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参考人(
三木由希子君)
情報公開クリアリングハウスの
三木でございます。
今日は、このような
機会をいただき、どうもありがとうございます。
時間が限られておりますので、ポイントを絞って
幾つか
お話をさせていただきたいと思います。
まず
最初に、私個人ということにはなりますけれども、
特定秘密保護法に対してどういう
立場かと申しますと、
秘密の
管理は必要というふうにずっと考えております。それは、
情報公開を進める上でも、
秘密が
管理をされずに広がっていき、それが
公開に転換をしていかないという
仕組みが良くないというふうには
情報公開を進める
立場から考えてきておりました。
それは、
政府の
アカウンタビリティーというのは時間を掛けてでも全うされるべきだというふうに考えております。それが
政府が責任ある
活動や対応を行っていることを証明するものになるということでありますので、
非公開、
秘密というのは
一定程度許容される余地があったとしても、それが永遠に
秘密のままであるということ
自体が
政府の
健全性を損なうというふうに考えるからであります。
一方で、
罰則については、
秘密の
管理のために
罰則を付けるというのがこの
法律の
立て付けではございますけれども、
罰則については消極的というか要らないという
立場でございました。
それで、今、
法律ございますので、とにかく
秘密だから分からないということでは私
たちもこの
制度がどう
運用されているのか分からないということで、法が施行されてすぐに
情報公開法を使いまして様々な、
運用に関する
ルールとかは
公開情報として入手可能ですので、それを収集しまして、外にいる
立場から、この
制度についてどの辺を見たらいいのかということをまとめた冊子を本日皆さんのお
手元にお配りいただいておりますので、お時間のあるときに御覧いただければと思います。
公開情報で把握できたことということでまとめてございます。
それで、
特定秘密保護法あるいは
特定秘密保護制度の
評価についてということで申し上げますと、まず、
法律ができるまでに
懸念をしていた点というのは、お
手元に配っていただいています
資料の中でいうと三点におよそ集約ができるということです。
一つが、過剰な
秘密指定が行われる
可能性があるんではないかということです。
二〇〇一年に
自衛隊法が改正されまして、
防衛秘密というものが既に創設をされておりました。これが実態が全く分からないということで、その
秘密指定という
仕組みがどのように
政府の中で
運用されているのかということが全く分からないという
状態にあったということです。
あと、
法律に基づく
秘密指定ではありませんけれども、
極秘や秘という
内部ルールに基づく秘の
指定というのが行われておりまして、これがかなり乱発されていると見ざるを得ないという
状況がありました。
一例を申し上げますと、外務省は特に、秘、
極秘と付いた
文書が一部
秘密指定解除されて
情報公開されてくるというケースが大変多くて、極端な例ですと、数週間前に作られた
文書に
極秘とされているんですが、数週間後に行われた
情報公開で全部
公開されるという、そういうこともございまして、かなり秘の
指定が濫用されているんではないかということを疑っていたということです。
それから、
秘密保護の
強化による
政府の
アカウンタビリティーの後退というものを
懸念していたということであります。
背景として、そもそも
特定秘密を含むような
分野というのは
情報公開が全然進んでいなかったということがありまして、その結果、
政府の
アカウンタビリティーというのがどの程度徹底されているのか、あるいは徹底され得るのかということ
自体がよく分からなかったということであります。
そして、もう
一つがそれと関連するんですけれども、
秘密保護の対象となる
政府活動の
分野について、その
民主的統制というものがどの程度なされているのかということが、外にいる私
たちからするとよく見えないというところであります。
安全保障、外交などは、
一定の
秘密性とか
非公開性があることはやむを得ないというふうに考えてはいるんですけれども、その
活動や
政策判断を
独立して監督、
監察するようなそういう
機能が欠けているのではないかというふうに常々思っていると。その結果、
秘密の多い
活動分野の
政策検証サイクルのようなものが全く見えてこないというところがあったということであります。さらに、そういう中で
秘密保護が
強化をされると、
取材等による制約が発生して
社会的チェック機能が低下をするのではないかということを
懸念したということになります。
法律が実際に施行されてどうだったかということで、この
制度をどういうふうに見ているかということを申し上げます。
一つが、まず、
秘密指定に関する
状況の
報告や
監視が行われていること
自体は
評価すべき点だというふうに考えております。
それは、
政府の
報告、
内閣からの
報告というのもございますし、それからこの
国会での
情報監視審査会の
審査、そして
内閣府
独立公文書管理監の
監察というものがございますけれども、そういうものを通じて、
特定秘密の
指定とか
特定秘密を含む
文書件数、
行政文書ファイルの廃棄の
状況などが
情報が
公開をされるようになったということは大変良かったというふうに思っています。これがこれまで全く分からなくて、一体何をしているのかがよく分からないという
状態はある程度解消されたというふうに考えてもいいのかなというふうに思っています。
それと、特にこの
監視審査会の役割は大変大きいと思っておりまして、ここが出される
報告書などを拝見して、実際にどのような
運用が行われているのかということについて、
秘密や
非公開情報を除いた形である程度
情報が出てくるようになったということも、これも
評価できる点として考えるべきだろうというふうに思います。その中で、
運用上の課題とか
運用状況について私
たちは全く分からないという
状況ではなくなったということは良かったことだというふうに思っています。
加えて、
特定秘密以外に
内部ルールに基づく
秘密の
指定という
仕組みは残っておりまして、それが
特定秘密保護法の議論の
延長で
公文書管理法の下に統一的な基準が入りまして、今、
秘密文書を含む
行政文書ファイルについては、
新規の
作成件数については
運用状況報告の中で
公開をされるようになりました。これも良かったと思っております。
参考までに、今日お配りいただいた
資料の四ページ以降に、こちらで取りまとめた各
省庁ごとの
ファイル件数、
新規に保有をした
ファイル件数というものをまとめてございますので、御関心があれば御覧いただければと思います。
そういう
意味では、全く何も分からないという
状況がなくなったということは大変良かったと考えております。
ただ、一方で、過剰な
特定秘密の
指定がなされているかの
評価、
判断は大変困難であるというふうにも考えております。
それは、
皆様が御審議なさっている中でよく御存じだとは思うんですけれども、
特定秘密の
指定そのものは
情報類型の
指定ということになっていまして、
個々の
文書の
特定秘密の
指定ではないということであります。ですので、
特定秘密というのは
文書とか装備という形で
実体化をして初めてリアルなものになるという、そういう
構造になっています。ですので、その
特定秘密の
指定をされている
情報だけを見ても、実際にそれが当てはめられている
文書が果たして妥当な
範囲に収まっているのかということは、実はよく分からないというところがございます。
なので、重要なのは、
特定秘密の
指定の
類型、
情報類型そのものが曖昧であると、それが
実体化する
文書に書かれている
情報に当てはめるときに曖昧な形で
秘密の
指定ができてしまうということで、過剰な
秘密とか
秘密が拡大するという
要素が出てきますので、
特定秘密の
範囲が妥当か、
指定の
範囲が妥当かをチェックしていただくのは大変重要だと思っておるんですが、一方で、その
指定された
情報が
文書というレベルでどうなっているのかというのがやっぱり分からないというところがありますので、
評価が困難ということであります。
例えばということで申し上げますと、私は
情報公開のことをずっとやっておりますので、
情報公開の場合は不
開示になる場合という
規定がございます。この不
開示規定も
類型的に
支障要件が
規定されているということになるわけなんです。なので、実際に
情報公開請求すると、
個々の
文書の中に不
開示情報に該当する
情報類型があるかということを
個々に
審査をして
開示、不
開示の
判断がされてくるわけなんですけれども、結局、それというのは、
情報を見ているというよりも、業務の
性質とか
文書の
性質とか、記載されている
情報の内容の
性質に照らしてどうかということを
判断をして、
行政機関が
判断をするという
構造になるわけであります。そうしますと、その当てはめが常に過剰じゃないかということが問題になるというのが
情報公開法の
運用だということになるわけです。そうしますと、やはり、
類型的に定めているものが当てはめられる場面というのは、どうしても過剰な
要素があるというふうに
経験則上はちょっと考えざるを得ないというところがあります。
そして、
特定秘密の
指定期間の
延長も、やはり、妥当かどうかというのはやはり外から
判断が難しいというところがございまして、なかなか外から妥当かということを
判断するというのは困難と言わざるを得ないというところがあります。
あと、もう
一つ、
法施行による
影響は可視化されにくいという問題があるというふうに考えてございます。
先ほど申し上げましたとおり、
特定秘密に該当する
分野というのは
情報公開が進んでいないというところがございますので、
秘密保護の
強化により
政府の
組織の
在り方とか
政府活動の
アカウンタビリティーにどのような
影響が及んでいるかということは外部からなかなか把握ができないというところがあります。ですので、やはりこういう
分野をどうやって
監察、
監視をするのかということ
自体が実は重要だというふうに、こういう
仕組みを通じて考えるところであります。
そして、
取材活動等への
影響というものは、この
法律ができる段階でかなり
懸念をされたところではあるんですけれども、こういうものというのは、どちらかというと、
取材者が逮捕をされるというよりは、その
内部からの
情報漏えいは
単純漏えいを処罰するというものでありますので、
情報の流通が妨げられるというところが主眼だというふうに考えております。そういうところがございますので、
取材者が逮捕されるかというよりは、
取材活動がしにくくなるという
影響はなかなか顕在化して見れないというところがあるというところで、実際
影響が誰かに直接及んでいないからといって
影響がないとは言えないというところがあるので、いかに
政府がそういう
分野について信頼をされるための枠組みや
仕組みをつくるかということが大事だというふうに考えているというところであります。
それで、時間となっておりますので、簡単に、最後に
審査会の
活動について今後お願いしたいことを述べさせていただきます。
一点が、
特定秘密の
指定の
監視に関しては、
特定秘密に
指定されている
情報類型というのは、技術的
情報とそれ以外というのにある程度分けられるだろうと思っています。技術的な部分については、割と定型的、定性的に
監視方法が確立できるのではないかなというふうに勝手に想像をしているというところであります。むしろ、
秘密指定が膨張することで
懸念をされるのは、主に、例えば政策形成とか
判断に係る
情報が
特定秘密に
指定されて、知らされるべき
情報が隠されてしまうのではないかとか、
あとは検証が不可能になるのではないかということであったり、
あとは
情報収集
活動とか治安維持
分野の民主的コントロールなき膨張とか、それによる人権侵害というのがやはり
懸念をされているところだろうというふうに思うわけであります。ですので、なかなか定型的、定性的に
情報がつくられない部分について、どうやってそこが膨らまないようにするのかということを
監視する、あるいは重点的に
審査をしていただくということを
是非、方法論として可能であれば御検討いただきたいということがあります。
それから、
監視に必要な
活動範囲ということで、繰り返しになってしまうんですが、
特定秘密の
指定をする
情報類型だけでいいか悪いかとか妥当かを
判断するのは大変困難だというふうに私自身は思っております。やはり、それを行っている
政府活動の妥当性とか、その必要性みたいなものがどうしても必要になってくるというところがございますので、その
特定秘密の
指定という
範囲でもある程度その辺のチェックをするということは、逸脱しない
範囲で、枠組みを逸脱しない
範囲で
是非お願いをしたいというふうに思っているところでございます。
以上でございます。ありがとうございました。