○舩後靖彦君 代読いたします。
ありがとうございます。
では、次の質問に移らせていただきます。
昨年十一月二十四日の本
委員会で、聴覚障害のある学生の
教育実習について質問しましたところ、
文科省は教職課程を置く大学八百六十校にアンケートを行い、本年四月、障害のある学生が
教育実習に参加する際の
支援についての
通知を出されました。迅速な御対応、ありがとうございました。
本日は、それに関連して、高校の職業科の実習についてお聞きいたします。
昨年の七月、県立の福祉系高校で学ぶダウン症の生徒さんが障害者の就労
支援をする事業所に校外実習に行きました。しかし、四日間の実習期間の途中で戻されてしまいました。そして、二回目の十一月の実習は受けさせてもらえず、校内実習という名目で自習をさせられ、結局単位が取れませんでした。このこともあり、留年して、現在、一年生をやり直しています。
この高校の社会福祉実践コースでは、一年次から三年次まで、七月と十一月の二回、介護などの校外実習があります。そして、必要な単位を取得すると、介護職員初任者研修修了証と介護福祉国家試験の受験資格が取得できるとのことです。
学校側は、実習で、利用者の自立に向けた生活への援助や、利用者の
状況に応じたコミュニケーション方法を実習
現場で体験、実践することを求めていました。
一方で、この生徒さんは、ダウン症で知的な遅れがあり、動作も障害のない人に比べ遅いというハンディがあります。したがって、校外学習するに当たっては、実習先の選定や具体的な実習内容について本人に丁寧に説明し、実習先へのマッチングのために、慣れるまで実習担当者が付き添うなどの
合理的配慮が必要なことが予想されます。しかし、保護者に伺ったところ、そうした
合理的配慮や
支援はなく、実習先に丸投げの状態だったということです。実習先の事業所では、知的障害者の利用者さんが袋詰め等の軽
作業をしていましたが、この生徒さんは実習先での
支援がなく、具体的に何をしたらいいか分からないまま、利用者さんと一緒に袋詰め
作業をしていたそうです。実習先の事業所からすると、
支援、指導の研修者ではなく、もう一人利用者が増えただけという受け止めだったようです。
昨年は、コロナ禍で三月下旬から一斉休校になり、大方の
学校は五月半ばまで休校でした。この高校も実質的に
授業が始まったのは六月、それで七月に即実習に出されたわけです。
福祉援助の理念や技術はおろか、社会的経験がほとんどない十五、六歳の子供が、
授業での事前
準備ができていない
状況で自分より年配の
支援が必要な方がいる
現場に放り込まれたら、障害のない生徒でも戸惑うのが当たり前ではないでしょうか。現に、この生徒さん以外にも、実習の単位を取れずに留年となり、中には自主退学された生徒さんもいるそうです。
コロナ禍による休校で
授業日数が足りない中、高校もカリキュラムを消化させるのが精いっぱいで、生徒一人一人への配慮ができないまま突っ走ってしまったという事情は
理解できます。しかし、一回目の校外実習が実習先とのマッチングや
合理的配慮がなされないまま行われ、失敗という結果であったならば、二回目の校外実習では実習先、実習内容の変更、
調整、実習先での
合理的配慮等の
検討をすべきだったのではないでしょうか。
平成二十一年告示の高等
学校新学習指導要領でも、
学校や生徒の実態に応じ、指導方法や指導体制を工夫改善し、個に応じた指導の充実を図ることとありますが、これは実習にも適用されると
考えます。
そうした
検討もなく、二回目の実習で再チャレンジすることも認められず、実習の単位が認められないというのは障害による
差別ではないでしょうか。
大臣のお
考えをお聞かせください。