○
大門実紀史君 それは知っておりますが、国際
金融取引というのが、私はそれがそもそもちょっと疑問なんですけれども、いずれにせよ、こういうHFT
事業者が、高速取引
事業者が更に入ってくる方向になるのは間違いないと、そういう
流れだというふうに思います。
そういう、こういう危ない、何といいますかね、自分たちだけもうけるような、モンスターのような
事業者が増えるということが、冒頭申し上げました
日本の投資家に、特に個人投資家にとって、あるいは健全な市場の発展にとってどうなのかということが懸念されるわけであります。この点では、既に
日本で起きた事件といいますか、問題がございますので、それを振り返っておく必要があると思います。
資料の四枚目でございますが、これは二〇一九年十月に、SBI証券がこの高速取引を通じて、高速取引を通じて一般の投資家に不利益を与えたので大問題になったことであります。
御存じのとおり、SBIグループの創業者は、もう有名な方でございますが、北尾吉孝さんでございまして、
金融庁ともいろいろ関係が深いといいますか、やり手の
事業者の方でありますけれども、何をやったかといいますと、要するに、SBI証券が、SBI証券がその自分たちの、SBI証券を利用していただいている一般の投資家の、SBI証券を利用している一般の投資家の売り買いの情報をHFT、高速取引業者に情報を開示したと、開示した。で、HFT、高速取引業者はその情報を基にして先回りして売り買いをして利益を得たと、一般の個人投資家が損を被ったという事件といいますか、問題だったわけであります。
記事の冒頭にも書かれておりますけれども、株の売買注文を出したら何者かに瞬時に先回りされていると、個人投資家から最近こんな声が上がるようになったと。その不満はSBI証券の
利用者からのものだと。探ると、高速で売買を繰り返すHFTの業者の関与が見えてきたと。これは、アメリカの作家マイケル・ルイスが二〇一四年に著書「フラッシュ・ボーイズ」で描いた米国株市場の
状況が
日本でも繰り返されようとしていると。ちなみに、「フラッシュ・ボーイズ」というのは、ここにありますけど、今、文春文庫になっていますが、アメリカの高速取引業者の姿を描いた実話小説でございまして、大変サスペンスとしても面白い本でございますので是非一読されたらよく分かると思いますが、こんな話題になった話が、
日本でももう始まっているということでございます。
この記事ではないんですけど、当時の記事を見ますと、いろんなこと、この記事にも書かれていますね。十月以降は、十月以降というのはこのSBI証券が方法、方式を変えて情報を見せるようにした以降なんですけれども、露骨な先回りで利益をかすめ取られるようになった、注文を出した途端、さっきまで見ていた最良の板、気配値が奪われると。体感では、体感では約三分の一の注文が誰かに先回りされているという感じを持ったということが書かれておりますし、当時の関連記事ではもっといろんな不満の声が出されております。例えば、まるで人気店のお店の前で並んでいたら突然割り込まれたような感覚だとか、とにかくこのアルゴリズムを使いこなす一部の業者が利益を得て、大多数の投資家は損をしていると。株式市場は公平ではないということが、当時、いろんなそういう声が、新聞記事を見ると出ております。
少し詳しく、この図が、図表が分かりやすいので簡単に仕組みを申し上げますと、SBIは、東証、東京証券取引所だけで取引をしているわけではありません。関連
会社が運営する私設取引所、いわゆるPTSですね、PTSでも取引をしております。この図の真ん中にありますジャパンネクストというのがSBIの関連
会社、SBIグループの関連
会社の私設取引所、ジャパンネクストPTSでございます。
どういうことが行われたかというと、SBIは、投資家から注文を、投資家が注文を行ったときに、複数の市場から、東証でもいいし、このジャパンネクストでもいいんですけれども、複数の市場から自動的に、自動的に最も利益が出る市場を選択して発注するシステムを持っております。その際、ごく短時間、注文が即座に約定しない際に、板情報、売りと買いのこの情報が百ミリ秒から三百ミリ秒といった、もう瞬時、非常に短い時間に板情報がHFT業者に見られる、注文データが見えるという状態にしたわけであります。HFT、高速取引業者はそれを見て、もう瞬時のうちに、個人投資家が買おうとしている、売ろうとしているその情報を見て、先回りして取引を行って利益を得たということでありまして、言い換えれば、SBIが意図的にこういう高速取引業者が見られるように一般顧客の注文データを高速取引業者向けに解除してあげたと、先回りできるようにしてあげたということでございます。
というのは、実はこのときまでは、二〇一九年十月の以前はSBIもこういう注文データがほかの人に見られない仕組み、システムだったんですが、わざわざやり方
変更して、見られる方向に変えたから、SBIを利用していた個人投資家は、十月以降急におかしなことになっていると、先回りされているということになったわけであります。当然目的は、SBI証券にこのHFT、高速取引業者を呼び込んで、呼び込むことによってSBIは売上げを伸ばそうとしたということに、それが目的でこういうことをやったということになります。
ただ、この問題で批判を、もう当たり前ですけど、わあっと批判を受けまして、SBIは、この百ミリ秒から三百ミリ秒、一瞬ですけど、見える状態というのをゼロミリ秒に設定して見えないように変えました。元に戻したということになります。
ただ、それだけで済ましていい問題なのかということがあるわけでありまして、個人投資家に損害を与えたSBIの責任はどうなるのかということであります。
これは、先月、四月七日の
金融審議会のタスクフォースでもある
委員の方が、このSBIがこういうことをやっておいて元に戻しましたと、もうそれでいいんだみたいな開き直りをしていると、こんなことほっといていいのかということを
金融審議会のタスクフォースでも
指摘をされております。
これは参考人にまず聞きますけど、
金融庁としてこのSBI問題をどう考えているのか。今後こういうことはないようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。