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国務大臣(麻生太郎君) リーマン・ショックのときと全く違うのは、あのときは金がなくなった。いわゆるマーケットからキャッシュが全くなくなって、一晩のオーバーナイトコールが七ドルとか、何かむちゃくちゃなことになりました、あっ、七%とか八%。今一年間で零コンマ一ですから、あのときは一日で七%という、もうそれはむちゃくちゃなことになったんで、早い話が
金融収縮、信用収縮が一挙に進んで、まあ早い話が金が回らないということですから、全く銀行が軒並みばたばたということになっていく。
九七年のあの例の
金融危機の後のやつがそっくり移ってきて、銀行もいろんな意味で大
災害みたいなもんで、今、あの頃の都銀で、東海銀行、興業銀行って今何という銀行になったんですって知っている人の方が珍しい。昔の名前で出ていますなんという銀行は東京三菱と三井住友ぐらいですかね、あとはほとんどなくなりましたから。そういった意味では、九七年からずっと続いたやつは全部あそこでたまって出てきちゃったという具合に考えてよろしいんだと思いますけれども。
今回は金はあるんですよ。今回は金が詰まっているわけではなくて、人の動きと物の動きが止まったんだと。もう全然種類が全く違う
景気なんだと思っておりますね。したがって、対応策も全然違うものなんであって、今回は銀行とか
金融機関が止まりますと、人間の神経みたいなもんですから、その神経が止まっちゃう話を、今回は人とか物の動きが止まっておるということなんで、銀行救済とか
金融機関の救済よりは、普通の人の
生活とか、そういった全然別の話のものなんであって、信用収縮とは違った形というのは、これ、あのときの
景気とよく比べられますけれども、もう全然異質のものなんで、高野先生おっしゃるとおりに、
影響は一
金融機関の話ではなくて全体の話になっているんだと思っております。
したがいまして、このショック、コロナショックとかリーマン・ショックとかいろいろ言うんでしょうけど、これの本質を踏まえれば、やっぱり、とにかくまずはこの
感染拡大というのを止めないとどうにもならぬということなんだと思って、日本の場合は、少なくとも先進七か国の中では百万人
当たりの死亡率なんていうのは極端に、二桁ですから、済んでますから、アメリカみたいに千台なんてことになっていませんので、そういった意味では全然うまくいっていると各国から羨まれるほどの対応にはなっているとは思いますけれども。
それでも
雇用とか、それから、それに伴いまして、
事業が
継続しないことによって
雇用がとか、また、それに伴って
生活ができなくなりますんで、そういった形での
影響を何とかせにゃいかぬというようなことで、私どもとしては、こういったことで、なかんずく非正規、女性、若年労働者等々に被害が多く出たというところを何とかしないといかぬということだと思いますんで、まあ五百五十七兆ぐらいまでGDPは戻っていたと思いますけれども、いや、戻ったって、伸びていたと思いますけれども、今それががたっと下がっておりますので、これを元の戻して六百兆にというのをやるためには、多分コロナが終わった後の世界で、この二十一日にいわゆる緊急事態が解けるということになった後、それですぐぱっと、じゃ、元みたいにいくかというと、やっぱり、これは高野先生、
景気の気という
部分がどんと落ちていますんで、その気の
部分が上がってくるようにするのには、そんな簡単にはなかなかいかないんで、何となく、八時までに帰らなくてもいいぞ、九時で終わりだぞと、じゃ行くかと、ばっと行くかと、なかなかそういかないんじゃないかなという感じが私のところにはしますんで、一年も続きますとなかなかという感じはします。
したがいまして、この
ポストコロナというのを考えていきますと、そこの気の
部分が直っていく、同時に、コロナのおかげで、我々としてはいろんな意味で、サプライチェーンがどうとかとか、デジタライゼーションが一番遅れているとか、いろんなことが我々としては気付かされた。日本として、意外と強いのかと思ったら実はとんでもなく強くなかったり、弱いかと思ったら意外と強かったりというようなことが随分見えてきたところがありますので、そういった意味では、デジタライゼーションとか、
環境に合わせてグリーンとか、そういったようなものに投資の目が向いて、そこに民間が、金が動いてということになっていくようにするためにどうするかということを考えて、
経済をそちらの方向で伸ばしていく。
デジタライゼーションが遅れている分だけ、それだけ伸び代があるということですから、そういった意味では対応の仕方を十分に考えていかにゃいかぬということだと思っております。