○川田龍平君 私は、ただいま可決されました全
世代対応型の
社会保障制度を構築するための
健康保険法等の一部を改正する
法律案に対し、自由民主党・国民の声、
立憲民主・社民、公明党、
日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を
提出いたします。
案文を朗読いたします。
全
世代対応型の
社会保障制度を構築するための
健康保険法等の一部を改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に
当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、後期高齢者
医療制度における窓口
負担割合の見直しについて、二割
負担の対象となる後期高齢者において、必要な
受診が抑制されることにより疾病の早期発見が妨げられ、重症化につながることがないよう、健康診査の強化など必要な
取組を進めること。また、窓口
負担割合の見直しが後期高齢者の
受診に与える影響を把握するとともに、いわゆる長瀬式について、現代の受療行動等に
対応した信頼性の高い推計が可能となるよう研究を進めること。
二、二割
負担の対象となる後期高齢者に対して設けられる配慮措置については、高額療養費
制度による
対応となることから、申請漏れ等が生じることのないよう、後期高齢者
医療広域連合や
医療機関等に対し、ポスターやパンフレットの提供など必要な
支援を行い、その
周知・広報を徹底すること。また、事前に高額療養費の振込先口座の登録を行えるようにするなど申請漏れが生じないような
取組をプッシュ型で進めることについて、関係機関と協議を進めること。さらに、配慮措置の
導入により、高額療養費
制度の対象となる被保険者の急増が見込まれることから、
事務負担の増加が見込まれる後期高齢者
医療広域連合等に対する
支援を的確に実施すること。
三、後期高齢者
医療制度の創設以降、高齢者世代と現役世代の人口バランスが大きく変化し、
制度の支え手である現役世代に対する
負担が加速度的に増していることや、現役並み所得の後期高齢者に係る
医療給付費について公費
負担が行われておらず現役世代に対する過重な
負担となっていること等を踏まえ、後期高齢者
医療制度における財源の在り方について
検討を行うこと。
四、後期高齢者
支援金の増大に加え、新型コロナウイルス
感染症の流行の影響を受けた保険料収入の急減により、健康保険組合の財政運営が極めて困難な
状況にあること等を踏まえ、特に財政
状況が厳しい健康保険組合に対する財政
支援や保険者機能強化
支援事業等の推進を図ること。
五、健康保険等における傷病手当金の支給期間の通算化に当たっては、
制度の一層の活用が図られるよう、事業主及び労働者に対し、改正内容のほか
制度自体の趣旨・申請手続等に関して丁寧な
周知を行うこと。また、事業主から申請手続に係る協力が得られないなど、不適切と見受けられる
ケースが発生した場合には、保険者と連携しつつ、当該事業主に対して適切に
指導を行うこと。
六、育児・介護休業法の改正により、育児休業を最大四回に分割して
取得することが可能となることを踏まえ、単に社会保険料免除だけを目的とした恣意的な育児休業の
取得が行われることのないよう、各事業主に対して
制度の適切な活用を促すこと。また、育児休業
取得による社会保険料免除の適用
状況を把握し、適切な
運用が行われているか不断の検証を行うこと。
七、国民健康保険に
導入される未就学児に対する均等割保険料・税の減額措置について、市町村や都道府県等における財政
状況等を勘案しながら、対象者や減額幅の更なる拡充を引き続き
検討すること。また、国民健康保険については、被用者保険と異なり、出産手当金
制度等の所得
保障を目的とする現金給付が任意による実施とされ、産前・産後期間等における保険料免除
制度も設けられていないことから、少子化対策等の観点を踏まえ、財源や保険料
負担の在り方等も勘案しつつ、出産に関する保険料における配慮の必要性や在り方等を
検討すること。
八、機微性が高く、第三者には知られたくない情報が含まれ得る健診
情報等が、各保険者により多く集約されるようになることを踏まえ、当該情報が適切に管理・
運用されるよう、国が責任をもって個人情報
保護法等に基づく適切かつ十分な助言・
指導を行うとともに、関係法令やガイドライン等の
周知・広報を徹底し、併せてガイドラインの見直しなど適切かつ十分な個人情報
保護に向けた不断の
検討と対処を行うこと。
九、
医療扶助における
オンライン資格確認の
導入に当たっては、
制度施行までに個人番号カードの
取得や
医療機関等における
オンライン資格確認システムの
導入が進まない場合、
医療券等の発行
業務が併存し、かえって
福祉事務所の
事務負担を増大させることにつながりかねないことから、被
保護者の個人番号カード
取得の
支援や、
医療機関等における
オンライン資格確認システムの
導入支援を進めること。また、何らかの事情により
制度施行後においても個人番号カードを保有するに至っていない被
保護者に対しては、引き続き
医療券等の発行を行うなど、必要な
医療を受けられる
体制を確保すること。さらに、情報通信機器を保有していない被
保護者が、マイナポータルを通じて自身の健診
情報等を閲覧できるよう、適切な
支援を行うこと。
十、近年増加の一途にある高額な医薬品・
医療機器について、将来の
医療保険財政に与える影響を早期に検証し、その適切な評価の在り方に関する
検討を進めるとともに、特に各製薬
企業等による医薬品等の情報開示
状況の評価について、開発過程における特許料等の取扱い等も含め、十分な
検討を行うこと。また、極めて高額となり得る遺伝子治療について、その在り方を速やかに
検討し、その結果を踏まえた適切な評価の在り方も含め、今後の方向性を示すこと。
十一、窓口
負担割合の見直しなど
患者の
受診行動に影響を与え得る
制度変更を
検討する場合は、
医療費への効果額の詳細な内訳などを関係
審議会等に明示した上で議論を進めること。
十二、二〇二二年以降後期高齢者が急増する中、現役世代の
負担上昇を抑えながら、国民皆保険
制度の維持に向けた持続可能な全世代型の
医療保険
制度を構築するため、保険料賦課限度額の引上げなど能力に応じた
負担の在り方、保険給付の在り方、
医療費財源における保険料、公費、自己
負担の適切なバランスの在り方等について、税制も含めた総合的な議論に着手し、必要な法整備等を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ
委員各位の御賛同をお願い申し上げます。