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2021-03-23 第204回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年三月二十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      今井絵理子君     大野 泰正君      岩本 剛人君     山本 順三君  三月二十二日     辞任         補欠選任      大野 泰正君     森屋  宏君      本田 顕子君     古賀友一郎君      古賀 之士君     真山 勇一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         松下 新平君     理 事                 青山 繁晴君                 加田 裕之君                 北村 経夫君                 森本 真治君                 矢倉 克夫君                 清水 貴之君     委 員                 小川 克巳君                 大家 敏志君                 古賀友一郎君                 佐藤 正久君                 高橋 克法君                 藤井 基之君                 松山 政司君                 森屋  宏君                 山田 太郎君                 山本 順三君                 石川 大我君                 田島麻衣子君                 那谷屋正義君                 真山 勇一君                 塩田 博昭君                 高瀬 弘美君                 梅村  聡君                 礒崎 哲史君                 大塚 耕平君                 井上 哲士君                 伊藤  岳君                 高良 鉄美君    国務大臣        外務大臣     茂木 敏充君    副大臣        外務大臣    宇都 隆史君    事務局側        第一特別調査室        長        清野 和彦君    政府参考人        外務省大臣官房        審議官      赤堀  毅君        外務省大臣官房        審議官      岡田 恵子君        外務省大臣官房        参事官      石月 英雄君        外務省国際協力        局長       植野 篤志君        外務省領事局長  森 美樹夫君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事        長        北岡 伸一君        独立行政法人国        際協力機構理事  山中 晋一君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○令和年度一般会計予算内閣提出、衆議院送  付)、令和年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、令和年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (政府開発援助関係経費)     ─────────────
  2. 松下新平

    委員長松下新平君) ただいまから政府開発援助等に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、今井絵理子君、岩本剛人君本田顕子君及び古賀之士君が委員辞任され、その補欠として山本順三君、森屋宏君、古賀友一郎君及び真山勇一君が選任されました。     ─────────────
  3. 松下新平

    委員長松下新平君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務省大臣官房審議官赤堀毅君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松下新平

    委員長松下新平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松下新平

    委員長松下新平君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会独立行政法人国際協力機構理事長北岡伸一君及び同理事山中晋一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松下新平

    委員長松下新平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 松下新平

    委員長松下新平君) 去る十八日、予算委員会から、三月二十三日の一日間、令和年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、政府開発援助関係経費について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  政府から説明を聴取いたします。茂木外務大臣
  8. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) おはようございます。  令和年度政府開発援助に係る予算案について、その概要説明いたします。  令和年度一般会計予算案のうち、政府開発援助ODAに係る予算は、政府全体で対前年度比一・二%増の五千六百七十九億五千五百万円となっており、六年連続の増額となっております。このうち、外務省所管分については、前年度比一・六%増の四千四百九十七億九千八百万円となっております。  ODAは積極的な日本外交を進める上で重要な政策ツールです。新型コロナの一日も早い収束に向けて、途上国の保健・医療システム強化に積極的に貢献していきます。また、自由で開かれたインド太平洋実現や、SDGs達成を始めとする地球規模課題への取組ODAを戦略的に活用していきます。  次に、協力形態ごとに概略を御説明申し上げます。  まず、無償資金協力については、外務省として、対前年同額の一千六百三十一億九千七百万円を計上しております。  政府全体の技術協力については、対前年度比〇・〇三%減の二千五百五十億百万円となっております。このうち、外務省所管JICA運営費交付金等は、対前年度比〇・〇三%増の千五百十六億五千百万円を計上しております。  国際機関への分担金拠出金については、対前年度比七・二%増の一千十七億三千七百万円となっております。このうち、外務省所管分については、対前年度比一二・八%増の六百十九億五千二百万円を計上しております。  有償資金協力出融資については、対前年度比七・一%増の一兆五千億円を計上しております。  以上が令和年度ODAに係る予算案概要です。  なお、三次にわたり編成された令和年度補正予算におけるODA予算は、政府全体で二千八百二十六億五千五百万円となっております。このうち、外務省所管分については、一千九百九十四億七千五百万円となっております。  令和年度ODAに係る予算案について、松下委員長を始め、理事委員各位の御理解を心からお願い申し上げます。
  9. 松下新平

    委員長松下新平君) 以上で予算説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 加田裕之

    加田裕之君 おはようございます。自由民主党・国民の声、加田裕之でございます。  早速質問に入らせていただきたいと思います。  第一問目につきましては、防災町づくりなどのソフト面での国際協力についてでございます。  私の地元神戸市長田区の真野地区というところは、五十年以上にわたりまして住民主導町づくりを行っておりまして、阪神淡路大震災からの復興地域コミュニティーが大きな力となりました。また、最近では、ベトナム人など外国人住民が増加する中で、防災訓練交流会などを積極的に行い、地域に根差した多文化共生にも取り組んでいます。こういった長期にわたる取組は、イギリスの都市計画学会でも成功事例として大変高い評価をされております。  資料一をちょっと見ていただきたいんですけれども、この真野地区では、JICA研修といたしまして、アジアアフリカ地域行政NGO職員大学教員などを受け入れて、参加型地域社会開発研修を行ってきました。この研修については、真野地区が行ってきた住民主導町づくりについて講義を聞いたり町歩きなどを通しまして伝えるもので、JICA研修は具体的な技術資源面を伝えることが多い中、この研修は知性、規範面重視しております。  また、神戸市のHAT神戸には、JICA関西国際防災研修センターがございます。これはDRLCというんですけれども、このDRLCは、開発途上国防災力向上に貢献することを目的としておりまして、兵庫県とJICA協力をして設置をいたしました。開発途上国から防災分野に関わる政府職員研修を多数受け入れて、日本震災復興防災分野知見開発途上国に伝えていく取組を行っております。  この二例とも、ソフト面での支援を行っているところが特徴でございます。  コロナ禍にありましてもこういった研修は大変重要であると思いますし、感染症との複合災害など新たな知見なども加えてアフターコロナに向けて強化をしていくべきと考えますが、このような防災分野町づくりなどについてのソフト面国際協力に関しまして、御所見をお伺いしたいと思います。
  11. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 加田委員阪神淡路大震災発生のとき、まだ新聞社に入社されて二年目だと伺っておりますが、まだ私も国会に当選してすぐのときでありまして、震災発生後すぐに現地に入って、現地のあの大変な状況目の当たりにしたところでありますけれど、様々な支援があり、また人的な貢献があって今の復興成し遂げられているんだと、改めて多くの関係者皆さんに心からの敬意を表したい。  そういった意味で、日本防災に関する知見であったりとか、また人材育成、こういったものは世界に共有されていくものだと、基本的にそのように考えております。  我が国ODAは一貫して途上国自立的発展、後押しをしていくこと、重視をしておりまして、自立的発展基礎づくりとして、JICAによる研修を始め、人材育成に力を入れてまいりました。  委員指摘防災分野災害に強い町づくり分野についても、我が国は様々な災害を経験し、防災減災対策復旧復興取組を重ねてきた防災先進国であることは間違いありません。世界強靱化に大いに貢献できる立場にあると考えておりまして、新型コロナ影響を受け、研修についてはなかなか直接できない、遠隔研修等も活用して引き続き効果的な協力実施していきたいと考えております。  我が国としては、今後とも相手国に寄り添った支援を継続するとともに、国際社会の平和と繁栄及び安定に貢献すべく、戦略的、効果的なODA実施に努めてまいりたいと思っております。  今、日本が提唱しております自由で開かれたインド太平洋、こういう地域においても、例えば、インドネシアだったり様々な国で災害というのが発生している。世界成長センターでありますけど、同時に様々な災害というのもこの地域で起こっているのは確かなことでありまして、質の高いインフラ整備であったりとか、まず、気候変動が起こる中で、災害に強いといいますか予防できるような体制をつくる。さらには、一度災害が起きても早く復旧できる。そして、より良い復旧ができると。このための支援、一層強化をしてまいりたいと考えております。
  12. 加田裕之

    加田裕之君 茂木大臣、ありがとうございます。  やはりコロナ禍だからこそ、やはりこのソフトパワー立国日本というものを世界にしっかりと示していく必要があるんではないかと思います。引き続き、国際協力に関して、そしてまた、この自由で開かれた日本のこの普遍的な価値というものをしっかりと世界に伝えていけるよう御支援をお願いしたいと思います。  次は、ODAを活用しました民間企業海外展開についてなんですけれども、JICAでは、長年、政府開発援助で得た強み、拠点とかネットワーク人材公的機関等総合力という部分を最大限に生かしまして、開発途上国への進出や人材育成を考える企業へサポートしています。多様なメニューがあるんですが、これまでに中小企業SDGsビジネス支援事業を始め、地域に寄り添った草の根活動展開されています。  全国ため池というのは約十七万か所あるんですけれども、我が兵庫県のため池の数は二万四千か所で全国一のため池王国です。これ、次、資料の二枚目の方ですね、見ていただきたいんですけれども、地元兵庫県の明石市のシバタ工業というところは、ゴム製品を通しまして技術研究を積み重ね、ため池の保全に寄与している会社です。このシバタ工業が、二〇一七年からJICA中小企業海外展開支援制度を活用しまして、農業人口労働者の半数以上を占めますカンボジアで、池の底にゴム製シート、そして池の表面にビニール製天蓋が付いた天蓋付きシート式ため池の普及を現地NGO連携しまして、二〇二二年まで、九月までなんですけれども、バッタンバンに四か所造る予定です。  言わば日本の、兵庫県のため池地域課題克服をしてきた民間企業技術というものが、干ばつで苦しむカンボジア農業課題克服に貢献しています。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大によりまして計画も遅滞しているのも事実です。技術指導などではリモートでもなかなかできず、やはりフェース・ツー・フェースが求められます。  感染拡大収束はもちろんですが、ウイズコロナを見据えた中でODAにおける民間連携取組は重要です。海外展開に活路を見出そうとする中小企業を後押しし、民間連携強化する必要があると思いますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  13. 植野篤志

    政府参考人植野篤志君) お答え申し上げます。  ODAによって日本中小企業の優れた技術あるいは製品途上国への展開支援するということは、中小企業海外展開推進途上国経済社会開発の双方に資するものであり、外務省としても大変重視をしているところでございます。  今委員から御紹介いただきましたJICA中小企業SDGsビジネス支援事業というのは、途上国開発ニーズ日本企業の優れた製品技術等とのマッチングを行うということを目的企業による現地事情や市場、マーケットの調査等JICA支援させていただくと、こういう企業提案型の事業でございまして、今御紹介いただいたカンボジア事業もそのうちの一つでございます。  この事業につきましては、このコロナ禍におきましても、現地事情を踏まえつつ、可能な限り引き続き実施をするという方針にしておりまして、必要な場合には、契約内容の一部変更あるいは契約期間の延長、さらには追加的経費の計上といった対応を行っております。  年二回行っております本事業公示も継続して行っておりまして、昨年十二月に行いました本年度の第二回の公示においては、感染拡大によって海外渡航がなかなかできないという状況も勘案いたしまして、海外に、現地渡航せずに日本国内での作業を中心とする遠隔実施型という事業の在り方も可能としているところでございます。  私どもとしましては、引き続き、企業側の御要望も踏まえつつ、このコロナ禍にあってもODAを活用した官民連携推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  14. 加田裕之

    加田裕之君 ありがとうございます。  特にコロナ禍におきまして、なかなかリモートとかを駆使しながらでもやりにくい点もあると思うんですが、ケース・バイ・ケースで、また現地駐在事務所とかとも連絡を、連携を密にいたしましてより効果的にやっていただきたいと思っております。  三点目につきまして、JICA海外協力隊についてなんですけれども、昨年、JICA海外協力隊は、新型コロナウイル感染症影響によりまして隊員の方が全員帰国されたと伺っています。貴重な経験を前に志半ばで諦めなければならなかった隊員皆さんの気持ちを考えますと、大変残念でございます。  今後、新型コロナウイルス感染症影響を見ながら再び派遣が検討されることになると思いますが、政府としてどのような計画を立てているのか、御所見をお伺いします。  また、派遣を待つまでの間、隊員皆さんへの訓練面ですね、資金面支援、そういう予算措置を含めてどのような支援を行うつもりなのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  15. 植野篤志

    政府参考人植野篤志君) お答え申し上げます。  ただいま委員からも御紹介いただきましたとおり、JICA海外協力隊につきましては、新型コロナ世界的な感染拡大を受けまして、昨年の三月から隊員の全員を一時帰国させました。帰国した隊員につきましては、昨年の十一月以降でございますけれども、派遣先での感染が収まっていること、あるいは派遣先医療ケアが十分受けられること等を、国別、それからその案件別に確認をした上で、新規に派遣する隊員と併せて順次渡航を再開してきております。現在、二十九か国の隊員渡航再開を決定いたしまして、うち十二か国については既に渡航再開済みでございます。  また、三月末、今月末までに渡航先が確定しない隊員のうち、それでも行きたいと希望される方につきましては、年度が替わってしまうということで、当初の派遣国、若しくは別の国への再派遣というのを目指す予定でございます。  それから、費用、手当の面に関しましては、JICAは昨年の八月から、二〇二〇年に訓練を受ける予定だったこの協力隊合格者のうち希望される方に対して、国内の、日本国内地方創生活動等に携わる、そういう特別派遣訓練というのを行っております。さらには、派遣合意書を締結してその協力隊員としての身分が確定した待機隊員については、待機手当等の各種の手当を支給しているところでございます。
  16. 加田裕之

    加田裕之君 ありがとうございます。  四問目の多文化共生への支援について、そしてまた、五つ目カーボンニュートラルへのODA事業に対する脱炭素化への政府取組について通告しておりましたが、ちょっと時間がありませんので要望に変えさせていただきます。  多文化共生については、昨年十一月にJICAが責任ある外国人材受入れプラットフォーム通称JP―MIRAIを立ち上げました。これは、やはりJICAのこれからの姿勢が問われると思いますので、是非ともこの点の推進コロナ禍の中での新しい日常を意識した形でやっていただきたいと思います。  そしてもちろん、最後のカーボンニュートラルについてのODA事業における脱炭素化への政府取組というのはもちろん言うまでもありませんが、今こそやはりこのJICAネットワークとかそういうものが私は試されるものと、ありますので、是非ともそのことをよろしくお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  17. 田島麻衣子

    田島麻衣子君 立憲民主・社民の田島麻衣子です。本日は、質問の機会いただけたことに感謝いたします。  まず初めに、変化が続くインド太平洋の現状と、それからODA戦略について大臣に伺いたいと思います。  三月の十二日には、日米インド、オーストラリア四か国、通称QUADテレビ首脳会議が行われ、二日後、三月十四日にはワシントン・ポストに共同の寄稿が行われました。私もこの記事読ませていただきましたが、なかなかこういったスピーディーに動くことは難しいですし、このことに携わってこられた外務省の全ての事務方の方々と、それから大臣のリーダーシップに敬意を表したいと思います。  昨今のインド太平洋における戦略環境変化しております。十六日の2プラス2で、冒頭、茂木大臣こうおっしゃいました。インド太平洋戦略環境は以前とは全く異なる次元にあると。  まず、この全く異なる次元にあるということは何を意味されているのかと、また、この変化日本ODA戦略にどのようにいい影響を与えていくかについて御見解を伺いたいと思います。
  18. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 田島委員は、オックスフォード大学のセント・キャサリンズ・カレッジで研さんを積まれ、また様々な開発途上国でも活躍されてこられたので、日本ODAについては誰よりもよく御存じであると、そのように感じております。  御指摘インド太平洋、これは、アジア太平洋からインド洋を経て中東、そしてアフリカに至る広大な地域でありまして、世界人口の半分を擁する世界の活力の中心であることは間違いありません。同時に、その分、各国の力と力のせめぎ合い、これがあり、力関係変化、これが激しい地域でもあり、また様々な脅威、これに直面しているのも事実だと考えております。  そのため、法の支配を始めとする共通の価値であったり原則に基づく自由で開かれた秩序を実現し、地域全体、ひいては世界の平和と繁栄を確保していくことが重要でありまして、成長センターであるからこそこの地域のしっかりしたルールを作っていくことがこの成長センターの更なる発展につながるんだ、こういう思いから、二〇一六年、TICADⅥの際、今から五年前ですけど、アフリカで初めてこのTICADⅥ開催されたわけでありますが、ケニアにおいて日本が自由で開かれたインド太平洋、こういったものを提唱したわけでありまして、この考え方というのは、既に御案内のとおり、米国そして豪州、インド、この四か国、さらにはASEANも、ASEANアウトルック、AOIP、これを発表したり、さらには欧州諸国も今、インド太平洋地域に対するコミットメント、これを明確にしているところでありまして、こういった自由で開かれたインド太平洋、この考え方を広めていくと。  また、そこの中での気候変動の問題もあります。さらには、先ほどもありましたような良質なインフラ整備の問題もあります。様々な分野で具体的な協力を進めていくと、このことが今必要なんではないかなと思っておりまして、そこの中で、日本ODAというのは様々な形で重要な役割を、これまでも例えばASEAN諸国等々で果たしてきていましたが、この自由で開かれたインド太平洋実現においてもより重要性を増してくると、このように考えております。
  19. 田島麻衣子

    田島麻衣子君 ありがとうございます。  一月の二十日にはバイデン政権が誕生していまして、二か月間たっていますが、この米国政権交代は、今様々な変化が起こっていますが、この交代我が国ODA戦略にどのような影響を及ぼしているか、御見解を伺いたいと思います。
  20. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、バイデン政権、今様々な対外政策のレビュー行っているところでありますが。  トランプ前政権米国第一主義の下で、マルチの枠組みよりも二国間の交渉、これを先行してきたわけでありますが、バイデン大統領、内政上の課題もありますが、対外的には、同盟国との関係を再構築し、また国際協調を模索をするということでありまして、この国際協調の中には気候変動の問題もあります。さらには、コロナ対応の問題もあります。そしてまた、自由で開かれたインド太平洋地域へのコミットメント、こういったものもあるわけでありまして、まさにそういったこれまで日本が進めてきた様々なODAと合致する分野、これは非常に多いなと思っておりまして、米国ともすり合わせをしながら、同時に、我が国独自のこれまで進めてきたODA取組、この方針、こういったものは維持しながらODA戦略進めていきたいと思っております。
  21. 田島麻衣子

    田島麻衣子君 今、バイデン政権とは優先課題と合致する部分が非常に多いということをおっしゃって、私も心強く感じております。  新型コロナウイルス感染症が発生して一年以上たっております。この感染症から我々が学んだことは、まず公衆衛生の大切さ、手洗いということがもう本当に大事だということと同時に、私の前職のWFPでは、コロナが飢餓を加速させているということも指摘されております。  この新型コロナウイルス感染症が、我が国をめぐる国際環境、それから我が国の外交に与える影響、またODA予算にどのように今後影響を与えていくか、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
  22. 岡田恵子

    政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。  今回の新型コロナ危機は、国際社会の連帯の必要性を私たちに改めて想起させてございます。私たちは、この危機により分断された世界ではなく、危機を乗り越えるべく団結した世界実現しなければならないと考えてございます。  今回の危機によりまして、世界の人々の命、また生活、尊厳が脅かされています中で、人間の安全保障の理念に立脚しまして、誰の健康も取り残さないユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を目指すことが重要でございます。そのために、日本は、喫緊の課題でございます感染症危機の克服、保健医療システムの基盤強化、そして感染症に強い環境の整備という多層的な取組をスピード感を持って展開してございます。  特に、この局面展開のためには、既に各国で始まったワクチン接種を進める必要がございます。ワクチンへの公平なアクセスの確保や普及を加速していくことが極めて重要であると考えてございます。そのため、COVAXファシリティーの途上国向けへの枠組みへの拠出を増額しまして合計二億ドルを拠出することを表明しまして、また、これまでの日本の長年の経験と世界トップクラスの技術や設備を生かしまして、ワクチンを一人一人に届けるラストワンマイル支援をかつてないスピードで実施してまいります。
  23. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ワクチンの普及と、これ、まず、日本国内においてもできる限りのスピード感を持って、そしてしっかりした体制で進めるということが最優先であります。しかし同時に、世界のどこかにウイルスが残っていたらまた世界的な感染拡大、これが起こってしまう危険性というのはあるわけでありまして、特に途上国に対する様々な支援というのは重要だと考えております。  今回の新型コロナ世界的流行が浮き彫りにしたのは、医療や保健面でもやはり途上国の脆弱性と、こういったものだと思っております。まず医療保健体制を立て直す、それを強化していくという意味では、この一年間、外務省として、また日本政府として、これまで例えばODAであったりとか様々なもの、交換公文を結んだりと、三か月ぐらいは掛かるものを、もうそれを三分の一ぐらいに縮めて、期間といいますかその手続をですね、いち早くそういう援助を行っていく。  同時に、国によってニーズは違うわけですから、ある程度選択できるというか、向こうの国が本当に救急車が欲しいのか、何が欲しいのか、医療関係の設備が欲しいのか、相手のニーズに合った形の、できる限りテーラーメードになった形で、しかもスピード感を持って臨むということで進めてまいりました。  ワクチンにつきましては、なかなか先進国のように、途上国の場合は大量のロットを自分の国の資金で確保できないということでどうしても遅れてしまうという面があると。そのためにCOVAXファシリティーと、こういう国際的な枠組みをつくるということでも日本はこれを主導してまいりましたし、既に二億ドルの拠出も行っております。  同時に、ワクチンについては、その国に届くまではCOVAXの枠組みでできるわけでありますけど、その国に入ってから、最終的には国民一人一人にそのワクチンが実際に接種されなければ意味がないわけでありまして、そうなりますと、冷凍設備であったりとか運搬車、まさにラストワンマイルと、これをどうするかと。ここの部分日本は、技術面でも設備面でも、またノウハウ面でも強みを持っていると思っておりまして、こういったラストワンマイルの支援と、これも更に強化をしていきたいと思っております。
  24. 田島麻衣子

    田島麻衣子君 ありがとうございます。  コロナというのは元々社会にあった脆弱性というのを更に浮き立たせているというのは、何も国内だけの問題ではなくて、途上国関係においても同じだということを本当に私も共感いたします。  今、人間の安全保障について言葉が出てきましたので、この概念について伺いたいと思います。  これまで、国際関係論というのは国家対国家のことをずっと論じてまいりましたが、そうではなくて、人間の安全保障、つまり、一人一人に着目して尊厳、人間の尊厳に対する、を守っていくんだという考え方、これ私、すごく私が尊敬しています緒方貞子さん、またそれからインドの哲学者、経済学者アマルティア・センなどの方々が提唱してきた概念でありますが、これ、過去の菅総理の国会の一般演説等を見てみますと必ず出てくる言葉なんですね。例えば、九月二十六日、国連総会における菅総理大臣一般討論演説、一人一人に着目する人間の安全保障と。またこれ、十二月の国連のスピーチにおきましても、世界の人々の命、生活、尊厳が脅かされている中で、人間の安全保障の理念に立脚しと。茂木大臣も、大臣所信の中で人間の安全保障の危機に対応していくと。ODA予算も、柱の一番は人間の安全保障の危機と。こう人間の安全保障という概念が非常に多くの場面で出てきております。  インド太平洋の現状について、しっかりしたルールを作っていくことが大事だというふうにおっしゃいましたが、この日本が掲げる人間の安全保障の概念がこのインド太平洋の共通価値になっていくのか。これについて大臣のお考えをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。
  25. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 一九八九年に東西冷戦構造というのが崩れました。それまでは、安全保障というと専ら軍事面の安全保障と、これをみんなが起草するという感じでありましたけれど、人間の安全保障については、その冷戦構造が終わった九〇年代、一九九四年に初めて国連開発計画の人間開発報告書においてこの概念、これが国際社会に示されまして、また二〇一二年に人間の安全保障に関する国連総会決議が全会一致で採択をされておりまして、二〇一五年に採択された誰一人取り残さない社会の実現を目指す持続可能な開発目標、SDGsにもその考えは反映をされているわけであります。  新型コロナの対策の観点から、元々御案内のとおり、日本、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジと、こういったことを唱えてきたわけでありますが、まさにそういう時代が来ているんだなということで、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成のために、脆弱な立場にある一人一人に焦点を当てて医療保健体制の強化を含め持続可能な社会づくりを目指す人間の安全保障の考え方、これは国際社会においてより一層重要になってきていると考えております。  インド太平洋地域、太平洋島嶼国であったりとかアジアの国の中でもメコン諸国であったり、また中東の一部の地域、さらにはアフリカ、様々な意味で開発途上にあり、また、一人一人の子供たちを見ても、例えば教育が受けられない、また十分な医療が受けられない、様々厳しい立場にいる人口も多いことも事実だと、こんなふうに私は考えておりまして、このアジア太平洋地域において、例えば、昨年十一月に採択をされました日・メコン地域諸国首脳会議共同声明、さらにはAPECの首脳宣言で人間の安全保障の重要性について言及されておりまして、引き続き人間の安全保障の概念の普及に取り組んでいきたいと思っております。  そして、概念の普及というものは、言葉で唱えるというか、提唱するということも重要ですけど、実際に肌身に感じるということがやっぱりいろんな国で伝わっていくんではないかなと。様々な取組を通じて、あっ、これが自分にとっての人間の安全保障なんだと、こういう実感をより多くの人が持ってもらうということが極めて重要だと思っております。
  26. 田島麻衣子

    田島麻衣子君 ありがとうございます。  軍事力や経済力といったハードパワーのみならず、やはりソフトパワーというのはその国の魅力、それから価値観などに対する共感というところで生まれてくる部分が多いと思います。  ソフトパワーというと、アニメ、日本食、すしというふうに出てきますが、それだけではなくて、この政策の魅力であったりとか哲学、こういったところにも魅力を感じる源泉はあるのかと思うんですが、このODA予算ですね、今年令和三年は、五千六百八十億円のうち人間の安全保障に対してどれだけの予算を掛けていく御予定なんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
  27. 岡田恵子

    政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。  先ほどから御質問ございます人間の安全保障の考え方は、我が国の開発協力の根本にある指導理念でございます。開発協力大綱の中でも、人間の安全保障の推進を開発協力政策の基本方針の一つと位置付けてございます。  外務省では、令和年度予算案の柱の一つとして、人間の安全保障の危機である新型コロナ克服するとともに、ポストコロナを見据えた取組を進めるということを掲げてございます。  人道、開発分野の様々な案件が人間の安全保障に関連しますため、人間の安全保障に使用される予算額というものを特定することは非常に難しいところでございます。ただ、例えば令和年度ODA予算におきましては、人間の安全保障基金に対する拠出金五・七億円を計上しているところでございます。  以上でございます。
  28. 田島麻衣子

    田島麻衣子君 ありがとうございます。  十三年間国連で働いていた中で、人間の安全保障、二〇〇七年当時というのはかなり耳にしたんですが、私が退任する頃というのはなかなか聞けなくなっていたので、やはり日本政府としても本当に人間の安全保障をしっかりやっていくのであるならば、一般の市民の方に対する啓発も含めて、国連に対する働きかけというのはもう少し必要なのかなというふうに思ったりとかはします。  次の質問に移らせていただきます。  国際機関日本人幹部が本当に少ないと思います。これにはいろいろな問題があると思いますが、今後、国際機関日本人幹部を増やしていく方法、それから課題についてお答えいただけますでしょうか。
  29. 宇都隆史

    ○副大臣(宇都隆史君) お答えいたします。  国際機関における職員は、基本的には中立的な存在で、求められる一方で、日本人幹部が世界で活躍することは、日本の存在感を高め、日本国際機関との関係強化の観点からも重要であるというふうに深く認識しております。  これまで日本では、今までの歴代で四名の国連の、済みません、四つの国連専門機関や国際原子力機関で日本人トップを輩出してまいりました。  現在も、本年予定されている万国郵便連合国際事務局長選挙に目時政彦さんを擁立して、そういった状態で、政府一体となって実現に取り組んでいるところでございます。  また、こうしたトップをつくるためには、トップの前段階となる次長以下の幹部ポストで活躍する日本職員を増やしていくこと、これが非常に重要だというふうに考えておりまして、田島委員も十三年間にわたってWFPで御活躍いただきましたが、田島委員も活用されたジュニア・プロフェッショナル・オフィサー、JPO制度を通じて若手の人材発掘、あるいはその一段階上の中堅レベルの派遣を考えた人材育成、これも今、現在、平成の二十九年からですけれども予算化をいたしまして、現在十一人、これで活躍している方々がいらっしゃいます。  なお、政府としては、二〇二五年までに国際関係機関で日本職員を千人達成しようという目標に向けて今頑張っておりまして、現在、幹部八十八名を含む九百十二名、これは過去最大の数字でございますけれども、目標の達成に向けて全力で取り組んでいるところでございます。  引き続き、内閣官房を始めとする関係省庁と緊密に連携をし、取り組んでまいります。
  30. 田島麻衣子

    田島麻衣子君 ありがとうございます。  今、国連機関で幹部を占めている方々の背景見てみますと、例えば今の国連事務総長はポルトガルの首相でしたし、それから前のUNDPの総裁というのはヘレン・クラークといってニュージーランドの首相を三期務めているんですね。  今のこの国連内のトレンドというのは、各国の閣僚級ですね、これを務めた方々が国連機関に入っているという形が非常に多く見えるんですが、ちょっと大臣に伺いたいんですが、日本で、この閣僚を経験された方々を国際機関の幹部として、もう本当に、D1とかではなくて、本当の幹部として入れていくような試みというのは考えていらっしゃるんでしょうか。
  31. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 一番直近でいいますと、OECDの事務総長の選挙がありまして、オーストラリアのコーマン前財務大臣、選出をされたわけでありますけど、この間の様々な選挙を見ましても、先日のWTOの事務局長選挙でも、ナイジェリアのオコンジョ候補、オコンジョ事務局長が選任をされると。  大体、こういった様々な国際機関において、国際機関はもちろんなんですけど、各国でやはり閣僚であったりとか、かなり重要なポストを経験した人間が実際に候補者として出てきているわけですね。  そうすると、例えば、もうプロフィールを見た段階で、なかなかこの候補では劣後してしまうなとか、恐らくこの候補が残っていって、最後はコンセンサスでこうなっていくんだろうと、こういうのも見えるところでありまして、日本にとってそういった問題も大きな課題になるんではないかなと思っております。  是非田島委員にも、これまでも様々な経験も積まれて語学も堪能でいらっしゃる、また、いろんな経験をされて、そういう国内で活躍していただく、国会で活躍していただくのはもちろんでありますけれど、そういった国際機関のトップとしても活躍していただければと思っております。
  32. 田島麻衣子

    田島麻衣子君 閣僚で、私は新人で一期目で、本当にもう新人の議員でどうしようもないまだ不勉強な人間なので、まず、もう大臣も含めてですね、今閣僚やっている方々に、どんどんどんどんまた日本国際機関日本人として中に入っていただきたいなと思っております。  次の質問に移らせていただきます。  アジアインフラ整備の試みというのはなされていますが、なかなか日本企業がこのインフラの中で契約を受注できないという現実があります。  私は四歳の息子がいますが、例えば新幹線とかに物すごく興味を示すんですね。なので、例えば、日本インドネシアやインドなどで新幹線に類似するようなものを造れるとしたら、その国の子供たち物すごく喜ぶと思うんですが、現状としてそこまで至っていないと。  課題というのは、やっぱり日本企業の出す価格が高過ぎるんじゃないかということが言われていますが、今後、このアジアインフラ整備合戦が行われる中で、どのように日本は存在感を示していくか、お考えお聞かせいただけますでしょうか。
  33. 植野篤志

    政府参考人植野篤志君) お答え申し上げます。  我が国は、日本企業の優れた技術やノウハウを開発途上国に提供し、途上国の人々の豊かな暮らしを実現するための質の高いインフラ整備に加えて、これらのインフラを管理運営するための人材育成、あるいはシステム構築など、相手のニーズに合ったきめ細かく息の長い支援を行ってきております。  このように、我が国が、相手国のニーズを踏まえ、また、ニーズの変更等にもできる限り柔軟かつ丁寧に対応してきているため、案件によっては時間が掛かることもあるかもしれませんけれども、その方が結局相手国が期待する成果も出せると考えて取り組んできているところでございます。  また、その新興国の成長を取り込み、日本経済の活性化につなげるという観点からも、ODAの担い手としての民間企業の役割は不可欠と考えておりまして、我が国としては、質の高いインフラ投資に関するG20原則の下で、日本企業アジアインフラ市場への進出を後押しし、質の高いインフラの一層の普及、定着を推進していく考えでございます。  さらに、今委員が御指摘になった、日本企業がなかなかその案件を取れないんじゃないかということに関しましては、日本としても、私どもとしても、例えば、日本企業を基本的には契約先とするタイドの円借款、STEPと呼んでいますけれども、これを更に活用すべく、このSTEP円借款の金利を下げるとか、あるいは日本企業対応しやすいように、受注や調達のルールを柔軟化した上で案件形成を進めていくと、あるいは大型案件に係る入札前の説明会を実施する等して、少なくとも、ODAを活用した大型インフラ案件については、できるだけ日本企業にも参加していただきたいということで様々努力を行っているところでございます。
  34. 松下新平

    委員長松下新平君) 時間が来ておりますので、簡潔に。
  35. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 高速鉄道始め日本技術、運営のノウハウ、世界に冠たるものがあると思っております。  確かに、初期投資と、こういうことで考えると高くなる部分もあるんですけれど、ライフタイム全体で考えると、そういったメンテナンスであったりとかいろんなことで、決して日本インフラというものは、人材育成も含めてコスト的に見合うものだと思っています。  先日もあるアジア途上国に行ってきたんですけれど、日本日本でないアジアの国が支援をした道路というのがあって、二本並んでいるんですよ。日本の道路はそのまんま、十年以上もたっているのに整然としているのに対して、もう一方の、どの国とは言いませんけど、その道路はかなり劣化をしているということで、これは見れば明らかなことなんですけれど、やっぱり初期投資の段階というか、その段階から日本はこういうことを考えてこういうことをやるんだと、だから長い目で見たら日本インフラというもの、投資というものは非常にいいものだというのを丁寧に説明していくと、こういった努力も民間とも連携しながらしっかり進めていきたいと思っています。
  36. 田島麻衣子

    田島麻衣子君 確かにおっしゃるとおりだなと思います。丁寧な説明、本当にそのとおりだと思いました。  以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  37. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 公明党の高瀬弘美です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、新型コロナウイルスに関連して質問させていただきます。  国内でもワクチン接種進んでおりますが、我が国も参加をしておりますワクチンへの平等なアクセスを確保するための国際枠組みであるCOVAXファシリティーを通じてアフリカでワクチンの供与が始まっております。  まず、現時点での日本としての評価及び各国からの反応があれば、併せて大臣にお答えいただければと思います。
  38. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) COVAXファシリティーを通じたワクチン供給については、先月、二月二十四日に最初の供給先として六十万回分がガーナに届けられまして、その後も途上国への供給が順次進められております。  世界全体でワクチンの供給量が不足する中、COVAXファシリティーのような国際的枠組みを通じて途上国に対するワクチン供給が進展していること、評価をしているところであります。  先ほどの答弁で申し上げたんですが、新型コロナ収束に向かっても、世界のどこかにウイルスが残っていれば再拡大の可能性は残るわけでありまして、このためにも、ワクチンへの公平なアクセスの確保や普及を加速していくこと、極めて重要だと考えておりまして、日本として、二月の九日の日にCOVAXファシリティーの途上国向け枠組み、AMCと呼ばれますが、これへの拠出を増額して、合計二億ドルを拠出することを表明をしたところであります。  こうしたCOVAXファシリティーへの貢献を始め、新型コロナに対する我が国国際協力途上国支援については、私も昨年の後半、東南アジアの多くの国を回ってきたりいたしました。また、QUADの会議等々を含め、様々な形で国際社会から高く評価をされていると、このように考えているところであります。  加えて、COVAXファシリティーについて、これも繰り返しになるんですが、途上国内のコールドチェーンと、この整備というのは枠内には入っていないわけでありまして、途上国からも、コールドチェーン整備のための機材の供与であったりとか人材育成に関する要望というのが寄せられているところであります。  そうしたCOVAXファシリティーの枠組みを補完すると、こういうために日本の長年の経験、さらには世界トップクラスの技術や設備を生かしてワクチンを最後の家庭、一人まで届けるラストワンマイルの支援、かつてないスピードで実施をしたいと思っておりまして、二月九日にCOVAXファシリティーへの拠出をしたと。今度は三月九日に東南アジア、南西アジア、太平洋島嶼国に対する約四十五億円のコールドチェーン整備のための緊急無償協力実施をしたところでありまして、これはコールドチェーン整備に対する第一弾の取組だと考えております。
  39. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  今コールドチェーンのお話ございましたけれども、例えば、今、日本の各自治体でファイザー社のワクチンを保存するために超低温の冷凍庫、ディープフリーザーを国が配置をしております。これが、将来的に日本の中でワクチン接種が落ち着いたときに、不要となった場合に途上国から要望が来る可能性もあるのではないかなと私考えております。こうした各国の要望是非とも細かく吸い上げていただいて、今大臣おっしゃいましたラストワンマイルまでしっかりお届けをしていただければと思います。  また、COVAXファシリティーへの資金的コミットメントにつきましては、我が党からも予算委員会で繰り返し増額を求めておりますけれども、全体としてもまだ資金が足りておりませんし、日本の貢献も我が国の経済規模から考えますとまだまだ少ないという御指摘もありますので、是非ともこの点も、重ねて前向きな検討をお願いしたいと思います。  続きまして、各国でワクチンパスポートというべき接種証明書の動きがございます。コロナウイルスのワクチンを接種した証明書を持つことで様々な恩恵を受けることができるというものでありますが、接種しない人あるいは接種できない人がこのパスポートを持てないことで不当な扱いを受けることがあってはならないということで、我が国国内ではこうしたものは発行しない方向であると伺っております。  他方で、他国におきましては、このワクチンパスポートを持つことで入国の際に利点があるということで様々検討されているようですが、まずは各国でのワクチンパスポートの現状を簡潔に教えてください。
  40. 岡田恵子

    政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。  ワクチンの接種証明を利用しましたいわゆるワクチンパスポートにつきましては、様々な議論がございます。  まず、WHOでは、現時点では国際的な往来における入境の条件としてワクチン接種証明の要求は導入しない、また、ワクチン接種の証明は国際的往来を行う者がほかのリスク軽減措置を遵守することを免除するべきではないとの勧告を行ってございます。  ワクチンの接種証明書につきましては、EUにおいては、域内移動に関する制限を緩和するための活用について議論が進められているところでございます。また、一部の国では、個人の識別情報やワクチン接種情報など接種証明書への記載項目のほか、デジタルでの運用等について議論が行われているところでございます。各国の対応を注視してございます。  以上でございます。
  41. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 報道等によりますと、ワクチンパスポートの形状も含めて、様々各国動きがあるというふうに認識をしております。  これからコロナが少し収束をしていく中で、外務省員の方ですとかJICA関係者海外渡航する際にこうしたワクチン接種証明書があれば、例えば国によっては入国時の二週間の待機が緩和されるなど、そういうプラスの面もあるというふうに考えますけれども、このワクチン接種証明書を求める国が増えてきたときに、後から我が国においてもこのワクチンパスポートをどうするかという議論をするのではなくて、国際的に使えるワクチン接種証明書を接種したそのときに発行できる方法も検討すべきではないかというふうに考えております。  中でも、菅政権はデジタル化を進めておりますので、このワクチンパスポートにつきましては、紙の証明書ではなくてデジタルで発行するということも含めて早めの検討をすべきと思いますが、外務大臣のリーダーシップの下で、関係省庁でこの件、御検討いただけませんでしょうか。
  42. 森美樹夫

    政府参考人(森美樹夫君) ただいま岡田審議官から御答弁申し上げましたとおり、ワクチンの接種証明を利用したいわゆるワクチンパスポートにつきましては、水際対策と結び付けるものも含めまして様々な議論ございます。現時点で把握している限りにおきまして、ワクチン接種を入国の条件としている国、地域は、今のところはございません。  他方で、委員指摘のとおり、今後でございますけれども、新型コロナウイルス感染症世界的な感染が徐々に収束に向かう中で、国際的な人の往来も再開されていくことが見込まれます。国際的な人の往来の再開は様々な観点から重要なものでございますので、その際に一律にワクチン接種証明書が求められることとなるわけではないにせよ、何らかの対応が必要となることもあり得るので、国際的な議論や各国の対応を注視してまいりたいと思っております。  委員から御指摘のあったデジタル化の議論についても併せ検討していきたいと思っております。
  43. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 ありがとうございます。  今、PCR検査の陰性証明書でも入国時に健康観察の二週間を免除するような国もあります。そういう選択肢が一つ増えるという意味で、この接種をした証明書があると健康観察受けなくてもいいという国も出てきておりますので、是非ともそういう各国の動きに注視をしていただいて、検討は早い方がいいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  次の質問に参りますけれども、このコロナ禍で、国内でもデジタル化、オンライン化が進んでおりますが、JICAの活動も変わってきているというふうに伺っております。様々なデジタル化、オンライン化は、もう後戻りをすることなく、JICAにおいても一層進めていただきたいと考えますが、理事長、この点いかがでしょうか。
  44. 北岡伸一

    参考人北岡伸一君) 御質問ありがとうございます。  高瀬委員には昨年もこの問題について御質問、御激励をいただきました。変革の必要性は御指摘のとおりでございまして、JICAとしても、この危機を変革や改善につなげる好機と捉えて、情報技術を通じた組織、業務の変革、すなわちデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいるところでございます。  具体的には、一時帰国した専門家やJICA海外協力隊員等による遠隔での技術指導、それから途上国研修員向けのオンライン技術指導等を実施してきました。また、こうした遠隔研修の円滑な実施のためにも教材の作成や配信に関するシステムの導入が必要になりまして、事業のオンライン化を着々と進めております。  また、私どもは昨年から、世界医療システム強化に貢献しようというので、世界健康、保健健康医療イニシアティブというのを始めているんですけれども、そのためにも遠隔医療の導入が大変必要であり、また遠隔教育の必要も、更に続けているところであります。  こういうことをやるためにもJICAの組織内での変革も必要でございまして、JICAの中に昨年六月にSTI・DX室というのを、STIというのはサイエンス・テクノロジー・アンド・イノベーションでございますが、DX室をつくりまして、また人員の増強も行いまして、また、実はチーフ・デジタル・オフィサーというのを設けてはどうかということを今検討中でございます。  それから、本邦と海外との会議はオンライン、またオンラインの会議を頻繁に行っております。また、外部のODA関係者との業務効率化も考慮して、電子入札システムの導入、それから、導入と拡大と、そして押印や書面提出の見直し等を進めているわけでございます。  こういうことについても重要なのは現地の事務所の強化でございまして、JICAは、高瀬委員もよく御存じのとおり、現地に優秀なナショナルスタッフを抱えております。彼らに対する研修強化、彼らに対する権限の委譲、できることはなるべく彼らにやってもらって、残りを本部で統括するという方向に変えていきたいというふうに考えております。  そのようなことをいろいろやっているわけなんですけれども、ただ、最終的には我々は相手国との信頼を重視してやっております。そのためには、やっぱりフェース・ツー・フェースのコンタクトが必要だということをやっぱり思っておりますので、こうしたDXの変革を続けると同時に、対面での信頼関係の構築は引き続き重視していきたいと考えております。
  45. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 理事長、ありがとうございます。業務効率化の観点からもデジタル化は大変重要だと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。  次に、アジアの民主主義の強化という観点からお伺いをしたいと思います。  昨今のアジアを見ますと、香港の情勢ですとかミャンマーの情勢など、民主主義に逆行した動きも見られます。こうした中で、民主主義を重視する米国からも、日本アジアの民主主義の強化に果たす役割というのは一層期待をされるというふうに考えますし、また、我が国も、ODAの文脈で二つ目の柱であります力強さのある外交を推進するに当たっては、国際秩序の強化ですとか我が国が主導する新たなルール作りなど、アジア各国の民主主義を強化しなければ達成できないものも多くあるというふうに考えます。  この点、外務大臣の御所見をお伺いいたします。
  46. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 民主主義の基盤強化は、各国の長期的な安定と開発の促進にとって極めて重要でありまして、また地域の平和と安定の基盤となるものだと考えております。  我が国は、これまで、カンボジアインドネシア、モンゴルに対する法制度整備や、カンボジア、スリランカに対する選挙支援を通じてアジア各国の民主化支援に取り組んできました。  ただ、我が国としては、ある社会の理想像を押し付けて、現実との乖離と、これを批判するのではなくて、どうすればその国にとってより良い社会に進んでいけるのか。アジアの国々、欧米とは違った様々な歴史や伝統文化、そういったものがあるわけでありまして、アジアの国々と共に考え共に歩く姿勢、重視をして支援を行ってきたところであります。  例えば、カンボジアでは、与野党の若手政治関係者日本に招待し、日本の実際の選挙運動や投開票の現場を視察してもらう等、日本の民主化プロセスを学ぶ機会を設けました。そして、一九九九年から二〇一二年まで十四年間にわたって法制度整備のプロジェクトを実施して、民法であったり民事訴訟法の起草、立法化及び運用に関わる支援も行ってまいりました。同様の取組をモンゴルやインドネシアにおいても行っているところであります。  アジアにおけるこういった日本の民主化促進の取組というのは、やはり現地の人々に寄り添って行う、それぞれの国の事情を考えながら行う、そんなことも含めて高く評価をされ、実際に民主主義が前に進むと、こういうことには貢献していると思っております。  残念ながら、今、ミャンマー等におきましてクーデターが発生をし、民主化プロセスが後退をしかねない、そういった中で、平和的なデモに対して銃口が向けられ、そして死傷者が多く発生している、こういう状態やら事態を大変重く受け止めておりまして、これ、日本としても最大の援助国としてミャンマーの民主化プロセス後押しをしてきたわけでありますから、米国であったり、またASEAN諸国とも協力しながら、一日も早く事態の鎮静化、そして早期の民主プロセスの回復に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。
  47. 松下新平

    委員長松下新平君) 時間が参っておりますので、まとめていただきたいと思います。
  48. 高瀬弘美

    ○高瀬弘美君 はい。  ありがとうございます。終わります。
  49. 清水貴之

    ○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。よろしくお願いをいたします。  まずは、田島委員もかつて御活躍をされましたWFPですが、昨年のノーベル平和賞受賞をいたしました。御存じのとおり、飢餓で苦しむ方々に食糧支援をする機関ですけれども。  私もその議連の一員としまして、二〇一八年にはロヒンギャの難民キャンプ、これバングラデシュ側、キャンプのある側ですけれども、そのバングラデシュ側と、ミャンマー側、元々ロヒンギャが住んでいた側と双方から現地の視察をしてまいりました。やはり、そこで食糧支援の重要さというのを身をもって感じたわけなんですけれども。  そういった食糧支援です。コロナ禍において更に重要度が増しているというふうに感じておりますが、まず大臣に、このWFPのノーベル平和賞受賞、これに対する評価をお聞かせいただけますでしょうか。
  50. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) WFP、これまでの飢餓との闘いにおける長年の取組、そして貢献が評価をされ、昨年、二〇二〇年のノーベル平和賞を受賞したわけであります。受賞に際して、私からもその談話を発表してWFPに祝意を表したところであります。  世界が飢餓や紛争、さらには昨今の新型コロナ拡大という危機に直面して、深刻な食糧危機に苦しむ人々が過去最高を更新する中、WFPがこれらの人々の食糧支援拡大に取り組んでいること、高く評価をしております。  人類の歴史振り返ってみますと、恐らく二十世紀の前半まではまさにこれはもう飢餓との闘い、一番大きな闘いというのは、飢えずにどうやって子孫を残していくか、そういう飢餓との闘いであったんだと思っておりまして、日本にいると残念ながら、飽食の時代といいますか、食料が余ったり、またコンビニでも廃棄されるようなお弁当がたくさんあったりと、こういう現状であります。  一方で、本当に一杯の水が、そして一個のパンが食べられない子供たち、世界中にはたくさんいると、こういった現実もしっかり我々認識をして、またそういった認識を広めていくことが極めて重要だと考えております。  人道危機に際して迅速、効果的な活動実績を有するWFP、果たすべき役割ますます大きくなってきていると思います。働いている皆さんも非常に使命感を持たれているなと、私もWFPの事務局長とかいろんな方にお会いしていますけど、そういった意味で使命感を持って仕事をされていると思っておりまして、今後とも、日本としてWFPと協力をし、また必要な支援、こういったものも行っていきたいと思っております。
  51. 清水貴之

    ○清水貴之君 私も現地を見て、そうやって食料をしっかりと必要なところまで届けるという、WFPというのはもうロジスティクスの専門家、プロだなというのをすごく実感をいたしました。  このWFPに対する予算を見てみますと、令和年度から令和年度にかけては大体一割弱ぐらいの増額で、令和年度当初ですけれども、当初も昨年度より増額ということで、評価をいただいているんだなというのをこの予算の額を見ても非常によく分かるんですけれども、その難民キャンプの視察の際に、日本からお米の支援ということで、そのお米の袋に日本の日の丸の国旗を付けたものがわあっと積んでありました。我々がいたから気を遣ってくれたのかもしれませんけれども、でも、そうやって日本のそういう国旗が入っていると非常によく分かるわけですね、どこからの国、どこの国からの支援かというのが非常によく分かると。  こういった支援というのは、アピールのために使うというのはちょっと本末転倒なところもあるのかもしれませんが、ただ、これだけのやはり予算を投入して支援をするわけですから、その現地の方々に日本を感じていただきたいし、日本に対して親近感を持ってもらいたいですし、また、日本側もそうやって一次産品、お米を持っていく、若しくは加工食品なども日本技術高いですから、非常にそういう食糧難で苦しんでいる方々にも喜んでもらえる技術というのがたくさんあると思うんですよね。  国連機関ですから、一旦お金が入ってしまったら、もうどこでどう使われるかというのが分からないんじゃちょっとやっぱり寂しいなというのを感じまして、こういったところも、これだけの予算を使うので、日本のものを、そして日本企業にもメリットがあるような、こういった強いアピールをしていただけたらなというふうに思うんですけれども、大臣、お願いいたします。
  52. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 全く同じ考えであります。  二〇〇三年、イラク戦争があったわけでありますが、その後、日本として様々な食料、物資等の支援もさせていただきました。WFPであったりとか様々な国際機関とも連携したんですが、現地に行って実際に送られているものを見ると、日本のフラッグというのはないわけですね。  やっぱりこれは日本支援をしていることですから、堂々とやっぱり、これは日本国際機関協力をしながら送っているものだと、こういう日の丸であったりとかそういうのを付けてもおかしい問題では全くないと思っておりますし、これは日本支援をしているということを知ってもらうのと同時に、恐らく日本のお米を始めそういった食料品というものは安心で安全なものであると、こういう評価もあるわけでありまして、いろんな支援物資が届く中で、やっぱりそれは、飢餓に苦しんでいるとどんなものでもというのはあるにしても、やはりそこでは安心、安全というものを強調されると。そこで日本のものだということによってより安心感が高まるということも重要だと思っております。
  53. 清水貴之

    ○清水貴之君 是非よろしくお願いいたします。  そんな中、先ほども話が出ましたミャンマー情勢なんですが、二月のクーデター以降、情勢が厳しいというのが続いております。制裁措置をとる国もある中で、このロヒンギャ難民支援に関しては、大臣、二週間前の記者会見でおよそ二十億円の人道支援を表明されております。その意義を御説明いただけますでしょうか。
  54. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、ミャンマー各地において、デモで発砲を含むミャンマー治安部隊の実力行使によって多数の民間人が死傷し、拘束者が発生している事態、日本として強く懸念をいたしております。  これまで、日本はミャンマーに様々なチャネルというのを持っているわけでありまして、ミャンマーの国軍に対して、民間人に対する暴力的な対応の即時停止、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を始めとする拘束者の解放、さらに、民主的な政治体制の早期回復の三点、強く求めてきているところであります。  その上で、経済協力に関して、人道上の必要性が高い案件及び国民生活の向上に資する案件については緊急性が高いと考えております。先般、御紹介いただきましたように、ユニセフを通じ、ミャンマーを含みます東南アジア諸国向けのコールドチェーン整備支援、そして、WFP及びICRCを通じたラカイン州の国内避難民支援をそれぞれ実施することを決定をしたところであります。  あくまで人道上の措置ということでありまして、今後ミャンマーに対してどういう対応をしていくかと、国際社会とも連携をしなけりゃなりません。そういった中で、我が国はこれまでミャンマーの民主化促進するために最大の援助国という形でありまして、今後、ミャンマーの民主化の回復にとってはどういう対応が必要なのかと、事態の推移等も見ながらよく検討をしていきたいと思っております。
  55. 清水貴之

    ○清水貴之君 そのミャンマー情勢に関して我々日本維新の会は、三月十日に幹事長名で談話を発表しております。中身としては、ミャンマー国軍の暴挙を強く非難するとともに、毅然と対応するアメリカやヨーロッパ諸国と結束を強め、政府としてもっとイニシアチブを取るべきだというような内容になっております。  ただ、今大臣説明いただいたとおり、解決をするというのが最大の目的だというふうに思いますので、是非この辺も、この談話は事前に質問通告の方でお渡しさせていただいておりますので、またどうぞよろしくお願いいたします。  そのミャンマーなんですが、やはり近年非常に注目をされている地域ということで、進出している日系企業もたくさんあります。多くの邦人の方が生活をしている中で、今後どうなっていくかまだ分からない状況です。既に死者も出ているような状況ですけれども、そういった邦人の保護、日系企業に対するサポート、こういった体制はどのように取っているんでしょうか。
  56. 森美樹夫

    政府参考人(森美樹夫君) お答えいたします。  これまで、在ミャンマー日本国大使館からは、随時、領事メール等を通じましてデモ等に関する情報を発出し、在留邦人に対して注意喚起と不要不急の外出を控えるよう呼びかけてきております。また、丸山駐ミャンマー大使は連日、在留邦人の方々とオンライン会合で最新の情勢を踏まえた情報交換を行ってきております。  委員指摘ございましたとおり、現時点、失礼いたしました、現時点までに、二月一日以降、ミャンマーで現地日系企業駐在員を含む在留邦人の方々が大きな事故等に巻き込まれたとの情報には接しておりませんが、委員指摘いただきましたとおり、情勢は非常に流動的なものになってきておりますので、三月九日には速報的に注意を喚起するスポット情報というのを出しまして、商用機による帰国の是非を検討するよう呼びかけてきております。  政府では、平素から在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行ってきております。邦人保護の強化を図っているところでありますが、海外渡航、滞在する邦人の安全確保は外務省の最も重要な責務の一つでございます。引き続き、ミャンマーに滞在する邦人の安全確保のために万全を期していきたいと考えております。
  57. 清水貴之

    ○清水貴之君 そして、今回の予算を見ますと、新型コロナウイルス対策の保健医療機材供与としまして四百八十億円が計上されています。途上国への支援として、保健医療機材ですから、エックス線の撮影装置とかサーモグラフィーなどを供与するという話です。  これも先ほどの食糧支援の話と同じ内容になってはしまうんですが、やはりこれも、非常に日本のそういった医療機材というのは、ワクチンはちょっと後れを取っていますが、機材というのは大変進んでいるというふうに認識をしていますので、これも現地の方にやはり日本からの支援だということで喜んでいただける、また、日本企業にとっても海外進出の例えばきっかけになるとか、こういった面も考えて措置をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  58. 植野篤志

    政府参考人植野篤志君) お答え申し上げます。  先ほど来出ておりますように、この新型コロナウイルスに対処していくためには国際的な連携というのは極めて重要であって、保健システムが脆弱な途上国支援して世界的に感染を抑え込んでいくということが我が国にとっても国際社会全体にとっても喫緊の課題であると。  そういう観点から、令和年度の第一次補正予算により、約百か国の途上国を対象として保健医療体制の強化に資する医療関係機材等の供与を、茂木大臣の御指示によって、かつてないスピードで今実施しているところでございます。  その際、多くの途上国から我が国の高い技術力を生かした医療機材等への要望が寄せられておりまして、相手のニーズはもちろん踏まえつつではありますけれども、エックス線撮影装置や超音波画像診断装置など質の高い日本製品を積極的に紹介をし、供与させていただいております。  国際協力における日本製品の活用というのは日本企業海外進出にも資するものであり、今後とも、その相手国のニーズに合致した支援、それから質の高い日本製品の活用及び海外展開、この二つを両立させつつ支援を行ってまいりたいと思います。
  59. 清水貴之

    ○清水貴之君 是非よろしくお願いします。  質問を終わります。ありがとうございました。
  60. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚でございます。  大臣には、お伝えしました質問の最後のところからちょっとお伺いをしたいんですが、先ほど来ワクチンの話が出ていますけれども、COVAXのファシリティーに二百六十四億円の支出を計上しています、今回の予算で。その一方、三月十二日にQUADで新たなワクチンファシリティーの枠組みに合意したということで、これまでもそれに類する御答弁若干出ましたけれども、改めてその役割分担を御教示いただきたいと思います。
  61. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 若干先ほど来御答弁申し上げているところがあると思うんですが、大塚議員から改めて質問でありますので、若干最初の部分から答弁をさせていただきますと、日本国内でのワクチンの接種、最大限のスピードと体制で進めなきゃならないと考えておりますけれど、海外のどこかにコロナウイルスが残っていれば世界各国への再拡大の可能性が残ることになります。  日本は、ワクチンへの公平なアクセスを確保すべく、この国際的な枠組みでありますCOVAXファシリティーの形成を主導して、その途上国向けの枠組みに既に二億ドル拠出を表明したところであります。  途上国等へのワクチンの供給の加速に当たっては、国際協調国際機関との重層的な連携、これが極めて重要だと考えております。御案内のとおり、今COVAXの途上国向け枠組みで提供されるのはそういう途上国人口の二割と。今これを少し増やしていこうという議論あるんですが、それにしても二割というレベルであります。そうしますと、何らかの形でそれを更に積み増していく、またこういった取組連携する取組が必要だと考えておりまして、三月十二日に開催されました日米豪印の四か国の首脳会議におきましては、WHOであったりCOVAXファシリティーを含む既存の関連する多国間の組織との緊密な連携の下、インド太平洋へのワクチンの公平なアクセスを強化すべく協働していくことで一致をしたところであります。  二つの側面があると思うんですけれど、その一つは、今申し上げたように、COVAXファシリティーだけでは量が十分に行き届かないと、こういう量の問題と、もう一つは、COVAXファシリティーの場合は、その国には届けますけれど、入ってから、最終的なラストワンマイルの部分手当てが十分ではないということでありまして、そういったことを、もちろんこれは日米豪印だけで全てができるわけではありませんが、特にそのインド太平洋地域アジアであったりとか太平洋島嶼国に対して、御案内のとおり、インド、これは、ワクチンに関しては、元々ジェネリックの生産等々から始まって、このコロナ前から最大の生産国でありまして、コロナワクチンについても最大の生産国であると。また、アメリカの持っている技術、資金、そして日本技術やラストワンマイルにおける力、そしてまた、オーストラリアが持っているラストワンマイルの支援を、これは太平洋島嶼国等々で様々な形で展開をしてきていると。  こういう力を合わせると更に重層的な支援というものができるんではないかな、こういうふうに考えておりまして、まさに全体で足りないわけですから、それぞれそれを補完していくというか積み足していく、こういう取組の一環だと、このように捉えております。
  62. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  私なりに今の御答弁、そのCOVAXをプラットフォームとしながらも、足らざる部分についてQUADでも支援をするというふうに理解しましたが、そこには、ワクチンを供給すると、足らざる部分を供給するということもあると思うんですが、何度もラストワンマイルという言葉が出てきていますが、そのラストワンマイルは具体的に何をサポートするということを想定しておられるんですか。
  63. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ラストワンマイルの中には様々な分野出てくると思います。また、自国でできるものとできないもの、途上国によって違うと思うんですが、例えばその、何というか、冷凍の設備であったりとか、それを冷凍した状態でどう運搬するか、こういう手段等についてはかなりニーズが高いのではないかなと思っております。  さらには、これまでも、途上国の医療体制強化のために、拠点病院に日本としても様々な機材等々も提供していますので、その拠点病院等々も使いながら接種もするということはあるんだと思いますが、接種の仕方については、日本もそれぞれ自治体によってやり方が違ったりとか、そういうやっぱり地域事情というのは重んじなきゃなりませんので、そこはまた各国のニーズ等々を踏まえながら、どういう支援ができるか検討していきたいと思っております。
  64. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今のワクチン支援のことも含めて、その海外支援は何のために行っているのかということですが、これはもちろん人道的な見地とか様々なこともございますけれども、今日、大臣御自身の冒頭の御説明でも、ODAは積極的な日本外交を進める上で重要な政策ツールだというふうにおっしゃっているわけですね。  そのCOVAXに対しても、当然人道的見地を基本としながらも、やっぱりこういう国際的プラットフォームは様々な利害関係がここにどうしても入り込みますので、御承知のとおり、COVAXそのものは、Gaviというんですかね、ワクチンアライアンス、それから感染症流行対策イノベーション連合、これはCEPIというんでしょうか、こういうものとか、それからWHOが合体してこのCOVAXをつくっているんですが、このCOVAXの、ずっと報道とか今の御答弁聞いていると、ワクチンを余り経済的に発展していない国などに積極的に供給していく、もちろん先進国も供給受けますけれども、ということが中心のように聞こえるんですが、実は、その拠出金を基に、COVAXが開発や製造設備を行う中高所得国、つまり先進国にもこれを支援するという枠組みになっているというのは御存じですよね。  そうすると、このプラットフォームをつくっているCEPIなんかは六者の製薬メーカーと提携をしているんですが、この六者は、資料を見ると、たしかアメリカが三者、イギリス、オーストラリア、ドイツですか。だから、このCOVAXが製造を支援するというときに、そこに日本の製薬メーカーもなぜ手を挙げなかったか、あるいは、日本の製薬メーカーをこのCOVAXの拠出金に基づく製造支援の枠組みに含むということを主張されたかどうか、この辺りは何か御教示いただけることはありますか。
  65. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ちょっと今突然お聞きしましたので、もしかしたら通告いただいていたのかもしれないですけど、分かる範囲でお答えをさせていただきたいと思うんですが、確かに、そのGaviであったりとかこのCOVAX、委員指摘のような機能を持っているというのは事実であります。  そこの中で、ちょっとこの製造関係でどこまでのやり取りがあったか、また改めて確認をしたいと思っておりますけれど、これ、私の所管とは若干外れる部分はあるんですけど、率直な疑問として、日本というのは私は科学技術の先進国だと思っています。今でも様々な技術を持っていると。そして、今人類が直面している最大の課題、それはコロナの克服であると。そのためにはワクチンというのが極めて重要な解決手段になってくるというのにもかかわらず、残念ながら国内でワクチンが作れない、製造できない、この現実に対しては大変残念な思いを持っております。  恐らくその感染症というのは再びやってくるんではないかなと思います。残念ながら、そのいつのためになるか分かりませんけど、そのときにまたワクチンが必要になるのは明らかなことでありまして、そのために日本の体制をどうしていくかということはまた考えた方がいいんではないかなと思っております。  三十年前、武田薬品はファイザーよりも大きな会社でした。それが、残念ながら今世界のトップ二十の中に日本の製薬会社が入ってこないと、こういう現実というのはよく検証する必要が私はあると思っています。
  66. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 おっしゃるとおりで、もちろんその日本の製薬企業技術力の問題もありますから、ただ、このワクチンの様々な報道やレポートが出されておりますので、日本でもアンジェスとか塩野義とか、治験もいいところまで行っているところもあるやに聞いていますので、是非こういうCOVAXのようなファシリティーでも不合理な不利益を日本が受けることのないように御配慮いただきたいと思います。  それから、実は午後外防があって、外防の質問と重なっちゃっているんですが、これ、午後外防で中国向けのODAのことをお伺いする予定なんですが、先にもう申し上げちゃいますと、午後、中国向けのODAは、これ累計でどのくらいで、現状もう卒業したのかどうかということをお伺いしたいということ、いや、大臣、大丈夫です、私数字申し上げますので。累計でいうと、円借款でこれまでに三兆三千百六十五億円もう中国に出しているんですよ。無償資金は千五百七十六億円、技術協力は千八百五十七億円。多分、中国へのODAでは世界の中で日本が最大拠出国になっていると思うんですが、そこ、そこはもし何か情報が今、現時点でございましたら。アメリカですか、日本ですかね、多分、日本が最大ということでいいですか。いや、もし御存じなければまた午後伺いますが。  いや、私が申し上げたいのは、卒業しているんですよねということを改めて確認しましたら、二〇一八年十月に、安倍総理が訪中の際に、最終的に対中ODAは卒業するということを先方と合意をして、あと残った案件だけ今消化しているということなんですが、この国会が始まる段階で五つ案件が残っていました。  今月終了したのが二つですかね。一つは、北京で感染症のプロジェクトを日本支援していると。それからもう一つは、やっぱり北京で、ガバナンス、民主的な国家をつくるための民生保障の法整備をするためのプロジェクトを支援していると。まあこれは終わりました。それからあと残っているのが、来月終わる環境技術、これを支援していると。さらに、あと二つですね、今年の十一月に終わるのが、やっぱりこれもチベットとか四川省とかの感染症のプロジェクトを日本支援していると。来年になると、最後、浙江省でアスベストの関係のプロジェクトを支援していると。この来年の三月で全部終わるわけで、まあ午後の外防ではこの話もさせていただくんですが。  私が申し上げたいのは、もうずっとこのODA委員会も何回も所属させていただいているので、すごく人道的しかも博愛的な議論が多いんですが、大臣が冒頭でおっしゃったように、これは重要な外交の手段でありますので、対中ODA、総額で三兆六千億円ぐらいのものを日本が長年支援した結果どうであったのかという総括は一度した方がいいと思うんですが、そういうことを外務省で総括をしたレポートを発表されたことはございますか。
  67. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ODA白書の中では毎年、何というか、全体のODAのこれまでの実績であったりとか評価、また国別のものについても行っているところでありますが、確かに、中国に対しては、有償資金協力で三兆三千百六十五億円、これは圧倒的に大きい額でありまして、無償の方が千五百七十六億、そして技協、海外青年協力事業が千八百五十億ということでありまして、無償それから技協と比べると、有償の方というのは大体その二十倍ぐらいな形になっているということでありまして、これ、中国の改革・開放路線、一九八〇年代、トウ小平の時代から始まるわけでありますけど、その時代に中国としてかなり、何というか、経済開発が加速していく中で資金が不足していた、その資金を日本がかなりな部分補ってきたというのは事実でありまして、それが中国のその後の経済発展にもつながったと、そういう側面は私は否めないんじゃないかな、こういった意味では大きな貢献もしているところであります。  もちろん、これ、一九七二年の日中国交正常化と、ここで、この正常化自身というよりも、それを踏まえながら様々なことというのは行ってきた部分もあるということでありまして、まさに日中双方がより良好な関係をつくり、お互いに発展をしていくという意味で効果はあったものだと思っております。  一義的には、中国に対してそういった経済発展資金面技術面でも支える、同時に、それによって日本経済も中国マーケットであったり様々な形で裨益をしてきたと、これも私は間違いない事実であると思っておりまして、そういった二国間が協力できる分野、こういったことは今後も、もう無償資金協力についてはやらないわけでありますけど、経済協力といいますか、経済での様々な連携というのは続けていきたいと思っておりますが、一方で、法の支配であったりとか基本的人権、譲ってはいけない、こういう部分もあるわけでありまして、そこにつきましては明確に主張していきたいと思っております。
  68. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もうこの発言でやめますが、おっしゃるように、過去においては支援する合理的理由があったと思いますが、その結果どうであったのか、中国が期待に応えた部分と期待に応えていない部分もあるわけでありまして、我が国が対中国ODAのレポートを出すということになれば、その中でどういう評価をされるかというのは国際的に注目も浴びると思うし、それ自身が我が国の重要な外交ツールになると思いますので、是非、一度御検討いただいて、そういう努力をしていただきたいと思います。  終わります。
  69. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  海外の石炭火力発電所への支援についてお聞きいたします。  まず、外務大臣にお聞きしますが、パリ協定以来、温室効果ガスを多く発生させる石炭火力発電所を廃止する動きが強まっております。グテレス国連事務総長は三月の二日、脱石炭連盟サミットに寄せたメッセージで、気温上昇を一・五度に抑える目標を達成するためには、石炭火力発電について、OECD加盟国は二〇三〇年までに、それ以外の国も二〇四〇年までに段階的に廃止することを求めました。さらに、主要排出経済国の指導者に対して、本年中の最も早い機会に石炭への自国の国際的な資金支援の終了を表明するよう求めております。  外務大臣、先日の所信で気候変動問題については国際社会取組をリードをしていくと、こう述べられました。逆に今、日本が主要七か国の中で唯一輸出支援をしている国としての批判も上がっております。国連事務総長のメッセージやこうした批判をどう受け止め、どう対応されるんでしょうか。
  70. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 気候変動問題への取組、今、国際社会日本を含め主要国だけでなく各国が最優先で取り組むべき今喫緊の課題だと思っております。  昨年の十二月に決定をしましたインフラシステム海外展開戦略二〇二五におきまして、世界の実効的な脱炭素化に責任を持って取り組む観点から、今後新たに計画される石炭火力輸出支援の厳格化を行ったところであります。また、海外で新設される石炭火力発電所に対するODAによる支援について、現時点でこの新方針が適用されるODAプロジェクトはない、このように理解いたしております。  いずれにしても、相手国のエネルギー政策や気候変動政策にエンゲージを深めることで脱炭素化を促すという基本方針を踏まえて取組を進め、脱炭素社会の実現をリードしてまいりたいと思っております。  国際社会の声は私なりには十分理解をしています。そして、そういった声にはしっかり応えていかなきゃいけないと思っています。
  71. 井上哲士

    ○井上哲士君 今ありましたこのインフラシステム輸出戦略の中で、輸出相手国の脱炭素化への移行方針等が確認できない場合は原則支援しないということになりました。これ、国内外のいろんな声に応えたものだと思いますが、しかし抜け穴だらけだという指摘もあるんですね。その大きなものが、現在進行中の案件には適用せずに支援を続けるということであります。  JICAとして、今進行中の案件は一体何で、これはどうして継続をするんでしょうか、お答えください。
  72. 北岡伸一

    参考人北岡伸一君) 御質問ありがとうございます。  私は平成三十年から三十一年にかけてパリ協定と日本の経済成長をいかに両立させるかという委員会の座長をやっておりまして、この問題の重要性は十分認識しているつもりでございます。そのときは、委員会の、懇談会の中の意見が十分まとまりませんで、必ずしも十分な明快な結論は出せなかったと記憶しております。したがって、昨年の十月に総理が新方針を打ち出されたというのは大変私は明快で、歓迎、喜ばしいと思いましたし、また、私はかつて国連大使を務めておりましたが、国連関係者からも歓迎のメッセージが届けられて、大いにちょっと面目を施した次第でございます。  ところで、その中で、昨年十二月にインフラシステム海外展開戦略二〇二五が決定されまして、世界の実効的な脱炭素化に責任を持って取り組む観点から、今後新たに計画される石炭火力輸出支援については厳格に対応するという方針であるということを承知しております。  これで、委員が抜け穴と言われたものの多分念頭に置いておられるのは、バングラデシュに対するマタバリ超超臨界圧石炭火力発電計画フェーズ2及び対インドネシア円借款インドラマユ石炭火力発電計画ではないかというふうに想定しながらお答えを続けたいと思うのですが、政府方針が以上のものであるという中で、我々独立行政法人で、政府が決めたことを何でもすぐそのとおりやるというわけではございません。それはちょっと実行困難だとか、少し事情は違いますよといって意見を申し上げることはあります。しかし、その政府との十分な協議の下にやっていくと。外務省及び政府との関係は大変順調、円滑にやっております。  また、もう一つ申し上げたいのは、我々、要請主義というのを取っておりまして、相手国からの要請に応じてやると。一部の国がやるような、これはしてやると上から目線で押し付けるというような援助はしないという立場を取っております。言い換えれば、相手国との合意は守ると、やっていくというのが私どもの立場でございます。  インドネシアについては後ほど、より詳しい前インドネシア所長でありました理事からお答えすることにしまして、バングラデシュについて申し上げますと、バングラデシュはかつて世界最貧国と言われました。最貧国の一つでありました。ところが、現在、二〇一八年のレベルで一人当たりGNIが千七百五十ドルまで来て、二六年、二〇二六年には後発開発途上国、LDCを卒業するという勢いでやってきているわけであります。この成長の過程でやっぱり一定の電力が必要だというのは否定できない事実だろうと思うんですね。  ですから、そういう国からの要請があって、我々話合いはしますけれども、引き続き要請があるものを、既に一度約束して進めているものをこちらから、あれはやめたいとはなかなか言えないというのは、あるいは言うべきでないだろうというふうに考えております。
  73. 井上哲士

    ○井上哲士君 政府間合意、強調されるんですけど、政府間の大筋合意後に相手から取り消した例はあるわけですね。インドネシアとの関係でいいますと、過去、気候変動対策プログラム・ローンをフランスと三期にわたり協調融資した後に、四期目についても大筋合意後にインドネシア側から突然取り消されたということもありました。  これ、両計画とも様々工事に関わる環境や農業、漁業への深刻な問題もあるわけでありますけど、私は、もちろんODAは相手の要請必要です。ニーズ必要です。だけど、こういう地球温暖化という国際的な課題取組も続いている中で、それだけでいいのかということが問われると思うんですね。  冒頭述べたように、OECD以外の国も四〇年までの石炭火力発電所の廃止が求められております。今の案件でいいますと、マタバリ2は二〇二八年、インドラマユは二〇二六年が稼働開始の計画になっているわけですね。そうしますと、二〇四〇年まで十数年しかありません。だから、それを超えて稼働させることになりますとパリ協定の目標と整合しないんじゃないか。逆に、そこで稼働停止となりますと座礁資産となりまして、売電収入のないままに数十年掛けて返済をすることで国民の重い負担になると、こういう問題が起こると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  74. 北岡伸一

    参考人北岡伸一君) お答え申し上げます。  二〇四〇年までに途上国でも石炭火力発電を廃止する必要があるというのは、これは国際的な合意というよりは、そういう意見を持っている、おられる団体、方々もあるということだと思います。更に申し上げますと、私は、地球温暖化というのはグローバルな課題でありまして、それぞれの国がそれぞれの国の立場に応じた責任を果たすということだと。これは国際合意でございます。  そうしますと、より大きな責任を持っているのは、第一に、産業革命以来膨大な二酸化炭素を排出してきた欧米の先進国、それから、現在多くの二酸化炭素を排出している国々であって、現在途上国でまだ発展しつつある国の責任は割合小さいと。したがって、彼らにはまだ発展の権利があり、これに、二酸化炭素削減に協力する責任は相対的に、あるとは思いますよ、でも相対的に少ないというふうに考えるわけであります。  したがって、この我々の制度、非常に石炭火力としては二酸化炭素排出の少ないものに取り組んでいくということを支援するというのは、今のところ正当であるというふうに考えております。
  75. 井上哲士

    ○井上哲士君 超超臨界といいましても、液化ガスの発電と比べますと倍のCO2排出になりますから、私はパリ協定と整合しないと思うんですね。  それで、私申し上げているのは、むしろそういうものを途上国支援としてやっても、逆に座礁資産となって、その国にとってもプラスじゃないのではないかということを申し上げているんです。  今、ダイベストメントの動きが大きく広がっております。イギリスのスタンダードチャータードやイギリスHSBCは、ベトナムのビンタン3の融資から撤退いたしました。アメリカエネルギー経済・財務分析研究所によりますと、既に世界で百三十以上の大手銀行、保険会社が石炭火力発電への関連投資に制限を掛けていると、こう言われております。日本でも、三菱商事がベトナムでのビンタン3計画から撤退する方針という動きがある。  結局、投資家は、将来見通して、こういう国際的な批判があるものに投資するのがいいのか、そして事業としてもこの再生エネルギーのコストが下がる中で成り立つのかと、こういう判断をして、投資をするべきでないという投資家が声を上げていることがこういうダイベストメントの背景にあると思うんです。  こういう流れを見れば、石炭火力発電所が座礁資産になると、こういう可能性は私は高いと思いますけれども、改めていかがでしょうか。
  76. 北岡伸一

    参考人北岡伸一君) ダイベストの動きが非常に加速している状況はよく存じております。ですから、我々は国際会議ではこれまでやや肩身の狭い思いをしておったんですが、少しほっとしたという感じがございまして、実は、先ほど申し上げました懇談会でも、ある委員の方が、お名前は出しませんが、自分ほどこれまで石炭火力を造ってきた人間はいないと思うと、しかしこれはもう無理だということを言っておられて、そういうトレンドがあったのはよく承知しておりまして、今はそれが広がっているということは確かであります。  ただ、先ほど要請国主義で申し上げましたとおり、後ほどお尋ねがあるかもしれませんが、相手国とよく相談して、幸い、私ども、バングラデシュともインドネシアとも非常に良い関係がありますので、おたくの将来にとって本当に何がいいかを一緒によく考えましょうということをやっていくと。これを併せてやりたいというふうに思っております。もう一方的にやるのは非常にまずいと思っておりますし、外交関係からも。また、もし電力が必要だと、しかし石炭火力できないということになったら、彼らは違った国、違った方法に行くかもしれないと。それはやっぱり一緒に考えていくという姿勢は崩さないでやっていきたいというふうに思っております。
  77. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本が撤退したら中国がということを言う方もいらっしゃいますが、中国はバングラデシュでの石炭火力発電事業に投資することを撤退したと、先日報道もありました。  いわゆる座礁資産ということでいいますと、コストの問題もあるんですね。先ほどのグテレス事務総長のメッセージの中では、石炭の経済的に見た生存可能性は低下している、パンデミックによってこれは加速してきたと、事実上、全ての市場において、今や新たな石炭火力発電所を造るよりも新たな再生可能エネルギー能力を使った方が安価であると、こういう強調をしております。  実際、二〇二〇年にイギリスのシンクタンクのカーボントラッカーが発表した分析では、バングラデシュとインドネシアを含むアジアの多くの国と地域では、新設の石炭火力よりも再生可能エネルギーの新設の方が安いと、こう指摘をされているわけですね。  ですから、長期的に見ても、こういうコストがどんどん再生可能エネルギーが下がっている下で高い石炭火力を造ることが結果としては相手国の重荷にもなると、そういう立場から日本がこの見直しを図るということが相手国にとっても必要だと思うんですけれども、併せてどうでしょうか。
  78. 北岡伸一

    参考人北岡伸一君) 再生エネルギーがどれほど経済的かどうかというのはその国の置かれた条件にも非常に関わりまして、ヨーロッパの特にオランダとかデンマークの辺りと日本とではいろいろな条件が違うのは御存じのとおりであります。  したがって、それから、先ほど言われた、中国と言われましたが、私は中国とは言っておりませんが、他の国の他の方法、つまり原子力ということもあり得ます。いろんな方法で出てくる可能性もあるという、そういう外交的な配慮も私はするべきではないかと思っております。  いずれにしても、どちらがより長期的に効果的だということは、最終的に判断をするのは向こうの政府であります。よく相談して、我々はこういう方向ならこういう支援ができるということを相談しながらやっていきたいというのが我々の基本方針であり、また政府の御方針だというふうに理解しております。
  79. 松下新平

    委員長松下新平君) 時間が参りましたので、おまとめください。
  80. 井上哲士

    ○井上哲士君 インドネシアもバングラデシュも、この電気余剰というものもあるわけですね。本当に今必要なのかということが問われております。  イギリスは、昨年十二月に海外の石化燃料プロジェクトへの公的資金の投了を宣言いたしました。日本世界をリードしていくということであるならば、改めてこういう方向を、今の方向を見直して、再生可能エネルギーの推進こそ支援をするべきだということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。
  81. 高良鉄美

    高良鉄美君 トリになりましたが、沖縄の風の高良鉄美でございます。  少数会派ですが、御配慮をいただきましてありがとうございます。茂木大臣には初めて質問をしますけれども、よろしくお願いします。  私は法務委員会の方に所属しておりますので、どの大臣にも法の支配について御認識を伺ってまいりました。茂木大臣は、所信で法の支配について言及されています。自由で開かれたインド太平洋あるいはODAといったことにも法の支配、このルール・オブ・ローが関連していると思います。  そして、その法内容の適用、適正だけじゃなくて、手続の公正も要求されます。この法の適正手続、デュー・プロセス・オブ・ローが貫徹される社会、そしてSDGsの誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会であることを願いつつ質問いたします。  まず、外交文書の取扱いについてお伺いします。  国連女性差別撤廃委員会は、二〇一六年二月の第七回、第八回、日本政府報告審査の最終見解でフォローアップ報告を日本政府に求めました。日本政府が提出したフォローアップ報告に対し、女性差別撤廃委員会は、今日資料で配っております英文のですけれども、二〇一八年十二月十七日付けで評価文書を送っています。  ところが、この文書を外務省も内閣府もウエブサイトで公表していなかったため、昨年九月十八日、私の事務所の方で外務省から取り寄せました。その際、外務省からは、英文の公表も仮訳の予定もないということでした。そこで、三月十五日に外務省と内閣府男女共同参画局に来ていただき、国連からの文書が公表されていないことについて尋ねました。  昨日の法務委員会で、外務省が所管の内閣府男女共同参画局に報告したのが三月十五日、先週だったということが分かりました。内閣府男女共同参画局は外務省から報告を受けた翌日十六日に公表したということですが、二年以上も遅れて報告したことは国連からの公式文書の勧告を軽視していると言わざるを得ません。また、国民の知る権利の観点からも極めて重要な問題だと思いますけれども、大臣見解と今後の対応についてお伺いします。
  82. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、高良委員の御指摘に感謝を申し上げるところであります。御指摘の点については御指摘のような状況であったとの報告を受けておりまして、外務省に届いた情報を関係省庁であります内閣府に対して迅速に共有すべきであったと思っております。  国民の知る権利の観点からも政府のホームページに公表されていなかったことは問題であると考えておりまして、事務方に対しても、迅速に情報を共有すること、またそういった情報についてしっかりと公表すること、今回のようなことが二度と起こらないようにしっかり今指導したところであります。
  83. 高良鉄美

    高良鉄美君 大臣からの御答弁、本当ありがとうございます。これからもこういった面では非常に重要な問題だと思います。  憲法学では、法の支配の内容を人権保障、それから憲法の最高法規性、司法権の重視、適正手続の保障としています。先ほどお尋ねした問題というのは、まさにその適正手続に関わる重要な問題であるということを申し上げて、次の質問に参ります。  在外被爆者の救済についてお伺いします。  広島、長崎で被爆した方の十人に一人は朝鮮半島出身者ですが、その事実もその理由もほとんど知られていません。戦後、朝鮮半島に帰国した被爆者は二万三千人に上ると言われています。最高裁は、二〇一五年九月八日、韓国在住の被爆者が同国で受けた医療費に対して、被爆者援護法の規定を適用して医療費の支給を認める判決を言い渡しました。日本人であろうと外国人であろうと、日本にいても外国にいても被爆者に変わりはなく、救済されなければならないということです。  朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮に居住する被爆者などは、まだ救済されていない方が今なお存在しています。  二〇〇一年三月十三日から十七日まで、外務省アジア大洋州局の佐藤重和参事官を代表として、原爆医療の専門医師二人と外務省と厚労省の職員による在北朝鮮被爆者実態調査代表団が訪朝し、聞き取り調査と医療施設の視察を行ったと承知しています。これが資料の一番最後のやつです。そこには、帰国後、外務省は、今すぐ、韓国と同じではないけれども、人道支援として考えていきたいとの考えを示して、外務省対応していくということが表明されたと承知しています。  被爆者に残された時間は僅かで、一日も早い救済が必要です。誰一人取り残さないどころか、もう誰一人救済できなかったとならないよう、政府が北朝鮮に約束された、まさに合意された対応を緊急にされる必要があると思いますけれども、大臣見解をお聞かせください。
  84. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 御指摘の点に関して、被爆者が放射能による健康被害を受けたという点で、重要な人道上の問題であると考えております。  政府としては、引き続き、本件が重要な人道上の問題であることを踏まえ、被爆者援護法、御案内のとおり厚労省の所管でありまして、厚労省を始め関係省庁との間で緊密に連携しながら適切に対応していきたいと思います。
  85. 高良鉄美

    高良鉄美君 適切な対応いろいろあると思いますけれども、厚労省だけじゃなくて、やっぱりこれ、今ちょうど外交の問題として、非常に今、日朝間、国交がない中であると思うんですけれども、先ほどの資料ですね、資料にあったのは国交のない時代に行っているわけです。やっぱり被爆者はそういった面で、これ二〇〇一年の話ですから、もう二十年前にそういう調査があってお話があったということですね。  菅総理を始め多くの閣僚が、今回の所信等にもありますけれども、誰一人取り残さないと言われますが、法や制度のはざまで取り残されている人は少なくありません。  沖縄戦の戦没者の遺骨が今も収集されている本島南部、沖縄本島南部の土砂が新基地建設の埋立てに使われようとしているということに、ハンストで現在、首相官邸前で金武美加代さんが抗議をしていらっしゃいます。また、沖縄県内の市町村議会では、遺骨の交じった土砂を基地建設に使うことに反対の意見書が可決され、沖縄県議会でも近く可決されると聞いています。  過剰な基地負担を強いられている沖縄県民が本土から取り残されることのないように強く求めて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  86. 松下新平

    委員長松下新平君) 以上をもちまして、令和年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、政府開発援助関係経費についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 松下新平

    委員長松下新平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会