○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。
古川議員に引き続いて、
新型コロナウイルスの特に
ワクチンについてお尋ねをしたいと思います。
今、国内で使われている
ワクチンは、二月十四日に特例承認が認められたコミナティという製品でございます。二月十七日から医療従事者を
対象とした優先
接種が始まり、四月十二日からは
高齢者への
接種も始まりました。
このファイザー、ビオンテックの共同開発に係る
ワクチンは、御案内のとおりメッセンジャーRNA
ワクチンに類別されます。その本質は
資料でお配りしました一に示すとおりでございまして、真ん中に
PMDAの審査
報告書、書いてありますが、難しいので、その下にありますRNA学会に出てきた模式図の方で少し御説明します。
ここにありますように、このメッセンジャーRNA
ワクチンというのは、ちょうど真ん中にスパイクたんぱく、S1、S2をコードとするメッセンジャーRNAというのがあります。ここが本体になります。そして、一番最初、左側にありますが、五ダッシュ末端にキャップ構造を持つものがあり、そしてその間に、コーディング配列のその間、左から二つ目のところがいわゆる翻訳されない並びがあります。そして、スパイクたんぱくコーディング配列が並んでまいります。そして、その後また翻訳されないものがあって、そして最後にポリAが並ぶと、こういう構造なんですね。それで、全体が四千二百八十四個のヌクレオチド残基から成る一本鎖のRNA、これがこの注射薬、
ワクチンの本体であります。
この種の
ワクチンというのは、あるいは御案内のとおりかもしれませんけど、
対象とするウイルスのRNAの塩基配列が決まったら実は開発というものがスタートしてまいります。昨年の一月十日、中国から武漢ウイルスのRNA塩基配列が国際的な学会誌でありますセルに発表されました。その塩基配列を基にファイザー、ビオンテックもモデルナ等も、世界の製薬企業あるいは
研究者は、コロナのメッセンジャーRNA
ワクチンの開発
研究、これに取り付いたわけでございます。
ニューイングランド・ジャーナル・メディスンの先月、三月二十五日号に収載された
ワクチン史、
ワクチンの歴史を概説した論文によりますと、第一代という最初に出てくる
ワクチンというのは実はジェンナーの種痘だそうでございまして、今回のメッセンジャーRNA
ワクチン等々はこれはもう第五世代に当たるんだそうです。
これ、何が大きく異なってきているかというと、今までの従前の
ワクチンは、病原体のたんぱくを不活化する等によって、それを処理して体内に投与します。それで、体内で抗体を誘導して、病原体
対応をするわけですね。この新しく生産されています第五世代と称される
ワクチンというのは、実はそういった病原体たんぱくを入れるのではなくて、その基になる遺伝子
情報を体に入れると。そうすると、人の細胞の中でそれがたんぱくの抗原を作る、そしてそれで抗体を誘導する、そういう仕組みが違うと。このことは、概念的には、病原体を入れないんだからより
安全性が高いのではないかと一般論としては言われているものでございます。
この
ワクチンの開発で先行したファイザー、ビオンテックとモデルナ、NIH、両方のグループとも、実はほぼ同様のアイデアといいますか、同様のスピードで
研究開発を進めておりました。例えば、モデルナ社のケースを見ますと、塩基配列の公表された三日後、一月の十三日にはもう既に
ワクチン配列の骨格化を決めております。そして、四十五日後、臨床試験に供する量の
ワクチンをもう既に生成を終えている。そして、臨床治験が三月の十六日には開発されております。
このように、実は、ファイザーのグループもそうなんですが、モデルナのグループもそうですが、この二グループ共に、これは一年を経ずして実は実用に供せられることになりました。これは、かつての
ワクチンというのは年単位で時間が掛かると言われたものだったのに、これは画期的なスピードで出ています。逆に、これだけのスピードで出たからこそ、一般の国民の方が新しくてどうなんだろうかという心配を持ったのも、これも事実だったと思います。
ただ、これをウイルスの
研究とかRNAの
研究をする
専門家に尋ねてみますと、
反応が全く違います。この
専門家によると、今出てきているメッセンジャーRNA
ワクチンというのは、これまで蓄積されてきたRNA
研究の粋を集めて開発された
ワクチンだと言うんですね。例えて言いますと、キャップというものを導入してスパイクたんぱくを生成、作らせる起点を示しているんだと言うんですね。そのためにキャップというものが導入されると。
それから、遺伝子コードの
部分の塩基、構成塩基、四つあるわけですね。A、C、G、U、そのうちのU、ウリジン、これを修飾します。全てのウリジン三リン酸をメチルシュードウリジン三リン酸に置換をしております。これはどういうことかというと、それによって安定性が高まり、免疫原性を抑制するし、持続的かつ効率的に翻訳促進等の作用をもたらします。さらに、生体内でのRNA分解を抑制する等の目的で、不安定な一本鎖RNAをALC―0159等の、いわゆる四種類の成分なんですが、それで構成されるいわゆる脂質のナノ粒子、LNPと訳されているリピッドナノパーティクル、これに封入して、製品化して体の中に入れると、こういう形を取る。
我が国の
ワクチン研究開発というのは、残念ながら国際的に見ると遅れていると言われている。ただ、今説明しましたこのメッセンジャーRNAに不可欠な要素と言われる例えばキャップ、これが実はモデルナの製品にもファイザーの製品にも使われているわけですが、このキャップは実は日米
研究者の業績だというふうに言われております。一説によると、四十五年前、世界に先駆けてこれを発表したのは国立遺伝学
研究所の分子遺伝学グループの
日本人
研究者とも言われています。
現在、国内では、メッセンジャーRNA
ワクチン、DNA
ワクチン、組換えたんぱく
ワクチン等八種類の
ワクチンが開発進められています。現在、実用に供されているメッセンジャーRNA、これはすばらしい製品だということを申し上げました。ただ、じゃ、それがベストでそれ以上のものがないかといえば、決してそんなことはないわけです。このように第五世代まで出てくる、その前にはこんなものが出てくると思わなかった。となると、今は非常に使い勝手が悪い、例えば非常に超低温で保存しなきゃいけない、そのようなことをクリアできる新しい
ワクチンというのは当然出てくるはずです。
現在、世界を見ますと、もう既に幾つかの
研究者グループはそのような
研究を進めております。アメリカにおいてはMITのベンチャーが、例えば高価と言われているキャップをやめちゃおうと、もっと安い配列のもので活用したら安くできるよと、こう言っているし、そして、鎖状のいわゆるつながった一本鎖だから不安定だといったら、それを安定すればいい、例えばリング、回して環状に作ればいいじゃないかと、そういった
研究もされている。
実は、十五日ですか、ファイザーのブーラCEOは、変異ウイルス
対応を想定しているかもしれませんけど、ブースターショット、つまり三度目繰り返しショットを、予防
接種をすることによって抗体価が上がるじゃないかと、そうすると、例えば変異ウイルスに対してその作用が減弱されたとしたら、ブースター
効果でそれをもうちょっと抗体高めることできるんじゃないだろうかと、そのような発言もされたというふうに聞いておりますし、また、先ほどから説明、幾つか午前中の質問もありましたけど、菅総理が訪米されたときに、このCEOといわゆる追加供給の話をされたというふうに伺っています。御案内のとおりです。現在、海外三社の
ワクチンを国内供給している。今のところファイザーについては、現
時点においては一億四千四百万回分、それからアストラゼネカについては一億二千万回分、そしてモデルナ社については五千万回分というふうに伺っております。
ところが、
感染症対策上の
意味も当然でございますけど、また国の安全保障の問題にも関係するわけですが、私は、
ワクチンの国内開発あるいは国内生産の意義というものは非常に大きいものがまだあるんだろうと思っております。私は
是非、
大臣にこの国内生産、国内開発の
支援を今まで以上に強めていただきたいと思っておりますが、
大臣の御決意を伺いたいと思います。