運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2021-05-11 第204回国会 参議院 総務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月六日     辞任         補欠選任      今井絵理子君     渡辺 猛之君  五月七日     辞任         補欠選任      渡辺 猛之君     今井絵理子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         浜田 昌良君     理 事                 進藤金日子君                 堀井  巌君                 那谷屋正義君                 若松 謙維君                 片山虎之助君     委 員                 石井 正弘君                 今井絵理子君                 片山さつき君                 滝波 宏文君                 柘植 芳文君                 二之湯 智君                 長谷川 岳君                 松下 新平君                 三浦  靖君                 山本 順三君                 小沢 雅仁君                 岸 真紀子君                 吉川 沙織君                 吉田 忠智君                 下野 六太君                 柳ヶ瀬裕文君                 小林 正夫君                 芳賀 道也君                 伊藤  岳君    国務大臣        総務大臣     武田 良太君    副大臣        内閣府副大臣   藤井比早之君        内閣府副大臣   丹羽 秀樹君    大臣政務官        厚生労働大臣政        務官       こやり隆史君        防衛大臣政務官  松川 るい君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 研資君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       時澤  忠君        内閣法制局第一        部長       木村 陽一君        人事院事務総局        サイバーセキュ        リティ・情報化        審議官      東島 義郎君        総務省大臣官房        地域力創造審議        官        大村 慎一君        総務省自治行政        局長       高原  剛君        総務省自治行政        局公務員部長   山越 伸子君        総務省自治税務        局長       稲岡 伸哉君        文部科学省大臣        官房審議官    蝦名 喜之君        厚生労働省大臣        官房審議官    山本  史君        厚生労働省大臣        官房審議官    大坪 寛子君        経済産業省大臣        官房審議官    三浦 章豪君        特許庁総務部長  小見山康二君        防衛省大臣官房        衛生監      椎葉 茂樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地方公共団体情報システム標準化に関する法  律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方公共団体情報システム標準化に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官時澤忠君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 地方公共団体情報システム標準化に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 堀井巌

    堀井巌君 おはようございます。自由民主党の堀井巌でございます。  本日は、この標準化法案に関する貴重なこの質問の機会をいただきました同僚、先輩の諸氏に感謝を申し上げます。  早速質問に入らせていただきたいと思います。  まず、今回のこの法案自治体情報システム標準化取組というものを法的な枠組みの中で進めようとするものだというふうに理解しておりますけれども、今回の標準化法案の意義について教えていただきたいと思います。
  6. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  現状では、自治体ごと情報システムのカスタマイズが行われている結果、維持管理制度改正時の改修等において自治体個別対応を余儀なくされ負担が大きい、情報システムの差異の調整負担となりクラウド利用が円滑に進まない、住民サービス向上させる最適な取組を迅速に全国へ普及させることが難しいといった課題がございます。  こうした状況の中で、複数自治体による情報システム共同利用を通じた仕様共通化取組を進めてまいりましたが、自主的な取組を基本とする中では、業務プロセスの相違や団体間の調整コストなどが課題となりまして、円滑に進みづらいという面がございました。  このため、今回の標準化法案により、国が自治体の意見を聞きながら標準を策定し、自治体標準準拠システム利用を義務付けるなどの法的枠組みを設けることで全国自治体が足並みをそろえ、実効性のある取組となるよう取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。
  7. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  もうこの標準化というのは、私は実は、私事で恐縮ですが、若い頃に静岡県庁で勤めていたときに、この情報化担当仕事をしておりました。大型コンピューターと毎日格闘しながらの仕事でありました。それぞれの個別の自治体がよく似たシステムを個別に購入してそこで運用するよりは、できればうまく技術が進展して統一した形であればコスト削減にもつながるのになと思った記憶がございます。  同時に、今回のこの法案クラウドサービス法律十条にもクラウド・コンピューティング・サービス関連技術活用ということで、現代の技術であるこのクラウドサービス利用していこうというふうになっていますけれども、これは住民サービス向上にも私はつながっていくというふうに期待はしております。  今、総務省の方で、税務局の方で、この標準化法の私はこれ先駆けになるんじゃないかというふうに思いますけれども、クラウドサービス仕組み利用しながら住民サービスを行っておられるeLTAXという地方税申告仕組みがありますけれども、このeLTAXの内容、このeLTAX仕組み地方税申告のみならず国税年金情報やり取りをする仕組みとして活用されているというふうに承知しておりますけれども、その概要について御説明いただければと思います。
  8. 稲岡伸哉

    政府参考人稲岡伸哉君) お答えを申し上げます。  地方税ポータルシステムであるeLTAXについては、現在全ての地方団体接続し、委員指摘のとおり、地方税申告のほか、給与年金からの特別徴収に関する情報やり取り国税地方税情報連携等が電子的に行われております。  また、令和元年の十月からは、地方税共通納税システムの稼働により、主として法人に関係する税目について、申告から納税までの一連の手続eLTAX経由で行うことが可能となるなど、順次対象手続を拡大してきたところでございます。  そうした中、地方法人二税の電子申告率が七〇%を超えるなど、eLTAX利用は着実に進んでいると受け止めております。  このように、eLTAX活用が進むことで納税者利便性向上課税当局業務効率化省力化などに資するものと考えているところでございます。
  9. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  私、また私事で恐縮でございますが、総務省で勤務していたときに、このeLTAX担当をしておりました。当時はまだ全国地方団体が全て接続しているわけではなかったので、これ、利用する企業からすると、申告しようとしても全ての団体に電子的に申告できるようなわけではありませんでした。一部の団体には紙で申告しなければならなかった。そして、今の御説明によれば、今全ての地方団体接続されておりますので、国民の側からとってみれば、申告は電子的にやれば全ての自治体が受けてくれるというような仕組みになった。私は、これは住民サービス向上に大変資するものであるというふうに思っております。  今日は、これから、そのことと併せて、今日は特にセキュリティー確保という点について、その観点からいろいろ質問をしていきたいというふうに思っております。  そこで、まず一つ目質問として、自治体がオンラインでこのような仕組みを構築していこうというときに、当然セキュリティーのことを考えるわけですから、そのときに、今までの努力として自治体がみんなでつくり上げてきたLGWANというネットワークシステムがあります。eLTAXも、このLGWANという自治体共同でつくり上げてきたネットワークを使いながら、セキュリティー確保しながら運用されているというふうに思いますけれども、まずこのLGWANというものがどういうものであるのか、現状について御説明いただければと存じます。
  10. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  LGWANは、自治体間及び政府機関を相互に接続した行政専用ネットワークであり、ファイアウオール設置通信経路におけるデータ暗号化侵入検知システム設置専門家による二十四時間三百六十五日のセキュリティー監視等により高度なセキュリティー確保されております。  また、LGWAN利用して、民間事業者等提供する財務会計電子入札などの業務システム地方公共団体利用できるようにするLGWANASPサービス提供されており、このLGWANASPサービス提供を行うシステムセキュリティー確保地方公共団体間のサービス共同利用による経費の削減等が実現されております。  加えて、LGWANは、マイナンバーを用いた情報連携や御指摘をいただいておりますeLTAXなど、各種行政事務におけるデジタル基盤として幅広く利用されており、自治体セキュリティー向上業務効率化重複投資の抑制などに関して極めて重要な役割を果たしていると認識しております。  以上でございます。
  11. 堀井巌

    堀井巌君 私は、これまで地方自治体共同で、みんなで努力を重ねながらセキュリティーをしっかりと確保したネットワーク運用していくということでこのLGWANをつくり上げてこられた、そして今eLTAXを始めとする重要なサービスの中で使われていると、私は大変評価をしたいというふうに思います。また、今後、デジタル庁あるいは総務省がより主体的にこのLGWANに関わっていくということも、私はセキュリティーをより強固なものにしていくという点からも評価をしたいというふうに思っております。  そこで、まず、次の質問なんですけれども、これ標準化をするということは、これまでの例えば税でいいますと、eLTAXのような電子申告のみならず、恐らく考えておられるのは基幹系システム、その統合というものも当然視野にあるんじゃないかというふうに思います。  ちょっと私の拙い経験を申し上げますと、例えば静岡県で、これはもう大分昔ですけれども、大型コンピューターの時代がありました。そのときには、絶対にデータが、県税データが失われないように、県庁の一番新しい建物免震床の部屋のところに大型コンピューター設置して、そしてデータについてはリールを別の場所にも運びながら、絶対にこのデータは外とは接続しない、漏れないようにということで、しかも地震や何かが起きても、データが破損しても必ずバックアップは取ると、こういうことを慎重にやりながら運用してきたわけであります。これは今でも、静岡県庁に聞きましたら、基本的な考え方は変わっていないということであります。  その後、私は縁がありまして、今ここにいらっしゃる石井委員の知事の下で岡山県でも勤務をさせていただいたわけでありますけれども、その岡山県においても、この税務システムというのは、県庁内ではないんですが、県庁の外の堅固な建物の中にきちんとデータをしっかり管理をする、セキュリティー確保された場所管理をするという方法でこの税務システム、もちろん、その税務のみならず、県職員や、警察職員や、学校の先生の教職員の方々の給与や何かのいろんなシステムデータをしっかりと確保しているわけであります。  これを今度は一つクラウドという形で、どこかにサーバーを置いて、そしてネットワークをつないでデータやり取りしながらやっていこうということになるわけであります。そうなりますと、セキュリティー確保されていることが何よりも一番の私は重要な課題になってくるんだろうというふうに思います。  ネットワークでつながりますと必ずデータが流通しますので、そこに不正にアクセスしようという者が出てまいります。先日も、内閣府のファイル共有サーバーに対する不正アクセスがあったということもあります。また、JAXA宇宙航空研究開発機構を始めとする二百の研究機関企業に対して中国からハッキングが行われたという事案もありました。必ず、今度、これ税の例えば基幹システムを構築したら、我が国の税の情報でありますので、ハッキングする側からしたら、これはハッキングしないでおこうとは思わない当然ものになってくることを想定しなければならないわけであります。そういったことを、いかにしっかりとセキュリティー確保しながらより良いクラウドサービスを中心としたネットワークを、信頼できるネットワークを構築していくかと、ここが私は、この標準化法が実りの多いものになるかどうかの一番の重要なポイントだと、そのように考えております。  そこで、まず、ちょっと事実関係だけお伺いをしたいと思います。  現在、自治体において、このクラウドというもの、クラウドサービスというのはどの程度使われているんでありましょうか。その場合、答えられる範囲で結構でありますけれども、例えばネットワークや何かを活用していると思いますけれども、その場合、どういう契約になっていたり、個人情報の保護や何かはどのように行われているか。いろいろなたくさんの契約があると思うのでなかなか一つに絞って言えないかもしれませんが、分かる範囲で結構ですので、お答えいただければと思います。
  12. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  自治体クラウド導入団体令和二年度で千二百七十九団体であり、平成二十六年度と比べて七百二十九団体増加しております。  また、住民情報税情報等を扱う自治体クラウド等は適切なセキュリティー対策が重要であり、自治体クラウド等への接続のためのネットワークについては、地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインにおいて、行政系ネットワークLGWANに集約するよう努めること、通信回線として利用する回線情報資産重要性に応じて適正なセキュリティー機能を備えたものを選択しなければならないこと等を求めております。  また、個人情報管理等を行うデータセンターについては、災害等による同時被災を回避するためのバックアップデータの別施設等への保管、情報システム室等に対する入退室は許可された者のみに制限すること、国内データセンターを選択する必要があることなど、必要な情報セキュリティー対策を講ずるよう求めているところであり、各自治体において適切なセキュリティー対策を講じつつ、クラウド活用が着実に進められてきたものと認識しております。
  13. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  国の方は、このセキュリティー確保のための様々な手順というんでしょうか、ルールというものを示しながら、各自治体がそれに倣う形で適切にやられてきたと。私もそのようには思っておりますけれども、様々なサービスをたくさんのいろんな自治体がやったときに、果たしてそれぞれの自治体が、例えばクラウドサーバーがどこに置いてあるのか、あるいは、それをつなぐネットワーク専用線だというけれども、その間にある機器が、例えば中国製のちょっといろいろ問題になったようなルーターや何かが間に入っていて、知らない間に、自分たちの知らない間にデータが外に出てしまっていたというようなことが本当にないんだろうかと。皆さんやっぱりそのことも不安に思うし、それは、もっと言えば、住民個人情報も含まれるわけでありますので、国民自体がそのことについてやはり不安に思うかもしれない。そこを、いや、絶対大丈夫です、しっかりやりますということが、その信頼があって初めてこのクラウドサービスというのが私はやっぱり進むんだろうというふうに思っております。  そこで、ちょっとeLTAXの方の、税務局の方にお伺いしたいんですけれども、これ、eLTAXの方は一つの今例として示させていただきましたが、LGWAN活用して、政府としては、この専用線活用しながらセキュリティー確保を努められているということでありますけれども、どのようにこのeLTAXについてはセキュリティー確保されていますでしょうか。
  14. 稲岡伸哉

    政府参考人稲岡伸哉君) お答えを申し上げます。  eLTAXにおきましては、地方団体との間の情報の送受信にLGWAN活用しておりまして、行政専用ネットワークであるLGWANについてはデータ暗号化ファイアウオール設置などの措置が講じられているほか、LGWANASP事業者等についても高いセキュリティー対策を講じることが求められております。  また、eLTAXとの接続を行う認定委託先事業者に対しては、LGWAN運営主体からLGWANASPサービス提供者として登録を受けていることに加え、国が定める安全性基準を満たすことを求めております。  さらに、eLTAX運営主体である地方税共同機構においてセキュリティー対策に係る外部監査を受けるなど、eLTAXセキュリティー確保に努めているところでございます。
  15. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  ちなみに、税務局長eLTAXの例えばサーバーがどこに置かれているか、あるいはどのような形でそのデータがそのサーバーから各自治体に流れているかというような詳細については、自治税務局総務省は具体的に把握はされていますでしょうか。
  16. 稲岡伸哉

    政府参考人稲岡伸哉君) お答え申し上げます。  eLTAXシステムの詳細については、当然でありますが地方税共同機構において把握をしているところでございますが、総務省としても、地方税共同機構からセキュリティー対策に係る外部検査の、外部監査の結果について報告を受けるなど、eLTAX運用に関し必要な事項について把握をいたしております。  セキュリティー観点から詳細は申し上げられませんが、eLTAXデータセンターの位置についても把握をしているところでございます。
  17. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  今おっしゃったように、詳細はもちろんこの場ではなかなか明らかにできないと思いますけれども、把握をしているということが私は大事だと思うんです。クラウドだから、雲の向こう側だから、LINEの問題のように実はデータセンターが韓国にあった、そして中国からもそれが閲覧可能であったというようなことになってはいけないわけで、きちんと安全な場所にあるということを把握できる、把握しているという私はことが非常に重要ではないかというふうに思います。  ここで内閣官房の方にお伺いをしたいと思います。  今回、内閣官房の方は、今度デジタル庁ができて、こういったガバメントクラウド、すなわち自治体が使うようなこういうシステムデジタル庁総務省が主導しながらクラウドサービス進めていこうとされているわけでありますけれども、この自治体情報システムに関して国はどのようにセキュリティー確保しようとされていますでしょうか。
  18. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) お答えいたします。  ガバメントクラウドでございますが、これは政府情報システムにつきまして共通的な基盤機能提供する複数クラウドサービス利用環境でありまして、地方公共団体情報システムにつきましてもこのガバメントクラウド活用できるように検討しておりまして、十七の基幹業務について、令和七年度までにガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムへの移行というものを目指しております。  このガバメントクラウドセキュリティー対策でございますけれども、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度というのがございます、ISMAPというのがありますが、このISMAPに登録されたサービスから調達をするということを原則としまして、それらのサービスのうち、不正アクセス防止データ暗号化などにおきまして最新かつ最高レベル情報セキュリティー確保できること、クラウド事業者間でシステム移設を可能とするための技術仕様等が公開され、客観的に評価可能であること、現在IT室によって策定中の技術要件等を全て満たすこと、システム開発フェーズから運用廃棄に至るまでのシステムライフサイクルを通じた費用が低廉であること、契約から開発運用廃棄に至るまで国によってしっかりと統制ができること、そして、データセンター物理的所在地日本国内としまして、情報資産について合意を得ない限り日本国外への持ち出しを行わないこと、一切の裁判は日本の裁判所が管轄するとともに、契約の解釈が日本法に基づくものであること、こういった条件を満たすものを選定することとしております。  その上で、地方公共団体業務で取り扱うデータへのアクセス権限、これはデータを所管する地方公共団体がそれぞれ設定をするとともに、各地方公共団体データが格納されるクラウド上の領域、これは他のデータが格納される領域と論理的に分離することとされておりまして、各地方公共団体情報をそれぞれの地方公共団体管理するというものになるものでございます。  ガバメントクラウド移行に係る課題検討を行うため、先行事業というのを実施する予定でございます。これに基づいて更に検討を進めまして、地方公共団体ガバメントクラウドを安心して効果的に活用できる仕組みを構築してまいる予定でございます。
  19. 堀井巌

    堀井巌君 ありがとうございます。  しっかりとそのサーバーや何かも国内に置く、当然のセキュリティーの配慮だと思いますけれども、こういったことをやはり国がしっかりと担保しながらやっていただくということが何よりも重要だというふうに思います。  eLTAXの私担当だったときに、こんな経験がありました。そのクラウド事業者の方に、済みません、サーバーどこにあるんでしょうかと聞きました。当時は、企業秘密だから答えられませんということがありました。これなので、今は、先ほど税務局長が御答弁されたのを、一応把握はしておりますということですから今は安心ですけれども、当時そんなことがありました。  そうすると、例えば、そんな状況の中でクラウドばっかり進めてしまうと、例えば、Aという事業者サービスをやっていて、ところがAという事業者情報漏えいが発覚した、Bという事業者に替えなきゃいけない、こういったときに本当にデータ移行や何かも円滑にできるのか。その権限なりその主導権というのはやはり利用者側、自治体である側がしっかりと握ってなきゃいけないと私は思うわけでありますけれども、そういった、どのように行っていかれるのかというのをお伺いしたいと思います。  あわせて、そのためにも、もう一つ質問も併せてお伺いしたいと思いますけれども、私は、今までこの自治体共同で構築してこられたようなLGWANという専用回線、ここにつなぐかつながないかというのは、自治体なり今度はデジタル庁なり総務省側が決められるわけですから、まずい業者がいれば接続を遮断するということもできるわけであります。やっぱりそういった権限をしっかりとデジタル庁なり総務省なり自治体側が持ちながら、セキュリティー確保をしながら進めていっていただきたい。  LGWAN活用についても私はしっかり考慮していくべきだと思いますが、併せてお伺いできればと思います。
  20. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 国がガバメントクラウドを調達するに当たりまして、地方公共団体が自ら管理する情報を安心して預けていただくことができるよう、先ほど答弁しました各種の条件などを契約において担保するということを想定しております。  そして、クラウド事業者間の移行につきましては、ガバメントクラウド複数クラウドサービス事業者提供する複数サービスモデルを業務要件に合わせて選択し、相互に接続して構築する予定でございます。仮に、あるクラウド事業者に問題が生じるような場合でありましても、クラウド事業者間でシステムデータを移設させることができるよう、クラウド事業者間の移設を可能とするための技術仕様等の公開を契約において担保する予定でございまして、ガバメントクラウドセキュリティー対策につきましては、最新の技術動向なども踏まえて万全を期してまいりたいと思います。  また、LGWANでございますが、ガバメントクラウドを安心して利用していただくというためには、やはり接続するネットワークにつきましてもセキュリティー確保するという必要があると考えております。これまで地方自治体地方公共団体ネットワークにつきましては、専用の閉域ネットワークとしてLGWANが構築、運用されております。全ての地方公共団体共同セキュリティー向上に取り組んできたことは意義のあるものと承知をしております。  今後、ガバメントクラウド接続するネットワークにつきましても、個々の地方公共団体のみの課題ではなくて、各省や全ての地方公共団体に共通する課題として取り組む必要があると考えております。  昨年末に閣議決定をいたしましたデジタル・ガバメント実行計画におきましては、政府ネットワークの再構築に当たりまして、国、地方全体を通じた効率的かつ高品質なネットワーク環境を整備することを目的に必要な検討、対応を行うということとされているところでございまして、地方公共団体ガバメントクラウドを安心して利用する環境構築に向けまして、今後具体的な検討を行ってまいりたいとも考えております。
  21. 堀井巌

    堀井巌君 是非頑張っていただきたいというふうに期待を申し上げます。  もう最後に、大臣、こういった、今まで自治体LGWANや何かをつくりながらセキュリティー確保に取り組んでまいりました。それに加えて、今回、国がデジタル庁、そして関連五法案標準化法で更にクラウドサービス推し進めようとしていますけれども、そのためにはセキュリティー確保をしっかりとしていくことが重要だと思いますが、その主軸たる総務大臣の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  22. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) LGWANは、自治体セキュリティー向上業務効率化重複投資の抑制などに関して極めて重要な役割を果たしていると認識をいたしております。  令和七年度末までにガバメントクラウド上で標準準拠システムを安定的に利用するためにも、委員御提案のとおり、これまでの取組を有効活用しながら、関係省庁と連携しつつ、自治体のデジタル化を進めてまいりたいと考えております。その中で、これまで構築してきた地方公共団体の資産であるLGWANは重要な役割を果たし得るものと、このように考えております。
  23. 堀井巌

    堀井巌君 終わります。
  24. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。  すぐにでも法案、今日は七十分という時間をいただきましたので、法案質疑に入りたいところですが、法案に入る前に、武田大臣一つ聞いていただきたいお話があります。  新型コロナウイルス感染症の対策について、どうも最近、国と地方の関係がすっきりしないと私は考えています。その中でも、国と自治体の関係というのは、この間私もずっと再三にわたって大臣に確認してきていますが、対等ですよねという確認をさせていただいています。ですが、このコロナ対策においては、自治体が主導したいと思っても国が介入したり、一方で自治体の責任にしたりと都合よく解釈しているのではないかと思うことが多々あります。  今、すごく驚いたんですが、ほかにもいろいろな、これまでも様々な事務連絡とか通知が自治体に届いていて、はっきり言って技術的助言を超えたものだと私は感じるものがたくさんありました。でも、今回、武田大臣が四月二十三日に自治体に文書出していますよね。この文書、どんなものかというと、七月末に高齢者のワクチン接種終了をせよといった命令とも取れるような内容の文書なんです。  これ、本当に自治体びっくりしました。本当であればゴールデンウイーク明けにはクーポン券を発送する予定だったのを、この通知が、まあ圧力とも取れるような通知が来たから全部やり直しですよ、計画を皆。質問はしないから大丈夫です、聞いていただければ。  で、そのワクチンが結局いつ届くか、どこに届くか、どのぐらい届くのかというのが分からないからこそ自治体は接種の計画が立てれずに困ってきて、でも、今ある分で何とか進めたいと。あくまでもこれ法定受託事務ですが、自治体としては打ちたいと思っている方にいち早く届けたいんですよ、ワクチン。にもかかわらず、そういった、本当であれば、圧力じゃなくて、支援するというのはそういうものじゃないんですよ。にもかかわらず、こういうことが来て、結局ゴールデンウイークに自治体の職員は計画をやり直して、クーポン券の発送もやり直すというような、かえって手間が掛かって遅れるというような実態になってしまっているんです。  これは地方自治への介入であって、無用な自治体間の、これからワクチンがどのぐらいどの自治体で打っているかという無用な競争にもつながるし、やるべきではなかったと私は考えます。これまでも再三言ってきましたが、国と地方は対等であるということをお願いだから忘れないでほしいんですよ。  そのことをきちんと忘れないでほしいのと、これまでも、総務省として自治体を支えるというのであれば、方針が二転三転したからこそやり直しさせられてきたんですよ。そういったことをさせないで、きっちりとその議論を国でしてから、政府の方針きちんと決めてから自治体に通知するということこそ今自治体が求めていることであり、こういったようなものではないんです。  大臣、さっきも言いました、答弁は求めませんが、国と地方は対等であるということをきちんと念頭に置いていただいて、システム標準化法案質問に入ります。  最初に内閣官房伺いますが、DXは、デジタル法によって組織の文化が変わるというよりも、組織の文化を変えていかないとデジタル化に付いていけないという意味だと私は思います。  政府はデジタル化を掲げてデジタル関連法案を今国会に提出をいたしました。デジタル化によって、国民利便性を考えたら、もっともっとたくさんの議論が必要だったんではないかと私は感じます。二〇〇〇年に高度情報通信ネットワーク社会形成基本法ができたときから数えれば時間は経過しているんですが、中身の議論は果たして積み上げられてきていないんではないかと感じます。  例えば、昨年、政府が一律十万円の特別定額給付金を支給するときに、住民の感染を防ぐために、私はこの総務委員会でも質問させていただきましたが、総務委員会内閣委員会かもしれない、年金口座番号を把握している人は、その情報をもって振り込みに使用してはどうかと委員会の中で質問したことがあるんですが、結果として、省庁が違うのでそれはできませんという回答がありました。  本来であれば、こういった省庁の横断といった手続とか組織の在り方や文化こそ変えなければならないのではないかと考えますが、藤井副大臣にお伺いいたします。
  25. 藤井比早之

    ○副大臣藤井比早之君) お答えいたします。  今回の新型コロナウイルス感染症への対応、まさにそのような事態におきまして、行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れなど、様々な課題が浮き彫りになったというふうに理解をしております。  その要因といたしましては、国や地方自治体情報システムが個々にばらばらで十分な連携がなされていないなど、各省庁や地方自治体が個別にデジタル化を進めてきたことで、その結果としてデジタル化の取組が中途半端なものになったものと考えておるところでございます。  こうした課題に対応するため、デジタル庁は、組織の縦割りを排し、統一的にデジタル化を進めるための司令塔として、これまでの総合調整機能に加え、関係予算の一括計上、配分権限を有する強い実効性を持った組織であり、政府情報システムを統括、監理することといたしております。  具体的には、昨年度から全ての政府情報システムを対象として一元的なプロジェクト管理を開始し、政府情報システムデジタル庁が整備から運用まで責任を持つデジタル庁システム、整備段階ではデジタル庁が、運用段階では各府省が責任を持つデジタル庁・各府省共同プロジェクト型システム、各府省が整備から運用まで責任を持つ各府省システムの三類型に分け、デジタル庁が自ら整備、運用を行うとともに、各府省システムについても各府省に対する勧告権などを有することとしております。  このように、デジタル庁に司令塔機能を与え、行政の縦割りを打破し、デジタル化を強力に推進することにより、国民がデジタル化の利便性を実感できる社会を築いてまいりたいと思っております。
  26. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 これから議論というんですが、本当であれば先にこういったことを議論して法案を提出した方がよかったんではないかと考えます。  今回のマイナンバーの預貯金口座のひも付け法案を見ても中途半端で、自然災害時や相続するときの一括手続のことしか盛り込まれていないんです。  例えば、みんなが関係してくることで想像できるものとして一つ例を挙げさせていただきますが、年金手続、これまで必要であった年金の請求の申請であったり住所変更の手続とか、こういったものがマイナンバーと口座をひも付けることによってそもそも手続自体が不要になるとか、例えば、毎年、年金って現況届って出すんですね、生存確認ですよ。こういった現況届というのがマイナンバーとひも付けされれば生存確認が自動的にできるから要らなくなるとか、国民は、手続はこういった面でいうと不要になるので便利になると思うんですが、今回こういうのは議論されていないんですね、残念ながら入っていないんです。  そして、行政としても、こういったものを進めると、これまで受給者が死亡したときに自動的に受給権が消滅され、家族が届出をしなくても。不正受給がされている、今も何か、実際には亡くなっているんですが、御遺族の方が届出をしていなくて何年も年金が支払われていたというニュースがたまに出ることがありますが、こういった不正受給も防ぐことができるんです。  これは年金の例ですが、ほかにも住民生活に関わる手続というのはたくさんあります。  デジタル化というのは、手続の簡素化もセットでなければ本当の意味で国民利便性にはならないのではないでしょうか。どうせデジタル化の法案を出すならなぜこういったことを盛り込まなかったのか、また、どういった検討をしてきたのか、お伺いいたします。
  27. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) お答えいたします。  行政手続のデジタル化に当たりましては、デジタル化自体を目的とせずに、利用者の利便性向上を目指して業務改革、BPR、これを事前に徹底することが重要と認識しております。  具体的には、システム整備に当たりまして、事前に対面原則や書面原則など制度そのものを見直す、利用者と行政機関との間のフロント部分だけではなくて、バックオフィスも含めましたエンド・ツー・エンドで業務フロー全体を整理しまして、デジタルを前提として業務プロセスを再構築する業務改革を実施、この徹底が重要だと考えております。その際に、例えば添付書類を求めている場合は、その必要性を改めて精査した上で、そもそも不要ではないか、そういった不要化を検討し、それでも必要な場合は行政機関間の情報連携による添付書類の省略等を併せて実施することも必要と考えております。  政府としましては、これを、デジタル・ガバメント実行計画においてこうした方針を明記しているところでありまして、引き続き行政サービスの刷新に取り組んでいくこととしております。
  28. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 この法案にはないんですが、年金マイナンバーもひも付けされる予定なのではないかと考えますが、しかし一方で、年金は厚生年金と共済年金との一元化をしてから五年経過しているんですが、いまだにデータベースの互換性が取れなくて、過払い、未支給が全国で起きてしまっているんですね。省庁間の連携こそ必要であって、今御答弁いただいたように、制度そのものを見直すとか業務改革を見直すというふうに答弁いただきましたが、言葉だけのデジタル化となっていないのかというところが気になります。  本来であれば、それを先に議論した上で法案を出すべきではないかと。今回改正したら、しばらく改正しないのではないかと思うんですよ、成立したらですね、法案が。早くても五年は改正しないというふうになってしまったら、今中途半端な法案を出すのではなくて、一年先でもいいので、意味のある議論をしっかりとして出すべきだったのではないんでしょうかね。  副大臣お答え願います。
  29. 藤井比早之

    ○副大臣藤井比早之君) お答えいたします。  まさに新型コロナウイルス感染症への対応として明らかになったこのデジタル化の遅れ、これにスピード感を持って対応することが必要でございます。省庁の縦割りを打破し、デジタル化を強力に推進するための司令塔機能を有するデジタル庁を創設し、デジタル・ガバメント実行計画に定めている行政手続の簡素化等の基本的な考え方が政府全体で確実に実施されるための必要な権限を付与するなど、デジタル改革を実行する上で必要な仕組みを設けることとしております。  まさにデジタル化は喫緊の課題でございまして、デジタル庁設置するなど、今後の検討を強力に推進していくための基盤をつくる、このことを今回の法案で進めているところでございまして、今後、具体的な制度設計を含め、関係省庁等と検討を行っていくべき個別の施策、先ほど委員からは年金の話をしていただきましたけれども、こうした年金含めた社会保障、そしてまた税、災害の三分野以外におけるマイナンバー利用した情報連携、この三分野も含めてでございますけれども情報連携、そしてまた、在留カードとマイナンバーカードとの一体化、戸籍における読み仮名の法制化といった事項について、こういった事項についても検討の工程表をお示しするなどしているところでございまして、こうした検討課題については着実に来年以降の実現を目指して検討を行ってまいりたいというふうに考えております。  また、デジタル化で業務効率化したことにより行政機関内で業務負担が軽くなった職員にはよりサポートを要する方々に対する一層きめ細かい対応を担ってもらうなど、デジタル改革が進むことで地域の実情に応じた行政サービスの質の向上が図られるものと考えておりますので、推進してまいりたいと考えております。
  30. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 今御答弁いただいたように、コロナによってデジタル化が遅れているというのが明らかになったというのは一つの理解で分かりますが、一方で、コロナだからこそ今このデジタル改革をやっている場合かというのもあるんですね。これ時間掛かりますから、このコロナにみんなで集中して対策打たなきゃいけないときに、なぜこれを進めたのかというのはちょっといまいち理解ができないところです。  次の質問に入ります。  デジタル社会形成基本法の第二十九条に、国及び地方公共団体情報システム共同化又は集約の推進というふうにあります。全国一律の共同化は、自治体によって手続や処理方法が異なるため、不可能に私は近いと考えます。もしも共同化を進めようとして自治体の処理方法、プロセスですね、それを統一しようと考えているのであれば、それは明らかな地方自治への介入です。  ここで言う共同化はいかなる考えで書き込んでいるのか、お伺いいたします。
  31. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 共同化又は集約という言葉でございます。これは、一部に異なる事務を行っている主体も含めまして、例えば、国でいうと府省間、府省と地方公共団体、都道府県と市町村、こういったことも含みますけれども、同一の情報システム利用することを意味するということでございます。  そして、それを前提としまして、デジタル社会形成基本法案の第二十九条におきましては、国、地方公共団体がデジタル社会の形成に関して講ずべき施策の根幹を成す規定としまして、国、地方公共団体情報システム共同化又は集約の推進という言葉を使っております。これを始め、必要な措置が講じられなければならないと規定をしております。  推進という言葉でございますが、これ、推し進めるということでございます。情報システム共同化又は集約を行うということだけではなくて、それに加えまして、共同化又は集約に向けて検討を進めるということも含まれるものでございます。これをもって地方公共団体に画一的な対応を求めるということではございません。仮に具体的な義務付けを行うということになりますと、これは別途個別の法律が必要になると考えております。  したがいまして、結果的に共同化又は集約というのが実現できない場合も法律上は否定されるものではないということで、地方公共団体の裁量を制約するものではないというふうに考えております。
  32. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 今御答弁いただいたように、地方公共団体の裁量を制約するものではないという答弁はしっかりと受け止めさせていただきます。  次の質問ですが、このデジタル社会形成基本法の三十条についてもお伺いをします、自治体に関わる項目ですので。  国民による国及び地方公共団体が保有する情報活用というふうになってございますが、ここで言う情報範囲というのは一体何なのかというところです。どんなことを言うのかと。例えば、道路の混雑状況などは、あと道路の整備状況とかですね、そういうことは国民も知りたい情報であると思うんですが、政府が考えているような特定の地域にどんな人が住むかという情報は果たして国民が知っても利益になるのかどうかというところなんです。国民の利益じゃなくて、企業しか利益を得ないのではないかと疑ってしまうんですね。国民ではなく、企業の利益活用となってしまっているかというのがすごく心配なんですよ。  また、自治体情報提供するかしないかというのは、あくまでもそれぞれの自治体で判断することという理解でよいかというのをお伺いいたします。
  33. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) お尋ねのありましたデジタル社会形成基本法案第三十条は、国及び地方公共団体が保有します情報のうち国民生活に有用なものを対象としまして、国民誰もがインターネット等を通じて容易に加工、編集、再配布等をできるようにする、いわゆるオープンデータというような、オープンデータという言葉を使っておりますが、この取組を進めることを念頭に規定しているものでございます。  情報国民生活における有用性につきましては、当該情報を保有する国又は地方公共団体において、情報の性質を踏まえ適切に判断されるものと考えております。  デジタル社会基本法案を始めとする関連法案を踏まえた関連施策を講じながら、オープンデータ取組を推進してまいりたいと考えているところでございます。  なお、この規定によりまして、特定の情報について国や地方公共団体に公表あるいは活用の義務が掛かるといったものではございません。義務付けを行うには別途法律が必要だというふうに考えております。
  34. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 あくまでも自治体の裁量で情報を公表するかどうかというのは判断していきますよと、個別にということですよね。  オープンデータといいながらも、何か聞いていると、国民が果たしてそういった個人情報とかをどうやって加工して使うのかなというのも、全くちょっと、本当に利益は国民のためなのか、企業のためなのかというのがちょっと払拭し切れないと感じるところがあります。  政府は、行政デジタル改革の一環として構築するクラウド版、ガバメントクラウドを目指していると聞いています。構築や運用は、今後つくっていくデジタル庁、仮称ですが、ここが担当することとなっています。  ガバメントクラウドを使う使わないは、先ほども答弁いただきましたが、再度確認ですけど、自治体の裁量ということでいいか、その理解でよいか、藤井副大臣にお伺いします。
  35. 藤井比早之

    ○副大臣藤井比早之君) 現在御審議いただいております地方公共団体情報システム標準化に関する法律案におきまして、ガバメントクラウド上の標準準拠システムへの移行につきましては、第十条の規定により努力義務としているところでございます。  ガバメントクラウドとは、政府情報システムについて共通的な基盤機能提供する複数クラウドサービス利用環境であり、地方自治体情報システムにつきましてもガバメントクラウド活用できるよう検討を進めることとしております。  ガバメントクラウド活用することによりまして、サーバー、OS、アプリを共同利用することによりコスト削減につながること、新たなサービス導入のためのシステムの迅速な構築、柔軟な拡張が可能となること、アプリ移行の際のデータ移行が容易になり、ベンダーロックインを回避し、サービス向上につながること、庁内外のデータ連携が容易となり、ワンスオンリーのサービス提供しやすくなること、各団体が個別にセキュリティー対策運用監視を行う必要がなくなり、安全にシステム利用することができるようになることなど、住民利便性向上と地方自治体業務効率化が期待されるというところでございます。  したがいまして、このようなガバメントクラウド活用することの意義や利点を地方公共団体の皆様と共有をし、その意見を丁寧に聞きながら、地方自治体と一緒にデジタル化の取組を進めてまいりたいと考えております。
  36. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 ガバメントクラウドですが、使う使わないというのは自治体で決めるといいながら、既に地方財政におけるインセンティブという名前で交付税の算定が、人員削減、これまで人員削減、交付税でインセンティブって付けてきたんですが、クラウド導入に移行してきているというのがあるんですよ。  それと、先月の二十一日に財務省が地方財政の分科会行っているんですが、この中でも、残念ながら、このデジタルガバメントを使えば、あっ、じゃなく、ガバメントクラウドを使えば令和八年度までに平成三十年度比で少なくとも三割の削減を目指すことができるというように、お金のことも言い出しているんですね。だから、将来的にこれ強要されるんじゃないかということをすごく心配しているんですよ。こういった交付税による誘導は絶対にしないでいただきたいということを申し入れておきます。  先ほど答弁にもありましたが、セキュリティーの問題もあります。今日、資料で配付しておりますが、内閣府が情報大量流出かという新聞記事と、二枚目にも記載、二枚目も配付していますが、この内閣府の不正アクセスのことの新聞記事です。  どれだけセキュリティーを高めても、こういったことはあり得ると私は考えます。当然、セキュリティー強化は抜かりなくしていただくことが前提です。しかし、サイバー攻撃は、この二枚目にも書いてあって、この赤い線引いてありますが、「高いセキュリティー機能が売りのファイルゼンは特殊な構成のハードウェアで作られ、システムの改ざん防止対策が幾重にも施されていた。」と書いてあるんですね。当然、こういったところはセキュリティー強化をしているんですが、サイバー攻撃のようなものはイタチごっこの部分もあるということを忘れてはいけないと、このことが事案として出ているのではないかと思います。  私は言いたいのは、だからこそ情報は分散させて保管するのがいいんじゃないかと、管理するのがいいんじゃないかということです。分散させることによって安全だということなんです。構想としては情報を集めて管理した方が安価で良いと思われるのかもしれませんが、自治体が持つ情報はそれぞれが管理すべきではないでしょうか。  また、もしも個人情報が漏えいするようなことがあれば、どこが責任を持つのかというところがまだ明らかになっていません。管理している内閣官房なのか、それとも企業なのか、自治体なのか、それは責任はどうなっていくのか、教えてください。
  37. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) まず、先ほど私の答弁におきまして、デジタル社会形成法案の答弁でございますが、関連法案を踏まえた関連施策を講じながらと答弁をさせていただきましたが、正しくは関連法案ではなくて関連法令ということでございますので、訂正させていただきたいと思います。失礼いたしました。  お尋ねのガバメントクラウドセキュリティーでございます。標準準拠システムを構築する予定ガバメントクラウドにつきましては、ISMAPという政府情報システムのためのセキュリティ評価制度がございます。このISMAPに登録されたサービスのうち、データセンター物理的所在地日本国内であること、不正アクセス防止データ暗号化などにおいて最新かつ恒久レベルの情報セキュリティー確保できるものを選定するということとしまして、セキュリティーに万全を期してまいりたいと考えております。  その上で、仮にガバメントクラウド上の標準準拠システムから個人情報が漏えいするなどの重大な問題が発生した場合におきましては、これは具体的なシステム構成や発生するセキュリティーの問題によって様々なケースが想定されます。責任の所在については、それぞれのケースによって異なるというふうに考えられます。  したがいまして、国、地方公共団体、アプリケーション開発事業者クラウドサービス提供事業者、この間の責任分界について、契約形態と併せまして基本的なルールを取り決めることといたしておりまして、詳細なルールは個々の業務システム状況把握しながらその状況に応じて取決めをしてまいりたいと考えております。
  38. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 セキュリティーを高めるのは当然のことなので、それはしっかりとやっていただきたいというところは当然なんですが、やっぱり責任の所在というのが今段階だと、まあ事象によるというのは分かるんですが、はっきりしなかったら、これ自治体も本当にそこ使っていいのか使って悪いのか。でも、使っていい、使いたくないけれども、お金、交付税とかで誘導されて使わなきゃいけないとかとなると本当に大きな問題になってきますので、これ少なくともはっきりとしなきゃ、使うか使わないかを決めることにも難しいと思いますので、明らかにしていただければと思います。  先ほど、副大臣の方からの答弁もありましたが、ベンダーロックインをさせないためと言いながらも、ガバメントクラウド一つのアプリケーションをみんなで使うとなると、一つのベンダーが独占するようになるんじゃないかという心配があります。  これ、どうやって対策を行うのか、お伺いいたします。
  39. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化取組におきましては、国が機能要件やデータ要件の標準仕様地方公共団体や関連する団体事業者とともに検討した上で作成をいたします。事業者は、標準仕様に準拠したアプリケーションを、国が整備するクラウド基盤であります先ほど申し上げましたガバメントクラウドに競争環境の下で構築、提供いたします。地方公共団体利用する業務アプリケーションは、一つに統一するのではなくて、事業者が競争して開発し、それぞれの地方公共団体が選択できるというふうにすることとしております。  事業者ガバメントクラウドの共通機能として提供しますハードウエアあるいはOSを活用することで、個別のアプリケーションに掛かっていたコストの削減あるいはベンダー間のデータ移行容易性の向上が期待できるというものがあります。  さらに、例えばレスポンスの速さ等の性能、あるいはUI、UXと言われる使い勝手、コストパフォーマンス等、ハードウエアやOSとは異なるアプリケーションレベルでも、様々な面におきまして事業者が創意工夫を発揮し、事業者間の競争環境ができるものと考えております。  このように、地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化におきましても、ベンダーロックインにつながらないよう、業者間の競争環境を確保してまいりたいと考えております。
  40. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 どうしてもやっぱりそのベンダーロックインが心配されるんですよ。ガバメントクラウド共同アプリケーションに誘導されていくと、これまで地元の小さな企業や腕のいいベンダーが淘汰されていくことになるんではないかという懸念がありますので、これはしっかりと、ベンダーロックインにならないようにしっかりと対策を取っていただければと思います。  先日の内閣委員会との合同審査の答弁を聞いていますと、デジタル対アナログみたいに答弁をしているように感じました。私はちょっと違和感がありました。たとえデジタル化となっても、アナログも併存していくことが必要です。特に自治体は、過疎地の自治体は高齢者が多いとかと考えると、そのデジタルを求めてもみんながデジタルに乗れるわけではないと。言わば、これまで自治体住民のニーズに合わせていくことが必要で取組をやってきています。  デジタルも進めるけれどもアナログをなくすわけではないという理解でいいか、内閣官房総務省、それぞれ御答弁をお願いいたします。
  41. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 様々な事情によりまして、すぐにデジタル化に対応できない利用者がおられることは事実であります。  デジタル化に当たりましては、全ての国民情報通信ネットワーク利用や自由かつ安全な情報活用を通じまして、デジタル社会の様々な活動に積極的に参加し、能力を最大限に発揮できることが重要と考えておりまして、デジタル社会形成基本法案におきましても、地理的な制約、年齢、障害の有無等の心身の状態、経済的な状況その他による情報活用等の機会の格差是正が必要とされております。また、情報活用等の機会の格差が生じないよう必要な措置が講じられるべき旨を定めることとしておりまして、関係省庁と連携しながらデジタルデバイドの対策にもしっかりと取り組んでいくことが重要と考えております。  御指摘のありました紙等のアナログの手続につきましては、デジタル改革の目的は業務効率化ということだけではなくて、国民生活の利便性向上に資するものである必要があるということです。このことから、全ての手続を拙速にデジタル化し、デジタルへの対応が困難な方にまでデジタル化を押し付けることで多くの方が利便性の低下を感じられるようなことは適切ではなくて、当面はデジタル手続と紙などのアナログ手続の併用をすることも含めまして、デジタル化の利便性向上国民に実感していただきつつ、アナログからデジタルへの転換を図っていくことが重要というふうに考えております。
  42. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  地方行政のデジタル化の目的は、住民利便性向上に寄与し、住民がそれを十分に実感できることにあると考えております。  デジタル化の推進に当たりましては、地域の実情を十分に踏まえつつ、高齢者等の住民のデジタル活用をきめ細かく支援していくなど、デジタルデバイド対策を講じるとともに、当面はデジタルとアナログの手続を併用するといった対応が必要でございます。  また、デジタル技術活用して業務効率化が図られることで、住民に最も身近な立場にある自治体住民相談や真に必要な窓口対応など、住民への直接的なサービス提供により注力することができるようにもなろうかというふうに考えております。  こういった方向で、総務省としても、関係府省と連携しながら各自治体に対する適切な助言や支援に努めてまいります。  以上でございます。
  43. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 今ちょっと答弁、残念でしたね。内閣総務省も、当面はという言葉が入っているんですよ。当面はということは、本当に住民と接していないから言えることであって、障害者であったり高齢者とか、やっぱり必要なんですよね、対面とかアナログというのも。なので、そこはしっかりと自治体の現場の声を聞いていただければと思います。  ある自治体では、住民から職員が聞き取りをして申請書を作成しているというような自治体もあります。その方が分かりやすいし、早いからなんですね。デジタルばっかりが全てで、全て利便性が上がるというわけではないということは、しっかりと受け止めていただきたいと思います。  それで、総務省伺いますが、システム標準化とは何を言うのかというのがちょっと分かりづらいんです。何が住民に得となるのか、イメージしやすく説明いただければと思います。
  44. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  現状自治体ごと情報システムの発注あるいはカスタマイズが行われている結果、情報システム維持管理制度改正時の改修等において自治体個別対応を余儀なくされ負担が大きくなっている、情報システムの差異の調整負担となってクラウド利用が円滑に進まない、住民サービス向上させる最適な取組を迅速に全国へ普及させることが難しいといった課題がございます。  情報システム標準化取組は、自治体クラウド活用を原則とし、国が定める標準仕様に適合した情報システム共同での利用を求めることで自治体の人的、財政的な負担の軽減や住民利便性向上を図るものであると認識をしております。  住民利便性向上といたしましては、具体例を申し上げますと、例えば申請手続のオンライン化の基盤となって手続の簡素化、待ち時間の短縮につながる、あるいは質の高い行政サービス提供に資するような新たな取組を迅速に全国へ展開できるなどが見込まれると考えております。  以上でございます。
  45. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 オンラインでの申請といいながらも、昨年のマイナンバー使った十万円給付のときを思っていただくと分かるんですが、オンラインそのものがシステムパンクしちゃっているときがあるんですね。そうなると、なおさら住民に迷惑を掛けるということもあるので、そこは慎重に考えていただきたいと思います。  また、標準化ということで、今もう既に現場段階では標準化に向けた照会とか、用紙を統一化するとかというふうに来ているんですが、用紙を、様式とかを統一するだけではなくて、その先にある、例えば介護の施設に対する行政処分の手続とかを自治体がやるのには、その地域によって基準が違うんですね。まあ国からのものではあるんですが、その地域によって、この介護施設ではこういった点を中心に行政でしっかり見ていくんだという基準が違ったりするんですよ、運用が違うというんですかね。それまでも今縛りを掛けてきていて、非常にやりづらいという現場からの声も上がってきています。そういうことも含めて、標準化にはもっと現場目線で考えていただければと思います。  総務省標準化というふうに言っているんですが、内閣官房は、先ほども質問で触れましたが、共同化や集約化というふうに記載をしています。そもそもここがはっきりしていません。曖昧なまま走るのは問題だと私は考えるのですが、総務省は、標準化までなので安心してください、大丈夫ですよと言っても、一方で、政府の総括でもある内閣官房では共同化や集約化、先ほどあくまでも推進なので検討なんですとかって言っていましたが、この不一致な状態について見解をお聞きしたいです、なぜこの違いが出ているか。
  46. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  デジタル社会形成基本法案二十九条における共同化又は集約が意味するところについては、先ほど内閣官房IT室より御説明がございました。  一方、標準化法案第二条第三項において標準化という言葉を定義しておりますが、これは、地方公共団体情報システムに必要とされる機能等についての統一的な基準に適合した地方公共団体情報システムを地方自治体利用することとしておりまして、共同化又は集約とは別の概念でございます。  ただ一方で、標準化法案十条では、地方公共団体は、デジタル社会形成基本法第二十九条に規定する国による環境の整備に関する措置の状況を踏まえつつ、当該環境においてクラウド・コンピューティング・サービス関連技術活用して地方公共団体情報システム利用するよう努めるという努力義務も規定しております。  これは、地方自治体が、現在、内閣官房IT室において検討が進められているガバメントクラウド活用して、国が定める標準仕様に準拠した情報システム利用することを想定した規定でございまして、標準化取組情報システム共同利用を促進し、両者が相まって地方公共団体負担軽減や住民利便性向上につながっていくというふうに考えているところでございます。
  47. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 余りその住民利便性を感じないから質問をしているんですが。  例えば、戸籍の電算化がこれまでもありました。戸籍事務の効率化と迅速で正確な行政サービス向上を図るために過去に行われたものですが、このときを私思い出したんですね。すごく窓口、戸籍担当の窓口、残業が続いていたんですよ。何で残業していたかというと、その業務の負荷となっていたものの一つに、常用漢字などではない、いわゆる外字の問題がありました。  今日は、資料の方に、三ページ、四ページに参議院と衆議院の議員の先生のお名前で外字を使っている方々の一覧を載せさせていただいておりますが、斎藤さんの斎とか、渡邉さんの邉とか、こういったものです。  これは標準化システムとなっても自治体ごとにカスタマイズを簡単にできるのか、標準化に当たって外字はどうするのかというのをお伺いいたします。
  48. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 平成二十九年度に、我が国の行政業務で用いられます漢字約六万文字を情報システム利用できるように文字情報基盤を整備したところであります。昨年末に策定いたしましたデジタル・ガバメント実行計画におきまして、各府省は、文字情報基盤活用を推進し、文字情報に関する相互運用性を確保するということとされております。  一方、地方公共団体情報システムにつきましては、人名、地名等、様々な文字を扱う必要がございますけれども、JIS規格等の一般に使われている文字セットには人名、地名で使われる文字が十分に含まれていない、このため、住民のニーズに合わせて地方公共団体がそれぞれ独自に作成した文字、いわゆる外字が利用されてきたところでございます。これらの結果、文字コード体系や管理仕組みが統一性に欠けまして、地方公共団体情報システムの庁内外の情報連携や他ベンダーへの乗換え時におきまして文字コードの変換、管理に複雑なシステムが必要となりまして、構築、運用コストを上昇させている問題というのも存在をしております。  この問題を解決するためには、地方公共団体情報システムにおきましても文字情報基盤活用し、既存の外字をなくすとともに、新たに外字を発生させないようにすることが必要というふうに考えております。  このため、標準化法案の第七条の標準化基準の共通事項といたしまして、文字情報基盤を用いた文字の取扱いを含めてデータ要件を定めるということとしておりまして、このことによりまして地方公共団体情報システムから外字をなくすための取組が進んでいくものと考えております。
  49. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 その外字をなくす取組を進めるというのがいいのかどうかというところなんですね。  名前の外字はとても膨大にあります、何か百万字以上とかということも言われていますが。戸籍の電算化のときに、今使用している漢字で、今、常用漢字ですね、それで承諾してくれた方もいるんですが、やっぱり個人によっては自分のアイデンティティーだと考えている方も多くて、いや、変えませんよと、これ代々受け継がれてきた名前ですからと。当然だと思うんです。  これまで、そういったことを自治体では、住民に、人に合わせて対応してきたんですよ。これができなくなってしまったら自治体の窓口でトラブルの原因となりますし、何よりもデジタル化によって、住民が、人がそれを変えなければならないという仕組み自体になってしまうのであれば、それは問題だと思います。  政府システムに人が合わせるべきと考えるのか、再度答弁お願いします。
  50. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 外字につきましては、これはなるべく外字を少なくし、外字をなくしていきたいという方向でございます。国におきましては、文字情報基盤というものを整備し、これを活用するということといたしておりまして、地方公共団体におきましては、この統一的な基準というのがなかったということがございます。  したがいまして、今回、標準化という取組に合わせまして文字情報基盤というものを用いて統一的に取り扱うということで、外字が少なくなり、新たな外字が生じないと。完璧に外字がなくなるということではないんですけれども、統一的な基準ができますし、外字が少なくなってくるということの効果はあると思っております。
  51. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 いや、確かに事務的なことを考えると手間だというふうにおっしゃられているのかもしれませんが、本当に個人の話なんですね。個人が大事にしているというところをカスタマイズできなくなるというのはすごく問題だと思いますので、そこは一定程度、自治体のカスタマイズに任せていただけたらと思います。  こういった外字は一つの例でありますが、法案の第八条二項に、当該事務を処理するため、必要な最小限度の改変又は追加を行うことができるという条文の表現では、自治体のカスタマイズ、裁量が認められているというふうに解釈はしにくいのではないかと考えます。  裁量は当然ながら認められているという理解でよいか、お伺いいたします。
  52. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  標準化法案第八条第二項において、条例などに基づく自治体の独自サービスについて、標準化対象事務と一体的に処理することが効率的であると認められるときであって、互換性が損なわれない限りにおいては標準準拠システム機能などに必要最小限度の改変や追加を行うことを可能とする規定を盛り込んでおります。これは、標準準拠システムへの安易な改変や追加がありますと、カスタマイズ抑制やベンダー間の円滑なシステム更改といった標準化の目的を果たせないこととなるためでございます。  なお、関係府省における標準化基準の策定に当たりましては、事務の共通性や自治体取組の実情などを十分に踏まえ、例えばパラメーター設定により自治体の独自施策への対応を可能としたり、あるいはAPI連携により自治体の他の施策との連携をしやすくするなど、自治体にとって独自の施策展開ができるようなシステム構成が可能となるような方向で検討を進めているところでございます。  以上でございます。
  53. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 私も経験があるんですが、税の収納システムに管財の普通財産の貸地の料金の収納データをカスタマイズして使用していたということもあります。もしもこういった自治体に裁量が認められなかったら独自のシステムを新たに構築しなくてはならなくて、結果としてお金が掛かる、手間も掛かるということになりますので、カスタマイズはあくまでも自治体の裁量でできるというふうにしていただきたいです。  これは、次の質問に入りますが、将来的に様々な手続がオンラインでできるようになっていくと考えますが、一方で、オンラインとなったときに自治体が持つ説明責任というのはどう担保するつもりなのかというのを伺います。  一例を挙げると、転入時に、住民票の移動だけでなくて、ごみの出し方など市民となる方への説明であったり、国保や年金、水道など付随するものへの接続も実際には窓口で担っています。オンラインでも記載しておけば問題ないと考えているかもしれませんが、それでは問題ないと言い切れないのではないかと思います。ネット上に書いてあるから読まない方が悪いというふうにはならないんですね。  自治体業務とは対人であり、公平公正に公共サービス提供するための説明責任がありますが、このことについて武田大臣は、自治体説明責任をデジタル化になっても保てると考えているか、また、どう担保していくのか、お答えください。
  54. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) 委員お答え差し上げる前に、先ほど冒頭の御指摘なんですけれども、決して、圧力を加えたりすることは決してございません。むしろ我々は、厚労省、また医師会等々の、各全ての自治体との橋架けというか、御用聞きとして、七月末までにワクチンがこれ皆さんに行き届くためには、今お困りのことは何がございますかということを一つ一つ伺いながら、厚労省ないし各界各所にフィードバックしているわけでありまして、絶対に地方団体に圧力を加えるということはあってはならないことでありますし、何かあったときはまた御指摘いただければきっちりと対応していきたいと思います。  自治体における行政手続のオンライン化は、役所に行かずに手続が可能となるものであり、住民利便性向上観点から大変重要となってまいります。オンラインで手続が行われる場合でも、手続の目的や効果などについて十分に理解が進むよう、画面上で分かりやすい説明を行うとともに、電話やチャットなどで必要な説明確保していく必要があると考えております。また、オンラインでの手続を選択しない住民には、窓口などでしっかりと対応できる環境を確保することも必要となってまいります。  行政手続のオンライン化によって業務効率化を図ることで、真に必要な窓口対応などの業務に職員を振り向けることにより、しっかりと説明責任を果たすとともに、住民利便性を高めていくことが可能となるものと考えております。
  55. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 大臣、御答弁いただいてありがとうございます。  ただ、現場ではあれが圧力というふうに感じたという声もありますので、そこは率直にちょっと受け止めていただきたいと思います。もちろん様々な支援策の橋渡しをしたいという思いはこれからも持っていただきたいんですが、残念ながらそういうふうに感じなかったというところがあります。  武田大臣に確認しておきたいんですが、総務省自治体戦略二〇四〇構想研究会が二〇一八年四月に第一次勧告、七月に第二次勧告を出した際に、AIやロボティクスなどを積極的に活用して自動化、省力化を図り、より少ない職員で効率的に事務をすることが書かれています。AIなどを進められるものは進めて自治体効率化を図るということは必要ではありますが、この研究会は、さらに、デジタル化によって半数の職員でも業務に対応できる仕組みを構築するまで言及しているんです。これ、すごく心配しているんですよ。デジタル化は職員減らしが目的なのか。  大臣は災害対策の担当もしていたので、自治体の現場をよく把握しておられると思います。自治体の職員が地域住民を守っているという一面があるんです。また、世界からも今注目されている孤立・孤独対策についても最終的にはこれまた自治体が担うことになると思いますし、これからの地球温暖化対策も多分これから自治体の職員に計画が作ることになってくると思うんです。  そんなように、最前線で対応するのは自治体の職員なんです。様々な役割があって、行政サービス向上させるためのシステム標準化であって、人も交付税も減らさない、自治体に寄り添っていただくというふうに、大臣、言っていただけるでしょうか。
  56. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) まさに標準化等は事務作業を効率化するという目的でありまして、その職員でなければできない業務に注力できる環境を整えるために必要な取組であって、決して職員の削減を目的とするものではなく、地方というものをしっかりと支えていくためにも、地方交付税総額しっかりとキープしてまいりたいと考えています。
  57. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 大臣、ありがとうございます。力強いお言葉で。引き続き地方財政しっかりと確保していただければと思います。  時間も限られてきたようなので一つ質問を飛ばしますが、住民基本台帳を基本とするシステムばかりが今回の標準化の対象となっていますが、なぜなのかというところなんです。  こういったシステムは、住民サービスに直結していまして、自治体では最もコアな部分なんです。システム入替えの際にはトラブルって付き物なんですよ。現場では大変な業務となって、不具合がもしもあった場合は住民が実際にサービスを受けられなくなってしまうんです。  なので、私、本当はこういったシステム標準化は最初は影響の少ないところから、例えば財務会計システムとか公有財産管理システムとか、そういったところから何で施行しなかったのかというところをお伺いいたします。
  58. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  標準化取組については、経済財政諮問会議での議論を踏まえまして、デジタル・ガバメント実行計画などの累次の閣議決定において、住民記録、地方税、社会保障、教育など十七分野の業務を念頭に進めることとしております。  また、地方制度調査会でも二年間にわたって議論をしてまいりましたが、住民基本台帳、税務等の分野における基幹系システムは、自治体情報システムの中でも重要な位置を占め、維持管理に加え、制度改正、毎年のように行われる制度改正等における個別対応による負担が大きい、クラウドによる共同利用を進めるに当たって団体間の情報システムの差異の調整が求められたり、団体ごとに規格等が異なると住民企業利便性を妨げるなどの理由から標準化等の必要性が高く、早急な取組が必要なんじゃないかという御指摘をいただいております。また、これらの分野は、法令でほとんどの事務が定められており、創意工夫の余地が小さい分野だろうということで、地制調、第三十二次地制調の答申でも触れられておるところでございます。  標準化対象事務である十七業務は、いずれも住民に身近な事務であり、標準準拠システムへの移行に当たっては窓口事務で混乱が生じてはなりませんので、自治体において万全の準備ができますように、私ども、自治体の円滑な移行に向けてしっかり助言、財政支援などを行ってまいります。  以上でございます。
  59. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 システムは残念ながらエラーもあるということを忘れてはいけないと思います。人もエラーがあるんですが、システムがエラーがあったときの方が代償すごい大きいんですよ、影響が大きいんですよ、住民サービス、ストップしてしまいますから。  直近の記憶でいうと、それこそさっきも言いましたが、十万円の特別定額給付金でマイナンバーシステムに不具合があって、窓口で怒られて謝罪を続けたのは自治体の職員だったというのは皆さんも御承知だと思います。だからこそ、本当であれば、きちんと影響のないところからまずは標準化していくべきだったんではないかなと考えます。  一つ飛ばしたんですが、答弁の中で経済財政諮問会議のことを言われてしまったので、戻って質問させていただきます。  この法案の対象となるシステム情報という言葉が入っていますが、この情報というのは何を言うのかというところなんです。対象業務を見ても個人情報でしかなくて、ビッグデータを集めて使うという考えが国にあるからではないですか。どうでしょうか。
  60. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  これは内閣官房IT室からも御答弁があったと思いますが、努力義務ではございますけれども、ガバメントクラウド上で構築するとした場合でありましても、個々のシステムに関するデータ個人情報の格納領域は他のデータの格納領域と論理的に分離されて、データの所有者である自治体がアクセス権を設定するということでございまして、国による個人情報の一元的な管理とかそういうものにはならないというものでございます。  以上でございます。
  61. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 一元的な管理にならないといっても、その先に見えている何かビッグデータが透けて見えるので、すごく心配なんですよ。国が住民を守ってくれないから、自治体住民を守るために個人情報を保護してきたんですね。これからも住民の保護を大前提に置いたDXにしなければならないと私は考えます。  システム標準化の対象に就学というのがありますが、これはどの範囲まで含まれるのか。今日文科省にお越しいただいています。教育委員会管理する未就学児童の情報のことなのかというのを、その範囲ですね、教えてください。
  62. 蝦名喜之

    政府参考人(蝦名喜之君) お答えを申し上げます。  今回の法案標準化の対象となる就学につきましては、教育委員会が用いる学齢簿の管理でありますとか、経済的理由により小中学校の就学が困難と認められる児童生徒の保護者に対する就学援助の業務に用いるシステムが対象となっていると承知しております。
  63. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 現在、各学校で管理をしている指導要録など、校務の情報化も地域情報プラットフォーム標準仕様の拡張として何か議論をされているようなんですが、これだと児童や生徒に関するデリケートなものとなっていますので、そこではないという確認は今取れました。そっちのことであれば文科委員会等で同僚議員が今後ただしていくことになりますので、その際にはお願いいたします。  次の質問ですが、これまで国が用意したシステム全国自治体活用した事例として国保のシステムがありました。国がつくって配ったことが過去にあるんですよ。ですが、結果として三割しか自治体で実は使っていないんです。なぜ使っていないかというと、使い勝手が悪いとか、国保に様々な市町村事務をぶら下げていて、国が用意したシステムだと対応できなかったから、結果それぞれの独自のシステムを構築して現在使っているという実態があります。  そこで提案したいんですが、最低限、システム、まあ標準化についてはこれから考えていくんでしょうけど、四パターンはつくるべきなんではないかというふうに考えるんですね。大阪市や横浜市などの政令指定都市と小規模自治体では業務内容が全然違うんですよ。そのため、政令指定都市向けとか中核都市向け、市、一般の市向け、そして福祉事務所を持たない町村向けと最低四つのパターンが必要ではないかと考えます。そうすることで小規模自治体の混乱を少しは避けることができると思うんですが、このことについてどうお考えでしょうか。
  64. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 御指摘のとおり、市町村につきましては、人口百万を超える指定都市から人口が千人に満たない町村までその規模は様々でありまして、その違いによって効率的な事務処理方法が異なる場合がある、これは我々も認識しております。例えば、人口規模が大きい団体につきましては、処理を一度にまとめて行ういわゆるバッチ処理の方が一件一件処理するいわゆるオンライン処理よりも効率的である場合、あるいは、組織が大きいため処理できる職員の権限を細かく設定する必要がある場合というのもあると考えております。  このような違いを吸収するため、現在、制度所管官庁におきまして作成を進めております標準仕様におきましては、人口規模に応じた機能を定めることができるように実装を選択できる機能を設けることも可能として、複数のアプリケーションの中から市町村の実情に応じて選択できる仕組みとすることとしております。  例えば、標準仕様の中で実装必須機能、あるいは実装不可機能というのがありますが、それに加えまして、標準オプション機能、これは実装してもしなくてもよいというような機能を設けることも可能というふうにしております。  具体的に申し上げますと、例えば、政令市のために一般市用のアプリケーションとは別にバッチ処理の機能や、区役所、支所でございますが、区役所の職員の権限を細かく設定できる機能を有する政令市用のアプリケーションを複数事業者が構築し、その中から政令市が選択するというようなことも考えているところでございます。  地方公共団体情報システムの統一・標準化を進めていくに当たりまして、各制度所管府省に対しまして、標準仕様の策定の段階から、地方公共団体の人口規模の違いによる事務処理方法の違いも含めまして意見をしっかりと聞くように求めているところでありまして、ガバメントクラウド上の実装の段階においてもこのことを踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
  65. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 少し安心しました。本当に自治体によって全然規模が違うので、そこはやっぱり考えていかなきゃいけないと思います。  ある自治体の離島の自治体では、本当に人口が三百人もいないので実はシステム要らない、エクセルで十分だというようなところもあったりするので、そういった現場の声をもっと聞いていただきたいと思います。  直近の話題として、新型コロナウイルス感染者等の情報把握管理支援システム、HER―SYSってやつですね、それとか、ワクチンの接種円滑化システム、V―SYSとかというのがありますが、現場では余りにも使いづらいという声がたくさん上がっています。また、不具合も生じていまして、このことからいえば、システムの構築にはデジタル化社会という幻想によるスピード感よりも、当たり前なんですが、正常に作動すること、現場の使い勝手の良さが重要になってきます。  この観点を第一に考えるべきと考えますが、この点は大丈夫でしょうか。使いやすさ。
  66. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  現在、関係府省において進められております標準仕様検討に当たりましては、関係府省間で共有された作業方針を踏まえまして、業務システムに通じる市区町村の課長級あるいは係長級の担当者を検討会の構成員とするほか、市町村の担当部局の御意見を丁寧に伺いながら、使い勝手の良いシステム標準システムづくりということで進めております。  例えば、私どもの総務省自治体システム標準化検討会では、住民担当課や情報システム担当課の課長や係長といったシステムの実務が分かる方を構成員、検討会のメンバーにするほか、標準仕様書案の作成に向けた全国照会を行いまして、全市区町村の住民担当課と情報システム担当課宛てに直接意見照会を行い、本当にたくさんの意見をいただきました。  こういった意見も取り入れながら、標準化の推進に当たりましては、地方公共団体の実務に通じた方からの意見を踏まえて、現場の声を反映させながら、しっかり使い勝手の良いものに仕上げていきたいと思っております。  以上でございます。
  67. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 現行も、自治体の現場で、法定受託事務の部署ではシステム標準化共同化もされている場合があります。例えば、農業者年金というのは統一化しているので、システムが独立行政法人農業者年金基金が管理運用、端末は各自治体設置をしていて、それを使っている状態にあります。ですが、現場に聞くと、セキュリティーの問題だと思いますが、システムを使える時間に制限があったり、市独自のセキュリティー等の関連によって不具合が生じたりするということが起きているようです。また、全体的に、昔からの仕様で変わっていなくて使いづらいとかというふうな問題も生じているようです。  だからこそ、システム構築に当たっては、基本のキでありますが、首長じゃなくて実際に使用する職員の声を、アンケートだけじゃなくて生の声を聞いて構築していただくようにお願い申し上げます。  次に、この法案は五年で全てのシステム移行となっていますが、まあ目標を立てるのはいいんですよ、目標を立てるのはいいけど、十七業務もあるのに難しいんじゃないかと考えるんです。慌てて構築すべきではないですし、目標ありきで走るべきではありません。場合によっては立ち止まることも必要だと考えますが、どう思いますかというところと、また、一度入れたシステムの更新は何年と考えているのか、お伺いします。
  68. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  今般の新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、行政のデジタル化を加速化する必要が認識されたところであり、昨年末に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画において、国、地方を通じたデジタル化を今後五年間で進めるということにされました。その結果、標準化共通化についても目標時期は令和七年度とされております。  もっとも、自治体によって多様な実情があるものと承知しておりまして、私ども次期システム更改時期について地方公共団体の調査をしておりますが、やっぱり平成八年度以降のところも幾らかございます。そういったところ、自治体の意見を丁寧に伺いながら標準化共通化取組を推進していかなきゃならないと考えております。  そして、この令和七年度という目標時期との関係で、システム更改時期に調整を要する場合について、自治体としっかり、個別の自治体とお話、話合いをしながら、円滑なシステム移行がどうしたら可能となるのか、自治体の意向を踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  69. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 高原局長、重ね重ねお願いしますが、不具合があったらシステムは止まってしまうので、場合によっては立ち止まるということを忘れないでほしいんですね。ちゃんと正確にしてからスタートしてほしいというところです。  それと、J―LISについてなんですが、J―LISについては、地方公共団体情報システム機構ですね、これまで自治体共同出資したものなので自治体も信用していたんですが、今後は大臣や国の関与が強くなって、逆に自治体の関与が薄くなっていくのではないかという懸念があります。元々のJ―LISの成り立ちを考えると逆行しているんじゃないかなと感じるんですが、どうなんでしょうかというところです。また、デジタル庁とJ―LISの関係はどうなっていくのか、教えてください。  総務省内閣官房、それぞれお願いします。
  70. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  済みません、先ほど、令和八年度以降と申し上げるべきところを平成八年度以降と申し上げました。正しくは、令和八年度以降にシステム更改を予定している団体も一定数あるということでございます。  それでは、J―LISについて御答弁をさせていただきます。  J―LISは、地方公共団体間の通信ネットワークであるLGWANあるいは住民基本台帳ネットワークシステム運用住民票のコンビニ交付サービスなど、地方公共団体業務共同して実施しておりました法人マイナンバー制度の創設に際しまして改組し、地方三団体共同で設立した地方共同法人でございます。  その上で、今回の法改正は、J―LISが発行、管理を担っているマイナンバーカードとその電子証明書がデジタル政府、社会を支える基盤となるものであることから、このJ―LISのマイナンバーカード関係事務について、国による目標設定、計画認可、財源措置等の規定や、代表者会議に国が選定する委員を加えるなどの規定を整備し、国の責任と関与を明確化することとしております。  これは、これまでのJ―LISの設立経緯や、地方公共団体業務共同で実施している主体であるという法人の性格などを十分に踏まえた上で、国と地方公共団体共同のガバナンスの下で適切に運営していくための仕組みとする趣旨であり、その運営については引き続き地方の意見が十分に反映されるべきものというふうに考えております。  以上でございます。
  71. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) J―LISにつきましては、若干総務省と答弁も重なりますけれども、お答えさせていただきますが、J―LISが発行等を行っております公的個人認証サービスを含めましたマイナンバーカードはデジタル政府・社会を支える基盤となるものでございますので、国の責任においてシステムの安定性を更に高めていく必要があるというふうに考えております。  このため、別途国会において御審議いただいておりますデジタル改革関連法案によりまして、J―LISを国と地方公共団体共同管理する法人へ転換し、J―LISに対する国のガバナンスを強化するとともに、公的個人認証サービスを含めましたマイナンバーカードの発行、運営体制について国の責任と関与を明確化するところでございます。具体的には、若干重なりますが、総務省とともに、マイナンバーカード関係事務につきまして、目標設定や計画認可、実績評価等の実施、理事長の任免や予算の議決等を行う代表者会議の委員に自ら又はその指名する職員を追加することとしているところでございます。  このような仕組みの下で、デジタル庁は、国、地方公共団体等の情報システムの整備及び管理に関する基本的な方針を策定する観点から、総務省と連携をいたしまして、J―LISに対して積極的に関与し、デジタル政府、デジタル社会の基盤をしっかりと構築してまいりたいと考えております。
  72. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 J―LISの役割というのは、本当に自治体情報をすごくたくさん持っているので、余りにも、デジタル庁が確かに全体の、政府全体、国全体のやつを見ていくというのは分かるんですが、無用に、余りJ―LIS、自治体共同出資したものなので、不要に立ち入っていただきたくないなと、J―LISをきちんと確立、独立のものとしていただきたいと思います。  時間が少しあるので、もう一問だけ、質問通告してはおりませんが。  政府は、九月のデジタル庁の発足に合わせて市町村のデジタル人材確保に向けた広域連携を後押しするという新聞記事が五月九日付けの読売新聞に掲載をされていました。これ、連携でデジタルに詳しい人を置くだけで本当に意味があるのかと私は考えるんですね。  確かに、小さな自治体とか、デジタル人材がいないと言っているところもあるかもしれませんが、様々な、システムだけじゃなくて、行政の使うパソコンとかのトラブルも含めて、情報担当者というのは絶対いなきゃならないんですよ。じゃないと、細々としたトラブルに、広域で一人置いているからといってすぐ駆け付けてくれるわけではないんですね。もっと言えば、複雑なシステムエラーがあったときはベンダー呼ばなきゃ意味がないので、できないんですよ。  と考えると、これ無駄に広域連携やる必要があるのかと、これ、どういうつもりでこういうふうに考えているのか、お伺いいたします。
  73. 大村慎一

    政府参考人(大村慎一君) お答えいたします。  今想定しておりますのは、地方自治体のCIOを補佐するような専門人材をいかにして確保していくかというような観点でございますが、そのときに、小さい地方自治体が一人で高度な人材を雇おうといたしましても、その金銭的な問題ですとか、それから業務の態様ということからいって、ずっと一人を一自治体確保するということはなかなか難しい場合もございます。  それができる自治体はそれでよろしいんですが、もし、そういう形で少し高度な人材に日常的に継続的に相談していきたいというような問題がある場合には、例えば広域的に一人の人材をみんなで分担して出し合いながら雇用をするということによって、ある地域のその全体の情報を高めていけるということがあるわけでございまして、そのための財政措置も我々は考えているということでございます。
  74. 岸真紀子

    ○岸真紀子君 これ多分、地方三団体からも要求があったからこういうことを考えてくれているのかもしれませんが、今パソコンに詳しい職員って入ってきているんですよ、一定程度。マニアックとは言いませんが、すごい詳しい職員もいて、果たしてこれで、じゃ、事足りるのかと。それぞれの省庁でもしトラブルがあったときに、全然離れたところから来てくださいというときに、それで間に合いますかというところなんですね。同じことを自治体にも、それで間に合うんだというふうにならないと私は考えますので、ここはしっかりと考えて、自治体の現場の声も聞きながら考えていただきたいと思います。  それと、何でこういうふうにしなきゃいけないのかと考えたときに、やっぱりその共同化のアプリケーションとかが最終的に邪魔になってくるんじゃないかと思うんですよ。地方創生に逆行しているというのは、腕のいい小さな企業やベンダーというのが集約されて、さっきも言いました、淘汰されていくからこそ地元で完結できなくなってくるんじゃないかという問題があるので、これは本当に東京一極集中じゃなくて地方創生を大事にする観点でのデジタル化というのを進めていただきたいということを申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。
  75. 若松謙維

    ○若松謙維君 公明党の若松謙維です。  今日の地方公共団体情報システム標準化法案の審議に当たりまして、私も四月三十日でありますが、いわゆるスーパーシティを今申請しております会津若松市、そして郡山市、これはデジタル市役所実現のために今、ファイブレス推進、一つはペーパーレス、二つ目はキャッシュレス、三つはカウンター、窓口レス、四つ目ファイルレス、五つは会議、ムーブレス、これを目指している郡山市役所、二か所訪ねました。  現場のいろんなお声を聞いて今日質問をさせていただきますが、最初に、IT室政府参考人デジタル庁の体制強化についてお尋ねをいたします。  このデジタル庁は、政府情報システムの統括、監理のほかに、マイナンバーマイナンバーカード、我が国のデータ戦略、さらには地方公共団体システム共有化を総務省と連携して行うなど、デジタル戦略全般を担う組織であります。その所掌は非常に広いわけでありまして、民間からの技術者を含めて五百人規模の体制でスタートを切る予定と聞いておりますが、我が国のデジタル化をしっかり牽引していくためには、民間技術者や地方公共団体からの職員を含め、より多くの人数が必要ではないかと思います。さらには、もしかしたら五百人を超える場合も出てくるでしょうから、それも含めてお考えを、政府の見解をお尋ねいたします。
  76. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) お答えいたします。  デジタル庁は、今般の感染症で浮き彫りになりました官民のデジタル化の遅れに対応するために、政府全体のデジタル化戦略を統括するとともに、デジタル社会の形成に関する重点計画や情報システムに関する整備方針などを策定いたします。  国、地方公共団体、準公共部門の情報システムを統括、監理し、重要なシステムにつきましては自ら整備するとともに、マイナンバー等のID制度や公的機関が保有する社会の基本的なデータ、ベースレジストリーと呼んでおりますが、こういったデータの整備に関する企画立案など、デジタル社会の形成に向けた企画立案などを行うというふうにされております。  こうした業務に取り組むに当たりましては、最新の技術動向を把握する優秀な民間人材の活用が必要でございます。これまで、四月に三十五名を採用いたしましたほか、第二弾の募集にも取り組むなど、九月の創設に向けまして順次採用を進めているところでございます。  また、デジタル庁において地方システム標準化共通化を進めるに当たりまして、地方公共団体と密接に連携して検討を行う必要があるほか、地方におけるデジタル人材の育成にもつながるということもございますので、地方公共団体からの職員受入れにつきましても積極的に進めてまいりたいと考えております。  他方で、特にデジタルの分野につきましては、技術の発展やそれに伴う行政需要の変化が急速に進むということもございます。デジタル庁が求められる役割やそれに伴う業務量の変化に応じまして、更なる体制強化も含めまして必要な体制を適切に整備してまいりたいと考えております。
  77. 若松謙維

    ○若松謙維君 ということで、五百名相当でしょうけど、当然状況に応じてはそれを超えるということももちろん必要性があればそれは進めていくと、そういう理解でよろしいですか。
  78. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 更なる体制強化というのも念頭に置きながら、必要な見直し、必要な体制整備について検討を行っていきたいと考えております。
  79. 若松謙維

    ○若松謙維君 いわゆる人間主義のデジタル化を推進しているというふうに理解しておりまして、そのためには現場が重要であります。言わばデジタル庁は鳥の目の役ですか、鳥瞰図、そして地域は虫の目の役と、そして共に同じ三百六十度見る魚の目ですか、百八十度ですね、共通課題に取り組む体制が必要と考えております。  国民が直接行政と接するタッチポイントはまさに地域行政でありまして、そしてデジタルは地域ポータルとなるわけであります。これがいわゆるデジタルツインですね、国のデジタルと地方のデジタル、いわゆるデジタルツイン、だからこそデジタル庁担当、現場担当を地方のサテライトオフィスに置く重要性を再度認識していきたいと思っております。  特に、昨年秋の臨時国会で山口代表が菅総理に質問をいたしました。それで、そういう福島という話が出て、前向きな答弁をいただいたわけでありますけれども、是非確認をさせてください。
  80. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 今般のデジタル改革におきましては、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化というものを目指すこととしておりまして、国民目線によりますUI、UXの向上に取り組んでいく必要があると考えております。  このため、住民ニーズの把握、デジタル化に伴う業務見直しの実施が大変重要でありまして、そういった観点からも、議員御指摘のとおり、デジタル化を進めていくに当たりまして地域の現場というものが非常に重要になってくると考えております。  このため、デジタル庁におきましては、共創プラットフォームなどのツールを使いまして、また総務省など関係省庁としっかり連携を図りながら、地方の声をできるだけ丁寧にくみ上げて政策を検討し実施していきたいと考えております。  議員御指摘のありましたように、職員が地方のサテライトオフィスで勤務することも地方の現場に近いところで声をくみ上げる上での有効なツールの一つというふうに考えております。その点も含めまして、デジタル庁におきまして国民や地域の多様な声をくみ上げる、酌み取る方法を柔軟に検討していく必要が、重要であるというふうに考えております。
  81. 若松謙維

    ○若松謙維君 当初、デジタル庁、これ地方に置くべきだという話もありました。それが難しいということで、今中央主導でしょうけど、本来ですと、中央と、先ほどデジタルツインと言いましたけど、地方も少なくとも方面に一つぐらい箇所があって、まさにフェース・ツー・フェース、それをやるのは同時並行、これが本来の理想ではないかと私は思っているんですが、それについてはいかがでしょうか。
  82. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 先ほども申し上げましたが、地方のサテライトオフィスなどで勤務するというのも貴重、重要な地方の現場に近いところの声をくみ上げるツールだというふうに考えております。  今、東京でというふうに考えておりますけれども、今後デジタル庁におきまして、更に柔軟な体制を検討していくこととしておるところでございます。
  83. 若松謙維

    ○若松謙維君 また後ほど触れますけど、デジタル庁による各省庁のグリップですか、ちょっと分かりにくいと思うんですが、IT室にお伺いいたします。  政府情報システム数、現在九百以上と、さらに、関連予算も約八千三百億確保したということで、今後もシステム数や予算は増え続けるものと考えられております。  デジタル庁では情報システムの統括、監理を行うこととしているわけでありますが、どのような権限又は仕組みによって各省庁の足並みをそろえ、システム数や予算をコントロールしているのか、お尋ねをいたします。
  84. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 今後の情報システムの整備に当たりましては、類似した機能を持つシステムの乱立などによる重複投資を防ぎ、運用経費をいたずらに増大させることなく、行政サービスの刷新のために真に必要なシステムの整備や改修といった新規投資を戦略的に行っていくことが重要であると考えております。  デジタル庁では、組織の縦割りを排し、統一的にデジタル化を進めるための司令塔としまして情報システムの統括、監理を行うこととしております。  具体的に申し上げますと、民間人材を幅広く採用することを含めまして体制を大幅に強化すること、デジタル庁の作成する情報システムの整備及び管理の基本的な方針等に基づきまして関係予算の一括計上、配分を行うこと、全ての政府情報システムを対象としまして、一元的なプロジェクト管理を通じてプロジェクトの方向性等の検証を行うこと、政府が共通して利用する基盤的なシステムにつきましてはデジタル庁が自ら整備することとしているほか、必要に応じましてデジタル大臣の勧告権というのもございまして、こういったものを行使することもあるかと思います。  こうした仕組みを通じまして、政府全体としての統一性を確保しつつ、一層効率的かつ利便性の高いシステム整備を推進してまいりたいと考えております。
  85. 若松謙維

    ○若松謙維君 それでは、総務省政府参考人にお尋ねいたしますが、自治体情報システムのカスタマイズの状況についてお尋ねをいたします。  今のシステムの、自治体情報システム標準化取組、これはカスタマイズを不要にすることが目的、いわゆるベンダーロックというものを改善するということでありましたけれども、今の自治体情報システムのカスタマイズの状況はいかがでしょうか。
  86. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  総務省の調査では、令和二年四月一日現在で、市区町村における標準化対象として想定している十七業務システムについてカスタマイズ等をしている割合は約五六%となっております。  以上でございます。
  87. 若松謙維

    ○若松謙維君 それは、ゼロというのは無理なんでしょうけど、いずれにしても、先ほどの十七標準システムですか、含めて、可能な限りやはりゼロに近づける、そういう理解でよろしいですか。
  88. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  委員指摘のとおり、カスタマイズを不要にするような形で政府標準仕様を示し、それに従ったシステム地方公共団体利用していただく姿を目指しているところでございます。
  89. 若松謙維

    ○若松謙維君 それでは、総務大臣標準化の、システム標準化の意義についてお尋ねをいたしますけれども、まさに自治体情報システム標準化は、政策の変更、いわゆる制度変更ですね、また、新たな政策への即時実施をサポートすることが最も重要だと理解しております。加えまして、自治体負担軽減にも資するものだと考えておりますが、標準化の意義に関する大臣の所見を伺います。
  90. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) 情報システム標準化共通化取組は、国が定める標準仕様に準拠したシステムを各ベンダーが開発し、全国規模のガバメントクラウド上に構築することを想定をいたしております。  制度改正等の際には、国が標準仕様を改定して示すことから、システム改修等に際してこれまで自治体が個別に対応していた負担は大きく軽減されることとなります。  このように、情報システム標準化共通化は、自治体の人的、財政的な負担の軽減に資するものであり、地方行政のデジタル化の基盤を担うものであると認識をいたしております。
  91. 若松謙維

    ○若松謙維君 この政策支援可能なデジタル基盤づくり、これキーワードだと思いますけれども、是非それを進めるために、大臣、リーダーシップを取ってやっていただきたいと思います。  次に、IT室にまたお伺いいたしますが、このガバメントクラウド検討状況、他の先生もお話しされましたが、このガバメントクラウドにつきましては自治体にとって大きなメリットがあるということでありますけど、このガバメントクラウド取組を進めるに当たって、共創プラットフォームなどを活用して地方自治体の意見を丁寧に聞きながら進めているということでありますが、今の状況を含めてお尋ねをいたします。
  92. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) ガバメントクラウド取組を進めるに当たりまして、ガバメントクラウド活用する意義等につきまして地方公共団体説明し、地方公共団体の意見を丁寧に聞きながら進めていくということが重要と考えております。  お話がありましたように、全国自治体職員との議論の場としてデジタル改革共創プラットフォームを設けております。また、説明会の開催、ヒアリングを行うなど、地方公共団体と意見交換を行いながら進めております。  デジタル改革共創プラットフォームにおきましては、ガバメントクラウドに関しまして様々な、例えば移行パターンの検証やシステムの可用性の確保システム間連携、こういったガバメントクラウド移行に当たっての特に検討が必要な視点についての提案など、実際の現場に即した意見が多数寄せられているところでございます。  引き続き、ガバメントクラウド取組に関する情報地方公共団体に対して提供し、対話をしながら、総務省とも協力して取組を進めてまいりたいと考えております。
  93. 若松謙維

    ○若松謙維君 私も先ほど自治体に行きまして、このデジタルの責任者とお話ししましたけれども、いわゆる本当にデジタルの進んでいないところ、かなり進んでいるところ、いろいろありまして、このやり取り、中身を聞くと混交玉石なんですね。私は職員じゃありませんから登録できません、又聞きになるわけでありますが。これもやり始めて、いずれにしても、こういう場が、今までなかったということは、大変評価されておりまして、これはすばらしいんですが、この共創プラットフォームを更に使いやすくするために、ある意味である程度やり取りがあった場合には、当然分類化して、何件ぐらい問合せがあったとか、更に高度なレベルの方にはどこどこに問合せ行くとか、是非、改善、継続的な共創プラットフォームの改善をちょっと要望して、次の質問に移ります。  やはりデジタルを進めるに当たって地域の優秀な人材を国で活用すると、これIT室にお尋ねするんですが、特に福島には、会津若松市に会津大学というデータアナリストの学部があります。そういったところですと大変優秀な人材も多く育っているということで、また、このデジタルは場所を選ばないまさに業務形態、これがデジタルの利点でもあります。  そこで、そうした地方の優秀な人材が地域にとどまりながらデジタル庁での活躍の場が得られることができれば、デジタル人材の育成確保や地域経済の活性化などの観点から有益と考えますが、デジタル庁、どのようにお考えでしょうか。
  94. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 例えば、会津におけますAiCTは、これは地域における先進的な企業や人材が同一施設に集い、互いの交流を通じて地域のイノベーション、デジタル化を牽引する取組をというふうに承知をしております。全国地方公共団体にとっても有用事例となるものと認識をしております。  社会全体のデジタル化を主導する立場でありますデジタル庁といたしましても、そのような地方で蓄積された知見を生かしていくことは大変重要であると考えているほか、そうした地域で活躍する優秀な人材が国全体のデジタル化も併せて牽引していくデジタル人材として育つこと、これも国、地方の双方にとって有益であるというふうに考えております。  デジタル庁では、テレワーク主体の職務従事や兼業も可能とするなど、地域において活躍している人材が居住地を変更せずにデジタル庁取組に参加できるような組織文化を醸成していくことによりまして、地域のデジタル人材の確保や育成に寄与する、このほかに、国、地域双方のデジタル化を併せて推進することにもなりますので、こうした取組を進めてまいりたいと考えております。
  95. 若松謙維

    ○若松謙維君 先ほど、四月に三十五名採用した方、済みません、質問通告していないんですけど、これ、地方の方もいらっしゃいますか。それ分かりますか。全部東京在住ですか。
  96. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 数はちょっと覚えていないんですけれども、地方在住の方もいらっしゃるところでございます。
  97. 若松謙維

    ○若松謙維君 欲を言えば、地方と東京ですか、首都圏、半々ぐらいにしていただきたいですねという思いの共通は、思い一緒だと思います。  それで、そのオールリモートですね、オールリモートということがよく言葉に出てまいります。もちろん、このオールリモートというのは、全体の生産性向上にさせると言えるということかという実は問題提起の質問なんですけれども、自発的、自主的な社員と受動的、調整型の社員との生産に格差が生じたというのが実はオールリモートの一つ評価だというのが、これは、デジタル化の先端的企業であります、もう全世界レベルのアクセンチュアCEOのジュリー・スウィートさんですか、がどういうふうに言っているかといいますと、このリモートワークは、私たちは自分のビジネスにおいてもテクノロジービジネスで生産性が向上しました、非常に正当で有効なビジネス上の理由によるものです、これほど多くのオフィススペースを必要としません、しかし、注意したいのは、人を集めることが重要だということです、そこで、私たちが述べる一つのやり方はやり過ぎないことです、オフィススペースは人を集め、エンゲージメントを維持するのに重要な役割を果たします、オンラインとフェース・ツー・フェースの割合を五〇対五〇にすべきだと発言しています。これ、重要な提言だと思います。  さらに、首都圏一極集中を是正させるためにも、デジタル庁の組織自体を、機能分散社会のモデルを示して地方への分散オフィスを整備した上で、ハーフリモートモデル、これをしっかり実証、実装すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  98. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) これまで、国の行政機関における業務に従事したいという思いがあっても、所属する企業の立地や御家族の都合などといった事情のためにそれがかなわなかった民間企業の方もいらっしゃるというふうに考えております。  そういった方々にとっては、テレワーク主体の職務従事を可とすることで、これまでの生活を維持し、場合によっては地域において引き続き御活躍いただきつつ、デジタル庁取組にも参画していただくことが可能となる。こういったことによりまして、これまでと比べて国、地方の双方にとって有益なものになるというふうに考えております。  その際、御指摘のありましたオールリモートで一〇〇%テレワークを前提とした勤務形態とするのか、ハーフリモートで必要に応じてサテライトオフィス等で勤務いただくか、これにつきましては、働く人それぞれの事情に応じて柔軟に選択できるように勤務環境を整備することが重要だというふうに考えております。  先ほども申し上げましたとおり、職員が地方のサテライトオフィスで勤務することが地方の現場に近いところで声をくみ上げる上で非常に重要なツールであることは十分認識しているところでございますので、その点も含めまして、デジタル庁において、国民の、地域の多様な声を酌み取る方法を柔軟に検討していくことが重要であると考えております。
  99. 若松謙維

    ○若松謙維君 私も海外勤務しまして、半年間、サンフランシスコ単身赴任をいたしました。個人的には単身赴任禁止法を作りたいと思っております。やっぱり今、日本の家庭内でいろんな課題は、この先進国で単身赴任認めるという制度は恐らく日本ぐらいでしょう。  だから、そういうことも含めて、是非こういった課題デジタル庁が率先して解決すると、そういうことを期待して、ちょっと最後の質問になりますが、会津若松におけるオプトイン型データ利用、利活用取組につきまして、総務大臣は常々、人間中心のDXと、こういうことを言っておられまして、その参考事例として、台湾のオードリー・タンさんが言う、DXは人間と人間をつなぐものと、こういう考え方を述べられております。  日本のデジタル化を進める上で最も重要な哲学だと共感しているところでありますが、デジタル化を復興加速化と地方創生のため、福島県などを実証フィールドとして活用していくことが必要と考えておりまして、例えば会津若松市におきましては、会津若松プラスのような先進的なオプトイン型のデータ活用取組を進めており、このオプトインこそが人間中心のDXであり、オードリーさんが言うスマートシティーの先にあるスマートシティズン、それを表しているのかなと思いますが、そのような取り込みを全国展開して、それに支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  100. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 会津若松プラスでございますが、これは、市民がユーザー登録をいたしまして、その登録情報や行動履歴に応じて必要な行政情報や生活に必要なツールを提供する情報提供サービスでありまして、個人情報提供に同意して自分に合ったサービス提供を受ける、いわゆるオプトイン型のデータ活用取組だと認識をしております。  この会津若松プラスは、平成二十七年十二月にサービスを開始いたしまして、令和三年三月一日現在、ユーザー登録数は約一万二千人となっておりまして、先進的な取組であるというふうに認識をしております。この取組において学ぶべき点は、住民一人一人のニーズに合った行政サービスが得られるならば、多くの住民が参加をしてくれるという点にあるというふうに考えております。  こうした地域における先進的な事例を私どももよく研究をいたしまして、地方公共団体のベストプラクティスを全国地方公共団体に広く展開するなどの取組によりまして、誰もがデジタル化の恩恵を最大限受け取ることができるデジタル社会の形成を図ってまいりたいと考えております。
  101. 若松謙維

    ○若松謙維君 最後に、私の一つ感想というか、デジタル、これは単なるデータ処理だけではなくて、いわゆるカーボンニュートラル、会津若松市は先行してエリアのエネルギーマネジメントシステムをつくっております。まさにカーボンニュートラルにはデジタルが必要なんですね。  デジタルカーボンニュートラル、これ、そういう意味では、非常に、会津若松含めて福島、先行事例ありますので、総務大臣、お忙しいとは思うんですけど足を運んでいただいて是非現場を見ていただいて、デジタルツイン、是非ともよろしくお願いいたします。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  102. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 午後三時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      ─────・─────    午後三時開会
  103. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) ただいまから総務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方公共団体情報システム標準化に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  104. 片山虎之助

    片山虎之助君 日本維新の会の片山でございます。  順次質問いたしますが、私もワクチンの接種対象者の者ですが、どうもワクチンのことが気になりますんで、まずコロナワクチンのことから質問させていただきたいと思います。  関係の方に聞きますけれども、医療従事者のワクチン接種はやっていますわね。二月頃からやって、今の接種率というのか執行率はどのぐらいでしょうか。
  105. 藤井比早之

    ○副大臣藤井比早之君) お答えいたします。  医療従事者につきましては、今回都道府県から登録された約四百八十万人のうち、昨日、五月十日時点で接種回数四百三十一万八千六百八十二回、うち一回目接種は大体三分の二に当たる三百十万千三百二十回、このうち百二十一万七千三百六十二人の方が二回接種を終えているというところでございます。二回接種を終えているというところでございます。  既に各都道府県には通知しておりますが、登録されている四百八十万人全員分のワクチンの配送が今週完了する見込みでありまして、速やかに接種していただきたいと考えております。
  106. 片山虎之助

    片山虎之助君 べらべら言われますがよく分からないんですが、実を言いますと、一回接種した人が六四・五%なんです。二回接種の人が二五・二%なんです。今四百八十万と言われましたわね。だから九百六十万回ですよね。まだ四割台なんですよ。五割行っていないんです。いつまでに終わるんですか。
  107. 藤井比早之

    ○副大臣藤井比早之君) 先ほど答弁させていただいたとおり、今週に全員分が到着するということでございまして、速やかに接種をしていただきたいというふうに考えております。
  108. 片山虎之助

    片山虎之助君 いやいや、これはなかなか終わりませんよね。新聞記事や何かによりますと六月中掛かるという、あるいはもっと掛かるという。そうなると、菅さんは、総理は、場合によっては、高齢者が早く終わったところは普通の人もやると、普通の人っておかしいんで、それ以外の人もやる。  そうなると、並走どころか、医療従事者がやり、高齢者がやり、それからその他の人がやる。こういうことになって、医療従事者というのは打つ人なんですよ、そもそもが。それがまだ半分まで行っていないんですよ、二回で計算すれば。一回だって六四%でしょう。これはどういうことですか。みんな心配ですよ。いつですか、終わるのは。あなた責任持てますか。
  109. 藤井比早之

    ○副大臣藤井比早之君) いずれにいたしましても、四百八十万人自体は各都道府県がこれぐらい必要だということでございまして、また、希望者というのもございます。今週に全て、その分も含めて配送をさせていただきますので、速やかに接種いただけるよう働きかけてまいりたいと思っております。
  110. 片山虎之助

    片山虎之助君 そこで、その六十五歳以上なんだけれども、菅さんは七月末を念頭に二回分終えることを目指すと言っているんですよね。念頭にですよ、目指すんですね。これは確かに総理が言明して指示をしているのは確かなんだけれども、これは政府の方針ですか、基本的対処方針に書いていないよ。  それから、閣議だとか何とか本部だとか、その他の公的な意思決定の会議で決めていないわね。だから、念頭に目指すなんという軟らかい表現というか、自信がない表現になるんですよ。この点はどういう解釈ですか。
  111. こやり隆史

    大臣政務官(こやり隆史君) 委員指摘の件でございますけれども、政府会議の決定等正式なものではございませんが、四月二十三日の記者会見におきまして御発言をされたところでございます。現時点、現在、政府を挙げてその方針に基づいて対応しているところでございます。
  112. 片山虎之助

    片山虎之助君 国の方針であることは間違いない、総理大臣が言っているんだから。だから、こういうものは公の意思決定なら手続が要るんですよ。形式も要るんですよ。それがないんで、それがだらだらだらだらなって。  それじゃ、市町村に計画を作れって言っていますよ。計画を作れというのは厚労省の事務連絡で言っているんですよ。あれは健康課の接種室長が、室長が言っているんですよ。室長というのが課の中におるんだから。大体は課長補佐の古手がなるんですよ。こんなことで、総理がわあわあ言って、できそうもないということになったらどうなるんですか。誰が責任取るんですか。  これで、何かの新聞記事によると、千七、八百の市町村のうち、総理が言うように七月末を念頭に、七月末までできるというところが千だとかなんとかという話ですよ。言っているところは千なんだから、できるかどうか、もっと分からない。いかがですか。
  113. こやり隆史

    大臣政務官(こやり隆史君) 御指摘の報道の件でございますけれども、現在、今まさに全自治体と緊密にやり取りをしているところでございます。  報道では、千百自治体が七月中には完了できないというような報道がなされたようでございますけれども、これについてはそういう事実はございません。現在、千七百市町村のうち約千の市区町村におきまして七月末までに高齢者に二回の接種を終えられる状況にあるというふうに承知をしているところでございます。  それで、改めて、まさに委員指摘のように事務連絡というようなお話もございましたけれども、厚労省といたしましては、各自治体と密接に今その計画についてお互い意思疎通をしながら調整をしているところでございまして、七月中に各自治体で接種が終われるようにしっかりと政府を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  114. 片山虎之助

    片山虎之助君 今は大分直ったんでしょうけど、市町村に対する連絡の悪いこと悪いこと。現物も送ると言ってなかなか送らない。やっとそれは直っているんだろうと思いますけれども。  しかし、それで、総理はさらに、七月末で早く終わったところは一般もやるんだと。三者並走ですよ、医療従事者、高齢者、その他と。何度も同じことを言いますけど、国民はそれが心配なんですよ。誰がどういう責任を負うと、どうしているのか分からない。国民の命と暮らしを守るんでしょう。もっとしっかりしてくださいよ。  それで、どこが中心か、これまた分からない、いろんな大臣がいろんな担当をやって。そしたら、今度は総務省が本部をつくって、地方支援本部をつくって、武田大臣がその、何ですか、文書を送ったり挨拶をしたり。大いにやれと。結構ですよ、市町村が中心なんだから、市町村の所管は総務省だから総務省が支援するのは結構だけれども、その辺の整理はどうなっているんですか。政府一体でやることじゃないんですか。いかがですか。まず、今答弁したあなたから。
  115. こやり隆史

    大臣政務官(こやり隆史君) 委員指摘のとおり、これは政府を挙げて一致団結して取り組むべき事業であるというふうに考えております。接種のスケジュール、あるいは全体のマネジメントは河野大臣を中心に今進めているところでございまして、厚労省としてもしっかりと連携しながら取り組んでいく所存でございます。
  116. 片山虎之助

    片山虎之助君 武田大臣、その支援本部は大臣のお考えですか。それから、何をやるんですか。支援するというのは分かりますよ。支援の具体的な中身を教えてください。
  117. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) 私の考えといえば私の考えなわけですけれども、とにかく、千七百を超える自治体、それぞれ事情も違っておりますし、抱える問題点も違っておりますし、数々の自治体から問合せ等も私のところにございました。とにかく、これを円滑に接種体制固めるためにも、やはりそれぞれの地域の意見というものを率直に伺って、それをしっかりと厚労省ないしは、ともすれば医師会、お医者さんの方に、医療関係者に伝えるという役目というものを我々が担っていかなくちゃいかぬなというふうに考えているわけであります。  一方的に、やはり政府の方から基本方針示して、全てのあたかも自治体が同じ状況である扱いというのはこれは避けていかなくちゃならない。大都市、中核都市、そして一般の市町村、過疎地、いろんな状況が違うわけですから、その実態に応じた正しい状況というものをしっかりと厚労省に伝えていく、その役割を我々が担っていく、それが地方の支援本部であります。
  118. 片山虎之助

    片山虎之助君 厚労省にいろんなことをつないでいく、いろいろなことを教えていく、厚労省はしっかりしていないということですかね。いやいや、それは。  それから、大臣は手紙も出したそうですね。今どき手紙というのも値打ちがありますよね。メールや何か、ツイッターの時代にですよ。何を書かれたんですか、そのラブレターは。
  119. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) 一応、政府、そして地方自治体との連絡調整というのが、これ設置法の中で所掌事務として我々は担っているわけであります。  七月末の間に全ての希望する高齢者の方々に二回を接種してもらえるという目標というものが定められたことに対する、まず改めて通知と、それともう一個は、今までの御苦労に対するねぎらいと、そして、今から我々は積極的に皆様方の実情についてお伺いをしていきたいと、率直の意見を出していただきたい、そして一緒にこの難を乗り切っていきましょうという、そうしたメールを送らせていただいた次第です。
  120. 片山虎之助

    片山虎之助君 まあ相当、大臣大臣なりにお考えになって苦労していると思うんですが、是非成果が出るようによろしくお願いいたしたいと、こういうふうに思います。  そこで、接種するには、接種するマンパワーといいますか、打ち手が必要なんですよね。これはもう盛んに新聞やテレビその他でも議論されておりますけれども、打ち手は大丈夫なんですか。場所も本当は心配なので、アメリカなんかはかなり自由にやっているといいますけれども、日本はそれができるとも思えませんが、そういうことを含めていかがですか。
  121. こやり隆史

    大臣政務官(こやり隆史君) 委員指摘のとおり、接種に当たりましては、医療関係者の確保、これが極めて重要でございます。  従来から、医師会あるいは看護師、看護協会等、協力を要請してきておりますけれども、改めて先日、四月三十日ですけれども、総理から医師会長あるいは看護協会長に対しまして一段の協力を依頼したところでございます。また、政府におきましても、看護職員の確保に向けてワクチン接種会場への看護職員の派遣を可能とする等の制度改正も行ってきたところでございます。  加えまして、筋肉注射あるいはアナフィラキシーショック等に関する基本的な知識があるということから、今般、歯科医師の先生方に対しまして、一定の条件の下で接種のための注射に御協力いただくことも可能として自治体にお知らせしているところでございます。
  122. 片山虎之助

    片山虎之助君 その歯科医師さんを入れるのはいいんですが、それも一斉にあなたの方から通知したんじゃなくて、神戸市長が照会したら、いいと言ったということになるんですか。それが全国に援用されるということ、よく分からないんだな。  それから、よく言われている薬剤師だとか、医学生だとか、救急救命士だとか、いろいろその似たような領域のいろんな方がおられますよね。そういう方は無理なんですか。その線をはっきり示さないと。いいんですか、それで。
  123. こやり隆史

    大臣政務官(こやり隆史君) その線ははっきりお示しをしているところでございます。  今委員が御指摘ございました薬剤師の方々とかあるいは研修生の方々については、これは現行法上も注射をしていただくということはできません。  他方で、例えば一番大事、大変な手間が掛かる注射液を入れる事前の行為ですね、そうしたものについて、まさに薬剤師の皆さんのお力をいただきながら、効率的に接種体制を構築していくという体制で組んでいきたいというふうに考えております。
  124. 片山虎之助

    片山虎之助君 まあ納得しないけれども、何となく、まあ結構ですがね。  看護師五百人をオリンピックのために確保したい、手当てをするという、この話はどうなったんですか。
  125. 丹羽秀樹

    ○副大臣(丹羽秀樹君) 安全、安心な大会実現するために感染対策を行うということは極めて重要なことであります。  組織委員会におきまして、地域医療に支障を生じさせずに大会において必要な医療体制を確保できるように、関係者と丁寧に現在調整を進めているところでございます。  組織委員会では、日本看護協会に対しまして看護師の方々の協力を要請させていただいておりますが、それぞれの方の希望に応じて御対応をいただくものだというふうに承知いたしております。  国としても、引き続き東京都や組織委員会としっかりと連携を図りながら後押しをさせていただきたいと思っております。
  126. 片山虎之助

    片山虎之助君 それから、国直轄で東京と大阪に一大接種センターをつくる、構想はいいですよ、遅い。全部が固まった後から出てくるんだから、割り込みみたいな格好になる。しかも、本来業務がある人方を動員するわけでしょう。本来業務の方は大丈夫なんですか。  それから、当面の責任者というのか施行者である市区町村との調整はどうなっているのか。いかがですか。
  127. 丹羽秀樹

    ○副大臣(丹羽秀樹君) 現在、組織委員会におきまして、その参画いただく医療スタッフの方々の個々の事情をきめ細かく把握いたしまして、医療機関、競技団体等の御意見を丁寧に伺いながら、現在必要な医療スタッフの精査を行っている状況でございます。
  128. 松川るい

    大臣政務官(松川るい君) お答えいたします。  新型コロナワクチンについては、接種を希望する方に一日でも早くワクチンをお届けできるよう必要な数量の確保とともに、安心して接種いただける体制の構築に向けて自治体と緊密に連携しながら全力を挙げて取り組んでおります。  東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県の一都三県には、全国の六十歳以上の高齢者三千六百万人の四分の一に当たる約九百万人が居住しており、人口が集積しているとともに、人の往来の多さ、社会経済活動の中心であるとの特徴があり、感染拡大が継続した場合の他地域への影響も大きいものと考えております。また同様に、大阪府を中心とする地域においても、人口が集中して、感染拡大が顕著であると考えております。  こうした状況を踏まえ、市町村、市区町村におけるワクチン接種を国として強力に後押しし、確保したワクチンが可及的速やかに接種されるよう、先月二十七日、総理から防衛大臣に対し、医官や看護官等による組織的な活動が可能な自衛隊により大規模接種センターを設置し運営するよう指示がございました。  総理からの指示を受け、四月二十七日以降、大規模接種センターへ派遣可能な医官や看護官等の精査を各部隊において実施してきており、現在、本省において、部隊からの報告を踏まえ、必要な人員や体制を精査しているところであります。  センター運営期間中については、地域医療や自衛隊員の診療に当たる自衛隊病院の任務はもちろん、仮に大規模な自然災害等国内外で発生し、防衛省・自衛隊に対して災害派遣や国際緊急援助に係る派遣要請があった場合には、当該任務の遂行に影響を与えないよう、センターの運営体制を調整してまいります。
  129. 片山虎之助

    片山虎之助君 その高齢者も、元気な高齢者と、いろいろいますよね。若い高齢者、若くない高齢者、いろいろおりますけど、高齢者を来させるわけでしょう、東京や大阪に。付添いが要る人もおるし、車椅子の人もおるし、いろいろおると思いますよ。これをやらないと数が足りないんですか、さばけないんですか、デモンストレーションですか。大いにこういうことをやっているんだと、国が、みんなも頑張ってくれと、こういうことのためにやるんですか。  数が一万五千ですよ、何か東京が一万で大阪が五千だそうですけど、一日に処理する件数が。これは絶対不可欠だからそういうことをやるんですか。そこの発想がよく分からないんですよ。ばあっと打ち上げて、まあ私はやらないよりはやった方がいいと思うけれども、無理をして、本来のペースを崩して、いろいろ問題を起こしてやるのがいかがかなと思っているから質問をしているんです。いかがですか。
  130. 松川るい

    大臣政務官(松川るい君) お答えいたします。  防衛省・自衛隊が設置する大規模接種センターは、新型コロナウイルスワクチンの接種は市町村、市区町村において実施することが基本である、その中で市区町村におけるワクチン接種を強力に後押しすることを目的としており、住民票を有する市区町村以外に接種場所提供することにより、国が確保したワクチンが可及的速やかに接種されることを目指すものです。  引き続き、市区町村におけるワクチン接種の取組と連携するとともに、住民の皆様の間で混乱を招くことがないよう準備を進めてまいります。
  131. 片山虎之助

    片山虎之助君 いやいや、まあ両方の考え方があるんで、どっちのプラスが多いかという話なんですが、それやると決めた以上、三か月やるんですか。三か月やるんですか、期間はいかがですか。
  132. 松川るい

    大臣政務官(松川るい君) ワクチン接種を希望する高齢者に、七月末を念頭に各自治体が二回の接種を終えることができるよう全力を挙げて取り組むという政府の方針の下、センター設置により、当該機関において自治体におけるワクチン接種を強力に後押しすることを念頭に置いております。  これに加えまして、高齢者への接種に引き続き、基礎疾患を有している方、高齢者施設従事者等が接種対象者として追加されることが見込まれるところ、対象者が追加される時期にかけても自治体の接種体制を後押しするべく、期間については計三か月としております。
  133. 片山虎之助

    片山虎之助君 ちょっと時間がなくなりましたので、最後に、国産ワクチンを前から申し上げておるんですが、塩野義製薬が一千万回ぐらいの国産ワクチンが手当てをできて出せるという新聞記事か何か見たんですが、そういうことのフォローは厚労省でやっているわけですか。
  134. こやり隆史

    大臣政務官(こやり隆史君) 前回も御答弁させていただきましたけれども、国内産ワクチンの開発につきましては、研究開発段階あるいは臨床試験等々も含めまして支援制度を設け、支援をしているところでございます。  今のところ、今委員が御指摘の塩野義製薬のワクチンにつきましては、正式なデータあるいは申請等まだ出てきておりませんので、正式には受け付けていない状況ではございますが、開発中であるということは承知をしております。
  135. 片山虎之助

    片山虎之助君 ありがとうございました。  それじゃ、また質問することがあると思いますが、ワクチン関係の方はどうぞ。委員長
  136. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) ワクチン関係の方、御退席いただいて結構です。
  137. 片山虎之助

    片山虎之助君 それじゃ、本題のデジタルの法案質問させていただきますけれども、今度のデジタル社会形成基本法というのは、その前の、IT基本法と我々は略称しておりましたが、IT基本法の継続じゃないんですね。継承、発展、何かと、こういうのが割に多いんですけれども、これはもうアウトにして、法律をやめて新しい法律を作ったということですが、何かこれはお考えがあるんでしょうか。
  138. 藤井比早之

    ○副大臣藤井比早之君) 今般のデジタル社会形成基本法案の策定に当たりましては、平成十二年十一月のIT基本法成立から約二十年が経過する中で、新型コロナウイルス感染症への対応において明らかとなった国や地方公共団体を含め社会全体のデジタル化の遅れや、情報通信技術の急速な進展に伴いデータ活用重要性が高まっているといった事情を踏まえて検討を進めさせていただいたところでございます。  この法案におきまして規定する内容は、IT基本法と比較して、目的が抜本的に改められるとともに、目指すべき社会として新たなデジタル社会が定義され、その形成に関し、基本理念、責務及び施策の策定に係る基本方針等が新たに規定され、また、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部を廃止してデジタル庁を新たに設置することとしておりまして、デジタル社会の形成を推進するための体制についても抜本的な見直しを図ることとしております。  このように、この法案は、その目的、目指すべき社会、基本理念、施策の策定に係る基本方針、推進体制等においてIT基本法の規定を全面的に改めるというものとなっておりまして、IT基本法を廃止した上で新法を制定することが適当であると考えたものでございます。
  139. 片山虎之助

    片山虎之助君 IT基本法を作ったのは平成十二年から十三年ですよね。十三年の一月から施行になった。私も担当したというのか、副本部長か何かに、そのとき総務大臣だったから、なって、大変、日本を世界で一番のIT国家にしようと、そういうことでスタートしたんですよ、あのときは。しかし、結果は皆さん御承知のとおりで、特に行政のデジタル化が遅れて、一周、二周遅れだと言われて、世界の。いろんなデジタルの指標でも良くありませんよ。  だから、そういう意味では、今度思い切ってデジタル国家にすると。そのためには、国はデジタル庁をつくって、まあ手法は古いんだけれども、ああいうところで監督権を持って一元化して強引にやると、縦割りを抑えると、地方は地方自治で勝手なことをやるんで、これは法律で規制すると、こういうあれなんだけれども。  私は、それぞれ、まあ若干、私も責任がもちろんあると思うんですが、責任あると思いますよ。特に今回の地方のこのいろんなものがばらばらになっていると、様式や帳票や、あるいは執務のやり方や中身や。こういうことについては、私は総務省や自治省の責任がないとは言えないと思うんですよ。いかがでしょうか。  ただ、地方自治だから、それは勝手にやらせりゃいいというのとはちょっと違うんですね。いかがですか。
  140. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  自治体ごとに、住民ニーズへの対応、利便性向上等の観点から情報システムのカスタマイズが行われてまいりました。その結果、維持管理制度改正時の改修等において自治体個別対応を余儀なくされ負担が大きくなる、それから、情報システムの差異の調整負担となりクラウド利用が円滑に進まない、住民サービス向上させる最適な取組を迅速に全国へ普及させることが難しいといった課題がございました。  こうした状況の中で、私ども総務省としては、これまで複数自治体による情報システム共同利用を通じた仕様共通化取組を進めてまいりました。しかしながら、自主的な取組を基本としたため、業務プロセスの相違や団体間の調整コストなどが課題となって円滑に進みづらい状況にあったことはもう否めないものと認識しております。  今般の新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、行政のデジタル化を加速化する必要性が高まる中、デジタル時代の地方自治を実現させる具体策の一つとして、今回の標準化法案により国が定める基準に適合したシステム利用自治体に義務付けることとしたところでありまして、全国自治体が足並みをそろえて実効性のある取組となるよう取り組んでまいります。  以上でございます。
  141. 片山虎之助

    片山虎之助君 私は、前にもこの席で言ったことがあると思いますが、地方自治というのは違いを認めることなんですよ。日本中が同じになるのは金太郎あめなんですよ。きちっとした理由があるのなら、それを住民が選ぶのなら、違いを認めるのが地方自治だと思っているんです。  しかし、少なくともこのデジタルの、行政のデジタル化においては、地方が勝手なことをやるというのは、これは住民利便性や、皆さんお得意の言葉ですが、あるいは財政の効率化その他からいっても、国との関係からいっても、私は前からおかしいと思っているんですよ。しかし、むしろ、いろんなことで情報関係は独自性を認めようということでやったんですよね。しかし、それが今日まで直らなかった。だから法律を作って今回やるんですよ。  法律で国会が決めるのなら、それは地方自治もしようがないです、そこは。しかし、それは節度があって、それはもっともだというところがなきゃ、何でもやっちゃうと地方自治なんて死んじゃいますよ。その辺はどういう調整をお考えでおやりになっているんですか。
  142. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  標準化法案におきましては、情報システムによる処理の内容が各地方公共団体間において共通し、かつ統一的な基準に適合することが住民利便性向上や行政運営の効率化に寄与する事務に対象を限定した上で標準化基準への適合を義務付けております。  標準化の対象事務は地方公共団体の創意工夫の余地が小さい事務でありまして、独自性を発揮すべき分野の事務を対象しているものではございません。標準化取組は国として推進すべき地方行政のデジタル化の基盤ということで、地方自治法に言う、いわゆる国の役割とされております地方自治に関する基本的な準則を定めるという考え方で今回法案を出させていただいているところでございます。  以上でございます。
  143. 片山虎之助

    片山虎之助君 何で五年ですか。五年も掛かるんですか。五年じゃ短いと言う人も確かにおりますよ。デジタル・ガバメント計画含めて五年ですか。
  144. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  昨年末に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画において、国、地方を通じたデジタル化を今後五年間で集中的に進めるということとされました。標準化共通化についても目標時期を令和七年度とすることとされております。  各自治体においては、令和七年度を目標時期として標準準拠システム利用していただくことになりますが、現行契約の更新のタイミングも考慮しながら、現行システム標準準拠システムとの再分析や業務への影響の確認などの準備行為、データ移行などのシステム移行作業等を行う必要がございます。自治体からは、むしろ十分な移行期間を確保してほしいという御意見もいただいております。  私ども総務省としては、自治体が円滑に標準準拠システムへの移行を進められるよう、丁寧に自治体の意見をお伺いし、取組を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  145. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) おまとめください。
  146. 片山虎之助

    片山虎之助君 それは五年間掛けないともうフル運転できないということなんでしょうか。その答弁と、もう一つ、今回の経費は全部国、国費支弁でしょう。私は、一定のルールで国から支援を受けるのはいいと思いますよ。しかし、何から何まで全部国にお世話になるというのは、コロナがそうですけれども、コロナの場合にはちょっと違うんですよね。これでいいんだろうか。本来の地方の仕事ですよ、本来きちっとやることなんですよ。それを今回は国が法律を作って、てこ入れをしながら、まとめて早くやろうと。  私は五年は長いと思うけれども、五年掛かると言う人もいるので、それは分かりません。しかし、全部それを、経費まで丸抱えというのはいかがかと思いますが、御意見があればどうぞ。
  147. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 時間が来ておりますので、簡潔に答弁願います。
  148. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 移行期間につきましては、地方公共団体システムの更改スケジュールが大体五年、短いところで五年ということが言われておりますので、この五年というのは、五年というスケジュールでもかなり厳しいんじゃないかと。その厳しいスケジュールの中で足並みをそろえていこうということでございます。  そして、そういうことになりますと、やはり、もちろん運用経費を対象にするわけじゃございませんが、足並みをそろえて地方公共団体移行することが全体的な財政負担効率化等につながりますので、準備経費や移行経費に限って国費で支援をさせていただきたいということでございます。
  149. 片山虎之助

    片山虎之助君 しっかり頑張ってください。  終わります。
  150. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。  早速質問をさせていただきます。  質問したい項目も多いものですから、できれば簡潔にお答えいただければ幸いです。  初めに、政府によるガバメントクラウドと十七業務における新しい情報処理システムの設計、開発は、大手IT企業が受注することになる可能性が高いと考えられます。もちろん中小のIT企業が受注する可能性もゼロではありませんが、資料一ページにあるように、ガバメントクラウドと十七業務の新たな情報処理システムの設計、開発を請け負う一握りのIT業者、アプリケーション開発事業者全国の各市町村と契約を結ぶことになります。  ここには、これまで全国各地で各市町村の十七業務、その他の基幹システムを中心に受注し、システムを組んで維持、運用してきた地域情報サービス会社と呼ばれる中小のIT企業の姿がありません。  山形県でも、東京に本社を構える大手ITベンダーの支店が情報システムを請け負っている例もありますが、幾つかの山形県内の市町村では地元の地域情報サービス会社が受注しています。  このような地域情報サービス会社とそこで働くシステムエンジニアは、政府ガバメントクラウドと十七業務標準システムを推進することで、各市町村から受ける仕事が大幅に減ってしまいます。全国自治体IT市場は一部の業者による寡占状態になってしまうのではないかと非常に心配されています。  そこで、総務大臣伺います。  一部大手IT企業による市場の寡占が進まないように、そして地域の中小IT企業、地域情報サービス会社が活躍できるように、ガバメントクラウド標準システムを中心とする自治体デジタル化においても地域情報サービス会社が活躍できるスキームを制度化すべきではないでしょうか。  例えば、十七業務標準システムを地域情報サービス会社経由で自治体提供する、法改正や制度改正に当たっては地域情報サービス会社がシステム開発に参画するなどを可能にすべきだと考えますが、総務大臣の御見解はいかがでしょうか。
  151. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) 標準化共通化取組は、国が定める標準仕様に準拠したシステムを各ベンダーが開発し、全国規模のガバメントクラウド上に構築することを想定しておりまして、地域のITベンダーにも参入の機会はあるものと認識をいたしております。  また、地域のITベンダーが標準準拠システム提供しない場合でも、高齢者を始め多くの住民が恩恵を実感できるためのデジタル活用支援など、新たな価値やサービスを創造する業務にシフトしていくことなども考えられてまいります。  総務省としては、標準化共通化に積極的に取り組む意向のある地域のITベンダーに対して、例えば自治体を通じた標準仕様書に関する情報提供を行うほか、クラウド基盤に円滑に移行するための必要な支援を行うなど、地域のITベンダーが地域の担い手としての役割を果たせるよう、関係省庁と連携して対応してまいりたいと考えております。
  152. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 総務大臣から非常に前向きな内容も含めてありました。是非地方のベンダーが活躍する場がこれまでのようにあるように、あるいはデジタルまでも東京一極集中にならないように是非お願いをしたいと思います。  もう一つ、この問題で、内閣府副大臣にも伺います。  資料一ページのように、国が提示しているスキーム案では、地方自治体はアプリケーション開発事業者利用契約を結ぶと記載されていますが、ここでは地元の中小IT企業、地域情報サービス会社の位置付けが欠落しているのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  153. 藤井比早之

    ○副大臣藤井比早之君) 地方自治体システム提供するベンダーのサービス形態は多様に存在するため、各自治体ガバメントクラウド活用することによるベンダーへの影響も様々であるというふうに考えております。  委員指摘の地域情報サービス会社、地域の中小IT企業も含め各ベンダーにおいては、地方自治体ガバメントクラウド活用する取組により、自らクラウド基盤を整備することなく自社が開発したアプリケーションが全国展開する機会を得られることが考えられる一方で、自社でアプリケーションを直接開発しない事業者においては新たなビジネスモデルを模索する必要があるというふうに考えております。  新たなビジネスモデルとしては、例えば、新しいデジタル技術活用や行政サービスの高度化に資するシステム開発すること、地方自治体のデジタル化をきめ細やかにサポートし地域のデジタルディバイド対策を担うこと、地方自治体業務のアウトソーシング化の一端を担うことなどが考えられると考えております。  デジタル政府・社会を実現していく中ではデジタル関係の業務はむしろ増加するものであり、貴重なデジタル人材が個別に同じ改修を行う等の業務から新しい価値やきめ細かなサービスを創造する業務へとシフトしていく、シフトされていくよう、地方自治体と協力しながら中小ベンダーに対し理解を求めるとともに、必要に応じて支援を行ってまいりたいと考えております。
  154. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 今までのように、そのソフト開発からということは、非常に利益率の高いという仕事がなくなって、全国的な産業構造のように地方には下請的な仕事しかないと、ITまでもそうなったというようなことのないようにしっかりと支援をお願いいたします。  次に、昨年十二月に発表されたデジタル・ガバメント実行計画では、十七業務標準化システム提供開始が二〇二三年頃、各市町村の移行目標が二〇二五年度とされています。  この目標達成は無理ではないかという声も現場から複数出ています。さらに、各地の自治体からは、それぞれの現実的な移行スケジュールを聞いて調整することも必要だという声も上がっています。  期限とされた二〇二五年にこだわらず、ソフトランディングさせるため、例えば二〇二八年度ぐらいまで移行期間も認めるべきではないでしょうか。また、全国で一斉移行させるために必要なITエンジニアを確保できるかを全国の地域情報サービス会社に確認することも必要だと考えますが、内閣府副大臣の御見解を伺います。
  155. 藤井比早之

    ○副大臣藤井比早之君) 今般の新型コロナウイルス感染症対応を通じまして、各省庁や地方自治体がこれまでそれぞれ個別にデジタル化を進めてきたことによる課題が様々な分野で明らかになって、浮き彫りになっておるところでございます。したがいまして、行政のデジタル化は喫緊の課題であるというふうに認識しておるところでございます。  この行政のデジタル化を加速化するため、昨年末に閣議決定されたデジタル・ガバメント実行計画において、国、地方を通じたデジタル化を今後五年間で進めることとしてきたところでありまして、ガバメントクラウドに構築される標準準拠システムへの移行を目指す地方自治体基幹システムの統一・標準化につきましても、目標年次を令和七年度とさせていただいたところでございます。  移行の方法につきましては、地方自治体システム状況に応じて多様であると認識をしておりまして、今後、ガバメントクラウドへの移行に係る課題を検証するために先行事業を行うこととしておりまして、その中で幾つかの移行パターンを提示し、市町村が実情に応じて最も安全かつ円滑に移行できる方法等について検討したいと考えております。地方自治体の実情に沿った方法を選択することによって移行に係る作業が効率化されるようにしてまいりたいと考えております。  今後とも、地方自治体が計画的かつ着実に取組を進められるように、標準準拠システムへの移行を支えるITエンジニアの状況などを含め、地方自治体の意見を丁寧に聞きながら、総務省や都道府県とも連携して支援してまいります。
  156. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 丁寧な移行ということで、それ自体は本当に有り難いなと思いますが、更に確認ですけれども、二〇二五年度のこの移行にこだわって、何らかのこの移行できなかった者には罰則があったりとか、そういう不利益があったりということはないということでよろしいんでしょうか。
  157. 藤井比早之

    ○副大臣藤井比早之君) 行政のデジタル化は喫緊の課題でございますので、これは進めていかねばならない。  一方で、委員指摘のとおり、各自治体状況というのは様々でございますので、そこは丁寧にお話をお伺いしながらしっかりと支援をしてまいりたいと考えております。
  158. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 再び確認ですけれども、新しい十七業務標準化システム、二〇二二年度前半に仕様が全て固まって、各IT企業での開発を経て、二〇二三年度中に各自治体が装備可能になると伺っていますが、これは確実なのか。つまり、ちょっと早くなれば二〇二四年度から新しいシステム移行ができるのかどうか。その各市町村のタイミングがありますので、二〇二三年度中に各自治体が装備可能になるというのは確実なのかどうか、お教えください。
  159. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) お答えいたします。  昨年末に閣議決定いたしましたデジタル・ガバメント実行計画におきまして、地方税や介護保険などの七業務につきましては令和三年夏を目標に、後期高齢者医療、生活保護など九業務につきましては令和四年の夏をめどに、目標に、制度所管省庁が標準仕様書の作成を進めることとしておりまして、現在、地方公共団体、関係団体事業者で構成する検討会を開催する等、作業を進めております。住民記録業務につきましては、昨年九月に標準仕様書が取りまとめられております。  順次策定されます標準仕様書に基づきまして事業者標準準拠システムを構築する期間を約一年と見込んでおりまして、その後、令和五年度から令和七年度までを標準準拠システムへの本格移行期間といたしているところでございます。  なお、先ほど副大臣から御答弁申し上げましたけれども、ガバメントクラウド移行に係る課題の検証を行う先行事業令和三年度、四年度において行うということにしておりまして、市町村が実情に応じて最も安全かつ円滑に移行ができるように準備を進めることといたしております。  地方公共団体が計画的に取組を進められるように、国といたしましても、引き続き着実に取組を進めるとともに、地方公共団体の意見を丁寧にお聞きし、都道府県とも連携して支援をしてまいりたいと考えております。
  160. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 国の提示が遅れてこの切替えがうまくいかないなんということがないようにお願いをいたします。  同じく総務省の参考人にも伺いたいんですが、例えば二〇二二年度や二三年度にこれまでの情報システム契約の期限が切れてしまうというような微妙な時期で更新をしなければならない、こうした場合、古いシステムの更新を行っても総務省としては何らかの補償は考えているのか。  つまり、こうしたシステムはおよそ五年ぐらい使うと聞いておりますので、ほんの僅か前にどうしても標準システムでないもので更新を余儀なくされてしまった、五年使えるものが例えば一、二年しか使えなかったということで、地方公共団体の支出はそうすると無駄な支出が増えるわけですけれども、その分も国が一〇〇%支援してもらえるのかどうか、見てもらえるのかと、その辺はいかがでしょうか。
  161. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  情報システム標準化共通化取組については、デジタル・ガバメント実行計画において、国が自治体事業者の意見を踏まえながら標準仕様を作成し、各事業者がそれに準拠したシステム開発し、自治体システムの更新時期に合わせて標準準拠システム移行していくとの工程を想定しております。  令和二年度第三次補正予算において、標準準拠システムへの移行に要する経費について国費により支援することとしておりますが、この標準準拠システムの前の現行システムの費用まで国費の対象とすることは非常に難しいのではないかと考えております。  私ども、標準準拠システム提供される前に現行システムの更新時期を迎える自治体については、標準準拠システム提供される時期を勘案しながら、例えば現行契約を一年でも二年でも延長していただくとか、そういうことをベンダーさんと協議していただきたいといったようなことが必要じゃないかと考えておりまして、その旨既に地方自治体の方にもお話をさせていただいております。  いずれにいたしましても、地方自治体の声をしっかり聞いて、丁寧に対応させていただきたいと思います。  以上でございます。
  162. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 これ、もし計画の遅れなどがあればまた状況が変わってくるということもありますので、そうした面についてもしっかり地方自治体負担にならないように検討をお願いをいたします。  次に、昨年十二月のデジタル・ガバメント実行計画によりますと、ガバメントクラウドなどを、SaaS、実用的なプログラムの機能をインターネット経由で利用できるサービス、PaaS、こちらは実用的なプログラムを支えるプラットフォーム機能をインターネット経由で利用できるサービス、IaaS、サーバーデータベースなどインフラ施設をインターネット経由で利用できるサービスとして、この三つを二〇二五年度に全市町村で導入するという数値目標が書かれております。  各市町村がこのSaaS、PaaS又はIaaS、いずれかでガバメントクラウドなどを導入すれば、このデジタル・ガバメント実行計画は達成したということになるのでしょうか。この確認をしたいんですが。
  163. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) ガバメントクラウドでございますが、これ、政府情報システムにつきまして共通的な基盤機能提供する複数クラウドサービス利用環境でございまして、御指摘にありましたように、IaaS、PaaS、SaaS等の様々な活用形態へのニーズに対応できるように準備を進めております。  自治体の、地方公共団体情報システムにつきましても、御指摘がありましたように、令和七年度までにガバメントクラウド上で提供される標準準拠システム移行することを目指しているところでございます。  地方公共団体にとりましては、これまでのように自らのサーバー等のハードウエアやOS、ミドルウエア、アプリケーション等のソフトウエアを所有するということではなくて、ガバメントクラウド上にアプリケーション開発事業者開発したアプリケーションを利用することを想定をしております。これは、ガバメントクラウドをSaaSとして活用するというものでございます。  令和七年度までにこの方式に移行できるようになればデジタル・ガバメント実行計画で示した目標を達成したことになるものと考えておりますが、いずれにいたしましても、丁寧に自治体の意見も聞きながら進めてまいりたいと考えております。
  164. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 どれか一つ活用すれば、この実行計画を達成したということになるということでよろしいんですね。
  165. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 自治体にとりましては、このIaaS、PaaSという活用ではなくて、アプリケーション開発事業者提供するアプリケーションというのを活用します。  したがいまして、地方公共団体にとってみますと、利用形態としてはSaaSという形態になると思います。この形態を取っていただくということで、ガバメントクラウド上での目標が達成できるという趣旨でございます。
  166. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 例えば、そうすると、その場合ですが、ある自治体がSaaS、PaaS、IaaS、いずれかを活用すれば導入したことになるのかということで、言い換えると、例えば、ある自治体が既存の情報システムを全く組み直さずに、例えばガバメントクラウド提供する表計算のプログラム一つ使っただけで、これはガバメントクラウドのSaaSを使ったことになりますが、これでも政府のその二〇二五年度に目標としている計画、実行計画を達成したということになるのかどうか、これ確認したいんですけど。
  167. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 今回目標にしておりますのは、ガバメントクラウド上に構築されますシステムにおきまして、十七業務というものの標準準拠ということで使っていただく。したがいまして、あくまでも使っていただくアプリケーションサービスといいますのは十七業務を想定したアプリケーションということになりますので、その十七業務のアプリケーションを使っていただくということを目標として掲げているものでございますので、その一部の何とかということでなくて、あくまでも十七の業務につきましてガバメントクラウド上で標準準拠システムを使っていただくということを想定しております。
  168. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 そうなると、この二〇二五年というハードルが相当高いものになってくるなというのが印象です。是非地方の実情も調べて、地方の実情も聞いて円滑な移行をしてもらいたいと思います。  それから次に、ガバメントクラウドと十七業務標準化システムの全体像について、公開されている情報が余りにも少なくて、大手ITベンダーも各地の地域情報サービス会社も対応に非常に苦慮しているという声が聞こえてきます。内閣官房IT総合戦略室が出した地方自治体によるガバメントクラウド活用についてでは、ガバメントクラウドは今年三月までに提供開始の予定でしたが、実際に五月の今でも提供は始まっておらず、提供開始時期は未定と聞いています。  既存の自治体クラウド、単独クラウドLGWAN、マイナポータルのぴったりサービスがどうなるかも含めて、より詳しい自治体デジタルトランスフォーメーションの全体像をいち早く示すべきだと考えますが、内閣府の見解はいかがでしょう。一体いつしっかりとした全体像が示されるんでしょうか。
  169. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 地方公共団体基幹業務等のシステムの統一・標準化取組につきましては、これまで地方公共団体に対する説明会、あるいはその政府CIOポータル等を通じて情報提供を行ってきたところでございますが、今後さらに、議員御指摘のように、アプリケーション、クラウドネットワーク等のシステム基盤に関する要件等の詳細を示していく必要があるというふうに認識をしております。  地方公共団体基幹業務等のシステムにつきましては、地方公共団体の規模等様々でありまして、現在、全国地方団体職員との議論の場として立ち上げました共創プラットフォーム等を通じまして多様な実情をお伺いをしているところでございます。  今後、ガバメントクラウド移行に係る課題の検証を行うために、先行事業地方公共団体の協力を得て実施することとしております。その状況地方公共団体にフィードバックすることなどを通じまして、詳細かつ適宜適切な情報提供を進めてまいりたいと考えております。
  170. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 次に、これまでデジタル化、何年も取り組んできたわけですけど、なかなか日本では失敗の連続でうまくいっていない。本当にうまくいくのかということの例を質問させていただきたいと思います。  資料二ページから四ページを御覧ください。特許庁では、二〇〇四年に特許審査や原本保管などを支援する基幹系システムを全面刷新する計画を立てましたが、うまくいかずに中止され、そこまで費やした五十五億円が無駄になりました。  特許庁では、この基幹システムの全面刷新のどこに問題があったために二〇一二年で中止になったと考えているんでしょうか。
  171. 小見山康二

    政府参考人小見山康二君) 御指摘のとおり、特許庁では、平成十六年に特許出願審査等の業務システムを刷新する計画を策定いたしましたが、度重なる遅延が生じ、平成二十四年一月に計画を中断したところでございます。  中断に至った要因でございますが、外部有識者委員会設置し、検証を行ったところ、主に、委託事業者技術力、管理能力不足、調達時の事業者技術評価が不十分、計画自体の技術的難易度が高かったということが指摘されたところでございます。  こうした指摘を踏まえて、平成二十五年に改定した計画においては、調達時に委託事業者技術力等を適切に評価するために、調達において技術点の比重を高めるよう改善するとともに、計画の難易度を低減するため、一斉刷新ではなく、業務単位ごとに開発規模を縮小するということにしたところでございます。また、同委員会よりシステム開発の上流工程が重要であるという御指摘を受けたことから、発注者である特許庁自身の能力を高めるため、現行業務全体をフローチャート等に可視化するといった準備も行っているところでございます。  これらの取組により、現在までのところ本計画は順調に進捗しているということでございます。
  172. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 総務省政府参考人伺いたいんですが、この特許庁の基幹システムの全面刷新が二〇一二年に中止された理由の一つに、特許庁側が業務の可視化を自ら行うなどの発注者責任を果たしていなかったことがあります。  昨年十二月に閣議決定したデジタル・ガバメント実行計画では、業務改革、BPRの徹底、行政手続等の棚卸しの継続、改善が盛り込まれています。ところが、今回議題となっている地方公共団体情報システム標準化に関する法案では、自治体にBPRを含めて業務の可視化を進め、業務手順の流れ図を全て作成、業務遂行での課題である要求を全て洗い出し、システムの要件定義をまとめられるようにして仕様書を策定するなど、各自治体に発注者責任を果たすよう義務付けるべきなんですが、なぜこれが今回のこの法案に盛り込まれていないのでしょうか。
  173. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  私ども今回提出しております標準化法案では、自治体は、住民利便性向上や行政運営の効率化に寄与することを旨として、標準化を実施する責務を有すると規定をさせていただきました。各自治体は、本法案に基づいて、標準化取組を単に進めるだけではなくて、標準化に伴う業務プロセスの見直し等を行い、さらに、その業務プロセスをしっかり可視化した上で発注をしていくことになろうかというふうに思っております。  実際、標準化取組では、私ども総務省もそうですが、国が全国自治体の意見を踏まえて策定する標準仕様書におきましては、機能要件に対応する業務フローを示すこととしております。各自治体においては、こうした業務フローを参考としながら業務改革を行った上で、業務の可視化を行うこと等により発注者としての責任が果たせるものというふうに考えております。  以上でございます。
  174. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 こうした、我々も含めてITが苦手だという人間も多いんですけれども、発注者責任ということも考えると、発注側もこうしたIT能力を高めることが必要だと思います。  資料の七ページから九ページを御覧いただきたいんですが、この日経クロステックの記事によれば、政府自治体などが発注者責任を果たしていないことが一番の問題だと指摘しています。  世界最高レベルのIT国家に変えていくために、自治体が、IT業者に丸投げではなく、デジタル化推進のために、仕事の中身もITも分かる人材を内部で育成していくべきではないかと思いますが、総務大臣の御見解を伺えますでしょうか。
  175. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) 自治体においてデジタル化を円滑に進めていくためには、自治体業務を理解している職員がデジタル技術活用できるよう育成していくことが重要であります。  このため、総務省では、各自治体における職員育成に資するよう、自治大学校、J―LIS等の関係機関が行う研修情報を取りまとめて提供し、積極的な活用を促しているところであり、一層充実した研修となるよう関係機関に働きかけてまいりたいと考えております。  さらに、今年の夏をめどに自治体DX推進計画の手順書を提示する予定であり、その中で研修やキャリアパスの形成等の人材の育成手法について盛り込むとともに、先進的な自治体の事例も紹介してまいりたいと考えております。
  176. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 是非そうした取組も続けていただきたいですし、その具体的な例では、やはりスペシャルな能力を持っている人を自治体も雇えるように、例えばモデル俸給表を作る、あるいは臨時の人材も雇える。  それからもう一つ、地方交付金のポイントの一つに、ラスパイレス指数が高くなると、これが、その地方交付金が減ってしまう、マイナスになってしまうという要件もありますので、こういったIT人材に関しては、これを除外していただく、あるいは外部から委託などで支援をもらう場合、総務省から各自治体に特別交付税などを出して支援する、そういった仕組みも必要だと思いますが、総務省の参考人の皆さん、いかがでございましょうか。
  177. 山越伸子

    政府参考人(山越伸子君) 御答弁申し上げます。  ラスパイレス指数に関しての御回答を申し上げます。  地方公共団体がデジタル人材を確保するためには、職務の内容や性質に応じまして、適切な任用形態、給与等の勤務条件を設定することが必要であると認識をしています。各地方公共団体におきましては、高度な専門的知識、経験が求められる職につきましては、任期付職員制度や特別職非常勤としての任用によりまして、民間人材の活用も含め実施をしているところでございます。例えば、高度専門人材を対象とします特定任期付職員制度を活用する場合では、一般的な行政職の給料表とは異なりまして、その業務の専門性に見合った別の給料表を用いることとなっているところでございます。  ラスパイレス指数は、同種同等と考えられますいわゆる一般行政職の国家公務員と地方公務員の給与水準を比較する指標としておりますので、高度なデジタル人材を特定任期付職員や特別職非常勤職員として任用した場合の給与はラスパイレス指数の算定の対象には含まれないという対応をしているところでございます。
  178. 芳賀道也

    ○芳賀道也君 ありがとうございます。  もちろんハード的なものも大切ですけれども、デジタル人材の育成というのは車でいえば両輪になると思いますので、総務省の皆さんも是非地方のデジタル人材育成にもお力をお貸しいただき、御尽力いただければと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  179. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。  総務省幹部などがこの間、自治体DXの下での自治体窓口業務について発言をしている中で、三菱総合研究所デジタル・イノベーション本部主席研究員であり、また、総務省の地域情報化アドバイザーを務める村上文洋氏が「月刊ガバナンス」二〇一九年七月号に寄稿した文書を私読みました。そこでは、「窓口を便利にするのではなく窓口に来なくてもよくする」と題して寄稿されていて、住民は窓口に来たくて来ているわけではない、相談や手続のために窓口に来なければならないから仕方なく来ている、自治体において、窓口を便利にするのではなく、窓口をいかになくすか、来なくてもよいようにするかを考えるべきではないだろうかと書かれています。そして、役所は主に手続等に行く場所と定義付けています。  自治体窓口や自治体職員がどのような役割を担っているのか、改めて深く捉えることが大事ではないでしょうか。大臣は地方自治体窓口業務の役割をどのように考えていますか。
  180. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) 自治体における窓口業務は、出生から死亡まで、住民が行政サービスを受けるための権利の確定等の基礎となる行為が含まれる重要なものと考えております。また、住民の多様な相談を受け、住民のニーズをすくい上げるという重要な役割を担っているものと認識をしております。
  181. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 デジタル技術やオンライン化、ネットワーク化を利用した利便性向上業務効率化が期待されることもあることと思います。同時に、民間企業のデジタル化ではありません。デジタル化の現場は地方自治体です。住民自治と団体自治が貫かれる地方自治体の役割、機能をどのように住民本位に高めていくかが問題ではないかと思います。  昨年、コロナ禍の中で奮闘する私の地元埼玉県の寄居町の町長から次のような話を聞きました。  寄居町は特別定額給付金の住民への支給が県内でトップクラスの早さで進みましたが、その教訓として、町役場の一階ロビーを特別定額給付金の特設コーナー、窓口としました。そこに申請書類をすぐに複写できるようにコピー機も新たに設置をして、町職員が複数で対応に当たったことを挙げられました。給付金の申請の仕方がよく分からず役場を訪ねてこられていたので、そのような対応を取ることにしましたと言われていました。また、私たち職員の側も、住民の方々とじかに接することで住民の方々にどんなニーズがあるのかがつかめ、的確な住民サービスを展開できたとも話をされていました。  デジタル化が進んだとしても、自治体窓口や自治体職員がこのように住民と対面して、住民の方々の状況把握し、健康と暮らしが守られるようにしていくこと、また積極的に相談に乗っていくということが大事ではないかと思います。  大臣、こういう役割が重要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  182. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) デジタル技術活用するということは、地方公共団体の事務作業を効率化し、職員が企画立案や住民への直接的なサービス提供など、職員でなければできない業務に注力できる環境を整えるものであると考えております。  こうした地方行政のデジタル化は、今後、人口減少が進行する中にあっても自治体が行政サービスを持続可能な形で提供し続けるために必要な取組であり、住民が迅速、正確に行政サービスを享受するために不可欠なものと考えており、窓口業務の縮小や削減を目的とするものではないと考えております。
  183. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 住民の方々とじかに接する対面サービスは、住民にとっても地方自治体にとっても非常に大切なものです。寄居町の町長さんは、地方自治体業務は職員の対面対応が大事なんですと強調されていました。非常に重要な指摘だと思います。  滋賀県野洲市では、くらし支えあい条例を制定し、税金、国民健康保険料、介護保険料、上下水道料金、市営住宅家賃、学校給食費などの公共料金を扱う全ての窓口で、職員が住民の生活状態を共有し、支援する体制を取っていると聞いています。野洲市では、窓口業務には生活困窮者等の対象者を発見して積極的に手を差し伸べるアウトリーチの役割が重要だということで、厚労省も生活困窮対策のモデル自治体として紹介をしています。  自治体窓口や自治体職員の役割には、こうしたAI等には取って代われないものがあります。自治体DXが推し進められれば、申請や届出についてはスマホやパソコンなどの端末からオンラインで行い、その処理もAI等によって自動的に行われるようになったり、役所に問合せしたいことがあり電話をすれば、ホームページにアクセスするように言われて、その回答はAIが行う、様々な変化が生じることになると思います。  利便性向上する側面はあります。しかし、それは自助で対応できる企業住民にとってのものであってはなりません。自治体の窓口業務の縮小、削減が先にありきではあってはならないと思います。  大臣、先ほどの答弁、更に突っ込んで、自治体窓口の業務縮小、削減、先にありきであってはならないと明確に答弁してもらえませんか。
  184. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) まさに窓口業務の縮小や削減というものを目的でするものでは、目的とするものではないということであります。
  185. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 是非見届けていきたいと思います。  オンライン化は、役所窓口や自治体職員の代替手段に置き換えて、役所窓口や自治体職員を削減するのではなく、地方自治体住民の多様なニーズに対応すべく、対面サービスの窓口の機能を強化していくための補助手段として活用すべきではないかと思うんです。  先ほど大臣、窓口業務の縮小、削減が先、ありきではないという話をされましたけれども、ところが、この間の政府の文書を見ていると、自治体DXの推進の中で自治体が果たすべき役割が投げ捨てられていくことになるんではないかと懸念を抱かざるを得ない文書を幾つか目にします。  例えば、二〇一八年十二月、経産省のデジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン、DX推進ガイドラインが出されました。今日、資料をお配りしました。御覧をいただきたいと思います。  経産省に聞きます。このガイドラインではDXの定義についてどのように示していますか。
  186. 三浦章豪

    政府参考人三浦章豪君) お答え申し上げます。  経済産業省においては、平成三十年十二月に策定したデジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインにおいて、デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXを、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化、風土を変革し、競争上の優位性を確立することと定義しております。
  187. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 デジタル社会形成基本法の中でも、デジタル社会について、電磁的記録として記録された多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会としています。総務省自治体DXを、データが価値創造の源泉であり、民間のデジタルビジネスなど新たな価値等が創造されることが期待されると意義付けています。  こうした新たな価値創造であるデータの利活用と、それを優先した自治体業務や組織などの内部システムの変革で住民自治と団体自治を追いやって、住民の福祉の増進を図るという地方自治体の最も重要な役割を後退させてはならないと思います。  同じく資料で、二〇一八年九月、経産省デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会のDXレポート、ITシステム二〇二五年の崖の克服とDXの本格展開を紹介をいたしました。このレポートでは、ユーザー企業において求められる人材として、CDO、システム刷新をビジネス改革につなげて経営改革を牽引できるトップ人材など五つを列挙しています。  経産省は、DX推進に当たってこうした人材が必要と考えているんでしょうか。また、総務省は、市町村に外部専門人材のCIO補佐官等を配置する、配置を進めることとしていますが、地方自治体のそれぞれ各部門にも外部専門人材が配置されることを想定しているんでしょうか。  まず経産省、どうですか。
  188. 三浦章豪

    政府参考人三浦章豪君) お答え申し上げます。  御指摘のDXレポートでは、ユーザー企業に求められる人材ということで、資料で配付をいただきました五種、五類型、この人材が必要であるということを掲げているわけでございます。  特にユーザー企業において求められる人材の一つとして、各事業部門においてビジネス変革で求められる要件を明確にできる人材というのを挙げてございますけれども、こちらにつきましては、製品、サービスの変革を実現するために、やはりその製品、サービス提供を担う事業部門がリードする形で情報システム部門と十分にコミュニケートを取りながら、コミュニケーションを取りながらDXを進めていくことが重要であると考えられるために掲げているということでございます。
  189. 大村慎一

    政府参考人(大村慎一君) お答えいたします。  自治体DX推進に当たりましては、CIOを中心とする全庁的、横断的な推進体制を整備することが必要でございます。こうした情報の責任者であるCIOのマネジメントを専門的知見から全般に補佐するCIO補佐官等として外部人材の任用等を想定しているところでございまして、部局ごとに外部人材が配置されることを私どもは想定しているものではございません。  また、各団体の人材を適切に育成していくことも大変重要でございまして、その点も自治体DX計画でお示しをしているところでございます。
  190. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 そう言われますけれども、ある県で新たに設置されたデジタル戦略本部で陣頭指揮を執ることになったCIO、情報統括責任者兼CDO、データ統括責任者の方が、この方はLINE執行役員なんですが、新聞記者からの取材に対してこう答えています。あなたの県ではどんな取組を進めていくのかを問われて、デジタルに合わせて業務そのものを変えてしまうのが本当のDXだ、こう言っているんです。地方自治体もデジタル人材を中心に内部システムを変革して、外部専門人材の配置にシフトしていくことになるんではないでしょうか。  もう一度総務省に聞きます。  自治体業務の改編、人材の配置、システムの変更などが外部人材主導で進められていく危険性があるんではないですか。住民サービスの後退を招くような偏った自治体職員のリストラにつながらないという保証はどこにありますか。
  191. 大村慎一

    政府参考人(大村慎一君) お答えいたします。  自治体DX、これを進めていく中で、業務を、必要な部分、効率的になるように見直すということは、これはデジタル化の一つの大きなメリットであると考えております。その一方で、そういった効率化を進めることによって業務の質を高め、そしてその効率化された分を職員の皆様によりまた重要な部門で活躍いただくということで、全体として行政のサービスを高めていくということも非常に重要なことでございまして、こういった観点からも進めてまいりたいと考えております。
  192. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 質問に答えてもらっていないんですが、自治体職員のリストラにつながらないという保証はどこにあるんですかと。もう一度聞きます。
  193. 大村慎一

    政府参考人(大村慎一君) 少なくともこの自治体のDXの計画につきまして、そういった観点から私ども進めているわけでは全くございませんで、あくまで行政サービス効率化を図りますが、そのために質を高めていくということで進めておりますので、そういった観点で進めていることは全くございません。
  194. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 しかし、自治体職員のリストラにつながらないという保証を具体的に示せないんですよね。先ほど来、真に必要な窓口業務には人を付けるという答弁がありましたが、一体それは誰が判断するんでしょうか。これで住民サービスが後景に追いやられないと言えるんでしょうか。  自治体DXは、デジタル技術ネットワーク利用して、住民の暮らし、福祉と自治をより豊かなものにするという趣旨であるべきではないかと思います。ましてや、住民サービスの後退をもたらすなど絶対にあってはならないということを強く指摘したいし、これからも厳しく見ていきたいと思います。  次に、個人情報漏えい問題について聞きたいと思います。  先月二十七日の連合審査会で、私、セールスフォース・ドットコムが手掛けるクラウドサービス利用する地方自治体不正アクセス被害が明らかになった案件について質問いたしました。  今日は資料をもう一枚お配りしました。読売新聞、五月三日付けの記事です。その後の情報が出ました。「一部流出 二十自治体・十八企業」、二十の自治体で外部から閲覧できる状態だったという報道です。さらに、上から五段目、後ろから十五行目からですか、自治体では今年二月、東村山市の防災アプリ登録者数、登録者約一万人の氏名や居住地区などが公開状態で、外部から百六十二回のアクセスがあったこと、三行ぐらい飛ばします、神戸市でも、道路のひび割れなどを市に通報できるアプリの利用者一万二千人分の氏名やメールアドレスなどが流出した可能性がある、こういう報道があります。  連合審査会でも指摘をしましたけれども、同社のクラウドサービスの設定が、数百枚の設定マニュアルを読み込む必要がある、正しく実装できる技術者は少ないなどと専門家も語っていました。  総務省、セールスフォース・ドットコムのクラウドサービス利用する地方自治体不正アクセス被害を受けた個々の住民の方々に通知はされたんでしょうか。
  195. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  セールスフォース・ドットコムのクラウドサービスの事案については、複数地方公共団体において該当製品の設定不備による情報漏えい等のインシデントが確認され、総務省に報告がございました。  当該報告によると、各地方公共団体において不正アクセス情報漏えいの有無等について調査を行い、その結果等を踏まえて、必要に応じ、不正アクセスによる情報漏えいの可能性があった個人に対して通知やおわびを行うなどの対応が行われたものと承知をしております。
  196. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 承知をしておりますということですが、個人情報という重大事態が起きているときに、総務省は事態を正確に積極的に把握しようとしないんですか。もう一度お願いします。
  197. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  このようなインシデントがあった場合は総務省に報告をしていただくということになっておりまして、私ども、自治体の対応についてしっかり確認をしております。  以上でございます。
  198. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 被害を最小限に食い止めるために、被害拡大防止策や二次被害防止策などは取られたんでしょうか。
  199. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 基本的に各地方公共団体において対応がなされるということでございますが、私どもの方からは設定をしっかりしなきゃならないといったような通知を送らさせていただいておりまして、それを踏まえて各地方団体セキュリティー対策を講じていただいているというところでございます。
  200. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 このクラウドサービスを奨励したのは国ですよね。しかし、問題が生じたときの責任は地方自治体が負わされることになると。しかも、先ほど専門家の声を紹介しましたが、数百枚の設定マニュアルを読み込むような必要があるという、専門家も正しく実装できる技術者は少ないだろうと指摘しているんです。  一体、こういう中で、この程度の対応で済ませるんですか、不正アクセス被害の責任はどこが負うんですか。
  201. 高原剛

    政府参考人高原剛君) 御答弁申し上げます。  一般に、地方公共団体が自ら調達、利用するクラウドサービスについて、不正アクセス等により個人情報の漏えい等の被害が発生した場合の責任の所在は、一義的には調達主体である地方公共団体にあると考えますが、具体的には、クラウドサービス提供事業者利用者等、関係者の責任分界に関する契約内容やインシデントの具体的な原因によって異なるのではないかというふうに考えられます。  以上でございます。
  202. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 というか、問題が生じたときは地方自治体が責任を負わされるということになる。こういうままで標準化システムの統一に向かうことは許されないと思います。  内閣官房と武田大臣にお聞きします。  国が策定する標準仕様に基づいて地方自治体自治体情報システムを動かす中で、今後、セキュリティー問題が発生して情報が漏えいしてしまうなどの問題が生じた場合、クラウドサービス提供事業者システム仕様変更を求めるなど、そういう責任、国が負うのですか、どうですか。まず、内閣官房から。
  203. 時澤忠

    政府参考人時澤忠君) 地方公共団体の十七の基幹業務システムにつきまして、令和七年度末までに国が整備するクラウド基盤でありますガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムへの移行を目指しております。  ガバメントクラウドにつきましては、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度でありますISMAPに登録されたサービスのうち、データセンター物理的所在地日本国内であることや、不正アクセス防止データ暗号化などによって最新かつ最高レベル情報セキュリティー確保できるものを選定することとしておりまして、セキュリティーに万全を期すこととしております。  その上で、仮にガバメントクラウド上の標準準拠システムから個人情報が漏えいするなどの重大な問題が生じた場合でございますが、これは具体的なシステム構成や発生するセキュリティー問題、セキュリティー上の問題によって様々なケースが想定されまして、責任の所在についてはそれぞれのケースによって異なるものと考えられます。  したがいまして、国、地方公共団体、アプリケーション開発事業者クラウドサービス提供事業者の間の責任分界につきまして、契約形態と併せて基本的なルールを取り決めることとしておりまして、その詳細なルールにつきましては、個々の業務システム状況把握しながら、その状況に応じて取決めをしてまいりたいと考えております。
  204. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) 責任の所在についてでありますけれども、今後取り決められる国、自治体、アプリケーション開発事業者クラウドサービス提供事業者の間の契約における責任分界のルール等に基づくこととなるわけですが、実際には発生する個々の具体的なケースによって異なるものと考えております。  多くの住民情報を扱う標準化対象システムセキュリティー対策は極めて重要であり、標準化法案においては、基本方針や各システム共通の基準によりセキュリティー確保することとしております。  サイバー攻撃が急速に高度化、巧妙化する中、関係省庁と連携して自治体システムセキュリティー対策を推進してまいりたいと考えております。
  205. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 いずれも対策はこれから考えると、こういうままで自治体情報システム標準化に突き進むということは絶対にあってはならないと思います。クラウドサービスが抱える個人情報漏えいの危険性などを置き去りにして、このまま突き進むということは絶対にあってはならないと思います。  こうした個人情報の問題、そして、先ほど指摘した自治体DXによって利便性向上しますが、同時に、これが自治体の職員のリストラや住民サービスが後退するということにつながってはならないということを重ねて訴えて、質問を終わりたいと思います。
  206. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  207. 伊藤岳

    ○伊藤岳君 私は、日本共産党を代表して、地方公共団体情報システム標準化法案に対する反対討論を行います。  本法案は、国と自治体情報システム共同化、集約化の推進を掲げるデジタル社会形成基本法案とともに、国と自治体が保有する膨大な個人情報企業利益のために利活用できるよう情報システム標準化の基準を定め、地方自治体にそれに適応したシステムを義務付け、デジタル庁が整備するガバメントクラウド利用を進めるものです。情報システム共同化、集約には、自治体がその業務を国のシステムに合わせていくよう迫られるという問題もはらんでいます。  今の自治体クラウドの下でも、カスタマイズを認めず、自治体独自の施策が阻まれている事例が明らかとなっていますが、自治体が事実上国の作る鋳型に収まる範囲の施策しかできないことになれば、国と自治体の在り方を大きく変え、自治体の自立性を失わせることとなります。住民自治と団体自治を深刻に侵害することになり、反対です。  また、新たな自治体リストラを推し進めることになることも重大です。  政府は、情報システム標準化を進め、スマート自治体の実現を掲げていますが、その内容は半分の職員数でも担うべき機能が発揮される自治体への転換です。データの利活用が優先されて、窓口業務自治体職員の役割が後退させられ、住民サービスが後景に追いやられてはなりません。  住民の福祉、暮らしを支え、災害に対応し、地域の公衆衛生を維持拡充していくためにも公的基盤の強化が必要であり、住民の多様な行政ニーズに応える対面サービスこそが求められています。窓口業務の縮小、整理などは、新たな自治体リストラを進めるべき、新たな自治体リストラを進めるべきではありません。  さらに、行政の公正性に対する疑念も明らかになりました。  自治体DX推進計画では、自治体の最高情報責任者を補佐するCIO補佐官などへの外部専門人材の活用検討するとしていますが、地方公務員法の適用を受けず、営利企業との兼業にも法的制限がない特別職非常勤職員としての採用も可能にするものです。利益相反の関係にある民間企業の職員や幹部が自治体の政策決定と執行を担う中枢ポストに入ることができ、企業の意思によって自治体行政が影響を受けることになりかねません。これでは行政の公平性が保たれません。  最後に、本法案は、自治事務の処理方法についても詳細にわたる新たな義務付けを課すものであり、地方分権の流れにも逆行するものであることを述べて、討論とします。
  208. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  地方公共団体情報システム標準化に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  209. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、那谷屋君から発言を求められておりますので、これを許します。那谷屋正義君。
  210. 那谷屋正義

    那谷屋正義君 私は、ただいま可決されました地方公共団体情報システム標準化に関する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     地方公共団体情報システム標準化に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の事項について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。  一、標準化対象事務を定める政令の制定等に当たっては、地方三団体に対し情報提供や意見聴取を行うとともに、有識者からも広く意見を聴くなど、地方公共団体の意見を最大限尊重すること。  二、地方公共団体利用する情報システムは、地方公共団体が自ら構築することが基本であり、その整備・管理の方針についても地方公共団体が策定すべきものであることに鑑み、国による基本方針の策定に当たっては、地方三団体に加え、その他の地方関係団体等とも十分な調整を行い、地方公共団体の実情に即したものとすること。  三、標準化基準は、地方公共団体の規模、権能及び地域特性等の違いを踏まえた柔軟なものとすること。また、その策定・変更に当たっては、全ての地方公共団体や関係事業者の意見を丁寧に聴取するとともに、標準化対象事務や情報システムを担う職員等の意見を聴取するなど、関係者の幅広い意見を十分に反映させ、情報システム運用実態を踏まえたものとすること。さらに、標準化基準の検討状況について、逐次公表すること。  四、地方公共団体情報システムについて、地方公共団体や関係事業者の創意工夫による改善が図られるよう、地方公共団体及び関係事業者からの新たな機能に関する提案のうち有用性が認められるものについては、積極的に標準化基準に反映すること。  五、地方公共団体情報システム標準化及び業務プロセスの見直し等により、地方公共団体の窓口業務に混乱が生じ、住民サービス提供に支障が生じることのないよう、地方公共団体と十分な調整を行い、必要な人的・財政的支援を行うなど、万全の対策を講ずること。また、標準準拠システムへの円滑な移行が図られるよう、十分な移行期間を確保するとともに、やむを得ない事由のある地方公共団体については、移行期間の取扱いについて検討すること。  六、地方公共団体情報システム標準化を始め、地方公共団体のデジタル化の推進に当たっては、これを支える人材の確保・育成が不可欠であることに鑑み、市町村及び地方公共団体情報システム機構において、高度な専門的知識を有するデジタル人材の確保・育成が円滑に図られるよう、必要な人的・財政的支援を行うこと。あわせて、地方公共団体が発注者責任を十分に果たせるよう、高度な専門知識を有するデジタル人材の配置に配慮するとともに、デジタル化を進める担当部署に必要な権限を与える仕組みづくりを行うよう促すなど環境整備に尽力すること。  七、地方公共団体情報システム標準化に要する経費については、国の責任において全額国費で措置するとともに、発注仕様標準化等による予算執行の効率化を図ること。また、標準準拠システムの維持・管理及び改修等に要する経費について、必要な財政措置を講ずること。  八、地方公共団体情報システム標準化に伴う情報システムの運営経費等の減少額については、地方行政のデジタル化や住民サービスの維持・向上のための経費に振り替えるなど、地方財政計画において適切な措置を講ずること。  九、地方公共団体情報システム標準化を契機として、上乗せ給付などの地方公共団体独自の施策が廃止・縮小されることのないよう、地方公共団体情報システム機能等について、当該施策を継続するための改変・追加が行えるようにするとともに、当該改変・追加に要する経費について必要な財政支援を行うこと。  十、地方公共団体のデジタル化の推進に伴い、地方公共団体の保有する個人情報について、情報連携の機会の増加が見込まれることを踏まえ、個人情報の漏えいや不適正な利用が生じることのないよう万全の措置を講ずること。  十一、地方公共団体の保有する個人情報に関しては、地域の特性等に応じた独自の保護措置が講じられてきたことを踏まえ、改正後の個人情報保護法下で講じられる独自の保護措置についても、標準化基準等において特段の配慮を行うこと。  十二、ガバメントクラウドの構築に当たっては、セキュリティ対策に万全を期すとともに、自然災害等による停電時の対応も含めてシステム障害が発生することのないよう十分な対策を講じること。また、標準準拠システムへの移行を円滑に進めるため、ガバメントクラウドの構築に向けた検討段階においても、地方公共団体に対し適時適切な情報提供を行うこと。  十三、ガバメントクラウド活用による地方公共団体情報システム利用に当たっては、個人情報の適切な管理を徹底する観点から、地方公共団体ごとのデータクラウド上で分離するとともに、厳格なアクセス制限を行うなど、個人情報を保護するための必要な対策を講ずること。  十四、本法附則第二項に基づく検討に当たっては、地方公共団体独自の施策への影響等にも留意しつつ、地方公共団体の意見を踏まえて検討を加え、その結果に基づいて、標準化対象事務、基本方針及び標準化基準の在り方等について必要な見直しを行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  211. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) ただいま那谷屋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  212. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 多数と認めます。よって、那谷屋君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、武田総務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。武田総務大臣
  213. 武田良太

    ○国務大臣(武田良太君) ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
  214. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 浜田昌良

    委員長浜田昌良君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会