○自見はなこ君 私は、ただいま可決されました良質かつ適切な
医療を
効率的に提供する
体制の
確保を推進するための
医療法等の一部を
改正する
法律案に対し、自由民主党・
国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び
国民民主党・新緑風会の各会派共同提案による附帯決議案を
提出いたします。
案文を朗読いたします。
良質かつ適切な
医療を
効率的に提供する
体制の
確保を推進するための
医療法等の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、
医療機関に勤務する医師に対する時間外労働の上限規制の適用に当たっては、大学
病院等が
地域の
医療機関から医師を引き揚げることなどにより、
地域の
医療提供体制に影響を及ぼすことがないよう、特定労務管理対象
機関の指定制度の趣旨を周知徹底するとともに、
地域の
医療提供体制の
確保のために必要な支援を行うこと。
二、
医療機関勤務
環境評価センターの指定に当たっては、当該指定を受けようとする一般社団法人又は一般財団法人が、労働時間短縮
計画案の策定に当たって、現場の医師等の意見聴取が適切に行われたかどうかを確認し、
医療機関における医師の長時間労働の実態及び労働時間短縮の取組
状況を客観的に分析・評価する
体制が整備されているとともに、労務に関する知見等に基づき評価可能な
体制を有している法人を指定すること。また、同センターと
都道府県の
医療勤務
環境改善支援センターとの
役割分担を明確にし、両センターが連携して機能を果たせるよう取組を進めること。
三、労働時間短縮
計画の案については、対象となる医師の時間外労働の上限規制及び当該労働時間短縮
計画の案の内容について十分な
説明が行われ、対象となる医師からの意見聴取等により、十分な納得を得た上で作成されるべきであることを指針で明確にし、その周知徹底を図ること。
四、
地域医療確保暫定特例水準の指定を受けた
医療機関において労使が締結する三六協定で定める時間外・休日労働時間数については、当該
医療機関における
地域医療確保暫定特例水準の対象業務に必要とされる時間数であることを合理的に
説明できる必要があるとともに、当該
医療機関の労働時間短縮の取組の実績に応じて協定時間数を見直すべきことを指針において明確にすること。
五、令和十七年度末を目標とする
地域医療確保暫定特例水準の解消に向けた時間外・休日労働時間の短縮を着実かつ
計画的に進めるため、
関係自治体及び
医療機関に必要かつ十分な支援を行うとともに、定期的に各
医療機関における医師の労働時間の短縮の実態
調査を行い、課題を明らかにした上で、当該水準における時間外労働の上限の段階的
見直しを検討すること。また、集中的技能向上水準については、医師の労働時間の短縮の実態を踏まえつつ、その将来的な縮減に向けた検討に着手すること。
六、長時間労働となる医師に対する面接指導の実施においては、
医療機関の管理者及び面接指導対象医師が、第三条による
改正後の
医療法附則第百八条が求める義務に誠実に従うよう
都道府県による指導の徹底を
確保すること。加えて、労働時間の記録・申告が適切かつ確実に行われるよう、必要かつ十分な支援を提供すること。また、面接指導実施医師が「措置不要・
通常勤務」以外の判定・報告を行った場合には、
医療機関の管理者はその判定・報告を最大限尊重し、面接指導対象医師の健康
確保のため適切な
対応を行うべきであることを指針等で明確にし、
都道府県による指導の徹底を
確保すること。
七、
医療機関の管理者が良質な
医療を提供する観点から必要と認めるときは、当該
医療機関に勤務する医師のうち、時間外・休日労働の上限が九百六十時間以下の水準が適用されるものについての労働時間短縮
計画も自主的に作成し、同
計画に基づいて取組を進めることが望ましい旨を指針において明確にし、その周知徹底を図るとともに、更なる労働時間の短縮に向け継続的に支援を行うこと。
八、医師の夜間勤務、特に、第二次救急
医療機関や
急性期病院における夜間勤務については、
通常の勤務時間と同態様の業務を行う場合には時間外労働として扱うなど、労働時間の適切な管理が必要な旨を周知徹底するとともに、交代制勤務を導入する等により、夜間勤務の負担軽減を図る
医療機関に対し、必要な支援を行うこと。
九、医師の労働時間短縮を着実に進めるために、現行制度下におけるタスクシフトやタスクシェアの普及を推進するとともに、全ての
医療専門職それぞれが、自らの能力を活かし、より能動的に
対応できるよう、更なるタスクシフトやタスクシェアについて、諸外国の例を研究しつつ必要な検討を行うこと。その際、各
医療専門職の労働時間への影響に十分留意すること。
十、医師の労働時間短縮に向けた
医療機関内のマネジメント改革を進めるため、
医療機関の管理者、中間管理職の医師等に対し、労働法制に関する研修・教育を推進すること。また、
医療機関において管理職の地位にある勤務医が、労働基準法上の管理監督者には該当しないにもかかわらず、労働時間規制が適用除外されるものと取り扱われることがないよう周知・啓発を行うこと。
十一、
医療機関における医師の時間外労働・休日労働に対する割増賃金の支払
状況や、健康
確保措置の実施
状況などの実態を踏まえ、
医療機関が労働法制を遵守しつつ、医師、看護師等の
医療従事者を
確保できるよう、
診療報酬における
対応も含め、
医療機関への財政支援措置を講ずること。
十二、診療以外の研究、教育においても重要な役割を担う大学
病院において労働時間短縮の取組を着実に進めるため、大学
病院における医師の働き方の諸課題について文部科学省と
厚生労働省が連携して速やかに検討を開始するとともに、その検討結果に基づいて財政上の措置を含めた必要な支援を行うこと。
十三、在宅
医療や看取りなど
地域包括ケアを進める上で重要な役割を担う診療所の医師の働き方改革についても検討を加え、その結果に基づいて必要な支援を行うこと。
十四、医学部教育と臨床研修を切れ目なくつなぐ観点から、医学部における共用試験の公的化を踏まえ、診療参加型臨床実習に即した技能習得
状況を確認するための試験の公的化を含め、医師国家試験の在り方を速やかに検討すること。
十五、
医療機関における育児休業制度の規定
状況、利用
状況等について
調査を実施し、臨床研修以降の研さん期間中の医師が育児休業を取得しやすくなるような方策の検討を含め、出産・育児期の女性医師を始めとする子育て世代の
医療従事者が、仕事と出産・子育てを両立できる働きやすい
環境を整備するとともに、就業の継続や復職に向けた支援策等の充実を図ること。
十六、外来機能の明確化・連携に当たっては、診療科ごとの外来
医療の分析、紹介・逆紹介の
状況の分析等をできる限り行うとともに、紹介を基本とする
医療機関からの逆紹介の促進を図ること。また、かかりつけ医機能を発揮している事例等を
調査・研究し、その好事例の横展開を図るとともに、
国民・患者がかかりつけ医機能を担う
医療機関等を探しやすくするための
医療情報の提供内容等の在り方について検討すること。
十七、
地域医療構想については、各
地域において、
新型コロナウイルス感染症の
感染拡大により生じた
医療提供体制に係る課題を十分に踏まえ、
地域包括ケアの観点も含めた
地域における
病床の機能の分化及び連携の推進の在り方について検討し、その結果を踏まえつつ、必要な取組を進めること。また、検討に当たっては、
地域の様々な設置主体の
医療機関の参画を促すこと。
十八、
新型コロナウイルス感染症の
感染拡大により生じた
医療提供体制に係る課題を十分に踏まえ、
地域の
医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携、医師の
地域間及び診療科間の偏在の是正等に係る調整の在り方その他
地域における良質かつ適切な
医療を提供する
体制の
確保に関し必要な事項について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
十九、
都道府県における適切な
医療提供体制の
確保を図る観点から、第八次
医療計画における五疾病・六事業については、ロジックモデル等のツールを活用した実効性ある施策の策定など、
医療提供体制の政策立案から評価、
見直しに至るPDCAサイクルの実効性の
確保に努めること。
二十、
新型コロナウイルス感染症患者の受入れ等に伴い
医療機関が厳しい経営
状況に置かれていることに鑑み、
医療機関の経営
状況について速やかに把握し、その
状況等を踏まえ、
医療機関に対し財政上の支援等必要な措置を講ずること。また、
国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある
感染症がまん延した場合等において
医療提供体制の
確保を図るため、
医療機関及び
医療関係者に対する支援その他の必要な措置の在り方を検討すること。
二十一、将来に向けて、質の高い
地域医療提供体制を守るため、医師の働き方改革や医師の偏在対策、
地域医療構想、外来
医療の機能の明確化・連携などを丁寧かつ着実に進めることが重要であり、それらを
医療機関に寄り添って進める
都道府県の業務
体制の強化を推進すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ
委員各位の御賛同を
お願い申し上げます。