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2021-02-24 第204回国会 参議院 資源エネルギーに関する調査会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年二月二十四日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         宮沢 洋一君     理 事                 滝波 宏文君                 三浦  靖君                 宮崎 雅夫君                 青木  愛君                 河野 義博君                 梅村  聡君                 田村 まみ君                 山添  拓君     委 員                 阿達 雅志君                 こやり隆史君                 自見はなこ君                 高階恵美子君                 高野光二郎君                 高橋はるみ君                 藤木 眞也君                 宮島 喜文君                 岸 真紀子君                 塩村あやか君                 森屋  隆君                 竹内 真二君                 新妻 秀規君                 音喜多 駿君                 舟山 康江君                 市田 忠義君    事務局側        第三特別調査室        長        亀澤 宏徳君    参考人        東京大学名誉教        授        山冨 二郎君        早稲田大学理工        学術院教授    所  千晴君        東京大学学長        ・生産技術研究        所教授      岡部  徹君     ─────────────   本日の会議に付した案件原子力等エネルギー資源に関する調査  (「資源エネルギー安定供給」のうち、資源  の安定供給等資源開発の新たな可能性))     ─────────────
  2. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) ただいまから資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  原子力等エネルギー資源に関する調査を議題といたします。  本日は、「資源エネルギー安定供給」のうち、「資源安定供給等」に関し、「資源開発の新たな可能性」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  御出席いただいております参考人は、東京大学名誉教授山冨二郎君、早稲田大学理工学術院教授所千晴君及び東京大学学長生産技術研究所教授岡部徹君でございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございました。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、山冨参考人所参考人岡部参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず山冨参考人からお願いいたします。山冨参考人
  3. 山冨二郎

    参考人山冨二郎君) 皆様、こんにちは。今日は、鉱物資源開発というテーマでお時間をいただきます。(資料映写)  まず、冒頭スライドですけれども、四枚の写真があります。  一番左下は、埼玉県秩父にあります武甲山というところで、ここでは、大正年間から石灰石採掘が始まって、現在三つの鉱山会社年間六百万トンほどの石灰石を掘り出しております。その一つ会社武甲鉱業に、私、技術顧問として非常勤で勤めております。  日本石灰石は非常に良質で、国産で唯一自給できる資源というふうに言われてきました。そして、百年以上の量があると言われておりましたけれども、最近は五十年を切っております。そして、石灰石の半分はセメント原料として使われます。  セメントは、年間六千万トンほど国内生産されておりますけれども、セメント工場は、一トンのセメントについて約四百七十キログラムの廃棄物原料として、燃料として受け入れております。  右上の写真は、スーパーカミオカンデという、岐阜県神岡鉱山に設置されておりますニュートリノ観測施設です。東京大学宇宙線研究所神岡鉱山坑内に五万トンの水をためるタンクを造りまして、その写真にありますオレンジ色のミカンのようなものがたくさん出ておりますけれども、それがニュートリノを捉えるセンサーです。  現在、宇宙線研究所では、このスーパーカミオカンデの五倍の規模ハイパーカミオカンデの建設に取りかかっておりまして、四月に迎える新年度、掘削工事が始まり、二〇二七年度にハイパーカミオカンデを使った観測が予定されています。私はこの仕事のお手伝いもしておりますけれども、総額六百五十億円の予算、そのうち百四十七億円が海外からの貢献分となっております。  左上は、南アフリカのウエスタンディープという金鉱山であります。世界で一番深い金鉱山一つなんですけれども、ここに潜りますと空気の重さを感じます。  右下は、チリにありますカセロネスという銅鉱山露天掘り銅鉱山です。アルゼンチンの国境に近い標高四千メーターの高地にありまして、ここは逆に、平地の空気圧に比べて六〇%というものです。そして、二〇一三年に操業を始めましたけれども、一〇〇%日本の資本で賄われています。総額四十二億ドルが投資されています。  次のスライド資源開発プロセスを表しておりまして、鉱床探査探鉱から、そのプロジェクト評価、そして鉱山に必要なインフラを建設する開発工事、そして生産という段階に至ります。  私は、採鉱という、鉱床から鉱石採掘することに関して主に関心を持っております。採掘の終わった鉱石選鉱というプロセスに入りまして、鉱石の中から有用な鉱物を分離します。ここは、隣におられる所先生専門分野と重なります。  そして最後に、有用鉱物を製錬所に送りまして金属を抽出いたします。製錬と呼ばれていますけれども、こちらは岡部先生の主に担当されている領域であります。  鉱物エネルギー資源は非常に多様です。そこにある四つの大きな分野に分類いたしました。そして、今日はそのうちの金属鉱物資源についてお話をいたします。  金属鉱物資源といいましても、元素周期表リチウムから始まる金属元素がたくさんありますように、これも多種多様で鉄からレアアースまで含まれています。  左下の図一は、アメリカの地質調査所データUSGSデータと、イギリスのブリティッシュ・ペトロリアムのデータを使って作ったものですけれども、縦軸資源価格横軸生産量、両対数グラフですけれども、貴金属類を除きますとほぼ直線に右下がり傾向となります。これが何を意味するか、それは私にもちょっと分かりません。  それで、右側グラフ生産額の多いものを左から順番に並べています。原油石炭天然ガス鉄鉱石と続いております。そして、もう一つオレンジ折れ線は可採年数を表しておりまして、現在分かっている埋蔵量を現在の生産量であと何年もつかということを表しています。レアアースとバナジウムにつきましては、USGSデータを使いますとスケールアウトします。百年以上の可採年数を持つものが石炭アルミ白金族、そして我々にとってなじみの深い銅、金、鉛、亜鉛といった金属類は、実は原油天然ガスよりも可採年数が短いというのが現状です。  次に、露天掘り坑内掘りかという話でありまして、右下にあります図四をまず御覧いただきたいんですけれども、これはオーストラリア鉱山コンサルタントが作りましたもので、一九〇〇年から二〇一三年まで、いつ頃どれぐらいの深さで新たに鉱床を発見したかというものをプロットしたものであります。彼は、これを使って、探査技術の進歩により千メーターよりも深いところでも鉱床が見付かるようになったということを言いたいわけであります。  私は、このグラフを使いまして、露天掘り坑内掘りかを説明させていただきます。地表に近い、あるいは深くてもそんなに深くないというような鉱床は、地表からの採掘を進めていきますので露天掘りと呼ばれます。英語ではサーフェスマイニング。そして、地下深くに鉱床がある、あるいは大きな山の中に鉱床があるというような場合には、アンダーグラウンドマイニング、坑内掘りと呼ばれています。  左側にあります図三は、二〇一〇年ですけれども、石炭銅鉱石鉄鉱石金鉱石などについて露天掘り坑内掘り比率を表したものです。青が露天掘りグリーン坑内掘り、そして明るいグリーンがハイブリッド、すなわち一つ鉱山露天掘り坑内掘りを行っているというものです。そして、赤い折れ線は、比較的大きな、三百万トン以上の鉱石を出す鉱山について露天掘りの占める比率を表しています。これらから、大規模鉱山露天掘り、中小の鉱山坑内掘りが多いという傾向にあります。  では、露天掘り坑内掘り、どっちが優位かという話になるんですけれども、露天掘りの場合、空間の制約がございませんので、大型の機械を入れることができて大規模操業に適しております。したがって、生産性、効率が高くコストも安い、さらに、エネルギー消費も少なく保安成績もよろしいということになって、唯一制約になりますのは環境でありまして、景観の問題、騒音、粉じんの問題などがあります。  露天掘りは、このように坑内掘りよりも優位なんですけれども、深くなりますと、露天掘り採掘場、ピットを安定に保つために周辺のズリ、岩石も採掘しなければいけなくなりまして、深くなればなるほどズリ採掘の負担が増えて優位性が失われます。現在、世界的に大規模と言われているインドネシアグラスベルグ鉱山チリチュキカマタ鉱山坑内掘りへの移行を準備しております。  次は、カットオフグレードという話なんですけれども、図五の棒グラフは、二〇一〇年時点で操業している世界銅鉱山鉱石銅品位の分布を表したものでありまして、露天掘り坑内掘りで分けています。  御覧のように、露天掘り鉱石は低い品位でも採掘できるということを表しています。そして、平均的な銅品位世界平均で〇・七二%ということになるわけなんですが、銅鉱石品位平均値である〇・七二%を上回ったとしても、そこから銅を抽出して銅地金を造るコスト、それが高い場合には採算が取れませんので、銅鉱物銅鉱石ではなく鉱物というふうにみなされます。  すなわち、カットオフ品位は、鉱石鉱物を分ける品位であります。このカットオフ品位に及ぼすファクターをその左下に示しましたけれども、まずコストコストが安ければカットオフ品位が低くなります。次に建値、金や銀などの貴金属類ロンドン金市場で、銅、鉛、亜鉛などの金属ロンドンにあります金属取引所、LMEで取引された価格世界標準価格となります。したがって、建値が上がればカットオフ品位が下がるということになります。さらに、副産物やヒ素、水銀などの有害元素があるかどうかも関係してきます。  資源は、こういった経済的なファクター以外に、技術的な要因、環境的な要因法制度などのものをクリアして初めて採掘が可能となって、埋蔵量というふうに呼ばれるわけです。  次の六枚目のスライドオーストラリアにおける探鉱プログラムの事例を表しておりまして、二百九十件の案件が手元にあったと、そのうち最終的に開発に至ったのは十二件であるということを示すものでありまして、AからFまでステージを踏みながら開発に進んでいきます。  開発には、それまでと違う桁違いの経費が掛かります。右側グラフにありますように、これは対数軸で表しておりますけれども、経費が後ろのステージに行くほど増えてまいります。ですので、なるべく早い段階で余り有望じゃないものはどんどん落としていくと、そして最後に十二件に絞ったということを表しているものです。  次に、カーボンニュートラル社会を実現するためには、バッテリーが欠かせないものとなります。バッテリー原料として注目されておりますニッケルコバルトリチウムについて現状お話しいたします。  左上ニッケルですけれども、ニッケル鉱石には硫化鉱酸化鉱がございます。硫化鉱品位が高く、坑内掘り採掘されています。それに対して酸化鉱品位が低く、露天掘り採掘されていると。このグラフの中、字が小さくて申し訳ございませんけれども、カナダやロシアにありますニッケル鉱山坑内掘り鉱山です。  ニッケル価格は二〇〇七年にピークを記録しましたけれども、その後低迷が続いています。そのため、坑内掘り硫化鉱を掘る鉱山からのニッケル産出量が伸び悩んでいます。その一方で、インドネシアフィリピン、ニューカレドニアは品位の低い酸化鉱からニッケルを掘り出しておりまして、着実にその生産量が増えておりまして、特にフィリピンインドネシアでその傾向は顕著です。  右上はコバルトです。現在、世界コバルト生産量の約六〇%以上をDRコンゴコンゴ民主共和国が占めております。コバルトは、銅鉱石副産物として、あるいはニッケル酸化鉱副産物として取れるわけなんですけれども、DRコンゴ銅鉱石コバルトに富んだものでありまして、二〇〇〇年頃からコンゴ銅鉱山生産量が増加しまして、現在、世界四位となっています。それに歩調を合わせるように、二〇〇〇年頃にはコバルト占有率は二〇%程度だったんですが、現在は六〇%を超えています。DRコンゴは、政情不安に加えて紛争鉱物の問題が国際社会から指摘を受けておりまして、供給先としてのリスクを抱えています。  一方、ニッケルラテライト鉱酸化鉱からもコバルトは取れます。住友金属鉱山は、低品位ニッケルからニッケルを採取するのに、HPALと呼ばれる高温高圧下で硫酸を掛けてニッケルを抽出するという手法を世界に先駆けて商業化に成功しました。現在、住友金属鉱山では、ニッケルの約十分の一の量のコバルトが付随しているんですが、そのコバルトHPALによって回収しています。今後、HPALの動向でコバルトの市況も変わってくると思われます。  最後は、リチウムです。リチウムは、鉱石起源のものとかん水、すなわちミネラルに富んだ塩水から取れるものの二つがあります。前者は普通の露天掘り採掘され、後者は塩の湖から天日乾燥によってリチウムを濃縮します。何もエネルギーが要りませんので低コストなんですけれども、乾燥させ濃縮させるのに一年あるいはそれ以上の時間が掛かりますので、生産の拡大が難しい。  そこで、最近リチウム価格は高騰しましたので、露天掘りリチウム鉱山がたくさん出現しました。特にオーストラリアですけれども、そこにありますように、オーストラリアリチウム生産に関して首位と今なっております。  ちょっと時間が掛かって申し訳ありませんけれども、話題は変わりまして、海洋鉱物資源ということです。  表一は、国とJOGMEC石油天然ガス金属鉱物資源機構海洋鉱物資源と考えている四つのものであります。今日は、主にこのうちの海底熱水鉱床についてお話をいたします。  コバルトリッチクラスト及びマンガン団塊は、コバルト及びニッケル資源として今後大いに期待されるものです。レアアース泥は、重希土を含んだレアアース資源として重要なものであります。しかし、このマンガン団塊レアアース泥水深が四千メーターを超えますので、それを上に揚げる技術揚鉱と呼んでおりますけれども、それを開発するのはまだまだハードルがあると思います。  二〇〇九年度の補正予算によって白嶺という名の新しい調査船の建造が認められまして、この調査船採掘要素技術試験機とかの予算も付きまして、二〇一二年夏、沖縄近海海底熱水鉱床において世界で初めての掘削試験を行いました。そして、その下の表二、この掘削試験を行ったHakureiサイト以外に幾つか有望な海底熱水鉱床は見付かっております。非常に品位が高いのですが、これはROVという無人潜水艇が拾ってきたサンプルの品位分析の結果でありまして、高いところを選んでいる可能性があります。ですので、今後、ボーリング調査などによって資源量を確定していく必要があると考えています。  次のスライド左側の図をまず御覧いただきたいんですが、こちらは、二〇一七年度にJOGMECが実施いたしました海底熱水鉱床パイロット試験の様子を表すものです。  白嶺という船から集鉱機を下ろしまして、もう一隻の作業船からは水中ポンプを下ろしまして、集鉱機で集めた鉱石水中ポンプ水深千六百メーターから持ち上げる、ポンプアップするということに成功いたしまして、十六・四トンという数字でありますけれども、鉱石模擬鉱石の回収に成功しております。その後、このパイロット試験の結果を使いながら、二〇一八年度には総合評価経済性評価についても考慮する総合評価を行いましたし、その後も引き続いて商業化実現に向けた調査研究技術開発を実施しております。  また、JOGMECは、二〇一九年度より、南鳥島沖EEZ内に賦存しますコバルトリッチクラストについても調査を始めまして、この北西太平洋海山には平均で〇・六四%のコバルトニッケル〇・五四%があって、少しプラチナも付くというような結果が出ておりますので、将来のバッテリー原料として無視できないものと考えております。二〇二〇年の七月、昨年の七月、コロナ禍ではありましたけれども、水深約九百三十メーター拓洋第五海山において掘削試験を行って、六百四十九キログラムのコバルトリッチクラストを掘削しております。  海洋鉱物資源開発商業化への課題ということで、技術的な課題と非技術的な課題があります。  まずは、二〇一七年度に実施したパイロット試験なんですが、商業化規模では一日に五千ウエットトンウエットトンというのは、海水から引き揚げたぬれたままの鉱石で五千トンという意味です、を行うことが必要というふうに想定していました。したがいまして、パイロット試験は、使った試験機実用機の約十分の一程度ですし、揚鉱に使ったパイプの直径も半分で、そのスケール感を拡大したときに適用できるかどうか、そういったこと、あるいは、長時間の稼働性耐久性パイロット試験では測れなかったものをどうするかという課題が残っております。  それから、ポンプの中で閉塞が起こる可能性がありますので、鉱石を破砕する必要があるのではないか。それから、鉱石スラリー濃度スラリーというのは、海水の中に鉱石の破片が混じった状態のものをスラリーといいますけれども、そのスラリー濃度を安定することが非常に重要なんですが、そのためには濃度調整用タンクが必要なのではないかということで、現在検討を続けております。  そして、一番大きな技術的な課題揚鉱水の問題でありまして、鉱石の数倍の海水をくみ上げる必要があります。これを船上で処理できるか。海外のベンチャーは、この揚鉱水海底に流す、排出するということで計画を立てておりましたけれども、そんなことが許されるのだろうかというようなことの検討も必要になります。  非技術的な課題といたしましては、国内法制度の未整備、社会的な受容性を得られるか、海域を利用する他産業との共生、こういったものが残っております。  そして、商業化に当たっては、いい資源量といいますか、鉱床が何よりも商業化に必要だと思いますので、今後も資源調査を精力的に行うことが必要だと私は考えております。  最後スライドになります。  私は、約半世紀前、鉱山開発論という講義を取りました。そのとき冒頭で、一に鉱床、二に建値、三、四がなくて五に技術先生から言われました。それほど鉱山ビジネスには鉱床建値が重要であるということをおっしゃりたかったんだと思います。でも、今は人材も必要です。  資源素材学会、我々、今日の三名の参考人が共通で所属している学会ですけれども、学生を対象とした資源素材塾というのを開いておりまして、二〇〇八年から、最初は経産省と文科省補助金によってスタートいたしましたけれども、二〇一二年度からは自前の資金で自立化を行っています。二〇一九年度までに四百八十名余りが修了し、うち二百二十名は海外研修を体験しております。  もう一つ人材育成国際資源開発研修センターJMECというところでありまして、入社数年の日本人社会人対象とした資源開発研修、製錬・リサイクル研修を行っております。こちらも二〇〇八年からスタートいたしまして、昨年までに三百三十三名が資源開発で修了し、四百一名が製錬・リサイクル研修を受けております。  また、このJMECは、非鉄金属資源生産国開発途上にある国から政府関係人たち研修生として招きまして、三週間から三か月の研修を二十八年間にわたって行ってまいりました。延べ九百四十七名が修了しております。二〇一八年度に一度中断いたしましたけれども、今年度はリモートで研修を再開しております。  このように、小坂町、町民の温かい支援を受けながら研修生が順調に育っておりまして、彼らが卒業後もネットワークをつくって、特に日本人研修生は多くが海外の現場に赴任し、資源素材塾JMECの講習の講師も務めております。  JMECは、また、東京で二〇一四年度から海底鉱物資源開発基礎講座と、一週間のものですけれども、こういったものも行っておりまして、五年間で五十二名が参加いたしました。  次は、このスライドは引用に使った資料の出典を示すものであります。  どうも御清聴ありがとうございました。
  4. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) ありがとうございました。  次に、所参考人にお願いいたします。所参考人
  5. 所千晴

    参考人所千晴君) よろしくお願いいたします。  本日は、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。  私は、先ほど山冨先生からも御紹介いただきましたように、選鉱と呼ばれる、鉱石あるいは使用済みの製品から固体資源を分離濃縮する技術を研究開発しております。その立場から本日は発表させていただきたいと思います。(資料映写)  最初スライドは、これも多くの方が既に御指摘されているかとは思いますけれども、これから先、金属消費が大幅に伸びていくということが予想されているという一例です。論文からデータを取ってまいりました。銅、亜鉛、鉛、鉄、アルミといったベースメタルニッケルも加えてありますけれども、いろんな研究者がいろんなシナリオに基づきまして、これから金属がどれぐらい消費が伸びていくかというのを推算しております。  ここに四種類のシナリオ書いてありますけれども、世界中がみんな先進国のような成長を望むであるとか、あるいはみんなで協調しながらうまく資源をやりくりしていくだとか、あるいはちょっと自国のセキュリティーを重視して協調しないで資源を使っていくとか、いろんなシナリオがありますけれども、結論として、やはりどのシナリオになったとしても、これ、左側が二〇一〇年で右側が二〇五〇年、ちょうどカーボンニュートラルのターゲットとなっている年かと思いますが、多くて三・八倍ですね、今の金属消費量の三・八倍まで消費が伸びるんじゃないかと、必要になるんじゃないかというふうに試算をされています。  その需給バランスですけれども、ここでは銅を例に取ってあります。銅は文化なりと我々よく言っているんですけれども、電気があるところには必ず銅が必要になるという意味で、我々の文化の質を向上していくのに銅というのは非常に重要な金属でありますけれども、これも銅の将来の需給バランスを試算してみた一つの例ですけれども、プライマリーサプライと書いてあるところが、いわゆる鉱石から、天然資源から供給されると予測される銅の量です。それから、セカンダリーサプライと書いてあるのが人工資源使用済みのものをリサイクルして供給されるであろう銅の量。これを二つ合わせますと、このトータルサプライというところにあります。先ほどのスライドと同じ人が試算しておりますので、いろんな横文字で書いたシナリオがありますけれども、どのシナリオに従ってもこれぐらいの供給があるだろうと。  それに対して、先ほどの需要ですね、需要はこの赤い色のところで示していますけれども、やはり供給が足りなくなるんじゃないかと、需要の方が上に来ていまして、供給が足りなくなってしまうんじゃないかということが今研究者の間では危惧されていると、そういう状況になっています。  それから、昨今、カーボンニュートラルということで、これから再生可能エネルギーあるいは蓄エネ、いろんなことが導入されてくると思いますけれども、そういったものが導入してくると、特定の金属の需要が今のバランスとは違って必要になってくるんじゃないか、これもいろんな方が既に御指摘されているかと思います。  代表的なものは、例えば電気自動車でリチウムイオン電池が必要になるとなると、先ほど山冨先生からも鉱石お話いただきましたけれども、コバルトニッケルリチウムといったものが今以上に急激に必要になってくるんじゃないか。あるいは、磁石が必要になるとすれば、レアアースですね、ネオジムそれからディスプロシウム、そういったものが必要になってくるんじゃないかということで、今のバランスとは違ったところである特定の金属が急激に必要になって、やはりそこの需給のバランスが崩れるんじゃないかということも今多くの方々によって懸念されているところかなと思います。  資源は、天然資源がまずございます。それから人工資源使用済みのものからもう一度リサイクルするというものがあって、それから、先ほど山冨先生からも御紹介いただいた日本の近海にある海洋資源、私としては、この順番で非常に重要度が増すというふうに思っています。  常に天然資源と人工資源のベストミックスが必要で、今は天然資源の割合が多くて、そこに使用できる人工資源をもう一度リサイクルをして使っているという状況ですけれども、これから、環境負荷に対するますます世の中からの要請、環境負荷低減への要請、あるいは持続可能な開発に対する考え方がどんどん世の中で変わってまいりますと、この人工資源に対する必要性の要請が変わって、このバランスが変わってくる可能性もあるなと、徐々に天然資源と逆転してくる可能性もあるなと思っています。  それから、海洋資源は、先ほど山冨先生からもお話がありましたように、まだ一般的な天然資源に比べますと処理が困難、難処理性がありますし、それから環境負荷もそれなりにあることが懸念されますので、しかしながら、資源セキュリティー、あるいは技術を高度化していく、あるいは人材育成という点においては、今から継続的な技術開発を行っておくべきであろうというふうに考えています。  国内から既に金属鉱山はほとんど稼働中の鉱山がなくなって、休廃止鉱山ばかりになっておりますけれども、やはり開発できる鉱山があると、サイトがあることは、人材育成技術の継続という点においては非常に重要なことであるというふうに考えます。  天然鉱物資源なんですけれども、これもどんどん難処理化をしております。  左上銅鉱石品位ですけれども、以前は一%を超えていたものが、どんどんどんどんその鉱石の中の銅の品位、濃度というのがどんどん減っていってしまっているというのが今現状です。  それから右側、これ当研究室で撮った画像ですけれども、銅鉱石はこんなイメージでして、ほとんど灰色の脈石と呼ばれる資源にはならないところにぽつぽつとちっちゃく中に混じっているのが銅でして、その割合も減っているし大きさもちっちゃくなっていると。大きさがちっちゃくなるということは、物理的に分離をするのがすごく難しいという状況になります。なので、分離にお金が掛かってしまうということです。こういうふうにどんどん難処理化しています。  それから、ここにヒ素の銅鉱物なんかも、赤いところでぷちぷち混じっていますけれども、もはや銅よりも大きい形で、時々こういうヒ素、これは毒性も高く、きちんと処理しなければいけないものですけれども、こういったものも濃度が高く混じってきてしまっているということで、どんどん難処理化をしています。ですから、これを環境負荷低くどうちゃんと分離していくかというような技術開発も必要になってきます。  それから、一般的な資源開発の流れを下に書いてありますけれども、探鉱から始まって、この採鉱の段階では銅は一%を切っているところから、我々が専門としております選鉱というところで分離濃縮をして、できるだけエネルギーを掛けないでまず物理的に濃縮をするということをします。ここで大体銅が二〇%ぐらいに濃縮してきます。二、三〇%ぐらいになります。そこからいよいよ火を使ったり薬剤を使ったりして更に純度を上げていって、最後は九九・九九九と九がいっぱい並ぶような非常に純度の高い銅を使う。  ここの素材産業は日本はすばらしいものを持っていて、この純度の高い素材が日本の多種多様な機能の高い製品作りに、物作りに役立っている。ここのところをしっかりと確保しながら、とはいえ、入口の鉱石がこれだけ難処理化していますので、後で負荷を掛けないように前処理をしてきちんと分離濃縮していくということが今求められているということになります。  それから、環境に対する考え方というのもこれから少しずつ変わっていくんじゃないかというふうに考えています。  これはSDGsの考え方の基になったプラネタリーバウンダリーという図で、環境の負荷を何種類か右側に書いてあって、それぞれ今、プラネタリーバウンダリーと呼ばれる地球の限界をどれぐらい超えてしまっているかというのを赤色や黄色でカテゴライズして懸念を示しているような図なんですけれども、いわゆる気候変動のところはカーボンニュートラルということで、今まさにいろいろな考え方に基づいて議論がされているところだと思いますが、環境問題というのは気候変動だけではなくて、例えば左側にありますような土地利用の変化であるとか生態系を壊してしまうようなこと、こういったことも環境負荷の一つです。  こういったことは、いろんな環境の考え方があるんですけれども、一つの環境負荷の考え方として、TMR、その対象を得るのにどれぐらい物質が関与したかというような考え方がありまして、これで見ますと、例えばいろんな金属を取ってくるときに、鉱石から取ってくるよりもPCからもう一度リサイクルした方がその関与する物質総量は下がるというような試算もあります。これも金属ごとに、あるいは製品ごとにいろんな事情がありますので一概にそうだとも言えないんですけれども、こういった環境に対する考え方が広く広まってくると、やはり鉱物資源よりも人工資源を何とか利活用していこうというふうになっていくのかなというふうに思います。  いずれにしても、ここで申し上げたかったことは、環境問題というのは非常に多種多様で、カーボンニュートラルと必ずしもこういう例えばTMRのような概念とがいつも両立するとは限りませんので、これからは、カーボンニュートラルと同時に資源循環もどうするかという、もしかしたら相反してしまうような二つの概念のどこに一番我々人間としていい点があるのかということを考えていかなければいけない時代になっていくんじゃないかなというふうに考えています。  この人工資源を利活用していくのにいろんな課題がございますので、そこを御紹介したいと思います。  これは、先ほど示した水色の天然資源開発フローとそれから人工資源の利活用のフローを並べて比較したものなんですけれども、これを見ていただきますと、後半の製錬、精製のところは同じようなプロセスを取っていく、で、前半のところが大分違っている、上流のところが違っているということに気付いていただけるかと思います。  天然資源であれば、調査をして、それを掘りに、採鉱するというプロセスになりますが、ここのところに取って代わるのが、人工資源であれば、ちょっと横文字なんですけど、MFA、マテリアルフローアナリシス、これは、どこにどんな製品があって、どんな素材がどういうふうに分布しているかということを調査するものです。そういった解析のデータがいわゆる天然鉱物調査探鉱に当たる部分になる。  それから、LCAは、こういったプロセスがどれぐらい環境負荷が小さくできるかということを試算するライフサイクル評価です。こういったデータをうまく集めて、どこにどういう資源が人工物としてあるのかということを戦略を持って集めて活用していかなければいけないというところがまず課題としてあるかなというふうに思います。  それから、その次に、いわゆる掘ってくるというところは、鉱山は、太陽の恵みで長い間の歴史を掛けて既に大規模に濃縮してくれているところを見付けてそこを開発していくということになりますけれども、人工資源というのは、濃度はあっても消費者の手元にばらばらに存在をしています。ですから、それを誰かが集めてこなければいけない。ここも非常にエネルギーの掛かることですので、誰がどうやって効率よく集めるのかということを真剣に考えなければいけない。  真ん中の選鉱の部分は、まさに、後の製錬にどれだけ負荷を掛けないで分離濃縮できるかという技術開発がキーになってきます。  それから、製錬のところ、精製のところも、入ってくるものが変わってきますとバランスが変わりますので、その新しく入ってきたものにどう対応してエネルギーを掛けずに分離濃縮できるかというような技術開発。それから、分ければ必ず残りが出ます。必ず残りが出るんですけど、この残りを捨ててしまっては全体として効率がうまくいっているとは言えませんので、この残りをいかに利活用するか、あるいはバランスよく使っていくかというようなことが必要になってきます。  それから、ここにデジタルXと書きましたけれども、鉱山と大きく違うのは、使用済みの製品というのは、元々使用に至るまでのデータがどこかにあるはずであるということです。このデータ使用済みのところにきちんと伝達することによって、その後の処理フローが非常に高効率化される可能性があります。ここのところは、一つ一つの製品の情報のセキュリティーの問題であるとか競争の問題であるとか、いろんな問題はありますけれども、できるだけそういった部分を技術的に、あるいはシステム的にクリアすることによって、できるだけ後の処理の部分にその情報が伝達されるようにすると。この概念は、今のいわゆるデジタルXの概念とも非常に相補的なんじゃないかというふうに考えていまして、新しい仕組みづくりが望まれるところかなというふうに思います。  一つ一つ、より詳しく御説明します。  まず、一番目の、マテリアルフローアナリシスやLCAをきちんと使っていかなければいけない、あるいは効率よく回収していかなければいけないというところを示す一つデータなんですけれども、これはいろんな、いわゆるリサイクラー、廃棄物処理業と呼ばれるような会社規模を表したものなんですが、棒グラフがたくさん伸びているところは、アメリカであったりフランスであったりドイツであったりといったところのリサイクラーあるいは廃棄物処理業の規模です。それに比べまして、右側三つは日本の同じようななりわいをされている会社規模なんですけれども、これを見ていただくと、日本のこの分野の企業が規模がまだ小さいということが分かっていただけるかと思います。  やはり、こういったものを利活用していくのに、規模というのは一つ非常に大きな経済的なファクターになりますので、どのように効率的に大規模化していくのかと、集めるのかというところは非常に大事で、そこに、先ほど申し上げましたように、一つは、データを集約して戦略的に使っていくということ、もう一つは、使用される前までの、ここに動静脈連携と書きましたけれども、製品の材料データ、あるいはそこにどれぐらい機能が残っているのかというデータ、そういったものをできるだけデータ連携をして利活用していくことが、この大規模化あるいは高効率化につながっていくんじゃないかなというふうに考えています。  もう一つは、その次の物理的な分離濃縮のところの課題ですけれども、ここのところもまだまだ技術的に向上できる部分があるというふうに思っています。  現状では、人力ですごく丁寧に、だけれども大規模化はなかなか難しいような解体の方法か、あるいはシュレッダーと呼ばれる、全体を機械的にぐじゃぐじゃっと切り刻んでしまうような分離の仕方、これが既に実用化されていますけれども、ここは、技術を向上させてこの間を埋めていくような、要するに、高効率で大規模だけれども精度も高いというような分離濃縮技術、それから、この全体を右上の、軸の右上に全体的に引き上げていくような技術開発がこれから必要になるんじゃないかというふうに考えています。  そのためには、とにかく得たい機能をできるだけ残しながら分離をするということが重要で、何もかも分離、切り刻んでしまうのではなくて、どのレベル、製品から原子、分子に至るまでどのレベルででも分離ができると、そういった技術開発がこれから求められていくのではないかと思います。  そういった技術開発をするためには、これからは製造の段階からそういった分離ができやすい設計にしていくということも一つの選択肢かなというふうに思いますし、また、それが物作りの一つの強みになっていくような価値観になっていくと、また、この人工資源の利活用の世界も少しずつ変わっていくかなというふうに思います。  それから、製錬の部分ですけれども、この部分は、とにかく不純物をどう制御して分離をして、余すところなく副産物を利活用していくかということに尽きると思います。今でも、これは銅と亜鉛と鉛の製錬が、製錬ネットワークということで今でもお互いに連携をして、ありとあらゆる二十種類以上の金属を連携しながらちゃんと回収しているという図を示しているんですけれども、これが、入口の鉱物あるいは人工資源が変わっていきますとバランスが変わりますので、そのバランスが変わったところにいかに対応していけるか。特に、ここに書きましたけれども、鉱石では入ってこないような樹脂あるいはハロゲン、こういった元素が入ってきますと、また違った分離のコンセプトが必要になってきます。そういった技術開発がこれから求められていくかなと思います。  人工資源の利活用への世の中の要請が高まっている例というのを幾つか御紹介したいんですけれども、一つは、素材側も責任ある素材生産というのを考え始めています。それは、一つの例で、これはカッパーマークと呼ばれるものですけれども、ここにあるコミュニティーとか労働環境とかガバナンスとか環境、人権といったものを評価して、そこにちゃんと合致しているものにカッパーマークという指標を与えて、これはきちんと責任ある生産をしている素材なんだというお墨付きを与えるというような評価制度です。  これ、ヨーロッパの方で始まっておりますけれども、こういうふうになってきますと、日本もこういったものを生産しなければいけませんし、あるいはこういったものを製品に使っていくべきであるというような世論が強まっていくというような動きがあります。  また、製品側も、これは外資メーカーですけれども、既に自社の製品を一〇〇%リサイクルされた素材で作るということを宣言していたり、あるいはもう一〇〇%再生可能エネルギーで製造するというようなことを宣言して、それを毎年レポートで出すというようなことを始めている。かなり影響力のあるメーカーがこういうことを始めていますので、そういった意味でも、リサイクル率の高い素材を使っていくというふうなことが、これからさらに世の中から求められていく可能性が高いというふうに思います。  それから、これはリチウムイオン電池ですけれども、リチウムイオン電池に対しても、例えば、ヨーロッパが最近既にニッケルコバルト、銅のリサイクル率を義務化するような法案を今出しています。あるいは、製品の方にもリサイクル率の高いものを使うように義務化していく。あるいは、カーボンフットプリントというのは、その製品、リチウムイオン電池を作るのに全体でどれぐらいCO2を排出したかというものなんですけれども、その値を報告させるということを義務化するというような動きも出てきていますので、こういった動きを見ますと、素材側、製品側どちらでも、少しずつこの人工資源をちゃんと利活用していくことの要請は強まっているかなというふうに思います。  最後に、私も、連携あるいは人材育成の重要性を述べたいというふうに思います。  既にいろいろな、国内でも学会などを通じて、あるいは各大学が、あるいは協会が、いろいろな考えの下に人材育成を、何とか人材をつないでいこうという試みはしておりますけれども、この分野で、例えばヨーロッパではEITローマテリアルズという組織がございまして、これは、資源分野から材料の分野までを全て統括して、人材育成から教育から研究から、あるいは企業との連携までを全ていろいろとやりくりしているエージェンシーです。こういった一気通貫で物事を見れる機関があるというのはすごく大きくて、あるいは、研究だけでもない、開発だけでもない、教育まで全てをここで見られるという機関があるというのは非常に大きな存在になっているかなというふうに考えています。  このように、日本においても、各分野の連携とそれから人材育成というのは、このように、鉱石だけではなくて製品を対象にして資源の戦略を練っていくという意味においてはますます重要になってきているなというふうに思っております。  最後は、今申し上げたことのまとめです。  ありがとうございました。
  6. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) ありがとうございました。  次に、岡部参考人にお願いいたします。岡部参考人
  7. 岡部徹

    参考人岡部徹君) 岡部徹と申します。東京大学でレアメタルの研究をやっている者です。今日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  もう既に山冨先生、所先生が重要なお話されていましたので、今日はそこにかぶらないように、私は環境問題、特に製錬に関する環境問題ですね、製錬というのは、所先生が説明されましたように、鉱石からメタルを造る、これはいわゆる従来型の冶金と言われる製錬、ただ、今重要となってきているのは、スクラップから有用なメタルを取り出す、これも同じく製錬ですね、それに関わる環境問題、あとリサイクルの重要性を今日は述べさせていただきます。  レアメタルの資源といいますと、議員の先生方は大きな誤解をしている可能性がありますので、まずその話もちょっとしなきゃいけないんですけど、今日は、できる限りの話題を環境の話に割こうと思って、スライドセットを用意してきました。(資料映写)  お忙しい先生方におかれましては、この事前配付資料の三十一ページの一ページにも満たない日経の記事を読んでいただければ、私の今日の主張が全て通ると思います。ここに要約されております。  更に御興味を持たれた方は、例えば自動車は今電動化されていて、モーター、こういうのがレアアースという磁石用のレアメタルを使うんですけど、そういうのの資源の問題と現状、そういうのを書いた資料が事前配付資料で三十九ページから御用意させていただいております。これ、自動車技術協会という自動車関係の業界誌なんですけど、自動車業界の方には極めて耳の痛い、読むにつらい記事になっていると思います。  あともう一つ、更に御興味を持った方は、この工場のごみゼロ化は本当に環境に優しいのか、ここも皆さんに問いたいところがあります。よく皆さんは、車であり、いろんな環境調和型の、何というんですか、電子機器を使ったら、それにはよくうたわれています。そういった環境調和型のハイテク省エネ製品は、我が社は、ごみが一切出ない環境調和型の工場で作られましたというよくセールストークを見ます。そうしたら、何かそれを持っていると、自分ちの車はガソリンを半分しか消費しないとか、ともするとガソリン出さないとか、しかもそれがごみゼロの工場で造られてきた、何か環境に貢献しているんじゃないかと勘違いしてしまいます、これは。だから、そういった話をここにしています。  ただ、今日はレアメタルを中心にお話しさせていただきます。  皆さん、レアメタルというといろんなレアメタルがあるんですけど、このように、よく新聞記事に出るのは上位三か国のシェア。これ見ますと、このたった三つの国からほとんどのレアメタルは供給されていると、たった三つ。で、これ、すごい誤解してしまうんですね。レアメタルは特定の国にしかないと思ってしまう。これは誤解です。要は、レアメタルは実を言うとたくさんあるんですが、需要に対してはですね、要はたった三つの国が供給したら世界供給が賄えてしまうんです。  ここも誤解のないようにお願いします。唯一例外的に白金だけは、確かに南アフリカとロシアぐらいしか今優良な鉱山が見付かっていないんですけど、例えばほかのレアアースなんというのは、何も中国に、以外にもたくさん鉱山はあります、鉱床はあります。ただ、中国が世界供給したら需要が間に合ってしまうということですね。  今後、皆さん、どんなレアメタルが心配なのかとよく聞かれるのでこういうのを持ってきたんですけど、やっぱり供給障害が起こり得る、例えば白金とかタングステンとかですね。御存じのように、レアアースに関しては、二〇一〇年ぐらいでしたっけ、中国が急に輸出を止めるといって話題になった。だから、いずれにしても、こういったレアメタルはみんな供給障害の危機があると御理解ください。  で、この図はすごい有名な図なんですけど、これは横軸が年で縦軸レアアース希土類ですね、磁石に使われる、この生産量です。昔は、レアアースのほとんどがアメリカの鉱山から産出されていました。これ、二千何年頃ですかね、三年ぐらいですか、アメリカからの供給がなくなっています。これは鉱山が枯渇したのではなく、まだまだあります、そんなのは、中国の安売りにコスト競争力がなくなって閉山しただけのことです。だから、ここら辺も大きな誤解がありまして、中国は確かに今レアアースに関しては世界を牛耳っていますけど、何もそこだけにあるというわけではないということですね。  そういった意味じゃ、レアアースは枯渇するのかという、よく聞かれるんですけど、枯渇することはないです。むしろ、先ほど所先生が御紹介されていた銅、亜鉛、鉛ぐらいの方が、いわゆるベースメタルですね、そちらの枯渇又は鉱石品位の低下、供給障害を気にした方が案外いいかもしれません。  じゃ、具体的にレアアースってどのぐらいあるのかという話なんですけど、これ、生産量資源量を同じパイチャートに書いてみました。ただ、御存じのように、レアアース生産量は中国がほぼ九〇%以上あることが分かりますね。で、資源量とあるんですけど、これ、同じパイチャートでいっても、実を言うとこれ千倍の大きさがあります。ただこれ、単位が百十キロトンと、しかもこれ陸上資源だけです。それこそ、海洋を当てにしたら、それはもっとあるかもしれない。海洋には陸上の何百倍あるとかいうよく報道もありますが、実際そうでしょう。  ただ、こう見てみますと、実を言うと、レアアースに関しては、供給障害、資源の枯渇ということは全くないと。だから、こういうことを御理解ください。しかも、このパイチャートの中でも小さいオーストラリアとかインドとかだけでも世界供給が可能です。これはくれぐれも誤解のないようお願いします。  じゃ、よく何で皆さんの目にする新聞には資源供給制約ばっかり出てくるんだと、枯渇とか、レアメタルが。これは、要は、技術制約とか環境制約というのは余り報道されてほしくないんです。それは企業にとって困る。いろんなそのステークホルダーがそこを声高に言われたら困ると。資源供給制約があるのは、先ほど申しました白金ぐらいです。これは南アとロシアぐらいしか供給できませんので。ほか、例えば、レアアースとここに書いている、Ndと書いてネオジムなんですけど、こんなの幾らでもあると。あと、チタンのように、資源は幾らあってもメタルにするのは困難な、こういった金属もある。これは技術制約ですね。だから、今日はそういうことを話していこうと思います。  皆様が多分レアメタルというのを目にするようになったのは、恐らく二〇〇六年頃、日経の一面に載りました。私は三十年以上レアメタルの研究やり続けているんですけど、このときほどうれしかったことないですね。なぜかといいますと、レアメタルというと、これまでは大体、不祥事、鉱山事故、詐欺、環境破壊、こういう三面にしか載らなかったいわゆるネタが一面に載るようになった。これは驚きますね。  そして、二〇一二年頃になりますと、レアアース、これは皆さん記憶にも新しいと思うんですけど、まさにこれは私から見たら面白く不思議な現象なんですけど、ここにありますように、政治の問題で供給障害が起こったという。要は、尖閣諸島の領土問題、何か漁船の何かですね。で、外交問題に発展して政治問題になったと。で、中国がいきなり、自分たちが世界を牛耳っているレアアースを止めると言い出したんです。一番それで恩恵を被っていたのは日本の産業です。なぜかといったら、高性能なモーターを作ったりして売りまくっていましたから、これで。で、それが経済問題になった。  皆さんはこういった横の流れで見るんですけど、私のような専門家から見たら、これは、単にレアメタルを安く環境破壊しながら造っている中国の環境問題と、日本技術を押さえているこの特許問題のこのギャップの差で起こっていると、こういうことだけなんですね。  ただ、このような問題は、これレアアースの典型的な例なんですけど、ほかのレアメタルでもたくさん起こります。なぜかといいますと、今後は、飛行機、自動車、エネルギー産業、日本では駄目ですけど、原子力なんといったらまさにレアメタルの塊ですね。これが伸びていきますと、もうどんどんどんどんこのレアメタルが必要になってきます。さらに、皆さんの身の回りには、意外と気付いていませんが、このレアメタルが使われています。産業のビタミンと言われるように、ここら辺は、スマホなんというのは、中開けてみますと元素の周期表が入っているぐらいたくさんの種類のレアメタルが使われています。まあ、使われている量はほんのごくちょっとなんですけどね。そういうことです。  今日一番私がお伝えしたいことがこのスライドなんですね。先進国の人々は、レアメタルを海外から輸入し、高性能なハイテク製品を作って環境に貢献していると信じている。多くの方が、自分ちの車は排ガスが出ないんだよと、しかもそれはごみの出ない工場で造られたんだよと、僕のこの電子機器は環境に調和したすごい省エネ製品なんだよと。ただ、実際は、物を作るときは廃棄物が発生することを知っています。だから、どこかで出ているんだろうなということは容易に想像が付くでしょう。ただ、それを一番理解しなきゃいけないのはここなんです。  今日、まさに私の講演の前に山冨先生にお越しいただいて本当良かったと思っています。なぜかといいますと、もうこのようにメタルを造るには鉱山鉱石、製錬所というのが必要なんです。日本は、この全部ごみ落としされた地金を買ってきてハイテク製品作っているんですね。  さらに、もっと問題なのは、もちろん大抵の鉱山はちゃんと処理しています。ただ、レアアースとかは、場合によっちゃ放射性廃棄物を含んでいる。先ほど、銅も、鉱石によってはヒ素、カドミ、水銀などを含んでいる。そういうことがどこかで行われているんですね。  例えば、自動車というのは最近電動化が進みまして、電気を通す銅の消費が増えています。五十キロぐらい使うようになってきました、一台の車でですね。先ほど山冨先生カットオフ品位とかいって、〇・何%とかおっしゃっていました。所先生も、銅の品位は一%未満だとおっしゃっていました。  大体、銅というのは、銅を一キロ造るのに二百倍のごみが出るんです、どこかで。そのごみは、場合によっちゃ、ヒ素、カドミ、水銀含んでいるんです。となると、五十キロの銅を使う電気自動車を造ろうと思ったら、その二百倍のごみがどこかで出ているんですね。それが十トンになります。じゃ、排ガスをきれいにする触媒、これは白金を使うんで数グラム造っています。それを造るには百万倍のごみが出ます。それでも数トンですね。  だから、そういった意味じゃ、この背後霊がすごい量あるということを先生方にも御理解いただいて、要は、工場のごみゼロ化もいいですけど、大本を考えたら、ともすると、コストと環境に負荷が掛かっているということも御理解いただけたらと思います。  あと、環境問題、ここら辺は、もう補助資料にも写真を載せておきましたが、要は、日本において今一番大事なのは、技術制約とか環境制約を突破していく。幸い日本は、レアメタルの生産技術、あと、こういった生産に関わる環境技術世界のトップランナーです。だから、そういった意味じゃ非常にいい状況にあります。したがいまして、今後は、資源供給だけじゃなく、技術、環境、ここを日本は力を入れていくべきだと思います。ただ、今日は時間がないので、環境制約についてちょっと御紹介しようと思います。  例えば、今皆さんもうよくグーグルを使われるでしょうから、バオトウ・テーリングダムという、テーリングダムといったら鉱山廃棄物のことですね、を処分するところを画像検索するといろんな画像が出てきます。例えば、レアアース、環境破壊でもいいです、キーワードで入れたらこういういろんなショッキングな写真が出てきます。  実際私も、こういうの、ネットで見るだけじゃなくて、自身もいろんな鉱山に訪ねてきました。まあ山冨先生ほど鉱山に足を運んではいないんですけど、製錬屋としてはかなりいろんなところ行っています。例えばこれなんて、レアアースの最大規模露天掘り鉱山ですね。それで、これ、山じゃないんですね、実際。これは、掘った後に廃棄物を捨てたボタ山ですね。そういうことです、要は、山のように見えますけど。  これ、こんな露天掘りレアアースを掘っているんですけど、結構品位のいい恵まれた鉱山なんですけど、問題は、ここの鉱石日本に持ってこれません。なぜかといったら、レアアースは欲しいんですけど、一緒にウラン、トリウムなどの放射性廃棄物が混じっているからです。だから、磁石のためにレアアースは欲しいけど、こういうのが、ごみも一緒に付いている、ペナルティーが付いてくるんですね。だから、それはどこかで捨てなきゃいけない。そういうのも、こういうのググったらもう幾らでも出てきますので、御覧になっていただけたらと思います。  だから、この鉱石を掘るところと金属を製錬するところは違うので、例えば、金属を製錬するところはそれなりのインフラが要るので都市部でやります。ただ、都市部に、濃縮された鉱石、僕たちは選鉱と呼びますけど、選鉱を、濃縮された鉱石を持ってきて、そこから金属を抜かなきゃいけない。抜くときに、抜いた後には結構濃縮された有害物が残っているんですね。それを捨てなきゃいけない。日本でそれを捨てようと思ったら、大変なコストと手間が掛かります。片や中国は、先ほどの包頭とか行きますと、もうほぼゼロコストで幾らでも捨てられるところがある。まあ状況でいったらこんな感じですね。まさに、この尾鉱というのはテーリング、鉱石からのかすを捨てる場所という感じであります。もう幾らでも、要は穴も掘らない、そのまま池に突っ込むだけなんですね。池というか、巨大な湖でしょうけど。  逆に言うと、これがゼロコストでできるところとは勝負にならないんですね。だから、先ほども御紹介しましたように、アメリカの鉱山コスト競争力がなくなったから閉山せざるを得なかった。  じゃ、日本は中国に頼っていたらいいのかと。そうもいきません。逆に言うと、ある意味、じゃ、オーストラリアの山を開発して日本レアアースを供給しなきゃいけない。ただ、また問題がありまして、オーストラリアの山でも、やっぱりメタルを取り出そうとすると有害物が発生しますので、それをどこかで処理しなきゃいけない。では、マレーシアを経由してやろうとか、そういうことになります。要は、こういった問題をしっかり見据えつつ、レアメタルの資源戦略をやっていかなきゃいけませんよと。  あと、今日はちょっと時間の都合上お話ができないんですけど、もう一つ問題なのは、日本技術があっても、やっぱりコスト競争力の問題でプラントがどんどん海外に出ています。具体的には、中国が、実際、例えばレアアースだったら製錬するプラントも、資源だけじゃないですね、全部牛耳っています。だから、そういった意味では、今後、国の政策として、日本にもそういったいろんなものが処理できるいわゆる製錬プラント、これを温存する施策は極めて重要になってきていると思います。  なぜかといいますと、皆さんが必要とする高性能な飛行機とか自動車とかロボットを造った後は必ずごみになります。そこにはレアメタルがたんまり使われています。それをリサイクルしなきゃいけないからですね。もちろん、それも海外に、どこかに委託しようという発想もあるかもしれませんけど、幸い日本はすばらしい技術力がまだ残っていますので、そこを一生懸命担保して人材育成をやっていくべきだと思います。  車一台造るのにいろんな金属が必要です。先ほど、銅なんていったら、この五十キロの銅を取り出すのに十トン以上の鉱石が使われているとか、白金も同じです。電気仕掛けにしてレアアースの高性能モーターを使うと、さらにまた、同じように何トンも使われます。リチウムも同じですね。そういった意味では、これからはそういった状況を見据えつつ施策を打っていくのが必要です。  ここからは私の専門なんですけど、そういった背景を基に、私は、レアメタルのリサイクル鉱石からメタルを取り出すだけではなくて、廃棄物からメタルを取り出す。所先生は、廃棄物からその有価物をうまいこと分離する技術をやっています。分離されたものから、今度はよりきれいな高付加価値なメタルを造るというのが私の仕事ですね。  それがどういうことでやっているかといったら、こういったレアメタルというのは、要はもったいないからですね。これ、日本が誇れるすごい上位概念です。これ、世界には通用しないんですけど、もったいないという概念は。あともう一つは、御紹介しましたように、環境が破壊されるからですね。二番の、リサイクルした方が安いからと。これは、実を言うと、残念ながら今の技術力じゃないです。貴金属以外は、レアメタルは、リサイクルすればするほどお金が掛かります。  そういった意味では、モチベーションとしては、レアメタルというのは、地球が生んだ奇跡のものを地表近くからうまいこと取り出している。で、環境破壊している。しかもエネルギーを使っている。あと、日本の場合は、さらに、ごみを捨てる場所にも限りがある。これは日本ぐらいですけどね、はっきり言いまして。海外の一部のところでは穴も掘りませんから。だから、そういった意味じゃ、レアメタルのみならず、リサイクルは重要になってくる。  それが今日のこのまとめの図になってくるんですけど、要は、皆さんが高性能電子機器を使うと、必然的にそこには多量のレアメタルを使います。それをリサイクルするというのは私たちのミッションであるということですね。ただ、残念ながら、鉱物資源というのは余りにも価値が、評価され、ただ同然で採掘され、ゼロコストでごみが捨てられている。どうしたらいいのかという話。  ここで、最後、皆さん、先生方にお願いしたいのは、バリュー・オブ・ネーチャーという考えを一つ持っていただけたらと思います。  このスライドにありますように、金属生産するのには、製錬、採掘、加工その他のコストがあります。仮に物をリサイクルしようとすると、まず回収するコスト、この黄色の部分ですね、特にこれは日本はすごい高いです。日本は、回収して、例えば所先生とかの技術でうまいこと分離しても、今度メタルに取り出そうとしたらやはり廃棄物が出ます。その廃棄物の処理コスト日本は異常に高いんですね、また。  となると、ほとんどのメタル、量がまとまった銅、鉛、亜鉛とかの大きい量が集まるメタルですね、鉄鋼とか、あとは貴金属のように単価がべらぼうに高いメタル、これはリサイクルしたらもうかります。ただ、リチウムとかタンタルとか、こういうのはもう全然、リサイクルすればするほどレアアースコスト的には損をする。  じゃ、捨てようかと、それは駄目です。はっきり言いまして、先ほど御紹介しましたように、鉱石からメタルに取り出すときに環境が大きく破壊されています、私たちの知らないところでですね。だから、そういった意味じゃ、バリュー・オブ・ネーチャーというのを大きく破壊しているんだと。あと、鉱石そのものがバリュー・オブ・ネーチャーが高いんだと。しかも、誰も実際お金を払っていませんけど、廃棄物処理コストというのはかなり本当は高い値段が掛かっている、コストが掛かっているんだと。だから、そういった意味じゃ、リサイクルすればするほど、本来経済的な利得はなくても人類は価値を生んでいるということを御理解いただけたらと思います。まあ、ビジネスとしてはちょっと成り立たないんですけど。  以上、これが最後スライドとなりますが、多くの日本研究者人たちは素材からハイテク製品を作るところは一生懸命で、日本はこれはもうトップランナーです。ただ、今後大事になってくるのは、製品が廃棄されたときにそれを資源として有効利用し、それをしっかり環境調和型の技術をもって利活用していく、これが今後大事になるんじゃないかなと思います。  以上、御清聴ありがとうございました。
  8. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  また、質疑者にはその都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いいたします。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いします。  宮島喜文君。
  9. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 自民党の宮島でございます。  今日は、先生方、忙しい中ありがとうございました。  今先生方のお話を聞いて、先生方それぞれの立場で、非常に私も、ああ、こういう考え方があるんだというお話を伺ったように聞きました。  今、グリーン社会をつくるんだと、これは社会の合意というか、そういうところが私はあると思います。内閣で今進めていますように、二〇五〇年、温暖化ガス排出ゼロをするんだと、こういう流れの中で、やはりこの脱炭素化、カーボンニュートラルというものが取り上げられていかなきゃいけないとは思います。  そういう中で、先ほど車のお話も出ましたけれども、代表例でですね、非常にこのレアメタルというものがいろんなところでこれからもだんだん必要となってくる、増えてくるということも、これも私ども分かるわけでございます。  そういう中で、最初に山冨先生にお伺いしたいんですが、非常に鉱物資源、これやはり我が国はどうなのかという、もう一回原点に戻るような話でございますが、海洋資源までもう調査をしていると、こういうところで、なかなかこれは難しいところが、まだ課題が多いというお話だったと思います。  我が国の、じゃ、いわゆる陸地の資源、これは、鉱物資源というのは、これは探査から始めまして調査して、そして採掘に至るという過程だということでございますけれども、この調査の部分で、まだまだあるんではないか、全くもう期待できないのかどうなのかというところを、先生のお立場や今までの御経験からまずお聞きしたいと思います。
  10. 山冨二郎

    参考人山冨二郎君) 日本国内にまだ鉱物資源あるのかないのかという御質問だったと思うんですけれども、現状を申しますと、金属資源では、大きなところは、鹿児島県の菱刈にあります金鉱山一つあります。それから、ちょこちょこっと石炭鉱山が北海道にはございます。  一九九〇年代の半ばに、日本金属鉱山は、菱刈を除いてほとんど全滅状態になりました。といいますのは、ドルの為替レートがあの頃百円を切るまで円高に動いたと思うんですけれども、そうしますと、海外から輸入する鉱石の値段が物すごく安くなるんですよね。それに対して日本国内鉱山は、やはり労賃が高いとか、それから環境に配慮した操業を行っておりますので、いろんな意味で環境コストが高いということで、結局立ち行かなかったわけです。  それで、今後どうかという話なんですけれども、金に関しては可能性があるかもしれないです。ただし、鉱山を開いたとしても、やはり国内鉱山を営むためにはそれだけの環境に対するコストが掛かりますので、かなり難しいといいますか、のが現状だと思います。幾つか海外の企業が菱刈の金鉱床のスタディーをして、あそこにはあるんじゃないかということで活動していた時期もありますけれども、結局物にはなっていないというのが現状です。  それで、石灰石だけは一応自給する分があるんですけれども、ただ、今日お話ししましたように、埋蔵量に関しましてはどんどん目減りしています。それで、こんなことをここで言うと後で叱られるかもしれないんですけれども、経済産業省は国内資源埋蔵量統計をずっと取っていたんですけれども、二〇〇九年を最後に中止しました。その理由は、海外からの鉱石輸入が多いので、海外鉱石埋蔵量を調べるのは意味があるだろうけれども、国内はもう関係ないというのが理由なんですが。じゃ、石灰石も切っちゃうのというのが、うちの卒業生に抗議はしたんですけれども、聞き入れてもらえませんでした。  そういうことで、現在国内埋蔵量がどれだけあるかという調査は国は行っていないというのが現状で、海洋については一生懸命やっております。
  11. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございます。  今のお話ですと、国内で採鉱というのは非常に難しいだろうという、そういうふうに私は受け止めました。  いずれにしましても、そうなりますと、所先生お話をお聞きしたいんですが、このリサイクルということになる。だから、この貴重なものをこういうふうにリサイクルしていく技術ということは日本はかなり進んでいるんだというお話が中にはあったかと思います。これが、企業というか、企業として成り立つか成り立たないかというところ、非常にまだ厳しいというお話もあったようにも伺いましたけれども、このリサイクル技術開発というのは物によっても違うんではないかと思うんですが、この選別も含めて、製錬に持っていくところの段階で非常に大きな技術開発がこれから必要になろうかと思うんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
  12. 所千晴

    参考人所千晴君) ありがとうございます。  日本の優れていると申し上げたところは、後ろ側ですね、分離の中でも主に二つに分かれていまして、いわゆる解体とか分離濃縮と呼ばれる物理的にあらあらに濃縮する部分と、それを更に精錬と呼ばれる、更に高精度に純度を上げていく部分があるんですけれども、後ろの部分は非常に優れていますけれども、前の部分がどちらかというとまだ発展途上だというふうに思います。特にリサイクルの場合は、そこの部分がきちんと技術としても確立されていない部分があります。  ですので、そこを目まぐるしく変わるいろんな製品に合わせて技術開発をしていく、それから規模も大きくしていく、それから企業も技術の力を付けていくというところが非常に大事だというふうに思っています。
  13. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。  最後に、岡部先生にお伺いしたいんですが、非常に、岡部先生、分かりやすいというか、何か社会そのものに対しての問題意識までお持ちだというふうにお見受けしました。  そういう中で、この環境負荷の問題を取り上げていらしたんですが、これは、この環境問題を中国が全く考えていないからああいうことができるんだと、こういうことになるのかなと思うんですが、日本で考えた場合は、非常に、かえって環境という問題に対してシビアに考えれる立場にあると思いますからこういうことはないと思うんですが、これがやはり国際的な関係から見れば、中国に対してもこれはこのままでいいのかというお話ですね。こういうのはどういうふうに、これから外交や何かの中で、物は欲しい、だけど、何かこういうものを交渉の中で上げるような、日本として必要なものは何かあるのでしょうか。
  14. 岡部徹

    参考人岡部徹君) 日本もそうだったんですけど、成長戦略を取っている国は、国策として環境はちょっと低く置きます。もうこれはしようがない。なぜかといったら、おまえら、ごみ捨てるのに一トン何万円払うかといったら、それだったらもうちょっともうける方にお金を投資したいとなりますので。日本もそうだったように、中国も行く行くは、今はかなり低い環境コストでしょうけど、ある程度豊かになってきたりいろんな問題が顕在化してくると、恐らく環境コストを上げてくると思います。  ただ、そうなると、今度、またほかのどこか安い国が出てくるんですね。特に、鉄鉱石とかと違って、レアメタルというのは、それこそ申し上げましたように需要が少ないものですから移動ができちゃう。要は、たった三つの国から供給していたら世界中に供給できちゃいますから。だから、そういった意味じゃ、実際どうなっていくのかというのは分からないです。  ただ、所先生がお答えになったことにちょっと関連するんですけど、日本は、実を言うと廃棄物海外からかなり輸入しています。ただし、条件付でして、貴金属を含む廃棄物です。これは世界中で取り合いをしております。例えば自動車の排ガスをきれいにする触媒、白金族、プラチナとかロジウムを含むんですけど、これをもう海外で一生懸命集めて、日本に持ってきて製錬している。例えば、電子基板のスクラップでも金の品位の高いやつですね、これは持ってきています。それはなぜかといったら、日本がそういった特殊金属の製錬が今は得意だからですね。  だから、こういった意味では、ちょっとお答えになっているかどうか分からないんですけど、日本は環境を害さずにそういった有用なメタルを取り出す技術が今はトップランナーですので、これは今後も戦略として強化していくべきだと思います。あとコスト、安いものを処理するというところはもうどうしても勝てないですね、日本は。  以上です。
  15. 宮島喜文

    ○宮島喜文君 ありがとうございました。
  16. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  森屋隆君。
  17. 森屋隆

    ○森屋隆君 立憲・社民共同会派の森屋隆でございます。質問の機会をいただきまして、感謝申し上げます。  また、本日は、三名の参考人先生方、大変お忙しい中、本当にありがとうございます。  それでは、質問をさせていただきます。  まず、岡部参考人に二点お伺いをしたいと思います。  私は、公共交通機関で働いてきました。鉄道やバスは自家用乗用車に比べて単位輸送量当たりのCO2の排出量が少ないということで、環境負荷を少なくするためにはマイカーから公共交通へのシフトを促すことが必要であると、こういうふうに言われています。  岡部参考人は、自動車の製造に不可欠なレアメタル、レアアース資源、またそのバックヤードを含めた問題について論じております。今後は電気自動車が増えまして、それが主流になると、こういうふうに考えられますけれども、そのような状況においてもこの公共交通機関は環境負荷が少ない交通機関であるかどうかと、そういうことが言えるかということが一点目であります。  二点目については、世界的に見ればこのレアメタルの埋蔵が枯渇する可能性はない一方で、レアアースのように供給源の偏在、すなわち製錬所も環境対策の不十分な国に偏っていると、こういうふうに指摘をされています。  そこで、国内での製錬所の整備が必要と思われますけれども、ただ、製錬所の整備に技術的な問題がないとしても、先ほどありましたように、リサイクルを含め環境コスト面での困難であれば、環境コストを下げる、つまり環境規制を緩くしなければ無理なのでしょうか。そういった点で、国内でのレアメタルの製錬環境の充実に向けた施策の在り方についてお考えをお聞かせください。
  18. 岡部徹

    参考人岡部徹君) まず一点目の、森屋先生からの、電車を始めとする公共交通、これは資源消費のみならず、エネルギーという観点からもすばらしくエコです。逆に言いますと、電気自動車等は、いろんな高速道路でだっと並んでいて渋滞に巻き込まれて、一人一人はみんな快適なのかもしれませんが、これはすさまじくエコではありません、はっきり言いまして。  ただ、人が今後何を求めるのかというところは違いまして、私は、将来はやはり電車とか公共交通、ここは、いわゆる資源消費のみならず、エネルギー、あと社会性という意味でもこれは重点的に進めるべきだと思います。逆に言うとファンシーな乗り物ですね、御自身が使われる。場合によっちゃ二酸化炭素は出さないのかもしれない、もうこれははっきり言って趣味の世界でいいのかもしれません。というのが一点目の私なりの見解ですけど、これはいろんな人がいます。将来はレアメタルをじゃぶじゃぶ使ってもそういった自動運転のものをがんがんやるべきだという考えもあるかもしれませんけど、私はそうではないとは思っております。  あともう一つ、例えば、日本は環境規制が厳しいからレアメタルの製錬はできないし、有害物の処理が結構コストが掛かる、もうおっしゃるとおりです。逆に言いますと、ある施策を設けて特区みたいなのをつくって、ここはこういう環境規制でいいとか、そういうのをつくってもいいかもしれません。なぜかといったら、日本は異常に環境規制が厳しい。まあ、それによって害悪も生じなくていいのかもしれませんけど。  一例を御紹介させていただきますと、例えばアメリカの鉱山では、あるところでは直接山に硫酸をぶっ掛けます。何が起こるかといったら、酸化した銅鉱石が硫酸で溶けて、下の方には硫酸酸性の硫酸銅の池ができます。そこから銅を取り出す。アップル社で講演したときに、これアリゾナと書いてあるけど本当に我が国かと聞かれたんですけど、そうだ、お隣だと、隣の州だと。そういうことが行われています。  要は、環境というのは、地域によって緩めるということは十分、例えば、日本はそれはないですけど、アメリカとかでは行われています。そういった観点では、やればいいんじゃないでしょうか。ただ、日本の場合は直接硫酸を山に掛けてとかいうのはもちろん駄目ですけど、今のは極端な例ですけど、そういったことで今も銅とかは結構な割合は生産されているという実態を御紹介したくて、今日お答えします。
  19. 森屋隆

    ○森屋隆君 ありがとうございます。  次に、所参考人にお伺いしたいと思います。  現下、深刻なコロナ感染症によって自動車の、先ほどありました、利用も増えていますし、また、このマスクのごみなどが増えています。環境負荷が大きくなっていること、この現状に懸念をしているんですけれども、そこで、コロナと環境の問題について、特に資源環境の観点からどういった課題があり得るか、お聞かせをいただきたいと思います。
  20. 所千晴

    参考人所千晴君) ありがとうございます。  このコロナで移動が大分制限されたことによって、目下のエネルギー的な部分では少し環境負荷が下がったというふうな報告もありますけれども、御指摘のとおり、一部のプラスチックごみ、あるいはマスクといったようなものは増加しているというふうに言われています。  これ、今日は主に金属資源お話をさせていただきましたが、一方で、このプラスチックごみ、それからガラスのようなものですね、金属よりも更にそれぞれの経済価値はそれほど高く、あっ、ごめんなさい、機能はすごく高いんですけれども、元素としての価値はそれほど高くないというものをどうやって我々はより資源としてうまく利活用していくかというのはすごく大きな問題です、課題があります。  その場合は、今日は貴金属あるいは金属なのでメタルの価値に注目してお話し申し上げましたけれども、こういったものは、プラスチックとかガラスといったものは、その機能を余すところなく使うという処理法が求められていく。そうすると、金属よりも更に小さなループで、これは地産地消に近いかもしれませんけれども、ちょこちょこと小さなループでこれをうまく機能を使う仕組みづくりをしていかなければいけないということになるというふうに思います。もちろん、そのための分離とか後処理技術開発も必要ですし、それからその仕組みづくりが必要だと思います。総じて、金属よりもより小さな規模で機能を余すことなく使っていく、ごみにしないということが求められると思います。  それからもう一点、金属の観点からいいますと、製錬所も、今、基板とか一部の樹脂は受け入れているんですね。ただ、それは非常に限りがあります。というのは、やはりその後に副産物に影響が出るからですね。ですので、もちろん製錬所などもこういった金属だけではなくて樹脂のリサイクルにも一部は寄与できますから、どういう寄与ができるかというのを製錬所側も更にもう一歩考えるようなことも必要かと。そのときに考えなきゃいけないのが、その副産物への影響です。  先ほど、ちょっと岡部先生への御質問にも重なるんですけれども、その副産物をうまくサプライチェーンに乗せられるというか、ごみにせずに利活用していくということができたらもう少し販路が広がっていくんじゃないかと思います。特に、金属有害元素というのはどこかに拡散していくものではないので、うまくコントロールして使うという概念が考えられるものなんですね、例えば鉛とかヒ素とかですね。少しぐらい混じっていても、コントロールして使えるのだったら利活用していくという考え方もありますし、そういったことも含めて、入口から出口まで、金属に限らず広く見ていくことが大事かなというふうに思います。  以上です。
  21. 森屋隆

    ○森屋隆君 山冨参考人にお伺いをいたしたいと思います。  鉱床が持つ地質学的な自然条件は、技術とそして資金を駆使しても改変不能ということなんですが、言い換えれば、自然条件によって採掘できる鉱量が決まるということでよろしいんでしょうか。そしてまた、自然破壊が進まないためにも、コストが掛かってでも都市鉱山リサイクルを推し進めていくことには、山冨参考人の方は賛同しているということでよろしいんでしょうか。二点でございます。
  22. 山冨二郎

    参考人山冨二郎君) 後ろの方からお答えいたしますけれども、もちろん、私は鉱山のことをやっておりますので、今日はそういう話をいたしましたけれども、十分リサイクルから出てくる金属はやっぱり必要だと思っておりますし、今後もそれはどんどん進んでいくといいますか、鉱種も金属種もいろいろ広がっていくことを望んではおります。それは必要なことだと思っています。  それから、最初の御質問が、自然条件で決まってしまうか。なかなか難しいところではありますけれども、やはり深くなったりいたしますと掘ることは難しいということは現実に存在しますし、掘れてもコストも掛かる、したがって、制約を受けるということはあり得ます。
  23. 森屋隆

    ○森屋隆君 ありがとうございます。
  24. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  竹内真二君。
  25. 竹内真二

    ○竹内真二君 公明党の竹内真二です。  本日は、三人の参考人皆様、お越しいただきまして、また、すばらしい説明をいただきまして、ありがとうございました。  初めに、岡部参考人にお聞きしますけれども、先ほど宮島先生からもありましたけれども、我が国がこのレアメタルとかのそういうものを取り出す技術というものが非常にトップランナーであるというお話もありましたけれども、中国では、天然資源鉱石からレアメタルを今、レアアース等を抽出しているわけですけれども、そこで、日本のそういう世界的にも優れた技術というものを、ちょっと私分からないので教えていただきたいんですけれども、中国でそういう採掘で取り出すところには例えば役立てることはできないのか、協力するような余地があるのかどうかをまずお聞かせ願えないでしょうか。
  26. 岡部徹

    参考人岡部徹君) 昔は、日本は、産業が、銅、鉛、亜鉛、非鉄産業が一気に開花して日本の産業が加速的に強くなっていった。したがいまして、今も日本は非鉄産業、一兆円規模会社がごろごろあります。しかも、この高い環境コストを払わなきゃいけないのに、海外からスクラップを持ってきたりして、環境に適合する形で富を生み続けております。これはすばらしい技術なんですけど、それは同じく中国も最近はすごい伸びております。  皆さんくれぐれも誤解しないようにしていただきたいのは、ちょっと前までは、はっきり言って中国の製錬会社というのは技術的には劣っているという考えが主流でしたけど、今は多くのものが中国に抜かれていると考えてください。特にレアアース希土類の生産に関しては、中国の方がもはやはるかに進んでいると考えた方がいいと思います。  ただし、例えば最終的な高性能の磁石を作るところとか、そういった最後の製品のところまでも考えると日本の方が進んでいるんですけど、残念ながら、私たちは、昔は技術をいろいろ、はっきり言いまして教えに行っている、見て指導するという立ち位置にいたんですけど、今は私は、中国に行っていろんなものを学ぶという立場に変わりつつあります。  そういった意味じゃ、その最終製品のとこら辺はトップランナーかもしれませんが、製錬に関しては、今は抜かれつつあるというのも正直なところです。
  27. 竹内真二

    ○竹内真二君 それでは次に、所参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど御説明の中で、日本廃棄物リサイクル産業の状況の中で、非常に欧米に比べて規模が小さいというような御説明がありました。これもう少し詳しく、なぜなのかという経緯と、それから、規模が大きいことによって経済ファクターの面で非常にいい面があるということなんですけど、具体的に、日本で少し先進的な取組をしているとか、海外でその規模が大きいことによってこういうメリットが出ているとか、何かその例を少し紹介していただけたら有り難いと思うんですけれども。
  28. 所千晴

    参考人所千晴君) ありがとうございます。  歴史的に、日本のリサイクラーが、特定の製品のスクラップであるとか、あるいは廃棄物処理業から生まれているという経緯から、廃棄物処理というのは過去にいろいろな経緯があって、物を越境できない、広く集められないとかためられないとか、いろいろな規制の中で適切に処理されてきたという歴史があると思います。  ですので、それは廃棄物処理としては非常に大事なことなんですけれども、一方で、これを資源として利活用したビジネスとして考えてきたときに、広く集められないとかためられないとかということはちょっと足かせになっている場合もあるのかなということは一つ考えております。  各製品ごとの下請で処理をしてきたという経緯から、なかなか多種多様な製品を広く集めてなりわいを大きくしていくというようなことに今のところ発展していないんじゃないかというふうに思います。  大規模化することのメリットというのは、もうこの欧米の会社が実証しているとおりでして、広く集めることによって、そこにきちんとした安定した市場が生まれます。廃棄物がちゃんと市場として取り扱われて、自分たちに質の良い廃棄物がきちんと、廃棄物じゃないですね、これは資源なんですけれども、資源を集められるということになると、先ほど申し上げたように分離濃縮技術のバランスですので、自分たちの分離したいバランスに合ったものを広く集めてこれるということで、メリットはどんどんあります。  ですから、やはりある程度規模を確保するというのは、このリサイクルにおいては非常に大事なことだというふうに思います。  以上です。
  29. 竹内真二

    ○竹内真二君 ありがとうございました。  次に、山冨参考人にお聞きしますけれども、御説明の中にありました海洋鉱物資源開発なんですけれども、海底熱水鉱床のことについては詳しく説明いただきましたけれども、水深が更に深い方のマンガン団塊レアアース泥、この二つについては、揚鉱技術というものがまだこれからなのでなかなかまだ難しいという御説明だったんですけれども、これかなりその深さが深いものですから、これ相当、この今実証実験みたいなものがやっているかどうか分からないんですけれども、この可能性みたいなものをどう見ていらっしゃるのかということをお聞きしたいんですけれども、海外とかで、又はそういうものがもう少し行われているのかも含めて御説明いただけたらと思います。
  30. 山冨二郎

    参考人山冨二郎君) 御存じのように、海外の海洋石油とかガス田は、数千メーターのところから原油、ガスを採取しています。ただ、それは、やはり原油が自分で、自噴能力というんですかね、地層の圧力で揚がってくる能力を持っているものですから実現しているところもあります。ただ、鉱物の場合にはそういう動力源といいますか、マンガン団塊とかレアアースの場合にはそういう動力源がないものですから、人為的にというか、何らかの手段を使って四千メーターなり五千メーターから揚げてこないといけない。  それで、実はマンガン団塊につきましては、日本は既に一九九七年にマンガン団塊の集鉱試験といいますか、鉱石を集める試験を終えております。ただ、その後、そのマンガン団塊をどうやって揚げてくるかということについて行き詰まったといいますか、経済的に見合う手法は発見できなかったということで足踏みをしています。  一方、海外のベルギー、ドイツ、インド、その辺りですかね、が今年度といいますか、今年、マンガン団塊の集鉱試験をやろうとしています。ただし、それも鉱石を集めるだけで、どうやって揚げるかというのはその次に考えるという段階で、やはりその数千メーターの壁が厚い。  レアアース泥は、固体というか、鉱物の形ではなくて泥の状態にありますので、それをエアリフトという手法を使って揚げてこようという提案があります。そして、エアリフトを使って二百メーター程度までの実験は行いました。ただ、それは六千メーターに適用できるかというと、これもまた全然別の問題でありまして、やはりエアリフト、空気の泡を使ってそれと一緒に揚げてくるんですけれども、六千メーターの下から空気の泡を送るととんでもない体積膨張を起こしますので、その辺の制御とか、まだまだクリアしなければいけない技術課題はたくさんあります。  以上でよろしいでしょうか。
  31. 竹内真二

    ○竹内真二君 終わります。ありがとうございました。
  32. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  梅村聡君。
  33. 梅村聡

    ○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。  今日は、三人の参考人先生方、御説明、資料、ありがとうございました。  それでは、山冨参考人からお伺いをしたいと思いますが、今日のお話の中でも、鉱山を実際に探査をして開発をして生産をしていくと、これうまくいくかどうかという確率の問題もありますし、何よりも期間もかなり掛かると思うんですね。  一方で、鉱業の側から、生産の側から見れば、どの金属なりどの資源がどういう技術革新でどれぐらいその需要が伸びていくかというのはこれ結構予測をして、その上で、技術開発とか例えば開発資源の投資とか、そういったことをあらかじめ予想して投資をしたり開発をしたりということをしないといけないと思うんですけれども、その辺りの総合的な日本の戦略というか、そういうものというのは実際どこで行われているのか、あるいはそういうことが日本に戦略として今あるのかどうか、先生の知見をお伺いしたいと思います。
  34. 山冨二郎

    参考人山冨二郎君) 知見があるかと言われますと、正直ありません。私はやっぱり、学問でもないですけれども、ビジネスの世界からは遠いところにいるというのが現状です。  やはり、どこの鉱山会社も長期的な戦略、やはり鉱山開発までには数年で済むようなおいしい話もある一方で、二十年、三十年掛かってもなかなか開発に至らないというのが過去にたくさんございます。ですので、なかなか、これからはカーボンニュートラルとかそういったことが一つのキーワードになろうかと思いますので、そういった材料に向けたシフトもあるでしょうし、また銅は、どんなことがあってもといいますか、これからも変わらず主力の金属の場を、非鉄金属の場を保つと思いますので、そういったことについても長期的な戦略。ただし、優良な銅鉱山、現在主に南米、環太平洋にありますけれども、なかなか開発の難しい案件が増えているというのが現状だと思います。
  35. 梅村聡

    ○梅村聡君 ありがとうございます。  山冨参考人にもう一つお伺いをしたいんですが、今日お話最後の中で人材の育成のお話があったと思います。  幾つかの例えば企業とか研究所がまたがっていろんな研修とか教育をされているという、そういう事例を御紹介いただきましたけど、一方で、日本の研究体制ですよね、そういったものを考えたときに、その知識の例えば伝えるということについてはこういうネットワークの取組がいいと思うんですけれども、一方で、研究開発とかあるいは基礎研究ということを考えたときに、やっぱり大学とかそういうところが、鉱山の、例えば資源開発からリサイクルであったりとか製錬であったりとか、そこまでをやはり基礎研究で一気通貫で体制をつくっていくということ、私は非常に大事なことだと思うんですが、この辺りというのは、今現状、大学としてはどうなんでしょうか。
  36. 山冨二郎

    参考人山冨二郎君) 私、もう実は定年退職いたしましたので、そういう意味では無責任かもしれないんですけれども、若手の研究者を育て、それが将来の人材育成にもつながっていきますので、非常に大事なことだとは思います。  ただ、現状では、私が関わっているような採鉱の分野では、やっぱり人材不足といいますか、なかなかいい人に恵まれないというか、苦しいところがあります。むしろ、所先生とか岡部先生のところはやはり、花形の分野でもないけれども、学生さんたちの注目も集まっておりますので、そこはうまく動いていると思います。  私は、どうしたらいいのか本当に悩ましいところなんですけれども、やっぱり鉱山の採鉱という仕事は、ある意味研究の対象というよりも技術者を育てるというのが今まで主な役割でありました。ですので、大学でのいろいろな研究、採鉱のことを研究しようと思いますと、やはり大掛かりなものが必要になったりとか、そういったスケールの問題がございますので、なかなか研究の場でそれを引き続き行うというのは非常に難しいのが現実であります。  そして、何よりもやっぱり国内鉱山が少なくなっておりますので、その実際の現場といいますか、そういったところにある問題を取り上げて、それに対する解決手段、研究を行うという機会が減っているということも現実ございまして、なかなか難しいところがあって悩んでおります。
  37. 梅村聡

    ○梅村聡君 ありがとうございます。  いろんな環境が大変かと思いますけれども、努力していきたいと思っております。  それでは、先ほどちょっと花形とおっしゃられた所参考人にお伺いをしたいと思いますが、今日は金属リサイクルお話を聞かせていただきました。  その中で、リサイクル技術という面と、それから、先ほどもちょっと御説明をいただいたんですが、製造プロセスがあって何か製品ができて、それがリサイクルになってまた製造されていくと。やっぱりこれが連携をしていないと、例えば最初の製造が、先ほど分解のされやすさというお話がありましたけれども、そういうものがあって、あるいはその物質のトレーサビリティーなんかも、これも非常に大事なことだと思うんですが、一つ会社の中でそれをやるんだったら、そのモチベーションというのはあると思うんですけど、実際は多分、違う会社であったりコストの問題であったりとかある中で、そういったものを進めていくモチベーション、これ政策的にやっていくとすればどのようなことが考えられるのか、あるいは足りないことがあるのか、ちょっと知見をお伺いしたいと思います。
  38. 所千晴

    参考人所千晴君) ありがとうございます。  まさに非常に大事なところでして、二十年来、易分解設計、あるいはインバースマニュファクチャリングという概念はあったにもかかわらず、それが思うように進んでこなかったのが、まさにそこに、製品側にモチベーションがなかったというところだと思います。インセンティブがなかった。それが今、少しずつ世論あるいは環境に対する意識の高まりで変わってきているのではないかというふうに私は期待しています。  先ほどのスライドでも御紹介したとおり、EUでは、もうリチウムイオン電池はリサイクル率幾つでなければならないとか、カーボンフットプリントを提示しなければならないとか、あるいはこれを全部回収して何%リサイクルせねばならないというような法案を出して、そこで、ヨーロッパではそういったリチウムイオン電池しか取り扱わないことで自分たちの製品に差別化を図ろうとしているわけで、そういったことが日本でも起こってくれば、日本の製品はきちんとリサイクル率何%のものをこういうふうに使って、さらに使用後もリサイクルできやすくなっていて、さらにその背後にあるカーボンフットプリントであるとか総物質関与量なんかも全部提示されていて非常に安心であるというふうになれば、そういった製品しかもう選択しないというようなことになってくれば、これは資源循環にとっても大きく一歩前進すると。  そういったインセンティブが製品側に発生するような社会をつくっていかなければいけないんじゃないかなというふうに思っています。
  39. 梅村聡

    ○梅村聡君 企業価値をそれで評価できるという、そういうことだと思います。ありがとうございます。  それでは、ちょっと時間、最後少ないんですけど、岡部参考人にお伺いしたいんですが、先ほどレアメタル、レアアースの中国への依存のお話がありまして、その中で、単なる資源を取り出せるかどうかではなくて、環境負荷とかコストとか、そういうものが比較的吸収されやすいという背景のお話がありましたけど、これ逆に、中国が今後、環境意識というか、そういう規制が強くなってきたり、そうなってきたときに、ちょっと言葉悪いんですけど、今の中国の規制のレベルぐらいの地域とか国とか、そういったものが、日本として取引をしたり、あるいは資源を手に入れる上でそういう地域というのがあるのかどうか、あるいは、そういうことを戦略的に考えている状況なのかどうか。ちょっと雑駁な質問ですが、教えていただきたいと思います。
  40. 岡部徹

    参考人岡部徹君) 今も、中国は尖閣諸島の問題の後、一気にレアアースの値段が上がりまして、元の値段には戻っておりません。  したがいまして、その結果とも言えるんですけど、結構高いコストでもオーケーということになりましたので、環境に対しては今かなり改善が進んでおります。ただ、日本ほどはもちろん厳しくないです。特に廃棄物の処分のところは、日本に比べたらもう桁違いにまだ安いと思います。だから、そういった意味じゃ、今後そういうのがどんどん厳しくなってくると、単純にレアアースのお値段が上がるというだけですね。そこが重要なポイントとなってきます。結局は、技術コストの関係になってきますので。  そういった意味じゃ、梅村先生が先ほどおっしゃった、技術革新によって使われていなかった資源が価値を生む可能性はという、これ山冨先生に聞かれた問いだと思うんですけど、それについてちょっと補足させていただいてよろしいでしょうか。  例えば、百二十年前は、アルミニウムもレアメタルだったんです。要は、資源はあるけど、あれをメタルにできなかった。ただ、ホール先生とエルー先生というのがそれぞれにすばらしい技術開発して技術革新が起こったから、一気に、まあ戦争とかもあったんですけど、一気にアルミニウムはレアメタルからコモンメタルになったと。それがアルミニウムですね。  もう一つ、最近皆さんの御記憶に新しいのはシェールガスですね。これも技術革新先導型の資源の有効利用です。昔は、あんなものは使い物にならないとか、コスト掛かるし技術も駄目だということだったんですけど、それがいきなりエネルギー資源に変わったということですね。  そういった意味じゃ、例えば皆さんが知っているチタン、これは私の専門でもあるんですけど、これも資源はもうやたらあります、九番目に多い元素ですから。幾らでもあるんですけど、いまだ技術革新が起こらずレアメタルのままなんですね。もしこれが、アルミニウムのような技術開発がもし起これば、一気にコモンメタルになってきます、資源は無尽蔵ですから。  そういった意味じゃ、日本は今、今後取り組むべきことは、チタンとか、あと電池に使われるニッケルコバルト、こういうもののいわゆる生産技術革新、あとリサイクル、これを要はリードしていく。今も日本ははっきり言ってリードしているんですけど、リードし続ける国づくりが大事なんじゃないかなと思います。  あと、最後ちょっと気になったことは、山冨先生は、所先生岡部先生分野は花形だなどとおっしゃいましたが、ちょっと大きな誤解がありまして、所先生御自身は花形研究者です。これは間違いない。ただ、正直言いまして、私の分野は花形分野ではありません。
  41. 梅村聡

    ○梅村聡君 終わります。
  42. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  田村まみ君。
  43. 田村まみ

    ○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。  今日は、山冨参考人所参考人岡部参考人、本当にありがとうございます。  早速質問に入りたいと思います。  それでは、花形研究者所参考人にまず御質問をしたいと思います。  今日、別の質問考えていたんですけれども、今日いろいろ御教示いただいた中で、この人工資源利活用への要請ということでのカッパーマークの話がありました。今日、限られた時間だったので、本当に一部としてお話しされたんですけれども、このマークの意味合いという意味でちょっとお伺いしたい視点が、ステークホルダー、どのような人たちがこの、最終製品を作っているところだけがここを御承認として取っているのか、もう少し幅広いところが承認として使うというふうな意識があるようなマークなのかどうなのか、そして、これが日本へどのように波及をしてくるか、この二点をお伺いしたいと思います。
  44. 所千晴

    参考人所千晴君) カッパーマークは、銅の素材、インゴットに対する認証制度でして、その銅のインゴットを造っている鉱山、製錬所、それから資源・素材会社がこのカッパーマークを取っている。日本も、いわゆる大手の銅製錬所、あるいは銅を生産している資源・素材企業はきちんとこの認証を取っていらっしゃいます。  これは国際銅協会というところが認証することになっていまして、これ、残念ながら日本の制度ではなくて外国の制度ということで、諸外国、特にヨーロッパはやはりこういったことを今戦略的にどんどんやっているなというふうに思います。  以上です。
  45. 田村まみ

    ○田村まみ君 ありがとうございます。  もちろん、環境への配慮だったり、持続可能な社会をつくっていくという視点で重要なことなんだというふうに思うんですけれども、やはり日本の中で、こういう環境の問題だったり人権の問題というのはどうしても経済の次にという形になっていて話し合われない中で、実はEUやほかの欧米諸国なんかは、この環境の問題や人権の問題を、外交の問題だったり自分たちの経済を優位に働かすために実は使っている部分があるということを最近聞いたことがあるので、ある意味、自分たちの産業としての環境への配慮を証明するだけではなくて、本当の意味で経済を伸ばしていくためにも、どのような視点でこういう国際認証のマークとかその取得について、その関係する産業以外のところも考えていかなきゃいけないんじゃないかなという視点でお伺いしました。  もう一つお伺いしたいのが、これもパワーポイントの最後だったのでなかなか時間が取れなかったと思うんですが、人材育成のことは皆さんお話しされたんですけれども、この連携と人材育成の重要性ということで、所参考人、もう一問お伺いします。このEITの話です。  私、今日聞きたかったのが、実は、やはりこの素材とかを研究される方たちというのはなかなか、小さな頃からいろんな経験をしながらどういう職業に就こうかと思ったときにたどり着きづらい職業のうちの一つだと思うんですよね。やっぱり最終製品が見えているところというのは、皆さん夢を持ってここに、こういう仕事に就きたいというふうに言いやすいところだと思うんです。  そんな中で、この今回のEITというところは、最終製品というところに少し着目をしているというようなところが短いお話の中で出てきたので、もう少しこれについてお話をいただいて、日本にこの取組を入れようと思ったときにどのような課題があるのかとか、何か政策的に必要なものがあるのであれば教えてください。
  46. 所千晴

    参考人所千晴君) ありがとうございます。  おっしゃるとおりで、消費に近いところ、それから、今日、花形というのが一つキーワードになっていますけれども、花形のところ、分かりやすいところというのはやはりいい人材が集まりやすいんですけれども、この素材の産業というのは、それを下支えする縁の下の力持ち的なところがありますのでなかなか見えづらいので、私たちも一生懸命アピールはしているところです。  そんな中で、このEITローマテリアルズの日本と違うところは、日本は、資源、素材、それから材料、そして製品と、全部分野が分かれているし、大学の分野も分かれているし、省庁も分かれていると思います。それから、研究所も分かれているので、お互いにそこが連携を取りづらい中にあって、このEITローマテリアルズは、探鉱から、資源を見付けていくところから、掘って造って製錬して、それを材料にするところまでが一気通貫になっているので、材料側に対して、資源制約であるとか、こういうバランスで本当はレアメタルを使うといいんだというような情報が材料側まで行き渡りやすいということがあると思うんです。そこの仕組みが残念ながら日本の場合はなくて、どちらかというと製品優位で、製品でこういうレアメタルが欲しいからどこかにないかと探しに行くという構図になっていて、両方向になっていないんですね。  少なくとも資源側から製品側に、本当はこういうバランスで使ってほしいということもフィードバックできるようにならないと、なかなかこの分野も発信力がないんじゃないかなというふうに思っていまして、そういった意味では、今のこの仕組みを急に変えるのは難しいかもしれませんけれども、お互いにプロジェクトや連携を強化していくというところから、大学だけではなくて、省庁も研究所もみんな含めてですけれども、そういったところから始める必要があるんじゃないかなというふうに考えています。
  47. 田村まみ

    ○田村まみ君 ありがとうございます。  急には難しいというふうにおっしゃっていただいたんですけれども、そこを何とか乗り越えていくのが多分私たちの役割だなというふうに思いながら今お伺いしました。ありがとうございます。  続いて、山冨参考人にお伺いしたいんですけれども、今ほど来、人材の育成ということで先んじて私が言った、なかなか見えづらい職業、研究というところに人材が行かないというところでいくと、今採掘の現場自体もないということで、先ほどの梅村委員の話、理事の話によると、本当に、まず人が来てもその技術を磨いていくというところも難しいんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、そんな中で、どのように人材育成をその採掘分野で今後日本でできるのか、その可能性をもう少し語っていただきたいなと思って、よろしくお願いします。
  48. 山冨二郎

    参考人山冨二郎君) なかなか深く語りたいところなんですけれども、私自身もそうですけれども、何で資源に行ったのと聞かれたら、多分、私は学生時代、ちょうど日本の日の丸石油というんですかね、アラビアで石油の権益を取ったり、あるいは秋田県の方で黒鉱鉱床が、国内金属鉱床が新たに発見されたりという少し資源ブームの時代でありましたので、そういったところで興味を持ってこの道に入ったと思います。  そして、今日御紹介いたしました資源開発分野あるいは製錬・リサイクル分野での人材育成の話なんですけれども、これも二〇〇四年ぐらいから資源価格の高騰が始まりまして、やはり今まで日本社会は、コモディティーといいますか、商品として安く資源を輸入して、そしてそれを製品にするというのが基本的なものでありましたけれども、二〇〇四年以降、やはり中国の影響が強くなったと思いますけれども、やはり世界的な需要の高まりの中で、お金を出しただけでは資源はもう獲得するのが難しいと、ある意味、リスクを取りながら資源を調達するという方向に持っていかなければいけないという方向転換があったと思います。その関係で、資源分野人材これから必要だねということで、補助金をもらってスタートさせました。  それで、現在はどうかということなんですけれども、やはり状況は基本的には変わっておらず、今後も、資源価格あるいは資源調達については、日本は、隣の国とか新しい国とある意味、競い合いながらというのもちょっと変ですけれども、張り合って資源採掘する、そのためにはなるべく海外鉱山から資源を調達せざるを得ませんので、海外鉱山の権益を取る、そしてその権益に見合った人材を送る、そういったことが必要になります。メーンのオペレーターにはなれなくても、海外日本人一人で頑張って海外鉱山技術者と張り合っていくというような人が私は是非必要だと思っておりまして、そういう意味では、強いタフな技術者の養成といいますか、そういったものが必要だと思っております。  以上でよろしゅうございますでしょうか。
  49. 田村まみ

    ○田村まみ君 広い質問をしてしまいまして申し訳ございません。ありがとうございました。  時間が来たので、岡部参考人に質問できなかったんですが、本当は、消費者の視点でのリサイクルについてをもう少し聞きたかったんですけど、また機会があればよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  50. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  山添拓君。
  51. 山添拓

    ○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  参考人の皆さん、今日はありがとうございます。  山冨参考人に初めに伺います。  今お話もありました人材育成に関わって私も伺いたいと思うのですが、参考人日本学術会議の特任連携会員として参加をされておりました総合工学委員会の持続可能なグローバル資源利活用に係る検討分科会、これ二〇〇八年ですけれども、その提言を拝見をいたしました。当時も、今日お話のあったようないろんな、中国の需要急増を背景とした需要の逼迫、価格の高騰、安定供給への懸念と、いろんな問題が既に指摘をされて、人材育成の必要性ということがこの中でも語られておりました。新聞の一面をレアアースやレアメタルがにぎわわせるようなそういう状況になっても、それから十年たっても、今でも現場の人材不足が続いているということであれば、これは受け止めた政治の側の責任ということもあるんではないかと思うんですね。  その上で、今花形でなくても、いずれどの段階でどういう経過で花開くか分からないと、そういう分野はたくさんあるかと思います。梅村議員からの質問にもありましたけれども、やはりその基礎研究、特に大学での研究分野、それに対する支援の在り方というのは、今花形かどうかにかかわらず、やはり充実させることが必要なんじゃないかと考えますけれども、御意見はいかがでしょうか。
  52. 山冨二郎

    参考人山冨二郎君) 御指摘のとおり、大学の基礎分野での研究というのは非常に重要であります。はやり廃りにかかわらず、我々は百年の計を持ちながら、資源及びそれに関連した分野の研究の柱といいますか、そういったものを守りながら前に進んでいく必要があると思っています。  ただ、それをどういう形で進めるかというのがなかなか難しいところがありまして、ともすれば、また叱られるかもしれませんけれども、日の当たる分野への支援といいますか、やはり将来近いうちに花が咲くであろうというところに研究資金とかそういったものが回ってきているのも事実ですし、資源分野ではそれは特にどうかと問われますと、やはり乏しい状況は変わりません。  そして、もう私は大学は退職いたしましたけれども、今後の研究者や学生のためにも、基礎分野への研究資金の配分というのは守っていただきたいと思っております。
  53. 山添拓

    ○山添拓君 ありがとうございます。  次に、所参考人岡部参考人に伺います。  今日議論にもなっておりますリチウムイオンバッテリーですけれども、そこで使用されるリチウムというのは、産出国として代表的なところでチリがあり、そのリチウム鉱床のあるアタカマ塩湖では、地下水のくみ上げ過ぎで生態系への影響だとか住民生活にも影響が及ぶということが指摘をされていると伺います。  それから、リチウム電池に使われるコバルトコンゴが中心だということがありましたけれども、採掘自体が水質汚染や農作物の汚染をもたらしたり、あるいは、鉱山労働者が一日一ドル程度の劣悪な環境で働いて、子供、七歳の子供まで使われているというような、人権問題だという批判もされていると伺います。  電気自動車はクリーンだと掲げてリチウム電池を搭載するわけですが、そのために新たな環境汚染や搾取やあるいは人権問題の拡大をもたらしていると。それは、地球全体で見ると、自然環境や人間社会にもたらす負荷が大きくなっているということがうかがえると思うんです。  ですから、川下のリサイクルだけでは対応できない問題について対応が必要だと考えますけれども、所参考人からEUの法規制の問題なども紹介いただきましたけれども、川下だけで対応できないことについてどのような具体策が求められるのかについて、それぞれ御意見を伺えますでしょうか。
  54. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) まず、所参考人
  55. 所千晴

    参考人所千晴君) ありがとうございます。  まさにおっしゃるとおりで、電気自動車、使っている間は非常にエネルギー、クリーンだと思うんですけれども、それを造るときにどれぐらい環境負荷を出しているのかということはライフサイクル全体で評価しなければいけない。この考え方も大分根付いてきているようには思います。  その製品側もできるだけ、クリーンなという言い方が適しているかどうか分かりませんけれども、そういった材料を造ろうという努力はしているというようにEUの法案を見ても感じられますし、日本もそれもしていかなければいけないんですけれども、より上流側ということになりますと、やはり先ほど御紹介いただいたカッパーマークのように、コバルトリチウムも、これは人道的にも環境的にも安心、安全に造られた素材であるというような認証が進んでいくような可能性はありますので、そういったものをより使っていくということが製造側の日本にも求められていくというようなことがあるかなと思います。  それから、やはり日本ができることは、リチウムコバルト資源国ではありませんので、やはりリサイクルだというふうに思いますけれども、これも今現状ではリサイクルが経済的に成り立たない可能性が高い状況にあります。なので、リユースをしたりいろんなことをして、今そこを経済的に成り立たせるようにいろんな努力をしているところではありますけれども、このリチウムイオン電池の資源循環をどう考えるかというのは、まさに日本も待ったなしでちゃんと考えなきゃいけないときには来ていると思います。  以上です。
  56. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 次に、岡部参考人
  57. 岡部徹

    参考人岡部徹君) 今、リチウム採掘、特にチリのアタカマ湖からの環境破壊についてコメントがありましたが、ちょっと若干の誤解があるようですので御説明させていただきますと、この参考資料、ちょうど用意したもののまず二十二ページ、二十四ページの写真を御覧になってください。ここにありますように、アタカマ砂漠というのはこんなところです。要は、これもう一年間雨が降らない。水のようなのが見えていますけど、これは湧き水ですね。そういうようなところです。  そして、更にどんどんめくっていただいて、ちょうど今日資料を用意しておいてよかったんですが、配付資料でいったら、ページでいうと、スライド番号でいうと六十五、六十七、六十八辺りですね。これがまさにリチウムの、かん水といって、地下にある塩水の採掘現場です。これ、正直言いまして、今幾ら掘っても誰も困らないです。なぜかというと、人いません。人という意味の誰もは困らないです。これは一つコメントですね。  ただし、スライドの七十五ページ見ていただいたら分かるんですけど、EV車一台造るのにはどのぐらい掘り出さなきゃいけないかといったら、二トン以上のかん水を掘り出さなきゃいけません。ただ、これは別にEV車を造るために二トン以上掘り出すんじゃなく、これはKClというカリウムですね、カリウムの資源を掘るためにばんばん掘り出して、その副産物としてリチウムをこれは取っているというのがむしろ現状です。  これが、以上、私からのお答えですが、あと、先ほど、前の先生に戻ったのも関係あるんですけど、再三人材お話が質問で出てきますので、私からもコメントさせていただいていいでしょうか。  先ほど身につまされるお言葉がありまして、見えづらい職業とかたどり着きづらい分野、正直言いまして、地味で人気のないところに生きている私なんですが、これ、私自身は正直言ってこういう分野を目指したわけではなく、一番出来の悪い学生だったから一番人気のないところに配属されました。今から三十年前ですね。それが非鉄冶金、特殊金属製錬。ただ、今では未来材料、チタン、レアメタルという分野になり、しかも非常に重要な分野になりつつあると。これ、大事なことですね。教育ってそういうものなんですね、分野とか。  私と所先生は、折しも、こういった非鉄材料の方にいろんな人材を誘導すべく、その重要性、将来性を大事だよということを言うべく、いろんな方々、業界にアピールする活動を二人で一生懸命やってきています。ただ、全然インパクトがないんですね。  そこで、今日お願いしたいのは、レアメタルのリサイクルがいい分野だと議員の先生方に言ってほしいとはお願いしません。ただ、日本が得意とする材料のプロセス分野、こういう分野は将来性があり、しかも国として大事なんだから、もし皆様の御家族、さらにそのお知り合いがそういう分野に興味を示したら、あんなところ行くなと言うんじゃなくて、むしろ背中を押していただきたい、国として動かしていただきたい。  議員の先生方がこの分野は重要だと言ったら、よりいい人材がたくさんこの分野になだれ込むことを期待して、今日ここにはせ参じさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。
  58. 山添拓

    ○山添拓君 ありがとうございました。  時間が参りましたので、これで終わります。
  59. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  三浦靖君。
  60. 三浦靖

    ○三浦靖君 参考人先生方、今日はありがとうございました。  早速ですけれども、岡部先生、所先生にお聞きしたいと思いますけれども、今日お話しされた都市鉱山、人工鉱山の話の中で、やはりリサイクルが必要だということではあったんですけれども、それを消費者である我々がよく認識できたのは、この度のオリンピック、パラリンピックの金、銀、銅メダルを、リサイクル製品、小型家電であったり携帯電話であったり、そういったものを回収して金、銀、銅メダルを作ろうという、こういった運動がありました。  今日お話の中で、我々消費者、また国民、それから行政が、この都市鉱山、それから人工鉱山、こういったものに対して関心を持っていく、そして、さらにはこのレアメタルをいかに国内できちんとリサイクルしていくかというところの観点で、国民であったり自治体であったり、そして行政に向けたメッセージというのがありましたらお聞かせいただければと思います。お願いいたします。
  61. 所千晴

    参考人所千晴君) ありがとうございます。  オリンピックのメダルの件は、消費者の皆さんにこの分野のことをよく分かっていただくのに非常に貴重な機会だったというふうに思っています。それだけでなく、最近は、やはりもったいない精神に基づいていろんなものを有効活用しようとされているいろんな取組がニュースにも取り上げるようになって、これは日本の価値観として非常に大事なものだというふうに思っています。元々日本の国民の皆さんにはそういう意識が根付いているので、リサイクル、リユースというのは比較的根付きやすい国民性なんじゃないかなというふうに思っています。  我々ずっと言っていますのは、混ぜればごみなんだけれども分ければ資源であるということで、消費者の手元から廃棄物として出るときに、できるだけ分けて、分けたもので、そこで分かれていれば非常に資源性がそれだけでも上がるということですので、何を分けていただくのかということは我々は真剣に考えなければいけませんけれども、ある程度分けて出していただいて、それを、先ほど来主張させていただいているように大規模に集めて、そしてリサイクルできていくというような仕組みづくりが非常に大切かなというふうに思っています。  以上です。
  62. 岡部徹

    参考人岡部徹君) 一般社会にアピールしていくという、これ、先生のおっしゃるように非常に大事なんですけど、残念ながら私たちのような地味な分野ではこれができないので、むしろそういったところをお願いしたいところであります。具体的には、所先生のような花形研究者が百人ぐらいいたらもうちょっと盛り上がっていくんでしょうけど、残念ながら、私どもはこの分野においては絶滅危惧種と言われております。ちょっと地味ですからね。  ただ、レアメタルのリサイクルは今後より重要になることは間違いありませんし、それを何とか、先ほど御紹介いただいたオリンピックのメダルの例ですね、これを全部リサイクルで作る。私、そういうのは非常に大事だと思います。  はっきり言いまして、コスト的には見合わないですけど、明示的に、だから、皆さんの持ち物は全部リサイクルのもので作らなきゃいけないとか、国会議員の先生方だったらそういうことも可能かもしれませんので、そういったことをアピールしていただけたらなと思います。よろしくお願いします。
  63. 三浦靖

    ○三浦靖君 ありがとうございました。  岡部先生、私、ゴルフしますので、是非チタンを安くしてもらえばゴルフクラブ安くなるかなと楽しみにしていますので、よろしくお願いいたします。  私の質問は以上でございます。ありがとうございました。
  64. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  塩村あやか君。
  65. 塩村あやか

    塩村あやか君 立憲・社民共同会派の塩村でございます。  今日は、お三方の先生、非常に貴重なお話をありがとうございました。これまで、私、全然こうした分野に詳しくなかったんですが、今日三人のお話を聞いて、ある程度分かったんじゃないかなというふうに思っているところです。こうしたことがしっかりと外に、もっと世間に発信されていけば全然変わってくるんじゃないかなというふうに、今日お話を聞いていて感じました。  こちらは多分、恐らく岡部先生お話の中に、資源供給制約ばかりが世の中に出ていくので、技術的な制約とか環境制約の面、ここが大きいのにここが伝わっていないということがありました。ここに今後注目をしていく、政治的にしっかり解決をしていくお手伝いをするということが必要ではないかなというふうに私は今日お話を聞いて思ったところです。  そこで、岡部先生にお伺いしたいんですが、環境の制約がある中でこうした問題を日本では解決していかなくてはいけないと。そうしたときに考えられるのは、技術の面で環境をきちんとクリアをしていくことができるのかどうか、これを探っていかなくてはいけないのではないかなと今日お話を聞きながら思ったんですが、簡単ではないということも分かりました。  そこで、あえてお伺いしたいんですが、日本は大変に厳しい環境の制限、制約を持っているんですが、これを技術の面でクリアをしていくことが、この先、先生たちの研究などでできるのかどうか、この分野を探っているのかどうか、ここをまず聞かせてください。
  66. 岡部徹

    参考人岡部徹君) 非常に有り難い御質問、ありがとうございます。なぜかといいましたら、今の私のライフワークが、廃液を出さないとか有害物を出さないレアメタルのリサイクル技術開発なんです。だから、要は、それは技術的にはできてもコスト的に合わないということが多いです。  例えば、私が取り組んできた一例を申しますと、日立さんと組んでやったんですが、磁石、自動車用に使われる高性能磁石が廃棄されるとモーターが出てきて、モーターの中にはレアアースを含んでいます。ただ、レアアースをそこから抜き出そうとしたら有害な廃液がたくさん出ます。だから、一切廃液が出ずにレアアースリサイクルする仕組み、こういうのを技術開発しました。  だから、そういった環境に、何というんですか、コンシャスな企業は飛び付いてくるんですけど、やはりやってみるとコスト的には見合わないことが多い。ただ、そういうのは、そういう試み、トライアル、なぜかといったら、みんなの環境コストが上がってきたら条件が変わってきますので、そういうのは国としてどんどんエンカレッジして、応援していただきたい。  だから、こういうのはできないことは多いんですけど、そういった、要は、環境調和型の技術開発、これ日本が非常に得意とするところなんで、今後力を入れていく重要分野だと思います。私が今日最後に示したスライドというのはまさにそこら辺が書かれていまして、ただ、皆さんが御指摘のように、それを担う人材が一番今危機に際している、そこが一番問題だと思います。  以上です。
  67. 塩村あやか

    塩村あやか君 ありがとうございます。また、本当に非常に勉強になりました。私たち、何に取り組んでいかなくてはいけないのかというところが再認識できたというふうに思っています。  次に、所参考人にお伺いをさせていただきます。  事前にいただいた資料の中にあった言葉で、資源循環はバランスが非常に重要だというふうにおっしゃっておりました。これまで日本は、先ほど田村委員からもあったと思うんですが、ビジネスの面を割と優先していくことで、キャッチアップという部分が、遅れてきた分野があるというふうに私も思っています。  つまり、経済的な合理性を優先してきて、資源循環とかリサイクルという部分がちょっと追い付いていなかったんじゃないかなというふうに思っておりますが、ビジネスという言葉がようやく最近資源と、資源循環と結び付いてきたということで、私も今注目をしております。  昨今のSDGsやESG投資に対する企業の反応の良さを見ていると、今初めて環境というものがビジネスになるかもしれないと、そういう時期に来ているというふうにおっしゃっておりました。私も、ビジネスは加速度的にこうしたものを進めていくキーワードになると思っています。都市鉱山金属リサイクルとその技術日本が戦っていくために何がビジネスの後押しをするのかと、何が必要になるのか、政府の支援が必要か、政治が必要か、経済界が必要か、もし御意見があれば教えてください。
  68. 所千晴

    参考人所千晴君) ありがとうございます。  私が事前にお配りしたところで、バランスが大事というところで主張したかったことは、例えば、貴金属だったら貴金属だけのリサイクルのことを頭の中に思い描きがちなんだけれども、その背後には、樹脂からガラスからいろんなものが全部くっついてきて、貴金属だけがリサイクルされるわけじゃなくて、その残りも全部余すところなくちゃんと再利用できなければいけないというような、そういうバランスが一つです。  もちろん、人材としてのバランスとかいろんなバランス必要なんですけれども、そう考えますと、もし政治で、あるいは仕組みで何かエンカレッジしていただけるとすれば、その経済のところだけで回収していたときの残りの部分ですね、この残りの部分がうまく消費のところで利活用されるような仕組みの後押し。  先ほど、有害物、ちょっと鉛がとかヒ素がとかと申し上げましたけれども、それがちょっとでも混じると日本はもう絶対に廃棄物として最終処分されなきゃいけませんけれども、これらを余すところなくきちんと考えるとすれば、例えばガラスの中にちょこっと入っているヒ素や鉛なんというのは溶出しませんから、コントロールできるところであれば何か活用方法があるかもしれないというような考え方にのっとると、何かそういった残りの部分をどうやってこのサプライチェーンにうまく乗せていくかというところの仕組みづくりがすごく重要だと思います。  そこのところがうまくいくと、要するに排出の部分がうまくいけばインプットも入ってきますから、循環がより円滑に、一部の経済的に価値のある金属だけじゃなくて、ありとあらゆるものが回っていくきっかけになるんじゃないかなというふうに考えています。
  69. 塩村あやか

    塩村あやか君 ありがとうございます。  続きまして、こちらは山冨参考人なのか、それとも岡部参考人になるのか、はたまた所参考人になるのかちょっと分からないんですが、ちょっとお伺いさせていただきたいと思っています。  政府の方で循環型社会形成推進基本計画というものがあります。この中で、二〇三〇年にベースメタルを八〇%、レアメタルは五〇%、これを資源自給率ということで掲げているんですが、これについて、ベースメタル八〇%、レアメタル五〇%、これをどのように評価するのかということが一点と、あと、都市鉱山リサイクルという観点から、次は資源を循環利用するということが重要になってくると思うんですが、目標とするリサイクルの数値、こちらは政府として持っていないということなんです。  この二つの数値について、どなたが一番ちょっと詳しいのかあれなんですが、じゃ、岡部参考人にお伺いしたいと思います。
  70. 岡部徹

    参考人岡部徹君) 例えば鉄鉱とかベースメタル、その生産量がそれほど伸びない、需要も伸びない一定値のものはリサイクル率を高めていくことは可能です、施策とか技術開発でもって。  ただ、レアメタルの場合は、皆さん御存じのように、ちょっと前までそんなファンシーな携帯電話使っていなかったじゃないですか、ちょっと前まで電気で走る自動車なんて走っていなかったじゃないですか。だから、レアメタルはうなぎ登りに需要が増えているんですね。だから、それを、過去のものをリサイクルして、仮にお金を投入してコストが掛かっても、全量抽出しても全く需要に合わないです。  結局、新規鉱山開発しなければ全く、だから、そういった意味じゃ、どういった根拠でこの五〇%ができるのかどうか、私はあずかり知らぬところですが、その伸びていくマーケットの中でどうやってそういった天然鉱物以外のところから調達するんだというところが、何かその前提の自給率という言葉が分からないものですから、お答えしようがないです。
  71. 塩村あやか

    塩村あやか君 ありがとうございます。  多分、担当の方も聞いていらっしゃると思うので、何かしらリアクションがあるかもしれません。  以上になります。ありがとうございました。
  72. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  新妻秀規君。
  73. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 公明党の新妻秀規です。  参考人の三人の先生方、ありがとうございました。  まず、山冨先生にお伺いをしたいんですけれども、資料の十ページに、海洋鉱物資源、ここでは海底熱水鉱床ですけれども、その技術課題と非技術的な課題についてまとめていただきました。技術課題については竹内委員の方から質疑があったとおりなんですけれども、この非技術的な課題法制度であったり社会受容性であったり、また他産業との共生など、極めて重要な課題ばかりなんだなというふうに受け止めております。  ただ、これを乗り越えていかないとこれが進まないというときに、参考となるような海外での事例とかあれば教えていただきたいなと思います。
  74. 山冨二郎

    参考人山冨二郎君) 私自身が調べているわけではございませんけれども、今JOGMECという組織が注目しておりますのは、ISAという、国際海底機構という国連の機関の一つですけれども、そこでマイニングと、環境のコードといいますか、そういったものを作成しようとしています。ISAは、公海上での鉱物の採取についてそういうものを作ろうとしているんですけれども、当然、EEZ内のものについてもそれを参考にして作っていく。  そして、もう一つ大事な点は、今のところ、日本が、海底熱水鉱床、あるいはコバルトリッチクラストについては掘削試験だけですけれども、そういった実際の仕事をしておりますので、そこで得られたデータ、そういったものを、ISAが行おうとしているような法整備とか環境整備の方に積極的にこれから発信していって、それを助けるというんでもないですけれども、そういったところに活用していくべきではないかと。JOGMECなり政府の方も、そういうふうなことを考えておられるようです。
  75. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 ありがとうございました。  続いて、所参考人にお伺いをしたいんですけれども、この十ページの人工資源利活用の課題の②のところに、解体、分離の高効率化というお話がありました。この点は、先ほど梅村委員の方からインセンティブ措置、また研究の観点で山添先生からお話があったところですけれども、この一番左の破砕、粉砕は自動車のシュレッダー処理という例が挙げられておりまして、片や、一番右端には人力解体と挙げられておりまして、その間に赤いダイダイ色の丸で特殊機械粉砕からロボットまでいろいろあるんですけれども、こうした要素技術についてはどのような今状況にあって、どんな課題があるのか、教えていただけますでしょうか。
  76. 所千晴

    参考人所千晴君) ありがとうございます。まさにここを専門にしておりますので、御質問いただいてお礼申し上げます。  今、この赤いところですけれども、ようやく、ロボットですね、各企業がこの解体を自動化しなければいけないという課題認識にのっとって、ある企業は、もう自社製品を全て解体できるようなロボットを作って、ユーチューブ上に上げてアピールしているというようなこともあります。  ただ、問題は、そういう自社製品だったらそういうことができるんですけれども、要するに、情報も全部ありますからできるんですけれども、リサイクルというのは、大規模になればいろんな製品が足したようなものが来て、それを自動化するというのはそんなに簡単なことではないんですね。ですので、昨今のAI画像認識なんかとも合わさって、この分野に、日本が誇るAI、ロボット、自動化の技術がどんどん投入されていくことを期待しています。  それから、破砕、粉砕に代わるものとしては、まさに私も基礎研究をずっと続けておりまして、いわゆる機械的なものだけではなくて、まあ機械的なものでもいろんな与え方を工夫したり、あるいは電気を与えてまた違った壊し方をしたり。私の将来の夢は、自動車が使用済みになって、何か外力を与えたら素材ごとにばらばらになるというような社会なんですけれども、そういったものが、まあ究極ですけれども、分離技術としてできてくれば、もうばらばらになった素材はリサイクルできますから、非常に世界が変わってくるというふうに思っています。  ただ、この技術開発だけではなかなか難しいところもありますので、やはり先ほど申し上げたように、製品側もばらばらに、使用中にばらばらになられたら困るんですけれども、使用後には何らかの外力でばらばらになるような仕組みというのも考えていっていただけるといいのかなと。仕組みと技術の両方でここは革新的に飛躍させていけたらいいなというふうに思っています。
  77. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 ありがとうございました。  最後に、岡部参考人にお伺いをしたいんですけれども、バリュー・オブ・ネーチャーという考え方、なるほどなというふうに、バリュー・オブ・ネーチャーという考え方はすばらしいなと思ってお伺いいたしました。  まさに私も、先生がおっしゃる誤解されている方多いと思うんですの、その誤解ばっかりのことを、本当にもう、身につまされる思いでお伺いをしたんですが。  このバリュー・オブ・ネーチャーという考え方について、今のこのアカデミアでの議論、また国際的なシンクタンクでの議論が今どのような状況なのか、お伺いをしたいと思います。また、このような考え方を制度に実装するためにはどのようにしていけばいいのか、お考えがあれば是非ともお伺いをしたいと思います。  以上です。
  78. 岡部徹

    参考人岡部徹君) まず、産業界から見たら、この概念が普及すると困ることが多いです。それはなぜかといったら、ひたすらコストが掛かるからです。あと、要は環境破壊に対するペナルティーが科せられることになりますのがね。だから、非常に難しい概念であります。  ただ、お手元にある参考資料のこの多くの写真は、私自身が全て海外に行って、アウトドアが大好きなものですから、撮った写真です。そういったところを見ると、やはり自然の持っている価値はそう崩しちゃいけないよと、爪痕を残しちゃいけないよと。ただ、残す以上は徹底的にリサイクルしようよと。  なぜかといったら、レアアースは、掘るときは環境破壊されますけど、しかも、場合によっちゃ放射性物質とかいろんなものが出ると。ただ、それをリサイクル、今は捨てていますけど、それをリサイクルすると、それはコストも掛かるし手間も掛かるけど、有害なそういった放射性廃棄物はもう出ませんから、もう一回ごみ落としされていますから、ロンダリングされていますから、だから、それはメリットですよと。  ただ、それはコスト的には全く見合わない。なぜかといったら、バリュー・オブ・ネーチャーで言っている今の実際の社会というのは、経済というのは、一番、そういうコストを負担しないでいかに安くて物を作るかというところで勝負していますから。逆に言うと、そういった考えを導入することによって、ともすると困る人たちも多いのも確かであると。  以上でお答えになっているでしょうか。
  79. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 以上です。ありがとうございました。
  80. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。  舟山康江君。
  81. 舟山康江

    ○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。  今日は、三人の先生方、それぞれ本当にありがとうございました。  私も常々、所参考人資料の七ページ、プラネタリーバウンダリーのこの概念図を基に、いかに小さなサークルの中にいろんな負荷とかこれからの生き方を求めていくのかということはずっと考えてきたんですけれども、そういう中で、やはり政府がカーボンニュートラルを打ち出したのはいいんですけれども、ただ一方で、そこだけが突出することによって、実は電力需要も増えるし資源の需要も高まって、ひいては途上国の環境へのマイナスとか、その環境負荷低減のために動いていたものが逆に増大させることがあるということは、本当、改めてこれ、政府全体としてバランスの取れた今後の環境負荷低減の取組を我々国会としてもしっかり打ち出していかなければいけないと思いますし、私は野党の立場ではありますけれども、様々な場面を通じて、政府に対してもこういった全体としてのバランスの取れた取組を求めていかなければいけないということを改めて強く今日は感じました。本当にありがとうございました。  その上で、やはりこの環境問題、これ人権問題だったり、場合によっては労働問題だったりということなんですけれども、先ほどの所参考人お話の中で、銅に関してはカッパーマークということで、これEUが主導ですけれども、一定の、まあ国際的になっているんでしょうかね、ガイドラインができています。  そのほかの素材に対しても、やはりこういったガイドライン的なものは作っていかないといけないのかなと思うんですけれども、例えば日本が主導してできるものなのか、世界でそういった協議会等をつくって、そういった動きが今見え始めているのかどうなのか、その動きについて現状を教えていただければと思います。
  82. 所千晴

    参考人所千晴君) ありがとうございます。  銅は非鉄の中でも非常に主軸メタルですから、こういった動きができてきていますけれども、そのほかのメタルが個別に今すぐにそういった指標が検討されているかどうかというのは、済みません、私も情報を持っておりません。  ただ、金属全体としてトレーサビリティーをしっかりと確保していこうという動きは、これもやはりEUを中心に走っておりまして、全体として、こういうふうにトレーサビリティーを明らかにしていこうという方向にあることは間違いないと思います。  それをなぜEUが主導でやっているかということなんですけれども、やはり先ほどどちらかから、済みません、お名前をちょっと失念してしまいましたけれども、御発言あったとおり、EUはある意味戦略でこれをやっている。自分のところの産業を守り、自分のところの価値観が全体を支配といいますか、行き渡るようにこういうことをやっている。  そういう中で、日本が特定のメタルに対して何か指標を作るとか、そういったことはちょっと考えづらいかなというふうには思いますけれども、やはり日本金属全体のトレーサビリティーを上げるという部分において、EUでこれだけ先導的な動きがあるわけですから、そこにきちんと意見を言える立場にあるということが非常に大事で、そういった意味では、今ちょっと人材育成の話にも関係してしまいますけれども、こういったところを俯瞰的にきちんと見て、英語でEUのいろんなことに対して対峙できる、意見を言えるという人材がちょっと日本は不足しているというのは事実だというふうに思います。  ですから、そこの部分を、人材を育成して、その流れにきちんと物を言える立場を確立しておくということが日本において大事なんじゃないかなと思います。
  83. 舟山康江

    ○舟山康江君 ありがとうございました。  私も、いろんな分野でEUは極めてしたたかに戦略的に取り組んでいるなと感じています。欧州グリーンディールの中でも、もちろん真に環境のためとか温暖化防止のためというのもありますけれども、やっぱり自分たちがルールを作って、有利になるような仕組みを先につくっていこうと、これ農業の部分でもそうですけれども、非常にそれを感じている中で、やっぱり我が国としても、人材、その業界ごとにいろんな発信をしていくと同時に、やっぱり政治の意思としても示していく必要が非常にあるなと感じています。  もう一点ですけれども、山冨参考人資料の中に、国際資源開発研修センターが秋田県小坂町にあると書いてあるんですけれども、私も、実は都市鉱山という名前を初めて聞いたのは、秋田県小坂町のいわゆるDOWAホールディングスですかね、その取組の中で、まさに資源小国だけれども、実は日本資源がたくさんあるんだということで、そのリサイクルにかなり早い段階で取り組んでおられたということで、都市鉱山という名前も初めて耳にしたんですけれども、その後、この小坂町のいわゆるその都市鉱山からのリサイクルとか分離の取組というのはどのぐらい進んでいるのか。また、これが先進事例として今後も広がっていく可能性を秘めているのかどうなのか。現状について、ちょっと私も、十数年前にばあっと注目されていましたけれども、最近ちょっと個人的には耳にしなくなったんですけれども、やはり今後のいわゆるリサイクルという中でヒントになり得るのか、その辺りの今の現状を教えていただければと思います。
  84. 山冨二郎

    参考人山冨二郎君) 実は、御質問には、所先生岡部先生に答えていただいた方がいいところがあります。と申しますのは、都市鉱山という名前は付いておりますけれども、実は私とはまるで関係がないといいますか、むしろリサイクル、製錬の問題であります。  同和鉱業は小坂町で明治から鉱山を持っておりまして、銅炉の製錬所を持っておりました。それは、内陸のやっぱり立地条件の悪いところではあったんですけれども、非常に特殊な鉱石を処理できるという、そういう能力を持っておりました。  そこで、同和は、DOWAメタルマインズか何か、今名前がややこしくなって正確には言えませんけれども、リサイクル専用の炉に造り替えまして、思い切った決断だったと思います。最初は効率が悪かったり、いろいろ試行錯誤を続けておられたようですけれども、その辺はもう既に解決されているんではないかと思います。  あとはよろしくお願いします。
  85. 岡部徹

    参考人岡部徹君) 都市鉱山という言葉は、東北大の南條先生が古くからもう概念提唱されておりまして、要は、当時は、大昔はメタルというのは鉱石から造るものであった。ただ、それを、スクラップからメタルを取り出すのがよかろうと。ただ、当時は余り残念ながら評価されていませんでしたが、最近は貴金属とかレアメタルを電子機器が多く使うようになったので、そのリサイクル価値が上がってきて注目されるようになったという経緯があります。  そのDOWAさんを始め日本の非鉄会社というのは、そういうスクラップから有価物を取り出す技術もすごい優れていますので、都市鉱山からのレアメタルのリサイクルというのはもう本当、世界のトップランナーです、日本の企業群は。そういった意味じゃ、今後も皆様が背中を押して、こういう分野は大事だよと言っていただけると有り難いと思います。  折しも、私はヨーロッパから、その都市鉱山リサイクルに関して今度名誉学位をいただくことになりましたが、これは何も私がいただくというわけじゃなく、日本がそういったトップランナーであるということを海外が認めてくれたという状況になっております。  以上です。
  86. 舟山康江

    ○舟山康江君 どうもありがとうございました。  是非、このカーボンニュートラルプラス、やっぱりこの資源をどうしていくのかということを併せて考えていける本当にいいきっかけをいただけたなと思っております。  ありがとうございました。
  87. 宮沢洋一

    会長宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。──他に御発言もなければ、以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたします。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  皆様には、大変和やかな雰囲気の中で、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十二分散会