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2021-04-19 第204回国会 参議院 行政監視委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月十九日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      本田 顕子君     堀井  巌君      宮沢 由佳君     斎藤 嘉隆君      高橋 光男君     三浦 信祐君      柳ヶ瀬裕文君     音喜多 駿君  四月十二日     辞任         補欠選任      三浦 信祐君     平木 大作君  四月十三日     辞任         補欠選任      平木 大作君     三浦 信祐君      伊藤 孝恵君     芳賀 道也君  四月十六日     辞任         補欠選任      そのだ修光君     宮崎 雅夫君      芳賀 道也君     田村 まみ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野田 国義君     理 事                 石井 正弘君                 中西 祐介君                 川田 龍平君                 西田 実仁君                 梅村  聡君                 吉良よし子君     委 員                 有村 治子君                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 高橋はるみ君                 柘植 芳文君                 堂故  茂君                 徳茂 雅之君                 羽生田 俊君                 藤末 健三君                 堀井  巌君                 松下 新平君                 宮崎 雅夫君                 吉川ゆうみ君                 石垣のりこ君                 小沢 雅仁君                 斎藤 嘉隆君                 森屋  隆君                 竹内 真二君                 新妻 秀規君                 三浦 信祐君                 矢倉 克夫君                 音喜多 駿君                 清水 貴之君                 上田 清司君                 田村 まみ君                 伊波 洋一君                 浜田  聡君    事務局側        常任委員会専門        員        清水  賢君    参考人        東京大学大学院        法学政治学研究        科教授        同大学法学部教        授        同大学公共政策        大学院教授    金井 利之君        日本大学危機管        理学部准教授   鈴木 秀洋君        行政経営コンサ        ルタント     田渕 雪子君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (国と地方行政役割分担に関する件)     ─────────────
  2. 野田国義

    委員長野田国義君) それでは、ただいまから行政監視委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日までに、高橋光男君、柳ヶ瀬裕文君、本田顕子さん、宮沢由佳さん、伊藤孝恵さん及びそのだ修光君が委員辞任され、その補欠として音喜多駿君、堀井巌君、斎藤嘉隆君、三浦信祐君、田村まみさん及び宮崎雅夫君が選任をされました。     ─────────────
  3. 野田国義

    委員長野田国義君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のうち、国と地方行政役割分担に関する件を議題といたします。  本日は、本件について、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授・同大学法学部教授・同大学公共政策大学院教授金井利之君、日本大学危機管理学部准教授鈴木秀洋君及び行政経営コンサルタント田渕雪子さんでございます。  この際、参考人皆様一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、金井参考人鈴木参考人田渕参考人の順にお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきますように存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございますので、よろしくお願いいたします。  それでは、まず金井参考人からお願いいたします。金井参考人
  4. 金井利之

    参考人金井利之君) ただいま御紹介いただきました東京大学金井でございます。  今、大学ではオンライン授業が一般化しておりまして、先週、一年数か月ぶりに対面でゼミを開催したのですが、昨今の状況を見ますと、どうもまたオンラインの方に戻らざるを得ないような状況にあるということでございます。  そのような中、私のように余りエッセンシャルワーカーと思えない人間が本当にここに来ていいのだろうかというのが、まさに国と自治体役割分担の典型的なものの一つかなと思いながら、しかし、国会の方で呼ばれたということで、今日は久々に外出する機会を与えていただいたかなというふうに思います。  それでは、国と自治体役割分担ということで、思うところをお話しさせていただければと思います。  一言申しますと、私は国と地方という言い方は基本的にしないということにしておりまして、これはいろいろと意味を込めるところがあろうかと思いますが、地方というのはどうしても中央に対する概念ということで、住民から出発する場合にはやはり自治体と呼ぶのが筋ではないかというふうに、私自身はそういう用語法を使っているということでございまして、国と自治体役割分担ということでお話をさせていただければと思います。  お配りした資料に沿って簡単にお話しできればと思いますが、まず、今日の国と自治体関係を振り返りますと、二〇〇〇年の分権改革をどのように捉えるのかということがあろうかと思います。二〇〇〇年、平成十二年のいわゆる第一次分権改革というのは、分権型社会を目指し、そのベースキャンプとして、あくまで中間地点であるというふうに言われたわけであります。したがって、二〇〇一年以降も分権改革の継続というのは国政にとっても大きな課題であったのではないかなというふうに思いますし、例えば、小泉政権においてもそのような取組がなされましたし、第一次安倍政権においても地方分権改革推進法というようなものが制定されまして進められていたということがあろうと思います。  その後の第二次安倍政権の下においても有識者会議というふうな形で公式には進められているというところがあろうかと思いますが、現実にはその流れというのはだんだん弱くなっているというふうに思わざるを得ません。残念ながら、自治体立場からいうと、分権の名称を掲げるにせよ掲げないにせよ、どうも二十世紀後半と同じような形に後退しつつあるのではないかという危惧を持たざるを得ません。  その表れとしては、例えば自治体間で成功物語失敗物語というのが流布されて、いろいろ条件が厳しい様々な中で自治体は苦労しているわけでありますが、それについて、あるところはうまくいった、あるところは失敗したというような、非常に、まあ何といいますか、第三者的な評価というのが横行しているのではないかなというふうに思いまして、失敗しているところに対しては、成功しているところがあるんだからもっと頑張れと、君たちの努力が足りないからだというような、やや地域で活動している人々や自治体の神経を折れさせるような言説が流れたりします。  あるいは、自治体間でのゼロサム競争ということで、まち・ひと・しごと創生でいえば、移住者を増やすという話にいつの間にか話が変わってしまいまして、日本全体の人口が減る中でお互いに取り合うというような形になってしまいましたし、ふるさと納税に関しても、ほかの自治体の税収を自分のところに持ってくると。地方財政というふうにあえて言いますけれども、この自治体の総計からいうと、むしろ全体を減らすようなことになってしまうと。他方で、国に対する陳情や支援競争というのは二十世紀後半と同じように進んでいます。  一方で、国策に対しては、その強力な推進自治体は協力させられているというところがありまして、資料には書いてありませんが、平成の大合併というのは国策合併として進められたと。その後、集中改革プランというような形で歳出削減に協力しましたし、その前提としては、二〇〇四年地財ショックと言われるような交付税の大幅な削減というものがありますし、今度は、他方国土強靱化が進むと、その方向に協力するというような形になっております。  以上のような分権改革で目指したものがなかなか実現しないというのはかなり構造的な要因がありまして、それは内閣強化との関係であります。  橋本内閣でつくられました行政改革会議は、諸井地方分権推進委員会委員長を一委員とするような形で、言わば分権改革行政改革に上書きされていくということで、結果的には二〇〇一年の内閣強化としての中央省庁等改革というものになりました。  実際には、二〇〇〇年頃は、このように権力集中内閣強化ベクトルと、分権改革規制緩和、あるいは日本銀行独立性の拡大というような権力分立に目指すベクトルとがせめぎ合っていたわけでありますが、その後の実態を見ますと、官邸主導政治主導あるいは一強体制と言われるような形で内閣官邸が強くなっているということがありました。  結果的には、私の目から見るとやや過剰な権力集中が起きたのではないかと思いますし、自治体も言わば内閣の集権の下に置かれるようになってまいりました。その象徴的なものが、内閣府に置かれている重要政策会議の中に国家戦略特区諮問会議というのが置かれています。これは、要するに、内閣の言わば政策を掲げるもので、戦略会議という、諮問会議ですね、置かれて、自治体はそこに陳情しなければならないというような構造になってしまっています。  本来、三に移りますが、両方ベクトルというのは両立を目指していた。行政改革会議報告では、内閣機能を強化すればするほどそれをチェックしなければならないという、そういう必要性が述べられていたわけでありまして、内閣が各省に強いリーダーシップを取れば取るほど、国会裁判所、あるいは自治体、市場、学術・専門、あるいは情報、NPO・市民、実務などの対抗関係とのバランスが本来求められていた。言わば、この二〇〇〇年頃の二つベクトルというのは、一方で内閣を強化しつつ、他方でそれを牽制する力も強化しなければならないというような動きだったと思うんですけれども、結果的には二つベクトルは言わばゼロサム関係になってしまった。内閣が強くなると、ほかの自治体、その他の機関は弱くなっていくというような関係に残念ながらなってしまったわけであります。  アメリカの場合でいえば、強い大統領がいるのに対して、言わば強い議会、強い裁判所、そして強い連邦準備理事会というような様々なチェック機関が相互に牽制する。それが決して大統領を弱めているわけではないので、全体としてのアメリカの力を高めているわけですが、日本の場合には残念ながらそこはゼロサムになってしまったということがあろうかと思います。  その意味で、今後の目指すべき方向性ということなんですけれども、実際、国政が強くなってゼロサム的に自治体が弱くなるというような状況がありますと、その段階では言わば従属的な状態になりますが、一方で、一時的に国政が弱まりますと、自治体は言わばたがが外れたように放縦を起こしてしまうと。恐らく、新型コロナ対策というのはまさにその典型的な症状が現れているのではないかというふうに思いまして、一時的に国政方針を強く打ち出せなくなりますと、言わばミニ官邸化した自治体がいろいろな放縦的な政策を繰り広げるということで、結果的には本来目指していた強い内閣と強い自治体というのが両方とも実現しないまま来てしまっているという、こういう強い危惧を抱かざるを得ません。  本来は、強い国政に対しては、自治が極めて強く、しっかりと住民の声を聞いて言うべきことを言いますし、あるいは、一時的に国政が弱体化しているときにこそ、まさにボトムアップに国をあるいは国政支援や補佐、補完するというような方向が求められている。言わば、この自治体の強さというものが国政との関係でポジティブサム両者が高め合っていく道に行くべきだったにもかかわらず、残念ながら二〇〇〇年以降は両者は言わばゼロサム的になってしまって、今日の閉塞を招いているのではないかなというふうに思う次第であります。  いささか、やや、忌憚のないというふうなお話をいただきましたので言わせていただきましたけれども、このようなことを考えているということで、冒頭の発言にさせていただければと思います。  どうも御清聴ありがとうございました。
  5. 野田国義

    委員長野田国義君) ありがとうございました。  次に、鈴木参考人からお願いいたします。鈴木参考人
  6. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 皆さん、こんにちは。日本大学鈴木秀洋です。  本日は、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。資料に基づいて御説明させていただきます。  まず、レジュメ一枚目を御覧ください。第一、本日の私、参考人意見としての立ち位置についてです。  一つ目、中点がありますが、基礎自治体立場からというふうにあります。私自身は、東京二十三区の文京区の文書、法務担当出発点です。しばらく二十三区全体の訴訟、法律相談専門部法務部にも籍を移していたときがありますので、一部広域自治体的視点も含みますが、基本的には基礎自治体立場から見てきた景色が土台となります。  二つ目が、行政組織現場マネジメント立場からとあります。自治体職員としての相談担当管理職としてのマネジメント庁内調整を行ってきた立場からの景色です。  三つ目になります。現在の行政法地方自治法研究者法学者としての立場からの発言となります。  四つ目、最後になりますが、括弧内に子供福祉保健災害等を記述しておりますが、私の職歴と関係した分野が現在の研究分野となっております。厚労省内閣府、文科省科研関係で全国の自治体調査研究で訪れ、また電話メール等を通じて行政担当者意見を交わす中での研究の成果の一部を本日お話しさせていただければというふうに思います。  レジュメの第二、市区町村都道府県現場具体例からの分析、六点でございます。  一つ目指摘としまして、緊急事態宣言等による影響関係機関閉鎖等により起きたことになります。一言でまとめると、命に関わるような危険情報のキャッチができなくなった、潜在化、重篤化と言えます。  次のページ、二枚目、おめくりください。  児童福祉行政に関わる関係図という形で載せさせていただいております。十分御案内かと思いますので、簡単に説明だけさせていただきます。  児童虐待等が起きたとき、この図の一番下、オレンジ色になってございますが、都道府県の仕事という枠の中にありますが、児童相談所が注目されます。なぜ一時保護をされなかったのか、警察との連携は不十分ではなかったのかと、そういった点がフォーカスされます。  しかし、この図を見ていただければお分かりのように、実は市区町村の関与する部分というのは大きく、一番上の水色、紫の部分になりますが、子育て世代包括支援センター、いわゆる母子保健部門になりますが、この関わりが重要になります。さらに、緑色、真ん中の部分になりますが、市区町村子ども家庭総合支援拠点、これは市区町村部署になりますが、平成二十八年、児童福祉法等改正で新設されました。この点が、右側のさらに紫のサークルネットワーク図がございますが、要保護児童対策地域協議会皆さんよくお聞きになっていると思いますが、この要対協と言われる地域の様々なネットワーク資源、これを活用して、在宅支援、それのソーシャルワークを担う司令塔になっていくんだと、それで、その司令塔子供の命を守るという形の制度設計になっております。この活用すべき地域関係機関が、学校等の一斉休業又は緊急事態宣言等によって閉じてしまったということになります。  これによりどのような影響が出たのかという分析でございます。レジュメの二ページ目の(1)、図の下の部分を御覧ください。  一言で言うと、児童虐待相談対応件数増加の鈍化と言えます。データという形で細かくそこに載せておりますが、厚労省データだと令和二年一月から八月の調べとありますが、簡単に説明させていただきますと、前年比二一%増という年間比較がございますが、明らかに緊急事態宣言後の相談対応件数、ここを見てみますと激減しております。例えば、四月八%増、五月二%減、六月一〇%増、七月六%減、八月二%減と、関係機関が閉じたことによる影響が大きいということが分かるかと思います。  こうした状況下で、レジュメですと(2)になりますが、国の対応方針の発出がされます。子供安全確認を行おうという国の姿勢、これは非常に有効だというふうに考えます。  ただ、マイナスの部分もあったのではないかというところで指摘をさせていただきます。国は財政補助もしております。ただ、自治体現場としましては、追加的な財政的かつ人的支援措置が十分でなければ、この安全確認を徹底してやるというのは現存勢力の中で非常に困難だという声が上がっています。次の課題例にも挙げておりますが、報告を求めているところで形式的な安全確認になりがちになります。何かというと、安全確認というと、単に生きているかどうかというところの確認だけではなくて、子供たちの心の安全、安心、そのようなものもどうだったのかというところの確認が必要になってきます。  ただ、具体的には、実際じゃどうやって安全確認をするかということになりますと、教員保護者電話を掛けたりして、お子さん大丈夫ですか、いますかというような形で終わらせないと、常にいるわけではないので、時間の調整とかもございますので、それをずっと繰り返していくというのはなかなか困難なことでありますので、保護者確認をして、じゃ、いるんなら大丈夫ねというような形の、形式の安全確認が実際は行われていたという例が私の調査の中では分かっております。  こうした中で、私自身年度末から年度当初、五十七自治体程度、聞き取り調査というのも行っております。レジュメ二ページ、一番下の三行になりますが、上述に関連する主な五課題の抽出ということで五つほど挙げさせていただいております。  一つ目になりますが、保育所、幼稚園、小中学校等子供に関わる機関休所、休校の課題学校等の一斉休業等レジュメをおめくりください。三ページになります。課題例、その間の子供と家族のストレスの増大、二つ目として教員側教育計画、手法、授業をどうしたらいいか、給食はどうしたら、イベントは、又は日常学校生活注意事項はという形での変更の模索、三つ目として休業明け子供たちの様子の異変の報告、このようなものも挙がっています。休業明けでぼうっとしていたりとか、ずっと注意事項ばかりを聞いて、なかなか不安定になったというような声も上がっています。  イ、保育園で事実上自粛の働きかけの項目です。これは課題例というところにございますが、地域による受入れ判断基準の相違とあります。これはどういうことかといいますと、エッセンシャル業務に限って預かるというような基準を設定する自治体とそうではない自治体、又は自粛期間もまちまちということになります。こういう設定は、働く親からしては非常に困ったというような声が上げられていました。もう少し統一的な基準や事前の協議でなされないかという声が多数上げられたところでございます。  次に、イ、保健師等による自宅訪問乳幼児全戸訪問事業中止です。この事業というのは、こんにちは赤ちゃん訪問という形で広く聞かれているものだと思います。そこにも書かせていただきましたが、乳児家庭孤立化を防ぐ重要な事業です。これについて、通知、省略しますが、ここに載せさせていただいた通知ではどのようなことが書いてあるかというと、中止をしなさいという形では国は通知は出していないですね。注意しながら行うようにとあるんですが、実際は相当数自治体中止をしております。  また、三つ目のウ、要保護児童対策地域協議会、先ほどの図のサークルのところ、これも開催延期というのがされました。国の通知は、またここについても要対協を中心に安全確認を行うことを求めています。しかし、延期中止を求めて直接いるわけではないんですが、中止になっていると。これについて、米印で書いてありますが、両方とも国の方針が明確でなく、連日のさらにテレビ報道、新聞、自粛自粛というような報道担当者に与えた影響というのは大きいという調査分析をしております。  四つ目のエ、四番目、保育所介護施設等職員保護の問題と住民サービスとの相克です。感染対策が十分でない中で、身体接触が不可避の職務について優先的感染対策が行われていなかった。初期のところは、そうですね、マスクが十分ではないとか感染のアルコールがないと、そのような状況の中で、そこで対応していた職員からすると、不十分な中での保育介護職員の離職が増という形は各職場からヒアリングで聞いたところです。  五つ目、オ、職員の、自宅リモートワークによる職員登庁制限による職務遂行停滞と、特に外部の関係機関部署があるところは影響が受けております。今後は、受けないようなリモート職場、環境の整備というのが必要なんでしょうが、課題に挙げさせていただいたように、児童相談所側としては問題ないですよとヒアリング結果があるんですが、市区町村側から聞いてみると、児童相談所ローテーション勤務によって一時保護の求めの停滞があったというような報告もあるところです。  続いて、二つ目指摘です。特別定額給付金支給事務、今現在ですとワクチンの接種事務も同じことが当てはまると考えます、それが起きたこと。  一言で言うと、緊急、膨大な業務量増加と他業務実質サービスの低下になります。課題例に挙げましたが、通常のサービス提供をしながら新しい担当組織職場を設けなければならない、これは大変な業務量の負担になります。迅速な①人②金③物、場所の調達、④情報発信⑤法整備の必要、このようなものというのが、かなりの経費、労力と経費が必要になってくると。  簡単に、市区町村補助がなされるので、できるであろうというところについては、給付が遅いと自治体を糾弾するようなコメント、又は順位付けをしてホームページにアップするというようなこともありました。これは、住民視点からはそのとおりなのかもしれませんが、責任を市区町村のみに押し付けている国、都道府県の態度に非常に怒りを覚えるというのが、私が調査した百の市区町村担当者に聞いて一〇〇%同じ意見です。こうした上での事務負担の押し付けと言えるような事務執行のさせ方、非常に問題だというふうに考えております。  レジュメ四ページお開きください。  三点目の指摘感染対策で出された、時間が、済みません、申し訳ない。ごめんなさい、時間がなくなって。  三つ目指摘感染対策で出される国や都道府県方針通知確認の困難さというところで、この点については、二方向から来る、国からも来ますよ、都道府県からも来ますよということで、住民発信を行うのは相当の労力、それを整理して国の報告都道府県報告両者を併せて考えていくというのが非常に労力を得るところだというところになります。  課題のところになりますが、都道府県はもう少しバックアップの役割を果たすべきではないかというふうに書かせていただいています。子ども家庭総合支援拠点の例というのもありますが、県としてのバックアップ例がいい自治体というので挙げさせていただいております。そのほか、課題の、方針変更、新しい発出がなされると、やる気もあり意欲もある先行自治体というのを阻害する場合があります。先行の優遇措置、インセンティブ措置というのができないかというところの提言をさせていただいております。  (2)国の方針決定と通知文、これについてはちょっと厳しい言い方でレジュメに書いてありますが、抽象度、変更がした、重ねた部分の難解さ、事務の膨大さというところがございます。その次のところにありますが、(3)通知を出しっ放しにしない通知の詳細フォローと効果測定の促進を望むというふうに書かせていただいています。  四点目の指摘になります。各省庁が示すデザインというのが総合行政を担う市区町村にゆがみを生じさせていることがあるというところで、この指摘にとどめさせていただきます。  次のレジュメのところでございますが、コロナの中での災害対応ということで、五ページのところに飛ばさせていただきます。  コロナの中での災害対応というところですと、避難所の不足というのもございます。現在、市区町村としては増やす努力はしておりますが、限界があります。私が問題提起させていただくのは、一点、そこに書いてありますが、(2)のところですね、避難行動の段階では指針が示されています。避難所に行った後については、要配慮者の連動、避難所の制度設計福祉避難所をどうするかというところがあります。ここが二つ分かれていて、自治体のところですと、避難をさせるところは防災セクション、避難した後については福祉セクションという形のところでの対応になっています。このところが現場でのずれを生じさせています。  福祉避難所についてのところになりますが、主に今まで福祉避難所が機能した例は、私の調査の限りではございません。どういったところかというと、一般の避難所での申出をしてスクリーニングを掛けて移送をしてと、そこが全てボトルネックにつながってくるというところがあります。この点、大きいのは、ガイドライン、国の指針が変わらないとその点についての対応が難しいと、自治体の声がございます。  六番目は省略させていただきます。  最後、時間の関係で、六ページのところを見ていただいて、じゃ、どういう形の視点が必要なのか、簡単に項目だけ説明させていただきます。  住民視点の徹底というところ、二番目、住民に一番近い最前線の市区町村に権限、財源をというところになっています。ただ、私自身自治法の研究者行政法研究者ですが、何でもかんでも常に自治体が権限を持てばいいということではなく、やっぱりその点についての調整は必要だというふうに考えております。  七ページ目、レジュメ、国と都道府県の役割の再構成、これが必要だというふうに考えております。  七ページ四番目、今必要な市区町村の役割、努力ということで、市区町村側にも当然、BCPの策定又はパラダイムシフトによる住民サービスの向上、このようなものが必要だと思います。
  7. 野田国義

    委員長野田国義君) 時間も超過しておりますので、おまとめいただきますようよろしくお願いします。
  8. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 失礼いたしました。  じゃ、最後のところで終わりにさせていただきます。  大きな理念の共有というところの国、都道府県市区町村役割分担と連携を再構成していくことで住民、国民の権利利益の向上に直結するというふうに考えております。  時間配分を誤りまして申し訳ございません。以上で報告を終わらせていただきます。
  9. 野田国義

    委員長野田国義君) どうもありがとうございました。  次に、田渕参考人からお願いいたします。田渕参考人
  10. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) 本日は、こうした発言の場をいただき、ありがとうございます。行政経営コンサルタント田渕でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  最初にお話いただいたときに、オンラインですかというふうにお尋ねしたんですけれども、対面でということで、久しぶりに地下鉄に乗って永田町まで参りました。  私、自治体皆さん行政評価システムをずっと一緒につくってまいりました。現在も国や地方自治体の外部評価委員として行政評価に関わらせていただいております。また、総務省の政策評価審議会の委員として国の政策評価制度設計にも関与させていただいているところです。  私からは、国と地方自治体の役割について、評価の観点から所見を述べさせていただきます。  資料の最初にお示ししている問題意識については、後ほどコメントさせていただきます。  まず、国と地方自治体における評価の動向を簡単に御説明させていただきます。  国では、二〇〇二年、平成十四年ですね、に行政機関が行う政策評価に関する法律が施行されて、この法律に基づいて評価が実施されているところです。その後、約二十年が経過した昨年度ですね、政策審議会において、今後の行政評価の向かうべき方向について審議がなされ、提言が取りまとめられたところです。その中の提言では、行政のあるべき姿として、役に立つ評価、しなやかな評価、納得できる評価が挙げられています。詳細については最後にあります資料を御覧ください。  次に、地方自治体の動向です。  地方自治体では、国に先駆けて一九九〇年代後半から行政評価の動きが始まっております。私が自治体皆様行政評価システムをつくり始めたのもこの頃でございます。その後の十年で下の図のとおり大きく前進しております。この間、平成の大合併もありました。自治体数、多分十年で全体で四割ぐらい減っているかと思います。ここ十年の動きは比較的穏やかで、それぞれの自治体状況に応じて行政評価の仕組みを改善しているということで、評価が定着してきたというふうには認識しております。  国の関与は要請レベルで、地方自治体評価必要性を認識して自主的に取り組んだということ、これがここまで取組が定着した要因だろうというふうに思います。また、地方自治体行政評価は、国と地方自治体役割分担が機能した事例ではないかとも思っております。国の関与というのは要請レベルであったということも大きいかというふうに思います。  資料三ページです。ここでは、国と地方行政役割分担について、評価の観点から所見を述べさせていただきます。  今、国民、住民にとって何が、どういう役割分担が最適かを基本のスタンスとして、国民、住民にとっての最適を考える上でのポイントとして三点挙げております。国民、住民立場に立つ、全体最適、○○ありきからの脱却です。  役割分担の考え方として、シェアード・アウトカムをお示ししております。これは、達成すべきアウトカムを実現するための役割を分担すると、そういった考え方で、役割を分担するだけではなくて、連携して対応するということ、その上で取組を共有するということがポイントになります。  具体的に少しお話をしたいと思います。全体最適ということなんですが、例えば災害対策の役割分担を見たときに、被災された方々にとっての最適を被災された方々の立場に立って考える、みんなでどう支援していけばいいかを考えるということで、もうみんなでというのが全体最適。部分最適になっていないかということは、官だけの役割分担になっていないかということです。みんなでというのは、民と官一緒になってということになりますので、全体で最適に役割を分担するというのが全体最適ということで、民と官のうちの官は行政、で、行政の中だけで役割を分担するのを部分最適として整理をさせていただいているところです。  ○○ありきからの脱却は、例えば自治会ありき。事務事業評価の中では、ほとんどの自治体自治会加入率を指標として設定していると思います。事務事業評価評価する際に、加入率を上げる、そのためにはどうすればいいか、そこを考えるのではなくて、ほかに目的を達成する手段はないか、そうした観点で考えてみるということです。この事業の目的は自治会への加入率を上げることではないので、目的が達成されるのであればほかの方法でもよいのではということです。それが○○ありきからの脱却ということで、役割は既に決まっている役割だけではなくて、常に時代に応じて変化していくことが必要なのではないかということです。評価でいえば、政策レベルの評価が全体最適に当たって、部分最適には事務事業評価であったり業務分析などに当たるかと思います。  最後に、国、地方自治体における情報の在り方について三点挙げさせていただいております。  一点目が、正確、公平、適時適切、そうした情報の提供となっているかということ。公平というのは、情報格差がないということであります。  二点目、税金が効果・効率的に使われたか、税金の使途とその効果について説明責任が果たせているかということです。行政評価評価結果は、その説明責任を果たすための材料であるということです。ということで、行政評価の確実な実施が必要というところです。  三点目、国民、住民にとって有効な行動変容をもたらす判断材料となっているかということで、コロナ禍でいえば、ワクチン接種の判断ですね、ステイホーム、自粛の判断、あるいは災害時であれば、避難をしようかどうしようか、その時期の判断といった形になります。  こうした情報提供は、国、地方自治体の重要な役割だと、そうした認識の下に課題として挙げさせていただきました。また、これら三点、特に一点目なんですけれども、様々な自治体の方々あるいは東日本大震災で被災された方々、そうした方々とお話をさせていただいている中で、問題意識として持っておりましたので、今回課題として挙げさせていただきました。  その内容については、御質問いただいた中でお答えをさせていただければというふうに思います。  私からは以上です。ありがとうございました。
  11. 野田国義

    委員長野田国義君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 高橋はるみ

    高橋はるみ君 自由民主党の高橋はるみでございます。質問の機会いただき、ありがとうございます。  参考人の三先生におかれましては、大変貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。  最初に立たれました金井参考人地方という言葉は使わないと、中央に対する概念だというお話ございました。私自身も、過去、これまで国の行政機関に勤め、その後広域自治体に移った経験も有している立場からしますと、この金井参考人のお言葉というのは大変共感を持ったところであります。  今日のプレゼンテーションも大変興味深かったわけでありますが、事前に事務局が用意をしてくれました金井先生の御本も、部分部分でありますが拝見をいたしました。「地方創生の正体」という、そういう本の一部叙述にこういう指摘がございました。町づくりに成功したと言われる自治体についての指摘でございます。もちろん、自分で考えたアイデアを自ら実行に移したからといって一〇〇%成功するわけではない、しかし成功しているところはまず間違いなく自分のアイデアでやっている。私自身、そのとおりだと、自分自身の反省も含めて思ったところであります。  しかしながら、自治体は余りお金がない、これは皆さん方御承知のとおりでありまして、その意味で、国の事業メニューどおりにはやらないんでありますが、国の助成措置というのは最大限に有効活用しなければならない、そんなことを振り返っていたところであります。  私、自治体におりましたときに国の助成措置資料一覧というのをよく作りました。ニーズオリエンテッドな資料であります。すなわち、国の政策体系がこうなっているという資料ではなく、地方として、自治体としてこんな事業をやりたいと思ったときに使える国の助成措置ってどんなものがあるのか、そういう視点でまとめる資料というのを常にリバイスを繰り返しておりまして、活用しながら自分自身地域づくり、町づくりというものに取り組んでいたということを振り返っているところであります。  お二人目に御説明を、陳述をされました鈴木参考人は、あくまで基礎的自治体立場から、まさに現場の視点で様々お話をいただきましたこと、大変興味深く思ったところであります。  窓口業務の改革であるとか、子供を守るためにいかに医療機関と連携をした、こういった資料も拝見をさせていたところでありまして、今日の御意見の中でも、コロナ禍を通じての様々な現場感覚としての御意見、これも大変興味深かったなと、このように思う次第であります。  そして、三人目は田渕参考人であります。民間のコンサルタントのお立場から行政評価の歩みを記述をされ、これも大変興味深く拝見をいたしました。  行政経営の視点というものが二〇〇〇年代以降特に重要になってきたと。地方自身が自ら地域づくりを考える、戦略重視というような視点かなと私自身考えるところでありまして、このことは冒頭に御発言のございました金井先生の視点、すなわち地域づくりは地域自身が考えて成功させるものという、こういった見方と相通ずるものがあるのかなと、そんなふうに思った次第でございます。  さて、いろいろと先生方それぞれの御主張に対する私の思いを今お話をさせていただいたところでありますが、以下、幾つか質問をさせていただきます。  私は、先ほど申しました国そして広域自治体を経験をした立場でございますが、金井先生のお話の中では、地域というか、自治体といっても広域自治体基礎自治体というふうに分かれるわけでありますが、ここを含めて、国、広域自治体基礎自治体、三者の関係性についての基本的なお考えをお伺いできればと思います。  また、同じように、鈴木参考人におかれては、基礎自治体のお立場を叙述されたところでありまして、同じように国、広域自治体基礎自治体関係性について、先ほど若干時間がなくて省略された部分の思いも含めて、両参考人に今の点について御説明をいただければと思います。
  13. 金井利之

    参考人金井利之君) 御質問ありがとうございます。  高橋先生はたしか北海道知事をやられていたので、自治体と呼ぶことに共感をいただき、誠に有り難いなというふうに思っております。  それで、しかし、アイデアは自治体にあるとしてもお金がない中で、国のメニューを自治体の目から見てニーズオリエンテッドに見詰めていって、それによって国の優先順位に従わないで自治体の方から取捨選択をしていくというのは非常に優れた試みだろうと思っています。  ただ、本来はそれを全て一般財源で、建前論になりますけれども、一般財源でそれが与えられていれば、本来そのようなメニューを作るまでもなく、北海道なら北海道として決断ができるわけでありまして、やはり国の、御質問にありました国と広域と基礎の関係は何かといえば、やはり国は財源措置を一般的に行うという、条件整備というのが最大の責任であるというふうに思っております。  ただ、自治体の方は、そこで、しかし、自分のところだけたくさん欲しいとなると、どうしても補助金をつくってきてうちのところだけ欲しいというような、言わばちょっと近視眼的な競争関係になりやすいということなんですが、それは結果的には自治体相互の首を絞めるということになりますので、国と地方協議の場のようなところで一般的な財源を措置していくということに努めていくというのが重要ではないかなというふうに思っております。  それは国の役割ということになりますが、広域と基礎の関係は、これは恐らくパートナーシップでありまして、実際に現場をそれぞれに持っておりますから、それぞれで事業を行っていくと。その中で、北海道であれば北海道と市町村の協力とあるいは連携というのを行っていくという、言わば事業を一般財源の下で持ち寄って、まあ民間等も含めてということになりますが、行っていくという意味では、基礎と広域は対等な関係に置かれるべきであろうというふうに思っております。  一般財源を措置するというのが国の役割という場合には、なかなか、国会議員の仕事は一体何なんだというふうな非常に難しい問題があろうかと思うんですけど、まさに地元のニーズに応えるというために補助金をつくるということにならないようにするという、言わば自己抑制をするのは国の政治家たる者の役割ではないかな。  これは大変難しいことでありまして、できれば地元のためにいいプログラムを作って、こういういいメニューがある、そうすればあなたの地域は助かるんだというふうに言いたいという気持ちは分かるんですけれども、しかし、それは結果的には自治体間のゼロサム競争を招くということで、それは国全体のためにならない、言わば田渕先生がおっしゃっていた全体最適にならないということで、自制をするというのが国の非常に大きな責任と。まあ権力を振るうのも仕事なんですけど、権力を振るわないということがいかに難しいのかということが国には求められているのかなというふうに思っております。
  14. 野田国義

    委員長野田国義君) どうもありがとうございました。
  15. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 私のレジュメのところの最後、添付図を、幾つか図を付けさせていただきました。ここ、何が話したかったのかというところが今の先生のところの回答にもなります。  九ページのところになりますが、九ページの一番最初の図は、先ほど、虐待の関係ネットワーク図というのがあります。また、その下、子育て世代包括支援センターの全国展開図、母子保健から見た場合のネットワーク図、また、十ページのところを見ますと、また地域共生社会という形のネットワーク図、引きこもりの場合、高齢者の虐待のネットワークというような形で、国の中から様々な提示があります。  当然、その中の良いものを選択をして、自治体が自分の町づくり、基礎自治体が選択をすればいいということになるのかと思いますが、それぞれ国が、今だとこれが好事例です、いいですよという形で示していって誘導していくという形になると、一番、基礎自治体のところになりますと、その中でどれかの事業に手を挙げると、もうほかの事業のところでは必ずしも好事例のネットワークがつくれていないというふうなことになってきたりするわけなんですね。なので、国の役割とした場合に、いろんなネットワーク図を出しているけど、それがどのような形の調整があるのかというのは国の方である程度提示するという役割は必要なんではないのかなというふうに私は思っています。  都道府県の役割というのは、当然広域というところと、自分の地域の中でのバックアップ、市区町村のバックアップというのはすごく重要になります。ただ、だから、そこの段階で現時点では結構トンネルの自治体があると、国が示したものをトンネルをして、厳しい言い方ですが市区町村に提示だけをしていると。やはり翻訳機能というか、国の提示したものが自分の地域市区町村に至った場合にはどういう形で凸凹を調整するのか、そこを調整する役割、で、個別のバックアップをするというのが都道府県に求められているというふうに思っております。  市区町村は、まさに自分のところで力を発揮するという意味でいえば、自分が住民へのインターフェース、一番知っているわけですから、それを都道府県、国に対して提示をしていく、こんなアイデアがあったらいいな、こういう補助をしてほしい、事業展開は必要なんだということを示していくというような役割分担のある程度の改善というか改革が必要だというふうに考えております。  以上になります。
  16. 高橋はるみ

    高橋はるみ君 ありがとうございます。もう時間なくなりましたので、もう一つだけ。  金井先生のお話にもございましたとおり、今の流れは国から広域自治体へ、そして広域自治体から基礎自治体へと権限移譲そして財源の保障、義務付け、枠付けの見直しをできる限り行っていくべきと。これはまだまだ不十分で、更に進める必要はあると思っているんでありますが、ただ一方で、今回、我々全国民、世界が直面しているコロナ禍、こういったことへの対応など、全国的な危機対応を早急に進めていかなければならない局面における国と地方役割分担の在り方というのは、こういった中で国の役割がより重要になってくるのではないかという議論をされる方々もおられるように思うわけであります。  時間もないんで、こうした議論についてどうお考えかについて、三参考人それぞれのお立場お話をいただければと思います。
  17. 野田国義

    委員長野田国義君) 時間もないようでございますが、一言ずつよろしくお願いいたします。
  18. 金井利之

    参考人金井利之君) 今回のCOVID―19対応では、国の方針非常に大事だと思うんですけれども、やはり結局国がいろいろ指示を出しても、それが様々な雨あられとなって自治体の方に行きますと、結果的には何をどう言われているのかよく分からないという事態になって現場が混乱しているということがありまして、国はまさにお金を措置するというのが基本的な仕事でありまして、それ以外については基本的には自治体が行うと。あとは情報分析を行う、もちろん水際対策を行うというのが国の最大の役割ということになります。  それからもう一つ、非常に重要なことは、特に初期の段階で、公表をめぐって自治体がかなり過剰にあおられて個人情報を相当大幅に出したということがありました。実は、これは厚生労働省は余りそういう方針を出していなかったんですけれども、自治体の方がむしろ過剰に行って、結果的には後に知事会なんかも反省しまして人権を守るということにかじを切っていくわけですけれども、やはり初期の段階ではややパニック的な、個人情報を言わば何といいますか、感染防止という大義名分の下でやや過剰に、出てきたものについてはもうちょっと国は大局的にそういう公表について抑えていくような役割はあったのでは、人権保障というのは国の非常に大きな役割だったのではないかなとは思っております。
  19. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 緊急、広域のコロナの今の状況ですと、やはりどこでも命を同じようにひとしく守るというのが当然必要ですので、そのような場合においては、私が研究している虐待、DV、災害弱者、そのようなものもそうなんですが、やっぱり国の役割は大きいというふうに考えております。  国が積極的に介入をしていくという形で、全国どこでも同じく命を守るというような形のシステムが必要だというふうに考えております。
  20. 野田国義

    委員長野田国義君) ありがとうございました。
  21. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) 今、命を守る対応は必要ということで、そこの部分に関しては国というものがしっかり対応していただきたいというふうに思います。  反面、自治体の方の役割というものは、それぞれ地域によって変わってきているというふうに、変わっていると思うんです、全国一律ではないので。ですので、独自性が発揮できる、自治体の独自性が発揮できる仕組みというものが必要なのではないかというふうに思います。  以上です。
  22. 野田国義

    委員長野田国義君) どうもありがとうございました。  それでは、時間が参りましたので、よろしくお願いいたします。
  23. 川田龍平

    ○川田龍平君 ありがとうございます。立憲民主党の川田龍平です。会派を代表して質問させていただきます。  まず、金井先生に、このいただいた資料の「レイワ時代の地方自治のミライ」という、大変面白いというか、非常に興味深い言葉がいっぱい並んでいるんですが、この中で、やはり今この国の自治というものがかなり官邸主導の下にそんたくまで自治体が競ってしていると。本当に、この自治自体がもう本当に今、様々な国のそんたくによって、国へのそんたくによって成り立ってきてしまっているということについて、沖縄もそうですし、国土強靱化の公共事業、規制改革の方向、民間事業者に供与する、原子力発電所の再稼働、建設、五輪、万博、カジノの誘致に奔走、基地新設に賛成するとか、本当に私もこのとおりだなと思っておるんですが、特に私からは、民間委託の問題について、PFIのことですね。  今、日本は、本当に歴史的に二周遅れというか、ほかの国ではもうPFIをやめている。例えば、イギリスなどでも、二十年たって、実際そのPFIやってみたら、総合的に、ずっと年月を経てみたら結果としてPFIの方がお金が掛かっていたとか、そういうことでもって、ほかの国ではもはややめているものを、日本はまた改めてPFIですとかPPPとかを進めようとしていることについて、金井参考人から何か御意見ありますでしょうか。
  24. 金井利之

    参考人金井利之君) 一般的に、PFIにせよそれから民間委託にせよ、がいいか悪いかというのは一般的には言えませんで、具体的なスキームでどういうふうに行われるのかと適切なものを探っていくということが大事だと思うんですけれども。  この国の場合は、PFIを導入しないといけないというような話になったときに、それに従って結果的に無理にスキームを使ってしまうということが多々問題を引き起こしているということだと思いますので、一概に見直すべきだという話にはならないんですが、よく考えないで、あるいはよく考えないだけじゃなくて特に先進事例として紹介されるということで、まあちょっと言葉は悪いですけれども、ちょっと舞い上がってしまって早めにやることが格好いいことなんだみたいな、改革と称して行うというときにしばしば危険が伴うというのが一点目と。  もう一つは、乗り遅れたところで、周りがやっているのにというところで乗り遅れたというようなことで言われて、また焦ってやるところに問題が生じるということでありまして、水道等今後非常に重大な問題が出てくると思いますので、そこはやっぱり慎重に自治体はちゃんと判断していかないといけない。  国はそれについて冷静な情報を提供することが求められているんですが、どうしても国には特定の政策方向が出ちゃいますと、そっちの方向で誘導してしまうということなので、国は是非中立的、多元的な専門的な知見を提供するということに努めていただければなと思っています。
  25. 川田龍平

    ○川田龍平君 金井参考人にもう一つ。  デジタルですとかAIですとか、今本当にそこの流行に乗るまいと、あっ、乗らなければいけないということですね。特に、教育におけるICTもそうですし、本当にもう全て国の方向に、自治体も右に倣えで今全部進められていっているんですけれども、本当に今のこのデジタル化ですとかビッグデータの利用ですとか、その中で個人情報が流出していくことですとか、そういったことについてはいかがお考えでしょうか。
  26. 金井利之

    参考人金井利之君) デジタル化についても、これは行政が判断するしないにかかわらず、恐らく世の中の技術に順応していくというのが、公務員制度で情勢適応の原則というのがありますが、恐らくデジタルについても情勢適応していくということが必要でありまして、例えば今の御時世で携帯電話を使わないとか電子メールを使わないというのはやっぱりあり得ないので、そういう意味でのデジタル化というのは必然的に進んでいく。  ただし、何かそれが打ち出の小づちのように何かすばらしいものを見出すということはまずありませんし、それ以上に、個人データの活用が何か大きな経済的なプラスになるという方に傾いて政策が進んでしまいますと、やや危険性を伴うということでありまして、元々、個人情報保護というのは自治体が先導してきて多様な多元的な仕組みをつくってきたのですが、どうしてもそれが民間事業者等の一元的なといいますか、統一的な観点を求めるということがやや前面に出過ぎていて、今までの様々、多様な、多様性というのは非常にリスクヘッジにつながるわけでありまして、一元的に情報保護のシステムがなっていくということは大変リスクに弱い仕組みになるということを危惧しておりまして、分権というのはまさにそのリスクに多様に耐え得るということなので、やや、デジタル化は時代の趨勢だと思いますので、いまだに電子メールを使わないでいきましょうなんということはあり得ないと思いますが、それによって何か打ち出の小づちのようになると思ってはいけませんし、大きなリスクを持ちますので、一元化する、標準化するというのはややリスクに、危ないというふうに思っております。
  27. 川田龍平

    ○川田龍平君 鈴木参考人にお聞きします。  資料の六ページ目にあります二の、一番住民に近い最前線の市区町村に権限、財源をということで、特に私も、この命の問題、命に関わる問題についてはしっかり国が積極的に介入する必要があるということで書いてありますが、私もそのことに同意なんですが、是非ここについて詳しく教えていただけますでしょうか。
  28. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) レジュメのところで書かせていただいた部分になります。基本的に、人、金、物・場所、情報制度設計、ハンドリングをというふうに書かせていただきました。  財源だけ補助金で、自治体にお金だけ出しているというような場合があります、権限がなくて。その場合だと、やっぱり自治体としては、そこでの制度設計というのは非常に難しくなります。また、権限だけあってお金がない、その場合も当然制度設計がうまくいかないというふうになります。  お金と人とということになりますが、あえて五点ここで書かせていただいています。人の問題、お金の問題、又は今回、物とか場所、例えばコロナとか給付金を配るとかワクチンだといった場合に、じゃ、その場所も確保しなきゃいけない、そういう問題もあるわけですね。あとは、じゃ、その場合に、人による行政ではありませんので、制度設計をしてちゃんと要綱を立てて統一的に人が代わってもできるような制度設計をしていくというのが必要になってくる。だから、ここをセットで、常に自治体行政をやっていくという中ではこれはセットで考えられなきゃいけないというふうに考えております。  ただ、そこについて、命というところを一つのキーワードにさせていただきましたが、緊急で全体でどこでも守らなきゃいけないという場合は、自治体か国かというところではなくて、当然、根拠としては憲法十三条、個々人の権利を守るために三権分立制度があり、地方自治制度があるというところから考えていった場合に、今はどちらかというと、いや、地方分権だから義務付けはできなくて技術的助言だよねというようなことが、緩やかになってしまったりとかいうことがあるんですね。なんですが、技術的助言で、じゃ、丸投げしていいのかというと、そういうことでもないわけであって、私がこう提言させていただいているのは、技術的助言の中でもグラデーションを付けて、いや、技術的助言とはいってもこの点はもう守っていただくとか、この点はバックアップしますよ、先ほどの一から五のうちここまでやりますから、この誘導に乗ってやってほしいというようなところの制度設計についてのきめ細かな国の関わりというのが必要なんではないのかというふうに考えております。  以上になります。
  29. 川田龍平

    ○川田龍平君 それでは、田渕参考人にお伺いします。  資料の二ページ目の、特にこの地方自治体での行政評価の動きということで、特に一九九〇年代後半からその後の十年で大きく前進したということで、本当にこの十年の動きは穏やかになってしまっているということなんですが、国でも、特に行政評価、それから特に今は参議院でも、この行政監視委員会を積極的に使っていくというか、特に行政監視機能の強化ということを参議院でも今言われているんですが、なかなか、かつての行政監視委員会が活動していた頃に比べるとなかなか開かれていなかったという状況の中で、本当に地方自治体の動きと似ているところがあるのかなと思うんですが、是非、この行政評価の仕組み、今後の改善点、それから評価の考え方、先ほども説明いただきましたが、この行政評価と、それから議会の評価と、そういったものがどのようにかみ合っていくのがよいと考えられるかを教えていただければと思います。
  30. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) ありがとうございます。  私、鍵は住民だと思っております。住民皆さんの力というのは行政を動かすというふうに思います。  この二〇〇〇年から二〇一〇年の間、動いたと、とても大きな動きだったというのは、住民皆さんも、実は元気といいますか、一緒に取り組まれていた、多かったということで、そういった意味でいきますと、やはりこの二〇一〇年から二〇年の間、震災の影響もあるのかなというふうには若干思うんですけれども、そういった意味でいくと、住民皆さんもちょっと元気がなくなっているのかなというふうには感じるところであります。  議会に関しても、議会との関係に関しても、二〇〇〇年から二〇一〇年の間は、議員さんから結構、お話とか聞かせてくださいとか、一緒にどういう形があるか検討したいというようなお話もあったんですけれども、最近はちょっとおとなしいというか静かといいますか、そういう傾向もちょっとあるのかなというふうに思います。  やはり、住民皆さんが強く意識をしてもらえるとやっぱり動きますので、そこをどう住民皆さんが意識を高めてくださるかというところだろうと思うんですが、一つ私はポイントとしては、本来選挙というのは行政評価の結果を活用して投票に行くと。そうじゃないと、投票というのを、行動の判断材料がないんですね、有権者の皆さんには。ですので、そこの部分をもう少し住民皆さんに御理解いただいて、あの人が好きだとか、政党で選ぶとかなんとかというのではなくて、特に首長さん、ローカルマニフェストに対してなんですけれども、特に首長さんに関しては、そうした形でしっかり、何というんですかね、住民皆さんがチェックをして、それで投票すると、そういう意識を住民皆さんに持っていただくということが、改善というか大きく動かす一つの力になるのかなというふうに思っております。  以上です。
  31. 川田龍平

    ○川田龍平君 鈴木参考人に、是非、ちょっと最後の方、大分時間を飛ばして説明されたので、そこの説明足りないなと思っているところがありましたら、是非御説明いただければと思います。
  32. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) ありがとうございます。  申し訳ございません、飛ばさせていただいたところの関係ですと、レジュメ皆さんに配付させていただいた七ページから八ページのところ、地方と国の関係というところがありますが、市区町村側から見ていくと、どのようなところとの、連携先とか協働とか役割分担というところで出てくるポイントがありますので、仕事をしている中で四つ挙げさせていただきました。  国、都道府県市区町村役割分担と協働。二つ目としては、市区町村の組織の中で、当然、福祉部局、教育部局、保健部局などの役割分担とかが問題になってきます。三番目として、市区町村と民間との役割分担、ここもどこまで委ねられるのかというところで民間との協働になります。四点目、余り議論がされないところですが、市区町村側としては、安全、安心な町をつくっていくよ、犯罪者被害とか暴力団対策をしていく中では、災害もそうなんですが、警察とか消防との役割分担、自衛隊も出てきますが、どこの部分は自分たちがやるんだけど、この部分は委ねるんだよと、そういうところも考えてきているという部分があります。  なので、このようなところで、ただ、そこに書いてあるんですが、苦情は全て自治体に来るというか、市区町村何やっているんだというのが来ますので、ここのところを整理して考えていくということが必要かなというふうに考えております。  以上になります。ありがとうございます。
  33. 川田龍平

    ○川田龍平君 行政監視委員会でもホームページに苦情窓口というのをつくって、今大変たくさんの苦情が寄せられているということですが、本当に先ほども住民参加によってやっぱり行政評価というのが盛んに、活発になったという話は大変ためになりました。  今の警察の話も、スコットランドが今、警察が暴力の原因を取り除くということで、かなり今犯罪が減ったという話なども聞いておりますので、是非、警察とそういった協働の形というのが、本当に暴力、原因となっているものが何かということを警察と市区町村がやることによって減らしているということも読ませていただきました。是非そういったことをしっかりやっていければなと思いました。  ありがとうございました。
  34. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 公明党の新妻秀規です。質疑の機会をありがとうございます。  田渕先生にまずお伺いをしたいんですけれども、まさに今、川田先生が御質問されたところでありますが、この行政評価が活発化するために住民の参加が鍵なんだというお話伺いました。  一方で、まさに今あったとおりなんですけれども、緩やかになってきてしまっているという中で、現在この行政評価が活発に行われているような好事例はどういうところに、注目されている例があれば教えていただきたいと思います。また、その中で住民参加をどのように促しているか、これについても例があれば是非とも御教示いただきたいと思います。
  35. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) ありがとうございます。  最近でいいますと、時代に合わせて改善をして、うまく改善しているというのは、例えば三重県とかですね、非常に、何というんですか、フレキシブルな形で、状況に応じた形で対応がなされているかなというふうに思います。三重県、元々、北川知事のときから事務事業評価で先駆者であったわけです。それからも評価システムとしては非常にしっかりとした形で対応されているというふうに思います。  あとは、今、行政評価のその実施の方法というのが、いろいろな形ではあるんですけれども、結構同じような形というものが多くて、新しく何かドラスチックに変わるとかというものが余り、どうでしょうというようなところでも実はあります。  あとは、そうですね、国の手法でいえばEBPMですとかそういったものを取り入れようという自治体というものもありますし、そうした形でいきますと、総務省の行政評価局の方のホームページの方にも情報提供されているかと思いますけれども、この近郊ですと葉山ですとかあと前橋とかもEBPMやっていますし、そういった形で、それぞれやり方はありますけれども、そのときはやっぱり住民と一緒にやっているというところもありますので、行政評価、いろんな形があって、EBPMがもういいか悪いかというのもありますけれども、それぞれ自治体に合った形というものがやっぱり必要だろうと思うんですね。  その中で、皆さんが、自治体の中で自分たちの課題を解決できれば行政評価じゃなくてもよくて、何でもいいんですけれども、ですので、自治体皆さんがそれぞれの中で、何ですか、活動を活発化できるような情報提供というのは、国としては実施していくということが必要かなというふうに思います。国の役割ってそこだけかなというふうに逆に思っています。余り言わないで、自治体がこういうのを欲しい、こういうのはないかと思ったものが提供されるというのが私はベストかなというふうに思っています。  今問題なのは、町村ですね、基礎自治体の、町村の小さい自治体皆さんが、やはり手がないですとかそういったことで、やりたくてもできないというところも実はありまして、ベストプラクティスもそうなんですけど、そういったところへの対応というのも、そこは国が、例えば、あと、あれですね、人も足りないのもあるんですけどやり方が分からないとかいうのもありますので、例えばe―ラーニングのような仕組みを作って、全国の方々が基礎的な研修をそこでできるようなものというものは有効かなというふうに思います。  そうしますと、例えば学生さんですとかそういった方も、自治体行政関係なくそうした方もe―ラーニング使えますし、住民皆さんはもちろんです。そういうのを使って、先ほど申し上げた投票のときに判断する材料、力を付けていただくといいのかなというふうには思っているところです。
  36. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 ありがとうございます。  続きまして、鈴木先生にお伺いをしたいと思います。  レジュメの四ページ目に、四角の三番のところで、感染対策等で出される国や都道府県方針通知確認の困難さというふうにあります。  これ、私も、このコロナになってもうじゃんじゃんじゃんじゃん国から通知が行く、それについては我々もレクチャーを受けるものですから、膨大な量が、これは当然現場パンクするわということは私もよく分かります。  その上で、こういう緊急時の通知の在り方というのはいかにあるべきなのか、鈴木先生の御所見をお伺いをしたいと思います。
  37. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 自治体現場、私自身も法務能力、自分は法務担当もやっていまして、かなり読み解く力というのは自信がある方なんですが、それでも現場にいても結構かなり困難なことというのは今までもありました。誤解を生じるとか、あとは今のだけ見ればいい話ではないので、当然過去から遡っていってどう変わってきたかというところも押さえなきゃいけないということがあります。  あと、元の法律とガイドラインとか運用で変わった部分がどこなのか、非常に困難なんですね。そこは自治体現場職員が間違った説明をしたりすると、いや、何やっているんだとかいうことがよく言われるんですが、そこのバックアップをするというのはすごく重要なことであって、僕は市区町村の中でもバックアップしなきゃいけない、ロジスティックスという言葉を使っているんですが、当然法務セクションとか管理部門がちゃんとそれをチェックして話すというのも当然、教えるという、現場職員で共有するというのも重要ですし、国からしたら、新聞の見出しのようにここを見たらすぐ分かるんだよとかというようなことの端的な、全部詳細を読まないと分からないという形じゃなく、ある程度の要約をして、ここが分かればというところと、新旧対照表とかもあるんですが、あれを簡易にしたようなものとかが当然必要であって、やっぱり毎日毎日現場に出ているわけですので、私たちというか現場職員は。だとすると、変わったものについて迅速にすぐここの部分を変えたらいいんだよとか、説明はこう変えたらいいとかという説明の仕方についてのアドバイスとかが分かるようなものというのを送る、付けていただくということはこれ必要なんではないのかなというふうに思っております。
  38. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 私、注目しているのが、最近、動画による説明というのも省庁によっては採用しているんですけれども、それについてはどういう御所見でしょうか。
  39. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 非常に有効だと思います。一つのやり方ではないので、紙というのもそうですし、動画というのもそうですし、イラストなんかも有効な場合があります。  やっぱり、住民からしたらいろんな住民の方がいますので、どの選択、選択肢を多様に持っていて、この方には動画で説明をするとか、この方ではイラストだとか、この方は文章だという、幾つかあることでより住民に沿った説明ができるというふうに考えていますので、非常に有効な提案かなというふうに思っております。  ありがとうございます。
  40. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 もう一問、鈴木先生に。  前回のこの行政監視委員会にて、国からこの補助金とひも付いた計画の在り方についての質疑がありました。  計画を作っていいよという規定のものは非常に多いんですけれども、やはりそれを作らないと補助金がもらえないという中で、実質的に自治体はそれの策定に動くということで、これが非常に今多くの事務量につながってしまっているんじゃないかという問題提起でした。  この点について、やっぱりスクラップ・ビルドのような観点も必要なんじゃないかなと私自身も思うんですけれども、それについて鈴木先生は実務携わってきた中での御所見をお伺いをしたいと思います。
  41. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 今御指摘いただいた点、私も現場で同じ感覚を持っていました。  自治体でやる気があれば、当然補助金を取っていくわけですね。なんですけれども、先ほどちょっと話をさせていただきましたが、いろんなスキームがある。それは、いろんなスキームがあるのはすごくいいことなんですけど、一つのスキームに合わせるとやっぱりほかのスキームと合わなくなるとかということがよくありますので、その点は非常に難しい。  後からまた別の、今回もちょっと話ししたんですが、虐待でいえば、子育て世帯包括支援センターという保健部門のネットワークをつくりましょう、その次の年になってきたりすると、拠点をつくりましょうとかというようなこと、かぶさってくるんで、そうすると、最初につくったところが次のときにどうなるかとかというところも非常に困難になってくるので、そこについてのアドバイスとか、最初につくったものと後から提示するものがやっぱり組み合わせられるとか、重なり合うとか、これで合致しているんだとかというところは、何かしら国が提示してあげるところは必要なのかな。また、提示してあげるという言い方は悪いんで、市区町村側からも質問をして、このスキームでやりたいんだと、これは合致して、その部分について、補助金はもらえるだろうというか、の交渉ができるような、一括して説明してゼロか一〇〇パーかという話じゃなくて、調整をしながらも補助金をもらえるというような仕組みが必要ではないかなというように思います。
  42. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 ありがとうございます。  金井先生にお伺いをしたいと思います。  まず、各論なんですけれども、先生のレジュメの一のところの、しかしの後の二行下ですか、自治体間のゼロサム競争についてです。  確かに、私自身も、例えば子育て政策を充実させることによって若い夫妻を呼び込むとか、そういう移住者の取り合いとか、ふるさと納税での税収の取り合い、これについても様々な懸念があるということで私自身も伺ってきたところであります。あと、国に対し陳情合戦というのもそうでしょうし、でも、こういうことに対して、じゃ、国というのはどういうふうにしてこの自治体間の健全な役割分担とか健全な競争を促していったらいいのかという、その改善策というところについて、先生の御所見をお伺いをしたいと思います。
  43. 金井利之

    参考人金井利之君) ありがとうございます。  例えば、子育て支援競争が若いファミリー世代を奪い合うという形になるという場合は、これはゼロサム競争として良くないということなんですが、ただ一方で、日本の場合には子育て支援が非常に遅れていたということがあって、全体を底上げする方向に作用するような競争は、結果的には両方上げていきますと子育て世代を呼び込む力はなくなるんですけれども、全体としてプラスになるという場合には国はそれを進めていくと。要するに、その競争がどのようになっているのかということを判断するというのは非常に重要な役割で、民間企業との対比でいえば、健全な競争がプラスの方向に作用しているのか、それともマイナスの方向に作用しているのかという大局的な判断は非常に重要だというふうに思っています。  移住者競争は、それによって何か人口を増すということ自体に価値があるという方向に行ってしまいますと、これはマイナスの方向に作用すると。もちろん、魅力ある地域をつくるというような、全ての地域にプラスになるということになっているのかどうなのかというのは非常に大きな問題だろうと思います。  ふるさと納税も同じことでありまして、相互に魅力的な施策を行うというような方向に作用しているのか。実態としては、大都市の富裕層がネットショッピングで二千円でおいしい、言わばネットショッピングの代わりになっているのかという判断が一番重要で、理念としては全体を底上げするという理念だったと思うんですが、現実には二千円で買えるネットショッピング化しているということは、地場産業にとってはマイナス。  言わば、あれは大都市部の税金によって地場産業に補助金を出しているというのが実態なので、これは日本地域経済にとってもマイナスであるということで、それはどういうふうに国として大局判断を持てるかどうかということで、ふるさと納税は得する人はたくさんいるので、得する人の喜ぶのは間違いないんですけど、それでは公共的政策というのは駄目でありまして、喜ぶ人がいるということではなくて、全体のためにプラスになっているのかどうかというのを大局的に判断して、良い競争になっているのか、それともお互いに食い合うような競争になってしまったのかという判断をしていくということが非常に重要ではないかなと思っております。
  44. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 ということは、やはり大局観を持って判断をするということ、あとは、そういう競争の結果、ここのところまでは国でやった方がいいよねというふうであれば、ナショナルミニマムのような、国によっての政策の底上げということが必要ということでしょうか。
  45. 金井利之

    参考人金井利之君) もちろん、子育て支援なんかは本来もうちょっと国レベルですね、しっかりやるべきというところは多分ある、多々あるのではないかなと思いますが、そのプロセスとして競争によって底上げ図っていくというのはあろうかと思いますけれども、そこで一定の、何といいますか、水準感といいますか、値頃感が出てきたら国の制度にしていくというのも一つ方針だとは思いますけれども。  ただ一方で、地域によって、実情によってかなり違いますので、かなりのカスタマイズを認めていくということも必要になろうと思いますので、やっぱり最終的には一般財源を保障していくということに戻らざるを得ないんじゃないかなとは思っています。
  46. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 金井先生に、済みません、総論でお聞きしたいんですけれども、四番のところで、この集権自治分権自治のところで、この国政自治関係で、ポジティブサムであるべき、強い国政、強い自治というふうにおっしゃっているわけなんですけれども、どうすればこういう健全な牽制関係を構築できるのか、どうしたら強い自治体を構築できるのか。もし海外の好事例とかもあれば、それも併せて先生の御所見をお伺いをしたいと思います。
  47. 金井利之

    参考人金井利之君) やはり、自治体を強くしていくのは、住民の監視とかマスコミの監視というのはやっぱり非常に大きな力になると。そこが弱いと、どうしても無関心になってしまうと。  これはなかなか制度でつくれるものでもありませんので、あるいは国の政治家が頑張ってできるものではないので、なかなか歯がゆいところはあると思うんですけれども、様々な問題が起きたときに住民がきちんとできるか、それとも人気取りの投票になってしまうのかということが、今非常に、全世界的にはポピュリストというのが非常に懸念されているということがありますので、そういう意味では、最終的にはやっぱり住民に頼っていくというしかないので、これは本当になかなか一朝一夕には直らないということがあります。  そのために議会というものがもっと、自治体議会ですね、強化されていかなければならないというのもあるんです。これまた、なかなか住民が関心を持たないとなり手不足になって、議会自体も非常に今弱体化しているとは思うんですけれども、自治体の場合にはやっぱり首長が非常に強いので、首長をしっかりチェックできるような議会で、それをサポートしていくような住民やマスコミでなければならないというふうに思っています。
  48. 新妻秀規

    ○新妻秀規君 ありがとうございました。終わります。
  49. 音喜多駿

    音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿と申します。  今日は、参考人の先生方、御足労いただきまして、誠にありがとうございます。  また、冒頭、複数の参考人の先生から、今日がオンライン開催でなくてびっくりしたと、久しぶりに外に出たというお言葉がありました。これ、我々、大変重く受け止めなければいけないと思っております。  我々、我が党もずっとオンライン化ということは提言してきましたが、全くこの一年間、実行されないという状況でありますから、こうしたものは是非国会全体で考えていかなければいけないということを、冒頭、決意として申し上げたいと思います。  さて、私は金井参考人に、先生にまずお伺いしたいんですが、私、東京都選出でございまして、東京都議会議員やっておりましたので、いろいろ予習させていただきまして、金井先生が言っている都区制度について少しお伺いしたいと、せっかくの機会なので思います。  金井先生、論文「都区制度改革」の中で、この都区制度というのは、旧東京市が旧東京府をのみ込んだものであり、都は特別市としての性格を有していたというふうに論じておられます。そのため、当初は、各特別区が市町村のようになることは東京都が市の立場を失うことであるから歓迎されることではないとされてきましたが、その後の改革によって、市町村としての特別区を強化する方向に進んでいると、このように論じておられます。  また、金井先生は、「東京都性論―あるいは人間不在の都政」、この中で、都区制度が必要とされる理由としては、通常の市町村税制を適用すると膨大な財政余剰が発生する都心区の財政力を調整する必要があるということを挙げておられます。  こうした中、特別区協議会が編集した「特別区が歩んだ自治のみちのり」においては、これら二点を踏まえた上で、金井先生は、特別区は戦前以来ずっと引き継いだものである、だけど理由のないものでもありますと。たまたま都心区三区から膨大な税収があるのにすぎないから、それを全国に差し出せというのが私の持論と、それがなくなれば実は都区制度も必要はなくなると、こうした旨の御発言をされております。  そこで、改めてこれらの発言の趣旨についてお伺いできればと思います。お願いいたします。
  50. 金井利之

    参考人金井利之君) ありがとうございます。私の拙いものを読んでいただきまして、誠にありがとうございます。  まさに音喜多先生が要約された内容ということになるんですけれども、特別区といいますか、要は現在の制度に基づきますと、固定資産税などは市町村税ということになりますが、それをそのまま適用しますと、明らかに都心三区ないし四区で膨大な税収が発生してしまうということで、これはどう考えても制度的にもたないということで、実際上、都区制度といいますか、特別区、都区財調制度を通じて、そのお金が都に回り、いわゆる多摩に回り、島嶼部に回りというような、まあ非常に分かりにくい仕組みになっていると。  にもかかわらず、さらに、東京はお金が余ってしまっているので、いわゆる偏在是正措置というのを国がとったということでありまして、私は、余計なことになりますが、東京都税制調査会で常に偏在是正を賛成だと言っているので、いつも知事や執行部から怒られているんですけれども、やはり現状の国民的な全体最適を考えれば、一般制度を超過するようなものについては、本来ならば拠出金という制度で交付税が適用できれば本当は一番いいんですけれども、なかなか都心区が一旦来たものを差し出すというのは非常に難しいということなんですが。  非常に端的に申しますと、通常の市町村制度、都道府県制度の下に置くべきであり、かつその財源は全国民的な財源であって、別に千代田区の区長や役人が頑張ったから千代田区の経済が栄えているわけでは全然ないのであって、それは潔く差し出すというのが国民的に必要なことであるというのが私の趣旨でありまして、ただ、今の発言を都税調その他東京都の場でやると大変聞く耳をいつも持っていただけないので、東京都選出の先生がどう判断されるのかでなかなか難しい問題だと思いますが、私の真意はそこにあります。
  51. 音喜多駿

    音喜多駿君 ありがとうございます。  私もまさに東京都議会議員として同じような課題意識を掲げておりまして、今の制度というのは抜本的な見直しが必要であろうなというふうに感じております。  一方で、金井先生は、昨年の都政新報において、特別区側から自治権の拡充に向けての動きをつくることが大事であるというふうに述べられております。すると、今の制度、財源とかはもうちょっと見直した方がいいというお考えと、ただ一方で、自治権は拡充すべきというところが一種相反するようなところもあるんじゃないかなと思うんですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  52. 金井利之

    参考人金井利之君) ありがとうございます。  財源については、私もう再三申します一般財源論でありまして、全ての住民がひとしく、やっぱりケーパビリティーといいますか、財源を持つべきであると、そのお金を使っていろいろ知恵を持っていくべきであると、その場合には東京都からの補助金に頼らないでできるようにしていくというのが大事だと。そこで、各区が、あるいは市町村もそうですけれども、もっと自主的に判断できるということが非常に大事なんですね。  ただ、現状では、その東京二十三区の厚い支援というのは、ほかの地域の市町村から見ますと、財源が多いからできるんでしょうと、知恵があるからできるんじゃないでしょうというふうに思われていることが実態としてかなり多いと。これは多分否定できないということでありまして、そこはやっぱりイコールフッティングといいますか、同じ財源の下で市町村はきっちり戦ってもらいたいなというふうに思っています。
  53. 音喜多駿

    音喜多駿君 ありがとうございます。  まさに、区とあるいは東京都内の市の格差があるということもありますし、更に突っ込んで言えば、やっぱり二十三区の中にも格差があるわけですね。  私、北区の選出で都会議員をやっていたんですが、全然港区とか千代田区とは財政状況は異なると。まさに人口規模やあらゆるものが異なり過ぎるので、この特別区の制度を改善するには、この二十三区というのはそもそももうこの区割りから含めて見直さなきゃいけないんじゃないかというような意見もありまして、私もそう思うんですが、やっぱり六万人の千代田区から九十二万人の世田谷区までが同じ都で運営しているというのはちょっとおかしいんじゃないかと。  例えばですけど、一区五十万人から六十万人ぐらいの区に再編する、あるいはそのときは市部までひっくるめてしまうと、そういったような提案も一部にはあるわけでございますけれども、金井先生からこの二十三区制度、あるいは東京都の市町村、市区町村まで含めた基礎自治体というのはどうすべきか、どうするのが望ましいと思われているか、御意見があれば伺いたいんですが、いかがでしょうか。
  54. 金井利之

    参考人金井利之君) ありがとうございます。  私は、市区町村といいますか、基礎的自治体の人口規模に差異があるというのはむしろ当然であって、余り区域再編というのを考えてはいないということになります。むしろ、非常に平均的でいえば一人当たりの一般財源が格差があるということの方が問題であって、そこを調整するのはまさに国や広域団体の仕事だろうというふうに思っております。  区域については、ボトムアップといいますか、地域住民の方が、こういう区域よりはくっつけた方がいいとか、あるいは分割した方がいいというのであれば、それは個々のニーズに従って線引きしていくというのはあると思うんですが、やはり国策ないし都の方針としてこういう区割りはあるというふうに、何か機械的に人口を当てはめていくというのは余り合理的とは思えなくて、やはり、かなり沿革とかですね、そういうものが非常に重要になってくると思っています。
  55. 音喜多駿

    音喜多駿君 ありがとうございます。  今年は都議会議員の選挙もある年ですので、こうした東京都の自治体がどうあるべきかというのは非常に重要だと思いますので、今の御意見参考に我々もしっかりと研究重ねていきたいと思います。  重ねて金井先生にお伺いしたいんですが、やっぱり中央集権がいびつに進んでいく中で、権限移譲、財源移譲等々していくべきだと我々としても考えているんですけれども、そうした中で、やはりこの広域行政というのに行き詰まりを、広域行政が行き詰まりを見せているんじゃないかなという問題意識がありまして、やはり明治時代に四十七都道府県という制度がつくられて、しかし、馬と徒歩で歩いていた時代につくられたこの四十七都道府県というのは物理的にも狭過ぎるんじゃないかと。  そして、今回コロナで、大阪では病床が逼迫しているけどちょっと隣に行けばまだ空いていると。日本全部で見ても、カリフォルニア州よりちっちゃいのにその融通もできないのかみたいな問題点も指摘されているところで、こうした地方自治体への役割分担で権限を移譲していく際に、広域自治体というのはもう少し見直さなければいけないんじゃないかということを感じているところあるんですが、その点、金井先生の御所見あればお願いいたします。
  56. 金井利之

    参考人金井利之君) これも市区町村の見直しと一緒でありまして、現在でも自主的な都道府県合併というのは地方自治法の改正によって可能になっておりますので、それはボトムアップで必要だと思えば提案されていくということになろうと思うんですが。  現状では、じゃ、どういうふうな線引きがいいのかと考えていきますと、余り、結局、合理的な線引きができないので、取りあえず今ある線の中で相互に調整しながらやっていくということが大事でありまして、例えば大阪の病床が厳しくなっているというようなときには、これはまた大阪というエリアにあるからこそそこが厳しいということが表面化できるわけですが、これがぼやっと広い区域になってしまいますと、実は大阪の区域で逼迫をしているのに、関西という大きな数字で見ると何となく足りているというような間違った情報を与えることもありますので、線引きがある程度小さくあるというのもそれなりに、個々のエリアで問題が発生しているということを浮き彫りにするという意味では非常に重要な意味を持っているということですね。  ただ一方で、そこが、阪神間往来はやめましょうとか、余りちょっと現実的でない話になっていくと、その線が悪い方向に作用していくということがあろうと思いますので、線が良い方向に作用するように配慮していくというのは国の仕事だと思いますが、一方で、自治体のボトムアップにどういうふうな区域割りが必要なのかというふうに考えていきますと、それはそれで提案はあってしかるべきだと思いますが、ただ、現実には、やはり現在の四十七都道府県がそれなりに安定して、かつ一つの重要な指標になっているということがあります。  ただ、首都圏で東京だけが感染抑えられるということは絶対あり得ないわけで、それは当然、まあいわゆるしみ出しといいますけど、一都三県辺りは密接に関連しているというのはこれはもう当然なわけですけれども、それを一つのエリアにしてしまいますと、また小さなエリアでどこが本当に逼迫しているのか見えにくくなっていくということもありますので、それは相互に連携していくことが大事ですし、それから、一都三県でいえば、相互の知事がそれぞれに牽制を図る、お互いにチェックをするということが非常に重要なことでありまして、あれが、一人の知事が巨大に一都三県を握っていますと、そこが一方的な方向を出したときに本当に大丈夫なのかと。やっぱり、知事さんたちが相互にお互いの発言、あるいはお互いの中身が本当に正しいのかというチェック・アンド・バランスするというのは非常に今回役に立っているんじゃないかなというふうに思っています。
  57. 音喜多駿

    音喜多駿君 ありがとうございます。  じゃ、金井先生には最後に、私たち日本維新の会という政党ですので、大阪都構想について金井先生が何度かコメントされているのもよく見てきたんですが、今、こうした大阪都構想は残念な結果となりまして、今、広域一元化条例ということで今制定して、この広域自治体と政令市の問題を少しでも解消しようという動きがしているわけなんですけれども、これについて金井先生から御所見があれば、一言お願いいたします。
  58. 金井利之

    参考人金井利之君) 大阪都構想の良いところは、基礎的自治体により小さなレベルで住民自治をつくれるということだったんですけど、なかなか広域一元化条例だけではその肝のところが実現できないというのは大変残念なことでありまして、いかに域内分権といいますか、小さなレベルで判断できるのかということが大事でありまして、まあ大阪は結構大きいんですよね、やっぱり小さなレベルでの判断というのは同時に必要なので、そこの政治的意思決定が今ないというのは大変残念なところだったなというふうには思っております。  ただ一方で、もう一つ住民投票の結果は、やや一部の議論で、脱法的に条例で、事実上都構想を否定されたにもかかわらず、大阪市が事務返上をしちゃってという批判もありまして、若干そこら辺は民意を重視する観点から言うと、仮に一元化が必要だとしても、本当に民意はそうだったのかというのは若干疑問があるのではないかなというふうには思っています。
  59. 音喜多駿

    音喜多駿君 ありがとうございます。  厳しいコメントもありましたが、しっかり受け止めて前に進んでまいりたいと思っております。  では最後に、最後になってしまうかもしれないんですが、鈴木先生にお伺いいたします。  レジュメ七枚目の方で、国の役割、努力のアのところで、後法は前法を破るということの原則を具体的に分かりやすく提示してほしいということを書いてあります。これ、確かに、自治体によってこういう問題があるということをよく仄聞するんですが、この何か具体例とか、その解決策に向けて何か御提言があれば、一つお示しいただきたいんですが、いかがでしょうか。
  60. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) ここで書かせていただいたんですが、法律であれば、当然新しい法律ができれば前の部分が変わっていく、矛盾しているところはというのがあるんですが、通知文とかが送られてきていると、どこがどうなのかと、先ほどの話と重なりますが、分からない部分というのがすごくあるんですね。ずっと追っかけていくというのがすごく大変で、私自身国会でも議論になりましたが、改め文とかというのを実際現場で作っていて、法改正のをやっていくと、どこかの改正のところが変わっていたりおかしかったりすると、その後もまたみんなずれていってしまうとかというのも経験したりしてきました。  ここでお話をさせていただいているのは、やはり国側で法律を作ったときに、又は通知とかガイドラインを出していくときに、前のところとここのところが変わっているんだよ、前の部分のここはもう効力がないから見なくていいというような形のがちゃんと示せれば省力化、自治体側からしたらここだけ見ればいいんだな、新しい通知を見たらここだけ見ればいいんだということが分かれば、直ちにそれをもって実務の運用というのができます。そうではないと、一部分だけ出されて、またどこまで追っかければいいのかというのは非常にすごい労力があります。  ということなので、ここで書かせていただいたのはそういう形で、通知を出すとき、都道府県市区町村に出すときも同じなんですけれども、ここだけ見ればいいですというようなところを提示していただくというのが事務の効率になりますし、結局的には住民福祉の向上につながるというふうに考えております。
  61. 音喜多駿

    音喜多駿君 ちょうど時間が参りました。田渕先生にちょっとお伺いできず申し訳ございませんが、貴重なお話ありがとうございました。  終わります。
  62. 上田清司

    ○上田清司君 国民民主党・新緑風会という共同会派で、新緑風会の上田清司でございます。  今日は、三人の参考人、先生方には、大変貴重な意見ありがとうございました。まず御礼を申し上げます。  まず、率直に申し上げまして、私も衆議院を十年と一か月、その後、埼玉県知事を十六年させていただきました。その経験の中で、一般的に言えば、分権、権限、財源をどんどん下にというか、より小さな単位に下ろしていく、このことが正しいという認識に立っていることが多いわけですが、例えばごみ処理だとか、あるいは火葬場であるとか、あるいはまた霊園であるとか、総論では賛成なんですが、自分のところだけは困るという、こういう話がよくあって、広域でごみ処理場を造るときに、その場所を決めるときに破綻して、結果的にはまた再構成し直すとか、こういったことが時々起きたりしております。  そんなときに、ああ、私にまた任せてくれればなと。私は別に五万人、十万人が反対しようと気にならないと、もっと大きな単位の選挙をやっているので、そこで全部反対になっても構わないと、全体の中での支持を得られるというふうに思ったりするんですが、これ十万とか五万という単位の中の首長さんの判断で、半分以上の方々から署名なんかをいただくと、とてもじゃないけどやっていけないという形で頓挫するという、理解はできるけれども自分では進められないということでよく駄目になってしまう例なんかがありますので。  こういうのは逆に、逆移譲なんというのが制度的に可能にするようなことができないのかなというようなことをよく考えたりしておりまして、そうした問題提起をしていたところですが、そんなこと言ったって、そういうことは地方自治に逆行するというような論点の方から割と否定的に捉えられて、私自身は否定されるというような感じが多かったんですが、思い切って、とても斬新な考え方などが金井先生の方から出ておりましたので、この機会にちょっとお聞きしておこうと思ってお尋ねしたところでございますが、三先生方にこの点について御感想をいただければと思っております。
  63. 金井利之

    参考人金井利之君) 移譲、今の御指摘の点は非常に重大な、自治体を悩ませている非常に大きな問題でありますよね。  実際、産業廃棄物処分に関しては、都道府県が許可権を持っておりますので、広域化されているわけですね。一方で、広域化されていると産廃処分場が紛争なく決定できるのかというと、やはり問題は消えないということがありまして、広域自治体が、あるいは国でもいいんですけれども、決定権を持っているということと、やはり現場の、それは市町村の場合もありますし、地区の場合もありますけれども、その了解を得なくていいのかというのは、やっぱり問題は消えないと。やっぱり制度を変えるだけでは問題の本質は消えないのでありまして、簡単に言えば、特定の非常に狭いところに負担を押し付けるけれども、ほかの人が得になるという、この永遠の、政治の課題ってある意味そうだと思うんですね、永遠の課題について、言わば負担をしている人の気持ちを最も受け止められる意思決定であるのかどうなのかと。その全体最適はもちろん大事なので、みんなが反対して造れなかったら困るでしょうというのは誠にそのとおりなんですけれども。  一方で、じゃ、多数決で、広域なりあるいは国が権限を持てば、地元市町村が反対しても造っていいのかということになると、やっぱりそこの苦しみといいますか、苦渋を為政者が負うということがやはり一番重要でありまして、その意味で、私は市町村がやっぱり苦渋の立場に立つということがまさに政治の、あるいは政策決定の本質だろうと思っていまして、それは都道府県が、産廃にせよ、ほかのものでも、ゴルフ場とか、いろいろ許可権、公有水面埋立てとかもみんなそうですけれども、仮に都道府県に持ったとしても、やはり同じ問題はありまして、やっぱり多くの人にプラスになるけれども別の人に負担が行きやすい。  まさに政策というのはそういうものが多いわけですね。そこの苦しみを為政者は制度的にちゃんと引き受けられるという仕組みが非常に重要だと思っておりますので、一概に都道府県でその地域が一般廃棄物処分場造るのに苦労しているから、俺たちだったら代わりにやってあげられるよというのは、誠に補完性の原理としては正しいとは思うんですが、一方でその苦しみはやっぱり消えないということで、それを受け止められる市町村があるということは非常に僕は重要なことだと思っております。
  64. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 二点ほど。  今のに関係してですと、最近、別の事例でも、例えば児童相談所なり造るとか、児童養護施設造るという場合も同じようなことって出てきていると思うんですね。  それに対して、やはり行政のトップとして憲法をちゃんと守っていく尊重擁護義務があるよというところでのトップとしてのメッセージとして、何か差別的な問題とかそういうものがあれば、ちゃんとそれはいけませんよと、私たちはそれにこういう姿勢ですよというのはちゃんと示すというのは一つ必要なことだと思います。  もう一点が、私の専門の法律の行政法立場からすれば、行政法又は行政手続法、行政手続条例、両方の面からしたら、やはり反対意見でも、意見公募手続というのがありますので、その趣旨と同じような手続過程での処理の仕方というのが必要なのかなというふうに思います。  意見を出していただいて、それに対して行政側として考えているものをちゃんと提示する、それを、だから、公開の場でちゃんと手続過程を見せていくと。それは、だから、住民がそれに対してちゃんとそれが見えて、世論というか住民意見というのは形成されていきますので、その手続過程をちゃんと見せていくということがすごく重要なことなのかなというふうに考えております。  以上になります。
  65. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) ありがとうございます。  私も、やはり住民皆さんにしっかり説明ができているかという、やり取りがしっかりできていた上での対応であれば、それはある程度の、何ですかね、先に進むということになろうかと思います。  今お話あったように、公開の場でしっかり議論する、そこが一番重要なのではないかと。これまで、やはりごみ処理とか、そういったときに、説明会は開かれるんだけれども、ただただこういうのになりましたみたいな形で説明だけがあって、そこに住民の人たちがしっかり意見を言える場がなかったということ、そこがやはり一番ポイントなのかなというふうに思います。ですので、そうした、コンセンサスを得るといいますか、そうした取組ということがこういった観点では非常に重要だろうというふうに思います。  以上です。
  66. 上田清司

    ○上田清司君 ありがとうございます。  まさに、権限があっても、当該地域住民が納得しなければ基本的には難しい話だということであります。仮に真っ当にやっていても、中学生の校庭で子供同士の声がうるさいという投書が来たり、幼稚園の音がうるさいとか、そういうのがメールで飛んでくるとか、そういうのがありますので、常に説得をしなければならないわけでありまして、そういう点からすれば、文字どおり、そうした権限とかの問題で片が付かない、相当な説得能力というのが行政に今問われている時代だというふうに思っております。いわゆる権威とか正当性というのが非常に薄くなっている時代でありますので、単純に権限があるからということだけではなかなか済まない課題が多くなってきているというふうに思っております。  そこで、一つまた問題提起というよりはサジェスチョンをいただきたいところですが、こういう事例もまたございます。  例えば、今一番課題になっております、どちらかといえば大きな問題の一つとして、産業政策、これはどちらかというとなかなか都道府県では少しパワーが足りなくて、国がもっともっと強く出すべきとは思っておりますが、その中でもやっぱり四十七都道府県がそれぞれ努力をして、産業政策日本の産業力をアップしていかなくちゃいけない。  このそれぞれの都道府県の中に、例えば経済産業省が言わばそのリーダーシップを取るべく、各地域に経産局というのがあります。俗に言う地方支分局であります。全国知事会なんかでは、この地方支分局を廃止してそれぞれの権限を都道府県にという論点を提起しているところですが、しかし、現実にはそうなっておりませんので、このいわゆる広域行政の要になっております地方支分局、この存在、経産局を事例にさせていただきたいと思います。  産業政策で、少なくとも十六年の経験の中で、この関東支分局の経産局から、具体的にこういう方向で国はやっているので、それぞれの補完関係の中で一緒に進めていこうじゃないかという話というのは、余り正直のところないんですね。いろいろ説明はいただくんですが、共同歩調を取って、じゃ、ここまでできましたね、次はこの段階に行きましょうとかというのはなくて、その時々の政府の方針を私たちに報告される、説明されるというところで終わって、その次がないという状況であります。  したがって、国の産業政策地方に十分浸透しないということになっておりますので、こうした支分局の在り方が国の地方機関としてどのような意味を持つのかということに関して知事会などもそれを問題にしているところですけれども、こうした問題について、まさに国と地方との関係の中で大きな論点の一つでありますので、先生方に若干のコメントをいただければと思っております。
  67. 金井利之

    参考人金井利之君) ありがとうございます。  地方支分部局でも、税務とかそれぞれに分野が違うので一概に難しいと思うんですが、これは私の率直な意見なので余り一般的な意見にはならないと思いますが、やはり現在の日本は、平成バブル崩壊以来、やっぱり産業政策がうまい手がなくてずっと悩んでいるというのが実態だろうと思うんですね。いろいろ経済成長戦略とか経済再生が必要だということは分かるし、国もあるいは経産省も政策は打ち出さなきゃならないんですが、残念ながらなかなか決め手がないと。  したがって、経産局もいい打つ手がないので、説明しても都道府県側にいいアイデアがないので、こんなことをやっていますと言わざるを得ないので、余り役に立っているのかどうなのかというお気持ちに都道府県側からいうとなるのではないかなというふうに思います。  ただ一方で、同じように、じゃ、都道府県が産業政策でこれが決め手になってばっちり我が県の経済が再生するというようなすばらしい政策が思い付けばもちろんやってしまえばいいんですけど、なかなかそれ、現在、国も都道府県も含めて、経済政策といいますか、産業政策自体がやっぱり手詰まりで、決め手がなくて、それで結局、経済はずっとGDP五百兆円レベルで止まって、中国にはずっと引き離されている実態になっているのはしようがないと、しようがないといいますか、結果的にはいいアイデアがないということなので、これはしようがないといいますか、経産省があったから、経産省が役に立たないからというわけでもなくて、経産省本体にそもそもアイデアもないし、じゃ、都道府県に任せてくれたら突然経済が再生するのかと言われたら、別に都道府県にもそんなアイデアがないので、これは本当に現在みんなが悩んでいることだろうと思います。
  68. 野田国義

    委員長野田国義君) 時間も来たようでございますけれども、鈴木参考人田渕参考人、何かございますか。
  69. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) じゃ、一言。  私、この点につきましては、やはりどうあるかと、必要性があるという見解とやっぱりないという見解で、僕も全国見ている中では両方やっぱり聞いているので、邪魔だというところとやっぱり助かって、助けてもらっているというような意見両方聞いておりまして、やっぱり現状の中だと協議しつつ、結局、住民が利益を得るためにどうしたらいいかといったら、やっぱりそこが両方協議して進めるしかないと思っていますので、そうやって進めていくしかないのかなというふうに思っております。  以上です。
  70. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) 簡単に。  まず、この設置の意義ですね、今も必要なのかどうか、そこから考え直す必要があるのではないかと思っています。これ、ありきになっているわけで、そうじゃなくて、ここはなくてもできるのかもしれない、そこの議論がやはり必要だろうというふうに思います。  以上です。
  71. 上田清司

    ○上田清司君 ありがとうございました。
  72. 野田国義

    委員長野田国義君) ありがとうございます。
  73. 吉良よし子

    吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。  三人の参考人皆様、今日は本当にありがとうございます。早速質問に移りたいと思います。  今、参議院では、デジタル庁関連の法案が審議されております。この法案を見ますと、個人情報保護に関して、国の行政機関、独立行政法人、民間事業者それぞれに定められている法律を一本化するとともに、地方公共団体の個人情報保護条例も国の基準に合わせるよう求める中身になっているわけです。  本来、地方自治体の条例というものは、それぞれ歴史的な住民の運動の中で制定されてきたものだと承知しております。国より厳しいものもあれば、独自なものが中身のものもあるということですけれども、先ほど、冒頭、金井参考人からは、過剰な権力集中体制の下、内閣政策自治体が従属してしまうということの問題なども語られたと思うんですけれども、こうして国が法律によって各地方自治体の独自性のある条例を認めないというようにまとめていってしまうということは、地方自治の観点からおかしいのではないかと考えますが、三人の参考人それぞれの御意見を伺えたらと思います。
  74. 金井利之

    参考人金井利之君) ありがとうございます。  私は、既に最初に述べておりますけれども、個人情報保護のいわゆる二千個問題と言われて、一元的な仕組みの方がスムーズであるという声にやや傾き過ぎた議論になってしまったのではないかなというふうに大変危惧をしています。これは、全ての領域において、全ての自治体で施策が異なっているが、みんな困るんだと言われたら、全て、二千個あってはいけないと言われてしまえば全部国で統一するしかないというロジックでありまして、これは必ずしも個人情報についても適切とは思えないというふうに思っております。  ただ一方で、自治体によってはその個人情報についての定義が古い、つまり最新のEUその他の知見に基づいていないとか、あるいは今日のデジタル経済の状態にうまく対応しないというのも事実なので、そこのアップデートができていないという意味でいえば、最低限のラインをそろえると、個人情報保護という観点については最低限のラインを整備するというのは必要だと思うんですが、上乗せについては、上乗せ規制といいますか、保護の上乗せですね、については認めていくということが本来のあるべき姿で、元々公害防止条例はそういうふうに運用されてきたのでありまして、そういう形で多様性を認めていかないと非常に脆弱な仕組みに、かえって弱体なものになってしまう。  アメリカなどは、極めて多元的な、会社法でさえ州で異なるという国で、活力を持っているわけでありまして、千七百個問題で何か嘆きをしているというのは、むしろ産業界の、まあ言わば本来の技術力がないことを何か自治体のせいにしているのではないかということで、私はむしろ産業、情報産業の方にもうちょっとちゃんと奮起をしていただきたいなというふうに思っています。
  75. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 地方が先行して後から国という例だと、情報公開条例と情報公開法の関係もあります。  その関係ですと、先行していて、知る権利ですかね、を明記していたところがあって、その後、国の審議で知る権利は入れないと、で、国民主権ですよというような話になったときに、それに合わせて、国の形と合わせていって変えていったというようなことの経緯というのもあったりします。  私も基本的には地方自治の学者として、それぞれが作った条例が優先されるべき話であって、そこを尊重して、後からの場合にはそこを尊重した形での法律が制定されるべきだというふうに考えております。  ただ、一点、私のまた虐待云々の話の中では、要保護児童対策地域協議会、要対協の中での情報の取扱いとかといった場合に、自治体によってばらばらで、情報が取れるところと取れないものがある、個人情報だからというようなところのかなりの壁があるところで、実際、ネットワークで共有されないというのもあったりします。  その辺の整理も必要なのかなと思いますので、この情報、個人情報の扱いについては一概に一刀両断で、一概に駄目とまでは言い切れず、私自身も悩んでいる問題というふうになっております。  以上になります。
  76. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) 個人情報なんですけれども、デジタルとの関連でいいますと、恐らく国民の皆さんはここがクリアされなければデジタル化というそのスピードも止まってしまうぐらいな大きなポイントだろうと思います。  ですので、やはり国民の皆様にとってどういう形で議論がなされるのがいいのか、そういったスタンスでやはり議論は進めていく必要があるというふうに思います。  以上です。
  77. 吉良よし子

    吉良よし子君 ありがとうございます。  地方が先行しているような条例もあるわけだし、まあ一元的というか、最低ラインはそろえるべきだけれども、多様性を認めることも大事という御意見、大変参考になりました。  あわせて、同じような観点になるんですけれども、このデジタル関連法案では、先ほどの参考人からも触れていただきましたけれども、地方自治体の税、社会保障、就学に係る地方自治体情報システムもデジタル庁が策定するシステムに統一して管理するということが求められているわけで、一方で、地方自治体は、その国保料や国保税若しくは子供の医療費の負担軽減とか独自の保育料の算定基準など、それぞれ地方自治体地域事情、住民の要望を反映した、独自に国の基準に上乗せしたり横出ししたりするようなシステムというのを既に持っているわけで、そこにこの国のシステム統一ということを持ってくると、そうした地方自治体が国の基準に上乗せしたり横出ししたりした独自の取組を続けて行うには、新たな費用負担が生じてしまってそれができなくなる、地方自治体が独自に取り組むことを阻害することになってしまうのではないかという懸念も持つわけですけど、その点についても御意見あれば、是非三人それぞれ御意見、聞かせていただければと思います。
  78. 金井利之

    参考人金井利之君) ありがとうございます。  この情報システムについては、その政策的な中身とそれからその政策を実現するためのシステムというものがうまく切り分けられれば望ましいということで、J―LISといいますか、全体として標準的な仕様ができて、しかし、政策的な様々な判断が盛り込めるというような、カスタマイズができるような仕組みになればいいと思うんですが、そこら辺がどうなるのかと。しばしば、システムが組まれてしまいますと、そのシステムのせいで動かないという、実は法律より厳しい規制になるということが、よく電子的な手続をやっておられるとよく分かると思うんですけど、進まなくなってしまうということで、かなりこれは法律以上に厳しい規制になる可能性があるということで、そこは非常に政策判断とそのシステムの基盤の問題を切り離せるかどうかというのが一点目のポイントだと思います。  それから二点目は、システムが標準化されて一つになってしまったときに、そこが非常に、下手なシステムをつくったらどうなるのかという、これはリスク分散の問題がありまして、その一つのところが、標準が、それが間違っていると、全体として非常に困った事態になるというような、リスク分散を情報の方でどういうふうに入れていくのかというのがありまして、いろんなシステムを導入した、鳴り物入りでやったはいいけれども、システム障害が起きるというようなことになると銀行も大変困ったりしていることがありますが、まあそういうことで、そのリスクの分散の話とそれから政策的なカスタマイズができるのかということが問題になると思います。  そういう意味では、J―LISといいますか、そこで自治体ないし地方六団体の声をどれだけ反映できるのかということが多分焦点になってくるということになりますので、総務省や自治体の声が聞こえなくなるようなシステムだと困るので、そこら辺はしっかり自治体の声を反映できるような仕組みにしていかないとならないんではないかなと思っています。
  79. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 私もレジュメでも書かせていただいているんですが、前半の部分はまさにそのとおりというか、最初に自治体が努力をして様々な整備をしたものについて、後から国が、いや、違うものを出してということで、そのシステムが使えないものになってしまうということであれば、自治体が、特に一番現場住民の顔を見て率先的にやってきたところがこれからは二の足を踏むというか、やっぱり待っていましょうと、コロナも今そういう状況が出ている、現実出ている問題としてあります。  なんですけれども、そこについてということで、後から、ここでも提案させていただいているんですが、後から、じゃ、国が新しいものを常に出せないかというと、全体的な観点から出せる部分というのは、出さなきゃいけない部分というのも当然あると思います。そのときに、先行した自治体に対しての投下資本というかがちゃんと回収できるようなものだったりとか、そこに対する補助、最初にアイデアをやってシステムをつくったんであれば、その部分を後からなしにするんであれば、その投下資本の部分は補填をしますよというような制度設計というのが必要になるのかなというふうに思っております。  以上になります。
  80. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) 簡単に。  ポイントとしては、連携という形ですね、連携というものができていないのではないかというふうに思います。それぞれがそれぞれでそれぞれのやりたいことをやっているというような、そんな感じが一国民として見るとあるんですけれども、しっかりそこを連携して、まず、全体最適という言い方がいいか分からないんですけれども、連携した上で、それでその後でどういうやり方で実施していくのがいいのかと、その議論が必要なのではないかというふうに思います。  以上です。
  81. 吉良よし子

    吉良よし子君 ありがとうございます。  法律以上に厳しい規制になり得るという御発言は大変衝撃的に受け止めたんですけれども、大変そういう意味では、システム統一するという意味では相当な知恵が必要になってくる問題だし、簡単ではないということが分かりました。ありがとうございます。  それでは、先ほどの冒頭のお話の中でも、緊急事態宣言、コロナ禍での対応、自治体の役割についてもるるお話があったかと思うわけです。この感染症対策を最前線で担っているのは、例えば保健所があると思うんですけれども、ここが深刻な疲弊状態に陥っているわけです。全国の保健所の皆さん、不眠不休の大奮闘されているわけで、朝から夕刻までPCR検査の相談、入院などのあっせん、検体の搬送などに忙殺されて、夕刻から深夜にかけては感染者の追跡調査、サーベイランスなどを行っていると伺っております。  そんな中、電話がつながらないとか、PCR検査が受けられないというようなパンク状態にも陥っているわけで、どうしてこんなことになったのかということを遡って見ていると、一九九〇年代の地域保健法による業務効率化を推し進める動きだとか、二〇〇〇年代の地方分権改革、冒頭お話ありましたけれども、による国の責任後退の下で、全国の保健所の数が九〇年の八百五十か所から二〇一九年には四百七十二か所へと激減したことがあるのではないかと。私、東京選出ですけれども、東京の場合、七十一か所から三十一か所と。特に、多摩地域保健所が減らされて、地域格差も深刻化していると認識をしているわけですけれども。  先ほどPFIやPPPのお話もありましたけど、こうしたとりわけ保健所など公衆衛生の分野では、やっぱり国と地方自治体それぞれがちゃんと役割を果たせるようにすべきですし、そのためには、こうした分野において、とりわけ効率化一辺倒で、特に国が地域地方自治体に押し付けるというようなやり方というのは駄目なんじゃないかなと私思うんですけれども、その点について、三人の参考人皆さんの御意見、伺わせていただければと思います。
  82. 金井利之

    参考人金井利之君) 保健所は、数は減らされてはいるんですけれども、それなりに人員はある程度は維持されていたというのがあるんですけれども、ただ、保健所のシステムが、昔は実質的には都道府県機関ではありましたが、運営費交付金がありまして、事実上、厚生省の出先的な側面があったというのは事実だと思います。  ただ、それが国のままであったら行革の対象にならなかったのかというと恐らくそうではなくて、自治体が担っても、やはり公衆衛生はもう過去の、伝染病というのは過去のものなんだというふうに国も自治体も含めて思っていたんではないかということで、そこは事前の備えが結果的に見れば弱かったのかもしれないし、逆に言えば、アメリカやヨーロッパのような感染拡大に比べればやはり日本は抑えられていたので、あれがもしアメリカやブラジルのレベルだったら保健所はどうなっていたのかと考えるだけで、もっと大変なのかもしれませんが。  その意味では、この程度の保健所の仕組みが結局のところぎりぎりだったのかもしれないので、そこはやはり事前の備えとして、しかも急にニーズが、鈴木先生の御指摘もありましたが、急にニーズが高まる分野というのは非常に難しくて、今度は保健所を拡充しますと、感染症が爆発しないと今度は暇じゃないかと言われて、これまた行革の対象になるということで、この問題は非常に、リスク分散というのは非常に難しいので、日常的な冗長性といいますか、一見遊んでいるように見えるというものをどれだけ備えられるのかというのはこれまた政治判断で、ただ、都道府県としてもそれは行革の対象になりやすいし、これは仮に国の出先機関だとしても、もう公衆衛生の時代は終わったと、これからは成人病と高齢者問題だというふうになってしまえばそっちの方にシフトするということにならざるを得ないので、これは我々全体が備えはどうだったのかというのを落ち着いた後で考えなきゃならないとは思います。  ただ、今足りないとか言っても、足りないのは事実というのは、それは備えていなかったのは我々の責任だということですね。あとは、もうひたすら現場に頑張ってもらうしかないということだと思います。
  83. 野田国義

    委員長野田国義君) 時間がちょっと来ておりますので、短めに。鈴木参考人、お願いします。
  84. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) はい。  保健所、東京二十三区だと、保健所を実際持っているので、そこのところで回しているというところがあります。実際、都道府県市区町村保健所の役割というのをどこが持つのか。ずっと従来も議論ありますが、もう一度議論する必要があるのかなというふうに思っております。  もう一点ですが、やはり現在だと、僕のまた専門分野の児童虐待とかでもちゃんと保健師が必要だということになっていますので、これからの見通しとしては、やはり感染対策だけではなくて、母子保健、様々な部分保健師が必要という部分がありますので、これからの中では質を高めるという話と数を増やすということは必要なんではないのかなというふうには思っております。  以上です。
  85. 野田国義

    委員長野田国義君) 田渕参考人、短めにお願いします。
  86. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) はい。  まず、あれですね、保健所の役割というのをもう一度しっかり見直すことが必要なのではないかというふうに思います。  以上です。
  87. 吉良よし子

    吉良よし子君 ありがとうございます。
  88. 野田国義

    委員長野田国義君) どうもありがとうございます。
  89. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 会派、沖縄の風の伊波洋一です。  本日は、御三名の参考人の先ほどの陳述、大変興味深いものがあったと思います。もうちょっと、二十分ぐらいあればよかったかなと思いながら聞きました。  まず、それぞれの参考人に、順にレジュメに沿って聞きたいと思います。  金井参考人の、二〇〇〇年改革で分権型社会というような指摘をしており、目指すという話があったということを知っておりますが。ちょっと私、その前年、一九九九年に全国都道府県議長会が主催をしたヨーロッパの議会視察というのがございまして、行ったことがあるんですけど、驚いたんですが、当時、ヨーロッパでは、ここでいう市長とかというものをつくり出していくという言いぶりがありまして、当時は民主主義というのは議会のことだと、ヨーロッパではですね。なので、市長は形はあるけれども実権は何もないわけですよ。代わりばんこに政党でやっている。  そういう中で、あと一つ分権というときに、それぞれ業務ごとに、もう国、州、あるいは地方自治体、市町村で分けられていると。例えば、ギリシャなどでEUの、当時もうEU始まっていますから、EUの補助金を得てアテネが地下鉄を造ろうとしている。ところが、文化財は州の権限だと。あるいは、いろいろ違いがあるわけですね、そこで言う、私たちが考える分権というのと、アメリカやヨーロッパで考えている分権というのは随分違いがある。日本は全部金太郎あめみたいに、国がやっていることも県がやっていることも市町村がやっていることもみんな一緒で、国がほぼ決めていると言って過言ではないと思うんですが。  金井先生にお伺いしたいんですが、分権型社会とここで言うときに、日本で言う分権型社会というのはどういうイメージだったのか。
  90. 金井利之

    参考人金井利之君) ありがとうございます。  これは、対等、協力という言い方が当時の二〇〇〇年改革の一つのモデルであったわけでありまして、やはり国と都道府県と市町村は協力するという関係にあるという意味でいえば、仕事が分かれてしまうということには恐らくならないと。国が何も関わらないという領域は多分あり得ないけれども、国が一方的に決めるというのはあり得ないということで、両者の合意形成をしていくということが恐らく日本という分権型社会だったんではないかというふうに思っていますし、これはある程度の分野では実際行われているわけですね。  国が一方的に決めるということはできない領域も結構ある。しかし、国が一方的に決めて押し付けてしまう領域もあって、そこは私が言う意味でいえば集権的な実態が現れているという場面だと思いますけれども、全ての領域がそうではありませんので、国と市町村と都道府県が無関係になるという意味ではなくて、お互いの立場が同じ立場に、要するに合意をできるということですね、両者の意思の合致が必要であると。そのためには密接な協議をしていくということが本来の分権型社会だというふうに考えております。
  91. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 我が国の場合は、割とある意味で単一的な規範で全ての自治体やあるいは県などが動いていると思うんですけれども、でも、主には国が決めているという。  それで、二、三、四のレジュメの方なんですけれども、内閣強化自治体、あるいはそのベクトルの相殺とか、あるいは集権自治分権自治という、レジュメに関して少しお伺いをするんですが、実際、内閣官房が二〇〇〇年以前は二百名以下ぐらいの人数しかないけど、今や千二百名、三百名になっちゃっていますね。それで、要するに、規制改革会議などのワーキングチームがいっぱいありまして、そこの方で決めたことが各省庁の法律より優先するんですよ、実際現場へ行きますと。そういう中で、いわゆるヨーロッパ型分権といいますか、そういうものともうかなり随分離れてしまっている日本、つまり、内閣官房で決めていることが全てであるという、そういう感じになってしまうと、何か先が見えない日本になってしまっているような感じするんですが、そこら辺のことについては金井参考人はどのようにお考えですか。
  92. 金井利之

    参考人金井利之君) まず、内閣機能強化というのは、各省に対して内閣ないし内閣府や内閣官房がグリップを利かせていくという発想だったんですね。それが、伊波先生がおっしゃるように、内閣が、あるいは内閣官房が決めたものは自治体を従わせるという話になってしまったのは過剰であって、それは、仮に内閣官房が弱くても各省が強くて、各省の法律が自治体をコントロールしてしまうというのはやはり集権的であって、それはよくない。  つまり、各省縦割りの集権もよくないけれども、内閣官房や官邸主導の集権でも自治体にとってはどっちも困るわけでありまして、その意味では、現状は、国の中での権力配分が変わったということが結果的には自治体に対する分権改革を目指したということをも押し流してしまう面は多々あるというところが、二〇〇〇年以降のやや分権型社会に向かい切れなかったということだろうというふうに思っています。  おっしゃるとおり、各省の法律をひっくり返しちゃうくらい規制改革会議とか官邸主導が強いというのは、それはあるんですが、それはある意味で、じゃ、それがなかったら、各省の規制はやっぱり自治体に及ぶんであれば、やはり自治体からいえばコントロールが強いということでありまして、そこは問題だというふうに思います。
  93. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございました。また時間があればもう少し聞きたいんですけれども。  次、鈴木参考人にお伺いします。  鈴木参考人は、自治体の経験もあるということで、見ていますと、何か保育士の免許も持っているといった話なんですけど。  今、自治体、私まあ市長もしておりましたので、しばらく離れているんですけど、時々、役所へ行きますと中が混んでいるんですよ。つまり、仕事が混んでいるんですね、相当。いわゆる、まあコロナもそうですけれども、いろんなものが、国で決めたものがたくさんあるんですよね。そうすると、それをこなすのに、自治体の中の業務というのはどんどん膨れ上がってしまっている。だけど、人は増やすなという。そこで今、非正規職員が多くなっている。いろんな、こんな状況なんですね。つまり、先ほどコロナの問題で、本当に条文の変更にしても、読んでいても分からないような改正をしていてその説明書もないという話、お話ししていました。  今の実態について、何か本当に、何か国がどんどん決めていくんだけど、確かに緊急事態だから。でも、本当に効率的ではないと、整理もされていないと。国は決めるけど、再点検とかフィードバックはほとんどしないですよね、あとはもう県に任せる、市町村に任せると。  今の状況をどう思いますか。
  94. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 自治体現場にいたり調査をしたりという中での声というのを聞いた中になりますけれども、やはりやる気がある自治体からすると、もっとやっぱり権限をよこしてほしいと。だから、そうしたらもう自分たちで対策ができるということを言いますし、やっぱりその辺が人的にも弱い小さな自治体であれば、いや、その点はやっぱり国とかが広域でちゃんと助けてくれなきゃいけないと、やっぱり様々な声が出ています。  私自身は、自分の現場住民のためにやっていくという、公務を費やしていくというのが自分の生きがいでもありましたし、国が逆に何も決めてくれるなと、自分たちが全部自分たちで決めて住民自治ができていくんだというふうに思っていましたが、今は研究者として全国回っていく中でいうと、やっぱり規模ごとだったりとか様々な需要とか体制がありますので、一律にやっぱり決めていくことは難しいのかなと。  今のやっぱりコロナに関係してですが、法律体系からすると、基礎自治体ができるような権限というのはほとんどないんですね。なので、国だったり都道府県がという形になってしまっている。その中でいうと、かなり裁量がない中でコロナに向き合わなきゃいけないというところなので、もう少し基礎自治体がやるべきことというのが考えられるものであれば、やっぱりちゃんと法律で市区町村というところを入れて、この部分については市区町村が担ってもらいますよと。先ほど話しましたが、法律の権限の問題だったり、財源の問題だったり、人の手当てだったりということがしっかりすれば、それは市区町村でできることというのはもう広がっていくと思います。  今は、事務とかが広がってお金の問題を補助しますよというだけなので、非常にその意味では現場の疲弊感、負担感というのが広がっているというふうに認識しております。
  95. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ありがとうございます。また時間があればお伺いします。  田渕参考人にお伺いします。  企業目線もきっとお持ちでいろいろ見ていらっしゃると思うんですが、行政をですね。何々ありきからの脱却というこの言いぶりなんですが、今の日本は国ありきなんですよね、はっきり言えばですね。で、国が全てという、国がまずスタートで、最後まで細かいことまで国が決めている。  それは、まあもちろん国会の議論、それもいろいろありますから、それに応ずるための、まあちょっと小手先的なものも含めての。ただ、それは余りにも、状況が変わればどんどん変わらざるを得ないと。そういうものに後追い的に県や市町村が翻弄されていくということになるんですね。  やっぱり、一定の距離のスタンスを持つ、時間的スタンスも持つということも前提で最適化、まあいわゆる長生き、長もちする決定といいますか、本来の実情に即して対応できる対応というものが求められていると思うんですが、国と地方行政役割分担の中で、そういう辺りで感じられていることはありませんか。
  96. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) 私は、余りそこは感じてはいないというのが実感です。国が全てというようなところは感じていないところなんですね。  実際、中に入っていろいろやられると、そういう縛りというのがかなりきつくあるのかもしれないんですけれども、民間といいますか、そうではないところから見ると、ある程度は機能はしているのではないかというふうな実感は持っております。  ですので、もし国が全てでという問題意識という場合には、もう少しその辺のところを分かりやすく国民の方に提示していただいて、そうしないと議論にならないと思うんです。ですので、まずそうした動きからやっていただくと、本当に国が全てという状況であるのであれば、それをどう変えていくかという動きにつながるのではないかというふうに思います。  以上です。
  97. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 鈴木参考人に、今度は返ってお伺いします。  今の私の言う、国が全てという言いぶりをなかなか受け止めては、先ほど田渕参考人には、いただけません。  国が全てというのはちょっと感じませんか、そこら辺の言いぶり。つまり、実際、自治体が全く独自で何かをしたいというときに、助ける手段がほとんどないという、つまり、活用できる補助金もないし、それを支える仕組みもないしというような事態というのがいっぱいあるように思うんですが、いかがでしょうか。
  98. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 私が先ほど話しさせていただいたのは、新型コロナの関係で、例えば感染症法だったり新型インフルエンザ特措法というのを見ていった場合に、市区町村がやれる範囲、権限の範囲はほとんどないですねということを話させていただいたわけで、ただ、自治体現場にいて、そこだけの法律で動いているわけではないので、様々な法律に基づいて行政というのはやっていますので、使える法律は様々ありますし、その中でコロナ対策とかをやっていくというのはできるというふうに考えていますので、その意味では私も国が全部決めてという形では思っていないというふうになります。使えるものはいっぱいあるなと、努力できるものはあるなというふうに考えております。
  99. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の話に戻りますと、沖縄というのは二〇一二年の新しい振興計画から一括交付金制度というのを取り入れました。およそ二千億円のお金を国一括からもらって、県が市町村に配分をしながら一応事業を行う。要するに、事業のメニューが決まっているわけじゃないんですね。その上で、ただ、今、内閣、国が認めていく仕組みはまたあるんですけれども、いずれにせよ、それぞれの地域自治体、実情に合わせて自分たちで考えますという、そういう制度なんですね。  そこで、金井参考人にお伺いしますけれども、いわゆる国と地方との関係で、地方自治体との関係で、この自治体との関係で、どういう関係がよろしい、つまり財源の渡し方ですよね、はっきり言えば。どういう方向がいいと思いますか。
  100. 金井利之

    参考人金井利之君) 財源の措置、条件整備については、一般財源といいますか、地方交付税で措置していくというのが大原則であるということで、どうしても補助金のメニューに頼りますと、取り合いになるということと、それから国が目指す方向に従った補助だけは出るということになって、やはり本来は一般財源主義であると。  その場合に、じゃ、四十七都道府県とか千七百の市町村で適切なニーズ配分ですね、人口一人当たりに単純に割れないので、そこが常にもめてはいるんですけれども、それは補助金にしたってもめているわけであって、それを取り合いの競争にしているというよりは、本来、国と地方協議の場のようなところで一般財源として組み立てていくと。  逆に言えば、沖縄であれば、沖縄の特例措置というのはないというふうなことも覚悟した上で、一般財源に立って適正に配分するということを決めていくことが大事だと。ただ、その場合にも、一%の沖縄の声が、ほかの九九%が意地悪をするということがあってはいけないので、そのニーズというのは常に全員にとって合意ができるようなもので配分していくというのが地方交付税の本来の在り方だと思っていますし、そこに戻るべきであるというふうに思っています。
  101. 野田国義

    委員長野田国義君) 時間でございますので、おまとめください。
  102. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 もう時間来ましたので終わりますが、地方交付税がどんどん減らされているという実態の中で、やはり地方の主体を確立するためには、今お話があったように、地方交付税を適正化すると、これがやっぱり求められているんだろうと思います。  ありがとうございます。
  103. 浜田聡

    ○浜田聡君 浜田聡です。所属政党はNHK党で、参議院の所属会派はみんなの党です。最後の質問、よろしくお願いいたします。  参考人の先生方には、皆様大変お忙しい中お越しくださいまして、本当にありがとうございます。せっかくの機会ですので、私の方からは三人の先生方一人一人に質問させていただこうと思います。  まず、金井参考人にお聞きしたいと思います。中央省庁を単位とした利益共同体、特に官報複合体についての御見解をお聞きしたいと思うんですね。  先生が書かれた著書「行政学講義」を拝読させていただきました。この中で省庁共同体という言葉が出てきまして、大変興味深く思います。私なりに恐縮ながら紹介させていただきますと、これは政と官が中央省庁を単位として関係業界と利益共同体を形成するというものでございます。政官業、ここでは政は政治家で、官は行政で、業は各種団体の間に密接なネットワークが形成されて、政官業の鉄の三角形と呼ばれているものがあります。  実際の政策過程ですと、この三つに加えて更に三つ加わる。報道言論界、あと学者、専門家などの学界、あと自治体などの関係者、地方界も加わって、政官業に加えて報学地も合わせた政官業報学地の六角形が形成されていて、この六角形が省庁共同体と命名されているということなんですね。その中で、更に踏み込んであったのが、マスコミと省庁がいわゆる記者クラブによって日常的に密接な関係構築して、官報複合体と呼ばれるものがあるということだったんですね。  私は、やっぱりこの記者クラブによる官報複合体を問題視しております。マスコミの本来の役割としての重要なものとしてやっぱり行政監視というのがあるんですが、このように官報複合体となって、官と報がつながって、国民の利益を考えずにそれぞれ官と報のお互いの利益のみ追求するような行動をし出すと問題だと思うんですけれども、先生の官報複合体に関する是非など、御見解お聞かせいただければと思います。
  104. 金井利之

    参考人金井利之君) 私の拙い本を読んでいただき、ありがとうございます。  官報複合体というのは私の言葉ではなくて、ほかの方からいただいた言葉ではあると思うんですけれども、マスコミないし報道というのはその六つのアクターのうちの一つであって、業界を更に監視する役割も持っていると。  政治を監視し行政を監視し、そして各企業や業界もチェックしなければならないという言わば第四の権力と言われているわけですけれども、そういう意味で非常に重要な役割を持っているのですが、同時に、マスコミ自体も一つの業界であって、言わば中立的公器としての報道の側面と、所詮企業としての自らの利益を追求していくというその二面性をどうしても持っているというところが、その報道ないしテレビ局とか新聞社とかいろいろありますけれども、そういうところの更に非常に難しいところでありまして、実際、問題はその各業界、様々な産業分野と同じように、やっぱり経営体として成り立たなきゃいけないので、しかも許認可を受けたりするということがあります。  まあ、ここから先はむしろ私が述べなくても皆さん御存じだと思いますが、様々な、報道界と行政、政治との関係というのは非常に難しい問題が含まれていると思いまして、そこはやっぱり政治家の自制というのは非常に今求められているというところだろうとは思っています。  ただ一方で、マスコミが政治に対して勝手な批判をして非常に腹が立つということもあろうかと思います。間違っている報道をする場合には当然正していかなければならないということもあろうと思いますけれども、そこら辺の、その社会の公器としての六番目の、六つの役割とともに、同時に企業体でもあるというところも非常に問題点というのを持っている。  じゃ、一方で、企業体でないNHKは大丈夫なのかというと、これはまた別の問題ですね。非常に難しい問題を抱えておりまして、経営体でなかったら、今度は一方で政治との関係というのは非常に難しい問題なので、この領域は、やっぱり内閣主導を構築する中でマスコミの独立性とチェックというものがどれだけ役に立つか。しかも、ネットの拡大の中で旧来型のメディアはだんだん影響力を落としているわけでありまして、その中でネットでトレンドになっているのを後追いするような報道機関では非常に困るんですけれども、そこら辺の在り方というのは非常に重要なんですね。ただ、政治や行政の方から働きかけるというのは、また非常に難しいという領域だと思います。
  105. 浜田聡

    ○浜田聡君 ありがとうございます。  私自身は、やっぱり記者クラブについては、もう極端ですけど廃止すべきだとも思っているぐらいなんですけれども、まあいろんな御意見あると思いますので、金井参考人の御意見参考にさせていただきたいと思います。  次に、鈴木参考人にお聞きしたいと思います。  ここでは、いわゆる社会的弱者の方々を緊急時、具体的には災害時に備えてどうすべきかということについてお聞きしたいと思います。  先生最初の説明にもあったんですけど、要配慮者の方のための福祉避難所の設置ですね、レジュメにもあったんですけど、ここにおいて、先生の説明によると、大いに問題があるとのことだと承知しております。  ここにおける問題をどのように解決していくべきかについて御意見をお聞きしたいと思います。最初の説明のときに時間の都合上ではしょった部分ももしかしたらあったかもしれないですので、その点も併せて御説明いただければと思います。
  106. 鈴木秀洋

    参考人鈴木秀洋君) 災害対応に関してですが、レジュメだと五ページのところに書かせていただきました。  現在ですと、法律、政令は当然あるわけですけど、その中にも福祉避難所と明記されているわけではない形になっています。いわゆる福祉避難所というものに対してどのような法制度設計をするのか。今までの震災を含めて、ガイドラインというのはもう定まっていると。この定まっているガイドラインを見ますと、どうなっているかというと、五ページの五のイのところに、二次避難所的に扱いますよと、二次避難所ですよという取扱いをして、①、②、③というふうにあるんですが、一般避難所にまず行ってそこで申出をすると、二番目としては、そこの中で福祉保健師のスクリーニングを掛けていく、三番目に移送を掛けていくというような形の制度設計になっているんですね。  ここについて、ただ、十分議論がされていない。なぜかというと、そこのところの、それぞれがボトルネックになってしまって福祉避難所が機能をしていないということは現実に起きているからです。福祉避難所を知らなければ避難所に行っても申出ができないということになりますし、二番目のところでいうと、保健師とかも避難所に行けないということになればスクリーニングを掛けられないということになります。移送といっても、原則は本人ないし親族が連れていくというようなことになっているわけですね。  だとすると、一般避難所に行って、それから福祉避難所に、例えば台風です、豪雨ですとかといったときに、そこで移動できるのかというと、ほとんどできない。そのときに、トラック協会とかいろんなところと協定を結んでいますよといっても、じゃ、実際そこに動くのかといった場合、動かないわけなんですよね。だから、これは厳しい言い方をすれば、ここ、形はつくられているけどそのとおり動きませんねというのが現実としてずっと重なっていると。  だとしたら、やらなきゃいけないのは何かというと、自治体現場でそれに気付いて改善しているところは幾つかあるんですけど、基本的にはこのガイドラインが変わらなければ、いや、そのとおりにやっていますよということが繰り返されていますので、私としては、このガイドライン、二次避難所ではなくて最初から福祉、配慮が必要な方たちが行けるような避難所を制度設計をしていくということが必要なんではないのかという御提案をさせていただいております。  以上になります。
  107. 浜田聡

    ○浜田聡君 ありがとうございます。  日本は災害大国でございますので、災害が起こったときに多くの人がどこに避難すべきかということについては非常に重要だと思います。  最近ですと、いわゆる体育館などの避難所に加えて、ホテルとか旅館などを避難所として使うという政策が実施されたりしております。コロナ禍でもありますので、感染対策も考えれば合理的かなと思います。  ただ、このホテルとか旅館の避難所なんですけれど、これ健常者から見た視点だと思うので、先ほど言われました福祉避難所については、社会的弱者の方がしっかりと避難できるようにするのはもう政治の役割だと思いますので、先生からいただいたもの、指摘いただいた問題点はしっかりとかみしめていきたいと思います。  ありがとうございました。  最後に、田渕参考人にお聞きしたいと思います。  先生には、政策評価の対象についてお聞きしたいと思うんですね。ここではその中で、規制を新設あるいは改廃する際の事前評価について、どれが対象になっているのかについてお聞きしたいと思います。  行政機関が行う政策評価に関する法律施行令の第三条というのがあるんですけれど、それを見ますと、事前評価の対象となる規制というのが法律と政令に限定していると承知しているんですね。つまり、省令とか告示あるいは議員立法というのはこの規制の対象外となっておりまして、ただ、規制を細目決定する際には、こういう省令とか告示というのが非常に重要になってくるんではないかと思います。  そういうことで、私としては、規制新設、改廃する際の事前評価についてはこのような省令とか告示も加えていくべきではないかなと思うんですけれど、その辺りに関して先生の御見解いただければと思います。
  108. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) おっしゃるとおりの点、御指摘ごもっともというふうに私は思っております。ただ、それをどこまで深く見ていくかというところだろうというふうに思うんですね。  非常に、規制に関するその事前評価に関しても、評価をしようとすると、非常に、何ですかね、多岐にわたった視点が必要になってくるわけで、そうしたときに、その同じやり方をするのではなくて、規制、法律、法律と制令に関しては今のやり方で、省令とか、もう少しレベルが下がったものに関してはまた違うやり方というものがあろうかと思いますので、そうした観点で、その設置されている法律、対象がどういう形なものなのかというものを整理した上でやはり実施の方法は検討していくべきものだろうというふうに思います。  ただ、そういった視点というのはやはり必要だろうというふうには思います。  以上です。
  109. 浜田聡

    ○浜田聡君 ありがとうございます。今後の参考にしていきたいと思います。  もう一つ田渕参考人にお聞きしたいんですが、行政評価政策評価を行うための専門人材について、国内における現状についてお聞きしたいと思います。  行政評価政策評価をしっかりして、それを国民にしっかりと提示して、選挙のときなどのように判断材料としていくことは極めて重要ではないかなと思います。そういうことを、行政評価政策評価をしっかり行う人材の、そういうことをしっかり行える専門の人材が必要だと思うんですけれど、それを代表する一人が田渕参考人だと思います。  そこでお聞きしたいのが、国内でそういう評価を行える専門人材というのは十分いるのかどうか、あるいは今後育てていくべきではないかということに関して、御見解をお聞きできればと思います。
  110. 田渕雪子

    参考人田渕雪子君) ありがとうございます。  専門人材、政策評価なんですけれども、一九九〇年代の後半から動き始めたという話をさせていただきました。もうそのときには全く政策評価というものがなかったので、人材も何もないんですね。私も一九九〇年代後半、専門家ではなかったわけで、民間で研究をしていたというところですので、その中で、地方自治体皆さんと一緒に議論しながら積み上げてきたものが今の私になっているんですね。  ですので、専門人材に関しては元々あったわけではなくて、あと、大学で教えるに当たっても、政策評価論という形で講義の枠というのはあるんですけれども、専門学的な、何とか学ではなくて、論なんですね、政策評価に関しては。ですので、論なので、それぞれの専門といいますか政策評価を実施されている方々は、それぞれの思いの中で論じているわけです。  ですので、専門人材に関して今後どう育てていくかといったところに関しては、私は、育てなければいけないものではなくて、やっていくうちに育っていくものだろうというふうに思います。その方が画一的な形にならなくていいのではないかというふうに私としては思っています。私、たたき上げですので、専門人材として育てられた者ではないという中で、皆さん民間の力ある方々が多いので、そうした中でその行政の方たちと問題意識を共有しながら一緒にやっていくうちに、専門人材ちゃんと多分育っていくというふうには私は思っています。  以上です。
  111. 浜田聡

    ○浜田聡君 ありがとうございます。  私も、やっぱり政策行うに当たって、いろんな評価あると思うんですけど、やっぱり重要なのは定量評価だと思うんですね。私自身はそういうことがもっとそういうのが主流になっていくといいなと思っております。今後の活動に生かしていきたいと思います。  三人の先生方、ありがとうございました。私の質問、終わります。
  112. 野田国義

    委員長野田国義君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様方に一言御礼申し上げます。  参考人皆様には、長時間にわたり貴重な御意見を述べていただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十分散会