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2021-05-06 第204回国会 参議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月六日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月二十八日     辞任         補欠選任      加田 裕之君     岡田 直樹君  四月三十日     辞任         補欠選任      岡田 直樹君     宮島 喜文君  五月六日     辞任         補欠選任      市田 忠義君     大門実紀史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         森屋  宏君     理 事                 酒井 庸行君                 徳茂 雅之君                 木戸口英司君                 平木 大作君                 矢田わか子君     委 員                 大家 敏志君                 古賀友一郎君                 高野光二郎君                 宮島 喜文君                 山田 太郎君                 山谷えり子君                 和田 政宗君                 小沼  巧君                 塩村あやか君                 杉尾 秀哉君                 石川 博崇君                 柴田  巧君                 高木かおり君                 田村 智子君                 大門実紀史君    事務局側        常任委員会専門        員        宮崎 一徳君    参考人        東京大学大学院        法学政治学研究        科教授      宍戸 常寿君        慶應義塾大学経        済学部教授    大久保敏弘君        特定営利活動        法人情報公開ク        リアリングハウ        ス理事長     三木由希子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○デジタル社会形成基本法案内閣提出衆議院  送付) ○デジタル庁設置法案内閣提出衆議院送付) ○デジタル社会形成を図るための関係法律の整  備に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○公的給付支給等の迅速かつ確実な実施のため  の預貯金口座登録等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○預貯金者意思に基づく個人番号利用による  預貯金口座管理等に関する法律案内閣提出  、衆議院送付)     ─────────────
  2. 森屋宏

    委員長森屋宏君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、加田裕之君が委員辞任され、その補欠として宮島喜文君が選任をされました。  また、本日、市田忠義君が委員辞任され、その補欠として大門実紀史君が選任をされました。     ─────────────
  3. 森屋宏

    委員長森屋宏君) デジタル社会形成基本法案デジタル庁設置法案デジタル社会形成を図るための関係法律整備に関する法律案公的給付支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座登録等に関する法律案及び預貯金者意思に基づく個人番号利用による預貯金口座管理等に関する法律案、以上五案を一括して議題といたします。  本日は、五案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、まず、東京大学大学院法学政治学研究科教授宍戸常寿君、続いて、慶應義塾大学経済学部教授大久保敏弘君及び特定営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長三木由希子さんでございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。  皆様方から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、本日は何とぞよろしくお願い申し上げます。  それでは次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、宍戸参考人大久保参考人三木参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員質疑にお答えをいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をいただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず宍戸参考人からお願いを申し上げたいと思います。宍戸参考人
  4. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) 東京大学宍戸でございます。  私は、憲法情報法研究しておりますが、内閣官房で昨年開催されました個人情報保護制度見直しに関する検討会での検討に加わっておりました。本日は、その観点から、本委員会で御審議いただいておりますデジタル社会形成を図るための関係法律整備に関する法律案のうち、個人情報保護法制関係について意見を述べたいと存じます。  デジタル改革関連法案の他の事項につきましては、仮に後の質疑で御質問があれば、不勉強でございますが、可能な範囲で所見を述べたいと考えております。  まず、今回の見直しの前提である個人情報保護制度の概要及び経緯を確認したいと存じます。  現在の個人情報保護法制は、民間部門対象とする個人情報保護法行政機関等対象とする行個法独立行政法人等対象とする独個法、そして地方公共団体条例の複合から成っております。こうした個人情報保護法制は、個人権利利益を守ることを目的に、事業者行政機関等による個人情報取扱い規律するものです。  その保護されるべき権利利益一つとしては、プライバシーが含まれると解されております。このプライバシー権は、憲法十三条の幸福追求権の一部であり、私人間では明文のない人格権として保障されますが、その内実は、私生活の平穏を出発点として、現在では個人に関する情報をみだりに開示などされない自由を含むものへと流動的に変化しております。また、その制限の可否は、公益や他人の利益との個別具体的な比較考量によって判断されます。  これに対して個人情報保護法制は、あらゆる事業又は行政分野を通じて利活用保護バランスを定めるべく、ある情報取扱いには公表や本人への通知を、別の取扱いには同意を要するというように定める形式的、画一的な規律原則となっております。  また、個人情報保護法制以外にも、情報に関する権利利益としては通信の秘密があり、さらに、個人情報保護法制一般法とすると、住民基本台帳マイナンバー法等情報の内容、性質に着目した特別法であると見ることができます。  このような個人情報保護法制は二〇〇三年に整備されましたが、近時は、個人データ保護利活用の両面から様々な改正がなされてきました。中でも二〇一五年の改正は、民間部門に対する規制権限個人情報保護委員会に集約いたしました。  独立した専門的な第三者機関の存在はEU基本権憲章でも個人データ保護の核心と考えられてきたことから、これにより、二〇一九年に日本とEUの間で個人情報保護の水準が同等であるということが相互に認定されたところです。もっとも、個人データ域外移転を認める十分性認定の効力は、委員会権限公的部門に及ばないために民間部門に限られ、また、義務規定の適用が除外される研究機関等にも及んでいないというのが現状でございます。  このような経緯を踏まえまして、御審議いただいているデジタル社会形成を図るための関係法律整備に関する法律案の第五十条は、民間公的部門個人情報保護法制を一元化する内容であり、五十一条は、地方公共団体個人情報保護に関する全国的な共通ルールを設定するものです。両条文が施行される場合には、国、地方民間公的部門全てについて個人情報保護委員会監視監督体制が確立することになります。  さきに述べました内閣官房検討会では、昨年の改正法案国会審議と並行して公的部門個人情報保護法制の在り方について議論をしておりましたが、ちょうど本委員会附帯決議をいただき、さらに、新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえて検討が加速したということを覚えております。  今回の改正法案の意義は、まず、個人情報保護法制の中で今や不要となった規制の不均衡、不整合を統一し、バランスの良い利活用保護を実現することにあります。地方公共団体ごと条例とその運用が異なるいわゆる二千個問題の解消に加え、制度国際的調和を促進するものです。  デジタル技術が利便性を拡大し、新たな価値を創出する一方で、私たちの生活の監視にも使えてしまうということも明らかです。個人情報取扱いに対する監視監督体制整備は、公的部門個人情報取扱い透明性を高め、その保護を強化するものであり、監視社会に陥らないための権力の監視必要条件であると考えます。  デジタル社会形成基本法案の第十条は、信頼性のある情報の自由かつ安全な流通の確保を基本理念一つとして掲げていますが、今般の個人情報保護法制見直しは、まさにその法的基礎をつくるものと考えております。  以下、法制見直しの具体的な項目について申し上げます。  まず、公的部門における規律については、個人情報の保有を所掌事務又は業務遂行に必要な場合に制限することを始め、個人情報ファイルの保有の通知等、従来の枠組みを維持しております。その上で、今回の改正法は、民間部門との整合性を取るべく、個人情報の定義を整理し、従来の非識別加工情報制度匿名加工情報制度に改め、さらに、二〇二〇年改正法の定める個人関連情報仮名加工情報の仕組みを公的部門に導入しております。  特に強調すべきは、行政機関等にも漏えい等の報告を義務付け、不適正な利用及び取得禁止を課しているところです。検討の過程では、特に不適正利用禁止規定について不要論も見られましたが、この規定が適切に運用されるならば、重大かつ明白なプライバシー侵害委員会権限発動や本人による利用停止請求権対象となり得る結果として、個人権利利益保護の強化が期待できると考えております。  次に、縦割り個人情報保護法制が、医療学術分野における個人情報流通を必要以上に妨げ、連携医療共同研究障害となっていると指摘されております。検討会では、独立行政法人等個人情報取扱いの実質に照らし、行政機関に準じた規律を適用するのが適当かどうかという観点から整理を行い、これを受けて、今回の改正法案は、国立大学法人等のいわゆる規律移行法人原則として民間事業者と同等の規律を適用することとしております。  これにも関連して、現行の法制では、研究機関等による研究目的での取扱いに対して一般の義務規定を除外してまいりました。しかし、現在では、個人情報保護の遵守が、データを集め、研究を進めるために必要となっております。他方、憲法の保障する学問の自由に、独立行政委員会とはいえ、行政権限が及ぶことは必要最小限度にとどめる必要があります。そこで、改正法案は、学問の自由を妨げてはならないとの規定を存置し、要配慮個人情報取得共同研究研究成果発表等について例外規定を定め、安全管理措置等規定は通常の事業者と同じく及ぶようにしております。このような規律精緻化の結果として、EU十分性認定の効力が学術分野にも及び、データ流通による医療研究の発展が期待されるところであります。  第四に、個人情報保護法制の歴史を振り返るときに、地方公共団体の取組が国に先行したということは重要なポイントであります。もっとも、現時点では、漏えい時の処罰などに係る条例規定あるいは個人情報保護審議会運用などの両面で不十分な事例が見られることも確かです。さらに、人口減少少子高齢化に対応して地方行政サービスを維持するためには広域連携一つ有効策でありますが、そのためには、システムの標準化などに加え、個人権利利益保護データ流通の両立が必要です。検討会では、地方公共団体への調査結果を踏まえながら、個人情報保護に関する全国的な共通ルールの設定について議論をしてまいりました。  改正法案は、それを受けて、地方公共団体向けガイドライン策定など、国及び地方公共団体の責務、施策について定める規定にも整理がなされております。また、改正法案は、条例配慮個人情報あるいは情報公開条例との整合性確保などのための条例制定を認める一方で、全体としての制度整合性を損なうことがないよう、個人情報保護委員会による地方公共団体への情報提供などの規定整備されています。  ルール共通化に対しては、要配慮個人情報取得原則禁止としたりオンライン結合禁止したりしている条例から見ると保護の切下げになるのではないかという懸念が指摘されております。私は、今回の改正法案は、全国的に見れば保護水準を高めるものであり、また、指摘されている点はおおむね安全管理措置や不適正取得禁止規定などによって対応可能であると考えますが、しかし、このような指摘は十分傾聴に値するものであり、適切な運用が図られるよう注視すべきであることはこの場で強調したいと考えております。  なお、整備法附則八条は、施行の準備行為について国が地方公共団体技術的助言などをなし得ることを定め、個人情報保護法附則七条が指定都市以外の市区町村での匿名加工情報制度実施について経過措置を定めるなど、共通化に伴う地方の負担の軽減策が取られていることも評価すべきものと考えます。  一枚おめくりください。個人情報保護委員会による公的部門監視については、民間立入調査におおむね相当する実地調査、指導、助言、勧告とそれに基づく措置報告要求等権限が認められております。マイナンバー法に比べると委員会監視権限が弱いということは確かですが、ひとまずは、百七十四条が内閣総理大臣及び行政機関の長に協力を義務付けていることを踏まえ、委員会権限発動行政機関などが従うべきことを強調しておきたいと思います。  また、個人情報保護法制はあらゆる事業及び行政分野を横断するものであることから、おそれ、相当の理由などの規範的、抽象的な文言が多く用いられております。今後、これらの概念とその適用について委員会が判断を示し、デジタル社会にふさわしい保護利活用バランス具体化を図ることが期待されます。  最後に、施行に向けた課題と今後の個人情報保護法制について、デジタル改革関連法案全体に関わる点も含めて私見を述べたいと思います。  まず、個人情報保護法制整備はこれで終着点ではなく、デジタル社会法的基礎として運用を踏まえつつ継続的に見直していかざるを得ないことは明記する必要があります。改正法が成立した場合には、これまで以上に個人情報保護委員会の体制を強化することが不可欠です。また、地方自治を尊重しながら安定的な制度運用を図るためには、自治行政を所管する総務省やこれまで個人情報保護の研修などで実務上重要な役割を果たしてきた行政管理研究センターとの連携が有用であると考えます。  個人情報保護法目的である個人権利利益については、法秩序全体を見通した整理政府、国会が進めることを希望しております。EUで、GDPR、一般データ保護規則実効性を裏打ちしているのは、司法裁判所の判例が基本権憲章の保障する私生活の尊重の権利個人情報保護を求める権利に適合的に解釈を発展させてきたことにあります。日本でも、プライバシーを含むデジタル社会における人格権の保障について議論が深められるべきものと思います。  第三に、データ利活用は、経済的利益だけではなく、知る権利を含む民主主義社会の発展をも目標とすべきものであります。その観点からは、改正法のうち学術研究に関する義務規定運用に当たっては、学界の自主規範などへの配慮とその規範策定への支援が有用と考えます。また、行政の現場で過度の実名隠し、匿名社会に陥らないよう、情報公開や報道、取材などに配慮した運用も求められると考えております。  第四に、信頼性の高いデータ利活用を進めるためには、利活用の主体が言わば最低限の規律である個人情報保護法制の上に立ってデータガバナンスを強化する必要があります。プライバシー・バイ・デザインの実装から進んで、経産省で発行されたDX時代における企業プライバシーガバナンスガイドブックなどの文書を行政機関地方公共団体なども参照し、個人情報保護審議会活用なども含め、規律を実践することが有用と考えます。  最後に、捜査関係事項照会を始めとする民間部門の保有する個人情報への公的機関アクセス、いわゆるパブリックアクセスに対しては、EUとの十分性相互認定の交渉でも議論対象となったところです。今回の法改正により個人情報保護委員会監視警察等にも及び得ることとなり、情報取扱い透明性が高めることを受けて、国際的な制度調和の視点や、ムスリム個人情報漏えい事件情報保全隊事件等裁判例も踏まえつつ、刑事司法分野などでの個人情報取扱いについて、根拠、手続法規整備も含めた検討がなされることを希望します。  以上、駆け足で、しかも雑駁ではございますが、私からの意見陳述は以上でございます。  御清聴ありがとうございました。
  5. 森屋宏

    委員長森屋宏君) ありがとうございました。  次に、大久保参考人にお願いいたしたいと思います。大久保参考人
  6. 大久保敏弘

    参考人大久保敏弘君) よろしくお願いします。慶應義塾大学経済学部教授をしております大久保敏弘と申します。よろしくお願いします。  私の専攻は国際経済学、特に国際貿易ですとか海外直接投資空間経済学地域経済学といったところです。したがいまして、余りその法案に関しての細かいところではなく、どちらかというと経済学からの視点ということですので、よろしくお願いします。  まず初めにですが、デジタル経済現状問題点に関して、ここを中心に議論を進めていきたいと思います。特にテレワーク、あるいは政策に関するところを直近データを基にして説明していきたいと思います。いわゆるエビデンスベースと呼ばれているもので、データに基づいて政策を打ち出そうということで提案させていただければと思います。データは私の、大久保敏弘NIRA総研、第一回から第四回テレワークに関する就業者実態調査に基づくものであります。よろしくお願いします。  まず一番目ですが、テレワーク現状に関してです。これは我々のデータに基づくものです。  テレワーク率の推移、つまり就業者に対するテレワークがどれだけ利用されているかといったところのパーセンテージで、二〇二一年四月、直近データですと、東京圏においては二八%、全国平均では一六%であります。  下のグラフ時系列で見たもので、緑のライン全国、青いライン東京圏のものです。コロナ禍以前の二〇二〇年一月から二〇二一年の四月までで調査をしております。  コロナ禍前ではテレワークはそれほど普及していませんでしたが、第一回の緊急事態宣言、二〇二〇年四月においてかなりテレワーク率が伸びました。特に東京圏では四〇%弱、全国では二五%程度まで上昇、その後、緊急事態宣言後低く、低下しました。その後もある程度の、一定程度を維持している状況です。第二回の緊急事態宣言においては、若干、多少の伸びはあったものの低迷しているような状況です。諸外国と比べても低い状況で推移しているのが現状です。  次に、二番目です。業種によるテレワーク向き不向きがあります。したがいまして、政府が行う一律にテレワーク何%という目標はなかなか掲げにくいのではないかと考えます。  例えば、通信情報業情報サービス業に関しては、元々テレワーク率が高い、コロナ禍以前でも高かったのですが、このコロナ禍においてかなり大きく進捗しております。二〇二一年四月現在では五〇%弱のテレワーク率になっています。一方で、医療、福祉、飲食業宿泊業、こういったところは、元々テレワークができない上に、このコロナ禍においても低迷し続けている、二〇二一年四月現在においても五%を切っているような現状であります。  次に、三番目として、所得格差に関する問題です。デジタル格差所得格差が連動しているのではないかと。つまり、所得階層テレワーク率を見たものが左、右側が所得階層別に見たICTツール利用率を示しています。  おおよそ一千万円ほどの所得階層まではきれいに比例している状況です。つまり、所得が高いほどテレワークを使っている状況です。あるいはICTツールを使っている状況です。全ての国民が利活用できていない状況が浮き彫りになっております。もちろん、この所得階層においては低いところ、高いところとで業種あるいは職種が違ってきますので、そういった環境の違いというのが大きいということが言えます。  次、四番目、企業規模に関してテレワーク実施率を見たものです。  大企業において、特に五百人以上の規模の大企業においてはデジタル化を積極的に進めて生産性を伸ばしている一方で、中小企業にとっては極めて低い、まだまだ低い状況が続いています。一つ要因としては、デジタル投資に苦慮している、あるいは中小企業はそもそもデジタル化はしなくてもいいと、あるいはする環境にないと、必要がないというところもあると。様々な要因があるというところに注意すべきと考えます。  五番目、テレワーク、こうしたテレワークが低い利用率なんですけれども、いろいろなテレワーク障害があるということも分かってきております。制度企業個人、様々な問題がある、こういったことが分かってきております。  例えば、第一回の緊急事態宣言下では、一日、最低一日でも出勤せざるを得なかったという人が八二%に上ります。八二%に上ります。出勤した主な理由は、対面業務あるいは事務手続、特に会計業務ですとか行政関係手続、こういったものが非常に多く、こういったことを理由にして出勤をしていたということが分かりました。  したがいまして、テレワークを進める、デジタル化を進めるには、やはり政府規制制度を大胆に見直す必要があると思われます。会計制度、押印、あるいは行政関係手続電子化簡略化が極めて重要と考えます。  テレワークの推進は経済学的に考えても非常に重要なことで、例えば、ワーク・ライフ・バランスを推進する、あるいはそれによって生産性を向上させる、あるいは多様な働き方を促進する、こういったところで非常に重要と考えます。特に女性、若者、障害者など、様々な人たちを意識した新しい働き方には必要不可欠と考えます。したがいまして、多様な社会をつくるためにもこうした取組は非常に重要であると考えております。  次に、六番目、定額給付金給付に関するもので、これは二〇二〇年の六月時点データです。したがいまして、定額給付金がどれだけ実際に手元に渡っているかというのをデータ化したものです。  下のグラフは、下の図は都道府県別給付率、実際に手元に渡ったかどうかを示している図です。特に青いところがパーセンテージになっています。東京圏に関しては一〇%から二〇%程度受領している。その一方で、この二〇二〇年六月時点で六〇%、七〇%実際に受領している府県も少なからずあります。  こうした地域間格差というのは極めて重要な問題と考えます。こうしたことは政府デジタル化を推進すれば解決する可能性も多々あるのではないかと考えております。現在のワクチン接種においてもこうしたことが懸念される点であります。  七番目、感染症対策経済対策に関してです。  これに関しても調査で聞いておりまして、PCR検査率回数GoToトラベル利用率利用したかどうかの回数、GoToイートを利用したかの回数を聞いています。結果、低い、極めて低いPCR検査率になっており、二〇二一年四月時点では一四%、GoToトラベル二九%、GoToイート二七%の人が利用しているということが分かっております。  したがいまして、PCR検査はもっと高くあるべきではないかと思っております。したがいまして、GoToよりもやはりPCR検査にもっと予算を割くべきではないかと思います。PCR検査で潜在的な感染者を見付け、やはり政府としては、デジタル化し、体制整備することで、より効率の良い感染症対策ができるのではないかと考えております。したがいまして、徹底したPCR検査を行うことで経済対策にもつながるといった、そういった発想が政策に薄いのではないかと懸念しております。  八番目、これは、所得の階層によってそれぞれの政策をどれだけ利用しているかといったところを見たものです。所得が高いほどGoToキャンペーンあるいはPCRを使っている傾向にあります。  九番目、移ります。また、調査では、国民がこの四月時点で、十二月時点でどういうふうになるかと、つまり、国民の今年の年末の予想に関しても聞いております。結果としては、おおむね悲観的であります。  国民の多くの予想は、ワクチン接種は進むものの、変異種の流行により終息の見通し立たず、経済状況も停滞あるいは悪化すると予測しております。これは経済学的に見ても極めて憂慮すべき状況で、こういった悲観的な国民の予想は今後の日本経済にも悪影響を及ぼす可能性があります。  例えば、日本状況に関して伺うと、経済状況、あるいは医療体制の逼迫、ウイルスの感染状況、こうしたところは四〇%以上の人が悪化と答えております。一方で、ワクチン接種の進展に関しては三〇%が改善ということを答えております。また、政府デジタル化に関しては変化なしと、年末、この年末までに変化なしと答えている人は六六%にも上るという状況であります。  次に、十番目で、デジタル政策への国民の期待に関しても聞いております。これは、二〇二〇年三月から四月まで、定期的に聞いておるものです。  オンライン診療の推進、オンライン教育の推進、Eコマース、デジタル決済の推進、AI、ビッグデータ活用の推進、こういったところの賛否を聞いております。その結果、四〇%程度の人が常に賛成をしている、一方で、反対は極めて少数であるということで、賛成が多数なのですが、しかし、期待や関心が停滞しているという問題があります。  例えば、オンライン診療に関しても、賛成が五三%だったものが、二〇二〇年三月、五三%だったものが二〇二一年四月においては低下していると。どの政策に関しても賛成が低迷しているという状況にあります。そういったことで、期待や関心の形成、国民の関心や期待を高めるような政策が必要と考えます。  十一番目、デジタル経済の推進の意義と課題に関して述べさせていただきます。やはりデジタル化日本はほかの先進国に比べて遅れている、そういったところで、今後、デジタル化に関しては積極的に推進すべきであると考えます。  例えば、テレワークの推進、これは生産性の向上につながります。また、先ほど述べましたように、多様な働き方、様々な人が多様に楽しく暮らせる社会の実現、こういったものにつながります。また、第二に、迅速かつきめ細かい政府の支援給付、こういったものが可能になります。弱者をなくすことにもつながります。また、納税の効率性、公平性の観点でも極めて政府デジタル化は必要と考えます。また、ストック課税の強化なども今後政府政策として推進しやすくなるというベネフィットがあります。三点目としては、自然災害、経済ショック、負のショックに対する経済の耐久性、レジリアンスを高めることができます。また、四番目に、東京一極集中の是正や地方創生、こういったところにもデジタル経済は大きな力を発揮するのではないかと考えております。  しかしながら、問題があります。例えば、格差の問題、デジタル格差の問題があります。国民が、全ての国民が使えるような状況になかなかならないという格差の問題。あとは、個人情報保護の問題、情報管理、セキュリティーの問題というのが非常に大きな問題としてあるということがあります。  十二番目、政策の徹底と工夫ということですが、やはり政策、このデジタルの政策に関しては、徹底と工夫と、二つの視点が必要であると考えます。  徹底したデジタル化の推進が必要であること、つまり、中途半端なデジタル化は良くない、全ての国民がしっかりと使えるようにする、若い人から老人まで全ての人がしっかり使えるようにする、これが重要と考えます。経済学の中ではネットワーク外部性というのがあります。多くの人が使って、使ったことによって効率が上がるというものですので、やはり国民がしっかり使えるような体制を整えるべきと考えます。  また、様々な工夫が必要と考えます。高質なデジタル化を徹底的に進めることが必要不可欠で、こうしたことで例えば情報管理の問題を克服することができるのではないかと考えます。例えば、個人情報がどう管理されているのか、個人へのアプリでの通知やオンラインでのアクセスで確認ができる、こうしたことによって国民の不安は払拭できるのではないかと考えております。あるいは、公衆WiFiの普及で、国民全てが低廉で最低限使えるような環境をしっかり整備をすべきだと考えております。  また、もう一つの軸としては、国民に対する政治のしっかりした説明と不安の払拭、これが何といっても重要だと考えております。もちろん政策に足りないところは多々あるわけで、そこは今後しっかり補足をすべきと考えております。まずはデジタル化をしっかり進めると、これがやはり日本経済の成長やあるいは多様な社会の実現にとって極めて重要と考えております。  以上です。どうもありがとうございました。
  7. 森屋宏

    委員長森屋宏君) ありがとうございました。  次に、三木参考人にお願いいたします。三木参考人
  8. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 情報公開クリアリングハウスの三木と申します。今日はこのような機会を与えていただいて、どうもありがとうございます。  情報公開クリアリングハウスは、政府公的機関における知る権利の保障というものを求めて活動してまいりまして、主に情報公開法、情報公開制度個人情報保護制度、公文書管理、それから特定秘密保護法のような問題について、政策面、それから制度利用する利用者の支援などを行いながら、これまで四十年ほど活動をしております。  また、私個人でありますけれども、自治体の個人情報保護条例運用第三者機関委員として関わっておりますし、条例改正などにも関わってまいりましたので、そうした知見を基に本日意見を述べさせていただきたいと思います。  お手元に簡単なレジュメを用意してございますので、それに沿ってお話進めたいと思います。  まず、基本的な立場でございますが、デジタル化そのものに反対ということではございません。デジタル技術の利用を進めるということ自体はこの先どうしても必要になってくる側面があるだろうというふうには考えています。  デジタル技術の活用というのは、効率性を高め、データ活用可能性を広げるという側面がありますけれども、一方で、個人情報を効率的に集積をするとか、あとは個人情報本人が予測困難な処理、利用による影響を与えるという側面があるということで、単に進めるというよりは、個人の人権とのバランスをどうやって取るかということをしっかり、抽象的な理念ではなくて政策として実現をしていくということが必要だろうというふうに考えています。  デジタル技術、個人情報、匿名加工情報利用というのは、これは、私個人は、利用目的によって、人権保障や個人権利利益保護をもたらすという一方で、監視活動にもつながり得ると。要は、同じ技術や同じ個人情報監視にもなりますし、個人権利利益を保障するという観点からも使えるということであります。区別をしているのは利用目的が何かということに限られるのではないかというふうに考えています。したがいまして、どうやってその利用目的をうまく民主的にコントロールするのかということが最大のポイントになるんではないかというふうに考えてございます。  それから、デジタル化に当たって懸念をしている部分というのがもう一点ございます。  個人データ利活用そのものとか、あとはデジタル技術の活用というのは、そのデータ個人を見るという側面があるわけであります。それは、顔の見えない相手をデータによって見える存在にするという側面がある一方で、データ個人を判断をするということが相手を非人間化するという側面もあるわけです。そうしますと、個人の尊厳を奪うという、そういう面がどこかで出てきてしまうということになるわけです。そういう面から、公平性とか倫理というものがデジタル化議論に当たっては最も重視されるべきであるというふうに考えているということであります。  それでは、私は、今回、主に個人情報保護法改正法案について意見を述べさせていただきます。  まず、今回、最大懸念しておりますのは、個人情報保護法に自治体の個人情報保護条例で行っていた個人情報保護を一元化するということについて大変懸念を覚えているということであります。それは、自治体の個人情報保護条例水準よりも改正個人情報保護法案は個人情報取扱い規制が緩いということであります。  一九八八年に最初に行政機関個人情報保護法が制定されておりますけれども、当時から規制がかなり緩いということで大分様々な議論があったというふうに承知をしております。それは、自治体の場合は住民サービスを住民に対して顔が見える存在として提供しているという側面がありますので、その分、住民情報をどう取り扱うかということは、目の前にいる住民とどう向き合うかという問題とイコールでございます。一方で、国は直接行政サービスを提供するという場面はかなり限られております。そういう国と自治体を個人情報取扱い規制を同じくするということに、やや、そもそも無理があるのではないかというふうに考えているということでございます。  それで、お手元の資料の方に、自治体の一般的な個人情報保護条例とそれから改正個人情報保護法案がどのように違うのかということを簡単にまとめてございます。  まず、地方議会が自治体の条例の場合は対象になっておりますけれども、改正保護法案は自治体を対象から外してございます。ですので、これまで個人情報保護条例対象だった地方議会は、改正法案そのままだけですと対象から外れてしまうということになります。  それから、個人情報の収集制限ということでいうと、改正法案の方で、法令の定める所掌事務の遂行に必要な限り、個人情報利用目的をできる限り特定して収集をするというふうになってございます。これについては自治体もほぼ同じような規定がございます。  自治体は、それに加えて、本人から個人情報を直接収集をするということを原則にしてございます。一方で、改正法案規定がありませんので、本人からの直接収集は原則ではないということになります。  それから、本人からの直接収集を原則にし、自治体は更に利用目的の明示を義務付けているということになります。一方で、改正法案の方は、直接書面で収集した場合に限り利用目的の明示を義務付けているということであります。  さらに、自治体では、センシティブ情報といいますか、思想信条とか社会的身分とか社会的差別につながるような情報についてはこれは収集を原則禁止をしていますので、例外的に集める場合のみ限って集めるという仕組みになってございます。これは、センシティブ情報というのは高度なプライバシーに当たりますので、個人情報として収集すること自体が人権に関わる問題であるという理解の下で、人権に関わる問題であれば、これはどうしてもやむを得ない場合にのみ収集をしましょうということで、特に個人情報のうち特別な扱いをしてきたという経緯がございます。一方で、改正法案に関しては、要配慮個人情報という定義はございますけれども、収集についての制限は特に定められておらず、一般個人情報と同じ扱いになっているということであります。  それ以外に、自治体の場合は、これは条例ごとに異なりますけれども、例えば本人から直接収集しない場合あるいは利用目的を明示しない場合、さらにはセンシティブ情報を例外的に収集する場合について第三者機関である審議会の意見を聞くという手続を設けてございます。こういったものも国の場合はないということになります。  それからもう一点、自治体と国で大きく違うところがございまして、本人開示請求をする場合、自分の情報の開示を求める場合について、一般的な条例は、開示請求手数料という、請求するだけだと手数料は取らないという仕組みなんですけれども、改正法案の方は自治体にも開示請求手数料を徴収するというふうに、適用がなるということになってございます。  さらに、本人開示をした場合に本人情報を開示するわけですけれども、自治体の場合は公務員の氏名は原則本人に開示をするという仕組みですけれども、改正法案原則開示とはなっていないというところがございます。  それからさらに、訂正請求や利用停止請求というものができるようになってございますけれども、これは、自治体の場合は本人開示をした文書以外でも訂正、利用停止ができるという制度を持っているところがございます。一方で、国の場合は開示請求により開示をされた文書のみ訂正請求、利用停止請求ができるという仕組みになっていますので、何か開示を受けられなければ訂正請求等の権利が行使できないということになっているというわけであります。  こういった違いがありまして、自治体の方が割と個人情報本人に対して直接的に個人情報取扱いを明らかにするという機会が多いということが言えるわけであります。  上乗せで自治体が条例で対応できる範囲ということについては、法律の中に若干、改正法案の中にも若干規定がございますけれども、特に、具体的な手続規定として設けられるというふうになっているのが、本人開示請求等の手続を行う場合ということでございます。これ以外については、要配慮個人情報について規定の追加があるいは対象の追加ができるというような規定はございますけれども、個人情報取扱いそのものについては必ずしも明らかではないというふうに考えています。  それから、自治体の設置する審議会等に関しても意見を聞くこと自体は否定はされていないというふうに思いますけれども、自治体が条例運用する、法律を運用する上で具体的にどこまで、例えば、行政機関として目的外で利用するとかあるいはセンシティブ情報利用するということについて、個々に利用について意見を聞くということができるかどうかということについても、これも余り積極的な見解が示されているというふうには考えていません。言い換えますと、自治体は住民が見えるところで個人情報取扱いを例外的に行う場合は議論するという枠組みを設けていたところが、それがなくなる可能性があるという意味では、やはり私はかなり後退をしているのではないかというふうに考えてございます。  それから、秘密保持がされている分野というものがございます。それが犯罪捜査とか外交防衛分野ということになるんですけれども、こういった情報については、そもそも、どのような個人情報ファイル保有しているのかということを一律に秘密にできるというふうに制度になってございます。ですので、例えば指紋とかDNAとか、警察が明らかに個人情報として保有しているというファイルがあるわけですけれども、そういったものも保有していること自体を明らかにするということをしなくてよいという仕組みになってございます。  言い換えますと、この分野に関しては、例えば、今ですと、総務省個人情報ファイルについては保有が始まるときに通知を受けるという仕組みになっておりまして、改正法案だと個人情報保護委員会になるんですけれども、こういったところは、犯罪捜査とか外交防衛分野についてはファイルの保有そのものを把握できていないという状況になります。したがいまして、監督機関として何かしようと思っても、個人情報取扱いの実態が分からないという状態で、具体的な監督はかなり困難であろうというふうに考えているということであります。  さらに、この分野は、本人から開示請求を求められてもほとんど開示がされないという分野でございます。本人アクセスが認められませんので、本人からのチェックもできない、第三者的なチェックも欠いているというところで、こういう分野が監視社会化という議論の中で常に懸念の対象になってきているというところがございます。  ですので、個人情報委員会が仮に何らかの監督をするのであれば、具体的に何をするのかということをまずしっかり明らかにした上でどうするかという議論をしていただきたいというふうに考えてございます。  最後に、説明責任と政府という観点からデジタル化について述べさせていただきます。  まず、匿名加工情報という形で個人データ利用が始まりますけれども、本格的に始まりますが、まず、情報公開法で請求をしますと、こういった情報は不開示という扱いになります。つまり、こういったデータ一般には公開をされない情報になるということでもあります。この先、政府の中で匿名加工なり仮名加工をしたデータを基に政策形成をするということになりますと、そのデータの解析や分析がエビデンスとなって政策が進められるということになるだろうと思います。そうした場合に、そのデータの検証性が欠く状態であれば、その根拠そのものが適切かどうかという問題が当然出てくるわけでございます。  ですので、この先データ利用するということになるのであれば、どのようなデータ項目をどのような解析方法、分析方法で行ったのかということの情報公開をきちんと義務付けていかないと、検証性に欠く情報を基に政策形成されるということにもなりかねないということであります。そういった観点からも、説明責任を徹底させていかない限りは、やはり政府に対する不信感とか疑問の原因になり得るということであります。  さらに、デジタル技術の利用について、公平、倫理を具体化する方法をきちんと明らかにしていただきたいというふうに考えてございます。  公平や倫理というのは抽象的に確保されるものではなくて、具体的な義務とか方法とか、どこがそれを確保するのかといった責任の所在を明確にすることによって、そこを外部で私たちのような人間がチェックをする、監視をするということで初めて何が行われているかということとか何が論点かということが分かるという側面がございますので、そうしたことも是非制度の中にきちんと埋め込めていただきたいというふうに考えてございます。  そして最後に、情報公開をどう考えるかということで申し上げます。  情報公開については、もう時間になりますので、一点だけ申し上げておきたいところがございます。  それが、情報公開請求はオンライン化の手続というのがほとんど進んでおりません。二〇〇二年に行政手続オンライン化法というものができまして、二〇〇四年の段階で少なくとも十七の行政機関でオンライン手続ができました。その時点で私、実は全部の手続使ってみました。本当に使い勝手が悪くて、みんな使わなくなりました。その結果、オンライン手続がどんどんやめていくということになりまして、現在、本格的なものとして残っているのは国交省と厚労省のみでございます。それ以外は、部分的にできる場合もありますけれども、実は進んでいない。そういう政府の説明責任を求める私たち権利行使の場面でオンライン化が遅れているということは、これはよく御検討いただきたいという点であります。  情報公開手続でいいますと、資料の後ろから二枚目を見ていただきたいんですけれども、情報公開制度を使ったときに文書が公開をされるわけなんですけれども、見ていただきますと……
  9. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 時間が超過しておりますので、おまとめをお願いいたします。
  10. 三木由希子

    参考人三木由希子君) はい。  見ていただきますと、上の方が、電子ファイルを電子的にコピーを受けた場合は二十四万六千六百八十円掛かるという手数料になっています。一方、同じものを紙でコピーをした場合は、白黒の場合は一万六千二百十円ということで、このままいきますと、電子化が進めば進むほど情報公開をデジタルで受けることはコストが高くなるという矛盾した状態が生まれます。こういった問題も是非デジタル化の中で解消していただきたいということでございます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  11. 森屋宏

    委員長森屋宏君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 山田太郎

    ○山田太郎君 自由民主党の山田太郎と申します。よろしくお願いします。  最初に、宍戸先生、それから三木さんに御質問したいと思っています。  私も、党内の方で、デジタル化を進める責任者の一人としていろいろと議論をしてきたんですが、まさに個人情報の問題とか情報漏えいの問題、これをどうしていくのかということに関して大変この委員会なんかでも議論になってきました。実は党の中でも相当議論になりました。  そんな中で、何を押さえればいいのかというちょっと根本の議論一つ確認しておきたいと思っておりまして、今日も一つ、例えば一元化が悪いのかどうか、そういう議論もあって、一元的にデータを扱うのはよろしくないというような議論、それから監視は良くないんだと。ただ、言葉も管理とかマネジメントという言い方になると随分ニュアンスも変わってくるんだと思います。  そう考えた場合に、本質的な問題点というのは、実は、この三木さんの資料の中にも、宍戸先生の資料の中にもあったんですが、目的利用というのがいけないんじゃないかと。目的利用、そしてもう一つ漏えいの懸念があるんだと。目的利用漏えいの懸念を払拭すれば、逆に言うと、一元化とか、まあ監視というのは何をもって目的外になるのかどうかというのは微妙な議論はあるとは思うんですが、その辺り、どのようにお考えなのかということですね。  その前提として、どうしてこんなことを議論するのか。特に、監視、管理に関しては、少し党内でもすごく議論になりましたのが、命の問題を例えばデジタル化で預かる場合にどうなのか。例えば防災があります。救急で運ばれてきた場合に、例えばその人の既往歴みたいなものをどうしても使いたいといった場合にどうなのかという論点。それから、これ前回ちょっと別の場面であったんですが、ライフリンクの清水さん、自殺の問題をすごく扱っていらっしゃる方がいるんですが、その方の発言によれば、実は、その自殺の原因であったり、子供のSOSの問題を市区町村から都道府県に上げにくい状態があるという中でのまさに命の問題に関してはどうなのか。そう考えると、一律に管理、監視が悪いということになってしまうと逆に命も救えないのではないかと、こんなような議論があったわけであります。  その辺り、是非、いろんな議論があると思いますが、御発言いただきたいと思います。宍戸先生、三木先生、お願いします。
  13. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) 御質問ありがとうございます。  私の考えを申し上げたいと思います。  先生御指摘のとおり、個人情報保護法制においては、やはり利用目的をしっかり具体的に特定し、そしてそれを明示し公表するというふうな規律というものがまずもって重要なところと考えております。  他方、一体どのような利用目的が正当なのかといったことは、個人情報保護法制だけでは決まらず、個々の行政サービスのその性質でありましたり、そこで問題になるその国民の権利利益といったものの中から決まってくるものでございます。本来、各省庁あるいは地方公共団体においてそれぞれ行政サービスをされて、言わばそれに対する横からの制約のような形で個人情報保護法制は掛かっているということを先ほど私、形式的、画一的な規律という言い方で申し上げたところでございます。  他方、これは先生御指摘のとおり、そうやって情報を扱う以上、漏えいがあってはいけないであるとか、特定された目的のとおりきっちりやっているのかということをしっかり監視、監督する体制というものが必要であり、今回の改正法について言いますと、個人情報保護委員会監視権限公的部門に及ぶということが重要であろうと思っております。  最後に、私申し上げました、その上で最終的にデジタル時代の人格権というものをどう考えるのかということが、その中身として、本来、実体的な権利と、それから政府による監視と批判されることもあるだろうような権限の発動と、仕組みというもののバランスの中でしっかり、それが本当に先生おっしゃるような問題のある許されない監視、監督であるのか、そうではなくて、個人の人格であったりあるいは生命や財産を守るという上で必要な公的なサービスの提供のための情報の管理なのかというものを切り分けていく作業が必要であると。  ただ、これは実は、個人情報保護法制だけでは決まらない問題であると。まさにこういった国会のような場で御議論をしっかり各分野においていただきたいと考えております。  私からは以上です。
  14. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  まず、何の一元化の議論かというのを明確にする必要があるかなと思っています。  今回ここで議論されていることというのは、個人情報保護法制の一元化ということだとは思います。それと、あともう一点が、行政がつくるデジタルシステムの標準化のようなものは一元化にやや近いところがあるのかなというふうには思います。さらに、個人情報を一元的に扱うということがありまして、この一元化は、かつては一か所に個人情報を集めるという議論を、今、分散管理されているものを連携して、特定個人の下で一元的に見えるようにするというようなものを一元化と言うこともあるかなと思います。  ですので、そのそもそも一元化というものがかなりいろんな内容を含み得るというところがありますので、何の一元化の議論をされているのかということが明確に認識できないと、それはすなわち何か気持ち悪いとか怖いという話に簡単につながることだろうというふうに思います。  二点目なんですが、先ほどの宍戸参考人と同じところにはなりますけれども、個人情報保護について、例えば自治体で目的利用ですとかそういうことについて議論をしておりますと、基本的には、個人情報をどうするかというよりも、その業務として何が必要かということと、それが不可欠かということを丁寧に議論していくということになるんですね。これっていうのは、違法かどうかというよりも、適当かどうかとか妥当かどうかという議論を結果的にしているというところがあります。  そうしますと、その一元化した法制の下でまあ自治体ごとにやってくださいといったときに、その適当かどうか、妥当かどうかという議論がどこまで許されるのかという問題がどうしても出てきてしまうというところでは、住民目線で見ると可視化される範囲がやや狭くなる可能性があるという意味で、一元化という議論が実際に現場に下りてきたときには、やはり個人情報保護するとか人権保障という観点よりも、利用したいがための制度改正になるんじゃないかということが議論としてどうしても出てくるんだろうというふうに思うんですね。  そういうときに、やはり、先ほども申し上げたとおり、何のためにやるのか、それを行うのかという目的を明確にして、目的外に何かをするときに、それをどうやって民主的に制御するのかという議論とセットにしていただきたいというのがまず第一です。  で、民主的に制御するということは、ある程度説明責任が果たされる状態になっているということになるかと思いますので、そういった議論をきちんと蓄積していかないと、個人情報保護の仕組み自体は法制度もかなりテクニカルで分かりにくく、直感的にも理解がしにくいという法制度にどうしてもなりますので、そういった積み重ねが、本来できることもできなくなりますし、それから本来やっていないものもやっているかのように見えることもありますし、それから、不透明がためにそうやっているんじゃないかという懸念の原因にもなるというところがありますので、そういう議論の蓄積を見えるところできちんとしていただきたいというふうには思います。
  15. 山田太郎

    ○山田太郎君 また改めて三木さんにお伺いしたい点があるんですが、各条例個人情報のレベルが切り下がったんではないかと、こういう議論をいただきました。確かに、運用面において、ポジティブに言えば柔軟になったという言い方もできますし、悪く言えばレベルがもう下がったという言い方もあると思うんですが、一方で、お聞きしたいのは、情報の中身そのものですね。特に、要配慮情報とか、実際に各市区町村で本当に決めなければいけないものがあるんだろうかと、各市区町村で決めなきゃいけないものがあるんだったら、本来は国で一律で決めればいいんではないかといった議論もあると思っているんですが、そのハウの部分というかホワットの部分というんですかね、そのデータそのものに関しての市区町村ごとに管理しなきゃいけないレベルの情報というのは果たしてあるんだろうかという辺りの議論を是非お願いしたいなと思います。
  16. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 各自治体ごとに個別に決めているものと一般的に自治体として扱うものと両方あるのは確かだと思います。  自治体ごとに、やはり行政サービスの中身そのものが全部一律というわけではありませんので、個々にその自治体の固有の政策とかあるいは取組としてやっている部分というのはあります。そういった場合には、例えばセンシティブ情報の範囲も、こういう自治体としての取組のためにはどうしても必要とか。  実際には、自治体の運用を見ていますと、積極的にセンシティブ情報を収集するという場面やはり少なくて、むしろ、相談業務なんかを多数やっておりますので、そういう中で結果的にセンシティブ情報を収集するということがあるんですね。そうすると、収集するといっても、それを例えば記録にとどめて残すのかとかというところで、それぞれの考え方でどこまで記録残すかというものがあったりとか、あと、過去にあった事例としては、老人ホームのようなところにグループでお部屋が、入所される場合に、ちょっと宗教で対立があるような場合なんかがあるようなことがあるようでして、その場合に、ある自治体は、センシティブ情報としての収集を審議会にかけて、本来であれば入所に関して特定の宗教の信者かどうかという情報はこれは収集必要ないはずなんですけれども、お部屋割りをするためにどうしても必要ということで収集をするということを自治体として決めるという場合もやはりあったりするんですね。  なので、全く固有の要素がないというわけでもなく、それぞれの事情とか実情に応じてやむを得なければ収集するという判断はあり得るというふうには思ってございます。
  17. 山田太郎

    ○山田太郎君 次は宍戸先生にお伺いしたいんですが、四ページなんですけれども、ちょっと内容が直接、個人情報保護とずれてくる可能性があると思いますが、報道の姿勢として、いわゆる実名報道の問題というのをどういうふうに考えればいいのかということについても御意見いただきたいと思います。  実は、ちょっと私が少し絡んだところとして、京都アニメーションの放火事件があったときに、被害者側の実名をさらすという言い方がいいかどうか分からないですけれども、一方で、知る権利という中から、報道各社は対応が分かれて、かなり多くの報道各社は実名報道に踏み切ったわけでありますが、被害者遺族等の感情等に考えれば果たして実名報道というのはありだったのかなと。こういった報道におけるところの知る権利と、それから個人情報の問題があるんですけど、いわゆる個人法益なのか社会法益なのかという問題もあると思うんですが、そのことがぶつかった場合に我々政治サイドはどう判断していけばいいのかと。  いわゆる報道の自由というのもありますから、なかなか政治家サイドはそこに対して意見を言いにくいと。少しでも意見を言うと、いわゆる報道に関する関与だというふうに言われてしまうけれども、実際は個人法益か社会法益かという極めて法律的な議論を我々はしなければならなかったときに、全く我々国会はあるいは立法府は意見を言えなかったような状況が私はあったんではないかというふうに思っています。  匿名表現の自由だったり、フェイクニュースの問題だったり、これからデジタル化においてやっぱり踏み込まなければならないような議論があった場合に、報道の自由との関係も含めて、実名報道、あるいは匿名表現もそうだと思いますね、ネットの問題なんかでもいろいろ言われていますし、今回のいろんな改正なんかもそこで行われたわけでありますけど、その辺りの御意見是非いただきたいと思います。
  18. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) 御質問ありがとうございます。私の考えを申し上げたいと思います。  まず、何よりも表現の自由は立憲民主制を支える基本的な権利として非常に重要なものであり、また、その際には、その表現が正確であるということを担保する上でも、人間について実名で報道をするということと、あるいは、非常に社会的に批判を浴びそうな、しかし意見を言わなければいけないというときに匿名表現の自由が保障されるということ、これら表現の自由の保障の中で、実名報道であったりあるいは匿名表現の自由というものが保障を受けるということがまず議論出発点であり、それについてやはり政治あるいは国家権力というものはまず尊重をするというところがまず出発点になるだろうと思います。  その上で、当然ながら表現の自由も絶対無制限のものではございませんので、具体的な法益との調整ということになるわけでございますが、この調整の在り方についても、特に報道の自由が萎縮するという場合あるいは公共的な事柄について匿名の形での表現が萎縮するということは非常に望ましくないという観点からしますと、一つには、ハードローといいますか、直接的な規制を考える場合には、非常に明確で限定した規制ができるかどうかということがその実体的な比較考量に加えて重要な論点になるだろうと考えております。  もしそれがうまくいかなさそうだと考える場合の一つのやり方は、報道機関、メディアと、それから今の例でいいますと、犯罪被害者等の間の調整というものがうまくいっているのかということを見ることだろうと思います。  これまで実名報道をめぐって報道機関と犯罪被害者の方との間でいろいろな問題が起きるというときの一つの在り方は、かつてであればメディアスクラムであったり、報道の在り方というものについて様々な議論があったと。つまり、被害者の方からすると、それは報道機関の側の、いつまでに原稿を出さなければいけないとか、そういったような事情に振り回されるということが、その取材対象者として非常に酷な状況にあるときにそういうふうな取材報道が来るというような問題もあったように思われます。  そういたしますと、その民間の中で、報道機関とそれから犯罪被害者あるいはそれを代表するような方の間での適切な話合いが進むようにすると、そういった環境整備というものを政治、行政の側で御検討いただくというのが一つの建設的なやり方ではないかと考えております。  ひとまず私からは以上でございます。
  19. 山田太郎

    ○山田太郎君 時間になりましたので以上にします。ありがとうございました。
  20. 小沼巧

    ○小沼巧君 立憲民主・社民の小沼巧と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。  全員にお伺いしてまいりたいと思っておりますが、まずは大久保先生、まだ当たっておりませんでしたので、まず最初にお伺いできればと思っております。  まず、資料で参考になる情報を拝見させていただきましてありがとうございます。  若干、最近の日本状況及びこの委員会状況を見てみますと、デジタルなるものがバズワード化しておりまして、一体どういう効果、権能をやるのか正直分かっていない、同床異夢に陥っているという状況があるんだろうと私自身思っております。  例えば、実際に私自身もイメージが付いていないものですから、せっかくですから資料に沿ってお伺いできればと思うんですが、例えば九ページ、PCR検査と経済対策というところでありましたけれども、デジタル化しというところの表現がございますが、これ一体いかなることをイメージなさっておられるのか。デジタルの裏には実際の業務のフローがあるはずでありまして、そこをいかに見直すのか、どういう効果があるのかということがセットでなければ、何か新しいガジェット入れて使われないまま終わりということになってしまう危惧もあると思っております。  そういう意味で、先生がここで言わんとしておられた、デジタル化し、体制整備することでもっと効率よく感染症対策できるはずということの具体的な業務に即した意義、この辺についてまずはお伺いしたいと思うのが一点であります。  もう一点目、十三ページの方で、デジタル経済・デジタル政府の推進というところでありますが、実はこれ、私もまだイメージが付いておらずでありまして、迅速かつきめ細かい政府の支援給付、弱者をなくす、聞こえはいいのでありますけれども、ひとえに、私に言わせれば、これは政府の支援策の意思決定の問題であって、デジタルとは関係ないのではないだろうかと正直思うわけであります。  そういったところも含めてよく、ここで言わんとおっしゃっていること、デジタルなるものがどう機能するのかということが正直分かっておりませんのでその御解説と、あとは、せっかくでありますので、いわゆるデジタルなるものの経済が成長戦略だ、経済政策なんだということもありますけれども、本当にそうなんだろうか。GAFAみたいなところなんかを比べると、雇用ってどれだけ、同じぐらいの規模の非デジタル業界と言われる例えば製造業、OEMでありますとか、ということに比べると雇用を生み出している数というのは少ないんじゃないだろうかと思うところであります。実際その辺についてどのような御理解をなさればよろしいのか、この辺について御見解をお願いできればと思います。
  21. 大久保敏弘

    参考人大久保敏弘君) お答えします。  まず、デジタルの意味ですけれども、極めて今の段階ですと漠然としております。例えば、しかしながら、ある程度精査はできるわけで、私どものデータは、例えばですけれども、テレワークと言っている、テレワーク一つ、ひとえにいろんな定義があるわけです。例えば、我々のデータですと、どういうものがテレワークかというと、一つのところにとどまってデジタルデバイスを使って仕事をすることと、ただし、公共交通機関ですとかエアポートですとか、そういったところでの利用は除くということで、極めて幅広いICTツールを使った働き方で、職場ではないところでの働き方、ただし、一定期間、一定時間以上、一定の場所で働くことと、こういうふうな定義をしている。一方で、国交省のデジタルの統計、デジタル人口調査ですと、そういった公共機関でも使っていたり、そういったところでも含むという形ですので、そのデジタル一つ取っても少し、まだまだ定義が曖昧なところがあります。  ただ、全般的に言えることは、日本としてはまだまだ進むべき、まだまだ遅れているのではないかということは一つ言えると思います。ただ、今後、もう少し、経済学者あるいは役所の方でどんどん審議を進めていただいて、議論を進めていただいて、それで定義が徐々に明らかになってくるものと思っています。  それで、あと御質問のPCR検査とデジタル化ということで、私は余りテクニカルな、実は、ITとかそういったところの話は実はよく分かっておりません。ただし、PCRの、どういったところで例えばクラスターが発生しているかといったところの情報をリンクさせるだとか、いろいろなことができるわけで、その辺、私の方も確実に把握しているわけではありませんが、もう少し、何か人海戦術的なところはやめにして、できるだけデジタル化を図るということです。  ただ、非常に今のところ難しいのは、それがすごく質が低かったりだとか、あるいは何かリンクされていなかったりだとか、いろんな問題が出てくるので、その辺も抜本的にしっかり見直すべきかなと思っております。  あとは、GAFAの話がありましたけれども、これに関しても、極めて経済学、まあそもそもの話ですけど、経済学というのは、データがあって、データを分析して、それでこうなっているということが分かるわけですね。そうすると、GAFAのその効果あるいはこのデジタル化がどういうふうに経済に及ぼすかという、その効果というところはまだ誰も分かっていないところだと思います。  これからデータが今積み上がると、例えば、これはコロナ禍で今データがようやく積み上がっているところなので、今後、一、二年掛けてしっかり精査すると。そうしたことで、多分、日本だけじゃなくて欧米でも同じことだと思うんですけれども、そこの上で、どれだけの効果があるか、あるいはGAFAがどれだけ雇用の効果、創出があるか、あるいはその負の側面と正の側面、両方あると思うんですけど、そういったところが数量化できるということになると思います。  ですので、今のところ、そのGAFAがどれだけという、その政策の効果といったところはまだ分かっていないというところが答えになります。  ありがとうございました。
  22. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございました。  まさに、本当に分かっていない不確実な状況であるということだと思います。ありがとうございました。  続きまして、宍戸参考人三木参考人にそれぞれお伺いしてみたいと思っております。  お二人とも個人情報保護下の関係についておっしゃっておりましたが、今、皆様の説明、意見の陳述聞いておりますと、とりわけ、自治体が持っているような個人情報観点について、評価が、今回の法案についての評価が異なっておられるんじゃないだろうかというように聞こえました。  例えば、宍戸参考人におかれましては、この資料の中で、個人情報保護条例からの保護の切下げということの懸念の下、様々ガイドライン等あれば何とか大丈夫なのではないかというような評価をなさっているように私としては聞こえました。一方で、三木参考人におかれましては、そうではなく、いや、実質問題、切り下げる基準になっており、懸念が現実化しそうなのであるというような評価をなさっているように理解をいたしました。  その点、意見がそれぞれ違っているのではないかと私、今理解しておるところですが、それぞれの説明、意見の陳述を踏まえまして、追加で加えることがあるか、あるか否かということについて、それぞれから意見を頂戴したいと思って、まずは宍戸参考人の方からお願いできますでしょうか。
  23. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) 御質問ありがとうございました。  私といたしましては、三木参考人のおっしゃっていることというのは非常にうなずけるところも多く、言わば、同じ山に登るのに東側と西側から登っているようなところもあるのではないかと、私自身は楽観的に捉えているところもあるのでございますけれども、制度の問題として見たときに、元々個人情報保護法制というものが形式的、画一的な規律としてやってきたところがあると。そして、それについて、例えば地方公共団体条例の中で、例えば漏えい時の罰則の規定でありましたり、あるいは今後の広域連携を担うような例えば一部事務組合のような地方公共団体、こういったところに条例の準備が足りていない、こういったことを考えると、ひとまず地方公共団体にも国の共通ルールというものを及ぼした上で、同時にそこに監視、監督をしっかりしていくと。  しかし、これは、それこそ切下げで終わってはいけないのでありまして、むしろ地方の実践を踏まえながら、国のルールも本来的には私は見直していくという場面がいろいろな局面で出てくるものと、そうであるべきものと考えております。  この間、共通ルールを国が設定し、それを地方公共団体にお願いをしていくという中では、先ほども申し上げましたが、ガイドラインの設定であったり、あるいは技術的な助言であったり、様々な国と地方公共団体の間での対話の仕組みというものを私は設けていると理解しております。  問題は、これがきちんとしっかりと回っていくということでありまして、そこが実際に施行に向かって、また施行後の具体的な様々な問題を国が、これまではばらばらの、地方公共団体がやっていることを国の側で吸い上げる、で、個人情報保護法制を見直すということがそもそもできなかったわけですが、これからは個人情報保護委員会にその所管が集中することによってできるようになりますので、そういった形での定期的な見直しというものによってどんどん改善をしていくということに期待を掛けているところでございます。  私からは以上です。
  24. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  先ほど宍戸参考人がおっしゃられた今後の課題とかについては本当に同感することも多いので、全く異なることを議論しているとは思っておりません。  ただ、例えば、先ほど本人からの直接収集の原則がなくなるということを強調申し上げたのは、やはりその自己情報コントロール権というのは、本人起点に、本人が自分の情報の取り扱われ方を理解できているというところからスタートをするものだというふうに考えてございます。  そうしますと、本人から直接集めるという原則が法律上明確になっているかいないかということは、これは大きな違いだというふうに思っています。実際に収集される個人情報の範囲がそれによって、あるかないかによって大幅に異なるということではないとは思うんですけれども、少なくとも起点が本人であるということが明確であるということと、例外を規定として設けているので、本当に例外に当たるかどうかということがそもそも議論とか争いの対象になり得るということに初めてなるというふうに考えているんですね。  ですので、やはり、なぜ国が本人からの直接収集の原則改正法でかけていないのかということそのものが実は問題だというふうに思っておりますし、センシティブ情報も同様の考えを持ってございます。ですので、結果的には、自治体の法制に、自治体の条例にある程度国の法制が歩み寄っていただければ、もう少しいろんな議論が実質的にできると思うんですけれども、実際にはそうなっていないというところで、切下げというふうに言わざるを得ないということになると思います。  それと、個人情報保護委員会で、今回の改正に当たって事前に地方自治体との懇談会というものを開催しておられましたけれども、途中で、何らかの合意形成をする場ではないということでもあったんですが、最後に、途中でぷつっと切れるように議論が終わっておりまして、何らかの、今回の改正についても、中身のある議論として何か煮詰まったということはなく、実は改正法が出ているという経緯があるわけなんです。  そうしますと、今後、個人情報委員会が自治体に対してどのような対応をなさるのかということは、懇談会の例を見ていますと、どうもすんなりと今後いい議論ができるとは言いにくいという現状にあるかなと思っておりますので、今後のことはよく見ていかなければいけないというふうに思います。
  25. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございました。  まさに今、三木先生がおっしゃられた、とりわけ自分の情報がどう取り扱われておるのか、それを自分で決定できるのか、マンデートを持つのかということは今後のデジタル社会においては極めて大事なことになるんだろうなと思っております。  その点で、委員会質疑等でもやっておりましたし、個人情報保護委員会議論もやっておりましたが、どうもここが政府の説明と各委員の質問で進み合っていかないところがなかなかありまして、政府は、たくさん説明をするんだと、ちゃんと説明をするんだと言うけれども、本当にそうなのか。自分の情報がそれこそ、先ほどの議論でありました、目的外になっちゃうんじゃないだろうか、漏えいしちゃうんじゃないだろうか、そういったことを俊敏にやるということに加えまして、そもそも自分の情報はどう扱われておるのか、何かしら異変を察知したときにそれを取り戻す、訂正する仕組みがありやなしやということについて議論がなかなか尽くされていないということが現状でありますが、今までの議論を踏まえて、三木先生、どのようなそこの点について御意見、御感想をお持ちなのか、ちょっと、済みません、時間が限られてしまいましたが、簡潔にお伺いできればと思います。
  26. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  まず、個人情報委員会がその権限を強化をして行政機関の監督も行うようになるということ自体はいいと思っております。  ただ、監督というのが、例えば事前チェックなのか、それとも運用を定型的、定性的にチェックをするのか、それとも何か問題が起こったときに調査をするというだけなのかというところのイメージがそもそも付いていないところで議論をされているので、権限の強化という議論だけが出てきて、実質が何なのかがよく見えないので、幾ら個人情報委員会と言われても説得ができていないという話だと思います。  そういう意味では、個人情報委員会権限を持ったら何をするのかということを、その実際の運用場面を想定して丁寧に明らかにしていただくということが非常に重要ではないかと思います。そういう延長の中に、目的利用とかその例外的な扱いについて個人情報委員会が何をできるのかということも決まってくるのではないかと思います。
  27. 小沼巧

    ○小沼巧君 ありがとうございました。今後の審議における参考にさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  28. 平木大作

    ○平木大作君 公明党の平木大作でございます。  本日は、三人の参考人皆様、大変に貴重な御意見、ありがとうございました。  ちょっとキックオフみたいな意味で、まず、お三方それぞれに同じ質問で問いかけてみたいと思うんですが、本委員会でもデジタル化ということについて、基本的に、いわゆる我々の利便性の向上につながる技術と監視社会に使われてしまう技術と基本的にほぼ同じもの、だからこそ、技術だけを語っていてもなかなか難しいということで、今日も様々、だからこそ、ルールですとかあるいは監視体制、しっかりつくっていかなきゃいけないという御意見いただいたんですが。  そういう意味でいくと、ちょっと最初にお伺いしたいのは、今回のちょっと法案ということとは一歩離れて、実際に今もう民間の分野を中心にこの様々なデータ利活用ということが行われ始めてきている中にあって、今、これはもっともっといい形で発展していくといいなと思われているようなデータ利活用の何か具体的な事例ですとかアイデアみたいなものがあったらお示しいただきたい。逆に、ちょっとこれは一歩立ち止まった方がいいんじゃないですかというような取組も含めて、反対に、懸念しているものありましたら、もう端的で結構ですので、お三方から御意見いただきたいと思います。
  29. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) 御質問ありがとうございます。  先生御指摘のとおり、データ利活用ということで期待されるものと、それからこれは怖いなというふうに思うものと、これはやはり両方あり得るところでございます。  挙げると切りがありませんが、例えばそのデータ利活用についてのメリットの部分について申しますと、やはりデータがきちんと整備されていると、そしてそこに今シビックテックと呼ばれるような方々が参画しておられますけれども、様々なコロナ対策との関係でのいろいろな取組というものを、今までのお役所であったり大企業の目線ではないような、しかも生活者目線での新しいアイデアが生まれてくると、そういった、みんなが意見を言って公共的な事柄に参画できるそのベースになる部分をそのデータがつくるということに私は非常に期待をしております。  他方で、その危険と申しますと、特に監視に使われやすいと、あるいは使いやすいような、誘因が働くような仕組みについては、これは私だけでなく世界的にも懸念されているところだろうと思います。  現在、EUでAIの規制に関する議論がまた盛り上がっておりますけれども、その中では、特に、公共的な場所での顔認証をとりわけ刑事司法に関わる執行機関が使うということはまさに監視になりやすいので、それについては全面的に禁止するであるとか手続的な透明性を高めるであるとか、そういったことが必要になるだろうと。このように、サービスの性質あるいは使われるデータというものの中から、それを総合的に判断して、メリットとそれからリスクというものを振り分けていって、特にリスクが高いものについて手当てしていくということが必要ではないかと考えております。  以上でございます。
  30. 大久保敏弘

    参考人大久保敏弘君) お答えします。  私は、特に経済学の面からお話しします。  データ利活用現状ということで、これはまさしく私がやっているものそのものでありまして、毎日のようにこれは研究学術研究で使っております。ただ、非常に懸念される点としては、私の場合、かなり国際的なところで研究をしております。成果は必ず、国際的な学術雑誌、査証付きの雑誌、ジャーナルと呼ばれているものに出しています。しかしながら、日本データは先進国に比べるとクオリティーは高いものの、アクセスがしにくい、あるいは使い勝手が悪いということで、非常にそれが問題になっています。  どういうデータかと申しますと、ミクロデータと呼ばれるもので、GDPとかそういうマクロではなくて、個々の企業がどうなっているかだとか、あるいは個々人がどういうふうになっているか、これミクロデータですけれども、ミクロデータを使うと。大規模データなんですけれども、こうしたところで、やはり、例えば国際貿易でいくと、個々の企業がどれだけ貿易をしているか、アウトソーシングしているか、あるいは関税を払っているかと、こういったところのデータがそれぞれの役所ごとに縦割りになっていると。かつ、ひも付けができない、あるいは関税のデータなんかは研究者でも使えない。  一方で、諸外国、欧米あるいは中国なんかではそういったミクロデータをしっかり使えて、特に政策の場面で活用できると。つまり、政策的にどれだけ、TPPをやった、あるいはFTAをやった、こういったところでどれだけの効果が出るかといったことを学者がちゃんと推計をして提言できると。ただ、日本の場合は、研究者がいても、それがデータがうまく使えないことで政策提言もできないと、政策的なインパクトも分からないというような状態です。  ですから、そういった意味で、ミクロデータ、ただし、そのときに注意しないといけないのはセキュリティーの問題だと思うんですけれども、各国はそのセキュリティーのところを研究者に限ってしっかり守りながらやるということは徹底していますので、そういった意味で、日本はまだまだそのデータ利活用、特に研究、学術面での活用がかなり遅れているということで、その辺を何とか改善していただけないかと思います。  あとは、政策に関してですけれども、そういった意味で、エビデンスベースということで、今日お示ししたデータもそうですけれども、データに基づいてサイエンス、サイエンティフィックにやはり政治の場でも議論するということが今後重要かと思います。そういった意味でも、そういう研究をどんどん力を入れる必要があるのではないかと思います。  あと、教育の面でも、私、経済学部ですが、これ、最近はもう理工学部並みにやはりプログラミングだとかデータパッケージ、データを使う、大規模データを使うということをしております。今問題になるのは、デジタルトランスフォーメーションみたいな形、あるいはICTが進むと、そうすると、そういった人材がやはり必要なわけですね。ただ投資をするとか、そういっただけではなくて、それを利活用できるという人材はしっかり育てていく必要があると。  特に大学、大学院ではそういった教育に重点を置かないといけないんですけれども、今の高等教育に対するやはり政府の支出が非常に低いと。特に経済学部、社会科学にもっとお金を投入する、特にデータに対して予算を投入するべきではないかと。今のところ、大規模データはそれぞれの大学が、研究者が買っているような状態ですけれども、こういったところにやはりデータをちゃんとできるような形の政府の支援といったものが非常に必要なのではないかと。  あとは、各学生に対して、プログラムのパッケージ、プログラムの教育をするわけですけれども、そういったときにライセンスのフィーというのが毎年相当程度掛かっています。こういったところも政府がしっかりこれ補助をすると。そういったことで、データ、特に経済学部を中心にしてもう少し高度な人材を育てると、デジタル化された社会人を育てるということが非常に必要であると思います。  また、企業で今後ICTを進めると、そういった利活用できる人材を育てるためにリカレント教育というのが必要になってくると思います。そういった意味でも、やはり高等教育に予算をしっかり付けて、特にデータ経済学社会科学に対して、データ中心のところをしっかりその予算を付けていくべきかと思います。  以上です。ありがとうございました。
  31. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  良い例として適切な例かどうかというのはちょっと確信は持てませんが、例えばで申し上げますと、個人情報そのものではないんですけれども、統計法の下でオーダーメード集計というのが今できるようになってございまして、それを基に報道機関がヤングケアラー問題の報道を大分されたということがあります。十代で家族の介護をしているという実態がそういう統計のオーダーメード集計でできてくる。  これも匿名化したデータということで、利用した結果であるということには思われますので、そのデータ利活用そのものがその社会の実相を明らかにする、可視化されにくい問題を可視化するという側面があるのも確かだとは思います。  一方で、例えば、同じような問題は社会保障費の問題ですとか社会保障政策の問題でも言えるとは思うんですけれども、例えば健康状態にしても、個人が自分の過去の健康状態とか健診情報を見れるということ自体はいいと思うんですけれども、一定の条件を満たした人にはインセンティブを与えるとか、一定の条件を満たさない人には、まあペナルティーではないですけれども、負荷が何かあるというような方に展開をされますと、健康状態を常に監視されているというふうに本人が認識するということは起こると思うんですね。そういう意味では、表裏一体の問題で、どういう目的でそれを使うのかとか入れるのかとか、それが政策として用いられるのかということによって、本人が受け取る意味合いが変わってくるということはあるかと思います。  ですので、そういう意味では、監視社会化問題というのは、単に法執行部門とか安全保障部門の問題だけではなくて、自分の状態が常に把握されているという状態がどういう意味を持つのかというのは、どういうふうにそれが社会政策で使われるかとかあるいは本人への働きかけで使えるか次第だと思っておりますので、そこをきちんと見分けて、その利用目的利用範囲が適切な範囲に常にとどまっているという状態を確保することが必要ではないかと思います。
  32. 平木大作

    ○平木大作君 ありがとうございます。  続いて、データガバナンスということについて、これ、宍戸参考人三木参考人にお伺いしたいと思います。  これからデータ利活用がますます高度化していくに当たって、当然そのガバナンス体制自体もしっかり高度化していかなきゃいけないということで、これは国においては当然しっかりやらなきゃいけないと思っているんですが、私は何よりも、自治体でこれをどう体制をやっぱりつくっていくのか、体制整備をしていくのかというところがとても懸念というか、関心を持っております。  やはり自治体の中で、今、最近、兵庫県尼崎市で、子供のいわゆる家庭環境ですとか様々なものといわゆる学びの関係ということを、例えば経済学ですとかあるいは教育学の先生も入れていろいろ取組をされているということで先日お伺いしたんですが、この経済学とか社会教育学の先生から見ると、実は自治体はデータの宝庫なんだけど、じゃ、例えば、子供の教育にとか子供の貧困問題解決するのに必要なデータがあるんだけど、あることの自覚がそもそもなかったり、これ使っていいのか使っていけないのかという線引きが実はできない。  要するに、先ほどの三木参考人からもありましたけれども、積極的にセンシティブデータを集めているというよりは、相談業務の中で自然と蓄積されてきたものを、果たして、これ目的利用になっちゃうんじゃないかみたいなところで、実はこの仕分がちゃんとできていないみたいなことを実際に自治体が抱えていらっしゃるということもお伺いをしました。  そういう中で、改めて、これからこのデータ利活用というところに大きく一歩踏み出すわけでありますけれども、この自治体のデータガバナンス体制の構築に向けて気を付けるべきこと、あるいは国として何か具体的にこういうふうに取り組む、支援をしていくべきじゃないかみたいな御提言がありましたら、それぞれお伺いしたいと思います。
  33. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) 御質問ありがとうございます。  データガバナンスといっても非常にいろいろな問題がありますが、まずは、地方公共団体、あるいは、より一般化して言いますと、それぞれの主体の中で、どういう文脈でどういう内容、性質のデータを持っているのかと、そしてそれを誰が今まで管理していたのかと、その根拠は何かということをやっぱりきちんと棚卸しする作業というものがまず不可欠であるだろうと思います。  そうした中で、このデータは例えばオープンデータにしていいものであるだとか、あるいは匿名加工情報の形であれば出せるものがあるのではないかとか、あるいは、これはやはり本人との関係では出してはいけない、目的利用で使ってはいけないのではないかといったことを見分けるという作業が必要になります。そういったことについてきちんと判断をするといったような体制地方公共団体の中で整備されてくるということが重要であるだろうと思います。  形式的な法令遵守というのはこれは当然でございますけれども、住民あるいはそのサービスの利用者の目線に立って、これが重要であるかどうかと、あるいは、いろいろちょっと気持ち悪いところがあるかもしれないけれども、こういう安全管理の措置をとっているので大丈夫だし、こういう公益的な目的に資するのだから協力してくださいといったことを説明したり、もう一つは、どうしても、データ利活用を進めるときには、そのやはり進めたいと思われるような公務員の方であったり、あるいは外部の協力してくれる方の方が専門的な知識があって、それで先に走っていってしまうところがありますけれども、ちょっとそれは考えてみた方がいいんじゃないのかということで、もうきちんと、ただ止めるというのではなくて、一緒に中に入って考えて、しかしブレーキを引くときには引くというような人材を地方公共団体で育てていくということはもちろんですけれども、国の側でも様々な教育プログラムなどで支援をすると。多分、現在、行政改革推進本部などでもこの種の議論というのはなされていると思いますけれども、そういったところをてこ入れしていくということが必要ではないかと考えております。  以上でございます。
  34. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  自治体、基礎自治体は行政サービス直接行っておられますので、データの宝庫というのは間違いないと思いますし、住民の情報が実態を一番反映した状態で持っているのは基礎自治体ということになるだろうと思います。言い換えると、顔が見える状態で関わっているということだと思います。  それで、データの宝庫なのでそのデータをどう活用しようかという議論が起こるのはそれは避け難いとは思うんですが、重要なのは、本来の業務に対する不信感につながるような個人データ利用というのは本末転倒だということであります。特に、自治体が行っている行政サービスというのは代替性が利かないものというものが大半でございます。民間ですと、この事業者が嫌だったらほかの事業者のサービスつくるという選択ができるんですけれども、自治体とか公的なサービスの場合はそういった代替性がないということになりますので、一たびデータとして使われるということになると、ほかに行く場がないということなので、仮に例えば自治体の信頼が損なわれるようなものであっても、データ利用が進んでしまうという場面はどうしても生じるだろうと思っています。  ただ、重要なのは、例えば相談業務ですと、安心して相談ができるというのが第一の優先事項で、そのデータをどう使うのかということは二次的な問題というふうに考えるべきだと思いますので、そこの仕分をきちんとすることが自治体においては非常に重要だと思っています。  それと、もう一つが、審議会の役割というものが自治体の場合、議論になりますけれども、審議会の役割というのは、先ほどその例外的な扱いをする場合に検討する場ということを申し上げましたが、もう一つが、なぜそれをするのかということを行政が自ら説明をして、資料を用意して、それについて様々な質疑を行われることによって、本当に例えばデータ利用することがいいのか悪いのかという議論がオープンな場でできるという場でもあるわけなんですね。  それ今、個人情報として審議を行っているわけですけれども、匿名加工のような情報についても、やるかどうかとか何を認めるかどうかということについて、第三者的な知見をきちんと反映をして、本来の業務に影響がない範囲で必要なデータ利用できるのであれば利用しましょうという、きちんと整理をし、説明をし、一般の人が何を見ていればその議論が行われているのかが分かるという状態をつくり出すということがないと、気持ち悪いとか、勝手にやっているとか、そこに相談すると右から左に情報が流れるという話の原因になるかと思いますので、そうした点は、やはり自治体に自主的に取り組んでいただくということもあると思いますけれども、そういう取組を推奨しなきゃいけないということにはなるんじゃないかと思います。
  35. 平木大作

    ○平木大作君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  36. 高木かおり

    高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。  本日は、参考人のお三方の皆様、本当に貴重な御意見をありがとうございました。順番に御質問をさせていただきたいと思います。  まずは、宍戸参考人に伺っていきたいと思いますが、昨今、新型コロナウイルス感染症の拡大の中で、より一層このデジタル化の進展というのが望まれているというふうに感じています。  本日は、データ利活用の光と闇というような、そういった個人情報の点などもお聞かせいただきましたけれども、今日は少しちょっと視点を変えまして、オンライン議会についてちょっと伺っていきたいと思っております。  このデジタル社会をやはりこれ構築していく中で、やはりこのオンライン議会の課題というのは様々あるというふうに思っておりまして、これ、諸外国では既に導入が始まっている国もあるかと思います。国内においても、茨城県の取手市ですとか私の地元である大阪なんかでもオンライン利用して委員会での審議が行われております。  このオンライン議会の最終目的は、やはり議会として最終意思決定ができる本会議での質疑であるとか、そういった採決の実現であるというふうには考えているんですけど、なかなかハードルも高いというふうにも承知しております。  やはり、このオンラインでの審議というのは、今まさに大阪は特にコロナも変異株がひどい状況でもありますし、また、違った視点から、出産とか育児、妊娠、そういった女性の社会進出、そういったところの視点からもこういったオンラインでの審議を進めていくということは私としては大変重要な視点じゃないかなというふうに考えております。  そういった中で、このオンライン議会の必要性について、是非とも宍戸参考人に、どういった御見解をお持ちなのかということを是非ともお聞かせいただきたいと思います。
  37. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) ありがとうございます。お答え申し上げます。  私自身は、オンライン議会の開催というものに積極的に検討するべきではないかというふうな立場で、恐らく憲法研究者の中ではまだ少数かもしれませんが、そのように考えております。  何よりも、現在のコロナ禍においてもそうですけれども、議会が開催され、そこで政治の、政策を担当されている当局者の人たちに国民を代表して例えば質問をぶつけたり、政策議論し、また立法や予算を可決されたりという、政策形成し、あるいは政府監視するという議会の機能というものが維持されるということが極めて重要だと考えております。また、社会全体の多様性が増してくる中で、議会により多様な方々が様々な形で参画し、そして議会の機能を高めていくということが、民主主義の発展であったり、さらには幅広い、若者も、若い世代も含めた国民の政治への関心というものを深める、そういったきっかけになるというふうに考えております。  そうした観点から見ますと、例えば、こちら国会について申しますと、本会議について出席という規定憲法上あることから、必ず本会議場に国会議員は出席しなければいけないんだというふうな解釈もあるにはあるのですが、私はそこは、議院自律権を発動していただくと同時に、出席とみなせるような審議への参加というものがデジタルテクノロジーを使って実現できるのであれば、それを出席と認めるということは可能なのではないかと。そういった観点から、現実にそういうことが可能かどうかを含めて、テクノロジーの意義と限界と、今の技術で可能かどうかと、こういったことも検討いただいたらいいのではないかというのが持論でございます。  私からは以上です。
  38. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございました。  積極的な御意見、前向きな御意見を伺って、やはりこういった新しい社会に向けてまさにこのデジタル化を進めていくに当たって、こういった点も、今まで出席という観点をどういうふうに考えるかということも私たちが考えていかなければいけないところなんだなというふうに思いました。  先ほど、憲法の部分もかなりハードルも高いのかなと、国会法の部分はハードルが高いのかなと思うんですけれども、どういった、もう一度確認の御質問させていただきたいんですが、どういった部分を、このハードルを越えるためには、先生の考え方といいますか、もう少し詳しくその点についてお伺いしたいと思います。
  39. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) ありがとうございます。  近代議会制の原理としては、代表の原理、それから審議の原理、公開の原理というふうによく言われることがあります。ここで問題になりますのが審議と公開でありまして、議論国会議員の先生方が、あるいは地方議会でも議員の先生方が行われている、議論に参加できる、そしていざとなったら発言ができるということと、それが周りから見えると、見えることはその手続が公平かつ透明に行われているということを確保するというために重要なことであります。  そこで、例えばオンライン議会を仮にやろうとしたときに、外におられる、遠隔で参加されている議員の先生方に対して、実はその周りにその議員の先生方に不当な圧力が掛かるような物理的な環境があるということであるとしますと非常に問題でありますし、また、実際には審議に参加しないで、最後のところだけ、採決だけやっているというのも元々期待されているところではないのではないかというふうに考えます。  言い換えますと、今のような点というものが制度的に確保できると。例えば、まあ例えばでございますけれども、議院事務局の参事の方が同席されていて問題がないことが確認できるであるとか、議員会館からオンラインで入っていただいて、そこには議長の管理権が及んでいるとか、いろいろな状況確保されるということであればそういった問題は少ないのではないかというふうに考えております。  例えばでございますが、以上でございます。
  40. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございました。  続きまして、大久保参考人に伺いたいと思います。  今日は、テレワークがなかなか伸び悩んでいる点ですとか、また業種によってはこのテレワーク向き不向きがある、またそのデジタル格差所得格差と、そういった経済の観点からお話をお聞かせいただきました。  今日は、その中でも、やはり長期的にこの経済の復活とそのデジタル化をどういうふうに進めていくかということを考えたときに、やはり所得格差というところで、政府が生活に最低限必要な現金を支給すると。今ベーシックインカムということが取り沙汰されておりますけれども、大久保参考人は一部の著書の中でそのベーシックインカムの限定的な導入ということも、そういったことも考えていくべきだろうというようなことを発言されているかと思いますが、このベーシックインカムについてどういった御見解をお持ちなのか、是非ともお話をお聞かせいただきたいと思います。
  41. 大久保敏弘

    参考人大久保敏弘君) お答えします。  ベーシックインカムですが、これは極めて限定的かつ非常にもう最後の切り札として使うということです。つまり、これはやはりいろいろな問題があります。例えば、ベーシックインカム、これ財源の問題が相当程度あります。あるいは、ベーシックインカムやり出すと、そうすると低所得者層が働く気がなくなるだとか、様々なこれ問題が出てきます。ですから、例えば大災害級、あるいは今のようなコロナの非常に厳しいような状況で、もう非常に多くの人が経済的に困るといったときに発動すべきであって、極めて限定的である、抑制的であるべきだと考えます。  ですから、最終的な切り札として使うのはいいんですけれども、限定的であるべきだと考えております。
  42. 高木かおり

    高木かおり君 限定的だということなんですけれども、今コロナ禍であるとか大きな災害が来たとき、それから、先ほど参考人のお話の中にもあったかと思うんですけれども、この資料の中でも、テレワークの推進の必要性という中で、多様な働き方だったり女性の社会進出であったり、また今は非正規と正規雇用、こういった格差ということもあるかと思います。  そういった中で、その非正規と正規、日本は本当に諸外国と比べてもお給料の格差も大変大きいというふうに思うんですね。そういった中で、ベーシックインカムというところまでいかなくとも、例えばアメリカでやっているような給付型税額控除ですとか、そういったことも一つの考え方なのかなというふうに思っております。  そういったメリット、デメリット、こういったこともあるかと思うんですが、私としては、やはりそういった今本当に緊急の状態の中でそういった方々を後押しするということで、先生、先ほどリカレント教育ということもおっしゃられたかと思います。  まさに今デジタル化に進んでいく中でそういった新しい職にシフトしていくということを考えますと、そういった学び直しですとかそういった金銭的な後押し、そういったことも大変重要なところなのではないかと思うんですが、大久保参考人のそういったところの御見解をお聞かせいただければと思います。
  43. 大久保敏弘

    参考人大久保敏弘君) お答えします。  この件は非常に重要かつ大局的に見るべきかと思います。つまり、ベーシックインカムだけ、あるいはリカレントだけではなくて、最近のその所得格差がどういうことを背景にしているのかといったところをしっかり見極めるべきと考えます。  これ、私は、国際経済、国際貿易論ですが、そこで言われているのは、グローバリゼーション、最近のグローバリゼーションの影響ということが一つ挙げられると思います。グローバリゼーションは非常にいい面もあります。貿易自由化ですとか投資の自由化を進める、これは非常にいいことだと思うんですけれども、一方で、負の側面というのが最近どうやら多く出てき始めていると。  一つ環境問題、自然災害の環境問題ですね。あともう一つはやはり所得格差の問題。特に先進国で、特にブルーカラーワーカーあるいは非正規の人が非常に低所得に陥るというのが日本だけではなくて欧米でよく見られる現象になっています。こうしたところというのはグローバリゼーションによる一つの影響だと思います。そうしたことから、グローバリゼーションの観点から、ほかの先進国だとかそういったところとも連携しつつ、やはり低所得、中低所得者層に対して分配だとかそういったところの調整をするような経済的なメカニズムはちゃんとつくっていくべきだと思います。  あとはやはり、今のやはり新自由主義的な経済、そういったところを少し修正していく形でグローバリゼーションを進展させるべきと考えています。そういったところで、やはり分配を少し意識するような、つまり、今までは、規制改革をする、規制撤廃する、自由がいい、競争がいい、そこではなくて、少しみんな立ち止まって、やはりみんなで考えて、少し立ち止まって、自重的に、少し謙虚になって考えて、少し修正する形での資本主義の形というのを是非国会なんかでも議論すべきだと思います。それは一つは炭素税みたいな、環境を抑制する、あるいは所得に関しては分配をする。つまりは、そのグローバリゼーションを進める上で少し綻びが見付かっているわけで、そこをどういうふうに修正していくかといったところをパッケージにして考えるべきだと思っています。  その一つとして、やはり所得格差があって、ベーシックインカム、これも一つ議論としてあってもいいと思っています。あとはやはりリカレント教育で、その中では、やはり、お金をあげるからやるというのではなくて、インセンティブを与えるような、つまり、職を、自分が新しい職を見付けるために、今までだとロックインされてしまうわけですけれども、それをもう少し労働市場が柔軟になるように、例えば一回非正規になってもまた正規に復活できるような、誰もがいろんなチャンスがあるという、そういうような社会をつくるために、やはりインセンティブ付けをするような補助金ですとか補助の在り方というのをよくこれ考えるべきではないかと思います。そういった中で、やはり一回失敗してもまた復活できるような社会、あるいはすごくレジリアンスのある、柔軟性のある、高い社会というのを今後つくっていくべきだと思っております。  以上です。
  44. 高木かおり

    高木かおり君 ありがとうございました。  雇用の流動性ですとかまた転職とか、そういったこともなかなか、転職市場というのが日本はまだ醸成されていないんだろうなというふうに感じております。女性の復職、妊娠、出産の後の復職というのも、なかなか政府としても、言ってはいるけれども市場が付いていっていないというような状況なんだろうと。やはりそういったところも同時並行で、そしてそのデジタル化も一緒に進めていくということが必要なんだというふうに感じました。ありがとうございます。  最後に……
  45. 森屋宏

    委員長森屋宏君) もう時間が来ております。
  46. 高木かおり

    高木かおり君 あっ、そうですね。  大変申し訳ありません。三木参考人、お聞きしたかったんですけれども、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  47. 矢田わか子

    矢田わか子君 国民民主党の矢田わか子です。  今日は、宍戸参考人大久保参考人三木参考人、ありがとうございます、お忙しいところ。  まず、宍戸参考人三木参考人にお聞きしたいんですけれども、私はこのデジタル法案の審議を通じて、やっぱり、こう審議はしているけれども、実際にコロナ感染が広がっているというこの事実がある中で、本当は感染症対策にこそ、もう今すぐ、即、法律が可決するしないにかかわらず、やっぱりデータ活用していくべきであるというふうに大臣といつもやり取りするときに申し上げさせていただいております。  その中で、例えばこの一年間を振り返ってみれば、COCOAだとかHER―SYSというものが残念ながら余りうまく機能していない。特にCOCOAは、御本人意思によって自分で登録をするというステップ、したがって、自分の個人情報は差し出しますが安心を確保したいと、そういう意思とも受け取れると思いますが、こうしたことについて、先ほど来からの論議を聞いておりますと、やはりその個人情報保護という観点データをいかに利便性のあるものとして利活用していくのか、このバランスというのか、これが二律相反するものではなく、しっかりとどちらも、利便性も、そして個人情報保護されるということが理想ではありますので、こうした今までの政府の、特にコロナ対策におけるデータ活用をどのように分析し、総括し、どうした思いを今持っていらっしゃるのかについてお答えいただければと思います。
  48. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) 御質問ありがとうございます。  私自身はCOCOAに関する内閣官房テックチームの有識者会合のメンバーでございましたので、その観点からも申し上げたいと思います。  COCOAについては、個人情報の提供というものがそもそもないという形で、ブルートゥースの機能を使ってお互いの端末がやり取りをし、そして自分が感染したということが分かった場合には、その濃厚接触者にグーグルそれからアップルの提供するAPIを使ってそのお知らせをすると、そういったことを通じて基本的には行動変容を促していくと、こういう仕組みであったというふうに理解しております。  これは、プライバシーに最大限配慮しながら、繰り返しになりますが、基本的には行動変容を促していくと、積極的疫学調査には使わないというふうな考え方で設計されたものについて、我々、プライバシー、セキュリティーの観点から政府意見を申し上げたところであります。  これが思ったほど有効な成果が上がってないのではないかというのは幾つか要因があろうかと思いますけれども、その一つには、先生おっしゃいましたHER―SYSとの連携というのがこれがうまくいかなかったと。HER―SYSの側の取組とそれからCOCOAの側の取組が十分に連動していなかったということが一つ。  それからもう一つは、やはりこのアプリを入れることによるメリットというものがいま一つその利用者の方々に実感しにくかったのかということがございます。これもややボタンの掛け違えになるところがありまして、現在のように非常に感染者が増えている状況であれば、このCOCOAについては、今のような様々な問題が、ついて評判が悪くなる前であれば、より一層有効的、有効に利用されたのかなというふうにも思っております。  それから三点目は、技術的な問題に必ずしも十分政府の側で対応する体制が整っていなかったと、その委託や再委託の問題も含めてというところがあります。  こういった問題というのを参考にしながら、引き続き、データ利活用に求められるデータガバナンスであるとか、そのメリットをどういうふうに利用者に還元していく、しかも、それが見える形で還元していくかと。その際に、どこまで、必要なプライバシーにどこまで触れるかということについてもしっかり調査してやっていくといったような姿勢が教訓として引き出せるのではないかと考えております。  以上です。
  49. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  全般的な評価は難しいんですが、まず、政府の行う判断に対してエビデンスを求めるというのは、これは立場を超えて一般的にやはりエビデンスを求められているということになると思います。エビデンスというのはイコール個人データをいかに効率的に集積するかということになりますので、そういう意味では、そのデータ利活用みたいなものとセットでコロナ対応というのは進められているんだろうということは理解をしております。  ただ、問題は、コロナ対応という非常時において入れる措置なのか、恒久的な措置として行うのかという区別が付けられずに議論が進められていることに対して、抑制的であったりとかあるいは批判的な議論が出てくるということだと思います。恒久的な措置として、非常時の今の状況を基に恒久的な措置を入れることに対しては一定の抵抗感は当然あると思いますし、私はそれ自体は議論の仕方として非常に良くないと思っております。ですので、今回の対応のために緊急的に条件を付けて入れる措置なのか、恒久的なものとして今後もずっと使い続けるものとしてやるのかによってやはり議論整理していただくことは必要かなと思っております。  それと、新型コロナではないんですけれども、二〇一〇年の頭くらいにアフリカでエボラ出血熱のアウトブレークがございましたけれども、そのときに個人データとかツールがどのように利用されて、どのような問題を引き起こしたかというレポートがございまして、それを人道的、人権的な観点から分析した報告書というものを拝見したことがあるんですけれども、そのときに教訓として出ていたのは、非常時にツールを入れるとか新しいシステムをつくるとかデータを効率的に集めるということは、成果が分かりやすいので、そこにお金が付いたり予算が付いたりとか、それからお金を付ける側も、成果が、成果物が明確になるので措置がしやすいというところがあるんですけれども、それを入れた結果、本当に人々を支えているのかということはまた別問題になってくるということが教訓として出されているというのと、非常時においてかなり強権的な、政府に対して携帯電話の移動情報などが全部提供されたことに対して、その後の人権的問題というものがあるということで、非常時だからやむを得ないという措置が果たして適切に民主的にコントロールされたものなのかという問題も出てくるということが、そのレポートを拝見してよく分かるというところがございました。  ですので、非常時か否かで分けていただくということをまずきちんとやっていただきたいというふうには思います。
  50. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございました。非常時か恒久的なものなのか、そこは大事な視点だというふうに私も考えております。  続いて、大久保参考人にお聞きしていきたいと思います。  今あったような、そんな緊急的なというかパンデミックのような状態のときと、恒常的な政策として打っていくものという分け方をするのであれば、その後者の例として、デジタル化の進展によってやはり様々なプラスの影響も当然のことながらある反面、懸念も出てくるというような中にあって、私たちにとって少し大きな課題となっている社会保障の問題含めて、いわゆるソサエティー五・〇という視点で、社会的な課題が解決するに当たってこのデジタルが大きく活用できないのかという視点についてお聞きしていきたいと思うんです。  先生がテレワーク活用、今日、事例をもって紹介していただき、デジタルの格差がやはり所得格差にまで広がって、つながっているのじゃないのか、連動しているのじゃないのかというような課題提起があったというふうに認識をしています。結果、この資料を見させていただくと、所得が高い人は結局デジタルも活用できるし、またデジタルを活用した高い所得の仕事に就けて、どう言うんですかね、ずっと連鎖が続くようなそんなイメージもありますし、政策を打つ、政府政策についても、デジタル活用している人ほどやはりアクセスしやすくて、活用も皆さんがされているというふうなことを考えたときに、やはりその連鎖を断ち切るというのか、もっといわゆる低所得者層の方々にもしっかりとデジタルを活用していただいて、そして所得が伸びるようにしていただかなくちゃいけないし、政策政府政策活用していただきたいというような思いがあります。  そのような中で、質問は、このデジタル技術と制度の改革をすることによって、例えば中間所得者層って弱体化していると言われておりますし、一方で、一人親家庭とかコロナの影響による貧困層の増大という社会問題に対して、マイナンバーを活用して資産や所得の的確な把握によって資産課税を強化したり、若しくは総合課税化を促進していけば中間層をターゲットとした減税政策が例えば取れるのではないかとか、今回も、給付が遅れましたけれども、しっかりとそこをひも付けしていれば、困った方々に対して、一元管理をする中で迅速な給付が図れたのではないかというような指摘がありますけれども、こうした社会問題の解決にどのようにITを活用していくかという視点での御見解をお願いしたいと思います。
  51. 大久保敏弘

    参考人大久保敏弘君) お答えします。  おっしゃるとおりで、これ、所得格差デジタル格差というのが連動していると。ただ、重要なこととして、この因果関係というのはまだよく分かりません。つまり、所得が低い人ほどそういう飲食ですとかそういったところに偏って、高いところほど例えば会社役員だとかに偏っているということでして、それをただ単純に所得配分を変えると急にデジタル格差がなくなるだとか、あるいは逆もあるかもしれないんですけれども、そういったところが解消されるとも限らない、極めて非常に難しい問題だと思います。したがいまして、政策の方も非常によく考えてやっていかないといけないところにあると思います。  例えば、給付ですとか、すぐ補助金だとかというふうな話になるんですけれども、今回の給付金のように、十万円の給付のように、一律幾らというふうな形で政府がやってしまうと、結局何もならないわけですね。特にデジタル化の場合は、これ、十万円もらってもデジタル化のツールを使うかどうかといったらまた別になりますし、そういうふうなものを入れたとしても、逆に利活用できない、そういうツールの使い方がよく分からないだとか、いろいろな問題があるわけで、そういったところを解決するのは、やはりデジタル化を進めて、個々人がどういうふうな職業でどれだけデジタル化を必要であるかといったところを把握した上で、ピンポイントに、やはり補助金を打つんだったら補助金という形にするべきで、余り一律に補助金というのは、特にこのデジタルの関係からすると良くない。かつ、企業に関してもそうですけれども、デジタル投資を進める上で企業に対していろいろ補助金を出すと、そういうふうなことを考えられるのかもしれないんですけれども、それでやはりうまくいくとはなかなか思えません。  そこはやはり様々な工夫が必要だし、デジタル化するのであれば、先ほどの話のように、企業に補助金ではなくて、どちらかというと、そこの使う、教育ですとかリカレントに対して、やはりデータサイエンスだとかあるいは社会科学系の学部に対してちゃんと教育の予算を投入して、そういった人材を育てていくというふうな、ある種両輪のような形でやっていくべきだと思います。  企業投資も必要ですし、あとは人材の投資も必要であるという意味で、もう少し政府の考え方も、そういう教育ですとかそういったところにもう少し予算を割いていただきたいと思います。  以上です。
  52. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございます。  いろいろ分析するときに、やはりどうしても所得格差ということ、所得だけで見ていらっしゃるんですが、私は、本来そこに資産もあってしかるべきではないかと思っています。今所得がゼロでも、莫大な資産を抱えている人は当然デジタルへのアクセスは高いはずなんですが、そこが今全くひも付いていないということが経済学上どうなのかというふうなことも正直思っています。  この辺りもまた後で見解をいただきたいのと、もう一点、ちょっとGAFAについてお聞きしたいんですね。そうしたIT関連の多国籍企業の租税回避については国際的な課題となっています。今年七月に開催予定されていますG20の財務相とそれから中央銀行総裁の会議では、OECDで検討されてきたそのデジタル課税の国際ルールが合意されるのではないかというように言われております。  このデジタル課税について、今後の動向をどのように見ていらっしゃるのかということについてもお答えいただければと思います。
  53. 大久保敏弘

    参考人大久保敏弘君) お答えします。  おっしゃるとおり、今私が見ているのはフローの所得の面ですけれども、資産の面も非常に重要と考えます。ただ、データのどこまで、これも非常に大きな問題ですけれども、データを聞く上で、我々、就業者調査ですから、聞いているわけですけれども、どこまでその人の個人情報を聞いていいかという大きな問題が常にあります。あとは予算の問題もありますけれども、そういった意味で、余りストックだとかそういったところをこの調査では聞いておりません。  しかしながら、ストックの問題というのは非常に大きな問題で、今後、多分財政再建ということで、特に今のコロナが終わった後、ポストコロナでは増税の問題が出てくると思います。こういったところで今把握しているのが、どうしても政府なんかはフローが、フロー中心なわけですね、所得ですとか、消費ですとか。そういったところにまた単純に消費税アップさせようなんていうふうな話になりかねないわけで、そういったところでやはり税体系をしっかり今後検討していくべきだと思っています。  その一つとして、やはりフロー課税中心、つまり所得税だとか消費税、そういったところをアップさせると、それは楽だとは思うんですけれども、そうではなくて、やはりもう少し考えて、ストックですとか、ストックに課税をすることでもう少し消費にお金を回すだとかという形のうまいやり方をしないと、今のその消費税の税率からすると、非常に一国民としてかなり消費が厳しいんじゃないかなと思っております。そういう意味で、今後ストックをちゃんと把握していくということは、政府の統計ですとかそういったところでも重要と思います。  また、こういうデータ利活用の面で問題になっているのは、やはり縦割り行政みたいな形で、どこかのデータ、省庁のデータを使うとほかのデータが使えなかったり、そういった意味で、フロー、ストックだとかいい例ですけれども、立体的に……
  54. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 申合せの時間が来ておりますので、おまとめください。
  55. 大久保敏弘

    参考人大久保敏弘君) はい。  やるべきだと思います。  GAFAの問題に関してですけれども、やはりそのデジタル企業に関してはしっかりやるべきだと。国際課税のルールを今改定するようになっていますけれども、そういった意味で、日本はもっと積極的にそういったところでイニシアティブを取るべきだと考えております。  ありがとうございました。
  56. 矢田わか子

    矢田わか子君 ありがとうございました。  今後の審議の参考にさせていただきます。ありがとうございます。
  57. 田村智子

    ○田村智子君 日本共産党の田村智子です。今日はありがとうございます。  私のこのデジタル改革関連法案での問題意識は、一番は、このAI活用の時代における個人情報保護というところにあります。この間、大分、個人情報保護委員会あるいは大臣とのやり取りをしたときに非常に感じたのが、やはり今の個人情報保護法にある個人権利利益を守るという、その個人権利利益とは何なのかということが非常に曖昧ではないかという問題意識なんです。  そこで、まず宍戸参考人にお聞きしたいんですけれども、確かに、二〇二〇年の個人情報保護法改正によって、不適正使用の禁止とか、あるいは本人利用の停止を申し出たり提供の禁止を申し出たりということが法文上も認められるようになりました、まだ施行はされていないですけれども。  ただ、このときに、前回、質問のときに、例えば要配慮個人情報である妊娠などをプロファイリングすると、これ不適正な利用なんじゃないのかということを聞いても、そういうことをやった上で本人にもたらされる権利利益がどうなのかというような答弁だったように思うんです、結論としては。  振り返ってみれば、リクナビ事件についても、プロファイリングそのものは全く個人情報保護委員会は問題にせずにだったんですよね。本人への説明の不十分さと、プライバシーポリシーが変わっているにもかかわらず、説明されていなかった、本人同意をちゃんと取っていなかった。プロファイリングは問題には直接はされなかったんです。しかし、それではやはりそのデジタル社会といったときの個人情報保護には私は極めて弱い。こういう問題をどうお考えになるのか、まずお聞きしたいと思います。
  58. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) 御質問ありがとうございます。極めて重要な御指摘だというふうに思います。  これまで、個人情報保護法でその個人権利利益目的とするという場合の個人権利利益として、既に確立した実体的なプライバシー権であったり、あるいは財産権であったりと、そういったものが念頭に置かれてきたというふうに思います。  今、AIの利活用を含むそのデジタル時代において求められているのは、こういった中で、先ほど私、人格権というふうに申し上げましたけれども、そのデジタル社会の中でサイバー、フィジカル融合する中で、自分が人間としての人格的自律というものを維持する上でどういった権利が認められるべきか、あるいはどういった不利益から守られるべきかということを明確にすることであるというふうに考えます。  現在の個人情報保護法制の中では、これ、先生がリクナビでいみじくもおっしゃいましたとおり、プロファイリングされることそれ自体を権利として個人情報保護法も定義していなければ、ほかの法制の中にも、法秩序全体の中に存在していないわけです。なればこそ、個人情報保護委員会は違うところで権限発動ということを考えたわけでありますけれども、今後、デジタル時代において、繰り返しになりますが、そもそも不当にプロファイリングされないであるとか、要配慮個人情報に該当するような事項というものを、データをみだりに収集して分析することによってその人にくっつけるというようなことが本当に許されるのかと、それは人格権の侵害になるのではないかと。そして、そういったことを、言わばこれ、実は個人情報保護法だけでなくて憲法運用も含みますし、あるいは民法、それ以外の、例えば本来的にはデジタル権利章典のようなものを作ることも含めて御検討いただかないと、これは個人情報保護法だけでは回らないというふうに私は考えております。
  59. 田村智子

    ○田村智子君 ありがとうございます。  三木参考人にお聞きしたいんですけれども、もう一つその論点になったのが個人情報の自己コントロール権、それは概念としても確立していないということで、なかなか明確な答弁がない状態なんですね。  いただいた資料の中で、やはり平均的な自治体の条例の中で、原則の例外適用目的利用や外部の提供の場合に審議会等の意見を聞くことを要する場というふうに書かれていて、ある意味その審議会というところを通じて自己コントロール権を一定その地方議会の中では条例も作って認めていこうという動きとして発展してきたのかなという印象も受けるんです。ここのその審議会等の役割とか、もう少し具体にお話しいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
  60. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  自己情報コントロール権というのは、例えば自治体ですと目的規定にそういう言葉が入ったりとかしますけれども、むしろ全体の規定を通じてどのような権利とかを個人に認めているかという、全体を通じてやはり確保されていくものだというふうには思っています。  それで、審議会等を自治体が設置している場合なんですけれども、いろんな役割を果たしているんですが、私が経験している範囲で申し上げますと、例えば目的利用の場合に、行政の事務事業上の必要相当の理由がある場合は目的利用ができるとか外部提供ができるとなります。その場合に、相当の理由という言葉自体が一体何を指すのかということは、それはもう解釈、運用の世界になってくるわけなんです。  そうなりますと、行政機関としては使いたいと思えば相当の理由の範囲が裁量的に広くなりかねないというところで、そこを、審議会の意見を聞くことによって、本当に妥当なのかということを行政機関に説明をきちんとさせる。それを受けて、妥当かどうかを審議会で議論をして、多くの場合は妥当と認められてそのままできるということになることが通常なんですけれども、それは言い換えると、審議会で通らないような案件は出てこないという話にもなるわけなので、その時点で、一定程度目的利用、外部提供は抑制的になるという効果もあるんだろうと思います。  それから、自治体の審議会の場合、例えば私が関わっていたところで申しますと、目的外で外部提供した場合には必ず報告が上がってくるという仕組みがあったりとか、外部に委託した場合は必ずどこにこういう案件を委託しましたという報告が上がってきて、個人情報保護に関する措置としてこういうことを講じましたという報告が上がってくるというような、報告を通じて、報告が上がってくるということは、報告された案件について質問ができるというふうになりますので、そこで疑問に思うこととか報告だけでは分からないところを確認していくというようなところで、普通の住民が分かるような話に審議会を通じて翻訳がされてくるというところがあるというふうには考えています。  ですので、審議会の役割としては、そういうことを全くしていないところもございますので、全てがやっているとは言えないんですけれども、ただし、一定程度、第三者のチェックを経なきゃいけないというところで抑制されている効果はかなりあるのではないかと思います。
  61. 田村智子

    ○田村智子君 ありがとうございます。  それで、そういう役割を今度、個人情報保護委員会が国に対しても独立行政法人に対しても地方自治体に対しても行っていくということになる整理なのかなと思っているんですけれども、宍戸参考人のところで、監視社会にならないための監視という提起がある。個人情報保護委員会が率直に言ってそういう役割を果たし得るのかどうか、それを本当に果たし得るとすれば、どれぐらいの規模でどういう機能を持たせることが必要となってくるのか、その辺りはいかがでしょうか。
  62. 宍戸常寿

    参考人宍戸常寿君) 御質問ありがとうございます。  まず最初に申し上げてきたことは、個人情報保護委員会だけでは私無理だというふうに思っております。むしろ、先ほど三木参考人もおっしゃられましたように、例えば地方公共団体では個人情報保護審議会が、今まで活用されていなかったような不幸な審議会も言わば役割を改めてそういった取組をすると。さらに、これは我々、国立大学法人などもそうだと思うんですが、そのような意味で、データガバナンスの仕組みというものをしっかり取り入れるということがあって、かつ個人情報保護委員会がそれを監視、監督し、また一元的なガイドラインなどで考え方を示すと、そして監督権限を行使、監視権限、監督権限を行使するという、その全体をしっかりつくっていかなければいけないというふうに考えております。  もちろん、その手始めとして、個人情報保護委員会自体がかなりしっかりしていかなければいけないということはもちろんでございまして、やはり現在の事務局体制では回らないというふうに思っております。  勝手に、これは当然、予算とか人員、定員のこともありますので、みだりに申し上げるわけにはいかないのですけれども、今よりもイメージとしては倍とかそのぐらいの規模感が本来求められるのではないかというふうに思いますし、また、私、これ実は内閣官房検討会で申し上げたのですけれども、委員会独力でそれが難しい場合に、例えば都道府県の協力を基礎自治体の監視については求めるとか、何か、あるいは国と地方の話合いなどについて総務省連携を図るとか、やはりいろいろな、それぞれ元々強みのある、文脈上あるような機関であったり組織と連携していきながら、しかし同時にやるべきことをしっかりやっていくと。  実は、民間規制も同じ仕組みになっておりますけれども、権限の委任が行われるわけですので、それと同じようなことを公的部門についてもやっていくということをやはり検討していくべきでないかと思っております。  以上です。
  63. 田村智子

    ○田村智子君 同じようなことで三木参考人にもう一度お聞きしたいんですけれども、今度、だから、この法改正によって、今、個人情報ファイル利活用を進めるために、匿名、非識別加工をして民間にその利活用の提案募集も掛けると。これは、原則情報開示請求を掛けて、非開示とならなかった、非開示とならないであろうものは全部提供するのが原則なので、これが都道府県や自治体に広がったときにどういう問題が起き得ると思われるかをお聞きしたいんですけれども。
  64. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  当面は都道府県と政令市が義務的に行うということではあると思うんですが、自治体の場合は、先ほど来申し上げていますけど、目の前に住民がいる状態で個人情報を扱っておられるということになりますので、よほど丁寧に説明をするとか、その必要性を理解してもらわないと、本当にその個人情報を預けて大丈夫かというふうに思う住民が一定程度出てくるのではないかということがあります。  先ほど申し上げましたけど、データ利活用目的ではなくて、何らかの業務上必要があって個人情報を扱っていますので、そもそもの業務に支障とか不信感を抱かれるようなデータ利活用というのは本末転倒だと思っております。あくまでも二次的なものですので、住民と顔が見えるところで行政サービスを行い、そのデータ利用することについて一定の合意形成がないと、自治体そのものに対する不信感につながりかねないので、その問題は十分に考える必要があると思います。  それと、これも先ほど申し上げましたけど、やはり自治体が行っているサービスというのは、特に福祉的なサービスとか社会保障的なサービスというのは、より社会的に立場が弱い人とか脆弱な人を対象にしたものが多いわけです。言い換えると、そういう支援を受けようと思うと、多くの個人情報とかプライバシーを提供するという関係になるわけですね。しかも、それは代替が利かない、ほかに代替手段がないので、行政サービスを頼るということになるわけです。  そういう意味では、ある程度、一定の強制力とか、支援を受けたいときにはかなりセンシティブなプライバシーも提供せざるを得ないという中で、その情報が匿名加工で利用されるというふうになると、それそのものがその特定の層に対してプライバシーをよりその社会利活用させる社会になりますよというメッセージにもなりかねませんので、そこは、何を対象にするかとか本当にそれをやるべきかどうかということはやはり住民が見えるところできちんと議論をしていただかないと、本来の政策とか業務に影響を与えるおそれがあるのではないかと思っています。
  65. 田村智子

    ○田村智子君 最後に、大久保参考人になんですけど、これは、私、本当にどうしてかがよく分からないのでお聞きしたいんですけれども、マイナンバーカードを一生懸命普及しようとされていますでしょう。それで、行政機関が独自にマイナンバーで様々なことを連携して、いろんな行政が効率化されるということまでも私は全面否定するものではないんですよ。もちろん、そこには信頼性が必要だと思いますけれども。だけど、その行政の中でマイナンバーを使ってということと、国民がみんなマイナンバーカードを持って、国民もみんなデジタル化しなさいというのはちょっとかなり話が違うと思うんです。  果たして、なぜ国民はマイナンバーカードを持たなければならないという方向で議論がされているのか、その経済的効果あるいは費用対効果として本当にそれが意味のあることなのか、その辺りのことをちょっとお聞きしたいと思います。
  66. 大久保敏弘

    参考人大久保敏弘君) お答えします。  非常に重要な点、かつ経済学者としても関心のある点です。なぜかというのは、まだ経済学者も、それ本当に研究できれば非常にいい研究だと思うんですけれども、まず一つは、やはり政治がしっかり、国民にどういうことなのかというのをしっかりこれ周知しない限り、多分、国民の間でも、非常に関心はあるんだけれどもよく分からないだとか、今回、私、お示ししましたように、政府に対するデジタル化というのに対して多少懐疑的なところもあるんじゃないかと。  今年末までにデジタル庁だとかと、そういうふうな審議があっても余り関心がないなんて言っている人が半数以上いるわけですね。そういったところを、やはりデジタル庁だとかデジタル化するだとかマイナンバーカード、こういったところが言葉だけ躍っているようなところがあるので、しっかりこれ、政治家がしっかり国民目線で、こういうことだから非常に必要でお願いしますという形で、ただ単に何か上から目線で使うと便利だよと言っていても、いや、どうかな、例えば政府がやることに対して、例えば賛同はできるんだけれども、何か例えば情報がリークしてしまったら困るだとか、いろんな懸念を持ってしまうと。  そういったところで、やはり国民に対して、上から目線ではなくて、やはり下から目線で、こういうベネフィットがあるから社会的にみんな使うといいんだということで、その辺を政治的にちゃんと説明するべきだと思います。国民のその不安が払拭できれば、やっぱりこんなにいいものだということが分かれば皆使うようになるので。  一方で、中途半端な状況というのは一番社会的にあるいは経済的にロスがあると思います。つまり、それはネットワーク外部性と呼ばれているもので、やはり、一人が使っているんじゃなくて、みんなが、全ての人が、ですから、先ほど申し上げたように、全ての国民が使いやすい、あるいは理解して不信感がないようなところでしっかり使うといったところが必要だと思います。それがない限り、やはり上から目線でこれ便利だだとかと言っていても、やはり一部の人が使っているだけにすぎないと。そこがやはり変わらなければまずいと思います。幾ら特典を付けるだとか何かやると言ってもそれは駄目で、それはやはり政治がちゃんと言葉でしっかり国民に説明をするということが非常に必要だと考えております。  以上です。
  67. 田村智子

    ○田村智子君 どうもありがとうございました。
  68. 森屋宏

    委員長森屋宏君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様に一言御礼申し上げます。  参考人皆様方には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十分散会