。なぜそう言っているかというと、これ安易に、学童支援員の地位が低下するのではないかということを心配していますので、お聞きします。
  70. 岸本武史

    政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。  御指摘の放課後児童クラブの人員配置、資格要件に係る基準の参酌化につきまして調査を実施いたしました。  その結果、五百七十五市町村、これ対象の約三五%でございますが、において基準が改正されております。この中身ですが、放課後児童支援員の研修修了要件の経過措置を延長するという形の改正が五百七十五のうち五百六十自治体、それから員数に関する改正が三十二自治体でございました。改正を行った自治体の人口規模が小さいという傾向がございました。  本調査につきましては来年度以降も実施をいたしまして、改正を行った自治体における運用状況についてフォローアップを行い、必要な措置についても検討してまいりたいと考えております。
  71. 岸真紀子

    岸真紀子君 まだ一年なので問題はそんなに起きていないと思いますが、やっぱり学童の支援員がいない原因というのは、低賃金とか処遇が悪いことが原因であって、ここを緩和したことによって更なる学童支援員の地位が下がるのではないかという課題がありますので、引き続き今後も追っていきたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  72. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。  では、まず今日は、この改正法案のうち国交省関連法案についてお伺いをいたします。  今回、国交省の関連法案としましては三つですね、建築士法で一級建築士の免許申請等に係る都道府県経由事務廃止、宅建業法で宅地建物取引業の免許申請等に係る都道府県経由事務廃止、不動産の鑑定評価に関する法律で不動産鑑定業の登録申請等に係る都道府県経由事務廃止ということで、いずれも審査の円滑化による申請者等の利便性の向上及び都道府県事務負担の軽減に資するというのを目的とする法案の改正がなされる予定になっております。  そのうち、宅建業法に関連するものとしてお伺いをいたします。  この宅建業法における改正につきましては、この都道府県経由事務廃止をするということと併せた方向性として、電子申請を可能とする環境整備に向けた調査検討を実施するという方向性が国交省から回答としてなされているところでもあります。  この調査検討につきまして、これからどのようになされるのか、内容、スケジュール等について御説明いただけますでしょうか。
  73. 天河宏文

    政府参考人天河宏文君) お答えいたします。  宅地建物取引業法の大臣免許業者の申請等に係る都道府県経由事務廃止につきましては、都道府県や宅地建物取引業者へのアンケート調査を行ったところ、電子申請手続を導入することにより経由事務廃止による事務負担の増加を軽減することができるとの結果を得たところでございます。  こうした結果や政府全体の行政手続のデジタル化の流れを踏まえまして、宅地建物取引業免許の申請手続そのものの電子化、これに加えまして、手数料等の電子納付の実施のためのシステムの連携、それから申請に必要となります登記事項証明書等の取得に係る他省庁システムとの連携など、申請者にとって事務負担を軽減するシステムの在り方について検討を進めているところでございます。スケジュールにつきましては、令和六年をめどに立ち上げていきたいと考えております。  以上でございます。
  74. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 この令和六年をめどに電子申請ができるようにするという方向性ということなんですけれども、これはその後も電子申請のみ一本にするのか、あるいは電子申請と紙による申請と両方併存していくというのか、まずその方向性について教えていただけますでしょうか。
  75. 天河宏文

    政府参考人天河宏文君) 電子申請の導入によりまして、例えば対面でやる場合とかあるいは郵送を使う場合に比べましてコストが低減されるなど、申請者の利便性の向上が図られるというふうに考えております。  一方で、手続を電子申請のみとした場合には、個人事業者など電子申請の手続に対応できない方もいらっしゃると思いますので、そういった方につきましては負担が増すという可能性もありますので、当面は二本立てでやっていきたいと思っております。  以上でございます。
  76. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 もちろん、急激に変更して電子申請では対応ができないという方もいらっしゃるかも分からないですけれども、例えばこの法律で言うと宅建業法で宅地建物取引業を営む方ということで、通常の本当に一般の方を対象とするものではないということを考えると、電子申請をしていただくということは必ずしも酷ではないというか、むしろやってくださいとお願いをしてもいいんじゃないかなと思うところなんですが、先ほど当面の間並行してというふうな形でおっしゃったかと思うんですが、将来的には電子申請のみにするという方向も考えていただくべきではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。
  77. 天河宏文

    政府参考人天河宏文君) 今後の状況を見ましてしっかり判断をしていきたいと、このように思っております。申し訳ございません。
  78. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 謝っていただかなくても全然あれなんですが。  この宅建業法の改正につきましては、施行期日について、公布の日から三年を超えない範囲内において政令で定める日というふうにかなり先の指定になっているんですけれども、これは、先ほどの令和六年から電子申請をするという、その実行との兼ね合いでこれだけ先になっているというふうに考えてよろしいでしょうか。
  79. 天河宏文

    政府参考人天河宏文君) 今年度から調査検討を始めまして、システムの設計とか構築、あるいはテストランも必要になりますので、やはり三年程度は掛かるかというふうに考えてございます。それを踏まえまして施行期日を定めさせていただいております。  以上でございます。
  80. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 今、宅建業法についてお聞きをさせていただいたんですが、最初にお話をしたような形で、宅建業法とともに、今回、建築士法と不動産の鑑定評価に関する法律についても同じように、申請事務について都道府県経由の事務廃止するというような形になっています。  これらについても、申請手続、国交省の地方整備局で対応することになりますけれども、提案団体の方からは、年間で、建築士法に関しては約四百、宅建業法に関しては三百五十を超えるような事務をふだん都道府県はやっているんだということの報告がなされているわけですけれども、これが一度に地方整備局に来るということで、業務量が増加をしても適切かつ迅速に対応することが可能かどうかということについてお聞きをしたいというふうに思います。  地方整備局において、今回の対応のためにどの程度の負担増になるのかという見立てについてまずお伺いをさせていただきたい。  そしてもう一つ申請者の側にとって、例えば、地方整備局にまで出向かないといけないというような訪問に関して負担が掛かるというようなこととか、申請してから許可が出るまで時間がより掛かってしまうんだというような、申請者にとっての影響というのをどのように考えておられるのかについて御説明ください。
  81. 黒田昌義

    政府参考人(黒田昌義君) お答えをいたします。  今回見直しをいたします一級建築士の申請手続につきましては、法令上、各都道府県を経由いたしまして地方整備局に提出するというふうにしておるところでございますが、実際の事務運用におきましては、各都道府県業務負担軽減の観点から、各都道府県に置かれています建築士会が窓口としてやっておりました。今後も、これまでと同様、この窓口としての申請書類の不備等の確認業務は各都道府県の建築士会が行うというふうにしたいと思っておりまして、そういう意味におきまして、整備局におきます業務量は増加をしないというふうに考えておりますし、また、申請者にとっても、これまで同様の窓口になるということで、利便性は引き続き確保されるというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  82. 吉田誠

    政府参考人(吉田誠君) 不動産の鑑定評価の方についてお答え申し上げます。  今回の改正によりまして、不動産鑑定業の大臣登録等の申請が直接地方整備局に提出されることとなれば、地方整備局、これ全国十か所ございますが、審査業務が増加することにはなるわけなんですが、ただ、件数としましても、全国で、まあ年度によって違うと思いますが、十数件から数十件程度、また内容につきましても、要は書類が整っているかどうかという形式的な審査でございますので、それほど業務が非常に過重になるということではないと考えております。  また、申請者の方にも、例えばインターネットを活用した情報提供とか、あるいは電話とかメールとか、今様々な手段がございますので、そういったものを活用して申請者に御不便掛けないように、また、審査期間といいますか、申請から登録までの期間もですね、長くなることはないというふうに考えているところでございます。
  83. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  先ほど、宅建業法に関しては、調査研究をして将来、将来というか令和六年までに電子申請の方法を取っていくということでお聞きをしたんですけれども、宅建業法以外の建築士法、不動産鑑定業法の方についてはこの電子申請について調査検討するというのが入っていないんですけれども、こちらは申請について電子申請を具体的に検討していくということは考えていないということでよろしいんでしょうか。
  84. 黒田昌義

    政府参考人(黒田昌義君) お答えいたします。  一級建築士の免許申請につきましては、これまで対面又は郵送による受付対応しておりましたけれども、効率的かつ円滑な業務の実施、また、昨年、新型コロナウイルス感染症の感染防止に最大限配慮するために、去年の五月に、電子申請を最大限活用するよう関係機関に求めてまいりました。その結果といたしまして、今年の一月末から東京都で試行的に運用を開始をいたしまして、この四月の十六日、先月の十六日より全国で既に本格運用を開始しているところでございます。  以上でございます。
  85. 吉田誠

    政府参考人(吉田誠君) 不動産鑑定業の登録申請の方でございます。  今後、地方整備局に、今までは都道府県だったんですが、出し先が地方整備局に直接申請、提出していただくことになろうかと思いますが、もちろん郵送による受付も可能としたいと考えておりますし、また、電子申請につきましても、この不動産の鑑定評価に関する大臣登録件数はそんなに多くないことも踏まえて、例えば政府共通の電子情報申請システムなどを活用できないかといった観点からオンライン化に向けた検討を行っているところでございます。
  86. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  件数の多い少ないというようなところはあるかと思うんですけれども、いずれも専門のお仕事に就かれている方々でもありますし、電子申請という形で使えるようにするというのはこちら側の、国側の責務としてはもう当然やっていただきたいですし、使っていただくためにもしっかりと訴えていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  一点、この不動産の鑑定評価に関する法律の方で、別の観点からお伺いをさせていただきます。  今回、この都道府県知事の経由事務廃止するということと併せて、もう一点、都道府県知事が国土交通大臣登録を受けた不動産鑑定業者に関する不動産鑑定業者登録簿の写しを公衆の閲覧に供さなければならないとする義務付け廃止することというふうになっておりまして、これまで閲覧するために都道府県に置いておかなければならなかったものを置いておかなくていいですと、今後は名簿は地方整備局に置くことだけになりますという改正かと思うんですけれども、これは、私たちがというか、外部の者がこの業者の登録簿を見ようと思えば行かないといけないという仕組みになっているということなんでしょうか。
  87. 吉田誠

    政府参考人(吉田誠君) 不動産の鑑定評価に関する法律第三十一条で不動産鑑定業者登録簿の書類を公衆の閲覧に供さなければならないとされておりまして、閲覧は、これは法律に基づいて紙によってやっているわけでございます。  ただ、今そういった登録簿の中の情報の一〇〇%ではないんですけれども、例えば鑑定業者さんの名称でありますとか所在地でありますとか、あるいはこれまでの業務実績件数など、そういった主要な情報は国交省のホームページでも既に公表しているところでございまして、不動産鑑定業者さんを選びたいなと考えている方には十分な情報になっていると考えているところでございます。  今回、都道府県におけます閲覧制度というのが廃止されることになりますので、こういったホームページにおける情報提供について内容の充実とともにその周知、図ってまいりたいと考えているところでございます。
  88. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 今のお話だと事実上ホームページで対応しているということではあるんですが、法律上は紙で閲覧に供さなければならないとなっていると。この部分というのは、改正しておかなくてというか、しないといけないんじゃないですか。
  89. 吉田誠

    政府参考人(吉田誠君) そうですね、こちらの方、何というんでしょうか、政府全体の状況を見ながらちょっと今後の検討課題とさせていただければと考えております。
  90. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 そういう意味では、今現状としては紙を使ってということも当然あり得るのかも分からないですけれども、それ以外の電磁的方法等も含めた公表の仕方について、幅広く利便性が高い形で制度としてできるようなことで取組をしていっていただければというふうに思います。  では次に、テーマを変えさせていただきます。地域自主性自立性というのが、今回の法案に関してというか、今回の制度としても中心になってくるかと思うんですが、その中で地方公共団体の外部監査についてお伺いをいたします。  公認会計士の先生からいただいた要望です。今、現状としまして、地方公共団体職員の経験がある公認会計士、また弁護士、税理士など専門職の方が増えているかと思うんですが、職員をしていた方が、自治体職員をされていた方が専門職の資格を取って仕事をされる、あるいはその逆で、資格を持っている方が職員に転職をするという場面も今多いと思います。  地方公共団体による不正な公金の支出が問題となったことでこの外部監査制度が導入をされていますけれども、地方公共団体職員であった者は、弁護士や公認会計士であっても外部監査を行うことができないと。地方行政に理解の深い弁護士や公認会計士であり、能力的には最も適任でないかというふうに考えるんですけれども、認められないのはいかなる理由によるものかという点についてまず御説明いただけますでしょうか。
  91. 阿部知明

    政府参考人阿部知明君) お答えいたします。  地方公共団体の監査につきましては、内部の組織であります従前の監査委員による監査を基本としつつ、地方公共団体の組織に属さない外部の専門的な知識を有する者による外部監査制度を導入しているところでございます。  この外部監査制度につきましては、当該地方公共団体の議員や職員であった者も選任し得る従前の監査委員に対しまして、地方公共団体からの高い独立性を与えることによって行政の適正な運営を確保することを趣旨としてございます。  このため、外部監査制度では、従前の監査委員とは異なり、当該地方公共団体の常勤職員等であった者は外部監査人となることはできないということとされたものと理解してございます。
  92. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ただ、本当に地方行政のことも知っていて、また公認会計士さんとかという形での専門的な知識、知見をお持ちの方が、しっかりそういう能力があるにもかかわらず全て排除されてしまうことになるというのは、やっぱりどう考えてももったいないんじゃないかなというふうにも思います。  今、高い独立性という話もありましたけれども、例えば退職後一定期間を経過しない者など、第三者性を担保するような要件を求めることで外部監査に従事していただくということができるような仕組みも考えていくべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  93. 阿部知明

    政府参考人阿部知明君) お答えいたします。  先ほども御答弁申し上げましたけれども、外部監査制度では、監査機能の独立性を確保するため、地方公共団体職員のうち、当該地方団体において常勤の職員又は短時間勤務の再任用職員であった者については、外部性を欠く者として外部監査人となることはできないこととされております。  この制度趣旨を踏まえますと、退職後一定期間が経過した者であっても、当該地方団体に常勤職員等として勤務したことのある者については疑義があるのではないかと考えております。  ただし、なおということなんですが、外部監査人ではない監査委員、それから、監査委員をサポートします、今、監査専門委員というのございます、それへの選任、あるいは、他の地方公共団体の外部監査人への選任については地方団体職員であった者であっても排除されないということでございますから、委員御指摘の専門性を有する者については、こうした監査委員等としてその知見を生かしていただくことはできるのではないかというふうに考えてございます。
  94. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 次のテーマに移らせていただきます。  自治体によるSDGsの達成に向けた取組推進についてお伺いをいたします。  現在、様々な施策を検討、実現していく場面でSDGsの観点が求められています。これは自治体においても同じであるわけですけれども、従前、当初の頃は環境に関連した目標というのが注目されていましたけれども、今は、急速に人口減少や高齢化が進む中で、環境にとどまらず、より魅力ある地域を目指して、経済、社会、環境の三分野の取組を総合的に進める動きが加速しているというふうにも言われております。  今年の一月、日経新聞社が全国の八百十五市区を対象にSDGs先進度調査を行った結果、またそれを踏まえて、経済、社会、環境のバランスが取れた発展につなげているかといった評価がなされたランキングが発表されているというような動きもあります。  まず、この自治体におけるSDGsの達成に向けた取組の重要性についてお伺いをさせていただきます。
  95. 武井佐代里

    政府参考人武井佐代里君) お答え申し上げます。  政府のSDGs推進本部が決定したSDGs実施指針改定版では、国内において誰一人取り残されない社会を実現するためには、広く日本全国にSDGsを浸透させる必要があり、地方自治体等の積極的な取組が不可欠とされております。  また、まちひと・しごと創生総合戦略におきましても、地方創生SDGsの実現などの持続可能な町づくりを横断的目標に掲げ、二〇二四年度までに地方創生SDGsの達成に向けた取組推進している自治体の割合を六〇%とすることを目指しております。  このように、自治体におけるSDGsの達成に向けた取組は、持続可能な町づくりの実現のために大変重要なことと考えております。
  96. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 この先ほどの日経新聞社のランキングの方は一つの指標かとは思いますけれども、取組を総合的に評価をするというような設計のために、やっぱり大きな自治体ほどたくさんのいろんなことが幅広くできるということで上位になるんですが、それも踏まえて、自治体の人口規模別で五万人以上十万人未満の自治体、五万人未満の自治体と分けてランキングを発表されております。この特に規模の小さな自治体は、自治体の現状に即した分野の絞り込み、また個性や強みを生かした思い切った施策など、大規模の自治体に負けない知恵に基づいた実践がなされているのではないかというふうに思います。  この五万人未満の自治体のランキングで一位が、私の地元になるんですが、兵庫県の西脇市、また七位にも同じく兵庫県の加東市が選ばれておりまして、大変うれしく思っているところでもあります。  この一位になった西脇市では、障害者雇用率、一定のバリアフリー化率が全国でもトップクラス、女性管理職の比率、自治会、町内会への平均加入率も高い評価ということで、社会と環境で高い評価を得られたというふうにされております。全般的に、この障害者雇用率や自治会、町内会への加入率などは規模の小さな自治体の方が取組が進んでいる分野が多い、進んでいるということが多いというふうにもされております。  住みやすい地域づくりというところで、本当に規模の小さなところもしっかりと頑張ってくださっているということではないかと思いますけれども、この西脇市を始め、規模の小さな自治体取組を後押ししていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  97. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 地方自治体におけるSDGsの取組は、持続可能な町づくりや地域の活性化の実現に向け、政策の全体最適化や地域課題解決の加速化という相乗効果が期待できるものでありまして、地方創生実現に資するものであります。  このため、優れたSDGsの取組提案する地方自治体をSDGs未来都市として選定し、その中で特に優れた先導的な取組自治体SDGsモデル事業として選定して支援をし、成功事例の普及を促進をいたしております。SDGs未来都市につきましては、規模の小さな自治体からの提案も多数いただいておりまして、例えばこれまでに十七町村の提案を選定いたしました。そして、自治体SDGsモデル事業にも六町村を選定して支援を行っているところであります。  私も、この十七町村の中の北海道の下川町というところに行きました。僅か三千二百人の人口でございます。葛西選手などスキージャンプの有力者を大変輩出しているところでございますけれども、ここが森林バイオマスを活用いたしまして、独自のSDGsの達成目標に向けてこれはもう住民行政も一体になって取り組んでいるというところを目の当たりにいたしました。これが地方自治体がやっぱりやれるSDGsだなというふうに思ったところであります。  引き続き、地方自治体における地域の特性を踏まえた持続的な、持続可能な町づくりというものを積極的に支援をしてまいります。
  98. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 次に、ちょっと二つまとめてお聞きをさせていただきます。  この先ほどランキング一位ということで紹介をさせていただいた兵庫県の西脇市なんですが、ここからいただいた要望なんですけれども、市民の健康増進の取組をもっと細かく丁寧にしていきたいという中で、より効果的な施策を考えていきたいと、ただ、そのためにも住民の健康状態に関する現状というのを具体的に丁寧に把握をしていきたいという希望があると、ただ、市としては、国民健康保険加入者についてはデータを得ることができるけれども、社会保険などそれ以外の加入の者については情報を得ることができないと、住民に合った適切な施策を考えるためにも、市民の健康情報を入手できるようなシステムをつくっていただけないかというような要望をいただきました。  現状として、自治体が国民健康保険加入者以外の市民の健康情報を入手する方法がどうなっているのかというのと、また将来的には、こういう環境づくり、しっかりと国として整備していくべきではないかと考えますけれども、この点いかがでしょうか。
  99. 宮崎敦文

    政府参考人宮崎敦文君) お答え申し上げます。  委員の御指摘にございましたように、効果的な健康増進の取組を企画、実施していく上では、住民の健康状態を正確に把握していくことは大変重要な課題でございますし、また、様々な主体で分散して保有されている情報を集約していくことで効果的な健康づくりに生きてくるんではないか、情報そのものがより生きた情報となってくるんではないかという視点、大変重要な視点だと思っております。  現在取り組んでいる、現在進行形で取り組んでいる取組といたしましては、御自身の保健医療情報について、マイナポータルを活用して自身のPCやスマートフォンで確認できる仕組みとして、PHR、いわゆるパーソナル・ヘルス・レコードの整備を進めているところでございます。  こうした仕組み、遅くとも本年の十月までには、加入する保険者にかかわらず、特定健診を受診した方は自らの特定健診結果等を活用できる仕組みが整ってまいります。こうした取組が整いますと、各自治体は、住民の方々から特定健診情報等を取得していただくことは可能になってくるんではないかと考えております。  ただ、更に進みまして、今委員の御紹介ありましたような、自治体が直接にその被用者保険の側が持っているデータを共有するというような仕組みにつきましては、現状ではそこまでの取組にはなっていないということでございますが、こうした自治体と保険者が連携をして効果的な保健事業等を行うためにそれぞれ保有する各健診等情報を共有できる仕組みというのは、どういう形ができるのかということを現在検討を進めているところでございます。  冒頭申し上げましたように、こうしたそのデータの集約ですとか時系列的なデータをきちんと把握していくというようなことというのは健康づくりの意味では非常に重要なことだと思っておりますので、こういうデータを活用できる環境の整備に向けて引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
  100. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 しっかりと前に進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。  では、次に、これも地元の兵庫県豊岡市がしている独自の取組について少しまず御紹介をさせていただきたいと思います。  この豊岡市というところは、城崎温泉とかコウノトリというのが世間的には有名なところかなと思いますけれども、文化芸術を武器に演劇の町づくりをして地方創生取組をしているところです。  本当に独自の取組というのか、もう個性的な知恵を絞った取組をされているんですが、まず御紹介をさせていただきたいのが、一つが城崎国際アートセンターという、アーティストの方が三日間から三か月、町に暮らすように滞在をしながら制作活動をする拠点で、年間で二十か国を超えるような、多くの海外からの方も利用されているところで、舞台芸術に携わる人たちにとって世界的な拠点ともなっています。芸術作品を作り出すというその環境だけでなく、市内の小中学校で演劇教育を実施をしたり、またワークショップなど地域との関わりも積極的に行っておられます。  また、豊岡演劇祭という演劇祭も開催をされ、そして、今年の四月には兵庫県立の芸術文化観光専門職大学が開校され、平田オリザさんが学長として来られました。今回、この四月からの開校に向けて希望者の方が倍率約八倍にもなるということで、本当に豊岡市、この地域にとっても初めての四年制の大学ということになるんですけれども、地域住民とも一体となって独自の取組を進めている中で、もう全国から若い人たちが豊岡市に来たり、また移住してこられたりというふうにされています。  十九歳になると突然人口が減ってしまう、十八歳までいた中で、十九歳になる段階でというか、高校を卒業して七五%がもう市外に出ていってしまうというような地域なんですけれども、そういう中で、この豊岡市、約十九歳人口が二百人のところ、専門職大学が開学をしたことでこれから毎年八十人の若い人の来るのが見込むことができるということで、大変期待をしている取組でもあります。  この独自の地域づくりに向けた取組に対しての評価と、また、本当に全国からこの豊岡に自分たちの夢と希望を懸けて来ていただいている若者に、是非大臣から一言激励をよろしくお願いいたします。
  101. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 豊岡市は、従来から、人口規模は小さくとも、ローカルであること、そして地域固有であることを通じて世界の人々から尊敬され、尊重される町を意味する小さな世界都市を目指し、文化芸術の創造等に向けた取組を行ってきたと承知しております。  私も総務副大臣のときにこの豊岡市を視察をさせていただきました。その際のコウノトリの郷公園、それから公立豊岡病院のドクターヘリの活躍、さらには山陰海岸ジオパークの現場、地元の人たちが一体となって本当に真剣に活動されている、その取組に感銘を受けたところでございます。  内閣府といたしましては、その豊岡市の演劇による町づくり事業に対しまして令和二年度から地方創生推進交付金による支援を行っているところであり、おおむね計画に沿って関連事業が進められているものと受け止めております。今後とも、地方創生推進臨時交付金を効果的に活用することを通じて、地元の高校生の若者が演劇に触れる機会が醸成され、豊岡で暮らす魅力の向上に資することを大いに期待をしているところであります。
  102. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  大変、本当に、地元の皆さんも心強く思っていただくことができたかなというふうに思っております。私たちも地方創生のためにしっかり頑張っていきたいというふうに思っておりますので、大臣、今後ともどうかよろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  103. 松沢成文

    ○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文でございます。  ちょっと通告と順番を変えて、第十一次のこの一括法の具体的な質問に入る前に、後段の地方分権改革の理念とか在り方について、大臣にちょっと大きな質問としてお聞きをしていきたいというふうに思っております。  二〇一一年、平成十三年から十年間にわたりまして、第二次の分権改革として十次にわたって地方分権一括法というのが制定されてきて、何と延べ四百四十九本の法律が改正されてきたんですね。その地道な努力には敬意を表しますけれども、これらは、今回の第十一次の分権一括法を見ても、もう細かい法令の見直しばかりというか、細かい法令の見直しが多くて、その検討の視野が非常に狭くなってしまって、この日本の地方分権の構造改革をやっていくという当初のその分権改革の理念、理想から私はどんどん離れていっているんじゃないかと、そういう危機感を持っているんです。  まず、大臣に伺いたいんですが、この十年間の取組について、分権型社会に近づいたと胸を張れますかと、率直な大臣の感想をお聞きしたいと思います。
  104. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 今委員指摘されましたように、十次にわたる地方分権一括法によりまして、地方に対する権限移譲義務付け枠付け見直しなど、地方自主性自立性を高めるための改革を積み重ねてまいりました。平成二十七年の第五次地方分権一括法以降は、提案募集方式に基づきまして地方からの声にきめ細かく対応することによりまして、地域課題を解決し、住民サービスの向上を図る具体的な取組推進してきたところであります。  これまでの取組は、私もそうでありますけれども、地方三団体の方からも評価をいただいております。地方分権改革は着実に進んできているものというふうに考えております。やはりこういったことを積み重ねていくこと、これが大事であるというふうに思っております。
  105. 松沢成文

    ○松沢成文君 地方分権議論が始まったのは、平成五年のこの地方分権推進に関する決議というのが衆参両院で行われて、そして平成七年に地方分権推進法というのが成立されて、ここからスタートをしてきているわけで、何ともう四半世紀が経過しているんですね。ただ、私が見るに、これまでの分権改革というのは、自治体の法令執行権、すなわち行政権の拡充を目指す、地方側の、ある意味行政分権にとどまっているというふうに思います。  今後、これから人口減少社会を迎えて、過疎過密の問題、様々な地域課題が多様化、深刻化してきますから、国の法令では基本的な事項だけを定めて、細かい条項は地方の実情に合わせて自治体の条例で定めるという法体系の在り方に私は切り替えていくべきだと思うんです。  例えば、一番分かりやすいのは、地方分権というか、地方自治を保障する法律として地方自治法というのがありますよね。ただこれ、この条文全部見ていくと、何というか、もう地方自治体管理法なんですよ。もう箸の上げ下ろしというか、もうとにかく、行政委員会はこう持たなきゃいけない、地方議会はこういうやり方にならなきゃいけない、行政計画はこう持たなきゃいけない、もう全部管理して決めているんです。これ、地方自治法というよりも地方自治体管理法と名前変えた方がいいんじゃないかと思いますけどね。  私は、そうじゃなくて、むしろ地方自治推進法という形にして、大枠を法律で決めて、そして細かいところは地方自治体地域の事情に合わせて条例で決めていく、すなわち地方自治推進条例ですよね、要するに自治体の条例を作って決めていくというような法体系に変えていかないと本当の地方分権はないと思っているんですね。学者さんの中では、このような自治体のこの立法権の拡充を目指す、立法分権という言葉で呼ばれているんですが、こういう提案に対しては大臣はどうお考えでしょうか。
  106. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 一般に、地方公共団体は、趣旨目的内容及び効果を比較して、国の法令に抵触しない場合には条例を制定することができるとされているところであります。  地方分権推進の観点からは、地方公共団体条例制定権を拡大し、地方責任において地域の実情に即した施策を講じることができるようにすることは重要であると私も認識しているところであります。
  107. 松沢成文

    ○松沢成文君 そういう条例をどんどん作っていくということに挑戦していく地方自治体が生まれてこなきゃ困りますけれども。  さて、国の法令というのを点検しますと、法律はそれほど細かくないけれども、その委任を受けて、政令、省令、大臣告示という形で細かいことをたくさん定めて、地方自治体のこの裁量、工夫を制限して、これ自治体事務的な負担も本当に大きくなっているんです。今後、人口減少で自治体職員も減少する中で、こんなに過剰過密な法令や計画事務を担えるのか、私は疑問であります。  菅内閣地方分権地方創生を掲げるのであれば、自治体事務を定める法令を横断的にもう一回検討して、そして、例えば自治事務については政令や大臣告示で定めるのはやめるとか、あるいは個別の規則や行政サービスの基準や手続は基本的に条例で定めるといった、この法令の思い切った簡素化、スリム化を進めていくべきだと考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  108. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 各法令には、それぞれの趣旨、それから目的、さらには内容や技術的細目を定める必要の程度が異なっております。その体系も様々であります。そういうことから、一律に簡素なものにすることについては困難な面があるというふうに思います。  このため、地方からの提案におきまして条例制定権の拡大に向けて個別の法令の改正が求められた場合には、地方提案実現できるよう丁寧な議論、調整に努めておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
  109. 松沢成文

    ○松沢成文君 大臣おっしゃるように、多数の法令を一律一挙に簡素化、スリム化するということが難しいのであれば、各自治体が法令の規定が地域の実情に合わない場合に条例でその部分を書き換える、よく言われる条例による上書き権というのを制度化するべきだと私は思うんです。かつて地方分権改革推進委員会でも検討されました、これ。引き続き慎重な検討が必要とされて、先送りされちゃったんですね。これ、第三次の勧告、二〇〇九年です。それから十二年たっています。一括法の積み上げでは限界があることが明らかになった現在、立法分権の実現に向けて本格的に私は検討していくべきだと思います。  確かに、どんな規定でも上書きできるとすると、国の立法権を軽視して、そして憲法九十四条に違反するというふうな批判もあると思いますが、例えば通則法ですね、先ほどの地方自治法などで自治事務に関する法令の規定について条例で上書きできることを定めるとともに、個別法で国の責任で統一すべき事項を上書きを認めない規定として列挙する、これネガティブリスト方式と言われていますが、こういうやり方は十分考えられるんじゃないでしょうか。  こうした限定付き、条件付きの上書き権の制度化については、大臣、どうお考えですか。
  110. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) まさに御指摘のとおり、地方分権改革推進委員会の第三次勧告では、通則規定で条例による国の法令の上書き権を認めることに関しましては、法律の制定は国権の最高機関とされている国会によって行われること、憲法四十一条であります、それから、地方公共団体条例制定権法律の範囲内とされていること、今委員が御指摘されました憲法九十四条でございます、などを踏まえながら慎重な検討が必要であるとされたところでございます。  委員の御提案につきまして、私は見識ある御意見だというふうに受け止めさせていただきますけれども、現行の法令体系全体の在り方にも関わる問題であることでありますので、政府といたしましては、国会における御論議も踏まえつつ、慎重な検討を必要とするものというふうに考えます。
  111. 松沢成文

    ○松沢成文君 慎重にで結構ですから、まず検討を進めて、一歩前に踏み出ていただきたいなと思います。  現在のこの法令というのは、本当に地方自治体から見ても過剰過密です。その問題の一つとして、法律自治体計画策定を求める規定がとにかく多いんですね。特に、第一次分権改革、二〇〇〇年施行以降にこれが増えてきています。  これらの規定には、まず一、義務規定、二、努力義務規定、三、任意規定と三つやり方があるんですけれども、まあ一は、義務規定というのは地方分権に反するので、二や三の規定が増えています。しかし、この場合も計画策定が補助金の申請とか地方債の発行の要件とされていることが多くて、事実上策定せざるを得ないため、一つ自治体で縦割りの計画が幾つも策定されるんです。  これ、全国知事会事務局の調査では、都道府県又は市町村計画策定を求めている規定が何と二百六十三法律で三百九十件もあるんですよ。二〇〇一年から二十年でこれもう二倍に膨れ上がっちゃっているんですよ。これによって、国の方針に合わせて施策を展開するように誘導されますし、計画の策定や進行管理がこれ自治体にとっては大きな事務負担になっているんですね。  こうした計画による集権化について、大臣、どうお考えですか。何らかの防止策が必要じゃないでしょうか。
  112. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 地方分権改革の観点からは、地方公共団体に対します義務付け等は必要最小限度にすべきであり、仮に公金の適切な支出の確保といった観点から計画の策定を財政支援の要件とすることが必要である場合であっても、計画に盛り込む内容については真に必要なものに限られるべきであるというふうに考えます。  これまで、計画策定等を含む義務付け枠付け等の見直しにつきましては、地方分権改革推進委員会勧告等を踏まえまして進めてまいりましたけれども、平成二十六年からは地方の発意に基づく提案募集方式を導入し、地方公共団体からの意見を広く取り上げ、改革推進してまいりました。令和三年の提案募集では、地方の御意見も踏まえまして計画策定等を重点募集テーマに設定し、類似する制度改正等を一括して検討するということとしているところであります。  委員の御指摘、計画による集権化、言い得て妙の表現だなというふうに私自身は思いますけれども、地方からの提案を踏まえ、地方分権改革有識者会議で御議論をいただきながら、計画策定等に係る見直しの検討を進めてまいりたいと考えております。  さらに、新たな計画策定の義務付け等につきましても、関係省庁とも連携しながら、引き続き、法令協議等を通じましてチェックを行うなど、計画策定の義務付け等が必要最小限となるよう、今後も取り組んでまいります。
  113. 松沢成文

    ○松沢成文君 前向きな改革の御意思表明、ありがとうございました。是非ともよろしくお願いします。  最後に、ちょっとこれ、事前通告していないんで、大臣のお考えを聞きたいんですけれども、これまで議論してきたように、今までの分権改革というのは、もう法令の細かい見直しだけなんですね。本当の意味での構造改革というのがないから、いやあ地方分権型になったなという実感が全く湧かないんです。究極を言うと道州制ぐらいまでやるかという話になりますが、これはもう都道府県霞が関もみんな本音は反対なので、簡単にはいきません。  でも、ある意味で、私は小泉政権のときの三位一体改革一つの大きな構造改革だったと思うんですよ。あれは国から地方への権限移譲じゃなくて税財源の移譲、あるいは交付税改革という、これ地方からしてみれば。これも、失敗もしてしまいましたが、そういうやっぱり構造を変えているからです。  私は、今回のコロナ禍の対応を見ても、やはり広域自治体が狭過ぎますよ。これ、やっぱり経済圏と一緒の広域自治体つくらないと、特措法を改正して、じゃ知事さんの権限強まりましたといっても、もう経済圏よりも小さい広域自治体ですから、東京と神奈川のやり方が違う、千葉と埼玉のやり方が違う、みんな不公平じゃないかと言い始めるわけですね。少なくとも経済圏と同じような、同じぐらいのサイズを持った広域自治体をつくるとか。  あるいは、先ほども政令指定都市の議論ありましたけれども、大都市固有の行政需要というのがあるわけですから、それをしっかりと推進できるような大都市制度にしていく。今は、何だ、特例自治市だっけ、特別自治市でしたっけ、先ほどもありましたけど、そういう改革提案も政令市側からあるわけですよ。  あるいは、本当に地方分権の受皿として、もう余りにも小さ過ぎる、職員もいない、地方分権の受皿の対応ができないというところは、もう少し基礎自治体の集約化を進めて地方分権の受皿になってもらう。  そういう構造改革も一緒にやらないと、これはもう法令の細かいこと、はい、ここ地方型に直しました、これで地方分権改革を進めていますといっても、私は全く日本は地方分権型の統治機構になっていかないと思いますが、大臣、ちょっと構造改革をどうやっていくか決意を聞きたいと思います。
  114. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 現在の構造でいいますと、都道府県制そして市区町村、それぞれありまして、それぞれに首長さんいらっしゃいます。地方三団体、知事会、市町長会、あるいは町村会、いろいろな形で少しずつ改革は進んでいるというふうに思います。これを委員言われますように構造的に抜本的に改革するということになりますと、こういった三団体の皆さんたちが、あるいは議会も含めて六団体の皆さんたちがどういうふうに思われるか、どういうふうな行動をされるか、こういったことも考えていかなければいけませんし、大変な課題もまた浮かび上がってくるだろうというふうに思います。  そういうことを考えますと、やはり国会で本格的な論議を始めるに、国会の方で様々な形で本格的な論議を始められるんだろうと、そういう構造改革でやるとすればですね、だろうと思います。そういうものに対して、私たち行政としてはしっかりと注視をしてまいりたいというふうに思っております。
  115. 松沢成文

    ○松沢成文君 私も地方団体にいましたので、やっぱり地方団体の皆さん、それぞれ苦労しながら地方分権改革をやろうとしていますが、結局、やっぱり今ある組織、既得権の中にいますので、それ自体ががらんと変わってしまうことにはすごく抵抗しますから、だから、道州制を言ったって、みんな反対になっちゃうわけですよね。だから、ここはやっぱり、ある程度国会なり国が大きな改革のイニシアチブ、リーダーシップを取って引っ張っていかない限り、なかなかこの構造改革までいかないというふうに思っていますので、私たち国会も頑張りますので、大臣も是非ともリーダーシップ取っていただきたいと思います。  さて次に、この法案、この細かい法案質問をさせていただきます。  この地縁団体についてですけれども、まず、そもそもこの認可地縁団体の制度が必要とされた理由には、自治会や町内会等の地縁による団体は、法律上いわゆる権利能力なき社団に位置付けられることによる不都合を克服するためのものだったと思います。具体的には、資産が構成員に、何というのか、総有的に帰属し、不動産であれば、代表者名義等により不動産登記簿に登記するよりほかに方法がないとされていたところを団体名義によって登録を行えるようにしようとしたものであります。  しかしながら、現行法では、要件を満たして市町村長から許可を受けて設立されれば、登記が必要な不動産や登記が必要な動産に限らず、規約の目的の範囲内であらゆる権利義務を保有することができるように思えます。  さあ、さて質問ですが、この認可地縁団体の活動に必要不可欠な不動産や動産の管理だけではなく、認可地縁団体自らが資産を増やすために現金や預金を、例えば先物取引などのリスクが高い投機的金融商品を購入できるというふうになると思いますが、そういう理解でよろしいんですか。
  116. 阿部知明

    政府参考人阿部知明君) お答えいたします。  認可地縁団体が保有する資産につきましては、各団体が規約に定めた地域的な共同活動を行う目的の範囲内で必要となる資産であれば、地方自治法上それを制限する規定はなく、自由に保有することができるものでございます。
  117. 松沢成文

    ○松沢成文君 とすると、今回の法改正で、地縁団体の許可を受ける際に不動産又は不動産に関する権利等を保有するためという要件が不要になりますと、地域的な共同活動のためという要件を満たした上で、規約の目的の範囲内であればリスクの高い金融商品などを購入することもできるということがより明確になると思います。こうなると、資産を大きく毀損する団体も出てくる可能性も否定できないと思います。  さあ、そこでお尋ねしますが、地方自治法において認可地縁団体の破産手続も定められているとはいえ、こうしたことまで認めるということは、地域的な共同活動を行うという公的性格が強い認可地縁団体の本来の制度趣旨に合致しないのではないかと考えますが、いかがですか。
  118. 阿部知明

    政府参考人阿部知明君) お答えいたします。  認可地縁団体は、地域的な共同活動を行うという性格を持ちつつも、あくまで住民により任意的に組織された団体として自主的に活動することとされてございます。保有する資産につきましても、当該団体の規約に定めた地域的な共同活動を行う目的の範囲内であれば、先ほども申し上げましたけれども、自治法上それを制限する規定はなく、本改正でそれが変わるものではございません。  その意味で、認可地縁団体が保有する資産の価値が減少するという事態は現行法下においても起こり得ることでございますが、認可地縁団体にはその区域に住所を有する全ての個人が構成員になることができるという特徴があるため、どのような資産を保有するかにつきましては、多様な考えを持った住民の方々により各認可地縁団体の総会において適切に判断されているものと考えております。  今回の法改正は、この点を変更するものではなく、むしろ不動産等を持たなくとも法人として活動ができるようにするものでありまして、これによって多くの団体がリスクの高い金融商品などを購入するようになるという事態はちょっと想定し難いのではないかというふうに考えてございます。
  119. 松沢成文

    ○松沢成文君 投機的な金融商品の購入など団体資産を大きく毀損するリスクを許容するということが、認可地縁団体の健全運営に私は必要とは思えないですね。  多くの自治会、町内会が例えば補助金だとか助成金といった公的支援を受けている現状においては、この認可地縁団体の活動や保有資産について、私は何らかの指針を示す必要があるんじゃないかなと思いますが、その辺りいかがですか。
  120. 阿部知明

    政府参考人阿部知明君) お答えいたします。  繰り返しになりますけれども、本改正は不動産等を持たなくとも法人として活動できるようにするものであり、これによってリスクの高い金融商品などを多くの団体が購入するようになるとは考えてはおりません。  また、今御指摘ございました、補助金等のお話ございました。各自治体から地縁団体に対しまして補助金等が交付されている事例があることは承知してございますけれども、補助金等の交付の枠組みの中で各自治体がその対象団体に求める要件等を適切に判断していくものと考えております。  もっとも、本改正による影響につきましては今後しっかり見ていく必要があると考えてございます。どういう団体が認可地縁団体となるのかということはもちろん、その活動実態や保有資産等についてもその推移を見守りまして、状況に応じて必要な対応を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
  121. 松沢成文

    ○松沢成文君 済みません、郵便局聞きたかったんですが、タイムアップになってしまいました。  どうもありがとうございました。以上です。
  122. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 今回の八改正事項九法律について、私もそれぞれ関連する方々に話を聞いてみました。どの方々も、まあ有り難いけれどもくらいの反応で、本法律案提案理由に書いてある、地方創生における極めて重要なテーマであり、これらが地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となり、地方分権改革に寄与するなどといったものでは到底ないというような印象です。与野党から指摘がございました。  これ、坂本大臣平成二十六年から、地方自治体から国の法令等の見直しが必要な項目について提案を募る提案募集方式を導入しましたが、それは、これまでの国が主導するという改革スタイルを見直すためだったというふうにお伺いしました。  第十次までの総括、そして提案募集方式によってだからこそ生まれた地方創生に資する改正とはどういうものがあったのか。今ほど松沢委員から指摘があったところですが、具体例が出てこなかったんで、私、通告をしておりますから、具体例でどんなものがあったのか、教えてください。
  123. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 先ほどとダブる面もあるかもしれませんけれども、十次にわたる地方分権一括法によりまして、地方に対する権限移譲義務付け枠付け見直しなど、地方自主性自立性を高めるための改革を積み重ねてまいったというふうに思います。  平成二十七年の第五次地方分権一括法以降は、提案募集方式に基づきまして、地方からの声にきめ細かく対応することによりまして、地域課題を解決し、住民サービスの向上を図る具体的な取組推進をしてまいりました。これまでの取組によりまして地方分権改革は着実に進んできたものと考えておりまして、地方側からも評価をいただいております。  引き続き、地方公共団体と十分連携しながら、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、地方分権改革を着実かつ強力に推進してまいります。  具体的にと言われましたけれども、具体的にはいっぱいございます。相当あります。これは提案も含めて、それは一つ一つ言えば数限りないものがありますので、もし御必要であるならば、後ほど私の方からしっかりお伝えしたいと思います。
  124. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 大臣、私いっぱい聞きたかったんですけれども、いろいろなものを包含し、これまでとさせていただきますけれども。  過去改正を拝見しましたら、どれも改革と呼ぶよりも事務運営の改善と呼ぶ方がしっくりくるような内容でした。もちろん、自治体要望を直接吸い上げる現在の方式も、それもそれで尊いとはいうふうに思いますけれども、であれば、これは地方分権改革推進法案ではなくて地方事務運営改善法案というのがふさわしいんじゃないかなというふうに思いますし、当然、自治体現場での事例がベースなので、提案される内容はどうしても小粒になるというような御指摘ありましたけれども、それも当たり前なのかなというふうに思って聞いておりました。  しかしながら、改革というふうに言っているのであれば、自治体の財政権の強化、管理主体の変更、組織改革、まだ地域では顕在化していないような、そういう課題に対してのソリューションを提供する、まさに暮らしに直接大きな影響があるもの、そういったようなものであってしかるべしなんじゃないかなというふうに思います。この提案募集方式では、地方分権改革というのを推進するのは正直申し上げて難しいんだろうというふうに思います。  ただ、これも八年目に入っておりますし、第一次地方分権改革、三位一体の改革、第二次地方分権改革も、これ実は十年以上のタームでは続けておりませんで、先ほど岸委員から、見直しませんかというような問いかけに、大臣、ますますの充実を図るというふうに御答弁されたので、私ちょっとずっこけていたんですけれども、改めてこの改革の方向性、確認させていただきたいんです。  改革って振り子でいいと思っているんですよ。民間って、わざと振り子を振らせて、それを改革として刺激にしているというのもあると思うんです。ハイブリッド方式どうですか、もうネタ切れなんですなんという、自治体の本当にまさに現場で働いていた委員からの御指摘もありました。  今後の方向性、いま一度、大臣の中にある方向性、確認させてください。
  125. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 先ほどいっぱいあると言いましたけれども、まずは国から地方への権限移譲義務付け枠付け見直しをこれまで推進してまいりました。三百六十六の法律を改正をいたしました。これによりまして、様々な勧告事項につきましては一通り検討し、できる限りの対処ができたというふうに思っております。  その上で、二十六年からは、それまでの成果を踏まえ、地方の発意に基づきまして、住民に身近な課題現場の知恵と工夫で一つ一つ具体的に解決するための提案募集方式というものを導入いたしました。様々な分野にわたる提案に対しまして、きめ細かく実現対応をしてまいりました。国では分からないようなことを提案していただきまして、地方からもこれは評価をされているということであります。  そして、令和二年の提案募集からは、類似する制度改正等を一括して検討するため、新たな取組として重点募集テーマを設定いたしまして、地方からの提案を募ることとしており、令和三年においても、計画策定等、先ほど松沢委員からも御指摘ありましたけれども、計画策定等を重点募集テーマとしているところでございます。  今後とも、地方公共団体と十分に連携をしながら、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立ち、提案募集方式の充実を通じて、地方分権改革を着実かつ強力に推進してまいりたいと考えております。
  126. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 先ほど改革は振り子でもいいじゃないかというふうに申し上げて、民間企業ではわざとやっていますというようなことも申し上げました。ただ、民間企業がこうやってやるのと、行政がというか政治家が振り子をすると、ぶれているとかって批判をされたりして難しいことは重々承知の上で、それでもやっぱり改革というふうに銘打つのであれば、振り子であっても構わないので大きく振ってほしいというようなところがございます。  さて、大臣、参議院ではおととい、デジタル改革関連法案が成立いたしました。伴って廃止になったのが、二〇〇一年に施行されました高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、いわゆるIT基本法です。政府は、二十年もの間、世界最先端IT国家創造宣言というのを掲げて、行政のデジタル化をうたいながら、ことごとく失敗して昨今の惨たんたる状況というのがございます。  聞いたところによると、あの七十三・二億円掛けたオリパラアプリというのも大幅に機能を縮小して、もしもオリンピック・パラリンピックが開催された場合は一部機能を少しだけ使って、その後も活用はなしと。またしても会計検査院に指摘されること請け合いの無駄遣いアプリをつくってしまったそうであります。本当に、そのお金があれば、いかに苦しい人、困った人のところに届けられたのかなというふうに思うと、本当に腹立たしい思いがいたしますけれども、この法案によって九月にはデジタル庁が発足いたします。今まで、国、地方自治体、民間企業、公的機関等でばらばらだった個人情報保護に係るルールが共通化されます。  さて、本法案提案募集方式というのは、国主導改革スタイルの否定から生まれています。先ほど宮地室長の答弁でも、上下主従から対称、自主自立なんという言葉もありましたけれども、地方公共団体の自治事務について国が法令で一律に決定して事務の実施、その方法を縛っている義務付け枠付けの基準等を、自治体が条例の制定等により自ら決定して実施するよう改めるのが狙いだというふうにおっしゃっておりました。  こちらの、私の方で地方分権改革推進に向けた研究会全国知事会地方分権推進特別委員会というのが出された報告書を取り寄せて読みましたら、ここに条例制定を始めとする自治立法権を積極的に行使することが引き続き求められるというふうに記されております。  先ほど松沢委員の指摘の立法分権という話ですとか、憲法四十一条、九十四条に係る具体例の質問になるかというふうに思いますが、今回のこのデジタル関連法案で、要配慮個人情報の扱いなどでより厳しい規制を掛けていた自治体の条例というので、デジタル関連法案というのは上書きするわけです。政府の狙いは、規定や運用の違うおよそ二千もの条例が存在する、いわゆる二千個問題と呼ばれるものの解消。これまで自治体が独自に定めてきた個人情報保護条例は、平井大臣の言葉を借りれば一旦リセットされます。  この法施行後、自治体政府が決めた法令の枠内で条例を定めることになり、例えば住民に自己情報を管理する権利というのを認めていたり、それから死者の情報も等しく保護すべき個人情報と明記したりしている自治体、実際にございますけれども、この独自の取組からは後退する可能性があります。改正後は条例で上書きできないと法案審議の中でも明言されておりますので、これは、大臣、先行している自治体制度が抑えられてしまうということで、地方分権の観点でも、また条例制定権の問題にもなりかねないというふうに思いますし、もし国が大枠を決めてその中で条例を定めるというのであれば広め高めに取っていただかないと、それこそ地方分権地方分権改革趣旨にももとるというふうにも思うんですが、いかがですか。
  127. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 今般の個人情報保護法の改正によりまして、個人情報保護とデータ利活用を両立させるため、全国的に統一された個人情報保護の共通ルールが設定されているというふうに承知をしております。  こうした共通ルールの設定は、地方自治法上の国と地方役割分担の観点からも国が担うべき役割であるというふうに承知しており、改正に至る過程で地方意見を丁寧に聞いて検討を行ったこと、それから、改正後も地域の特性に照らし、法律の範囲内で条例で独自に保護措置を講じることができることなどから、ということからも地方分権改革趣旨に反するものではないというふうに考えております。
  128. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 大臣、もう一回聞くんです。  じゃ、我が国って、例えば保障された権利として、データ基本権というんですかね、自分のデータ、個人情報がどういうふうに利活用されるかというのを保障されているというその礎がございません。そんな中で、この条例の中で、自己情報を管理する権利、決定する権利というのを定めているすばらしい条例もあるわけです。  そこが、今回政府が定めるこの大枠ののり代を超えていて、そこを上書きするというか、かぶせるというか、抑え付けるという立て付けになってしまっているんです。それが大臣がおっしゃる丁寧な話合いの結果、抑え付ける結果になったというのだったら、なおさら大臣は平井大臣と戦わなきゃいけない立場だというふうに思いますが、もう一回答弁お願いします。
  129. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 繰り返しになりますけれども、改正に至る過程で地方意見を丁寧に聞いて検討を行ってまいりました。それから改正後も、先ほども言いましたけれども、地域の特性に照らしまして法律の範囲内で条例で独自の保護措置を講じることができるというふうにしているところでございますので、私は、地方の裁量権あるいは個人の情報の保護、こういったものについては最大限の配慮をしているというふうに考えております。
  130. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 では、ちょっと聞き方を変えますね、大臣。  こういった自分の個人情報がどこに出ているか分からない、こういったネット社会、フェイクニュースもあふれるこの社会において、自分のデータというのがSNS上も含めどういうふうに取り扱われているか、自己決定権があるというふうに定める条例や、それから、亡くなった後だって、突然亡くなって、そしてSNSがそのままになっていたりする中で、死者の個人情報も等しく、同じく、生きている人間と同じく保護されるものであるというふうに定める条例がある。これは本当に大切な考え方、大切な条例だというふうに思いますが、いかがですか。
  131. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) そういう条例については、それぞれの自治体住民の個人情報の最大の保護をするための努力がこれからも行われていくであろうというふうに思っております。
  132. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 こういった今個人情報のことを聞いておりますけれども、例えばデジタル化ということについて、今回、地方自治体システム標準化法というのは、五年後を目途に実施状況を確認して必要な追加措置をとるという条文修正が審議の過程でありましたので、この自治体のシステムのデジタル化というのも進んでいくんだろうというふうに思いますけれども、このデジタル化とか、それから例えばマイナンバーみたいなものの理解というのは、地域差もありますし、議会の理解とか、あと首長の主張というのもありますし、随分そういったもので、むらがあるというか、温度差があるものだというふうに思います。  それを法律で国が立法権をもって覆いかぶさるというような形になることについて、じゃ、首長から、坂本大臣、これ地方分権地方創生地方自治の観点からどういうふうに思うんですかというふうに問われたら、何と答えますか。
  133. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) これも繰り返しになりますけれども、改正後も、地域の特性に照らしまして法律の範囲内で条例で独自の保護措置を講じることができるというふうにしております。  そして、この改正に至るまでにつきましても、地方三団体、知事会、市町長会、町村会と十分話をしながらこの合意に至ったところでございますので、御理解いただきたいというふうに思います。
  134. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 先ほどから大臣のその法律の範囲内でという言葉があるから、そこから、そこを超えている、その枠から、より進化しているというか、より進んでいる条例というのは排除されることに今回なるわけです。そういう部分で、法律の範囲内でとおっしゃるのであれば最大公約数で取っていただく、そういう御努力をお願いしたいというふうに思います。  さて、大臣、ちょっと時間がなくなってきましたんですが、地方創生に必要な要素というのを大臣は何だというふうにお考えになりますか。
  135. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 東京圏への一極集中の是正と将来にわたって活力ある地域社会実現を目指すのが地方創生であるというふうに考えております。そして、地方への移住を積極的に推進していくことが重要であるというふうに考えております。
  136. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 次の質問も鑑みての御答弁、ありがとうございました。  おっしゃるとおりで、私、国というのは、やっぱり、国を構成する要素というんですか、国土があって、そこに住む人がいて、そして法規がある、で、この中でみんな幸せに暮らしてもらったら本当にいいなというふうに思うんですけれども、そこをつくっているというのはやっぱり人でしかないんですよね。  人がそこに住んでいなければ、田畑は荒れていきますし、安全保障上の課題も生まれてくるというのの中で、その地に適した条例、法規というのを作っていくのも人である以上、この人というのは、じゃ、どうしたら大臣のおっしゃる東京一極集中でない選択をするのか、移住という選択肢を取るのか。それを、今、コロナ禍で、国民が、暮らすとか生きるとか育てるとか、そういうものについて価値観が揺さぶられているというか、選択肢を求めている、当たり前を疑っている瞬間だからこそ大臣と一問一答をしたいというふうに思って、こういった通告をさせていただきました。  今年に入って、東京都の人口がおよそ二十五年ぶりに前年同月を下回ったことが大きく報じられました。二十代は依然として東京への転入の超過というのは続いているんですが、年代別に見ると、三十代以上の転出というのが要因だそうです。  私も、周りに、一斉休校を契機にずっと迷っていた山梨県への移住をしましたという友人の夫妻がいたり、いい小学校があるからといって子供と家族を伴って軽井沢に移住をしたという先輩がいたり、平日は東京、土日は千葉県というデュアルライフ、パラレルキャリアを地でいっている友人もいて、今まで私の中でも、まあいいけれども、それ結構現実的には無理だよなというふうに思っていたものが、そうじゃないのかもしれないというような事例が周りでたくさんあります。  とはいえ、まだまだこういった例って限定的な移住、コロナ移住と言ってもいいかもしれませんけれども、東京からの移転、こういったものを推進していくには、どういう要因分析というか、内閣府が行っているというふうに聞きましたので、どういった要素が必要なのか、大臣の御答弁をお願いします。
  137. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 委員御指摘のように、昨年の七月から東京転出の方が超過をしておりましたけれども、本年二月に、二十五年ぶりに前年同月比を人口が下回りました。三月、四月も同様の傾向が続いております。地方への移住の高まりが見えてきたというふうに思います。  先ほどの地方創生の要素にも絡むことでありますけれども、やはり、働くところ、働く場所、それから子供を育てる環境、さらには医療、福祉、教育、こういった様々な要素があります。そういう中で、私たちとしましては、そういった要素をしっかり考えながら、地方創生テレワーク交付金など百億円による地方のサテライトオフィスの整備への支援を通じた地方でのテレワークなどを強力に推進する、そのことによって、まず働く場所、こういったものを地方で確保すると、そういったことを考えているところでございます。  そのほかにも、地方移住のためのサイト、いいかも地方の暮らしとか、いろいろな対応策をこの機にやっているところでございますので、こういった対策を継続させながら、地方への人の流れというものを強力なものにしてまいりたいというふうに思っております。
  138. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 では、その人というのをもうちょっとターゲットを絞って、例えば子育て世代の移住というのを促すにはどうしたらいいか。子育て世代というふうに申しますのは、やっぱり若い世代がその地で育たないと、その地域の未来に連なっていきませんので、そういった子育て層の移住というのを推進するには更に何が必要なんでしょうか。
  139. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 子育て世代は、生産年齢人口の観点からも地域の経済や社会を支える層であり、その移住を推進することは地方創生の観点から大変重要であるというふうに考えております。  地方移住に当たっての懸念として、先ほど言いましたけれども、仕事や収入、買物や公共交通等の利便性とともに、やはり子育て、教育環境が挙げられます。子育て世代の移住を促進するためには、地方創意工夫を凝らして子育て、教育環境の充実を図るとともに、魅力ある仕事や魅力ある町づくりを進めることが重要であるというふうに思っております。  そういう中で、私たちは、テレワーク等を対応することによりまして転職なき移住を促進することも、仕事や収入を気にせずに地方に住んでいただくための重要な取組であるというふうに考えております。
  140. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 テレワーク、本当にこれはパラダイムシフトを起こす大事なものだというふうに思いますし、私が実際、テレスタディーと、子供たちの勉強とテレワークというのがこの首都圏の狭い住環境の中で両立しないということを味わった人たちからすると、テレワークというのも一つの働き方の選択肢になっていくんだというふうに思いますが、でも、やっぱりそれだけじゃ移住の動機にならない、プラスアルファで強い強い動機というのが必要になってくるんだというふうに思います。  私も、長女がアトピー性皮膚炎で夜も眠れなくて、かゆがるんで、そうすると、私に何ができるかなと思って、いろいろ、食べ物かな水かな空気かなと思って、アトピー性皮膚炎、移住とかって検索をしてみるわけですね。  大臣は孤立・孤独担当大臣でもありますので、こういう発達障害児の先駆的な療育ですとかインクルーシブ教育の実践校がいかに少ないかですとか、中高生や高校生向けのフリースクール、選択肢があっても、幼少期の不登校や引きこもり、いじめに遭った子供たちの居場所がどれだけ少ないか、履修主義や単位認定、学齢主義がどれだけ苦しいか、社会的保障が必要か、障害児を育てるシングルマザーがいかに働きづらいか、きょうだい児が孤独か、たくさんたくさんお耳に届いているんじゃないかなというふうに思います。そういった方々を応援しつつ、かつ自治体の独自性を生む、そんな改革を先導する大臣でいていただきたい。  最後に一言お願いいたします。
  141. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 委員が言われました様々なはざまの中で苦しんでいる方々、これ多くいらっしゃいます。改めて、孤独・孤立対策担当大臣として、そういった方々が増えているということも改めて認識をしたところでございます。そういうのも含めて、これからその解決の一助に地方への移住あるいは地方創生がなるのであればということで、全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
  142. 伊藤孝恵

    伊藤孝恵君 終わります。
  143. 大門実紀史

    大門実紀史君 大門です。  ずっと聞いておりまして、これほど評価の低い法案も珍しいんじゃないかというふうに思いますけど、ただ、我が党として、一つの改正案除いてほかは賛成でございます。  一つだけ、どうしても懸念が残る、賛成が難しいということだけまず取り上げたいと思いますが、介護保険法改正でありますが、小規模多機能型居宅介護の利用者に関する定員の基準の変更であります。  これは鳥取県が提案者ということでございますが、どのような事情で、どういう支障があってこの提案があったか、改めてちょっと説明をお願いしたいと思います。
  144. 宮地俊明

    政府参考人宮地俊明君) お答え申し上げます。  鳥取県からは、小規模多機能型居宅介護の利用定員に関する基準につきまして、地域の実情に応じて必要な介護サービスが提供できるよう制度改正を求める提案がなされました。  具体的には、利用定員に関する基準につきまして、厚生労働省令で定める基準に従い市町村が条例で定めることとなっておりますが、事業規模が小さくならざるを得ず、県内の事業所の約三八%が赤字であるなど厳しい経営状況にあることが言及されておりました。また、施設の規模、職員数等によっては、適切にサービスを提供できる状況があるにもかかわらず、利用定員の上限が設けられているために利用者のニーズに応えられないケースが生じていると言及されていたところであります。  このような支障事例を踏まえ、今回、鳥取県から提案がなされたところでございます。
  145. 大門実紀史

    大門実紀史君 この小規模多機能型の経営について、厳しい状況にある事業所もあるということは、実は私の知人もやっておりまして、知っております。実情知らないわけではありませんが、ただ一方で、全体見ますと、この今の基準の中でこそ小規模多機能の特性を生かして頑張ってやっているところもまたあるわけであります。  申し上げたいのは、この定員の基準の緩和については、実は社会保障審議会の介護給付費分科会で、去年の九月、安易に行わない方がいいと、やっぱりこういう地域密着型のサービスの適切な提供、サービスの質の確保という点で心配することはかなりあるというような慎重意見も実際に出ております。  そもそも、その経営状況の悪化の根本的な原因はやっぱり今の低い介護報酬にあるわけでありまして、そのことをちょっとおいておいてですね、そのことをおいておいて、この定数の基準だけをいじっていくということのこの方向性ですね。具体的に大変なところがあるのは分かっていますよ。分かっていますが、この両方に手を着けないで定数だけいじっていくということになりますと、ちょっとそもそものこの制度趣旨と違っていく方向になるんじゃないかということで、この議論は衆議院でもやっていますのであえて繰り返しませんが、この点がどうしても懸念が残るということを申し上げておきたいと思います。  一括提案ですから、残念ながら反対せざるを得ないということになりますので、後でわざわざ討論までは行いませんが、この点だけ指摘をさせていただきたいというふうに思います。  先日、デジタル関連法が可決されまして、その関連で、今日はスーパーシティについて質問しておきたいというふうに思います。  スーパーシティ法案審議のときにも、前回、去年、佐藤審議官にもお答えいただきましたが、スーパーシティを選択すると、住民が選択するときに十分な住民の合意、判断が重要だという点を、法案審議のときもあったわけですが、この点では、昨年十月の閣議決定で国家戦略特区の基本方針に個人情報の適切な取扱いを規定してもらって、また、住民の意向を把握、確認については議会の議決だけではなくて住民投票も含めて方法を選ぶということと、さらに、基本構想の内閣総理大臣への提出の前に住民投票によってその意向を改めて確認するというようなことも組み入れていただいたということでございますので、これはこれで評価をしているんですけれども。  ところが、資料をお配りいたしましたけど、十月、去年の十月二十二日ですけど、第四十七回国家戦略特区の諮問会議、ここでは、国会の審議の経過とか皆さんの努力と関係なく、とんでもないことを言っている人がおります。竹中平蔵さんでございます。こんなことを言っております。  スーパーシティでありますけれど、これを実行する段階になったのですが、実はなかなか大変だと思います、住民合意を得るための非常に強い首長が必要であってと。で、あれこれ書いていますけど、これをやるためには、実は、提案を待っているだけではなく、事務局の方から、非常に可能性のあるところについては積極的に誘導していくと、機能が必要になってくると思いますというようなことを、平気でまだこんなことを言っているんですね。住民の希望とか参画とか合意形成という発想が一かけらもない、トップダウンでやらないと突破できないよというようなことを言っているわけであります。  竹中さんは大臣のときには、何度も議論しましたけど、ここまでひどい人ではありませんでした。どこで変わったのかと思うぐらい、こういう発言ばっかり繰り返しています。  坂本大臣に伺いますけれど、せっかく地方創生推進室が住民合意の仕組みを考えて、その方向を尊重しようという方向になっているのにもかかわらず、こういう発言を、まあこの諮問会議がいろんなことの発信源でありますけど、の委員がやっていることについて大臣はいかがお考えですか。
  146. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 委員御指摘のとおり、スーパーシティ構想は、住民目線で町づくりを行い、最先端技術を活用しつつ、国民が住みたいと思う、より良い未来社会を先行実現するものです。  このため、国家戦略特区基本方針におきまして、スーパーシティの選定基準の一つとして、地方公共団体が区域指定の応募に当たり、住民説明会の開催、パブリックコメントの実施等、事前に住民等の意向把握のために必要な措置を講じていることということを明記しております。  スーパーシティの区域指定につきましては、四月十六日に応募を締め切りました。現在審査中ですが、今回応募いただいた地方公共団体においては、例えば、首長が出席して住民説明会を開催する、ホームページでのパブリックコメントや住民向けのアンケートを実施するなど、住民の意向把握のための取組を講じていただいているというふうに承知をしております。  先般、和歌山の仁坂知事が私のところに来られました。和歌山県は、人口三千人のすさみ町というところがスーパーシティに手を挙げております。すさみ町の町長さんは漁業者でございます。そういうことで、当初は仁坂知事考えるスーパーシティと、その漁業出身の町長の間でなかなか意見がかみ合わなかったけれども、何度も何度もそれぞれ話をして、そして住民と話をして、住民合意の下にこのスーパーシティに向かって手を挙げようと、そして実現に向かって走ろうというようなことを、ということで手を挙げたということでございますので、住民目線の作業というのはしっかりやられているというふうに思います。  ちなみに、仁坂知事と竹中さんは和歌山の高校で同級生ということだそうでございました。
  147. 大門実紀史

    大門実紀史君 同級生はどうでもいいんですけど。  要するに、この議事録といいますか、このテーマというのは、坂本大臣が皆さんに発言求めていて、この竹中さんの発言に対して大臣は、ありがとうございましたとお礼をおっしゃっているんですけれども、まあまあ、深くは言いませんが、こういうことを平気で言うような、言い放っているような国家戦略特区の諮問会議がもう諸悪の根源なので、やっぱりきちっと言わなきゃいけないと思うんですよね、黙って聞いていないで、にこにこしていないでですね、違うんじゃないかということはちゃんと言うべきだというふうに思います。その上で、というか、それはちょっとこれからはきちっとしてほしいなと思います。  で、このスーパーシティを住民が選ぶかどうかというときの住民合意、参画が保障されるべきだということがありますが、もう一つは、私は、このスーパーシティってまだまだ、先ほどもありましたけど、個人情報の問題で、住民監視とかいろいろ危惧がありますので、もちろん賛成ではないんですけれども、危ないと思っているんですが、仮にある都市の住民がこのスーパーシティを選択したと、その場合でもですね、選択した後も、うちの町ではスーパーシティをやるということを住民が選んだ後も、住民参画が、参加が保障される仕組みが必要になってくるんじゃないかと思いますが、現行のスーパーシティ法の枠組みの中に、選択した後、住民が参加する、参画するという仕組みがあるのかないのか、佐藤審議官、いかがですか。
  148. 佐藤朋哉

    政府参考人佐藤朋哉君) お答え申し上げます。  先ほど御説明いただいたとおりでございますけれども、まず、そのスーパーシティの構想の推進に当たりましては、住民の方々の意向の丁寧な把握と確認というのは、これは非常に重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、この点については、先ほど御指摘いただきましたとおり、昨年のこの委員会での法案の審議の際にも様々御指摘をいただいたというふうに認識をしております。  それを踏まえまして、先ほど御紹介いただきましたとおり、昨年十月に私どものこの特区の基本方針というのを改正をいたしまして、この基本構想の作成、それから、その内閣総理大臣への提出に先立ちます住民の意向の把握のプロセスを明記をさせていただいたところでございます。  今の御質問について申し上げますと、この基本構想というのは、この後、自治体からのその提案を私ども審査をいたしまして、諮問会議などでの審議を経て区域を指定するわけですが、その区域が指定された後に、それぞれの区域ごとに設立される区域会議で基本構想をまとめるということになります。  したがいまして、その基本構想をまとめて内閣総理大臣に提出をする中で、先ほど御紹介いただきました議会の議決、あるいは住民投票と、こういうような手段によって住民の方々の意向を丁寧に把握して、それを反映させるということをさせていただきたいというふうに考えております。
  149. 大門実紀史

    大門実紀史君 私もそう思います。仕組みとしては、基本構想の中に、選択した後も住民参画の仕組みを入れるべきだと。  その点で、資料の二枚目に、参考になればということで資料付けました。スペインのバルセロナですが、ここは日本の極端なあのスーパーシティとは違うんですが、スマートシティー構想というので進めております。バルセロナはそもそも非常に住民が主体となってのスマートシティーなんですけれども、そこで行われているのが、オンラインシステムでデシディムといいます。Decidimですけど、デシディムというシステムをやっております。  これは日本でも兵庫県の加古川市が初導入して始めているそうでありますけれども、どんなシステムかというのは、真ん中の辺りの図になっておりますが、今までは、左側の、市民、住民行政機関などに意見提案をするんだけれども、答えが返ってこないとか一方通行になっていると。このデシディムの場合は、プラットフォームをつくるわけですね。まさにデジタル化に対応したスマートシティーでございますが、プラットフォームをつくって、ネット上で市民が、住民意見や政策提案をする、それに行政がきちっと答えるという、まさにデジタル、オンラインを活用した住民参加の新しい方法が行われております。双方向であります。  バルセロナではこのデシディムが、このプラットフォームを通じてもう幾つも住民の方々の提案を事業化する、政策化するということが行われておりまして、まさにデジタル時代の政策決定、住民参加の仕組みだというふうに思います。  従来は住民の意思表示というと、議会の選挙で意思を示すとかあるいは住民投票とか住民参加の協議会があるとか、そういう形が従来でしたけど、このデジタル化時代でいえば、こういう、ふさわしいという点でいえば、このネットを活用した広い住民の民意を政策に反映する手段がもう既に始まっております。  こういうことをやっぱり、仮に、私は今の段階で選ぶべきじゃないと思いますが、選んだ自治体があったとすれば、最低こういう仕組みをやっていく必要があると思いますが、是非こういうものも一つの、こういうものというか、これ非常に重要だと思うんですが、参考にして、政府としても一つ参考材料として、選ぶ自治体があれば提案していってほしいと思いますが、いかがですか。佐藤さん、どうですか。
  150. 佐藤朋哉

    政府参考人佐藤朋哉君) お答え申し上げます。  繰り返しになりますけれども、このスーパーシティの構想を進めるに当たりましては、住民の方々の意向の丁寧な把握、確認というのは非常に重要な課題であると認識をしておりまして、先ほども申し上げましたとおり、昨年十月に基本方針を改定をいたしまして、この基本構想の策定に当たっては、内閣府あるいは地方公共団体などが構成員となります区域会議が適切と認める方法で住民等の意向を反映して、把握をして反映させると、こういうことを明記したところであります。  その際に、今御指摘いただきました、こういうITあるいはデジタル技術を活用した手法も有効であるというふうに考えておりまして、実はこの基本方針におきましても、基本構想の作成に当たっては、電子的な手法も活用しつつ、幅広い利害関係者の意向の反映に努めるという旨も明記をさせていただいているところでございます。  今後、スーパーシティの区域指定の後に区域会議がこの基本構想を策定する際には、住民向けのサービスの具体的な内容、あるいは地域の状況等を踏まえながら、御指摘、今御紹介いただきましたような方法も含めまして、住民等の方々の幅広い利害関係者の意向を適切に反映できるように地方公共団体とともに検討してまいりたいというふうに思います。
  151. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  大臣からも一言いただけますか。
  152. 坂本哲志

    国務大臣坂本哲志君) 今事務方が言ったとおりでございますけれども、しっかり協議をしながらやってまいりたいというふうに思っております。
  153. 大門実紀史

    大門実紀史君 竹中さんの話に戻るんですけど、竹中さんがなぜこのトップダウンとか強い首長とか上から誘導しないと成功しないよというのは、彼は、私よく知っていますけど、五十何回も議論しましたんで、非常にリアルに捉えていると思うんですね。それは、ほかの世界のいろんな町でスマートシティーが成功していないのは、成功しなかったところあるのは、顔認証とかを含めて、やっぱり個人情報とか生体認証にも引っかかるというようなことが危惧されているということがあって、そう簡単にはいかないだろうというふうに思って判断しているんだというふうに、竹中さんは判断しているんだというふうに思います。  そういう点でいきますと、やっぱりもっともっと住民合意の仕組み、住民参加のスキームをつくらないと、このまま行きますと、スーパーシティ構想、大々的にぶち上げましたけれど、一つも成功しないと、一つも前に進まないということが十分起こり得るわけですね。  世界でいいますと、御存じかと思いますが、トロントでもこのスマートシティー構想が中止となりましたし、サンフランシスコ、ボストン、カリフォルニア、オレゴン、ハンプシャー、ワシントンでも、顔認証を含めて使用しないということになっておりますし、IBMもマイクロソフトも顔認証システムについては問題点を指摘しておりますので。  日本のスーパーシティ構想は顔認証システムが一つの根幹になっております。そういう点からいっても、こういう住民意見をよく聞くというシステムをつくらないとスマートシティーは成功しないということも指摘して、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。     ─────────────
  154. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、下野六太君が委員辞任され、その補欠として安江伸夫君が選任されました。     ─────────────
  155. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  地域自主性及び自立性を高めるための改革推進を図るための関係法律整備に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  156. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会