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2021-06-15 第204回国会 参議院 内閣委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年六月十五日(火曜日)    午後七時三十四分開会     ─────────────    委員異動  六月十四日     辞任         補欠選任      本田 顕子君     三浦  靖君      三浦 信祐君     石川 博崇君  六月十五日     辞任         補欠選任      加田 裕之君     大家 敏志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         森屋  宏君     理 事                 酒井 庸行君                 徳茂 雅之君                 木戸口英司君                 平木 大作君                 矢田わか子君     委 員                 大家 敏志君                 古賀友一郎君                 高野光二郎君                 三浦  靖君                 山田 太郎君                 山谷えり子君                 和田 政宗君                 小沼  巧君                 塩村あやか君                 杉尾 秀哉君                 石川 博崇君                 柴田  巧君                 高木かおり君                 田村 智子君                 山添  拓君    国務大臣        国務大臣     小此木八郎君    副大臣        内閣府副大臣   赤澤 亮正君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        和田 義明君    事務局側        常任委員会専門        員        宮崎 一徳君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       藤井 敏彦君        内閣官房内閣審        議官       木村  聡君        内閣官房領土・        主権対策企画調        整室土地調査検        討室長      中尾  睦君        内閣府科学技術        ・イノベーショ        ン推進事務局審        議官       佐藤 文一君        公安調査庁次長  横尾 洋一君        外務省大臣官房        審議官      田島 浩志君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○重要施設周辺及び国境離島等における土地等の  利用状況調査及び利用規制等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 森屋宏

    委員長森屋宏君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、三浦信祐君及び本田顕子さんが委員辞任され、その補欠として石川博崇君及び三浦靖君が選任をされました。  また、本日、加田裕之君が委員辞任され、その補欠として大家敏志君が選任をされました。     ─────────────
  3. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  重要施設周辺及び国境離島等における土地等利用状況調査及び利用規制等に関する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官藤井敏彦君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 重要施設周辺及び国境離島等における土地等利用状況調査及び利用規制等に関する法律案を議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。質問の機会をありがとうございます。  自衛隊基地周辺国境離島における外国資本による土地の購入に関し安全保障観点からの対応必要性議論されるようになり、十年以上が経過しています。  委員会では、本法案立法事実がないとする指摘もありました。しかし、全国各地から懸念の声が上がり、意見書も寄せられています。既存の法制度の下ではこれらの懸念の実態を解明するすべがない、我が国安全保障環境が近年厳しさを増している中、国としてこの課題にしっかりと取り組んでいく必要があると考えます。  懸念現実のものとなってからでは安全保障上取り返しが付かない事態を招きかねず、法案必要性は十分にあると考えますが、大臣はいかがでしょうか。
  7. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 答弁の前に、委員長始め委員皆様には、夜分になりましたけれども、大変にお世話になりますことに心から感謝を申し上げます。  山谷委員におかれましても、先般も答弁をいたしましたが、この十年以上の時間、外国資本に買収された土地を自ら訪ねられ、何よりも御自分の目で、あるいは足で、体を使ってその土地土地の方のお話を聞かれて問題意識を持たれた。そして、地方議会からも、またこの国会でも問題視をされて、それが、議論されてきたということ、これがこの度にもつながっているということ、これも一つの事実であると思います。  一方で、本法案が想定する機能阻害行為に当たる事実というもの、過去にあったかどうかを詳細に明らかにすることも含めて、こういったことを、安全保障上の脆弱性を自ら明らかにするということは、類似行為を生みかねない、適切でないという思いから明らかにはしてまいりませんでした。  こうした中、安全保障確保というものは国の最大の責務であって、政府は将来の安全保障上のリスクを回避するために万全の対応を講じておく必要があるというのは今回の私たち政府思いでございます。  安全保障観点から、土地等を管理することの必要性について広く国民皆様問題意識を共有されたことということも一つの事実として、そうした社会的な要請があること、本法案必要性を裏付ける重要な要素の一つであることという思いで今日まで来ておるのが私の思いでございます。
  8. 山谷えり子

    山谷えり子君 本法案について、安全保障の名の下、過度な私権制限が行われることを懸念する声もございます。しかし、安全保障はそもそも自由な経済活動の基盤、両者は両立するものと考えます。  第三条に規定された必要最小限の原則や個人情報の保護は法案全体を貫くこうした理念を示しており、法案に基づく調査規制日常生活や通常の経済活動影響を及ぼす内容とはなっていないと考えますが、大臣、いかがですか。
  9. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) おっしゃいましたように、安全保障確保という大義の下、過度に私権を制限することはあってはならないということも度々申し上げてまいりました。本法案は、我が国安全保障と自由な経済活動との両立を図るとの基本的な考え方に立って取りまとめたものであります。  具体的には、本法案は、公簿収集等によって安全保障上重要な土地等利用状況調査を行った上で、防衛施設等機能を阻害する土地等利用が明らかになった場合に限って、その利用の中止を勧告、命令する等の措置を行うことができる枠組みとしております。  このため、本法案に基づく措置は、国民皆様の平穏な日常生活や自由な経済活動を妨げることはないものと考えております。
  10. 山谷えり子

    山谷えり子君 安全保障は国の責任において確保すべきことが大前提で、どこを区域指定するかについては国が責任を持って判断すべきですが、他方、法案実効性を担保する上では、区域指定に先立ち各地域の実情を踏まえる必要がございます。地方公共団体と連携することをどう想定しているか。  また、法案趣旨内容国民皆様に正確に御理解いただくことが重要です。透明性確保、必要です。説明責任どう果たされるのか、お教えください。
  11. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 我が国安全保障のための措置は、国が責任を持って判断し、実施すべきものと考えます。一方、本法案に基づく措置を実施するに当たり、地域住民に身近な地方公共団体理解協力を得ていくことは改めて重要であると考えています。このため、本法案対象となる区域指定を行う前に、十分な時間的余裕を持って関係する地方公共団体としっかり意見交換を行っていこうと、こういうふうに考えております。  また、対象区域全国各地に広がることから、地方公共団体協力もいただき、本法案に基づく各種措置趣旨考え方措置対象となる地域住民事業者に求められる手続等について丁寧な周知広報活動に取り組んでまいります。
  12. 山谷えり子

    山谷えり子君 しっかりと説明責任も果たしながら法案実効性を高めていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  13. 小沼巧

    小沼巧君 立憲民主・社民の小沼巧でございます。  本法案をめぐっては様々な混乱が起こっております。先ほど自民党の委員からございましたが、例えば必要最小限度のものになるように定義しておるということでありますが、この混乱根本原因は、全ての条文及び政令、省令、閣議決定において具体的な要件等が全く明らかになっていない、だからこそ全ての解釈において疑義が生まれる、ゆえにこの混乱に生じていると、このように考えます。  大臣のこの法案に係る混乱に対する御認識、まずはお伺いします。
  14. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) まず、この安全保障に関わる問題というものが、先ほど十年と言いましたけれども、そういう中で日本を取り巻く環境が変わってきたということは多分皆さんが感じておられることだと思います。  そして、私権制限という言葉がこの質疑の中でも度々使われてきましたし、私もそれに答えてきたわけでございますけれども、そういった中のそのバランスといいますか、どう両立を図るかということについて、これは長年の議論の中でも様々、国会以外のところでも指摘されたことだというふうに思います。  そして、安全保障状況のその環境も変わってきたということについて、やはり一つ一つこれは法律の中で明示されることはとても重要なことだと思いますけれども、しかし、その都度その都度変わってきているということが事実であって、そういうことがしっかりと分かりにくいのも事実であるということ、そういった現実があろうかと思います。  重要土地等調査法案について六月一日に衆議院会議において可決をいただきました。参議院においては、野党の皆様国会上での要望を委員皆様で話し合われて、内閣委員会のほか、外交防衛委員会との連合審査参考人質疑が行われ、丁寧な議論皆様の努力によって行われてきたと、ごめんなさい、思いますが、更に今日この時間をいただいて私も答弁をさせていただきたいと思います。
  15. 小沼巧

    小沼巧君 るる御説明いただきました。安全保障が大事である、この認識は全くもって同じであります。しかし、ここは法案審議の場であります。条文解釈をも含めて更に詳細を詰めて、かんかんがくがくの議論をした上で採決するならばまだ忍ぶべしといえども、そのような状況が全くなされていない。そのような状況採決をするということ自体立法府としての矜持を正直疑わざるを得ない、このような状況になっていると思います。  参考人意見などなども様々ございました。それらもございましたが、ここにおいて一つ確認をしてまいりたい。  例えば、参考人質疑を飛ばしまして、六月十日の内閣外防委員の、委員審査がございました。様々な委員会審査が行われた。それは大事ですよ。しかし、熟議というものは、単純に時間が長ければ熟議と言えるというのは、全く言えないのであります。解釈について、どういうことなのか、それに基づいていかなる判断をするのか、これが明らかになってこそ熟議であると思います。  その点に関して、例えば、十日における防衛大臣、こんなようなことをおっしゃっていました。本法案における機能阻害行為について、略しますが、御指摘いただいたもののみ念頭に本法案における各種措置が定められているものではないと承知している。  際限が分からないのであります。どこまでを安全保障上の脅威といい、その安全保障上と自由な経済活動とのバランスをどこに置くか、その解釈を明らかにしてもらわない限り議論が熟されたとは到底思えない。ゆえに、この解釈についてお伺いしたい。いかがでしょうか。
  16. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 阻害機能行為について過去にどうであったかということを明らかにしてまいりませんでした。これは私も答弁してまいりましたが、例えばその機能阻害行為というものが、まあ杉尾委員のところでお答えしたんだと思いますけれども、御理解いただいたかどうかは別といたしまして、電波の混線をさせるという行為があったとすると、その行為者に対してそれが成功であったか失敗であったかということを知らせること自体が、その類似行為、あるいは模倣犯といいますか、あるいは助長、その行為者に助長するようなことにはつながってはいけないというのが安全保障上差し控えてきた理由でありまして、そのことは何とぞ御理解いただきたく、答弁をしてまいりました。
  17. 小沼巧

    小沼巧君 これは法案審議答弁を欠いておるのであります。ここは法案審議であります。何をもって基準となすのか、閣議決定なさる方針において何をどのような要件でもって定めるのか、これが明らかにならない以上、それは権威主義の礼賛であり、法治主義の侮辱であります。それを安全保障だから認めてくれということでは、とても理解ができるものでもないし、ただ単なる時間稼ぎとしか形容し得ないのではないか、このように思うわけであります。  閣議決定、様々ありますが、その子細が審議によって明らかにならないのか、そのような状況のまま、これから決める、手のうちは明かせない、このような状況では何ら議論が尽くされた状態にはなり得ないと考えますけれども、それでもなお引き続き明かせないという答弁を繰り返すのでありましょうか。
  18. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 機能阻害行為につきましては、例えば、重要施設機能に支障を来す構造物の設置、領海基線の根拠となる低潮線影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地形質変更などが該当し得るものと考えています。  ただし、繰り返しになりますけれども、機能阻害行為として具体的に想定している行為については、安全保障をめぐるやっぱり内外情勢変わってきています。施設特性等に応じて様々な態様が想定されるところであり、どのような行為類型を代表的なものとして例示するか、決めてまいりたいと存じます。
  19. 小沼巧

    小沼巧君 具体的な例として挙げておられましたけれども、それで本当に大丈夫なのかということは、本法案に賛成なさる与野党の先生諸兄姉にも是非とも考えていただきたい。  なぜか。閣議決定次第によってはこの法案要件は変わるわけであります。今の政権が考えておる機能阻害行為、それは今の法案に賛成なさる与党先生たちオーケーとするでありましょう。しかし、政権が替わったときにどうなるのか。違う閣議決定をした瞬間に全く違う機能阻害行為として定義されてしまう。これが法的安定性を欠いているかといったら、全くそうは言えないのであります。更に言えば、一キロメートル、一キロメートルとおっしゃっておりますが、それを少し超えるところの行為に対していかなる対処ができるのか、その実効性についても極めて疑義があります。  改めてこの場で議論をし、それが適切なのか、実効性があるのか、様々な考慮すべきバランスとの関係で適切なのか、これを明らかにしなければ、まさに仏作って魂入れずであります。そのような状況で、審議が尽くされた、大事な法案だと言って立法府としてオーケーをすることには、到底私には今の説明ではできない。  その点についての大臣説明を、納得のいく説明をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  20. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) この法案につきましては長年議論国会の外でも行われてきましたけれども、やはり冒頭申し上げた不安というのが、これは、どこをつかむような、雲をつかむような話でもあったということも思います。これ具体的でないということも言われますけれども、そういったところに何があるのかと。まずは一キロという、定めたところがありますけれども、それ以上のところではなくて、まず、一キロという定めたところの中で何があるのかということをまずは調査しようというのがこの法案の目的でございます。
  21. 小沼巧

    小沼巧君 だとすれば、それが本当に安全保障上直近の課題なのでしょうか。それ以外のところに対する、まずは一キロ以内の調査に様々なリソースを投入することによって、それ以外の脅威を見落とすということにはなりやしないだろうか。安全保障政策及び資源配分観点からも、その答弁では極めて、極めて不安定だと考えますが、いかがでしょうか。
  22. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 今私が申し上げたような不安がこの十年の中で地方議会から国に届けられたということも一つの大きな事実だというふうな考えの下、今の答弁をいたしました。
  23. 小沼巧

    小沼巧君 地方議会意見書一つ尊重しなければならない問題の一つであると思いますが、それも解釈一つにしかすぎません。ゆえに、それが立法事実として適切かどうかということは大いに疑義があるし、むしろそういうのは適切とみなすべきではないと思います。  例えば、ほかにも様々な規定においてやはり審議会意見を聞いて決めるというようなことになっておりますけれども、さて、では、内閣総理大臣審議会に諮問するのでありますが、内閣はいかなる内容を諮問するのでありましょうか。また、諮問内容と異なった意見審議会から返された場合の対応はどうするのか。法の運用解釈がこれ不明なのであります。  ましてや、時の権力者によって任命され、息が掛かったと言っていいかもしれません、そのような審議会意見を聞くということでは、行政府の裁量を許すということにはなったとしても、立法府としてそれを認めることは三権分立の観点からしていかがなものなのか、この点についても疑義がある。  この点について小此木大臣納得のいく説明を求めたいと思います。いかがでしょうか。
  24. 木村聡

    政府参考人木村聡君) お答え申し上げます。  土地等利用状況審議会についてのお尋ねでございます。  この審議会委員につきましては、先生から御指摘ございましたように、内閣総理大臣中立、客観的な審議を行っていただくということで責任を持って任命をさせていただくと、こういう仕組みでございます。  この諮問事項につきましては法律に幾つか規定させていただいておりまして、先生も御案内のとおりかと存じますけれども、例えば生活関連施設についての政令を定めさせていただくときに事前に諮問させていただくということになってございますし、あるいは注視区域、さらには特別注視区域指定に当たっても、それに先立って御審議をいただくと、こういうことになってございます。  その審議の中身につきましては、その結果を最大限尊重いたしまして政府としての最終的な判断をさせていただくと、このように考えているところでございます。  以上でございます。
  25. 小沼巧

    小沼巧君 何の内容を諮問するかの答弁が欠けています。大臣からの答弁及び今の説明条文を繰り返したにすぎません。という意味で、答弁としては不十分であります。  改めて大臣の口からお聞かせいただきたい。どのような内容を諮問するのか。そして、その場合の解釈、時の運用というふうに政治的なことになってしまった場合の解釈運用についてどのように考えておられるのか。
  26. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 注視区域、例えば、特に重要な施設のある特別注視区域、まず、私たち、これからできる、内閣府に組織されるその組織がその候補地を決めます。  ちょっと誤解があったかもしれませんが、これまでの答弁で、その審議会意見を伺うと、審議会が決めるというようにも聞こえたような話がございますが、審議会意見を伺った上で、選挙で選ばれた、そして国会の中で首班指名された内閣総理大臣がこれは最終的に責任を持って決めていくということが正確なところでございます。
  27. 小沼巧

    小沼巧君 時間が参りましたので終わりにいたしますが、今の答弁も極めて疑いあります。  そもそも市ケ谷の土地指定するのかしないのかということは明らかになっていないのであります。当然、内閣総理大臣が指名する。それはそうでありましょう。法文上そうであります。だがしかし、その内容はいかなるものか、審議会に聞くといっても、その任命権者内閣総理大臣である以上、その客観性中立といったものはいかなる観点から担保されるのか、何ら具体的な説明がない。  以上、熟議が尽くされていない、こう断ぜざるを得ないということに遺憾を申し述べまして、次の委員質問を譲ります。  ありがとうございました。
  28. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 時間がないので早速質問いたします。  本法案欠陥法であり希代の悪法であることは昨日の参考人質疑を聞いても明らかでございます。与党先生方が呼ばれました参考人吉原参考人、これ、本法案作成のベースになった審議会メンバーでもあります。こういうふうにおっしゃいました。この条文案を読むだけでは様々な臆測が広がるおそれがあることはこの審議のプロセスを伺っていて痛感した、しっかりとこれから議論していかなければ国民の様々な解釈を生んでしまう、そのようなことがあってはならない、新たな別の不安が国民の間に呼び起こされては決してならない、こういうふうに与党が呼んだ参考人が断言している。審議会メンバーが断言しているんですね。  つまり、この法案は、様々な解釈の余地があるし、様々な臆測が広がっているし、また、別の不安が国民の間に呼び起こされている、こういう懸念参考人が表明しているんですね。ほかの二人の委員はそうですけれども、こんな状況採決していいんですか、大臣
  29. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 私は採決はしていただきたいと思い、成立をしていただきたいと思いますが、それはもう国会に委ねるしかございません。  昨日の与党、その推薦された委員におかれましては、その一方で、この法律が成立することはこの安全保障上の不安をなくす第一歩であるというような意味合いのお答えもされたと存じます。
  30. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 採決するかどうかはこれは院が決めることですけれども、こういう状況で不安が広がっていることについて、これ、この吉原さんもこれまでの審議を聞いていて痛感したと言っているんですよ。  つまり、政府参考人もそうです。大臣答弁もそうです。今の小沼委員質問に対する答弁もそうです。同じことの繰り返し、地方議会から意見書が来ている、最悪の事態に備えなければいけない、安保上の懸念がある、安全保障環境が変わった。これ以外何の説明したんですか。言ってみてください。
  31. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 私が答弁したことも一つの事実でございまして、そのまま放置しておけばこれは更なる不安を生むということも考えられるのではないでしょうか。私はそんな思いでございます。
  32. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 考えられるのでしょうかというのはどういうことですか。もっと事実をもって、事実を示して答弁してください。余りにも曖昧なんです。  先ほどの答弁もそうでした。討論もそうでした。曖昧な事実を言って、あたかもそれが将来大変なことになるかのごとく、そういう、国民懸念を持たせて、とにかく法案を通してくれ、この一辺倒じゃないですか。どうですか。
  33. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 先ほど山谷委員のところでもお答えいたしましたけれども、山谷委員は、十年以上の間その土地土地を歩いてこられて、不安の声を聞いてこられました。それは山谷委員以外の皆さんもそうだと思います。  これを成立させていただかなければ、そちらの意味でのこの不安はそのままになってしまうと、放置しておけばそのままになっていくということがやはり国会では無作為の責任となるのではないでしょうか。
  34. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 答弁が、中身がすかすかなんですよ。全く答弁になっていないんですよ。  じゃ、具体的に聞きますよ。昨日もありましたけれども、この法案は、元々外資による土地の買収、その懸念ですよね。それも今おっしゃいました。そこから出発しているんですけれども、実際はどんな法案になっているんですか。放送局、インフラ施設、将来的に規制されるかも分かりません。これ政令で決まります。  そして、原発、何で入ったんですか。昨日の参考人もおっしゃっていました。世界最高レベルの安全基準を満たしているんじゃないんですか。それが何でこんな、今度原発がこういう重要施設になって、一キロメートルが注視区域、重要注視区域になるんですか。法案の実際にできたものと出発点が余りにも違う。法案趣旨を逸脱して何でもかんでも規制しようとしているからこういうことになっているんじゃないですか、どうですか。
  35. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 木村内閣審議官。(発言する者あり)静粛に。
  36. 木村聡

    政府参考人木村聡君) お答え申し上げます。  生活関連施設について……(発言する者あり)生活関連施設について御指摘を賜りました。こちらにつきましては、先生から御指摘ございましたように、政令指定させていただくことにしてございまして、現時点におきましては、原子力関係施設と自衛隊が共用する空港、これを指定するということを想定しているところでございます。  これを政令で制定させていただくということにさせていただきました理由でございますけれども、これは、政府責任におきまして、安全保障をめぐる内外情勢に即応する形で迅速かつ適切に類型の変更を行えるようにと、こういう趣旨でございます。  そして、原子力関係施設についても御指摘を賜りましたが、こちらにつきましては、電力供給への影響、あるいは原子力施設の災害防止、核燃料物質等の保護の観点から、その周辺の土地についての必要な調査及び利用規制をさせていただくということで政令での指定を考えているということでございます。  以上でございます。
  37. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 それ、何回もその答弁衆議院でも言っていましたよ、聞きましたよ。だけど、将来的に何が含まれるか分からないんでしょう、生活関連施設。そういうふうに答弁して、今もあなた答弁しているじゃない。もういいから。いいです、あなたはいいです。  もう一つ、昨日もありました、何が機能阻害行為なのか。  例えば、半田参考人が、北部訓練場のメーンゲートに北部訓練場から回収した廃棄物を置いたということで家宅捜索されたチョウ類研究家の宮城秋乃さんのケースを例として挙げました。  これも機能阻害行為ということで警察が認定して家宅捜索をしたと、こういうことなんですけれども、何が機能阻害行為なのか。こんなの当局の胸先三寸じゃないですか。何が基準なんですか、言ってみてください。
  38. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 半田参考人の話を私も聞いておりましたけれども、半田参考人のお話は、この今議論されている法案のその前もった取扱いというような形で、これはもう他法令による、今のチョウ類研究家の宮城さんでしょうか、その話だと思いますけれども、その方の取締りというのは他法令によるものであって、この法案を前倒ししたものではないと。まだできていないわけですから、これは。そういう理解なので。
  39. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 廃棄物をそのゲート前に置いた、そういう行為が、実際にはその家宅捜索の容疑は業務執行妨害であったり廃棄物処理法だったり、そういうことなんですけれども、これは警察が機能阻害行為だというふうに認定してこういう要するに刑法の罪名を当てたということなので、今回の法律についても同じような形で機能阻害行為に該当される可能性があるんじゃないですかと、こう聞いているわけです。
  40. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) そのチョウ類研究家については、土地の所有ですとか、所有権ですとか、権原を持ち合わせていないということについて塩村委員のときにも確認をさせていただいて、そういう考えの下、今回の対象者にはならないと私はお答えいたしたと思います。
  41. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 じゃ、所有者じゃなければいいんですね。
  42. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 権原を所有している人、あるいは、所有していなくても、例えば権原を持っている方のその法人の役員である場合、こういうことに限っております。
  43. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 この法律を見てもそういうことが書いてないんですよ。  それで、ほかにも、半田参考人指摘した問題なんですけど、この沖縄なんですが、これ沖縄タイムスにも載りましたけれども、沖縄タイムスの今月十二日付け、沖縄の全ての有人島全域が注視区域特別注視区域指定できる、こういうふうな指摘がありました。政府関係者もこれを認めているということですけれども、沖縄全域が注視区域区域に入るんですね。
  44. 木村聡

    政府参考人木村聡君) 御指摘ございました沖縄本島についてでございますけど、法案の第二条第三項第二号に有人国境離島地域離島というのを規定させていただいているところでございます。この有人国境離島地域を構成する離島でございます沖縄県、これは沖縄本島でございますが、これは有人離島ということでございます。  一方で、実際に有人国境離島地域離島であることをもって直ちにその島全域を指定されるということは考えてございません。個々の区域につきまして、法律要件でございますとかあるいは基本方針の内容に照らして評価をさせていただきます。その上で、土地等利用状況審議会意見を伺った上で指定の要否、範囲等を判断させていただくということにしてございまして、沖縄県の離島の場合、具体的には、防衛関係施設等の重要関係施設の、重要施設の周辺でございますとか、あるいは領海基線の近傍、領海警備等の活動拠点となります港湾施設等の周辺について、それぞれ必要性を評価した上で区域指定を行うということを考えているところでございます。  以上でございます。
  45. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 これ、有人島全部が指定されるわけではないと、どこの法律にそんなこと書いてあるんですか。一キロというのは確かにあれですけど、重要施設の周りはそうですけど、離島についてはそんなこと一言も書いてないですよ、この法案の中に。
  46. 木村聡

    政府参考人木村聡君) この離島についての指定につきましては、離島機能を阻害する、こういったものを防止するために区域指定させていただくということで、機能法律上規定させていただいているところでございます。  その上で、重ねての答弁になりますけれども、離島としての重要な機能といたしましては、大事な位置付けを占めます領海基線の近傍でございますとか、あるいは領海警備等の活動拠点となります港湾施設及び行政機関の施設等の周辺について、それぞれ必要性を評価した上で区域指定を行うという方向で検討させていただきたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  47. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 今、方向と言いましたよね。ここで何でちゃんと言えないんですか。いい、もういいです。  こういうふうに一事が万事、ここで答弁していることが実際にそうなるかどうか全く分からないじゃないですか。こんなすかすかな法案出しておいて、今勝手な解釈言っているけど、さっき小沼委員も言っていましたけど、これ、内閣が替わったら、これ解釈も変わるし、基本方針も変えることできるし、政令だって府令だって変えることできるんですよ。ここで、どういう法解釈をするのか、法律に何を書いてあるのかということをはっきりさせてくれと言っているんだけど、衆議院でも参議院でもそういうことが全く行われなかったから、だから、さっきも言ったように、参考人だって三人とも懸念示したんじゃないですか。  個人情報の問題についても聞きますけど、半田参考人が、重要施設周辺に住んでいるだけで個人情報が丸ごと政府に収集される、思想信条の自由の侵害に当たるおそれ、これを指摘しました。馬奈木参考人も二十二条の問題に触れています。  そこで、二十二条について聞きます。  内閣総理大臣は、この法律の目的達成のために必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関に対し、資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができる。資料の提供、何の資料ですか。そして、その他の協力、どういう協力ですか。
  48. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 今お示しされました二十二条ですけれども、この二十二条に基づき協力を求める事項は個別具体の事情により異なると考えられることから、その内容協力要請先について一概にお答えすることは困難でありますが、その上で、例えば現地・現況調査に際して、第二十二条に、規定に基づいて、必要に応じて重要施設等の所管省庁及びその地方支分部局に協力を求めることを想定しております。
  49. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 今も同じ答弁です。ここでお答えすることはできない。範囲についても示さない。  馬奈木参考人、昨日、例えば都道府県の労働委員会が持つ労働組合の組合員に関する情報、そして、例えば公立図書館で借りた、これ例えば都道府県でもいいです、市町村でもいいですけど、本の履歴情報、それから同じように、自治体が持っている所得、生活保護の有無、こうした個人情報だって提供を求められるんじゃないですか。これ、できないんですか、できるんですか、どっちなんですか。
  50. 木村聡

    政府参考人木村聡君) 本法案に基づく調査は、注視区域内の土地等利用状況調査するものでございます。その一環といたしまして、関係行政機関の長に対しまして、法七条に基づきまして、氏名、住所、土地等利用者や利用目的等を特定するために必要な情報、これを入手させていただくということにしております。  御指摘ございました様々な情報でございますが、これは土地利用に関係するというものでなければ、こういったものを収集するということは考えてございません。  以上でございます。
  51. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 その答弁おかしくないですか。だって、背後関係調べないと、その人がどういう目的でこの土地を買ったのか、例えばダミーかもしれないし、この人が何回も、例えばある特定の国、何回も出入りしているとか、そういうことを調べて、背景事実調べなきゃ調査できないじゃないですか。今、そんなことないと言いましたよね。何をもってして断言できるんですか。
  52. 木村聡

    政府参考人木村聡君) 調査の手法についてお尋ねを賜りましたけれども、調査の手法につきましては、今申し上げました公簿の収集以外に、現地・現況調査、あるいは利用者等からの報告徴収も規定、想定してございますし、加えまして、これまでも委員会の中で御答弁申し上げておりますけれども、重要施設を所管している関係省庁からの、機能阻害行為に関する兆候等、これについての情報を御提供いただくというようなことも想定しているところでございまして、以上申し上げましたような多様な方法によりましてできるだけ具体的な実態把握に努めていきたいと、このように考えているところでございます。  以上でございます。
  53. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 じゃ、私が挙げたような個人情報を収集しない、その根拠はどこに書いてありますか。
  54. 木村聡

    政府参考人木村聡君) お答え申し上げます。  私が申し上げましたのは、第七条の公簿の収集についてでございます。こちらの方の規定は、土地等利用状況調査のために必要がある場合においては、関係省庁等に対しまして、当該土地等利用状況調査に係る注視区域内にある土地等利用者その他の関係者に関する情報のうちその者の氏名又は名称、住所その他政令で定めるものの提供を求めることができるという、規定させていただいておりまして、その他政令で定めるものにつきましては国籍というようなことを考えているという御答弁させていただいているところでございます。
  55. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 排除されていませんよね。政令で書けばいいんでしょう。何でもありでしょう。だけど、政令で書かれても我々チェックできないんですよ、この法律通した後で、何を書かれても。個人情報収集しないと調査にならないじゃないですか。これは、今そんなことありませんと言われても信用できないんですよ。  大臣、ずっと私申し上げているんですけれども、こんなに丸投げする法案を我々立法府として通すわけにはいかないんですよ。趣旨は分かります。それは民主党政権のときも研究会をつくって立法作業をしようとしていた。私はそのときいなかったけれども、それは必要だ。今回の法案の出発点も分かります。外資による土地の買収に懸念を示している、これは、我々の党の中でも、特に北海道選出の議員とか、そういうその傾向が顕著なところの議員は何らかの立法措置が必要だろうと言っているんですよ。  だけど、この立法の中身見てみたら、こんなすかすかな内容で、どういうふうにでも解釈できて、あと法案通っちゃったら政令とか府令とか基本方針で全部決められて、ただ審議会意見聞くだけで、その中立性も分からないし、こんな法案認めることできると思いますか。我々は下請じゃないんですよ、立法府は、行政府の。今日の参考人にも言います、大臣にも言いますけど、我々を下請と見ないでください。こんな法案、絶対通すことできません。丸投げできません。  最後に、大臣答弁してください。
  56. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 私自身が、議員の皆様や、私も選挙区を持っております。そういう中で聞いてきた、先ほど答弁をいたしました不安というもの、そして機能阻害行為について、具体的なものは安全保障上の関係から答弁は差し控えてまいりましたけれども、この法案をしっかりと成立させていただくことがこの不安を解消する第一歩となるということについては私の気持ちは変わりませんので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
  57. 杉尾秀哉

    杉尾秀哉君 そんなアバウトなことでは到底認められません。  終わります。
  58. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  当委員会におきましては、これまで衆議院を超える質疑時間の確保、さらには衆議院で行い得なかった連合審査、あるいは参考人質疑といったものを重ねて、大変充実した審議が続いております。  改めて、この重要土地調査法、私なりにこれまでの審議を受け止めて、一つは、土地の所有ですとか利用の実態、これを行政が十分に把握をできないという我が国土地制度の長年の課題にアプローチをする大変重要な法案であるということを改めて理解をいたしました。同時に、この安全保障上抑止力を持つために必要となる基礎的な調査、そして必要最小限規制を行うようにするというためのものであるということでありまして、まさにこの時々刻々厳しさを増す我が国安全保障環境、こういったものを鑑みるにつけ、先送りは許されない法案なんだろうなということを改めて実感したわけでございます。  その上で、昨日の参考人の方からも御指摘ございましたが、この法案の成否というのは今後の運用次第なんだ、こういう御指摘をいただいたわけであります。これまでの国会における様々な御議論、また厳しい御指摘、御懸念点、こういったものを政府がどれだけ本気に受け止めることができたのか、これを私、問われる一番最初がやはり基本方針の策定なんだろうというふうに思っております。  この基本方針の中には、例えば、注視区域特別注視区域指定基準ですとか、あるいは罰則の対象となります安全保障上の機能を阻害する土地利用の在り方、こういったことを一つ一つ規定していくことになるわけであります。国民の皆さんの懸念ということを払拭していくためにも、ここにきちっと具体的にやはり書き込んでいく、これが何よりも大事だというふうに思っておりますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  59. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 私は、防衛関係施設等の機能を阻害する行為ですが、これを防止するという法目的を確実に達成するためには、国民皆様から本法案で導入する新たな制度への信頼をいただくことは重要であると考えています。  注視区域及び特別注視区域指定については、社会経済活動への影響安全保障上の要請に基づく合理的かつやむを得ない範囲に限定するとの考え方の下、第四条第二項第二号に規定する経済的社会的観点から留意すべき事項を含め、指定に当たっての基本的な考え方を可能な限り具体的に基本方針に示していくということを考えております。  機能阻害行為は、安全保障をめぐる内外情勢や施設特性等に応じて様々な態様が想定され、想定する行為の類型を網羅的にお示しすることは困難と。重ねて申し上げますけれども、例えば、重要施設に関してはその施設機能に支障を来す構造物の設置など、国境離島等に関しては領海基線の根拠となる低潮線影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地形質変更などが機能阻害行為に該当し得るものと考えております。  これらの類型についても基本方針においてできるだけ分かりやすく例示し、国民懸念を払拭するよう努めてまいりたいと存じます。
  60. 平木大作

    ○平木大作君 今大臣答弁いただきました中でも触れていただきましたけれども、例えばこの区域指定基準というもの一つ取ってみても、当然これ、指定の結果を見て一定の納得感を持てるような基準としての明確さというものが求められるわけです。  一方で、この法案のやっぱり難しいところというのは、基準を今度は示した後でも機械的な当てはめをするわけではない。今答弁の中にもまさにあったように、この経済的社会的観点から検討した結果、例えばここは基準から見ると入るかもしれないけれども外れましたよということも含めて、今度は外れた理由もこれ納得感がなければやっぱりいけないわけです。  そういう意味では、本当にこの書きぶりということ、そして書いただけではなくて、それをどう国民の皆さんに説明していくのかということがこれから問われるというふうに思っております。  最後に、もう一点だけ確認したいと思います。  まさに、今回罰則を伴う経済活動規制を行う以上、この運用における透明性確保ということが極めて重要であります。国会の関与と今後の国民への説明について最後に大臣からお伺いします。
  61. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 平木委員指摘のとおり、本法案運用に際して、国民皆様に対してこの運用状況に関する説明責任を果たして透明性確保していくということは重要であると改めて申し上げます。  この観点から、本法案に基づく措置の実施状況についてですが、その概要を取りまとめ、毎年国会を含め広く国民皆様に公表すること等を通じて、政府としてしっかり説明責任を果たしてまいりたいと存じます。このことは、閣議決定する基本方針においてその旨明らかにする方向で検討してまいります。  こうした国民皆様から制度への信頼をいただくための取組には真摯に対応するよう、これ、事務方にも意識を共有して進めてまいりたいと存じます。
  62. 平木大作

    ○平木大作君 よろしくお願いいたします。  終わります。
  63. 柴田巧

    ○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。  この法案質疑も今日で最後ということになったわけですが、先般来から申し上げておりますように、私どもは、悪意のある外国人や外国資本が日本の土地を買いあさっていく、こういったものに大変な危機感を持って、平成二十八年の臨時国会から今国会に至るまで五回にわたって、政府案よりも大変厳しい内容を含む法案を提出をしてまいりました。  今般ようやく政府案も出て、最終的な審議の場になっているわけですが、我々からすれば百点満点というわけにはまだ届きませんが、しかし、今までのように無防備な状況、状態が続くよりもよっぽどましだと思っていますし、我々が申し上げてきたことなど、質疑の中でも、例えば事前審査であるとか立入調査であるとか収用であるとか、こういったことも検討課題として認めていただくというか、言及をしていただいたということもあって、我々としてはこれがしっかり進んでいくことを期待をし、また、今申し上げたように残された課題もありますから、しっかりこういったものが前に進んでいくことを念じているわけでありますが、その上で、今日は、これまで余り取り上げられていなかったところあるいは明らかになっていない部分を中心にお聞きを幾つかしてまいりたいと思っております。  まず最初は、機能を阻害する利用の中止勧告ということでございますが、九条の規定によるこの重要施設等の機能を阻害する利用の中止の勧告というものは土地等利用状況審議会意見を聞いた上で実施することとされているわけですけれども、この勧告の対象となる機能阻害行為が現に現れている又は行われる明らかなおそれがあると認めるときが要件とされているわけです。  後者の場合は、つまり、行われる明らかなおそれがあると認めるときはという場合はこの明白性の基準が要件とされていますが、前者の場合、つまりは、この勧告の、機能阻害行為が現に行われているという場合は、行為の態様にももちろんよると思いますけれども、ある程度繰り返して行われているといったこの反復性や継続性が要件とされるのかどうか、また、この土地等利用状況審議会意見を聞くもしいとまがないような即応性が求められるケースというものは想定しているのか、していないのか、併せてまずはお聞きをしたいと思います。
  64. 木村聡

    政府参考人木村聡君) お答え申し上げます。  御指摘いただきましたこの勧告でございますけれども、御指摘のございました機能阻害行為が現に行われているときに加えまして、機能阻害行為が行われる明らかなおそれがあると認めるときであっても発動し得る仕組みでございます。すなわち、具体的な行為の態様に応じて、機能阻害行為が行われる蓋然性が社会通念上一般に認識される程度に顕著に認められる場合であっても勧告の対象になり得るというものでございます。  このように、機能阻害行為についてでございますが、この発動の要件として、反復性や継続につきましては必ずしもその勧告の要件とはさせていただいていないというところでございます。  また、実際の勧告に当たりましては、対象となります個々の行為につきまして、法律要件でありますとかあるいは基本方針の内容に照らして適切に評価をさせていただきますとともに、専門的な知見を有しておられます土地等利用状況審議会意見を伺いまして、その要否、妥当性などにつきまして慎重に判断した上で勧告を行わせていただくということとさせていただいているところでございます。  最後に御指摘ございました、緊急性が高く速やかに勧告を行うことが必要な場合もあると、このように私どもも認識してございます。法施行に向けましては、そうした場合に備えまして、迅速かつ適切に土地等利用状況審議会意見聴取を行う方法を含めまして、具体的な手続の在り方をしっかりと検討させていただきたいと、このように考えています。  以上でございます。
  65. 柴田巧

    ○柴田巧君 本当に緊急性があるいは即応性が求められるケースもあり得ると思っていますので、そういったこともしっかり想定をしておいていただきたいと思います。  次に、損失補償についてお尋ねをしたいと思いますが、十条では、今のこの九条の規定による利用の中止の勧告、命令を受けた者が当該勧告等に係る措置を行ったことにより損失を受けたり他人に損失を与えたりした場合に、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を国が補償する旨が定められております。  この勧告等に係る措置を行った当人、損失を受ける第三者、それぞれについてどのような損失が想定をされるのか、また、この勧告等に係る措置を行った当人が悪意を持って機能阻害行為に及んでいた場合にまでこの損失の補償を行うのは妥当性に欠けて国民理解を得られないのではないかと考えますが、併せてお尋ねをしたいと思います。
  66. 木村聡

    政府参考人木村聡君) お答え申し上げます。  御指摘ございました、勧告等に係る措置を行った当人及び損失を受けた第三者において想定される損失といたしましては、例えばでございますけれども、適法に設置した建物につきまして、重要施設機能を阻害することを理由として撤去の勧告を受けた場合に、勧告を受けた所有者に対して撤去費用などを、また、当該建物の一部を賃借しておられる方に対して退去費用などをそれぞれ補償するケースが想定されるものと考えてございます。  また、本法案に基づきます損失補償の対象とならない場合につきましては、第十条第一項のただし書におきまして、他法令に基づく許可等の申請が必要な行為について、その申請が却下されたとき、又は却下されるべき場合を定めており、必要な許可等を取得することなく機能阻害行為の意図を持ってその行為を行った者は損失補償の対象とはならないものと考えているところでございます。  なお、実際の補償では、事案の内容に応じましてケース・バイ・ケースで判断をさせていただくこととなります。損失補償を適正に行います観点から、御指摘のようなケースにおける補償の要否も含めまして、事案の内容によっては、補償に先立って審議会意見を伺うことなどによりまして慎重な判断を行っていきたいと、このように考えているところでございます。  以上でございます。
  67. 柴田巧

    ○柴田巧君 そういう悪意のある者にまで損失補償するというのは基本的にあってはならないことだと思っていますので、十分気を付けてやっていただきたいと思います。  次に、土地等に関する権利の買入れについてお尋ねをしますが、第十一条では、この二十三条の規定に基づく国による土地等の権利の買取りとは異なって、勧告等に係る措置によって土地等利用に著しい支障を来すこととなることにより当該土地等に関する権利を買い入れるよう所有者から国に対して申出があった場合に、特別の事情がない限り、国はこれを買い入れることが定められていますが、この著しい支障を来すことになるケースとはどのような場面が想定をされているのか、また、どのような事情がある場合に国は買取りを断ることができるのか。更にお伺いをしますが、買い取った土地はどのような利用を基本的に考えているのか、併せてお尋ねをいたします。
  68. 木村聡

    政府参考人木村聡君) お答え申し上げます。  本法案におきましては、勧告等に係る措置をとったことによりまして土地等利用に著しい支障が生じる場合に、土地等の所有者から買入れの申出があれば、特別の事情がない限り、これを国が買い入れる旨を規定させていただいているところでございます。  御指摘ございました著しい支障を来すこととなるケースといたしましては、例えばでございますが、特段、当該施設機能を害する意図なく設置した構造物について勧告を受けまして、当該構造物の撤去を行ったために目的とする事業が営めなくなる場合などが考えられるものと存じます。  また、国による買入れが行われない特別の事情といたしましては、これも例えばでございますけれども、勧告等に係る措置によって生じた損失につきまして、既に第十条の規定によって合理的かつ十分な額の補償を受けた者から買入れの申出があった場合などを想定しているところでございます。  第十一条の規定によりまして国が買い入れた土地等をどのように利用するかというお尋ねも賜りました。  個別具体のケースに応じてその都度判断されるべき事柄でございますから一概にお答えすることは困難ではございますけれども、例えば、国自らが利用、管理を行いますほか、当該土地等利用を希望する地方自治体に売却することなどが想定されるものと考えているところでございます。  以上でございます。
  69. 柴田巧

    ○柴田巧君 分かりました。  次に移りますが、土地利用規制の国際法上の根拠について、これはさきの本会議質疑でも大臣にお尋ねをしたところですが、WTOと、この本法律案とWTO・GATSの関係について大臣にお尋ねをしたところ、この本法案は、調査利用規制対象を外国人、外国法人の利用者に限定しない内外無差別の枠組みとした結果、このWTOのGATS第十七条が規定する内国民待遇義務に整合的な制度となっており、このGATSの十四条二に規定する安全保障のための例外を援用する必要はないというふうに答弁をされたわけですけれども、ここでちょっと確認ですが、現段階では援用することは考えていないが、将来的には援用することを排除しないという理解でいいのかどうか、この点ちょっと確認をしたいと思います。
  70. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 柴田議員が本会議で尋ねられた答弁はおっしゃったとおりでございまして、本法が採用した内外無差別の枠組みに関しての御指摘ですが、重要施設等の機能を阻害する行為については、その主体が外国人、外国法人であるか、又は日本人、日本法人であるかにかかわらず適切に対処することが必要と考えています。具体的には、我が国法律に基づいて設立された会社であっても、実質的な所有者あるいは支配者が日本人ではないケースに対応する必要があると、こういうふうに思います。  このため、本法案の枠組みにおいて、外国人、外国法人の土地利用等のみを対象とすることは考えておらず、現段階ではGATS第十四条の二の安全保障のための例外規定を援用することは考えておらないと、こういうことでございます。
  71. 柴田巧

    ○柴田巧君 まあしかし、いろんなこれまでの答弁の中でも、国際環境というか安全保障上の変化があればいろんなことをまた考えていくということもありましたが、この十四条二の規定も、私は、場合によったらやっぱり援用していくことも考えておくべきではないかと改めて申し上げておきます。今日はこれ以上聞きませんが。  他方、我が国では、二国間投資協定や投資の章を含む経済連携協定を多くの国との間で締結をしております。この参議院の質問主意書一五九号、百七十七国会に提出された質問主意書ですが、ちょっと長いですが読み上げますと、政府は、一部投資協定又は経済連携協定においては、相手国において、日本国の国民又は法人が土地の取得又は賃貸借を禁止又は制限されている場合には、日本国における相手国の国民又は法人による土地の取得又は賃貸借について、同一又は類似の禁止又は制限を課することができるとされていると、こう答弁書の中にあるわけですが、つまり、相互主義に基づく対応が可能である旨を答弁をしているということなんですね。  そこで、お聞きをしますが、現在、我が国では、こうした規定を含む二国間投資協定や経済連携協定を幾つの国との間で締結をしているのか、また、そのうち、現に締結相手国から我が国国民や法人が土地の取得等を禁止等されている例はあるのか。更にお聞きをしますが、我が国国民等が締結相手国において土地等の取得等を禁止等されている場合、相互主義に基づく対応を取る考えはないのか。それぞれ、今日、外務省等にも来ていただいているのかな、お尋ねをしたいと思います。
  72. 田島浩志

    政府参考人(田島浩志君) お答えいたします。  御指摘いただいた質問主意書において列挙されている投資協定又は経済連携協定におきましては、相手国の投資家による投資財産の取得に関する内国民待遇義務について規定しております。委員質問主意書に書かれたものを読み上げられましたけれども、我が国の留保表の中で、相手国において日本国の国民又は法人が土地の取得又は賃貸借を禁止又は制限されている場合には、日本国における相手国の国民又は法人による土地の取得又は賃貸借について同一又は類似の禁止又は制限を課することができる旨、留保しております。  また、質問主意書が出された平成二十三年以降締結いたしました投資協定又は経済連携協定におきましても、同様に、内国民待遇義務について規定しつつも、基本的に同様の留保又はより包括的な留保を置いており、こうした留保を置いた投資協定又は経済連携協定は、質問主意書に列挙されたものも合わせて現時点で三十一本が署名済み又は発効済みであります。  これらの相手国の国内制度については、それぞれの協定の相手国の留保表に根拠となる法律が記載されている場合もありますけれども、最新の現状とか実際の運用も含めて把握する必要がありますことから、この場で政府として責任を持ってお答えすることは困難であり、この点御理解いただきたいと思います。  いずれにいたしましても、我が国として、必要に応じて関係国と意思疎通を行いながら、投資協定や経済連携協定の相手国における投資環境透明性法的安定性及び予見可能性が向上されるように引き続き取り組んでまいります。
  73. 木村聡

    政府参考人木村聡君) 私からも相互主義に関してお答え申し上げたいと存じます。  安全保障観点から、国として土地を管理する制度の在り方に関しまして、先生から御指摘いただきましたような相互主義に関わる御議論あるいは御指摘があるということは私どもとしても承知しているところでございます。  一方で、先ほど大臣からも答弁させていただきましたけれども、防衛関係施設等の重要施設国境離島等機能を阻害する行為につきましては、その主体が外国人、外国法人であるか、又は日本人、日本法人であるかにかかわらず適切に対処することが必要であると、このように考えてございまして、本法案では内外無差別の枠組みを採用させていただいたところでございます。  したがいまして、相互主義的な考え方でこの制度を立て直すとか、そういったことにつきましては考えておらないということでございます。  以上でございます。
  74. 柴田巧

    ○柴田巧君 まあ、その相互主義というのもやっぱりよく考えておかなきゃいけないことではないかなと思いますが、時間もあれですので、次の質問というか、大臣にこの法案に関しては最後の質問をさせていただきたいと思いますが。  先ほどからも各先生方からも出ておりますように、これ成立をしたとしても、なかなかまだ多くの国民の皆さんにはこの法案の意義や必要性というのはまだ十分に浸透していないと感じているところがあります。そういう意味では、やはり国民に丁寧に法案成立後説明していくということが大事ですし、昨日の参考人の方もおっしゃっていたように、情報公開といいますか、やはりこの透明性を高めるべく積極的な情報公開にも努めていくべきだと、こう思います。  こういうことをやっぱりしっかりやっていくというのがこの法案成立後大事なことだと思いますし、あわせて、対外的にも、私は、日本はこういう法律を作ったということをPRをするというか、このことは大変意味のあることであって、今まで正直何もなかったところにこういう法律ができた、このこと自体がやはり悪意ある者をプレッシャーを掛けていくという可能性は多分に秘めているものだと思いますと、そういう対外的な広報も併せて大事なことだと、こう思います。  大臣のそれぞれの御見解をお聞きをしたいと思います。
  75. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) この法案について初めての意味でもあります第一歩という言葉も使いました。  特に、国民の皆さんに丁寧に説明をしていくこと、外にも知らしめていくこと、委員からの御指摘もございました。非常に有意義な、そして必要性のあることだと思います。この観点から、政府のホームページ等の活用を通じた広報のみならず、地方公共団体、関係する業界団体の御協力も得ながら、本法案趣旨考え方対象区域の範囲、土地等利用者等に求められる手続等について周知を徹底してまいりたいと、こういうふうに思います。  その上で、本法案に基づく措置の実施状況については、その概要を取りまとめ、毎年、国会を含め広く国民皆様に公表するなど、制度運用透明性確保、向上にも積極的に取り組んでまいります。  こうした国民皆様から制度への信頼をいただくための取組には真摯に対応するように、私も、先ほど申し上げましたけど、事務方ともしっかりと共有をしながら指導も徹底して、考えたいと思います。
  76. 柴田巧

    ○柴田巧君 ありがとうございます。  とにかく、先ほどから申し上げておりますように、百点満点とはなかなかいきませんが、第一歩を歩み出すということでありまして、しっかりと国民への説明責任を果たして理解を求めていくと同時に、対外的にも日本がこういう法制を取ったということをPRをして、実質的に、今までのことが繰り返して行われないようにやっていただきたいと思います。  今日、併せて経済安全保障のこともお聞きをしたかったのですが、時間が参りましたのでこの辺で終わらせていただきますが、とにかく第一歩を歩み出すことを我々も求めて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  77. 矢田わか子

    矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。  この法案が二〇〇八年からの懸念事項であり、二〇一一年、民主党政権の時代には民主党の中にプロジェクトチームを設置して、検討しなければならないというふうに申し上げてきた観点からいけば、今回、この日本の国で土地制度に欠けていた安全保障上の課題対応する法案であるとの認識はあります。ただ、今回の委員会を通じてこれだけ多くの懸念事項、課題が出てきたことも事実であります。その課題を今日は一覧表に資料一としておまとめをしました。  私たちは、我が国土地制度に欠けているこの法案を、賛成する立場ではありますが、やはり多くの課題については政府に対してしっかりと向き合っていただかなければならないという立場であります。  まず、課題の一として、法の実効性確保であります。防衛上、安全保障上の穴はないんかということであります。二つ目の課題、人権、プライバシーの侵害等への問題であります。市民や住民運動への過度な監視にならないのかという問題であります。  そこで、大臣、やはり今日の質疑、もう最終になるのかもしれませんけれども、この質疑を通じて、やはり政府が真摯にこうした課題に向き合って今後どのように対応策を打つのか、しっかりと答弁をすることが国民の不安を少しでも解消につなげるということになるかと思います。  まず一つ目。この二つ目の人権、プライバシーの問題なんですが、やはりこの法案、皆さんが指摘されているとおり、やっぱり法の密度が余りにも低いということが大きな課題であります。全てが決まった後に、法令、省令、そして基本方針に委ねますというところに皆さん心配を持っていらっしゃるわけです。  したがって、せめてこの注視区域特別注視区域というこの認定をするときに、やはりあらかじめその区域にいらっしゃる住民の方々に対して、この区域を限定して指定していくというものであれば、現況、現状調査をしっかりと行った上で、そしてまた、風評によってその土地の価格が下がることも懸念されるわけですので、住民の方に事前にしっかりと意見聴取、説明会を実施すべきだというふうに思います。いかがでしょうか。
  78. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) まず、私、我が国安全保障のための措置は国が責任を持って判断し、実施すべきものということを改めて考えております。  一方、本法案に基づく措置を実施するに当たって、地域住民地方公共団体理解協力を得ていくことは重要であると、こういうふうにも考えております。このため、本法案対象となる区域指定を行う前には、十分な時間的余裕を持って地域住民の実情に精通する関係地方公共団体としっかり意見交換を行うことを通じて、国民皆様の多様な御意見も伺うことを想定しております。  また、本法案に基づく各種措置趣旨考え方措置対象となる地域住民事業者に求められる手続などについても丁寧な周知広報活動に取り組んでまいります。
  79. 矢田わか子

    矢田わか子君 是非、大臣、丁寧に説明するというのは手間も暇も掛かりますし、やっぱり大変なことなんです。でも、大変なことでも乗り越えて、しっかりと住民と向き合うということが今回やっぱり大事なことだと思います。住民を、国民を信じて、この土地は大変重要な土地であって、是非、国の安全保障に関わることだから協力してほしいんだという説明をやってほしいんです。個人の情報管理はしっかりやりますからということですね。そういう向き合う姿勢をまずは政府が私はしっかりと示してほしいと思いますので、お願いを申し上げておきたいと思います。  それから二つ目。勧告、命令、今回、これに従わなければ罰則まで付くというものであります。それが、申し訳ないんですが、今回、それにもかかわらずですよ、民主的な手続にやはり不備があるんじゃないかというふうな指摘であります。  私たち国民民主党は修正案を衆議院の方で出させていただいております。政府も認めているとおり、そうした法的な機密、まあ安全保障上どうしても言えないことがあるのかもしれませんが、法の密度が低いことを認められるのであれば、せめて、それを行う場合にしっかりと国会報告をしていただきたいということであります。毎年一回、国会に対し、勧告、命令の実態状況を含めて、この法律による土地等利用規制状況を報告する、お約束いただけませんか。
  80. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 本法案に基づく措置の実施状況についてですが、その透明性確保する観点から、毎年その概要を取りまとめた上で、国会を含め、広く国民に対して公表することを検討しております。このことについて基本方針に明記する方向で考えております。  なお、法律の施行状況について定期的に国会に報告することが法定されているのは、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律といった高い強度の規制が置かれ、基本的人権その他の個人の権利利益を害するおそれのあるものであると認識しておりますが、冒頭申し上げたように、しっかりと広く国民に対して公表し、このことについて基本方針に明記する方向で考えているということを改めて申し上げます。
  81. 矢田わか子

    矢田わか子君 大臣、是非ここは約束していただきたいんですね。私たちが賛成する上でもそこは大事なポイントなんです。よろしくお願いしたいと思います。  もう一度お願いします。
  82. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 国会を含め広く国民に対して公表すること、そして、このことについて基本方針に明記することで考えて、しっかりこのことを前に進めてまいりたいと存じます。
  83. 矢田わか子

    矢田わか子君 続いて、法の実効性確保のことですね。  一番ここの委員会でもよく取り上げられたのが、やはり私は市ケ谷の防衛省の関連地区のことだと思います。ここがなぜ特別注視区域対象とならないのかということであります。やはりここは、もう何度もお聞きしておりますとおり、防衛省の本省、それから各自衛隊の司令機能ですよ。あるいは各自衛隊の組織の情報ネットワークのコントロール機能を持つ組織が置かれているところであります。ここを指定せずしてどこを指定するんですかというふうに思えてならないわけです。  資料二に、お配りしましたが、この資料は内閣官房の資料でありまして、注視・特別注視区域の候補として挙げられているものであります。二番のところにしっかりと、一番目、指揮中枢機能又は司令部機能を有する施設として一番に市ケ谷と書かれております。  もう一度お聞きしますが、ここは特別注視区域にならないんでしょうか。
  84. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) このことも既に何度もお話ししておりますが、そのことについてのまだ決定はいたしておりません。  市ケ谷には様々な部隊等が所在しており、その重要な機能に鑑み、指揮中枢機能を持つ施設として法案第十二条の特定重要施設要件を満たすものと整理しており、その周辺は特別注視区域として指定され得るものと考えてはおります。  一方で、実際の区域指定に当たっては、経済的社会的観点から留意すべき事項を含め、基本方針の内容に照らして評価をし、法施行後に土地等利用状況審議会意見を伺った上で政府として指定の要否、区分等を判断することとしており、現時点において、先ほど申し上げたように、市ケ谷の駐屯地、基地の周辺が注視区域特別注視区域として指定されるかどうかは決定しておりません。
  85. 矢田わか子

    矢田わか子君 大臣、いろんな方面に気遣わなくちゃいけないのかもしれませんが、ここを本当に指定せずして、だからやっぱり問われるわけですよ。本当にこの法律安全保障上しっかりとしたものになっているのかということが問われるんだと思うんです。気遣うのはいいんですけど、貫かなければならない趣旨は貫いてほしいんですよ。大臣、いかがですか。
  86. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 安全保障上の国民の不安は守るために、これはしっかりと政治家としてその姿勢は貫いてまいります。
  87. 矢田わか子

    矢田わか子君 平成二十五年の十二月に閣議決定されました国家安全保障戦略では、地域コミュニティーとの連携として、防衛施設周辺の地方公共団体や地元住民理解及び協力を得ることは重要となっている、このため、平素から防衛省・自衛隊の政策や活動に関する積極的な広報活動を行い、駐屯地、基地等の運営に当たっては、地元経済への寄与に配慮するとされています。  この方針の下に地元との信頼関係を維持していけば、安全保障対策と地元の経済活動は私は両立すると思います。是非、改めて、市街地の自衛隊施設注視区域特別注視区域にする必要があるのかないのかについてしっかりと論議をしていただきたいと思います。  大臣、もう一度お願いします。
  88. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 繰り返しになりますけれども、実際の区域指定に当たっては、法律要件や基本方針の内容に照らして個々の区域を評価し、そして新たに設置する土地等利用状況審議会意見を伺った上でその指定の要否、範囲等をそれぞれ判断をしてまいります。
  89. 矢田わか子

    矢田わか子君 とにかく落ち着いてちょっと考えていただいて。もう一度申し上げますが、あそこを指定せずしてどこを指定するんですかと、何度も申し訳ありませんが、大臣に問いたいと思います。  科学技術の進展や国際情勢の変化の中で、これから段階的に安全保障政策実効性を多分上げていかれるんだと思いますが、是非、多くの国民の方々にもこれは御理解いただかないと元々進められないことですので、多くの施設が市ケ谷以外にもあるわけで、この資料二にお示しをしているとおり、候補となっている地区たくさんあるわけですよ。これから汗をかくのがやっぱり政府の私は役割だと思います。是非お願いしたいと思います、大臣。よろしいでしょうか。
  90. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 様々な機能を持った施設、これは日本としても、その防衛上の考え方、様々、これは変化もあろうかと思います。ずうっと何十年も一定のものではないという考えの下、様々、そういう観点からも、日本国民あるいは日本国を守っていかなきゃならないというふうに思います。そういう観点で考えてまいります。
  91. 矢田わか子

    矢田わか子君 是非日本の国を守るという観点からなんだということを説明いただきたいと思います。  続いて、外為法のことに入りたいと思います。  というのも、資料一にあるとおり、私は、この法律だけではなく、関連する様々な法律、条例の整備を同時に進めていかなければならないというふうに思っています。  外為法なんですけれども、資料三をお配りいたしました。これと連動した土地所有規制ができないのかという提案であります。  この法律、令和元年の十一月の改正で、国の安全等を損なうおそれのある投資への対応として、外国投資家が指定業種を含む上場会社の株式一%以上取得する場合、事前の届出免除制度が適用されない限り事前届出を必要とするというふうにされております。  この法案の参議院の委員会の採択のときに附帯決議が付けられております。その十一項目めに、外国資本による土地購入が急速に拡大している現状に鑑み、安全保障、水源、鉱物資源保全等の観点から速やかに検討を行い、必要な措置を講ずるように取り組むことという附帯決議が付けられております。  資料三のように、外国為替の取引等の報告に関する省令で、非居住者の不動産取得で報告を要しない、報告しないでいいですよという場合について四類型を規定されております。この四類型、見ていただいたら分かるとおり、居住用目的の場合だとか、非営利目的事業を行う場合、事業所用として使う場合、他の非居住者から取得する場合とあるんですが、私はこの制度、見直しを図ってもいいのではないかと思っています。  今回のこの法案、この今審議している法案は、附帯決議で求められている必要な措置として位置付けられているというふうに説明政府側はされているんですが、我が国のその株式投資と不動産の投資は一体的に規制した方が安全保障を高める上で有効であると考えますが、いかがでしょうか。
  92. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 現状、様々な行政機関が土地等利用に関連する情報を保有しておりますが、安全保障観点から、土地等利用を適切に管理するためには、これらの分散管理されている情報を一元的に管理していく必要があろうかと存じます。  このため、法案第七条において、総理大臣は、御指摘の外為法に基づく非居住者の不動産取引の報告や森林法に基づく森林の取得に関する届出を含め、土地等に関する公簿等の提供を各省庁や地方公共団体等の長に対して求めることができることとしております。  他方、各省庁や地方公共団体はそれぞれの行政目的のために情報を収集、保有しているところでありまして、本法案の目的達成のために他の既存制度に基づく情報収集の範囲を見直すことは困難であると考えます。  本法案において、公簿等の収集に加え、土地等利用者等に報告徴収を求めることができることとしているところでありまして、多様な調査を通じて安全保障上重要な施設等の周辺土地等利用状況の把握に努めてまいりたいと存じます。
  93. 矢田わか子

    矢田わか子君 資料一でお配りをしているとおり、やっぱり関連する法案、申し上げたとおり、この法律も大事ですけれども、関連する法案も含めて、しっかりと条例含め整備をすることによって、やはりトータルとしてこの国の土地規制、そしてこの国を守るということで、是非御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。  質問を終わります。
  94. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。  重要施設として政令指定する生活関連施設についてお聞きします。  自衛隊との共用空港というのは自衛隊施設に準ずる扱いだろうと思います。では、原発を指定する理由は何ですか。六月九日現在、稼働しているのは五十四の原子炉のうち七つだけです。稼働していない原発、また廃炉が決まっている原発も対象となるんでしょうか。そもそも原発の機能とは何を指すんですか。
  95. 木村聡

    政府参考人木村聡君) お答え申し上げます。  本法案におきましては、生活関連施設につきまして、国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるものと定義をさせていただいているところでございます。  御指摘のございました原子力関係施設につきましては、その電力供給の機能でありますとか、あるいは原子力施設の災害防止及び核燃料物質等保護の必要性を踏まえますと、本法案生活関連施設要件を満たすものと、このように考えているところでございます。  その上で、稼働中、停止中の原子力発電所の取扱いについても御指摘を賜りましたが、発電を停止しております原子力発電所につきましては、現に核燃料物質を有しているという個別の事情も勘案した上で、これは、法定しております土地等利用状況審議会意見を伺った上で指定の要否を個別に適切に判断をさせていただきたい、このように考えているところでございます。  以上でございます。(発言する者あり)
  96. 森屋宏

  97. 木村聡

    政府参考人木村聡君) 大変失礼いたしました。  廃炉が決まっているものにつきましても、所内に現に核燃料物質を有しているというその個別の事情がございますれば、そういった事情も勘案した上で、法定する手続に従いまして指定の要否を適切に判断をさせていただく、こういうことでございます。  以上でございます。
  98. 田村智子

    ○田村智子君 結局、そうすると、原発を指定するのはなぜかと。それは、核燃料を安全に保管するというのが原発の機能だというような法案になっているんですね。その機能を阻害されることを防ぐ、そのための法案という立て付けだというふうにしか理解できません。  既に原子力発電所など国内の核関連施設は、二〇〇一年に米国で起きた九・一一のテロ事件以降、核テロリズムへの対策が進められています。警備強化、個人の信頼性確認制度の導入など、事業者にも様々な対策を義務付ける法改正も行われました。同時に、自動小銃など通常の銃器対策部隊より強化された武装警察部隊による警備まで行われています。その上に更に周辺土地利用規制までしなければならないほど原子力発電所そのものが危険な施設だということなんですか。大臣、いかがですか。大臣
  99. 木村聡

    政府参考人木村聡君) お答え申し上げます。  御指摘いただきましたのは原子炉等規制法の件ではないかなと存じますけれども、この原子炉等規制法につきましては、自然災害やテロリズムなどの発生も想定いたしまして、原子力施設の設計等に関しまして、原子力事業者に対しまして必要な規制を行っているものであると、このように承知をしているところでございます。  他方、本法案は、安全保障観点から、土地等利用状況調査いたしまして、土地等利用者に対して重要施設等の機能を阻害する行為を必要に応じて規制をさせていただくものでございまして、法目的が異なるというものと考えているところでございます。  以上でございます。
  100. 田村智子

    ○田村智子君 核燃料を安全に保管する、それ以外の安全保障って何なんですか。何なんですか。
  101. 木村聡

    政府参考人木村聡君) 重ねての答弁になって恐縮でございますけれども、法律に定義させていただいています生活関連施設の定義でございますけれども、国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体又は財産に重大な影響が生ずるおそれがあると認められるもの、これを生活関連施設として定義させていただいておりまして、原子力関係施設につきましては、その電力供給機能でありますとか、原子力施設の災害防止及び核燃料物質等の保護の……(発言する者あり)
  102. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 静粛に。
  103. 木村聡

    政府参考人木村聡君) 必要性を踏まえますと、この生活関連施設要件を満たし得るものと考えているところでございます。  以上でございます。
  104. 田村智子

    ○田村智子君 だって、発電していないところは入らない、入るかどうか分からないって言ったじゃないですか。  原発の安全保障を脅かしているのは、柏崎刈羽原発見ても、原発事故を起こした反省もなく、決められた保守管理さえも経済優先で軽視している原子力事業者ですよ。絶対の安全などないのに、老朽原発まで再稼働に突き進んでいる政府そのものじゃありませんか。  原子力発電所は、発電という機能そのものに対して強い反対の意見があり、私たちも、原発ゼロ、つまりその機能を止めるべきだというふうに求めています。そういう施設をわざわざ指定して機能阻害行為を防止するというんですよ。  米軍基地も同じです。特に沖縄県では、既に返還期限を過ぎている普天間基地は、本来、機能を停止し、即刻返還が求められているはずです。日本が外国に侵略されていいなんて誰も思っていないですよ、誰も思っていない。しかし、中東地域で暗殺だとか反政府工作まで行う特殊部隊、あるいは殴り込み部隊である海兵隊の拠点としてオスプレイまで配備する。これが日本の安全保障にどう資するというのかと。米軍基地にはこういう疑問があるわけですよ。低空飛行もお構いなし、墜落事故、部品落下事故、現に起きています。こういう米軍基地に対して、その機能はむしろ、その機能はむしろ日本国民の安全を脅かしている。基地をなくしてほしいという、こういう住民の要求は私は尊重されるべきだと思います。  ところが、米軍基地や原発について反対の意見を持ち行動する者に対して、これまでも警察や自衛隊による監視行動、調査、威圧的取締りは現に行われてきました。だから、本法案でも、機能阻害行為、そのおそれのある行為とは何かが問われているのに、条文上の歯止め、縛りはないんですよ。  今日も文書で、六条の土地利用状況調査って何なのか、もう政府答弁よく分からないから、文書で配っていただきました。その中でも、結局条文で限定してないって書いてあるんですよ。条文での制限は設けていないと。ただ、市民活動の単なる参加者を調査対象とは考えていないと。  もちろん、私は、この法案を根拠にしてそんな監視が行われることあってはならないと思いますけど、それは考えで示すことじゃないんですよ。条文で縛ることなんです。その責任立法府に問われているんです。  改めて機能阻害行為についてお聞きします。  条文では具体の例示は一切置かず、閣議決定で決める基本方針の中で具体的な内容を定めることとしています。その行為について法律で規定すべきだという質問に、大臣は、安全保障をめぐる内外情勢や施設特性等に応じて様々な態様が想定される、このため、特定の行為を普遍的、代表的機能阻害行為として法案に例示することは必ずしも適当ではないという答弁を繰り返しておられます。同じ答弁はもう繰り返さなくて結構です。  私はおかしいと思うんです、この答弁法律は何のためにあるのかさえ問われるような答弁です。具体の行為を何も示さないことが安全保障の目的であれば、抽象的な規制ということが許されてしまうということなんでしょうか。同じ答弁は繰り返さなくていいです。安全保障目的であれば具体の行為は示さなくていいという判断なんですか。大臣
  105. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 国民のやっぱり安全保障、安全を保障するということについて、不確定な危険が外部からやってくることについて、それを一つ一つ説明をする、その行為者に対するですね、それを一つ一つ行為者に対して、まあ手のうちを明かすという言葉が適切かどうかは分かりませんけれども、そういうことを明かしてしまって、守ることができるかと言えば、私はそれは無理があると思います。
  106. 田村智子

    ○田村智子君 だけど、基本方針では書くんでしょう。基本方針ではできるだけ具体的に示すっておっしゃっているじゃないですか。それは、基本計画か、基本計画を策定し、変更するときには審議会にもあらかじめ意見聞くんでしょう。何で国会に提案しないんですか。そんなの国会に提案して、国民の前で、こういう行為規制されるんですよと、それでいいですかと審議する。当たり前じゃないですか。なぜ審議会意見をあらかじめ聞く、なぜ国会に示さないのか。いかがですか、大臣
  107. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 御指摘機能阻害行為についてですが、様々な態様が想定されるためということを申してまいりました。先ほども、仮に特定の行為を代表的、普遍的な機能阻害行為として法案に規定して、規定することとした場合、安全保障をめぐる内外情勢や施設特性等を適時に反映することが困難と考えておりますことは変わってございません。  また、仮に特定の行為機能阻害行為として法案に例示した場合、例えば、機能阻害行為は例示したもの又はそれに類似したものに限定されるのではないか等の誤解を生じかねさせないといった問題があろうかと、こういうふうに思います。  閣議決定である基本方針において想定される機能阻害行為を例示としてお示しすれば、安全保障をめぐる内外情勢の変化に即応して機動的に変更、解除を行える、また、例示であることを明らかにすることによって例示外の行為を助長するおそれも相当程度回避できるものと考えております。
  108. 田村智子

    ○田村智子君 だって、何とか何とかの行為等って何でも書くじゃないですか。情勢が変化したのなら、変化を受けて出せばいいじゃないですか。有事立法じゃないんですよ、これ。平時の立法じゃないですか。そんなの、情勢が変わって変化が起きたんだったら、国会にもう一度改正法案出せばいいだけの話ですよ。だから、法の体を成していないんですよ、これは。  政府土地利用規制を行うときに、その規制が憲法が保障する基本的人権との関係で妥当なものであるのかどうか、行き過ぎた権利制限、人権侵害とならないか、立法府法律によって政府を縛る、そういうことをやらなきゃ駄目なんですよ。それが日本国憲法が求める国会機能なんですよ。  昨日、参考人質疑で、弁護士の馬奈木参考人意見陳述、これインターネット上でも注目されています。大日本帝国憲法、戦時下での要塞地帯法でも、規制される行為条文に明記していたという指摘。私も、ですから、要塞地帯法、目を通しました。一八九九年、明治三十二年の立法時にも、区域をちゃんと条文に明記して、一キロ以内というのが第一区域なんですよ、その区域ごとに禁止される行為、例えば新設不可の建造物は不燃物を使った家屋、倉庫とか、三項目あるんです。新設に許可を要する建造物、埋葬地とか風車、水車など、これは明記されているんです。  さらに、一九四〇年、昭和十五年の改定で、その対象が相当に広がっていたということも官報にちゃんとその改正法案が、改正の法文が出ているから分かるんですよ。例えば、規制される、造っちゃ駄目というのが、運動場とか公園とか果樹園とか桑畑とか、ここまで広がっていった。これ、当時の法律条文によって、戦前、戦中、大政翼賛会となった帝国議会においてさえ、政府規制法律によって明記し、それがどう変わっていったのか、時代の検証に堪え得るものになっているんですよ。  日本国憲法の下で、戦争のさなかでさえ、安全保障が最も問われる、国防が最も問われるそのさなかでさえも、そこまで国民に対して、これが禁止されているんだ、これはやっては駄目なんだと明記をしている。日本国憲法は、国民の主権を、私たちが主人公になったんですよ、国民が主人公になったんですよ。その下での立法国民規制について何ら示さない。これ法律ですか、大臣、いかがですか。
  109. 木村聡

    政府参考人木村聡君) お答え申し上げます。  機能阻害行為についてのお尋ねだと存じます。  こちらにつきましては、先ほども大臣から御答弁申し上げましたけれども、法律の中で代表的、普遍的な行為の類型を示すことが難しいということで、こちらにつきましては、土地等利用者の方の予見可能性を確保する観点から、閣議決定する基本方針において可能な限り具体的に例示をさせていただきたいと、このように考えているところでございます。  そして、機能阻害行為についての勧告、命令の仕組みでございますけれども、まず、私ども、審議会にお諮りをした上で勧告をさせていただくという仕組みでございます。その上で、命令をさせていただきますときには、これ、命令に従っていただけない場合は刑事罰の対象になるわけでございますけれども、その名宛て人の方には対象となる行為が明確にお示しされると、こういう仕組みでございます。  以上でございます。
  110. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) 今御指摘された要塞地帯法ですが、一八九八年、明治三十一年に制定された法律で、要塞地帯と指定された地域においては立入りや撮影などを禁止若しくは制限する内容法律であったと承知いたします。  本法案ですけれども、この安全保障観点から、重要施設の周辺等の土地等利用実態を調査をすると、重要施設等の機能を阻害する行為が認められた場合に土地等利用規制を行うものとして取りまとめたものであり、御指摘の要塞地帯法とは全くその内容が違うものであります。  冒頭から答弁いたしておりますように、やはり地方から聞こえた声、不安、リスク、懸念、こういったものが、今防衛施設の周辺で、定められた距離の中での周辺で何が起こっているか分からないということの懸念調査するというのが第一義でありますので、御理解をいただきたいと思います。
  111. 田村智子

    ○田村智子君 戦後、土地利用というのは本当にまさに国民の主権になったんですよ。私たち土地を持ち、土地を使い、土地を売り買いする、それは私たちの権利として保障されているんですよ。それを規制しようというときに何ら具体的なものを示さない、だから日本国憲法の下での法律の体を成していないと言っているんですが、それを御理解いただけない。もう、ちょっと恐ろしい事態だというふうに思います。  ちょっともう一点お聞きしたいのは本法案第二十一条です。  既存法で対応することができる場合は既存法での対応ということもやるわけですね。一方、注視区域内の土地が阻害行為に使用される明らかなおそれがあると認めるときは勧告をすることができるとされている。既存法は刑罰の対象としていないだけでなく、そもそも未遂どころか準備行為の段階では規制対象としていないものでも本法案利用規制対象としているというふうに私は理解します。  ちょっと具体に例を挙げます。電波妨害行為というのは皆さんが何度も答弁されてきた。これ、無線機などを当該土地に運び込んでいるのを発見した場合にも電波妨害のおそれありと、そういう土地利用であるということで勧告をすることができるんでしょうか。(発言する者あり)
  112. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  113. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 速記を起こしてください。
  114. 木村聡

    政府参考人木村聡君) お答え申し上げます。  重要施設等の設備に対する電波妨害についてでございますが、機能が阻害されたことを関係省庁等からの情報提供によりまして内閣府に新設します部局が把握いたしました場合には、当該行為は電波法違反に当たりますことから、本法案第二十一条の規定に基づきまして、総務省に対し、電波法に基づく措置の実施を要求することが想定されるものと考えてございます。  他方、対象区域内の土地等に電波妨害にも利用可能なアンテナが設置され、機能阻害行為が行われる明らかなおそれがあると認められる一方で、機器などが接続されておらず、電波を発し得る状態にない場合などは電波法の違反には当たらないということから、本法案第九条に基づき、当該アンテナの撤去を勧告、命令をさせていただくということが想定されるわけでございます。  以上でございます。
  115. 田村智子

    ○田村智子君 まあ、あり得るという答弁ですよね。  電波妨害という行為を電波法はどう規制しているか。違法に無線局を運営すること、違法に無線局を開設することまでが禁止行為です。設備が電波を送信できる状態にあり、かつ、その操作をできる者が一緒にいることを無線局というふうに電波法では定義をしています。  単に無線設備を持つということだけでは罰則の対象ではありません。これ当たり前で、その予備行為まで罰すると、例えば親から無線設備を譲り受けたとか、転売目的で相対で購入をするとか、こういうことまで規制することになってしまって、売買、譲渡などの自由が規制されてしまうと。それ、そうされかねないからですね。ところが、本法案注視区域として指定されれば、無線機を買うことさえ自由に行えない。それは、おそれのある、機能を阻害するおそれのある行為だということになりかねないんじゃないんですかね、今の答弁だと。  本法では、最終的に刑罰をもって規制する阻害行為とは何かを政府が決められる、そのおそれがどこまでかも政府が決められる。これでは重要施設の周辺に居住する者の自由は政府判断で限りなく制約することが可能なんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
  116. 木村聡

    政府参考人木村聡君) 重ねての御答弁になりますけれども、個々の事案につきましてこの対象になるかならないかということにつきましては、詳細を把握いたしません段階で一概にお答えすることは困難でございます。  その点につきまして、重ねての答弁になりますけれども、電波妨害にも利用可能なアンテナが対象区域内の土地等に設置をされまして、機能阻害が行われる明らかなおそれがあると認められる一方で、機器などが接続されておらず、電波を発射し得る状況にない場合には電波法違反にはならないということでございますので、このケースにつきましては、これ一般的な御説明になりますけれども、本法案第九条に基づきます勧告、命令の対象になることが想定されると、こういうことでございます。  以上でございます。
  117. 田村智子

    ○田村智子君 だから、既存法、例えば電波法で対象となりにくい準備行為段階であっても機能阻害行為を防ぐことが重要だと、こういう答弁ずっと繰り返されてきたんですよ。だから、購入しただけだって対象になり得るんじゃないのかと。  ちなみに、電波法で妨害電波出した場合の刑罰というのは、懲役一年未満、罰金百万円未満ですよ。こっちは、購入しただけで二年未満、二百万円の罰則になりかねないんですよ。本当にむちゃくちゃな法律ですよね。  ここまでのフリーハンドを政府に与えてしまっていいのかと。何の縛りも歯止めもない、このような法案は、どんなに審議しても法案自体の欠陥を補うことはできません。廃案にすることが本委員会の責務であることを述べ、質問を終わります。
  118. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  119. 木戸口英司

    木戸口英司君 立憲民主・社民の木戸口英司です。  会派を代表し、重要施設周辺及び国境離島等における土地等利用状況調査及び利用規制等に関する法律案に対し、反対の立場から討論いたします。  私は、防衛施設の保安を徹底するのは当然であり、外資による周辺の土地買収に安全保障懸念があるとの認識に立っています。だからこそ、代表質問において、本法案の十分な審議政府による誠意ある答弁を求めました。それは、時間を重ねるだけにとどまらず、衆議院審議で全く明らかとされなかった規制等内容私権制限の歯止め、安全保障上の実効性等について明確化していくことを求めたからです。  内閣委員会において、衆議院で開かれなかった外交防衛委員会との連合審査参考人質疑も行いました。しかし、政府答弁は、衆議院審議を超えることはなく、明確さに大きく欠け、不安定さがむしろ一層増し、審議は不十分、生煮えのままと言えます。  昨日の理事会で、衆議院内閣委員会と同様に、合意なく委員長職権で質疑終局、採決の提案がされたことは到底容認できません。  本法案が重要法案であるにもかかわらず、参議院で審議入りしたのは会期末まで二週間を切った中でした。参議院軽視は極まり、加えて、参議院自ら熟議の府であることを放棄したと断じざるを得ません。  本日の質疑を経てなお、本法案はその不明な内容も、根幹を語らない政府答弁においても、また安全保障上の期待される実効性においても、とても質疑終局、採決の段に至っておらず、即時廃案、再検討の上、出し直しをするべきです。  まず、問題なのは、注視区域及び特別注視区域指定対象となり得る重要施設及び国境離島等の範囲が明示的でないことです。  重要施設としては、防衛関係施設注視区域候補が四百数十か所、特別注視区域候補が百数十か所など、国境離島等としては、領海基線を有する国境離島四百八十四島、有人国境離島地域離島百四十八島などが指定の候補とされ、沖縄県内の有人離島については全てこの中に含まれると答弁されています。  このように広範な区域指定の可能性があるにもかかわらず、対象となる重要施設の範囲は曖昧です。特に、生活関連施設の範囲がどこまで広がるか分かりません。現時点で政令指定が想定されるのは原子力発電所と自衛隊が共用する民間空港とされますが、鉄道施設など、現時点で想定していないとされるものの、曖昧な条文からは排除されていません。  一方、市ケ谷の防衛省本省周辺などの市街地の特別注視区域への指定は、経済的社会的観点に留意し、見送ることを与党審査の段階で合意したと報じられています。在日米軍施設をどこまで指定するかも今後の米側との協議次第です。法の規律をどこに見出せばよいのでしょうか。  さらに、二年以下の懲役と二百万円以下の罰金という罰則規定のある命令の対象となり得る重要施設国境離島機能を阻害する行為法案に例示されていません。恣意的な運用のおそれが排除できず、罪刑法定主義の点で大きな欠陥です。  政府は、予見可能性を確保する観点から、閣議決定される基本方針において可能な限り具体的に機能阻害行為を例示するとしていますが、余りに白紙委任的で、とても賛成できるものではありません。  法案第六条は、「内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等利用状況についての調査を行うものとする。」とし、調査対象者も手法も調査事項も限定されていません。  公簿収集や報告徴収以外にも、重要施設を所管又は運営する関係省庁、事業者地域住民から機能阻害行為に関する情報を提供してもらう仕組みが検討されており、法の目的の範囲内で必要最小限度措置を行うとの規定も歯止めになる保証は全くありません。そのような情報を内閣府に新設する部局で一元的に収集、管理することも含め、プライバシー侵害の懸念が拭えません。  第二十二条では、「内閣総理大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長及び関係地方公共団体の長その他の執行機関に対し、資料の提供、意見の開陳その他の協力を求めることができる。」とあります。全国の防衛関係施設区域調査に当たり、関係行政機関となるのは防衛省・自衛隊であり、自衛隊による住民に対する直接的調査への協力要請が行われることが想定されます。  政府説明によると、土地等利用状況調査のうち現地・現況調査は、第二十二条に基づき内閣総理大臣防衛大臣に対し協力を求めることがあるとし、防衛省は補助的な事務を担うもので、補助的な事務の一部、例えば現地への地理的な案内、移動のための車両の提供等は自衛官が行うこともあり得るとしています。しかし、本法律案の目的達成のための自衛隊による住民への直接的な現地・現況調査がどの範囲まで許されるのか、その範囲が拡大していく懸念は捨て切れません。  立法府責任において、このような法案を成立させることには断固反対であることを申し上げ、討論を終わります。
  120. 高木かおり

    高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。  私は、会派を代表して、ただいま議題となりました重要施設周辺及び国境離島等における土地等利用状況調査及び利用規制等に関する法律案について、賛成の立場で討論いたします。  外国資本我が国土地を買収していることは十数年前から指摘されていました。本来ならば、外国人の土地取得を規制する法律が既に施行されていてしかるべきであり、放置されてきた感は否めません。  日本維新の会は、五回にわたって政府案より実効性が担保されていると確信するに足る重要土地取引規制に関する法案を提出してまいりました。当初から高い問題意識を持って取り組み、訴え続けてきたことが今こうして国会での議論に結び付いたと自負しております。  以下、賛成する理由を述べます。  第一の理由は、安全保障に関わる防衛施設周辺や国境離島土地等の取引等についての規制を設けることが可能になったからです。  衆議院閣議決定する前の与党協議の中で法案内容が更に後退しかねないとの判断の下、日本維新の会は即座に小此木大臣に申入れを行うとともに、衆議院内閣委員会の理事会においても修正案を提示いたしました。  その結果、残念ながら修正には至りませんでしたが、注視区域及び特別注視区域指定に当たっては関係地方公共団体の長の意見を聴取すること、また、収用を含めた措置の在り方を検討すること、そして、注視区域特別注視区域対象重要施設の敷地を加えることの三点について附帯決議に明記することがかないました。我が国安全保障を考える上で一歩前進と捉えております。  賛成する第二の理由は、我が国の領土の実態を把握することができるからです。  悪意ある者の土地取得を食い止めるためには、政府も可能な限り対象区域指定し、スピード感を持って利用状況調査を進め、機能阻害行為としての土地等利用を適時適切に発動できるように準備を整え、実態把握を行う必要があるとの答弁もあり、その認識に立っているものと理解できます。  本法案では、不動産登記簿等の収集に加え、現況調査土地等利用者からの報告徴取規定が盛り込まれました。しかし、本法案には立入調査の規定がありません。五年後の見直しを待たずに立入調査の再検討を政府に要求します。また、悪意ある者に対し、収用という強制力を伴った利用制限の検討も忘れてはなりません。  賛成する第三の理由は、我が国が多くの島を有する海洋国家としての安全保障の在り方を政府が本法案で示したことへの期待です。  参議院本会議での本法案趣旨説明の冒頭で、安全保障に寄与することを目的として、防衛関係施設、海上保安庁施設周辺、そして国境離島及び周辺の有人離島の区域内にある土地利用状況調査し、機能阻害行為を防止するための措置を定めるものと小此木大臣説明されました。重要施設周辺土地取引のみならず、国境離島を本法案に盛り込んだことは、国境離島における有事を想定したものと理解します。  日本維新の会は、我が国安全保障に対し、今後も毅然たる態度で臨むための提言を続けてまいりますことをお誓い申し上げ、私の賛成討論といたします。  御清聴ありがとうございました。
  121. 田村智子

    ○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、土地利用規制法案に反対の討論を行います。  この法案の前提となった有識者会議メンバーであった吉原参考人が昨日の参考人質疑で、この法案によってプライバシー権への懸念材料というものが生まれては決していけない、歯止めの機能がどういうことがあり得るのか、どういう条文が入れば担保できるのかと述べたことを委員各位は真剣に受け止めるべきです。政府の提案のままに採決することは委員会の役割を放棄するものであり、断じて許されません。  反対の理由の第一は、自衛隊、米軍基地、原発周辺及び国境離島住民に対して、プライバシー権、財産権等を侵害する違憲立法であることです。  政府指定した注視区域において土地、建物の利用状況調査し、その情報を内閣府が一元管理する。さらには、特別注視区域では不動産取引の事前報告を義務付け、それを怠れば懲役刑まで科す。調査対象、手法も条文で限定せず、内閣総理大臣が行政機関や自治体から情報を提供させることも可能です。国民からの情報提供に応じる窓口まで内閣府に設けると政府答弁しました。  特に沖縄県は、国境離島であり、米軍基地が集中しており、この法案は沖縄県民全体を監視の対象としているという連合審査での沖縄の風、伊波議員の指摘は重く受け止めなければなりません。米軍占領下で農地も墓地までも強奪されて米軍基地が建設され、返還期限が来ても米軍占有に日本政府協力し、その上、基地周辺の県民を監視対象にするというのでしょうか。法の下の平等にも反するこのような違憲立法を断じて認めることはできません。  第二に、重要施設対象区域指定調査事項、調査対象、さらには重要施設国境離島機能を阻害する行為とは何かさえも何一つ条文で規定せず、政令内閣府令で定めるとしており、およそ法律としての体を成さない内閣総理大臣への白紙委任の法案だということです。  機能阻害行為、そのおそれのある行為に供するための土地等利用とは何か、その事例を条文に示すことさえ政府は拒否しています。参考人質疑指摘されたとおり、戦時中の要塞地帯法でさえどのような行為が処罰の対象であるかは条文で明記されています。懲役刑まで科せられるのに何が取締り対象行為国民に全く示さない、これで法律と言えるのでしょうか。  基地反対行動等への弾圧に使われるのではないかという懸念を生じさせるのは当然です。現に、自衛隊情報保全部隊、警察等は様々な市民運動を敵視、監視しているのです。政府にフリーハンドを与えることは思想信条の自由への侵害にさえつながるものと言わなければなりません。  最後に、そもそも本法案立法事実がないことを改めて指摘いたします。  長崎県対馬市で海上自衛隊の敷地に隣接して韓国資本のホテルが造られた、北海道で外国資本が森林買収をしている、これらが本法案の契機とされたことは明らかです。しかし、この事例が安全保障上のどのような問題だというのか、何も説明がありません。  水源地や森林保全で更なる対策が必要ならば、森林法の改定によって担保すべきです。離島の過疎化が原因であるならば、離島新法によって振興を図るべきです。自衛隊や基地の安全保障施設保有者の責務です。所有者不明の土地の対策は既に新たな立法措置がされています。原発のテロ対策も原子炉等規制法の改定で行われています。では、この法案は何をしようというのか。外国資本土地買収への不安を入口にして、出口は国民の監視と権利制限、このような立法がどうして許されるのでしょうか。  立法府自らが漠とした不安をあおり、政府国民に対する権利規制の勧めをする、それは国会機能を阻害する余りにも愚かな行為であることを厳しく指摘し、反対の討論を終わります。
  122. 矢田わか子

    矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。  会派を代表し、重要施設周辺及び国境離島等における土地等利用状況調査及び利用規制等に関する法律案に対し、賛成の立場から意見を述べます。  まず、本法律案は、所有者不明土地の増加に見られるように、我が国における土地制度の不備を是正する一連の法整備の一環として位置付けられるとともに、外国人の土地取得に関して近隣住民の不安を取り除き、安全保障確保を図るという視点から、一定の評価ができるものと考えます。特に、これまで自由に行われてきた外国人、外国法人による土地取引については使用目的などを把握する情報管理が必要であり、特に、防衛施設の周辺や国境離島における外国人による不透明な土地取引については、その実態をまず把握する必要性に応えるものとなっています。  一方で、この法案については法の実効性についても指摘されてきました。重要施設の周囲一キロで本当に対応できるのかという課題、関連する法律、条例の整備を同時に進める必要性、そして何より、自衛隊の中枢機能を持つ市ケ谷地区を特別注視区域指定するなど、法の実効性確保を図るべきと考えます。また、注視区域における調査対象調査方法、あるいは個人情報の扱いが明確にされていないことから、当該地域住民は、土地利用調査の名の下で、監視体制が築かれ、人権とプライバシーの侵害が起こるのではないかとの不安が高まっています。  これらの不安や懸念に対し、政府は、基本方針や政省令の制定過程を見える化するとともに、土地等利用状況審議会の議事録を公開し、随時国会報告を行うべきであります。あわせて、土地利用調査に当たっては、対象となる住民の皆さんに丁寧な事前説明を行い、必要な協力を得られるよう、責任を持って取り組んでいただきたいと思います。  政府には、今委員会で明確になった課題についても真摯に向き合い、対応いただくことを求めます。  土地はそもそも公共財であり、その有効活用と的確な管理が必要であることは言うまでもありません。特に、安全保障、国防対策に関しては一〇〇%の保障はあり得ず、あらゆる方面から少しずつ法規制を行いながら安全保障機能を高めていくことが私たち立法府に課せられた責務であることを強調させていただきたいと思います。  この政策の遂行に当たっては、政府の的確な対応を強く求め、賛成討論といたします。
  123. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  重要施設周辺及び国境離島等における土地等利用状況調査及び利用規制等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  124. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、木戸口君から発言を求められておりますので、これを許します。木戸口英司君。
  125. 木戸口英司

    木戸口英司君 私は、ただいま可決されました重要施設周辺及び国境離島等における土地等利用状況調査及び利用規制等に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     重要施設周辺及び国境離島等における土地等利用状況調査及び利用規制等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。  一 注視区域及び特別注視区域指定に当たっては、あらかじめ当該区域に属する住民の実情に知悉する地方公共団体意見を聴取する旨を基本方針において定めること。  二 基本方針の決定並びに注視区域及び特別注視区域指定に当たっては、当該決定及びそれらの指定の後、速やかに国会に報告すること。  三 本法における「機能を阻害する行為」については、基本方針においてその類型を例示しつつ、明確かつ具体的に定めること。その際、本法の目的と無関係な行為対象としないこと。  四 本法第二条に基づき「生活関連施設」を政令で定めるに当たっては、本法の目的を逸脱しないようにするとともに、その対象を限定的に列挙すること。  五 本法の規定による措置を実施するに当たっては、思想、信教、集会、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限することのないよう留意すること。  六 本法第四条第二項第二号の「経済的社会的観点から留意すべき事項」を具体的に明示すること。その際、本条における市街地の位置付けを明確にすること。  七 本法第四条第二項第三号の「注視区域内にある土地等利用状況等についての調査に関する基本的な事項」を定めるに当たっては、調査対象となる者、調査方法、調査項目等を具体的に明示すること。  八 本法第六条に基づく土地等利用状況調査を行うに当たっては、本法の目的外の情報収集は行わないこと。また、収集した個人情報について、目的外利用となる他の行政機関への提供は制限するとともに、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に則った情報管理を徹底し、情報漏洩防止等のセキュリティ対策に万全を期すこと。  九 本法第八条に基づく報告又は資料の提出の求めについては、基本方針において運用考え方を具体的に明示すること。また、同条の対象となる「利用者その他の関係者」についても、基本方針において具体的に例示すること。  十 本法第九条に基づく勧告及び命令については、基本方針において、その対象となり得る行為を例示するとともに、運用基準を具体的に明示すること。また、勧告及び命令の実施状況を毎年度、国会を含め、国民に公表すること。  十一 土地等利用状況審議会委員及び専門委員任命に当たっては、重要施設及び国境離島等全国各地に所在していることに鑑み、多様な主体の参画を図ること。  十二 本法第二十一条第一項に基づく情報の提供については、その要件を基本方針において具体的に明示すること。その際、本法の目的の範囲を逸脱しないよう留意すること。  十三 本法第二十六条に基づく罰則の適用については、限定的なものとすること。また、本法第二十七条に基づく罰則の適用に当たっては、思想信条の自由、表現の自由、プライバシーの権利等を侵害することのないよう、十分配慮すること。  十四 本法第九条の勧告及び命令に従わない場合には、重要施設等の機能を阻害する行為を中止させることが困難であることに鑑み、本法の実効性を担保する観点から、収用を含め、更なる措置の在り方について、附則第二条の規定に基づき検討すること。  十五 我が国安全保障観点から、有人国境離島の過疎化を食い止めるための振興策を拡充するとともに、水源地や農地等、資源や国土の保全にとって重要な区域に関する調査及び規制の在り方について、本法や関係法令の執行状況安全保障を巡る内外の情勢などを見極めた上で、附則第二条の規定に基づき検討すること。  十六 注視区域及び特別注視区域対象に、重要施設の敷地内の民有地を加えることについて、附則第二条の規定に基づき検討すること。  十七 本法に係る規制対象等の予見可能性や運用透明性を求める意見が多くあることから、附則第二条の規定における施行後五年の経過を待たずに施行状況を把握し、必要に応じ制度の見直しを検討すること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  126. 森屋宏

    委員長森屋宏君) ただいま木戸口君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  127. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 多数と認めます。よって、木戸口君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの附帯決議につきまして、小此木国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小此木国務大臣
  128. 小此木八郎

    国務大臣小此木八郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。  ありがとうございました。
  129. 森屋宏

    委員長森屋宏君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時四十二分散会