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2021-04-21 第204回国会 参議院 地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二十一日(水曜日)    午後三時六分開会     ─────────────    委員異動  四月二十日     辞任         補欠選任      堀井  巌君     馬場 成志君      宮崎 雅夫君     加田 裕之君      川田 龍平君     石川 大我君      岸 真紀子君     江崎  孝君  四月二十一日     辞任         補欠選任      加田 裕之君     自見はなこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         石井 浩郎君     理 事                 進藤金日子君                 本田 顕子君                 山田 修路君                 宮沢 由佳君                 竹谷とし子君     委 員                 上野 通子君                 太田 房江君                 加田 裕之君                 自見はなこ君                 徳茂 雅之君                 馬場 成志君                 藤末 健三君                 三木  亨君                 山田 俊男君                 石川 大我君                 江崎  孝君                 野田 国義君                 福島みずほ君                 伊藤 孝江君                 安江 伸夫君                 松沢 成文君                 柳ヶ瀬裕文君                 伊藤 孝恵君                 田村 まみ君                 大門実紀史君    事務局側        常任委員会専門        員        宮崎 一徳君        常任委員会専門        員        佐藤 研資君    参考人        一般社団法人日        本経済団体連合        会ソーシャル・        コミュニケーシ        ョン本部長    正木 義久君        全国消費者行政        ウォッチねっと        事務局長        弁護士      拝師 徳彦君        弁護士      染谷 隆明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○取引デジタルプラットフォーム利用する消費  者の利益保護に関する法律案内閣提出、衆  議院送付)     ─────────────
  2. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) ただいまから地方創生及び消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、川田龍平君、岸真紀子君、堀井巌君及び宮崎雅夫君が委員辞任され、その補欠として石川大我君、江崎孝君、馬場成志君及び加田裕之君が選任されました。     ─────────────
  3. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 取引デジタルプラットフォーム利用する消費者利益保護に関する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、一般社団法人日本経済団体連合会ソーシャル・コミュニケーション本部長正木義久君、全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士拝師徳彦君及び弁護士染谷隆明君でございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、正木参考人拝師参考人染谷参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず正木参考人からお願いいたします。正木参考人
  4. 正木義久

    参考人正木義久君) 日本経済団体連合会経団連ソーシャル・コミュニケーション本部長を務めております正木でございます。  本日は、取引デジタルプラットフォーム利用する消費者利益保護に関する法律案に対する経団連考え方を御説明させていただく機会を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。  経団連ソーシャル・コミュニケーション本部でございますが、中西会長着任とともに生まれた部署でございまして、消費者投資家など、企業を取り巻く様々な方々とのエンゲージメントを結び、ウエルビーイングを実現するということを使命としております。  デジタルプラットフォーム企業が介在する消費者取引における環境整備等に関する検討会にも、経団連会員企業でございますプラットフォーム運営事業者のみならず、そこに出品する販売事業者、さらにはオンライン取引利用する消費者にとって望ましいものを目指す観点から、私が経団連を代表して参画して、意見を述べてまいりました。  私からは、本法律案賛成立場から、本法案意義と今後の課題について考え方を述べたいと思います。  本法案意義は、第一に、オンライン取引広場で行うものから市場で行うものへ転換させたこと、第二に、まずは事業者ターゲット規範を形成することを明確にしたこと、第三に、官民協議会中心としたアジャイル型のソフトローとしたことだと思います。  第一の意義として、取引プラットフォーム広場から市場に転換したと申し上げた趣旨を御説明いたします。  近年、デジタルプラットフォーム取引は急速にその存在感を増しております。事業者個人を含む様々な主体が様々な商品を販売でき、子供から高齢者までが買手となってボーダーレスかつ簡単に参加できるオンライン取引の場となる取引プラットフォームは不可欠な社会インフラとなってございます。とりわけ今般のコロナ禍においては、感染症の拡大を防止することが求められる中、非接触の巣ごもり消費が急速に拡大しております。  この参加しやすさという特徴はよく広場に例えられてまいりました。様々な方々オンライン上のプラットフォームに集まって低廉なコストで好きなものを好きなように売り買いするのは、あたかも広場で行われるフリーマーケットのようなものだからです。その意味では、取引プラットフォーム広場管理者程度役割を果たすことが求められてきました。  その一方で、悪質な事業者や不慣れな消費者も参加しやすいゆえに、プラットフォーム上における消費者トラブルが増加していることも事実でございます。悪質な事業者は、消費者にとっても、真面目に事業を展開するほかの事業者、そして取引の場を展開するプラットフォームにとっても、排除したい言わば共通の敵でございます。  そこで、多くのプラットフォーム運営事業者は、広場管理者役割を超え、利用者が安心して便利に取引できる環境整備するべく、日々、様々な技術を駆使し、創意工夫の下、対策を進めていると承知しております。昨年八月には、複数の大手運営事業者が共同でオンラインマーケットプレイス協議会を設立いたしまして、各社の自主的な取組状況を開示しているほか、消費者団体消費者庁経済産業省などとの意見交換を行うなどしております。  もちろん、証券市場のように、上場するのにも厳しい審査が必要で堅牢なシステムに守られた市場のようにはまだまいりませんけれども、オンラインマーケットプレイス協議会という名称が示すように、広場で行われているフリーマーケットからは一歩進めて、売手買手一定ルールの下で安心して取引のできる市場を形成する取組が進んできたと認識しております。  本法案は、こうしたプラットフォーム運営事業者を介在する消費者取引市場を公に認知し、公正な取引の場として機能を発揮させること、適切なルール整備を通じて安心して活用できるようにするものであると評価できるかと思います。取引デジタルプラットフォーム広場から市場に変える画期的な法案として歓迎しております。  本法案の第二の意義は、まずは事業者ターゲット規範を形成することを明確にしたことでございます。  さきに申し上げましたとおり、オンライン市場事業者個人も参加できる場でございます。とはいえ、これまで一個人売手となることを想定した市場法制は例に乏しく、議論の蓄積もございません。一方、事業者市場参加者としてのルールに服する例は数多くございまして、その知識から情報開示請求権などを制度化するということは妥当かと存じます。  検討会の中でも、個人売手となる取引を規律できるかについて検討いたしましたけれども、個人に対して事業者前提としている行政規制を及ぼすのは困難であること、取引当事者のプライバシーの確保が難しいということが課題となりました。これは、取引デジタルプラットフォームを介在するかどうかにかかわらず、慎重な検討の上で扱うべき問題かと存じます。そうした意味でも、個人からではなくて、まずは事業者ターゲットとする規範から着手するのは妥当かと存じます。  本法案の第三の意義は、官民協議会中心としたアジャイル型のソフトローとしたことでございます。  デジタルプラットフォームの健全な市場整備していく上で重要なことは、第一に、プラットフォーム運営事業者の自主的な取組とイノベーションを阻害しないようにすること、第二に、企業がちゅうちょなく消費者保護のための施策を講じられるようにそれを後押しすること、第三に、官民による情報や経験の共有とそれを踏まえた機動的なルール策定見直しが行われることだと考えております。  この点、本法案は、国の行政機関プラットフォーム運営事業者団体消費者団体等により構成される官民協議会を設け、悪質な販売業者等への対応を協議し、各主体が取り組むべき事項を協議することとなっております。  例えば、新しい技術を活用した取引方法、約款に当たる取引ルールの定め方、新たな手口で市場を荒らす者に対してどう対処するのかといったことについて意見交換をしたり、機動的なガイドライン策定をしたりすることが期待されます。  最近の研究開発現場のトレンドは、親会社から下請に一方的に仕様を流して製品化するウオーターフォール型の開発ではなくて、試作品を作ってから試しに使ってみて、その結果を踏まえてまた改良するアジャイル型の開発へと移っております。  市場草創期デジタルプラットフォームにおいても、関係当事者創意工夫を生かして変化のスピードの激しいデジタル分野で試行錯誤をしながらルールを形成していくためには、一方的、硬直的なハードローによるのではなくて、アジャイルソフトローを用いることがぴったりだと思います。  最後に、本法案の今後に残された課題として認識しております論点を三点述べたいと思います。  第一の課題は、本法案第三条によれば、プラットフォーム運営事業者は、販売業者に対して、必要に応じて身元確認のための情報提供を求めることとなっております。また、本法案第五条に位置付けられました販売業者に係る情報開示請求権が行使されました場合、消費者が不正の目的ではなく一定金額以上の金銭債権の行使を目的としているのかなどをプラットフォーム運営事業者が判断した上で、第三条で確認した身元情報提供する仕組みとなっております。  プラットフォーム運営事業者が入手する販売業者身元情報は、中小零細事業者にとっては開示される情報個人情報と同等のものになることも想定されますし、また、特に海外販売業者の場合、どのように真正性確認すればいいのかといった問題もございます。少なくとも国内の事業者について、どのような確認をすればプラットフォーム事業者としては十分な身元確認をしたと言うことができるか等、公的なインフラ整備、適切なガイドが求められます。  また、プラットフォーム運営事業者販売事業者身元情報提供してよいかどうか迷った際に、意見を求めることのできる行政当局の窓口の整備や判断のためのガイドライン事例集等提供といった方策を講じることが必要になってまいります。  第二の課題は、国際的な法執行に向けた環境整備であります。  消費者開示請求権を活用して販売業者情報を得たとしても、その所在地が海外ともなりますと、一消費者が求償するのは至難の業でございます。今後増えていく国際的な消費者取引について、海外消費者行政当局と連携を深めていくということが重要になろうかと思います。  第三の課題は、悪質なレビューの問題でございます。  検討会でも議論され、経団連でも販売業者の方から何とかならないのかと相談の寄せられる問題でございます。検討会でも議論されましたけれども、自社有利誤認自社有利誤認させるやらせレビュー競合他社等をおとしめるような誹謗中傷などは、事業者にとっても消費者にとっても有害なものでございます。  一方で、本来のレビューには表現の自由が保障されるべきでございますし、また、消費者による建設的な批評によって市場を健全化すると、そういう効果が期待されているものでございます。  検討会でも結論の出なかったところであり、また、取引デジタルプラットフォームの範疇の枠外のオンライン取引全般に係る問題でございますけれども、今後の大きな課題だと認識しております。  終わりに、改めまして、デジタルプラットフォームを介在する消費者取引が健全に発展していくことが重要であることを強調したいと思います。  本法案は、デジタル空間で、販売事業者運営事業者消費者の全ての当事者利便性を享受しつつ、安全、安心な取引ができる市場を形成するための第一歩であると考えております。  具体的な一つ一つ課題解決には、本法律案に基づき設置される官民協議会や、冒頭御紹介したオンラインマーケットプレイス協議会での議論等を通じまして、日々進化するデジタルプラットフォーム取引の実情に即した解決策が見出されていくことを願っております。このような議論も踏まえまして、主体的に消費者保護取組を行っているプラットフォームこそが消費者から選ばれ、信頼されていくと考えております。  以上が今回の法案に対する経団連の見解でございます。  御清聴、誠にありがとうございました。
  5. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) ありがとうございました。  次に、拝師参考人にお願いいたします。拝師参考人
  6. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) 全国消費者行政ウォッチねっとの事務局長を務めております弁護士拝師と申します。  私は、元々、このデジタルプラットフォーム、以下、DPFと省略して言わせていただきますが、このDPFとかITとかの方面には余り詳しくないんですけれども、今回、消費者庁DPF消費者との関係での規制をするということですので、他の消費者団体の皆さんとも一緒に勉強して、ウォッチねっととしてもDPF規制に関する意見を出させていただいております。意見の方は、事前に配付させていただいた意見書を御参照いただければと思います。  今日の私の話は、当日配付させていただいた一枚目の発言の骨子に記載してある順番に従って発言をさせていただきたいと思います。  まずは、現在のDPF市場課題について触れさせていただきます。  このDPFの問題ですが、今、経団連さんからもお話があったように、コロナの影響もあって非常に消費者に近いものになっていると。非常に利用が拡大しているということで、大変身近な存在になっているわけでありますけれども、他方で、非常に分かりにくい問題だろうというふうに思っています。その要因としては、そもそもの仕組みの複雑さとか、その秘匿性とか、いろいろ要因はあるんだと思いますが、個人的には、やはりDPF事業者責任とか役割の曖昧さに起因する部分が大きいのではないかというふうに思っております。  この責任とか役割の曖昧さということですけれども、要するに、トラブルが発生したときにDPF事業者がどこまで関与すべきなのか、あるいはどこまで責任を負うべきなのかというのが消費者にとってはよく分からないと。あるいは、トラブル予防、防止のためにDPF事業者が何をすべきかというのがよく分からないということです。しかも、現状は、トラブルが発生したときにDPF側対応がまちまちであるという状況ですので、消費者からすると、DPF事業者がどのような立場にあるのか、あるいはどのような役割を果たすべきなのかという点についての認識が混沌としているんだろうというふうに思っております。  この辺のルールをきちんと整理をしてDPF役割責任をしっかり果たしていただかないと、消費者は、DPF取引するときには、場合によっては一か八かという、ひょっとするととんでもない業者に当たってしまうかもしれないという覚悟で取引に臨まなくてはいけないということになりかねません。そのようなことでは本当にデジタル市場が健全に発展していくんだろうかという疑問を持っております。  次に、クレジットカード規制DPFについて少し触れさせていただきたいと思います。  もう十年以上前のことになりますが、クレジット規制している割賦販売法という法律改正運動に私関わったことがございます。平成二十年改正と言われる大改正につながった大きな運動でした。  なぜここでクレジットの話を持ち出すのかといいますと、クレジットとこの法案で対象になっている取引DPF、よく似た側面があるんだろうというふうに思っています。すなわち、いずれも加盟店との提携関係前提にするシステムであるということ、それから、取引システムそのものクレジット会社あるいはDPF事業者側が構築して、そのシステム消費者利用することで事業が成り立つ、そういう仕組みになっていると、これらの点で両者の構造というのはよく似ているんじゃないかというふうに思うわけです。  この平成二十年改正のときに、割賦販売法改正運動という消費者運動の際、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会のメンバーでイギリスに視察に行きました。なぜイギリスに行ったのかと申しますと、実はイギリスでは、クレジットカードについて、クレジットカード会社が何かあったときに連帯責任を負うと、そういう法的なルールになっていると。要するに、カードで買物をして商品に何か問題があったと、で、販売業者がきちんと責任を取ってくれないという場合にはクレジットカード会社が補償をしてくれると、そういう仕組みになっているということなんですね。ですから、イギリス消費者団体の方は、消費者に対して、高い物を買うんだったらクレジットカードを作った方が安心だよというふうにアドバイスをするというふうに聞きまして、大変驚きました。  こうした手厚い消費者保護ルールが導入されている結果、イギリスではクレジットカード利用が極めて盛んになっているというふうに当時聞きました。クレジットカード会社加盟店をきちんと管理し、消費者に対して法的な責任を負うことで、消費者団体までが言わば宣伝役となってカード市場が発達していくと、そういうことになっているわけです。  逆に、加盟店管理がきちんと行われずに悪質加盟店が増えれば、消費者団体カード利用を控えるように啓発することになると思います。そうすると、カード市場というのは発展していかないだろうと、そういう関係になると思います。  翻って、このDPF関係ですね、デジタルプラットフォーム関係についても同じだと思うんですが、DPF事業者一定ルールの下でしっかりとその役割を担って消費者保護をやっていくということになれば、事業者消費者も一丸となってデジタル市場発展に力を注いでいくということになるだろうと思いますし、逆にきちんとした役割を果たしていただけないということになると健全な発展にブレーキが掛かっていくと、そういうことになるのだろうというふうに思います。  ちなみに、我が国の割賦販売法規制が十分なものかどうかというのはここではおくとして、この割賦販売法上の例えば加盟店調査義務であるとか、後で触れます加盟店情報交換制度、こういう悪質加盟店を排除するルールとか制度というのはそれなりに機能してきているというふうに思っておりますので、今後の取引DPF規制においても参考になるのではないかというふうに思っております。  次に、本法案の評価について申し上げたいと思います。  今回審議していただいている法案は、私たちが本来求めているDPF事業者責任役割からするとまだまだ不十分な部分もあるのかなというふうには思っておりますが、少なくとも、例えば三条ないし五条においてDPF事業者責任役割を明確にし、消費者保護のために一定役割を果たすべきことを求めているという点で健全なデジタル市場発展に向けた大きな一歩であることには間違いないだろうというふうに思っておりますので、この法案については是非今国会で成立させていただければというふうに思っております。  以下、残された課題のうち重要と思われるものについて意見を述べさせていただきます。  なお、衆議院では既に十四項目にわたる附帯決議が採択されているというふうに伺っております。これらについてはいずれも私も賛成立場であるということを申し添えさせていただきます。  具体的な要望事項法案課題について申し上げます。  まず一つ目は、危険商品流通について、これは法案四条関係になるかと思います。  残念なことに、現在のデジタル市場には、消費者の生命、身体を害するような危険商品であるとか、あるいは法に触れるような違法な商品流通しているというふうに聞いております。この点、今回の法案では、取引DPF提供者に対して一定の要件の下で出品削除等の要請ができるというふうにされておりますので、一応の手当てをしているということになっております。  ただし、取引DPF提供者が独自で危険商品等についての情報を入手するという場合もあり得ますので、そのような場合には、取引DPF提供者から販売業者にきちんとその旨の情報提供をするように義務付ける必要があるのではないかなというふうに思っております。  また、危険商品流通については、事業者消費者BツーCであっても、消費者消費者CツーC取引であっても、速やかに対応すべき必要性の高さというのは同じだと思います。ですから、今回の法案ではCツーC関係は入っておりませんが、まずはCツーCを取り扱うDPF事業者についても押しなべて任意協力には応じていただいて、任意協力にやはり応じていただけない、協力していただけないDPF事業者というのがあるということであれば、次の見直しの際にCツーCの方も法律で取り組んでいくべきだろうというふうに思っております。  それから、(二)の悪質加盟店情報共有についてでございます。  現在のDPF業界では悪質加盟店に関する情報共有システムができていないというふうに聞いています。あるDPF上で問題のある取引をしている業者、当然ほかのDPFでもやる可能性があるわけですから早めに排除しなくてはいけないと思うわけですけれども、その情報がほかのDPFの方に流れてこないということになると、あちこち転々とされて荒らされてしまうということになると思います。  ちなみに、クレジットの世界では、かつて任意加盟店情報の交換システムがあったんですけれども、余りうまく機能しなかったという経過がありました。このために、割賦販売法という法律できちんと法的に位置付けて、認定割賦販売協会という枠組みをつくって、これによる加盟店情報交換制度という形で制度化をしました。  DPF業界についても、まずは官民協議会での検討事項ということになるかもしれませんが、ここできちんと検討してやっていただければそれでよいのかと思いますが、仮にDPF事業者が自分たちでこのような仕組みを構築できないということであれば、やはり法律で、悪質加盟店情報について情報交換する制度をきちんと法的枠組みをつくって、法律がリードしていくということがあってもいいのではないかなというふうに思っております。  その際の要望ですけれども、適格消費者団体等消費者側にも悪質加盟店に関する情報提供できる仕組みにしていただけると有り難いと思っております。  それから、(三)の不正レビュー関係です。  先ほど経団連さんからも御意見がありまして、全く同じ意見でございます。  この消費者レビューについては、消費者からすると、単に商品購入の際に参考になるというだけではなくて、消費者が他の消費者のために正しい情報を伝えることで、消費者同士が協力し合いながら消費者の権利を実現していくという重要な意味合いがあるというふうに思っております。これがきちんと運用されれば、デジタル分野における消費者市民社会の進展にもつながっていくのではないかと期待をしているところです。  ところが、現在の消費者レビューは、先ほどもお話があったように、当該販売業者自身あるいはこれに指示された者が自社に都合のいい、あるいはライバル企業を追い落とすような書き込みをするということが横行していると聞いておりまして、非常に残念に思っております。  このままでは本当に優良な販売業者についての高評価のレビューも信用されなくなってしまい、正直者がばかを見るというようなことになってしまうおそれがあります。そういう状況になってきますと、そもそも正しい情報を記載しようという消費者もいなくなってしまって、消費者レビューがあたかもうその代名詞というようにやゆされるという事態になりかねないというふうに危惧しております。  こういうことにならないように、不正レビューについては厳罰をもって臨むべきだろうというふうに思いますし、DPF事業者消費者レビューの適正性確保のために調査、協力する義務を負うべきだろうというふうに考えております。この点については、次の法改正を待たずに早急に検討していただきたいというふうに思っております。  それから、(四)ですね、外国執行当局との情報交換について申し上げます。  DPF事業者の大手は国際的に事業を展開しておりますし、販売業者の方もしばしば国をまたいで取引するという状況になっております。このため、海外の執行当局が持っている情報共有するということも非常に重要だろうというふうに思いますが、本法案ではこの部分について対応されていないのではないかというふうに思います。もちろん、今国会に別途法案提出されている特商法、預託法の改正法案に実はこの点盛り込まれておりますので、通信販売の枠組みで海外の執行当局と情報共有するということは可能なわけですけれども、取引DPF提供者関係する情報については端的に本法に基づいて情報共有できる仕組みにしておいた方が直截でよいのではないかというふうに思いますので、行政処分の導入と併せて今後の課題としておいていただければというふうに思っております。  最後に、行政サイドの体制強化についてお願いがございます。  先ほどからもお話に出ておりますように、デジタル市場が大きく進展しつつある中で、その実情をタイムリーに把握し、消費者保護の観点から対策を講じ、必要に応じてその執行をするという行政の役割はますます重要になっていくと思います。  しかし、現実にはマンパワー非常に不足しているというのが現状ですので、この辺についての人的、財政的手当て、専門的人材の育成も含めてお願いしたいと思います。また、地方の消費生活センターでそういう情報を吸い上げるということになりますので、こちらについても今まで以上に手厚い財政支援、人的支援をお願いできればと思います。  私からは以上です。
  7. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) ありがとうございました。  次に、染谷参考人にお願いいたします。染谷参考人
  8. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 池田・染谷法律事務所の弁護士染谷と申します。  私自身は、以前、消費者庁において景品表示法に課徴金制度を導入する法案の立案を担当させていただいたところでございまして、当時、解散風が吹く中、廃案にならず、先生方に大変助けていただきました。そのような先生方を前に意見をさせていただく機会をいただきまして、大変恐縮しております。  さて、私はふだん取引デジタルプラットフォーム提供者と呼ばれる企業に対して消費者法のアドバイスをしているところでございまして、このため、実務については少しは分かるであろうということで本日呼ばれたものと認識しております。本日は、一弁護士としての意見を述べたいと思っております。  まず、本法案の評価でございますが、本法案は、取引デジタルプラットフォームが介在する消費者取引保護を促進する第一歩であるということでございまして、一定の評価ができるというふうに考えております。このため、私は本法案賛成するものでございます。  一方で、衆議院で非常に多くの議論がされたとおり、幾つかの課題や残された解釈上の問題、積み残し課題があるように思われますので、条文ごとにコメントさせていただければと思っております。  先生方のお手元にございますオレンジの資料に基づいて説明させていただきます。  まず、四ページ目の二ポツ目を御覧いただければと思います。  まず、定義関係についてございますが、販売事業者等について意見を申し上げたいと思います。販売事業者等に、販売業者等については、今後、消費者庁においてその認定基準を策定するというふうに聞いているところでございますが、その際に検討してほしいということについて申し上げたいと思っております。  この販売業者等の認定基準につきましては、いわゆるフリマアプリの隠れBの判断基準にもなるものでございまして、非常に重要なものであるというふうに理解しているところでございます。  現在の実務はどうなっているかというところでございますが、添付資料として一というもので特商法のインターネットオークションガイドラインというものをお配りしておりますが、実務上はこれが参照されているところでございます。しかしながら、その内容を拝見いたしますと、販売業者に該当するかどうかの例示といたしまして、年一千万円以上の売上げですとか月百万円以上というような要件があるところでございまして、かなりハードルが高いというふうに思っている次第でございます。  もちろん、これは平成十八年頃に作られたものでございまして、現在でも通じるのかというところはあるかと思いますし、あくまで例示であるというふうに判断しているものでございますから、現在でもそのような基準なのかどうかということについては今後しっかりと議論をしてほしいというふうに思っている次第でございます。  さらに、第五条に開示請求というのが今回導入されたわけでございますが、開示請求はこれ民事請求でございます、民事上の請求権でございますので、最終的には裁判所が販売業者等かどうかということを判断するわけでございます。  私の感覚からいたしますと、裁判所は割と簡単に販売業者等を認定するのではないかというふうに思っているところでございまして、今後、消費者庁販売業者等検討するに当たっては、裁判所、司法の判断に堪え得るような基準を示していただきたいというふうに考えているところでございます。その際に当たっては、官民協議会CツーCのプラットフォーマーを入れることによって実態を解明していただきたいというふうに考えているところです。  次でございますが、五ページ目の三条関係、努力義務について意見を申し上げたいと思います。三ポツ目を御覧いただければと思います。  非常に細かい議論で大変恐縮なんですが、三条第二項には、プラットフォーム事業者が講じた措置については開示するものとするというふうに書いているんですが、この開示するものとするの解釈について意見を申し上げたいというふうに思っております。  三ページ目の消費者庁法案の概要資料によりますと、開示について努力義務という言葉がありますので、努力義務のように考えているのかなというふうに思うんですが、本当にそう読むべきかというところの問題提起でございます。  添付資料として資料の二の一、二の二というものを付けておりますが、これは法制執務に関する書籍の抜粋でございまして、二の一につきましては内閣法制局の元長官が書いた本でございます。ここによりますと、するものとするというのは多義的であるというふうに言われておりまして、多くはですが、しなければならないと、何々をしなければならないという法的義務の表現を弱めたものであって、法的義務を定めたものであるといった説明がされています。  一方で、先ほど多義的と申し上げたとおり、あくまで原理原則を定めたという読み方もあるというところでございますので、この点についての解釈は明らかにすべきではないかというふうに思います。  私個人意見ということで申し上げたいわけですが、私個人としては、第一項の措置については、講ずるかどうかは努力義務、第二項については、講じた措置については開示しなければならないという法的義務を定めたものであるというふうに整理すべきではないかというふうに思っております。  なぜかと申し上げますと、開示の措置につきましては、これは、デジタルプラットフォーマーが消費者保護のためにどのような取組を行っているのかということを開示することによって、消費者デジタルプラットフォーマーを選択する情報提供するという趣旨でございますので、その趣旨を貫徹するという意味から、又は条文上もそのように読めるのであれば、法的義務であるというふうに整理できないかというふうに考えている次第でございます。  さらに申し上げますと、若干厳しいことを申し上げるわけですが、第二項の内閣府令で定める事項というものについてですね、第一項で講じた措置を講じない場合には開示するものとするというようなことをもし内閣府令で定める事項で定めるのであれば、講じた措置について開示しないということになってしまいますので、デジタルプラットフォーマーとしては一生懸命一般消費者保護する措置を講ずるのではないかということで、プラットフォーマーに消費者保護のインセンティブを与えるという観点からもですね、するものとする、開示するものとするということについては法律上の義務であるというふうに判断するのが相当ではないかというふうに考えております。  この点、参考になるものといたしまして、完全に一致するわけではないんですが、コーポレートガバナンス・コードというものがございまして、これは、コンプライ・オア・エクスプレーンということで、遵守せよ、しないのであれば遵守しない理由を説明せよという考えが取られているところでございます。こういった考えが参考になるのではないかというふうに考えております。  次に、六ページ目の停止等に係る要請、四条関係でございますが、ちょっといろいろ申し上げたいことがあるんですが、時間との関係で一点だけ申し上げたいと思います。  七ページ目、あっ、済みません、六ページ目に、要請の要件として第一項の、その安全性に係る不当表示があったことというのに加えて、第二号といたしまして、販売業者がその表示を是正することを期待できないことというところが挙げられているところでございます。しかしながら、この第二号というところが本当に必要なのかという点については、やや疑問があるところでございます。  といいますのは、もちろん一義的には販売業者が特商法の適用を受けるところであって、デジタルプラットフォーマーについては補完的な地位でしかないわけでございますから、このような第二号の補充要件を設けるということについては理解できるところでございます。しかしながら、安全性に欠ける表示が行われているのであれば、いち早く消費者被害を防止するという観点からは要請をすべきなのではないかというふうに考えている次第です。  したがいまして、第一号の要件を満たすのであれば、基本的には第二号も満たすというような形で事実上運用していただきたいというふうに思っております。  参考となる制度としては、資料に付けておりますが、薬機法の七十二条の五の第二項というものがありまして、これはその薬機法の、薬機法に違反する広告がある場合には厚労大臣はその広告の停止を要請することができるという規定でございますが、ここにはプラットフォーマー新法のような補充性の要件、第二号の要件はないところでございます。それは何でないかというと、それは安全性に、消費者の安全性に関わることだからというふうに理解しているところでございます。  七ページ目の三ポツ目、④と書いてあるところについて申し上げますが、これも若干厳しいことを申し上げるつもりなのですが、もしデジタルプラットフォーマーが要請に従わない場合であって、かつ一般消費者が要請に係る商品を購入して損害が生じたときには、デジタルプラットフォーマーについてはその損害賠償責任を負うべきではないかというふうに考えております。  参考資料として、チュッパチャプス事件というものを添付しているところでございますが、これはどういう事件かというと、楽天に出店するたな子が商標権侵害をした表示をした、チュッパチャプスの商標権侵害をした表示をしたということで、チュッパチャプスがプラットフォーマーである楽天に対して商標権侵害を通知したと、かつ損害賠償請求をしたというものでございます。楽天においてはこれ速やかにその表示を削除したということで、楽天自体は損害賠償責任を負わなかったというところでございまして、プラットフォーマーにおいてはこのような楽天のような対応をすべきであるというふうに思っている次第でございます。  こういった対応を促進する観点から、要請に従わない場合についてであって、かつ一般消費者に損害が発生した場合については損害賠償責任を負う場合があるという解釈を示すことが消費者保護という観点からよいのではないかというふうに考えている次第でございます。  最後に、要請に従ったのであれば免責されるべきというところについても申し上げたいというふうに思います。  次に、八ページ目でございますが、これは第五条の開示請求関係でございます。  これも、開示した場合については免責されるという規定があるわけですが、その点について意見を申し上げたいと思います。  まず、第一項における開示対象となる自己の債権でございますが、その債権については、債務不履行に基づく損害賠償請求権だけでなく、不法行為やPL法に基づく損害賠償債権も含まれるものと解されます。そうしますと、内閣府令で定める額を超えるものという要件があるんですが、その内閣府令で定める額の判断対象に含まれる損害といたしましては、通常損害、売買金額のような通常損害だけでなく、逸失利益や精神的損害も含まれるのではないかというふうに考えております。  しかしながら、精神的損害につきましては、これは裁判実務上おおむねの基準はもちろんあるんですが、最終的には裁判官の裁量で決せられるところでございます。したがって、プラットフォーマーとしては内閣府令に定める額を超えているというふうに判断したんだけれども、結果として、裁判になったら精神的損害が非常に低い額しか認められなかったということで、結果的に府令に定める額を下回ってしまったのに開示してしまったという場合があり得ると思います。こういった場合についても、内閣府令に定める額の判断が不合理でない、著しく不合理でないということであるのであればプラットフォーマーは免責するというような解釈指針を示していただきたいと思います。  なぜここまで申し上げるかと申しますと、その内閣府令で定める額の判断が難しい、また、販売業者等該当性の判断が難しいということになってしまいますと、プラットフォーマーとしては、任意の交渉で開示するということを非常にちゅうちょするわけでございます。その場合どうするかというと、もう全て裁判所の判断に委ねるということになるわけでございますが、そうしますと、裁判費用等も掛かるので消費者利益にならないというふうに思っているわけでございますので、プラットフォーマーが安心して開示できるように、また、開示するという状況というのは、販売業者がこれ特商法の表示義務を遵守していないという状況でございますので、そういったことも踏まえて開示しやすい環境整備していただけると大変有り難く思っている次第です。  次でございますが、飛びまして十ページ目でございます。  先ほど来、経団連さんから、また拝師参考人からも指摘があるところでございますが、不正レビュー問題について申し上げたいと思います。  私としては、いろいろ課題があるところでございますので、まずは今できることを徹底してやるのはどうかということを申し上げております。  ステルスマーケティング、不正レビューというものにつきましては、基本的には二つ類型がありまして、一つは成り済まし型、自分で表示しているのに第三者がそうであるという、第三者が表示しているかのように装うというものですね。二つ目が利益提供秘匿型、つまり金を払ってレビューしてもらっているのにその関係を開示していないというものがあるわけでございます。対応している法律としては景表法と不正競争防止法というものがあるわけですが、景表法に関しては、消費者庁がこれ非常に頑張っているところでございます。  まず、成り済まし型については、真ん中のところにARSとかリュウセンとか書いていますが、成り済まし型については執行例があります。また、利益提供秘匿型につきましては、真ん中のところに機能性表示食品事後チェック指針というのがありますけれども、これ、こちらに考え方を示しておりますので、今後執行が期待されるところでございます。  しかしながら、ステマの最も根本的な問題というのは、その利害関係がある、金を払っているという関係を開示しないところにあるわけでございます。ここの点、日弁連はステルスマーケティングについての意見書を出しているところでございまして、景表法の五条三号というものがあるんですが、そこの指定告示に、もしレビューをお願いしたときにその具体的な利害関係があるのであれば、それを開示しないのであれば不当表示になるという指定告示を定めるべきというような意見書を出しております。指定告示はこれは法改正不要でございますので、是非前向きに検討していただきたいと思っております。  次、不正競争防止法でございますが、誤認惹起行為というものがあるわけでございますけれども、誤認惹起行為というのはまあ不当表示のようなものでございます。で、不正の目的があって誤認惹起をするときにはこれは刑罰の対象となるところでございまして、有名な例としてはミートホープ事件等がございます。  実務上その不正レビューを指南するコンサルティング等がいるというふうにお伺いしているところでございますが、こういった方々に対しては、その誤認惹起行為を不正な目的で、かつ共同正犯ということで立件可能ではないかというふうに思っておりますので、是非前向きに考えていただければと考えております。  次でございますが、十一ページ目、大変駆け足で恐縮でございます。  パーソナライズドプライシングというものも、これは積み残された課題としてあるわけでございます。パーソナライズドプライシングというものは、これ、個人データを活用するなどして個人ごとに異なる価格を提示するというものでございます。  経済学上様々な議論があるわけなんですが、飛びまして十三ページ目ですね、規制すべきかどうかという点については、規制すべき場合もあるんだろうというふうに考えております。例えば、弱者に対してパーソナライズドプライシングが行われる場合ですとか、人種等のセンシティブ情報に付け込む、センシティブ情報利用する場合ですとか、弱い状況に付け込むというような場合があり得るんじゃないかというふうに思います。  規制のアプローチということで、十四ページ目に様々な手法を書いているところでございますが、消費者保護規制という意味では、情報提供をする、透明性を高めるということが重要ではないかというふうに思っております。その手法として様々なことは書いておりますが、消契法の三条の説明義務とか、景表法の五条三号の指定告示で書くとかというような方法があるんじゃないかということを申し上げたいと思っておりますが、いずれにせよ、実態が余り分かっていないので、実態の調査が重要だと思っております。  最後でございますが、十五ページ目でございます。  拝師参考人からも御指摘があったところでございますが、十分な予算と機構定員をお願いできればというふうに思っているところでございます。  本法案だけでも、指針の策定、要請、官民協議会、申出対応と様々な業務があるわけでございますし、また、モニタリングや政策の立案、海外当局等の情報交換があるわけでございます。なので、課長補佐、係長、係員の一ラインでは当然およそ無理でございますので、少なくとも課は無理でも室ぐらいはあるとよいのではないかというふうに思っております。  大変駆け足で恐縮でございましたが、私からの意見陳述は以上でございます。  御清聴ありがとうございました。
  9. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 田村まみ

    ○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみと申します。今日はよろしくお願いいたします。  今日は、お忙しい中、そして緊急事態宣言が発令されるかどうかというようなこのような状況の中、リアルでのこのような会議、多分お三方には相当驚きの場面だというふうに思われるかというふうに思いますけれども、法律の中での私たちのこのルールに従って、このような形での参考人の聴取になりましたことを御容赦いただきまして、御質問させていただきたいというふうに思います。  さて、私自身の少し経験をお話しさせていただきますと、私は、いわゆるリアル店舗、実際の小売業の現場で働いておりましたので、今回のこの取引デジタルプラットフォーム利用する消費者利益保護に関する法律案を読んで一番感じたのは、いわゆるリアルなショッピングモールやリアルな商業施設の中でのその管理者責任とか、法律上は規定されていないけれども、消費者がその場でどのようなものを、その実際に購入した店舗ではなく、そのモールや商業施設を管理している人たちに求めるかということとのギャップに一番、何でしょうね、関心があるというか、そこが一番大きなポイントになるなというふうに考えて見ておりました。  もちろん、最初に正木様がおっしゃっていただいたとおり、このデジタルの社会が進んでいく中で、全てが規制されていてこの分野が発展しない、阻害になるような法律は、法律になるのは私も望んでおりませんけれども、消費者へどのように資するかというところで、一点、正木様に質問させていただきたいというふうに思いますが。  一番は、販売業者のその身元とか所在地だったり、要は何者かということをデジタルプラットフォーマーがどれだけ把握をしなければいけないかという認識、それが、先ほど拝師参考人からも話がありましたけれども、そこの定義だったり責任の所在が曖昧ということもありますので、そこが、今回業界団体ができたということもありまして、その辺りの認識をデジタルプラットフォーム事業者がどのように考えているか、そこをお伺いしたいというふうに思います。
  11. 正木義久

    参考人正木義久君) 田村先生、御質問ありがとうございます。  まさにそこの部分を非常にこの検討会のところで我々も深く議論したというか、非常に困りながらやっていました。  先ほど陳述の中でも申し上げたんですけれども、販売事業者、いろんな方がいらっしゃるんですね。海外の方もいらっしゃる。それから、さっき隠れBというような話もありましたけど、いろんなタイプの方がいらっしゃる。  で、本人確認の手段というのがもし決まっていれば恐らく割と簡単で、この方法で確認しなさいということになっていればいいということなんで、私なんかも検討会の中では、例えば少なくとも日本国内の事業者であれば法人番号と商号というのは明らかになっているのでそれで確認するというのはどうですかというようなことを申し上げたんですけれども、何らかのやはり公的インフラ等を整備していただけると非常にこの確認の仕方としてはいいのかなと。  ただ、いずれにせよ、やはり個人ですとかいろんなものが出てきますと、偽造の証明書などであっても判断が付かないと、それでの確認方法が不的確だというふうに言われてもなかなか難しいというところがありますので、どういう手段でなら確認したらいいとか、あるいは、どういうふうにして確認したらいいよということを今回の官民協議会の中でいろいろ話し合って、いい知恵を出していただいてというのがいいんじゃないかなというふうに思っております。(発言する者あり)
  12. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 田村まみ君。
  13. 田村まみ

    ○田村まみ君 あっ、ごめんなさい。  ありがとうございます。  やはりそこを一つルールとして決めることでこの法律がもう一歩前に進むんではないかなというふうに考えております。この法律内で決めることなのか、経産省含めて、その事業者をどのように規定するかということは恐らく今後の課題になっていくのかなというふうに私も思っておりますので、引き続きまた御意見等々御教示いただければというふうに思います。  二つ目に、まず染谷参考人に御質問したいというふうに思います。  事前に配付いただいた資料でも私確認させていただいて、私も疑問に思っていたんですが、法案の四条のところです。  この四条のところの内容なんですけれども、これまでも法律がない中で、消費者庁も様々な消費者からの訴えで対応してきた中で、今回は今までやってきたことの法的根拠ができたのではないかというような指摘で、私は正直、法律がなくても省庁がある中での努力でできることを書いただけで、何かこの規定することで前進をしたのかというのが素朴な疑問だったんですよね。  なので、是非、この点についての解釈、進んだ部分や、もう少しこのようなところを規定しなければ、やはり今までの努力して何とか事案を解決できたり、ここまでしか解決できなかったというところと変わらないというようなところ、この四条の効果ですね、その点についてもう少し詳しく教えていただければと思います。
  14. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 田村先生、貴重な御質問をいただきまして、誠にありがとうございます。  おっしゃるとおり、私が事務所のサイトに載せた論考のことを今おっしゃっていただいたんじゃないかというふうに思うわけでございますが、今回、要請だというところで、行政処分ではないというところなので、従うかどうかは基本的には任意であるというところでございます。  じゃ、今までと何が違うのかというところでございますが、今まででもその安全性を欠く商品につきましては、例えばその消費者安全法等に基づいて公表等が行われ、それによって商品を落としてくださいというふうに言われることもありますし、事実上、危険な商品については事実上、省庁の方から御連絡があって商品を落とすということが行われていたというところでございます。  これを後押しするという意味があるのに加えて、あと更に申し上げますと、プラットフォーマーというのは、これ、消費者に対して商品を表示する場を与えるというのに加えて、販売事業者に対しても出店する場というものを与えているわけでございます。言わば、その出品している機会を奪うということになりますので、この点については、プラットフォーマー新法というところでは第四条の三項というところで、要請に応じてとった措置については賠償の責任を負わないという法的効果を具体的に付与しているというところでございますので、この点については前進しているのではないかというふうに思いますし、かつ、内々の御連絡で落とすのではなくて、第二項に基づいてこれ公表されるというところでございますので、この意味でも非常にプラットフォーマーとしては落としやすくなったのではないかという意味で、前進はあるのではないかというふうに思っております。  他方で、委員御懸念のとおり、あくまで要請ということでございますので、衆議院の方でも板倉委員から極悪層というようなことが言われておりましたけれども、極悪層の方が要請に従わないということがあり得ると思いますので、今後の施行状況を見まして、要請が効かないというような場合については行政処分を入れるということについても検討すべき事項なのかなというふうには考えている次第でございます。
  15. 田村まみ

    ○田村まみ君 ありがとうございます。  要請というふうに今回の提案はなっておりますけれども、私もポイントは二項のあの公表というところだというふうに思います。前段がまずそもそも要請することができるということで、要請するかどうかも分からないんですが、要請しなくても公表というところをもう一段先に消費者庁としては対応としてやっていただきたいというふうに望むところですし、先ほど拝師参考人からありましたけれども、そのような事業者をプラットフォーマー同士で共有するみたいなことがあれば、公表まで行かなくとも消費者保護に資するんではないかというようなことは今お話を聞いて感じるところがありましたので、また質疑の方で問うていきたいと思います。  続きまして、拝師参考人に伺いたいと思います。  以前、公益通報者保護法のときにも大変様々な御示唆をいただきました。そのときも、やはり消費者庁がどのような体制でこの法律、それを制定するところの法律を見守っていくかというところが相当議論になったというふうに私自身思いますし、それが実は法律の中身にも影響したんではないかと感じております。  今回も、三条の努力義務になったというところですね、このことについては、様々な文節によると、大小あるプラットフォーマーを配慮してとか、初めてなことなのでとか、様々なことを御意見書かれたんですけど、書かれているのを読みましたけれども、やはり私は、消費者庁の体制がなかなか整わないというところで実は消費者庁自体も踏み切れないというところがあったのではないかというふうに考えておるんですけれども、三条の努力義務になったところの評価というよりかは、そのこととその体制整備について、御見解がありましたら是非お述べいただきたいと思います。
  16. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) 御質問ありがとうございます。  三条が努力義務になったことそのものについては、我々としてもやはり不十分かなと、きちんと裏付けのある義務付けをしてほしかったなというところが本音でございます。  それと消費者庁の体制が実際に関連があるのかないのかというのは、ちょっと経過を私は存じ上げておりませんけれども、やはり、ようやく消費者庁がこのデジタルプラットフォームという非常に大きな問題に取り組み始めたことそのものは評価はしておるんですが、やはり前提としての立法事実の収集、分析、それをする体制そのものが、じゃ、現時点で整った上でこういう立法に向けた行政としての対応ができているかというと、やはりもっと人的な体制を整えてやっていただかないとなかなか先に進むのも難しいかなというふうに思っておりますので、次の見直しのときにはそこが足かせにならないように、しかも、きちんとした、先ほど申し上げたような、いろんな動きが速い世界ですので、その速い動きを広くきちんと正確に把握をして、消費者保護の観点で提言ができるような体制というのは是非整えていただきたいなというふうに思っております。
  17. 田村まみ

    ○田村まみ君 なかなかこの場では言いづらいことを、済みません、求めてしまいまして申し訳なかったですけれども。  私自身、やはり消費者保護を考えたときの体制の脆弱さというところは常々感じておりますので、ここも引き続き、先ほど染谷参考人からもありましたので、具体的なところをまた求めていきたいというふうに思います。  最後に、あと二分だけ時間が、七分までなので、お三方にお伺いしたいんですけれども。  一つ、この義務化が難しかった中で、私は、プラットフォーム取引透明化法、経産省の方の法律では、やはり大きな企業はというふうなことで、やっぱり大企業は先んじて、で、中小企業は後にというような法律の決め方をしていますし、様々な法律で、規制の中ではそういう決め方することが多い中で、今回それも入らなかったことは非常に残念に思っているんですけれども、この先、この官民協議会においてここがもう少し正常化されていくことを望んでおります。  で、御質問です。官民協議会に今メンバーとして、先ほど言ったリアル店舗で商業モール等々を営業しているような事業者ということを私は入れるべきではないかというふうに考えているんですけれども、それについて、もう本当一言ずつ、ありなしか、何か御感想があればお三方に申し述べていただきたいと思います。お願いいたします。
  18. 正木義久

    参考人正木義久君) 全くおっしゃるとおりで、リアル店舗でやられている方でこれからオンラインやってみようかというような方が入られるというのは良いことじゃないかと思います。
  19. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) 私も、直接は関係しない業者なのかもしれませんけれども、やはり従来の取引ルール規制等も承知した上でいろんな意見いただけると思いますので、参加されてはいいのではないかなというふうに思います。
  20. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 私自身も同様でございまして、六条二項には、これは必要があるときには、学識経験者、有する者その他の官民協議会が必要があると認める者を構成員として加えることができるというふうになっているところでございますので、リアル店舗を入れることによってリアルとオンラインの違いが何かというところがより明確に明らかになるのかなというふうに思いますので、そういった観点からも、リアルの店舗が入るということはあり得るのではないかというふうに思っている次第でございます。(発言する者あり)
  21. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 田村君。
  22. 田村まみ

    ○田村まみ君 あっ、ごめんなさい。  今後の参入者、そして今後の消費者保護に資するという意味でいけば、私もこの今回の質疑の中で求めていきたいと思います。  今日はありがとうございました。終わります。
  23. 藤末健三

    ○藤末健三君 自由民主党・国民の声の藤末健三でございます。  本日は、三人の参考人皆様、本当に貴重な御意見をありがとうございました。  私、まず初めに、拝師参考人及び染谷参考人、お二人に伺いたいと思うんですが、具体的にフリーランスや個人事業主の保護ということをお話しさせていただきたいと思います。  実は、今ネット上で話題になっている話がございまして、あるフリーランス、個人事業主の方が、事業主の方が自分で漫画みたいなものを描いておられる、いわゆる同人誌というのを描かれておりまして、それをネットで販売されていると。ところが、その販売されている同人誌が、実は第三者がコピーをしてそれを取引デジタルプラットフォームに載せて販売をしたと。簡単に言うと、海賊版の販売をされてしまったという状況になっています。  この著者がその取引デジタルプラットフォーマーに対してクレームを付けました。ところが、クレームを付けて何があったかと申しますと、時間が掛かって配信停止措置が講じられたということで、止まりはしたものの、例えば、それまでにどれだけ販売額が上がったかとか、あと収益がどれだけ上がったかとかいうのも分からないままであるし、また、それを上げた、その海賊版を上げた人の、何というか身元も分からないという状況のまま、この収益は結局取られてしまって終わったというような状況でございまして、基本的にその補償がないような状況であります。  恐らく大きな企業であれば裁判とか司法的な手続で何らかの対応ができるとは思うんですけれど、やはり個人とかフリーランスの方々が今増えておりまして、そういう方々が活動する中で、なかなか司法的な手続に入れないという状況になります。  このように、著作権者に無断で販売されたものを、違法な商品を販売した場合のその取引デジタルプラットフォームによる例えば消費者保護や権利者保護、特にフリーランスや個人事業主といった、何というか立場が弱い方々保護について、参考人のお二人、どのようにお考えかということを教えていただければと思います。お願いいたします。
  24. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) 御質問ありがとうございます。  非常に難しい問題で、ほかの分野でも、消費者事業者の間にいらっしゃるような方々の扱いが非常にグレーで、消費者ほどには保護されないと、事業者に期待されているような御自身での取組もなかなかできないというケースというのはいろんな分野であろうかと思いますけれども、やはり、今おっしゃられたようなことについては、一つは、御自身での民事的な解決が難しいという類型的なものについては、事前に行政がやはり規制を掛けてそういうことがないように取り締まるというのが一つと。あとは、やはり取引デジタルプラットフォームの方で、それはやはり情報開示等の協力をすべきだろうというふうに思います。  端的にこの法律案の中に盛り込むべき問題かどうかというのは分かりませんけれども、やはり消費者に準ずるような立場の、脆弱な立場にあるような方については一定の法的な配慮もすべきだろうというふうに思います。
  25. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 非常に難しい質問だと思っておりまして、本法案に引き付けて考えるというところであればということでございますが、配信停止措置というところでいいますと、四条一項の一号に、安全性の判断に資する事項その他役務の内容に関する重要事項として内閣府令で定めるものというものがございますので、こういったところに知的財産権の侵害というものも含めるのかどうかというところは一個検討課題かなというふうに思っておりますし、今おっしゃっていただいたような著作権法だけではなく、その商標権侵害というブランド侵害というものも入るのかどうかということは検討課題で、今後議論すべき事項だというふうに思っている次第でございます。  また、損害賠償、損害が幾ら発生したか、収益が幾らかすめ取られたか分からないという点についてもですが、今回のその第五条の開示請求というところで、自己の債権を行使するために販売業者等情報の開示を請求することができるというところでございます。  この販売業者等情報につきましては、これも例示されているもので申し上げますと、氏名、名称、住所というふうに書いているわけなんですが、ここにその損害額が含まれるのかどうかというところが問題なのかなというふうに思います。  ただ一方で、結局、開示請求するに当たってはその債権額が分からないといけませんので、その損害自体の損害情報を、開示請求する以前にそもそも損害がおおむね分かっていないといけないという意味でも非常にハードルが難しい、ハードルがある請求なのかなというふうに思っていますので、行政上の措置というものがやはり有効なのかなというふうに考えている次第でございます。
  26. 藤末健三

    ○藤末健三君 済みません、追加的にちょっとお聞きしたいんですが、染谷参考人が示されたこのガイドラインとかあるじゃないですか、インターネットのオークションのやつ。  私自身が思いますのは、このインターネットオークションガイドライン、これは大分古くなりますけれど、この法律に基づいて何らかのガイドラインを作るという必要があるのではないかということをまたいろいろ今回議論していこうと思うんですけど、その点についてお二人のお考えを是非お聞かせいただければと思います。
  27. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) おっしゃるとおりでございまして、冒頭申し上げたとおり、そのフリマアプリ事業者等については、このインターネットオークションの販売業者等参考にして検討して、隠れB等を検討しているわけでございますが、ただ、いささか内容が古いというものもありますし、一方で、先ほど申し上げたとおり、裁判所が最終的には販売業者かどうかというところは判断しますので、判断基準を明確化していただくということがやはり健全な消費者保護又はそのプラットフォームの健全な運営には必要なのではないかというふうに思っている次第でございます。
  28. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、我々の方も国会の方で、そのフリーランス、個人事業主どんどん今増えておられますので、そういう方々、そういう方を保護するという観点を是非訴えていきたいと思います。  続きまして、正木参考人にお聞きしたいと思います。  今の取引デジタルプラットフォーム、ほとんど多くの企業が、外国企業が多いと思うんですよ。私自身、外国企業が、否定するわけではないんですけれど、やはりその情報の安心性とかいろいろなものを考えたときに、やはり国内企業によるその取引デジタルプラットフォームの成長が必要だと思うんですけれど、そういう国内産業の育成という観点からどのようなことが必要かということを、もしよろしければ教えていただきたいと思います。
  29. 正木義久

    参考人正木義久君) まさにおっしゃるとおり、国内のプラットフォームを育成していくということがとても大事になってくると思います。もっとも、GAFAと言われるところに関しても、これらについては、いずれも日本に法人を置いて、経団連の会員にもなっていただいて、だんだんと日本になじむようにしようというふうにやっていらっしゃいますけれども、こういったGAFAに負けないようにということで、日本のプラットフォーマーの方々も合従連衡をたくさんされて育ってきていると思います。  特に、やはり日本の方々の心配になっているところに手が届くサービスをやっていただければ恐らく日本の消費者に支持されるんじゃないかということで、是非そういうサービスを展開していただきたいなと思います。
  30. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、私もGAFAの方々、政府にいたときなんかにもお話しさせていただいたんですが、やっぱりGAFAの方々って合資会社の形が多くて、何か意思決定をするときに本社に必ず確認しなきゃいけないというパターンが非常に多い状況でございまして、是非やはり日本で意思決定ができるような企業であっていただきたいなというのが、私はそう思います。これはちょっと意見だけで申し上げておりまして。  かつ、もう一つございますのは、正木委員にお聞きしたいのは、今どちらかというとコマース的な議論のこのプラットフォームでございますけれど、今、例えば映画にしても、いろんな映像コンテンツ、また漫画といった、先ほど申し上げたような漫画みたいなコンテンツ、そういうもの、またゲームもそうですけれど、ゲームとかデジタル化された著作権を中心とするコンテンツが今どんどんどんどんもう電子で流通していると。  その中で、デジタルプラットフォーム、どんどんまた重要になってくると思うんですが、ここも外国の企業が席巻してしまえば、恐らく将来ニュースなんかも海外デジタルプラットフォームを経由して見るような状況になったときに、その選択権とかが果たして我々どうなるかというのも大きな問題だと思うんですけれども、その将来のデジタル著作権物とかコンテンツに関する取引デジタルプラットフォームの在り方みたいなことについて、何か御意見あれば教えていただけないでしょうか。
  31. 正木義久

    参考人正木義久君) まずは、日本のコンテンツを日本できちっと作っていけるというところをまず頑張らなければいけなくて、今、日本の中でだんだん作っていけなくなっているところがまず問題だと思っております。  その上で、日本のコンテンツですと、当然、日本のプラットフォーマーから流そうというのがまず出てくると思いますので、そういう意味では、コンテンツを作る方々とそれからコンテンツを配信する事業者の方、そこの連携をうまくするということと、ちゃんとコンテンツの作り手の人に収益が回っていくというような仕組みをしっかりつくるということが重要だと思います。
  32. 藤末健三

    ○藤末健三君 先ほど申し上げましたように、今、具体名を挙げますと、「鬼滅の刃」というのが、あの映画がもう四百億突破ということでございますけど、あれ、恐らく世界で同じぐらい売上げがあるんではないかと言われていまして、アニプレックスというソニーの一〇〇%子会社が展開しているということで、恐らくコンテンツ産業も変わってくると思うんですよ、これから。  例えば、アニメは二兆円の売上げのうち一兆円が海外。あと、コミックも何と、昨年度で、昨年ですか、五千億円なんですよ、売上げが、漫画の売上げが。それぐらい強力な産業になりつつありますので、是非経団連中心にも議論をしていただき、かつ、やはり国産、国内の企業の育成という観点も含めたこういう消費者保護議論もできればと思いますので、その意見だけを申し上げまして、私の質問を終わらさせていただきます。  本日は、三人の参考人皆様、ありがとうございました。
  33. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 立憲・社民の宮沢由佳です。  三人の参考人方々には、お忙しい中お越しいただきまして、ありがとうございます。大変勉強になりました。  その中で、私が大変懸念していますことが、成年年齢の引下げが一年を、一年前を切りました。大変こういったデジタルプラットフォーム利用者にも若年者が多いと思いますけれども、先ほどクレジットカードの話もありましたけれども、この今回の法案とその成年年齢引下げの懸念点について、三人の参考人から御意見をいただきたいと思います。  正木さんからよろしくお願いします。
  34. 正木義久

    参考人正木義久君) 成年年齢の引下げとの関係ということでございますが、確かに成年年齢の引下げによって、何といいますか、取引そのものに慣れていない方が参入してきて、例えば先ほどのオンラインゲームなどでついつい課金が増えてしまうという問題について懸念はされております。  ただ、私、むしろ、自分の息子や何かと話をしていても思うんですが、若い世代の方は比較的メディアリテラシーを学校などでかなり一生懸命勉強していると。むしろ、お父さん、お母さんの方が分かってないんじゃないのとよく言われることがあります。  なので、やはりシニア層ですね、ここの部分について注意をしなければいけない。これは消費者法全体の問題ですけれども、そこがむしろ忘れてはいけないところかなというふうに思っております。
  35. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) 大変重要な御指摘、御質問ありがとうございます。  特にこのデジプラ、デジタル市場において若い人が非常に積極的に参加をされていると。それ自体はいいことだというふうに私も思うわけですけれども、一方で、詐欺まがいの商法、情報商材とかマルチとか、そういうものに掛かって、心の傷を含めて傷ついていくというような若者も現にいらっしゃるでしょうし、それから、成年年齢引下げに伴ってそれがまた飛躍的に増えるのではないかなというふうに懸念をしているところです。  ですから、一つは、その成年年齢引下げで対象になるような世代を中心に、消費者教育ももちろん大事なんですけれども、その人たちが何かあったときに気軽に相談できるような相談体制、なかなか消費生活センターに電話して予約してというのが慣れていない世代かなというふうに思いますので、SNS等を通じてまずはそういうところに気軽に相談できるような形をつくっていけるといいのかなというふうに思っております。  あとは、やはり懸念されるマルチ等の具体的な商法についてはより厳しい規制を掛けていかないとまずいのではないかなというふうに思っています。今はズームでのセミナーのようなものがあって、そこに誘われてそのままずるずると契約に至ってしまうようなこともあるやに聞いておりますので、やはりそういう実態を踏まえた対応というのをとにかく早くやっていただきたいというふうに思います。
  36. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 両参考人の御意見のとおりかなと思っておりまして、未成年の方というのは非常にメディアリテラシーが高い方が多い一方で、つまり、反対の方としてデジタルデバイドというものがあるわけですが、若い方は非常にメディアに慣れているというふうに考えている次第でございます。  ただ一方で、メディアに、オンラインに慣れ過ぎているというところで、余りこう、場合によっては慎重さを欠くとか、又は知らない間に情報商材等を売っている立場にあったとかというような構造もあり得るのではないかというふうに考えている次第でございます。  こういったことから、十分な予算を割いて消費者教育又はメディアリテラシーの向上ということについては十分にやっていただきたいというふうに考えているところでございますし、また、消費者庁等もあの一八八というものがございますが、その窓口の周知啓発を日頃やっているかと思いますが、それを更に推し進めていただければというふうに考えている次第でございます。
  37. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございました。  先ほど拝師参考人から、イギリスクレジット会社連帯責任を持つと、だからどんどんカードが普及している、これすばらしい制度だなというふうに思いました。  この制度に対して、正木参考人染谷参考人の御意見を伺いたいと思います。
  38. 正木義久

    参考人正木義久君) ありがとうございます。  おっしゃるとおり、クレジット会社については加盟店の管理をしっかりしていると。ただ一方で、このコロナ禍でいろいろ、いろんな店舗がクレジットカードなりオンライン決済なりをどうして入れないんですかというと、やはり手数料の問題などが上がってきたと思います。  しっかりとした管理をするためにはしっかりとした手数料をいただくというのがやはり仕組みになってきまして、その分だけ、このオンライン市場というのは非常にハードルが低いものですけれども、だんだんとハードルが上がってくるということになります。どの程度の、イチバかシジョウかと先ほど申し上げましたけれども、ハードルの上げ方をする、その代わりきちんと管理すると、そのやはり壁の高さといいますか、ゲートの厳重さというか、そこを考えながら、良さを失わないようにしながら少し管理を高めていくということじゃないかと思います。
  39. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 御質問いただき、ありがとうございます。  加盟店という意味で申し上げれば、やはりイギリスの例は非常に参考になるなというふうに思いますし、また、そのプラットフォーマーの本人確認という意味で申し上げますと、デパートの例とかよく言われておりますが、デパートのそのテナントが何を売っているかということは当然デパートは知らないことがあるわけでございますが、一方で、デパートのたな子が誰であるかということは普通知らないということはあり得ないということでございますので、加盟店管理という意味では、今後いろいろ議論はあるとは思うんですけれども、本人確認等を進めるという方向で是非積極的に検討していただきたいなというふうには思っている次第でございます。
  40. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  それでは、拝師参考人に伺いたいんですけれども、このネットで買物をすることは本当に、若い方々、特に子育て中のお母さん、出かけられないのでネットで生活必需品も買うけれども、例えばチャイルドシートとかそれからベビーカーなんかを買う場合もあると思うんですけれども、こういった安全基準が本当はきちっとしているものだけれども、お古であるがゆえに少し壊れているもの、若しくは命の安全に関わるような、危険に関わるようなものが届いたとき、これは非常に心配になります。  こういった安全基準が元々はちゃんとあるんだけれども、CツーC個人で販売する場合にそれがちゃんと担保できないようなことを大変心配になるんですけれども、拝師参考人は何が必要だと、またどうしたらいいかと思われますか。
  41. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) 本当におっしゃるとおりだと思っていまして、今回の法案ではBツーCということで、事業者についてはそこの責任は負ってくれという形になっているわけですけれども、CツーC部分が外れていて、フリマ等で入手した場合に情報が漏れてくる可能性があるわけですね。  それについては私も非常に懸念しておりまして、それで、先ほど申し上げたように、取りあえずは任意協力は同様に求めていくべきだろうというふうに思っています。具体的には、Bの販売業者に対してそういう情報を流すときには、CツーCDPFの方にも御協力をいただいて、そういう商品流通されない、あるいは流通してしまった場合に買った側の消費者に対しても情報が行き渡るようなことをきちんと官民協議会議論して、それに従っていただくという必要があるかなというふうに思っています。
  42. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございます。  今回の法案消費者利益保護に関する法律案という名前が付いていますけれども、これ、消費者のためなのか、若しくは出店者のためなのか、業者のためなのか、綱引きのように思われますけれども、でも実際のところはどちらにも利益があるようにしっかりとした管理、しっかりとした信頼性を担保することで、利用者消費者も安心してレビューを見ながら、そのレビューが正しいという前提の下でお互いに盛り上げていくというのが本当は理想ではあるのかなと思いますけれども、やっぱりこの事業者の自主的な取組、これに大変期待するところであるんですけれども、この自主的な取組についてもう一度御意見を三人の参考人に伺いたいと思います。
  43. 正木義久

    参考人正木義久君) 事業者の自主的な取組、この法案のやはり議論の過程で、自主的規制というのは何だろうということを事業者さん同士で話し合って、オンラインマーケットプレイス協議会というのができました。まだ十社ですけれども、なるべく横並びで自分たちのやっている個人消費者の方を保護するための措置を比較できるようにということで開示などにも取り組んでいただいています。  是非この枠組みを広げて、いろんな方がそういう協議会に入って自ら開示をすると。こうやって、おてんとうさまの下でもう真っ当な商売をしているのがこの人だというのが分かるようになって、それが消費者に知られるようになれば、そこに入っていない人がアンダーグラウンドだということになるかと思いますので、是非こういう取組を広げていただきたいなと思っております。
  44. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) 今、経団連さんおっしゃったような形で自主的な取組が進んで、消費者保護にどんどん資するようになっていただければと思います。  他方で、やはり今の時点でもうかなりアンダーグラウンド的なDPFであるとか販売業者というのがあることもある程度把握はできているわけですから、本当であればやはりそこのところは、きちんとやっている事業者さんも行政処分含めた厳しい処分に賛同していただいて規制を掛けていくと。自分たちは当然そこには引っかからなくてアウトローだけが引っかかるというのが私は理想かなと思ってはおりますが、こういう形で官民協議会の場ができて、業界の方も新しく業界団体をつくって頑張ってやっていこうとおっしゃって、現に動き始められていることですので、まずはそれをきちんと見ていって、頑張っていただければなというふうに思っております。
  45. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 両参考人と全く同じでございまして、消費者保護取組というのは、これはある種、競争の手段でございまして、消費者保護が非常に充実していればするほどやはり消費者はそのサービスを使うという関係にあるというふうに考えております。  したがいまして、今後、官民協議会ができるわけですけれども、事業者創意工夫による消費者保護のアイデアというものを次々と出していただいて実施していただきたいというふうに思っておりますし、また、官民協議会でそういった重要な議論がされるということでございますから、官民協議会議論につきましては、なるべく透明性を持って、いろんな方が参照できるようにしていただきたいなというふうに考えている次第でございます。
  46. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 では最後に、拝師参考人染谷参考人に質問させていただきたいんですが、お二人とも御意見の中に、人的また財政的手当てが必要だというところを強調されていましたので、その点について詳しく教えていただきたいと思います。
  47. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) ありがとうございます。  人的な手当てについては、先ほど染谷参考人の方が、まあ、せめて室でもということでしたけれども、やはりここはきちんと管理していただいて、相当ボリュームが大きい世界ですのでトラブルもそれなりにあるという中で、きちんとそれが把握できるような体制を整えていただきたいというふうに思いますし、それから、この分野、非常に専門性の高い分野ですので、そういう人材がきちんと行政の担当部署の方に入ってくるように、あるいはそういう人材を育てられるような形での人的な体制整備というのも考えていただければなというふうに思っております。
  48. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 今、拝師参考人が申し上げたことに付け加えることはもうほぼないんですけれども、やはり、先ほど申し上げたとおり、非常にやることが多いですし、今回の法案というのは本当第一歩でございます。  非常に集積された課題があるわけでございますし、さらには海外の執行の話もあったかと思いますが、海外にもいろんな、それぞれの法域に応じた規制があるわけでございますので、海外の法令を調査する必要もあるでしょうし、情報交換もする必要があるわけでございます。  したがって、そういった観点から、相当の専門的な人材でないとなかなか務まらないと思いますし、相手方も、FTC、例えばアメリカであれば専門部署があるぐらいでございますので、そういったところとやり合うという関係も必要でございますので、そういった観点から、やはり十分な予算と機構、定員、少なくとも室は必要なのかなというふうに思っている次第でございます。
  49. 宮沢由佳

    ○宮沢由佳君 ありがとうございました。  質問終わります。     ─────────────
  50. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、加田裕之君が委員辞任され、その補欠として自見はなこ君が選任されました。     ─────────────
  51. 安江伸夫

    ○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。  今日は、三人の参考人皆様、お忙しい中、本当に貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。  早速ですが、質問させていただきたいというふうに思います。  まず、正木参考人にお伺いをしたいというふうに思います。  言うまでもなく、デジタルプラットフォーム、非常に社会的に大きな影響力を持つ存在となっております。本法案で対象になっております消費者保護していくという観点もそうですし、それ以外にも、やはり取引の適正性という問題、コロナ関係で話題になったことといえば、転売ヤーの問題などもございました。価格がねじ曲げられてしまう、あるいはマスク、消毒液、こういったものが市場から消滅してしまう。こういうようなあらゆる問題に対してデジタルプラットフォーム提供者の皆様には御対応いただかなければいけないというふうに思っております。  そこで、質問でございますが、今後、取引デジタルプラットフォーム提供者の皆様のこの社会的責任についてどのようにお受け止めなのか、端的で結構ですので、お答えいただければと思います。
  52. 正木義久

    参考人正木義久君) 裁判所のレベルでも既に、時宜に即した、ユーザーに対して相応の注意喚起をする義務というのがあるということになってございます。  先ほどマスクの転売の問題おっしゃっていただきました。ここをまさに我々、いろんな、特商法の方でも議論をしてきたわけなんですけれども、じゃ、一体幾らだったら高額転売なのかというのが結局分からなかったので転売そのものを止めてしまったというのがこの前の一回目の緊急事態宣言のときでございました。今度、官民協議会というのができますので、例えば、この時点で一枚百円を超えたらさすがにおかしいだろうとか、何かそういう基準がもしあれば安心して、それを超えたら転売させない、それ以下だったら転売してもいいというようなものになると、非常にプラットフォーマーとしてもやりやすくなるということでございます。  社会的責任というのは大きくなってきているというのはデジタルプラットフォーマー自身も自覚しているところですので、先ほどの自主的規制も含めてどんどんやっていきたいというふうに考えていると思います。
  53. 安江伸夫

    ○安江伸夫君 ありがとうございます。  続けて正木参考人にお伺いいたしますが、先ほどの冒頭の御説明の中で、三点にわたって本法案の評価をいただきました。そのうちの二点目で、まずは事業者を対象としたという点を挙げていただきました。一方で、CツーC取引についても、やはり規制必要性がつとに指摘されているところであります。  このCツーC、将来的なものも含めて今後どのように規制していく必要性があるか、そのお考えをお伺いできればと思います。
  54. 正木義久

    参考人正木義久君) 検討会の中でも、CツーCはもう実は夏の論点整理のところでもまだ何とか何かできないかということでやっていたところだったんですけれども、結局、個人に対してその特商法等のその行政法規違反、例えば店名の公表みたいな措置というのが個人に対してできないということと、民事上の救済、念頭に置いても、取引当事者のそのプライバシーの確保の部分ですね、ここがやはり難しいと。  ヒアリングの中で指摘されていたんですが、若い女性が好みそうな洋服等を購入した消費者が服が破れていたといって主張してきたといったときに、売主は学生街のワンルームのアパートだということでその住所知らせていいのかと。デジタルプラットフォーマーの方にこれを判断しろというのはなかなか難しいということでございまして、やはりそれは売手買手とも安心して活用できるような、場の提供者がちゅうちょなく消費者保護措置をとれるような、そういう仕組みをよく検討して、何か間をつなげると、匿名性を保持しながらできるということがあれば規制としてできるということだと思います。
  55. 安江伸夫

    ○安江伸夫君 ありがとうございます。  またそこで、もう一つ関連して正木参考人にお伺いいたしますが、今回の法案第五条に販売業者に係る情報開示請求権が定められているところであります。この点に関して、先ほども、やはり情報を開示する場合、個人情報等に係るような部分も場合によっては出てくる、この開示にやはりためらうことがあり得るではないかということが御指摘としてありました。  この点につきまして、例えば第四条の商品等の出品の停止につきましては免責規定が明示的に置かれているわけでありますが、他方で、この第五条には免責規定が明示的にはないと、解釈の余地があるということでありますが、その辺り、事業者皆様に与える影響があるか、お考えをお聞かせいただければと思います。
  56. 正木義久

    参考人正木義久君) まさに、その販売事業者の方は当然情報を出さなきゃいけないわけですけれども、そのデジタルプラットフォーマーの方がその情報を出していいのかというのの判断が今回デジタルプラットフォーマーの方に委ねられておりまして、適正手順というのも踏まなければいけないということになってございます。  ただ、その内容の確認の仕方というのがこれでいいのかと、本当にこれ出していいのかというのを何か相談するということができる方が本当は有り難い。少なくとも、官民協議会とでまずガイドラインのようなものを作って、これに準拠しているからこれは情報を出していいんだという、だんだんそういうルールができてくるといいなというふうに考えております。
  57. 安江伸夫

    ○安江伸夫君 ありがとうございました。  それでは、続いて拝師参考人にお伺いをしたいというふうに思います。  拝師参考人におかれましては、本当にいつも消費者の声を代弁していただいておることに改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。  先ほどの冒頭の発言の中で、一定の評価を本法案についていただくということと、今後の大きな課題ということで要望事項を何点かいただきました。  その上で、この法案に関しまして、とりわけ第三条ないし第五条のこのそれぞれの規定について運用上留意してほしい点あれば、何点かお伺いできればと思います。
  58. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) 運用上の留意点ということですが、先ほど申し上げたように、まだ、CツーCを含めてですね、そもそも対象から漏れている部分がありますので、これについては対象から漏れていても基本的には同じような協力をお願いしていくと、で、その反応を見ていくという形でお願いできればなというふうに思っております。  あとは、情報開示の点ですけれども、DPF側で判断がいろいろと難しいというのは分かりますが、やはりなるべく真実性、実態をきちんと把握していただくということは取引に入っていただく上で当然のことだろうというふうに思っていますので、府令を定めてそれをまた運用していくのだろうと思いますけれども、それについてはなるべく幅広く開示の対象を定めていただきたいですし、それから、経団連さんおっしゃっていたように、現場現場で若干判断に迷うようなことがあるかもしれませんので、少し広めに、バスケット条項的に運用できるような府令の定め方をしていただいて、実態に合わせた開示の積み重ねをしていただいて、それをまた規範化していくというようなことがお願いできればいいかなというふうに思います。  あと、対象になる金額で裾切りをするということですので、そこの金額が非常に重要になるかと思いますが、先ほどから話に出ていますように、かなりこのコロナ禍DPF取引利用が広がっております。一般の消費者の方がふだんの生活で使うようなものをスマホで簡単に入手できるということになっておりますので、その辺の実態を踏まえて、金額についてはそれなりに低廉な額に定めていただかないとちょっと関係ない世界の話になってしまいますので、そこはお願いしたいなというふうに思います。  以上です。
  59. 安江伸夫

    ○安江伸夫君 ありがとうございます。  いずれにしても、やはりこの今後の実態の把握、この運用状況というのはしっかり注視していかなければいけないというふうに感じました。  済みません、次は染谷参考人に続いてお伺いしていきたいというふうに思うんですが、染谷先生の方で、この三条の関係で、やはりこの具体的な指針についても言及をされておられたかなというふうに思います。すなわち、大企業あるいは新規参入問わず一律にこの規制を掛けていくということで、真に、余りこの指針のハードルを高くしてしまうと新規参入の壁になってしまうというような論考も拝見をいたしました。絶妙なバランスを図っていく必要があるというふうに記載があったかというふうに思いますけれども、この指針の在り方について、染谷参考人の方で御意見があれば是非お聞かせいただければと思います。
  60. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 御質問いただきましてありがとうございます。  指針については、やはり今回は全ての取引デジタルプラットフォーマーが対象であるというところでございます。すなわち、商品、サービスの通信販売はもとより、大企業、中小企業、売上げの多寡は問わないというところでございます。全てのプラットフォーマーに掛かるというものでございますので、何というんですかね、自主的取組という意味では、やはり事業者の、やっぱりそれはそれぞれのレベルがあるというふうに思っている次第でございます。  そういった中、中小企業のプラットフォーマーにもう極めて大企業デジタルプラットフォーマーと同等の消費者保護の施策をせよというふうに言ってもなかなか難しいところがあるのかなというふうに思っておりまして、今委員がおっしゃっていただきましたとおり、絶妙なバランスが必要なのではないかというふうにその論考では書いた次第でございます。  他方で、やはり今の世界では、やはりそのプラットフォームを経由して買物をしないということはなかなかないところでございますので、やはり消費者保護取組という意味では、消費者が安心して買物をするという意味では大変重要なところでもございますし、また、取引デジタルプラットフォーマーという意味でいうと、その出店者から基本的には手数料を取っているという関係もあるわけでございますから、消費者が安心して買物をできるように、具体的な内容はなかなか今ここでは申し上げることができないんですが、ワークするような内容にしていただきたいと思っておりますし、官民協議会でその点について協議していただきたいというふうに思っている次第でございます。
  61. 安江伸夫

    ○安江伸夫君 ありがとうございます。  続けて染谷参考人にお伺いしたいと思うんですが、またその三条の指針の関連で、今日のレジュメにも、ODRのような紛争解決のための措置も明示すべきだということで、私も全く同意する点であります。  このADRやこのODR、こうしたものをきちんと明示をしていくことの意義について、染谷参考人のお考えを改めてお伺いできればと思います。
  62. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) ありがとうございます。  このレジュメの趣旨といたしましては、三条第一項の柱書きに取引の適正化及び紛争解決の促進というふうに書いてあるわけですが、紛争解決そのものについての事項については一号、二号、三号には書いていないというところでございますので、指針の中には紛争解決に係る事項を記載していただければということで記載させていただいた次第でございます。  ここでODRについて言及させていただいているわけでございますが、やはりそのデジタルプラットフォーム利用した消費者取引というのは、一つ一つの金額は非常に低廉でございまして、なかなか、弁護士の方にお願いして裁判をするというのも非常に大きな負荷が掛かるところでございます。したがいまして、ODRというような形で低廉な金額で紛争解決するということについても一つの方法であるというふうには考えている次第でございます。  他方で、実務上ワークしているODRはどういうものかというふうに言われると、人材面ですとか又はODRを運営する財政面というところでは様々な課題があるところでございますので、どういった紛争解決が適切なのかということにつきましては官民協議会で引き続き議論をしていただきたいというふうに考えている次第でございます。
  63. 安江伸夫

    ○安江伸夫君 ありがとうございます。  最後にもう一点、染谷参考人にお伺いしたいと思いますが、今日のレジュメにも書いていただいておりますが、四条の関係で、表示要件と不表示の要件の関係ということを御指摘いただき、衆議院の方でも議論があった点であるというふうに承知をしております。時間の都合で先ほどお話をされなかったかというふうに思いますけれども、この点の問題意識を端的に御紹介いただければと思います。
  64. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) ありがとうございます。  基本的に、衆議院の方で出ました大臣の答弁につきましては、そのメリットの事項を強調することによってデメリットを表示しないということによってデメリット事項存在しないかのような場合については表示に該当するという解釈を示したものでございます。  これにつきましては、景品表示法の解釈と全く同じでございますので、表示要件を要請の要件にするのであればこれは賛成でございます。しかしながら、今申し上げたとおり非常に認定が迂遠でございまして、メリット事項を強調することによって、かつデメリット事項を表示しないでデメリット事項存在しないかのような表示で初めて安全性を欠く表示という話でございますので非常にまどろっこしいというふうに個人的には思っておりますし、景表法の考え方上も、表示しないということについては原則は表示には該当しないというところでございますので、私個人としては、表示に着目した要件というよりかは、商品の安全性を欠いているという、その性能そのものに着目した要件とすべきなのではないかというふうに思っているわけですが、今回はあくまで要請なので、余り法律要件をぎりぎり詰めるのもどうかというふうに考えております。  一方で、今後行政処分を入れるということであれば、これは取消し訴訟等で争われるおそれもありますので、消費者庁が安心して行政処分をするという意味では、表示要件よりかは性能に着目した要件に見直すべきではないかというふうに、将来の課題としては思っております。  以上です。
  65. 安江伸夫

    ○安江伸夫君 貴重な御意見をありがとうございました。  以上で終わります。
  66. 松沢成文

    ○松沢成文君 日本維新の会の松沢と申します。  今日は、三人の先生方、もうコロナ禍で大変な状況の中、参考人として御出席いただいて、ありがとうございました。  今までお話聞いていて、やはりこの法案でやっぱり足りなかったなと思うのは、BツーC取引だけを対象にしてCツーCが入らなかったと。今フリマアプリなんかがどんどんできてきて、やっぱりCツーC取引でのトラブルというのも相当多くなってきていますよね。ただ、このCツーC市場がうまく発展すると、私は、無駄なものが眠っている社会から有効利用される社会になって、ごみも減っていくんじゃないかなと、究極な話。そんなところまで影響あるんじゃないかなと思っているんですが。  これ、今回の法案で、いわゆるCツーCの、この出品する側のCの中でもかなり組織的にやっている隠れBがいるんじゃないかと、その隠れBをどうやって線引きして探し出すか。例えば、反復継続して転売を繰り返していたり、あるいはかなりの金額をそういう組織的にやって稼いでいたりするのは、完全にこれCというよりもBの部類に入ると思うんですけれども、最終的には裁判所が判断すると先ほど染谷先生おっしゃっていましたが、この線引きのときの何か条件というか、こういうのをやっていたらやっぱりBでしょうというようなところは、三人の参考人の先生方、どこにあると考えますか、どの辺にあると。それ難しいんですかね。
  67. 正木義久

    参考人正木義久君) いや、まさに先生のおっしゃっていただいたとおり、反復継続して組織的にやっているということなんですけれども、その売上げをどこに立てているかということですよね、一つは。  例えば、ある会社の社員が個人の名前でやっていますと、だけどその売上げは実は会社に入っていますということであれば、それは把握できるというふうに思います。組織でやっているということだと思います、個人名を使っているだけでということだと思います。そういう一つ一つの事例をよく積み重ねると。  官民協議会というのが今回良いところは、そういうところの秘密の、守秘義務を持ちながらお互い情報交換できると。ああ、おたくにもそういう人いてましたかと、この名前を名のっている人がいましたかと、うちでもこの人がどうも何か市場を荒らしているようなことをやっているという情報交換ができるという仕組みになってございますので、その中で、やはりこの人はCのように見えるけれども隠れBであるという話になればBとして扱うということができるようになるのではないかというふうに思います。
  68. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) 非常に難しい問題だと思います。  そもそも、本当にきれいに概念上線引きできるかという問題があると思っていまして、今フリマ等を利用される方って、本業では会社勤めをされながら、副業で、まあ数万でもいいからということで収入を得るためにやられるという方もいらっしゃると思うんですけれども、じゃ、その方ってBになるのだろうか。じゃ、数万だと、一定、収入が高いから、しかも継続性という意味ではあるから、じゃ、Bに入るのかなという気もしますけど、じゃ、大学生が、お小遣いちょっとだけ稼ぐ、数千円たまに稼ぎたいなというときに身の回りのもので要らなくなった服などを出していくと、その場合はどうなのかということになると、かなり微妙なラインになってくるのかなというふうに思います。その大学生もちょこちょこと継続的にやっているとBになりかねないということなんですけど。  まあ一般的にはそのぐらいだったら普通の消費者でもやるんじゃないというラインで、本当にここで線引きというのは難しいので、やっぱり若干高めなラインでBのラインは引くしかないのかなという気はしていますが、他方で、それだけ頻繁に取引する大学生、一消費者とはいっても、場合によっては相手の消費者に迷惑掛けるようなこともあり得るということですので、その際のやっぱり責任ルールについては、きちんと本人に納得してもらった上で理解をして取引してもらうような情報の開示とか、事前にそのことをきちんと了承してもらった上で取引に臨んでもらうようなことはもうちょっとしっかりやってもいいのかなというふうに思っています。  以上です。
  69. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 同じく大変難しい問題だと思っておりまして、そもそも販売業者というものにつきましては、営利目的を持って反復継続的に販売するというところでございます。  それにつきましては個別具体的に判断するというところでございますけれども、例えばでございますが、私が聞いたことあるのは、これはちょっと非常に安易な例なんですが、フリマアプリで販売したお金を振り込む口座が括弧カ、何々会社と書いてあるという、どう見ても会社の口座に振り込むというような事例は当然アウトというのは決まっていますねと。  あとは、やはりフリマアプリの業者としては、何品出品して、かつ同種の商品なのかどうか、同じような商品を例えば出品しているのであれば、それは転売ヤーのようにも思えますし、事業者のようにも思えるということですので、同じような商品を出品しているのかですとか、何品出品しているのか、で、それに対する売上げが幾らなのか等々の事情から総合的に考慮してラインを引くしかないのではないかというふうに考えています。  そのほかには、複数アカウントを禁止しているというのが通常のフリマアプリでございまして、なぜかというと、複数アカウントを持っていると、複数の、同一人物が複数アカウントで出品することによって、その隠れBを更に潜脱するというようなことが行われてしまうためでございます。  なので、同一アカウントなのか、実際には同一アカウントなのかどうかという判断する上では、その何か、メールアドレスが同じなのかとか、IPアドレスが同じなのか、端末情報が同じなのかというような情報を取っているところでございますので、こういった情報の積み重ねでBなのかどうなのかということを検討することになるのかなというふうに思っている次第でございます。
  70. 松沢成文

    ○松沢成文君 ちょっとこれから個別具体的なケースについてお聞きしたいんで、弁護士の二人の先生に御意見いただきたいんですが。  例えば、本をアマゾンで売ると。そのときに、売りたいから当然レビューが出ますよね、まあレビューは今回対象になっていませんけれども。このときに、アマゾンがDPF事業者ですよね。それから、本を出版している出版社がこの販売者だと思います。でも、そこには著者がいるわけですよね。じゃ、著者がその出版社と結託して、この本はすごいいい本だからみんな読んでねって、みんなたくさんレビュー出せとか、あるいは敵対的な本を攻撃したりですね、こういうことを結託してやった場合には、この著者もこの法律に触れるということになるとお考えですか。
  71. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) まず、前提として、そのレビューが虚偽の事実を、虚偽内容であるという前提であれば、共同不法行為という形で当然、著者の方も虚偽のレビューについて、まあどういう形でか分かりませんけど、協力するということであれば民法上の不法行為が成立するだろうということはあり得るんだろうと思いますが、違法というのはどの法律についての。(発言する者あり)じゃ、済みません、ちょっと先に。
  72. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) お答え申し上げます。  今回の法律で違反するかという意味でいうと、直接は違反ということはないのではないかというふうに思っておりまして、まあ強いて挙げるとすればですが、三条一項第二号にプラットフォームにより提供される場における表示について苦情があったときには調査しなければならないというふうになっておりますので、このレビューはステマであるというようなことがもし苦情があったのであれば、今の例でいうとアマゾンは調査していただくということになるのかなというふうに思います。
  73. 松沢成文

    ○松沢成文君 もう一つちょっとケースの質問をしたいんですが、ふるさと納税の仲介事業者として、さとふるとか、ふるさとチョイスとか、こういうオンラインでやっているところがありますよね。ふるさと納税は、一般の人がすぐ返礼品を直接選ぶんじゃなくて、結局、寄附税制をした人が、その動機としてこの返礼品を探しながら寄附税制するか決めるわけですよね。ただ、これは、やっぱりネットを使って返礼品を展示してですね、それで選んでもらうという意味においてはこのDPF事業者になるんじゃないかなと、ふるさとチョイスとかね、この辺が。ただ、難しいのは、この返礼品をその市場に、市場にというか、ネットに出すのが地方自治体、そしてその品物自体を出すのはその地方自治体に返礼品として認められた生産者ですよね、牛肉とか。  実は、ふるさと納税のこの返礼品のチョイスも結構トラブル多いんですよ。例えば、ネットで見て、こんな立派な牛肉だったのにちんけなものしか送ってこなかったとか、文句多いんですよね。だから、これはやっぱり寄附税制の中でのその返礼品のチョイスだから、この法案関係ないんですよね。これ、その辺はどうでしょう。
  74. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。  今回の取引デジタルプラットフォームの定義といたしましては、その通信販売の場を提供するというところでございます。したがって、通信販売というのがその商品又は役務を販売するというところでございますので、商取引を行っているというところでございます。  一方で、ふるさと納税という意味でいいますと、それは寄附をしていると、ということなので基本的には取引ではないのではないかと。もちろん、その返礼品目的でやっているかもしれませんけれども、法的には取引ではないのではないかというふうには思っている次第でございます。  また、委員御指摘のとおり、ふるさと納税の返礼品にその不当表示等が多いということについては私も理解しているところでございまして、ちょっと記憶ベースで大変恐縮なんですけれども、調べてくればよかったんですが、ふるさと納税でA5の牛肉というふうに表示して、実はA4だったと。これはおいしくない、A5のはずがないというところで、そのふるさと納税がきっかけにそのふるさと納税の返礼品を納入している事業者が不当表示を行っていたことが発覚しまして、これ、たしか地方自治体だったと思いますけど、地方自治体が景表法に基づいて措置命令を行ったという事案については認識している次第でございます。
  75. 松沢成文

    ○松沢成文君 最後に、じゃ、もう一つ、染谷先生に。  これ、インターネットでの個人輸入で海外のものを輸入する場合に、もちろん、販売業者海外にいるんですよね。ただ、何か輸入代行業者というのもいて、この輸入代行業者が、向こうの販売業者がなかなか消費者は分からないと。でも、この個人輸入をうまく使って違法なものがかなり輸入されちゃっているんです。例えば、薬機法で、先ほど先生、禁止されている電子たばことかニコチン溶液とか、こういうものはやっぱり海外が絡むから今回の法律では規制はできないんですね。  今後、だから、国際的なこのオンライン取引の何かルールみたいのを、普遍的なものを作っていかない限り、ここはストップ、規制できませんよね。そういうふうに考えていいんですかね。
  76. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) 大変難しい御質問いただいたというふうに思います。  まず、今回の法律との関係でいうと、これ衆議院の答弁でもあったような記憶がありますけれども、海外デジタルプラットフォーマーであっても、少なくとも日本の消費者を対象にその通信販売の場を提供しているということであれば、本法は適用があるというところでございます。ただ一方で、内容自体が努力義務ですとか又は要請というものでございますので、それがどこまで実際に履行されるのかについては議論があるんじゃないかというふうに思っています。  また、委員が今御質問してくださいました越境代行ECについてでございますが、これ実務上、非常に様々なスキームがあるところでございまして、海外から買ってきますよということで国内で消費者を誘引するという場合、何というか、契約的には、その代行事業者海外で買い付けて、その越境代行事業者がさらにその消費者に対して売るというようなことをしている例が私は多いという理解しております。この場合は、対消費者との関係では単なる売買契約をしているだけ又は通信販売をしているだけでございますので、何か問題があるということであればその越境代行EC業者に対して通信販売規制に基づいて法執行がされるのではないかというふうに考えております。
  77. 松沢成文

    ○松沢成文君 ありがとうございました。
  78. 大門実紀史

    大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  お疲れさまでございます。また、今日は、どうもお忙しいところ、ありがとうございます。  まず、正木参考人にお聞きをいたします。  一度、経団連の方とお話をしたかったんですけど、この特別委員会消費者保護のための様々な法改正をやってきているわけですけど、常にあるのが、消費者団体側といいますか、消費者側の要望と事業者側の要望といいますかが、何というの、擦れ違ったり、あるいは項目によっては対決したり、折り合いが付かなかったりということがいろいろ繰り返されてきて、本来、正木参考人言われたように、共通の敵は悪質業者だと、これあるわけですね。  ただ、その悪質業者の被害を防ぐための改正なんだけど、それはまともな事業者にも負担を掛けるとか足かせになるとかいうようなことがあって、事業者側としてはこのままでは困る、反対ということになって、結局、妥協点で法改正が出てくるというようなことが、そして国会で審議というようなことがあるわけですね。  それは、現場的に言いますと、特に消費者相談員の方々にとって言えば、一歩前進ならまだいい方で、半歩前進とか、ないよりましだみたいな、そんな法改正が現実に、ちょっと長くいるんですけど見てきて、したがって、これ大体三年に一遍ぐらいとすると、三年ぐらいでもう変えなきゃいけないことが、もう半歩ずつだから六年も掛かるとかね。そうすると、現場の方は、もうみんなたけていますから、悪質業者は次々いろいろやってきて、いつも後手後手後手後手になって、なかなか、法改正やって良かったねといったって現場では全然もう追い付かないというのがずっとあるわけですね。そういう、何というんですかね、このことは、別に消費者庁ができても同じなんですよね、不思議なことに。  拝師先生ととか一緒にやった割賦販売法というのは、経産省、事業官庁だったんだけど、大変経産省頑張って、事業者側の方を説得してもらって、いい法改正をやったことがあるんですよね。消費者庁にはもっと期待されるわけだけど、結局同じようなことが続いていて、今回のデジタルプラットフォームもそうなんですけど、義務規定なんか当然じゃないかと思うんですけど努力規定になるとか、いろいろ指摘されているようなことで実効性があるのかと疑われるようなものになっていると。なぜもっと一番苦労されている現場の相談員の方々の身になって改正が実行されないのかというのは、ずっと思っております。  どうすれば、もうずっと続いているこの法改正の事態ですね、私たちも半歩前進であれど前進ならば反対はしませんけれど、なぜこんなことが続いているのかというふうにいつも思うんですけれど、いろいろ消費者庁の姿勢とか、先ほども指摘あったようにもっと頑張れるところいろいろあるんですけど、大本にあるのは、事業者側の方々考え方として、確かに、まともにやっているのに、ちゃんとやっているのに負担が増えるというのは困ると、足かせになると、商売の邪魔だというのは分からなくはないんですよね。ただ、そういう立場もそろそろ変わっていただかなきゃいけないんではないかと。例えば、今自民党の、今はちょっと分かりませんけど、若手の方々で公益資本主義という勉強会があったり、何というんですか、ただ企業は自分たちのもうけとか追求するだけではなくて、ステークホルダーといいますかね、消費者とか従業員とか取引先をもっと大事にしてこそ企業発展があるんだという考え方ありますよね。  そういう立場に立って、少々負担が増えても、自分のところはそのルール守るためにまともにやっているけど、負担は増えても、それで業界が良くなれば、悪質業者も駆逐されて業界の健全化につながって自分のところの企業も良くなるというふうなちょっと発想を、全てじゃなくていいんですけど、ちょっとそういう発想を持っていただいて、負担になるからちょっといかがなものか、反対だということから、業界の健全化のためにもルールを自らしょってやっていくことが世のため人のため、企業のためにもなるという、こう、何というか、その発想の転換がやっぱり海外の事例を見ても求められているんじゃないかと思いますが、経団連としてといいますか、正木さんとしていかがお考えですか。
  79. 正木義久

    参考人正木義久君) ありがとうございます。日本共産党の方とサステーナブルな資本主義について語り合えるというのも私の喜びでございます。  経団連としてもサステーナブルな資本主義というのをやってきておりますし、消費者庁でも消費者志向経営という考え方を入れていこうじゃないかと。まさに、例えば原料の調達のところで児童労働が行われていないかとかですね、そういったことまでよく見て、それできちんとした商品を出していこうじゃないかというようなことなんかもやっているということでございますので、我々としても、消費者志向経営というものには是非やっていくべきだと思っていますし、そういうものが世の中で評価されて、そういうものについてはそれに適正な価格で消費者にも買っていただけるという世の中を目指しております。  ですので、今のお話でいえば、今回の法案についても、努力義務というふうになったということについては、このスピードの速い中で、やはり、先ほどアジャイルと申し上げましたけど、硬直的なルールの義務をいきなり課してもかえってうまくいかないと、むしろ抜け穴ばかりになってしまうということなので、柔軟に、官民で話し合いながら、ここはもうちょっとこういうふうにできないかということができるような仕組みということで、今回は努力義務になったというふうに理解をしております。
  80. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  拝師参考人は、消費者行政ウォッチねっとということで、消費者庁をつくるときから一緒に議論したり運動をされてきた方でございます。ちょっとこの間起きていることに御意見を伺いたいと思うんですけれど、もう御存じかも分かりませんが、消費者委員会のことでございます。  二〇〇九年に消費者庁設置法で与野党で全会一致で修正案があって、当初の政府案は消費者政策委員会というのを消費者庁にくっつけて消費者庁の審議会みたいな形でやりたいといったのを、与野党修正で、それじゃ駄目だということで、もっと独立した第三者機関として、消費者委員会と名前も変えて、大きな、大変な議論をして設置したわけであります。その目的は、消費者庁消費者行政も監督すべきだと、つまり消費者庁も監督すべきだという議論があって、あの修正協議で消費者委員会が設置されたんですよね。  当然、事務局長も民間からということで、を民間を中心にというふうになって、なってきたんですけれども、この間、あれから十年たって、私も最初ちょっと気が付かなかったんですけれど、どういうわけか、内閣府の中で勝手に相談をして消費者庁から消費者委員会の事務局長を送り込むというようなことが行われていてですね、監視される側の人間が監視する方に人を送り込んだということで、これはちょっと関係者にとっては看過できない問題でございます。  ですから、何というんですかね、実質的に、あの二〇〇九年、最初に内閣府が提案した、あっ、ごめんなさい、ああ、内閣府ですね、あのときの提案、提案した、消費者庁にくっつける審議会に実質的に戻そうみたいな動きになってきておりまして、当時大議論がありまして、参加した国会議員をばかにする話じゃないかと私は思いますし、国会そのものが愚弄されているんじゃないかと思いますが、自民党、当時は提案者は岸田文雄先生でございましたので、岸田先生には事実だけはお伝えしてあります。判断はもう先生がされればいいと思っていますけど。  もう一方、ウォッチねっとというのは、消費者行政をつくっただけでなくて、後々見ていこうということがありましたので、当然その消費者委員会の問題もいかがなものかと思っていらっしゃるんじゃないかと思いますけれど、当時のこともありますけれど、その後もウォッチねっととして、消費者行政全体を見てきたはずのウォッチねっととして、今回の問題いかがお考えでしょうか、拝師先生。
  81. 拝師徳彦

    参考人拝師徳彦君) この法案に限らずという御質問でよろしいですかね。  特に最近、消費者委員会の大きな動きとしては、今国会に提出されている特商法、預託法の改正法案に関連して、書面交付の電子化に関する問題についての建議というのが大きなものとしてあったというふうに思っています。それについてはかなりいろんな、消費者団体であるとか弁護士会が強く反対をしているところですし、幾つかの地方自治体からの地方議会請願という形で反対意見が出てきているということで、消費者にとって非常に問題のある中身だろうなというふうに思っております。  それについて、当然我々の立場からすると、消費者委員会というのは、今委員おっしゃったような、消費者立場消費者行政を監視していくという独立性の高い監視機関としてあのとき議論をし、国会で、わざわざ審議会の位置付けから切り離して、消費者庁の審議会ではなく内閣府の一組織として独立性の高い監視機関として位置付けて、自ら調査等の権限も与えてという形でやってきたわけですので、当然そういう問題のある法案については反対していただけるんだろうというふうに思っておりました。  ところが、実際出てきた建議を見ると、反対するどころかですね、その書面交付デジタル化が通る前提でその中身についての意見を述べられているということで、非常に残念な思いをしております。  そういう意味で、消費者庁消費者委員会という仕組みが、かなり激論の中で、国会で議論をしていただいてできたそのときの趣旨が、今の消費者委員会の動きを見ていると生かされていないのではないかなというふうに認識をしています。
  82. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございます。  全体として、私は、日本の消費者運動も決して強くないと思うんですよね。やっぱり現場の運動、現場から消費者委員会に人を送り込むぐらいの勢いがないと、なし崩しでこういうこと起きたりするというふうな、一緒にやってきたから申し上げるんですけど、やっぱり消費者運動ももっともっと強化、強くなってほしいなと思います。  染谷参考人に伺います。  もう法案のことはいろいろあったんで、染谷参考人消費者庁におられたということで、今の話もあるんですけど、ちょっと消費者庁そのものの強化といいますか、健全な発展といいますか、その点で、それが全ての基本になることもありますのでお話を伺いたいと思うんですけど、染谷さんは消費者庁の課長補佐を任期付きでやられたんですね。任期付きだからまた現場に戻られたということで、消費者庁の経験をまた現場に生かしてもらうというのは大事なことだと思っております。  一方で、消費者庁のプロパーを増やさないと、やっぱり内閣府にちょっかい出されるようでは駄目だと思うんですね、消費者庁そのものの人材を。その点では、やっぱり弁護士さんが消費者庁に何人か来られていて、任期付きで帰られる人もいるんですけれど、もちろん帰って現場で生かすのも大事ですが、プロパーでやっていただくようなことも重要かなと思っております。  ただ、一言言うと、消費者庁に来られた弁護士さんもちょっと分かれちゃって、勉強してまた現場に戻る方もいれば、消費者庁にいて何かこう、あれ、どういうんですかね、法律を作る側、権力の側、どういうんですかね、何かこう体制側、自分がちょっと権力持ったような感じになって、ちょっと傲慢になって、誰とは言いませんけど、そういうふうに変わってしまう方も中には今いらっしゃるかも分かりませんが、大抵はやっぱり、今いらっしゃる課長もそうですけど、現場の経験を生かして頑張ってもらっているわけですね。そういう方がやっぱりプロパーでやってほしいなと私なんかは思うんですけれど。  言いにくいこともあるかも分かりませんが、あえてお尋ねしますけど、やっぱり弁護士さんが消費者庁に入ってプロパーでやっていくとしたら、何が、これからですね、何が足りなくて、何が必要なのかというのを、染谷弁護士のお考えをお聞きできればと思います。
  83. 染谷隆明

    参考人染谷隆明君) ありがとうございます。  非常に難しい御質問をいただいたというふうに思いますが、本当、個人的な感想でいうところで申し上げますけれども、私が消費者庁にいたとき、まだ創設五年で板東久美子長官のときでございます。  あのときにも、やはり、基本的にはそのほかの省庁から出向で来ているという者がもうメーンでございましたし、私がいた表示対策課とかはもうほとんど公正取引委員会と一部農水省というところでございました。それはそれで皆さん二年後には親元に戻るわけでございますので、ある意味非常に風通しがいいといえば風通しはいいわけでございます。  ただ一方で、何というんですかね、これ記者クラブの方とかとも話したことがあるんですけれども、消費者保護を何とかしたいだとか、消費者保護が重要ですというようなマインドがすごく強いかというと、余りそうは、余り感じなかったというのが正直なところであると。  一方で、私自身も消費者庁に入って、非常に消費者保護、重要だなということは理解したつもりでございますけれども、やはり任期は二年間しかないと。幸いなことに、私はまさに法改正担当させていただいて、非常に最前線の経験をさせていただいたところであるんですけれども、その知見というのがやっぱり残らないんですよね。任期付きなのでやっぱりすぐ抜けてしまうと。在野で一応貢献できることはありますが、その消費者庁というところにその人材という意味では残らないというふうには思っていたわけでございます。  一方で、プロパーの方も今どんどん増えているというふうには聞いているところだと思いますので、かつ、そういった方もどんどん課長補佐になったり、又は課長になったりということでどんどん偉くなるでしょうから、是非、消費者を守るというマインドを持ったプロパーの職員の方が増えてほしいというふうに心から思っている次第でございます。
  84. 大門実紀史

    大門実紀史君 ありがとうございました。
  85. 石井浩郎

    委員長石井浩郎君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人皆様には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十分散会