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2021-04-07 第204回国会 参議院 行政監視委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月七日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         野田 国義君     理 事         石井 正弘君     理 事         島村  大君     理 事         中西 祐介君     理 事         川田 龍平君     理 事         西田 実仁君     理 事         梅村  聡君                 有村 治子君                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 そのだ修光君                 高橋はるみ君                 柘植 芳文君                 堂故  茂君                 徳茂 雅之君                 羽生田 俊君                 藤末 健三君                 堀井  巌君                 松下 新平君                 吉川ゆうみ君                 石垣のりこ君                 石橋 通宏君                 小沢 雅仁君                 斎藤 嘉隆君                 森屋  隆君                 竹内 真二君                 新妻 秀規君                 三浦 信祐君                 矢倉 克夫君                 音喜多 駿君                 伊藤 孝恵君                 上田 清司君                 吉良よし子君                 伊波 洋一君                 浜田  聡君     ─────────────    委員異動  一月十八日     辞任         補欠選任      石橋 通宏君     清水 貴之君  一月二十六日     辞任         補欠選任      高橋はるみ君     上野 通子君  一月二十七日     辞任         補欠選任      上野 通子君     高橋はるみ君      三浦 信祐君     杉  久武君      伊藤 孝恵君     浜口  誠君  一月二十八日     辞任         補欠選任      高橋はるみ君     櫻井  充君      杉  久武君     三浦 信祐君      浜口  誠君     伊藤 孝恵君  一月二十九日     辞任         補欠選任      櫻井  充君     高橋はるみ君  三月二日     辞任         補欠選任      高橋はるみ君     上野 通子君      斎藤 嘉隆君     石川 大我君  三月三日     辞任         補欠選任      徳茂 雅之君     山田 修路君      石川 大我君     斎藤 嘉隆君      西田 実仁君     若松 謙維君      音喜多 駿君     石井 苗子君  三月四日     辞任         補欠選任      上野 通子君     高橋はるみ君      山田 修路君     徳茂 雅之君      若松 謙維君     西田 実仁君      石井 苗子君     音喜多 駿君  三月五日     辞任         補欠選任      梅村  聡君     片山 大介君  三月八日     辞任         補欠選任      片山 大介君     梅村  聡君      吉良よし子君     伊藤  岳君  三月十二日     辞任         補欠選任      斎藤 嘉隆君     石川 大我君      清水 貴之君     片山 大介君  三月十五日     辞任         補欠選任      高橋はるみ君     上野 通子君      石川 大我君     斎藤 嘉隆君      片山 大介君     清水 貴之君  三月十六日     辞任         補欠選任      上野 通子君     高橋はるみ君  三月十七日     辞任         補欠選任      伊藤 孝恵君     礒崎 哲史君  三月十八日     辞任         補欠選任      礒崎 哲史君     伊藤 孝恵君  三月二十四日     辞任         補欠選任      高橋はるみ君     岡田 直樹君      竹内 真二君     若松 謙維君  三月二十五日     辞任         補欠選任      岡田 直樹君     高橋はるみ君      若松 謙維君     竹内 真二君  三月三十日     辞任         補欠選任      伊藤  岳君     吉良よし子君  三月三十一日     辞任         補欠選任      音喜多 駿君     石井  章君  四月一日     辞任         補欠選任      石井  章君     音喜多 駿君  四月二日     辞任         補欠選任      矢倉 克夫君     平木 大作君  四月五日     辞任         補欠選任      平木 大作君     矢倉 克夫君      清水 貴之君     柴田  巧君  四月六日     辞任         補欠選任      音喜多 駿君     柳ヶ瀬裕文君      柴田  巧君     清水 貴之君  四月七日     辞任         補欠選任      堀井  巌君     本田 顕子君      斎藤 嘉隆君     宮沢 由佳君      三浦 信祐君     高橋 光男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野田 国義君     理 事                 石井 正弘君                 島村  大君                 中西 祐介君                 川田 龍平君                 西田 実仁君                 梅村  聡君                 吉良よし子君     委 員                 有村 治子君                 石田 昌宏君                 猪口 邦子君                 そのだ修光君                 高橋はるみ君                 柘植 芳文君                 堂故  茂君                 徳茂 雅之君                 羽生田 俊君                 藤末 健三君                 本田 顕子君                 松下 新平君                 吉川ゆうみ君                 石垣のりこ君                 小沢 雅仁君                 斎藤 嘉隆君                 宮沢 由佳君                 森屋  隆君                 高橋 光男君                 竹内 真二君                 新妻 秀規君                 矢倉 克夫君                 清水 貴之君                 柳ヶ瀬裕文君                 伊藤 孝恵君                 上田 清司君                 伊波 洋一君                 浜田  聡君    国務大臣        総務大臣     武田 良太君    副大臣        内閣府副大臣   三ッ林裕巳君        総務大臣    熊田 裕通君        文部科学大臣  丹羽 秀樹君        厚生労働大臣  山本 博司君        経済産業大臣  江島  潔君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        和田 義明君        内閣大臣政務        官        吉川  赳君    事務局側        常任委員会専門        員        清水  賢君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      茨木 秀行君        内閣大臣官房        審議官      村山  裕君        内閣地方分権        改革推進室長   宮地 俊明君        警察庁長官官房        審議官      猪原 誠司君        消費者庁審議官  片岡  進君        総務省行政評価        局長       白岩  俊君        総務省自治財政        局長       内藤 尚志君        総務省情報流通        行政局長     吉田 博史君        総務省総合通信        基盤局長     竹内 芳明君        文部科学省大臣        官房審議官    蝦名 喜之君        厚生労働省大臣        官房生活衛生・        食品安全審議官  浅沼 一成君        厚生労働省大臣        官房審議官    間 隆一郎君        厚生労働省大臣        官房審議官    宮崎 敦文君        厚生労働省大臣        官房審議官    小林 洋子君        厚生労働省大臣        官房審議官    大坪 寛子君        厚生労働省大臣        官房審議官    岩井 勝弘君        経済産業省大臣        官房原子力事故        災害対処審議官  新川 達也君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関  する調査  (行政評価等プログラムに関する件)  (政策評価現状等に関する件)  (行政評価監視活動実績概要に関する件) ○参考人出席要求に関する件 ○小委員会設置に関する件     ─────────────
  2. 野田国義

    委員長野田国義君) ただいまから行政監視委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、石橋通宏君及び音喜多駿君が委員辞任され、その補欠として清水貴之君及び柳ヶ瀬裕文君が選任をされました。  また、本日、堀井巌君及び三浦信祐君が委員辞任され、その補欠として本田顕子さん及び高橋光男君が選任をされました。     ─────────────
  3. 野田国義

    委員長野田国義君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  昨年十一月三十日の本委員会におきまして、一名の理事につきましては、後日、委員長が指名することとなっておりました。  また、委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任お願いしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野田国義

    委員長野田国義君) 御異議なしと認めます。  それでは、理事西田実仁君、梅村聡君及び吉良よし子さんを指名いたします。     ─────────────
  5. 野田国義

    委員長野田国義君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 野田国義

    委員長野田国義君) 御異議ないと認め、さよう決定をさせていただきます。     ─────────────
  7. 野田国義

    委員長野田国義君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣大臣官房審議官茨木秀行君外十六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 野田国義

    委員長野田国義君) 御異議ないと認め、さよう決定をさせていただきます。     ─────────────
  9. 野田国義

    委員長野田国義君) 行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  まず、行政評価等プログラムに関する件、政策評価現状等に関する件及び行政評価監視活動実績概要に関する件について、総務省から説明を聴取いたします。武田総務大臣
  10. 武田良太

    国務大臣武田良太君) 本委員会におかれては、総務省行政評価機能を御活用いただきつつ、行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査を精力的に行っておられることに対し、深く敬意を表します。  それでは、昨年六月一日の本委員会に対する御報告以降に公表した案件について説明申し上げます。  初めに、行政評価等プログラムにつきましては、令和年度以降の調査テーマを含め、行政評価局の当面の業務運営方針を定めたものであり、本年三月に決定の上、公表いたしました。  令和年度は、頻発する大規模災害への行政対応を扱う自衛隊災害派遣農業分野における災害復旧迅速化など、十三のテーマについて調査実施します。また、本年三月の政策評価審議会提言を踏まえ、政策評価が形式的な作業に陥らず、政策改善に、より活用されるよう、評価プロセス見直しに取り組んでまいります。  次に、「令和年度政策評価等実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告」につきましては、昨年六月二日に国会に提出し、同月五日に参議院会議において報告したものです。令和年度においては、各府省で計二千二百四十七件の政策評価実施されており、その結果を踏まえた改善見直しなど、政策への反映が行われています。  次に、行政評価局調査の結果につきまして、「産学官連携による地域活性化に関する実態調査」、「消費者事故対策に関する行政評価監視」など九件について、それぞれ関係府省勧告等を行いました。  このほか、機動的な調査により得られた国民地域等にとって有益と考えられる情報については、迅速かつ積極的に提供する観点から、随時レポートなどの方法により公表する取組を行っております。  総務省活動が本委員会調査に一層資するよう、今後とも真摯に取り組んでまいります。  委員長理事委員先生方におかれましては、よろしく御指導賜りますようお願い申し上げます。  続いて、詳細につきまして行政評価局長から説明させます。
  11. 野田国義

    委員長野田国義君) 次に、補足説明を聴取いたします。白岩行政評価局長
  12. 白岩俊

    政府参考人白岩俊君) それでは、詳細を御説明いたします。  お手元の「「行政評価等プログラム」等の概要について」と題したA4横置きの資料を御覧ください。  初めに、行政評価等プログラムについて御説明いたします。  資料一ページから二ページを御覧ください。  令和年度調査テーマにつきましては、自衛隊災害派遣農業分野における災害復旧迅速化といった頻発する大規模災害への行政実態や、独り暮らしの高齢者に対する見守り活動墓地行政といった人口減少高齢化に伴うニーズに焦点を当てるなど、十三のテーマについて調査実施してまいります。  また、政策評価審議会提言を踏まえ、行政評価局調査については、関係機関による迅速な対応改善を目指した調査結果の伝達や、ポストコロナ時代に応じた従来の仕組みを問い直すような分析などに取り組みます。  政策評価推進については、画一的な目標管理型評価見直し、多様な評価手法活用を進めます。また、政策の効果の把握、分析手法について担当府省と共同して実証研究実施し、EBPMの実践、政策改善支援してまいります。  これらに加え、行政相談については、行政相談委員制度が今年六十周年を迎えることを契機とした広報、周知地方公共団体との連携の促進などに取り組みます。  次に、令和年度政策評価等実施状況及びこれらの結果の政策への反映状況に関する報告について御説明いたします。  資料の三ページから六ページを御覧ください。  令和年度において、各府省で計二千二百四十七件の政策評価実施されており、その結果を踏まえ、事業の採択、予算要求税制改正要望等が行われるなど、政策評価結果を踏まえた政策改善見直しが行われています。  総務省としては、公共事業、規制及び租税特別措置等政策評価が適切に実施されているかを点検いたしました。  次に、行政評価局が行った調査につきまして、前回の御報告後に行いました九件の勧告等について御説明いたします。  資料七ページを御覧ください。  昨年九月に公表した「産学官連携による地域活性化に関する実態調査」は、産学官連携取組実態について調査した全国三十三の先行事例を幾つかの視点から分類し、分類ごと取組に見られる共通的な特徴を整理するとともに、取組の過程で生じた課題を克服するために取られた工夫を紹介したものです。  本件については報告書を公表するとともに、国の関係機関地方公共団体に参考送付しており、地域において関わっておられる皆様の取組に資することを期待しております。  資料八ページを御覧ください。  昨年十一月に公表した「消費者事故対策に関する行政評価監視」は、消費者の安全、安心を図る観点から、関係機関における医業類似行為等による事故への対応状況実態について調査したものです。  その結果に基づき、事故情報消費者庁に通知する制度周知徹底や必要な指導のための措置などを消費者庁厚生労働省に求めました。  資料九ページを御覧ください。  昨年十二月に公表した「要保護児童社会的養護に関する実態調査」は、児童養護施設や里親などの下で養育される全国約四万四千人の児童に関し、その養育、自立に向けた支援実態などを調査したものです。  その結果に基づき、施設内での虐待が疑われる事案の処理フローの点検、見直しや、施設外に居住する場合の支援の考え方を現場に示すことなどを厚生労働省に求めました。  資料の十ページを御覧ください。  昨年十二月に公表した「学校施設長寿命化計画策定に関する実態調査」は、学校施設長寿命化計画について、地方公共団体における策定及び検討状況について調査したものです。  その結果に基づき、地方公共団体実情を踏まえ、計画策定に必要な助言や見直しを促すことを文部科学省に求めました。  資料十一ページを御覧ください。  本年一月に公表した「「更生保護ボランティア」に関する実態調査」は、更生保護の中核の役割を果たす保護司について、高齢化が進んでおり、担い手確保も難しくなっていることから、保護司活動及び担い手確保並びにこれらへの支援実態調査したものです。  その結果に基づき、自宅以外の面接場所確保するための取組推進や、保護司候補者検討協議会の効果的な開催に関する情報保護司会への提供などを法務省に求めました。  資料十二ページを御覧ください。  本年二月に公表した「漁業漁村地域活性化に関する行政評価監視」は、漁獲量減少等の厳しい状況にある漁業漁村地域課題を解決するための枠組みである「浜の活力再生プラン」に基づく各地域での取組実施実施後の評価状況などを調査したものです。  その結果に基づき、同プランがより漁業漁村地域活性化につながるものとなるよう、評価改善に向けた対応を農林水産省に求めました。  資料十三ページを御覧ください。  本年三月に公表した「死因究明等推進に関する政策評価」は、死因究明等推進基本法に基づく新たな計画策定が予定されていることに鑑み、現行計画の八つの「重点的施策ごと実態を踏まえて評価に取り組んだものです。  その結果に基づき、地方協議会が、課題の解決に向けて現場実態を踏まえた効果的な施策展開ができる場となるよう、積極的な支援を行うことなどについて、関係府省対応を求めました。  資料十四ページを御覧ください。  本年三月に公表した「都道府県指定文化財美術工芸品)の保護承継に関する行政評価監視」は、地域文化財の散逸などを緊急に防止する必要性が高まっていることから、都道府県指定文化財のうち美術工芸品保護承継について調査したものです。  その結果に基づき、都道府県に対する届出の励行、捜索方法再発防止策の提示などを文部科学省に求めました。  資料十五ページを御覧ください。  本年三月に公表した「地域住民生活に身近な事業の存続・承継等に関する実態調査」は、地域で唯一の飲食料品店事業承継について、各地で展開されている多様な取組実態を明らかにするために調査したものです。  調査した百二十二事例について、現場課題工夫活用された公的支援施策を整理し、事例集にして公表し、国の関係機関地方公共団体に送付しております。  最後に、A4縦置きの「行政評価局レポートについて」と題した資料を御覧ください。  ただいま御説明した調査結果のほか、課題検討などのためにピンポイントで行った調査で得られた国民地域等にとって有益と考えられる情報について、随時レポートなどの方法により積極的に提供する取組を行っております。  資料一ページ目、「緊急自動車等におけるETC活用等に係る実態調査」は、無料通行できる自衛隊車両救急車について調査したものであります。  二ページ目から四ページ目までの「政府電子調達システム利便性向上に関する実態調査」や、「国の資格の更新等に伴う講習・研修等見直しに関する実態調査」は、コロナ禍において進むデジタル化について現場実情調査したものであります。  五ページ目の「国立大学への入学時における保証人契約適正化に関する実態調査」は、入学時に求められる保証人契約について、抽象的でどこまで保証するのか分からず不安だとの行政相談を端緒に全国的に調査したものです。これについては、令和三年春の入学手続に間に合うよう、文部科学省に通知をしております。  御説明は以上でございます。本委員会の御審議行政評価機能が一層資するよう今後とも取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
  13. 野田国義

    委員長野田国義君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言お願いいたします。
  14. 島村大

    島村大君 自由民主党の島村大です。  今国会、初めて行政監視委員会の質問立たせていただきます。どうかよろしくお願いします。  まず最初に、私もちょっとこの委員会に対して思いがありますので、少しこの委員会の諸先輩方からの成り行きというのをちょっとお話をさせていただきたいと思っております。  本委員会は、創設から約二十年以上たちました。そして、様々な調査や決議など行政監視活動を続けてまいりましたが、平成三十年六月に議長の諮問機関であります参議院改革協議会において、当時の吉田博美参議院自民党幹事長が座長としまして、各会派の代表者による議論が行われ、行政監視機能の強化に議院全体として取り組むべきだという報告書が取りまとめられました。  報告書では、本会議を起点とした新たな行政監視の年間サイクルを構築し、行政監視委員会活動を一層充実させることが求められました。その実現のため、本院においては精力的に活動それから協議を重ねられた結果、新たな行政監視の年間サイクルのスタートとなるのが、昨年の令和二年の六月五日に行われました本会議が実現したのが現実でございます。  この本会議で、この新たな行政監視サイクルのスタートとして政策評価の年次報告を取り上げることができました。やはりこの政策評価制度は、国の各行政機関自ら所掌する政策については評価を行っていただいておりますが、その結果が政策の企画立案や実施に対して本当に反映されているものなのか。また、全政府的に取り組まれる統一的な仕組みとしてこの委員会は予算委員会、決算委員会と並ぶものだと私は思っております。  そして、目的は、効率的で質の高い行政政策重視の、済みません、成果重視の行政を実現するとともに、国民に対する行政説明責任を果たしていくこととされております。政府においては、政策評価は、予算や決算、個別の法案の審査とは異なる多様な視点を国会に提供するものと考えられております。この政策評価制度について、本院ではその重要性に鑑み、制度開始以前から調査提言、決議を行ってきたのが本委員会だと思っておりますので、この趣旨に立って私も質問をさせていただきたいと思っております。  先ほど大臣、それから局長から説明がありました。この行政評価局調査結果で、今回、消費者事故の対策に関する行政評価監視についてがありました。  この件に関しまして、昨年の十一月十七日に総務省は、消費者の安全、安心を図る観点から、医療類似行為等による事故について、関係府省の被害者防止対策の実施状況及び都道府県等における取組状況調査し、その結果を、必要なところを改善措置について勧告が行われたと言われております。  今回、まず最初に、この行政評価監視等の勧告の趣旨それから意義について、改めて副大臣に答弁お願いいたします。
  15. 熊田裕通

    ○副大臣(熊田裕通君) 総務省行政評価監視の意義は、各行政機関の業務の実施状況について調査し、その業務を担当する各府省とは異なる立場から評価及び監視することにあると思っております。その意味で、行政機関の所掌事務の縦割りを乗り越え、国民の立場からの課題解決の取組ができる強みがあると思っております。  また、勧告は、調査の結果、事務の改善の実現等に必要と認められる場合に、総務省設置法第六条に基づいて総務大臣から関係大臣に発出するもので、その後の措置報告徴収等のプロセスも同条に定められております。したがって、指摘する具体的な改善措置が確実になされることなどを期して行っております。  総務省としては、これらの権能を活用して行政運営の改善を図り、国民に信頼される効率的な行政の実現に貢献してまいりたいと考えております。
  16. 島村大

    島村大君 改めてありがとうございます。  今お話ありましたように、やはり、この行政監視に関しまして、縦割り、各省庁の縦割りをしっかりと乗り越えて国民の目線から課題解決できるのがこの総務省の、権能を持っているわけでございますから、是非ともそこは各省庁、まあやりづらい、つらいところもあるかもしれませんが、やはり国民目線でこの縦割りを打破するのは総務省だけですので、是非そこは引き続き力を入れてやっていただきたいと思っております。  そして、今回この医療類似行為等による事故に関する調査を行ってもらいましたが、それに対しての背景をまず教えていただきたいと思います。
  17. 白岩俊

    政府参考人白岩俊君) 御指摘の評価監視につきましては、マッサージ、はり、きゅう、エステといった医業類似行為についての利用が増加している現状を認めまして、これについての健康被害などの消費者事故も増えていると考えられていることから、実際にどのような行政対応が行われているかを調べる必要があると考えて行ったものでございます。
  18. 島村大

    島村大君 分かりました。  今、調査を行った背景は御説明ありましたが、引き続き、この調査によって勧告をしていただき、そして、改善策もどのようになっているかを教えていただきたいと思います。
  19. 白岩俊

    政府参考人白岩俊君) 調査の結果、まず、保健所あるいは警察機関、消防機関がこの医業類似行為に関して受け付けた事故情報消費者庁に通知されていない実態が見られました。  そこで、この原因につきましては、まず通知制度を知らなかったというような回答も多かったことから、消費者庁に対して、通知制度周知徹底を図るとともに、現行制度見直しを含め、より有効な運用のための取組方策について検討することを勧告しております。  また、保健所で健康被害などの相談について受けた場合に、実際に事実確認を行っていない事例が見られました。これは、所掌事務、指導権限などについて現場における疑義があったことが大きな原因となっております。  そこで、厚生労働省に対して、関係法令に基づく必要な指導が可能であり、事業者等に対する指導を徹底するべきであるという旨を都道府県現場に伝わるように要請するよう勧告いたしました。  以上でございます。
  20. 間隆一郎

    政府参考人(間隆一郎君) お答えいたします。  ただいま御紹介のありました勧告をいただきました。  厚生労働省としましては、国民の健康を守る上でこの結果を大変重く受け止めてございます。この勧告を受けて、本年三月十五日に都道府県等に対して通知を発出し、医業類似行為によって健康被害が生じた場合、あはき法や柔道整復師法に規定する行政指導の対象となること、エステサロン等における無資格者による医行為が医師法違反に該当することなどを明らかにした上で、事業者に対する指導の徹底をするよう要請したところでございます。  この実務を担当するのは都道府県あるいは保健所ということでございます。指導権限があるのは都道府県、保健所でございます。現在、コロナ対応に全力で当たっておられるところだと思いますけれども、私どもとして都道府県あるいは保健所と連携をして、しっかり取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。
  21. 宮崎敦文

    政府参考人(宮崎敦文君) お答え申し上げます。  あわせまして、厚生労働省関係で申しますと、この当該行政評価局報告の中では、美容師資格を有しない者等によるまつげエクステンションの施術での健康被害についても報告がなされているところでございます。この点に関しましては、厚生労働省では地方自治体に対しまして、この問題が指摘されました平成二十年以降、複数回にわたり通知や事務連絡を発出をして、まつげエクステンションの施術については美容師法に言う美容行為に当たることから、美容師法違反のおそれのある事案に対し保健所の指導監督を徹底すること、美容所等に対し衛生管理の徹底や利用者への十分な説明等の取組周知徹底すること等を通じて、安全、安心な施術の確保を図っているところでございます。  また、実態調査などフォローアップにも取り組んでいるところでございまして、この報告も受けまして、引き続き、この消費者の安全、安心なサービスの利用に向けて、この面においても取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
  22. 島村大

    島村大君 ありがとうございます。  今、総務省と厚労省からお話をいただきました。ちょっと事実確認をさせていただきたいんですが、万が一その医療等の安心、安全が、この行為が安心、安全じゃないと言われた可能性があるというときには、これは保健所と都道府県行政指導の権限を持っているということでよろしいんでしょうか。
  23. 間隆一郎

    政府参考人(間隆一郎君) 正確に申し上げますと、例えばあはき法で申し上げますと、これは資格を持っている方に対する指導でありますけど、都道府県知事とそれから保健所設置市の市長がその権限を有していて、その実務を担うのが、最前線に立たれるのが保健所であるということだと理解してございます。
  24. 島村大

    島村大君 ということは、現実的に指導、行政指導をするのは保健所の方でよろしいんですよね。ということは、その保健所の方が行政指導をなさって、先ほどのお話ですと、問題点がある場合には、これは消費者庁に上げていくのは保健所の担当の者が上げる、消費者庁に上げるということでよろしいんですか、確認ですけど。
  25. 片岡進

    政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。  消費者庁に通知をされるルートは様々でございますけれども、保健所から直接消費者庁に御連絡がいただく場合もございますし、保健所から厚生労働省を通じて御連絡をいただく場合もありますし、都道府県から連絡をいただく場合もあるということでございます。
  26. 島村大

    島村大君 ありがとうございます。  いろんなルートがあるのはもちろんいいと思うんですが、ただ、現場の方々が本当にどこに上げていいかというのが、先ほどの総務省の話ですと、通知制度を知らなかったという方もいるということで勧告なさったわけですから、ある意味では、幾つかルートがあるんだったら、そのルートをしっかりと、それは通知なり、それはしっかりと保健所に対して理解してもらえるようにしておかなくちゃいけないんじゃないかと思いますし、先ほどの話ですと、保健所は消費者庁に上げなくちゃいけない、これに関してお話があったわけですから、厚労省に上げるのももちろんいいですが、消費者庁にも上げなくちゃいけないということは、これはしっかりとしなくちゃいけないと思うんですが、そこはどうなんでしょうか。
  27. 片岡進

    政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。  今般の勧告の趣旨も踏まえまして、消費者庁といたしましては、保健所を所管する厚生労働省等につきまして、通知制度周知に関する依頼を既に行っております。この中には、どのようなルートで通知をするかということも含めて確認をすることを依頼させていただいているところでございます。
  28. 島村大

    島村大君 分かりました。そこは徹底してほしいと思います。  今お話ありました柔道整復師さん、それからあはき法に関しますあんまマッサージ指圧、はり、きゅうの皆様方、これは、まあ美容師さんもそうですけど、国家試験の資格を持っている方々ですよね。この方々と、この資格を、国家試験を持っていない方々が、ある意味ではエステティックとかカイロプラクティックとかクイックマッサージみたいなものがあるわけです。これが本当に国民の皆様方に安心、安全な行為がなされているかというところも一つの大きな問題点だと私は思っておりますが、逆の見方をしますと、国家試験を持っている人たちの方が、なかなか国民に対して自分たちの業種の範囲というものをお知らせできないという面も、逆に言うと私どもは感じております。  というのはどういうことかというと、いわゆる医療法もそうですし、我々の歯科医師法もそうですし、このあはき法も柔道整復師もそうですが、広告に対してのすごく規制があるわけですよ。逆に規制があるから我々は発信できない、現場の方々、柔道整復師さんもあはき法に関係ある方々もそこは言っております。逆に言うと、この国家試験の資格を持っていない方々は、ある意味ではこの広告の仕方、いわゆる国民に対してのアピールの仕方が何もこれは法的に引っかからないものですから、逆に言うと自分たちが発したいことを発せられる。これは平等かどうかということが、逆に言うと安全性から考えてもいかがなものかと思っております。  ですから、そういうことに関しましても、これは各監督省庁の、厚労省さんになると思いますが、是非とも、ただ単に安全ではないからいけないんだというだけではなくて、国民から見ても自分たちがしっかりと選べるように、ここはどういうふうに発していくかは、これはいろんな問題点、業界との問題点あるのを私も重々承知しておりますが、やはり国民目線から少しここは改革をしていかなくてはいけないと思っておりますので、安心、安全が第一、そこからどういうふうに国民が理解して、自分は本当にどこに行ってその健康を保つのか、そこを、その視点が私は大切だと思っておりますので。  ですから、そこは是非とも総務省、それから消費者庁、それから厚労省、やっぱりこれは、それも垣根を越えて、是非ともこの行政評価だけではなくて、一歩踏み込んでどうするかということも是非とも議論をしていただき、国民のために、ここは安心、安全な、そのテーマでやっていただきたいと思っております。  では、引き続きまして、今このコロナ禍国民の方々がやはり一番心配、それから不安を持っていますのが、やはりこのワクチン接種の件でございます。  このワクチン接種に関しましても、今回は国が主導になりまして、国が例えば医療従事者に関しましての、先行していただいておりますが、そこを現場でやっていただいているのは都道府県でございます。今後始まると言われております高齢者向けのワクチン接種の供給に関しましては、ここは都道府県が主じゃなくて、今度は市町村、市町村が主になって今後ワクチン接種を始めるわけです。  今現在はこの医療従事者が主になってやっていただいているので、ある意味では現場もこんがらがっていませんが、今後、この医療従事者が全て、約四百七十万人だと言われておりますが、この方々に接種が終わる前にこの高齢者の方々の接種がスタートするわけです。四月の十二日の週から高齢者向けのワクチン接種をこれは供給していただけるようになっておりますが、そこが、現場が少し今後更に混乱する可能性があるということで、まず一つ目として、医療従事者のワクチン接種に関する流れを改めて今確認をさせていただきたいと思います。これに関して、今の国の状況、また認識を教えていただきたいと思います。
  29. 山本博司

    ○副大臣(山本博司君) ありがとうございます。  この新型コロナウイルスワクチンの接種につきましては、今委員おっしゃったとおり、医療従事者等への接種の主体は都道府県でございます。そして、これから始まります高齢者への接種の主体となりますのは市町村でございます。その都道府県と市町村とで分担、連携をしながら今現在準備を進めていただいている次第でございます。  このうち、医療従事者等へのワクチン接種の流れにつきましては、まず国が都道府県ごとの配分量を、そして都道府県がその配分量の中で管内の基本型接種施設ごとの配分量を決定いたします。これを受けて、ワクチンメーカーが個々の基本型接種施設に決められた配分量を配送するわけでございます。そして、この当該基本型接種施設、あるいは、そこから更にワクチンを小分けをしていく場合ございますから、その移送された連携施設で接種を実施、こういう流れで今、医療従事者に対しましてはワクチン接種が行われている次第でございます。  今、医療従事者等へのワクチン接種につきましては、通常の医療、これを維持していただきながら、今、四月六日時点で約百三十万回の接種が行われている次第でございます。医療機関等においても着実に医療従事者への接種を進めていただいているものと考えている次第でございます。
  30. 島村大

    島村大君 ありがとうございます。  今、副大臣のお気持ちはよく分かるんですが、これ、数字でいいますと、先ほどお話ししましたように、医療従事者は約四百七十万人分の方がいると。今お話ありましたが、これ人数と回数でいくと頭がこんがらがるんですが、人数でいくと、一人二回やるわけですから、まあ数字的には倍になるわけですよ。ということは、四百七十万人分接種するには、掛ける二の数が必要だということです。今行われているのが百三十万回ということですから、人数的に二回打ったとすれば、一回の人もいますからこれは正式には言えないと思いますが、人数でいえば、まあ簡単に言えば、二回打ったとすれば半分の六十五万人分。  ですから、まあ正直言いますと、まだまだこれは思ったよりはやっぱり少し遅れているなというのが現場感覚ですし、私も医療人なんで、私、医療人としては手を挙げていませんが、我々の仲間の医療人に対して、私、神奈川県ですけど、これがどこまでじゃ接種をしているかというと、残念ながら、基本型の大病院、大病院の方々は約、まあ一回の方もいますけど、二回終わっている方もいます。  じゃ、現実的に、今後、高齢者向けの方々にワクチン接種をしていただける、そういうお医者さん、クリニックのお医者さんの方々が、神奈川県で、じゃ何人今ワクチン接種、御自身が受けたかというと、これはゼロです、まだ受けていません。これは先ほど副大臣もお話ししましたように、普通の診療をしながらワクチン接種をしなくちゃいけないと、そういう難しさも確かにあります。  ですから、ある地方は、医療人に対してのワクチン接種は土曜の一日か、あっ、ごめんなさい、土曜の午後か日曜日だけというふうにしている地域もございます。ですから、一週間に土曜日と日曜しかできないわけですから、確かにそれは時間が掛かるのも分かります。  ただ、これは有事ですので、本当にそれをどうするかというのは、各都道府県、あっ、ごめんなさい、各市町村、各市町村の医師会にある程度任せなくちゃいけないのも分かりますが、やはり高齢者の接種をする方々を、そういうお医者さん、看護師さんをやはり優先的にどうしたらできるかとか、そこはお任せだけではなくて、やっぱり厚労省も知恵を出していただきながら、この仕組みをどうするかを考えていただきたいと思っております。  そして、次の質問として、今少しお話ししましたように、なぜ想定したより若干遅れているのか、あえて若干と言いますが、遅れているかということと、あと、改善策をどのように考えているかを教えていただきたいと思います。
  31. 山本博司

    ○副大臣(山本博司君) 先ほど申し上げましたとおり、四月六日時点で約百三十万回の接種が行われております。今委員がおっしゃられたとおり、様々、現場の方々御苦労があるというふうに聞いております。  その上で、医療機関へワクチンが届いて実際に接種が行われる間に例えばどういう課題があるかといいますと、先ほどお話がありましたけれども、医療従事者向けの接種につきましては医療機関の診療体制、これを確保しながら行っていきますので、今委員言われたとおり、人をどうしていくか、こういったことを本当に工夫しながらやる必要があるということでございます。  もう一つの課題点といいますのは、ファイザー社、このディープフリーザー、マイナス七十五度という、この設置をしている基本型接種施設から連携型の接種施設にワクチンを小分けをしていくという、この移送する場合に一定の準備等が必要になっていくということの要素、これが考えられる次第でございます。  その意味で、政府としては、こうした点も踏まえながら、今後も可能な限り速やかに接種を進めていただけるように、自治体、今お話がありました、あと医師会を含めた医療機関の説明会の実施、さらには手引の発出を含めて丁寧な情報提供を行っていきたいと思う次第でございます。  また、先般、二月十五日には厚生労働省の中に自治体サポートチーム、これは各都道府県から人を出していただいて、リエゾンという形でそれぞれ対応していただく方、これを設置をいたしまして、自治体に対しましてもきめ細やかな支援を行っているところでございます。  委員御指摘のとおり、引き続き、こうした取組を通じて、自治体、そして医療機関、緊密に連携しながら万全の体制を構築できるように全力で取り組んでまいりたいと思います。
  32. 島村大

    島村大君 ありがとうございます。  国が本当に全力で対応していただいているのは、私も今回の件でつくづく感じさせていただきました。これは、今回のこの委員会であえてやはりワクチン接種に関して質問させていただきたく、ただ、皆様方になるべく迷惑掛けないようにと思いまして、私も一昨日、月曜日の昼には質問要旨を出させていただきました。それに対して、まあ一日半あれば皆様方は本当に忙しい中で対応してもらえると思ったんですが、この回答をいただいたのが今朝の三時なんですよ。  ですから、そこまでやっぱり本当にこの厚労省、そして関係各省がワクチンに対して対応していただいているのは私もつくづくこれは感じさせていただきました。ですから、質問をどこまでしていいかということも本当に私も考えさせられましたが、是非とも私どもはそれはしっかりと国民にお伝えしながら、国は国でやっているんだということはお伝えをさせていただきたいと思っております。  ただですね、ただ、これは今回有事でございます。国が役割分担しっかりと先頭を切ってやっていただいているのは分かるんですが、ワクチン接種に関してのこの方法を、私は、医療従事者向けになぜ都道府県にやってもらおうとなったのかというのは一つ私は非常に疑問に思っています。今までやったことがないことを有事だからといってやれといっても、なかなかこれは難しい点は私はすごく感じました。  これを私なりに現場を見させていただいて思ったのは、厚生労働省には各都道府県に厚生局を持っているわけです。この厚生局は、医療界の方々はよくお分かりのように、我々から見ると厚生局は、一番は保険医に関して、保険診療に関しての統括をしていただいているというイメージが一番大きいんですが、今現在、このコロナ禍でございますから、医療機関に対してのいわゆる監査とか指導とかそういう部門の方々はなかなかこれは普通の平常どおりにはなかなかお仕事ができていないなというのは我々肌感覚では持っております。  ただ、逆に言うと、あの方々は自分の都道府県、いわゆる神奈川県なら神奈川県内の医療機関のことを私は一番分かっている方々はあの方々だと思っています。我々医療人は、いわゆる厚生局から文書が来ますと、普通の保健所から来る文書というのはある意味ではスルーしています。余り、正直言うと興味がない。ただ、厚生局から来る文書というのは意外とみんな敏感に感じます。特に簡易書留で来たら、これはみんなすごく敏感です。というのはなぜかといったら、指導監査だから。  ですから、そういう意味では、厚生局をある意味ではかませて私は少しやった方がよかったんじゃないかというのが、これは個人的な感想ですが、今後とも、この厚生局をどう使うかということは、やはりこれは議論の一つとしてしていただきたいと思いますし。  最後に、コロナワクチンナビ。コロナワクチンナビというのが、これが皆さんネットで見ていただければ分かりますが、接種場所をどこでやるとか、どのようにやるかという質問を国民の皆様方が見れるようなサイトになっております。これが昨日、おとといアップを、各医療機関の現状に対してのアップをされましたが、残念ながらこれも各医療機関が、一昨日にアップされるということを厚労省の方々はこれはしっかりと通知したということになっていますが、現場は理解していません。ですから、急に自分のところに、いや、先生のところはワクチン接種をしてくれるんですかという問合せが一斉に行っているわけです。ですから、しっかり見ると、そこは予約は受け付けませんというふうになっているんですが、ただ、そこのAという医療機関は今後ワクチン接種を受けますよというふうになっていると、もう皆さん、今から予約をしておかないといつ打ってもらえるのか分からなくなるということで、相当現場もこれは混乱していますので、是非ともその意思の疎通、本当にこれは難しいのは私も今回よく分かりましたが……
  33. 野田国義

    委員長野田国義君) 質疑をまとめてください。
  34. 島村大

    島村大君 はい、分かりました。  しっかりとそこは、我々国会議員も、そういうことを教えていただけば我々も発信できると思いますので、是非とも、省庁だけじゃなくて、我々国会議員も何ができるかということをしっかりと一緒になってやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  35. 川田龍平

    川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。よろしくお願いします。  本日は、死因究明と自殺対策について質問させていただきます。  この死因究明も自殺対策も、依然として感染拡大を続けている新型コロナウイルス感染症が社会に様々な影響を及ぼしている今、行政が一丸となって取り組んでいかなければならない重要なテーマです。  我が国の年間死亡者数は、高齢化の進展などを背景として増加傾向が続いており、二〇一九年には約百三十八万人に到達しています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、二〇四〇年には約百六十八万人の人々が年間に命を失うとされています。  こうした中、近年の警察における取扱い死体件数は、年間約十七万体程度で頭打ちとなっている印象があり、十分な対応を図っていけるのか懸念をされます。不自然な死を遂げた者の死因究明を行うことは、国民の安全、安心な暮らしや命が尊重され個人の尊厳が保持される社会の実現に寄与するものであり、高い公益性を有しています。新型コロナウイルス感染症など未知の感染症の流行や、先月、十年の節目を迎えた東日本大震災においても身元確認のための体制整備が課題とされたように、今後も大規模災害の発生に備え必要な体制を整えておくべきと考えます。  令和元年六月、新たな死因究明等推進基本法が成立し、施行されました。この法律は死因究明に関する施策の基本理念や国と地方公共団体の責務を規定しており、今後策定される予定の死因究明等推進計画に沿って、関係省庁における死因究明に関する取組の底上げが図られることに期待をしています。  まず、質問ですが、新たなこの死因究明等推進計画の現在の検討状況について伺います。また、新たな死因究明等推進計画には実効性のある取組を求めたいところですが、そのためにも、まずは現行の推進計画に沿って取り組まれた関係省庁の施策について適切にフォローアップを行い、しっかりと効果検証を行った上で、そこから見えてきた課題や必要な方策を新たな計画策定反映していくことが重要であると考えます。  平成二十六年に策定された現行計画に基づく関係省庁の取組について、効果検証はしっかりと行われているのか、また新たな計画検討に当たり検証結果の反映が十分になされているのかを併せて伺います。
  36. 間隆一郎

    政府参考人(間隆一郎君) お答えいたします。  ただいま新たな計画検討状況と、それから現在の計画の検証状況ということのお尋ねがございました。  まず、平成二十四年九月に施行されました死因究明等推進に関する法律に基づき二十六年六月に策定された現行の死因究明等推進計画により、これまで関係省庁において各般の施策を進めてまいりました。例えば、死因究明等推進地方協議会につきましては、令和三年三月時点、先月の時点でございますけれども、四十一都道府県に設置されるなど一定の成果があったと考えております。全てが、例えばこの件についても全都道府県というわけではございませんけれども、一定の成果があったと。  こういったことの成果も踏まえつつ、反省を踏まえつつ、令和二年四月に施行された死因究明等推進基本法におきましては、委員御指摘のように、政府は死因究明等推進計画を定めなければならないとされてございます。その策定に向けて法医学者等の有識者による検討会を開催し、死因究明等の人材育成、体制整備等の課題について様々な御意見をいただいたところでございます。この中には、専門機関が必要なんじゃないかというような御提言もあったところでございます。  この検討会において、今年の三月に新たな計画に盛り込むべき事項に関する報告書を取りまとめたところでございまして、今後、この報告書を踏まえまして、今年の五月頃の死因究明等推進計画の閣議決定に向けて更に検討を進めてまいりたいと、このように考えてございます。
  37. 川田龍平

    川田龍平君 このような新たな計画策定に向けて取組が進む死因究明の推進に関して、総務省もこの調査を行ったと聞いています。本年三月十二日には総務省から死因究明等推進に関する政策評価が公表されていますが、総務省行政評価局がこの調査を行うに至った背景と調査結果の概要について伺います。
  38. 白岩俊

    政府参考人白岩俊君) 御指摘の政策評価につきましては、新法に基づく新たな死因究明等推進計画策定が予定されていることに鑑みて、現在行われている計画の八つの重点的施策ごと現場実態を掌握する必要があるとの認識の下に行ったものでございます。  概要でございますが、調査の結果、都道府県ごと地方協議会の設置、これも一つの目玉になっておりますけれども、これは進んでいるものの、その運営の際、どのような議題を設定し、どう議論すればよいのかというような悩みが現場で聞かれたということがあります。  また、大学において法医人材養成コースの整備などが進められたところでありますが、人材供給において目立った成果というか効果が発現するまでには現時点では至っていなかったということがございます。  また、警察における検視官の臨場率の向上ということも一つのポイントであったんですが、これにつきましても、検視等に立ち会う医師の確保に困難を感じている、例えば医師の高齢化とかそういったような事情があるような調査結果でございました。  死亡時画像診断の実施事例の増加は見られております。しかし、このために異状死死因究明支援事業という補助事業があるんですが、この活用実績が低調であるというような実態が分かりました。  いずれにしても、現行計画に基づく取組の効果は、現時点においては少なくとも限定的であったのではあろうと評価しております。  また、死因究明等推進に関する取組について、その中核となる地方協議会が十分機能していない実態を踏まえて、その活性化方策を提示したところでありますが、これらを踏まえ、死因究明の施策を推進する観点から、国として推進すべき施策の具体化を図り、その実施状況を検証、評価すること、地方協議会課題の解決に向けて現場実態を踏まえた効果的な政策展開ができる場となるよう積極的な支援を行うことについて、関係大臣に通知したところでございます。
  39. 川田龍平

    川田龍平君 今回の死因究明等推進に関する政策評価においては、総務大臣から関係大臣に対し意見通知が行われています。一方で、例えばほかの調査では、必要な改善措置について総務大臣から関係大臣に対して勧告がなされています。  今回の死因究明等推進に関する政策評価においては、勧告には至らず意見通知となった理由について、また、総務省が行う勧告と意見通知とでは、関係省庁に与える効果やその後のフォローアップの実施など、どのような点で違いがあるのかをお聞きいたします。
  40. 白岩俊

    政府参考人白岩俊君) お答え申し上げます。  総務大臣から関係大臣に発出される勧告と意見通知とは、共に行政評価局の行った調査の結果について伝えるものである点については同じでございます。  このうち、勧告については、政策評価であれば政策評価法第十七条、行政機関の業務の実施状況についての評価監視であれば総務省設置法第六条に基づき事務の改善の実現等に必要と認められる場合に行うものであり、それらの法に基づいてその後の措置報告徴収等も行われることになります。このような性格から、勧告は改善措置などが具体的に個別に指摘できる状況になっているものについて行うというのが実務でございます。  他方、意見通知でございますが、政策評価であれば政策評価法第十六条、評価監視であれば国家行政組織法第十五条に基づくものであり、政策効果の発現状況、業務の実施状況分析の結果得られた課題などに関する認識や意見、あるいは対象施策において既に改善措置が講じられつつある状況など、調査の結果を関係機関に通知するものでございます。  したがって、勧告を要しない場合、あるいは勧告するにも具体性がない場合、これから関係当事者においてコンセンサスを得るべく議論が進むような手続が定まっていることが明らかな場合、このような場合は勧告という形を取らず、調査結果を広く関係府省に生かしていただこうとする場合として行っているものでございます。
  41. 川田龍平

    川田龍平君 ありがとうございます。  今回の死因究明等推進に関する政策評価における総務省からの意見通知先を見ると、国家公安委員会・警察庁、法務省、文部科学省厚生労働省、国土交通省と多数の省庁に及んでいます。ここからも分かるとおり、死因究明に関する施策を所管する組織は多岐に及んでいます。  死因究明等推進基本法では、死因究明等推進本部を厚生労働省に置くこととしており、司令塔としての役割が厚生労働省に与えられています。一方で、平成二十六年に失効した以前の推進法においては、死因究明等推進会議が設置されていた内閣府に司令塔の役割が与えられていました。  死因究明の推進に向け、厚生労働省を始めとした各省の取組に期待したいところですが、新たな基本法において死因究明を推進する司令塔としての役割が内閣府から厚生労働省へと移行された理由について、改めて伺います。
  42. 間隆一郎

    政府参考人(間隆一郎君) お答えいたします。  ただいま委員御指摘になられましたように、これまでのかつての法律、死因究明等推進に関する法律では、内閣府が施策の実施推進する役割を果たしておりました。  昨年四月に施行されました死因究明等推進基本法におきましては、公衆衛生の向上が基本法の目的の根底にあるというふうに位置付けられましたことから、これは公衆衛生の向上は厚労省の基本任務でございますので、厚生労働省死因究明等推進本部を置くとともに、死因究明等推進計画策定推進するというふうにされたというふうに理解してございます。
  43. 川田龍平

    川田龍平君 次に、この死因究明等推進基本法第十四条においては、医師等による死体の解剖が死因究明を行うための方法として最も有効な方法であるとされているにもかかわらず、我が国における解剖の実施率は、警察庁の資料によりますと、今日お示しした、配付した資料にありますが、令和元年時点で一一・五%にとどまっています。これはスウェーデンで八九・一%、イギリスで四五・八%といった解剖率が見られる欧米諸国と比較して著しく低い状況にあると言えます。  また、解剖率については、地域間の格差が顕著です。警察庁の資料によると、令和元年時点で解剖率の高い都道府県は、兵庫県が三六・三%、神奈川県が三五・二%などであるのに対し、解剖率の低い都道府県は、広島県が一・二%、大分県が三・三%などとなっており、率が低い都道府県では余り解剖が行われていないことが分かります。  こうした解剖率の地域差はなぜ発生するのか、また解剖率の低さや地域差が生じていることは我が国における死因究明制度にとって障害とならないか、政府としての見解を伺います。
  44. 猪原誠司

    政府参考人(猪原誠司君) お答えいたします。  警察が取り扱った御遺体に係る司法解剖及び調査法解剖の解剖率につきまして、都道府県ごとに差が見られるのは御指摘のとおりであります。  警察にとっての解剖は、犯罪死の見逃し防止等、警察の責務を達成するための一つの手段であり、必要な場合に確実に実施するべきものであるところ、様々な調査、検査の結果や専門家の御意見を踏まえて個別の事案ごとに解剖の要否を判断しているものであります。  このように、警察が主体的に実施する解剖である司法解剖及び調査法解剖の実施率につきましては、各都道府県警察における一件ごとの判断の結果の積み重ねであり、一概にその原因を分析することは困難であります。  警察といたしましては、引き続き警察の責務を達成するため、必要な解剖の確実な実施に万全を期する所存でございます。
  45. 山本博司

    ○副大臣(山本博司君) 司法解剖、調査法解剖以外のいわゆる行政解剖につきましては、警察が取り扱った死体の中で司法解剖、調査法解剖が行われないことになったもののうち、死因を明らかにするために死体の検案を行った医師が必要と判断した場合に行われるため、解剖率に一定の地域差が生じ得るものと考えられます。  また、死因究明等推進計画策定に向けた有識者による検討会におきましては、死因究明等の人材育成や体制整備等の状況地域によって異なることが課題として指摘をされております。これにより、解剖率に差が生じていることも考える次第でございます。  必要な解剖を行うことにより正確な死因を特定することは公衆衛生の向上等の観点から重要であることから、さきに取りまとめられました有識者による検討会の報告書に基づき、死因究明の実施体制の充実に向けて、死因究明等推進計画検討を具体的に進めているところであります。
  46. 川田龍平

    川田龍平君 この政策評価によりますと、現場実態の一例として、全国の警察署において遺体が収容される遺体保冷庫が不足、全五十一警察本部のうち三十四本部が遺体保冷庫が不足又は不足することがあるとしていたり、その原因は全警察署に遺体保冷庫が設置されていないためであったり、一日に複数の遺体を取り扱うため、また身元確認や遺体引渡しに時間が掛かるためなどとも挙げられています。  本当、そういったしっかり体制を整備して、環境を整備していくことも大事かと思いますし、今後のこの地域間の格差ができるだけ広がらないようにしていく必要もあるのかなというふうに思います。  この死因究明の推進に向けた都道府県等への支援として、厚生労働省では異状死死因究明支援事業を行っており、異状死の死因究明に取り組んでいる都道府県に対して行政解剖や死亡時画像診断のための経費への財政支援を行っています。現行の死因究明等推進計画においても、この支援事業を通じて、必要な検査、解剖を明らかにするための研究費用を支援することや、支援事業の成果を検証し、その内容を研修会などに反映することで医師の資質向上に努めることとされています。  死因究明に積極的に取り組んでいる自治体に対し国が財政支援を行うという仕組みは重要であり、今後も有効な支援策を講じていくことが求められています。異状死死因究明支援事業実施状況と、この支援事業の検証によりどのような結果が得られたのか、伺います。
  47. 間隆一郎

    政府参考人(間隆一郎君) お答えいたします。  ただいま委員から御指摘のありました異状死死因究明支援事業でございますけれども、公衆衛生の向上及び増進のために必要と都道府県が判断した解剖や死亡時画像診断、またそれらに伴う検査についてその費用を支援するものでございます。  実施状況でございますけれども、令和年度の実績としては、本事業活用して解剖を実施した都道府県は十一都道府県二千六百四十八件、それから死亡時画像診断を実施した都道府県は八府県二千二百四件ということでございます。  厚生労働省としては、こうして得られたものは、先ほど委員も御指摘になられましたように、医学の、医師等の資質の向上等にも役立つものだというふうに考えておりますけれども、今後、法医学教室やそれから都道府県など死因究明に関わる皆様にこの支援制度、より広く御活用いただけるように周知を図るとともに、今後も引き続き死因究明体制の充実にこの事業などを活用してしっかり取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。
  48. 川田龍平

    川田龍平君 この死因究明の資料を見ていると非常に興味深いものがありまして、特に都道府県ごとの大学の法医学教室における人員数などは大変ばらつきもある中で、各県に常勤医師が一人しかいないところなどもあって、例えば福井県ですとか青森県なんかも常勤医師一人しかいません。青森県の常勤医師一人のところで二百六十二体扱っているところなんかもあって、一人でこれだけやっているのかというところもありながら、そうでない県は複数いるんですけれども、数はそんなに、そんなに数がないところもありますので、是非、本当にこの人材をしっかり確保していくこと大変重要ではないかというふうに思っています。  次に、チャイルド・デス・レビューのことについて伺います。  死因究明等推進基本法の附則においては、法施行後三年後を目途として、子供が死亡した場合におけるその死亡の原因に関する情報の収集、管理、活用の仕組みについて検討を加えることとされています。  予防可能な子供の死亡を減らす目的で、児童相談所、医療従事者、警察など多くの職種の専門家が連携して系統的に死因調査実施し、登録された情報を検証し、効果的な予防策を講じて介入を行おうとする制度としてチャイルド・デス・レビューがあります。チャイルド・デス・レビューの推進により、子供に限らず、成人も含めて、安全で安心して暮らせる社会や生命が尊重され個人の尊厳が保持される社会の実現に寄与するものと考えられます。  厚生労働省では、このチャイルド・デス・レビューに取り組む体制を整備するモデル事業を進めていると認識していますが、改めてチャイルド・デス・レビューについての政府の見解と今後の取組方針について伺います。
  49. 山本博司

    ○副大臣(山本博司君) 委員御指摘、今ございました、子供が不慮の事故等で亡くなるケースが多くある中で、効果的な予防策を導き出して予防可能な子供の死を防ぐということは大変重要でございます。  そのため、厚生労働省では、令和年度から、実施体制等の検討を目的としまして、七府県で予防の、子供の死亡検証、チャイルド・デス・レビュー、体制整備モデル事業、これが実施されている次第でございます。令和年度におきましても、予算一・一億円で引き続きこのモデル事業を継続しているところでございます。  こうしたモデル事業実施状況を踏まえまして、関係省庁とも連携しながら今後の制度化に向けて検討を行ってまいります。
  50. 川田龍平

    川田龍平君 次に、自殺対策について、令和二年におけるこの自殺者数は二万一千八十一人であり、前年よりも九百十二人増加をいたしました。死亡者数はリーマン・ショック以降これまで十年連続で減少していましたが、十一年ぶりに増加に転じました。特に女性や若年層の増加が目立っており、新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛や生活環境の変化が影響したのではないかという分析もあります。  自殺対策については、集中的に財政措置を講じれば解決するという単純なものではなく、対象がほかでもない人間一人一人であることからも、長期的な視点で丁寧に対応していくことが重要と考えられます。  自殺者数が増加に転じている現状を踏まえると、従来の自殺対策のままでは不十分という見方もありますが、新型コロナが及ぼす自殺者の増加に、影響をどのように受け止め、そして今後どのような対策を講じていくつもりでしょうか。
  51. 山本博司

    ○副大臣(山本博司君) 今委員が御指摘されましたように、令和二年の自殺者数は確定値で二万一千八十一人、対前年比九百十二人増でございまして、十一年ぶりに前年を上回った次第でございます。男女別で見ますと、男性は対前年比二十三人の減少と、十一年連続で減少いたしましたけれども、女性は対前年比九百三十五人の増加、一五・四%となっております。また、小中高生の自殺者数は四百九十九人、前年比で約二割増で過去最多となっている次第でございます。多くの方が亡くなられている現実を重く受け止めなければならないと考える次第でございます。  自殺の原因、動機は様々かつ複合的な場合が多いと思いますが、女性の自殺の背景には健康問題、経済・生活問題、勤務問題、DV被害や育児の悩みなどでございます。また、二十歳未満の自殺の背景には、学校問題、特に進路に関する悩み、学業不振、学友との不和、また健康問題などがあると承知をしております。  厚生労働省では、自殺を考えている方に対する電話相談や、女性や若者の利用が多いツールでありますSNSでの相談等の体制の拡充、これに努めるほか、やむを得ず職を失った方へのきめ細やかな就労支援、さらには生活資金でお悩みの方への支援を行っています。  自殺の動向に関する分析なども踏まえながら、引き続き、自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、総合的な対策を推進をしてまいります。
  52. 川田龍平

    川田龍平君 我が国では、地域レベルの実践的な取組を中心とする自殺対策への転換を進めており、健康問題や経済的困窮など自殺の背景にある様々な要因に対し、自治体の保健福祉部局やハローワークなどの現場と緊密に連携することがますます重要になるとされ、平成二十八年に自殺対策は内閣府から厚生労働省へと移管されました。  また、政府は本年二月、省庁横断で孤独・孤立問題に対応するため、孤独・孤立対策担当室を内閣官房に設置し、坂本一億総活躍担当大臣が孤独・孤立対策を担当するとされました。政府一体となって自殺の起因の一つにもなっているとされる孤独・孤立対策を講じていくこと自体には意義があると考えますが、対策に血が通った実効性のあるものとなるよう取り組んでいただきたいと思います。  現状では、政府の自殺対策の中心的役割は厚生労働省が担っているものと認識していますが、孤独・孤立対策担当室が内閣官房に設置されたことで政府内の自殺対策の取組に影響はあるのか、また厚生労働省と孤独・孤立対策担当室の役割分担や連携について伺います。
  53. 山本博司

    ○副大臣(山本博司君) これまでも、自殺対策は厚生労働省、また子供の貧困対策は内閣府、学校における対策は文科省、住宅支援は国交省など、各省庁においての孤独・孤立関係の対策の取組を進めてきた次第でございます。今後は、坂本大臣の下で担当室が司令塔となって、政府一体となって取り組んでいるものと承知をしている次第でございます。  自殺の背景には様々な要因があり、かつそれらが複合的に関係している場合も多く、その一つとして望まない孤独、孤立の問題もあると考えられます。  厚生労働省としては、この孤独・孤立対策の柱の一つとして、先日の閣僚会議にて取りまとめられました非正規雇用労働者等に対する緊急支援策に基づき、NPO等が行うSNSを通じた相談等の取組への支援など、自殺対策の強化に取り組んでいるところでございます。  引き続き、孤独・孤立対策担当室と緊密に連携しながら、自殺対策を進めてまいります。
  54. 吉川赳

    大臣政務官吉川赳君) 内閣府の立場から申し上げます。  委員御指摘のとおり、自殺の原因ということは多岐にわたるわけでございまして、先ほど厚生労働大臣の方からもありましたが、一方で、例えば子供、若年層の自殺ということになりますと、不登校、いじめ、これは文科省になるわけであります。また、例えば住むところがない、こういったことに関しては、現在、国土交通省の方で相談窓口を設置しております。そういった多岐にわたる原因、これをしっかりと横断的に、また総合的に情報共有するというのが孤独・孤立室の一つの役割である、そのように御認識をいただければと思います。  さらには、こういった孤独、孤立、さらには自殺問題に取り組む民間NPOの皆様方、そういった皆様方の取組をまとめることであるとか、さらには識見を活用していく、そういった観点からも、三月十二日には、坂本大臣を議長として、全省庁の副大臣出席をする形で孤独・孤立対策に関する連絡調整会議を開催したところであります。  今後も、答弁にもありましたが、厚生労働省を始め各省庁と緊密な連携の下に、政府一体となって施策を推進してまいりたいと思います。
  55. 川田龍平

    川田龍平君 是非、連絡調整会議を定期的に開くなど、しっかり力を入れてやっていただきたいと思います。  警察庁のまとめでは、二〇二〇年における小中高校生の自殺者は前年に比べて百人増加し、四百九十九人に上りました。これは統計が残る一九八〇年以降で最多です。特に、女子高校生は八十人から百四十人へと大幅に増加しており、コロナ禍の長期休校が明けた六月や、短縮された夏休みが明けた八月に自殺者が突出して多くなっています。児童生徒が自ら命を絶つことはあってはならないことであり、より一層の対策強化に取り組むことは喫緊の課題です。  自殺を防止するという観点からは、死因究明等推進基本法に基づき検討が進んでいるチャイルド・デス・レビューが、自殺の背景分析などを通じ自殺対策にも貢献し得るのではないかと考えられます。自殺を予防するという観点から、チャイルド・デス・レビューを自殺対策に活用することについて政府の見解を伺います。
  56. 山本博司

    ○副大臣(山本博司君) 先ほども述べさせていただきましたこのチャイルド・デス・レビューに関しますモデル事業に関しましては、自殺事例を含めた子供の死亡事例を検証対象とするものでございます。  厚生労働省としては、今後、このモデル事業の検証を通じまして、その活用策も含め、制度化に向けて検討を進めてまいります。
  57. 川田龍平

    川田龍平君 先月には、私も一員である超党派の自殺対策を推進する議員の会から田村厚生労働大臣に、コロナ禍における自殺総合対策の強化について緊急要望を行いました。中でも、児童生徒向けの自殺統計原票、今日配付した資料にありますこの自殺統計原票の活用により自殺実態分析を進め、更なる取組に役立てることはできないかと考えています。  児童生徒向けの自殺統計原票には、自殺者の健康状態や生活状況、相談履歴や自殺に至るまでの行動などが記載されるようになっており、これにより児童生徒の自殺実態分析することが可能となります。自殺で亡くなった児童生徒が通っていた学校に対し、自殺統計原票に記入を求めることで今後の自殺防止に役立てることが期待できると考えますが、学校現場への自殺統計原票の導入について、政府の見解を伺います。
  58. 丹羽秀樹

    ○副大臣(丹羽秀樹君) お答えいたします。  児童生徒が自ら命を絶つということは本来あってはならないことであって、本当に悲しいことであります。自殺が増加していることを大変重く受け止めております。  文部科学省におきましては、毎年度、毎年十月ですけれども、児童生徒の問題行動・不登校生徒指導上の諸課題に関する調査において、自殺した児童生徒が置かれた状況等について実態把握を行っているところでございます。  今般、このコロナ禍における児童生徒の自殺者数の増加を踏まえ、本年二月より児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議を開催し、児童生徒の自殺等に関する背景や適切な対応等について、厚生労働省の公表情報である児童生徒の自殺に関するデータ等を活用しつつ、集中的に御議論をいただいております。  文部科学省といたしましては、この協議会における議論を踏まえ、引き続き、この自殺対策、自殺予防教育を推進するとともに、実態分析の充実も含め、コロナ禍における効果的な自殺対策について速やかに検討を進めていきたいと考えております。
  59. 川田龍平

    川田龍平君 緊急要望の中には、中学生、高校生、大学生向けのゲートキーパーの育成支援も盛り込まれています。自殺の危険を示すサインに気付き、声を掛け、話を聞き、必要な支援につなげ、見守る、この命の門番とも呼べるゲートキーパーの存在が、様々な悩みを抱えながら支援にたどり着くことができず自殺へと追い込まれる生徒児童を救うためには重要です。ゲートキーパーには特別な資格はなく、誰もがその役割を担うことができます。  だからこそ、政府は全国の自治体と連携し、ゲートキーパー養成のための研修をより積極的に実施していくべきです。また、自治体や政府内の職員が率先して研修を受講することも重要です。  そこで、ゲートキーパー養成のための研修の実施について、政府の見解を伺います。
  60. 山本博司

    ○副大臣(山本博司君) 自殺の危険を示すサインに気付き、声を掛け、話を聞き、必要に応じて専門家につなぎ、そして見守るという役割を担うゲートキーパーでございますけれども、悩んでいる人の孤立を防ぎ、安心を与える存在でございます。  このゲートキーパーの役割を担う人材の養成は、自殺対策における重要な課題であると、こう承知している次第でございます。この養成につきましては、自殺総合対策大綱におきまして、国民の約三人に一人以上がゲートキーパーについて聞いたことがあるようにすることを目指すとされておりまして、厚生労働省では、自治体におけるゲートキーパーを養成する取組支援をするほか、ゲートキーパー手帳やゲートキーパー養成研修用テキスト、これを作成するなど、広く周知に努めている次第でございます。  さらに、自殺予防週間、九月十日から十六日であるとか、自殺対策強化月間、これは三月でございますけれども、それに合わせまして広報ポスターや動画広告を作成し、このゲートキーパーについての集中的な周知に取り組んでいる次第でございます。  引き続き、自治体におけるゲートキーパーの養成に向けた取組への支援を始めとして、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、総合的な対策を進めてまいります。
  61. 丹羽秀樹

    ○副大臣(丹羽秀樹君) お答えいたします。  児童生徒が、自殺に関する悩み等を適切に、SOSの声を発することができるように、また、これらの声を、心の危機に陥った友人からのSOSを受け止めることができるように、必要に応じて信頼できる、子供たちだけで解決することはなかなか難しいかもしれませんので、信頼できる大人につなぐことということが非常に大事なことだと考えております。  文部科学省におきましては、平成三十年一月に、厚生労働省との連名で各教育委員会等に対しまして、学校におけるSOSの出し方に関する教育の推進を促す通知を発出し、地域とも連携しながら、心の危機に陥った友人の感情を受け止めて、考えや行動を理解しようとする姿勢など傾聴の仕方について児童生徒に教えることを促しております。  これは、また同年八月には、SOSの出し方に関する教育の教材例を示しており、児童生徒が周囲の人の気掛かりな変化に気付き、大人につなぐことの、適切な行動が取れるようにすることなどを目的とした教材を周知いたしております。  これらにつきましては、現在文部科学省が開催しています教育委員会等を対象とした自殺予防の研修会を通じて、地域との連携も含め、取組の一層の推進を求めているところであり、引き続き様々な機会を捉えましてその周知徹底を努めていきたいと考えております。
  62. 川田龍平

    川田龍平君 こうした自殺対策について、総務省行政評価局は、平成二十四年の六月に自殺予防対策に関する行政評価監視を行っており、調査結果を踏まえて関係府省に対し勧告がなされました。このうち、児童生徒関連の取組については、具体的には自殺対策連絡協議会への学校関係者への参加促進や、スクールカウンセラー等活用事業による連絡協議会を活用した取組推進などが求められました。  これらについてはフォローアップもなされましたが、各府省対応関係機関への要請等にとどまっており、具体的な取組へと結実をしているのでしょうか。自殺予防対策に関する行政評価監視における児童生徒関連の取組に関する勧告について、現在までの取組の進展を伺います。
  63. 蝦名喜之

    政府参考人(蝦名喜之君) お答えを申し上げます。  御指摘をいただきました勧告につきましては、関係機関との連携の重要性に鑑みまして、文科省におきまして毎年かなりの回数、開催をしてございますけれども、各教育委員会等を対象とする自殺予防の研修会などを通じて、各自治体における取組の一層の推進を求めているところでございます。  さらに、今般のコロナ禍における児童生徒の自殺の増加も踏まえまして、児童生徒向けの自殺予防啓発動画をNPOの協力もいただきながら新たに制作をし公開をするとともに、今年の一月からは児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議を開催をいたしまして、児童生徒の自殺等に関する背景や関係機関との連携などの方策について集中的に御議論をいただいているところでございます。  こうした御議論も踏まえながら、引き続き、研修会などを通じてということもございますけれども、自殺予防対策の各自治体における取組、その際にも、特に関係機関との実践的な連携や組織的な対応というものを強く求めていきたいと考えております。
  64. 川田龍平

    川田龍平君 この前回の調査から十年近くが経過しており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大をめぐり新しい日常の中で社会状況も変容しているという状況で、また、この児童生徒の自殺の増加は大変憂慮すべき事態であると思います。  例えば、この児童生徒の自殺防止についてなど、現状に鑑み、改めて自殺対策の状況について評価を行うことは十分に意義があると考えられますが、今後の調査の意向について、総務大臣、お答えいただければと思います。
  65. 武田良太

    国務大臣武田良太君) このコロナ禍ですけれども、子供そしてまた女性の自殺者数が増えているという、これは深刻な状況だと私も受け止めております。  児童生徒の自殺防止対策につきましては、現在文部科学省取組を充実しており、また孤独・孤立対策の観点からも関係府省の自殺防止対策の強化が進められているものと承知をいたしております。  総務省としては、まずは関係府省の現下の取組を見極めつつ、今後必要に応じて調査実施について判断をしてまいりたいと考えております。
  66. 川田龍平

    川田龍平君 最後、ちょっと通告していないんですけれども、厚労副大臣に。  是非、今、自殺対策、それから死因究明と質問させていただいてまいりましたが、本当にこの中心となる省庁が厚生労働省であります。副大臣には是非本当にここは力を入れてしっかり頑張っていただきたいと思いますので、ひとつここは決意を是非一言いただければと思います。
  67. 山本博司

    ○副大臣(山本博司君) 今日の川田委員の御指摘の中で大変大事な点だと思います。やはり、命を救っていくということのこの大切な施策ということをしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  68. 川田龍平

    川田龍平君 ありがとうございました。  終わります。どうもありがとうございました。
  69. 西田実仁

    西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  今日は、以前もこの委員会で御指摘をさせていただきましたが、行政計画策定について質疑を行わせていただきたいと思います。  その問題意識は、近年、各自治体に対しまして計画策定を求める法律が大変増えているということであります。令和元年ですからもう三年前になりますが、十一月のこの行政監視委員会におきまして、私も自ら手計算によって調べましたんですが、地方分権一括法が制定された平成十二年から令和元年までの二十年間、こうした自治体に行政計画策定を求める法律が九十二本公布されておりました。  また、地方分権一括法が制定されてからというものは、いわゆる義務付けされる計画は減ってきてはいるものの、逆に、努力義務とかあるいはできる規定によって計画策定することを求めている、そういう規定、法律というものは増えてきておりまして、そうした努力規定やできる規定といいながら、実際はそれが財政支援とひも付けされている、あるいは他の自治体と比較をされて公表される等がありまして、事実上の義務付けではないかというような声も実際に地方から上がってきておりまして、それが大変に地方公共団体の負担になっていると、こういう御指摘でございます。  私のこの行政監視委員会での質疑の後も、本委員会参考人質疑が行われました。国と地方の行政の役割分担についてであります。また、国と地方の行政の役割分担に関する小委員会においても、同様の質疑が何人かの先生方から行われました。そして、この委員会に限らず他の委員会においても、委員先生方が同様の質疑を行っておられることも承知をしております。  そして、令和二年の十二月、昨年十月、十月には、全国知事会の地方分権特別委員会地方分権改革の推進に向けた研究会報告書において、また、昨年十二月、地方六団体の令和年度予算編成及び地方財政対策についてにおいても同様の指摘がなされてきているということでございます。  そういう意味で、地方の計画策定に関する見直しの機運は高まっているというふうに私は認識をしております。そこで、本日、このテーマについて御質問させていただきたいと思います。  まず、内閣府は、こうした流れを受けてでしょうか、本年の二月二十四日に国による計画策定等に関する条項の整理を行い、その結果が公表をされました。まず、内閣府が条項の整理を行うに至った経緯について伺いたいと思います。
  70. 宮地俊明

    政府参考人(宮地俊明君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、かねてより地方から新たな計画策定の義務付け等が負担となっているといった声をいただいてきたところでございます。また、全国知事会におきましても地方分権改革の推進に向けた研究会が設置され、計画策定の義務付け等の見直しを含めた地方分権改革の在り方について報告が取りまとめられたところであります。  内閣府といたしましても、こうした地方からの声や地方分権改革有識者会議における議論などを踏まえまして、計画の義務付け等によって必要以上に地方公共団体に負担を強いることは、地方公共団体の自主性を強化し自由度を拡大するという地方分権観点から適当ではないとの認識の下、計画策定等に関する義務付け等の見直しについて検討を進めていくため、関係する条項の把握を行うこととしたところでございます。
  71. 西田実仁

    西田実仁君 今回公表されましたこの調査結果におきましては、私また知事会の研究会等が示してきた独自の調査と同様の傾向が示されております。そういう意味では、これまで指摘してまいりました課題の存在が明確に裏付けられたという意味では大変に意義深いというふうに思います。  今回の調査結果と、それを踏まえた政府の所感、また今後の対応についてお伺いしたいと思います。
  72. 三ッ林裕巳

    ○副大臣(三ッ林裕巳君) 西田委員にお答えいたします。  計画策定を義務付ける規定につきましては、地方分権改革推進委員会による勧告等を踏まえ平成二十四年まで減少したものの、その後は微増傾向が続いていることが明らかになりました。一方で、計画策定を努力義務とする規定やできるとする規定については、勧告時点から一貫して増加していることが明らかになりました。  このような結果を踏まえ、内閣府といたしましても、計画策定が負担となっているといった地方の声を裏付ける現状を改めて把握することができたと考えております。  こうしたことから、計画策定等を令和三年の提案募集における重点募集テーマとし、地方公共団体からの提案を踏まえ、見直し検討を進めていくこととしております。
  73. 西田実仁

    西田実仁君 この計画策定につきましては、平成二十一年の十月、地方分権改革推進委員会第三次勧告を踏まえた見直しがなされて既におります。すなわち、計画策定及びその手続の自治体への義務付けについては原則廃止とすると。私人の権利義務に関わる行政処分の根拠となる計画についてのみ義務付けを許容している。かなり限定をしてこの計画の義務付けということがなされているわけであります。  今副大臣からお話しのように、今回の調査によりまして計画策定を求める規定の全貌が明らかになっております。そういう意味で、これを基に、政府においてこの改善を図るための一定の基準を設けるとか、あるいは一斉に改善を図るといった方法も取り得るというふうに思うわけでありますけれども、今副大臣御指摘のとおり、今回そういった手法を取らずに、提案募集における重点募集テーマとして地方公共団体から広く提案を募り、見直し検討を進めることにしたというお話でした。  なぜ既に問題点等が分かっているにもかかわらず、地方の提案募集という形を取るんでしょうか。お聞きしたいと思います。
  74. 三ッ林裕巳

    ○副大臣(三ッ林裕巳君) お答えいたします。  内閣府としましては、平成二十六年より、提案募集方式に基づき、地方の声にきめ細かく対応することにより地域課題を解決し、住民サービスの向上を図る具体的な取組推進してまいりました。  計画策定等についても、まずは地方が現場で抱えている支障を把握することは重要であると考えており、提案募集方式において具体的な支障を伺いながらそれを解消していく手だてを検討してまいりたいと考えております。また、地方公共団体から提案に先立って事前相談をいただき、内閣府が提案内容の補強や関係法令の調査といったサポートを行うこととしております。  引き続き、地方公共団体が提案に取り組みやすくなるよう支援を行ってまいりたい、そのように思っております。
  75. 西田実仁

    西田実仁君 先ほど御説明いただいた計画策定等に関する条項の整理についてという調査によりますと、こういう取りまとめがされているんですね。  計画策定等に関する条項の整理について、計画等の内容や手続について、過去の勧告等に照らし過度な義務付けを行っているケースが見られると、この今回の調査結果を基に既に内閣府ではこのように一つの問題点というのを浮き彫りにしているわけであります。  ここで御指摘されている過去の勧告等に照らして過度な義務付けを行っているケースというのは、具体的にどのような計画で、どの程度お調べになったものの中にそうしたものがあるのか、教えていただきたいと思います。
  76. 宮地俊明

    政府参考人(宮地俊明君) お答え申し上げます。  計画等の内容や手続に係る規定の中には、地方分権改革推進委員会の第三次勧告におきまして廃止等の見直しを行うべきとされていたにもかかわらず、その後、勧告に沿った見直しが行われなかった規定も見受けられるところであります。そのような計画等の内容や手続に係る義務付けが残っていることで、地方公共団体に必要以上に負担が生じているという現場の声を伺うことがあることから、過度な義務付けを行っているケースがあるという問題意識を持っているところでございます。  先般、計画策定等に関する条項の把握を終えたところでありまして、計画等の内容や手続について具体的にどのような課題があるか、今後検証を行っていく必要があると考えております。  地方からの提案を踏まえ、地方分権改革有識者会議での御議論をいただきながら検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  77. 西田実仁

    西田実仁君 いや、そうじゃなくて、実際にもう内閣府で調べた調査結果を基にして、今申し上げましたが、過去の勧告等に照らして過度な義務付けを行っているケースが見られるというふうにもう結論付けているんですよ。ですから、どういうケースですかとお聞きしているんです。
  78. 宮地俊明

    政府参考人(宮地俊明君) 詳細な分析は、ちょっとそこまでまだ手が回っておりませんで、今後しっかりやっていくということでございますけれども、例えば、計画の内容につきまして詳細にその計画事項が法律上定められておって、それぞれの事項を満たすための計画策定に必要な調査検討に相当な労力を要するというようなお声を地方公共団体から従来からお聞きしておりまして、そうした内容に係る義務付け、あるいは手続につきましても関係団体との協議などが義務付けられているような場合に、相当なその協議に要する時間、労力を費やすというようなお声をいただいておりまして、そうした規定が全体として残っているということをもって、内閣府の方でホームページで公表させていただいている資料にはそうした記載をさせていただいているところであります。  具体的には、これから有識者会議などの議論を得て、しっかりと検証してまいりたいと考えているところでございます。
  79. 西田実仁

    西田実仁君 ということは、そういうケースが具体的にもうあるという地方からの声が上がってきているということでよろしいんですね。
  80. 宮地俊明

    政府参考人(宮地俊明君) そうでございます。
  81. 西田実仁

    西田実仁君 そういう意味では、既に改善すべき計画があるということが認識されているわけですね、地方からの声によって。にもかかわらず、また今地方から上がってきているとおっしゃっているわけですから、何ゆえ地方からの提案を待たなきゃいけないのかと。仮に地方からの、じゃ提案がなかったら、改善しないのかという話になります。  提案募集方式は、確かに地方の声を聞くという意味で大変大事なわけでありますけれども、正直言って地方にとっても提案すること自体、この提案すること自体もかなり負担になるということも一方の事実でありまして、政府の方でこれだけ取りまとめをし、また既に公表しておられるように過去の勧告等に照らして過度な義務付けを行っているケースが見られるというふうにもう結論付けているわけでありますから、政府の方ですべきことはもう政府の方ですべきではないかというふうに思うわけです。  実際に、この募集要項、私も六月末までの締切りの募集要項を見ましたけれども、先ほどもちょっと御説明ありましたけれども、この地方からの提案募集というのは、事前に内閣府との相談を必ず行ってくださいと書いてあるんですよ。それはいい面もあるんですけれども、一方で、これ提案を行うこと自体も非常に負担になるという一つのプロセスにもなっているわけです。  何も分かっていないんだったら、もちろん地方からの声を聞いて、やるというのは当然だと思いますけれども、先ほど来から御説明されているように、また条項の整理をして分かるように、どこにどういう問題あるかということはもう結論付けて公表されているわけですから、政府でできることはちゃんちゃんとやってほしいんですけれども、どうでしょうか。
  82. 宮地俊明

    政府参考人(宮地俊明君) 提案募集方式につきましては、先ほど副大臣からも御答弁いただいたところでありますけれども、提案に先立って事前相談を行っていただいておりますけれども、それは、相談内容を一緒に磨き上げ、私どもとして必要な法令とかネックになっている事柄をしっかりと調べて、それで具体的な支障を地方の現場の目線で出していただくと、それが制度改正の大きな後押しになるというふうに考えておりまして、なかなか、分権委員会、あっ、済みません、地方分権改革推進委員会の過去の勧告において廃止すべきとされたわけでありますけれども、政府としては引き続き存置をするということで、当時の分権一括法の見直し対象には載せていなかった項目が今残っているということでございまして、現時点における現場目線での具体的な支障を基にそれぞれ見直しについて検討はしてまいりたいと、こういう考え方から提案募集方式で重点募集テーマと設定させていただいたところであります。  この重点募集テーマにつきましては、類似する制度を一括して見直すための仕組みということでありまして、提案された具体の項目を含めて類似のものについて今後地方分権改革有識者会議で御議論いただきたいというふうに考えているところでございます。
  83. 西田実仁

    西田実仁君 地方の負担を減らそうということでやっているものが、かえって地方の負担を増やすということになってはいけないという視点で、地方の提案自体が別に悪いわけじゃありませんけれども、そういうこともよく配慮していただきたいという趣旨であります。  今日、お手元にお配りをさせていただきました、その内閣府が調べておられます、また結論が出ましたが、ホームページ上で公表されております計画策定に求めている規定の一覧を、A3の横で大きくございますけれども、見ていただき、二枚目になります。これはサンプルですので一枚だけを付けておりますけれども、実は物すごい大部にわたるものでありまして、それらを全部内閣府の方でお調べいただいたということで、その労作業に感謝申し上げたいというふうに思います。  これを見ていただくと分かるんですけど、左から法律の制定年ですね、それから法律番号、そして分野、こうあって、法律名、右の方に行くと条、項等とあって、閣法か議法かという、この計画策定においては閣法はもちろん多いんですが、議法も実は相当あります。そして、右側に計画等の名称があって、策定主体A、B、Cというふうに類型化されておりまして、先ほど来申し上げている、計画策定が義務付けされている、努力義務、できる規定と。Bは内容に関する、Cは手続ということで、右側に法定の財政支援等、どうひも付けをされているのかということまでお調べをいただいたわけであります。  ここですぐに気付くことは、その分野というのは、厚生、社会福祉と書いてあるんですけれども、まず所管の官庁がどこかということはこれでは分からない。そしてもう一つは、この計画の義務付けがどうだというのはこれで分かるんですけれども、じゃ、計画策定どのぐらいされているかという策定率というものはこの表からは分からない。まあ、それは調べていないということではないかというふうに思います。  しかし、この各計画の所管官庁あるいは計画ごと策定率が明らかになることによりまして、例えば自治体の大きさによる計画策定率の違いなどの策定格差が分かるなど、各計画必要性検討がより分かりやすくなるんではないかというふうに考えられますけれども、内閣府の把握の状況と今後の公表予定についてお聞きしたいと思います。
  84. 三ッ林裕巳

    ○副大臣(三ッ林裕巳君) お答えいたします。  今般の計画策定等に関する条項の把握は各府省の協力を得て行っておりますが、各計画等の策定率については把握しておりません。  各計画策定率については、議員御指摘のように見直し検討材料となり得るものとも考えられ、今後の見直し検討の中で必要に応じて把握や公表を検討してまいりたいと考えております。
  85. 西田実仁

    西田実仁君 是非お願いしたいと思います。  次に、この総務省の平成二十八年七月に行いました地域活性化に関する行政評価監視の勧告に対する改善措置状況について御指摘したいと思います。  この行政評価局行政評価監視によりまして、地域再生計画地域雇用創造計画というのがありまして、このちょっと似ているようなものについての計画書の書式の統一化でありますとか、府省による情報共有の仕組みの整備や手続の簡素合理化を行うようこの行政評価監視で勧告をして、実際に改善をされているという好事例がございます。この地域再生計画内閣府、そして地域雇用創造計画厚生労働省、それぞれでありますけれども、こうした複数の省庁が関わる場合については、例えば総務省行政評価局といった立場から調査や指摘を行うということが非常に効果的だという一つの好事例ではないかというふうに思うわけです。  よって、この計画策定の負担軽減という、そういうテーマにつきましても、総務省行政評価監視において調査を行うということは大変有意義ではないかというふうに思うわけですけれども、行政評価局長の御意見をお聞きしたいと思います。
  86. 白岩俊

    政府参考人白岩俊君) お尋ねの地域活性化に関する行政評価監視については、委員御指摘のように、地域再生計画などの策定に係る事務負担の軽減につながったものと考えております。  ここの有効と言っていただいたものにつながった最大の原因は、その施策を担当している省庁あるいは担当機関のところに立ち入って具体的に調べて、そしてそこに問題がある、改善の余地があるということを踏まえて、担当省庁にお願いして直していただいたと、こういうことであったと思います。  そこで、御案内のとおり、様々な施策において計画策定を求めるという手法を用いられておりますが、そして、そういう場合には、事務負担の軽減や他の計画との関連などという、調査すべき、検討すべき視点は我々評価監視のそうした立場からはあるものでございますけれども、その場合には、それぞれの施策の実情を把握した上で行うことも重要であろうと考えております。  総務省としては、当面、個々に行う調査において、様々、今日も御紹介いたしましたが、プログラムにいろいろなものを盛り込んでおりますけれども、そこにおいて、対象とする施策に計画策定を求める手法が用いられている場合、その事務負担の軽減といった課題についてもしっかりチェックしていくというような取組が当面はいいのかなと考えております。
  87. 西田実仁

    西田実仁君 是非そういう視点、観点を踏まえてお願いしたいというふうに思います。  次に、先ほどA3の横をお示ししましたが、その前のページ、一番最初のページには、縦長で、先ほど来から申し上げている策定に関する条項数の推移というものを載せさせていただいております。  全体を見ますと、平成十九年、この地方分権改革推進委員会の第二次勧告の基礎となったときでありますけれども、平成十九年から令和二年までを見ると、全体は三百二十三条項数から五百五と、この策定を求める数というのは一・六倍になっているんですね。その中身ですけれども、青は義務です。義務規定は減っています、二百二十七から二百二と。これ減っているんですけれども、努力義務は十八から八十七と四・八倍、緑のできる規定は七十八から二百十七と、できる規定は二・八倍と。この下には都道府県、市町村、同様の傾向がそれぞれ出ているわけでございます。  こうしたことを踏まえますと、いろんな改革、勧告が行われているんですけれども、これまでのこのやり方を繰り返していていいのかという問題意識を持ちます。  過去に行った義務規定に対するアプローチだけでは不十分であり、抜本的な手段を講じていく必要があるのではないか。複数の自治体で行う共同策定あるいは必要性の乏しい計画の廃止等を進めることも必要でありますけれども、例えば、努力規定やできる規定も含めた計画策定の全体の総量を決める、スクラップ・アンド・ビルドということになりますけれども、あるいは、以前この行政監視委員会参考人の方も御指摘をされておられましたけれども、総合計画との統合といった手法も考えられるのではないかというふうに思います。  そこで、副大臣に、この抜本的な改善策についての政府の見解をお伺いしたいと思います。
  88. 三ッ林裕巳

    ○副大臣(三ッ林裕巳君) お答えいたします。  計画策定の義務付けについては、地方分権改革推進委員会の第三次勧告を踏まえて、順次具体的な見直しを行ってきたところであります。  委員御指摘のように、計画策定の努力義務規定やできる規定が増加していること等を踏まえ、地方分権改革有識者会議において御議論いただきながら規定の見直しの在り方について検討してまいりたいと考えております。また、必要な内容が盛り込まれていれば一つの計画で法令上の複数の計画を兼ねることも可能であり、例えば既存の総合計画等の活用や一部変更により対応することも有効であると考えられます。  今後、類似の計画等の一体的策定など、地方の支障の解消に資するような運用面の改善も含め検討してまいりたいと考えております。
  89. 西田実仁

    西田実仁君 全国知事会の地方分権改革の推進に向けた研究会の報告書においては、こんな御指摘がある知事さんから寄せられています。法令だけではなく、通知等に基づいて計画等の策定を求める事例も存在している、こういうことなんですね。  こうした通知による計画策定の義務付けについては、政府はどこまで把握しているのかということをお聞きしたいと思います。具体的に言わなくても分かると思いますので、じゃ、その点をお聞きしたいと思います。
  90. 宮地俊明

    政府参考人(宮地俊明君) お答え申し上げます。  今般、内閣府におきましては、過去の地方分権改革推進委員会の勧告が対象としていなかった努力義務規定やできる規定も含め、計画策定等に関して義務付けなどを行っております法律の条項について把握を行ったところであります。  一方で、御指摘の、通知等に基づき計画策定を求めている事例については把握しておりませんが、通知等により要請される計画策定等についても提案募集の対象としているところでありまして、提案を踏まえ、見直しについて検討を行うことといたしております。
  91. 西田実仁

    西田実仁君 実際、この研究会の議事概要を見ますと、把握はしていないのかもしれませんけれども、ある知事さんの発言の中で、法令、通知、通達で計画を作れといったようなことで、最近では汚水処理適正化計画を作れと国の通知であった、これは下水道を整備するのか、あるいは合併浄化槽を整備するのか、その計画を見直せといったことがいきなり通知で来たが、これは本当に大きなお世話だという思いであるという、そういう議事録が載っております。  そうした意味で、把握はされていないのかもしれませんが、実際、現場の知事さんからそういう声を寄せられているわけですから、こうしたことも是非含めて検討していただきたいと思うんですね。  これ、なぜこういうことを言うかというと、過去を振り返ると、先ほど来から言っているように、義務規定は禁止されて、原則禁止になっているわけですよ。そうすると、今度、それが努力義務やできる規定に変わっていくと、それで結局残っちゃうと。今度、法律で義務付けが、もしかしたら通知による義務付けに形を変えて残っていくんじゃないかと。要は、地方の負担は減らないということが変わらないのでは意味がありませんので、そうしたことにならないように政府は慎重に目配りをしていく必要があるのではないかと考えますが、御見解をお聞きします。
  92. 三ッ林裕巳

    ○副大臣(三ッ林裕巳君) 法律による計画策定の義務付け等が見直されたとしても、通知等において計画等の策定を要請されることとなった場合には、地方公共団体にとって負担軽減にはならないものと考えられます。  したがって、法律による計画策定の義務付け等の見直し検討するに当たっては、地方公共団体にとって実質的に意味のある見直しとなるよう十分配慮することが必要と考えております。
  93. 西田実仁

    西田実仁君 是非お願いしたいと思います。  最後の質問ですけど、ずっと今日計画策定についてお聞きしましたけれども、そもそも計画策定することに目的があるわけでは当然ありません。計画策定して、そして実行して、より良い住民サービスを提供していくと、そういうことが目的になっていくわけであります。しかし、この計画策定が負担になりますと、国の意向に合わせて作文に終わってしまうという可能性もあるわけで、今御指摘しているわけであります。  したがって、次のステップとしては、まず計画策定に関わるいろんな負担を減らしていくということですが、計画に基づく評価政策見直しの在り方まで含めた視点や議論を行うことが重要でありまして、今回、内閣府でそうした計画の整理、見直しを行うことがあった、次のステップでは、そうした観点を含めて計画の質の向上につなげていくということが必要ではないかというふうに思いますけれども、最後に御見解をお聞きします。
  94. 三ッ林裕巳

    ○副大臣(三ッ林裕巳君) 地方分権改革における計画策定等の見直し検討に関する取組は、計画策定が負担となっているといった地方の声を踏まえ取り組むこととしたものでございます。  計画策定等に係る負担の軽減が図られることになれば、地方公共団体はこれまで以上に地域実情に応じた行政サービスの提供に注力することが可能となり、行政サービスの質の向上につながるものと期待しております。
  95. 西田実仁

    西田実仁君 終わります。     ─────────────
  96. 野田国義

    委員長野田国義君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、斎藤嘉隆君が委員辞任され、その補欠として宮沢由佳さんが選任されました。     ─────────────
  97. 梅村聡

    梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。  私、質問内容が島村委員と少しかぶってしまいましたので、少し省略しながら進みたいと思っておりますが、行政評価局が行った調査ですね、消費者事故対策に関する行政評価監視医業類似行為等による事故の対策を中心としてと、この結果報告書について御質問したいと思います。  先ほども質問がありましたように、要は、医業類似行為あるいはエステなんか受けた消費者の方が実際健康被害を受けられると。そうすると、その被害の状況というのは様々なところに情報が行くわけですね。保健所に行く場合もあれば消費生活センターに行く場合もありますし、場合によっては警察、救急で運ばれれば消防署と。そういうところから、一つは、消費者庁にきちっとそのデータが集まっているのかどうかと。そしてもう一つは、消費者庁がそのデータを分析して、厚労省を通じて保健所等に実際の指導、立入調査、こういったことをしっかりやりなさいと、こういうことがうまくワークしているのかと、これを調査したところだと思っております。  ですから、改めて、ちょっと質問かぶりますけども、一つは、消費者庁へ通知がどの程度、まあ数字ですね、どの程度行われていたのか。それから、厚生労働省から通じて、指導、事業者ですね、事業者への指導、これがどの程度行われていると判明したのか、これを改めて教えていただきたいと思います。
  98. 片岡進

    政府参考人(片岡進君) お答え申し上げます。  全国の消費生活センターに寄せられた相談につきましては、一元的に消費者庁の方に情報提供されることになっておりまして、そこで得られた事故情報については分析をさせていただいて、関係の省庁には注意喚起あるいは情報提供をさせていただいているという状況ではございます。
  99. 白岩俊

    政府参考人白岩俊君) 御質問、私どもの評価監視で把握した数値でよろしければということでお答え申し上げますが、まず、全体、一般に御質問でしたので、私ども調査したのは三十四の地方自治体なんですね。消費者行政担当部局、これは保健所と警察、消防を除いたものと考えてください、これの苦情の受付状況消費者庁へ通知したものについては、平成二十六から二十九で千三百十五件と承知しております。  一方、消費者庁への、保健所からですね、これ二十七、同じ期間ですが、二十七の保健所の事例しか私ども把握しておりませんけれども、残念ながら、そもそもその相談というか把握した件数が全体で百十四程度だったと思いますが、このベースでいって消費者庁への通知件数はゼロでございます。  それからもう一つ、消防も、今言ったように、くどくど申しませんが、全体として二百四十五の件数があった、相談等があったとして、通知が、消防からは、本部からはゼロでございます。  それから、あとは警察ですかね、いや、ごめんなさい、保健所と消防でございますね。  以上でございます。
  100. 梅村聡

    梅村聡君 要は、消費生活センターを通じてはある程度は行っているけども、保健所からは四年間でゼロだと、調べた範囲ではゼロだと。それから、消防署もゼロだと。資料を見ますと、警察署も、警察署を通じてゼロだと。だから、四年間やってゼロというのは、よっぽど知名度が低いか、若しくはよっぽどやろうという気が起こらないか、多分どちらかだと思うんですね。知名度が低いかどっちかだと思います。  それで、実は過去にもそういうことがないかなということでちょっと調べてみましたら、実は平成二十三年に消費者委員会が、少し分野は違うんですけども、エステ・美容医療サービスに関する消費者問題の原因、背景の調査というのを行っていまして、これも平成二十三年に建議が出されています。  この建議の内容を読んでみますと、消費者行政部局で把握したエステ等による健康被害情報が保健所等関係部局へ共有されておらず、当該情報活用されていなかったと書かれてあるんですね、この建議の中に。そしてさらには、法令に基づいた許可、届出がなされていない施設に対しては、健康被害等の情報を把握しても立入検査を行う権限はないものと考えている保健所があるということが、実は平成二十三年にもこれ明らかになっていまして、同じように、消費者庁とそれから厚生労働省にこの建議、健康被害等に関する情報の提供と的確な対応を踏まえてしっかり対応しなさいという建議が出されているんですが、これ、今と同じ形なんですね。  この平成二十三年のときのフォローアップというのは、消費者庁そして厚生労働省共にどのようにされたのかということを教えていただきたいと思います。
  101. 片岡進

    政府参考人(片岡進君) お答えを申し上げます。  平成二十三年の消費者委員会の建議を受けまして、消費者庁といたしましては、平成二十四年に、消費生活相談で寄せられたエステ・美容医療サービスの健康被害等については、消費者担当部局から適切に保健所等の衛生主管部局に対して情報提供を行うこと、また消費者に対して衛生主管部局の相談窓口を紹介することなど、消費者行政の担当部局と衛生主管部局の連携を図るよう都道府県等に対して要請をしたところでございます。  また、厚生労働省等と連携をして、エステ・美容医療サービスに係る被害の状況なども継続的に注意喚起もさせていただいてきているところではございます。
  102. 浅沼一成

    政府参考人(浅沼一成君) お答えいたします。  御指摘の平成二十三年の消費者委員会の建議では、美容行為であるまつげエクステンション等の施術により健康被害等が生じていると指摘されているところでございます。  この建議を踏まえまして、厚生労働省では、平成二十三年以降、地方自治体に対しまして複数回にわたり通知や事務連絡を発出し、まつげエクステンションの施術につきましては美容師法に言う美容行為に当たることから、美容師法違反のおそれのある事案に対し保健所の指導監督を徹底すること、また美容所等に対しまして衛生管理の徹底や利用者への十分な説明等の取組周知徹底することなどお願いして、安全、安心な施術の確保を図っているところでございます。加えまして、平成二十三年以降、まつげエクステンションによる危害を防止するため、地方自治体を対象に健康被害等の相談につきましても実態調査を行うなど、フォローアップにも取り組んでいるところでございます。  これらの取組を通じまして、引き続き消費者の安全、安心なサービスの利用に向けて努めてまいりたいと考えているところでございます。
  103. 梅村聡

    梅村聡君 ありがとうございます。  ちょうど十年前になるかと思うんですが、これが実は徹底できていれば、例えば消費者担当部局も、あるいは保健所も、あるいは様々な部局も、ああ、そういうことをやるんだなということが徹底できていれば、今回の調査のような結果には私はならなかったんじゃないかなというふうに思います。だから、これはもう繰り返しになるかと思いますけれども、しっかり今回の調査結果踏まえて各省庁でフォローアップをお願いしたいなというふうに思っております。  実は、平成二十三年のこのエステと美容医療サービスに関する消費者問題の調査が終わりまして、その建議を受けて、その後、エステや美容医療に関しては更に法律整備が進んでいきました。  具体的には、平成二十七年に美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議というものがなされまして、これを受けて、平成二十九年六月の医療法改正により、医療に関する広告規制の見直しというのが進んでまいりました。平成三十年には、医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針、いわゆる医療広告ガイドラインというのができまして、そっちの分野に関しては、広告規制であるとかそういった整備は進んできたんだと思います。  一方で、今回の調査に入っている医業類似行為につきましても、これは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告規制の在り方に関する検討会、これが開かれておりまして、広告規制に関しても同じように検討が進んでいるというふうに認識をしております。  この検討会が今八回開かれているんですけれども、ここでの検討状況をまず教えていただきたいのと、それから、この検討委員会が、令和元年の十一月に第八回が開催されて以降開催が止まっているという状況がありますけれども、この検討が止まっている理由についても併せて教えていただきたいと思います。
  104. 間隆一郎

    政府参考人(間隆一郎君) お答えいたします。  ただいま委員から御指摘のありましたように、医業類似行為のあんま、はり、きゅう、柔道整復等の広告について、検討会を開催して検討を進めてきたところでございます。  先ほど御紹介いただきました第八回というのは令和元年十一月になりますけれども、この検討会においては、厚生労働省から広告ガイドラインの骨子案をお示しをして御議論をいただいたというところでございます。その後も議論して、更に深めて取りまとめに向かいたいところでございますけれども、検討会においてなかなか関係者の合意形成が難しいという状況がございまして、それに加えて、これはまあ言い訳になりますけれども、新型コロナウイルス感染症に注力していたということもございまして、検討が、調整が十分進んでいなかったということは事実でございます。  私どもとしては、今後、可能な限り速やかに検討会開催できるように、更に調整を進めたいというふうに考えてございます。
  105. 梅村聡

    梅村聡君 一応、一年半止まっているということですので、これ国民とか消費者のためだと思いますので、是非そういう観点からは関係者の方としっかり合意点を見付けていただきたいなというふうに思います。それから、新型コロナということでしたら、是非オンライン会議を使っていただいて、検討会を前に進めていただきたいなというふうにも思います。  このときの資料を少し、第八回の資料を拝見させていただきますと、いろんな論点があるわけなんですが、消費者にとって誤解が生まないような広告をきちんとやっていこうと、こういうテーマだと思うんですけれども、その中の一つに、この資料の中では、柔道整復の施術所として整骨院という名称を用いて広告を行うことはできないんじゃないかという案が載っておるんですけれども、この理由は、厚生労働省としてどういう理由で提案をされたか、教えていただきたいと思います。
  106. 間隆一郎

    政府参考人(間隆一郎君) ただいま御指摘の点ですけれども、柔道整復の業務又は施術所に関して広告し得る事項につきましては、昭和四十五年の柔道整復師法制定当時の告示において、骨接ぎのみでございました。その後、昭和四十七年には、骨接ぎ又は接骨の用語が加えられたところでございまして、こういう告示上、法令上の用語としては、整骨という言葉は告示上には規定されていないということでございます。  こうしたことも踏まえて、御指摘の点について厚生労働省として提案を行ったと、こういう経緯でございます。
  107. 梅村聡

    梅村聡君 ですから、昭和四十五年に骨接ぎから始まって、その後、大臣告示で出してきたけれども、その中のワードには整骨という言葉がないので、だからこれが広告として使えるのかどうかという、そこで使えないんじゃないかという一つの論点として出されたんだと思いますけれども。  消費者側の立場からいえば、私が経験した中でも何例かあるんですけれども、実は、腰が痛い、首が痛い、肩が痛いというときに、その方に、そうしたら整形外科の先生のところに行ってきて、レントゲンでも撮ってもらってちょっと診断してもらったらどうかというふうに我々提案することが多いんですね。そうすると、帰ってこられまして、行ってきたけど整形外科の先生のところにはレントゲンがなかったと。いや、レントゲンぐらいは置いてあるん違いますかと聞いたら、いや、なかった、代わりにちょっと押してもらって帰ってきたってお聞きして、ああ、それは整骨院だったのかと初めて実は知ることがありまして、ということは、もちろん大臣告示でやっていないからという論点もあると思いますけれども、一般の特に高齢者の方は、整形外科の先生と同じ整うという漢字ですから、整骨院がなかなか、見分けるというか、認識の中では見分けることが難しいということも実は実際あるんですね。  実は、この医療法の第三条というものにはこういう文章があります。「疾病の治療をなす場所であつて、病院又は診療所でないものは、これに病院、病院分院、産院、療養所、診療所、診察所、医院その他病院又は診療所に紛らわしい名称を附けてはならない。」という、こういう規定というか、第三条の文章になっています。  つまり、これは何を規定しているかというと、医療をするに当たって、医療と間違えそうな名前のものは付けてはいけないということがこの第三条に規定をされていると思うんですが、そうしますと、やっぱり同じ漢字を使っているというのは、整形外科の医院と整骨院というのは、これ紛らわしいんじゃないですかね。  そういう観点から、実は紛らわしい名称になる可能性がこの法文上、ある可能性があるのか、いや、そこは全くないんだよというお立場なのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  108. 間隆一郎

    政府参考人(間隆一郎君) ただいま委員が御指摘になられた点、国民の皆さんから誤解のないようにするということが大事な点は全くそのとおりだと思います。  その上で、一番最初にお話がありましたその広告ガイドラインという、まあ何というんでしょうか、望ましい基準といいましょうか、そういうものと、それから、今先生が、委員が御指摘になられましたその医療法の三条のやっぱり法律の規制の話は、必ずしも同列には扱えない部分があるんだろうというふうに思っています。  その医療法の規定自体は、病院、診療所等と称することができるものを医療法上の規制の掛かった病院、診療所に限定することによって、国民の医療に対する信頼を確保しようとするものでございます。それが目的でございます。  現実問題として、実態として、整骨院という名前の入った、そういう柔道整復などの施術所が相当数あるというふうに承知をしております。この整骨院という名称、三つの三文字が入っていることでもって直ちに国民の皆様が、実際そういうケースはあるのかもしれませんが、先ほどの先生の、委員の御指摘の例だとまさにそれかもしれませんが、整形外科等の病院、診療所と勘違いされるとまではなかなか言えないのではないかなというふうに思います。  ただし、やはり名称の使い方、ほかの文字との組合せとかいうことによってはその紛らわしい名称に該当する可能性が考えられますので、国民の医療に対する信頼を損なわないようにするという観点から、個別具体的な事例も踏まえて慎重な検討をしていきたいというふうに思っております。
  109. 梅村聡

    梅村聡君 私は、やっぱり消費者とか患者さんの立場からこれ考えるべきだと思いますよ。供給側から、もう既に広がっていることだからといって決めるんじゃなくて、やっぱり患者さんがそれを見たときに間違わないかどうか、きちっとした施術なり医療が受けれるかどうか、その観点からこの法律というのは作られていて、ガイドラインというのは法律だけで割り切れないものを作っていくという話だと思うので、やっぱり法律をきちんと中心に考えていただくということを、これは厚労省として是非考えていただきたいなというふうに思います。  それでは、最後、消費者庁にも一つお伺いをしたいんですが。  こういう健康とか命に関わる事故が起きたとき、これがしっかり消費者庁情報が集まっていないということが今回分かりましたけれども、しかし、やっぱりたくさんの事例が集まって分析をするから正しい情報提供ができて、保健所も正しい指導ができるということだと思いますので、やっぱりこれは消費者にも、健康被害が起きたときには、最寄りの例えば保健所なり消費者センターなり、それから、まあ消防署にちょっと言うというのは緊急搬送のときだけだと思いますけど、きちっと消費者にそういうシステムがあるんだということをもう少し周知すれば更にこの仕組みはワークするんじゃないかなと考えますが、この点についての取組について、最後お伺いをしたいと思います。
  110. 片岡進

    政府参考人(片岡進君) お答えを申し上げます。  委員御指摘のように、都道府県等に対する相談が増加することによりまして都道府県等が把握する消費者事故情報の質及び量が充実することは、消費者被害の防止、拡大防止の観点からも消費者安全法の運用の強化につながるものというふうに考えてございます。  消費者庁におきましても、都道府県等及び関係省庁と連携をしながら、都道府県等が把握する事故情報の質及び量の充実に向けて、通知制度の徹底等を図っていきたいというふうに考えてございます。
  111. 梅村聡

    梅村聡君 より良い制度のために、これからもこの調査報告書が生きるようにお取組をお願いしまして、私からの質問を終わります。  ありがとうございます。
  112. 上田清司

    上田清司君 国民民主党・新緑風会、新緑風会の上田でございます。  先月の三月十一日に東日本大震災十年を迎えました。それ相応の復興もなされているところですが、大きな課題が残されたままであります。それは、福島原発事故のその後の処理についてであります。  私は、原発の解体処理のため、つまり廃炉のためにより優秀な技術者を残すために、安全な、最も安全な原子力発電を続行しながら一部の技術者が解体処理の方に回っていく、廃炉の作業に進めていくという過程が必要だというふうに思っている人間であります。  しかし、二〇一一年十二月に廃炉工程表が発表以後、その後、具体的に廃炉の工程並びに実際の作業がほとんど進んでいないと言わざるを得ません。また、原子力発電全体、三十廃炉を既に決定しているんですけど、ほぼ手掛けていないと。これは一体いかなる状態なのかということに、極めて大変重い宿題を私たちには課せられております。  政府だけではありません。当然、自分のところでは受けたくない、しかし中間貯蔵地も必要、最終処理地も必要、どうするんだという、この重い課題を真剣にやらなくちゃいけないんですが、何一つできていないということに関して極めて問題があると思いますので、改めてこれは、今日は質疑というよりは確認をさせていただきたいという思いでこの場に立っております。  まず、二〇一一年の十二月に廃炉工程表を発表後、いろいろ変更がありましたが、その後、工程表はどのようになっているのかということをまず伺いたいと思います。
  113. 江島潔

    ○副大臣(江島潔君) 上田議員御指摘のように、この中長期ロードマップ、これに基づいて現在この廃炉作業の進捗状況というのは進んでいるところであります。  このロードマップでありますけれども、廃炉作業を進める中で、いろいろ日々新しい事態、事象というものが判明することが多々あります。こういうものを踏まえまして、必要に応じてこの改訂作業というのも行ってきております。一番最近の改訂は、これは二〇一九年の十二月、このときに五度目の改訂をしております。その改訂の具体的な中身は、一、二号機の使用済燃料プールからの燃料取り出し工法、これの修正というものも行っております。それから、燃料デブリの取り出しを二号機から着手するという具体的な手順等を盛り込んでいるところでございます。  また、廃炉の進捗状況であります。なかなか、本当に十年たって、目に見える形でどんどん何かが、廃炉の中が整理をされていったという状況にはないので、なかなかもどかしいところもありますけれども、この中長期ロードマップというのは二〇四一年から五一年、ちょうど十年の幅がありますが、ここに向けてこの廃炉処置終了というのを目指していると、これは変わりないところでございます。  その中身でありますけれども、この使用済燃料プールからの燃料取り出し、これは既に三号機からは取り出しを今年の二月末に終了しております。また、ほかの残った号機からの燃料取り出しは鋭意進めているところであります。  それから、一番難しいとされている燃料デブリの取り出しでありますけれども、これは、デブリのある一号機、二号機、三号機、この中の炉内の調査を進めておりまして、目に見える形でどんどん進んでいるんではないんですけれども、確実にこれは一歩一歩廃炉作業というのは進めているという認識でございます。  これからも、まだこの調査を進める中で予見していなかったいろんな内部状況というのが出てくる可能性も十分あるわけでありますけれども、これに関しましては、引き続き、国が前面に立って廃炉作業を進めていく決意であります。
  114. 上田清司

    上田清司君 大まかに言っていただきましたが、一号機からの取り出しの工程はどのようになっているのか、そして四号、五号、六号に関してはどのようになっているのか、伺いたいと思います。
  115. 江島潔

    ○副大臣(江島潔君) それでは、使用済燃料、それからデブリ、燃料デブリ、それぞれ少し詳しくお話をしようと思います。  まず、使用済燃料でありますけれども、一号機から六号機の中で、まず三号機と四号機、これは既に取り出しを完了しております。その一番最近のものが、先ほど申しました、今年の二月に三号機が終わったということであります。  それから、一号機、二号機であります。これは、こちらの方は、現在はこの中の、炉内の放射性物質を含むこのダストの飛散を防止をする工事というのを今着手をしております。それが完了した後、二〇二四年度以降に取り出しを開始をするというスケジュールになっております。  それから、五号機、六号機。これは、全くこの事故発災当時は炉心溶融も起こしておりませんので、言わば一号機、二号機の取り出し作業の合間を見ながら燃料を取り出すと。比較的ほかの炉に比べると簡単な作業でありますので、こういう形で進めていこうと思います。  この燃料に関しましては、このように一号、二号、三号、四号、五号、六号でそれぞれプロセスが違いますけれども、いずれにしても、これから十年以内、二〇三一年までに燃料、使用済燃料は全部取り出しをする予定です。  それから、燃料デブリの方であります。これは……(発言する者あり)よろしいですか。はい。
  116. 上田清司

    上田清司君 使用済燃料の取り出しの件は分かりました。  この使用済燃料の共同プールへの移転を一旦するわけでありますけれども、その後、どういう処理の仕方を考えておられるのか。
  117. 江島潔

    ○副大臣(江島潔君) まず、この使用済燃料プールから取り出したものでありますけれども、これは共用プールというものを設けておりまして、そちらに保管をしております。また、共用プールが今現在かなりもう容量が満杯に近づきつつありますので、この中から、保管されている、比較的もう温度の下がっている燃料の一部は、今度は乾式キャスクの仮保管設備というものに移送いたしまして、適切に現在保管をしているところであります。  その先でありますけれども、今後更に取り出し燃料が増えてまいりますので、それに応じて必要な保管設備というものは、このいわゆる乾式キャスク等を増設をして引き続き保管をしていこうと考えております。
  118. 上田清司

    上田清司君 保管設備は一号機から六号機までのこの位置に造るということですか、増設される保管部分というのは。
  119. 新川達也

    政府参考人(新川達也君) 福島第一原発におきまして、乾式キャスクによります仮保管設備につきましては、現在、福島第一原発の敷地の中に造っておるというところでございます。更に増設をしていくということにつきましても、現時点では、福島第一原発の敷地の中に増設をしていくということを念頭に置いております。
  120. 上田清司

    上田清司君 次に、デブリの総量、これ誰も見ていないわけですよね。ロボットとかで追っかけて見せたり見たりしているわけですけれども、多分誰も見ていないし、測ってもいないので分かりづらいところですが、総量としてどのくらいを意識というか推定されているのか分かりますか。
  121. 江島潔

    ○副大臣(江島潔君) もう御指摘のとおり、まだ現状把握を完全にできているわけではないので、確定的な数字ではないんですが、国際廃炉研究開発機構という組織が、この燃料デブリが存在する一号機、二号機、三号機、三つあるわけですけれども、ここで合わせて八百八十トン程度であろうという試算を出しております。
  122. 上田清司

    上田清司君 これも管理しなければいけないわけですが、この管理については具体的にどのように考えておられるのか。
  123. 江島潔

    ○副大臣(江島潔君) これを取り出しました後は、これはまず容器に収納いたしまして、そして福島第一原発の発電所内に整備をして、そこで安全に保管を行うことという予定にしております。
  124. 上田清司

    上田清司君 幸いにして、東日本大震災以後、それ相応の地震などはありましたが、いわゆる東日本大震災級の地震や津波はありません。祈るような思いです。もし同じようなことが起きたら、また同じようなことが起きるわけですね。当然、ここにあるわけですから、処理もしていないわけですから。  そして、汚染水の言わば、ドラム缶ではありませんが、ドラム缶よりもっとでかいやつが相当数、本数数えておりませんけれども、あの敷地いっぱいあって、それも押し流されて太平洋に流されて、場合によればサンフランシスコに到着すると。また、汚染土も、せっかく表土を削っていっぱい集めておりますけれども、これも一緒に流されてしまうということになります。  時は急いでいます。もちろん、中間貯蔵地をどこに置くかとかということの課題もありますし、最終処分をどうするかという課題についても、これはやっぱり、本当に日本中の科学者を集めて真剣に議論して、いつまでに結論を出すというようなお尻を決めないと、期限を決めないと、だらだらと行っていきます。そのうちに東日本大震災級のものが起きたら、もう取り返しが付きません。  そういう意味で、是非期限を決めていただきたいというふうに思うところですが、今その結論が出るわけじゃないということですから、それは申し上げません。結論を出せと申しませんが、きちっと物を申したいと思います。  また、あわせて、関連になりますけれども、十年間汚染水をため続けてきたわけでありますけれども、これはどう処理するのか。汚染土の処理もどうするのか。これは、デブリの処理や使用済核燃料に比べればまだ重さが違いますね。これすらもできないというんだったら、全くできないですよね。どういうふうにして処理をするのか、今のところどのような構想の中で考えておられるか、教えてください。
  125. 江島潔

    ○副大臣(江島潔君) 今御指摘にありましたこのALPS処理水の問題でありますが、これは非常に慎重に時間を掛けて、様々な関係団体の御意見をいただきながら今取り組んでいるところでございます。  本当に、これは風評被害等発生し得る可能性が十分ありますので、慎重な上にも慎重を重ねて丁寧に議論をしてきたんですが、一方で、これは敷地が逼迫しておりまして、先ほどのタンクに関してはもう既に千基ございます。これが今林立している状態でありますので、もうその敷地的にはこれはもうタンクの増設の余地がほとんどなくなっているという中で、いつまでもこの方針を決めずに先送りはできない問題となっております。  丁寧な議論というのはもちろんでありますけれども、適切なタイミングをもって、このALPS処理水に関しましても責任を持って結論を出していくつもりです。  汚染土に関しましては、これはやっぱりこの発生量とそれから廃棄物のこの全体像というものをしっかりと把握した上でこの処分施設の仕様等を決めていかなければいけないところでありまして、現在ではこの瓦れき等の放射性物質の分析を進めているところであります。  これは、廃炉作業の進捗がしていく過程で全体像というものを把握ができていくというところで、今現在におきましては、この中長期ロードマップの中の一つのこまとして今予定をしているところでありますが、まだ正式、これぐらいの設備のものをいつ造るという最終確定にまで至っておりません。
  126. 上田清司

    上田清司君 時間が参りましたので、今日はこのところで終わりますが、安倍一強、七年八か月の安定政権のときにこういうものを確定的にきちっと締めて作業を進めていかないと、なかなか新しい政権ができるたびにこんなことをするというのは困難だと思いますので、返す返すも私は残念に思っています。強いときにこういうものをたなざらしにしたままほっておいたことを極めて残念に思いますが、しかし、今の回答の中でも、ある意味ではばくっとした話であります。何一つ決まっていないと言っても決して否定できないものだと思っています。  早急に関係の科学者を集めて本当の処理の仕方をするための会議を起こしていただきたいと思っておりますことをお願いして、終わります。
  127. 吉良よし子

    吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。  質問に入る前に、やはり総務行政の根幹に係る総務省接待問題について一言申し上げておきたいと思います。  認可権限などに関わる幹部官僚や大臣、副大臣、政務官に対する高額な接待が繰り返され、行政がゆがめられたのではないかという疑念は、国会審議を通じてますます深まり、行政そのものに対する国民の信頼が大きく揺らいでいるわけです。幹部官僚の辞職で終わらせず、事実の徹底解明、真相の究明こそ必要であると、このことを指摘しまして、質問に入りたいと思います。  今日は、国主導で進められている公立病院改革について伺います。  この間、国は、平成二十七年、二〇一五年に新公立病院改革ガイドラインを示し、公立病院の再編や経営形態の見直しという名の独法化、公立病院独法化などを進める公立病院改革を地方に促しています。  このガイドラインは、プランの期間を令和二年、二〇二〇年度までを標準だと示しているわけですが、既に二〇二〇年度は終わり、四月から二〇二一年度始まっているわけですが、この二〇二一年度以降、このガイドラインはどうするのか、政府参考人、お願いします。
  128. 内藤尚志

    政府参考人(内藤尚志君) お答え申し上げます。  今お話ございましたように、平成二十七年三月に策定いたしました現行の新公立病院改革ガイドラインにつきましては、各公立病院におけます改革プランの標準期間を令和年度までとしておりましたことから、令和年度中の改定を予定しておりましたけれども、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえまして、現行ガイドラインの改定等を含む取扱いにつきましては、その時期も含めて再整理するとしたところでございます。  今後、厚生労働省における新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた地域医療構想の考え方、進め方も勘案しながら、持続可能な医療提供体制の確保に向けて公立病院が地域において担うべき役割などにつきまして議論を重ねまして、新公立病院改革ガイドラインの改定等について検討してまいりたいと考えております。
  129. 吉良よし子

    吉良よし子君 先ほど、新型コロナウイルス感染症の対応を踏まえて再検証と。  地方財政審議会は、この厚労省の動きを踏まえて、公立病院が地域で担う役割について、今般の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえて再検証する必要があると考えられると指摘し、ガイドライン取扱いについても再検討すべきと書いているわけですけれども、つまり、新型コロナ感染症の拡大を受けて、これまでのガイドラインを抜本的に見直すと、そういうことでよろしいでしょうか。
  130. 内藤尚志

    政府参考人(内藤尚志君) お答え申し上げます。  先ほど御答弁申し上げましたように、新型コロナウイルス感染症への対応、これらを踏まえて、感染症対策も盛り込むような形で現行のガイドラインの改定等について取り組む必要があると考えております。
  131. 吉良よし子

    吉良よし子君 感染症対応を踏まえて、盛り込んでと言いますが、私は、この新型コロナ感染症拡大を受けて、やはりこの公立病院改革見直すべきだと、抜本から見直すべき政策だと思うわけです。何より、このコロナ感染拡大が進む下で、公立病院、地域の公立病院の重要性、役割の重要性はいよいよ際立っていると思うんです。  例えば、東京の例を示しますけれども、東京都の場合、都内のコロナ病床の三五%が都立病院、公社病院の病床になっていると。都内には大学病院始め民間大病院など六百数十施設あるんです。都立・公社病院というのは合わせて十四病院。それがコロナ対応の中核を担うという状況なんですね。  やはり、これを見ても、感染症対策という観点から、公立・公社病院の役割、いよいよ重要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  132. 武田良太

    国務大臣武田良太君) 多くの公立病院の皆さんが新型コロナウイルス感染症患者を受け入れているところであり、公立病院は感染症対策において大変重要な役割を担っていただいておると認識をいたしております。
  133. 吉良よし子

    吉良よし子君 重要な役割担っていると大臣の答弁もありました。  ここで、先に独法化について伺いたいんですけれども、この新型コロナ感染症対応の病床確保で役割を果たしてきたのが公立病院ですけど、その障害となるのが先ほどのガイドラインで示されている経営形態の見直し、公立病院の独法化なんです。  昨年八月の段階で、東京都は、都立・公社病院で新型コロナ対応の病床を計一千床確保する方針を示していたと。しかし、既に独法化している医療センターは都の医療政策に直接位置付けることができないため、そのコロナ対策については要請、お願いにとどまると。結果、重症患者用にこの医療センターに対して三床確保を依頼していたけれども、実際にその独法化した医療センターで確保されたのは二床にとどまってしまった。独法化したことがこの病床確保の障害になっている。  病床確保をちゃんとしていく上では、公立病院の独法化始めとした経営形態の見直し自体やめるべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  134. 武田良太

    国務大臣武田良太君) 新公立病院改革ガイドラインにおいては、公立病院の経営形態の見直しについて、地方公営企業法の全部適用、地方独立行政法人化、指定管理者制度の導入などを選択肢として示し、その検討を要請しております。  各公立病院の経営形態に関しては、地域実情や公立病院の置かれた現状を踏まえ、地域医療の確保や経営の安定化などの観点から、各地域においてその在り方を検討していただくことが重要であると考えております。
  135. 吉良よし子

    吉良よし子君 各地域においてとおっしゃいますけど、こういうガイドラインまで示されて、国主導で進められている問題だからここで質問しているわけですけれども。  実際、先ほど御紹介した病院は、独法化してから病院全体の四分の一の病室を個室にして百六十一床も削減しちゃったと。だからコロナ対応もかなり難しくなってしまったという事態が起きているわけですね。  一方で、都立・公社病院はかなり頑張っていると。今年に入って都立・公社病院では、更に新型コロナ患者専用病床を千百床から千七百床に増やすということの対応をしていると。都立広尾病院では、基本的に新型コロナ以外の診療、入院を休止、公社荏原病院、豊島病院も基本的に周産期と精神科救急を除いて新型コロナ以外は休止という対応を取ったと。急増していたコロナ患者の病床確保、これ都立・公社病院だからできた対応だとも言えると思うんです。  ただ一方で、問題も出ていて、広尾病院で出産予定だった人、突然病院を替わることを余儀なくされたと。広尾病院で出産予定だった妊婦二百人、ほかの病院探すように連絡受けた。今年一月末に出産予定だった女性は、一月九日に広尾病院の担当者から、担当医から、うちでは分娩できないのですぐほかの病院探せと言われて、探したけれども、都内の民間病院の分娩費用は高過ぎると、結局都内での出産諦めたという事態が起きています。  出産というのは、軽い陣痛から始まって時間掛かるものもあれば、突然破水して急激に進むという場合もあるわけで、そういう意味では、できる限り近くの病院で分娩できた方がいいわけですけれども、それができなくなってしまった。もうその心労、負担は計り知れないわけです。  この事態が引き起こされた背景に何があるかというと、やはり東京都でこの間、都立病院の再編が進められたということがあるんだと思うんです。この間、十六あった都立病院、八病院と半減してきたんです。もし以前と同じ十六病院あれば、たとえ一部コロナ専門病院となったとしても、都内の都立病院への転院で何とか済ませられたかもしれない。  そういう対応ができなくしてしまうのがこの再編だと言えるわけですけど、これもガイドラインの中で再編・ネットワーク化を進めるんだと書いてある。やっぱりこれもやめなきゃいけないと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  136. 武田良太

    国務大臣武田良太君) 公立病院が厳しい経営状況や深刻な医師不足に直面する中、救急・災害医療など公立病院が担うべき地域医療を適切に確保する観点から、公立病院の再編、連携を進めることは大変重要な課題と認識しております。  このため、従前より公立病院の再編・ネットワーク化を要請してきたところであり、今後とも公立病院が担うべき役割を果たし続けていくためには必要な取組と考えております。
  137. 吉良よし子

    吉良よし子君 必要って、再編が進んだことで本来担うべき地域病院の役割が果たせなくて、実際に多くの妊婦が路頭に迷う事態になったわけですよ。  コロナ感染症の対応ももちろん必要ですよ。と同時に、通常の病院の機能だって、役割だって果たさなきゃいけないと。そういう感染症対応だけじゃなくて、それぞれの地域で必要な医療を提供する役割をちゃんと果たす、そのためにも再編・ネットワーク化やめるべきじゃないですか。大臣、もう一度、いかがですか。
  138. 武田良太

    国務大臣武田良太君) 先ほども申しましたように、やはり公立病院というのは非常に経営が厳しいところが多いんですね。こうした問題をどうやっていくのか。また一方で、深刻な医師不足にも悩まされているんです。こうした問題をどうやって解決していくのか。そうした複雑な問題が存在する中にもかかわらず、こうした病院というものの役割をしっかりと担っていくために、我々はこの取組を進めているまでの話です。
  139. 吉良よし子

    吉良よし子君 いや、だから減らすというの、私、理解できないんですね。不採算部門を含めた必要な医療を守る、それが公立病院の役割なんですよね。  だから、そこに一般会計から繰入れなどしていく、そういう対応も取っていると思うんです。地域の医療を守るというためにはそれやることだし、それで再編していって縮小していったら本当に必要な医療が届かなくなってしまう。この不採算部門も抱えるのが公立病院なのに、そこで再編・ネットワーク化のみならず経営の効率化で黒字化目指せと言っていることも、かなり公立・公社病院を追い詰めていると思うんですが、これもやめなきゃいけないんじゃないか。そういう採算化、経営の効率化を目指すというやり方自体が間違っているんじゃないですか。大臣、いかがですか。
  140. 武田良太

    国務大臣武田良太君) 公立病院には、やはり救急や災害医療など地域に必要な役割を果たしている一方、厳しい、先ほども申しましたように、経営状況に直面しております。地域に必要な医療をしっかりと提供していくためには、経営の効率化を努める必要があると思っております。経営の効率化に努めることにより経営基盤というものを強化して、公立病院に期待される役割というものを果たし続けていただきたいと、このように考えております。
  141. 吉良よし子

    吉良よし子君 経営の効率化といいながら、結局は妊婦二百人が路頭に迷うという事態になっているわけですよ。それじゃ地域医療が役割果たしているとは言えませんよね。やっぱりそういう事態を生まないように、どんどんとにかく再編だとか効率化だと、黒字化だと、こうやって迫るんじゃなくて、それぞれの地域の病院を守り抜く、たとえ不採算であっても守り抜く、そういう姿勢が求められているんじゃないですか。  やっぱり、こういう公立病院改革、とにかく経営の効率化を目指す、再編・ネットワーク化だと、経営形態の見直しだ、独法化、進めるようなやり方は、やはりこの新型コロナ感染症が広がる下ではやめるべき、ガイドライン、もう見直しというか、中止、やめてしまうべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
  142. 武田良太

    国務大臣武田良太君) 公立病院改革の目的というのは、その病院が安定した経営の下で、救急や災害医療などの不採算医療を提供する役割を継続的に担うことにより、持続可能な地域医療提供体制の確立を図ることであります。  この公立病院改革の目的は、医師不足が更に懸念される今後においても重要な課題であると認識しておりまして、総務省としては、今後とも持続可能な地域医療提供体制を確立すべく努めてまいりたいと考えております。
  143. 吉良よし子

    吉良よし子君 医師不足なんておっしゃいますけど、そもそも厚労省が医師を増やしてこなかったことが、それ最大の問題ですよ。安定した経営と言いますけど、公立・公社病院は不採算部門であってもとにかく地域の医療を守る、そういう役割を担っている病院であって、たとえ赤字になってもそれを政治がちゃんと守り抜くと、それこそが政治の役割だと私は思うし、その政治の役割を放棄して、効率化ばかり進めて必要な医療が提供されない、そういう事態を各地域に生み出すようなことはあってはならない、そのことを申し上げて、質問を終わります。
  144. 伊波洋一

    伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  本日は、最低賃金の引上げが社会の底上げになり、日本のGDPの成長にもつながるということを提起したいと思います。  現在、コロナ禍により失業や貧困の問題が深刻化するとともに、第二次安倍政権以降の日銀緩和もあって、株式や金融商品の高騰などコロナバブルが同時に進行しています。世界的にもコロナ禍が貧困と格差を広げさせていることが指摘されています。  私は、最低賃金を引き上げて社会の底上げをすることがアフターコロナの社会再建の鍵になると考えます。二〇一九年十一月の本委員会でも、沖縄県を例に、最低賃金を引き上げ全国一律化すべきだと問いました。しかし、政府は、中小企業の労働コストが増加して経営が圧迫され雇用が失われるなど、後ろ向きの答弁でした。  骨太方針二〇二〇では、「賃上げに向け、日本経済全体の生産性の底上げや、取引関係適正化など、賃上げしやすい環境整備に不断に取り組みつつ、最低賃金については、より早期に全国加重平均千円になることを目指すとの方針を堅持する。」としています。  まず、内閣府に確認します。労働生産性とはどのようなものでしょうか。
  145. 村山裕

    政府参考人(村山裕君) 労働生産性について御質問いただきました。  労働生産性とは、概念的には、労働投入量一単位当たりの生産量を意味するものでございます。その具体的な指標といたしましては、分析の目的や手法に応じまして様々でありますが、代表的なものといたしましては、実質GDPを就業者数で割ったものというものが挙げられると考えております。このうち、分子に当たるGDP、これは一国の付加価値の総和を示すものでございます。ここでいう付加価値とは、産出額から中間投入額を差し引いたものを指すものでございますが、この付加価値について分配面から見た内訳には、人件費に相当する雇用者報酬や企業の所得となる営業余剰、間接税等が含まれるところでございます。
  146. 伊波洋一

    伊波洋一君 ただいまの説明、分母には頭数なんですね、労働者。分子の付加価値には人件費が入っている、つまり支払は付加価値であるということなんですね。  経済学の教科書によれば、付加価値とは労働、資本、土地といった基本的生産要素への報酬であり、労働者の賃金、企業の利潤、借入金の利子、地代、家賃である、ということです。企業活動の成果として製品に注目しがちですが、企業活動の創造する最大の付加価値は雇用者報酬、すなわち賃金です。そして、この報酬、賃金こそが地域社会や経済を動かす原動力の血液となるのです。そのことを指摘しながら質疑を続けていきます。  沖縄県では、賃金水準が低いことが社会問題化しており、県民の低賃金が貧困問題の最大の要因の一つであると指摘されています。この低い賃金水準を引き上げるためには全国でも最下位レベルの労働生産性を引き上げる必要があると、それでは労働生産性を向上するにはどうすればよいか、という論理の流れで語られてきました。  特に、サービス産業の割合の高い沖縄では、労働生産性の向上には限界があり、そこで賃上げの取組もストップしてしまうという傾向がありました。このように、労働生産性を上げなければ賃金を上げることはできない、賃金を引き上げるには労働生産性を上げる必要がある、とか、労働生産性を上げることが賃金引上げの前提である、という考え方、つまり、労働生産性と賃金が因果関係にあるという考え方が、主流になっているように思われます。  諸外国では、労働生産性の上昇が最低賃金の上昇よりも先行しているかというと、必ずしもそういうことではありません。逆に、最低賃金の引上げが労働生産性の上昇を牽引しています。  配付してあります資料三ページ目は、労働政策研究・研修機構のデータブック国際労働比較二〇一九などを基にして私が作成した資料ですけれども、これを見ても最低賃金が引き上げられていることが分かります。二〇一〇年時点で、豪州、英国、米カリフォルニア州は最低賃金が日本より高く、さらに、この十年間で毎年日本より増加率が増えております。低かった韓国は、いよいよ日本と肩を並べるようになりました。  日本政府は、賃金と労働生産性の関係について因果関係と捉えているのでしょうか、それとも相関関係と捉えているのでしょうか。
  147. 茨木秀行

    政府参考人茨木秀行君) お答え申し上げます。  労働生産性と賃金の関係につきましては、労働生産性の向上によりまして賃上げの原資を生み出して賃上げがしやすくなるという面もございますけれども、他方で、賃金相場の上昇が企業に労働生産性向上への努力を促し、労働生産性を向上させるという面もあるというふうに理解をしておりまして、両者の関係の方向性、どちらからどちらに影響が、因果関係があるかということについては一概に申し上げられないのかなというふうに認識をしております。  具体的には、企業が製品、サービスの開発によりまして新たな付加価値を生み出し労働生産性を向上させれば、従業員に還元できる原資が生み出されて賃上げにつながるということは考えられる一方で、企業が賃上げを積極的に行うことで従業員がやる気を高め、技能向上や創意工夫を行うということで生産性向上につながるということもあろうかと考えております。
  148. 伊波洋一

    伊波洋一君 政府は、少なくとも、賃金を上げるために労働生産性を上げなければならない、あるいは労働生産性向上が賃上げの前提条件であるという考え方は取っていないというふうに理解してよろしいですね。
  149. 茨木秀行

    政府参考人茨木秀行君) お答え申し上げます。  具体的には、経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇、いわゆる骨太方針でございますけれども、ここの中におきましては、経済の好循環継続の鍵となる賃上げに向けて、日本経済全体の生産性の底上げ、取引関係適正化など、賃上げしやすい環境整備に取り組むという旨を記載をしておりますけれども、この点について、必ずしもこれがその前提条件であるとかそういった趣旨ではありませんで、生産性向上と賃上げ、双方に取り組むことが重要であるという趣旨であるというふうに理解をしてございます。
  150. 伊波洋一

    伊波洋一君 先ほど、企業活動が生み出す付加価値に人件費が含まれるということを確認しました。付加価値を高めるためには、この人件費を高くして、高い価格を支払えるような購買力をつくり上げていかなければなりません。そのためには、労働生産性の向上を前提条件とするのではなく、賃上げを出発点に、その結果として賃上げが商品の価格に転嫁され、その引き上げられた価格の商品を購入できるだけの賃金を保障していく、そのことによって個人消費が盛り上がっていく、こういうサイクルこそが経済成長につながる好循環ではないでしょうか。  確かに、価格に転嫁できるかどうかは重要な問題で、最終的に賃上げされた給与は購買力になりますから、長期的には賃上げが転嫁された値上がりした価格でも消費者が購入することになり、そこで均衡が生ずるにしても、短期的には企業に対する激変緩和や段階的なギャップを埋めるための支援が必要になると考えられます。  このような検討こそ必要と考えますが、いかがでしょうか。
  151. 和田義明

    大臣政務官(和田義明君) お答え申し上げます。  新型コロナ感染症の影響から日本経済を回復させ、デフレに後戻りさせることなく民需主導の成長軌道につなげる上で、賃上げの流れの継続が重要というふうに認識をしております。  労働生産性向上と賃上げの関係については一概に言えないものと考えておりますが、労働生産性の向上と賃上げの双方に取り組むことが重要だと考えております。  生産性の向上については、政府として、デジタル化への集中投資等、成長戦略の着実な実行を通じて生産性の向上に取り組んでまいります。中小企業の生産性の向上については、ものづくり補助金等、二〇一九年度補正予算におきまして三千六百億円を確保し、新型コロナ感染症の影響を受けた二〇二〇年度は三度の補正予算で四千億円を確保して取り組んでおります。  他方の賃上げにつきましてですが、昨年十二月の経済財政諮問会議において、総理が賃上げの流れの継続について述べられ、西村大臣も経団連に直接働きかけを行っておりました。今年一月に公表された経団連の経労委報告では、持続的な生産性向上実現の中で、賃金引上げのモメンタム維持が望まれるとされたところであります。  今年度の税制改正では、雇用増や賃上げなど、所得拡大を促すための税制措置を講じるなど、賃上げの流れの継続を図ってまいりました。加えまして、賃上げの流れの継続には、企業が人件費の上昇を価格に転嫁できるような環境の整備も重要だと考えております。  政府としては、下請取引の適正化などに取り組んでまいりましたが、昨年、西村大臣と梶山経済産業大臣の共催で、未来を拓くパートナーシップ構築推進会議を開催し、経団連、日本商工会議所、連合の代表が参画し、大企業が中小企業とのパートナーシップの構築を宣言する仕組みを構築しました。こうした取引も、中小企業が人件費の増加を価格に転嫁しやすい機運を醸成し、賃上げの流れの継続につながることを期待しております。  いずれにしても、政府としては、労働生産性の向上や賃上げなどによる経済の好循環、これを実現できるよう、経済財政運営にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  152. 伊波洋一

    伊波洋一君 先ほど申し上げましたように、賃金は付加価値の中に入っているんですね。分子の中にありますから、分母が一緒であれば当然生産性は向上しますよ、割っていけばできるんですから。このように、賃金を引き上げていくために最低賃金を引き上げていくことが大変重要です。  現在、最低賃金ないしその近傍で働いている労働者の数、年間労働時間、年収はどのくらいですか。
  153. 小林洋子

    政府参考人(小林洋子君) お答え申し上げます。  厚生労働省では、最低賃金の引上げの影響を受ける労働者、つまり給与が改定された後の最低賃金額を下回ることとなる労働者の割合を影響率として毎年公表しているところでございます。  五人以上の事業所における令和年度の影響率は六・〇%となっております。この影響率を基に、直近の平成二十八年経済センサス活動調査の雇用者数五千万人を、最低賃金の影響を受ける労働者数を機械的に計算、五千万人を掛けて最低賃金引上げの影響を受ける労働者数を機械的に計算しますと、約三百万人になります。  なお、最低賃金に近い賃金水準で働く労働者の年間労働時間や年収につきましては、現在公表されている統計調査からは把握することができない状況でございます。  以上でございます。
  154. 伊波洋一

    伊波洋一君 三百万人もいるということです、近傍だともっといるでしょうね。  年間労働時間、年収のことは計算されていないということですが、時給が今最低が七百九十二円です。二〇一八年の労働時間が千六百八十時間ですから、百三十三万なんですね。その最低賃金で働く人たちの給与だけの、賃金だけの年収は。そうしかなりません。つまり、まさに最低賃金労働者というのは年収二百万にも満たない、いわゆるワーキングプアの状態なんですね。このような最低賃金が、賃金水準全体の下方圧力となって、日本の低い賃金水準が定着するような大きな要因になっていると考えられます。結果として、成長しない日本が持続するわけですね。  配付資料のように、諸外国では計画的に最低賃金を引き上げてきました。米国やイギリス、韓国、オーストラリアなどは、この間、政策的に最低賃金を引き上げているんです。それによって経済成長を図るという政策です。  一方、日本では、最低賃金については、骨太方針二〇二〇で、賃上げに向けて、日本経済の生産性の底上げや、取引関係適正化など、賃上げしやすい環境整備を不断に取り組み、最低賃金について、より早期に全国加重平均千円になることを目指す、としていますが、政府は最低賃金千円をどのように実現するのでしょうか。また、実現の目標年次はいつですか。
  155. 小林洋子

    政府参考人(小林洋子君) お答え申し上げます。  最低賃金の千円、どのように実現するかという御質問でございますけれども、今先生お読みになられました骨太方針に書いてございますように、経済の好循環の鍵となる賃上げに向けて、日本経済全体の生産性の底上げ、取引関係適正化など、賃上げしやすい環境整備に不断に取り組みつつ、最低賃金について、より早期に全国加重平均千円になることを目指すということでございます。  この全国加重平均千円の目標を達成する具体的な時期というのは示されていないところでございますけれども、政府としては、環境整備に取り組みつつ、より早期に全国加重平均千円になることを目指してまいりたいというふうに考えております。
  156. 伊波洋一

    伊波洋一君 政府のこの最低賃金施策は審議会任せなんですね。つまり、明確な政策意図がない。  三月二十二日にも菅総理は、そういう三度目のこの千円の話をしましたけど、二〇一九年以来、二〇二〇年、二〇二一年。それで、結局、本当にそのまま放置していたら、そういうことが殻を破れないと思うんですよ。  少なくとも、何年以内に実現すると目標年次を定めるべきではありませんか。
  157. 小林洋子

    政府参考人(小林洋子君) 地域別最低賃金の決定方法についてなんですけれども、まず、最低賃金法で、労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払能力、これを考慮して、公労使三者から成る最低賃金審議会において議論して決定することとされていることでございます。  このように、最低賃金の引上げ幅については、またその時期についてはその時々の、最低賃金の引上げ幅につきましてはその時々の経済状況や雇用情勢を踏まえて決定をしておるということでございますので、なかなか目標の具体的な達成時期をお示しすることは難しいというふうに考えてございますが、いずれにいたしましても、政府といたしましては、賃上げしやすい環境整備に取り組みつつ、より早期に全国加重平均千円となることを目指してまいりたいというふうに考えております。
  158. 野田国義

    委員長野田国義君) 時間が参りましたので、まとめてください。
  159. 伊波洋一

    伊波洋一君 時間が来ましたのでまとめます。  韓国では、文在寅政権が最低賃金を三〇%近く上げたため、導入当初は一時的に企業による若年労働者の雇用情勢の悪化が言われましたが、現在ではその影響も脱し、日本の二倍を超える経済成長を記録しています。OECD調査によれば、平均年収を見ても、二〇一九年に韓国は二十位、日本は二十五位です。既に日本より上回っています。何らかの施策の展開が必要です。次回の委員会でまた質疑をさせていただきます。  ありがとうございました。
  160. 浜田聡

    浜田聡君 浜田聡です。所属政党はNHK党、参議院での所属会派はみんなの党です。最後の質問です。委員長武田総務大臣、そして総務省の皆様、よろしくお願いいたします。  この参議院行政監視委員会ですが、審議内容の一つとして総務省行政評価等プログラムがあると承知しております。この委員会の冒頭にも御説明いただきましたが、令和年度行政評価等プログラムは現在既に公表されており、私も拝見させていただきました。その中に、令和年度行政評価局調査予定テーマとして、十三テーマというのがあります。  ここで、その中のテーマのうち二つ取り上げたいと思います。それは、独り暮らしの高齢者に対する見守り活動、もう一つが外国人の日本語教育というものでございます。  この二つ、私の所属政党であるNHK党にとって極めて重要だと考えます。それ、なぜかといいますと、NHK委託業者による訪問員、集金人が、独り暮らしの高齢者あるいは日本語の不自由な日本在住の外国人に問題ある行動をしているからでございます。要は、NHK委託業者による訪問員や集金人というのは、社会的弱者を狙う、つまり弱い者いじめをしているということでございます。  二〇一九年に我々NHK党が参議院に議席をいただきまして、国会でさんざんNHK委託業者による訪問員、集金人の問題を訴えてきましたが、少しずつ前進はあるとは思いますが、なかなか解決する様子ありませんので、今後も粘り強く訴えさせていただき、委員の皆様にもその深刻さをお伝えしていきたいと思います。  今回、配付資料として、二〇二〇年の朝日新聞の記事を用意させていただきました。NHK委託業者による訪問員、集金人が詐欺を行って、高齢女性数名から数百万円のお金をだまし取ったという愛知県の事件に関する記事でございます。また、NHK、失礼、外国人とNHKとのトラブルに関しましては、数年前に、外国人の方に訪問してきたNHK訪問員の方とトラブルとなって、その外国人の方がNHK訪問員に消火器を噴射したという事件があったと思います。こういうトラブルは氷山の一角だと私思います。  このNHK委託業者による訪問員、集金人について、まず武田総務大臣にお聞きしたいと思います。  NHK委託業者による訪問員、集金人が各世帯の訪問時に問題行動を度々起こしており、我が党として大きく問題視しております。非常に悪質で、暴力団と言っても過言ではないような取立てをする集金人もおります。最近、このような集金人の問題行為はユーチューブを始めとする動画サイトなどで見ることができますので、委員の皆様ももしよろしければ一度御確認いただければと思います。暴力団という表現が決して大げさな表現ではないことが分かるかと思います。  さて、先ほど取り上げた二つのテーマ、老人、高齢者の方と外国人と関連することとして、認知症など判断能力の落ちた高齢者の独居世帯や日本語の理解が十分でない在住外国人の世帯に訪問して、不必要な契約を結ばせたり住民とトラブルになったりなどしており、我が党NHK党としてはNHK委託業者の訪問員の問題を放置しておくわけにはいきません。  武田総務大臣にお聞きします。  NHKを管理する総務省としまして、NHK委託業者の訪問員による問題に対処していく心構えをお聞きしたいと思います。
  161. 武田良太

    国務大臣武田良太君) NHKは、国民・視聴者からの受信料によって支えられておりまして、その訪問営業活動についても国民・視聴者の理解を十分得ていくことが求められてまいります。  こうした観点から、令和年度NHK予算に付した総務大臣意見において、国民生活センター等に寄せられた苦情を踏まえ、委託先の業務の実態を適切に把握し、受信契約の勧奨業務の適正性を確保すること等について指摘をしております。  引き続き、NHKに関する苦情等の内容やそれに対するNHKの対応状況について注視してまいりたいと考えております。
  162. 浜田聡

    浜田聡君 ありがとうございます。  数か月前に、武田良太総務大臣があるテレビ番組でお話しされている場面、私、インターネット上の動画サイトで拝見しました。恐らく、地元九州のテレビ局の番組ではないかと推測しております。その中で、武田大臣、NHK委託業者による訪問員、集金人が高利貸しのような問題ある取立てを行っていることを問題視していると発言されておりまして、私、それを見まして、我が党の訴える、NHK党、NHKに関する問題の本質、武田大臣分かっていらっしゃると理解しました。まあ国会の場ということで、先ほどの答弁はちょっと後ろ向きといいますか、積極的ではなかったですけど、その武田大臣の姿勢は高く評価しております。  昨年十二月、NHKの前田会長が戸別訪問による営業を抜本的に見直すと表明しており、我が党としては応援したいと思っております。武田大臣も、NHK委託業者の訪問員に困っておられる方々の気持ちに寄り添って、NHKを管理する総務省大臣として良い仕事をされることを期待しております。  一年前のこの行政監視委員会におきまして、私、当時の高市早苗総務大臣に、NHK委託業者による訪問員、集金人による訪問時の問題点指摘したところ、訪問員や集金人がどのような文言で契約を要求しているかについては総務省としては承知していないなどと無責任な発言されておりましたのでちょっと失望したんですけど、武田大臣には大きく期待していることをお伝えして、次の質問に移ります。  委託業者による悪質な訪問員、集金人の問題の解決につながるかもしれない政策を、武田大臣、昨年十二月に発表されております。NHKの受信料の徴収において郵便局の活用をする方針を出されたと承知しております。  現状のNHK委託業者の訪問員の行動を問題視している我が党としては、理想としてはスクランブル化、NHKのスクランブル化をベストと思いますが、ただ、ベターな選択肢として郵便局利用の選択もあるかと思います。  この武田大臣のアイデアに敬意を表しますとともに、ここでお聞きしたいのは、この件に関して方針変更の有無あるいは進捗状況などを教えてもらえればと思います。事務方の方で結構です。
  163. 吉田博史

    政府参考人吉田博史君) お答えをいたします。  御指摘の郵便局の活用につきましては、NHKによる営業活動の一層の合理化、効率化に向けて郵便局のネットワークが活用できないかという点につきまして、昨年秋からNHKと日本郵便との間で研究を進めていただいているものでございます。日本郵便との連携により効率的な営業活動が実現すれば、NHKのコスト削減が見込まれるものと考えております。  NHK及び日本郵便におきましては、引き続き検討を進めていただき、目に見える成果を上げていただくことを期待したいところと考えております。
  164. 浜田聡

    浜田聡君 ありがとうございます。私の方としても、今後の進捗状況を注視させていただきたいと思います。  NHKの委託業者に関しましては、昨年の、先ほども申しましたが、前田会長が抜本的に見直すとおっしゃっておりましたので、その方向を私も支持したいと思いますし、郵便局の活用など積極的に行っていただいて、今ある現状の委託業者を、悪質な業者は特に一掃していただければと思います。  菅総理、菅政権になりまして、国民のために働く内閣とおっしゃっております。この国民のために働く内閣の一員として、武田大臣の御活躍、期待をしております。あと、行政評価プログラムに取り組まれる皆様におかれましても、ここで取り上げましたNHK委託業者による、高齢者であったり在住外国人の方々がNHK委託業者の訪問員によって被害を受けておられることも御周知いただければと思います。  次に、政治家と官僚の役割の違いについて、総務省にその姿勢をお聞きしたいと思って質問させていただきます。  先月、東北新社の接待問題がありました。総務省としては国会でいろいろと追及されたことかと思います。私がここで取り上げさせていただくのは、これまでさんざん国会でなされたスキャンダル追及の類いの話ではありません。政治家の姿勢についての話になります。  東北新社の接待問題で、週刊文春の記事について高市早苗前総務大臣がブログで記載している内容についてここで取り上げさせていただきます。今回、配付資料として高市早苗前総務大臣の当該記事を用意させていただきました。注目したいところを読み上げさせていただきます。このブログ記事の中央辺りから後半にかけての部分になります。  大臣も副大臣も通信事業の許認可に直接関わることなどありません。そもそも、私たちは決裁をしていないのですから。NHK、あっ、失礼、NTT法や電気通信事業法に基づく認可の中で、事業に係るものの最終決裁をするのは大臣や副大臣ではなく局長です。上記の所管法令に基づく定常的な認可以外の個別案件に係る軽微な認可についても全て局長以下の職員が最終決裁者であり、大臣や副大臣は決裁者でなく、案件説明すら受けていませんという記載でございます。  私は、この内容を読んだときに、前総務大臣が書いていることについて大きな違和感があると思いました。通信事業の許認可というのは、国にとって非常に影響の、影響力の大きなものであると考えます。それをどのように調整していくか、利害調整していくか、誰がすべきかということについてはいろいろなやり方があるとは思います。現時点で、オークションなど、入札など、誰もが納得できる透明性のある制度になっていない現状では、国民から民主的手続で選ばれた政治家が行うべきではないかと思います。この高市早苗前総務大臣の記載内容だと、そういった重要な許認可の権限を大臣が放棄して、選挙で選ばれていない官僚の方が決めているというふうに思えてなりません。  そこで、武田総務大臣に質問したいと思います。  総務省が通信事業の許認可を行うと承知しておりますが、その最終決定者は誰なのかということです。私は、大臣を始めとする政治家が責任を持って決裁すべきと考えますが、武田大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  165. 武田良太

    国務大臣武田良太君) 総務省では、総務省行政文書取扱規則において、決裁を要する文書に応じて最終決裁権者等を定めております。  通信事業の許認可については、例えば、NTTの取締役及び監査役の選任及び解任の決議の認可など特に重要なものは大臣を最終決裁権者とし、NTTの事業計画の認可や電気通信事業の登録などの定常的なものは局長や地方支分部局の長に決裁を委ねるなど、許認可の性質等に応じて最終決裁権者を定め、事務の適正かつ効率的な運営を図っております。  総務省としては、引き続き、決裁に関するルールに従って適切に対応してまいりたいと考えております。
  166. 浜田聡

    浜田聡君 ありがとうございます。  事実関係はどうであれ、前総務大臣がこのように考えていたということは重く受け止めるべきではないかと思い、質問させていただきました。  大臣武田大臣はそうではないと思うんですけれど、大臣が重要な決定は官僚に丸投げという考え方をしているように思われましたので、総務省の官僚の皆様もそのような高市早苗前総務大臣の意図を知った上で悪用するような雰囲気があるとすれば問題だと思いましたので、私の質問の意図を理解いただけると幸いです。  最後、残った時間を使わせていただきまして、恐縮ですが、接待問題のお話をさせていただきます。総務大臣に来ていただきますので、私なりの考え方を訴えさせていただきます。これ、別の委員会でも訴えさせてもらったんですけど、ちょっと時間の方を使わせていただこうと思います。  令和二年の九月十六日に菅内閣が発足して半年以上経過しました。国民のために働く内閣として日夜御尽力されていると思います。  政策の目玉として、規制改革があると思います。菅政権の前の政権である安倍政権になってから、電波行政について新規参入促進など自由化を進めようとしてきたと承知しております。菅総理になってからは、その方針がよりはっきりと打ち出された形だと思います。  そんな中起こったこの接待問題については、接待されていた総務省の姿勢というのが政府が取ってきた新規参入や自由化の方針とは真逆で、電波利権維持目的と考えます。問題が起こったこと自体は極めて残念ですが、見方を変えると、今こそ多くの人が納得できる透明化された制度、例えば電波オークションなどを導入するチャンスとも言えるかと思います。  この件に関する報道を見ていますと、根本的な解決となる放送制度改革、電波オークションなど、根本的な解決となるような重要な部分がなかなか伝えられないように思います。報道するマスコミ自身が国民の共有財産である電波の恩恵にあずかっているので仕方がないかと思います。マスコミ報道によって問題解決から目をそらされないように気を付ける必要があると思います。  電波オークションにお話しさせてもらいますと、この電波オークションというのは世界の先進国では大体九〇年代に導入されたと承知しております。一方、日本でも同じ頃に議論スタートしたものの、いまだに検討中となっております。導入した各国においては紆余曲折があって必ずしも順調に導入されたわけではないとのことですが、一方で、電波オークションを導入した国の中で以前の割当て制度などに戻した国はないと承知しております。この電波オークション導入は先進諸国では前世紀に解決した言わば過去の課題でございます。現時点で国内でいまだに残っているこの時代遅れの電波の制度については、これをいい機会として改善推進していってほしいと思います。  武田大臣には、このように多くの国民が待ち望んでいるにもかかわらず、なかなか実現してこなかった新たな制度を確立していただくことを期待しておりまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  167. 野田国義

    委員長野田国義君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  168. 野田国義

    委員長野田国義君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政評価及び行政に対する苦情に関する調査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 野田国義

    委員長野田国義君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任いただきますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 野田国義

    委員長野田国義君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  171. 野田国義

    委員長野田国義君) 小委員会の設置に関する件を議題といたします。  国と地方の行政の役割分担の在り方等について調査検討するため、小委員十七名から成る国と地方の行政の役割分担に関する小委員会を設置することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 野田国義

    委員長野田国義君) 御異議なしと認めます。  つきましては、小委員及び小委員長選任は、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 野田国義

    委員長野田国義君) 御異議ないと認めます。  それでは、小委員石井正弘君、石田昌宏君、島村大君、高橋はるみさん、徳茂雅之君、中西祐介君、吉川ゆうみさん、石垣のりこさん、川田龍平君、森屋隆君、竹内真二君、西田実仁君、梅村聡君、上田清司君、吉良よし子さん、伊波洋一君及び浜田聡君を指名いたします。  また、小委員長西田実仁君を指名いたします。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可及びその補欠選任、並びに小委員会から政府参考人及び参考人出席要求がありました場合の取扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 野田国義

    委員長野田国義君) 御異議ないと認め、さよう決定をさせていただきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会