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2021-05-11 第204回国会 参議院 文教科学委員会 第11号
公式Web版
会議録情報
0
令和三年五月十一日(火曜日) 午後一時開会 ─────────────
委員
の
異動
四月二十七日
辞任
補欠選任
本田
顕子
君
世耕
弘成君
四月三十日
辞任
補欠選任
安江
伸夫
君
谷合
正明
君 五月六日
辞任
補欠選任
谷合
正明
君
安江
伸夫
君 五月十日
辞任
補欠選任
世耕
弘成君
藤川
政人
君 五月十一日
辞任
補欠選任
有村
治子
君
宮崎
雅夫
君
水落
敏栄君
加田
裕之
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
太田
房江
君 理 事 赤池
誠章
君 上野 通子君
吉川ゆうみ
君 斎藤 嘉隆君 委 員
有村
治子
君 石井
浩郎
君
加田
裕之
君
高階恵美子
君
藤川
政人
君
宮崎
雅夫
君 石川 大我君 横沢
高徳
君 蓮 舫君
佐々木さやか
君
安江
伸夫
君
梅村みずほ
君 松沢 成文君 伊藤 孝恵君
吉良よし子
君 舩後 靖彦君
事務局側
常任委員会専門
員 戸田 浩史君
参考人
国立大学法人金
沢
大学
長
山崎
光悦
君
国立大学法人東
京工業大学監事
(
常勤
)
国立大学法人等
監事協議会会長
小倉
康嗣
君
国立大学法人京
都大学教授
駒込
武君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
国立大学法人法
の一部を
改正
する
法律案
(内閣
提出
、
衆議院送付
) ─────────────
太田房江
1
○
委員長
(
太田房江
君) ただいまから
文教科学委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 昨日までに、
本田顕子
さんが
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
藤川政人
さんが選任されました。 また、本日、
水落敏栄
さんが
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
加田裕之
さんが選任されました。 ─────────────
太田房江
2
○
委員長
(
太田房江
君)
国立大学法人法
の一部を
改正
する
法律案
を議題といたします。 本日は、本案の
審査
のため、三名の
参考人
から御
意見
を伺います。 御
出席
いただいております
参考人
は、
国立大学法人金沢
大
学長山崎光悦
さん、
国立大学法人東京工業大学監事
(
常勤
)・
国立大学法人等監事協議会会長小倉康嗣
さん及び
国立大学法人京都大学教授駒込武
さんでございます。 この際、
参考人
の
皆様
に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ御
出席
をいただき、誠にありがとうございます。
皆様
から忌憚のない御
意見
を賜りまして、今後の
審査
の
参考
にいたしたいと存じますので、よろしく
お願い
を申し上げます。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、
山崎参考人
、
小倉参考人
、
駒込参考人
の順にお一人十分以内で御
意見
をお述べいただき、その後、
委員
の質疑にお答えいただきたいと存じます。 また、御
発言
の際は、挙手をしていただきまして、その都度、
委員長
の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、御
発言
は着席のままで結構でございます。 それでは、まず
山崎参考人
から
お願い
いたします。
山崎参考人
。
山崎光悦
3
○
参考人
(
山崎光悦
君)
金沢大学
長の
山崎光悦
でございます。 本日は、
国立大学法人法
の一部を
改正
する
法律案
の御
審議
に当たり
意見陳述
の
機会
を頂戴し、誠にありがとうございます。
太田房江委員長
を始め、
参議院文教科学委員会
の
委員
の
皆様
に心より感謝を申し上げます。
金沢大学
は、各
地域
に
設置
されている
国立大学
と同様、戦前の
ナンバースクール
でございました第四
高等学校
を
中核
として、当時の
医学専門学校
、
高等師範学校
、そして
高等工業高校等
が母体となって昭和二十四年に
設置
をされた、現在では
収容定員
約一万名、一万余名の
中規模
の総合
大学
でございます。戦後の復興からの立ち上がり、そして
高度経済成長期
を経て八
学部
二十五
学科
・
課程
を擁する
大学
へと発展してまいりました。
地域
の
中核都市
に立地する本学は、医師を始めとする
医療人
や
教員養成
、そして法曹や
地方自治体
、国、
出先機関
が必要とする
地域
の
中核人材養成
と
国家レベル
で必要とされる
理工系
を中心とする
技術者養成
を担ってまいりました。 また、その間、国の
支援
を頂戴しながら、
平成元年
から約三十年間を掛けて現在の
角間キャンパス
への二期にわたる
総合移転事業
を完工し、
平成
十七
年度
からスタートさせた病院、
キャンパス
の再
開発計画
もほぼ完成させることができております。
国立大学法人移管
後の
金沢大学
の
教育
、
研究
に関する歩みについて簡潔に述べさせていただきます。
平成
二十年に、
社会
のニーズを即応的に取り入れ、より戦略的に
教育研究活動
を展開するため、それまでの
学部学科制
から、三
学域
十六
学類
から成る
学域学類制
の
教育システム
へと、また同時に、三
研究科
十四
学系
から成る
教員組織
へと
教教分離
の
組織改編
を行いました。 私は、
学長
に就任をして既に八年目を迎えておりますが、
グローバル人材育成
のための
教育改革
と
研究力強化
、そしてそれらを支える徹底した
国際化
を
目標
に掲げ、具体の
改革プラン
を
YAMAZAKIプラン
として公表し、
教職員
とその
共有
に心を砕きながら日々の
大学運営
に当たっております。
教育改革
では、
文部科学省
が進める
スーパーグローバル大学創成支援事業
の
採択
を受け、
グローバル人材育成
を進めると同時に、
教育
における
金沢大学グローバルスタンダード
、KUGSを定め、
共通教育科目群
の刷新、
国際基幹教育院
の
設置
と
専任教員
の配置など、
共通教育改革
を進めてまいりました。 また、
教育システム改革
では、
国際化
や
地域創生
のための
人材育成機能
を充実させるとともに、
理工系
における
フロンティア工学
、
生命
、
海洋資源
における
人材育成
の
開始
など、三
学域
十七
学類
への再編を経て、本年四月から、
四つ目
の
学域
、
文理融合型教育
を実施するための
融合学域
をスタートさせ、
知識集約型社会
を担う
人材養成
を
開始
をいたしました。その第一番目の
先導学類
では、
アントレプレナーシップ教育
をその
中核
に据え、
社会
の変革を先導する
イノベーター養成
を
開始
しております。 また、数理、
データサイエンス
を武器に、
観光ビジネス
によって
地方創生
を促す
人材養成
の
開始
も
計画
をしております。昨今の
コロナ禍
において
地方国立大学
の
役割
が再認識されていることを重く受け止め、真に
地方
が必要とする
地方創生人材
を育成する決意を新たにしているところでございます。 さらに、
大学院教育
の
高度化
では、他
大学
の
大学院
との
共同専攻
の
設置
などを通した
融合科学
の学びの提供に腐心しているところでございます。 一方、
研究力強化
では、
先鋭分野
の
強化
と
分野融合研究
を推し進めており、新
学術創成研究機構
の設立を手始めに、
学内
異
分野融合
により、
ナノ生命科学分野
において、
世界トップレベル
の
研究拠点プログラム
、WPIに
地方大学
として初めての
採択
を受け、ここ三年半で七十名を超える
研究者集団
となる
ナノ生命科学研究所
を
拠点
化しております。 トップダウン型とボトムアップ型の
研究グループ形成
を戦略的に推進し、
金沢大学
の強い
研究分野
を更に強くして
研究所
や
研究センター化
を進めることで、
中規模大学
ながら、特定の
研究分野
を次々に重点的に
支援
して、
世界レベル
の
研究拠点化
を目指しているところであります。 こうした
改革
と同時並行して、
研究
に専念できる
リサーチプロフェッサー制
の
導入
や
若手教員
の積極的な登用、
教員評価
と
処遇
への反映など、
教職員
の
処遇
、
待遇改善
にも力を注いでまいりました。 これらの
改革
を遅滞なく
スピード感
を持って実施できている背景には、
学部学科制
を廃して
金沢大学
が推進してきた
教育組織
、
研究組織
の大くくり化による柔軟な
組織改編
と、これと時を同じくして実施されてきた、
学長
の
リーダーシップ
の下で戦略的に
大学運営
できる
ガバナンス体制構築
のための
平成
二十六
年度
の
制度改正
が力強い後押しになったというふうに
理解
をしております。
学長
として、
教職員
や
学生
など
大学構成員
との対話を重視しながら、
金沢大学
の
教育研究所
の
プレゼンス
を上げる
改革
や
取組
を加速させ、重要な
方向付け
をしてまいりました。また、これら
改革
の
取組
の
成果
については、
ステークホルダー
に
説明
をし、
理解
をいただくということを常々その努力を重ねてきております。
さき
の
制度改正
によって、
学長
の
リーダーシップ
の下で様々な
改革
を推し進めることができるようになってきた一方で、
国立大学法人
が自律的な
運営
を実現するためには、
監事
や
学長選考会議
、これからの新しい名前は
監察会議
となるそうでございますが、それに
学長
への一定の
牽制機能
を持たせるということは十分
理解
できるところでございます。 今回の
改正法案
は、イノベーションを創出する知の
拠点
としての
国立大学
の
役割
を踏まえ、各
大学
が進むべき道を自ら模索し、それを実現するための
自由度
を高めるとともに、多様な
ステークホルダー
から信頼される
ガバナンス
を構築することで真に自律的な存在となるための要素が多く盛り込まれているものと考えてございます。各
国立大学法人
がそれぞれ独自のビジョンとミッションを掲げ、
国家
の
共有財
としての
プレゼンス向上
に努めることで、我が国の発展に寄与することが求められているというふうに
理解
をしております。 以上、本
法案
について私の考えるところを申し述べさせていただきました。 諸
先生方
におかれましては、引き続き御
支援
、御
指導
を賜りますよう
お願い
を申し上げて、本
法案
への
意見陳述
とさせていただきます。 ありがとうございました。
太田房江
4
○
委員長
(
太田房江
君) ありがとうございました。 次に、
小倉参考人
から
お願い
いたします。
小倉参考人
。
小倉康嗣
5
○
参考人
(
小倉康嗣
君) 皆さん、こんにちは。
国立大学法人東京工業大学監事
・
国立大学法人等監事協議会会長
の
小倉康嗣
です。
監事協議会
は、八十五の
国立大学法人
と
四つ
の
大学共同利用機関
の
監事
の集まりで、その
まとめ役
を務めさせていただいています。 本日は、
国立大学法人法
の一部
改正
する
法律案
の御
審議
に当たり、このような
機会
を与えていただき、誠にありがとうございます。
太田委員長
を始め、
文教科学委員
の
皆様
に厚く御礼申し上げます。
資料
に沿って
説明
させていただきます。
国立大学法人法
は、
国立大学
の自律的な
運営
と
民間的マネジメント導入
を
基本
として制定され、運用されてきていたと認識しています。このような中、自律的な
運営
といえども、
中期目標
、
中期計画
による
目標管理
については、単に既成の枠内のみ
事業
の
効率化
と質の
向上
を目指すものとなっているのではないかとの
意見
や、
学長選考会議
及び
監事
が持つ
牽制機能
について
実効性
のあるものとすべきとの
意見
もあります。一方では、様々な
ステークホルダー
から納得が得られる財務諸表を載せた
統合報告書
を作成する
大学
や
産業界
との
共同研究
を
拡大
している
大学
、また大きな
大学改革
を断行している
大学
など、
法人法制定
により年々開かれた
国立大学
に近づいていると感じています。 本来、
大学
の使命は、
教育
と
研究
、すなわち
社会人
として
世の中
に役立つ
人材
を育成すること、そして優れた
研究
を行うことによって
世の中
に貢献することです。
世界
の
トップグループ
に入る
大学
になることはその結果得られるものだということです。この原点に基づいて、現
法律
が成り立っているのかを常に確認する必要があると考えています。 今回の
法律改正内容
の
方向性
については納得できるところが多いと考えています。
中期計画
の
策定
、
監事
の
体制
の
強化
、そして
出資
の
範囲
の
拡大
について
意見
を述べさせていただきます。 最初に、
中期計画
の
策定
についてです。 次期第四期であります六年間の
中期計画
において、今回の
改正
により、毎
年度
行っていた
年度計画
及び各
事業年度
に係る
業務
の
実績等
に関する
評価
がなくなることは、
事務負担
の軽減の
観点
から
評価
できます。
年度計画
、
年度評価
の
廃止
によって
法人運営
は大丈夫なのかという
意見
があります。
中期計画
は
年度計画
の積み上げから成り立っておりまして、
最終年度
の
目標
のみでは
運営
できません。
大学
によっては差異があるかもしれませんけれども、各
法人
は毎年ごとの
計画
を作っていると考えています。この
年度計画
を
法人自身
が自由にマネジメントすることで、より一層の
自律的運営
ができるものというふうに考えています。 一方では、
中期計画
を作るに当たって、
中期目標
に基づく必要があります。第四期から
国立大学法人
に求められる
役割
や
機能
に関する
基本事項
として示された
中期目標大綱
の中から選択する方式に変更されています。
国立大学法人
の
戦略的経営実現
に向けた
検討会議
の
最終報告
には、国は、従来の
中期目標
のように個々の
大学
に対して
経営全般
にわたり細分化された
目標
をあらかじめ設定して
国立大学法人
の
活動
を
管理
するものではなく、
国立大学法人
の
多様性
にも十分配慮して、
大学政策
上必要な方針を大枠として示すことが必要であるとあります。
選択項目
の趣旨は踏まえるとしても、自主的な
中期計画
の
策定
ができるような柔軟な
対応
を
お願い
したいと思います。 次に、
監事
の
体制
の
強化
についてです。
監事
の少なくとも一人は
常勤化
を義務付ける件についてです。
監事
は、
財務会計
だけではなく、
法人
の
経営
全体が適切かつ効率的に
機能
しているかについて監査することが求められています。
監事
は、学外からの
人材
を求めており、弁護士、
会計士
、
地方自治体
、
企業経営者
など様々な業種から選ばれています。
大学運営
を
企業経営
に近づけるとの
意見
があります。
企業経営者
や
企業
の
会計士
から見ても
大学運営
は
企業経営
とは異なるものであるために、
大学
の
業務
を
理解
していなければ間違った
判断
をしてしまいます。したがいまして、
大学
の
業務
を知る上でも
常勤
であることが望ましく、
国立大学法人等監事協議会
としても、全ての
大学
や
機構
の
監事
は少なくとも一人は
常勤化
すべきであると求めていたところであります。今回の
改正
において、
法人
の長が
不正行為
や
法令違反等
があると認められるときは、
学長
、
機構長選考
・
監察会議
に
報告
しなければならないと義務付けられているため、その
役割
の
重要性
においても
常勤化
は必要であると考えています。 しかしながら、
監事
の
業務
が多くなっているにもかかわらず、
大学
における
監事業務
の
サポート体制
は必ずしも十分とは言えません。
監事
の
業務
を
サポート
する
体制
をつくるための
経費
についても十分考慮するよう
お願い
したいと思います。 また、
学長
、
機構長選考
・
監察会議
の
メンバー
は
経営協議会
と
教育研究評議会
の
メンバー
から選ばれることになっておりまして、間接的ではありますが、
学長
が指名した
メンバー
で構成されています。こうした環境の中で、
法人
の長が
不正行為
や
法令違反等
があると認められる場合、
学長
、
機構長選考
・
監察会議
に
報告
することは、
学長本人
への
報告
ではないとはいえ、
抵抗感
があることは否めません。そのため、
監事
の
資質
として、
バランス感覚
を持ち、多角的な視点で事実を確認し、合理的な
判断
を行うとともに、臆せず
発言
できる
能力
、また
質問力
、
分析力
、
説得力
、さらには
人間力
といった
能力
も求められます。
資質向上
のための研修などの
サポート
が必要と考えています。また、状況によっては
調査費用
も必要になります。この点の
経費
についても十分考慮するよう
お願い
したいと思います。現在、
監事協議会
は
法人
からの会費で成り立っていますけれども、国からの直接の補助としての考慮も
お願い
したいと思います。
監事
の
常勤化
については、
適正人材
をどのように探すのかという
課題
があります。特に
地方
においては集まりにくいとの
意見
があります。
さき
にも述べましたように、
監事
の責務が重くなっており、
大学
の様々な
教員
からのヒアリングや様々な
会議
への
出席
も行わなければなりません。したがいまして、
業務
を全うするには
専任
としての時間が必要であると考えています。
監事
も
役員
であり、
勤務
時間が決められているわけではなく、必要とあれば二十四時間
体制
で
勤務
に当たり、結果
責任
を持つのが
役員
です。
常勤
といえども毎日出勤する必要があるわけではありませんけれども、その
責任
の重さを考慮して、今後とも
原則専任
との考え方で
お願い
したいと思います。 また、大都市においても非
常勤
しか置いていない
大学
もあれば、
地方大学
においても
常勤監事
を置いている
大学
もあります。
地方
においても工夫次第で
人材確保
はできるものと考えています。
大学
として公募することや、国や自治体、
地域
の様々な
組織
から
推薦
をいただくことなどが考えられます。
大学
が適正な
監事候補者
を確保できるように、こうした
監事
の
推薦
について各方面からの御協力を
お願い
いたします。
常勤監事
の
候補者
の
選択幅
を持たせるという
意味
では、
年齢制限
を緩和するということも考慮願います。 最後に、
国立大学法人等
の
出資
の
範囲
の
拡大
についてです。
出資活動
は、国の予算を活用した
法人
の
成果
として、広く国民に還元していくという
意味
で有意義なことだと考えています。今回、
指定国立法人
にのみ限定している
研究成果活用事業者
への
出資
を全ての
国立大学法人等
に適用することとなっています。一方、
ベンチャー
への
出資
は、
実態面
において
ベンチャー企業
の業態が様々であり、
経済的リスク
が高いことから、まずは
指定国立大学法人
から始めることは正しいやり方だと思っています。その後、
実績
を見て良いとなれば、全ての
国立大学
に適用していくように
お願い
します。また、
出資
が
ベンチャー
のみならず、
ベンチャーインキュベーション法人
への
出資
も幅広く可能となるような柔軟な解釈も
お願い
したいと思います。
研究機関
における
公的研究費
の
管理
・監査のガイドラインの
改正
においても、
監事
に求められる
役割
の
明確化
が明記されています。
大学職員自身
が立ち上げた
ベンチャー企業
の場合、
利益相反
の
観点
から十分注意を払っていく所存です。 以上、ここまで
意見
を述べてまいりました。
国立大学法人
の
改革
はまだ終わりではなく、国内外の
大学等
から優れた
教員等
を戦略的にリクルートする
取組
や、
博士課程
の
進学率
の伸び悩みへの
対応
、
年度
を越えた戦略的積立て可能な
仕組み
の拡充など、これからも検討すべき
課題
があると認識しています。今後も、
検討会議
における議論を通じて、
国立大学法人法
が実情に合った
改正
になることを望んでいます。 また、今回の
改正
の重要な部分として
監事体制
の
強化
が盛り込まれたことにより、
監事協議会
としては
監事
の
役割
の
重要性
に鑑み、身の引き締まる思いで
対応
していきたいと考えています。 以上、
意見
を述べさせていただきました。 ありがとうございます。
太田房江
6
○
委員長
(
太田房江
君) ありがとうございました。 次に、
駒込参考人
から
お願い
いたします。
駒込参考人
。
駒込武
7
○
参考人
(
駒込武
君) こんにちは。
駒込
と申します。よろしく
お願い
します。 本日は、
参議院文教科学委員会
において
意見陳述
の
機会
を与えられましたことを心より感謝申し上げます。 私は、
教育学
、
教育史
を専攻しております。本日は、
現場
で
研究
、
教育
に携わる一
教員
としての立場から、
国立大学
の
ガバナンス体制
をめぐる問題に絞って
意見
を述べさせていただきます。 お手元に
資料
があるかと思いますが、その一ページ目の下の図を御覧ください。この図は
文部科学省
が作成したものです。中央に
学長
がいて、
学長
の指名した
理事
とともに
役員会
を構成する、左側に
経営協議会
、右側に
教育研究評議会
があり、それぞれから選出された
委員
が同数で
学長選考会議
を構成し、
学長
を選出する、そうした
仕組み
を表しています。 二ページ目になりますが、それでは、もしも
学長
に不正や
法令違反
などがあった場合にはどう
対応
すればよいのでしょうか。
改正案
は、
学長
への
牽制機能
の
強化
が必要であるとして、三つのポイントを挙げています。
①監事
に
学長選考会議
に
報告
する
権限
を与える、
②学長選考会議
を
学長選考
・
監察会議
と改称して
学長
への
説明
を求める
権限
を与える、
③学長
が
選考会議
の
委員
になれないようにすることです。 その下の図は、先ほどの
文科省作成
の図が率直に申し上げて
ミスリーディング
であると考えて、私が修正を加えた図です。
学長
と
理事
は、実は
経営協議会
の
委員
でもあります。その
委員
は
学長
が
任命
あるいは指名することになっており、議長は
学長
です。
教育研究評議会
についても
事態
はおおよそ同様です。
政府提出
の
改正案
におきまして、
学長
は確かに
委員
から外れることになりましたが、
学長
の選んだ
委員
が
学長
を選ぶという
仕組み
に変わりはありません。それで果たして
選考会議
の
判断
の
透明性
や
公平性
を担保できるのでしょうか。むしろ、
学長
による不正の温存や隠蔽につながるのではないかという懸念がございます。 それでは、
監事
についてはどうでしょうか。
監事
は
文部科学大臣
の
任命
です。
衆議院
で
萩生田文科大臣
は、
文科省
退
省者
が
監事
に就任する
可能性
を否定しませんでした。
中期目標
、
中期計画
に関わる
文科省
の
権限強化
と相まって、
国立大学
に対する国による
間接支配
が
強化
される
可能性
がございます。
監事
が言わば上からの
牽制
、
経営協議会
が横からの
牽制機能
を担っているのに対して、
教育研究評議会
の方は下から
牽制
する役目を担っています。ところが、実際のところは、
学長選
に関わる
意向投票
の
廃止
、
部局長互選
の
廃止
などにより、この下からの
牽制
が
機能不全
に陥っています。そのため、
研究
、
教育
、
医療
の
現場
と
大学執行部
の亀裂や対立が実際に各地で生じています。 ツイッターで、ある京大の
学生
はこのようにつぶやいていました。「
大学
の
意思決定
に一番人数多くて、金まで払っている
学生
が参加できなくて、どこぞの誰かも知らんたった八人の
理事
さんたちがお金もらってドンドン決めてくの
意味
わかんなくね?」。極めて真っ当な見解だと思います。 次のページになります。なぜこのような
事態
が生じているのでしょうか。
原因
の一つは、二〇一四年の
文科省
の
施行通知
です。この
通知
では、過度に
学内
の
意見
に偏ることなく、
社会
の
意見
を反映させる
仕組み
が重要だとしています。 この
通知
には大きな問題がはらまれています。
学内
よりも
社会
を優先としていますが、
学生
とその
保護者
も、また
大学
を支える
地域社会
もまた
社会
の一部です。
学内
と
社会
を単純に対比する論法は、この点を見落としています。手続的には、
文科省
は、
施行通知
に加えて
チェックリスト
を作成して各
大学
に
内部規則
の
改正
を促しました。これは、
大学
の
自主性
、
自律性
を掘り崩す
行政指導
であり、適法と言えるか疑問です。
二つ目
の
原因
は、二〇一九年の
閣議決定
です。 この
閣議決定
で、
学長
、
学部長等
を必要な
資質能力
に関する
客観基準
により、
法律
にのっとり
意向投票
によることなく選考せよと定めました。この
閣議決定
は違法のおそれがあります。 二〇一四年当時、
下村文科大臣
は、「これから
意向投票
はもうやめるべきだということを国が言う考えはありません。」と答弁しています。
閣議決定
はこの
大臣答弁
をほごにするものであり、
行政
の
一貫性
を損なうものです。また、
法律
にのっとりと書いていますが、
学長
や
学部
長の選考方法について具体的に定めた
法律
はありません。 私の恩師である寺崎昌男東京
大学
名誉教授が記しているように、一九一九年に東京帝国
大学
で始められた総長選挙制度は、
大学
自治の象徴的な到達点です。この
閣議決定
は、日本国憲法第二十三条に定める学問の
自律性
、その制度的保障としての
大学
の自治に対する侵害です。同時に、国会の立法権への侵害でもあります。 政府は、
学長
監視
機能
の
強化
を必要とする事実、すなわち
改正案
の前提となる立法事実について
説明
していません。ですが、事実を確認すれば、先ほどの
施行通知
や
閣議決定
こそが今日の混乱と沈滞の
原因
だと分かります。 ここでは、
意向投票
を形骸化ないし無視し、任期の上限も撤廃した例として、筑波
大学
と旭川医科
大学
に着目します。 筑波
大学
では、
学長選考
に関わる意向調査投票が行われてきましたが、昨年、これを
意見
聴取と改めました。これは単なる言葉の上の変更ではありませんでした。実際、
選考会議
は
意見
聴取の結果を覆して永田氏を再任しました。
意見
聴取に先立って、永田
学長
は、最長六年という通算任期の上限を撤廃しました。しかし、
選考会議
で通算任期の撤廃を決定したことを示す記録は存在していません。
選考会議
が永田
学長
の再任を
意見
聴取の結果を覆して決定する五日前、文科大臣は筑波
大学
を
指定国立大学法人
に認定しました。
学長
の強い
リーダーシップ
を認定の理由として挙げています。ところが、今年になって指定申請書類に記した留
学生
数に水増しのあったことが発覚。問題はないという
学長
の
説明
にもかかわらず、虚偽記載であることが確定しました。
政府提出
の
改正案
では、この筑波の例のような場合、
学長
への
牽制機能
が有効に
機能
しません。筑波
大学
の
監事
は、この虚偽記載について調査に着手した形跡はありません。また、
文科省
は、
学内
問題なので調査するつもりはないとしています。こうした事例は、
学内
からの信任と支持なき
リーダーシップ
の下に単なる独裁が生じているのではないか、そうした疑念を抱かせるものです。 もう一つ、旭川医科
大学
の例を挙げます。 二〇〇九年には、
学長
通算任期は最長六年という上限を撤廃し、一昨年には、意向聴取をせずに吉田晃敏氏を
学長
に再任しました。その吉田
学長
は、新型コロナ感染症患者を受け入れようとした病院長を解任しました。これについて、患者らによる署名運動が起きているほか、意向聴取対象者の過半数の署名を得て解職請求が行われています。
経営
を重視する立場からは、感染症患者を受け入れない方がよいという
判断
もあり得るのでしょう。ですが、教学、すなわち
研究
、
教育
、
医療
の公共性を重視する
観点
や
地域
貢献という
観点
とこの
経営
の
観点
は矛盾することもあります。つまり、採算は合わないけれど、市民や
学生
にとって切実に必要とされる
研究
、
教育
、
医療
もあるのです。これを切り捨てることによって犠牲にされるのは、この例では市民です。ダイナミックで民主的な
ガバナンス体制
によって
経営
の
観点
と教学の
観点
を調整していくことが必要です。 それでは、どうしたらよいのでしょうか。
大学
は元々、公共財の一つです。その
研究
、
教育
、
医療
の充実と
地域
への貢献を図るためには、
学内
の
ステークホルダー
のモチベーションを高め、相互の信頼に立つ安定した関係を築くことが大切です。
文科省
の
検討会議
でも言われているように、守るべきは
学生
と
研究
の未来です。 まず、
学内
におけるボトムアップ型
意思決定
の
仕組み
の再構築を図る必要があります。具体的には次のようなことが考えられます。 第一に、
意向投票
の結果を最大限に尊重すること。第二に、直接請求による
学長
解職制度を創設すること。第三に、
学長
指名の評議員を割合を三分の一以下にとどめること。第四に、
学長
の通算任期の上限を定めること。第五に、
監事
は公益通報の窓口を設けること。第六に、
監事
の選任に当たっては、国、学外
委員
関連
企業
等との縁故を廃すること。
政府提出
の
改正案
の先に
研究
と
学生
の未来があるとは思えません。
大学
の
ガバナンス
改革
は、二〇一四年
施行通知
と二〇一九年
閣議決定
の適法性を問い直し、それが
研究
、
教育
、
医療
の
現場
にもたらすゆがみを確認することから始めるべきです。 なお、そうした
観点
から、
政府提出
の
改正案
の修正
意見
を請願書としてまとめて参議院議長に
提出
しましたので、慎重に御
審議
ください。また、
参考
資料
として
政府提出
の
改正案
をめぐる新聞報道を二件添付しましたので、御参照ください。 以上で私の
意見陳述
を終わります。ありがとうございました。
太田房江
8
○
委員長
(
太田房江
君) ありがとうございました。 以上で
参考人
の御
意見
の陳述は終わりました。 これより
参考人
に対する質疑を行います。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 質疑のある方は順次御
発言
願います。
吉川ゆうみ
9
○
吉川ゆうみ
君 自由民主党の
吉川ゆうみ
でございます。 三人の
参考人
の
皆様
方からはそれぞれのお立場から大変貴重な御
意見
をいただきましたこと、まずもって心から御礼申し上げます。ありがとうございました。 早速ですけれども、質疑に入らせていただきます。 今回の
改正案
におきましては、まず、
国立大学法人
が作成する
中期計画
の記載事項として、
教育
研究
の質の
向上
に関する
目標
等を達成するためにとるべき措置などの実施状況に関する指標を追加するということとなっております。これによりまして、
国立大学法人等
は
中期目標
の達成に一層の
責任
を持つことが期待されますが、見方を変えますと、その指標によって
中期計画
に掲げる
目標
の達成度というのが具体的に見える、見られる形になってくるということを
意味
するかというふうに思っております。 一方で、このことが、その
評価
ができてしまうがために、
評価
に縛られるが余り、その
評価
をしっかりと達成しなければいけないということで、安易な
目標
設定、各
国立大学法人
にとって取り組みやすいような設定にされはしないか、各
大学
法人
が
国立大学法人
にとってしっかりと取り組むべき
課題
への
取組
、これが
中期目標
にしっかりと盛り込まれなくなってしまうのではないかというようなことを懸念いたしております。 この点におきまして、
山崎参考人
より御
意見
をいただけたらと思うのと同時に、そういった
目標
設定の際に、達成がしっかりしたよということが言えるような安易な設定にならないような、そして、しかし、実行力のある、その
国立大学法人
にとって重要な
目標
になるようにしていくにはどのような形で
仕組み
をつくっていく、進めていけばいいのかという御
意見
ございましたらお聞かせ願えればというふうに思います。
山崎光悦
10
○
参考人
(
山崎光悦
君) 御質問ありがとうございます。
山崎
でございます。 第四期には
中期目標
の大綱が、最終的に、まだまだ案の段階ですけど、示されるというふうに内示をいただいておりますので、それはほとんどの
国立大学法人
が取り組むべき内容を網羅しているというふうに私どもは捉えております。その中から幾つかを各
法人
が選び出し、ここに書かれている全ての項目について取り組むのではなく、自分の
大学
が特に注力をして次の六年間でこう頑張りたいというところを
中期計画
として具体的に書き下すというふうに
理解
をしております。したがって、自らがその
目標
を定め、それについてのいわゆる重要指標、KPIを定めるということは、我々実施する側、あるいは構成員から見ても、その
計画
がどの程度実施、達成できているかということをきちっと見るための一つのバロメーターになるだろうというふうに考えてございます。 決して、そのために戦略的な
目標
をおろそかにして達成しやすいものにしようというふうに、今の
国立大学
群はそういう安易な考え方はほとんどの
大学
は持っていないというふうに私は
理解
をしております。私の
大学
は、特に、戦略的に今までの三期にわたるいろんな
運営
をやってまいりましたし、これからもそういうチャレンジを続けていくつもりでございますので、決して御心配のようなことにはならないというふうに私自身は思っております。 お答えになっているかどうか分かりませんが、以上でございます。(
発言
する者あり)
太田房江
11
○
委員長
(
太田房江
君) 挙手を
お願い
します。
吉川ゆうみ
12
○
吉川ゆうみ
君 ごめんなさい。 ありがとうございます。 かもしれませんけれども、あくまで今回の
法律
の趣旨にのっとるとそういったことが危惧されるものですから、是非とも各
国立大学法人
の
皆様
におかれましては、
山崎参考人
のような考え方でもって進めていただければということを期待するところでございます。ありがとうございました。 続きまして、
監事
に関してお伺いをさせていただきたいと思います。 昨年、
常勤監事
を置いている
国立大学法人
、八十六
法人
のうち四十六
法人
というふうになっておりますけれども、今回の
改正案
では、
監事
の監査
体制
を
強化
していくために、
監事
のうち少なくとも、先ほどもございましたけれども、一人は
常勤
にしなければならないというふうになっております。しかし他方で、
地方
では常任、
常勤
の
監事
を確保するということが大変
人材
の面で困難であるというようなことが多く言われているところでございます。 この
人材確保
につきまして、
監事
は
国立大学法人
の
業務
や財務等を監査する
役割
を担うわけでございますけれども、その責務を果たすためにどのような
資質
や背景を持った方がこの
監事
としてふさわしいのか、また、選任者を選考、確保していくためにはどのような工夫をこれまでなさってきたのか、あるいはこれから更にこの常任というところも置かなければいけないという中において工夫をされていくことが重要だと思っておられるか、
山崎参考人
にお伺いさせていただきたいと同時に、
小倉参考人
におかれましては、先ほど、この常任
監事
というのも
地方
においても何とか確保できるんじゃないかというお話をいただいたところでございますけれども、その際には様々な周りの
ステークホルダー
の協力があればということでございましたので、具体的にどのような協力を得られると、この
地方
で
人材
、様々な
資質
を持った
人材
を
常勤
として選ぶ、選任するということが可能になってくるのか、具体的な協力の面についてお聞かせいただきたいということと、さらに、それらを
現場
で見ておられる
駒込参考人
からも、この
監事
についての、常任の特に
監事
についての御
意見
、お伺いできたらというふうに思います。
山崎参考人
の方から
お願い
できればと思います。
山崎光悦
13
○
参考人
(
山崎光悦
君) 御質問ありがとうございます。
地方
でなかなか
人材確保
が難しいのではなかろうかという御指摘かと思いますが、先ほどの御
発言
にもございましたように、やっぱり
大学
の中のことを熟知していただいた上でやっぱり
監事業務
をしっかりとやっていただきたいなという
観点
から、やっぱり
大学
の
経営
あるいは高等
教育
機関での
経営
等に携われた御経験のある方の中から選ぶのが今現在の
地方
では現実的な選択肢だというふうに
理解
をしております。 しかしながら、これから先のことを考えますと、
大学
の
機能
、
経営
というところがどんどんその
機能
が広がっていくという将来を考えますと、さらにやっぱりそういう視点、
経営
あるいは経済
活動
ですね、外部資金獲得という
観点
も重要な視点になってまいりますので、そうした見識を持たれた、あるいは経験、チェック
機能
をきちっと果たしていただける、期待できる方をやっぱり確保していく必要があるというふうに
理解
をしています。 以上でございます。
小倉康嗣
14
○
参考人
(
小倉康嗣
君) それでは、私、
小倉
からお答えさせていただきます。 まず、現在、
常勤監事
のいるところは四十八
大学
です。ちょっと修正させていただきます。 私の
資料
のパワーポイントの八ページを見ていただくと分かると思うんですが、まず、例えば四国・中国支部、十
大学
のあるうち九
大学
にもう既に
常勤監事
がいます。それから、九州・沖縄支部におきましても、十一
大学
のうち八
大学
はもう既に
常勤監事
がいるわけですね。ですから、
地方
において
常勤監事
が集まりにくいということは必ずしも当たっていないのではないかなというふうに思っています。 それで、もう一つ、一方では、非
常勤監事
の
大学
というのは専門
大学
だったりあるいは単科
大学
だったりするケースが多いということで、一つの選任していただくための方法としては、様々な
地域
にもいろんな商工
会議
所なり、あるいはいろんな
組織
があるわけですね。その
地域
の
組織
の人たちにやっぱり
お願い
していくということで、開かれた形での公募を行う。それから、今
大学
で公募するということもできますので、
大学
で公募するというやり方もあると思います。 それから、もう一つは、国に、
監事
の
資質
というのは先ほど言いましたように非常に重要になってきますので、国がそういう
人材
バンクを持つとか、そういった方法もあるのではないかというふうに思っています。 以上です。
駒込武
15
○
参考人
(
駒込武
君) 御質問ありがとうございます。 まず、
監事
の
常勤化
ということですが、先ほど
小倉参考人
の話を伺って、
監事
さんも本当に大変なんだ、
業務
があるということがよく分かりました。 他方で、
国立大学
の
現場
からいいますと、今、京都
大学
に限らず、ほとんど全ての
国立大学
で、人が退職しても予算がないために後任を補充できないという
事態
が相次いでいます。そのため、例えばそれまで四十人でやっていたところが一人減り二人減り三十五人で
運営
する、でも授業科目などがそれで減るわけではないという、非常に無理な
事態
が起きています。 そうした中で、新たに
監事
を
常勤
するときに、その報酬というのは一体どこから出るのだろうかという問題がございます。それでも、恐らく私の属する京都
大学
は財政的に比較的に恵まれた方だと思いますが、私の存じ上げているある
国立大学
の先生は、もう本当にコピー費もない、
学生
に
資料
を紙媒体で配ることもできない、もうそこまで本当に追い詰められている、そこで
監事
を
常勤化
してくれというのは、本当に、そのことによってまた何人かの
教員
が辞めた後補充できないということになる、どうしたらいいのかという嘆きを漏らしていました。ですので、十分な財政的な措置というものが必要だと思います。 また、その
監事
とされる方の特質については、やはり
研究
や
教育
の特性というものをよく
理解
されている方になっていただきたいと思います。
研究
や
教育
というのは、あらかじめ定められたルートを全部スムーズに進むとは限りません。思わずルートを外れたり、そこで発見があったり、大発明があったり、でもやっぱりうまくいかなかったり、そうした試行錯誤の蓄積です。そうしたものである、
研究
とは、
教育
とはということをよく
理解
した方に
監事
になっていただきたい。それから、各
大学
の歴史、沿革や
地域
との関係、そうしたものをよく御存じの方になっていただきたいというふうに思っています。 以上です。
吉川ゆうみ
16
○
吉川ゆうみ
君 ありがとうございました。 大変貴重な御
意見
、本当に有り難く存じます。ありがとうございました。 最後に、
国立大学
は、
平成
十六年に
法人
化をされました。競争的環境の中で活力に富み、個性豊かな魅力ある
国立大学
を目指すという趣旨、目的の下、以来二十年近くになりますけれども、現在果たしてこの
法人
化の趣旨あるいは目的に沿った形で進んできていると言えるのだろうかと。今回の
改正案
が出されたこの
機会
に合わせて、改めてこの二十年、
平成
十六年の二十年前の趣旨、目的ということを振り返る、検証する必要があるのではないかというふうにも思っております。 改めて、この
法人
化以降の
国立大学
改革
の
方向性
や
成果
につきまして、どのようにお考えでおられ、そしてまた
評価
をしておられるのか、特に
学長
でいらっしゃいます
山崎参考人
に御
意見
をお伺いをさせていただければというふうに思います。
山崎光悦
17
○
参考人
(
山崎光悦
君) ありがとうございます。
金沢大学
の例で御
説明
をさせていただこうと思います。 先ほどの
駒込参考人
の御
意見
にあったように、多くの
国立大学
は、予算が多分この十八年間で大体一〇%強削られてきたということを背景に、人件費を削るのが一番、何というかな、
大学
経営
の
観点
からはやりやすい方法なので、そういうふうにやってきたかなというふうに思います。 私は、先ほども申し上げましたように、
学長
に就任して八年目でございます。私が引き受けたときには、
常勤
の、私ども千百ぐらいいた
教員
が百人強減っておりました。それをまず増やすことが
学長
の一番の使命かなと、
組織
は人なりという考えでございます。 その分だけどこかで人件費を確保しなきゃいけない。それが多分、間接
経費
など
大学執行部
が自由に、自由裁量で賄える予算だというふうに
理解
をしています。 その
意味
で、今回の
改正
で、さらにいろんな形で外部資金、
産業界
のみならず、いろんなところから資金を獲得できる
可能性
が、少しずつではありますけれども広まるというふうに認識をしております。そういったことを繰り返すことで、自ら自律した
国立大学
運営
がだんだんと、少しずつではありますけれども可能になっていくということを大いに期待をしたいと。 ですので、多くの
大学
というか、全ての
大学
がしっかりと
改革
を進めてきております。予算が削られているところがちょっと厳しいところですが、やっぱりランキングも下がっているという現状から見ると、やっぱり少しは予算増をしていただいて、元気が出る
国立大学
を是非応援をしていただけたら有り難いかなと。努力は絶対しています、みんな。なので、そこは是非お認めいただきたいなと、こんなふうに思う次第です。 以上です。
吉川ゆうみ
18
○
吉川ゆうみ
君 ありがとうございました。 私からの質問を終わります。ありがとうございました。 ─────────────
太田房江
19
○
委員長
(
太田房江
君) この際、
委員
の
異動
について御
報告
をいたします。 本日、
有村
治子
さんが
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
宮崎
雅夫
さんが選任されました。 ─────────────
石川大我
20
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。 本日は、三名の
参考人
の
皆様
には貴重な御
意見
をいただきました。ありがとうございます。 まず初めに、
山崎光悦
参考人
にお伺いをさせていただきたいと思います。
山崎
先生、プロフィールを拝見をいたしますと
金沢大学
一筋ということで、まさに
大学
におけるプロパーと言える存在だと思うんですが、現状で、
大学
における内部
委員
が
学内
の様々な多様な
ステークホルダー
の代表として選ばれているという実感はおありでしょうか。また、そうしていくために必要なアイデアがあればお示しいただきたいというふうに思います。 また、
学長
は、
大学
における
人材
戦略の本質はバラエティーだというようなお話、
多様性
ということだと思いますけれども、この
学長
のトップダウンな
権限強化
に伴って、このバラエティーをどう保っていくのか、失われやしないかといったところについての傾向についてもお聞かせいただければと思います。
山崎光悦
21
○
参考人
(
山崎光悦
君) 質問ありがとうございます。 なかなか難しい御質問かなと思いますが、私が、
多様性
こそ
組織
の柔軟性、将来性だというふうに常々構成員に申し上げておりますので、そういう
観点
から申し上げさせていただきます。
役員
の構成も含めて、
教員
の登用、そして、全国あるいは
世界
から集まってくる
学生
に対して、
キャンパス
をどのように多様化するか、
国際化
するかというのが一生懸命に腐心しているところであります。
学生
の
観点
からいいますと、
学内
に英語だけで会話ができる場所をつくってみたり、混住寮といいまして、留
学生
と日本人
学生
をある比率で共同生活をさせるスペースを
学内
につくって、英語オンリーで、日本人については
国際化
を、外国人については日本に慣れ親しむような
サポート
をしたりというようなことも進めております。そういう
意味
で、
教職員
においても、外国語が運用できるとか外国籍の方を優先的に登用するとかという、ある比率でしっかりとやってきています。 そういったことが、少しずつではありますけれども、
多様性
、バラエティーというふうに、を
大学
の中に取り組む大切な
方向性
かなと。
多様性
というのは、たくさんの人がいらっしゃるとやっぱり多様な
意見
が出てまいりますので、それを取りまとめたり、相手を
理解
することでそれぞれの人間が大きく成長できるということについては確信をしております。 お答えになっているかどうか分かりません。 以上でございます。
石川大我
22
○石川大我君 ありがとうございます。 続きまして、
小倉康嗣
参考人
にお伺いをさせていただきたいと思います。
小倉参考人
は、民間の出身、会社の出身ということで、現状で、
大学
における今度は外部
委員
でございますけれども、学外の多様な
ステークホルダー
の代表として選ばれているという、そういう実感はおありでしょうか。また、そうなっていくために必要なアイデアがあればお示しいただきたいと思います。
小倉康嗣
23
○
参考人
(
小倉康嗣
君) 外部
委員
としての認識があるかということに対しては、そうだというふうに考えています。よろしいでしょうか、そういうことで。
石川大我
24
○石川大我君 ありがとうございます。 そうしましたら、今回の
改正案
についてですけれども、
監事
の
権限強化
が図られていますが、今後、
文科省
の、先ほどちょっとお話が出ましたけれども、
文科省
の職員や元職員が
監事
になっていくことも検討されているようですけれども、そうなると、結果的に
大学
に対する
文科省
の
権限
というものが更に
強化
されていくことになると考えますが、仮にそうなった場合、
監事
としてのあるべき姿、ふさわしい姿ということについてどのようにお考えでしょうか。
小倉康嗣
25
○
参考人
(
小倉康嗣
君)
文科省
の職員がという、検討しているという話はちょっと私は全く聞いておりませんけれども、
監事
の
業務
というのは、会計監査のほかにいろんな
意味
での
大学
の、何というんですかね、
事業
というか、
運営
に関して見ていくわけで、それが
文科省
の方が見ても
企業
から見ても、見方というのは多少変わるかもしれませんけれども、
基本
的には同じだと思うんですよね。要するに、
大学
の
運営
がきちんとできているかどうかとか、どういうふうに例えば
中期計画
を作っているかなんというのも含めてですね、国から来た人だからおかしいとかいうことはないと思います。 それで、もう一つ、
国立大学
には国から実際に来られている事務の方もおられますけれども、そういうのを必ずしも引きずっているわけじゃないので、そういう問題は発生しないと私は思っています。 以上です。
石川大我
26
○石川大我君 ありがとうございます。 そうしましたら、
駒込武
参考人
にお伺いをしたいと思います。
駒込
先生からは現在の
国立大学
と今回の
改正案
に対する様々な問題点を御指摘いただいたと思うんですが、その中から幾つかお伺いをしたいと思います。 これまで、
改革
による行き過ぎたトップダウンによって起きている弊害とか、今後具体的に起きる問題というのがあればお聞かせいただきたいと思います。例えば筑波
大学
の例ですけれども、
学長
の偏重によって
研究分野
や
研究
費、あるいは提供できる
教育
分野が減少していくなど、そういったことも含めて御見解をいただければと思います。
駒込武
27
○
参考人
(
駒込武
君) 御質問ありがとうございます。
学長
は、たとえ個人として優れた
研究
者であっても一分野の専門家にすぎません。
大学
における様々な
学科
、学問、それぞれの領域についてよく知っているわけではありません。ところが、現実に起きているのは、
学長
に近い分野は予算や人員が付く一方、そうでない分野は切り捨てられていくというような
事態
です。 筑波
大学
の場合には、永田
学長
の出身母体である医学
医療
系の
教員
というのがこの五、六年の間にも増えているのに対して、人文
社会
系、あるいは理科系でも
生命
環境系の
教員
は大きく削減されています。二〇%近い削減となっています。こうした中で、困るのは
教員
だけではなく、
学生
たちが、自分が学びたいと思っていた分野、コースがなくなってしまった、そういう戸惑いを上げているという声が筑波
大学
新聞でも報じられています。 こうした
大学
予算のカットによる
教員
構成の貧困化というのは、
学生
の学習権を侵害するものだと思っています。どんどん人がいなくなる中で、例えば、必修科目が朝一限と夕方五限に集中していく、そうじゃないと時間が割り振れない、そうした
事態
が各地で生じています。そうすると、例えば
学生
はアルバイトの関係で非常に困ってしまって、本当は学び続けたいのに
大学
をやめざるを得ないというような
事態
も生じています。 昨今、コロナ感染症の
拡大
で学費を払うことが困難な
学生
の退学が相次いでいるというニュースがあって私も胸を痛めていますが、コロナのことがなくても、
学生
が
大学
で学び続けにくい、続けられないという状態が生じています。
大学
の
ガバナンス
改革
を言うならば、こうした
学生
の声を受け止められる
体制
を、
仕組み
を考えるべきであるにもかかわらず、現在生じているのは、
学生
のニーズというよりも、むしろ政府のニーズによって
学部
やコースをリストラしていく、そういう
事態
になっていると思います。 以上です。
石川大我
28
○石川大我君 ありがとうございます。 先ほどレジュメの三ページでも御紹介をいただいていると思いますけれども、ツイッターにおけるぐしゃりんさんのつぶやきということで御紹介をいただいたんですが、本来、
学内
の
ステークホルダー
であるべき
教員
や
学生
の意思というものが
大学
の
運営
に反映されなくなってきているというような状況もあると思うんですが、それによって生じている具体的な問題、今、先ほど少しお話がありましたけれども、そういったものをもう少し聞かせていただきたいということと、あと、
大学
の将来にわたってどういった影響があるというふうに先生はお考えでしょうか。
駒込武
29
○
参考人
(
駒込武
君) ありがとうございます。 一言で言うと、
学長
を中心とした
大学執行部
と
学内
ステークホルダー
である
教員
や生徒の間で、生徒と執行部の間に対立や相互不信が高まってしまっています。 この不信感がどれほどの深さと広がりを持っているのかというのを具体的に示すのは難しいのですが、先ほども申し上げましたように、筑波
大学
の例でいえば、
学長選考
において、現職が有利であるにもかかわらず、永田氏は大差で敗れました。これは、実質的に
教職員
による不信任であったと見るべきだと思います。それにもかかわらず、
学長選考会議
は、人格高潔といった理由を挙げて永田氏を再任しました。これは投票ではない、一種のアンケートにすぎない、そうした見解が示されたわけです。そうした見解を示した
選考会議
の
委員
は
学長
の選んだ方々です。こうした状況の中で不信が渦巻くのは当然であるというふうに思います。
文科省
の
国立大学法人
の
戦略的経営実現
に向けた
検討会議
は今回の
改正案
の前提となる重要な
会議
ですが、その中では、繰り返し、
学内
の
ステークホルダー
のモチベーションを高め、相互の信頼に立つ安定した関係を築くことが大切だというふうに書いています。しかし、このように
学内
の意向を顧みない
体制
で安定した信頼関係など望むべくもありません。心ある
教員
は、私立の
大学
へ、あるいは海外の
大学
へとどんどん流出していっています。個々の
教員
はそれでよいかもしれませんが、残された
学生
、あるいは
大学
を町づくりの中心としようと思っていた
地域
の住民はどうなるのでしょうか。 そうした
意味
で、現状においては、トップダウンの
ガバナンス体制
が
研究
と
学生
の未来を破壊していく、そうした
事態
が残念ながら生じていると思います。
石川大我
30
○石川大我君 ありがとうございます。 もう一点、最後に
駒込参考人
にお伺いをしたいんですが、今回の
改正案
の基となっているのは、二〇一九年の経済財政
運営
と
改革
の
基本
方針二〇一九という、いわゆる骨太の方針なんですけれども、ここでは、
学長選
挙は
意向投票
を
廃止
して、
学長
の裁量による
大学
経営
を可能にすることがうたわれております。この方針は
国立大学
の在り方としてふさわしいというふうに思われるでしょうか。その点、様々違法性の問題なども指摘があったと思いますけれども、そういった
大学
の
役割
としての根本的な問題についてもお聞かせいただければと思います。
駒込武
31
○
参考人
(
駒込武
君) ありがとうございます。 この
閣議決定
には、大きく分けて
四つ
の問題があると思います。 一番目は、先ほども申し上げましたように、
行政
の
一貫性
を損なっているということです。二〇一四年の
施行通知
で
意向投票
は望ましくないと言いましたが、するなとまでは言いませんでした。ところが、この
閣議決定
では、明確にするなとなっています。
二つ目
は、この
閣議決定
では
法律
にのっとり
意向投票
をするなと書いているんですが、
意向投票
をするなと書いた
法律
はございません。
国立大学法人法
は、
意向投票
についてはせよともするなとも書いていません。もし
学長選考
の在り方を定めた
法律
があるとしたら、それは
教育
公務員特例法です。これは
国立大学法人
化に伴って適用しなくてもよいということになりましたが、そこでは、評議会の議に基づいて
学長
を選考せよと書いています。
意向投票
をするなという
法律
はないにもかかわらず、むしろその反対の趣旨の
法律
があるにもかかわらず、
法律
にのっとりと書いてある点が大きな問題だと思います。 三番目は、
閣議決定
は
資質能力
に関する
客観基準
が重要だというふうに書いています。この
客観基準
という言葉がしばしば使われるんですが、その内容は、先ほども言いましたように、人格が高潔で識見が豊かである、そうしたことです。誰が人格が高潔か、それはまさに主観的な
判断
にほかならないのではないか。それにもかかわらず、
客観基準
という言葉が独り歩きすることでそれに
意味
があるかのようなふうになっている、これが大きな問題です。
四つ目
の問題は、このいわゆる骨太の方針というのが正確に言えば経済財政
運営
と
改革
の
基本
方針というものであり、経済産業省が中心となって定めたものだということです。そうした結果として、
経営
の
観点
を教学の
観点
よりも優先させる、そうした姿勢があらわです。先ほど二〇一四年の
施行通知
には大きな問題があると言いましたが、二〇一九年の
閣議決定
は、その問題ばらみの
施行通知
ですら踏み込まなかった部分、
学長
の
意向投票
をするな、
学部
長の
意向投票
もするな、そこまで踏み込んでいるわけであって、私はこれは違法であり、先ほども述べたように違憲でもあるというふうに思っております。 ありがとうございました。
太田房江
32
○
委員長
(
太田房江
君) 時間が来ております。
石川大我
33
○石川大我君 大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。 三名の
参考人
の
皆様
、重ねて御礼申し上げます。ありがとうございました。
佐々木さやか
34
○
佐々木さやか
君 公明党の
佐々木さやか
でございます。 本日は、三人の
参考人
の
先生方
、大変にありがとうございます。 早速ですが、まず
山崎参考人
に御
意見
を伺いたいと思います。 今回の
改正
でございますけれども、
国立大学法人
に対する多様な
ステークホルダー
からの信頼を獲得していくという
観点
から、
学長選考会議
の
牽制機能
及び
監事
の監査
体制
を
強化
をしていくということが一つのポイントとなっております。 この今回の
改正
の内容に対する
参考人
の
評価
を伺いたいと思っているんですけれども、例えばこの点につきましては、
学長選考会議
の
牽制機能
というところで、
経営協議会
また
教育研究評議会
の
委員
は
学長
が指名できるので
実効性
が不十分ではないかと、こういった指摘の声もあったりするわけですが、
山崎参考人
としては今回の
改正
の内容についてどのように
評価
できるか、この点についてまず伺いたいと思います。
山崎光悦
35
○
参考人
(
山崎光悦
君) 御質問ありがとうございます。 今回の
改正
の前から、例えば私どもの
学長選考会議
は、年一度の
学長
の
改革
等の実施状況のチェックというのを毎年やっておられます。
学長
が
推薦
をした
メンバー
で構成されているというのはある部分では正しいと思いますが、例えば
金沢大学
の例を御覧いただいたらお分かりだと思います。各界の、もう我々がひれ伏して
お願い
するような方ばっかりで、
学長
の意に合うような御
意見
を、曲がったことをおっしゃるような方は一人もいらっしゃらないというふうに私は思っております。 そういう
意味
からしても、今回の
法律
改正
によってそういったことがきちっと担保される方向になるだろうという期待をさせていただいております。決して御心配、御懸念のようなことにはならないのではないかというふうに思われます。 以上でございます。
佐々木さやか
36
○
佐々木さやか
君 ありがとうございます。 次に、
山崎参考人
と、それから
小倉参考人
にも伺いたいんですが、この
国立大学法人
の長に求められる人物像というところについてお考えを伺いたいというふうに思います。 この点について、
国立大学法人
の
戦略的経営実現
に向けた
検討会議
の最終取りまとめで
意見
がございまして、
学長
が真に
リーダーシップ
を発揮し、
世界
に伍する
大学
へと飛躍を遂げていくべきであると、そうした中から
学長
等の幹部候補を発掘、育成、プールする
仕組み
も必要ではないかと、こういったことも指摘がございます。こういうシステムというのは日本にはまだ定着していないと、こういったことも指摘をされております。こういうシステムについてどのように、日本で必要かどうか、どのようなお考えをお持ちかというところ。 それから、その
法人
の長、
国立大学法人
の長に求められる人物像として、
山崎参考人
におかれては、御自身のこの御経験、御見識から、こういった人物像というものがございましたら是非お伺いしたいのと、そして、
小倉参考人
におかれましては、
監事
というお立場から、どういった人物像がふさわしいと、こういったことをお考えになっているか、この点についてお伺いしたいと思います。
山崎光悦
37
○
参考人
(
山崎光悦
君) 二点あったかと思いますが、後進の育成という
観点
から先にお答えをさせていただこうと思います。 たまたまでございますが、
国立大学
協会で
ガバナンス
・コード作成に関するワーキングの座長という立場でもございました。別に
国立大学
協会を代表しての
意見
ではありませんが、私、個人的な考えとしても、常々、
役員
あるいは
監事
もそういう面では一緒かもしれませんが、未来の
経営
者をしっかりとみんなで国全体として育てていくというやっぱり何かの手だてが必要であるというふうに考えております。 そういう
意味
で、今、
ガバナンス
・コードの中でも、各
法人
がどういう視点で
経営
陣あるいはそれを支える副
学長
とか
学長
補佐という
人材
を育成あるいは登用していくかということについての各
法人
の方針等をきちっと
社会
に明確にしていきなさいということを、コードとしては書き連ねておりますので、そういうことまで含めて各
法人
が考える
機会
、そして実行に移す良い
機会
になるだろうというふうに考えてございます。 それから、一つ目の質問は大変難しい質問かなと思います。自分がそれに適しているかどうかというのは非常にお答えにくいところでありますけれども、やっぱりみんなの
意見
をしっかり聞きながらも、卓越した未来を予想する力だろうというふうに私は個人的には思っております。 みんなの
意見
を聞いて結局何もしないというわけにはいかないので、それを
参考
にしながら、みんなの幸せ、
大学
のパフォーマンス、
プレゼンス
をどうやって上げるかというための
意思決定
を最終的には
学長
はしなきゃいけないと思いますので、そのための見識がやっぱり問われるというふうに思う。なので、一分野の
研究
者であればいいというものでは私はないと。そういう
意味
でも、
学長
になるべく、副
学長
なり
理事
なりの段階でしっかりそういう
人材
をこの国みんなで育てるということが大事ではないかなと。
参考
までに、ヨーロッパなんかではやっぱりそういう
大学院
もありますし、そういうプールから各
大学
がキャリアアップを考えるというような
仕組み
も一部の国ではでき上がっているというふうに私、
理解
をしています。そういうことがこの国でもこれから重要になってくるというふうに思っております。 以上でございます。
小倉康嗣
38
○
参考人
(
小倉康嗣
君)
学長
に求める人物像という質問だと思うんですが、まず一つは、
リーダーシップ
をきちんとやっぱり持っていないと
大学
を、全体を仕切ることができません。それが一つあります。それから、やっぱりしっかりしたビジョンを持って、この先、
大学
の先を見て、何をしていかなきゃいけないかという方針なりビジョンなりを、きちんと
教員
だとかあるいは
学生
さんに物を言っていくといったような力が必要であります。またさらに、
大学
の場合には教授、
学部長等
のそれなりの力が強いですから、やっぱり
学長
としてそういう人たちをうまくまとめていけるような
人間力
といいますか、そういった力が必要なんじゃないかなというふうに思っています。 それから
二つ目
に、幹部候補生、幹部候補をどうやって育てるかという質問だと思うんですけれども、これは
企業
も同じだと思うんですけれども、いろんな
会議
だとか、あるいは
学長
がいろいろ実行していく中で、
発言
力があったり、それを実行する力があったり、それから、やはり考え方としては前向きな考え方があって、それで
意見
をどんどん言ってくれるような人、そういうのは
会議
の中から、あるいは一緒に仕事している中から見付かってくると思うんですよね。そういう人たちを恐らく何人か見付けた上で、
学長
、次の
学長
になるということになっていくんじゃないかなと。そうすると、改めて
学長
になったときは、さっき言った
リーダーシップ
だとか、しっかりしたビジョンを持つとか、そういった力を発揮できるような形になっていくのではないかというふうに考えています。 よろしいでしょうか、そういうことで。ありがとうございます。
佐々木さやか
39
○
佐々木さやか
君 大変にありがとうございます。勉強になります。 次に、
監事
の
体制
の
強化
に関連しまして、
小倉参考人
に引き続き伺いたいと思います。 この
監事
の
資質
というところについても今日お話をいただきました。
バランス感覚
、合理的な
判断
力、そして臆せず
発言
できる
能力
、そして
人間力
と、もう大変高い
能力
が求められて、また、先ほどは
駒込参考人
からも、こういった人物に
お願い
したいということで、
大学
のこと、また学問というもの、そういったことについても本当に幅広い見識を持つ必要があるのだなということで、そのやっぱり
人材
の確保ということが
課題
かなと、こんなふうに感じております。 そこで、
小倉参考人
から、そうした
能力
を高めていく
資質向上
のための研修などの
サポート
も必要ではないかと、それから
調査費用
ということも実際には必要になってくると、こういった御指摘がございました。 ここの点については、もう恐らくこの
監事協議会
の方で今様々な
サポート
をやっていらっしゃるのかなと推測するんですが、この研修というのは具体的にどのようなものを実施されているのか、それから
調査費用
というのは、仮に、国からの直接の補助という、御指摘にもございましたけれども、どのような予算のイメージをすればいいのかということで、実際にどれぐらい掛かるのかという、そういったイメージについてちょっと教えていただければと思います。
小倉康嗣
40
○
参考人
(
小倉康嗣
君) まず、研修ですけれども、現在の研修は、
文科省
から
推薦
されたいろんな研修とかはやっています。ただ、それは必ずしも十分ではないということと、それから、今回の
法律
改正
によって
監事
の
役割
が非常に強くなったということを考えると、もちろん皆さんいろんな
資質
を持っていますけれども、かなり厳しいというか、
発言
力といいますか、そういった
発言
の仕方といいますか、言う力が必要になってくるわけです。そういった研修というようなものが必要なんじゃないかということなんですね。 例えば、いろんな
企業
の研修というのはあるんですけれども、e―ラーニングにしても、一人当たり例えば一万から三万とかいうことになると、一回やるだけでも数百万掛かるということなんですね。いうことで、そういった
意味
での国からの
支援
というのは、やった場合には、国がそういうのを主催してくれても構いませんし、そういったことをやってもらうことが必要なんじゃないかなと思います。 というのは、やはり、先ほどからもありましたように、
学長選考
・
監察会議
の中で、長にしてもあるいは
役員
にしても、そういう問題があったときに、やっぱりそれを、なかなか言いにくいことを言うわけですよね。そうすると、人間誰でも、どんな親しい人でも、やっぱり指摘されれば非常に気分は悪くなるわけです。ですから、そういう言い方というのを、例えば、まず、じゃ、
学長
に何かがあったとすれば、
学長
と相手の方との間で調査を始めたらどうかとか、そういう言い方によって随分変わってくると思うんですよね、そういったことを身に付けていく。 それから、例えばそのときに、今でも、ある
大学
では調査するために弁護士を入れたり、多大な金が掛かるわけですけれども、初めから悪いと分かっていれば、これは
監事
じゃなくても
会議
に具申することができるわけですね。そういうことは、すなわち、まだその
可能性
があるようなときにどう言えるかという問題になるわけです。そのときには、例えば調査しなきゃいけないと、判定をしなきゃいけないということになったときにそういった調査費も必要になるのではないかと、
監事
として物を言うためには
監事
としての調査をしないといけないと、こういうことになると思うので、そういうところも含めて幅広く、どういう調査がいいのか分かりませんけれども、あるいはどういう研修がいいのか分かりませんけれども、これからはそういうのを検討していくことが必要ではないかというふうに思っています。 以上です。
佐々木さやか
41
○
佐々木さやか
君 持ち時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。 大変にありがとうございました。
松沢成文
42
○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文と申します。 今日は、三人の
参考人
の
先生方
、ありがとうございます。お忙しい中、恐縮です。
山崎参考人
は
学長
の立場ですよね。それから、
小倉参考人
は
監事
の立場でありますし、また
駒込参考人
は
大学
の
教員
の立場で
改革
を訴えていると、こういう立場だと思います。それぞれ三人お立場違うんですが、ちょっと私は三人の御
意見
を一緒の質問でまずいただきたいなと思っております。 今回の
国立大学法人
のこの
組織
体制
の見直し、以前は、ある
意味
で民主的に
学長
を選んで
大学運営
進めていたと。ただ、これが
学長
にしてみれば、みんなに選ばれるからみんなにいい顔し過ぎてしまって、なかなか
大学
の
リーダーシップ
が見えなかったと。こういう反省の下に、もう少し
学長
に
リーダーシップ
取りやすい
体制
にしてやらなきゃ駄目だといってこれまでの
改革
がなされてきたんだと思います。 ただ、私、素人の見方ですけれども、この
改革
の設計図というかこのチャートを見て、何かここまで
学長
に権力を与えちゃっていいのかなと思うのが正直第一の感想だったんですよね。同じ
企業
の
世界
でもあるいは
行政
の
世界
でも、
組織
運営
、
ガバナンス
ってありますけれども、やっぱり、トップリーダーに対して
権限
を与えて
改革
を進めてもらうことも重要だけど、その権力が暴走しちゃったときにいかに
牽制
してチェックしてそれを制御するかという
仕組み
が内包されていないと、これ、本当にひどいときは
組織
がおかしくなっちゃうわけですよね。 そこで、今回の
改革
は、前回の
改革
のちょっとマイナーチェンジということで、
学長
に
権限
与え過ぎちゃったので、もう少し
牽制機能
を高めようということで、例えば、
学長
さんはこの選考・
監察会議
には
メンバー
として入れないとか、あるいは
常勤
の
監事
を置きなさいとか、こういう
改革
やりましたが、ただ、この
学長選考会議
に
メンバー
を供出するこの
経営協議会
とか
教育研究評議会
ですか、これも結局、議長は
学長
が仕切っているわけです。それで、
役員会
も
学長
が当然仕切るわけですね。ですから、全てにわたって
学長
の
権限
が及んじゃっているんですね。そうなると、この
会議
の
メンバー
も、やっぱりみんな
学長
に半分
任命
されたとか、こういう形になってきていますから、みんなそんたくしちゃうんじゃないかなと、こういうふうに私なんかは素人で見えちゃうんですね。 そこで、今回の
改革
で足りない点をあえて素人目から見て言えば、この
教育研究評議会
と
経営協議会
の二つの
学内
機関のトップを
学長
が占めるということをまず変えないと抜本的な
改革
にならないんじゃないかという
意見
に対してどうお考えかということと、それから、
学長選考
と
監察会議
の
透明性
を確保するためには、何といっても情報公開です。ですから、この
会議
の議事録を全て、事後でいいから公開する。そして、この
学長選考
・
監察会議
でどういう議論があったのか、本当に
監事
さんがこのままじゃまずいと
改革
を訴えて真摯な議論があったのか、それとも、ほとんどの
メンバー
が
学長
にそんたくしちゃって、何にもこれ
改革
らしい議論が進んでいなかったのかというのがやっぱり後から分かるわけです。それは
学内
全体の方も見れるし、主権者である国民も見れるわけですよ。それによる外部のチェックによって
大学
の
運営
が引き締まるわけですね。ですから、この
会議
の情報公開、これをきちっとやっていくべきだと思いますが、この二点について、それぞれ三人の
先生方
のお考えをお聞かせください。
太田房江
43
○
委員長
(
太田房江
君)
山崎参考人
から
お願い
できますか。
山崎光悦
44
○
参考人
(
山崎光悦
君) そうですね、
国立大学法人
になって今十八年目なんですね。いろんなことを試行錯誤しながら、海外の例を見ながら成長をしてきたというふうに
理解
をしています。そういう点では、御提案の議長を
学長
でない者に替えるという選択肢は将来的にはあるだろうと、やってみてうまく本当に
機能
するのかしないのか、
学長
と対立して紛糾してしまうというようなことが起こるのか、やってみないと分からないところがある。 今までも、この
法律
の
改正
そのものが、やっぱり日本の
国立大学
の
改革
の成長ぶりを見ながら、あるいはまずい点をどうしっかり直すかということで
法律
が
改正
されて、何回か
改正
されてきたというふうに
理解
をしていますので、そういう
観点
から、御提案の方法を決して否定するものではございません。もしかしたら、
透明性
は増し、皆さんの
理解
は得やすくなる
可能性
は少なからずあるというふうに
理解
を、私自身は考えます。 それから、もう一点、何でしたかね、(
発言
する者あり)情報公開ですね。この
会議
がやられているみたいなふうに最終的にはしないと、同時中継見たい人は見られる、議事録もしっかり公開されるというふうにしないと、今どこの
大学
もやっている、評議会にしろ、
経営協議会
にしろ、
学長選考会議
にしろですね、きれいにまとまった議事録しか出てまいりませんので、それとそこに出た
資料
ですよね、そこで、そのプロセスの中でどんな議論があったかというのはなかなか見えない形になっていますので、そこをやっぱり公開することが、今の松沢先生がおっしゃったように、全ての構成員につまびらかにするという、そしてみんなが、ああ、そういう議論かといって納得する大きな
方向性
かなと、必要だと私も思います。 ありがとうございます。
小倉康嗣
45
○
参考人
(
小倉康嗣
君) まず、
経営協議会
の議長の件ですけれども、これは一案あるのかなと。会社でも、やはり今まではそういった社外取締役とかいう程度で収まっているけれども、だんだん、全く第三者がやるような形にもなってきているので、それがいいかどうかというのはありますけれども、一つの案としてはあるのかもしれないというふうに思っています。 というのは、確かに両者が
学長
からの選考になると、
監事
はどうかというと、私の場合には、
学長
が入らない、ちゃんと
選考会議
の有識者
会議
で決まっていますので、
学長
の
判断
は入っていないと、こういうふうに考えています。そうすると、
監事
だけがそういうのを担わなきゃいけないという重荷をしょうので、そういう
意味
では確かに
経営協議会
の議長が第三者になるということはいいのかもしれません。 あと一方で、
会議
の中では
監事
は陪席なんですよね、全てが。そういった
意味
では、
監事
の人たちの
意見
からすれば、陪席じゃなくて、いや、同じ
出席
しているのでもやっぱり
メンバー
として入れてもらった方が言いやすいというような問題があるということ。 それから、あと、情報公開については、これ非常に難しい問題で、人事の中身なんかもあるので、これは逆に言うと、ちょっと私自身は全て公開すると選考するときのその人の立場の問題もあるのでちょっとどうかなというふうに思うので、そういった
意味
で第三者を持ってくるということがいいんじゃないかなというふうに思っています。これ、個人的な
意見
でございます。
駒込武
46
○
参考人
(
駒込武
君) 御質問どうもありがとうございます。一々もっともだなと思いながら聞かせていただきました。 先ほど最後のところで、この
改正案
への対案というか、この
改正案
をこのように修正してほしいという案を参議院議長への請願として
提出
させていただきましたということを申し上げましたが、その中では、
教育研究評議会
の議長を
学長
ではなく評議員の互選にしてほしいという要求を出させていただいております。 それから、その前提なのですが、このそもそも
教育研究評議会
というものがどのような構成になっているのか、これは
大学
によってかなり違うんですが、例えば福岡
教育
大学
のような場合、
教育研究評議会
の評議員はほとんど全て
学長
指名です。そうすると、それ以外の一般の
教員
とはもう全く切れてしまうわけですね。他方、私の属する京都
大学
は、
基本
的に教授会の選挙で評議員を選んでおります。筑波
大学
の場合は、およそ半々ぐらいであるというふうに聞いています。半々ぐらい、つまり
学長
指名が半分ぐらいいると、選挙で選ばれた
学部
長の一人か二人が
学長
を支持すると、その
教育研究評議会
の議決も変わるという
体制
になっています。 そこで、私たちが提案させていただいたのは、
教育研究評議会
において
学長
指名の評議員を三分の一以下にとどめるということです。少なくともその三分の二というものは各教授会なり様々な合議体によって選ばれた人たちが入る。そして、
教育研究評議会
の議長というものも
学長
ではなく選挙にする。そうすることによって初めて
学長
に対する
牽制機能
というものが効いてくると考えています。もちろん、
監事
の先生による
牽制機能
、あるいは
経営協議会
による
牽制機能
も必要ですが、圧倒的に大多数を占める
教職員
、
学生
の声を聞かない下での
牽制機能
というのは
実効性
も乏しいと思いますし、ある
意味
でその
監事
の
先生方
に大きな負担を掛け過ぎてしまうということもあると思います。
経営協議会
についても
事態
は同様であり、やはり議長は互選にしていくべきだというふうに思っています。 議事録の公開なんですが、今多くの
大学
において議事録は公開されていると思います。ところが、やっぱりどのようなレベルでの議事録が残されているかによって議事録の
意味
が大きく変わってくるわけです。 私は京都
大学
の労働組合の
委員長
もしておりましたが、そこで、
文科省
から出向している
理事
の先生と例えば雇用問題について様々に、何とか雇用の待遇を改善してほしい、京都
大学
で勤めて、経験もあり知識もあり
能力
もある職員が五年たったら必ず辞めなきゃいけないというような制度を変えてほしいというような
お願い
をしております。ですが、
理事
は、いや、そういうことを言っても
経営協議会
に通じないというような形でなかなか交渉が成立しません。 その
理事
の先生、あるいは
学長
は
学長
で外部の
経営協議会
の
委員
の
先生方
にいろいろ
経営
上の厳しい条件を突き付けられて苦心されているんだと思うんですが、私の思いとしては、むしろその突き付けられた要求を私たち一般の
教職員
に教えてほしい。外部からの目はこれだけ厳しい、財務状況もこれだけ厳しい、その中でどうしたらいいかを一緒に考えようという、そういう姿勢を示していただきたいと思いますし、そうした議事録を公開していただきたいというふうに思うんですが、現状の議事録は決まったことだけで、なかなかそうしたことが分からない。この辺りを何とか
透明性
を確保することによって、
大学
としての一体感を持って
学長
の
リーダーシップ
も支持しながら
国立大学
の
改革
を進めていけるのではないかと思います。 以上です。
松沢成文
47
○松沢成文君 次に、
小倉参考人
にお聞きしたいんですが、長らく民間
企業
で活躍してきて、今東工大の
監事
ということでありますけれども、今回、東工大を含む九つの
指定国立法人
が
大学
の
研究
成果
を活用しての商品等の開発、提供を行う
事業
者、
大学
ベンチャー
への
出資
ができるようになったと、これは大きな画期的なことだと思います。これまで指定
大学
法人
になっても実際には余りメリットがないなんというふうに言われてきましたけれども、巨額の上場利益の
可能性
もあるこの
大学
発の
ベンチャー
の直接
出資
は、これまた
大学
にとっても一つブランドイメージを上げるためにも大きなインパクトになると思うんですね。 この制度の活用
成果
にどのような期待を持っているかということと、また、
出資
は寄附金など独自の資金によるもので、当然自己
責任
が前提となりますけれども、
出資
リスクが高くなることへの制度的なリスク回避の
仕組み
などについてはどのように考えているか、最後にお伺いしたいと思います。
小倉康嗣
48
○
参考人
(
小倉康嗣
君)
ベンチャー企業
は本当に育てるところから見ていけるんですね、例えば
大学
発
ベンチャー
だと。そういう
意味
で、リスクがどのぐらいあるかというのはある程度見通せるということで、非常に期待するところが大きいというふうに思っています。また、
出資
によって、公開したときの、何というんですか、配当もそれなりに期待できるだろうと。 ただ、
ベンチャー企業
がアメリカみたいに物すごい大きなことになるというケースは非常に今の段階では少ないので、どこまでその費用が、お金が期待できるかというのはもうちょっと見てみなきゃいけないというふうに思っています。 それと、あと、
大学
の先生が
ベンチャー
をやるときにはやっぱり
利益相反
の問題があるので、そこら辺は十分に考えていなきゃいけないというふうに思っていまして、
経営
のリスクだけじゃなくて、要するに、そういった
意味
での
利益相反
のことを見ていかなきゃいけないと思っています。
松沢成文
49
○松沢成文君 時間ですので終わります。ありがとうございました。
伊藤孝恵
50
○伊藤孝恵君
参考人
の
皆様
、今日は本当にありがとうございました。 まずは、
山崎参考人
に伺いたいというふうに思います。 私は、
山崎参考人
が
大学
のときにお昼寝をしていた兼六園の程近いところで子育てをしておりましたので、非常に懐かしく
参考
資料
を読ませていただきました。 その中で、
山崎参考人
が新型コロナウイルスのワクチン開発などの
研究分野
で日本の国際競争力は低下しているというふうに指摘されて、その理由として、まず基礎
研究
の推進がおろそかになっていたこと、それから、望むべき姿としては、
研究所
群を増やして、かつその水準を保ち、
研究
者の人数も増やしてその人たちを交わらせる、交じらせる異文化融合
研究
が必要というふうに御指摘をされています。同感です。 そういった
観点
から、
参考人
に三点お伺いしたいというふうに思います。 まずは、予算規模の件、日本のですね、科学技術投資の予算規模の件、それからその基礎
研究
の割合の件、それからイノベーション
人材
を増やす策についてです。 というのも、中国を例に取ると、我々の国の
平成
の三十年、大体科学技術予算、およそ五兆円でほぼ横ばいなんですが、今中国はその八倍もの額を投資している。そして、その基礎
研究
費ですけれども、日本は、
文科省
はその割合というのをしっかりと把握をしていません。しかしながら、中国はそれを一五%にするんだと、明確な
目標
を持っています。同時に、その
人材
ですけれども、中国は戦略的にアメリカやヨーロッパの一流
大学
に留学をさせ、そして帰ってきて
拠点
を構えさせると、そこまで考えてやっている。 それに対して、じゃ、我々はどういった額で、どういった策で対抗していくというか、価値を持たせていくのか、そういったところについて三点お伺いしたいと思います。
山崎光悦
51
○
参考人
(
山崎光悦
君) 御質問ありがとうございます。 私どもは
中規模
の
国立大学
という視点で、全ての分野の基礎
研究
、全ての分野の
世界
トップ水準の
研究
を実施するという環境にはなかなか
経営
上ありませんので、ではありますけど、両方のバランスが極めて重要かなと。
大学
、
国立大学
は、そもそも、やっぱり自由と、
研究
の自由といいましょうかね、が
基本
的に守られることが、キュリオシティードリブンといいましょうか、好奇心による自分が明らかにしたい基礎科学をしっかり学問するという部分を保障する必要があるというふうに考えます。 そういう
意味
で、今日の段階で私は何十%とはちょっと答えにくいんですけれども、大事にしながら、そうはいいながら、
金沢大学
ですと、たまたまある分野に強い
研究
、
世界レベル
の
研究
者が集っておれば、それをてこにその分野を大きくしていく、強くしていく、
世界
水準に育てていくということは当然の戦略だというふうに思います。その比率がどうかというのは、なかなか難しいところだというふうには思いますけど。 ただ、例えば外部からお金を
大学
に導くことができる分野とそうでない分野が私はあると思いますので、そうでない分野は、じゃ、
地方
の
大学
はみんな切り捨てるのかというと、とんでもないというふうに私は思いますので、
国立大学
にはその部分をしっかり守る使命が、ミッションが私はあると思いますので、そういう
意味
で、例えば
生命
系とか工
学系
とか
理工系
とかというのは割と
産業界
からしっかりと外部資金を取ることができる
可能性
が高いと思いますので、そういったところで稼ぎながら、そうでない分野を、例えば文系の哲学とか宗教とか倫理とかという分野だって人間が生きていく上で極めて重要な学問をしていただいているというふうに思いますので、そういった分野、まあ一例を申し上げましたけど、そういった分野はたくさんあります。そういう分野をしっかりと
国立大学
として、総合
大学
として支えていくということが大事かなというふうに思います。 そうはいいながら、やっぱりこの国が、今中国を例にお取りになって御指摘をいただきましたけれども、やっぱり全体としてはいろんな統計があって、GDPの何%とかって、この国は科学技術予算が極めて低いとかということはいろんなところで言われていますので、個人的には二倍ぐらいが必要じゃないかなというふうに思っていますけど、無理を承知で申し上げていますけど、そのことが一つと。 じゃ、イノベーションを起こしてくれるような
人材
をどれぐらいの割合でどのレベルの
大学
がどうやればいいかというのは難しい問題だと思いますが、今まで、例えば、私、最初のところでも述べましたように、文理融合の
イノベーター養成
という
教育
を
開始
をしましたというふうに申し上げましたように、少なくとも数%から一〇%前後の若者がそういう意気込みを持って
社会
に出てくれることで、少しずつではありますが、この
社会
から国際的に勝負をというか、競争に打ち勝っていく
人材育成
に、そういう人たちが育ってくれる
可能性
がこれから出てくるだろうというふうに、また、そこに各
大学
が注力しなきゃいけないんじゃないかなと、個人的にはそんなふうに思っております。 兼六園のことは忘れてください。
伊藤孝恵
52
○伊藤孝恵君 ありがとうございました。私も、最低予算は二倍必要だというふうに思っております。 続きまして、
小倉参考人
に伺いたいと思います。
小倉参考人
のような
社会
を知る、また
企業
の
意思決定
のその方法を知る方が
大学
に入っていくということは本当に必要だというふうに思います。その上で、
参考人
の方で、優れた
研究
を行うことによって
世の中
に貢献することが使命で、
世界
の
トップグループ
に入る
大学
になることはその結果得られるものですというふうにございました。 とはいえ、やはり
世界
の
大学
ランキングというのが出て、中国勢が躍進をして、そして東京
大学
、京都
大学
が停滞し、同時に東北大、東京工業
大学
、大阪
大学
というのが右肩下がりに下がっているこのグラフを見てしまうと、やっぱりなぜなんだというような疑問を抱いてしまう。その理由はどういうふうに分析をされているのかということと、同時に、
研究
者が
大学
とか公的
研究機関
、民間
企業
のうち二つ以上の
組織
と雇用契約を結ぶといういわゆるクロスアポイントメント制度、これほとんど進んでいないというふうに聞いています。これをどう
評価
しているか、また、もし
評価
しているのであれば、何がボトルネックになって進まないと考えているのか、教えてください。
小倉康嗣
53
○
参考人
(
小倉康嗣
君)
評価
といいますか、順位は、中身はかなり詳細になっているんですが、例えば、非常に優秀な、有名な海外の人が
大学
にいるとか、そういうのも入っているんですよね。ですから、その
評価
が本当に絶対かというのは、必ずしもそうではないんじゃないかという思いはあります。ただ、やっぱり高い方がいいのは事実なので、あくまでも結果としてではありますが、
トップグループ
に入れていないのはなぜかというのは詳細に
大学
では分析しています。それに向かってもちろん高くなるべくやろうというふうにはしています。ただ一方で、さっき言ったように、本当にこの項目がいいのかどうかというのはまだ疑問あることは事実だというふうに思っています。 それから、あと、今、さはさりながら、東工大の場合も、海外との
大学
とのやり取りというのを物すごくやっています。それから、先ほど
金沢大学
の話もありましたけど、WPIといって、もう本当のトップレベルの
研究所
は、そこに行けば半分は外国人なんですよね。実際に、もう外国人同士で、それに日本人入ってやっているというような、もうとてもじゃないけど日本の
大学
かと思われないようなこともやっているわけです。その
研究
は
世界
で三つの指に入るということで、例えばそういうことをどんどん
大学
が繰り返していきますから、いずれ必ず
トップグループ
に入っていくというふうには思っています。 それから、クロスアポイントメントはどのぐらいやれば、じゃ、それは
成果
があるのかというのは、ちょっと非常に、何とも言えないんですけれども、実際には、例えば一〇%とか、結構いろんな
大学
とやっていまして、特に東工大の場合には一橋ととか、四
大学
連合というのがありますので、そういうところとのクロスアポイントとか、それから海外とも、これはなかなか難しいところはありますけれども、海外とのクロスアポイントメントというのも非常に私は有効だというふうに思っています。よろしいでしょうか。
伊藤孝恵
54
○伊藤孝恵君 ありがとうございました。 貢献というのをどの指標で測るかというのもあるんですけど、例えばやっぱり特許数みたいなところを見に行ったときに、これ間違いなく、イノベーションの種であることは間違いないんですが、今、日本の特許数、アメリカの二分の一、やっぱり中国の四分の一、こういったところとこの
大学
ランキングの下降具合というのを見てしまうと、本当にこのままで大丈夫かというような不安になる、そういったところ、まさに政治の
課題
でもあるというふうに思います。 最後に、
駒込参考人
にお伺いしたいというふうに思います。
参考人
からいただいた
学生
の、
学生
と
研究
の未来に向けての対案、まさにこの最後のスライドに
ガバナンス
改革
の議題が詰まっている、非常に有益な御示唆をいただいたというふうに思っております。私、この
学内
ステークホルダー
という言葉、よく
法人
化の頃から使われ始めた言葉でありますけれども、これをその使用者、この単語の使用者によってイメージする
範囲
、包含される人、優先される人、それが何か変わる気持ち悪さというのをずっと感じています。
駒込参考人
のところで具体的にイメージされている
学内
ステークホルダー
というのはどういう方を指すのか、教えてください。
駒込武
55
○
参考人
(
駒込武
君) 質問ありがとうございます。
ステークホルダー
という言葉はまず、本当にいろいろな
意味
合いで使われていて、多様だ多様だと言われるんですが、その実、関連のある
企業
だけを指していたりというようなことがあります。その中で、
学内
ステークホルダー
というのは、差し当たり
教員
、事務職員、
学生
でございますが、その先ほどの
学生
のツイートを紹介させていただきましたが、
学生
が重要な
ステークホルダー
であるという、その当たり前のことを確認する必要があると思いますし、
学生
が授業アンケートとかでは答えても、
ガバナンス
という点でいえば全く疎外されている状況というのを考え直す必要があると思っています。
伊藤孝恵
56
○伊藤孝恵君 ありがとうございました。 このまさに
学生
を主眼とした
学内
ステークホルダー
による
意向投票
の結果を最大限に尊重する、これ非常に賛成するところなんですが、その最大限尊重するに足るやはり
透明性
、信頼性、
多様性
というのもこの選考過程、
意向投票
には必要だというふうに考えるんですが、
参考人
のイメージされるこの
意向投票
のあるべき姿というのがもしあれば教えてください。
駒込武
57
○
参考人
(
駒込武
君) ありがとうございます。
意向投票
というのは、元々
教職員
、それも
常勤
の
教職員
を中心とした形で行われてきました。それはそれで取り戻すというか、それはそれで行う必要があるわけですが、そこにとどまらず、
学生
に何らかの形で参加してもらう。 実際、一橋
大学
では非常に長い間にわたって、
学生
が
意向投票
に先立って、この人だけはやめてほしいという不信任者を
学生
が選ぶ、それで不信任をされた人は
候補者
から外れるというような
仕組み
がありました。そうした
仕組み
も工夫できるかもしれないですし、あるいは、私立の
大学
の場合は同窓会
組織
というのが非常に大きな
役割
を果たしております。
国立大学
でも今同窓会
組織
の整備に努めているところで、同窓会
組織
が
選考会議
に加わってもいいかもしれません。あるいは、労働組合の代表というものが、例えば労働安全衛生法によって労働組合の代表あるいは労働組合の代表の指名した
委員
が
大学
の安全衛生
会議
に入る
仕組み
がありますが、労働組合の代表あるいは町内会の代表も入ってもいいかもしれません。 そうした形で、
教職員
だけではなく、まさに文字どおり多様な
ステークホルダー
の
意見
というのを反映させる
意向投票
の
仕組み
を各
大学
ごとに考えていく必要があるのではないかと思います。
伊藤孝恵
58
○伊藤孝恵君 こういった
学内
の
学生
だとか
教職員
だとか、そういった方々の
意向投票
をすると、
学長選
挙自体が人気取り選挙になってしまうんじゃないかというような萩生田大臣の
意見
というのもありましたけれども、それについてはどう思われますか。
駒込武
59
○
参考人
(
駒込武
君) 人気取りという要素は必ずあると思います。ですが、大変僣越ではありますが、一般の議員の
先生方
の投票にもやっぱり人気取りという要素はあるのではないだろうか。そのこと自体が悪いことではないんだと思います。 選挙のときには人気取りをしたけど、当選したらすっかり違ったことを言ってしまった、そうしたことを防ぐような解職制度の
仕組み
などは必要だと思いますが、人気取りという要素があるということは別に必ずしも否定すべきことではない。むしろ、
学内
のエネルギーを引き出す要素になり得るんじゃないかと思っています。
伊藤孝恵
60
○伊藤孝恵君 大変身の引き締まる御
意見
をいただきました。 おっしゃるように、やはり
学生
がいて、そこで働く
教職員
の方々の声が反映されないというのは、どう考えても
ステークホルダー
の主眼に置くべき人たちが省かれているというところは非常にゆゆしい
事態
だと思いますし、また、議論の公開、
評価
の公開、
学長
なんて三百六十度
評価
されたらいいと思うんですよね。そういったような
評価
の仕方というのも議論の中で明らかにしていきたいと思います。 今日はありがとうございました。
吉良よし子
61
○
吉良よし子
君 日本共産党の
吉良よし子
です。 三人の
参考人
の
皆様
、本日は貴重な御
意見
、ありがとうございます。 それでは、早速ですが、
法案
に関わって、
監事
の果たす
役割
、
権限強化
について皆さんに伺いたいと思います。 先ほど来もちらりと指摘もあったところですが、四月二十一日の
衆議院
文科
委員
会での
監事
の
常勤化
についての質疑の中で、
萩生田文科大臣
が、
国家
公務員が長い間積み上げた
行政
経験、様々な
機会
を還元するために再就職で自分が得意分野のところに就職することそのものは決して悪いことじゃないと思いますと述べ、また、OBはふさわしくないのかと言われると、私、例えば
国立大学法人
で事務局長などを務めた方が将来的に
監事
になっていただくのは一つの選択肢としてありだと思うのですねと答弁をされています。 つまり、退職した
国家
公務員、
文科省
OBが
常勤監事
になること自体を否定されなかったと、むしろ一つの選択肢と言ったわけですけれども、となると、今回の
監事
の
常勤化
が天下りの温床になりかねないんじゃないかという懸念があるわけです。それは、そうなってしまうと、
大学
の自治という
観点
からも問題じゃないかと思うんですけれども、三人の皆さん、それぞれどう思われるか、お答えください。
太田房江
62
○
委員長
(
太田房江
君)
山崎参考人
から
お願い
します。
山崎光悦
63
○
参考人
(
山崎光悦
君) 私は、やっぱり選択肢として、先ほども申し上げましたように、
大学
のことを熟知している
人材
のプールの一つだと思いますので、その人に、だから、その天下りとならない
仕組み
をどう入れるかとか、特定の関係で利益誘導にならないようにするにはどうしたらいいかという
仕組み
を別途考えるべきかなと。最初からそういった
人材
を排除すべきではないというふうに個人的には考えます。 以上です。
小倉康嗣
64
○
参考人
(
小倉康嗣
君) 今どんな人が
監事
になっているかというのをお話ししますと、百七十八名いるんですが、そのうちの四十四名は
会計士
さんなんですよね、税理士さん含めた。あとは、銀行から
企業経営者
、弁護士、
地方自治体
、それから
理事
、教授がほとんど、二十名ずつなんです。それで、
学長
が十三名入っているんですよね。 それで、私が思うのは、例えば
学長
経験者というのは物すごく見識もありますし、それから、いろんな、何というんですかね、
大学
のことも知っているし、非常にもっと増えてもいいんじゃないかと思っているんですが、見ても大体平均的になっているんですね。この中にはもちろん国の、官僚の方もおられます。それが悪いかというと、決して悪いわけではないような気がするんですよね。 要するに、きちんと仕事すればいいわけで、それから、選考するときに、うちの
大学
もそうなんですが、ちゃんと有識者
会議
で決めるわけで、そのときにもし駄目なら否定すればいいわけですよね。ですから、それが何かその天下りの温床になるということではないんじゃないかなというふうに私自身は思っています。 よろしいでしょうか。
駒込武
65
○
参考人
(
駒込武
君) 今回の
改正案
では、
中期目標
、
中期計画
に関わる
文科省
の介入の余地というのを高めています。これと
監事
の
権限強化
、そして
文科省
のOBが
監事
になるということを結び付くと、本当に国による
間接支配
になってしまう、そのように懸念しています。
衆議院
での
参考人
質疑で光本
参考人
がるる
説明
されていましたが、
中期目標
、
中期計画
の
策定
において、
文科省
が作った
中期目標大綱
の中から項目を選んで
中期計画
とせよというのが新しく加わってきています。既にこの大綱は発表されておりまして、その中では、例えば各
地域
の産業の生産性
向上
や雇用の創出に努める、そう書いております。大切なことですが、果たしてこれが
大学
の
目標
なのだろうかと思います。 例えば、こうした
文科省
の提示した
目標
を
大学
がいかに達成したか、効率的に、効果的に達成したかを
監事
が監視するわけです。そうすると、
文科省
の提示した
目標
を
文科省
OBの
監事
がその達成度を判定する、そういう
仕組み
ができ上がることになります。その
監事
となられた
文科省
OBの方がたとえどんなに優秀で有能な方であるとしても、このような
体制
はやっぱり
仕組み
としておかしい、とても危険なものなのではないかと思います。
吉良よし子
66
○
吉良よし子
君 天下りの温床にならないような
仕組み
づくりはそれはそれで必要だということだったと思いますし、それを通じて
大学
への国の支配の
強化
になってはならないということはそのとおりだと思いました。 また、
牽制機能
の
強化
ということでいうと、先ほど来からも議論がありますけれども、
学長選考
会や
監事
の在り方だけではなく、やはり
学内
、教授や
学生
など
学内
から声を上げる
仕組み
、そういう
学内
からの
牽制機能
についての議論もやはり必要だと思うわけですが、やはり現状、
学内
からの
牽制機能
というのはほぼなくなってしまっている状態にあるのではないかと懸念します。 こうした場合に、この
学内
構成員から
学長
への
牽制機能
を
強化
する
仕組み
づくりは欠かせないと思うんですけれども、どのような方法が考えられるか、これは
山崎参考人
、
駒込参考人
、それぞれお聞かせいただければと思います。
山崎光悦
67
○
参考人
(
山崎光悦
君) ありがとうございます。 そうですね、私、
学長
になってから、私は
学長
の
権限
は結構強いというふうに思って、私自身も思って、恐れております。 そういう
意味
で、やっぱりみんなの
意見
をしっかり聞くということを大事にしてきました。少し具体的な例で申し上げますと、
学長
になった途端に、先ほども御紹介しましたSGUという、
スーパーグローバル大学創成支援事業
に
採択
をいただいて、非常に高い
目標
値、例えば学士
課程
では英語で五〇%教えるとか、とんでもないとみんなが言うような数値を掲げて
採択
をいただきました。
大学院
は一〇〇%と。 そのときとか、あるいは、今、第三期は三つの
機能
の中から自分で各
大学
は類型を選びなさいというので、
金沢大学
は第三類型を選んでおりますけれども、そういったけじめ、けじめのときに、
大学
全体を四か所に分けて、どこで
出席
していただいてもいいというので、
先生方
あるいは職員の方、病院の職員みんなに
説明
をして、何で
大学
がこんなことに取り組むかというようなことをしっかりと
意見
を交換をするというのを常々、大体一年、二年、一年半かそこらに一回ぐらいはそういったことをやるというのが私の習わしというか、私のやり方になっています。そうやってみんなの
意見
を引き出すということで、対話を取ることで、独り歩きというか、
学長
の独走にならないようにと。 やっぱりみんなが付いてきてくれないと、少々
プレゼンス
が上がってもみんなの気持ちが頑張れないんじゃ、やっぱり
組織
はみんなで頑張るというのが私のモットーなので、そうやって最大限の、フルパワーが出るというふうに思いますので、そこは大事にしています。そこが一番肝腎かなと私は思うんですけれども。 以上でございます。
小倉康嗣
68
○
参考人
(
小倉康嗣
君) 済みません。
牽制
をいろんな方から
機能
をもらうということは、これはもう大賛成だと思います。
学生
からという話があったんですが、これは例えば東工大の場合には、ちゃんとチームを
学生
が組んで、ちゃんと
資料
を六十ページぐらいにまとめて、
学長
に、要するに
研究
評議会で発表しているんですよね。ですから、そういうやり方もあるので、実際にアンケートもしょっちゅう取っているんですよね。だから、やり方によってはちゃんと
学生
からのあれはできているのかなと、これ自分の
大学
ですけれども、思っているところです。 以上です。
駒込武
69
○
参考人
(
駒込武
君) 今の
山崎参考人
や
小倉参考人
の話を聞いて、確かにそうしたこともあり得るんだな、大切なことだなというふうに思っています。 ですが、残念ながら、
学長
と
教職員
あるいは
学生
との対立が深まってしまう場合もございます。そもそも、余りに少数の方、
学長
を中心とした人に余りにも過大な仕事が向かう中で、どうしても
学生
や一般の
教職員
との
意見
が離れてしまう場合があると思います。そうした場合には、先ほども少し言いましたが、直接請求による
学長
の解職制度というものが必要だと思っています。 今も多くの
大学
でこうした場合には
学長
の解任を発議できるという制度がありますが、大体、
教育研究評議会
あるいは
経営協議会
での発議というふうになっています。ところが、先ほどから申し上げているとおり、これらの
会議
体は
学長
の指名した
委員
です。ですので、そうではなくて、一般の構成員、その例えば三分の一の賛同で解任を発議し、過半数の賛同で解任を決議する。もちろん、例えば京都
大学
で過半数の賛同者を取るというのはすごく大変なことです。ですから、それはもちろんめったに成立しないことですが、いざとなった場合にはそうした直接請求による解任の制度があるということが大事だと思います。 あともう一つは、
牽制機能
として
学長
の最長の通算任期を定める必要があるということです。 今、多くの
大学
で
学長
の最長通算任期が撤廃されて、
学長
は定年の定めもありませんから、自分で望めば亡くなるまで
学長
の任にあり続けられる、そうした状況にあります。そうしたことになると、当然、
牽制機能
が働かなくなってしまいます。自分が辞めたときどうなるんだろう、そうした想像力というものが不要になるわけですね。 そうした
意味
で、例えば
大学
で十年越しのプロジェクトがあるから
学長
の長い任期が必要だみたいな話がありますが、本当にそのプロジェクトが支持されていれば、たとえ
学長
が替わっても続くはずです。形式的に
学長
の通算任期の上限を定める必要があるというふうに思っています。
吉良よし子
70
○
吉良よし子
君 大事な御
意見
、ありがとうございました。 やはり、この
学内
の声を、
牽制機能
の
強化
ということでは、
意向投票
の復活ということも、先ほど伊藤議員のところでもお話ありましたけれども、大事だと私思うわけです。となると、先ほど来、
駒込参考人
が指摘している、二〇一四年の学校
教育
法と
国立大学法人法
の
改正
に伴う
施行通知
の適法性というのが問われてくるのではないかと。また、その
駒込参考人
の御
説明
では、
施行通知
に伴う
チェックリスト
での
行政指導
が問題であるという御指摘もありましたが、これ、どのような点で問題があるとお考えなのか、もう少し具体的に
駒込参考人
に御
説明
いただければと思います。
駒込武
71
○
参考人
(
駒込武
君)
学長
への
牽制機能
として、第一に
意向投票
が必要だと思います。 この二〇一四年の
施行通知
というものは、
意向投票
は望ましくない、
学長選考会議
が不要と考えたらしなくてよいと規定したわけですね。ところが、先ほども言いましたとおり、
法律
それ自体には
意向投票
をすべしともするなとも書いていません。
施行通知
というのは、本来ならば、
法律
で決まったことを実際に動き出す、そういう
通知
であるはずです。そうした
通知
、省令ですらない
通知
に
意向投票
をするのは望ましくない、そうした要求を入れ込むというのは、非常に不適切かつ不当なやり方であるというふうに思います。 また、
文科省
は、各
大学
に
チェックリスト
を配付して、過度に
意向投票
に重視していないか、そうしたチェックをして、各
大学
に
内部規則
の運用の見直しを求めています。この
文科省
が各
大学
に、しかも一つの
大学
ではなく全ての
国立大学
に対して一律に
内部規則
の運用の見直しを求めるというのは、
国立大学
の
自主性
、
自律性
を損なうものであり、適法性を問われるものだというふうに思います。
吉良よし子
72
○
吉良よし子
君 やはり
法律
に書いていないことが
施行通知
で示されるというのはちょっとおかしい、いかがなものかなと私自身も話聞いて改めて思ったわけですが、もう一つ、二〇一九年の
閣議決定
についても伺いたいと思います。 先ほど石川議員の御質問に答える中で、この
閣議決定
が
学長
だけじゃなくて
学部
長についても
意向投票
によるべきじゃないと定めているのが問題だというお話ありました。この点について更に
説明
を
お願い
いたします。
駒込武
73
○
参考人
(
駒込武
君)
閣議決定
では、
学部
長についても、
意向投票
によることなくというふうに記しています。ですが、
学部
長選考についても、その選考の在り方を記した
法律
というものはありません。 辛うじて関係するのは、
国立大学法人法
施行規則、
文科省
の省令で、
学部長等
の
任命
は
学長
の定めるところにより行うものとするという条文です。これは、
学長
が中心となった規則によって
学部
長を選び、そして最終的に
学長
が
任命
するということであって、
学長
が指名せよということではないし、教授会での投票を禁止したものでもございません。 それにもかかわらず、
閣議決定
という形で、
学部
長による、
意向投票
をすることなく、
意向投票
をすることなく
学部
長を選考せよと決めているのは、これは明らかに違法であり、そして憲法との関係でいえば違憲であるというふうに私は思っております。
吉良よし子
74
○
吉良よし子
君 終わります。ありがとうございました。
舩後靖彦
75
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。 本日は、
山崎光悦
参考人
、
小倉康嗣
参考人
、
駒込武
参考人
にお越しいただき、御
意見
を伺う
機会
をいただきまして、誠にありがとうございます。 早速、
提出
法案
について質問させていただきます。 代読いたします。 まず最初に、
小倉参考人
にお伺いいたします。
中期計画
策定
についてです。 私がかつて
勤務
していました一般
企業
では、
中期計画
は三年でございました。現在の
国立大学法人
では六年とされていますが、この期間は妥当とお考えになりますでしょうか。
小倉康嗣
76
○
参考人
(
小倉康嗣
君)
企業
によって違いますけれども、三年のところもあれば四年のところもあります。
大学
はやっぱり長い目でちょっと見なきゃいけないという
課題
があって、私もちょっと最初は長いのかなと思ったんですが、まあ、これぐらいになるのかなという
意味
では納得しているというか、もうちょっと短くてもいいのかなという感じはしないでもありませんけれども、六年でいいというふうに思っています。
舩後靖彦
77
○舩後靖彦君 代読いたします。 二〇〇四年に
国立大学
が
法人
化されてからの
大学
の変化についてお伺いいたします。 公共財としての
大学
に課せられた
役割
というのは多々あるかと存じます。しかし、
文部科学省
の主導する
大学
の
ガバナンス
改革
の中で、
運営
費交付金が年々削減され、
成果
、効率優先の選択と集中により、イノベーション、短期的な
成果
の出しにくい
研究
、
教育
分野の
人材
予算が削られていったという弊害も指摘されています。 また、二〇一四年の
通知
や二〇一九年の
閣議決定
、経済財政
運営
と
改革
の
基本
方針等により、
学長
に
権限
と
責任
を集中させるトップダウン式の
大学
経営
の在り方が
強化
され、学問の自由と自治に立脚したボトムアップ型の
意思決定
とそごを来し、
学長選考
過程における疑義や旭川医科
大学
における
学長
と
大学
病院長との対立など、様々な問題が起きていると伺っております。 この十六年間の矢継ぎ早の
改革
で
国立大学
はどう変わったのか、御作成の
資料
から強い危機感をお持ちの
駒込参考人
にお伺いいたしたく存じます。
駒込武
78
○
参考人
(
駒込武
君) 御質問をありがとうございます。 今、
国立大学
で生じている
事態
は、一言で言うならば
経営
による教学の支配という、そうした
事態
であるというふうに思っています。 先ほど旭川医科
大学
の例を申し上げましたが、
経営
の
観点
と、
地域
の
医療
と連携しながら感染症患者を
対応
しなくてはいけない、そうした
医療
の公共性という
観点
が対立する場合もあるわけですね。それにもかかわらず、全体として
経営
の
観点
が優先されて、
学部
やコースのスクラップ・アンド・ビルドが、採算が合わない、そうした理由で様々な形で行われています。 一つ私が身近に見聞した例を挙げさせていただきますと、京都
教育
大学
は特別
支援
学校のほかに特別
支援
学級がございます。必ずしも公立学校における特別
支援
教育
、特別なケアを必要とする子供への
教育
体制
が充実していない中で、京都
教育
大の特別
支援
学級は
保護者
の方からも非常に重要な場所であると支持されていました。 ところが、京都
教育
大は、一昨年ですか、昨年、この特別
支援
学級を
廃止
するという改組案を示しました。附属学校園の
効率化
のためにはやむを得ない、財政上の事情が許さないという、そういう
教育
大の
先生方
としても苦渋の決断ということでした。 これに対して、
保護者
の方、それに
地域
住民も一緒になって
意見
書を
提出
し、署名運動を行っています。その
意見
書では、普通学級と一緒に特別
支援
学級があることは数値では測り得ない大きな
意味
があるんだ、決してきれい事ではない関係の中で子供たちは育っていくんだ、それは子供たち自身の権利なんだ、そして、誰もが過ごしやすく、安心して生きられる
社会
づくりの出発点は一番弱い立場にある人に心を寄せることだ、そのように記しています。 こうした
観点
、私はとてももっともで大切な
観点
だと思いますが、
経営
の
観点
が優越されると否定されてしまうわけです。このような非常に微妙な
教育
の場というものをバックアップしていくためにも、
大学
における
教育
、
研究
、
医療
の
体制
が専ら
経営
の
観点
に依存する
体制
というのは改めていかなくてはいけないというふうに思っています。
舩後靖彦
79
○舩後靖彦君 代読いたします。 ありがとうございます。 次に、本
改正案
の中身についてお伺いいたします。 まず、
中期計画
の記載事項の追加、
年度計画
、
年度評価
の
廃止
についてです。
中期計画
に
評価
指標を追加する一方、盛り込む項目を縮小し、
年度評価
を
廃止
するということですが、この変更が
大学
の
研究
、
教育
活動
、
大学運営
にどのように影響するのか、
大学
の外にいる者にとってはなかなか分かりにくいところであります。 そもそも、
中期計画
、
中期目標
の設定が各
大学
の独自性に基づき、その独自性を発揮できるようになっているのでしょうか。
評価
指標の
導入
でその達成状況が予算や人事に影響する懸念はないのでしょうか。
山崎参考人
、
駒込参考人
にお伺いしたく存じます。
山崎光悦
80
○
参考人
(
山崎光悦
君) 御質問ありがとうございます。 先ほどの質問とも少しかぶっているかなというふうに思いますが、
中期目標
は大綱が示されるということでありますが、
中期計画
は各
大学
が独自の
判断
で書き下ろすということでございますので、それに対するKPIを設定するというのは、自分自身が
目標
設定をし、その達成度を自分たちがきちっとチェックをするということですので、それ自身が
大学
の
教育
、
研究
を例えばゆがめるとかということにはなるとは余り心配はいたしておりませんが。 その一方で、
年度評価
がなくなるということですが、四年目とか六年目に突然ばっと
評価
をされても、やっぱり、多分、
大学
はきちっとデータをため、そのときに備えるということになるかなとは思いますけれども、
年度評価
がなくなるだけでも、毎年かなりの職員、
教員
がその
評価
書の自己点検書作成に時間と労力を使っておりますので、その分を
研究
あるいは
教育
に振り向けることができると考えれば、大いに賛成したいところではあります。 私からは以上でございます。
駒込武
81
○
参考人
(
駒込武
君) 今回の
改正案
、
政府提出
の
改正案
の中では、
文科省
の作成する
中期目標大綱
の中から必ず
大学
の
中期計画
に含むべき項目というものが指定されています。これは、これまでなかったことです。 そして、その項目の中には、例えば、その他
業務
運営
に関する重要事項としてマイナンバーカードの活用ということが入っています。なぜそれが
大学
の
中期計画
に入らなくてはいけないのか、大いに疑問です。マイナンバーカードというものがまだ
社会
的にも必ずしも合意を得ていない中で、そうしたものを
文科省
が入れてしまうわけです。 しかも、今回の
改正案
では、こうした
計画
に対して必ず具体的に達成率を示すための数値を示せ、そのための指標を示せとなっているわけです。ですから、マイナンバーカードの
導入
率が高い
大学
は優れているから予算を増やす、そうでない
大学
は減らす、そうした
事態
が、考え過ぎであればいいんですが、予想されます。 このことに限らないんですが、昨今の
文科省
の
行政
は、やはり分かりやすい数値を示してそれで
判断
するということがあるわけですね。陳述の中で取り上げました筑波
大学
の留
学生
数のことにしても、留
学生
が多ければ
指定国立大学法人
になれる、七つの指標のうちの一つなんです。ですが、留
学生
を受入れは大切なことですが、多ければ多いほどいいというわけではないわけですね。当然、予算と人員が限られているんですから、人がただ増えていけば
サポート体制
は悪くなってしまうわけです。それにもかかわらず、そうした数値だけを取り上げて
大学
の
業務
を
評価
する、そうした
仕組み
というものが
大学
における
研究
、
教育
、
医療
の在り方を痩せ細らせているというふうに思います。 ですので、私は、こうした
中期目標
、
中期計画
において具体的に数値化された指標を、それは全く不要だとは思いませんが、その指標を過大に
評価
する
体制
というのを改める必要がある。むしろ、各
大学
がそれぞれ工夫して、
地域
住民に対して自分たちの
研究
のだいご味、面白さを伝えていくような、そうした
仕組み
を、工夫を求める、
大学
側もそれをやっていく、そうしたことが必要だというふうに思っています。
舩後靖彦
82
○舩後靖彦君 代読いたします。 ありがとうございます。 次に、
組織
体制
について、
学長選考会議
を改め、
学長選考
・
監察会議
とし、
学長
は同
会議
の
委員
になれないとする見直しについてお伺いいたします。 既に
衆議院
の文部科学
委員
会におきましても、本
委員
会でも、現状の
学長選考会議
の
メンバー
はその大半を実質的には
学長
が
任命
するという不透明な構造であり、新しい
学長選考
・
監察会議
において
学長
が
委員
から外されたとしても、
会議
に対する
学長
の影響力は排除できないのではないかとの指摘がなされています。 また、昨年三月に公表された
国立大学法人
ガバナンス
・コードでは、
教職員
による
意向投票
の結果によらず、
学長選考
を行うこととされました。何千人にも及ぶ
学生
、
教職員
の声を反映する回路がなく、外部
委員
を含む僅か十数名の
会議
の
メンバー
によって
学長
が選出される
仕組み
自体が非民主的ではないかと感じます。 そこで、
駒込参考人
にお伺いいたします。 今回の
改正
についての
評価
と
学長選考
の在り方について、
公平性
、
透明性
、
大学
の
自主性
を担保するためにはどうあるべきかとお考えでしょうか。
駒込武
83
○
参考人
(
駒込武
君) ありがとうございます。 その
仕組み
の問題について言えば、
意向投票
の結果尊重、直接請求による解職制度、最長の任期の上限というお話をしました。それに加えて、やはり日常的に執行部サイドと一般の
教職員
、
学生
との声が通じる
仕組み
というのが必要だと思うんですが、残念ながらそうはなっていません。 ちょっと私の
勤務
する京都
大学
の例を挙げさせていただきたいと思います。
学生
対応
という点でいえば、一昨年、京都
大学
は、吉田寮という寄宿寮に住む
学生
二十名を提訴しました。老朽化した寮から立ち退かないというのが理由でした。ですが、実は
学生
、寮自治会と
大学
側の間では老朽化した寮を改築する案についての合意ができたにもかかわらず、
大学
側が一方的にこれを破棄しました。そうした状況の中で、寮生はやむを得ないということで新しい寮に移るということを寮自治会として決定しましたが、今度は
大学
側が、でも、自分たちで新しい寮生の選考をするのがけしからないといってこれを認めず、寮生を提訴したわけです。
大学
の
役割
は
学生
を守ることのはずなのに、
大学
が
学生
を提訴するというのは本当に恥ずかしく、嘆かわしいことだと思います。 これが
ガバナンス
の問題に絡んでいるのは、そうした形で寮生の入寮選考を認めるべきではないということを
監事
が監査
報告
書で書いているということです。そうした
監事
が監査
報告
に書くことに従って
大学
が行動した結果、そうした提訴という手段になり、
学生
の間でも
教職員
の間でも
大学執行部
に対する不信が強まっている、そうした状況があります。 例えば、私が
教員
としてこうした問題について
大学
の中で正式に
意見
を述べられる場はございません。一切執行部が決めるという、そういう
仕組み
になっています。こうした形で一切執行部が決める、黙って従えという
体制
というものが、
大学
において
教職員
や
学生
の無力感あるいは不信感というものを増幅しています。 様々な
仕組み
の工夫というのも必要ですが、先ほどの
山崎参考人
や
小倉参考人
の話を聞きますと、他
大学
ではもっとうまく
学生
の
意見
を聞く
仕組み
もあるようですが、全体として執行部はもっと
学生
の声を聞く必要がある、
地域
住民の声を聞く必要がある、そういう
仕組み
というものをきっちりつくっていく必要があるというふうに思っています。 以上です。
太田房江
84
○
委員長
(
太田房江
君) 時間が参っております。
舩後靖彦
85
○舩後靖彦君 代読いたします。
参考人
の
皆様
には貴重な御
意見
をお聞かせいただき、誠にありがとうございました。 終わります。
太田房江
86
○
委員長
(
太田房江
君) 以上をもちまして
参考人
に対する質疑は終了いたしました。
参考人
の
皆様
には一言御礼を申し上げます。
参考人
の
皆様
には、長時間にわたりまして貴重な御
意見
を賜りまして、誠にありがとうございました。
委員
会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十二分散会