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2021-05-18 第204回国会 参議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      宮崎 雅夫君     山崎 正昭君  五月十七日     辞任         補欠選任      山崎 正昭君     加田 裕之君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 香苗君     理 事                 磯崎 仁彦君                 豊田 俊郎君                 真山 勇一君                 伊藤 孝江君                 清水 貴之君     委 員                 小野田紀美君                 岡田  広君                 加田 裕之君                 中川 雅治君                 福岡 資麿君                 森 まさこ君                 山下 雄平君                 難波 奨二君                 谷合 正明君                 川合 孝典君                 山添  拓君                 高良 鉄美君                 嘉田由紀子君    国務大臣        法務大臣     上川 陽子君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局家庭局長   手嶋あさみ君    事務局側        常任委員会専門        員        青木勢津子君    政府参考人        警察庁長官官房        審議官      檜垣 重臣君        法務省大臣官房        政策立案総括審        議官       竹内  努君        法務省大臣官房        司法法制部長   金子  修君        法務省民事局長  小出 邦夫君        法務省刑事局長  川原 隆司君        法務省矯正局長  大橋  哲君        法務省保護局長  今福 章二君        出入国在留管理        庁長官      佐々木聖子君        出入国在留管理        庁次長      松本  裕君        厚生労働省子ど        も家庭局児童虐        待防止等総合対        策室長      岸本 武史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○少年法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     ─────────────
  2. 山本香苗

    委員長山本香苗君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、宮崎雅夫君が委員辞任され、その補欠として加田裕之君が選任されました。     ─────────────
  3. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  少年法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長川原隆司君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 少年法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 森まさこ

    森まさこ君 自民党の森まさこです。  前回に引き続き、取調べ弁護人立会いについて質問をいたします。  前回指摘したとおり、四月八日の当委員会大臣が、法制審特別部会で導入しないということとされたと御答弁されましたが、それでは、過去の法務省答弁に「導入しないこととされた」と答弁したことがあるかどうかを平成二十七年当時まで遡って国会議事録を全てチェックいたしました。その結果、過去にそのような答弁はありませんでした。昨日、法務省刑事局も、「導入しないこととされた」という答弁は過去一度もしていないことを認めました。  本日は、当時のまさに当事者である法制審特別部会委員も傍聴に来てくださっています。  資料一を御覧ください。在り方検討会での村木厚子さんの発言議事録です。本当に驚くべきことが書かれています。私は読んだときの衝撃を忘れません。この議事録自体もなかなか出てこなかったのですが、今日は時間がないのでそのことは話しませんが、また明らかにする機会があれば述べたいと思っています。  最後の部分に私がマーカーを引いておきました。弁護人の立会いの必要性を述べています。彼女もまた法制審特別部会委員です。法制審特別部会では果たして「導入されないこととされた」のでしょうか。その基本構想記載してあるとおり、取調べ弁護人立会いについては賛否両論あったため「結論を得ることが困難であった」のではないですか。そのため、「その要否・当否を含めて別途検討されるべきこととされた」のですよね。  このように、基本構想議事録を引用して質問しています。もう一度言います。弁護人取調べの立会いについては、結論を得ることが困難であったため、その要否、当否を含めて別途検討されるべきこととされたのですよね。  大臣前回答弁説明不足であったとおっしゃってくださいました。そうであれば、説明不足の点を補足して、再度御答弁を願います。
  7. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) ただいま委員指摘のこの法制審議会時代刑事司法制度特別部会におきましては、中間報告として、時代に即した新たな刑事司法制度基本構想が中間的な取りまとめとして出されたところでございます。  ここにおきましては、被疑者取調べへの弁護人の立会いにつきまして、当部会において結論を得ることは困難であり、その要否及び当否も含めて別途検討されるべきであると記載をされているところでございます。
  8. 森まさこ

    森まさこ君 今御答弁大臣からいただいたとおり、法制審特別部会では、その要否、当否を含めて別途検討されるべきこととされたわけでございます。  それでは、大臣、ここに書いてあります別途検討されるべきこととされたというところにいう別途検討、これはいつするのですか。昨年末、大臣が受け取られました刷新会議報告書でも三年後の見直しを含め検討すると記載されていますので、大臣から検討のスケジュールをお示しくださいますか。
  9. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 私、先日委員から御質問がございまして申し上げたところでございますが、法制度につきましては、社会情勢変化等も踏まえつつ、時代に即したものとなるよう不断の検討を行っていくということが重要であると、これは基本的な認識でございます。  この被疑者取調べへの弁護人の立会いにつきましては、法務検察行政刷新会議、これは委員法務大臣のときに立ち上げられた会議でございまして、報告書も出されたところでございますが、そこの中におきましては、弁護人の立会いの是非も含めた刑事司法制度全体の在り方について、社会変化に留意しつつ、中略でありますが、幅広い観点からの検討がなされるよう適切に対応することとの御意見をいただいたところでございます。  私からは、このことにつきまして様々な分野の様々な視点での幅広い御意見をいただいたところでございますので、これをどのように対応していくのかということも含めまして、いろいろ分野がございますので、その意味で適切に対応してまいりたいという、こうした物の考え方の中で、刑事局に対しまして適切に対応するよう指示をしたところでございます。法制審議会また法務検察行政刷新会議におきましても様々な御意見、また先ほど申し上げたような記載事項もございますので、刑事司法制度全体の中で適切に対応していくものと考えております。
  10. 森まさこ

    森まさこ君 大臣、ありがとうございます。  大臣は、私が当時立ち上げました法務省刷新会議、この報告書を受けて、公文書の取扱いや決裁の在り方などについては法務省ガバナンス会議を立ち上げてくださいましたし、また、今ほど議題にしております弁護人取調べへの立会いを含めた捜査全般在り方については刑事局指示をしてくださいました。大変有り難く思っております。  ただ、その大臣指示を踏まえて刑事局が何をしているかと申しますと、指示を踏まえた後に、私のこの委員会での質問に対して、導入しないこととされたという過去一回もしていない答弁大臣にさせるなどしておりまして、本当に大臣指示を踏まえてこの取調べ弁護人立会いの問題について検討をしているのか、非常に疑問に思っております。  そこで、大臣におかれましては、大臣指示をした後に刑事局において具体的にどのような作業をしているのか、いま一度確認をしていただきたく思います。例えば、立会いについては、立会いを求めたのに拒否されたなどの現場における個別具体例検討することも必要であると考えられます。弁護士皆様方からはこのような実務における具体例を私の方にいろいろと聞いておりますので、こういったことを実務者レベルで日弁連などの弁護士の皆さんと法務当局との協議の場を設けてはいかがでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。
  11. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) これ、刑事局の方に指示をしたところでございまして、刑事司法制度全般のこの手続に係る大変重要な項目の一つであると認識をしております。  当初、私、今冒頭の答弁で申し上げたとおり、刑事訴訟法また刑事のこの手続に関しましては絶えず見直しをしていくべき事柄であるということで、検察行政刷新会議の中での御提言もそのような趣旨でしっかりと位置付け、そして認識をした上で指示をしたところでございます。  どのようなやり方で対応していくのか、改めて刑事局の方に、少し私の方からその内容につきましての動きについてはフォローというかさせていただきまして、またそのような方向性につきましてどう考えているのかということも併せて考えてみたいというふうに思っております。
  12. 森まさこ

    森まさこ君 ありがとうございます。  大臣の方で指示の後、刑事局で何をされているか御確認いただくということでございました。今ほど私の方で提案をいたしました、実務者レベルでの弁護士法務当局との協議の場を設置することについても検討お願いしたいと思います。  それでは、次の質問に入らせていただきます。  少年法でございますけれども、少年再犯率成人再犯率がよく比較されますが、十八歳、十九歳の年長少年の再入率若手成人、二十代や三十代の若手成人の再入率を比べるとどうでしょうか。つまり、少年全体と成人全体という大きなグループではなく、年の近い十八歳、十九歳と二十代、三十代の再入率を比べるとどうですか。法務省お願いします。
  13. 大橋哲

    政府参考人大橋哲君) お答え申し上げます。  平成三十年の少年院出院者の二年以内の再入院率につきましては九・七%となっております。一方で、三十歳未満受刑者平成三十年出所の三十歳未満受刑者の二年以内の再入率につきましては九・二%ということになっております。
  14. 森まさこ

    森まさこ君 データでは若手成人の方が若干低いというような今お話がありましたが、ほぼ似通った数値になっていると思います。実は、犯罪白書を私も読み込んでみましたが、このようにジェネレーションごとに細かく見ていきますと少しずつ上がっているということで、年の近い者は再入率はほぼ似通ったような傾向を示しております。  私は、やはり実質的に重要なことは、可塑性に富むこの年代、そして脳の研究でも分かってきた若い世代、まあ二十五や二十六歳までもやはり脳というのは発達している、その年代方たちに対する処遇というのは、少年院であっても少年刑務所等であっても、その更生、そして再犯防止に資するものとするため、教育的処遇をしていくことこそが大事だと思います。  実際の現場においてどのような教育的処遇をしているのか、少年刑務所等の例をお示しいただきたいと思います。
  15. 大橋哲

    政府参考人大橋哲君) お答え申し上げます。  刑事施設におきましては、個々の受刑者の特性に応じまして改善指導教科指導等矯正処遇を実施しているところでございますが、特に少年受刑者につきましては、その可塑性に期待し、精密な処遇調査に基づく処遇要領を作成した上で、個別担任を指名し、面接、日記指導等の個別に行う指導も行っております。  また、改善更生及び円滑な社会復帰のために学力向上が必要な受刑者に対しましてはその学力に応じた教科指導を実施しておりまして、その一環として、一部の少年刑務所におきまして、近隣高等学校の協力の下、当該学校通信制課程受刑者を編入させて、刑期の中で卒業に至らせるまで綿密、丁寧な指導を行う取組を行っております。  このほか、文部科学省との連携により、少年院と同様に、刑事施設内におきましても高等学校卒業程度認定試験を実施しております。なお、刑事施設における同試験令和二年度の実績は、受験者数三百九人に対しまして、一科目以上の合格者が二百九十六人であり、うち百三十六人が高卒認定合格者となっております。  少年法改正等特定少年を含む若年受刑者処遇につきましては、法制審議会答申等を踏まえまして、少年院矯正教育知見等を活用しながら、教科指導を始め、これまで長年にわたり培ってきた少年受刑者に対する処遇内容処遇方法等を生かして充実させるよう検討してまいりたいと考えております。
  16. 森まさこ

    森まさこ君 私が大臣時代ですが、当時の副大臣であった義家大臣が強いリーダーシップを持って、この少年刑務所等における少年高卒高校卒業又は高卒認定を得るように働きかけてくださいました。  それでは最後に、そのような現状を踏まえて、法成立がもしなされましたら、十八歳、十九歳の者が少年刑務所等に入った場合の処遇を現在よりもより可塑性に配慮したものにいくため、少年院等やり方も取り入れていくお考えはありますか。
  17. 大橋哲

    政府参考人大橋哲君) お答え申し上げます。  法制審議会答申におきましても、少年院知見を使っての少年受刑者処遇充実ということが言われておりますので、今後、少年受刑者に対しましても、少年院で培った知見、ノウハウを活用して少年受刑者処遇充実に努めてまいりたいと考えております。
  18. 森まさこ

    森まさこ君 終わります。ありがとうございました。
  19. 真山勇一

    真山勇一君 立憲民主社民会派真山勇一です。よろしくお願いします。  少年法質疑を行う前に、名古屋入管における問題について何点かお伺いしたいというふうに思っています。  名古屋入管で亡くなったスリランカ人女性の問題ですけれども、おととい、十六日、日曜日ですね、名古屋入管で亡くなったウィシュマさんの葬儀が執り行われました。スリランカから急遽来日したウィシュマさんの二人の妹さんいらっしゃるわけですけれども、この葬儀の場でやっと御遺体と対面できたというふうに伺っております。妹さんたちは、対面されたとき、もうほとんど立っていられない状態で、棺を抱きかかえるようにして泣き崩れていたというふうに参列した議員から聞きました。  上川法務大臣、それから政務三役、佐々木長官、それから名古屋佐野局長、こうした方々については事前に葬儀のお知らせをしまして、出席していただきたいというお願いをしていたわけなんですけれども、残念ながらどなたも御参列されなかったというふうに伺っております。非常に残念なことです。  上川大臣大臣がなぜ参列されなかったのか。それから、ほかの方にも是非参列ということになっていたんですが、参列しなかったのはなぜでしょうか。
  20. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) まず、私から御説明させていただきます。  お話しいただきましたように、私自身名古屋の御葬儀には参列をしておりませんけれども、今日以降、御遺族皆様方東京にお越しになられるというお話を承っておりまして、御意向とそれから御日程が許せば是非お目にかからせていただき、これまでの経緯あるいは今入管庁としてどのような調査をしているかなどにつきましてできる限り丁寧に御説明をさせていただきたいと思っておりまして、そのときに是非お悔やみ申し上げる気持ち、そしてウィシュマさんに対するお悔やみ気持ちをお伝えしたいと思っているところでございます。
  21. 真山勇一

    真山勇一君 今日、東京にいらっしゃることを伺っています。やはり是非面会をしていただいて、妹さんたちから、妹さんたち思い是非しっかりと聞いていただきたいというふうに思うんですけれども、その席でお悔やみというよりは、やはり是非参列していただきたいというふうに言っていたわけですから、どなたかが参列されるというふうな誠意をやはり示していただきたかったというふうに思うんですね。もう亡くなられたのは前ですし、葬儀予定もお知らせしているわけですから、東京へ来てからお会いになって、そこでお悔やみ申し上げる、これも必要なことですけれども、やはりもう少し早めに誠意をきちっと示すということが大事じゃないかというふうに思うんです。  今日出てこられたら会うということは、もうそれは予定に組まれているのか確認をさせてください。
  22. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) 出入国在留管理庁との面会といいますか、お目にかかることにつきましては、今、復代理人の方を通じて御連絡中でございます。私ども、準備がありますので是非ということを投げかけている、調整中でございます。
  23. 真山勇一

    真山勇一君 そちらは、法務省はどんなメンバー、もちろん私は大臣是非出ていただきたいとは思っています。  それから、スリランカからいらしているので、やっぱり通訳とか弁護人なにかもできれば立ち会うということも必要じゃないかと思っています。いかがでしょう。
  24. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) 私は、是非お目にかからせて御説明をさせていただきたいと思っています。  それから、今委員指摘通訳につきましては、もちろん私どもで準備をする予定でございます。
  25. 真山勇一

    真山勇一君 弁護士さんはいかがでしょう。
  26. 佐々木聖子

    政府参考人佐々木聖子君) 御遺族皆様方復代理人弁護士さんは、もしこの調整が相整えば御帯同なさると思いますので、もちろんその会には入っていただく予定です。
  27. 真山勇一

    真山勇一君 大臣は会われますね。
  28. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) スリランカから御遺族の方が来日をされました。コロナ禍でございまして、十四日間の隔離をするというそうした手続の中で、来日してから長い時間がたっております。その上で、御葬儀をなさり、そしてまた昨日は名古屋の方に、また今日は東京ということでございます。  私自身はこれまで、大臣法務大臣としてお目にかかるということについては、これは様々な調査をしている状況もございまして、会う予定はないというふうに申し上げてきたところでございます。しかし、今、御遺族の方の思いを、深く思いをはせてみましても、私自身も人の親でございまして、そのお気持ちに寄り添う気持ちというものについては内心の声としてお悔やみをしっかりと申し上げたいと、こういう思いでいっぱいであります。  今、御遺族の方にお会いができるかどうかということ、特に一人の人間としてお会いをすることができるかどうか、これは相手の方の御判断というふうに思いますが、私の方からそのようなことの機会をつくっていただくべくお願いをしているところでございます。
  29. 真山勇一

    真山勇一君 是非お会いしていただきたいというふうに強くお願いしたいというふうに思うんです。  やっぱり、お姉さんが、ウィシュマさんが日本で英語を教えたいという希望を持ってこちらへ来られて、妹さんたちもお姉さんをやはり喜んで送り出した。それが突然こういう不幸な出来事になってしまった。一体何が起きたのかということをやっぱり妹さんたちは知りたいと思うんですね。そういう思いでやはり自費で今回こちらへ来られたんじゃないかというふうに思っています。  コロナという状況の中で本当に大変だと思うんです。そういう中でも来日して、お姉さん、やっぱりこのお姉さん存在というのは二人の妹さんたちにとっては大きな存在じゃなかったか、三人姉妹の希望の星じゃなかったかと思うんですよね。やっぱり、その方が亡くなってしまった、一体なぜ、あの丈夫で元気で何も病気したことなかったというふうにおっしゃっていますけれども、そのお姉さんが突然亡くなっちゃうということなわけです。その原因はやっぱり何なのか知りたいという思いでいらっしゃったと思うんですね。  やはり、その真実を知りたいという思いで今回お会いするんじゃないかと思うんですね、大臣を始め法務入管当局に。ですから、是非この辺をしっかりと受け止めていただきたいということと、それからやはり、二人がその真実を知るためにはやっぱりどうしてもビデオを見せていただきたい、そういう思いを述べているわけですけれども、是非ビデオを開示していただきたいというふうに思うんですが、これについてはいかがでしょうか。
  30. 松本裕

    政府参考人松本裕君) お答え申し上げます。  御指摘の今回の事案のビデオにつきましては、ある程度の日数にわたりまして、収容施設の設備や職員の状況、さらには亡くなられた方が寝起きされるなどの様子が撮影されているものでございます。  このビデオを開示することにつきましては、保安上の観点からの問題等があることに加えまして、仮に、例えば、この点が取り上げられますと、今調査に入っていただいております第三者の方々に先入観なしに調査をしてもらうことが困難になるおそれがあるという問題がございまして、相当ではないと考えているところでございます。
  31. 真山勇一

    真山勇一君 今幾つか、つまり開示できないということですね、今のそういう挙げられた理由でね。余り私は説得力があるというふうに思わないんですけれども。  それから、今おっしゃったの、膨大な量のビデオがあるということは存じ上げています。やはり記録を取るということでね、あると思うんですけど、それを何も何十時間分も見せてくれと言っているわけじゃないんですよね。やっぱり一番大事なところですね。例えば、例を挙げれば二月の六日だと思っています、あの内科医先生から診察を受けたあの前後とかですね、例えば。それから、亡くなる直前の三月の四日、亡くなっているのが三月六日ですから、四日の日に精神科医先生の診断も受けているわけですね。  そういうような状況の中で、その後突然急変して亡くなられたわけですけれども、やっぱりその直前ウィシュマさんがどういうような感じだったのか、どんなふうな様子だったのかということは、やっぱり亡くなったことをその妹さんたちが知るとっても大事なことだと思うので、そういうところに限って見せていただくという、その保安上の理由といっても、名古屋入管の建物、ここが何とかだ、ここがどこそこですって、別にそういうことを見たいということじゃなくて、そのウィシュマさんがいらっしゃったお部屋のところとかウィシュマさんがどんな様子だったかという、そういうかなり限定したものというふうに考えているんです。それでもやっぱり今おっしゃったような理由は成立すると思いますか。
  32. 松本裕

    政府参考人松本裕君) お答え申し上げます。  保安上の理由と申し上げている中には、例えばこのカメラの撮影範囲とか解析度、こういったところも含まれているところでございます。そういう意味では、委員指摘問題意識を踏まえましても開示することは困難であると考えているところでございます。
  33. 真山勇一

    真山勇一君 いやいや、それ、どういう意味かよく分からないんですけど。  私も、申し訳ないですけど、前の仕事はテレビの世界で、映像の世界で仕事してきました。カメラの解像度とか、どういうカメラを使っているかというのが分かってしまうとまずいんですか。答えてください。
  34. 松本裕

    政府参考人松本裕君) 被収容者を収容しております居室につきまして、どういう形で監視カメラが配置されていて、その撮影範囲がどの範囲である、あるいはその解析度がどの範囲であるというところは、我々といたしましては保安上の重要な要素の一つであると考えているところでございます。
  35. 真山勇一

    真山勇一君 部屋、まあ私、想像力ないのかもしれませんけど、ウィシュマさんが収容されていた部屋があって、そのどこかにカメラが付いていて、そのカメラでウィシュマさんが映っていることが、そんなに保安上に何か大きな秘密とか漏れてはいけないものが映る可能性があるということですか。
  36. 松本裕

    政府参考人松本裕君) 保安施設の性格といたしまして、そのビデオ、監視カメラがどの範囲で撮られているのか、その解析度がどの程度のものなのかというのは保安上の重要な要素の一つと認識しているところでございます。
  37. 真山勇一

    真山勇一君 今もうカメラってみんな性能いい。名古屋入管で使っていらっしゃるカメラって、そんなにその性能にばらつきが例えばあるとか、あるいは物すごく普通の市販で売っているカメラと違って高性能で、何か普通では映らないものが映るとか、そういうことがあるんですか。
  38. 松本裕

    政府参考人松本裕君) お答え申し上げます。  そういった点につきましても、まさに保安上の理由でお答えできないという状況でございます。
  39. 真山勇一

    真山勇一君 これ、幾らきっとお互いにお話ししていてもそういうことになっちゃう。保安上の理由って、私はどうもそれはよく分かりません。じゃ、そんなに要するに公開したらまずいものがあるのかという疑念が一つありますね。なぜそこにこだわるのかというのが一つあります。  それから、別にこのビデオを私たちは公開してくれとお願いしているんじゃないんですよ。公開するんじゃないんです、一般的に。そうじゃなくて、見せていただきたい。しかも、見せていただく方も、妹さんお二人、それから関係者、限定された関係者、それからあとは私たち会議員、やはり真相究明、調査をしたい、ですから見せてくださいと言っているんですけど、それが保安上の問題になるんでしょうか。
  40. 松本裕

    政府参考人松本裕君) 限られた形で御覧いただいたといたしましても、その内容等が取り上げられることによりまして保安上の支障が生じると考えているところでございます。
  41. 真山勇一

    真山勇一君 保安上の理由一点張りで断るという気がするんですけれども、やっぱりこれ、何か保安上以外でその例えばビデオを公開しちゃいけない理由というのはあるんでしょうか。
  42. 松本裕

    政府参考人松本裕君) 保安上の理由に加えまして、亡くなられた方の尊厳、名誉というところの配慮の必要もございますし、さらに、現在調査に入っていただいている第三者の方々を含めた中立公正な調査結果に向けての作業に影響を及ぼす可能性もあるというふうに認識しているところでございます。
  43. 真山勇一

    真山勇一君 今、私、公開とお願いしたんじゃない、公開じゃなくてあくまでも開示ですね。開示なんですよ、お願いしているのは。  それで、今のはやっぱり納得できないですね。だからこそやっぱりきちっと見せていただきたいという、そういう思いがします。  是非上川大臣、今日お会いになってくれるということを私は確信していますし、是非お会いになったらこの辺もきちっと妹さんたちに伝えていただきたいんですが、いかがですか。
  44. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 遺族の方とお目にかかることについては、本当に心からのお悔やみを申し上げますとともに、この来日中については、私ども法務省におきましても指示をしておりまして、しっかりと御意向に沿うように対応するようにということで指示をしてまいりました。  そうした場面があるとするならば、私としてはお二人の妹さんのお気持ちというものをしっかりと承りたいというふうに思っております。
  45. 真山勇一

    真山勇一君 もうこの件はこれで終わりにしたいんですけど、やっぱりビデオを妹さんたち、はるかスリランカからいらっしゃったお二人にやっぱり見ていただいて、お姉さんはこんな状態だったんだよということがやっぱりお二人が納得できるような、そのためにも是非このビデオは見せていただきたい。そして、少しでも真相究明に役立たせるというその姿勢を是非見せていただきたいというふうに思います。  調査報告書も、中間発表が出たきり、大臣は速やかに速やかにと聞かれるたびにお答えになっていますけど、なかなか速やかにいかないみたいですね。やっぱり今、国会ももうだんだんだんだん迫ってきているわけですから、やっぱりこの国会の会期中、しかもこの後、この委員会では入管法というまさにこの問題の核心になる法案も来るわけですから、来るかどうか分からないけど、来るかもしれない、そういうこともあるんですから、ですからやっぱりそういうことに対して誠意ある態度を取っていただきたい。これは是非ビデオの公開も、これはもう本当に切に大臣お願いしたいというふうに思っております。  ここで入管法の方は終わりまして、入管の方の質問は終わりまして、少年法の方の質問に入りたいと思います。  ちょっと時間がないので、まず取りかかる面の、伺いたいことをまず取り上げます。  今回の少年法の改正案の質疑、私、感じたことは、まず少年の犯罪を減らそうというための法改正なんだろうかと。それからもう一つ、不幸にして犯罪に走ってしまった少年社会復帰のための更生、健全育成を助けるものになっているんだろうか、そういう疑問を持ってきております。  で、私がちょっと今日お伺いしたいのは、資格制限についてです。資格制限って余りまだ取り上げられてないようですけれども、この問題、罪を犯し、裁判にかけられて、有罪などの判決によってはその免許あるいは資格試験、つまり、やりたい仕事ができない、そこの、そうしたことに制限が掛けられるということがあるわけですね。やっぱりこれは、私は、やっぱり犯罪を犯して社会へ復帰したときに、戻ってきたときに、その人が更生するかどうかというのは、一番大きいことは、仕事を持ってちゃんと収入、生活安定できるかということがとても大事なことじゃないか。  私、やっぱり保護司という経験をしていて、仕事を見付けてあげて、その仕事にきちっと就いて生活が安定させるということがすごく難しくて、やはりなかなかそうはいかなくて途中でどこか行ってしまったりとか、いろんなことありました。やっぱり自分で更生して働いてお金を稼ぐということは大事だと思うんですが、この資格制限のある職業、つまり、こうした、判決によっては就けない職業があるというんですが、それをちょっと全て挙げていただきたいんですけれども、それはいかがでしょうか。
  46. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えをいたします。  刑による資格制限の対象となる資格につきましては、資格制限を定める法律が極めて多数に上りまして、所管する府省庁も多岐にわたるため、網羅的にお示しすることは困難でございます。  その上で、一つの例を挙げさせていただきますと、例えば国家公務員につきましては、国家公務員法により、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者が欠格事由とされているところでございます。
  47. 真山勇一

    真山勇一君 今一つの例だけではやっぱりちょっと不十分じゃないかと思って、当然、今回の改正に当たって、どういうものがこの資格制限になるかということが分かってなくちゃいけないと思うんですね。多岐にわたって大変かもしれないけど、なるべくまとめて、一つのそのまとめた表というか一覧表みたいなものを出していただきたいんですけど、いかがでしょう。
  48. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えいたします。  十八歳以上の少年につきましては、保護処分は相当でなく、刑事責任を負うべきものと判断され、さらに、処せられた場合でも、業務の性質や実情を問わず、年齢だけを理由として一律に資格制限を緩和するのは責任ある主体としての立場等に照らし適当でないことから、資格制限を緩和する少年法六十条の特則は適用しないこととしたものでございます。  他方、平成二十九年十二月に閣議決定された再犯防止推進計画では、犯罪を犯した者等の就労推進の観点から、需要が見込まれる業種に関し前科による資格制限の在り方について検討を行い、必要に応じた措置を実施することとされているところでございます。この一環として、法務省におきましては、平成三十年度に協力雇用主に対するアンケート調査を実施したところでございますが、現在までに必ずしも具体的なニーズの把握に至っていないところでございます。  もっとも、とりわけ若年者の再犯防止社会復帰を図る上で就労の促進は重要であると、重要と認識しており、本改正を機に、前科による資格制限の在り方について関係府省と連携し……
  49. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 時間ですので簡潔な答弁お願いしたいと思います。
  50. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 政府としてしかるべき検討の場を設けた上で必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
  51. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 質疑者の質問に対して誠実に答えてください。  真山勇一君、時間が過ぎておりますのでおまとめください。
  52. 真山勇一

    真山勇一君 いや、御誠実に説明していただいたのは分かりますけど、私、時間が過ぎているけど、これだけは言わせてください。  私が求めているのは、だって、法改正して資格制限が、こういうことが取り入れられているんですから、どういうものがなるかというリストですね、仕事。で、今、多岐にわたってたくさんあるという、分からない、分からないじゃ、それはおかしいですよ。やっぱり、こういうものは駄目なんだということをやっていただかなくちゃいけないんで、分かる範囲で結構です、そのリストを出していただきたいんですが、これは委員長お願いします。
  53. 山本香苗

    委員長山本香苗君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において御協議させていただきます。
  54. 真山勇一

    真山勇一君 ありがとうございました。済みません、終わります。
  55. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。  前回質問の続きの、少年法に関して質問させていただきます。  保護処分が犯情の軽重を超えない範囲でならなければならないとする点についてというところで、処遇期間について前回途中で終わったところなんですけれども、一点確認をさせてください。  家庭裁判所が犯情の軽重を考慮して収容期間を定める場合、どのような定め方をすることが想定をされているのかと。例えば、三年とか二年十月、二年六月など、どういう、小刻みに設定をすることができるのかどうかというところですね。犯情といっても、犯罪の性質、態様、被害等幅広く含む概念であり、余り小刻みに決定をすることは、発達途上の少年に対するものとしては適切さを欠き、処遇機関の処遇にも支障が生じるのではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  56. 手嶋あさみ

    最高裁判所長官代理者手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  立案当局の御答弁を踏まえますと、本法律案少年法第六十四条第三項の収容期間を定めるに当たっては、家庭裁判所は、要保護性の程度等、処遇必要性に関わる事情を基本的に考慮せず、犯した罪の責任に照らして許容される限度を上回らない範囲内で許容されるだけ長く少年院に収容することができる期間の上限を設定し、処遇機関において、家庭裁判所の定めた期間の範囲内で対象者の状況等に応じて必要な期間の施設内処遇及び社会処遇を行うことになるものと承知しております。  この点、法制審議会の御議論におきましても、刑事裁判における刑の量定のように、一般情状も考慮して事件ごとにピンポイントの収容期間、刑事裁判でいうところの刑期を定めるというのとは若干性質が異なるとか、家庭裁判所が行う収容期間の決定というのは、例えば本件のような行為については一年以下が相当とか、あるいは三年以下が相当とかいったような形で、ある程度類型化された抽象度の高い判断になるのではないかとか、家庭裁判所においては、施設に送致するという処遇選択をした上で、犯した罪に対する責任の範囲内でその上限に対応する施設収容処分の上限期間を決定し、その後、処遇機関において、家庭裁判所が決定した処分の期間内で対象者の状況等に応じて収容を継続する仕組みとするのが望ましいということになろうかと思います、この場合の処分期間の定め方はある程度ざっくりしたものになると思いますといったような趣旨の御指摘があったものと承知をしております。  具体的な運用につきましては個別の事案において各裁判体が判断することになりますけれども、裁判所としましては、改正法が成立した際には、以上のような国会での御審議や法制審議会での御議論を踏まえ適切な運用に努めてまいりますし、最高裁判所といたしましても、立法趣旨についての十分な周知を図るなどして、各裁判体において適切な運用が行われるよう努めてまいる所存でございます。
  57. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 次に、処遇内容に関連をしてお伺いをいたします。  今回、十八歳、十九歳の特定少年少年院送致をされた場合、従来の運用と同様に、第五種少年院在院者以外は上限期間内においてその処遇状況を踏まえて仮退院や退院できるということで変わりはないかということを確認させていただきたいと思います。  例えば、従来の運用では、処遇勧告の付かない少年の場合、約一年をめどに個人別矯正教育計画が策定をされ、計画どおりに進めば一年程度で仮退院をさせ保護観察に移行するものというふうな流れになるということを承知しておりますけれども、この運用自体には変わりはないということでよろしいんでしょうか。
  58. 大橋哲

    政府参考人大橋哲君) お答え申し上げます。  法が改正された場合、十八歳以上の少年少年院送致となった場合は、あらかじめ収容期間の上限が定められるところでございますけれども、その処遇につきましては、現行制度と同様に、対象者を少年院に収容してその犯罪的傾向を矯正し、健全な心身を培わせ、社会生活に適応するために必要な知識、能力を習得させることを目的として矯正教育を行うこととしております。  仮退院や退院の取扱いにつきましては、定められた収容期間の範囲内で、現行と同様に、その処遇状況を踏まえて運用されることを想定しております。
  59. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 今後、特定少年に対する少年院での処遇内容は現状と変わりはないかということに関してはいかがでしょうか。
  60. 大橋哲

    政府参考人大橋哲君) お答え申し上げます。  少年院における矯正教育につきましては、法務教官との深い信頼関係を基盤としまして、個々の在院者の年齢、発達の程度、資質の特徴等に応じて個別指導と少人数での集団指導を組み合わせて計画的に行っており、特定少年に対する処遇につきましてもこれまでと同様に実施していくこととなります。  さらに、特定少年矯正教育につきましては、新たに民法上成年になり、自律的な権利義務の主体として積極的な社会参加が期待される立場になるという点で共通の特性を有することから、外部有識者らによる検討会において、特定少年にふさわしい教育の在り方について議論を重ねてきたところでございます。議論の中で、具体的には、非行の反省と責任の自覚の喚起を組み合わせつつ、社会参加に必要な知識の付与など新たなプログラムの導入、あるいは時代のニーズに対応した職業指導種目の設置などについて取り上げられておりまして、少年院での処遇に取り入れる検討を進めることとしています。  引き続き、現在の知見やノウハウを基盤としつつ、個々の特性に応じた適正で有効な矯正教育を実施できるよう努めてまいります。
  61. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 保護観察の処遇内容についてはいかがですか。
  62. 今福章二

    政府参考人(今福章二君) お答え申し上げます。  今回の法改正によりまして、保護観察における処遇の目的や処遇の基本的な枠組みには変更はございません。  その上で、少年法第一条が定める目的である少年の健全な育成を期しつつ、それぞれの特定少年に最もふさわしい処遇を選択し、実施していくことが重要であると考えておりまして、これまでの保護観察所による処遇の蓄積を生かしながら、特定少年にふさわしい処遇充実に努めてまいりたいと考えております。
  63. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 この保護観察に関連しまして一点確認をさせていただきたいんですが、保護観察期間内において保護観察を継続する必要がなくなったと認めるときには保護観察を解除するという取扱いについても変わりはないということでよろしいでしょうか。
  64. 今福章二

    政府参考人(今福章二君) お答え申し上げます。  特定少年に対して保護観察処分が付された場合でありましても、更生保護法第六十九条の解除の規定をそのまま適用するとしていることから、その取扱いに変わりはございません。
  65. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 ありがとうございます。  次に、今回、十八歳、十九歳に虞犯が適用されないというふうになるという点に関連をしてお伺いをさせていただきます。  これまでにも事実上、この虞犯による対応というのが事実上最後のセーフティーネットになっているというような事案が多くあるということも共通の認識としてあるかと思います。ただ、今後は、単純にこれらに対して警察による補導を強化するということではなく、福祉行政という観点からも取組を深めていくことが求められます。本会議質問させていただいた際、菅総理から、十八歳、十九歳の者を含む少年の健全な育成、非行防止のため、官民一体となった取組の充実強化に努めてまいりますというふうな答弁をいただいております。  ただ、現状では、特にこの特定少年で対応困難な状況というような場合に対する支援は、居場所づくりなどの対応であったり、またアウトリーチ型などといったアプローチの仕方も含めて、公共よりも民間に委ねられているというのが多いというのも実情としてあると思います。現実に、例えば弁護士が中心になって設立、運営をしている子供シェルターも全国的に展開をされております。ここでも本当に熱心に関わってくださっている中で、子供に関わる弁護士が、関係機関や保護者との交渉などが必要な場合には日弁連の法律扶助を利用しているというふうにも聞いております。  こういうようなところを本当に担ってくださっている役割の大きさから考えたときに、やっぱり公共、国なり行政なりという形の支援というのがしっかりと入っていかないことには、長続きをしていくことが難しくなる、あるいはもっと深く寄り添っていくことが難しくなるという現実の困難が伴ってくるかと思います。この民間団体が担ってくださっている役割、それに応じて本当にこの見合う支援がなされていくべきだというふうにも考えます。  財政面も含めた民間団体に対する支援の強化について、厚生労働省にお伺いをいたします。
  66. 岸本武史

    政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。  十八歳及び十九歳の子供に対する居場所の確保や相談支援につきましては、現状、十八歳になる前に既に児童養護施設等に入所されていた子供につきましては必要に応じ二十歳まで入所措置延長が可能でありますほか、施設を退所した子供等、これは措置解除者だけでなく自立生活援助が必要と認められる方を含むものでございますが、共同生活を行う住居において日常生活上の援助等を行う自立援助ホームにおきまして、二十二歳の年度末までの間、支援対象とすることができることとなっております。  このような子供の支援につきまして、御指摘のとおり、自立援助ホーム等だけではなく、家庭に居場所のない子供を緊急避難的に受け入れる子供シェルターのような民間団体による取組についても、子供の安全確保や自立支援の観点から重要な役割を果たしていただいているものと考えております。このため、自立援助ホームの職員配置基準等を満たしている民間の子供シェルターにつきましても、職員の人件費や入所者の生活費などの運営費の補助が可能となっておりまして、この旨は本年三月の全国会議におきましても各自治体に周知を行ったところでございます。  子供の支援に当たりましては、引き続き民間団体とも連携を図りながら必要な体制整備を進めてまいりたいと考えております。
  67. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 しっかりよろしくお願いいたします。  次に、保護司について二点お伺いをさせていただきます。  地元で保護司の皆さんからお聞きをした声になります。社会内での少年への関わりとして、特定少年に対してもやはり保護司の関わりという、その役割というのが大きいものだというところも認められるところだと思います。ただ、現実、実際に活動を本当に熱心にされておられる保護司の方からの声としては、なかなかこの保護司の現実を踏まえた改善に向けた意見、要望を受け止める場として保護観察所の懇談だけではうまく機能していない、なかなか声を聞いてもらう場所がないんだというふうにお聞きをしております。この保護司の声を聞く場づくりに更に国としても尽力すべきというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
  68. 今福章二

    政府参考人(今福章二君) お答え申し上げます。  保護司の皆様の御意見、御要望につきましては、日頃の保護観察官との意見交換のほか、保護司会など保護司組織等、様々なレベルで行う協議会などを通じましてお伺いをしているところでございます。しかし、昨年度来のこの新型コロナウイルスの感染症の拡大を受けまして、協議会等の中止や延期を余儀なくされ、その機会は減少している現状にあると承知しております。  ただし、委員指摘のとおり、保護司の方々から御意見、御要望を伺うことは大変重要であると認識しておりますので、例えば、全国保護司連盟などの保護司組織とともに、例えば若い保護司から率直な御意見を伺ったり保護司の代表者の方々から保護司活動の在り方について御意見を伺ったりする場などを積極的に設けてまいりたいと考えております。
  69. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 積極的に進めていただきますようよろしくお願いいたします。  その中で、今回いただいた意見、一つ、改善要望なんですけれども、保護観察を担当する際に、保護観察所から保護司に宛てて対象者の資料が交付をされます。これが全て普通郵便で送付をされてくるというふうに聞いております。大変重要なプライバシー性の高い資料ですね、対象者の生い立ちから事件のことから本当に深く書かれているものでもありますので、万が一の事故も想定すると、書留郵便など、少しでも第三者に漏えいするおそれの少ない方法を取るべきではないかという意見なんですけれども、この点、法務省はいかがでしょうか。
  70. 今福章二

    政府参考人(今福章二君) お答えいたします。  保護観察所から保護司さんに対して資料などをお送りする場合の郵便方法につきましては特段の定めはございませんが、簡易書留郵便などの方法により送付することを妨げるものではございませんが、一般的には普通郵便によっているというふうに承知をしております。  もっとも、委員指摘のとおり、保護観察所と保護司さんの間におけるプライバシー性の高い書類のやり取りにつきましては、これを安全かつ負担の少ない方法で行う必要性がございますため、今年度から、保護司が作成する報告書の提出をインターネット上で行うための専用ホームページを開発、運用するなど、保護司活動のICT化を進めているところでございます。そして、このホームページにつきましては、今後、情報セキュリティー等にも留意しつつ、保護観察所が作成する資料を保護司さんが閲覧できるようにすることなどを検討してまいりたいと考えております。
  71. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 済みません、一点確認なんですけど、今その専用ホームページで保護司の方から出すということについては言及されたかと思うんですが、資料を保護観察官の方から送っていただく、保護司に、という点についてもその専用ホームページを使うということですか。
  72. 今福章二

    政府参考人(今福章二君) ただいま委員指摘のとおり、今後の検討の中身といたしまして、保護観察所からお送りしているプライバシー性の高い書類等につきまして、一旦ホームページに上げまして、それを保護司さんの方から個別にアクセスできるようになる、すなわち送付するのと同じ形になるような形を考えております。
  73. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 今後の検討というところに係るのかと思いますけれども、しっかりその秘密漏えいをどう防ぐのかというところと、また迅速に確実に届くというところの方法をしっかりと検討、で、早期に改善をしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、資格制限についてお伺いをいたします。  この資格制限につきましても見直しに対する検討が今なされております。本会議で菅総理からも、若年者の再犯防止社会復帰を図る上で、就労の促進は重要であることを前提に、就労の対象となる業務の性質や実情等を踏まえつつ検討を進めてまいりますというふうな答弁がなされております。  各府省庁多く関連するところだとは思いますけれども、やっぱり再犯防止という観点でも法務大臣主導で議論を加速化していくべきと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  74. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 委員指摘のとおり、この十八歳及び十九歳を含む若年者の再犯防止社会復帰を図る上で、この就労の促進は重要でございます。  前科による資格制限の在り方に関しましては、平成二十九年十二月に再犯防止推進計画が閣議決定されまして、協力雇用主に対するアンケート調査でありますとか、各府省庁を対象とした国家資格の制限の見直しに関する要望の有無また検討状況につきまして調査などを実施しておりましたが、現段階に至るまで具体的な方向性を得るには至っていないというのが今の現状でございます。  今後でございますが、本法律案による改正を契機といたしまして、国会における御指摘も踏まえつつ、若年者に焦点を当てた前科による資格制限の在り方につきまして、関係府省と連携をし、政府としてしかるべき検討の場を設けた上で、若年者の社会復帰に際してのニーズ調査、有識者を交えた検討など、必要な取組を責任を持って実施してまいりたいと考えております。
  75. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 今大臣答弁にもありましたけれども、これまで法務省で協力雇用主へのアンケート調査、また各府省庁への調査を実施したということなんですけれども、結果、資格制限を直ちに見直す状況にはないという結論に至ったというふうにもお聞きをしております。  ただ、調査をするに当たって、当事者という観点がここではもう全くないというふうに思います。ニーズがあるから考えるというような、そういう受け身なというか、そういう姿勢ではなくて、現状の中で就労の支障となっている可能性があるのであればもう積極的に取り除くんだと、環境をこちらがつくるというふうに積極的に動くのが国の役割だと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。
  76. 竹内努

    政府参考人(竹内努君) お答えいたします。  まず、委員指摘のニーズ調査でございますが、今回再度実施することを考えているところでございますが、当事者である少年らに対する調査によりましてどの程度現実的な就業のニーズを把握できるかという点も考慮する必要があると思われます。そのため、有識者からの御意見等をいただきつつ、具体的な調査方法についてはなお検討してまいりたいと考えております。  また、当事者等のニーズという視点だけではなく、犯罪をした者等の就労を促進するための環境整備という観点も大事にしつつ、関係府省と連携して必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
  77. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 最後に、大臣にお伺いをいたします。  今回、少年法の改正法に関してですけれども、様々な背景事情であったり、少年法そのもの、また少年院の役割等について多くの誤解がやっぱり世間にはあるという現実がまずあると思います。  この少年法に関連する様々な情報や少年法の役割を広く一般に周知をしていくということがやっぱり何よりもまずは大切な一つかなと思っております。この点、大臣は本会議で、幅広い媒体、手法を活用し、効果的な周知広報に努めてまいりますというふうに答弁をいただいているんですけれども、具体的にどのようにこの点進めていかれるおつもりなのか、よろしくお願いいたします。
  78. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 本改正法が成立した場合におきましては、その趣旨、内容につきまして、若年者にも理解しやすいものとすること、これに十分に配慮しつつ、高等学校等に対するリーフレット等の配布、また保護観察所、少年鑑別所等による関係機関とも連携した各地においての説明会等の実施、さらにインターネット、SNS等を利用、活用した情報発信など、幅広い媒体、手法を活用して効果的な周知広報活動に積極的に努めてまいります。
  79. 伊藤孝江

    ○伊藤孝江君 以上で終わります。ありがとうございました。
  80. 清水貴之

    ○清水貴之君 日本維新の会の清水です。よろしくお願いをいたします。  前回質問をさせていただいたんですが、法制審議会委員や幹事の選定について再度質問をさせていただきます。  というのも、今回の法改正は、法制審議会で何十回も議論を重ねた上、その答申を受けて行われているものというふうに理解をしていますし、そのような答弁をされています。ということは、その基となっている法制審議会そのものが公正なルールに基づいた人選が行われた上で議論を重ねられていることがこれが必要なこと、大前提だというふうに思っているんですけれども、ただ、今日はリストも配らせていただいておりますが、審議会のメンバーは原則は民間有識者からとなっているんですが、非常に行政機関関係者が多く入っているわけですね。これが果たして公平でバランスの取れた人選になっているのかというところに問題意識を持っています。  今日配らせていただいた資料、まず一枚目、二枚目のところなんですが、審議会等の組織に関する指針、審議会等の運営に関する指針ということで、平成十一年、審議会の整理合理化に関する基本的計画というのを政府が作っておりまして、その中に入っているものです。  黄色の線を引いているところなんですが、組織に関する指針では三番で、行政への民意の反映等の観点から原則として民間有識者から選ぶものとする、これ委員ですね。次の運営に関する指針では、府省出身者、二の(一)の①ですが、府省出身者の委員への任命は厳に抑制するというふうに書かれているんです。  原則はもう民間だということが書かれているんですが、まずは、そもそもなぜこのような資格要件が置かれているのでしょうか。
  81. 金子修

    政府参考人(金子修君) 委員の御指摘のとおりなんですが、審議会等の組織に関する指針において、審議会等の委員等については原則として民間有識者から選ぶものとされているんですが、その趣旨は行政への民意の反映等の観点からということになっております。
  82. 清水貴之

    ○清水貴之君 後で人数とかも聞いていきます。  ということは、原則は民間有識者ですよね。これ、なぜこれだけ多くの行政機関関係者がその委員や幹事に入っているんでしょうか。
  83. 金子修

    政府参考人(金子修君) 法制審議会は、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項の調査審議を目的とするものでございます。その調査審議に当たりましては、法律専門的な調査検討を行うとともに、国民各層の意見を適切に反映する必要があると考えております。  したがいまして、法制審議会委員につきましては、基本法令の研究者、法律実務家のほか、実業界、労働界、言論界からの有識者などが選任されており、民意の反映をするようにしつつ、基本法の立案準備作業として綿密、周到な要綱案の作成に関わるということから、行政機関の職員につきましても、基本的法律の立案、運用等に関する専門的知識や行政事務の経験に着目して学識経験者として委員に任命されているものだというふうに承知しております。
  84. 清水貴之

    ○清水貴之君 ごめんなさい、多分それ、次聞く予定質問のところ、先お答えいただいたんですけれども、次聞こうとしていたのが法制審議会。最初お聞きしたのは、なぜこれだけ、厳にと決められているのに民間が入っているんですかということをお聞きしたんですけれども、ごめんなさい、次の質問で、今お答えいただいたところなんですが、法制審議会令という、これ配らせていただいた三枚目の資料なんですけれども、これもう昭和二十四年のものですが、これ見ますと、委員は、二条ですね、学識経験のある者のうちから法務大臣が任命するとなっています。  こうやって見ますと、四枚目、五枚目は委員の名簿、リストなんですけれども、もうかなり行政機関の関係者が入っているということですね。この学識経験者というところにその行政機関お務めの皆さん方が入るのかどうなのかと。何か私のイメージでは、学識経験者というと、やはり大学の先生であったりそういった方々をイメージするんですが、皆さんは学識経験者としてここに任命されているということなんですかということをお聞きして、お答えいただいた、もう一回、もし、簡潔で結構ですのでお願いいたします。
  85. 金子修

    政府参考人(金子修君) 行政機関の職員につきましても、委員指摘法制審議会令第二条の学識経験者として任命されております。  その趣旨につきましては、先ほどちょっと先走ってしまいましたが、基本法の立案準備作業として周到、綿密な要綱案の作成等に関わるという意味で、その基本的法律についての専門的な知見に着目して学識経験者というように位置付けているということになります。
  86. 清水貴之

    ○清水貴之君 今度はその割合を見ていきたいと思うんですが、四枚目の資料が法制審議会ですね、親会の方のメンバーになります。委員は、これ大学の先生とか、もしかしたら省庁出身者、OBの方もいらっしゃるかもしれないんですが、そこまではちょっと調べられませんでしたので、現に今関わっていらっしゃる方は黄色でハイライトしていまして、検察官と、あと裁判所が行政機関かどうかといったらそれは違うと思うんですが、それも、裁判所も含めてこうやってハイライト入れております。幹事はもう全て、今日出席刑事局長も入っておりますけれども、法制審議会委員の中に入っているということです。  これ、割合は、親会の方はそんなに大きくないんですが、部会の方がかなり人数多いんですね、次の五枚目ですけれども。これ、今回のこの少年法刑事法の部会によってこの今回の法改正は議論されたわけですね。ここで上がってきたものを法制審議会の方で最後全会一致ということになっているんですけれども、この部会を見ますと、委員、これ議決権のある委員ですけれども、部会長、議決権ないので除きますと、委員十八名のうち五名が行政機関関係者ということで二八%になります。幹事、これもうほとんど行政機関関係者でして、十六名のうちの十三名が行政機関です。ということは八一%。これ合わせると全体で五一%、半分以上がもう行政機関の関係者で占められているわけですね。  行政機関の皆さんが決してどうこうとか言うつもりはないんですが、基本的にルールとしてやはり民間の意見を様々尊重した上でと、先ほど答弁いただいたとおりなわけですから、やっぱりこれだけ行政機関の方々が入っていることが果たして民間の意見を適切に反映することにつながるのかなということを疑問に思っています。  現に、原則として民間有識者から選ぶ、府省出身者は厳に抑制するとなっていて、ただ、属人的な理由から必要な場合はという場合は、それは原則を、排除はしていないんですけれども、原則があるわけですから、これだったら、何かその特例があるからいいんじゃないかということでもうどんどんどんどん入れていって膨らんでいるようにも感じるんですけれども、この割合というのは適切だというふうに考えていますか。
  87. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 今、法制審のうちの少年法刑事部会の関係でお尋ねですので私の方からお答えをさせていただきますが、先ほど来司法法制部長からも答弁がありますように、法制審議会は、法務大臣の諮問に応じて、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項について調査審議することなどを目的とする諮問機関でございまして、その部会は、専門的見地から、より詳細で綿密な調査審議を行うことを目的に設置されるものでございます。  そして、部会委員は、諮問事項に関する分野における専門的な学識、知見等を勘案して、法制審議会長が総会の承認を得て指名するものとされております。この部会につきましては、先ほども司法法制部長から答弁がございましたように、基本法の立案作業を担うという役割がございます。  また、今般の諮問は、少年法在り方だけではなく、犯罪者に対する刑事政策的措置の在り方についても幅広い検討を求めるものであったこと、さらに、少年法につきましては、弁護士が関わる部分がございますが、一方、行政機関等としても、警察、検察、家庭裁判所、地方裁判所、少年鑑別所、少年院、保護観察所など様々な機関がそれぞれの立場から幅広く運用に携わることから、諮問について多角的な観点から充実した調査審議を行うためには、刑事司法制度の運用に関わる機関等からも幅広く専門的知識や経験を有する職員の参加を得る必要があったものと考えております。  その上で、全体としての構成のバランスも考慮して、先ほど委員が御指摘になったような五名の行政機関等の職員が委員として選任された、選定されたものと承知しております。
  88. 清水貴之

    ○清水貴之君 これ、結果として、部会では、採決の結果は、弁護士会の方二名の方が反対されたと、ほかは全て賛成ということです。法制審議会は、これは答弁いただいているように全会一致で通ったということなんですが、この構成を見て全会一致と言われても、何かやっぱりすとんと落ちないものがあるというふうに思うんですよね。  やっぱりこれだけ、例えば部会でしたら、十八名、議決権を持っている十八名のうち五名が役所出身者ですから、この方々が反対することはまずないですよね。ほかも、大学の先生方々も、どのような基準で選ばれているのかというようなことは分かりませんが、バランスを取ったということですが、ただ、政府に対して余りいい考えを持っていないとか、この法案に対して反対の方というのを省こうと思えば省けるわけです。  民主主義ですから、最終的には採決、議決を通ってということですが、この委員会でもそうなんですが、我々はやっぱり選挙を経て民意をこういった形で反映していると思っているんですが、こういうふうにやっぱり部会で、この委員会でもこれだけ少年法、反対意見も出ている中で、何か全会一致で全会一致でと言われても何かすっきりしない、むしろ反対意見もこれだけありましたけれどもと言われた方が何かすっきりするようなところがあるということで、この審議会のメンバーの選定は何か問題があるんではないかというふうに思ってしまうところがありまして、質問をさせていただいています。  同じような議論が、これ六年前、平成二十七年になるんですけれども、上川大臣にお聞きしたいんですが、これ刑事訴訟法改正案のときにありました。これ、検察でいろいろと問題があったときの法改正の在り方考え部会などでも、当時は衆議院議員の鈴木貴子議員や山尾志桜里議員が積極的にこれは質問をされているんですけれども、当時のこの部会は、これ上川大臣答弁なんですが、委員、幹事で四十名のメンバーのうち、法務省職員を含めての捜査機関に関係する者ということで十四名、三五%がその捜査機関関係者だということで、この辺りやっぱり公正なんですかということで皆さん問題にされています。今回は五一%です、幹事も含めたら。そのときよりも割合が増えているんですね。  で、山尾委員が、この法務省の審議会のメンバー構成を一度是非洗い出していただいて、原則として入っていないはずの行政機関職員がどれだけ入っていて、本当に理由があるのか検討してほしいということを言われて、大臣は、そもそもこの法制審議会あるいは部会の役割ということにつきまして、その中で専門的知識及び経験を有する行政機関職員や府省出身者も含めた形で位置付けることがどういう意味があるのかということも併せて検討するというようなことを言われております。  という答弁が、大臣、六年前にありますので、改めてこの法制審議会、審議会の在り方についてお答えをいただけますでしょうか。
  89. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 委員の御質問のとおり、法制審議会の役割等については先ほど来答弁をしたとおりでございます。また、行政機関職員を委員として任命することの意味につきましても先ほど答弁を申し上げたとおりでございます。  私も、法制審議会また部会の役割、こういったことがやはり制度論の非常に大事なところでございますので、どのような構成にするのかということについては、多様な声をしっかりと聞くことができるバランスの取れた体制というのはこれは極めて重要なことであると認識しておりまして、今もその考えには変わりはございません。  今回の構成につきましても、そうした幅広い意見を述べていただくということで多様な立場の方々委員として任命をしているところでございまして、行政機関職員につきましても、調査審議の充実観点から、この専門的知識、また経験、また運用の現場におきましての実務的な経験、ここが非常に大事なところでございまして、制度は制度として決められること、そしてそれを運用していく、そしてまたサイクルとしてしっかりと回していく、このことが何よりも大事であるというふうに思っておりますので、そういった幅広い観点からの構成ということで心してまいりたいというふうに思っております。
  90. 清水貴之

    ○清水貴之君 是非よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  91. 川合孝典

    ○川合孝典君 国民民主党の川合孝典です。  名古屋入管における被収容者の死亡事案について確認をさせていただきたいと思います。  朝の、先ほどの理事会で、いわゆる診療情報報告書等についての資料開示についての、前回質疑をさせていただいた資料の情報の開示について実は御協議をさせていただきました。衆議院側では、必要、プライバシー情報をマスキングした上で、さらにそれをいわゆる閲覧をするという手続で、まあ写経をしてくださいという、こういう取扱いを行ったということを伺いました。  大臣にお伺いしたいんですけれども、済みません、これ通告しておりませんけれども、率直に疑問に感じているところではあるんですが、情報公開の在り方が適切に行われていないことがより一層疑念を膨らませることにつながってしまうということを是非指摘させていただきたいんです。中途半端な情報開示が本当に一層の疑惑を深めます。是非大臣の御指示で、既に情報が開示されております診療情報提供書並びに診療結果報告書、カルテ等々の情報の書面による開示について御指示をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  92. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) ただいまの委員から御指摘をいただきました診療情報提供書などの、これは被収容者の医療記録に係ることということでございまして、これについては、出入国在留管理庁から報告を受けているところによりますと、一般的には個人に関する情報を内容とするものでございます。その意味で、情報公開請求に対しましても不開示情報として、そうして対応しているということでございます。これは基本原則ということでございます。  他方におきまして、今回の死亡事案につきまして、国会の審議におきまして様々な御指摘を受けているところでございまして、理事懇談会という席におきまして、各種資料につきまして、特に今委員から御指摘いただきましたように、個人を特定できる部分につきましてマスキングをした上で議員に閲覧をしていただいたと、こうした経過がございます。  法務省といたしましては、国会からの資料のお求めにつきましては法令に基づいて適切に対応すると、こういう姿勢でこれまでも臨んできたところでございまして、さらに御指摘の医療関係の記録につきましても、この情報公開請求に係る不開示情報としての取扱いということでございますので、この点につきましては、先ほど委員の御指摘のとおり、一貫してそうした姿勢で臨むということ、これについては御理解をいただきたいというふうに思っております。  御指摘の記録の内容等をどのように最終報告に反映させていくのか、まさにそのことも踏まえて丁寧にやっていかなければならない事柄ということでございますので、基になる原資料につきましての情報開示の在り方ということについては、一般原則に基づいて適切に対応していくというこの姿勢で臨ませていただきたいと思っております。
  93. 川合孝典

    ○川合孝典君 大臣おっしゃったとおり、その一般原則、一般論としてという意味でいけばまさに大臣が今おっしゃったとおりなんですけれども、この一般原則で対応できないような事案が生じてしまったことによってこういう問題になっているわけでありますので、そのことに対してどう不信感を払拭して今後出直しを図っていくのか、信頼回復するのかということを考えたときに、私は、大臣の御決断できちっと、プライバシー、個人のプライバシーにはもちろん十分配慮しなければいけないですが、プライバシーに配慮した上で、開示できる限りの情報については開示をするということをお決めいただいた方が、法務省としての姿勢、誠実な姿勢というものを国民の皆様に御理解いただけることにつながるのではないのかという意味で私は申し上げさせていただいたということでございます。  そのことも含めて、是非今後御検討いただけないでしょうか。
  94. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 最終報告が公正な形で、しかも客観的な事実に基づきましてということで、今様々な資料を基に、またヒアリングも追加しながら加えているところでございます。  誠意を持って真摯に取り組んでいく姿勢についてはこれまでも変わらない思いでやってきたところでございますけれども、今のような御指摘もいただいているということでございますので、この点に関しましてもより深く考えながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  95. 川合孝典

    ○川合孝典君 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。  その上で、先ほど真山委員質問の中で気になったことがあるので松本次長にちょっと確認させていただきたいんですが、いわゆるビデオの録画情報のいわゆる開示しないということについて、いわゆる保安上の問題だということをしきりとおっしゃっておられましたが、いわゆる被収容者の女性御本人の状態というものをどう確認するのかということが求められている、情報開示で求められている肝の部分でありますので、保安上、セキュリティー上の問題でどうしても要は見せることが一般にできないというような情報については、そこも含めてモザイク等を掛けて、いわゆるセキュリティー保護を図った上で情報開示をするということは十二分に考えられると思うんですけれども、そういうことについての御検討はこれまでされたでしょうか。
  96. 松本裕

    政府参考人松本裕君) お答えいたします。  まず、前提といたしまして、その保安上の理由、あるいは亡くなられた方の尊厳、あるいは調査の中立性、公平性に与える影響、この三点がお見せできない、公開できない理由というふうに考えておるところでございます。  その保安上の理由で、先生指摘のように、モザイク等を掛けました場合にも、一定のそのカメラの射程範囲とか解析度等というところは残りますので、その意味におきまして保安上の配慮の必要性があるというふうに認識しておるところでございます。
  97. 川合孝典

    ○川合孝典君 これも確認ですが、今の御答弁内容というのはどなたの御判断だと理解してよろしいですか。
  98. 松本裕

    政府参考人松本裕君) まず、当庁におきましてその辺の整理をいたしまして、大臣にも御報告をし、その上での判断でございます。
  99. 川合孝典

    ○川合孝典君 大臣是非これも御検討いただきたいんですが、松本次長はそのようにおっしゃっているということではあるんですけれども、実際にそのセキュリティーに関わる様々な情報だとか映り込んでいるものについて消し込んでいくことで、いわゆる、ウィシュマさんですか、彼女の状況、病状、状態というものを確認できる画像になっていれば一定の判断もできるということになるわけでありますから、ここは、松本次長というか入管庁の方にこれを申し上げても身動きが取れないと思いますので、セキュリティーにきちんと配慮した形で情報を開示するということについて是非検討いただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  100. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 今次長から答弁させていただきましたとおりでございまして、保安上の理由も非常に大きな要素でございますし、また亡くなられた方の尊厳に関わることということでございますので、これについては先ほどの医療情報と同じように非常に慎重に扱わなければならないと思っております。  また、私自身、第三者の方も交えての客観、中立、公正ということを旨として、今回の調査、しっかりとした事実関係を把握した上でということで指示をしてきた立場でございまして、そういった観点から、今、先ほど冒頭の御質問のところで情報公開の在り方にしっかりと照らしてということで申し上げたところでございますが、できる限りの形で情報をお出しするということについては、調査の公正性、客観性、こういったことにも配慮しながらやっていくべき事柄であるというふうに思ってまいりました。  今のことも含めまして、どのように情報を皆様にお示しすることができるか、基本的な課題でございまして、今回、ビデオにつきましては開示をするということについて相当ではないと考えて今に至っている状況でございます。  これからの御審議、しかも最終報告に向けまして、更に外部の医者の、あるいは病院の方々ともヒアリングをさせていただきながら今動いている状況でございますので、この精度の高い最終報告に向けまして最大の努力をさせていただくと、更に督促を掛けて指示をしているところでございます。
  101. 川合孝典

    ○川合孝典君 もちろん、個人のプライバシー、尊厳の問題もありますけれども、御遺族の方は要は情報を開示することについて御同意いただいているやに情報は実は入っておりますので、そうしたことも御検討に入れていただいた上で今後の対応をお願いしたいと思います。  入管庁確認をさせていただきたいと思います。  四月二十七日の日の当委員会における質疑において、いわゆる外部病院のいわゆる情報の開示についての御答弁松本次長からいただいておりますが、外部病院精神科医師に対しまして当庁における調査の一環として聴取等をお願いしたい旨を病院側に要請したんですが、応じていただくことができず、現状は現在も同じでございますと、こういう答弁をされているわけですが、その後、この外部精神科病院は聴取に応じてくださっているんでしょうか。
  102. 松本裕

    政府参考人松本裕君) この病院からの聴取というのはできておりません。
  103. 川合孝典

    ○川合孝典君 いわゆる刑事事件でないから聴取に応じる必要がないという旨の答弁いただいておりますけれども、それ、入管庁からの、法務省入管庁からのそういう要請を拒否できる根拠となる法律は一体何ですか。
  104. 松本裕

    政府参考人松本裕君) お答え申し上げます。  拒否できる根拠というよりも、我々といたしましては、応じないといけないというそういう義務付けがない中で、そこは相手方の御判断になるものと認識しておるところでございます。
  105. 川合孝典

    ○川合孝典君 改めて基本に立ち返って質問なんですけど、入管庁として、病院若しくは当該ドクターに対して正式に聴取の要請というのはされたんですか。
  106. 松本裕

    政府参考人松本裕君) 調査チーム等からその先方の病院に対しまして、資料の入手、医療記録等の入手とともに、その担当医の先生からの聞き取りの申入れをしたという状況でございます。
  107. 川合孝典

    ○川合孝典君 それはいつですか。
  108. 松本裕

    政府参考人松本裕君) 具体的な日付はちょっと確認できていませんが、三月中旬頃でございます。
  109. 川合孝典

    ○川合孝典君 大臣、お聞きになられたと思いますけれども、この問題が生じてカルテや聴取等の動きが始まったその当初の時期にこの精神科の外部病院に対して聴取についての申入れを行ったということでありますが、その後、社会的にこの問題が非常に大きな問題になってしまっているにもかかわらず、その後、聴取の申入れが行われていないということであります。  私がこの点に非常にこだわります理由は、この精神科病院を受診して、新たな薬剤、いわゆる医薬品を、処方が始まって僅か二日後に亡くなっているという事実なんです。したがって、この部分の情報というものが極めて大きなポイントになるということでありますし、この当該病院並びに医師の情報、いわゆる聴取を行わなければ真相の解明にもつながらないということでありますし、ここは乗り越えなければいけない課題だということでありますので、大臣の方から是非、速やかにこの精神科病院に対して聴取を行うことについての指示をもう一度出していただきたいと思います。
  110. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 今の具体的なヒアリングの申入れということに係る御指摘でございます。  今、チーム全体として、もちろん、この重要性については委員から御指摘がこの間もございましたし、また重要性については認識しているものと私は思っております。  どのような形で先方の方とやり取りをしているのかにつきましては、私、入ることができませんけれども、当然のことながら、そうしたことについて、最終報告に向けましては必須のヒアリングでございますので、そのことを今の場、私がこの場で、必須のヒアリングではないかというふうに私自身思っているところでございます。
  111. 川合孝典

    ○川合孝典君 時間が参りましたのでこれで終わりたいと思いますけれども、私がこのことにこだわる理由というのは、入管庁の業務が適正に運用されているかどうかということに対してきちんと国民の皆様の理解と信頼が戻らなければ今後の法案審議にも影響を及ぼすということ、そのことを私は大変懸念してこのことを申し上げております。もちろん、法務省入管庁の様々なお立場というものもあろうかと思いますけれども、本当に入管行政を適正化していくということをお考えになられているのであれば、この問題から避けることなく正面からきちんとお答えをいただきたいということを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わります。  ありがとうございます。
  112. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  まず、名古屋入管スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった事件について伺います。  資料もお配りしておりますが、十六日、葬儀が行われ、私も参列してまいりました。挨拶の中で妹のワヨミさんは、こんなことになって誰が責任を取るのか分からない、二か月がたつが、なぜ亡くなったのか答えがない、姉が大好きだった国でこんなことになり耐えられないと涙ながらにお話しでした。  大臣に伺います。この声をどう受け止めますか。
  113. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 亡くなられた方の大好きな日本に来て、そして自分の御希望を持って大きな夢を描きながら日本の地に来られ、また今、亡くなられたということでございまして、大変その希望を持った方の若い命が失われたということについては本当に心が締め付けられる思いでいっぱいでございます。  遺族の方、大変仲よしの妹さんたちであったというふうに承知をしておりますけれども、お姉さんのこうしたことについて、特に異国の地でなかなかすぐにお会いすることができるような距離ではございませんので、変わられたお姉さんの姿に接したときの思い考えると、私も親の一人でございますので、大変胸が締め付けられる思いでいっぱいでございます。  言葉で申し上げるということはなかなか難しいことでありますが、中でも、二度とこうしたことを起こしちゃいけないと、こういうお声もいただいたものというふうに思っておりまして、その切実な、しかし本当にその声にしっかりと向き合って対応していくということ、この責任を今最終報告に向けましてしっかりとお応えをし、事実を解明していくということが必要であるということを改めて思っている次第でございます。
  114. 山添拓

    ○山添拓君 最終報告はもちろん必要なことですけれども、まず何よりも入管で亡くなられたわけですよね。持病もない三十三歳が収容から僅か半年で亡くなりました。通常は考えられないことです。命を預かることになる施設内での出来事ですから、まずそういうことになって申し訳ないという謝罪が前提なんじゃないですか。
  115. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 亡くなられた方の思い、またそれが命を預かる入管の施設であったということ、このことについては極めて重いものと受け止めているところでございます。  私は、その事案が発生して直ちに真相の解明をなるべく早い時期にしていく必要があるというふうに思いまして、そして、その真相の解明において、どこにどういう形で体調の変化の部分があったのか、特に今持病があったのかないのかということにつきましてもはっきりと申し上げるようなことがない中にありまして、外部の医療機関また内部の診療所の先生に体調を診ていただきながらという関係の中でどういう状況が進行していたのかという事実をまず見極めるという、その客観的、そして公正な、また謙虚な姿勢が必要であるというふうに思って指示をしてきたところでございます。  このことによっての事実解明、さらに、お二人の御遺族の方が事実を知りたい、どういう形で亡くなったのかということを知りたいというこの思い、これは非常に切実な願いであるというふうに思っておりまして、そうしたことに対しても誠実に対応していくということ、このことが大事であるというふうに思っております。
  116. 山添拓

    ○山添拓君 謝罪の言葉はありませんでした。  ウィシュマさんが二月五日、今大臣指摘をされて、言及をされた外部の病院を受診した際のことについて入管庁に伺いたいと思いますが、外部の病院のカルテには、薬を内服できないのであれば点滴、入院と指示がありました。中間報告には指示なしと正反対の記載があったとして問題になっている点です。  ウィシュマさんと面会をしていた支援団体STARTの皆さんは、当日、入管の職員に説明を求めたそうです。そうしましたら、病院に同行した職員が出てきたそうなんですね。その職員が言うには、医師から点滴しましょうかと提案があったけれども、時間が掛かるので入院するのと同じになってしまう、それはできないので連れて帰ってきたと、こういう話であります。病院で点滴をさせると時間が掛かるから連れ帰り、点滴を打たせなかったと。間違いないですか。
  117. 松本裕

    政府参考人松本裕君) お答え申し上げます。  この外部病院の医師につきましては聴取ができております。この医師に確認をしましたところ、亡くなられた方から入院あるいは点滴の申出等はなく、かつ、この医師からその点滴あるいは入院を勧めるような話もなかった、かつ、同行した職員からもそういう話はなかったというふうに認識しているところでございます。
  118. 山添拓

    ○山添拓君 それは私の質問には答えていただいていません。  その後、ウィシュマさんは発熱、嘔吐あるいは吐き気、体の痛み、症状があって、十分食べられない状況も続いたわけです。ところが、点滴も打たなかった。  STARTの皆さんは、面会で、改善すべきことがあると、その都度入管の職員に申入れを行っておりました。文書でするときもあれば口頭でするときもあったということなのですが、いずれであっても、入管の側にはこういう申入れを受けたという記録はありますね。
  119. 松本裕

    政府参考人松本裕君) 申し上げます。  まず、先生指摘の前提とされるその外部病院の記載のところでございますが、医師の、先ほど聴取の結果という形で申し上げましたが、その記録そのものにつきましても、二月五日の外部病院の診療記録、これは電子カルテでございますが、御指摘の、内服できないのであれば点滴、入院、括弧して、入院は状況的には無理でしょう、括弧閉じ、との外部病院医師が入力した記載はございますが、その記載は、当該医療記録におきまして、その日の診察に関する一連の記載の途中部分に当たる記載でございます。  この診療録のこれに続く部分では、胃カメラ検査を終えた上での当該外部病院医師が入力した記載といたしまして、やはり庁内診療で処方済みの薬剤、これはランソプラゾールでございますが、この継続でよい旨の記載がなされており、診察の結果としては、診療情報提供書の記載や外部病院医師からの聞き取り結果と異なる内容記載されているものではなくて、点滴又は入院の指示がなされたとの内容記載されているものではございません。  その上で、先生が御指摘の、支援者から点滴等の申入れが入管の職員に対してなされたことがあったのかという点については、そういう申入れがなされていた事実はございます。
  120. 山添拓

    ○山添拓君 記録はあるのですね。
  121. 松本裕

    政府参考人松本裕君) 面会者の方からそういう申入れがあったという点について、一部記録として存在するものはございます。
  122. 山添拓

    ○山添拓君 記録については委員会に提出を求めたいと思います。
  123. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 後刻理事会で協議いたします。
  124. 山添拓

    ○山添拓君 今お話がありましたけれども、カルテの中には、その途中であれ、内服できないのであれば点滴、入院と、そのような記載はあるわけですね。しかし、それをあえて中間報告の中では、そのような指示はなかったのだと正反対に記載をし、点滴や入院についての指示があったことすら、あるいはそのような言及があったことすら反映させていないということであります。  カメラ映像の開示に応じず、死亡事案の解明にも背を向けたまま、そしてこうした外部医師の診療について解明をしない下で法案審議を進めるというのは到底許されないということをここでも指摘をさせていただきたいと思います。  その上で、今日は少年法の改定案の審議でもありますので、法案についてこの後伺っていきます。  法案は、十八歳、十九歳について虞犯の対象から外すものとなっています。虞犯は、正当な理由がなく家庭に寄り付かないなど虞犯事由があり、かつ将来罪を犯すおそれがある場合をいいます。まだ罪を犯していない段階で場合によっては少年院送致まで行うということで、教育的措置としての少年法の大きな特徴の一つでもあります。一方、児童福祉法には要保護児童を保護するという規定があります。この要保護児童と虞犯少年というのは区別が難しいです。  警察庁に伺いますが、要保護児童であるのか、それとも虞犯少年であるのか、これはどのような事実に基づいて、どのように判別することとしているのですか。
  125. 檜垣重臣

    政府参考人(檜垣重臣君) お答えいたします。  警察では、少年警察活動規則に基づき、虞犯少年と認められる者を発見した場合には、当該少年に係る事件の事実、原因及び動機並びに当該少年の性格、行状、経歴、教育程度、環境、家庭の状況、交友関係等について調査をしております。  そして、個別事案ごとに調査結果を総合的に勘案し、同規則に基づき、当該少年が十四歳以上十八歳未満であって、保護者がないとき又は保護者に監護させることが不適当であると認められ、かつ、家庭裁判所に直接送致するよりもまず児童福祉法による措置に委ねるのが適当であると認められるときには児童相談所に通告し、家庭裁判所の審判に付することが適当と認められるときには家庭裁判所に送致しているところでございます。
  126. 山添拓

    ○山添拓君 確認ですが、児童福祉法は十八歳未満が対象です。十八歳、十九歳の場合には、保護が必要なケースでは、現状では少年法しかないということでしょうか。
  127. 檜垣重臣

    政府参考人(檜垣重臣君) 少年法においてということでしょうか。警察におきましては、十八歳、十九歳の少年でありましても必要に応じて保護措置等をとっているところでございます。
  128. 山添拓

    ○山添拓君 一九四八年に、戦後、少年法が改正された当時の通達では、要保護児童と虞犯少年とを区別することは困難だと書かれていました。その上で、少年法の保護処分と児童福祉法の措置とを比較対照し、個々具体的にいずれの処分が適当かを判断して決めるとされておりました。  しかし、今申し上げたように児童福祉法というのは十八歳未満が対象ですので、原則として十八歳、十九歳については少年法でしか保護ができないということになるかと思います。  法務省に伺いますが、児童福祉法に基づく例えば児童養護施設における保護というのはあくまで任意の措置であります。少年法による虞犯少年に対する保護処分というのは強制力を用いた矯正教育であって、その性質は決定的に異なると思われます。その意義はどこにあるんでしょうか。
  129. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) お答えいたします。  現行少年法の虞犯制度は、保護者の正当な監督に服しない性癖があること、正当な理由なく家庭に寄り付かないことなどの事由に該当し、その性格、環境に照らし将来罪を犯すおそれのある少年について、少年院送致を含む保護処分を課すことができるとするものでございます。  このような虞犯制度は、少年の健全育成のためには一般に早期の段階における働きかけが有効であることから、犯罪に至らないものの問題行動等がある少年についてその要保護性に応じた処遇を行うものであり、少年の保護、教育上、一定の機能、役割を果たすものと認識しております。
  130. 山添拓

    ○山添拓君 より保護の必要性が強いからであろうと思われます。  かつては犯罪予防としての虞犯が積極的に使われていたようですが、現在では、家庭内暴力など事件として立件するのがふさわしくない場合にその次善策として用いる、あるいは、明らかに強制性交であるけれども、被害届が出されず、しかし放置すれば更なる傷害や強制性交につながりかねない、こういうときに事件の立件に代わって虞犯とすることもあると伺います。  厚労省に伺いますが、児童養護施設を十八歳に達した後も利用できるのはどのような場合でしょうか。また、何人ぐらい利用しているのか、こうして十八歳以降も延長して利用するのはなぜなのかという点について御説明ください。
  131. 岸本武史

    政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。  児童養護施設への入所は十八歳未満の子供が対象となってございますが、必要に応じ二十歳まで入所措置の延長を行うことが可能となっております。  入所措置の延長につきまして、具体的には、大学等や専門学校等に進学したが生活が不安定で継続的な養育を必要とする場合、就職や福祉的就労をしたが生活が不安定で継続的な養育を必要とする場合、障害や疾病などの理由により進学や就職が決まらない児童等であって継続的な養育を必要とする場合などにおきまして、必要とされた場合に活用することとしております。  児童養護施設における措置延長の実績でございますが、平成三十年度末に高校等を卒業する方の状況に関して調査を実施しておりまして、千七百五十二人の対象のうち、措置延長を行い翌年度も児童養護施設に在籍をした方は三百三十三人となっているところでございます。
  132. 山添拓

    ○山添拓君 十八歳以降も継続して保護を必要とする少年がいるということは事実であります。  二〇一九年に虞犯で少年院に入所した十八歳、十九歳は、男子で十四人、女子で四人、決して多くはありません。しかし、必要としている少年がいることも事実です。  前回、与党の議員の方が内閣府に質問をしましたら、十八歳、十九歳の非行対策として今、政府が行っているのは、関係府省庁で密接な連絡、情報交換、協議等、それだけでしかないということでありました。つまり、何の見通しもなく、放り出すに等しいということになりかねません。  本法案は、育ち直しを必要とする十八歳、十九歳に対して余りにも冷たいものだということを指摘して、質問を終わります。  ありがとうございました。
  133. 高良鉄美

    高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。  冒頭、ちょっと今ニュースが入りましたので。入管法の改正について政府が取下げ方針を固めるということで複数の政府関係者等が明らかにしておりますけれども、もう既にマスコミからも出ているようですが、大臣はこれ御存じでしょうかということです。
  134. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 今、報道を承知しておりません。
  135. 高良鉄美

    高良鉄美君 これ、所管のものですけれども、今、先ほど入ったことということを一応お知らせしておきます。  そこで、この少年法の関連に入りますけれども、まず法務大臣に保護者についてお尋ねします。  少年法部会においては、当初、少年年齢を十八歳に引き下げることを前提として議論が行われたことから、十八歳、十九歳が民法上は成年となり、親権者がいなくなるので保護者がいなくなる、そして少年年齢も引き下げる必要があるという議論が行われたと承知しています。しかし、少年を現に監護する者に当たるから少年年齢を引き下げる必要はないということで、保護者という概念は変更されませんでした。  これまで、十八歳、十九歳の年長少年については、親権者である父母が法律上監護教育の義務ある者として保護者とされていました。しかし、改正民法が施行された後は、少年を現に監護する者として保護者とされることになる点が異なることになりますけれども、何らかの手当て、つまり特定少年の保護者については法律上の監護教育の義務ある者に準ずる形で法律上明示すべきではなかったかと思いますが、法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  136. 川原隆司

    政府参考人川原隆司君) 少年法二条二項におきましては、保護者につき、少年に対して法律上監護教育の義務ある者及び少年を現に監護する者という定義をしているところでございまして、本法律案ではこれを改正していないところでございます。  他方、同法第十条一項により、保護者は、少年の正当な利益を擁護し、適正な審判、処遇決定のために活動する付添人の選任権を有することとされておりますが、本法律案では付添人の選任権者の範囲を拡大することとしております。  御指摘のとおり、十八歳以上の少年につきましては、法律上監護教育の義務ある者としての保護者が存在しなくなり、それによって付添人選任権者の範囲が狭くなることから、権利保障上の問題が生じないよう付添人選任権者の範囲を拡大することが適当であると考えられるところでございます。  そこで、本法律案では、刑事訴訟法における弁護人選任権者と同様に、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹に付添人の選任権を認めることとしているところでございます。
  137. 高良鉄美

    高良鉄美君 清水委員の方から出されているこの部会の、法制審の少年法部会委員のメンバーのリストがありますけれども、この少年法部会で川出委員から、十八歳、十九歳の者の親等につき、包括的に少年法の保護者と同様の法的地位を認めるのではなくて、少年法上の保護者が担っている手続等の役割を個別に検討し、家裁の手続に乗った十八歳、十九歳の者の権利を擁護するという観点から、必要と考えられるものについて、その内容ごとに、それに適する者に適する役割を与えるという方法を提案されていたというふうに伺っています。  次に、家庭裁判所調査官による調査について最高裁に伺います。  手嶋家庭局長は、今回の改正が、成長途上にある可塑性を有する存在である一方で、社会において責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場となった十八歳及び十九歳の者について、少年法の適用に関し、その立場に応じた特例等を定めるとした上で、基本的に立法政策であるから意見を述べる立場にはないという趣旨の答弁をされました。  繰り返しになりますけれども、少年法の改正に危機感を持ち、声を上げているのは、少年の立ち直りに何が必要かを最も理解する家裁の元裁判官や調査官、事件を犯した少年の付添人や弁護士を経験してきた現場で頑張っている人たちです。これらの方々が立法政策の問題であることを承知の上で反対されている理由は何だと思いますか。
  138. 手嶋あさみ

    最高裁判所長官代理者手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  今般の少年法改正について、委員指摘のとおり様々な御意見があることは承知をしております。  その上で、今回の改正の当否につきましては先日も申し上げたとおりでございまして、成長途上にあり、可塑性を有する存在である一方で、社会において責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場となった十八歳及び十九歳の者について、それらの者の保護事件及び刑事事件の特例等を定めるものであり、また、裁判実務の運用という観点からいたしましても、犯罪の嫌疑がある限り全件家裁送致を維持するなど、現行少年法の枠組みをおおむね踏襲する内容のものでございまして、運用上大きな支障を生じることはないものと承知をしているところでございます。  したがいまして、繰り返しにはなりますが、最高裁といたしましては、改正案の当否について意見を述べるべき立場にはないものと考えておりますが、いずれにせよ、法改正がされた際には、国会での御審議、法制審議会での御議論も踏まえ、少年の再非行防止と立ち直りに向けて一層の適切な運用に努めてまいる所存でございます。
  139. 高良鉄美

    高良鉄美君 立法政策であるから意見を述べる立場にはないということについてですけれども、今述べられた答えですが、これも、少年法部会のメンバーとして手嶋局長入っておられます。これはなぜ入っているかということを考えると、調査官が入っているわけでもないし、あるいは家庭裁判所の直接的な裁判官が入っているということではなくて、やはりその方たち意見を代弁するというから局長が入っているんだと思うんですよ、家庭局長がね。それなのに、私は述べる立場にはありませんと言ったら、どの立場がどうなるのかという、そういう問題があるんだということをちょっと指摘しておきたいと思います。  家庭裁判所の調査官による調査に関する現行法の規定に変更はありませんが、二〇〇〇年改正によって原則逆送制度が導入された後、家裁調査官による調査少年鑑別所の鑑別が非行の外形的事実のみを重視し、要保護性を十分に掘り下げて検討しない傾向が生じていることが現場調査官や参考人から指摘されています。  犯情の軽重を考慮した結果、本来中心となるべき要保護性の調査よりも犯情の調査が重視され、少年更生に重要な役割を果たしてきたことが形骸化され、調査官の役割を十分に果たし得なくなるのではないかと懸念しますが、そのことについて最高裁にお伺いします。
  140. 手嶋あさみ

    最高裁判所長官代理者手嶋あさみ君) お答え申し上げます。  今回の少年法改正による家庭裁判所調査官の調査への影響等につきましては、委員指摘のものも含めまして様々な御意見があることは承知をしているところでございます。  前回申し上げましたとおり、家庭裁判所は、現行の少年法第二十条第二項の定める原則逆送事件も含めまして、家庭裁判所調査官において、非行の動機、態様、結果等だけではなく、少年の性格、年齢、行状及び環境等も含め、少年の要保護性について十分に調査を尽くし、裁判官においてそれらの結果も十分に踏まえて処分を決定しているものと承知をしております。  また、本法律案による改正後の少年法第六十四条第一項におきましては、十八歳以上の少年に対する保護処分は、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内、すなわち犯した罪の責任に照らして許容される限度を超えない範囲内でしなければならないこととされておりますが、犯罪の軽重を考慮するという改正法の趣旨は、法務省当局の御答弁によれば、裁判所が犯した罪の責任に照らして許容される限度の範囲内で対象者の要保護性に応じて保護処分を選択するというものであると承知をしております。  したがいまして、いずれにしましても、本法律案による改正後の十八歳以上の少年についても、家庭裁判所調査官において少年の要保護性について丁寧な調査を尽くし、その結果も十分に踏まえた上で処遇選択が行われることになるものと承知しているところでございます。  裁判所としましては、国会での御審議、法制審議会での御議論を踏まえ、改正法の趣旨に即した適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
  141. 高良鉄美

    高良鉄美君 前回質疑で、家裁調査官であった伊藤由紀夫さんの記事を資料として紹介しました。伊藤さんは、少年法改正を憂慮しながら、つい先日亡くなられました。さぞ無念だっただろうと思います。家裁の調査官が少年法の理念を守るために反対しているということを最高裁は深刻に受け止めるべきだと思います。  次に、推知報道禁止の一部解除と憲法について法務大臣に伺います。  五月十三日の本委員会で、推知報道禁止の一部が、結果として対象者の立ち直りを阻害し、再犯の可能性を高めることになりかねない、これが実証されてからでは取り返しが付かないと思うが、仮に立ち直りを阻害することが明らかとなったり再犯率が高くなった場合、推知報道は禁止するということでよいかという私の質問に対し、上川大臣は、御指摘の推知報道に関するものも含めて、仮に施行後に何らかの問題等が生じた場合には附則第八条による検討の対象となり得るものと考えている、国会での議論等も踏まえて多角的な観点から検討が行われることができるように適切に対応してまいりたいと答弁されました。本当に適切に対応できるのか、多くの人が懸念をしております。  少年法の推知報道の禁止と憲法問題について、憲法を研究してきた者として一言申し上げたいと思います。  憲法二十一条の表現の自由として、報道の自由は直接的に保障されているわけです。報道の自由の意味、性質というのは対国家として国民の権利という形で存在しているわけで、つまり国家権力によって制約を受けないという国民の権利なので、こういうことが基本です。報道の自由の重要性というのは国民の知る権利に寄与するもので、ひいては政治的権利を含む国民主権に関わるというところでもあります。  経済的自由というのは経済政策が大きく関わるので、国家による政策内容などが経済活動を制約する領域、範囲は大きい、つまり同じ対国家権利ではあっても政策的制約が許される範囲が広いということです。  一方、精神的自由としての報道の自由が制約される原理は、国家権力が制限してもよい、あるいは制約してもよいというものではなく、報道の自由によってほかの人権が侵害されるかもしれない場面では制約されるという内容です。  少年法が推知報道を禁止しているのは、国家権力によって報道機関の推知報道を禁止しているのではなくて、可塑性のある少年の人権、健全育成に関する問題として、つまり人権と人権が衝突する問題として報道の自由が制約されるということになるわけです。報道の自由は、他の人権との関連で制約を受け、譲らなければならないというのが精神的自由の制約原理の考え方になるわけです。  この推知報道の禁止は、少年の人権、健全育成の面から受ける制約であって、国家権力が制裁で行う刑罰とは別のフェーズ、別の局面の問題であって、刑罰的、制裁的視点から推知報道の解禁を捉える論理であってはなりません。  これはもう質問の時間がなくなりますのでこれだけ続けて終わりますけれども、川原刑事局長は、十八歳、十九歳の少年に対する推知報道が一部解除されたことについて報道機関がどのように取り組むかというのは、憲法の報道の自由との関係もあり、報道機関の判断に委ねるというのが政府の立場であると答弁されています。  少年法の基本理念にのっとれば、報道機関に推知報道の禁止を解禁するかどうか委ねていいのか、これ、憲法の目的である人権保障の原理及び少年法の理念から大きく外れるのではないかということを指摘しておいて、もう今回、質問ではなくて、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  142. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 碧水会の嘉田由紀子でございます。少数会派にも十五分という時間をお与えいただきまして、ありがとうございます。  まず、今日午前中から森議員が村木厚子さんの事例を御紹介くださいまして、検察の取調べ過程で客観的な事実と全く違う調書があちこちから出てきて、しかも、その間に整合性があることに村木さん自身が大変驚いたと言っておられます。それを整合性をつくるということは、ある意味で組織的に村木さんの冤罪をつくり出したということになるのではないでしょうか。本当にこれは法務行政の中でも大変大事な問題だと思います。  それから、清水議員が今日、少年法、そもそも審議をした審議会の、法制審議会部会のメンバーリストを出していただきました。五一%が行政系のメンバーであると。そうすると、この審議会から出てきた大変大事な答申というのを私たちは立法府としてどう受け止めたらいいのか、国民はこれをどう評価したらいいのか。公平公正であるべき審議会の、言わば本来の客観的な在り方に疑問が出てまいります。このことは、四月以来、私、家族法制審議会のメンバーの問題、清水議員が本日指摘してくださいましたように行政系のメンバーが多い。当事者の方、ここにおられます。私は個人的にどうこう言っているのではありません、組織がそうなっているという。  しかも、二点目は判検交流。つまり、裁判官が検事の、言わば行政職になって大事な局長などを、役割を果たしていただいている。そして、法務大臣に伺いました、この判検交流で来られた局長あるいは審議会のメンバーは法務大臣の指揮監督の下にあるのですかと伺いました。法務大臣は私の指揮監督の下にはありませんということでございましたので、そうすると、そもそも法務大臣が国民の意識を反映しながら本当に頑張ってチルドレンファーストで今回の法制審議会も諮問いただいたと思うんですけれども、既にどこかで組織的に動いているのじゃないのかということが一つの疑念としてあります。  これは、国民にそのような疑念を抱かせないように、特に今回、家族法制部会では、毎年二十万人もの子供が片親親権によって経済的、精神的、社会的に片親を失っている。これ、全世界的に見ても先進国では日本だけです。他の国は、三十年、四十年の間に子供のためということで共同養育、共同親権つくり出してきているんです。日本だけがガラパゴスで取り残されているのは、私はこの法制、法務行政の構造的在り方と関係しているのではないのかと思っております。  そういう中で、まず最初に御質問させていただきますが、前回取り残してしまったんですけれども、私自身、DV問題には大変心を痛めてまいりました。虐待、DV、知事時代、二〇〇六年から二〇一四年です。それで、知事として滋賀県警察の生活安全課の人員を強化して、特に女性警官を増やしまして、児童相談所などに正式に出向してもらうよう手配をいたしました。児童相談所に警察官を正式に出向させて、警察と児童相談所、協力体制つくったのは滋賀県が初めてということですけれども、最近もずっとこの人事交流はなされて、そして、現場では警察官の方が大変サポートして力強いということも子ども・青少年局というところから聞いております。これはコメントでございます。  四月十三日の参議院の法務委員会でも、家族問題に刑事罰を持ち込むことにちゅうちょがあるかと上川法務大臣にお尋ねしました。特に実子連れ去りの、刑法二百二十四条、未成年者略取誘拐罪の構成要件に該当するかということで、上川法務大臣また川原刑事局長、刑法二百二十四条の保護法益、未成年者の自由と安全、監護側の監護権の言わば侵害ということでの保護法益があるとはっきり御発言くださいました。  この実子誘拐が刑事罰の要件にもなるということで、今、理不尽な実子連れ去りの悲劇、本当に各地から報告ございます。もちろん、連れ去った側の言い分があると思います。その大きな一つがDVということで、私はそのDVをかねてから厳罰化ということは申し上げております。  そういう中で、何よりも当事者、声を上げられない子供たちの声を代弁する、そういう、あるいはそれをサポートする法制度の改革が何としても重要だろうと思います。五月五日のこどもの日にあるシンポジウムがございまして、そこで皆さんが新しい、こどもの日の、子供の声を代弁する組織を立ち上げたということでございます。  そこで法務大臣にお尋ねしますが、チルドレンファーストを挙げて法制審議会に離婚後の法制度在り方について諮問なさいました。このような上の報告、ちょっとくどくどと私自身説明長くなりましたけれども、現在の法務大臣の御認識、お聞かせいただけるでしょうか。
  143. 上川陽子

    国務大臣上川陽子君) 父母の離婚等に伴います子の養育の在り方につきましては、本年二月に法制審議会に諮問をいたしまして、現在、法制審議会の家族法制部会で民事法の観点から現在審議中であるということでございます。  離婚後の子の養育に関する様々な課題がございます。これは、子供の生活の安定また心身の成長に直結する問題でございまして、子供の利益の観点から大変重要な課題と認識をしております。  私自身、かねてより申し上げてきたところでございますが、この問題につきましては、チルドレンファーストの観点からファクトベースで議論されることが重要であるというふうに考えておりまして、法制審議会におきましても調査審議が充実したものとなるように、未成年期に父母の離婚を経験した子を対象とした実態調査、また、海外の法制度やまた実務の運用を把握するための実情調査などを実施してきたところでもございます。またこれからも、そうしたいろんな観点からの調査等もファクトベースで法制審議会調査に付するように取り組んでまいりたいというふうに思っております。  法制審議会におきましては、こうした結果等も踏まえまして、子供の目線また心情への影響にも十分配慮しながら充実した検討が行われることを期待しておりまして、できる限り早期に議論の取りまとめがなされることを期待をしているところでございます。
  144. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 ありがとうございます。  何度も同じことの答弁をいただき大変失礼ですけれども、ファクトベースで、海外等の調査結果も生かして、そして何よりも子供時代に離婚を経験した当事者の声を反映していただくというところで是非お願いいたします。  今、この少年法の議論でございますので、少年法につきましてかなり様々な質疑ございましたけれども、私自身はやはり一番気にしているのは、少年院はそれぞれの子供たちを言わば矯正教育をして、そして立ち直りをする場所であるということでございます。そういう中で、この少年の立ち直りに果たす役割、課題についてどのようにお考えでしょうか。お願いいたします。
  145. 大橋哲

    政府参考人大橋哲君) お答え申し上げます。  少年院在院者は、非行の背景にそれぞれ多様な資質上及び環境上の問題を抱えております。少年院におきましては、非行を犯した少年の立ち直りに向けて、安心、安全な生活環境の下で、法務教官との深い信頼関係を基盤といたしまして、個々の特性に応じた教育を計画的に実施しております。これらの矯正教育は、担任による個別指導と小規模の集団指導を組み合わせ、余暇時間を除く起床から就寝まで行っておりまして、再非行防止に一定の効果を上げているものと認識しております。  在院者のニーズに対応した処遇を展開する上では、少年鑑別所のアセスメント機能を強化するとともに、出院後の社会適応や再犯、再非行の状況を把握し、処遇の効果を検証して行っていくことは重要であると認識しております。  また、今般、新たに民法上成年になり、自律的な権利主体として積極的な社会参加が期待される立場となる特定少年に対しましていかに効果的な矯正教育を行っていくかも課題の一つでございます。  これまで少年院が培ってきた知見やノウハウをしっかりと基盤として維持しつつも、個々の特性に応じた適正で有効な矯正教育を実施できるよう不断の見直しを行い、再非行防止に向けて少年院における矯正教育の更なる充実に努めてまいりたいと考えております。
  146. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。  少年院の中で言わば立ち直りを自ら経験して、そして今日も真山議員が、収容二年間で自分が変われたという戦慄かなのさんの新聞記事、先回同じ記事を私も出させていただきましたけれども、とってもリアルな形で、これまで自分の話をきちんと聞いてくれる親が、あるいは大人がいなかった、少年院に入って初めてそういう内省と、大人との関係がつくれた。ということは、本当に生育歴、家族環境、周辺が問題だったということで、ここは何としても少年院の皆さんの御活躍を期待したいと思います。  そして、少年院の生活から社会生活への円滑な移行を図る、これが本当に十八歳、十九歳でどうやって、親御さんも不安定な中で、家族が不安定な中で、ここにはどのような課題があるとお考えでしょうか。
  147. 大橋哲

    政府参考人大橋哲君) 少年院在院者につきましては個々の少年が複雑な課題を抱えておりまして、社会復帰に向けた課題は様々でありますが、社会生活への円滑な移行を図る上では、非行の反省とともに、特に社会に自らの居場所と役割を得ていくための基盤となる修学及び就労先の確保、出院後に直面する困難や課題について相談できる支援者等のサポート体制の構築が課題であると認識しております。  これらに対し、少年院におきましては、修学支援として進路指導の提供や高等学校卒業程度認定試験などを実施しております。また、多様化する雇用状況に対応し、進路選択の幅を広げるために、少年院と通信制高校の連携を図る取組についても本年度から複数の施設で試行を開始しているところでございます。就労支援といたしましては、ハローワークとの連携や矯正就労支援情報センター室等を通じた就労内定に係る取組を進めておりまして、それらの情報は保護観察所等とも共有し、出院後の指導、支援の継続に配慮しております。  支援の内容ごとに協働する組織、機関は多様であるため、少年院の入院後早期から、出院後の生活環境の調整に向けて、保護観察所を始めとする関係機関や民間協力者等との連携協力体制の構築に努めているところでございます。  引き続き、出院後の社会適応や再犯、再非行の状況を把握しつつ、在院者それぞれの立ち直りに資する社会復帰支援を実施できるよう不断の見直しを行い、在院者の改善更生及び円滑な社会復帰に努めてまいりたいと考えております。
  148. 嘉田由紀子

    嘉田由紀子君 ありがとうございます。  まだ幾つか追加の質問お願いしていたんですけれども、時間ですので、また次回に回させていただきます。  これで終わります。ありがとうございました。
  149. 山本香苗

    委員長山本香苗君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時十三分散会