○音喜多駿君
日本維新の会の音喜多駿です。
本日は三月十日、東京大空襲から七十六年が
たちました。改めて犠牲になられた
方々に哀悼の意をささげますとともに、不戦の誓いを新たにしてまいりたいと存じます。
それでは、会派を代表して、
所得税法等の一部
改正案及び
特例公債法案に対して
質問いたします。
法案質疑に先立ち、まず初めに
現下の
コロナ対応について伺います。
先週、一都三県の
緊急事態宣言の
延長が決定されました。非常に難しい判断であったことは理解をする反面、この
延長判断に先立っては、東京都の重症病床使用率が突如、大幅に変更されるという
事態が発生しました。地域を預かる知事の判断は尊重したい反面、重要な指標の変更がなされたにもかかわらず、その理由、背景について東京都及び都知事は十分な
説明を果たしているとは到底
考えられず、このような不信感が残る
状況で
延長の要請、決断が行われたことは、誠に遺憾であると言わざるを得ません。
昨年からずっと問題になっていた
政府と東京都の数字のずれが、なぜ二月になって突然、修正がなされたのか。重要な指標の一つが変更され、問題は生じないのか。
政府は、この検証を東京都と協力して再度行うとともに、二週間
延長された
緊急事態宣言については、客観的な基準が明確な出口戦略を
責任を持って構築すべきと
考えますが、
総理の見解をお伺いいたします。
さて、大手シンクタンクの試算によると、この二週間の
延長決定による
経済損失は七千億円、
失業者も三万人増加するということであり、中長期的な
我が国経済への
影響が懸念されます。今回の
所得税法等の一部
改正案は、
ポストコロナに向けた
経済構造の
転換、好
循環の
実現を図ることを目的としておりますが、目下のところは更なる減税による
財政出動が急務です。我が党は
消費税を二年間五%に減税をする
消費税減税プログラム法案を議員立法で提出をしております。今こそ期限を定めた
消費税の減税を決断すべきと
考えますが、
総理の見解を伺います。
続いて、
特例公債法案についてお伺いいたします。
昭和の時代から
特例公債の
発行は常態化してきたものの、毎年、国会の審査に服してきました。複数
年度の
特例公債を認める法案が提出されたのは平成二十四年になってからであり、この主な理由は、ねじれ国会による
政治的な駆け引きを背景とするものです。
そもそも、
我が国の
財政規律を定めている
財政法は四条一項において建設
公債以外の赤字
国債の
発行を禁じています。こうした
財政法の
趣旨、国会の機能及び歴史的経緯に鑑みれば、
特例公債は毎
年度ごとに法案提出するべきであるのは当然のことではないでしょうか。現状における積極
財政の必要性を否定するものではありませんが、
経済、
財政の
状況は刻一刻と変化するものであり、国会審議を経て毎年その都度必要な
財政出動を行うことは十分に可能なはずであります。
複数
年度の
特例公債を認めることは国会軽視であり、不合理であると
考えますが、財務大臣の見解をお伺いいたします。
次に、
所得税法等の一部
改正案の各論についてお伺いいたします。
東京都のベビーシッター
助成金が
課税対象となる問題に端を発した
保育に関する
助成金の課税については、国会の場で私が一昨年に初めて取り上げ、
非課税化を求めてまいりました。今回の
改正案において、国や
地方自治体の実施する
子育てに係る
助成などに
非課税措置がとられたことは高く評価をいたします。
一方で、
保育の重要性と
少子化対策を
考えれば、
保育については更に踏み込んで、教育と同様に
保育に係るものをできる限り広く
非課税とするべきではないでしょうか。提出法案では、
所得税法九条で学資金が
非課税となっていることと同様に、九条に
保育の
規定が置かれることとなっていますが、その
対象は限定されないよう、
保育全体が幅広く
対象となることが望ましいと
考えますが、財務大臣の見解をお伺いいたします。
政府は希望出生率一・八を掲げ、
少子化対策に取り組んできましたが、二〇一九年には
日本で生まれた子供の数が史上最低の八十六万人台となる八十六万ショックに見舞われるなど、
少子化の勢いは止まりません。加えて、今般の
コロナ下では、
少子化は一層加速する
可能性が高くなっています。より抜本的な
少子化対策が求められており、
税制でも
子育て世帯の
経済的
負担を軽減させる
政策を強く打ち出していく必要があります。
そこで、フランスで
導入され、出生率向上に成果が出たとされる、子供の数が多いほど税
負担が軽減される世帯単位課税、いわゆるN分N乗方式を再度検討し、
導入するべきと
考えますが、
総理の見解を伺います。
菅政権は、国際金融センターの
実現を
政策の目玉に掲げています。今回の
税制改正においても、キャリードインタレストの課税取扱いの明確化など、国際金融センター
実現を念頭にした
改正が入っていますが、国際金融拠点の確立には心もとないものです。そもそも、現状、
日本の各都市が国際金融都市として魅力的ではないと
考えられている理由をどのように
分析されているのか、金融担当大臣にお伺いいたします。
国際金融センターの拠点確立に向けては、外国の金融都市に比べて大きい税
負担があることが一つの
課題であり、実際に国際金融都市を目指す大阪府などからも、是正、引下げの要望が出されています。今、
政府が
考えている
税制緩和だけでは全く不十分であり、
対象地域では法人税はシンガポール、香港並みに、
所得税は
非課税とするなど、よりダイナミックな
税体系の
導入を検討すべきと
考えますが、財務大臣の見解を伺います。
また、証券取引の一極集中による弊害も国際
競争力を備えた金融拠点が確立されない理由の一つです。私設取引所に総量規制があることで、PTS、私設取引システムが広がらず、東京証券取引所などの優遇になっているという指摘がございます。この点の緩和を検討すべきと
考えますが、金融担当大臣の見解を伺います。
加えて、国際金融センターの拠点を国内で確立するには特区を用いるなど、地域にピンポイントで適用される機動的な
政策が必要です。より具体的に都市を限定し、期限のある数値
目標を明確に定めるべきと
考えますが、
総理の見解をお伺いいたします。
今回の
改正案には、
デジタルトランスフォーメーション投資促進税制、DX減税が創設されています。テレワーク率の低迷やDX人材不足など、国内ビジネスの
デジタル化の遅れはもとより、
政府の各種
支援策の不足や接触アプリの機能不全といった
行政の
デジタル化の不調も浮き彫りになっています。
今回の
所得税法の
改正案にはDX減税が入ったことは評価をいたしますが、一方で、
企業だけではなく、霞が関、永田町のDXを進めるべきであり、とりわけ、
民間企業には言い訳は許されないと担当大臣が厳しい
目標を強いながら、事前告知をした甘い調査ですら約六割と低迷する中央
省庁のテレワーク
環境をしっかりと推進するべきと
考えますが、
総理の見解をお伺いいたします。
なお、国会においてもいまだにオンライン出席、オンライン審議が全く進まない現状は極めて遺憾であり、世間との乖離が激しく、
改善に向けた議論を早急に行うことを改めて提言をいたします。
行政のDXは、ブラックと言われる霞が関の
職場環境改善にも直結します。翻って
総理は先日の記者会見で、若手
官僚退職の増加、そして、その一番の理由であるブラック霞が関の指摘を受けたところ、労働力の流動化、そうしたことがやはり大事かなというふうに思いますと回答されました。ブラック霞が関に対する現状
認識、解決手段の回答としては余りにも心もとないものであり、この回答に失望した若手
官僚も多くいるのではないかと聞き及びます。
先週には、
新型コロナ感染症対策室の職員の一月の時間外在庁時間が平均百二十四時間、最も長かった職員は三百九十一時間という驚くべき数値も発表されました。これほどの残業常態化は尋常ではなく、組織として破綻状態だと思えます。
行政のDXはもとより、一人一人のジョブディスクリプションとその実態を精査し、抜本的な業務の
見直しと削減を断行するなど、ブラック霞が関の
環境改善を
政府主導で取り組むべきと
考えますが、改めて
総理の御見解をお伺いいたします。
日本維新の会は、
社会の情勢変化を正面から受け止め、変えるべきは大胆に変えていくために、引き続き具体的な
政策提言をしていくことを申し上げまして、私からの
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣菅義偉君
登壇、
拍手〕