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参考人(
平田麻莉君) ただいま御紹介いただきました
フリーランス協会の
平田です。本日は、貴重な
意見の場をいただきまして、誠にありがとうございます。(
資料映写)
私からは、
新型コロナウイルス感染症による
フリーランス、
個人事業主への
影響ということで、
データも踏まえてお話しさせていただきたいと思います。
まず、私
たちの
協会について少しお話しさせていただきますけれども、現在、二月時点で
フォロワー数四万五千人を超えていまして、
国内最大規模の
フリーランスネットワークということを自負しております。中には副業されている方や
個人商店の方なども一部含まれておりますけれども、主には
ビジネス系フリーランスの方ですとかアーティストの方などが
中心になっている、いわゆる
フリーランスの
協会になります。
フリーランスの定義ですけれども、諸説ありますが、私
たちの
協会では、特定の
企業や
団体、組織に専従しない独立した
形態で御
自身の
専門知識やスキルを提供して対価を得る方というふうに定義しております。つまり、
雇用ではなく
業務委託若しくは自営で働く
方々ですね。大きく分けて、兼業している
独立系の
フリーランスと、
会社員でありながら
業務時間以外で
業務委託のお
仕事をしている
副業人材といますけれども、今日は、主にこの左の独立している
雇用関係を持たない
方々についてお話しさせていただきます。
現在、広義の
フリーランスは四百六十二万人と試算されておりますけれども、ギグエコノミーの発達などによって年々増えているというふうに考えられています。
前提なんですけれども、私
たちは
フリーランスは
事業者であるというふうに考えておりますので、基本的には
事業リスクを負う責任と覚悟を持った自律的な
働き方というふうに考えています。一部、本来あるべき
自律性ですとか、
経済的な
自立性だったり
働き方としての
自律性を持っていない方もいらっしゃいますので、そういった準
従属労働者については
労働政策上の保護も
検討が必要だとは思っていますけれども、本日は、あくまでこの自律した
自営業者として働いている
フリーランスについてお話しさせていただきます。
これまで、二〇〇七年、私
たちの
協会立ち上がりましたけれども、それ以降、
経済産業省、
厚労省、
公正取引委員会、
内閣官房などの
関係省庁において様々な
テーマで
フリーランスの
関連政策の
検討を進めていただいて、数々の御
支援、御
協力を賜っております。この場を借りて改めて御礼申し上げたいと思います。
直近ですと、例えば
フリーランスとして
安心して働ける環境を整備するための
ガイドラインということで、これは昨年末に案が公表されて
パブコメ募集が終わり、もうすぐ公開されるものですけれども、我々の
協会でも
契約トラブルの
実態について
問題提起を従前から行っておりまして、それに対しての
ガイドラインというのを今まとめていただいているところです。
また、ハラスメントなどの問題も、
実態調査を行って、それに基づく提言させていただいていましたけれども、これもきちんと
防止措置の中に
フリーランスや就活生も入れていただくというようなことをしていただきました。
また、
契約トラブル、いろいろなお
仕事上のお困り事に対する公的な
相談窓口というのもこれまでございませんでしたので、こちらも昨年末に運営を開始していただいております。
また、
労災保険の
特別加入制度の
対象拡大というのも、議論、昨年行っていただきまして、これは引き続き
対象職種を
拡大する方向で御
検討いただけるというふうに伺っております。
また、
新型コロナウイルス感染症対策に伴う
支援ということでいいますと、昨年、私
たちの
協会からも
実態の
速報調査とともに
緊急要請というのを出させていただきまして、
総理大臣始め
大臣級の
方々にお話しさせていただく
機会もいただいたんですけれども、結果、御
列席の
先生方の御
尽力もありまして、おかげさまで
フリーランス向けの
支援策、たくさん出していただくことができました。これは本当に私
たちの
協会の
会員からも非常に助かったという声が多く寄せられていまして、改めて御礼申し上げます。
ということで、これがこれまで
フリーランスに関連する
課題として二〇一八年の
厚労省の
検討会で挙げられた
検討事項なんですけれども、そのうち
業務トラブル対策については比較的
対策が進んでいるというふうに考えております。
一方で、
ライフリスクの
対策ですとか、あとは、これは
フリーランスの中でも賛否両論ありますけれども、
事業リスクの
対策、特に
失業ですとか
仕事を失ってしまったというところに対する
セーフティーネットというところが今後
検討が必要な部分なのかなというふうに考えております。
特に、
ライフリスク対策というのは、
新型コロナウイルス感染症の
拡大の中でも、多くの方が
フリーランスは
労災にも入っていないですし、
傷病手当金も出ないというようなことから非常に不安を感じていらっしゃったというところで、しかも、
会社員の
方々は
休業などで
休業補償がされていますけれども、
フリーランスに対してはそういった
補償はないという中で、そういった
傷病手当金のような
セーフティーネットがない中でも
働きに出なければいけないと、そういう方がたくさんいらっしゃったというふうに聞いております。
また、グラデーション化する
働き方というスライドを入れていますけれども、この
コロナの中で
テレワークが大分進んだということですとか、
副業希望者が増えているとか、また、今年の四月から施行されます七十歳
就労機会確保の
努力義務化などで
会社員と
フリーランスの
境界線というのはますます曖昧になっていくというふうに考えられています。なので、全ての働く人に中立な
セーフティーネットというのがより一層求められるようになっているのではないかなというふうに感じております。
そういった背景がありながら、この
コロナの
感染症拡大を迎えているわけですけれども、
フリーランス白書という毎年出している
実態調査の
最新版、まだ非公開なんですけれども、
速報として本日はその一部
データを御紹介したいと思います。
今年の
調査では、主に三つの
テーマについて聞いております。
コロナ禍の
影響、それから
社会保険の
加入ニーズ、そして定年に関する理想と現実ということですね。
まず、母集団ですけれども、私
たちの四万五千人の
フォロワーに対してインターネットで
調査を行っております。今年御
回答くださったのは七百十五名ですけれども、私
たちの
協会の元々の
母数として、割とオンラインでもお
仕事ができるエンジニアの方ですとかデザイナーの方ですとか、そういった方が少し多めの
ビジネス系の
フリーランスに寄ったパネルになっているということはあらかじめ御了承いただければと思います。
就業形態でいうと、七五%が
個人事業主ということで、一部法人成りしている方や、
開業届、出していない方も含まれますけれども、大半は
個人事業主の
意見だと考えていただければと思います。
これは毎年、
定点観測で聞いている
データですけれども、今の
働き方を始めた
理由、
フリーランスになった
理由というところでいうと、
自分の裁量で
仕事をするため、働く場所、時間を自由にするためなど、御家庭や御
自身の体調に合わせて
自分のペースで
働き続けるために
フリーランスになったという方が非常に多いのかなと。これは毎年変わらない
傾向でございます。一方、
失業者ですとか、いわゆる
企業勤めが難しい方の受皿にもなっているということも明らかかなと思います。
そういった
フリーランスの
方々が今後
働き続ける上での
課題という設問も、これも毎年取っていますけれども、昨年の
調査では、
収入がなかなか安定しないという項目、五五・一%だったんですけれども、今年は
コロナの
影響もあってか、六四・二%の方が
収入が安定しないということを困っていることの一番に挙げていらっしゃいます。
実際、
コロナが
影響与えた内容というところですけれども、
取引先の
業務自粛による
取引の停止ですとか、お客様が
減少してしまった、御
自身で
業務自粛をしなければいけなかったなどの
影響が上位三位に来ております。
参考で、
右下に二〇二〇年五月、ちょうど去年の
緊急事態宣言下で取った
調査も載せておりますけれども、そのときと少し
影響の出方は変わってきているのかなと思います。
この
調査、昨年末から今年の頭にかけて取ったんですけれども、現時点での、今年度とありますが、二〇二〇年度の収益の着地見込みを二〇一九年度と比較した場合の増減割合で教えてくださいという設問を取りました。結果、減ったという方が五五・〇%、四割以上減ったという方に限ると三二・七%が減ったというふうに
回答しています。
これも御
参考ですけれども、去年のゴールデンウイーク、
緊急事態宣言下で取った
調査ですと、その時点では、
コロナの
影響があると答えた方が八七・三%、
収入が減ったという方が七四・四%でしたので、
持続化給付金のおかげですとか少しずつ皆さん創意工夫されて、去年のゴールデンウイークの時点よりかは
収入が減ったという方は減っているのかなと思いますけれども、依然として半数以上の方が
収入が減ったというふうに答えられているということですね。
しかも、これは職種による差が非常に大きい部分になっておりまして、オンライン化ができるかどうかというのが一つの大きな境目になっているのかなと思います。オンライン
中心での
業務が可能な職種に限りますと、減ったという方、四七・八%ですけれども、オンライン化が難しい小売ですとか、あとは通訳翻訳系ですとか、
営業とかアーティストの方とか、そういった
方々というのは七割の方が減ったというふうに
回答しています。
しかも、オンライン化をこの方
たちも試みる中で実際格差がすごく広がってしまっているという
実態がありまして、元々近所の
飲食店に行っていた方が有名店のデリバリーでお取り寄せをするようになったり、近所のヨガ教室とか習い事をしていた方が人気講師のオンライン講座を、別の地方の方の講座を受けるようになったり、
地元のライブハウスとか
地元の
イベントで演奏していたアーティストの代わりに有名な人気アーティストの演奏をユーチューブで聴くというようなことが起こって、いわゆる商圏が消滅してしまっていますので、ウイナー・テークス・オールの理論で、人気のある方はどんどん
収入が増えるけれども、そこでうまく
対応できない零細
企業というのがどんどんオンライン化してもなかなか収益が回復しないというようなことが
実態として起こっています。
自由
回答もいろいろ載せていますけれども、まあ本当に職種問わずいろいろな
影響が出ているということが明らかになっています。
こちらの自由
回答ですね、改めて後ほど詳しく御覧いただければと思いますけれども、メディア系の方とかも、もうお
仕事が全く、
フリーランス全員契約停止されてしまったですとか、あとは技術開発系の方とかも、恐らくオリンピック関連でデジタルサイネージとかそういったデバイスの開発をされていた方だと思うんですけれども、持ち出しで準備していたものが全て赤字になってしまったですとか、あとはアーティストの方はライブが中止になるとか、習い事の先生とかも生徒が減ってしまった、あとは催事販売を行っていたような方も開催期間がなくなってしまったことで売上げが
減少されている、あとは海外とお
仕事をされていた方とかも海外渡航できなくなったために
実施不可能になったとか、いろいろな
影響が出ております。
ページ進みますけれども、こちらもあらゆる職種での
影響について書かせていただいております。
下の方、下から二つ目のポツのところですけれども、減額しながらも
持続化給付金のおかげで金額的に例年と変わらなかったというような方もいらっしゃるんですが、やはり二〇二一年どうなるか分からないという不安を抱えている方もいらっしゃいますし、少し計画の足の長い広告関連のお
仕事をされている方とかですと、昨年の頭の段階で取っていた
予算については消化されているので昨年のお
仕事は大丈夫だったけれども、実際
コロナが
発生して以降の企画が止まっているため、十二月以降、最近になってから徐々に
影響が出始めているというような方もいらっしゃいます。
一方、次のページは、増えたという方もいらっしゃいましたので、その
方々の
回答を載せていますけれども、多くがリモートワークに元々
対応されていたとか、これを機に
対応したという
方々になっています。
そういった
影響がある中で、医療保険ですとか
失業保険ですとか、
セーフティーネットへの関心というのも高まっているわけなんですけれども、
社会保障のニーズというものを聞いている結果がこちらです。
働き方の違いにかかわらず
社会保障が提供される必要性を感じているという方は九五・七%いらっしゃいます。一方で、実際に保険料を払うシミュレーションに基づいて、その保険料を払う前提で入りたいですかという質問もしています。
雇用保険、
会社員と同じぐらいの金額を払うとしたら加入したいですかという質問になると、入りたいという方は六八・一%に減っています。その
理由、自由
回答も載せていますけれども、加入したい方の多くが、育児
休業給付金ですとか介護
休業給付金、それから教育訓練給付金のようなものが必要なんじゃないかという方が結構多いのかなと思います。また、
コロナのような不測の事態で
失業保険に代わるようなものを欲しいという方もいらっしゃいます。ただ一方で、
フリーランスの中でも、どちらとも言えないとか全く加入したいと思わないというふうに答えている方の中には、やはりその
失業保険の定義、
失業の定義が
フリーランスの場合非常に難しいので、そこが私
たちの
働き方に合わないんじゃないかというふうに考えている方はいらっしゃるようでした。
もう一つ、健康保険と年金に関してですけれども、これも、私
たち個人事業主でも法人成りをすれば
協会けんぽと厚生年金へ入ることができるんですけれども、これもシミュレーションに基づいて入りたいですかということを聞いたところ、加入意向ある方は半数以下という形になりました。
社会保障の必要性感じている方は九五・七%であるにもかかわらず、
協会けんぽ、厚生年金への加入意向となると
減少する背景としましては、やはり保険料の支払が非常に厳しいという声が多かったです。
アンケート取るに当たって御提示していたシミュレーションは、三つのパターンで年齢とか扶養家族の有無で見ていただいていたんですけれども、加入したいというふうに考える方は、現在の国民健康保険の額が高額過ぎてきついですとか、死亡給付、扶養制度、遺族年金、障害年金などがないことが
会社員と比べて不公平じゃないかというような声もありました。一方で、加入したいと思わないという人
たちの
意見の中には、労使折半がないため、労使の両方の分を払うのは今の
経済状況から考えると難しいというような声が大半を占めておりました。
もう一つ、何歳まで
働きたいか、それから何歳まで働く自信があるかという質問を取っています。
現在、
政府の方で、生涯、人生百年時代、長く働くために自
営業で、
フリーランスでというような文脈でいろいろと御
検討いただいていると思うんですけれども、実際、
フリーランスであれば定年がなくなるかというと、そうではないのかなということがこの
データから明らかになっています。あくまで
働きたいという意向であれば生涯現役と答えている方が三〇%いらっしゃるんですけれども、自信があるかどうかで聞かれると一一%に減っているんですね。なので、
収入問わない形で生涯現役で
働きたいという方はたくさんいらっしゃいますけれども、
フリーランスだからといって自助で全て成り立つということではないのかなと思います。
その希望年齢まで働く場合に感じる不安とその
対策というところでも、やはり健康ですとか体力ですとかスキルの陳腐化などなど、いろいろありますけれども、そういった不安と闘いながら年を取っていくというのが
フリーランスの今の姿ということになっています。
なので、最後、まとめになりますけれども、御家庭の都合ですとか御
自身の健康状態に合わせて長く
働き続けるために
フリーランスを選択している方はこれまでも多いですし、今後も増えていくというふうに考えられています。そのための環境整備というのは着実に進めていただいてはいるんですけれども、依然として
ライフリスクに関する
セーフティーネットは
会社員と大きな格差があると。そして、
フリーランスの五五%が
コロナにより減収していて、その
影響度合いは職種やワークスタイルによって大きく異なるものの、
デジタル化の成否が一つの分かれ目になっている。
そういった不安を抱えている
方々の中で、国民健康保険の保険料負担ですとか、
傷病手当金、出産、介護の
セーフティーネットのなさ、一階建ての年金などに不安、困難を感じている方が非常に多い
状況になっています。
働き方の違いにかかわらず
社会保障が提供される必要性を大半の方が感じている一方で、労使折半がない形での健康保険、年金の保険料負担増に耐えられない零細
企業も多いという
状況です。
そして、
フリーランスであれば
企業にも
政府にも頼らず自助で生涯現役というのはあくまで幻想であるということで、
コロナの
対策という意味での短期的な
支援策、給付金なども非常に大事だと思うんですけれども、それに加えて、長期的な視点で全ての働く人が
安心して参加できる
セーフティーネットの整備が急務ではないかなというふうに考えております。
私からは以上になります。ありがとうございました。