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2021-05-12 第204回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月十二日(水曜日)    午後二時開会     ─────────────    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      上月 良祐君     自見はなこ君      清水 真人君     宮島 喜文君      森屋  宏君     高野光二郎君  四月二十三日     辞任         補欠選任      岩本 剛人君     藤木 眞也君  五月十一日     辞任         補欠選任      高野光二郎君     清水 真人君      市田 忠義君     井上 哲士君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         宮沢 洋一君     理 事                 滝波 宏文君                 三浦  靖君                 宮崎 雅夫君                 青木  愛君                 河野 義博君                 梅村  聡君                 田村 まみ君                 山添  拓君     委 員                 阿達 雅志君                 清水 真人君                 自見はなこ君                 高階恵美子君                 高橋はるみ君                 藤木 眞也君                 宮島 喜文君                 岸 真紀子君                 塩村あやか君                 森屋  隆君                 竹内 真二君                 新妻 秀規君                 音喜多 駿君                 舟山 康江君                 井上 哲士君    副大臣        経済産業大臣  江島  潔君        環境大臣    笹川 博義君    事務局側        第三特別調査室        長        亀澤 宏徳君    政府参考人        経済産業省大臣        官房審議官    安居  徹君        経済産業省産業        技術環境局長   山下 隆一君        資源エネルギー        庁長官      保坂  伸君        資源エネルギー        庁長官官房資源        エネルギー政策        統括調整官    小野 洋太君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       茂木  正君        資源エネルギー        庁資源燃料部        長        南   亮君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      松山 泰浩君        気象庁大気海洋        部長       大林 正典君        環境省地球環境        局長       小野  洋君        環境省総合環境        政策統括官    和田 篤也君     ─────────────   本日の会議に付した案件原子力等エネルギー資源に関する調査  (「資源エネルギー安定供給」のうち、資源  の安定供給等)     ─────────────
  2. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、上月良祐君、森屋宏君、岩本剛人君及び市田忠義君が委員辞任され、その補欠として宮島喜文君、自見はなこ君、藤木眞也君及び井上哲士君が選任されました。     ─────────────
  3. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 原子力等エネルギー資源に関する調査を議題といたします。  本日は、「資源エネルギー安定供給」のうち、「資源安定供給等」について政府から説明を聴取し、質疑を行った後、委員間の意見交換を行います。  本日の議事の進め方でございますが、経済産業省から二十分程度環境省から十分程度それぞれ説明を聴取し、一時間三十分程度質疑を行った後、一時間程度委員間の意見交換を行いたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、初めに経済産業省から説明を聴取いたします。江島経済産業大臣
  4. 江島潔

    ○副大臣江島潔君) それでは、お許しをいただきましたので、着座のまま説明させていただきます。  それでは、調査会に御指示をいただきました項目に沿って説明をさせていただきます。まずは、レアメタルを始めとする鉱物資源をめぐる国際情勢についてでございます。  まず、二ページを御覧ください。  鉱物資源は、銅、鉛、亜鉛などのベースメタルや、コバルトニッケルリチウムレアアース等レアメタルなど多くの種類が存在し、特性や市場規模、用途も様々でございます。特にレアメタルは、半導体などの高機能材や製品の小型化軽量化に用いられ、今後普及が加速する電動車IoT等先端技術産業に必要不可欠な資源でございます。  続きまして、三ページを御覧ください。  産業を支える上で重要な鉱物資源ですが、安定的な供給確保に向けては様々な課題が存在します。特に、レアメタルは、地政学的なリスクが高い地域に埋蔵が偏っているケースが多くあります。資料に主なレアメタル産出国をお示ししておりますが、上位三か国だけで世界の産出の九割を超える鉱種も存在をしております。  四ページでございます。  これは例でありますが、蓄電池などに用いられるコバルトであります。これは世界産出量の約七割がコンゴ民主共和国に偏在しておりまして、政情の悪化あるいは紛争による供給への影響が懸念をされております。  このような課題に加えまして、次の五ページでございます。  鉱山開発を取り巻く環境も悪化をしております。資源国インフラ整備状況環境規制地域住民との関係などは、鉱山の開発コスト影響を与えております。近年のプロジェクトでは、鉱石に含まれる金属成分の減少あるいは鉱床の深部化奥地化が進むことによりまして、年々開発コストが上昇しております。  続いて、六ページでございます。  鉱物資源価格の動向は不安定となっております。ベースメタルと呼ばれる市場が比較的大きな銅や亜鉛でも、各国の景気動向影響等によって価格が大きく変動いたします。特に近年では、米中貿易摩擦新型コロナウイルス感染拡大を受けた価格変動が生じております。  続いて、レアアースについての説明であります。七ページを御覧ください。  レアアースレアメタルの一部ですが、多くの優れた特性を持って、カーボンニュートラルを実現する上で不可欠な素材であります。例えば、ネオジムあるいはジスプロシウム、これらは、電動化の鍵である高性能モーター磁力性能又は耐熱性能の向上に欠かせないものです。  実際にレアアース供給価格に多大な影響を与えた二〇一〇年のいわゆるレアアースショックについて御紹介をいたします。八ページを御覧ください。  二〇一〇年に中国輸出枠を大幅に削減したことによりまして、中国からの輸出が一時停滞し、レアアース価格が高騰いたしました。当時の我が国レアアース中国依存度は九割を超えており、非常に深刻な問題となりました。  経産省としては、まず一番として、中国以外の国における供給源確保、二番目には、リサイクルや省資源代替材料開発に関する技術開発、そして三番目には、中国政府輸出規制に対するWTO提訴、このような対策を講じたところであります。現在では、レアアース中国依存度を六割程度まで低減をさせております。  続いて、九ページでございます。  これは、レアアースのうち、ネオジムジスプロシウム価格の推移のグラフでございます。二〇一一年がレアアースショック影響を受けた後の価格高騰時期であります。高騰前と比較して十倍以上の価格で取引されました。その後、価格は落ち着きましたが、二〇二一年に入りまして、中国国内需要増加に伴って、再び上昇傾向にあります。  続いて、十ページでございます。  これは、我が国レアアース需要であります。二〇一〇年以降、代替・使用量削減技術開発支援等対策によりまして一度減少しましたが、近年は再び増加傾向でございます。  以上がレアメタルを始めとする鉱物資源をめぐる国際情勢説明となります。  続きましては、気候変動対策鉱物資源についての説明でございます。十二ページを御覧ください。  二〇五〇年カーボンニュートラルに向けまして、特に再生可能エネルギー電動自動車に不可欠な蓄電池モーター用鉱物資源需要が増加をしていきます。  続いて、十三ページ、十四ページを御覧ください。  再生可能エネルギー発電システムの部品には多くの鉱物資源が使われております。例えば、風力発電の場合には発電機モーター、それから送電用電線等にも銅やレアアースを使用しております。  続いて、十五、十六ページでございます。  電動車の製造にもワイヤーハーネス、バッテリー、駆動モーターといった部品で、銅、リチウムニッケルコバルトレアアースが使用されているところです。  続いて、十七ページでございます。  風力発電電動車のいずれにも必要なモーターでありますが、これはレアアースを使った高性能磁石が用いられております。レアメタル安定供給確保、これが今後の国内製造の鍵となってまいります。このため、政府としては、中国以外の供給源確保、それから省資源代替材料開発加速化するなどして対策を進めているところです。  以上が気候変動対策鉱物資源についての説明でございます。  続きましては、鉱物資源に関する日本の安全保障について説明を申し上げます。十九ページを御覧ください。  経済産業省は、二〇二〇年三月に策定をいたしました新国際資源戦略に基づきまして、上流中流権益確保備蓄制度整備、運用、国際協力体制強化リサイクル等推進しております。  二十ページを御覧ください。  こちらには、鉱物資源関連施策の全体像でございます。上流中流、下流の各工程における支援策について御紹介を申し上げます。  続いて、二十一ページを御覧ください。  まず、上流工程であります。鉱山開発そのものリスク、それから資源の偏在といった課題がございます。そこで、二〇二〇年にJOGMEC法を改正をいたしまして、上流中流開発案件に対するリスクマネー供給機能強化をいたしました。  続きまして、資源外交を通じた資源国との関係強化取組について紹介を申し上げます。二十二ページを御覧ください。  まず、多くの資源国が存在する南米地域でありますが、これは、首脳それから閣僚レベル資源外交を展開をしております。ハイレベルの関係強化に努めているところです。  続いて、二十三ページでございます。  アジア地域におきましては、資源ナショナリズムの高まりを受けた鉱業に関する規制を受けまして、官民を通じた働きかけを実施をしているところです。  続いて、二十四ページでございます。中東アフリカ地域における資源外交紹介をしております。  昨年の十二月には、ホウ素、それからクロムなど、多様な鉱種資源国であるトルコ協力をいたしまして、トルコ鉱業投資セミナーを開催をいたしました。私自身、両国の関係強化に向けて発信を行ったところであります。また、資源のフロンティアと呼ばれるアフリカ地域におきましても、アフリカ最大規模鉱業大会への参加官民経済フォーラム実施等を通じて関係強化を図っているところです。  続いて、二十五ページ以降を御紹介申し上げます。これは、海洋鉱物資源開発についての紹介でございます。  我が国の領海、排他的経済水域の海底には、海底熱水鉱床コバルトリッチクラスト、マンガン団塊レアアース泥など海洋鉱物資源が確認をされております。経産省は、海洋基本計画に基づいて、資源量の把握、生産技術開発等推進をしているところです。この具体的な取組につきましては、二十六から二十八ページを御参照いただければと思います。  続いて、三十ページを御覧ください。今度は中流工程について説明を申し上げます。  中流工程におきましては、使用済製品に含まれるレアメタル有効活用、これが課題となります。現在、小型家電リサイクル法を通じたレアメタル等回収リサイクルに取り組んでおります。  三十一ページを御覧ください。  こちらは小型家電からの資源回収実績でありますが、回収拡大に向けて、自治体への支援、小売店との連携、消費者への普及啓発、これらを推進をしております。回収された小型家電からレアメタル等を効率的に選別、分離するための技術開発実施をしているところです。  続きまして、下流工程でございます。三十二ページを御覧ください。  直近でも、新型コロナ禍によりまして、重要物資サプライチェーン途絶リスクというものが顕在化をいたしました。予期せぬ危機に対してこうしたリスクを解消するため、レアアースの使用を極力減らすこと、若しくは使用しない技術開発することによってサプライチェーン強靱化に取り組んでいるところです。  さらに、緊急時の対策について、三十三ページを御覧ください。  我が国は、一九八三年から、短期的な供給障害に備えたレアメタル備蓄というものを実施をしてきております。昨年は、世界的な人、物の移動制限が長期化した場合に備えて、供給途絶リスクの高い鉱種につきまして備蓄を増強したところであります。  続きまして、三十四ページ、国際協力についてでございます。  既に説明申し上げましたとおり、政府としては、鉱物資源の安定的かつ効率的な調達に向けて、供給国である資源国との二国間の協力を行ってきました。一方で、今後は、需要国供給国参加をする多国間の枠組み、これも活用しまして、公正な取引の推進の観点も含めて、緊急時にも協力して対応できるような包括的な資源外交を展開をしてまいりたいと思います。  最後に、カーボンニュートラル新型コロナウイルス感染症を踏まえたエネルギー政策について説明を申し上げます。三十六ページを御覧ください。  こちらは、二〇一八年七月に閣議決定した第五次エネルギー基本計画の概要でございます。これに基づいて策定いたしましたのがエネルギーミックス、三十七ページとなります。  このエネルギーミックスは将来のエネルギー需給構造見通しでありまして、あるべき姿を示すものであります。3EプラスS、すなわち安全性確保大前提として、安定供給経済効率性及び環境適合政策目標をバランスよく同時に達成する姿として示してございます。  続いて、三十八ページを御覧ください。そのエネルギーミックス進捗状況でございます。  二〇一三年度と比較して、二〇一九年度には、エネルギー起源CO2電力コストが減少しております。あわせて、エネルギー自給率は七%から一二%に改善をしております。取組は着実に進捗しておりますが、まだまだ道は半ばということでございます。このエネルギー基本計画に関しましては、昨年の十月から見直しに向けた議論を経産省の審議会で行っております。  三十九ページを御覧ください。  菅総理は、昨年十月に二〇五〇年カーボンニュートラル表明をいたしまして、先月二十二日に、二〇三〇年度における我が国温室効果ガス排出を二〇一三年度比で四六%削減を目指し、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦をしていく、このように表明をされました。総理からは、目標の達成に向けた施策を具体化すべく検討を加速する、このような指示があったところでございます。  新たな二〇三〇年目標を踏まえまして、エネルギー政策全体について集中的に議論を深め、結論を出してまいります。  続いて、四十ページを御覧ください。二〇三〇年に向けたエネルギー政策検討状況でございます。  この中で、例えば省エネにつきましては、二〇三〇年の省エネ量見通しを、従来の五千三十万キロリットルから五千八百万キロリットル程度の深掘りを見込み、更なる深掘りを検討すること、それから再エネにつきましては、導入拡大に向け、環境アセス要件見直しなどの政策強化の結果、二千九百億キロワットアワー程度を見込んで更なる政策対応によりどの程度導入拡大が見込めるか、また原子力につきましては、国民信頼回復に努め、安全最優先の再稼働を進めること、また火力につきましては、安定供給確保大前提電源構成の比率を引き下げていくこと、このような論点について検討を重ねております。  続いて、四十一ページでございます。二〇五〇年カーボンニュートラルの転換へのイメージでございます。  カーボンニュートラルに向けましては、温室効果ガス排出の八割以上を占めるエネルギー分野が特に重要となります。電力部門では、非化石電源の拡大、産業、民生、運輸部門においては、電化、水素化を通じた脱炭素化を進める必要があります。  また、コロナ禍によるエネルギー需要影響については、四十二ページに、現時点で可能な範囲でお示しをしているところでございます。  続きまして、電力部門を中心とした具体的な課題取組について説明を申し上げます。四十三ページを御覧ください。  二〇一八年の北海道胆振東部地震、また、二〇一九年の台風十五号などの災害では大規模な停電が発生をいたしました。このため、発電所停止等に備えた予備力確保電力融通円滑化のための系統形成検討電力会社などの関係者間の事前の備え、発電送電設備自然災害への耐性確保など、激甚化、頻発化する自然災害に対して、エネルギー安定供給に向けた最大限の準備を進めてまいりたいと思います。  続いて、四十五ページを御覧ください。  今年の一月、断続的な寒波による電力需要増加、そして、在庫減少によるLNG火力稼働抑制などによって、電力需給逼迫とそれに伴う市場価格高騰が発生をいたしました。  これを受けて、四十六ページでございます。  需給市場における予防的、緊急的な対策はもちろん、安定供給カーボンニュートラルの両立に向けた供給力確保新規投資を促進するための措置を講じるべく取り組んでまいります。  続いて、再生可能エネルギー主力電源化に向けた課題取組について説明を申し上げます。四十七ページを御覧ください。  FIT制度導入以降、再エネ導入は着実に進展をしておりますが、国民負担系統制約立地条件などの課題もあります。このような課題の克服に向けて、産業競争力インフラの構築、地域共生、この三つの面から取り組みまして、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて再エネ最大限導入を進めてまいります。  続いて、四十九ページ、御覧ください。こちらは原子力についてでございます。  二〇五〇年カーボンニュートラル実現のためにはあらゆる選択肢を追求していく必要がありまして、確立された脱炭素電源である原子力につきましても、中長期的な方針を示すということが必要でございます。  原子力利用に当たっては、国民からの信頼回復に努めていくことがまず必要不可欠でありまして、安全最優先での再稼働、更なる安全性向上の不断の追求、バックエンド問題の解決など様々な課題に取り組んでまいります。  続いて、五十ページを御覧ください。水素アンモニアについてでございます。  水素は、発電産業、運輸など幅広い分野の脱炭素化に資する鍵であります。アンモニアは、新たに燃料として、火力発電船舶等への利用に向けた取組が進んでおります。本格的な普及に向けて、安定的かつ安価に大量供給できるインフラ整備発電所における大規模利用の実現といった課題の解決に一体的に取り組んでまいります。  以上に加えまして、五十一ページを御覧いただけますでしょうか。  こちらは、二酸化炭素を回収、再利用するカーボンリサイクル、この新しい技術開発社会実装にも引き続き取り組んでまいります。  最後になりますが、五十二ページを御覧ください。  カーボンニュートラルに向けた政策を進める上で、成長に資するカーボンプライシングにつきましては、産業競争力強化イノベーション投資促進につながる形があり得るのか、産業政策を所管する立場から検討してまいります。  成長に資する制度設計の在り方について、結論ありきではなくて、炭素税排出量取引制度国境調整措置クレジット取引など、環境省とも連携をして検討を進めてまいりたいと思います。  以上が経産省からの説明でございます。
  5. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 次に、環境省から説明を聴取いたします。笹川環境大臣
  6. 笹川博義

    ○副大臣笹川博義君) それでは、資料に沿って環境省から御説明をさせていただきます。  まずは、気候変動対策に関する諸外国の取組状況について御説明をさせていただきます。  それでは、三ページをお開きください。  パリ協定は、二〇一五年のCOP21で採択をされました。京都議定書においては先進国のみが温室効果ガス排出削減義務を負っていたのに対して、パリ協定においては国連加盟国削減目標を作ることとなりました。  協定では、世界平均気温上昇工業化以前に比べ二度Cより十分低く保ちつつ、一・五度Cに抑える努力を追求するとされており、それに向けて今世紀後半に世界の脱炭素実現することを目標としております。  さらに、IPCCの特別報告書によると、一・五度Cを大きく超えないためには、二〇五〇年前後のCO2排出量が正味ゼロになることが必要とされております。  続いて、四ページを御覧ください。  これまでは二〇五〇年までに温室効果ガス排出量を八〇%削減するとしてきた長期目標について、昨年の十月、菅総理所信表明演説において、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことを宣言いたしました。これに整合した野心的な中期目標として、四月に地球温暖化対策本部において、二〇三〇年度の二〇一三年度比四六%削減を目指し、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦を続ける旨の表明があったところであります。  主要国中期目標長期目標はそれぞれ表のとおりであります。米国パリ協定に復帰し野心的な目標を掲げるなど、世界中で気候変動対策が本格的に進む機運が高まっているというふうに考えております。  続いて、五ページを御覧ください。  各国では、掲げた目標を達成するためにそれぞれの政策を打ち出しております。米国は、気候変動対策を最重要課題の一つとしており、今後八年間で総額二兆ドルのインフラ投資を行うプランを発表。EUにおいては、二〇五〇年までに排出実質ゼロを法制化しており、また英国では、洋上風力推進など、グリーン産業革命のための十項目プランが公表されました。  続いて、六ページを御覧ください。  四月に行われました日米首脳会談において、日米気候パートナーシップが立ち上げをすることとなりました。このパートナーシップにおいては、次の三つの柱、すなわち、気候野心パリ協定実施に関する協力と対話、気候クリーンエネルギー技術及びイノベーション、第三国、特にインド太平洋諸国における地方自治体の行動変容などの脱炭素社会への移行の加速化に関する協力などが盛り込まれており、両国気候変動分野世界をリードしていくとしております。  続いて、七ページを御覧ください。  四月二十二日から二十三日にかけて、約四十か国の国・地域参加をいたしました米国主催気候サミット開催をされ、この会議においては、複数の首脳が二〇三〇年までの排出削減目標の更なる引上げなどを発言する中において、菅総理からも、四六%の削減、さらに、五〇%の高み挑戦を目指す旨の発言がなされました。  続いて、八ページを御覧ください。  本年十一月には、英国においてCOP26が開催を予定されております。主な論点としては、削減目標の引上げに関する野心、二、パリ協定実施ルール、三、資金などについての議論がなされる見込みでございます。  続いて、九ページを御覧ください。  この十一月のCOP26までの間にも、G7のサミット、国連総会、G20サミットなどが予定されており、気候変動に関しての活発な議論が行われる予定となっております。  続いて、カーボンニュートラル実現に向けた施策ということであります。十一ページを御覧ください。  先ほど御説明を申し上げたとおり、昨年十月、菅総理からの、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会を目指すということの宣言がなされました。この中で、革新的なイノベーションやグリーン投資の更なる普及、国と地方で検討を行う新たな場の創設といった取組による経済と環境の好循環をつくり出す旨の言及がありました。  十二ページを御覧ください。  政府検討体制として、総理を本部長とする地球温暖化対策推進本部が設置、また、個別施策や横断的事項を議論検討するための各種会議体も設置をされました。  続いて、十三ページを御覧ください。  本年は、十一月のCOP26を始め一連の国際会議等が予定されていることを踏まえ、気候変動対策分野横断的に議論し、グリーン社会の実現に向けた方針の検討を行うため、気候変動対策推進のための有識者会議が設置されました。三月、四月と二回開催し、気候変動対策において我が国の目指す方向性や将来ビジョンについて御議論をいただきました。  続いて、十四ページを御覧ください。国・地方脱炭素実現会議について御説明をさせていただきます。  二〇五〇年までのカーボンニュートラル実現するためには地域取組国民のライフスタイルに密接に関わる分野での対策が重要であることから、国民、生活者目線での実現に向けたロードマップと、実現のための具体的な方策を議論するために設置をされました。これまで二回の開催に加え、各方面からの四回のヒアリングを行いました。  現在議論いただいております地域炭素ロードマップ骨子案では、イノベーションを待たず適用可能な最新技術をフル活用し、足下からできることを直ちに実行するとの観点から、二〇二五年までの五年間を政策を総動員する集中期間として位置付け、議論を進めているところでございます。  十五ページを御覧ください。  このため、少なくとも百か所の脱炭素先行地域で二〇二五年までに脱炭素実現の道筋を付け、二〇三〇年度までにこれらの地域で脱炭素を達成し、これをドミノ倒しのように全国、そして世界に脱炭素を広げていくこととしております。  地域やライフスタイル、そしてルールといった三つイノベーション実施することにより、脱炭素で強靱な活力ある地域社会の実現に向けて取り組んでまいります。  続いて、十六ページを御覧ください。  こうした議論の背景には、既に地方自治体レベルでは、二〇五〇年までに二酸化炭素排出実質ゼロの表明が、本年五月六日時点で三百八十の自治体が超えました。人口規模にすると約一億一千万人になっております。  環境省では、こうした自治体で具体的な取組が進むことが重要であると考えており、現在参議院で御審議いただいております地球温暖化対策推進法改正案に位置付けた地域の再エネ導入を促進する制度や、令和二年度補正予算及び令和三年度当初予算におけるゼロカーボンシティ再エネ強化支援パッケージにより支援をしてまいります。  続いて、十七ページを御覧ください。  このグラフは、我が国温室効果ガス排出量の推移と、中期目標長期目標を示したものでございます。直近の二〇一九年度の排出量は千二百十二億トンであり、二〇一三年度比一四%の減でございます。十二・一二億トン、失礼しました。  新たに掲げた二〇三〇年度に二〇一三年度比四六%減や五〇%の高みへの挑戦、そして二〇五〇年の排出実質ゼロに向けて、現在、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画パリ協定に基づく長期戦略、この三つの計画等の見直しを行っているところでございます。  続いて、十八ページを御覧ください。  目標達成のための地球温暖化対策計画の見直しについては、中央環境審議会産業構造審議会の合同の会合において関係省庁や若者の団体などへのヒアリングを行いつつ、産業界、学識経験者等の有識者による御審議をいただいているところでございます。  続いて、十九ページを御覧ください。次に、カーボンプライシングについて御説明をさせていただきます。  カーボンプライシングとは、炭素への価格付けを通じて脱炭素に向けた行動変容を促し、CO2削減への努力が報われるようにするための仕組みであります。代表的な類型として、炭素税や国内排出取引クレジット取引、国際機関による取組やインターナルカーボンプライシング、欧米で検討が進められている炭素国境調整措置などがあり、幅広く検討をしているところでございます。  今国会の総理の施政方針演説でも、成長につながるカーボンプライシングにも取り組んでまいりますとの表明があり、経済産業省とも連携をして、成長に資する制度の設計し得るかという観点からの検討を進めてまいります。  二十ページを御覧ください。  最後に、再エネ促進に資するアセス迅速化という点について、風力発電所の環境アセスメントの迅速化を御紹介させていただきます。  風力発電については、騒音やバードストライクなどの環境影響の懸念もあり、適切な環境アセスメントが必要ですが、時間が掛かることが再エネ促進の課題とされておりました。このため、自治体と並行した審査等を行い国による審査期間を短縮するとともに、地域の自然的状況、社会的状況を収録した環境アセスメントデータベースを整備するなど、事業者により調査期間の短縮にも取り組んでいるところであります。  このほか、現在参議院で御議論いただいております地球温暖化対策推進法改正案には、地域における円滑な合意形成を図り、地域に貢献する再エネ導入を促進する制度を盛り込んだところでございます。  終わりに当たりましては、集中豪雨、森林火災、大雪など、世界各地で異常気象が発生する中、脱炭素化は待ったなしの課題であり、同時に、気候変動への対応は、我が国経済を力強く成長させる原動力になります。菅総理が掲げた野心的な目標達成に向けてあらゆる主体の取組を加速させるべく環境省として全力で取り組み、経済と環境の好循環を生み出すとともに国際社会の脱炭素化の流れをリードしてまいりたいと考えております。  以上であります。
  7. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 以上で政府からの説明聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。  質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから着席のまま御発言いただくようにお願いいたします。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようにお願いいたします。  なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。  宮崎雅夫君。
  8. 宮崎雅夫

    ○宮崎雅夫君 自由民主党の宮崎雅夫でございます。  まず、資源エネルギー庁の保坂長官にお伺いをしたいと思います。  先ほど両副大臣からも御説明がございましたけれども、先月二十二日に菅総理が、二〇三〇年に向けて、温室効果ガス削減目標について、野心的な目標ということで四六%削減するという目標表明をされたわけでございます。その後、気象サミットでもこの新たな削減目標表明をされて、我が国の気象変動分野への積極的なこの取組に対してバイデン・アメリカ大統領などからも歓迎をされたというふうに承知をしております。  こういう状況の中で、エネルギー基本計画見直しに向けた検討が昨年十月から進められるというふうに承知をしておりますけれども、関係者も大変注目をしておるところでございます。今回の見直しでも、江島大臣からも御説明の中でございましたけれども、今取り組んでおられるいわゆる3EプラスS、これの同時実現を目指すことということが非常に重要なことだというふうに私は考えております。  また、総理も、この二〇三〇年の目標については、この達成は決して容易なものではないというふうにも述べられておりまして、この達成に向けて、省エネ対策、それからエネルギー転換も含めて、これ全ての分野で、部門において取組推進をしていくことが必要なわけでございます。  これまでも政府としても、昨年末のグリーン成長戦略、この策定でありましたり、成長戦略の柱としても取組が進められてきているわけでございます。NEDOでも、十年間に二兆円の基金を造成をして、目標達成に挑戦することをコミットした企業に対して、技術開発から実証、社会実装まで一気通貫でこれ支援をすることになったわけでございますけれども、新たな目標も掲げられて、更なる支援策ということも必要になってくるというふうに考えます。  そこで、エネルギー基本計画見直しに向けた現在の検討状況、それから目標実現に向けた支援策についてのお考えについてまずお伺いしたいと思います。
  9. 保坂伸

    政府参考人(保坂伸君) エネルギー基本計画でございますけれども、昨年の十月から、総合資源エネルギー調査会におきまして見直しに向けた議論を行っているところでございます。これまでに十一回審議会開催をいたしまして、菅総理表明された二〇五〇年カーボンニュートラルや、新たな二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標に向けました課題や対応の方向性について議論を深めているところでございます。  二〇五〇年カーボンニュートラルや二〇三〇年度の新たな削減目標を目指す中にありましても、委員御指摘のように、3EプラスSのバランスを取り続けていくことが重要だと考えております。脱炭素化と安価なエネルギー安定供給の両立に向けまして、今後もエネルギー政策全体について集中的に議論を深め、結論を出していく所存でございますが、まだ議論中でございます。  また、新たな二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標につきましては、これまでの目標を七割以上引き上げるものでございまして、決して容易なものではございません。徹底した省エネ、再エネ最大限導入、確立した脱炭素電源である原子力の活用、非効率石炭火力のフェードアウトなどを着実に進めていく所存でございます。  御指摘の支援策につきましては、二兆円の基金につきましては、これ、二〇五〇年カーボンニュートラル実現のために設けられたものでございまして、二〇三〇年度の新たな目標を踏まえまして、技術、社会面での制約やコストにも配慮をしながら、産業の国際競争力の維持強化と両立できるよう、必要となる投資を促す刺激策を含めまして検討を加速していきたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  10. 宮崎雅夫

    ○宮崎雅夫君 ありがとうございます。どちらも今検討中ということでございますけれども、しっかり検討していただければというふうに思います。  同じく、次の質問についても保坂長官にお伺いをしたいというふうに思います。  今のエネルギー基本計画でも、再エネについては主力電源化を目指すというふうにされておりますし、先ほどの江島大臣からの再エネの御説明の中でも、これ最大限導入を図っていくと、私ももちろんそういうことが必要ではないかと思いますけれども、御説明でもありましたけれども、やはりいろんな進めるには課題もあるということでございます。本調査会で、参考人の方でもいろんな御意見があったわけでございますけれども、系統整備を含めたコストのやはり問題であったり、出力の変動の問題というものもございます。  私も全国を回っておりますと、例えば太陽光発電、どこの農山村にもやはりあるということでございますけれども、昔は優良農地だったんじゃないかなとか、山の斜面、こんなところにもあるんだなとか、そういうふうに思ったこともございます。やはり、適地の確保の問題であったり地元との調整ということも非常に大切なことになってくると思います。  再エネについても、カーボンニュートラルと、これは非常に大事なことでもありますけれども、この一面だけということではなくて、いろんな側面を見ながら総合的にやはり進めていかないといけないんじゃないかなと思います。  例えば、太陽光発電拡大をしていくという中で優良な農地が潰れるというようなことであれば、食料安全保障の観点からは非常に大きな当然懸念がある。まあそういうことは起きないと思いますけれども、そういうこともあるわけでございますし、再エネ、それから先端産業でこれは欠かすことのできないレアメタルレアアース、これ御説明ございましたけれども、資源の偏在性も高い、地政学的リスクが高い。こういうところに偏っているということになってきますと、安定供給は非常に重要な課題で、今取り組んでいただいているわけですけれども、これが、再エネ推進が、資源にやはり乏しい我が国にとっては新たなリスクの増大にならないように留意をしていかないといけないということも視点の一つではないかなというふうに思います。  そこで、いろんな課題がございますけれども、再エネ主力電源化に向けた取組の促進について、お考えを改めてお伺いをしたいと思います。
  11. 保坂伸

    政府参考人(保坂伸君) 再エネでございますけれども、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けた鍵でございまして、最大限導入していくということは基本方針でございます。  一方で、審議会の中でも、再エネ最大限導入に当たりましては、一つ目、FIT賦課金による年間二兆円を超える国民負担の抑制、二つ目に、再エネポテンシャルの大きい地域と首都圏等の大需要地を結ぶ送電線の整備、三点目に、平地が限られているといった、委員も御指摘もございましたけれども、立地制約もある中での地域と共生した形での適地の確保といった様々な課題があるということも審議会の中で指摘をされていることも事実でございます。  こうした課題を克服すべく、コスト低減の取組強化やマスタープランの策定等を通じた送電網整備地域と共生可能な形での適地の確保など、あらゆる施策を総動員していく考えでございます。加えて、現在の太陽光パネル等が輸入に依存している実態も踏まえますと、今後の導入拡大政策産業政策と両立して進めていく必要があると考えております。  こうした中で、洋上風力につきましては、昨年十二月の官民協議会におきまして、二〇四〇年までに三千万から四千五百万キロワットの案件を形成するという導入目標を盛り込んだ洋上風力産業ビジョンを策定したところでございます。これを呼び水としつつ、予算や税制による設備投資支援産業界の国内調達、コスト低減目標の設定、国内外企業のマッチング促進等を通じて、強靱な国内サプライチェーンを形成していく考えでございます。  太陽光につきましては、我が国が他国に先んじて開発を進めてまいりましたペロブスカイト等の次世代型太陽電池の実用化を加速し、既存の太陽電池では設置が困難な壁などの新たな市場の開拓、獲得を目指しているところでございます。具体的には、第三次補正予算で措置したグリーンイノベーション基金も活用いたしまして、製品化も見据えた企業の取組支援してまいります。  このような取組を通じまして、新たな産業の創出や我が国企業の競争力強化を進め、国内企業の力を生かした経済と環境の好循環を実現してまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。
  12. 宮崎雅夫

    ○宮崎雅夫君 ありがとうございます。  最後に、時間も限られておりますけれども……
  13. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 宮崎さん、時間がもう、おまとめください。
  14. 宮崎雅夫

    ○宮崎雅夫君 はい、来ておりますようでございますので、環境省笹川大臣にお伺いをしたいというふうに思っておりましたけれども、ちょっとお願いだけということでまとめさせていただきたいと思います。  江島大臣笹川大臣の御説明の中でも、それぞれが連携をして取り組んでいくというお話もございました。カーボンプライシングのお話もございましたし、また再エネ推進でも、両省だけではなくて関係省庁の連携ということが非常に大切になってきております。  まさしく環境省が旗振り役というようなことでございますので、是非、笹川大臣におかれましては、関係省庁との連携ということを、これまでもやってきていただいておりますけれどもお願いをしたいというふうに思いますし、また、カーボンニュートラル取組というのは、産業構造とか社会全体、この大転換が必要なものでもございますので、国民の皆さんの理解ということがもう欠かせないことだろうと思いまして、非常に地道なものでもございますけれども、是非副大臣のリーダーシップでもって、これについても積極的に取り組んでいただければと思います。  済みません、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  15. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  森屋隆君。
  16. 森屋隆

    森屋隆君 立憲・社民共同会派の森屋隆でございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。  まずは、笹川環境大臣に二点お伺いをしたいと思います。  菅総理が、昨年十月の所信表明演説で、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会実現を目指すと宣言しました。また、先月の気候変動サミットで、日本は温室効果ガス削減目標を二〇一三年度比でこれまでの二六%削減から四六%の削減を目指すとし、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦を続けていく決意を表明されました。  宣言については、積極的な政府の姿勢の表明として評価するものですが、実現するには様々な困難があるとの指摘があります。  その要因としては、この間の参考人質疑では、再生エネルギーの太陽光パネル、メガソーラーの大規模設置場所が既にない、また、洋上風力においても安定的な風力が望めないなどが挙げられています。現在、日本の発電電力を占める割合は八割が火力ですが、だからといって、原子力に依存するという方向には行けないだろうと思います。目標は掲げたけれども、実現に向けた裏付けは乏しく不透明だと思います。CO2実質ゼロの実現は、国民の理解がなくては到底なし得ないと考えます。  そこで、質問をさせていただきます。  現在、CO2ゼロ宣言の自治体が三百八十四あると承知しています。住民の理解を得るために自治体としても大変な御苦労をされていますが、国は、この現状をどのように捉え、進めていこうとしているのですか。  二点目は、カーボンニュートラル実現に向けて、地球温暖化対策推進に関する法律の改正案では条文に国民を位置付けるなどしていますが、政府は、どのような国民の理解や協力、言い換えればある程度の負担となりますが、こうしたことをどのように進めようとしているのか、教えてください。よろしくお願いします。
  17. 笹川博義

    ○副大臣笹川博義君) 御質問ありがとうございました。  今、自治体において、この国の方向性含めて大変御理解をいただいてそれぞれ宣言をしていただいた。人口規模でいうと一億一千万人を超したということでありますので。ただ、それは、各基礎自治体も含めて更に理解が広がるように、我々としても取組についての御説明を丁寧にしていかなければならないというふうに思っております。  委員からも御指摘がございましたけど、例えばこの再エネにつきまして、それぞれの技術革新も進めていかなきゃならない。それで、もう一つ大事なことは、やっぱり地域の合意形成が大事でありますので、そういったところでは、やはり地域の合意なくして再エネを進めると、再エネに対する信頼を崩すことにもなります。先ほど経産省さんからも御説明ありましたけど、新しい技術も革新が進んでおりますので、太陽光パネルについても、そういった技術の活用をしながら、さらにまた、太陽光の可能性を広げていくことも、これも大事だというふうに思っております。  また、御指摘の中ではありませんでしたけど、例えば地熱、これについても開発リスクもございます。そういったものをどう短縮させていくのか。さらに、ポテンシャルあります。そういったものをどうまた活用していくのか。このことについてもやっぱり地域の御理解がなければなかなか進まないということもございますので、大事なことは、やっぱり自治体の皆さん方の理解と同時に、また地域住民が理解できるように我々自身が人材育成も含めてきちんとした丁寧な説明をしていきたいというふうに考えております。  続いて、特に個人消費ですかね、カーボンニュートラルを達成するためにおいて、やっぱり個人の消費の中におけるCO2削減、これも大切な観点でございますので、その中にあって、国民生活の中で、例えば住宅ですとか自動車含めての公共施設の在り方だとか、そういうものを含めてやはり理解をしてもらうことが個人生活の変革にもつながるわけでありますので。  一番身近な例でいうと、例えばレジ袋の件、これは最初導入するときに大変いろんな御指摘もございました。厳しい御指摘もございました。しかし現状では、やはりレジ袋についても七割方の削減に成功することができたと。これはひとえに国民の皆さん方の御理解があったたまものだというふうに思っておりますので、そういう意味においては、国民の御理解がいかに大事かということの実例かというふうに思っております。
  18. 森屋隆

    森屋隆君 ありがとうございます。  次に、やはり二点、江島経済産業大臣に二点お伺いしたいと思います。  COP26では、カーボンプライシングについて何らかの合意に至る可能性があると思うのですが、今後、国境炭素税について日本がどのような準備を始めているのか教えてください。また、国境炭素税の仕組みが、WTO、国際貿易機構協定などとの整合性についてどのように考えていますか。  二点目は、カーボンニュートラル実現には、更なる再エネ開発水素利用CO2吸着、閉じ込め、そして蓄電池開発が不可欠だと思います。二兆円の脱炭素基金では諸外国に比べて乏しいと思われます。そういった中で、現在、この地熱発電の研究開発について、状況を教えていただきたいと思います。
  19. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) それでは、まず経産省山下産業技術環境局長お願いして、その後、補足があれば副大臣からお願いします。
  20. 山下隆一

    政府参考人(山下隆一君) まず、国境調整措置についてでございますけれども、国内の気候変動対策を進めていく際に、他国の気候変動対策との強度の差異に起因する競争上の不公平、これを防止することでカーボンリーケージが生ずることを防止するためのものでございます。  現在、その基本的な考え方について、有識者から成る研究会で御議論いただいているところなんですけれども、そういった中で、国境調整措置は、その導入自体が目的であるべきではないけれども、国内の成長に資するカーボンプライシングの検討と並行しながら、制度設計に必要となる製品炭素排出量の評価手法などの国際的なルールの策定を日本が主導すべきだということが示されてございます。  WTOルールとの関係では、外国の産品に対して国内の同種の産品よりも不利ではない待遇を与えるという原則との関係が一つの論点となり得るところでございます。国境調整措置がWTOルールに整合的であるかについて、これ先例はないんですけれども、税額の計算方法などにおいて輸入品に不利な扱いがなされていないかなど、制度をどう設計するかによるものだというふうに承知をしてございます。  引き続き、公平な競争条件を確保し、カーボンリーケージを防止する観点から、立場を同じくする国々とも連携しながら対応することとしてまいりたいと考えてございます。  以上でございます。
  21. 南亮

    政府参考人(南亮君) お答え申し上げます。  再生可能エネルギーは二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けた鍵でございまして、最大限導入していくということが基本方針であります。そうした中で、地熱発電は、天候に左右されず、安定的に発電可能なベースロード電源として大変重要なものだと考えております。  ただ他方、地熱発電には、目に見えない地下資源利用するものであるということから、開発リスクが高く、掘削などの開発コストが高いということ、次に、国内の地熱資源の八割が賦存する国立・国定公園における関係法令の規制などがあること、こうした課題が存在しているというふうに認識しているところでございます。  こうした課題解決するため、経済産業省としましては、御質問の研究開発でございますが、地下構造を把握するための探査技術、それから掘削コスト低減に向けた高能率、長寿命なドリルなどの研究開発、こうしたことを進めてきておりますが、これらに加えまして、本年度からは、国立・国定公園の外からでも公園内の地下を開発し得る斜め掘り技術の研究開発、こうしたことを取り組んでいるところでございます。  以上でございます。
  22. 江島潔

    ○副大臣江島潔君) 付け加えまして、私から一言申し述べさせていただきます。  森屋委員が大変にこの地熱発電に関して強い関心を持っていただいていると、心強い限りでございます。  日本は、基本的にはこの地熱、潜在的な地熱発電大国のはずでありますが、残念ながらまだいろんな障壁があるということでありまして、例えばアイスランドなんかは、同じ火山国であってももう非常に大きな割合、六割ぐらいたしか発電量のうち地熱で賄っているというような、そういう国もあるわけであります。日本もその可能性があるんですが、なかなか守られている。これ、どこに守られているかと。結構環境省に守られていますので、是非この辺は、今後この地熱発電開発をどうするか、どうやったらできるかということを、その環境省が守っている部分と含めてうまく整合性が取れるようにしっかり取り組んでまいりたいと思います。  今ちょっと説明がありましたその斜め掘りというのは、言ってみれば外から突っ込むような、若干ちょっとこそくな手段だなという気もしておりますので、是非もっと正々堂々とその地熱発電を使いながら、かつちゃんと環境省が守るべきところも守れるような、そういう王道を進められればと思っております。
  23. 森屋隆

    森屋隆君 気象庁にも質問あったんですけれども、時間ですから終わります。ありがとうございました。
  24. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  河野義博君。
  25. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博です。  二〇五〇年カーボンニュートラル、菅政権の看板政策であります。国の形を変えるいい機会だと思っておりまして、そのために自給率をしっかり上げていく、そういった過程を通じて様々な技術に投資をしていくということだろうと思います。  二〇五〇年がどういう世界かというのは誰も予想できませんし、前回のエネルギー基本計画を立てる際にも、何が起こっているか分かりませんから、しっかりありとあらゆるテクノロジーに投資していくんだ、その方向性は間違っていないんだと思います。  一方で、見えている案件、やれば必ず結果ができるというところには重点的に投資をしていくべきでありまして、その観点からいいますと、この三十年、やれば確実に温暖化の原因を減らせるということでいえば、やはり大規模な浮体式の洋上風力発電だろうというふうに私は考えております。  現在、長崎県の五島沖で、海洋再エネ法を使った第一号案件となりますけれども、これは本当に環境省が長年サポートしてくださり、そして経産省、国交省もしっかりと法律を作り、支援をしてきたわけでありますけれども、恐らく世界で第一号の商業運転になるだろうと思っておりましたが、諸般の事情で、ちょっと時間の関係からそれは言いませんけれども、アジアで一号案件となる浮体式の大規模な商業ベースの洋上風力発電所になるんだろうというふうに思います。  現在、最終の選定作業が進められていると聞きますけれども、やっぱり着床式の洋上風力は適地が限られておりますので、しっかりこれは進めるとともに、その先を見据えた浮体式洋上風力実現に向けてしっかり官民挙げて応援すべきだというふうに私は思っております。  海事産業とも非常に連携を密にしていかなければなりませんし、国内のロジスティクス、これは非常に値段が高い、海外から輸入した方が安いんじゃないかというぐらい高いという中で、やっぱり全省庁挙げて取り組まなければなりませんが、とりわけ経済産業省に果たしていただく役割というのは私は大きいんじゃないかというふうに思っておりますが、江島大臣にお伺いをしたいと思っております。浮体式の洋上風力発電、どのように取り組んでいかれますでしょうか。
  26. 江島潔

    ○副大臣江島潔君) この洋上風力でありますが、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現の切り札であると思います。  昨年の十二月には官民洋上風力産業ビジョンを策定をいたしまして、この中で、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までに浮体式も含んで三千万キロワットから四千五百万キロワットの案件を形成するという導入目標を設定をしたところでございます。  しかしながら、日本は欧州と異なりまして遠浅の海域が非常に少ない、言わばすぐ海でどんと深くなってしまうという、そういうこの立地にございます。その中でこの四千五百万キロワットという高い目標を達成するためには、どうしても、深い海域でも導入余地が大きいこの浮体式の早期コスト低減を行って導入拡大を図る必要がございます。  現実に非常に浅瀬が少ないという中で、例えば私の地元の山口県でも、浅瀬に造ろうとして、それが結果的にすぐ目の前の住民の大反対に遭って頓挫しているというような事例もございます。やはりこれは、遠方であれば、浮体式であれば全くそういう地域住民に迷惑掛けることなくこの建設が可能でありますので、浮体式の実証、商用プラントの実現というのは本当に大事ではないかと思います。  したがいまして、この浮体式の低コスト化のために必要な技術開発、これも含めた技術開発ロードマップ、これを今年の四月に策定をいたしたところでございます。第三次補正予算で措置をされましたこの二兆円のグリーンイノベーション基金、これも活用しながら、戦略的に技術開発、実証研究に引き続き取り組んでまいりたいと思います。
  27. 河野義博

    ○河野義博君 浮体式を切り札と言っていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。  残り二問通告しておりますので、これは政府参考人に伺います。  この長崎の洋上風力、浮体式の案件に先行する形で、二〇一一年から、福島復興のシンボルとしまして、また、当時は世界初となる複数基三基が浮かぶという洋上風力の実証実験がなされました。大変残念ですけれども、今年度中に実証設備は実証を終えて撤去するという方針になりました。  六百二十億円を投じて行ったこのプロジェクトであります。当該実証実験によって得られた成果をどのように評価をしておられますでしょうか、またその成果を、この切り札ともいうべき大規模な浮体式洋上風力発電の事業開発に今後どのように生かしていくおつもりでしょうか。
  28. 茂木正

    政府参考人(茂木正君) 今委員から御指摘いただきました浮体式の洋上風力のプロジェクトでございます。  御指摘のとおり、二メガ、五メガ、七メガと、この三つの浮体式の洋上風力安全性、信頼性、経済性、これを明らかにする目的で、複数基としては当時世界初の本格的な実証研究として実施をいたしました。この事業は、令和二年度末までにデータを取得しまして継続しておりまして、事業全体の評価は今年度行うということにしております。  ただ、既に浮体式特有の技術課題については多くの知見が得られているところであります。具体的には、各種浮体、これセミサブ、それからコンパクトセミサブ、アドバンストスパーと三種類の浮体式の実証をいたしましたけれども、そこでの特性ですとか、あるいは風車と組み合わせた場合の挙動や制御方法、こういったデータを蓄積をしております。それから、浮体式の洋上風力を設置する際、あるいは運用する際の様々なマニュアルについても蓄積していまして、こういったものがノウハウとしてしっかりと整備できているというふうに考えています。  今後、この再エネ海域利用法を着実に執行するとともに、こうした事業全体の評価を使いまして事業者が活用できるようにすることで、浮体式を含めた洋上風力発電導入拡大に取り組んでまいりたいというふうに考えています。
  29. 河野義博

    ○河野義博君 やっぱりデータをしっかり開示するということが大事だろうと思います。実際の海の上で、しかも風車の高さで測った風のデータというのは日本国内では余りありません。そのデータは非常に有効なデータであって、陸上のデータとの相関を取れば、風況の確実性を高めることもできます。風車にとって一番のリスクは風です。風の読み方を、その信頼性を高めるためにも、このデータというのをしっかり活用していくべきだと思います。  最後に、再エネ海域利用法における入札が今進んでおりまして、長崎、秋田、千葉で進んでおります。  これ、制度ができたからこその産みの苦しみかもしれませんけれども、これ、十分な議論が経ないままに入札制度が導入をされました。入札制度というのであれば、様々な条件を整えた上で入札とするのであれば分かるんですけれども、それぞれ入札する方々が、地元との合意形成はもとより、環境アセス、地質調査、系統接続、漁業者との調整、全て事業者が、入札する側がやらなきゃならない。にもかかわらず、価格で勝負しますという制度になっておりまして、それはそれで産みの苦しみとして仕方がないかなとは思いますが、行く行くは、やはり国が、ここでできますよと、アセスも終わっている、地質調査もある程度見えている、風もこのぐらい吹きますよという中で、じゃ、入札で幾らで風車建てられますかというのが本来の入札制度だと私は思います。  その点は御理解をいただいて、今、セントラル方式というのを進めていただいておりますが、その日本版セントラル方式の実施内容及び今後のスケジュールをお伺いして、質問を終わります。
  30. 茂木正

    政府参考人(茂木正君) 再エネ海域利用法に基づきまして、今御指摘あったとおり、既にゾーニングによる長期の占用ルール、それから漁業関係者など地元との調整の仕組みなどを用意いたしましたが、一方で、初期段階の基礎調査ですとか系統確保等のこうした取組を複数の事業者が重複して行っているということで、こうした点が非効率だという指摘は受けております。  そこで、開発の初期段階から政府がしっかり関与をいたしまして、より迅速かつ効率的に、風況ですとか地質の調査、それから環境アセスの初期段階の調査、それから適時に系統の確保などを行うと、いわゆる日本版のセントラル方式の確立に向けまして、現在実証事業に着手しているところであります。  具体的には、実証海域を今年、今選定する作業に入っておりまして、都道府県及び事業者に対して情報提供を今月末までということで依頼をしているところであります。また、必要な系統を国があらかじめ暫定的に確保するという仕組みについても整備を進めておりまして、こちらも六月中にも関係機関の規程等の改定を行う予定であります。  今後とも、欧州各国取組を参考にしながら、官民の適切な分担、こうしたことも含めて、仕組みの具体化に努めてまいりたいというふうに考えています。
  31. 河野義博

    ○河野義博君 一日も早くセントラル方式実現させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  32. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  音喜多駿君。
  33. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。  私からは、説明のありました温室効果ガス削減目標などに関連して、自治体のエネルギー消費量のデータ取得問題及び家庭部門のCO2排出実態統計調査について幾つか質問をさせていただきたいと思います。御答弁は政府参考人からで構いませんのでよろしくお願いいたします。  温室効果ガス削減や脱炭素化取組の促進を図るためには、現在の温室効果ガス排出量を正確に算定することが重要なのは言うまでもないことです。そして、地方公共団体は、地球温暖化対策推進法に基づき、地球温暖化対策計画に即して実行計画、これを策定することとなっており、具体的な温室効果ガス排出の量の削減などの措置に関する計画、これを策定しなければならないということになっております。  そのためには、まず、地方公共団体の区域内の温室効果ガス排出量、これを調べる必要があり、電気やガスをどれだけ使われたかという区域内のエネルギー消費量などのデータが重要となっておりました。このデータが地方公共団体実行計画を策定する基礎となりますし、国が温室効果ガス削減政策を打ち出す基礎データにもなっているからです。  しかしながら、こうした区域内のエネルギー消費量等のデータは、これまで自治体の依頼に基づいてエネルギー事業者が提供してきましたが、電力自由化後に提供がされなくなり、自治体が苦慮していると聞き及んでおります。  この点、環境省は実態を把握されておりますでしょうか。また、電力自由化後に失われた情報が実際あるのかどうか、この点、現状の問題点を伺います。
  34. 和田篤也

    政府参考人(和田篤也君) お答え申し上げます。  御指摘いただきました件でございますけれども、地球温暖化対策推進に当たりましては、まず、現状のCO2排出量などを把握することが重要でございます。このため、区域内の排出量をより正確に把握したいと考える自治体におきまして、電力・ガス事業者から区域内のエネルギー消費量データの提供を受けるということが、地方自治体が地球温暖化対策推進する上で有効な方策の一つであると認識しております。  一方、御指摘のとおり、地方自治体におきまして、従前、電力・ガス事業者から提供を受けておりましたこれらのデータにつきまして、電力、ガス自由化以降提供を受けられなくなったという事例が存在していることは承知しているところでございます。  これまで、地方自治体や全国知事会、全国市町村会等の団体から本件に関する御要望をいただいておりますとともに、環境省におきましても、提供を受けられなくなりました自治体に関する調査を自ら行っておりまして、今後も状況把握に努めながら対応してまいりたいと考えております。
  35. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 環境省としては問題は把握していると、そして、自治体からもそういった要望はあったということでありました。そうだとすると、これもう早急に改善の取組環境省が打ち出すべき、こうした大きな政府目標もあるわけですから、改善しなければいけないと考えます。  区域内の排出量の算定は、環境省政策環境省が所管する法律によって求められております。政策、制度が要求するこうした自治体のエネルギー消費量等のデータは、事業者への依頼というリクエストベースに基づくのではなくて制度的に確保されるべき、そうした方策を模索すべきと考えますが、今後の方針を環境省に伺います。
  36. 和田篤也

    政府参考人(和田篤也君) お答え申し上げます。  環境省が昨年度開催しました地球温暖化対策推進に関する制度検討会というものがございますけれども、その取りまとめの中で、データ入手の効率性、市場競争への影響などに留意しつつ、域内に供給された電力、ガスの使用量について地方公共団体が把握できるような具体的な方策を検討し、地方公共団体が域内の排出量をより精緻に推計できるようにすべきであるという御提言もいただいたところでございます。  本取りまとめ、御提言を踏まえまして、現在、具体的にどのような仕組み、委員御指摘の制度が考えられるかなどを資源エネルギー庁と検討を行っているところでございますけれども、地方自治体の地球温暖化対策を一層推進するため、本件につきましては引き続き議論を重ねてまいりたいと考えております。
  37. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 今の点、もう一点。検討を始めて、他省庁、資源エネルギー庁さんとの協調も必要だと思うんですが、検討して、これ、いつ頃結論が出るかとか、そうした現在のところの見通しみたいな、大体のスケジュール感はあるんでしょうか。そこを教えてください。
  38. 和田篤也

    政府参考人(和田篤也君) お答え申し上げます。  今現在鋭意検討しているところでございまして、具体的にこのタイミングというところまではまだ及んでいないところでございます。
  39. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 例えば、東京都などにおいては、水道における大規模なスマートメーターの実証実験などを行っております。このデータ、いろいろスマートメーター等で保管するというようなお話もありますけれども、電力、ガスでも同様に、自治体を通じてスマートメーターの普及促進して、将来的にはそういったもので管理をしてデータを取っていく、こういうことも考えられると思います。  ただ、そうしたインフラは、やはり設置、普及に時間が掛かりますので、やはり現時点でしっかりとデータを採取すると、これを制度的に確保していくということはもうやらざるを得ないということでありますので、環境省としても、早急にこの改善策、そして制度の仕組みというのを確立していただくことを強く要望をいたします。  さて、データ、統計に関連して、家庭部門のCO2排出実態統計調査について一つお伺いさせていただきます。  本調査は統計法に基づく政府の一般統計調査として実施されているもので、先ほどの自治体の依頼に基づいてエネルギー事業者が提供していたデータとともに、家庭部門のCO2排出量を測定するものとして重要な統計の一つとなっています。そして、こうした統計の基となる調査票情報、すなわち個票データがCO2排出量という目的変数に対する説明の要素になるものであって、家庭部門のCO2排出削減省エネを考える上で非常に重要なデータとなっています。  しかしながら、この個票データは、政策のほかには学術、教育目的のみにしか情報提供されないということになっているようで、利用が大変しにくく、手続の負担が大きいということを伺っております。  菅政権は、デジタル庁の設立に動くなど、行政のデジタル化、こうしたものに非常に前向きですから、これは当然派生して、オープンデータ、国や行政が持っている公共に資するデータというのはどんどんこれは公開していこうと、こういうオープンデータの推進というのも期待をされているわけであります。こうしたオープンデータの観点からすると、そして国民、事業者の省エネ協力の観点から、これ、エネルギー事業者などが広く活用できるように、もちろん匿名の処理して、匿名処理された調査票情報は誰でも自由にアクセスできる、ダウンロードして活用できるようにするべきと考えますが、こちら、環境省の見解をお伺いいたします。
  40. 小野洋

    政府参考人小野洋君) お答えいたします。  委員から御指摘ございました家庭部門のCO2排出実態統計調査でございますが、家庭のCO2排出量エネルギー消費量の実態を把握するために、統計法に基づく政府の一般統計調査として実施し、その結果を毎年度公表しております。  これももう委員が先ほど御指摘されたとおりなんでございますけれども、統計法におきましては、調査票情報を匿名処理した匿名データについて、学術研究の発展に資すると認める場合、その他の一定程度の公益性が認められる統計の作成又は統計的研究を行う場合、こういった場合に一般からの求めに応じて提供することができるというふうにされております。  ということでございますので、これは統計法令上、統計の作成又は統計的研究を行わない場合、委員が御指摘されましたように、例えば誰でも自由にダウンロードできるようにするということはなかなか難しいかなと思います。  ただ、この統計調査、様々環境省で分析しておりますけれども、この分析結果を毎年公表する際に当たりましては、国民あるいは事業者に幅広く活用していただけるように十分工夫しながら、その分析、公表を行ってまいりたいと考えております。
  41. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 残念ながら、現時点ではやっぱり一定の制限があって、このデータの自由開放というのはなかなか難しいんではないかということではありました。統計表だけではやはりこれは活用できる情報量に限りがありますから、これ、調査票情報へのアクセスのしやすさというものがやっぱり本統計の価値を高めることになるんじゃないかと思います。  アメリカでは、類似の統計で、匿名処理された調査票の情報は誰でも自由にアクセス、ダウンロードできて、省エネ情報提供サービスの発展に貢献したと、そういった事例もあると聞き及んでおります。あくまで匿名処理されたこの調査票情報が、これプライバシー権を侵害するほどの個人情報に当たるのかどうか、これ是非、政府環境省にもう一度検討していただくということを要望するとともに、デジタル庁の設置ということも本日決定したわけですから、このオープンデータの観点からも、統計制度の改革、これを政府に引き続き求めてまいりたいと考えております。  あともうちょっとあるので、残された資源エネルギー庁にちょっと一問だけ聞きたいんですが。  世界の石油供給について資源エネルギー庁はどのような認識を持っているのかということなんですけれども、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーを増やして石油エネルギーを減らしていくことというのは間違いなく重要なことであります。  そこで、もうちょっと時間ないのでぶっ飛ばしますが、石油の生産予測は、世界エネルギー機構、IEAが発行するワールド・エナジー・アウトルックから考察すると、将来減産していく、石油生産は減少していくんじゃないかと。もう絶対量として石油危機が起こるんじゃないかということを唱えている論者もおりまして、こうした低迷という実態予測考えると、現状を考えると、あながち無視できない考えであると思いますが、政府として、この世界全体の石油供給状況、今後、危機というのが起こり得るのかどうか、そして予測を持っているのかどうか、最後に御見解をお伺いします。
  42. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 申合せの時間が来ておりますので、簡潔に御答弁お願いします。
  43. 南亮

    政府参考人(南亮君) IEAでは、短期的には在庫水準が高く、市場には十分な供給がなされるものの、中長期的には継続的な上流投資が必要との見通しであるというふうに承知しております。  こうした国際機関の見通しでありますが、足下では、二〇二〇年前半の急激な油価下落による上流投資の減少や、昨今の中東地域における地政学リスクの高まりといった環境変化も行っておりますので、引き続き、石油のほぼ全量を輸入する我が国にとって、石油の安定供給確保の重要性は一層増していると思っておりまして、積極的な資源外交ですとかリスクマネーの供給供給源の多角化、こうしたことを通じて石油の供給確保に万全を尽くしてまいりたい、そのように考えております。
  44. 音喜多駿

    ○音喜多駿君 ありがとうございます。終わります。
  45. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  田村まみ君。
  46. 田村まみ

    ○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。今日はよろしくお願いいたします。  御説明ありがとうございました。まず初めに、江島大臣に御質問したいと思います。  本日もパワーポイントを使ってレアメタルを始めとする鉱物資源をめぐる国際情勢を詳細に御説明いただきました。銅を始めとするベースメタルは引き続き二〇三〇年までに自主開発比率八〇%の目標を掲げていますが、先般提出されました総合エネルギー調査会資源燃料分科会の報告書でも、レアメタルについては、かつては自給率目標五〇%していたんですけれども、今回は残念ながら鉱種ごとの安定供給確保に取り組むという記載にとどまっているというような状態です。ただ一方で、今日課題を話していただいたので、相当困難があるということは私も認識をしております。  ここで質問させていただきます。  確保競争の激化によってレアメタル市場高騰が続く中で、特に上流権益確保にも財政上の制約があるとするのであれば、政府説明の今日の三十二ページにもありましたけれども、我が国の限られたリソースとしてできることというのは、技術力を生かした代替素材の開発ではないかというふうに私は思っております。この代替素材、革新素材の開発にこそ国の予算を重点的に投入するべきではないかというふうに考えておりますけれども、ここの重点配分の考え方、予算を含む強化策についてお示しください。
  47. 江島潔

    ○副大臣江島潔君) 田村委員御指摘のとおりだろうと思います。  このレアメタル、それからレアアースでありますけれども、今後日本としても本当力を入れていかなきゃいけない電気自動車あるいはIoT等のこの先端技術産業には本当に欠かせないものでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたが、地政学的なリスクが高い地域からの調達に依存しているのが現状でございます。今委員が御指摘をされたように、このレアメタルレアアースに依存しない産業構造というものを構築するということが今後の日本の将来の行く末を決めると言っても過言ではないかと思います。  今、経産省として、予算措置を講じて幾つか技術開発に取り組んでおります。その例、二つほど例示させていただきます。  まず、レアアース使用量を減らした高性能磁石開発を今進めているところであります。これは、耐熱性向上のために添加しているジスプロシウム等を使わないで従来と同等の性能を発揮できるモーターの実用化、これにめどが立ってきたところでございます。  それから、コバルト、これは非常に偏っていると申し上げましたが、このコバルトあるいはリチウム等を使用しない亜鉛負極電池、亜鉛のマイナス極ということですけれども、これは非常に革新型の蓄電池ということになるわけですが、こういうものの開発等も今進めているところでございます。  経産省としては、この我が国産業競争力を一層強化をしていくという観点から、引き続きレアメタルあるいはレアアースを極力使わないでモーター蓄電池などの重要物資を国内で製造できる技術開発にしっかり取り組んでいきたいと思います。
  48. 田村まみ

    ○田村まみ君 再エネに資するということもそうですけれども、この素材開発、パイオニアがやっぱりグローバル市場を席巻するという構造がこれまでも実証されたことですので、私はやはり、近々ということをおっしゃっていただいたけれども、やはり一番初めに実用化できる素材を市場供給することが日本の産業の維持拡大を支えるものだというふうに思っておりますので、是非、私はまだ足りないというふうに思っていますので、一層の支援の方をお願いしたいというふうに思います。  次に、昨年、総理が二〇五〇年までの掲げたカーボンニュートラルに向けたエネルギー政策についてお伺いします。参考人で結構です。  CCSについて実用化が視野に入る状況となっているというふうに聞いていますが、苫小牧の実証実験以外に我が国での候補地、手を挙げている自治体がないというふうに私は認識をしております。漁業関係者との調整という課題もあるのは承知しておりますけれども、まず、CCSUについては、大規模排出元として、工場は、例えばコンビナート地区や火力発電基地を中心に、もうどこにすればいいかというのも明らかですし、例えば、仮にCCSが火力発電に実装されたとしても、その分のコストを電気代にオンするということであれば、結果的に再エネよりも高くなるようなことなので、コストの低減化に向けても実証技術開発を改めてしていかなければいけません。この実証実験の場所が一か所では不十分です。  今後のこの実証実験をやるというふうに手挙げをしている自治体あるのか、それとも予定としてこういうところありそうという可能性あれば教えていただきたいと思います。あるかないかで結構です。
  49. 山下隆一

    政府参考人(山下隆一君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、確かにコストの低減とか、それからCO2の輸送の問題とか、あるいは関連制度の整備とか、あと、今御指摘ありましたような貯留地の適地の確保というものは課題としてあります。  これ、まだ、そういう意味では、余りにもこのコストの問題とか詰めなきゃいけない論点がかなり多いので、今の現時点では、この苫小牧での実証成果を生かしながら、まず、CO2の分離回収技術の研究開発を通じた更なるコストの低減、それから世界に先駆けた液体のCO2の船舶輸送の技術確立、これを目指すための実証試験、それからCCS事業に対する国内法制度などのビジネス環境整備に関する検討、そして貯留適地の調査、これを行っていくということで、社会実装に向けて迅速に取り組んでまいりたいと思います。  今のところはございません。
  50. 田村まみ

    ○田村まみ君 課題は私も承知しておりますので、乗り越えなければいけない課題はあるというのは分かっているんですけれども、やはり今の時点で新技術といいながらも、やはり時間を要せば、結果的に、海外でほかの実証研究先行したり、我が国技術が劣化、劣後するというようなことになりかねませんので、その見極めも含めて判断をしていかなければいけないということは申し上げたいと思います。  続いて、カーボンリサイクルについて伺いたいと思います。  私は正直、化学の方の授業が苦手でして、ただ、化学物質を別の物質に変えるには、そこに外からのエネルギーを掛ける必要があるということは理解しておりますし、今日も五十一ページの方に、基本的には、CO2を人為的に別の物質に変えるということは、化学産業が日頃製品を作っているのと同じことをするわけなんです。そこには当然、電気を始め莫大なエネルギーを投入しなければならないということは、このカーボンリサイクル課題でもあると思います。  ですが、CO2を別の基幹物質に変える過程でそれ以上のCO2をネットで発生させてしまっては本末転倒になります。二〇五〇年までの真にエコロジーなカーボンリサイクルの革新的な技術の確立が必要だと考えておりますが、ここについてお示しください。
  51. 江島潔

    ○副大臣江島潔君) 御指摘のように、このカーボンリサイクル、これは二〇五〇年のカーボンニュートラルという大きな目標に向けましてキーテクノロジーとなると思います。また、あわせて、日本に競争力がある技術でもあります。  したがいまして、国が支援することによってこの技術開発を促進をするということが大事で、委員のおっしゃるように、先頭を行くということが可能であると思います。  現在、政府の予算事業による支援の結果、既にCO2を原料としたコンクリート、これはもう実用化をしております。それから、CO2を吸収をする藻によるバイオジェット燃料生産、これも実証が始まっているところでございます。また、水素と反応させてメタンを合成するメタネーション技術の研究が進んでおります。私は学生時代化学を学んでおりましたので、こういうことを説明できるのは本当にうれしく思っております。  また、政府による後押しを進めるためには、昨年末にはカーボンリサイクル実行計画、これを策定をいたしまして、克服すべき技術面での課題、それからコスト目標等について検討を深めて、今取組をしているところでございます。  今後でありますが、このような検討を土台といたしまして、先ほどから何度か申し上げておりますグリーンイノベーション基金、これを活用しながら、コンクリート、燃料、化学品等の多様な分野でのカーボンリサイクル技術、これを確立をしっかりしていって、まさに日本が先頭に立てるような、そういう技術を確立をして、これをもって更なるこのコスト低減、あるいは社会実装というものを世界に先駆けて進めていきたいと思います。
  52. 田村まみ

    ○田村まみ君 ありがとうございます。  是非今度、化学の式とか教えていただければと思います。  最後に一問。核のごみや最終処分の問題同様、再エネ、新エネにあったとしても、最終処分までの掛かるコストというのも真摯に目を向けなければいけません。  是非、今日は太陽光パネルに限ってですけれども、これ再エネであっても、最終処分までに環境負荷やコストをどう考えるか、今既にもうこの廃棄の問題出てきておると思いますけれども、こういうことについて、環境省環境大臣としてどうお考えなのか、あっ、済みません、違いましたね、エネルギー庁に、ついてお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  53. 茂木正

    政府参考人(茂木正君) 今御指摘ございました太陽光パネルでございます。もちろん、太陽光パネルも含めまして、再エネ拡大していくときには、やはりライフサイクル全体で環境負荷や社会コストというのをどう抑えていくかと、こうした視点が大事だというふうに考えています。  その上で、太陽光については、これ、多様な事業者が多く参画しまして事業主体が変更されやすいという特性があるものですから、将来これ、放置ですとか不法投棄ですとか、こういった懸念がございます。それから、太陽光パネルは、種類によっては鉛とかセレンとか、こういう有害物質が含まれるということでありますので、こうした懸念にも対応していく必要があります。  もちろん、パネルの適正処理というのは、これは廃棄物処理法に基づきまして事業者が行う義務があるわけですが、その際の費用をしっかりどうやって確保するかということが大事でありまして、この点については、昨年の六月に成立しました改正再エネ特措法、この中で、事業用の太陽光の発電を対象にしまして、源泉徴収的に外部積立てを行わせると、これも事業終了までの十年間で積み立てていくという仕組みをつくったところでありまして、これ来年の七月から積立ての開始を行いますので、それに向けた今準備、周知を進めているところであります。  こうした取組やりながら、ライフサイクル全体での環境負荷や社会コストにも配慮しながら再エネ拡大を進めてまいりたいというふうに考えます。
  54. 田村まみ

    ○田村まみ君 ありがとうございました。  環境省には是非、再エネもですが、省エネの方を、しっかり私たちが取り組めるということでお願いしたいと思います。  以上です。
  55. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  山添拓君。
  56. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  政府は、二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標を二〇一三年度比四六%削減とすると表明しました。従来の二六%減の目標からは上積みですが、気候危機打開に求められる水準からは大きく立ち遅れています。  この目標は、IPCC、国連気候変動に関する政府間パネルの一・五度目標との関係では科学的に説明できるのかどうか、環境省に伺います。
  57. 小野洋

    政府参考人小野洋君) お答えいたします。  IPCCの一・五度特別報告書におきましては、地球温暖化を一・五度に抑える排出経路といたしまして、二〇五〇年前後に世界全体のCO2排出量は正味ゼロ近辺であるということが示されておりまして、我が国が、昨年十月、総理表明されました二〇五〇年カーボンニュートラルもこれを踏まえたものであるということでございます。さらに、今回総理表明された新たな二〇三〇年目標につきましても、我が国の二〇五〇年カーボンニュートラル目標と整合的なものとして、次なる成長戦略にふさわしい野心的な目標であるというふうに考えてございます。  目標達成は決して容易なものではございませんけれども、今後、施策を具体化し、着実に実行していくことが重要であると考えております。  環境省といたしましても、経済産業省を始め関係省庁としっかり連携いたしまして、今後十年間の間に地に足の付いた取組がどれだけ進められるかということについて、再生可能エネルギー最大限導入地域の脱炭素化など、施策の具体化を加速してまいりたいと考えております。
  58. 山添拓

    ○山添拓君 今答弁されなかったんですが、IPCCは、二〇三〇年目標としては二〇一〇年比で四五%削減です。日本の四六%削減というのは、二〇一〇年比にしますと四二%ですので若干足りないわけですね。一・五度目標と必ずしも整合しているわけではないと思います。しかも、この数字は積み上げたものではないとされていますので、今お話もありましたが、実効性が問われるのはそのとおりだと思います。  次は経産省に伺います。  グテレス事務総長は、日本など豊かな国が三〇年までに石炭火力を段階的に廃止することが必要だと述べています。  NPO法人気候ネットワークは、三〇年までの石炭火力フェーズアウト計画を発表し、効率の低い技術から順に廃止する、建設中も含めて百七十九基全てをフェーズアウトすべきだとしています。  ところが、政府は、非効率な石炭火力については休廃止を進めるものの、新規の建設は続けて温存しようとしています。三〇年四六%減、その目標との関係で、二〇三〇年時点では何基を止めて、設備容量では何割程度減ることになると考えていますか。
  59. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  今御指摘いただきました石炭火力を含みます火力発電というものについて申し上げますと、現状では、今、電力の安定供給の中核を成しているのがこの火力発電になってございます。他方で、石炭を中心に炭素排出という面ではなかなか難しい面がありますし、カーボンニュートラルを目指す上では、これは安定供給大前提にということになるわけでございますけれども、その発電比率をできるだけ引き下げていくということが基本になると私ども認識してございます。  こうした状況の下で、我が国の状況を踏まえるならば、まずは非効率石炭火力についてこれをフェードアウトしていくという方針で考えているところでございまして、省エネ法の規制強化により、原則非効率石炭について休廃止を求めていくということにする一方で、安定供給と両立させるという意味では、設備は維持しながら稼働率を下げていくという措置、さらには、柔軟な措置といたしまして、非効率石炭火力アンモニア混焼等を導入して発電効率自体を最新鋭のUSCの水準にしていく取組を認めるといったことで、非効率発電所のフェードアウトと効率的なものへの転換というものを着実に進めていくという方向で進めたいと考えております。  現時点で、二〇三〇年での基数及び割合については、まだ算定しているものではございません。
  60. 山添拓

    ○山添拓君 非効率は減らしていくと、高効率は有効活用ということなんですけれども、それは三〇年二六%減の目標の下での政策ですから、今度野心的な目標を掲げたということですので、目標だけ野心的では意味がないので、やはり野心的な対策を練っていかなければならないと思いますし、そのためには、二〇三〇年全廃と、これが目標達成との関係で不可欠だと思います。国が方針を示して事業者との計画を急ぐべきだと指摘したいと思います。  同時に、このカーボンニュートラルは原発ゼロで実現すべきであります。これは十分可能な目標です。明日香壽川参考人は、IEA、国際エネルギー機関の資料を示して、各エネルギー温室効果ガス排出削減コストや雇用創出数を説明されました。原子力を新設した場合、コストは高く雇用も生まないと、メガソーラーは、雇用を生みコストも小さいと、少なくとも原発は温暖化対策としてはお勧めでないということが数字に基づいて説明されているとお話しでした。  経産省に伺いますが、新設の場合は、原子力は太陽光や洋上風力に比べてコスト面で劣ると、このことは政府としても認識されていますか。
  61. 小野洋太

    政府参考人小野洋太君) お答え申し上げます。  電源別の発電コストにつきましては、今現在、専門家におけるワーキンググループにおきまして議論を進めている状況でございます。特に、原発の発電コストについても御指摘ございましたけれども、二〇一五年のコスト検証の際に専門家より整理された考え方を踏襲して今検討しておりまして、新規制基準への対応を踏まえた追加的安全対策費の増額、それから福島原発事故への対応費用の増額等につきまして、直近の状況を適切に反映できるよう、今検討を進めているところでございます。
  62. 山添拓

    ○山添拓君 いや、せっかくこの調査会で意見も伺いましたので、その下で、原子力は太陽光や洋上風力に比べてコスト面で劣るということが国際的にも指摘されていると、それ自体は経産省としても把握されていると思うんですけど、いかがですか。
  63. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 小野調整官、少しマイクを下げるか、口を近づけて発言してください。
  64. 小野洋太

    政府参考人小野洋太君) はい、失礼いたしました。  御指摘の原子力のコストも含めまして、エネルギー政策に関しまして様々な分析や御意見があることは承知しているところでございます。
  65. 山添拓

    ○山添拓君 様々な分析がありますので、既に、早く進めていただきたいと思うんですけれども。日本で原発を稼働する場合は再稼働になります。旧型のものを、既設原発を運転する、その場合のコスト試算もしていただきたいと思います。より高くなると思います。  石炭火力を止め、原発ゼロを実現した場合にも、エネルギー安定供給は可能です。  明日香参考人は、過去三年間の各電力管区のデータを使って、需要が高く再エネ発電も少なかった日を選んで、石炭火力ゼロ、原発ゼロとした場合のシミュレーションを説明されました。この場合に困るのは北陸電力と四国電力の管区で、特に夏の夜でしたが、逆に言えば、そこさえ対応できれば困らないと、こういう御意見でした。ほかの管区から融通したり、需要側で調整をしたり、あるいは蓄電池を使うなり、様々対策も考え得るのではないかと、そういう意見でした。  そこで、経産省に伺いますが、政府としても、石炭火力ゼロ、原発ゼロを前提とした場合に電力不足が生じ得るのか、それはいつどこで生じ得るのか、具体的な検討を行ったことはありますか。
  66. 松山泰浩

    政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。  明日香参考人の提出されましたシミュレーションについては、大変興味深く私も拝見させていただきました。原子力、石炭、石油火力というのがないという中で、再エネが非常に伸びてきたときにどういう形で安定供給実現するかというのは非常に大きな課題だと思います。  太陽光が出ない夏の需要に対してどう対応するか、また、昼であっても太陽光、風力が出ないときにいかにバックアップするかという調整力の問題、さらには、地域の中における偏在に対してどう対応するか、こういったものを、現行においていえば火力という形で供給量を持っているわけですけれども、若しくは調整力として持っているわけですけれども、これを蓄電池若しくは連系線の大強化ということで対応していくということも一つのアプローチかとは思います。ただ、実際これを安定供給ということを考えていく中では非常に悩ましい面もたくさんあるように考えてございます。  このいただいた、提出された試算見ますと、最終エネルギー消費が大体三割ぐらい減っているわけでございますけれども、それがすなわち電力消費も三割減るという試算を置いて、非常に小さな電力消費だという前提で計算していくとこういう試算になるというところが本当にうまくいくかどうかという問題、さらには、LNG火力一〇〇%フル稼働ということで考えていらっしゃるわけですけれども、先ほども申し上げた、夜のときの需要に対する対応としての蓄電池、若しくは非常に広いエリア相互における融通のときの連系線容量がどれぐらい必要になってくるかという、こういった問題も考えなければならないことだと思います。  また、私ども、今年の冬の需給逼迫もございましたし、胆振東部若しくは台風十五号というような災害リスクに対する対応ということを、通常、電力安定供給を考えるときには必ず考えて、念頭に置いた上での予備力ということを持つわけでございます。こういったリスク対応というものをこれはどう考えていけばいいものなのかと、こういったことも念頭に置きながらシミュレーションする必要があるかと思っております。  例年、春と秋と、夏、冬に向けた需給逼迫に対する対応ということで需給検証を行っているわけでございますが、本日広域機関で承認されました報告書によりますと、今年の夏、恐らく三・七から三・八%と、予備率、安定供給ぎりぎりのラインでございます。さらに、今年の冬は初めて〇・二%から〇・三%、安定供給ラインを割り込む形の試算が出てございます。  現状におきましてなかなか厳しい供給力の状況にある中で、カーボンニュートラル実現していかなきゃならない。ですので、この先ほど申し上げました様々な課題に対する対応を根本的なところも含めて計算していかなきゃいけない、考えていかなきゃいけない。シミュレートという意味では、私ども、需給検証の中でしっかりとやっていきたいと考えておりますし、現実的な形での対応策というのを考えていきたいと考えております。
  67. 山添拓

    ○山添拓君 時間ですので終わりますけれども、いろいろ考えなくちゃいけないことがあるというのは確かです。その際、原発ゼロを前提とするシミュレーションも是非行っていただきたいと。  原発がなければ全国で電気が足りなくなるなどということはありません。検討もせずに原発なしには不可能だと、こういうふうにするのではなく、省エネを進めて電力需要そのものを減らし、デマンドレスポンスなど需要をシフトする、何より再エネ導入促進でカーボンニュートラルを原発ゼロで実現することを求めて、質問を終わります。
  68. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。──他に御発言もなければ、本日の質疑はこの程度といたします。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  69. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 速記を起こしてください。  次に、中間報告書を取りまとめるに当たり、これまでの調査を踏まえ、委員間の意見交換を行います。  まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。  発言を希望される方は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願いいたします。  また、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、発言時間は一回当たり五分以内となるように御協力をお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、発言のある方は挙手をお願いいたします。  滝波宏文君。
  70. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 自民党の滝波宏文です。  調査会の二年目は「資源安定供給等」をテーマとして取り扱い、参考人から幅広い視点でお話を伺い、議論を重ねてまいりました。  今般、中間報告書を作成するに当たり、資源安定供給確保に向けた対応と二〇五〇年カーボンニュートラルに向けたエネルギー政策の方向性について述べさせていただきます。  まず、国際動向を踏まえた資源安定供給確保についてです。  鉱物資源は、我が国が高い競争力を持つ製造業に不可欠であり、そのほぼ全量を海外に依存しています。カーボンニュートラルへの移行に向けて鍵となるバッテリー、半導体等の生産にはレアメタル等の鉱物が欠かせませんが、鉱種ごとに地域偏在性が高く、価格の変動幅が大きいなど、安定供給課題が数多くあります。  一方、今後、国際的な獲得競争は更に熾烈を極めていくことが予想されています。例えば米国電気自動車メーカーのテスラ社は、バッテリーに必要なリチウム等について、米国内の鉱床の権益確保資源メジャーとの調達交渉に乗り出すなどしています。世界最大手の中国バッテリーメーカーCATL社は、カナダの資源会社に出資し、アルゼンチンのリチウム開発に乗り出したとの報道もあります。また、その多くを中国に依存するレアアースについては、過去、輸出が止まるレアアースショック発生するなど、常に供給途絶リスクをはらんでいます。  これに対し、鉱山権益の確保による供給源の多角化や、製錬工程も含めたグローバルサプライチェーン強靱化資源外交向上、WTOなどでのルール作りへの関与、国家備蓄制度の充実など、上流から下流まで抜かりなく政策手段を組み合わせ、戦略的に取り組むべきと考えます。  あわせて、従来のサプライチェーンを超えた資源開発の新たな可能性を追求する必要があります。新規の鉱山開発リスク、コストが上昇傾向にある中、リサイクル資源技術レアアースフリーの磁石など、省資源代替技術開発は大きな可能性を秘めています。持続可能な開発の観点からも、こうした取組を更に進めることが必要です。  もう一つの可能性が、国産の海洋鉱物資源です。  我が国領海及び排他的経済水域世界第六位の広さであり、南鳥島周辺などで、レアメタルレアアースを含む鉱物資源のポテンシャルが存在します。これを利用可能なものとするためには、十分な資源量の把握や生産技術開発、経済性の確保環境影響の評価など、解決すべき課題が数多く存在しています。しかし、海外の政策等に左右されないよう国家戦略として、商業化に向けた取組を計画的に進めていくことが重要であります。  以上のように、資源安定供給確保には多くの課題がありますが、現実的で責任ある資源政策を進めていかねばなりません。  次に、カーボンニュートラルに向けたエネルギー政策の方向性についてです。  菅義偉総理は、二〇五〇年カーボンニュートラルに続き、先月の気候変動サミットにおいて、二〇三〇年度における我が国温室効果ガス排出を二〇一三年度比四六%削減を目指し、さらに、五〇%の高みに向け挑戦を続けていくと表明しました。これまでの目標を七割以上引き上げるものであり、大変意欲的な目標です。  一方で、その達成は決して容易ではありません。資源が乏しく、周囲を海に囲まれた我が国では、エネルギー安全保障、経済性、環境適合、そして安全性の、3EプラスSを、全て単独で満たすエネルギー源は存在しません。カーボンニュートラルを目指す上で、再エネ最大限活用すべきですが、年初の電力需給逼迫でも明らかになったように、再エネの出力変動に対応した調整力の確保や、平地や遠浅の海が少ないなど我が国における立地制約、そしてFIT、固定価格買取り制度で既に消費税一%分を超えている国民負担増大などの問題は避けられず、再エネ導入には限界もあります。  我が国の国力維持向上カーボンニュートラルとを実現させるためには、最新炉リプレースの検討も含め、自由諸国最高級の国産技術であり、準国産エネルギーとして海外にも、そして、天候にも左右されず、安定、安価、大容量の電気を供給できる原子力最大限活用に向け、しっかりとかじを切ることが不可欠です。
  71. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 時間ですので、おまとめください。
  72. 滝波宏文

    ○滝波宏文君 はい。そうしないと、人材も技術も、そして立地も維持できません。  以上のように、現実で責任のある資源エネルギー政策を進めていきたいと思います。よろしくお願いします。  以上です。
  73. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  塩村あやか君。
  74. 塩村あやか

    塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村あやかでございます。  本調査会二年目の調査の締めくくりに当たりまして、意見を表明いたします。  初めに、資源安定供給です。  日本国内における鉱物生産はほぼゼロと、海外依存が顕著な実態にあります。カーボンニュートラル実現するためには、レアアースコバルトといったレアメタルが欠かせませんが、レアメタルには、主に中国やアフリカで生産されています。こうした国では、環境配慮に欠けた生産や人権侵害の懸念される労働といった深刻な問題があると言われています。  そこで、鉱物資源を適切な方法で安定的に調達をするためには、資源調達先の多角化の取組が求められるとともに、一日も早い海外依存からの脱却、すなわち、資源自給率の向上に直結をする資源リサイクル取組が欠かせません。  資源リサイクルは、鉄やアルミなどのベースメタルでは既に広く行われていますが、レアメタルなど、製品にごく少量使われる貴重な資源についてはまだまだ十分ではありません。  そこで、製品のトレーサビリティーを確立するなどによってリサイクルをしやすい環境を整えるとともに、効率的かつ安定的な回収方法を実現するための研究開発により一層支援をすることが重要であります。  参考人質疑の中でもありましたが、鉄道やバスなどの公共交通機関を積極的に利用することで、資源消費だけではなく環境負荷も大きく下げることもでき、参考人は、社会性という意味でも、将来的にも重点的に進めるべきとの意見も忘れてはいけません。  また、再生可能エネルギーによるエネルギー供給実現することでエネルギーの自給自足を目指していくメリットを強調しておきたいと思います。燃料資源の海外依存を回避することで、資源購入のために年間十七から二十兆円の国富の海外流出を止めることができるようになるとともに、エネルギー安全保障を高めることが可能となります。  次に、地球規模課題であるカーボンニュートラルであります。  昨年十月、菅総理カーボンニュートラルを宣言いたしました。国際的にも経済規模が大きな日本がこうした宣言をすることは大変重要なことであります。ただ、ほかの国の動きに比べるとやや遅きに失したとも思われ、そのため、日本は総力を挙げてカーボンニュートラルに取り組まなければなりません。  昨年の当調査会で、私は、エネルギー政策におけるパラダイムシフトを図らなくてはなりませんと意見を表明いたしました。しかし、再エネ主力電源化や石炭火力発電からの脱却は足踏み状態にあります。日本における再エネ導入の状況を、FIT、設備導入量で見ますと、二〇一四年、二〇一五年には一千万キロワット近くでしたが、その後は六百万キロワット台にとどまっており、その上、国内の石炭火力発電所の廃止はほとんど進んでいません。  一方で、政府施策を見ますと、水素アンモニアの活用といった目新しいものが並びますが、いまだ研究開発の段階にあります。一日も早い再エネ主力電源化カーボンニュートラル実現のためには、限られた国の予算を再エネやこうした分野に集中し、世界を牽引するべきで、石炭火力原子力に浪費して、気付いたらここでも日本は時代遅れになってはいけません。  最後に、原発です。  原発をめぐりましては、平成二十三年三月十一日から十年たった今も国民の不安が解消されないまま、とうとう東電柏崎刈羽発電所で、テロ対策の不備という国の安全保障上の問題が発生をいたしました。こうした大問題を引き起こした東電に原発を運用させてはならないということは言うまでもありません。  さて、原発は二〇五〇年カーボンニュートラル実現に必要との声があることは承知をしています。しかし、原発事故は、一旦起きてしまえば取り返しの付かないということはもう誰もが知っています。その上、高い放射線を出し続ける使用燃料の最終処分地さえ未決定のまま原発を使用して更に使用燃料を増やすようなこと、これは到底許されることではありません。廃炉や核のごみまで含めるとコストも莫大で、ほかの比較にはなりません。エネルギー政策の在り方として、原発という負の財産、これは今すぐに断ち切らなくてはいけません。そして、再エネという純国産のエネルギー最大限の活用に的を絞った施策を堅実かつ着実に進めることこそが日本の進むべき道です。  以上、意見を申し上げました。  最後になりますが、コロナ感染症が今も猛威を振るっています。その一日も早い収束を図りつつ、コロナ後、そして未来に向けて、社会経済の礎である資源エネルギーについて与野党の枠を超えた議論が期待される当調査会の更なる活性化のため、尽力をしてまいります。  ありがとうございました。
  75. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  河野義博君。
  76. 河野義博

    ○河野義博君 公明党の河野義博です。  資源鉱物をめぐる状況、それからカーボンニュートラル、それぞれ分けて発言させていただきます。  資源燃料をめぐる状況に関しましては、本調査会の参考人との意見交換の中で、やはり輸入元、すなわち調達先の多様化が大変重要であるということ、それから、国内で一旦利用したものを回収し、そしてリサイクルする、その体制の確立が重要であるという点、また、代替材料をしっかりと探っていく研究開発を進めていると、こういう大きく論点として三点あったかというふうに思っております。  いずれの論点ももう長らく指摘をされていたことでありまして、もう私が議員になった直後からこの議論というのはずっと繰り返されてきております。特に、回収リサイクルにおいては都市鉱山が大事だということはもう長らく言われてきた中で、やはりいまだにそういうビジネスモデルとして確立されていないということが非常に問題でありまして、早くやっぱり商業ベースに乗るような回収リサイクルシステムというのを確立させなければならないし、その過程において立法府が果たすべき役割というのは大きいんだろうというふうに思っておりますので、これは、議員の先生方、また政府もしっかり後押しをしながら進めていく必要があるというふうに考えてございます。  そして、二つ目の論点でありますが、カーボンニュートラルに関しても、この調査会で知見を深め、意見交換を続けさせていただいてまいりました。  菅政権が誕生して、二〇五〇年カーボンニュートラルという大方針を打ち出しました。このこと自体は非常に高く評価をされるべきことだと思っております。時同じく、バイデン政権がアメリカで誕生しました。バイデン政権も、二〇五〇年カーボンニュートラルということを明確に打ち出し、パリ協定への復帰をいたしました。  見逃してはならないことは、米、中、インドといった排出大国をどのように協調して地球の温暖化を食い止めていくかということであります。中国も、二〇六〇年カーボンニュートラルを宣言をいたしました。二〇一八年ベースでいいますと、世界排出量の約三割が中国、一五%がアメリカ、そしてインドが七%でありまして、こういう排出大国といかに協調して減らしていくかということが鍵でありまして、幾ら国内で叫び続けても、これは国際協調の中で地球温暖化を食い止めていくという観点が大事でありますので、やっぱり中、米が大きくかじを切ったということは非常に、看過してはなりませんし、協調して取り組んでいかなければならないことだろうというふうに思っています。  その過程で、論点としては三つ、私は大きくあるなというふうに考えています。  カーボンニュートラル、国内のカーボンニュートラルを目指すに向けては、先ほども申し上げましたが、やはり国の形を変えるいいチャンスだと思っています。日本は長らく食料や資源を海外に依存してきました。このカーボンニュートラル実現に向けて、脱炭素という大きなテーマと、やっぱりエネルギー自給率向上というものを、これは同時に実現していかなければなりません。  鉱物資源燃料の輸入を最小限にとどめておくということが非常に大事なんではないかなというふうに思っておりまして、今、電力の再エネ化というのは議論の中心になっていますが、電力だけではなくて、そもそも一次エネルギー供給の再エネの主力エネルギー化ということに取り組んでいかなければならないと私は考えています。  毎年、化石燃料我が国は約二十兆円輸入をしています。直近十年間で申し上げますと、約十二兆円から二十八兆円のレンジで毎年輸入をし続けてきています。このエネルギー輸入をする、エネルギー自給率が僅か一二%しかない我が国原子力発電所がフルに稼働していた二〇一三年以前でも、エネルギー自給率というのは二割しかありませんでした。  そういった国の形を変えるいいチャンスでありますし、そういった観点で進めていかなければならないというふうに思っております。  電力の再エネ化ではなくて、一次エネルギーの再エネ化でカーボンニュートラル実現していかなければなりませんし、加え、徹底的な省エネを行い、様々なロス率を減らしていく、そういった観点で達成していくべきだろうというふうに思っております。  時間が参りましたので、終わります。
  77. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  梅村聡君。
  78. 梅村聡

    ○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。  今国会の調査において、専門家の皆様、有識者の皆様、そして本日の質疑を通しまして様々な知見が得られたと思っております。幾つかの重要なポイントを述べさせていただきたいと思います。  一つは、本日もありましたが、レアアースに代表されるような、地域偏在をしており、かつ日本の産業の命運を左右する資源確保についての課題です。  人件費のみならず環境コストを極限まで切り詰め、環境に甚大な影響を与えつつ、正当なコストが含まれていないような低価格世界レアアース市場を押さえることにある意味中国は成功してきたということが言えると思います。こういったレアアースに関して言いますと、資源そのものは潤沢にあり、精製コストや投資回収の観点から、資源産出地が中国に集中をしてきたということが言えると思います。  そして、我々日本としましても、例えば環境対策をきちんとしていない鉱山からは資源を買わないといったような行動を国際的な枠組みで行っていくことが、結果として中国一極集中を打開する切り札になるのではないかというふうに考えております。  また、我々日本、工業国としましても、世界をリードすべき分野資源リサイクルが挙げられると思います。  リサイクル技術革新そのもののみならず、ある製品リサイクルのしやすさを高めることやリサイクル率の目標設定、さらには製品の物質のトレーサビリティー確保など、リサイクルを行うインセンティブが製品側に発生するような仕組みづくりが重要で、そしてまた、そのような生産活動を行っている企業が適切に評価される日本になることが重要であると、改めて認識をいたしました。  脱炭素社会への移行、カーボンニュートラルの観点で申し上げますと、まずは二〇三〇年、二〇五〇年に向けての我が国電源構成について、より現実的な路線を構築する必要があると考えました。  現状のエネルギーミックスと、そして石炭火力を漸減させていくということを考えますと、やはり数学的な数字の上では、再生可能エネルギーの割合が一定割合以上になっていくということが想定されると思います。省エネと同時並行にそれを進めたとしましても、電力料金の負担増をどの程度許容することができるのか、これは多くの国民参加する対話型の議論、そして熟議というものが私は必要になると思われます。その議論が一定の幅の中に収束できるように、政治側も、そして行政側も適切にリードしていく必要があると、このことも指摘をしておきたいと思っております。  最後になりますが、これらの資源の安定確保安定供給に携わる人材育成を国もしっかりサポートする必要性を指摘しておきたいと思います。  資源安定供給に関しましては、国民の理解と納得を得られる現実的な、そして長期的視点に立った戦略的な取組に向けて、我々はこれからも真摯な議論を続けていかなければならないと思っております。  以上で私からの意見表明を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  79. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  舟山康江君。
  80. 舟山康江

    ○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。  この調査会の二年目のテーマは「資源安定供給等」ということでありました。何回かにわたりまして参考人の方々から様々な意見をいただきまして、私にとりましては本当に有意義な議論だったなと感じております。  今、世界全体で取り組むべき大きな課題は、SDGs、持続可能な開発目標実現であり、つまりは、地球環境への負荷をできるだけ低減することだと考えています。  CO2削減課題の一つであり、鉱物資源などの有限資源をいかに持続的に利用していくのか、生物多様性を失わせずに節度ある開発に取り組んでいくのか、カーボンニュートラルに取り組む際に是非この観点を組み込まなければいけないということを強く感じました。  その際、まず一点目ですけれども、鉱物資源に関しましては、先ほど申しましたとおり、有限資源であり途上国に偏在していると、こんな特徴があります。安定供給我が国として、この鉱物資源安定供給確保に向けた取組をしっかりと行っていくことは当然ですけれども、それに当たりましては、やはり資源国環境や人権にもしっかりと配慮すべきであると考えています。それは二国間での取組はもちろんですけれども、多国間での国際連携、国際ルール作りに向けても日本も主導的な役割をやはりしっかりと果たしていただきたいと考えています。  あわせて、リサイクルですね、リサイクルに取り組む、これも参考人の方から御意見がありましたけれども、やはり資源のない日本としては、都市鉱山という言葉もあるとおり、様々な製品に入っているこのレアアース鉱物資源類をいかにリサイクルするのかということも非常に大事だと考えていますけれども、日本はリサイクルに取り組む業者が少ないし小さいという指摘がございました。  リサイクルのインセンティブをしっかりと付与し、そしてまた、リサイクルしやすい製品作りというものももっと進めていくべき、こういったことを国が主導していただきたいと思いますし、もう一つは、やはりこの鉱物資源に頼らない代替素材の開発というのもまだまだ遅れていると考えておりますので、しっかりとこういったところにも取り組むべきだと思います。  もう一点は、カーボンニュートラルに向けたエネルギー政策に関して、これに関しては大きく三点指摘をさせていただきたいと思います。  一つは、やはりライフサイクル全体、つまり製造から廃棄までトータルとしてCO2を始め環境負荷をいかに減らしていくのかということの配慮が必要だということであります。  二点目は、今後のエネルギーの在り方として、やはり地方の雇用確保のためにも小規模分散型の取組が鍵になると思います。そういう中で、各地で様々な再生可能エネルギーの事業が進められておりますけれども、残念ながら一方で、特にメガソーラーの建設の際に代表されるように、地域での反対運動、地域でのあつれき、様々なトラブルが起きているというのもこれ事実です。  そういう中で、事前に地域における合意形成が必要であり、これ農山漁村再エネ法という法律があるんですけれども、この中では、事前に基本計画を作って協議会の中でしっかりと議論をする、地域住民、自治体、そして事業者と、一緒にその中で議論をして、合意ができたものからしっかり再エネ事業に取り組んでいくというような仕組みをつくっています。一見遅いようでありますけれども、事前の調整が行われることによって、結果的にあつれきを生むことなく、地域の皆さんとも共存しながらの取組になっていくと思いますので、全体として、今後再エネカーボンニュートラル実現するためにはこの再エネ加速化も必要だと思いますので、是非こういった仕組みも更に前進させる必要があると考えています。  三点目ですけれども、やはり再エネはもちろんですけれども、省エネ取組というのもこれ非常に重要だと思います。住宅部門ですとか様々なところでまだまだ省エネ取組我が国は遅れていると考えています。大分様々な新しい素材もできていますけれども、再エネ、もちろんエネルギー供給の多様化もそうですけれども、省エネへの取組についても更に加速化させていく必要があると考えています。  地球への負荷をできるだけ低減させ、持続可能な生活を実現するためにも、今後ともこの調査会を中心として議論を重ねていきたいと思っています。  以上です。
  81. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  山添拓君。
  82. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  調査テーマである「資源安定供給等」に関して意見を述べます。  気候変動対策は、地球上における人類の生存が懸かった問題であり、資源エネルギー政策検討する前提というべきです。地球の平均気温産業革命前と比べて一・二度上昇し、集中豪雨や熱波、森林火災など、世界各地で既に目に見える深刻な事態が生じています。  IPCC、国連気候変動に関する政府間パネルが二〇一八年に発表した特別報告書は、産業革命前に比べ二度上昇した場合、洪水や永久凍土の融解などのリスクが一・五度上昇の場合よりもはるかに高まると指摘し、早ければ二〇三〇年にも一・五度以上の上昇となることを警告しました。一・五度上昇は地球にとって臨界点であり、それを超えると温暖化を加速させる現象が連鎖し、暴走を始める可能性も指摘されています。二〇三〇年が、その先の未来への分岐点と言っても過言ではありません。  特別報告書は、一・五度上昇を抑制するには、二〇三〇年までに世界全体で温室効果ガス排出量を二〇一〇年比で四五%削減し、五〇年までに実質ゼロにする必要があるとしています。今般菅政権が掲げた二〇一三年度比四六%減は、一〇年比換算では四二%減であり、整合しません。EUや米国を始め先進国で五〇%以上の削減が当たり前のときに、世界第五位の排出国が四六%減では、世界の脱炭素のリーダーシップを取っていくとは言えません。  日本の温室効果ガス排出量の四割を電力部門が占めており、排出量が最も多い石炭火力の全廃が緊急の課題です。ところが、政府は、国内外で石炭火力を温存し推進する政策を改めようとせず、新規の建設まで進めています。CO2を出さないゼロエミッション火力をうたいますが、実現の保証はありません。二〇三〇年は目前です。石炭火力に固執するのはやめ、フェーズアウト計画を直ちに策定し、海外の石炭火力発電への支援を停止すべきです。  同時に、脱炭素電源として原発への依存を強めようとする動きも看過できません。東京電力の柏崎刈羽原発で、IDの不正利用に続き、テロ対策設備の機能喪失が発覚し、運転禁止命令が出されるに至りました。原発再稼働を進める他の電力会社においても、運転差止めや設置許可取消しを命ずる司法判断が相次いでおり、原発依存は前提を欠きます。  福島原発事故から十年、安全神話の下で過酷事故を引き起こし、想定外と責任を否定してきた政治の下、新増設やリプレースはもちろん、老朽原発を延命してまで再稼働を強行することは断じて許されません。脱炭素は原発ゼロで十分に実現できます。再生可能エネルギーの抜本的な導入拡大が必要です。  本調査会では、カーボンニュートラルは進むべき方向ではあるが、コストを意識することが必要だという意見も述べられました。しかし、明日香壽川参考人が指摘したように、世界の現状として、原子力や石炭は圧倒的に高く、太陽光や風力はその半分ないし三分の一の値段になっており、しかも低コスト化が加速する局面です。松下和夫参考人は、地域資源、人材、技術を生かすことが重要だと指摘しました。石炭火力や原発といった大規模集中型の電源と比べて、太陽光や風力など小規模分散型の電源は雇用をつくる力も強く、地域循環共生圏につながります。コロナ危機を経たグリーンリカバリーは、地域分散と地産地消のエネルギー開発で進めるべきです。  カーボンニュートラルは、原発ゼロと省エネ推進、再エネの飛躍的普及実現すべきであり、それが政治の役割です。野党は既に、原発ゼロ基本法案とその実施法である再エネ推進法案を国会に提出しています。委員の皆さんの賛同を求めます。  最後に、国連の持続可能な開発目標、SDGsは、地球の限界を超えないということと同時に、貧困や格差の解消を柱としています。気候変動対策鉱物資源開発と貧困や格差の是正をセットで進める。そのためには、社会の利益より企業のもうけ、利潤追求を優先する新自由主義的な在り方を変え、企業には社会的責任を果たさせることが不可欠であることを強調して、意見とします。
  83. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。──他に御発言もなければ、以上で委員間の意見交換を終了いたします。  各委員におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。  本日伺いました御意見も踏まえ、各理事とも協議の上、中間報告書を作成してまいりたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会