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2021-04-28 第204回国会 参議院 情報監視審査会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二十八日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         藤井 基之君     委 員                 磯崎 仁彦君                 猪口 邦子君                 古賀 之士君                 石川 博崇君                 清水 貴之君                 浜口  誠君    事務局側        情報監視審査会        事務局長     山田 千秀君    参考人        弁護士        日本弁護士連合        会秘密保護法・        共謀罪法対策本        部委員      江藤 洋一君        特定営利活動        法人情報公開ク        リアリングハウ        ス理事長     三木由希子君        明治大学公共政        策大学院ガバナ        ンス研究科特任        教授      小林  良樹君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○行政における特定秘密指定及びその解除並び  に適性評価実施状況に関する調査  (特定秘密保護制度運用状況及び情報監視審  査会の活動に関する件)     ─────────────
  2. 藤井基之

    会長藤井基之君) ただいまから情報監視審査会を開会いたします。  行政における特定秘密指定及びその解除並び適性評価実施状況に関する調査のうち、特定秘密保護制度運用状況及び情報監視審査会活動に関する件を議題といたします。  本日は、本件について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  御出席いただいております参考人は、弁護士日本弁護士連合会秘密保護法共謀罪法対策本部委員江藤洋一君、特定営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長三木由希子君及び明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科特任教授小林良樹君でございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、江藤参考人三木参考人小林参考人の順にお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後二時三十分頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず江藤参考人からお願いいたします。江藤参考人
  3. 江藤洋一

    参考人江藤洋一君) 弁護士江藤洋一でございます。  本日は、一党一派のみならず、また一選挙区のみならず、全国民代表する諸先生方の前でこのように意見陳述機会を与えていただき、誠にありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。  本日の趣旨は、ただいま委員長よりお話ございましたように、主として運用状況活動についての御下問かと理解をしておりますが、その前提として、まず私どもの基本的な立場を申し述べさせていただきたいと思います。  私、二〇一三年十二月三日にも、当参議院にお招きをいただきまして意見を述べたことがございます。そのときと現在、私の意見は変わっておりません。基本的に、この秘密保護法は廃止ないし抜本的な改正が必要であるというふうに考えております。これは本日のテーマではございませんので長々とは申しませんが、二点だけ、ちょっとこの点につき付言をさせていただきたいと思います。  まず、秘密保護法の第十条一項一号イを御覧いただきたいと思うんですが、そこには各行政機関国会特定秘密提供できる要件が記載されております。その中で、もちろん秘密漏えいがないように当委員会において手当てをするということになっております。  例えば、参議院情報審査会における保護要綱というものがございますが、こういうものを定めてきちんと秘密漏えいなきようにしっかりやれと、こういう要件だけならばいいのですが、それに加えて、かつ、我が国安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときと、こういう要件が付加されております。認めたときというのは、ほかでもございません、行政機関の長がそう認めたときと、こういう趣旨でございます。  翻って、この法律の三条を見てみますと、特定秘密指定される要件が記載されておりますが、その最後のところに、漏えい我が国安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿をすることが必要であるもの、こういうふうになっておるのでございます。  この二つの条項の矛盾というものが最初から気になっておりまして、この当委員会に出すときにはそのおそれがないとき、一方で、指定するときにはそのおそれがあるときと、こういうふうになっておると。じゃ、当委員会に提出される特定秘密というのは一体どういうものなんだろうかと、これがいつも疑問に思っておるところでございます。当委員会、あるいは参議院に対して、あるいは国会全体に対してこの法律がどういう立ち位置に立っているかということをうかがわせる規定ぶりになっているのかなということを心配するところでございます。  そして、もう一つ、余りこのことばかり言っておれませんが、もう一つ、第九条を見ていただきたいんですが、これは外国政府又は外国国際機関情報提供する場合の要件が定められておりますが、この要件が何と、どうも国会に提出される場合の要件よりもいたく軽くなっているようにお見受けをいたします。このアンバランスは一体どこからきているのだろうということが国民の知る権利というものから見た場合に大いに疑問になるところでございます。  もうこれ以上長くなると本題に入れませんので、これぐらいにさせていただきます。  さて、その上で、国民の知る権利との関係で幾つか気になる点を御指摘をさせていただきたいと存じます。  なお、日弁連がこれまで述べてきた意見等につきましては、お手元日弁連意見書等一覧Ⅰにございますので、それを見ていただければというふうに思います。  さて、その上で、貴会の活動におかれましては、是非国民の知る権利に最大限の配慮をしていただきたいということでございます。  法律の二十二条一項にも類似の規定がございます。国民の知る権利保護に資する報道又は取材の自由に十分配慮するようにと書いております。つまり、直接的には報道並び取材の自由について配慮せよと、こういう規定ぶりですが、その両方の自由が資する知る権利に対する配慮は欠けていてよいわけはございません。是非ともこの点を重視していただきたいというふうに考えるところでございます。知る権利は、政府その他の公的機関から情報を取得できる権利、また、情報元のいかんを問わず、国民情報を取得することを政府その他の公的機関から妨げられない権利というふうに定義付けられると思います。  ただし、そうした実定的な権利義務の次元を離れても、国民が今切実に知りたいと考える情報政府は適宜速やかに公開し、これを国民に伝える責務があるのではないかというふうに考えております。知る権利は、もとより幸福追求権が発展、開花したものでございますが、同時に民主主義社会における政治参加のための公民の権利という性格を持っております。政府国民がより多くの情報を共有できた場合に政治的安定が得られると確信するものでございます。  なお、ツワネ原則では、国民が十分な情報を得た場合に正当な国家安全保障上の利益が最大に保護されると述べておりますが、私が今申し上げた考え方と全く同一でございます。  しばしば、多過ぎる情報国民を混乱させるとの考え方はございますが、これは現代の民主主義社会にそぐわない考え方であるというふうに思っております。政治的指導者の失敗やスキャンダルが表沙汰になることは混乱とは申しません。ましてや、その違法行為はむしろ積極的に国民の目にさらされなければならないと考えます。そうしなければ、国民政治的指導者を選ぶときに失敗することになるからでございます。知る権利は、政府国民情報共有を通じて政府を健全に監視することに寄与するものでございます。  情報公開法は知る権利具体化であるとしばしば言われます。しかし、現行法律、条例によって知る権利が全て完全に充足されたわけではない、現行法律にも改正すべき点は多々ございます。また、知る権利は包括的、基底的な権利であって、情報公開法が定めていない領域、分野においても、その権利性を育む必要があると考えられるところでございます。知る権利は、しばしば抽象的権利であると評されることがございます。しかし、そのことは、具体的権利性がないという方向に萎縮させるのではなく、むしろ具体的権利性をつくり出す方向に発展させ、その社会的定着を目指すべきと考えます。  貴審査会は、国民代表が集う国権の最高機関にあって、とりわけ政府監視する機能を発揮することを法的にも政治的にも期待されております。監視機関は、その組織、運営、財政面での独立が求められます。これはツワネ原則三十一条でも述べられているところでございます。国会並びに貴審査会は、この独立性ということに関して最も適した監視機関であると考えます。  独立公文書管理監は、一定の意義は認められるものの、この独立性に関しては、また、ノーリターンルールのない人的供給在り方に鑑みても不十分な機能しか果たせないのではないかと懸念されるところでございます。実際、公文書管理監報告を見ましても、数少ない例外を除き特定秘密指定を適正と評価しております。そのまさに適正という評価そのものが果たして適正なのか、妥当なものであるのかを吟味、審議していただくのがこの審査会であろうというふうに理解をしておるところでございます。その意味でも、当審査会におきまして、特定秘密に対するアクセスを積極的に求めていただきたいと考えるところでございます。  資料を拝見いたしますと、秘密指定書自体黒塗りとなり、何が秘密指定されたのか、それも秘密であるという事態を幾つか見受けました。これは決して望ましい状態ではない、避けるべきであるというふうに考えます。  以上のように、貴審査会は、より多くの情報にアクセスし、より多くの特定秘密にアクセスし、また、その機会を増やすべきであるというふうに考えるところでございます。  時間になりましたので、あと二点だけ補足をさせていただきます。  この特定秘密提供を受けるに際し、貴審査会で議決を採ったところ、否決された例というのを幾つかお見受けいたしました。これは、むしろ積極的に、そうではなくて、特定秘密提供を受ける方に活動をしていただきたいというのが私の意見の眼目でございます。  確かに、それ以外の要素はいろいろあろうかと思いますが、冒頭申しましたように、やはり先生方国民代表である、何よりもまず国民代表であると。その国民の知る権利を充足するという観点から、なるべく多くの特定秘密に接していただきたいというのが私の申し上げたいところでございます。  その際に一体どういう求め方をするのか。当審査会報告書にもございますように、リスクベース・アプローチという法を取られているというのは理解をしておりますが、もう少しサンプリング的なアプローチということも可能であろうというふうに考えるところでございます。  また、行政機関から特定秘密提供は期待されないからといって、これに萎縮していただきたくないという点がもう一点。さらに、この状態が行き詰まったときに最終的に内閣声明を発していただくと、こうなっております。こういう法律立て付けになっております。  これは、むしろ積極的にそういう声明を出していただく方向に御活動をいただきたいと、こういうふうに思います。そうすることによって当審査会並び参議院国会政府の間の緊張感が保たれる、その緊張感によって、国民ははたと国会の方を振り向く、それこそ国民が知る権利第一歩、行使の第一歩であろうというふうに考えるところであります。是非これを回避しないでいただきたいと、このように思います。  さらに、もう一点……
  4. 藤井基之

    会長藤井基之君) 予定の時間を過ぎておりますので、取り急ぎ。
  5. 江藤洋一

    参考人江藤洋一君) すぐに終わります、委員長。はい、すぐに終わります。  内部通報制度でございます。内部通報制度は非常に使い勝手の悪いものになっております。まず、その特定秘密指定したその行政機関の長にまず内部通報をせよと、こういうふうになっているんですが、これはいかにも立て付け上無理があるというふうに思います。ですので、せめて公文書管理監最初通報先にしていただくということ、さらにまた、これはちょっと制度論に及びますけれども、当審査会あるいは国会がこの通報先になってもらいたいと、こういうふうに考えるところでございます。  多々ございましたけれども、その二点につき私の意見を述べさせていただきました。  どうも御清聴ありがとうございました。
  6. 藤井基之

    会長藤井基之君) ありがとうございました。  次に、三木参考人にお願いいたします。三木参考人
  7. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 情報公開クリアリングハウス三木でございます。  今日は、このような機会をいただき、どうもありがとうございます。  時間が限られておりますので、ポイントを絞って幾つお話をさせていただきたいと思います。  まず最初に、私個人ということにはなりますけれども、特定秘密保護法に対してどういう立場かと申しますと、秘密管理は必要というふうにずっと考えております。それは、情報公開を進める上でも、秘密管理をされずに広がっていき、それが公開に転換をしていかないという仕組みが良くないというふうには情報公開を進める立場から考えてきておりました。  それは、政府アカウンタビリティーというのは時間を掛けてでも全うされるべきだというふうに考えております。それが政府が責任ある活動や対応を行っていることを証明するものになるということでありますので、非公開秘密というのは一定程度許容される余地があったとしても、それが永遠に秘密のままであるということ自体政府健全性を損なうというふうに考えるからであります。  一方で、罰則については、秘密管理のために罰則を付けるというのがこの法律立て付けではございますけれども、罰則については消極的というか要らないという立場でございました。  それで、今、法律ございますので、とにかく秘密だから分からないということでは私たちもこの制度がどう運用されているのか分からないということで、法が施行されてすぐに情報公開法を使いまして様々な、運用に関するルールとかは公開情報として入手可能ですので、それを収集しまして、外にいる立場から、この制度についてどの辺を見たらいいのかということをまとめた冊子を本日皆さんのお手元にお配りいただいておりますので、お時間のあるときに御覧いただければと思います。公開情報で把握できたことということでまとめてございます。  それで、特定秘密保護法あるいは特定秘密保護制度評価についてということで申し上げますと、まず、法律ができるまでに懸念をしていた点というのは、お手元に配っていただいています資料の中でいうと三点におよそ集約ができるということです。  一つが、過剰な秘密指定が行われる可能性があるんではないかということです。  二〇〇一年に自衛隊法が改正されまして、防衛秘密というものが既に創設をされておりました。これが実態が全く分からないということで、その秘密指定という仕組みがどのように政府の中で運用されているのかということが全く分からないという状態にあったということです。  あと法律に基づく秘密指定ではありませんけれども、極秘や秘という内部ルールに基づく秘の指定というのが行われておりまして、これがかなり乱発されていると見ざるを得ないという状況がありました。  一例を申し上げますと、外務省は特に、秘、極秘と付いた文書が一部秘密指定解除されて情報公開されてくるというケースが大変多くて、極端な例ですと、数週間前に作られた文書極秘とされているんですが、数週間後に行われた情報公開で全部公開されるという、そういうこともございまして、かなり秘の指定が濫用されているんではないかということを疑っていたということです。  それから、秘密保護強化による政府アカウンタビリティーの後退というものを懸念していたということであります。  背景として、そもそも特定秘密を含むような分野というのは情報公開が全然進んでいなかったということがありまして、その結果、政府アカウンタビリティーというのがどの程度徹底されているのか、あるいは徹底され得るのかということ自体がよく分からなかったということであります。  そして、もう一つがそれと関連するんですけれども、秘密保護の対象となる政府活動分野について、その民主的統制というものがどの程度なされているのかということが、外にいる私たちからするとよく見えないというところであります。  安全保障、外交などは、一定秘密性とか非公開性があることはやむを得ないというふうに考えてはいるんですけれども、その活動政策判断独立して監督、監察するようなそういう機能が欠けているのではないかというふうに常々思っていると。その結果、秘密の多い活動分野政策検証サイクルのようなものが全く見えてこないというところがあったということであります。さらに、そういう中で秘密保護強化をされると、取材等による制約が発生して社会的チェック機能が低下をするのではないかということを懸念したということになります。  法律が実際に施行されてどうだったかということで、この制度をどういうふうに見ているかということを申し上げます。  一つが、まず、秘密指定に関する状況報告監視が行われていること自体評価すべき点だというふうに考えております。  それは、政府報告内閣からの報告というのもございますし、それからこの国会での情報監視審査会審査、そして内閣独立公文書管理監監察というものがございますけれども、そういうものを通じて、特定秘密指定とか特定秘密を含む文書件数行政文書ファイルの廃棄の状況などが情報公開をされるようになったということは大変良かったというふうに思っています。これがこれまで全く分からなくて、一体何をしているのかがよく分からないという状態はある程度解消されたというふうに考えてもいいのかなというふうに思っています。  それと、特にこの監視審査会の役割は大変大きいと思っておりまして、ここが出される報告書などを拝見して、実際にどのような運用が行われているのかということについて、秘密非公開情報を除いた形である程度情報が出てくるようになったということも、これも評価できる点として考えるべきだろうというふうに思います。その中で、運用上の課題とか運用状況について私たちは全く分からないという状況ではなくなったということは良かったことだというふうに思っています。  加えて、特定秘密以外に内部ルールに基づく秘密指定という仕組みは残っておりまして、それが特定秘密保護法の議論の延長公文書管理法の下に統一的な基準が入りまして、今、秘密文書を含む行政文書ファイルについては、新規作成件数については運用状況報告の中で公開をされるようになりました。これも良かったと思っております。  参考までに、今日お配りいただいた資料の四ページ以降に、こちらで取りまとめた各省庁ごとファイル件数新規に保有をしたファイル件数というものをまとめてございますので、御関心があれば御覧いただければと思います。  そういう意味では、全く何も分からないという状況がなくなったということは大変良かったと考えております。  ただ、一方で、過剰な特定秘密指定がなされているかの評価判断は大変困難であるというふうにも考えております。  それは、皆様が御審議なさっている中でよく御存じだとは思うんですけれども、特定秘密指定そのもの情報類型指定ということになっていまして、個々文書特定秘密指定ではないということであります。ですので、特定秘密というのは文書とか装備という形で実体化をして初めてリアルなものになるという、そういう構造になっています。ですので、その特定秘密指定をされている情報だけを見ても、実際にそれが当てはめられている文書が果たして妥当な範囲に収まっているのかということは、実はよく分からないというところがございます。  なので、重要なのは、特定秘密指定類型情報類型そのものが曖昧であると、それが実体化する文書に書かれている情報に当てはめるときに曖昧な形で秘密指定ができてしまうということで、過剰な秘密とか秘密が拡大するという要素が出てきますので、特定秘密範囲が妥当か、指定範囲が妥当かをチェックしていただくのは大変重要だと思っておるんですが、一方で、その指定された情報文書というレベルでどうなっているのかというのがやっぱり分からないというところがありますので、評価が困難ということであります。  例えばということで申し上げますと、私は情報公開のことをずっとやっておりますので、情報公開の場合は不開示になる場合という規定がございます。この不開示規定類型的に支障要件規定されているということになるわけなんです。なので、実際に情報公開請求すると、個々文書の中に不開示情報に該当する情報類型があるかということを個々審査をして開示、不開示判断がされてくるわけなんですけれども、結局、それというのは、情報を見ているというよりも、業務の性質とか文書性質とか、記載されている情報の内容の性質に照らしてどうかということを判断をして、行政機関判断をするという構造になるわけであります。そうしますと、その当てはめが常に過剰じゃないかということが問題になるというのが情報公開法運用だということになるわけです。そうしますと、やはり、類型的に定めているものが当てはめられる場面というのは、どうしても過剰な要素があるというふうに経験則上はちょっと考えざるを得ないというところがあります。  そして、特定秘密指定期間延長も、やはり、妥当かどうかというのはやはり外から判断が難しいというところがございまして、なかなか外から妥当かということを判断するというのは困難と言わざるを得ないというところがあります。  あと、もう一つ法施行による影響は可視化されにくいという問題があるというふうに考えてございます。  先ほど申し上げましたとおり、特定秘密に該当する分野というのは情報公開が進んでいないというところがございますので、秘密保護強化により政府組織在り方とか政府活動アカウンタビリティーにどのような影響が及んでいるかということは外部からなかなか把握ができないというところがあります。ですので、やはりこういう分野をどうやって監察監視をするのかということ自体が実は重要だというふうに、こういう仕組みを通じて考えるところであります。  そして、取材活動等への影響というものは、この法律ができる段階でかなり懸念をされたところではあるんですけれども、こういうものというのは、どちらかというと、取材者が逮捕をされるというよりは、その内部からの情報漏えい単純漏えいを処罰するというものでありますので、情報の流通が妨げられるというところが主眼だというふうに考えております。そういうところがございますので、取材者が逮捕されるかというよりは、取材活動がしにくくなるという影響はなかなか顕在化して見れないというところがあるというところで、実際影響が誰かに直接及んでいないからといって影響がないとは言えないというところがあるので、いかに政府がそういう分野について信頼をされるための枠組みや仕組みをつくるかということが大事だというふうに考えているというところであります。  それで、時間となっておりますので、簡単に、最後に審査会活動について今後お願いしたいことを述べさせていただきます。  一点が、特定秘密指定監視に関しては、特定秘密指定されている情報類型というのは、技術的情報とそれ以外というのにある程度分けられるだろうと思っています。技術的な部分については、割と定型的、定性的に監視方法が確立できるのではないかなというふうに勝手に想像をしているというところであります。むしろ、秘密指定が膨張することで懸念をされるのは、主に、例えば政策形成とか判断に係る情報特定秘密指定されて、知らされるべき情報が隠されてしまうのではないかとか、あとは検証が不可能になるのではないかということであったり、あと情報収集活動とか治安維持分野の民主的コントロールなき膨張とか、それによる人権侵害というのがやはり懸念をされているところだろうというふうに思うわけであります。ですので、なかなか定型的、定性的に情報がつくられない部分について、どうやってそこが膨らまないようにするのかということを監視する、あるいは重点的に審査をしていただくということを是非、方法論として可能であれば御検討いただきたいということがあります。  それから、監視に必要な活動範囲ということで、繰り返しになってしまうんですが、特定秘密指定をする情報類型だけでいいか悪いかとか妥当かを判断するのは大変困難だというふうに私自身は思っております。やはり、それを行っている政府活動の妥当性とか、その必要性みたいなものがどうしても必要になってくるというところがございますので、その特定秘密指定という範囲でもある程度その辺のチェックをするということは、逸脱しない範囲で、枠組みを逸脱しない範囲是非お願いをしたいというふうに思っているところでございます。  以上でございます。ありがとうございました。
  8. 藤井基之

    会長藤井基之君) ありがとうございました。  次に、小林参考人にお願いいたします。小林参考人
  9. 小林良樹

    参考人小林良樹君) 明治大学の小林良樹と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず、本日は、このような意見陳述の場を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。御尽力を賜りました審査会の委員の先生方、それから事務局の方々に深く感謝を申し上げたいと思います。  さて、私は、明治大学におきまして、安全保障、危機管理、とりわけインテリジェンス機関の在り方ということに関しまして学術的な観点から研究を行っております。  本日、特定秘密保護法の運営状況に関しましては、既にほかの参考人の方々から様々な御指摘がなされております。したがいまして、私からは、若干視点を変えまして、貴審査会はインテリジェンス機関に対する事実上の議会監視機関であるという前提に立ちまして、そうした機能評価に関して、主に安全保障という観点から若干の意見を述べさせていただきたいと思います。  お手元にお配りしております資料、こちらの横長のパワーポイントの資料なんでございますが、昨年の十二月に、国際安全保障学会という場におきまして、このテーマで私発表を行いましたときの資料を若干手直ししたものでございます。本日、この資料に基づきまして、ポイントのみを簡単にお話をさせていただきます。  まず、私の問題意識なんでございますが、これ、一ページめくっていただきまして、研究の目的等というページがあるんですが、ここに書いてあります。二〇一四年に創設されましたこの情報監視審査会は、議会によるインテリジェンスコミュニティーに対する民主的統制の機関としてどの程度有効に機能しているのかというところが問題意識でございます。  これ一体どうやって判断するのかということになるんですが、一応方法論といたしましては、国際比較、すなわちアメリカとかイギリスあるいはオーストラリア、こういった他国の類似の機関との間で制度面それから運用面、この双方から検証を行ったわけでございます。  もう直ちにちょっと結論のところに参ろうと思うんですが、ここから、表紙から十枚ほどめくっていただいて、六の結論というところがございます。ここに、審査会のこれまでの活動をどう評価するかということが簡単にまとめております。大きく分けまして、ポジティブな面、ネガティブな面と二点ございます。  まず初めに、若干ネガティブな面なんでございますが、現在の日本の情報監視審査会制度というものは、欧米先進国等における類似の制度に比較すると、依然としてやはり不十分であるということの結論になります。  最大の原因は、これ委員の先生方も御案内かと思いますが、審査会の法的権限の及ぶ範囲が非常に限定的であるということがございます。すなわち、その制度設計上、この審査会の権限の及ぶ範囲というものは、特定秘密保護制度関連の事項に限られていると。逆に言いますと、その他の秘密、あるいはインテリジェンス機関の予算、人員、そういった制度管理的な事項には及んでおりません。こうした点は、欧米先進国、アメリカとかイギリスとか、そういう国における類似の制度と比べると大きく異なる点でございます。  第二に、しかしながら、非常にポジティブに評価できる面もあろうかなと考えております。すなわち、現行制度を見ますと、将来的に議会によるインテリジェンスコミュニティーに対する民主的統制の機関が本格的に創設されるとするのであれば、その準備として積極的に評価できる面もあるというふうに考えております。  すなわち、まず第一に制度設計の面でございます。現在の貴審査会制度設計というものは、先ほど申し上げた対象となる事項の権限の狭さという点を除けば、各国の類似の制度と比べて全く劣るところのないような制度設計になっているかと思います。これは、この資料の五の分析というところで書いてございます。とりわけ、秘密会の原則を始め、各種の秘密保護制度、こういったものは非常に我が国国会の中では画期的なことであり、積極的に評価できるのかなと思っております。  それからもう一点は、運用の面でございます。二〇一四年にこの制度ができて以降の様々な御審議の状況を公表されております報告書等から見てみますと、国会におけるいわゆるインテリジェンスリテラシー、すなわち知識ですとか理解、こういったことの向上につながるような様々な御審議がなされている状況がうかがわれます。  例えば、サードパーティールールであるとかニード・ツー・ノウの原則、こういったインテリジェンス業務に特有の事項に関しても、その意味するところは何かというようなことをいろいろと御審議いただいている。こういったことによって、議会の側におけるインテリジェンスリテラシーの向上、さらには国会とインテリジェンス機関の相互信頼の向上ということに資するような運営がなされているのかなというふうに考えております。  以上がこれまでの活動に関する評価という点でございます。  最後に、今後どのような活動を期待するのかということにつきまして、この資料のお尻から三枚目のところになります。  三点ほど簡単に記載をしております。  まず第一点目は、これ今後、仮定の話でございますが、もしもこの国会等におきまして、安全保障政策全体の議論、とりわけ政府のインテリジェンス機関の機能の、あるいは権限の見直しということに関する議論がなされるのであれば、そういう議論の中で、貴審査会の権限の見直しということも御議論していただければなというふうに感じております。  これ、問題意識といたしましては、この特定秘密保護法ができたときの附則の三条にありますとおり、将来的に対外情報機関のようなものができるのであれば、それに対する民主的統制在り方も改めて考えるべきというふうなことが国会の御意思として記されております。  したがって、こういう精神というものは、対外情報機関の創設に限らず、およそそのインテリジェンス機関の権限強化ということがあるのであれば、それとバランスの取った監督機能強化というものもあるべきかと思っておりまして、じゃ、それをどこが担うのかということになれば、貴審査会が担われるのが一つ考え方であるのではないかと思っております。これが一点目。  それから、二点目が、これまでも様々な御審議の中で国会側のインテリジェンスリテラシーの向上、それから国会とインテリジェンス機関の相互信頼の向上に資するような御議論がなされているということを申し上げました。こういった活動というものは今後も続けていただけると大変幸いでございます。  ただ、若干気になっている点がございます。  一つは、委員の先生方の任期の問題でございます。私が自分で記録等を基に簡単に計算した限りでは、これは衆参両院も含めてなんですが、大体お一人の先生方の平均的な在職が二十か月弱ぐらいになっております。二年にも満たないということで、これだと、それぞれの先生方が十分なリテラシーを蓄積していただくのに果たして十分なのかどうか。特に、他国の例などと比べてどうかなというところはございます。それぞれいろんな政治的な御事情もあろうかと思いますが、なるべく御配慮をいただければなというふうに思います。  さらには、委員の先生方の交代があったりした際に、そこをサポートして、そのリテラシーの蓄積なり継続を図るのが事務局の皆様の御尽力ではないかと思います。したがいまして、この事務局のスタッフの方々のインテリジェンスに関する知識、こういったものの向上であるとか蓄積にも御配慮をいただければなというふうに感じております。  最後に、三点目は、貴審査会としての情報発信ということでございます。もちろん、適宜報告書というものを発行していただきまして、これは情報発信として大変優れたものではないかと思っております。他方で、各国における類似の議会による監視制度状況を見ますと、更に積極的に、インテリジェンス機関そのものが自分では語れない、国民に対して語れないようなことに関して、代わってこういう議会の監視機関が様々国民に対して説明をするというようなことも行われております。なかなかすぐに外国のようにということにはいかないのかもしれませんが、そういったことも念頭に置いていただいて、インテリジェンス機関に代わっての国民に対する説明責任ということを若干御検討いただければと思う次第でございます。  私からは以上でございます。  御清聴どうもありがとうございました。
  10. 藤井基之

    会長藤井基之君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようお願いいたします。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言機会を得られますように、答弁及び追加質問を含めた時間が一回の質疑では八分以内となるよう、御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
  11. 古賀之士

    ○古賀之士君 古賀之士と申します。  今日は、三人の参考人皆様方、本当にお忙しい中、ありがとうございます。貴重なお話をいただきました。  個人的には明治大学の出身なんですけれども、時間がありましたら小林先生に伺います。  三木参考人から先ほどお話がありました。いわゆる取材に関して、情報提供者と取材をする皆さんたち、これの罰則規定についての重い軽いのお話がございました。  これについて具体的に心配をされていらっしゃることというのを、三木参考人と、そして併せて江藤参考人にも同じ質問をさせていただきます。お願いいたします。
  12. 三木由希子

    参考人三木由希子君) 御質問ありがとうございます。  罰則が、内部から、要は正当に特定秘密にアクセスする権限を持つ者からの漏えいは、単純に漏えいだけが処罰の対象になるということで、その目的、意図は問わずに罰則対象になり得るというものであります。一方で、情報を受け取ったりとか情報提供を求める側については、それなりの要件が付いていますので、違法行為ですとかそういうものを行わない限りは一応適用はされにくい形にはなっているということだと思います。やはり、取材活動というのは、情報を求めるだけではなくて、情報提供する側がいなければ成り立たないというところがございます。特定秘密そのものかどうかだけではなくて、やはり特定秘密につながり得るようなことも含めて、周辺も含めて、やはり情報提供はしにくくなるということは容易に想定がされると思われるところです。  それで、秘密を漏らしていいというよりは、公益性があるものについて、やはり政府が説明をしないとか、あるいは隠していると、あるいは広くもっと議論されるべきなのにそういう機会がないという場合は、これは場合によっては公益性を優先して情報が出てくる必要性がある場面もあるだろうというふうに考えますので、やはり直接的に捕まるかどうかというよりは、やはりこういう制度が入ることによる影響というものは見えにくい形で出てくるんだろうというふうには思っております。それが、やはり時には報道の自由とか私たちの知る権利影響を与えるということではないかと思っています。
  13. 江藤洋一

    参考人江藤洋一君) 御質問ありがとうございました。  まず、その質問にお答えする前に、先ほど申し上げましたツワネ原則でどうなっているかということを申し上げます。ツワネ原則におきましては情報をした市民の方を処罰してはならないと、こういう原則を確立しております。ただ、これは各国の実定法になっておりませんで、あくまで法原則ということでございますので、そういう理念があるということをまず一つ理解いただきたいと思います。  さて、その上で特定秘密保護法ではどうなっているかというと、一番重いのが秘密漏えい罪ですが、これにつき、教唆犯、幇助犯というものがあるんですが、これがいわゆる独立犯と言われるものになっております。独立犯って何かというと、本体の人が犯罪が成立した場合に、教唆犯や従犯、いや、その幇助が成立するのではなくて、本犯が成立しなくてもこの教唆と従犯が犯罪として成立してしまうという、こういう立て付けになっているわけでございます。これが非常に危険なものだということを私ども常々に申し上げておるところでございます。  そしてまた、更に大事なことなんですが、そういう犯罪行為があると捜査機関が認知したならば、捜索、差押え、逮捕、勾留ができてしまうということなんです。よく言われることでございますが、警察の捜索、差押えを受けた後というのはまるで強盗に入られたようだと、こういうふうに言われることはございます。それはもう、生活の安寧なんというものはもう全く侵されてしまう。  で、さらに、ここから、まだもう一つ問題がございます。じゃ、そうして実際にそれが裁判になるかというと、ならないんです。捜索、差押えをして、逮捕、勾留されて、それだけで終わるという例が圧倒的に多い。ちょっと例えは悪いですけど、戦前の治安維持法違反の場合には、捜索、差押え、逮捕、勾留されたうちの僅か一割しか起訴されなかったという、こういう統計が残っております。これが、今この秘密保護法で行われたらどうなりますでしょうか。逮捕、勾留、捜索、差押えを行うけれども、何ら表へ出てこないまま終わってしまう事件が山のように出てきたと仮定するならば、それは取材というものが萎縮してしまうということが懸念されるということでございます。  以上でございます。
  14. 藤井基之

    会長藤井基之君) 古賀君、よろしゅうございますか。  ほかに。
  15. 清水貴之

    ○清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。  本日は、大変お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。  まず初めに三木参考人、で、江藤参考人へ同じ質問なんですが、お二人、順番、三木参考人江藤参考人でお聞かせいただけたらと思います。  三木参考人からお話ありました、特定秘密指定情報類型だと、ここが曖昧じゃないかというお話。私、この審査会、二年ぐらい在籍しているかなと思うんですけれども、確かにそこは正直やっぱり思うところがあります。出てきた、チェックを我々がしている情報というのは、やっぱり一つ一つ個別の具体性を持った情報ではないわけですね。もう書いていらっしゃるとおり情報類型であるということですから、果たしてその中身を具体的に秘密として指定することが適切なのかどうかまではなかなかやっぱり分かり切れないと、知ることができないというような今の仕組みになっているところに、やはり最初入った当初は特にこれでいいのかなという思いもあったのはあったんです。ただ、今の仕組みとしてはそういう制度になっておりますので。  ただ、一方で、こういう制度が整備されたことによって様々なメリットもあったりとか、他国との情報の共有の仕方がスムーズになったとか、役所側からしたらそういうことだと思うんですが、ただ、この審査会機能としてまだまだこれから改善していく点もあるんじゃないかと思っているのは、これは事実のところなんですけれども、この辺りについて改めて御意見などを聞かせていただいて、どうするのがよりこのチェック機能として果たしていくことができるのかというのをお聞かせいただけたらと思います。  じゃ、三木参考人からお願いします。
  16. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  具体的にどうするかというのは大変難しいとは思うんですが、ちょっと先ほどの繰り返しになると思うんですけれども、やはり政府活動そのものが適切かとか、そのためになぜその秘密指定する必要があるのかとか、やはり政府活動とか業務の内容が分からないと、やはりそもそもの類型そのものが適切に当てはめられ得るのかがなかなか判断ができないということはあると思うんですね。  私はそういう秘密は扱いませんけれども、情報公開制度の下では、非公開になった案件の審査請求を審査する情報公開審査会という仕組みがございまして、国も一つ審査会ございますが、私は自治体の審査会の委員をやっておりまして、非公開文書をそのまんま見て、非公開がない状態を見て公開非公開判断について議論をするということをやっているんですね。そのときは文書そのものを見ているんですけど、やはり業務の内容とか性質とか、それからそれがどういう意味を持つ仕事なのかということをやはり丁寧に行政機関側から聞かないと、そもそも非公開理由に該当する該当性があるのかどうかの判断がなかなか付かないということを日々経験しておりまして、ですので、情報そのものを見てもそういう状態ですので、類型だけを見て、それでこの要件、文言がどうかということだけだとやはりなかなか難しい面を感じていらっしゃるのはそのとおりだと思うことは想像が付くところではあります。  ですので、やはりその特定秘密指定の妥当性という範囲で、やはりそれに該当する政府活動分野、業務分野活動についても一定程度情報提供を受ける、で、それについてある程度、そういう業務の中でなぜ特定秘密をこういう形で指定をするのかということを、非公開で行われている会議ですので、なるべくチェックをしていただいて、差し支えない範囲報告書にそういった事実掲記と、議事の経緯が出てくると外からも、単に情報類型いいか悪いかではなく、もう少し踏み込んだ審査をしているということが分かって良いかなとは思っています。
  17. 江藤洋一

    参考人江藤洋一君) これは、先生方に申し上げるのは釈迦に説法でございますが、この特定秘密保護法と対照的な情報公開法を見ていただきたい。その開示請求の対象になるのは文書行政文書、有体物でございます。ですので、その文書が存在しなければ文書不存在という理由で開示が認められないという、こういう立て付けになっております。  ところが、この特定秘密保護法のこれこれのものというものは、物ではなくて平仮名のもの、抽象的な、一般的な、今三木さんおっしゃったような類型としてあるものと、こういうことになっています。ですので、現実問題として、そういう類型のまま秘密指定した例が、つまり私どもの言葉でいうとあらかじめ指定になっている。じゃ、そのあらかじめ指定したものの中を見ていったら実は何もなかったじゃないかということがこの審査会の御活動の中でも散見されたというふうに伺っております。  じゃ、それを防ぐためには一体どうしたらいいのかということですが、まず、これはまた私が冒頭申し上げたことに戻るんですが、余りにも広範な、抽象的な決め方をしている、これは戦前の軍機保護法の別表と全く同じだということが一つ大きな問題であろうと思います。  それを前提にした上でなおかつどうかという意味でいいますと、あらかじめ指定をさせないということが一つと、指定されたその中身を具体的に見ていくと。これは大変な手間でございます。件数も多い。ですから、先ほど申し忘れたことを今ここで申し上げますと、この委員会の委員の先生方が、僅か八人ということではなくて、八十人ぐらいの委員会にしていただきたいと、こう思うところでございます。  以上でございます。
  18. 清水貴之

    ○清水貴之君 もうちょっとだけ時間あるので、小林参考人、お願いいたします。  インテリジェンスの機能の研究をされていらっしゃるということで、先ほどちょっとお話ししたんですが、逆にこれは、政府側からしますと、こういった法案ができて、こういう審査会ができてということで、外国のいろんなインテリジェンス機関とのやり取りが非常にスムーズになったと、今まで得られなかった情報も手にすることができたというようなことを各役所はやはり述べるんですけれども、この辺りのプラスの面の評価についても何かお持ちでしたら、お聞かせいただけますでしょうか。
  19. 小林良樹

    参考人小林良樹君) 御質問ありがとうございます。  今御指摘になった件でございますが、実態として本当にどうだったかということは、私、ちょっと述べられる立場にはございません。  ただ、あくまでも学術理論的に言えば、このような秘密保護制度ができたことによって、外国のカウンターパートとある種対等になり、当然のことながら、対等な立場でやり取りがスムーズになるということは、これは当然言えることでございますし、国際的な学会等でも、そういうふうに言うと、外国の研究者も、ああ、それはそうだよねという反応が一般的でございます。  以上でございます。
  20. 清水貴之

    ○清水貴之君 ありがとうございました。
  21. 藤井基之

    会長藤井基之君) ほかに御発言は。
  22. 磯崎仁彦

    ○磯崎仁彦君 三人の参考人の方、本当にありがとうございました。  今回、私どもの活動がどうなのかということについて非常に貴重な御意見をいただいたなというふうに思っております。  やはり、特定秘密が、法律が作られて、この活動を始めてからある程度の期間がたつところでございますので、やはり今、この段階で立ち止まって、私どものこの活動がどうなのかということについて、また、特定秘密運用についての御評価をいただいたのは、非常にこれからの私どもの活動参考になったなというふうに思っております。  まず、小林参考人にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、現行のポジティブな面、どっちかというとネガティブな面、それから今後の活動にどういうことを期待するかという、非常に今後の私どもの活動参考になる貴重な御意見をいただいたなというふうに思っております。  その意味で、まず、今後の活動に期待するということで三点御意見をいただきました。最初のところについては、この審査会の権限の見直しに関するものですけれども、やはり、今、国の中でも、このまさに資料に書かれているようにファイブアイズという仕組みがあって、そこにやはり日本も参加をして、やはり情報が取りやすいというか、そういった環境をつくっていくべきではないかという、そういう議論もなされております。そういった意味では、そういった状況になったときに、この権限の見直しということについては、先ほど言われたように、予算であるとか人員であるとか、こういったことが一つあるんだと思うんですけれども、そのほかに、権限の見直しについて、こういう項目もほかにもあるんじゃないかという点があればまずお伺いしたいというのが一点でございます。  もう一点は、三点目で、国民に対してインテリジェンス機能の、自体はなかなか言えないんだけれども、私どもが言えることがあるんではないだろうかと、これが海外の機関の例としてもあったということでございますので、例えば、どういうことが、私どもとして、インテリジェンス機関からはなかなか言えないけれども私どもとしては言えるという、どういうものがあるのだろうかということについて何か御意見があればお伺いをしたいというふうに思います。
  23. 小林良樹

    参考人小林良樹君) 御質問ありがとうございます。  二点、御質問を承りました。  まず一点目は、もし今後、貴審査会の権限が拡張するならばどういうことがあるかということで、繰り返しになりますが、もうそこに書きましたとおり、やはり特定秘密保護法の関連すること以外にも、やはりインテリジェンス機関、様々な秘密の事項がございますので、特定秘以外の秘密のことに関しても必要であれば監督をするという権限があればいいのかなと思います。  それから、やはり諸外国の例を見ますと、それぞれのインテリジェンス機関の例えば来年の業務重点であるとか、そういう運営の方針であるとか予算要求の在り方とか、そういうことに関しても監督をし、それによってそれぞれのインテリジェンス機関を適切な方向に導いているというような例もありますので、そういう一般的な運営状況に関する監督ということもできればいいのではないかと思います。  それから、もう一つの御質問、インテリジェンス機関に代わってどういう情報発信ができるかということなんですが、例えば、これ、アメリカ等の例を見ますと、アメリカの情報機関が非常に繊細なオペレーションをしたと、後にそういうオペレーションは果たして良かったのかということが問題になる、インテリジェンス機関そのものは具体的に何をやっていたかということはなかなか説明できない。そういうときに、アメリカの連邦議会のそういうインテリジェンス監督委員会の幹部の方等がメディアに対して、中身は言えないけれども、実はこれこれこういう段階から逐次我々は連絡、報告を受けていて、その都度意見は申し述べてインテリジェンス機関側の修正を図っていましたよと、そういうプロセスを経てインテリジェンス機関が活動しているということを議会の監督機関がエンドースするというだけでも、国民の安心度というか、そういうことは全く違うのではないかなというふうに思います。  以上でございます。
  24. 磯崎仁彦

    ○磯崎仁彦君 ありがとうございました。  それでは、三木参考人にお伺いをしたいと思います。  三木参考人の方からは、今後求められるものの中で、例えば特定秘密指定については、技術的な情報と政策形成に反映される、活用されるそういう情報と、そういうふうに分けてお話をされていたと思いますけれども、ここで三木参考人が言われるその技術的情報、それと政策形成に活用されるというか、それがどういったものを念頭に置かれているのかということについて御質問させていただきたいというふうに思います。
  25. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  技術的情報は、特定秘密指定をされている情報類型で拝見しますと、例えば暗号ですとか装備に関するものですとか、あとは衛星に関するものに関してはかなり定型的、定性的な情報なのかなというふうにお見受けをしております。  ただし、装備に関しては、恐らく、装備が過剰じゃないかとか、そういう意味での別の評価が必要なのかなとは思うんですが、特定秘密に該当するかどうかというのも割と定型的、定性的に確認というか評価ができるのではないかというふうに思っております。  一方で、情報収集に関わる部分ですとか外交に関わる部分ですとか、情報収集は元々政策判断のために行うというのが基本かと思いますので、そういった情報収集活動、そういったものについてはなかなか定性化、定型化しにくいのかなと思っておりますし、外交も同じような要素があるのかなと思っておりますし、あと安全保障政策そのものもそういうところがあるのかなとは思っておりますので、そういったものはちょっとそういう技術的な情報とは別の視点が必要なのかなというふうには考えているところでございます。
  26. 磯崎仁彦

    ○磯崎仁彦君 ありがとうございました。  それでは、最後に江藤参考人にお伺いをしたいと思います。  二点お伺いします。  まず一点は、冒頭の基本的な考え方として、この特定秘密保護法、廃止若しくは抜本的な改正が必要だと、そういう御意見を述べられました。それについてなんですけれども、やはり当初から、特定秘密保護法、これを制定するに当たっては、やはりプラス面、マイナス面両方の議論がされる中で、プラス面としては、やはりきちんとした秘密保護ができないそういった国、政府に対しては、なかなかやはりその同盟国等からも機微な情報、これの提供を受けるのは難しいんじゃないかと、やはりこういうきちんとした保護措置がある、こういうことがなければそういう情報は受けられないのではないか。  議論をする中でも、やはりこの法律があったことによって、従来にはなかなか受けられなかった情報もということもあるかと思いますので、まず廃止ということになれば、なかなかそういうことがまた元に戻ってしまう懸念があるんではないかと思いますが、その点についてまずお伺いをしたいと思います。
  27. 江藤洋一

    参考人江藤洋一君) 私もそれを申し上げたかったところでございます。  おっしゃるとおりで、じゃ、例えば、我が国の同盟関係にあるアメリカ等々がファイブアイズという国で情報を交流しております。この法律ができて果たしてそういう情報我が国に来たのか来なかったのか、まずその検証を先行すべきであろうかと思います。来ていないんだったらあんまり意味がなかったと、こういうことになりかねない、それが一点。  それと、もう一つ、この秘密保護法の冒頭の第一条のところを読んでいただきたいんですが、ここを読みますと、高度情報化社会に適応するためにこの法律が必要だということが書かれている。だけど、高度情報化の問題とこの特定秘密の問題はうまくつながっていないというのが私の認識なんです。そういう意味で、立て付け全体の、言わば骨格がよろしくないということを申し上げたかったわけでございます。  だから、プラス面というんだったら、そのプラス面が果たして本当に実現されているかどうかということについての検証は少なくともしていただきたい。で、やっぱりそうだったというんであれば、私も、場合によっては廃案という考え方を訂正して、若干の修正と申し上げるかもしれませんが、ちょっとその辺りの検証が先行すべきかと、こういうふうに思っております。
  28. 磯崎仁彦

    ○磯崎仁彦君 ありがとうございます。  時間ですので、もし時間があればまた質問させていただきます。
  29. 藤井基之

    会長藤井基之君) ほかに。
  30. 浜口誠

    ○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。  今日は、三人の参考人先生方、ありがとうございます。  今後の我々の審査会活動に大変貴重な御意見をいただきました。質問で更に深掘りができたり、先生方のお考えを伺いたいなというふうに思いますので、御質問させていただきます。  まず、小林参考人にお伺いします。  今後の審査会に対する御提言ということで、三点いただきました。二点目に、私も委員になって今十八か月ぐらいで、先生の平均の二十か月に近づいてきているんですけれども、しっかりそういったリテラシーを蓄積していかないといけないというふうに思っているんですけれども、やはり、なかなか長くこういう委員という立場にいれないという状況も実際はございます。そうした中で、リテラシーの蓄積ですとか継承の方法、これはしっかり考えていくべきではないかという御提言いただいておりますけれども、先生のお考えとして、具体的に、このリテラシーを継承したり蓄積するに、こういったことを考えたらどうかというようなアドバイスが具体的にありましたら、是非御教示いただきたいというふうに思います。
  31. 小林良樹

    参考人小林良樹君) 御質問ありがとうございます。  ちょっとなかなか難しい、言うはやすしやるは難しで、なかなかいいアイデアがあるかどうか分からないんですが、一つ考えておりますのが、もし委員の先生方がやむを得ずいろんな御事情で交代しなければならないというのであれば、やはりそこをうまく、例えばAの先生が蓄積したリテラシーを次のBの先生につなげるというのは、そこを担うのは事務局の方々ではないかと思います。事務局の方々がそのことを担うためには、その事務局の方々御自身がリテラシーを高めなければいけない。もちろん、いろいろな御勉強はなさっていると思うんですが、まだまだもしかしたらできることはあるのかもしれない。例えば、何でもかんでも外国がいいと言うつもりもありませんが、アメリカのこの種の委員会の事務局ですと、常勤のスタッフ以外に、例えば外部の研究者であるとかあるいは元実務家、こういう方々とのいろんな意見のやり取りを事務局ベースでやることによって事務局自身のリテラシーが高まる、事務局のリテラシーが高まれば、新しい先生が来たときに直ちにいろんな御説明をすることができる。  こういうところは、要すれば、外部の有識者であるとか元実務家の方々と事務局レベルでの交流、こういうことはまだまだやる余地があるのではないかなと思った次第でございます。  以上であります。
  32. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  事務局の方にも意見聞いていただきましたので、またいろいろ相談をしたいと思います。  続きまして、江藤参考人にお伺いしたいと思います。  参考人の方から、国民の知る権利からより多くの特定機密情報に接してほしいという御発言ありました。我々も、この審査会の中で、知る権利は大事だということで、いろいろ政府側とも調整しているんですけれども、現実問題はなかなか難しい面もあります。江藤参考人の基本的な考え方、冒頭、先ほどの磯崎幹事の方からもありましたけれども、参考人から見て、この審査会の位置付けというか、この審査会があって情報監視という意味ではやっぱり良かったなという点がありましたら、こういったところをもっとしっかりやることによって審査会の意義があるぞという点があったら、是非意見いただきたいというふうに思います。
  33. 江藤洋一

    参考人江藤洋一君) まず、国会法を見ましても、また参議院情報監視審査会規程を見ましてもその第一条にこの審査会の目的事項がございます。ただ、そこに書かれている権限が非常に、何といいましょうか、迂遠な書き方のように思えて、もっと直截にこうしろというふうな規定ぶりになっていない。だから、その調査というのが何をどこまで調査するのかがよく分からない規定ぶりになっている。  したがって、どうもその調査というのは間接的な調査が主な方法になっているんではなかろうか。公文書管理監が実際にやってみてそれを報告した、その報告を二次的に調査するというような立て付けにどうも読めてしまうし、実際の活動もそういうふうになっているのではなかろうかなという懸念報告書を読んでいていたすわけでございます。もうちょっと、この調査権限というものの解釈そのものはこの委員会でできるし、国会内で判断できることだと思いますので、その調査活動範囲を広げていただくという方向に何とかお願いできないだろうか。  ただ、人的制限、時間的制限、いろんなものがあろうとは思いますけれども、そこを何とか工夫していただいて、その狭い、何というんですか、入口をこじ開けて奥に分け入っていただきたいというのが私のお願いしたいところでございます。  ちょっと答えになっているかどうか分かりませんが、以上でございます。
  34. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございます。  今、審査会のメンバーは、今日ここにいるメンバープラスあと一名でやっておりますけれども、しっかり、国民の知る権利を守るという我々の立場を踏まえてしっかり取り組んでいきたいと思いますけれども、改善点はまたこの審査会全体で共有化をさせていただきたいと思います。  では、続きまして三木参考人にお伺いします。  参考人の方から、御説明の最初の中で、過剰な特定秘密指定が行われる可能性、これは懸念点として示されております。  我々もそうならないように適切に、国民の皆さんに公開されるべき情報公開していくべきだということで、特定秘密に該当するものをしっかりと審査していくというのは非常に重要な取組だというふうに思っております。  三木参考人から見て、これまでの我々の活動を通じて、当初懸念されていた過剰な特定秘密指定というのがどのように映っているのか。審査会としてそこそこ役割果たしているなというような評価をされているのか、やっぱり懸念されていたような部分はまだありますよという評価なのか、先生のお立場でこの審査会の今の状況をどう判断されているのかというのをお伺いしたいと思います。
  35. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  なかなか過剰な秘密が生じているのかどうかを評価判断するのが難しいというところが一番悩ましいというか、どう理解していいのかというところで一番難しい点だとは思っています。  ただ、衆参両院の情報監視審査会報告書は毎回拝見させていただいていますけれども、少なくとも、質問に対して回答をしなければいけないという関係にはございますので、単に秘密指定しましただけでは終わらないという状況がこういう審査会のような場を通じて設けられているということ自体は大変意味があるんだろうと思います。つまり、そこで合理的な説明ができなければやはりいろいろ注文が付けられるとか、あるいは是正が求められるという関係になると思うんですね。  それで、内閣府の独立公文書管理監は、どちらかというと形式的、技術的な部分で適正に運用されているかということを主にチェックなさっているというふうにお見受けするんですね。指定の適正性とかというよりは、適正に特定秘密という指定文書とかになされているかというようなところとかをチェックなさっているようにお見受けしますので、やはり質的な部分については国会が果たしていらっしゃる役割は大きいというふうに考えてはいます。  ただ、先ほどの繰り返しになってしまうんですけれども、情報類型として秘密指定しているという関係から、それが文書というレベルでどの程度秘密と、本来秘密のものが指定されているのか、特定されているのかというのがなかなかチェックができないというところで、なので、類型だけ見ていて、いいか悪いかがやはりちょっと評価判断できないというのが恐らくこの場でもいろいろと悩ましいところではないかなとは思っておりまして、そこを、全部の特定秘密文書を見るということは現実的ではありませんけれども、定性的、定型的な情報じゃない部分はある程度、重点審査のテーマを毎年決めていただくとかですね、そういうのを通じて検証していただくと。  リスクのアセスメントも大事だと思うんですけれども、全体を広く見るとぼうっとしているものがあるんですけど、ケーススタディー的に重要そうな分野で今年度のテーマということで絞っていただくと、ある程度、そこの分野について、どういうふうに方法論として審査をするとよいかということが見えてくる場合もあるかなとは思っておりまして、ここは私たちが全く及ばないところですので、是非、こういう場で方法論とか手法が確立されますと恐らく経験として蓄積も継続もしやすいかなとは思っておりますので、そこをちょっと、いろいろと御尽力いただきたいなとは思っております。
  36. 浜口誠

    ○浜口誠君 ありがとうございました。終わります。
  37. 石川博崇

    ○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。  本日は、三人の参考人先生方、本当に貴重な御意見、御提言をいただきまして、大変ありがとうございました。  特に三人の先生方から共通して感じられましたのは、当審査会活動に対する強い期待、また、国民の知る権利等に対する責任を果たしてもらいたいという思いではなかったかというふうに思います。審査会の委員の一人として身の引き締まるような思いでございまして、今後とも御指導賜れれば幸いでございます。  まず最初に、小林参考人にお伺いをしたいと思います。小林参考人からは、議会によるインテリジェンスコミュニティーに対する民主的統制の機関というようなお話がございました。その政府と当審査会の関係ということを考えたときに、サードパーティールールをどう考えるのかということをしっかり更に議論を深めていかなければいけないというふうに思っております。特に外国政府から得た情報について、議会に提示するかどうかということの判断の際に、サードパーティールールというものの評価を、どう審査をして、提示をするかしないかということを議論しなければいけないんですけれども、サードパーティールールというものが果たして固定的な概念なのかというと、私はそうではないような気もしております。私自身も元々外務省で勤務をしていたものでございまして、何がそのサードパーティールールで、何を守らなければいけないのかという明確な定義があるかというと、個人的にはそんなようなものが余りないのではないかというふうに思います。  小林参考人は、アメリカの情報特別委員会が当審査会と違ってという御意見かもしれませんが、予算や人事権も、承認権も握っているということから、政府への統制というのはより強いというような認識をお持ちかというふうに思うんですけれども、アメリカでは、サードパーティールールについて、どのように議会側のコントロールを及ぼす上で判断しているのか。例えば、日本から入手をした情報について、アメリカの国務省なり国防省が情報特別委員会に提示をする際に、果たしてこれはサードパーティールール情報だからといって、日本政府にわざわざ確認をして、承認を取ってから提示をするようなことがあるとお考えか、その辺についてももし御知見があれば教えていただければと思います。
  38. 小林良樹

    参考人小林良樹君) 御質問ありがとうございます。  当委員会報告書等を見ても、このサードパーティールールについて様々な御議論がこれまでもなされているということで、ある意味政府側と議会側のリテラシーを高める上では好ましいことかなというふうに感じております。  その上で、サードパーティールールは、私の理解では、先生が今御指摘のとおり、何か法令上の根拠があるものではなくて、業務上の慣行であるというふうに理解をしております。それは、我が国のみならず、アメリカあるいはヨーロッパの国に行ってもそのとおりであります。  したがいまして、じゃ、どういうことかというと、インテリジェンス業務を形作っているそのほかの様々な基本理念、例えば、政治とインテリジェンスの分離であるとか、あるいは秘密の保持であるとか、それから民主的統制、様々な理念の中でその都度判断されるべきであろうというふうに考えております。これは、あくまでも学術解釈上の話として、サードパーティールールというのは何か常にそれが優先されるものというよりは、様々なほかの理念との利益衡量の中でその都度の対応が決まっていくものだと思います。  ここからが問題で、じゃ、その都度どう考えるのかということになると、まさに政府側それから議会側のいわゆるインテリジェンスリテラシーというものが求められるわけであって、なかなかそれがない、必ずしも素地がないところで議論をしてもなかなか議論がかみ合っていかない。正直なところ、これまでの御議論というのはまたちょっとそういう面もあるのかなと思いますので、そういう意味でも、そのインテリジェンス理論の体系というものをもうちょっと例えば事務局等を通じて蓄積していただけると、よりプロダクティブというか、前向きな解決に向かっての御議論ができるのではないか。逆に言いますと、現状だと、その両者のリテラシーが若干低いので議論かみ合わないままで行っているのかなというふうに思います。  済みません、ちょっと直接的なお答えになったかどうか分かりませんが、以上でございます。
  39. 石川博崇

    ○石川博崇君 ありがとうございます。  サードパーティールールが業務上の慣行であるという御認識をいただきました。そのことを踏まえて、我々、行政側ともやはり共にリテラシーを向上させていかなければいけないということかと思います。  これに関連して、併せてですが、三木参考人にもお伺いをしたいと思います。  三木参考人もアメリカに渡米されて、アメリカの機密指定制度を実態調査を行われたというふうにお伺いをしています。  我が国としても、このような特定秘密保護制度をつくり、そして情報監視審査会を立ち上げて、行政とのある意味緊張関係というものを保ちながら秘密保護在り方というものを審査をしているわけですけれども、三木参考人がアメリカで調査をされたことから、日本の秘密保護制度として導入を図るべき、あるいは参考になるべき、今のサードパーティールールの点もそうですけれども、もし何か御知見いただけることがあれば、御教示いただければ幸いでございます。
  40. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  なかなか他国の制度というのは、それぞれの組織とかの文化に根差しているのでそのまま持ってくるのは難しいのかなとは思ってはおります。  ただ、幾つか違いがありまして、例えばアメリカの場合ですと、大統領令に基づく機密指定をされているものを不開示にするというのが情報公開制度上の位置付けなんですね。なので、機密指定解除されるとそのまんま基本的には多くの場合公開ができるということになるんですが、日本の場合は、特定秘密要件の方が情報公開法規定している不開示要件よりも狭いというか厳しいので、秘密指定解除したからといって公開にならないという、こういう構造になっていたりとかするんですね。ですので、やはり、情報公開を進めるというときに、特定秘密解除情報公開にはならないという、この一般の認識のずれが制度上実はあるというような仕組みになってございます。  こういったものはなかなかすぐに政策的に解決ができるということではないとは思うんですが、機密指定解除イコール情報公開にならないとした場合に、じゃ、解除した後の特定秘密だったものをどうやって歴史文書として移管するのか廃棄するのかとかという審査をするのかも、結構日本の制度っていろんな工夫が必要だなというのをアメリカの制度なんかを見て思うというところがあります。  あと、かなり長期の特定秘密文書に関しては、アメリカの仕組みですと、視察でも行っていらっしゃったとは思うんですけれども、機密指定解除審査を開始するための解除申請をする仕組みがあるんですね。機密指定解除を、優先的に機密指定解除審査を始めてくださいという仕組みがありますけれども、その機密指定解除を例えば行政機関が行えない場合も異議を申し立てる仕組みがあって、その中で機密指定解除一定程度進んでいるということもございます。  長期の秘密指定文書に関してはそうした仕組みを設けることで、時間の経過とともに秘密性というのは低減するというのが一般的な考え方ですので、秘密指定解除を進めていくというようなこととか、秘密指定解除をシステム的に行っていくような仕組みというものを入れることによって、外から私たちのような人間とか、あるいは報道機関もそうですけれども、主体的に情報公開を広げていく、そういう仕組みを入れるというのは大変参考になるのかなとは思っております。
  41. 石川博崇

    ○石川博崇君 ありがとうございました。  時間ですので、終わらせていただきます。
  42. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 自民党、猪口邦子でございます。  本日は、三人の参考人先生方、大変に参考になる御意見いただきまして、私たちも考えを深めることができたと思います。本当に感謝いたします。  私は、磯崎先生が提起された点あるいはお伺いした点、随分重なるところは視点としてはあるんですけれども、また少し個別の御質問を申し上げたいと思っております。  まず、三木参考人にお伺いするんですけれども、技術的な情報、それ以外の情報という考え方を提示されました。それで、私、常日頃思うんですけれども、この情報、これは本当に大事なものであって、情報を入手し、これを分析する、それとまた政策推進、これとはある意味分離してやらないと、政策推進者が聞きたい情報を分析するということであってはもう意味がないということになります。だから分離すると。  ところが、今度また、その政策を推進する者が、本当に情報というものを重視しながらやるのかと。特に先生のおっしゃる技術的情報というのは、実にそこに本当の大きな、例えば小林先生の安全保障上のこと、テロを防止すること、そういうことが入っている場合、古典的な例としてグレアム・アリソンのキューバ危機の本が有名でございますけれども、衛星画像がもうずうっと何か月も前から大量に上がってきているけど、似たような写真がわあっと積まれていくということで、直前にならないとこのことに気が付かなかったと。  ですから、私の申し上げたいところは、情報の入手、分析、そして政策推進との分離と。それから、政策推進において、本当に、まさに高度情報化社会というのであれば、情報の正しい分析というものをまさに重視して、またそれとの一定の距離を持って政策を推進する、こういうカルチャー及び教養といいますか、これはどういうふうに更に可能になるか、御意見があったらお伺いしたいです。
  43. 三木由希子

    参考人三木由希子君) ありがとうございます。  大変難しい御質問をいただきました。私がお答えできるかというところはあるんですけれども、先生おっしゃるとおり、情報の入手、分析と政策が分離しなければいけないというのは、恐らくインテリジェンスの基本として様々な書籍とか拝見しますと必ず出てくるところで、政策推進者が望む情報提供するインテリジェンスは、政策判断を誤って、安全保障上の判断を誤るということになるとは思うんですね。  そのときに、秘密指定という仕組みは、情報を入手する安全な手段と管理をすることによって、それを利用できる環境を整えるという意味があるというのは、理解はできているところではあるんですけれども、重要なのは、情報入手と分析というものが、一次情報をきちんと蓄積して、この一次情報の結果こういう分析を行い、この分析を行った結果どういう情報がつくられ、それが政策立案に生かされたとか政策判断に生かされたというサイクルがちゃんと検証できるようになっているのかというところが一番の実は疑問でございます。  情報入手とか情報収集手段とか、情報収集の範囲とか在り方について妥当かどうかも、最終的には、その政策決定に際して十分な情報を得られたかということから、やはりその検証をするというサイクルは恐らく必要なんだろうと思いますし、イラク戦争の例なんかを見ますと、アメリカとオーストラリアで行った検証というのが、その情報機関の情報収集の在り方の検証をしたというふうに拝見をしておりまして、そういう意味では、一連のサイクルを、その政策推進者ではなくて、もうちょっと独立した立場できちんと行うというような枠組みは必要なんだろうなということは、諸外国の例とか文献拝見していますと思うところであります。  そこが、例えば独立したところからそういう検証サイクルがなされないとなると、結局、ブラックボックスだと思われたりとか、都合のいい情報をつままれているんじゃないかとか、情報収集がためにする情報収集になっているんじゃないかとか、そういうことの疑問に当然つながりますし、それが、政策判断を誤ると多くの人が大変大きな影響を受けるということになりますので、そういうものは、恐らくここでというよりは、政府在り方とか政府活動在り方としていろいろと議論をしていただく必要はあるのではないかなと思っております。
  44. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 ありがとうございます。  それでは、江藤先生と小林先生にお伺いしたいことは、ちょっと漠としているかもしれませんけれども、この保護法が導入されて、我が国安全保障及びテロ防止、これが実態として進んだかと。この法律があったためにいろいろな国からもより情報が入手できたかどうかということは、これは政府の方及び立法府でこれ判断していくんですけど、市民社会から見たときに、やはりそういうことが推察されるし、やはり恒久平和に資する努力を、民主的な統制を国会がやるという前提でこういう法律を導入しているということで、そういう恒久平和に資しているというふうにお考えかということと、途上国及び我々がちょっと勉強した先進国でもこの民主的統制が入っていない国というのがまだあって、今後多くの国が我が国から何かを学ぶとすれば、何か共有すべき内容が我々の方にあるか、これをお伺いします。
  45. 江藤洋一

    参考人江藤洋一君) 大変難しい質問で、私が答えられるかどうか分かりませんけれども。  先ほど来の話の続きになりますけれども、収集した情報をいかに分析するかという問題と、その情報のどこまでが開示されてどこまでが秘匿されなければならないかという問題というのは似て非なる問題で、ちょっと次元が違う問題なんだろうと思うんですね。だから、そのことの立て付けがまずどうなっているかということが大事であって、私どもの基本的な考え方は、やはりより多くの情報国民と共有するということが社会的安定につながると、こういう考え方に立っているわけでございます。  確かに、テロとか安全保障の問題はそう簡単にはいかない問題がございますよ。いかない問題がありますけれども、その二つだけではなくて、いろんな問題を抱えている中でどうなのかということを考えていかなきゃいけないということだろうと思います。枢要な、どうしても必要な安全保障上の問題云々で表にできないことというのは、これはあるだろうと。私どももその秘密があるということを否定しているわけではございませんが、それはあたう限り限られたものでなければならないというふうには思っております。  他方、他方ですね、情報公開した、その公開された情報は何人もこれを入手することができるというのは民主主義国家の基本的な立て付けでございます。その場合に、その何人もの中に外国のスパイももちろん入っているわけです。そういうことを前提に考えなきゃいけないということは、それは私どもも十分認識した上で申し上げておるつもりでございます。  ですので、情報をたくさんいっぱい秘匿すればうまくいくかという、そういう問題ではない。むしろ、その解析の問題なのかなと。  ちょっと大仰な話ですけど、一つ例を挙げさせていただきます。  あれは千九百四十何年だったでしょうか、四〇年だったでしょうか、アメリカの大統領ルーズベルトは、アメリカの青年を戦場には送らないと言って大統領になりました。そのことの情報秘密にされておりませんでした。日本の政治家もみんなそれは知り得た情報だった。でも、欠けていたのは、その情報に対する分析だったんだろうと思うんです。もしそうだったら、ああいう戦争の始め方をしない方がという大きなグランドスケジュールの中で考えたら、ほかの選択があったかもしれない。つまり、当時の政治的指導者は民主主義ということを知識としては知っていたけど、民主主義社会の中における情報意味、これを理解していなかったんではないかというのが私の考え方です。  先生の御質問に答えたことになるかどうか分かりませんけれども、情報国民に知らせない秘匿する情報をいかに狭めるかという問題と、その情報、その少ない情報をいかに解析するかというのは、まあちょっとレベルの違う問題かなというふうに認識しております。  済みません、答えになっておりませんかもしれませんが。
  46. 小林良樹

    参考人小林良樹君) 御質問ありがとうございます。ちょっと私もきちんと答えられるかどうか自信はないんでございますが。  諸外国のインテリジェンス活動、それからそれに対する民主的統制というものの最近の状況を見ますと、特に議会による監督の重要性というのは、様々な国においてどんどんどんどん高まっているというふうに思っております。それは、各国、安全保障状況がどんどん厳しくなる中で、やはり外交とか安全保障に関する機密というものがある意味多くなっている。他方で、やはり民主主義という中ではオープンなことが保持されなければいけない。じゃ、この一見矛盾するものをどうやって調整をするんだというところで、一つの知恵として、主権者国民から選挙によって選ばれている議会において、一般的には議会はオープンなんだけれども、一部この秘密会であるとかそういうものを導入して、そこでまさに調整を取っているということが一つの知恵として各国で行われている。  更に言えば、こういう方向はますます強まっていて、例えばイギリスなどでは二〇一四年頃までは必ずしも議会によるところの監督は強くなかった。ところが、あのスノーデンによるところの暴露というのがあり、やはりこれは議会にちゃんと監督をしてもらおうということになって、議会によるところの監督機能強化されている。それは、フランスなどでもそういう動向がございます。したがって、こういう制度についての期待というものはどんどんどんどん高まっていると思います。  さらには、これはもう釈迦に説法でございますが、アメリカなどの例を見ると、じゃ、本当に機微なものを国会提供するのに本当に大丈夫なのかというところがあると、いわゆるアメリカでいうところのギャング・オブ・エイトあるいはギャング・オブ・フォーという、監督委員会の中でも更に一部の人のみに共有するというような、そういうような様々な知恵も使われている。こういうことはこれからも各国においてそういう方向に行くのではないかなと私は個人的には思いますし、それは日本もそうであり、またこれからそういうことを考えていく各国においてもそういうモデルは参考になるのではないかと思います。  あと、もう一つその関係で付言をいたしますと、政府側から見ると、この制度ができる際に、例えば議会に余りありていにいろいろあれすると情報が漏れるんではないかと、そういう懸念があったと思うんですが、私の知る限り、この制度ができて六年たちますが、こちらの参議院においても、それから衆議院においても、少なくとも議会側からの漏えい事案というものは一件もないというふうに承知しておりますので、そういうところは一つ国民に対しても、あるいは政府に対しても強調し、宣伝し、だからこそこの議会のこの制度がそういう民主主義と安全保障上の秘密のバランスを取る機関なんだよということの宣伝材料としては強調されてもいいのかなというふうに思っております。  ちょっと質問に答えられたかどうか分かりませんが、以上でございます。
  47. 猪口邦子

    ○猪口邦子君 ありがとうございました。終わります。
  48. 藤井基之

    会長藤井基之君) 予定の時刻になりましたので、参考人に対する質疑はこの程度とさせていただきます。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。審査会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十三分散会