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嘉田由紀子君 ありがとうございます。
碧水会の
嘉田由紀子でございます。
上川法務大臣の
大臣所信に関わりまして、離婚後の子供の幸せの問題について
質問させていただきます。
朝からもう真山
委員、伊藤
委員、そして今、
高良委員も御指摘になりましたけれ
ども、今回の未成年期に父母の離婚を経験した子の養育に関する実態についての
調査・分析、これ千人もの二十代、三十代の男女それぞれの方の経験に即して、回顧法ではありますけれ
ども、八十項目にわたって
調査をした。私もいろいろ様々な心理学なりの
調査研究見させていただきましたけれ
ども、これほど包括的に
調査したのは初めてだろうと思います。今まだ単純集計
レベルなので、この後、性別とかあるいは別れた時期など、クロス集計ができると思いますので、そこでもっともっと知見が、子供の目線からの知見が出てくるのではないのかと期待をしております。
そして、先ほど来、
高良議員の
質問にも併せて、統計的に多くの方の
調査、これはこれで大事ですけれ
ども、個別のケースを深めるべきではないかという御意見もありました。そういうことを私もいろいろやらせていただきながら、ちょうど最近、ある高校生が私のところに、どうしても嘉田議員と話をしたいと言ってこられましたので、一時間ほどズームで直接顔を見ながらお話しさせていただきました。首都圏に住む高校二年生の女子です。
法務委員会で
嘉田由紀子議員が共同親権と言っているのでいろいろ調べてみると、自分もこのことを勉強して、そして実際に自分もそれを実践していると言うんですね。どういうことかというと、その高校生は三年前に両親が離婚をして、家庭裁判所での話合いでどちらかの親を選びなさいと言われた。でも、お父さんもお母さんも好きなので、両方と暮らしたい。それで、三年間、週の前半はお父さん、週の後半はお母さんと、行ったり来たりしているということです。それこそ教科書持って制服持って行ったり来たりして、そして電車で三十分ほどなんですけれ
ども、両方から学校へ通うのは不便がないと。でも、友達は、親が離婚したらどっちかの親を選ぶべきだろうと、両方の親の間を行ったり来たりするのはおかしいと白い目で見られると。
そこで、私にその女性、女子高校生が、私の
考えはおかしいんでしょうかと、海外では共同親権が普通というけれ
ども、なぜ日本では私のように両親の間を行ったり来たりするのがおかしいと思われるんだろう。そこで、その方に、じゃ、今の暮らし楽しいですかと聞いたら、週の前半はお父さん三日間、それこそ、朝早く仕事に出て、お弁当も作ってくれて、夕方も早く帰ってくれて、本当にお父さんと三日間楽しいと。アニメのことなどでお父さんから学ぶこともいっぱいあると。後半の三日間は、弟さんがいてお母さんと暮らしているということで、今のこの両方行ったり来たりの
状態を楽しんでいると。
経済的にも、お父さんが学費を出してくれて、そして安定をしていると。
なぜ、じゃ、日本では自分のようなケースが余り見られないんだろうということで逆に
質問されたので、少しちょっと、日本の、なぜ単独親権がこんなにいまだに広く広がっているのかということで、百二十年前の明治民法の話をさせていただきました。家制度の下で、子供は家の跡取りとして、ある意味で家の所有物のように扱われていて、なかなか、女性が例えば離婚するときに子供を連れ出すと、家制度成り立たなくなりますので、単独親権というのは家制度を成り立たせるための
一つの手段だった。戦後は女性も親権取れるようになったけれ
ども、今度は子育ては女性ということで、今、九割以上が親権を女性。そこで今のような
状態になっているんだけれ
ども、実は国際的に見ると主要先進国では日本だけがいつまでも明治民法のような単独親権を保持しているので、ある意味で引き裂かれる
状態にあるんだと。
こういうことを、A子さん自身も今後もっともっと勉強してくださいということで、私が作りました
法務委員会の冊子を送らせていただいたら、数日後、読んでいますと、そして、自分の意思を確認しながら、また友達とも若い人と意見を深めていきたいということで、今もやり取りさせていただいております。私は、彼女の話を聞いて本当に涙が出ました。こうして自分の人生をきちんと、世の中とは違うけれ
ども、自分で切り開いていく、こういう子供たちが増えてくれることが日本の期待だろうと。
ところが、多くの子供たちは、ある意味で、離婚直面して、自分自身でなかなか意見も言えず、今回のこの
調査にもありますけれ
ども、自分の意見も言えず、そして誰にも相談できず、一人で泣き寝入りして、そして苦しみを抱えているという子供さんがたくさんおられる。それが今回の千人
調査でも出ていると思います。
そういう中で、例えば今年の二月十七日ですけれ
ども、東京地裁では、現行民法の単独親権は違憲ではないかという訴えに対して、違憲ではないという判断が出ております。そこで、その判断の根拠のところには、父母双方に親権が残ると子供の利益のための判断ができないんじゃないのかという懸念も示されております。
ここでの大前提は、
立法の趣旨に関して、離婚後の父母の関係は必ずしも良好ではないということが大前提になっているようでございます。そうすると、先ほどの真山
委員の国別リストを見ると、本当に、単独親権の方が逆に、二十四か国
調査で日本、トルコ、インド、ほかは皆共同親権選べるわけですね。そういう中では、日本の、あるいはインドやトルコの父母だけが仲が悪いんだろうか、葛藤が高いんだろうか。そんなことではないだろうと私自身は思っております。
共同親権に移行できた国では、まさに親が子供のことを思って、そして大人の
対応をしてきているということで、言うまでもなく、子
どもの権利条約の第九条でも、父母の一方あるいは双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人間的な関係をつくっていくことが大事だと
規定されております。
そういう中で、もちろんDVによる児童虐待などがあったら別ですけれ
ども、これはこれでDV防止法の徹底など別の手だてがあります。今回のA子さんのような、自覚、訴えもできず、離婚後の親子別離を当然のごとく受け入れさせられている、受け入れざるを得ない日本の子供たち、毎年十五万人から二十一万人発生してしまうと。四人から五人に一人です。
そういう中で、
上川法務大臣、この
調査を指示していただいたことからこの問題の深刻さを深く理解していただいていると思いますけれ
ども、このA子さんのような暮らしぶりというものに対してどういう御意見をお持ちか、ちょっと長くなりましたけれ
ども、御意見いただけたらと思います。