○浜口誠君
国民民主党・新緑風会の浜口誠です。
会派を代表し、
地球温暖化対策推進法の一部を改正する
法律案について
質問します。
二〇五〇年
カーボンニュートラルに賛同した国は、昨年十二月時点で日本を含む百二十一か国一
地域となっています。
脱
炭素社会では、
世界の政治
経済のパワーバランスが一変する
可能性がある、第二次
世界大戦後の
経済、
社会の再建に匹敵するほどの大きく、急速な変化が起きるとも言われています。二〇五〇年
カーボンニュートラルを
実現したときに、日本の物づくり
産業等が国内生産の競争力を
確保し、雇用を生み出し、
国民生活も安心、安定している
社会にしていくことが絶対条件だと
考えます。二〇五〇年の日本の
社会、
経済の目指す姿について、
小泉大臣、梶山
大臣の
所見を伺います。
四月二十二日の
気候変動サミットでは、
政府は、二〇三〇年度の温暖化ガスを二〇一三年度比で四六%
削減する新たな
目標を示しました。二〇一九年度の日本のCO2
排出量は約十一億トンであり、
エネルギー転換部門三九%、
産業部門二五%、運輸部門一八%、家庭・業務部門は一一%となっています。二〇一九年度までに六年掛けて一四%減らしていますが、今後、どのようにして四六%
削減を
実現するのか。
小泉大臣、各部門の
削減目標や具体的な
施策を含め、四六%
削減の積算
根拠を具体的にお示しください。
二〇五〇年
カーボンニュートラルは極めてチャレンジングな
課題であり、今の技術の延長線では到底到達できません。一方、
企業もリスクを丸抱えして技術革新に取り組むことは困難です。だからこそ、国が脱
炭素化につながる技術革新を国家戦略に位置付けて、長期にわたり
支援していくことが重要です。
米国はクリーン
エネルギー関連に四年間で約二百兆円、EUは
気候変動対策として十年間で官民合計約百二十兆円の投資を打ち出しています。日本のグリーンイノベーション基金は十年間で二兆円、二桁違います。二兆円
規模で脱
炭素社会に向けた
世界との熾烈な国家間競争を勝ち抜くことができるのか。今後の数年間がまさに勝負どころです。
政府は国家戦略として技術革新に欧米を凌駕する投資をすべきと
考えますが、梶山
大臣に見解を伺います。
二〇一九年十二月、欧州委員会が発表した欧州グリーンディールは、脱
炭素社会への
経済構造の転換によって
影響を受ける
産業や雇用に十分な
支援を行うことを約束しています。
日本は、一九五〇年代以降の石炭から石油への
エネルギー転換により、石炭
産業からの離職者は二十万人を超えました。こうした経験も踏まえ、化石燃料等に関わる
産業の縮小に伴う雇用への
影響やコミュニティーの衰退に対する
支援など、移行期の負のインパクトを最小化し、公正な移行を図るため、必要な
対策を講じることが極めて重要です。公正な移行に対する
小泉大臣の
所見を伺います。
カーボンプライシングは、CO2を中心とした温暖化ガスの
排出に価格を付け、
排出削減を目指す
政策です。主に、
炭素税、
排出量取引、
炭素国境
調整措置があります。
世界的にはカーボンプライシングの
導入は進みつつありますが、日本では本格
導入には至っていません。
炭素税などを財源にして次世代技術を普及させる
取組が必要との
意見がある一方、
経済界からは、研究
開発に一層の投資が必要となる中、
炭素税等の
負担が増えることは技術
開発等の阻害要因になるとの
意見もあります。カーボンプライシング
導入に対して、
小泉大臣、梶山
大臣の
所見を伺います。
企業は、脱
炭素が進む中で、自社のCO2
排出量の
削減だけではなく、サプライチェーン全体の
排出量を管理し、
削減することを取引先や金融機関、投資家から求められています。また、最近では、グローバル
企業から取引先
企業に一〇〇%再
エネ利用を求めるケースもあり、
対応できなければ、技術や商品が優れていてもビジネスチャンスを失ってしまう
可能性もあります。現在約八割が火力発電となっている発電部門の脱
炭素化は、日本
企業の国内生産を維持していくためには大前提、必要不可欠な
対応です。こうした中で、
政府は、中小
企業を始めとする
企業の脱
炭素経営の
促進を、
ESG金融なども含め幅広く
支援していくべきと
考えますが、
小泉大臣の
所見を伺います。
産業革命以降、
世界は、大量生産、大量消費、大量
廃棄物ありきを前提とした直線型
経済で物的な豊かさを求めてきました。しかし、持続可能な
社会にしていくためには、一度採取した資源を繰り返し使い、作り続ける、
廃棄物を生じさせない、捨てられていたものをアップサイクルし、再
利用する循環型
経済に転換していくことが必要です。地球を救うためには、今までの豊かさや成長を求める
社会から、幸福や満足度を高める
社会へと、私
たちの価値観やライフスタイルを大きく変えていかなければなりません。循環型
経済への移行に向けてどのように取り組んでいくのか、
小泉大臣の
所見を伺います。
軽自動車と乗用車は、二〇三五年までに国内の新車販売を全て
電動車にする方針です。自動車の
カーボンニュートラル実現に向けては、
電動車だけではなく、CO2と水素で作る合成燃料Eフューエルや水素で動かすエンジンなどの内燃機関も
カーボンニュートラルを
実現する選択肢の一つであり、
政府として
開発を
支援すべきと
考えますが、梶山
大臣の
所見を伺います。また、トラック、バスなどの商用車、二輪車の今後の電動化についてもお答えください。
農林水
産業も、
地球温暖化に深く関わります。温暖化は干ばつ等の要因となり、農作物の不作が食料不足を引き起こし、日本の食の安全保障に直結します。また、食料の輸入は、
環境面で負荷が掛かります。
令和元年度の日本の食料自給率は三八%、
世界有数の食料輸入国であり、食料の輸入量掛ける輸送距離を計算したフードマイレージは約九千億トンキロメートルで、米国や韓国の約三倍、
世界で際立った数字です。また、
世界で飢餓に苦しむ人が約六・九億人いる中で、日本の食品ロスは
平成三十年度六百万トンに上り、これは
国民全員が毎日茶わん一杯分の御飯を捨てている量です。
世界の食糧援助量年間約四百二十万トンの約一・四倍に相当します。
食の安全保障や温暖化
対策の
観点から、食料自給率改善や食品ロス
削減等に従来の延長線ではなく抜本的な
対策を行うべきと
考えますが、野上
大臣の
所見を伺います。
改正法には、
条文の
先頭に
国民を位置付け、
国民の
理解や
協力の重要性が示されています。欧州の多くの国では、抽せんで選ばれた
国民が数週間から数か月掛けて
気候変動対策について
議論する気候市民
会議が行われています。日本においても
政策形成過程への市民参画を積極的に行うべきと
考えますが、
小泉大臣の見解を伺います。
また、幼い頃から、なぜ
気候変動問題が大切なのか、温暖化防止のためにどのような
取組が必要となるのか、自ら
考える基礎となる教育が重要です。学校教育に
環境という科目をつくることを提案したいと思いますが、萩生田
大臣の見解を伺います。
最後になりますが、二〇一五年国連で採択されたSDGsの二〇三〇年アジェンダには、私
たちが地球を救う
最後の世代になるかもしれないと記されています。この危機感を
世界が共有し、将来の世代にすばらしい地球を残していくことが今を生きる私
たちの使命であることを申し上げ、
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣小泉進次郎君
登壇、
拍手〕