○田村智子君 何を聞いても同じ
答弁がなされているようにちょっと聞こえてくるんですけれども、
個人情報保護委員会が設置される以前には、各
省庁が所管する業務との
関係で
個人情報の取扱いについて民間事業者を監督していました。
二〇〇二年二月当時、厚生労働省のガイドライン、労働者の
個人情報保護に関する行動指針、ガイドラインですね、ここでは、
使用者は、原則として、
個人情報のコンピューター等による自動処理又はビデオ等によるモニタリングの結果のみに基づいて労働者に対する評価又は
雇用上の決定を行ってはならない。行ってはならない、コンピューター等による自動処理で人事上の評価等々を行ってはならない、それだけでやってはならない、ここまで書いているんですよ。
不適正の例示として、私はそれぐらいのことは
個人情報保護委員会がガイドラインに書くべきだと思うんですが、これをお聞きしてもまた同じ
答弁になってしまうと思いますので、ちょっともう次の
質問に入りたいと思うんですけどね。
それで、このガイドラインではもう一点、二〇〇〇年の
改正で、これもまだ
施行されていないんですけれど、第三十条五項、本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがある場合には当該保有
個人データの
利用停止等又は第三者への提供の停止を請求することができる、こういう条文も新設をされました。
今、私が紹介した十六条の二とか三十条の五項とかというのは、
皆さんに配られた実は資料の中に出てこないんですよ。
施行前だから、
施行前だから私たちが今
法案を審議する資料にはこの条文出てこなくて、本当にね、
施行前に次の
改正やるとこういうことになるんだと思って、本当大変ですよ。あっち見たりこっち見たり、今の
法案がどれなんだ、今の
法律がどれなんだということになっちゃうんでね。
ちょっともう戻りますけど、この
利用の停止、また第三者提供の停止、これ
個人の権利として新たに書き込んだと。これがどう運用されるかということも非常に重要になってくるわけですよ。今のプロファイリングとの
関係でも、やっぱり私は不利益、不当な扱いを受けてしまうと、だから提供しないでくれという権利になるかどうかが問われるわけですよね。
それで、ガイドライン改定の
議論を見てみますと、請求を行うには、法目的に照らして
保護に値する正当な利益が存在し、それが侵害されるおそれがあることとしていて、考えられる事例として次のように示しているんです。ダイレクトメールの
送付を受けた本人が
送付の停止を求める
意思表示をしたにもかかわらず、
個人情報取扱事業者がダイレクトメールを繰り返し
送付している。また別の事例として、
個人情報取扱事業者が法第二十三条第一項に違反して、つまり本人同意を得ないで第三者提供を行っており、本人を識別する保有
個人データについても本人の同意なく提供されるおそれがある。そして三つ目の事例、
個人情報取扱事業者が退職した社員の
情報を現在も自社の社員であるようにホームページ等に掲載し、これによって本人に不利益が生じている。
がっくりくるような例示なんですよ。あのね、これらは違法であり不適切事例だと誰でも容易に判断できるものですよね。本人の同意なく取得していたとか、誰が考えたっておかしいよねっていう事例なんですよ。もっと、デジタル技術ってもっとすごいことになっているわけですから、AIの
活用を念頭に置いて規制の検討が必要になってくると思うんですよ。追い付いていないんですよ、これじゃ。
リクナビ事件もそれからフェイスブック・ケンブリッジ・アナリティカ事件も、どちらも
個人情報保護委員会が事業者を指導した事件なんです。これらを踏まえて、事業者に対して、違法、不適切、
個人の権利利益を侵害するプロファイリングの例示、これこそが必要だというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。ちょっと違う
答弁をしていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。