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2021-04-12 第204回国会 参議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月十二日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      石井 苗子君     柴田  巧君      音喜多 駿君     柳ヶ瀬裕文君      浜口  誠君     芳賀 道也君  四月九日     辞任         補欠選任      酒井 庸行君     高野光二郎君      勝部 賢志君     小西 洋之君      岸 真紀子君     石橋 通宏君      塩村あやか君     木戸口英司君      平木 大作君     安江 伸夫君      武田 良介君     井上 哲士君  四月十二日     辞任         補欠選任      今井絵理子君     本田 顕子君      石橋 通宏君     岸 真紀子君      木戸口英司君     塩村あやか君      安江 伸夫君     三浦 信祐君      柴田  巧君     浅田  均君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         野村 哲郎君     理 事                 古賀友一郎君                 舞立 昇治君                 牧野たかお君                 古賀 之士君                 里見 隆治君                 芳賀 道也君     委 員                 足立 敏之君                 赤池 誠章君                 今井絵理子君                 大家 敏志君                 自見はなこ君                 高野光二郎君                 滝沢  求君                 豊田 俊郎君                 西田 昌司君                 藤井 基之君                 本田 顕子君                 山田 俊男君                 石橋 通宏君                 小沼  巧君                 岸 真紀子君                 小西 洋之君                 吉田 忠智君                 伊藤 孝江君                 下野 六太君                 三浦 信祐君                 浅田  均君                 柳ヶ瀬裕文君                 井上 哲士君                 岩渕  友君    国務大臣        外務大臣     茂木 敏充君        防衛大臣     岸  信夫君    副大臣        内閣府副大臣   三ッ林裕巳君        財務副大臣    中西 健治君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        吉川  赳君         ─────        会計検査院長   森田 祐司君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        笹嶋  正君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       中嶋浩一郎君        内閣官房内閣審        議官       松本 裕之君        内閣官房内閣審        議官       澤田 史朗君        内閣官房内閣審        議官       山内 智生君        内閣官房拉致問        題対策本部事務        局内閣審議官   岡本  宰君        内閣官房内閣情        報調査室次長   森野 泰成君        内閣官房内閣人        事局人事政策統        括官       山下 哲夫君        内閣大臣官房        審議官      伊藤  信君        外務省大臣官房        長        石川 浩司君        外務省大臣官房        審議官      赤堀  毅君        外務省大臣官房        審議官      赤松 秀一君        外務省大臣官房        参事官      遠藤 和也君        外務省大臣官房        参事官      有馬  裕君        外務省大臣官房        参事官      河津 邦彦君        外務省大臣官房        参事官      徳田 修一君        外務省大臣官房        参事官      原  圭一君        外務省大臣官房        参事官      宮下 匡之君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   本清 耕造君        外務省中東アフ        リカ局長     高橋 克彦君        外務省領事局長  森 美樹夫君        財務省主計局次        長        角田  隆君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    赤澤 公省君        水産庁長官    山口 英彰君        国土交通省海事        局次長      多門 勝良君        海上保安庁総務        部長       宮澤 康一君        防衛省大臣官房        長        芹澤  清君        防衛省大臣官房        衛生監      椎葉 茂樹君        防衛省防衛政策        局長       岡  真臣君        防衛省整備計画        局長       土本 英樹君        防衛省人事教育        局長       川崎 方啓君        防衛装備庁長官  武田 博史君    説明員        会計検査院事務        総局次長     宮内 和洋君        会計検査院事務        総局事務長官        房審議官     田中 克生君        会計検査院事務        総局事務長官        房審議官     山崎  健君        会計検査院事務        総局第一局長   篠原 栄作君        会計検査院事務        総局第二局長   山口  亨君    参考人        独立行政法人国        際協力機構理事        長        北岡 伸一君        株式会社国際協        力銀行代表取締        役副総裁     林  信光君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○令和年度一般会計歳入歳出決算令和年度  特別会計歳入歳出決算令和年度国税収納金  整理資金受払計算書令和年度政府関係機関  決算書(第二百三回国会内閣提出)(継続案件  ) ○令和年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第二百三回国会内閣提出)(継続案件) ○令和年度国有財産無償貸付状況計算書(第  二百三回国会内閣提出)(継続案件)  (外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機  構有償資金協力部門の部)     ─────────────
  2. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日までに、石井苗子さん、音喜多駿君、浜口誠君、平木大作君、武田良介君、勝部賢志君、岸真紀子さん及び酒井庸行君が委員辞任され、その補欠として柴田巧君、柳ヶ瀬裕文君、芳賀道也君、安江伸夫君、井上哲士君、小西洋之君、石橋通宏君及び高野光二郎君が選任されました。  また、本日、安江伸夫君及び柴田巧君が委員辞任され、その補欠として三浦信祐君及び浅田均君が選任されました。     ─────────────
  3. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事芳賀道也君を指名いたします。     ─────────────
  5. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 令和年度決算外二件を議題といたします。  本日は、外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門決算について審査を行います。     ─────────────
  6. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これら決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれも省略して、本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  速記を止めてください。    〔速記中止
  8. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  9. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 赤池誠章

    赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。  我が国が抱える様々な課題根幹は何か。私は、国家意識の欠如だと思っています。戦後、国家は悪だとして国家という言葉自体すら忌避する傾向が続き、その潜在的な影響は計り知れないと感じています。それで、私は、自分の国という国家意識国民全体で共有すべく、我が国は長い歴史と伝統文化を有し、かけがえのない存在であるという認識醸成に取り組んでまいりました。  外交防衛分野においては、国家意識共有なくして自分の国は自分で守るという意思はつながりません。年々我が国を取り巻く安全保障環境は厳しくなり、サイバー空間等の新たな安全保障領域の出現で課題広範化、多様化してきています。危機に陥って初めて国家意識を持つなど、手遅れにならないよう、我が国が置かれた厳しい現状を知り、国家意識を持って今後に備えていきたいと思っております。  そこで、本日、我が国外交防衛現状取組についてお伺いをしたいと存じます。  まず、岸防衛大臣にお聞きします。  我が国を取り巻く大変厳しい安全保障環境に対峙するために、日米同盟始め価値観共有する友好国との外交連携強化とともに、各国、各所、各機関との防衛協力交流合同訓練が重要な取組だと思っております。以上の意義、状況、成果について、岸防衛大臣にお伺いいたします。
  11. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 自衛隊は、平素より様々な共同訓練実施をしておるところでございます。これは、戦術技量向上米軍を含む外国軍隊警察機関などの連携強化ということを目的としておりまして、共同訓練実施をしているところでございます。  様々なこうした訓練を通じて、日米、例えば日米共同訓練の場合は日米同盟抑止力対処力強化をしっかり図っているということでございます。  先日も、この共同訓練、十一月ですけれども、日米共同統合演習では、水陸両用作戦を含めて、日米共同各種対処要領、こういったものを演練をしたところでございます。
  12. 赤池誠章

    赤池誠章君 岸防衛大臣、ありがとうございます。  危機管理というのは、あえて私が言うまでもなく、考えられないことを考える、つまり、最悪を想定し、そしてそのための訓練というものをし続けていくことだと言われているわけであります。  今大臣お話しいただきましたように、米国との日米同盟、具体的な合同訓練、これは当然のことだというふうに思っておりますし、また、米国以外にも様々な二国間又は多国間での合同訓練というのが頻繁に取り組まれているというふうに聞いているところであります。そのことは、我が国の平和と安定にとって大変重要であると同時に、インド太平洋地域の平和と安定にも寄与していることだろうなというふうに思っているところであります。  そんな中で、外国だけではなくて、当然、自衛隊我が国海上保安庁、これもまた重要な連携のポイントではないかと思いますが、その辺の取組もお聞かせ願いたいと思います。
  13. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 海自、海上自衛隊と例えば海上保安庁、こうした間においても、海上警備行動が発令をされるという事態想定をして共同訓練というものを積み重ねてきております。これによって、海保自衛隊、海自のこの連携というものは格段に向上している、こういうふうに考えております。
  14. 赤池誠章

    赤池誠章君 ありがとうございます。  自衛隊米軍、そして自衛隊海保との切れ目ない対応というのは、現在、尖閣諸島防衛に大変不安を抱いております国民にとって、一つ安心材料にはなると思っているところであります。  その中で、我が国大変天然資源が少ないことによって、石油が中東からということで、エネルギー始め物流の海上航路という、いわゆるシーレーンに関しては南シナ海というのが大変重要になってくるわけであります。  南シナ海周辺国との防衛交流合同訓練等、改めて岸大臣にお伺いします。
  15. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 南シナ海におきましては、我が国は、自由で開かれたインド太平洋維持強化を図るべく、先ほども申しましたけれども、米軍を始めとして、豪州、あるいは地域沿岸国でありますフィリピン、インドネシア、マレーシア、こういった国との海軍と共同訓練を積極的に実施をしているところでございます。また、ASEAN諸国との間においては、そのほかにも、能力構築支援事業、また、防衛装備品技術協力進展をしているところです。  我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、自衛隊の行うこうした共同訓練は重要な役割を果たしておりまして、引き続き積極的に実施してまいりたいと考えております。
  16. 赤池誠章

    赤池誠章君 近年、米中新冷戦時代に入ったと指摘もされております。その背景にあるのは、チャイナによる不透明で急激な軍拡、一方的な現状変更をしようとする試みがあります。昨年来の香港での弾圧に見られるように、まさにそれは中華思想に基づく覇権主義だと言わざるを得ないわけであります。  今後、特に懸念をされるのは台湾有事であります。先月も、新旧の米軍インド太平洋司令官が、アメリカの上院で台湾有事懸念を具体的に証言しているわけであります。台湾有事というのは、当然、隣接した我が国固有の領土である尖閣諸島、さらに沖縄へと飛び火しかねないわけであります。  引き続き、岸防衛大臣指導力の下で、各所でのプレゼンス、抑止力につながる防衛交流合同訓練取組強化をお願いしたいと存じます。そして、是非台湾当局との、外交はもちろんですが、防衛実務者間の協議アメリカも入れて三者協議実施していただくよう要望をさせていただきたいと存じます。  次に、外交防衛力を機動的かつ有効に機能させるためには、その裏打ちとなる情報コミュニティー強化が不可欠であるのは言うまでもございません。その強化はずっと言われ続けているわけでありますが、ここで、情報コミュニティーを取りまとめている内調、そして人事内閣人事局、具体的な予算裏付け財務省のそれぞれの見解を伺います。
  17. 森野泰成

    政府参考人森野泰成君) 委員指摘のとおり、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、情報収集分析は極めて重要であると認識しております。  このような認識の下、情報コミュニティーでは、例えば東京オリンピックパラリンピック競技大会の安全の確保において重要となるテロ対策分野では、平成二十七年に新設された国際テロ情報収集ユニットなどにおいて情報収集に努めておりますほか、重要な課題一つである経済安全保障分野でも関連情報収集分析体制強化に取り組むなど、これまでも体制能力強化に努めてきたところでございます。  引き続き、我が国安全保障国民の安全に貢献できますよう、政府における情報収集集約分析の一層の充実強化に取り組んでまいりたいと思います。
  18. 赤池誠章

    赤池誠章君 人員面内閣人事局、引き続きお願いします。
  19. 山下哲夫

    政府参考人山下哲夫君) 政府情報収集分析能力を発揮できる体制を整えていくことは重要と認識しております。このため、令和年度におきましても、各省からよくお話を伺いながら、内閣情報調査室を始め警察庁の警備局、法務省、公安調査庁、外務省防衛省など関係部局で百五十四人の増員を措置したところでございます。  引き続き、必要なところにしっかりと定員が配置されるよう、現場の実情や政策課題を的確に捉えて審査を行ってまいりたいと考えております。
  20. 赤池誠章

    赤池誠章君 活動予算裏付けとなる財務省、御見解をください。
  21. 中西健治

    ○副大臣中西健治君) 赤池委員問題意識はこれまでも承っておりまして、重々承知しているところでございます。  今二省庁から答弁ありましたけれども、国際情勢が大きく変化して安全保障環境が厳しくなっていく中において、的確な情報収集能力を保持していくことは重要であると私も認識しているところでございます。  財務省としましても、御指摘活動経費につきましては、関係省庁からの要求を踏まえて、今後しっかり議論してまいりたいと思います。
  22. 赤池誠章

    赤池誠章君 それぞれ御答弁ありがとうございます。  今年、東京オリパラ大会が一年延期されておりまして、東京オリパラ大会用テロ対策として、相当、先ほど御説明いただきましたように、人員予算は拡充してきたわけであります。今年、東京オリパラ大会終わったので人員は要らないとか予算を減少させるということでは我が国の安全は確保できないと考えております。  それでなくても、他国と比較して残念ながら脆弱だと言われる我が国情報コミュニティー、その強化というのは我が国安全保障根幹でありまして、東京オリパラ大会後もテロの脅威が続くわけであります。我が国の悲願であります拉致問題の解決、そして、先ほども御紹介いただきましたが、昨今の課題としての経済安全保障面でも情報コミュニティーは大変重要だと思っております。  独自の国内外での情報活動強化とともに、いわゆるファイブアイズを始めとした価値観共有する諸国との国際連携というのもまた重要であるのは論をまたないところであります。他国との情報連携を進める上では、やはり我が国他国にはない独自で価値ある情報がないと国際的な連携も進まないということでありますので、是非、既に人工衛星も飛ばし、シギントと言われるような形で自衛隊も大変頑張っていただいております。やはり課題ヒューミント部分、人間の部分ということでありますから、重ねて強化をお願いしたいと思います。  特に内閣人事局に関しましては、内閣重要課題を推進するための体制整備及び人件費予算の配分の方針というのを毎年決められていて、今までも、時の課題によって入管とか海上保安庁定員の枠を外していただいております。是非、これを機会に情報コミュニティー部門定員の枠を外していただいて、人員体制を増加させて、そしてその上で財務省活動予算の拡充を重ねてお願いしたいと存じます。  続きまして、技術革新が進む中で、宇宙、サイバー、電磁波といった新領域が拡大してきております。安全保障上の課題広範化、多様化してくるわけで、特に国民と密接につながるサイバー空間重大事態への対処は大変重要だというふうに思っております。  平時にどう取り組むか、有事になったらどうするか、そしてそのために国民保護をどうするか、それぞれNISC事態室防衛省取組をお伺いいたします。
  23. 山内智生

    政府参考人山内智生君) お答え申し上げます。  政府におきましては、サイバーセキュリティ基本法に基づきまして、戦略本部の下、サイバーセキュリティ戦略閣議決定をしております。サイバー犯罪への対策を含む国民への安全、安心実現等目的として様々な対策を進めております。  具体的には、政府機関等に対して、セキュリティーの水準を一定以上に保つための対策基準策定、監査を通じた取組実施状況の把握及び必要な助言、不審な通信の横断的な監視、こういうことを実施をしております。また、情報通信、電力、金融等重要分野重要インフラにつきましては行動計画策定をいたします。安全基準整備、官民での情報共有促進演習による対処能力向上等取組実施をしております。また、国民の方々に向けては、平時より注意喚起サイバーセキュリティーへの理解醸成など普及啓発に取り組んでおります。  委員指摘のとおり、サイバー空間におきましては、技術進展が早く、攻撃者優位ともされる環境がございます。今後とも継続的に全省庁連携をいたしまして、我が国サイバーセキュリティー確保にしっかり取り組んでまいります。
  24. 赤池誠章

    赤池誠章君 あってはならないことですが、やはり分かりませんので、重大事態有事になった場合の想定に対して内閣官房からお話をお伺いしたいと思います。
  25. 松本裕之

    政府参考人松本裕之君) お答えいたします。  サイバー攻撃によりまして国民の生命、身体等に重大な被害が生じるなどの緊急事態が発生した場合には、内閣危機管理監の指揮の下、官邸危機管理センター官邸対策室などを設置し、必要に応じ、内閣サイバーセキュリティセンターを含む関係省庁局長級から成る緊急参集チームを参集させ、情報集約被害の復旧、拡大の防止、原因究明国民への適切な情報提供などについて協議するなどいたしまして、政府一体となった初動対処措置をとることとしているところでございます。  さらに、事態重大性緊急性に応じまして、関係閣僚会議国家安全保障会議閣議等の開催、政府対策本部の設置などを行いまして、事態の変化に対応することとなるところでございます。
  26. 赤池誠章

    赤池誠章君 そういった政府全体の取組の中で、防衛省自衛隊サイバー防衛隊という形であると聞いております。防衛省取組をお聞かせください。
  27. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) お答え申し上げます。  サイバー攻撃によりまして例えば武力攻撃が発生した場合、これは、武力行使の三要件を満たす場合には、国民の命と平和を、平和な暮らしを守り抜くため、自衛隊武力行使を含む必要な措置をとるべきことは当然のことと考えております。  その場合、自衛隊武力行使として具体的にいかなる対応を行うかについては、個別具体的な状況に即して判断すべきものであり、あらかじめ申し上げることは困難ではありますけれども、有事におきまして相手方のサイバー空間の利用を妨げることも含め、我が国防衛を全うするため適切な対応を行ってまいります。
  28. 赤池誠章

    赤池誠章君 日頃から、NISC、そして有事になったときの政府全体での危機管理、そして防衛省自衛隊自衛隊という形の中で、当然、国民保護ということがどうなっているのか気になるところであります。国民保護状況について、内閣官房からお聞かせ願いたいと思います。
  29. 澤田史朗

    政府参考人澤田史朗君) お答え申し上げます。  国民保護共同訓練でございますが、国民保護事案発生に際しまして、関係機関機能確認、相互の連携強化国民理解促進目的といたしまして、国、地方公共団体関係機関、そして地域の住民が一体となって共同訓練実施してきているところでございます。  サイバー攻撃を盛り込みました訓練といたしましては、平成三十一年二月に兵庫県におきまして、大規模イベントを控えまして、化学剤散布、爆発物設置、サイバーテロが同時に発生した想定訓練実施された例がございます。  サイバー攻撃によります重大事態への対処に関しましては、今後とも、国民保護の観点から、どのような課題があり、またどのようなことに留意すべきか等につきまして十分検討し、国民保護共同訓練につきましても対応してまいりたいと存じます。
  30. 赤池誠章

    赤池誠章君 今御紹介をいただきましたが、サイバーテロという形の、残念ながら、複合的とはいえ単発的な事態にどう対処するかということでありまして、私が先ほど聞いているのは、重要インフラの広範囲な攻撃における重大事態自衛隊が出動せざるを得ないような状況だということでありますから、そういう面での想定訓練というのは残念ながらこれからということではないのかなというふうに今聞かせていただいたところでございます。  そういう面では、やはり先ほど危機管理の要諦を専門家に言うのもおこがましいわけでありますが、想定できないことを想定してやっぱり訓練しないと、特に国民保護ですので、是非その辺はしっかり対応をすぐさまお願いをしたいと存じます。  さらに、サイバー空間において平和と安全を確保するということに対して、やはり法の支配という国際規範の形成が大変重要だというふうに思っております。  国際法のサイバー空間への適用についてはどうなっているのでしょうか。外務省見解をお伺いいたします。
  31. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  サイバー空間における国際法の適用に関わる議論は、主に国連において行われてきております。  二〇〇四年以降開かれている政府専門家会合においては、二〇一五年の報告書の中で、国際法が、特に国連憲章の全体がサイバー空間に適用される旨、また、国連憲章で認められた措置をとる固有の権利や、自国に帰属する国際法行為に対する義務等が確認され、同報告書は国連総会で採択されております。  本年三月には、全国連加盟国が参加できる枠組みである国連オープンエンド作業部会において報告書が採択され、サイバー空間への国際法の適用が確認されております。  他方、国際法が具体的にどのように適用されるかという点においては、国家主権を重視し、自国の権限を大幅に認めつつ、他国の自由を制限するために新たなサイバーに関する条約を作ろうというグループと、サイバー空間に最大限既存の国際法を適用し、サイバー犯罪等の取締りと活動の自由の間の適切なバランスを取り、自由、公正かつ安全なサイバー空間を守ろうという立場のグループが対立しております。この議論は現在継続しており、我が国は第六回政府専門家会合において、自由、公正かつ安全なサイバー空間を守る立場から積極的に議論に参加しております。  今後とも、悪意あるサイバー活動について、既存の国際法に依拠しつつ、その違法性を評価する国家実行が積み重ねられていくことが重要と考えており、我が国としても、サイバー空間における法の支配が一層推進されるよう、同志国と連携して積極的に貢献していく方針でございます。
  32. 赤池誠章

    赤池誠章君 国連を中心にして、国際法の適用をという議論が進んでいるということであります。  聞きますと、我が国で行われた五年前のG7の伊勢志摩サミット、また二年前のG20の大阪サミットでも、サイバー空間での法の支配、それが議論をなされて、まとまった一つの節目になっているということも聞いているところであります。引き続き、我が国が主導してサイバー空間における法の支配の強化につなげていただければと思います。  私の質問もちょっと最後の質問になりました。  外交防衛政策は、冒頭述べましたとおり、我が国にとって基盤ということであります。長い伝統を持つ我が国にとって、自分の国という国家意識我が国を守り抜くという国民の意思があればこそ今日があるわけだと思っております。国民国家意識醸成外交防衛への理解というのは必要不可欠であります。その理解増進に向けた強化策ということについて、特に我が国の将来を担う子供たちや若い方々に今後どういう視点を持って国家、社会と向き合ってほしいか、茂木外務大臣岸防衛大臣、それぞれ見解をお伺いしたいと存じます。
  33. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 赤池議員がおっしゃるように、我が国として力強い外交を推進する上で国民理解、協力が不可欠でありまして、私も記者会見、インタビュー、さらには若い世代でいいますとSNS等々も活用して、国民に直接分かりやすくお伝えするようにしております。特に、若い世代に対する向き合い方というのは重要だと思っております。  かつて、イギリスのトニー・ブレア首相が、五歳のイギリス人の英語力によって三十年後の英国の国力が決まると、こんなことを言っておりました。この英語力というのは、考え方とか思想とかコミュニケーションと、こういったことにも置き換えていいんではないかなと思っておりますが、外務省では、若者を対象に高校講座「学生と語る」、国際問題プレゼンテーション・コンテスト等を実施してきておりますし、また、外務省のホームページ内にキッズ外務省コーナーを設けまして分かりやすい言葉で外交問題また世界の国々について紹介しておりまして、好評を博しております。  過去と自然は変えることはできないが、未来と社会は自分たちの取組で変えることができる、私自身、そのような思いでこれまで政治、外交に取り組んできましたし、意思を行動に変える力、それが若さであると考えております。実は今年、コロナの関係で入省式できなかったんですが、外務省ですね、みんなを集めての。その代わりに、私の方から新しく外務省に入る新入の省員に向けまして文書を配りました。そこの中で、今申し上げた、過去と自然は変えることはできないがと、未来と社会は変えられると、こういう言葉を書きまして、若手の省員からかなり反響をもらったと思っております。  古代ギリシャの英雄、アレキサンダー大王、僅か十年でマケドニア、ギリシャからインダス川にわたる巨大な帝国を築いた力の象徴であるアレキサンダーは、剣によって得られたものは長続きしないが、優しさと節度によって得られたものは永遠であると言っております。まさに私はこれが外交なんではないかなと思っております。  もちろん、外交防衛と、これをどう組み合わせていくかということがより重要になってくると思っております。将来、外交そして国際情勢に関わろうという若者には、多様な価値観そして考え方を包み込み、様々な意見に目配りしながら、いざというときには果断に決断して行動できる人材になってもらいたいと考えております。  私も海外経験ある中で思うことなんですけれど、ほとんどの国の人間が自分の国の魅力、そして自分の国の歴史、これをとうとうと語れます、歴史の中で起きてきたことと。やはり日本人も、そういった自分の国の歴史であったりとか文化に誇りを持ち、またそれを堂々と海外に対しても語れれるような若者、そういった者を育てていくということが極めて重要だと思っております。
  34. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 我が国は、現在、大変厳しい安全保障環境に直面をしております。それに対して、自衛隊、多くの自衛隊員が昼夜を問わず精励をして任務に励んでいるところなんですけれども、こうした我が国が置かれているその厳しい安全保障環境、あるいはそれに対して自衛隊が、自衛官がどのような活動を現場で行っているか、これは国民の皆さんの目には直接触れるものではないわけですね。  そうした中で、自由や平和を享受できる社会、国民の平和な暮らしを守っていくことの大切さ、こうしたものを守るために、また、領土、領海、領空をしっかり守っていかなきゃいけないわけですけど、そのためにどれだけの努力が払われているか。こうした自衛隊の活動、外交努力も含めてですけれども、こうしたことを是非国民の皆さんには分かっていただきたい。そのために積極的な情報発信にも今努めているところでございます。  近年では、社会で幅広く利用されていますSNSですね、こうしたものを積極的に活用しているところでございます。未来を担う若い世代の人たちにもこうしたことをよく理解してもらって、将来にかけて安全保障問題に対する関心も是非高めてもらうべく、防衛省自衛隊としてもこうした情報発信に努めてまいりたいと考えております。
  35. 赤池誠章

    赤池誠章君 両大臣、本当にありがとうございました。今の若い方々、子供たちに、今、両大臣のメッセージを幅広く伝えるべく我々も努力をさせていただきたいと存じます。  そういう中では、外務省が高校生を中心に大変好評だという講演会ですね、是非、最近、国際会議も、2プラス2ということもございますので、高校の出前講座も是非外務省防衛省連携して実施をするとか、また白書ですね、外交青書、それから防衛白書、大変重厚なものを、しっかりとした内容を作られているわけでありますが、デジタル時代でもありますし、若い方々に読んでいただくためにも簡潔、コンパクトにして、また、デジタルネットワーク対応みたいな形で、やっぱり読んでいただく工夫、活用というのが大事ではないかなと。これは外務省防衛省だけじゃなくて、政府全体で六十以上、六十近く白書類がありますから、改めてこの決算委員会でも白書全体が本当に国民に資するものになっているか検討する場もつくってはいかがかなというふうに思います。  それでは、私の質問を以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
  36. 舞立昇治

    舞立昇治君 自由民主党の舞立昇治でございます。  本日は外務省防衛省省庁審査ということで、私、ふだんは農林水産を始めといたしまして、地方創生や防災、国土強靱化等中心にやっている身でございまして、素人の部類だと思いますけれども、防災のように、万一の事態、最悪の事態に備えるためにリスクヘッジとして何をすべきかという意味では共通するところが少なからずあると思っておりまして、かなり関心を持っている分野でもございます。  そして、私の地元鳥取県、島根県におきましては、陸上自衛隊や航空自衛隊の基地があったり、拉致問題、竹島問題、そして外国漁船の違法操業問題等、日韓関係等々外防分野もかなり関係がございますので、今日はどうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、拉致問題について行きたいと思いますが、いよいよ今週の金曜日、十六日に日米首脳会談が行われることとなりました。米国のバイデン政権は日米同盟を重視し、閣僚初の海外派遣先を日本に、そしてホワイトハウスに招く初の外国首脳に菅総理を選ばれました。これにつきましては、茂木大臣のリーダーシップ、そして外務省の事務方始め関係者の皆様方に敬意を表させていただきたいと思います。  先月来日したブリンケン国務長官、オースティン国防長官は、一連の会議にブルーリボンバッジを着用していただきました。会議後、ブリンケン長官、家族会、救う会からの書簡に心を動かされたと、北朝鮮との交渉では拉致問題を取り上げると宣言していただいたことに私もとても感銘を受けました。  私の地元鳥取、島根におきましても、松本京子さん始め多数の拉致被害者がおられ、御家族が他界、高齢化する中で一刻も早い解決が望まれるところ、今度こそという思いで、バイデン政権と菅政権には非常に期待しているところでございます。  他方で、北朝鮮、先月また相次いでミサイルを発射し、挑発行為を再び始めるなど、これまでの国際的な一連の制裁措置ではまだまだ懲りていない様子でございます。家族会や救う会の方々が指摘するように、北朝鮮は強い圧力が掛かったときだけに交渉の場に出てくるとも言われておりますが、ミサイルを再び発射し出したり東京五輪不参加を表明したりしたということは、また何らかのシグナルを送っているものと思っております。  こうした中、総理の訪米前に、自民党では、拉致問題対策本部におきまして、先日、決議を行い、菅総理始め政府に対しまして、拉致問題の早期解決に向けて米国の全面的な協力を取り付けること、そして、金委員長が全ての拉致被害者を帰国させると決断するまで圧力を緩めてはならないこと、また日朝首脳会談実現への強い思いを伝えること、そして、バイデン政権の対中戦略の中に拉致問題を始めとする北朝鮮問題を重要な要素として盛り込むことなどを求めたところでございます。  また、先日の五日には、拉致被害者でございます松本京子さんの兄である孟さん個人からも政府に要望書が出されるなど、各方面から多くの切実な要望がなされております。  つきましては、拉致問題について、先ほどの決議や松本孟さん始め御家族たちの要望の実現に向けて、政府としてどのような強い姿勢で日米首脳会談に臨まれるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  37. 三ッ林裕巳

    ○副大臣(三ッ林裕巳君) 舞立委員にお答えいたします。  私は、四月一日の自由民主党北朝鮮による拉致問題対策本部に出席しまして、同本部が採択した決議をその場で承りました。また、松本孟さんには、昨年十一月の国民のつどいの際にお会いし、妹の京子さんの帰りを待ちわびる痛切な思いを直接お伺いいたしました。四月五日に孟さんからいただいた要望書についても拝読させていただき、もう時間がないとの切実な訴えを深く胸に刻んだところでございます。さらに、先週七日、総理と家族会、救う会との面会に私も同席し、親の世代の家族が被害者との再会を果たさなければ解決とは言えない旨の発言を直接お伺いいたしました。もはや一刻の猶予もないとの御家族の切実な思いを真摯に受け止めております。  総理は、今月二日、山谷自由民主党北朝鮮による拉致問題対策部長から決議の手交を受けました。そして、七日に家族会、救う会から今後の運動方針と金正恩委員長宛てメッセージの手交を受けた際、総理は、今週実施される予定の日米首脳会談では、日本にとって拉致問題がいかに重要であるかをバイデン大統領にも理解していただき、日米がしっかりと協力して拉致問題の解決に向けて取り組んでいくことを確認したいと述べられました。  拉致問題は、菅内閣の最重要課題であります。菅総理、加藤官房長官の下、党の決議や御家族の皆様の声をしっかりと受け止めながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向け、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動してまいります。
  38. 舞立昇治

    舞立昇治君 副大臣、ありがとうございました。何とぞよろしくお願いいたします。  決意のほどはよいといたしまして、拉致問題解決の具体的な成果を上げるためにどのような戦略でバイデン大統領との会談に臨まれるのか、茂木大臣、可能な範囲でできるだけ詳しい御答弁をお願いいたします。
  39. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、我が国の北朝鮮に対する基本的な方針でありますが、我が国として、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算して国交正常化を目指す考えに変わりはありません。  御案内のとおり、今、バイデン政権、北朝鮮政策のレビュー、真っ最中でありまして、先日の日米外相会談、また岸大臣も含めました2プラス2におきましても、対北朝鮮の問題、拉致の問題もしっかり取り上げさせていただいたところであります。  そして、今週、菅総理が、米国時間の四月十六日になるわけですが、米国ワシントンにおきまして、海外の首相としては初めてバイデン大統領と日米首脳会談を行う予定であります。日米同盟の強固さ、これを内外に示す、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて日米がしっかり協力をしていく、さらには気候変動問題と、これらの課題についての協力とか取組、確認すると同時に、拉致問題と、これも非常に大きなテーマになってくると、このように考えております。  一月の日米首脳電話会談でも確認いたしましたが、今回の対面での首脳会談においても、拉致問題の重要性、人権問題、バイデン大統領極めて重視をしております。バイデン大統領に説明をして、日米がしっかりと協力して拉致問題の解決に向けて取り組んでいくこと、確認することが重要であると考えております。  その上で、拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要だと考えておりまして、事柄の性格上、なかなか表に出せない水面下の動きというのもあるわけでありますけど、北朝鮮との間で様々な手段を通じてやり取りを行っているところであります。  その上で、やはり一番本心というか、いろんな挑発行為をしたり、いろんな声明を出したりしますけれど、一番本音が分かるのは金正恩委員長ということでありますから、菅総理自身も金正恩委員長と直接向き合う決意を表明しているところでありまして、あらゆるチャンスを逃さずにこの問題に取り組んでいきたいと思っております。  今、拉致問題については、国際世論も相当理解が深まっていると思います。私が外務副大臣やりました二〇〇二年から三年の頃でありましたけど、当時、海外に行ってこの問題取り上げてアブダクションという言葉を使いますと、すぐに分かってくれる国と説明が必要な国ありましたが、今もうアブダクションと言ったら何のことかすぐにうなずいてくれると、こういう状況であります。  こういった国際世論、これも味方にしながら、米国などと緊密に連携して、全ての拉致被害者、既に昨年も、有本恵子さんのお母様、そして横田めぐみさんのお父様、亡くなられると、御家族の皆さん御高齢になっている中で一日も早い帰国が必要だ、こういう思いで全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  40. 舞立昇治

    舞立昇治君 茂木大臣、ありがとうございました。水面下の話でなかなか余り言えないかと思ったら、詳しく丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございました。  是非、恐らくアメリカ、北朝鮮に対する政策レビュー、もう終わっているんじゃないかと思っておりますので、何とか日米首脳会談で有意義な内容の会談がなされることを期待したいと思います。  次に移りますが、大和堆の問題でございます。  茂木大臣、大和堆を御存じでしょうか。甘エビやイカ、カニなど、いかにもおいしい水産物が捕れる日本海有数の好漁場である大和堆におきましては、北朝鮮や中国を始めとする外国漁船の違法操業が絶えず、これがまた年々悪質化、巧妙化、広域化する状況に、現場の漁業関係者、長年にわたり悔しい、悲しい思いをしていることにつきましては、私、農林水産委員会で度々取り上げさせていただいているところでございます。  御承知のとおり、昨年九月に、我が国の排他的経済水域の中で北朝鮮の公船が出現する事態が発生し、そして、この一か月にもわたり我が国の漁船が操業ができない事態が続いたことに、日本海側の議員として、そして党の、自民党の水産部会長として強く憤慨しているところでございます。  また、今回は、今までは北朝鮮の船で、小さな木造船による違法操業がメーンであったわけでございますが、今回、北朝鮮の公船を盾にして、その背後で中国船らしき漁船が漁をしまくっている、その中国船というのは、木造船じゃなくて大きな鋼船、鉄の船ということで、本当に大量に漁獲されてしまっているというようなことで、危機のレベル、ステージが格段に上がったと私は判断しておりまして、ましてや、水研機構の調査によれば、中国は日本の十倍ものスルメイカを漁獲しているという許し難い情報もございます。  今回、我が国の漁船が退避した足下を見て、今後も中国は北朝鮮と結託して日本のEEZにより深く分け入って侵入してくるおそれがあるところ、野上農林水産大臣からは、今後は、そのような中国漁船、北朝鮮公船が出現したとしても、我が国漁船の安全を確保しつつ操業を行えるよう、現場勢力である水産庁と海保連携して対応することとし、特に北朝鮮は武器を有している可能性が排除されないので、我が国漁船の安全確保については関係省庁間で万全を尽くすと答弁をいただいているところでございます。  外務省からも、中国及び北朝鮮に対し引き続きしかるべく申入れを行うと言ってはいただいておりますけれども、なかなか、党の水産部会で議論しているときには、なかなか外務省の本気度が感じられないとの声が聞かれるところでございまして、これまで以上にしかるべき強いレベルで申入れしていただきたいと思いますし、海保とも連携し、今度やったら毅然と拿捕するぞくらいの警告をしていただきたいと思っておりますが、これまでの申入れの状況と今後の毅然とした対応方針について、茂木大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
  41. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) まず、大和堆、よく存じ上げております。極めて重要な漁場でありまして、特に日本海沿岸漁業民の皆さんにとってはこの重要性というのは何物にも代え難いと、このように考えております。  そして、我が国の排他的経済水域におけます御指摘のような中国漁船であったりとか北朝鮮による違法操業、極めて問題があると、こういう認識の下に対応してまいりたい。毅然と対応すると、おっしゃるとおりだと思っております。  そして、毅然と対応する中で重要なことというのは、漁業関係者の皆さんの安全が守られると、そしてそういった我が国の排他的経済水域で違法なことが行われないと、この実態を確保するのにはどういうことが必要か、こういう観点が重要だと思っておりまして、詳細につきましては事務方の方から答弁させていただきます。
  42. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。  今大臣の方から御答弁申し上げたとおりで、我が国排他的経済水域において中国漁船、北朝鮮船舶による違法操業が行われているということは極めて問題だと認識しております。  これまでも累次の機会に中国、北朝鮮に対して違法操業の停止等を申し入れてきておるところでございますけれども、特に中国漁船による違法操業につきましては、昨年十一月の日中外相会談、先週四月五日の日中外相電話会談において茂木大臣から申入れを行ったのを含めまして、中国側に対して日本側の懸念を様々なレベル、機会に繰り返し伝達をするとともに、漁業者への指導等の対策強化を含む実効的措置をとるよう繰り返し強く申し入れておるという次第でございます。  引き続き、海上保安庁、水産庁を始めとする関係省庁連携しつつ、我が国排他的経済水域内での外国漁船等による違法操業の防止のため、毅然として対応してまいりたいと考えております。
  43. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございました。  どうか、今、日本の水産業、サケやサンマ等の記録的不漁ですとか、そして水産改革によりまして厳しい資源管理をやっているところでございまして、正直者がばかを見るようなことがこれ以上起きないように、どうか引き続き毅然と対応していただきますようによろしくお願いいたします。  続いて、北朝鮮問題で続きますけれども、先日、日本への入港禁止及び輸出入禁止措置の継続に係る閣議決定が行われましたが、もう十年以上にわたり、日本はもちろん、国連安保理の決議等で段階的に制裁が強化されてきたにもかかわらず、北朝鮮はいまだ音を上げず、粛々と核を始め軍事力の強化を図っているところでございます。  これにつきましては、北朝鮮関連船舶による洋上での違法な物資の積替え、いわゆる瀬取りを止められないのが主な要因の一つとも言われておりますが、まずは瀬取りの実態、状況についてお伺いします。
  44. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  我が国といたしましては、対北朝鮮安保理制裁決議がしっかりと履行されることが重要と考えており、北朝鮮による関連安保理決議違反が疑われる活動について重大な関心や懸念を持って平素から情報収集分析に努めております。  瀬取りの実態につきまして網羅的にお答えすることは困難でございますが、例えば、本年三月に公表された安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネルの報告書では、北朝鮮籍船への瀬取りや第三国船舶による直接輸送により北朝鮮の石油精製品の不正輸出が継続しており、二〇二〇年一月から九日までの間の輸出総量は最大四百万バレル以上と推定されることや、上海南方沖での石炭の瀬取りの実施、中国籍及び他の第三国船の大型船舶の利用等による輸送の効率化など、手口の巧妙化が指摘されております。  我が国としましては、全ての安保理、全ての国連加盟国が瀬取りを始めとする北朝鮮による制裁違反の防止を徹底していくよう、引き続き米国を始めとする国際社会と緊密に連携し、安保理決議の実効性の確保に取り組んでいく所存でございます。
  45. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございました。  石油でいうと四百万バレル以上とか、その他いろいろなことが報告されておりますが、これはあくまでも氷山の一角だと私は思っておりまして、その何倍、何十倍ものいろんなものが瀬取りされているんじゃないかというふうに思っております。  そういった中で、ホームページ等でその現場の映像を幾つか見させていただいておりますけれども、そもそも瀬取りの現場を居合わせて確認した際に、臨検や拿捕とかできるんでしょうか。また、これまで実績あるんでしょうか。その辺、教えてください。
  46. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  瀬取りの疑いがある船舶に対していかなる措置をとり得るかについては個別具体的な事案に即して判断する必要があり、一概にお答えすることは困難でございます。  なお、これまで我が国が瀬取りの実施が疑われる北朝鮮船舶の臨検、拿捕を行ったことはないと承知しております。  その上で、一般論として申し上げれば、仮に日本の領海内で第三国籍の船舶と北朝鮮船舶が瀬取りを実施した場合には、関係法令の要件を満たせば当該船舶の貨物検査等の措置を講ずることができます。また、公海上で第三国籍の船舶と北朝鮮船舶が瀬取りを実施した場合には、旗国の同意を得た上であれば、同様に関係法令の要件を満たす限りにおいて当該船舶の貨物検査等を実施することができます。
  47. 舞立昇治

    舞立昇治君 そうなんですよね。この旗国の同意があれば検査ができるというので、恐らく中国ですとか北朝鮮、その友好関係国だと思うんですが、ほとんど中国だと思うんですが、中国が同意するとはとても思えないですよね。なかなかこういった抜け穴が埋められないという状況でございますけれども、なかなかそういう状況ではいつまでたってもなくすことができないということで、アメリカを始めといたしまして、国際社会と連携し、もう一段レベルアップした厳しい措置をとる段階に来ていると思いますけれども、この非常に優秀な戦略家、戦術家でいらっしゃる茂木大臣から、今後の対応強化についてどのように考えていらっしゃるのか、御答弁いただければと思います。
  48. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 恐らく北朝鮮にとって、コロナ前、主な外貨であったりとか収入の獲得手段というのは四つあったと思っております。一つは、特に陸上を通じたいわゆるかぎ括弧の貿易というものであります。石炭等を輸出すると。そして、二つ目に海外に労働者を派遣する、その労働者から入ってくる賃金。そして、三つ目にサイバー空間によって資金等を搾取すると。四つ目がこの委員指摘の瀬取りと。この四つが主な手段であったと思っております。  そのうち、コロナによりまして、いわゆる国境ですね、国境ではないんですけど、国境と言われるものが閉じられるという状況で、貿易というのは九割以上、九五%ぐらい減少すると、こういう状況でありますし、海外に出ている労働者、これも非常に限られる状況になってくると。こうなってきますと、瀬取りというのは極めて北朝鮮にとって外貨収入等々を得る、またそれを軍事に転用すると、こういう手段になってくる。どんなことがあってもそれを止めなければいけないということでありまして、これは国連決議違反なんだと、こういったことを、米国だけではなくて、フランスであったり英国であったり、さらにはオーストラリア、様々な国と協力しながら、瀬取り対策と、これはかなり共通の言葉になってきました、もう。こういったことを進めるということが重要だと考えておりまして、そういった機運を高めつつ、この実効性を上げるためにどんな手段が取り得るかと、これについては更に検討を深めてまいりたいと思っております。
  49. 舞立昇治

    舞立昇治君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  ちょっと予定より時間が大分オーバーしてきましたので、竹島・北方領土問題につきまして、最初のところはちょっと飛ばしたいと思います。  この竹島問題につきまして、私も、一昨年、鳥取・島根合区選挙区の代表とならせていただいてからは、より一層取り組まなければならないという思いを強くしているところでございます。  これまで政府は、一九五四年、一九六二年及び二〇一二年の三回にわたり、韓国政府に対し、ICJ、国際司法裁判所への付託を提案してきておりますが、韓国政府は全て拒否しております。この司法裁判所、当事者双方の同意がなければ審理できず、まともにやれば日本が勝つので、韓国は永遠に乗ってこないと思います。  また、現在は、いわゆる徴用工や慰安婦の問題などで日韓関係は過去最悪とも言われ、膠着状態が続く中、とにかく韓国とは、重要な隣国だけに、歴史を直視しつつ、お互いに尊重しながら、是々非々で一つ一つ冷静に話し合いながら解決していくほかございませんが、この竹島問題でございますが、ソウル・釜山市長選での野党候補の勝利、そして来年の大統領選等を考慮いたしまして、この膠着状態を打開すべく、最後、もう一度だけ、まずは丁寧にこのICJへの付託について一年程度の期限を切って提案して、それでも拒否するようであれば、単独で可能な常設仲裁裁判所に提訴し、手続を進めるべきと思っております。仲裁裁判に執行権限はありませんが、法的拘束力はありますので、法の支配を尊重する国際社会の理解が得られ、世論も味方になり、非常に有意義と考えますし、少なくともこの竹島をめぐる両国の見解の相違に終止符が打たれ、やがては韓国国民も目を覚ましていただけるものと思います。  また、竹島問題と同様に、北方領土問題も新たな段階に入り、日本も新たな行動に打って出る、対応強化する段階に来ていると思います。  御承知のとおり、昨年七月、ロシアでは、国境の再画定を除き、領土割譲の禁止に係る憲法改正が行われました。プーチン政権は、憲法を理由に北方領土交渉を拒否する又は曖昧にする姿勢を強めております。これについても、一九七二年に時の大平外務大臣からICJへの付託を提案したものの拒絶されたということがあったと聞いております。  平成三十年のシンガポール合意等々、いろいろ事情があるのはよく分かっておりますけれども、この北方領土問題についても、竹島問題と同様に、まずは丁寧に一年程度期限を切ってその他の交渉も始め、やりつつですね、ICJへの付託を再度提案してみて、それでもロシアが曖昧のままにし拒否し続けるようであれば、常設仲裁裁判所に提訴すべき、今こそ法の支配を尊重していく姿勢を示していくというようなことが必要だと思いますが、この二つの領土問題の解決に向けて、結果を出すべく、今後どのように毅然と対応していかれるのか、お伺いいたします。
  50. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) まず、竹島問題の方につきましてお答えを申し上げます。  我が国、竹島問題の平和的手段による解決を図るため、委員指摘のとおり、一九五四年、六二年、それから二〇一二年、韓国に対して竹島問題を国際司法裁判所に合意付託することなどを提案してきておるというところでございます。これまで、御指摘のとおり、韓国政府我が国の提案に応じておりませんけれども、竹島問題を冷静、公正かつ平和的に解決するために、これらの提案に応じることを引き続き強く求めてまいりたいと考えております。  その上で、御指摘の点につきまして、具体的にお答えするということは、竹島に関する我が国の今後の対応等に影響を及ぼし得ることから差し控えさせていただければと存じますが、いずれにせよ、この問題、一朝一夕に解決する問題ではございませんけれども、大局的観点に立って、冷静に粘り強く対応してまいりたいと考えております。
  51. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 北方領土問題についてでありますが、ICJ等々、もうちょっと待ってもらえませんかね、一生懸命今やっているところですので。  状況を申し上げますと、昨年のロシアの憲法改正御指摘いただきましたが、その後、昨年九月に行われました日ロの首脳会談、電話でありましたが、ここでもプーチン大統領は平和条約交渉を継続していく意向と、これを明確に表明しているところであります。  交渉責任者であります私とラブロフ外相、対面でももう一、二、三、四回会っております。特に、一九年の末、モスクワでは二日間八時間にわたって交渉を行いまして、昨年十月のラブロフ外相との電話会談でも、平和条約交渉を含め、引き続き議論を重ねていくことで一致をいたしました。  正直言って七十年以上片付いていないと、一歩も動いていないと、こういう大きな課題でありますから解決というのは容易ではありませんけれど、これまでの交渉を通じて議論は間違いなく進んできていると考えておりまして、両国で考え方が一致できる部分、また立場が異なる部分も明確になってきております。  私としても、交渉責任者として、領土問題を解決して平和条約を締結するという目標に向かって、引き続き全力で取り組んでいきたい。  舞立委員の、解決できないんだったらば国際裁判でと、こういうお気持ちも分かりますが、今、もう少しの猶予をいただいて交渉に臨んでいきたと、こんなふうに思っております。
  52. 舞立昇治

    舞立昇治君 茂木大臣の間違いなく議論は確実に進んでいるという言葉を信じて応援していきたいと思います。  元々、この竹島、北方領土、特に私は竹島でございますけれども、先ほどの大和堆の問題も、そもそもやっぱりこの竹島が影響しているんですよね。竹島のその領土問題が解決していないので、日本と韓国のEEZの中間線が明確に決められない、そういった中で暫定水域だとかいろんな問題で韓国に違法、違法にというか、強力に占拠されて、日本の漁船があの辺で漁業できないというところもすごくいろいろと問題がございます。そうした中で、是非とも粘り強く前に進めていただきたいと思っております。  あと、今日は中国の海警法の問題ですとか自民党のこの尖閣防衛の緊急提言等をさせていただく予定でございましたが、時間が来てしまいましたので、これで終わりにしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  53. 石橋通宏

    石橋通宏君 立憲民主・社民の石橋通宏です。  今日は、久しぶりに決算委員会で質問の機会をいただきました。機会をいただきましたこと感謝申し上げながら、早速質問に入らせていただきたいと思います。  今日は、ODA関係を中心に、我が国のODA、決算ベースで適正に行われているのか、とりわけミャンマーの関係とモザンビークを中心に質問してまいりたいと思います。  まず、茂木大臣、確認させてください。  我が国ODA、資料一にこの間のトレンドを見ておりますが、国際的にもGNI比〇・七%という公約、そして目標があるはずです。しかし、若干微増はありますが、一向にこの〇・七%達成する気配すらありません。  大臣、これ〇・七%目標は維持されているんでしょうか。それとも、もう放棄したんでしょうか。教えてください。
  54. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 放棄したということではありませんが、外務省のODA予算、御覧いただいているように十一年連続、政府全体のODA予算、六年連続で増額計上いたしております。  御案内のとおり、我が国の財政状況、少子高齢化の問題等々もあって大変厳しいものはありますが、そこの中でもできる限りの予算と、しっかり確保する中で、我が国としての国際貢献果たしていきたいと思っております。
  55. 石橋通宏

    石橋通宏君 いや、厳しいのは諸外国も同じなはずでありまして、このグラフにもありますとおり、GNI比でいうともう十三位まで、〇・三からほとんど動きません。  この状況で、大臣一体いつ〇・七実現するんですか。いや、できないならもうできないと、国際的に、正直に言った方がいいんじゃないですか、大臣
  56. 原圭一

    政府参考人(原圭一君) お答え申し上げます。  現在の我が国の財政状況に鑑みれば、GNI比〇・七%の達成の目途を具体的に示すことは困難ではございますけれども、ODAの重要性に鑑みまして、外務省のODA予算は十一年連続、政府全体のODA予算は六年連続で増額計上されているところでございます。
  57. 石橋通宏

    石橋通宏君 いや、大臣と同じ答弁繰り返さなくてもいいですから、お願いしておきます。  大臣、よくよく御存じのとおり、今世界的にはSDGsの達成、さらには気候変動対策、また、今はとりわけこの新型コロナ感染症もそうですが、感染症対策、これまたいつ何どき新たな感染症が世界を襲うとも限りません。ワクチン供給のメカニズム、様々な地球規模課題に対して相当な国際協力と資金需要というのがあります。  大臣、今その資金需要がどれだけのもので、しかし、残念ながらどれだけの資金ギャップがあるのか、そこに対して我が国としてどう貢献をしていくのかということがまさに求められているんだと思いますが、大臣、この資金ギャップの認識、そして我が国のこれからの貢献、どうされていくつもりですか。
  58. 原圭一

    政府参考人(原圭一君) お答え申し上げます。  新型コロナ感染拡大以前におきましては、SDGsの達成には、途上国において年間三・九兆ドルの資金需要に対しまして、年間二・五兆ドルの資金ギャップが存在すると試算されております。新型コロナを受けまして、そのギャップは更に広がるというふうに見込まれております。  さらに、後発開発途上国や脆弱な経済を持つ国々におきましては、資金ギャップは更に拡大しているものと考えられます。
  59. 石橋通宏

    石橋通宏君 資料二にもありますけれども、SDGsだけでもこれだけ巨額の資金ギャップがあるということで、まさに世界が協力一致して、とりわけ先進国、とりわけ日本の貢献というものが求められているわけです。  なので大臣、これ、我々、超党派で今この資金調達に向けて国際連帯税をやっぱり今こそ導入すべきだということを訴えています。  昨年三月の予算委員会で、茂木大臣にこの問題を取り上げてお願いをしました。大臣、そのときに、河野前大臣以上に頑張りますと予算委員会で約束をされましたが、その後頑張った気配が全くありません。  茂木大臣、改めてお願いをします。国際連帯税、しっかり導入をいただいて、この巨額の資金ギャップ、でも、これ何とかやっていかないと世界で様々な対策ができません。大臣、そのためにも外務省が、大臣がイニシアチブ取って国際連帯税の導入、政府の中でやっていただく、約束していただけませんか。
  60. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 資金ギャップの問題でありますが、今、流動的といいますか、恐らくこれから資金ギャップ更に広がっていくと。  例えば、COVAXを見ましても、今途上国に供給すると、これは全体の人口の二〇%ということになっておりますが、恐らく、これを三〇%に引き上げるということになれば、当然そこでも資金ギャップというのが必要になって、新たなコミットメントと、こういったものも先進国で分け合って分担していかなけりゃいけないと。日本はこのCOVAXの途上国向けのAMCの枠組みと、これもつくるのにも主導的な役割をしてまいりました。そういった意味で、当然財政当局との、まあ何というか、協議が必要でありますが、できる限りのコミットメントと、こういったことも検討していきたいと思っております。  お金の出し方と、それは、何ですか。(発言する者あり)聞こえないんですけど。お金の出し方と、それは税というのもありますし、民間資金をどう導入するかと、こういう問題もあるわけでありまして、資金ギャップを埋めるために、外務省として、二〇一九年七月にSDGs達成のための新たな資金を考える有識者懇談会設置をして議論をしてまいりました。  委員が熱心に取り組んでおられるコクタイ連帯税について、決して私が足を引っ張っていると、こういうことではありませんからよく御理解いただきたいと思うんですが、例えばこれについて、新型コロナ感染症の流行によって日本経済全体が大きな打撃を受けている状況下での新税の導入が現実的と言えるかと、こういう提言もいただいているところであります。  もちろん、新税を導入するといったときに、コクタイ、国際連帯税だけではなくて、ほとんど全ての新税については批判的な意見というのは出るんだろうと、それが私は税の性格なんではないかなと、こんなふうに思っておりますけれど、税、そして民間資金の導入を含む様々な手段を活用すると、そのためにODAを触媒とした民間資金の動員と、こういったことも考えられるのではないかなと思っておりまして、適切な資金調達の在り方と、今後も検討していきたいと思っております。
  61. 石橋通宏

    石橋通宏君 いや、大臣、民間資金、民間資金、民間資金大好きですけど、大臣、国の責任です。公の責任をしっかり果たしていこう、だから国民の皆さんの御理解もしっかりいただきながら、世界で、そして日本もしっかり貢献していくというために、国際連帯税ということを超党派で提言させていただいているわけです。重ねて、これ超党派で具体的な提言をまた大臣に対してもさせていただきますので、是非しっかりとした取組をいただきたいということをこの場では要求をしておきたいと思います。  その上で、ODAの関係、更に深めていきますが、実は二〇一五年に現行の新しいODA大綱、開発協力大綱ができたときに、我々当時激論したんですね。大反対したことがありまして、それは、他国の軍隊や軍人に対して非軍事目的であればODA支援をやるんだということが盛り込まれました。我々は、いや、非軍事という名目であっても、これ絶対に軍事目的に流れる懸念があると、拭い切れないと、完全に分離はできないと、だから駄目だと言って当時訴えたんですが、当時政府はこれを推し進めてやってしまった。  現状どうなっているか。私もびっくりしましたが、資料、配付資料の三に、これだけのODAが、その後、軍、軍人へ、非軍事という目的で、名目で使われていると。今回問題になっているミャンマーの案件もあるわけです。  改めて大臣、これ、こういったことも踏まえて、もうやっぱり非軍事名目とはいえ、それが軍を強化をしたり軍人の利権につながったり、そういうことがあることを考えれば、ODA、我が国の貴重な大切な国民の税金からの支援という意味でのODAで軍、軍人へのODAはやめる。見直しませんか、大臣、どうですか。
  62. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 様々な安全保障課題に対して国際社会が一致して取り組んでいくということはまず重要で、必要不可欠なことであると思います。  ミャンマーのことにつきましては、防衛省としては能力構築支援事業を始めとする様々な取組実施してまいりました。現在は、新型コロナウイルスの感染症の影響で、能力構築支援事業として日本語教育の環境整備支援のみを実施をしているところであります。  こうした中で、今般のミャンマーで多数の死傷者が発生をし続けている、こうした状況については強く非難をしております。  今後の防衛協力交流については、今後の事態を、更なる推移を注視して、検討してまいりたいと考えております。
  63. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 石橋委員も御案内のとおり、軍であったりとか軍籍を有する者が直接裨益をするようなものはやっておりません。  ただ、感染症対策であったりとか、紛争後の復旧復興、さらには災害支援などの国際社会における開発課題への対応が重要となる中で、その中で、国によっては軍や軍籍を有する者がそこで重要な役割を担っているということもあるわけでありまして、このようなことを踏まえまして、二〇一五年の閣議決定されました開発協力大綱では、これまで十分明確ではなかった軍や軍籍を有する者に対する非軍事目的の開発協力に対する方針、これを明確化しまして、非軍事目的の開発協力に相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目をし、個別具体的に検討することとしております。ミャンマーに対する支援についてもこの方針に基づいて進めてきたものであります。  いずれにしても、二月一日、クーデターが起こってからミャンマー、ミャンマー軍が……(発言する者あり)聞いていない、ミャンマーのこと、いいですか、もう。いいですか。
  64. 石橋通宏

    石橋通宏君 いや、そもそも現行のODA大綱、開発協力大綱の下での、重ねてこれだけの資金が、ODA支援が、非軍事目的とはいえしている。  これ、是非精査をしてください。改めて我々も精査をさせていただきます。絶対にこのシステムチェックがうまくいっているのかどうか、非常に疑わしいと言わざるを得ませんので、これ改めて我々としても、本当に軍、軍人軍属、これ軍事目的に転用なり利用なり何らかの形で関与していないのか、これ徹底的に調査報告をしていただきますので、それは改めて、大臣、そういう認識で今日、今は聞いていますので、よろしくお願いします。  その上で、ミャンマーの問題に入りたいと思います。  配付資料の四を是非御覧ください。  既に、これ直近の数字ですけれども、ミャンマー国軍によって、二月一日のクーデター以降、七百人以上の市民が虐殺をされております。これ、右のグラフを見ていただければお分かりのとおり、ここに来て非常に増加をしております。一気にこの状況が悪化をしていることがお分かりをいただけると思います。さらには、逮捕者、拘禁者ももう数千名と、これ分かっているだけでこのグラフですが、行方知らずの方々もたくさんおられますので、相当数に上るというふうに言われています。  茂木大臣大臣、ずうっと推移を見守りますと、検討しますと言われ続けてきました。もうこの状況です。一体いつまで検討し、いつまで推移を見守るんですか。もう行動すべき時期ではないんでしょうか、大臣
  65. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 推移は見守ります。ただ、見守るといっても、じっと見ているだけではなくて、ミャンマー側に対する働きかけ、様々なレベルで行っております。  死者が二月一日以降増加していると、この状況については私も深刻に捉えておりますし、二月二十七日、多分私、日本の中でも最初に、この日が危険な状況になると、こういったことを申し上げた人間ではないかなと思っております。次の日にも外務大臣談話も発出をさせていただきました。どうやったら事態が鎮静化できるのか、同時に、拘束者の解放の問題であったり、さらには、日本としてまた国際社会が期待をしている民主的な体制への早期回復、これに向けてどういった手段が取り得るのか、これは決して簡単な問題ではないです。  日米でも、またASEAN諸国とも、先日もルトノ外相であったりとか、タイのドーン副首相、そして今、ASEANの議長国ブルネイの外相ともいろんな話をしながら、また直接の水面下の働きかけ等々も行いながら、どうにか事態を鎮静化したい、こういう取組をしておりまして、決して傍観しているわけではないということは是非理解ください。
  66. 石橋通宏

    石橋通宏君 それが見えないのです、大臣。とりわけ、ミャンマー国民の皆さんに全然見えていない。だから、日本政府一体何をしているのか、何もしてくれていないのではないかという、本当に深刻な懸念がミャンマー国民、市民の中に渦巻いております。  配付資料の五、これまた衝撃を受けました。大臣、報告を受けていると思います。  先日、バゴーでついに軍は迫撃砲を市民に撃ち込みました。分かっているだけで八十二名が虐殺をされております。軍が多くの死体を持ち去ったそうです。なので、正確には分からないと、恐らくそれ以上であろうという報道も受けております。大臣、国軍は、戒厳令下で市民に、軍法会議にかけて、二十三名に死刑判決を出しました。さらに、二十名ぐらいが訴追をされているといううわさ、情報も得ております。  大臣、これ、どう対応されますか、日本として。これ、市民二十三人死刑判決、こんなことさせたらとんでもない話だと思いますが、これ日本政府として何らかのアクションを取るおつもりですか。
  67. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、この週末にもバゴー市におきまして、国軍、警察による発砲も含む実力行使によって多数の一般市民が死傷し、おっしゃられるとおり、遺体の持ち去りといったような話というのも出ておるというところではございます。こちらにつきましては強く抗議し、一切の暴力的な行為の即時停止を強く求めてきておるというところでございます。  先ほど大臣からも御答弁申し上げましたですけれども、まさに今、丸山駐ミャンマー大使を始めといたしまして、現在、日本側といたしまして、まず事態の鎮静化に向けて様々な関係者、統治評議会の下での外交を担当するワナ・マウン・ルイン氏への直接の対面での申入れ等々も含めまして、様々な働きかけを行っている最中でございます。現地の状況、緊迫する中で、やり取りの一々について明らかにするということは差し控えたいとは存じますけれども、そうした努力を払っているということにつきましては御理解を賜れればというふうに思います。  また、国際社会との連携におきましても、日本独自の役割への期待は大きく、アメリカを始めとする同盟国、同志国、ASEAN諸国等々から頻繁に意見を求められ、緊密に意思疎通を行っておるというところでございます。  こうした中、きちんとした形で日本独自の役割を果たしながら、関係国とも緊密に連携してまいりたいというふうに考えております。
  68. 石橋通宏

    石橋通宏君 この国軍の死刑判決に対しては何かアクション取ったんですか。
  69. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) 先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、まさにこの週末の状況につきましても強く抗議をいたしまして、一切の暴力停止、改めて強く求めておるという次第でございます。
  70. 石橋通宏

    石橋通宏君 それは、バゴーの虐殺についてはそうでしょう。この死刑判決についてはどうなんですか。これ、今後も続きますよ、外務大臣、こんなこと許していたら。じゃ、それに対してはどうアクション取るんですか、取ったんですか。それをちゃんと、だから、そういうことを共有していただけないので、ミャンマー国民の皆さんが、日本政府は何をしてくれているのかということになるわけです。  配付資料の六を是非、これ大臣、これも報告を受けているんでしょうね。これも私、衝撃を受けました。ちょうどこのバゴーの大虐殺が起こったその日に、国軍の報道官が何とこんなことを、暴言を公言されています。木が成長するためには雑草を取り除くんだと、雑草を取り除いて害虫を駆除しなければならないと。これ、一体どういうことですか。つまりは、今国軍がやっている市民の虐殺を正当化をして、そしてこれ今後も続けていくと、そのまま。  そういうことだとすれば、大臣、さっきから大臣、日本の独自の役割だ、いや、働きかけは行っている、何の効果も発揮していないじゃないですか、大臣。そういうことですか。この暴言をお聞きになって、どうするんですか。これまでと同じことをやっていて、結果、これですよ。今後更にこの状況が悪化していったら、大臣、誰がどう責任を取るんですか。  大臣是非ここを、新たなステージ、違っている局面だということをお分かりをいただけるのであれば、これ、やっぱりアクション、ステージを変えたアクションをしていかないといけないと思います。大臣、答弁をお願いします。
  71. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 御批判は甘んじて受けます。  ただ、その上で申し上げると、事態の鎮静化に向けて、また様々な状況の悪化に向けて深刻な懸念も持っておりますし、そのための働きかけも指示をしながらやっているのは間違いありません。クーデターを正当化したことは一度もありません。今の状況が進まないようにどう取組を進めていくか、またどういう働きかけをやっていくか、日々検討しております。  石橋先生だったらもっと画期的なアイデアがあるということだったらお教えいただければ、石橋先生、自分だったらやれると、責任を持って、あしたにでも解決できるというんだったらば、お教えいただきましたら私はそれに従いたいと思います。
  72. 石橋通宏

    石橋通宏君 では、我々が具体的に提言を出しておりますので、それを是非やってください。  我々であればそれをやらせていただきたいということで、金曜日に大臣に要請行きましたが、大臣、残念ながら会っていただけなかったので、副大臣にお渡しをしてあります。副大臣、それを大臣と相談をしていただいたと理解をしておりますので、今堂々と、提言していただければやっていただけると言っていただきましたので、大臣、それは責任持ってくださいよ、今の答弁には。  それは是非、後ほど触れますので、いいです、大臣、今の答弁は。後ほど触れます。
  73. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) その御提言は我々が主張していることとほとんど変わらない、そういう提言であります。それ以上のものであるとは私は理解いたしておりません。
  74. 石橋通宏

    石橋通宏君 逆に言えば、私たちの提言を既にやっていただいているのであればそれは大歓迎ですが、それは全く見えません。後ほど触れますので、では、具体的に後ほどやっていることを教えていただければというふうに思います。  資料の七に、ミャンマー、既に国連の特使はこれだけの危機感を持って強く警告をされております。このままでは前例なき規模の内戦に陥る可能性が強まって、高まっているということ、このままだと今から十年後、安保理、これは国際社会が何も行動しなかったことに歴史はどう判断を下すのかということまで、非常に強い危機意識を鳴らしておられます。  確かにそのとおりです。残念ながら安保理がなかなか確たる行動を取れていないということですので、茂木大臣是非、国際社会に対しても働きかけをされているというふうにさっき答弁でもおっしゃいました、安保理動かしてください。是非、安保理として強い決意、態度で具体的な行動を取っていただければ、更に様々なことが可能になります。もう働きかけはいただいているんだろうと思いますが、重ねて安保理で、まあ今、中ロが様々御意見を述べておられるようですが、中ロに対しても物を言えるのは、茂木大臣、日本政府だということを考えれば、是非中ロを動かしていただいて、安保理としての確固たる対応ができるように働きかけをいただきたい。それは約束いただけますね。
  75. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 安保理に対する働きかけは既に行っております。もちろん、中には内政に干渉すべきではないと、こういう意見を言う国もありますが、これは何というか、内政干渉と、そういうレベルの問題ではないと、このように思っておりますので、しっかり働きかけしていきたいと思います。  恐縮なんですが、先ほどの点ですね、御提言いただいた内容、我々が今まで進めていることとほぼ変わらないと思うんですが、ここは決定的に違うと、石橋案だったらこうなるんだというのをお教えいただいたらよく検討させていただきますので、是非御披露いただけませんか。
  76. 石橋通宏

    石橋通宏君 後で言うと申し上げましたので、聞いてくださいね。  ということは、大臣、ちゃんとしっかりと熟読をしていただいているというのはそれは歓迎したいと思いますが、重ねてこれ、残念ながら石橋個人案ではありません、これも超党派の議連案でございますので、それは後ほど重ねて触れたいというふうに思います。  その上で、この七の資料を是非皆さんにも改めて御確認をいただいて、八で、大臣、この間もいろいろやっていただいていると理解をしておりますが、ずっと大臣の答弁、私も衆参それぞれの委員会での答弁を確認をし続けてきましたけれども、なかなか、検討している、状況推移を見守っている、そういうところから抜け出していただけなかったので、あえて今日はそれを確認させていただいているわけです。  大臣、一点すごく気になる大臣の答弁が、先般、四月二日の衆議院外務委員会、我が党の阿久津委員に対する答弁でありました。  大臣、こういうふうにおっしゃっているんですね。阿久津委員が、一体我が国の独自のパイプというのは何なのかという質問をされたときに、NLDの側とも、そして国軍の側とも、言ってみればこれまで政権というのを両側で支えてきたという答弁をされている。加えて、軍隊、自衛隊という関係もあるんだというふうにおっしゃった。  これ、先ほど指摘をしたまさに軍との関係ですが、大臣、日本はこの間、国軍を支えてきたんですか。どう支えてきたんですか。
  77. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) これまでの二〇一〇年代、ミャンマーにおける政治体制、これはNLDなり国軍も入った形での政権の体制ができていたと。そういう意味において、私はNLDを先に出しながら国軍も含めてと、メンバーでありましたから、そういった意味の体制として申し上げたということであります。
  78. 石橋通宏

    石橋通宏君 二〇〇八年憲法下での国軍から選出をされている議員が国会におられるのは、それは事実ですね、四分の一はおられるわけです。それを、市民、NLDも含めて問題視をされてきたわけでありますが、しかし、あくまで選ばれているのは議会であり、政権であるはずです。それを大臣は、堂々とそれと並べてひとしくかのような、国軍も両側から支えてきたんだという答弁をされております。  であれば、まさに今回のクーデターに、日本政府、この間、国軍を支えてきた立場で相当の責任があるのではないかと考えざるを得ませんが、大臣、そういう御認識ですか。とすれば、それは、翻って、この十年間のその方針が正しかったとお考えでしょうか。
  79. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 今申し上げたように、その国軍のメンバー、それも憲法上決まった議会の選び方、政権のでき方と、そういうものの中にいるという意味で申し上げたので、そういったことまで、何というか、一つ一つおっしゃられると何も言えなくなりますから、もうミャンマーの体制とかしか言えないと。率直に私は、そういう実態としてそういうものであったということであって、それは、ミャンマーの民主化を進めると、こういった意味で日本はミャンマーの支援を行ってきたわけでありまして、軍を支えるためにミャンマーの支援を行ってきたわけではないというのは当然のことであります。
  80. 石橋通宏

    石橋通宏君 であれば、国会答弁は是非お気を付けいただきたいと言わざるを得ません。あの答弁を聞けば、政権と、そして国軍等という答弁をされております。あれを聞いたら、皆さん衝撃を受けます。今のようなお話であれば、これ答弁は是非注意していただかないと、日本政府がこの間、国軍を国民が選んだ政権と並べて支援してきたのかというふうに受け止めます。少なくとも私はそういうふうに読んでしまいます。これは是非答弁御注意ください。  というのは、この後、ODA関係触れさせていただきますが、残念ながら、今回のクーデターの背景、これはいろいろ説がありますが、一つの見立ては、国軍の、とりわけミン・アウン・フライン司令官始め、国軍が、やっぱり自らの利権、自らの権力、そういったものを長らえさせるためにクーデターを起こしたのではないかという説もあります。とすれば、やっぱりこの間、そうやって国軍を支援し、何らかの形で、間接的にであれ国軍に資金が流れた、若しくは国軍の能力開発をしてしまった、そういったことが関係するとすれば、これ、日本政府、重大な責任があると思います。なので、聞いているんです。なので、慎重な答弁をお願いしているんです。茂木さん、分かってくださいね。  今の観点で、是非ちょっとこの間の支援を振り返ってみたいと思いますし、今後の支援の在り方にも絡みます。  まず、この間、日本は、もう皆さん御存じのとおり、過去十年でいけば、対ミャンマーのODA、これ国際的には断トツの一位です。資料の十にあります。資料の九でこの間の額と、それから資料の十でこれが断トツの一位であることをお示しをしております。  資料の十二を御覧をいただけますと、元ミャンマー大使の樋口さんは、これ真摯に反省をすべきだと、軍や司令官が全く国を仕切る能力、資格がないと、それを見抜けなかった不明を恥じているとまで、元ミャンマー大使の樋口氏がこうして公で発言をされておられます。  茂木大臣、改めて、これまでのこれだけの巨額なミャンマーに対する支援、様々な形、直接、間接にでもミャンマー国軍を育ててきた、ミャンマー国軍の国軍系企業の利権につながってきた、そういうことはなかったのでしょうか。
  81. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 我が国のミャンマー支援、これは、最優先なのは、ミャンマーの国民生活を向上させ、同時にミャンマーにおいて民主的な安定した体制をつくると。そこの中には、当然、開発援助で様々な、ティワラであったりとか、地域の開発というのも入ってまいります。目的は、そういった目的でやっております。  その結果として国民一人一人が裨益をするという状況をつくりたいと思っておりますが、じゃ細かくミャンマー国民一人一人、軍の方も含めて、また組織、決して軍又は軍の関連する組織が直接裨益をする、また間接的であっても大きな裨益を受ける、こういったODAを行っているつもりはありませんが、全く国軍の中の一人の人が一ミャンマー人として何の裨益も受けていなかったかといえば、それはそういったケースというのはあり得ると思います。
  82. 石橋通宏

    石橋通宏君 今大臣が最後のところでおっしゃったようなレベルではない形で、ミャンマー国軍若しくは国軍系企業に対して利益が流れているのではないかということが実はこの間も指摘をされてまいりましたし、今、今後我が国のこれまでやってきたことをそのまま続けると、引き続き国軍が利益を得るのではないかという懸念指摘をされているわけです。  防衛協力についてちょっと触れようと思いましたが、先ほど防衛大臣少し先立って触れていただきましたので、時間があれば後ほど触れますが、配付資料の十五、十六で、JICA案件とJBIC案件について、今日、理事長、副総裁にお見えをいただいておりますので、少し確認させてください。  JICAの理事長、ありがとうございます。今日はよろしくお願いします。  ティラワの案件ですが、これティラワの案件で、これ直接国軍系企業なり国軍が関与をしていることはないと。これは一応確認させてください。その上で、ただ、ミャンマー政府がこれ出資をしています。今のまま、このままティラワの開発、ティラワの運用が進んでいったときに、これ運用、投資の出資の配当がこれ国庫に入るのではないか、今の状態で国庫に入れば、それは国軍が自由にするのではないかという懸念指摘をされておりますが、事実関係、JICA理事長、教えてください。
  83. 北岡伸一

    参考人(北岡伸一君) 御質問ありがとうございます。  ティラワは、我々はミャンマーの長期の発展に非常に必要だと思って進めていったものであります。そのうちのバゴー橋が特に委員懸念のものではないかと思います。こちら……(発言する者あり)そうです、ティラワのところなんですけれども。これは言わば、言ってみれば一部なんですけれども、ティラワについては大きな事業をやっているのはもう事実でございます。  我々は、これまでの事業の二月一日以前、これはNLD政権と結んだ約束に基づいてやってきたものでありまして、それ以前の、二月一日以前のものについては支払をするということでありますが、それ以後については未定ということであります。
  84. 石橋通宏

    石橋通宏君 いや、ちょっと理事長、支払をする、つまり、今の状況でその支払を行えば、国軍がそれを利用するのではありませんか。
  85. 北岡伸一

    参考人(北岡伸一君) これは、どういうふうにお金が流れるかは精査いたしますが、基本的には、多くの、大部分は下請の日本企業の方に行くお金でございます。
  86. 石橋通宏

    石橋通宏君 いや、出資に対する配当のことを言って、ミャンマー政府が一〇%ですか、出資されていますね。その配当が政府に入るでしょうと。であれば、今それが入れば国軍がそれを自由に使うことになるのではないですかと。  であれば、これ、もう前政権、民主的政権との契約の下、それが状況が変わっているわけですから、一旦支払を止めることも含めて、理事長、今精査をすると約束をしていただきましたので、是非精査をした結果を我々に報告をいただきたい。  あわせて、今、理事長、バゴーのことを触れられました。このバゴーの案件も、驚くべきことに、これ国軍系の大企業が莫大な利益を得るということがこれ報道で指摘をされました。  これ大変なことですが、理事長、これどうされるんですか。これ、直ちに停止をすべきだと思いますが、いかがですか。
  87. 北岡伸一

    参考人(北岡伸一君) お答え申し上げます。  先ほども、二月一日以前のものについては、明らかに支払義務があるものについては支払うけれども、それ以後の、さっき委員のお尋ねありました、配当を含めて精査すると、これは何も決めておりません。支払うという決定はしておりません。  このバゴー橋の場合は、このプロジェクトを始めたときに、こういう会社しかなかったんであります。ですから、ここと契約を結んで仕事を進めておりますけれども、クーデター、括弧付きクーデター以前の明らかに支払義務があるもの以外はまだ何も決めないというのが我々の方針でございます。
  88. 石橋通宏

    石橋通宏君 いや、これも既にこれだけの重大な事態が明らかになっているわけですから、これ絶対に、これ現状の、現下の状況において、国軍ないしは国軍企業に日本の大切な資金が流れてはいけないということだと思います。  これ是非精査をして、これも是非決算委員会に報告をいただきたいと思います。
  89. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 後日理事会で検討させてください。
  90. 石橋通宏

    石橋通宏君 JBICの案件も、これもずっと僕も何度かJBICとやり取りをさせていただきました。  特に、キリンの話もありましたが、Yコンプレックス事業について、巨額の賃料が国軍に流れているということ、今後も流れ続けるということになるわけですが、これ、JBICは、私もお願いしたんですけれども、じゃ、本当に国軍の、国庫、国軍に流れていないのか、一般会計に入っているのか。これ、どういうふうに調べても一般会計に入っている形跡が証明できない。国軍に流れているとしか考えられないということで、そうでないなら是非証明をしてくださいとお願いしておりましたが、現時点まで証明をいただいておりません。一体どういうことですか。  であれば、これ直ちに、とにかく現状を考えれば、Yコンプレックス、このまま賃料、巨額の賃料を払い続ければ国軍利することになります。止めるべきではないでしょうか。
  91. 林信光

    参考人(林信光君) 御指摘の事業でございますけれども、この事業におきましては、現地の事業会社が現地のミャンマー企業からこの事業用地を借り受けておりまして、その現地ミャンマー企業からミャンマー国防省に対して土地の賃料を支払っているものでございます。  御指摘の賃料でございますけれども、これについては非公開の商業情報でございますので、回答は差し控えたいと思います。
  92. 石橋通宏

    石橋通宏君 いや、そういうわけにはいきません。これ、重ねて申し上げますけれども、現下の状況で国軍に莫大な資金が流れ続けるかもしれないという重大な事態の重大案件です。国際的にも相当な批判を受けている案件です。  是非、これもJBICからしっかりとした情報開示を含めて委員会に求めたいと思いますので、委員長、よろしくお願いします。
  93. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  94. 石橋通宏

    石橋通宏君 幾つか、済みません、時間がないので、例として重大なものを取り上げさせていただきました。  もう重ねて、現下の状況で、従来のものも含めて、ODA案件、さらには投資案件含めてこのまま続けていけば、その利益が国軍に流れていく。それはもうこれまでとは話になりません、事態が違うわけですから。  だから、私たちは、茂木大臣、私たちの要求の中で、一旦全てのODA、投融資、これを止めてほしいと。大臣、済みません、これまで新規の案件は止めていきます的な話はされていました。いや、でも、これ、新規の案件だけじゃないんです。従来の案件も、そしてこれまで約束した、でもまだ支払ができていない、支払をしていない、支払契約が済んでいない、そういった案件も巨額残っております。これまでの分も含めて一切これを止めていただきたい。私なら止めます。大臣、いかがですか。
  95. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) これ、先日も答弁させていただいたんですが、現時点で今後について早急に判断すべき案件はないと、このように考えております。  その上で、若干石橋委員と考え方は違うのかもしれないんですが、例えばティワラ、あの特区、御覧になられたことあります。(発言する者あり)ええ、広大な地域なわけですよね。そこの中に民間資本も入ってこなかったら、あそこは成り立ちません、絶対に。ODAのお金とか政府資金だけで成り立つような特区じゃないんですよ。この状況で、では、民間がこれ以上出ていきますかと。出ていくことはないですね、どう考えても、常識的に。もしそこで意見が違うということだと全く意見がかみ合わないんですが、恐らくそうだと思いますよ。  そうなると、この状況を続けていることがミャンマーにとってはいいことじゃないんだということをきちんと説得するという努力が私は必要なんだと思います。全部がODAとかJBICのお金で成り立っているような案件だったら別ですけど、ティワラがそんなふうには、見たらそんなふうには見えないと思いますよ。
  96. 石橋通宏

    石橋通宏君 いや、恐らく国会議員の中でもティラワに直接足を運んだ、私、それなりの回数を重ね、JICAにも相当アテンドをいただきました。よく分かっています、あそこの状況は。でも、今ちょっと話が全然かみ合っていないので、僕が指摘している問題と大臣が言っていることと全然、ちょっとずれているので、そこ、残念ながら、今日、時間がないので突っ込みませんが。  せっかく大臣が提案してくれれば検討していただけると聞いたので、資料の十八に、先ほど申し上げた、我々が大臣のところにお持ちをした超党派の議連での共同声明文、提案をさせていただいています。  大臣、既にやっていることと言われましたが、やっていることは二番ぐらいで、その他のことは余りちょっとはっきり聞こえてこないので、やっておられるのであれば、これ是非、ミャンマー国民の皆さんも期待して聞いておられるので、やっていると言っていただきたいと思うんですが、特に、私たち、今大事なのは、大臣、とにかくミャンマー国軍による市民の虐殺、これを止めることだと思います。それはもう大臣も同意していただけると思います。それを止めるために何ができるのか。大臣もいろんなことやっていただいておると思いますが、追加で是非お考えいただけないでしょうか。  ミャンマー国軍、軍人軍属、警察、市民を虐殺した、殺りくした、人権侵害、自由を奪った、こういった人間たちは絶対に許さないと、必ず訴追すると、必ず処罰すると。で、それを国際刑事裁判所を使ってください。国際刑事裁判所、これを使って必ず処罰をするんだということを宣言していただきたい。当然、日本だけでは効果が薄いと思いますので、国際社会と、欧米と連携をしてこれを是非宣言していただいて、プレッシャーを掛けていただきたいんです。  どうでしょうか、大臣、これ検討していただけませんか。
  97. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 平和的なデモを行う、活動を行う国民に対して銃口が向けられるということはあってはならない、それをどうしても止める、事態の鎮静化をしていくと、このことについては全く同じ意見であります。そのために国際社会と連帯をしていくということも必要であります。  どう物事を動かすかという観点で申し上げますと、イソップ童話の北風がいいのか太陽がいいのか、様々な組合せがないと、なかなかこの状態、この厳しい状態というのは私は打開できないのではないかなと、率直にそのように思っております。
  98. 石橋通宏

    石橋通宏君 大臣、重ねて、我々が提言をすればそれは検討すると言って、約束をこの場でいただきました。  今日、済みません、ほかにも具体的な案件幾つかありましたけれども、今日この場では直接大臣とやり取りできませんでしたが、そのお約束に基づいて今後させていただきたいと思い、いや、そのほかにもあったんですが、ちょっと質問時間がなくなりましたので、ほかのことも、CRPHを是非認知をして、CRPHと公的にしっかり議論を進めていただきたいということも要請に掲げさせていただいておりますのと、ミャンマー国民保護、庇護を求めるミャンマー国民是非しっかりと保護、庇護をしていただきたい。これもまだ宣言いただいておりませんので、そういったことも含めて、我々具体的に提案をさせていただいております。  是非対応いただいて、ミャンマー国民の皆様とともに我が国はあるんだということをしっかりとミャンマー国民の皆さんにお分かりいただけるように対応いただきたいということをお願いをさせていただいて、今日のところは終わりにさせていただきます。  済みません、モザンビークの案件やろうと思いましたが、申し訳ありませんでした。別途で対応させていただきますので、よろしくお願い申し上げて、質問、以上で終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
  99. 小西洋之

    小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之でございます。質疑の機会をいただきまして、委員長、関係の理事の皆様に感謝を申し上げます。  まず、今日は外務、防衛、そして国際協力機構の決算の審議でございますけれども、この審議対象の省庁以外、全ての全省庁に関わる会計検査院の検査の在り方について、昨年機会をいただいたこの決算委員会での私の質疑なども踏まえながら、まず冒頭、質問させていただきたいと思います。  資料の一ページでございますが、会計検査院法の二十条の第三項で、会計検査院が検査をするに当たって踏まえなければならない観点というのが法律で定められております。正確性、合規性等々がございますけれども、この合規性なんですが、かつて平成二十五年、二十七年に、憲法違反に関する支出についても会計検査院は検査を、合規性の観点から検査を行うという、これ戦後の議会初めての答弁なんですが、当時の検査院長からいただいているところでございます。  では、会計検査院に伺いますが、院長に伺いますが、問いの二番からですが、会計検査院は、全ての支出について合規性の観点を踏まえた、それを用いた検査を行っていると考えてよろしいでしょうか。また、それは全ての支出が合憲あるいは合法であることを、内閣の解釈には左右されない憲法上の独立機関としての会計検査院の固有の解釈として行っているということでよろしいでしょうか。
  100. 森田祐司

    会計検査院長(森田祐司君) お答えいたします。  会計検査院は、会計検査院法第二十条に基づき、国の収入支出等の会計経理について、合規性、経済性、効率性、有効性等の多角的な観点から常時検査を行っております。そして、国の支出については全て、当該支出の内容や限られた人員等の中で行い得る検査の方法等によって、その程度やその時々の重点の置き方は様々ではございますが、当該支出の根拠となる関係法令に従って、沿って適正に行われているかといった合規性の観点からも検査しているところです。  そして、このような合規性の観点からの検査においては、関係法令等を所管している府省の見解を聴取したり、関係する判例等の内容を検討したりするなどした上で、最終的には会計検査院として判断することとなります。
  101. 小西洋之

    小西洋之君 合規性の観点を踏まえた検査を行っているという答弁をいただきました。  最後のところなんですが、会計検査院としてのその法令に適合しているかですね、憲法も含めて、その判断というのは会計検査院として行うんだというのは、会計検査院は憲法上の独立機関でありますので、まさに国民のために検査をするわけですので、我々国会の解釈あるいは内閣の解釈、そうしたものには左右されず、その法令から会計検査院が適切、妥当と認められる、そういう考え、解釈に従って、合規性の観点から検査を行う、そういう理解でよろしいでしょうか。その点だけ。
  102. 森田祐司

    会計検査院長(森田祐司君) 検査に当たりましては、関係法令等の所管をしている府省の見解を聴取したり、関係する判例等の内容を検討したりなどした上でございますが、もちろん最終的には会計検査院として判断するということになります。
  103. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと念のため。  それは、憲法上の独立機関であるから会計検査院として判断をすると、そういうことでよろしいですか。そこだけお願いします。
  104. 森田祐司

    会計検査院長(森田祐司君) 会計検査院は、内閣から独立した組織ということで政府の外にございます。そういう意味では、会計検査院として最終的に判断をするということになっております。
  105. 小西洋之

    小西洋之君 明確な答弁、ありがとうございました。  これ実は余りよく世の中にも知られていないことなんですが、内閣以外にも憲法判断をする国の機関があり、この我らが会計検査院は憲法上の独立機関でございますので、内閣や国会のその解釈あるいは議論に左右されず、決然と国民のための検査を合規性に基づいて行う、会計検査院法の二十条の合規性の観点に基づいて行うということでございます。重要な答弁をいただいたと思います。  では、この流れの中で、引き続いて会計検査院長に質問させていただきます。  問いの四番なんですが、一般論、一般論として、会計検査院の行う検査は、刑事犯罪手続や、それには捜査や公判なども含みますけれども、が行われていてもなされるものであると理解してよろしいでしょうか。会計検査院の検査が刑事犯罪手続よりも法的に制限を受けるというようなことは法令上あり得るのでしょうか。答弁をお願いいたします。
  106. 森田祐司

    会計検査院長(森田祐司君) 会計検査院法第二十条第二項において、会計検査院は常時会計検査を行うとされておりまして、刑事犯罪手続が行われている場合に、そのことにより会計検査院の検査が制度上法的に制限を受けるということにはなっていないというふうに承知をしております。したがいまして、刑事犯罪手続が行われている場合であっても検査を行うことは制度上可能であると考えております。  ただし、各種資料が捜査機関に押収されているなどの場合に検査を行っても、必要な資料を確認できないなど実質的な制約が生ずる可能性はございます。
  107. 小西洋之

    小西洋之君 明確な答弁、ありがとうございます。  先生方、二十条の第二項ですけれども、常時会計検査を行いというふうに書いてあります。なので、警察や検察が動いているとき、あるいは裁判ですね、含め、会計検査は行われると。もちろん、裁判、司法権の独立がありますので、そことの関係では一定の調整が必要だと思いますけれども、まさに憲法上の独立機関として検査を行うということでございます。  じゃ、引き続いて院長に、問いの五番ですが、一般論ですが、一般論として、犯罪に使われていた会計支出、例えば政党交付金などを含むわけですけれども、そうした犯罪に使われていた会計支出が発覚した場合は会計検査院はどのような対応を取るのでしょうか。
  108. 森田祐司

    会計検査院長(森田祐司君) お答えをいたします。  一般論として申し上げますと、国等の会計支出に関連して犯罪が発覚した場合には、発覚した犯罪と当該支出との関係性、例えば国の支出自体が犯罪に該当するのか、国の支出としては完結しており、その先において問題が生じていたのかなどを含めたそれぞれの事態の事実関係等を踏まえた上で、当該具体的な事態についての検査の結果に基づき、国の支出等の会計経理が違法、不当であるかの判断を行うなどすることになっていると考えております。
  109. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  では、今の答弁を前提に、昨年の決算委員会、六月二十二日なんですが、私が質問をさせていただきました、いわゆる自民党の河井克行前議員、また河井案里前議員の政党支部に自民党の本部から、これ令和年度なんですが、参議院選挙が終わる前の日付、一番最後で六月の十日なんですが、そこまでに、河井克行氏が支部長を務める支部には五千万円、河井案里氏のところには七千五百万円、合計一億二千五百万円の支部政党交付金が政党本部から、自民党本部から支給されている、交付されているということが使途等報告書で確認できるわけでございます。  それについて、当時から、これがいわゆる買収に使われたのではないかということが言われており、その後、裁判における証言でも、買収資金に使われていたという証言もなされているんですが、それについて、私が昨年、この決算委員会において、この政党交付金ですね、これらの政党支部の政党交付金の使途について、会計検査院として検査して国会に報告することを求めますという質問をさせていただいているんですが、それについての会計検査院の対応状況について答弁をお願いいたします。
  110. 篠原栄作

    説明員(篠原栄作君) お答えいたします。  政党交付金については、国の支出として会計検査院の検査の対象となるものであり、検査しております。  お尋ねの件につきましては、これまでに検査報告に掲記した事項はございませんが、政党交付金を含む総務省の支出につきましては、国会での御議論等も踏まえ、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
  111. 小西洋之

    小西洋之君 今の答弁にありましたように、今回、我々が審議対象としている令和元年の検査報告書ですね、あの分厚い、あれの総務省パートのところにはこの問題が、実は検査結果が書かれていないんですが、しかし、この使途等報告書を見ると、その一億二千五百万円全て使途不明というふうに書かれていて、国民から見て、血税である税金がどのように使われていたか、まさにそれを国民と国会に明らかにするのが会計検査院の憲法上、また会計検査院法の使命なわけでございますけれども。  会計検査院に重ねて聞きますが、じゃ、この一億二千五百万円ですね、政党交付金として両河井夫妻の支部に交付された、この政党交付金についての検査は引き続き続けるという、そういう理解でよろしいでしょうか。
  112. 篠原栄作

    説明員(篠原栄作君) 個別具体的な件につきまして、どのような検査を行ったかなど個別の検査の状況についてお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思いますが、政党交付金を含む総務省の支出につきましては、国会での御議論等も踏まえ、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えているところでございます。
  113. 小西洋之

    小西洋之君 先ほど検査院長が答弁してくださったように、後に刑事犯罪に使われていたものについても、後にですね、この報告年度以降も検査をするということなんですが、本件について引き続き検査を行うという趣旨のことをおっしゃっていただいておりますので、しっかりと検査を行っていただきたいと思います。  このように、会計検査院は合規性の観点、もし刑事犯罪に政党交付金が使われていたのであれば当然合規性違反ですので、当然検査報告書に掲記し、国会に報告し、国民の批判と監視を受けなければいけないんですが、それがなぜこの一億二千五百万円についてはなされていないのか。いろんな検査の仕方はあると思いますので、そこがまあ疑問に思うところでございます。  ちょっと関連で、同じような例なんですが、昨年のちょうど今頃、この国会においては黒川東京高検検事長のあの定年延長、そしてそれを、まあつじつま合わせだと思うんですが、検察庁法改正案というものが大きな議論、国民の議論になり、結果的に法案は廃案、また、黒川検事長は賭けマージャンの問題が発覚しまして辞職等をすることになったところでございます。  ただ、黒川検事長は、二月の四日だと思うんですが、本来、定年で退官しなければいけないのが、違法な定年延長で任期が延びたわけでございます。それに伴う給与、また退職金の増の問題、これは違法な定年延長でしたら合規性の違反になりますので、これについて会計検査院に質問させていただきますが、会計検査院は、この国会で非常に大きな議論、国民的な議論もありました黒川東京高検検事長の定年延長に係る給与や退職金、それを合規性の観点から検査をされていますでしょうか。
  114. 篠原栄作

    説明員(篠原栄作君) お答えいたします。  国家公務員に対する給与等の支払は、国の支出として検査対象となります。  お尋ねの件につきましては、これまでに検査報告に掲記した事項はございませんが、給与等の支払を含む検察庁の支出につきましては、国会での御議論等も踏まえ、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
  115. 小西洋之

    小西洋之君 これも検査報告書に掲記した事項としてはないということなんですが。  資料の二ページなんですけれども、これ昨年の三月九日の予算委員会で私が提出した、国家公務員の定年制がつくられたときの、昭和五十年の国会に向けた政府の国会の基本答弁集、当然内閣法制局の審査も受けた政府の統一見解ですが、左側の想定問四十七ですね、検察官の勤務延長は適用は除外されると。なぜならば、右の問いの四十六、これ国公法の八十一条の二という条文の、法律の別段の定めのある場合を除きという文言の趣旨、なぜこの文言を設けるかですが、これは、それぞれの法律による定年制度の者は適用対象から外すと、具体的には検察官があるというふうにされておりますので、検察官に定年延長というのは、国家公務員法ですね、それは適用されない、適用されないという具体的な意思を持って立法されているということが、正直言って、義務教育を受けた日本国民の皆さんだったら誰でも分かる、要するに真っ黒くろすけの違法なんですが。  会計検査院にお願いしたいんですが、先ほど、国会での御議論も踏まえて検査を行うということでしたが、この三月九日の私の質疑、あるいは同僚議員の質疑も踏まえて、黒川検事長に支払われた定年延長に伴う給与、退職金の増などについて検査を行い、国会に報告を求めていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  116. 篠原栄作

    説明員(篠原栄作君) お答えいたします。  給与等の支払を含む検察庁の支出につきましては、国会での御議論等も踏まえ、引き続き適切に検査を実施し、報告すべき事項があれば検査報告に掲記することとなります。
  117. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございます。  憲法上の独立機関ですから、何物も恐れることなく、何物も恐れないために憲法上の独立機関になっているわけですので、何物も恐れることなく、決然と会計検査院法、合規性の観点に基づき検査をしていただきたいと思います。  次、ちょっと時間ですので、問いの七と八を院長にまとめて御質問をさせていただきますが、一般論として、違法な行政権の行使によって予定されていた予算が使われていないことは、会計検査院法二十条三項の検査の観点からどのような問題が生じるでしょうか。  具体的には資料の三ページなんですが、これ日本学術会議の昨年の菅総理の任命拒否なんですが、これも私が昨年の臨時国会の予算委員会の、十一月五日の予算委員会で配付させていただいた立法時の政府の統一見解、基本想定問答集ですが、任命というのは実質任命であるのかの問いに対して、任命は形式的任命であると、裁量の余地はゼロであると。これも義務教育を受けた国民の皆さんであれば分かる、真っ黒くろすけの法律違反でございますけれども、この学術会議の任命拒否によって、任命拒否された先生方が活動できずに、その分の会員手当などが支出されていませんので、そうした問題について、会計検査院、検査をして国会に報告することを求めますが、院長、いかがでしょうか。
  118. 森田祐司

    会計検査院長(森田祐司君) お答えいたします。  会計検査院は、会計検査院法の規定に基づき、国の収入支出の決算の検査を行うほか、法律に定める会計の検査を行っております。    〔委員長退席、理事古賀友一郎君着席〕  委員お尋ねの点についてですが、予算が、予定された予算が使われていないことですね。会計検査院の検査対象である国の収入支出の検査に当たって、一般論で申し上げますと、例えば予算が執行されていないものがある場合には、執行に至らないこととなった理由、このことが、その他、ほかの会計経理に与える影響等について検討した上で、会計検査院法第二十条第三項に規定する正確性、合規性、経済性、効率性、有効性の観点等から不適切な事態が生じているか判断することになるというふうに考えております。  御指摘の日本学術会議の支出につきましては、国の支出として検査対象となります。そして、支出が行われなかったものがある場合には、一般に、先ほど申し上げましたように、支出に至らないこととなった理由等について検討した上で、会計経理に関し不適切な事態が生じているかどうか判断することが考えられます。  お尋ねの件、これまで検査報告に掲記した事項はございませんですけれども、日本学術会議を含む内閣府の支出につきましては、国会での御議論等も踏まえ、引き続き適切に検査を実施してまいりたいというふうに考えております。
  119. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございます。  実は、私どもに提出されている会計検査院の分厚い白い検査報告なんですが、あれ、ほとんど合規性の観点違反なんですね。ほとんど、私、かつて見たことあるんですけど、七割、八割ぐらいは合規性の観点違反なんです。なので、いかなる政治的な議論があるものであっても、憲法上の独立機関として、会計検査院、決然として、執行の理由、支出の理由が、合規性の観点から、すなわち法律違反がそこにないかということはしっかりと会計検査をして国民、国会に報告していただきたいというふうに思います。  では、続いて、防衛省のFMSについて質問をさせていただきたいと思います。  資料の四ページ、後、F15の議論につながっていくんですけれども、この我が決算委員会の昨年の警告決議においてFMSの問題が議決をされております。  具体的には、契約管理費、あるいは未納入、未精算、日本がお金払ったのに防衛装備品アメリカから納入されていないんですね。かつ、未精算というのは本当ひどい話で、アメリカが精算の結果得をしている部分が分かったので、本来、日本の国庫に戻してもらわなきゃいけないんだけど、それを戻さないという大きな問題がずっと続いているんですが、昨年の警告決議を踏まえて防衛省としてどういう取組をし、その結果どういう成果が上がっているのか、答弁をお願いいたします。
  120. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 昨年六月の参議院決算委員会の警告決議を受けまして講じた措置については、本年四月に本委員会においてお示しをしたところでございますが、具体的に申し上げますと、まず未納入、未精算の課題については、昨年一月の長官級の日米会議において、全ての未納入、未精算の品目ごとにその原因を解明した上で、その原因を処理、除去するために最善の努力を行うことを確認をいたしました。  このための取組強化いたしまして、令和年度の未納入、未精算の額は、前年度と比較しますと、それぞれ四九%減、三三%、約四九%と約三三%の減ということで大幅に改善をしているところでございます。  また、本年一月の日米会議においても、未納入、未精算の解消に向けた取組強化について確認をし、引き続きこの努力を行ってまいります。  また、防衛省における契約管理費の減免制度の導入に向けた取組については、日米間で品質管理業務の相互提供に関する合意を行うために必要となるプロセスを確認するとともに、防衛省の品質管理体制米国防省が調査するための整備、整理、調整を行っております。  防衛省としては、引き続き、この制度の導入に向けた取組を精力的に行ってまいります。
  121. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございます。  今の大臣の答弁なんですが、令和元年に例えば未納入が前年度三百二十六から百六十六、私の手元の資料でも減っているんですが、警告決議は昨年の話なのでちょっとずれていると思うんですが、防衛省政府参考人で結構なんですけれども、令和年度がもう閉じられているわけですけれども、令和年度にはこの未納、未精算というのはどれぐらい減っているかという、今の感触だけでも結構ですが、答弁お願いいたします。
  122. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  今ほど大臣から申し上げた元年度の未納入、未精算の実績額につきましては昨年の十月に公表いたしております。したがいまして、年度末の数字の整理に相応の期間を要してから発表しているということでございます。  二年度の実績につきましては現在整理をしておるところでございまして、この時点においてその増減額については申し上げられない段階にございます。
  123. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと重ねて政府参考人に質問なんですが、今、感触でも減ってきているということでしょうかね。装備庁の長官でいらっしゃいますが、長官アメリカの国防省の安全保障協力庁との間で、先ほど大臣から答弁いただきましたけれども、未納入、未精算の履行状況を適時に把握するための体制などをいろいろつくるというようなこともやるということなんですが、今、感触で、令和年度大分減っているというふうな感触をお持ちでしょうか。
  124. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  参議院の決算委員会の警告決議も受けております。また、未納入、未精算につきましては、かねてから国会等において御議論いただいておるということもありまして、私どもとしては、その未納入、未精算の額をできるだけ抑制していく努力を続けております。二年度につきましてもこの努力を続けたところでございまして、私どもとしては、その期間中、元年度よりも増えないように、できるだけの努力をしてまいったところでございます。  いずれにいたしましても、その感触という御質問でございますけれども、この時点において何かしら申し上げるという段階にはないことを御理解いただきたいと思います。
  125. 小西洋之

    小西洋之君 いや、前年度より増えないようにするのは当たり前のことで、決算委員会の警告決議も出ているので、感触ぐらいはちゃんと答弁できるような取組でなきゃいけないと思うんですが、まあ今のちょっと通告はしてなかったんですが、当たり前の問いだと思いますので。  じゃ、重ねて、この資料の五ページですけれども、今年の国会向けの予算資料に、FMSについて、真ん中の灰色になっている部分ですが、調達の履行管理に係る体制強化というので、履行管理・促進班なるものを防衛省の中につくるということなんですが、政府参考人で結構ですが、この履行管理・促進班というのは一体いかなるもので、それによってFMS調達の改善についてどのような改善が見込まれると考えていらっしゃいますでしょうか。
  126. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  防衛装備庁におきましては、本年四月一日に、調達事業部輸入調達官の下に、FMS調達の履行状況を管理する履行管理・促進班を新設をいたしました。これは、FMS調達に関する象徴的な課題になってございます未納入と未精算の解消には、FMS調達の膨大な品目の一つ一つについての履行状況を管理し、未納入、未精算にならないような対策を適切に講じていくことが必要不可欠であるという基本的な考え方の下に新設をしたものでございまして、私どもとしては、現在、こうした体制の下に、未納入、未精算の抑制に努力をしておるということでございます。
  127. 小西洋之

    小西洋之君 いや、班をつくるので、どういう体制なのかというのを質問でさせていただいたんですが、何か防衛省の担当の方の御説明から聞くと、既存のそういう係を何かがっちゃんこしただけで、何か新しい組織をつくったわけでもないし、そこにおいて何か新たな取組が現時点でも想定しているわけではないような、後段はちょっと私の解釈も含みますが、御説明いただいたんですが、そういう組織なんでしょうか。
  128. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  今、輸入調達官の下に有償援助調達室というのがございます。その下に幾つかの組織あるわけでございますが、昨年度までは、有償援助第一班、ここは米陸軍、米海軍等からのFMS調達を担当している班でございます。また、有償援助第二班というのもありまして、これは米海軍その他の機関からのFMS調達を管理している班でございます。  この履行管理につきましては、第一班、第二班それぞれのところで業務をしておりましたところ、その履行管理ということでは同じ、類似の業務であるということで、第一班、第二班から履行管理を担当する人を一つの班にまとめて履行管理・促進班というものをつくったところでございます。この結果、履行管理について効率的な業務ができ、その促進が図れるものと期待をしておるところでございます。
  129. 小西洋之

    小西洋之君 今図らずも答弁いただいたように、元々やっていた係を、履行管理重なる部分をがっちゃんこしたので効率化と言っているんですが、求められるのは抜本的な管理体制の創造であり、実行だと思うんですが。  今の議論聞いていただいて、今日財務省お越しいただいていますが、政府参考人なんですが、このFMSの問題については、財務省も財政審などで、あるいは毎年の予算査定でも厳しく臨んでいるんだというふうに思いますけれども、今答弁あったような、まあちょっときついですけど、この令和年度で、この未納、未収、未精算がどれぐらい減っているのか、その感触もなかなか答弁いただけないですとか、あるいは、何か組織体制をつくったのか、強化したのかよく分からないですとか、こういう取組についてちょっと財政当局としてどう思うか。  ちょっと政府参考人としての立場超えるかもしれませんが、これはもう我が国の財政のために決然とおっしゃっていただきつつ、通告しているんですが、財政審の中で、この装備品の調達に関しては、FMSに限らずいろんなやり方があるわけですけれども、そのメリット、デメリットを国民に対して明確に示して、透明性を持った効率的な取得方法を選択すべきというような指摘をしておりますが、財務省、財政当局として、近年の防衛装備品の取得について、国民に対する、国会に対する説明が十分なされていると受け止めているでしょうか、見解をお願いいたします。
  130. 角田隆

    政府参考人(角田隆君) お答え申し上げます。  最初の点については、実はちゃんとは御通告いただいていなかったと思うんですけれども、もちろんFMSについては、検査院の指摘もありますし、私たちもできるだけしっかりと調達をしてまいりたいなと思っておりますので、是非抜本的な改革を望みたいと思います。ただ、相手のあることでもありますし、どちらかというと恩恵的なものだという制度趣旨もありますので、そうしたことも勘案しながらしっかり対応していただきたいなと思っております。  それから、二つ目のお尋ねの点ですけれども、防衛装備品の調達に当たっては、現下の厳しい財政状況、当然、安全保障環境も格段に厳しくなっているわけでございますけれども、そうしたことを踏まえまして、例えば輸入調達の場合とライセンス国産による場合のメリット、デメリットを比較いたしまして、より効率的な方を選択していただくなど、国民に対する説明を十分に行いながら、効率的、効果的な方法を追求することが重要と考えているところでございます。  防衛省におきましては、財審の答申もありますし、また昨年の秋には行政事業レビューでも指摘を受けておりますので、次期戦闘機の開発、例えば次期戦闘機の開発について、本年からは防衛省のホームページ上で詳細な情報発信を行うなど、国民に対する説明の取組を行っていると承知しております。  防衛省におきましては、引き続き、このような取組を他の装備品にも拡大するなど国民理解を得る努力を行っていただきつつ、防衛装備品の効率的な調達を更に進めていただきたいと考えているところでございます。
  131. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと配慮の中にも厳しさがにじんだ答弁だと受け止めさせていただきますが。  では、次、F15の能力開発事業ですね、これ、資料の四ページ、これが事実上の根本からの中断ということなんでしょうか、大きく報道もされておりますけれども、問いの四番と五番、防衛大臣にまとめて、済みません、御質問させていただきますが、このF15の能力向上事業については、令和年度のまず要求を取り下げたと、かつ、令和年度、昨年度ですね、予算の契約をアメリカ側とするのを見送ったということでございますけれども、その原因について、何が原因であったのかということと、今年の2プラス2、防衛相の会談において、向こうの防衛大臣一体どのようなこれについての議論をなさっていたのか、答弁をお願いいたします。
  132. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) F15の能力向上につきましては、令和年度から着手してまいったところでございますけれども、これまで日米間で具体的な改修計画に関する技術的な検討を進める中で、部品枯渇の対策等が必要になるということが判明いたしました。そして、これらによって、経費が増加すること、初号機改修期間の延長が発生すること、こういったことが明らかになったわけでございます。  こうした状況を踏まえて、まずは経費の削減等に更に追求し、その結果を踏まえて事業の継続について検討する必要があると考えました。昨年から米国政府や国内企業との交渉の調整を実施をしてまいりましたけれども、現時点までに十分には状況が改善しなかったことから、令和年度の要求、予算要求については取り下げることとし、また令和年度予算による契約も見送ることといたしました。  具体的な追加経費の金額については、現在も交渉中でございますのでお答えすることは差し控えさせていただきますが、全体の規模感としては、昨年末の時点の状況を申し上げれば、初度費について当初見積りの八百七億円から三倍近くまで増加が発生しておったところでございます。
  133. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  政府参考人で結構なんですが、この四ページに、今大臣が答弁いただいた、この部品枯渇対策等が新たに必要になることが分かったということなんですけど、ここの中身について、可能な限り分かりやすく御説明いただけますでしょうか。
  134. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  今大臣の方から御説明ございました部品枯渇対策等の中身でございますが、具体的な内容について少し申し上げさせていただきますと、能力向上事業の一つであります電子戦装置につきまして、当初予定していた装置には著しい部品枯渇が発生し、高額な対策経費が発生することが判明したことから、現在、失礼しました、米空軍がF15EXで採用しております新しい電子戦装置への変更を検討していると。その新しい電子戦装置の方に引き続き一定の部品枯渇対策の経費が必要になるというのが一点目でございます。  あと、二点目といたしましては、これも能力向上事業の一部でございますが、レーダー、セントラルコンピューターに関しても部品枯渇対策経費が必要になるという点が挙げられます。  あと、委員指摘の部品枯渇対策等の、等の点で部品枯渇対策以外の点につきまして申し上げますと、スタンドオフミサイルの運用能力の付加について、米国内の技術的検討の結果、ソフトウエアの改修や試験弾の取得等の経費が必要になったことなどにより、先ほど大臣が申し上げたような経費の増が生じているというところでございます。
  135. 小西洋之

    小西洋之君 何か聞いていると、このF15の能力改修ですね、観点について、この資料①から⑤、電子戦装置の搭載、①から始まって⑤まであるんですが、それの本当に基本的なところで狂いが生じたというような説明のように思います。  防衛大臣に質問をさせていただきたいと思いますが、F15は我が国の主力戦闘機でありまして、そのうち七十機を能力向上事業にして、直近の中期防で、うち二十機を改修をすることであったというわけなんですが、こうした主力戦闘機のこの調達が、抜本的にスケジュール、もうスケジュール以前だと思うんですが、狂ってしまったということは、この我が国防衛政策の根幹にも関わることだと思うんですが。  問いの八番なんですが、この本事業のF15の能力向上の今後の見通しが一体どのようになっているのか。仮に、我が国が望むような、想定しているようなF15というものが改修かなわないのであれば、それは我が国の戦闘機体系に重大な影響を及ぼすということで、政府として現防衛大綱、中期防の見直しを行う、そうしたことも可能性としては想定しているのか、答弁をお願いいたします。
  136. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今委員指摘のとおり、F15の能力向上事業というのは、航空優勢の確保と維持のための防空能力の総合的な向上を図るという観点から大変重要な事業ということで考えております。  防衛省としては、まずは米国政府との交渉を通じて、経費の削減を更に追求していくこととしております。その上で、防衛大綱、中期防に与える影響については、防衛省として米側との交渉を行っているところでございますので、現時点での予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
  137. 小西洋之

    小西洋之君 答弁控えるということですが、ただ、四ページにありますように、もう令和元年から令和二年、令和三年とあって、元年、二年、三年と、これ予算執行等々がもう言わば根本的に狂ってしまっているので、中期防はまず実現不可能だというのが常識的な判断だというふうに思います。  外務大臣に伺わせていただきますが、外務大臣日米同盟が日本の安全保障外交においても基軸であると。そこは私どもも、立憲民主も同じ見解なんですが、であればこそ、この同盟国に対する、日本に対する必要な装備品、このFMSというのはアメリカ政府が日本政府に協定に基づいて装備品を提供するものですので、であるならば、アメリカが本当に日本のことを同盟国として大切に思っているのであれば、アメリカ政府ももっとこのFMSの実行に当たって、あるいは今回発覚した問題は、そのFMSの契約の段階で技術的な、あり得ないような根本的な不備が幾つも、不備といいますか、想定外というんでしょうか、ことが出てきて、想定外という説明をするんでしょうが、ただ、セントラルコンピューターの問題など何でこんな話が今出てくるのかと思うんですが、言わば、もう聞いていると、アメリカは本当に同盟国として日本に向き合う気があるのか、まあ言い方を恐れず言えば、同盟軽視のような対応もあるのではないか。  やはり、外交をつかさどる外務省としても、しっかりアメリカに対して、必要なこうした契約はちゃんと立案から、あるいは果たすことからしっかりやるように、そうしたことを私は言わなければいけないと思うんですが、大臣見解をお願いいたします。    〔理事古賀友一郎君退席、委員長着席〕
  138. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 日米同盟について、先日もたしか参議院の外交防衛委員会で小西委員の方から御質問受けまして答弁させていただいたんですが、これは米国にとっても極めて重要な存在であって、その点は米国も十分理解していると考えております。  一般論として申し上げますと、その同盟というものを管理するに当たっては、個々に何らかの問題が生じたり、また新たな情勢に直面するということはあるんだと思っております。  しかし、同盟が強いときには、それまで培ってきた信頼関係であったり緊密な協議を通じてそういった課題を解決できるものでありまして、また、実際そのように一つ一つ課題を適切に解決、対処していくことによって同盟はより強固なものになっていると思っております。  日米同盟についても、これまでそれぞれの時代にそれぞれの時代の課題に直面をしてきましたが、時の総理大臣外務大臣防衛大臣を含みます歴代の関係者たちが米国とも緊密に連携をしつつ、これらの課題一つ一つ解決することで、日米同盟は数多くの困難乗り越えつつ、乗り越えることができていたし、その結果として、現在かつてなく強固な日米同盟、勝ち得るに至っていると思っております。  御指摘のF15の改修問題、生じていることは事実でありますけど、意図的に米国の側から、最初から何かの違うものをやろうとしていたとか、契約に違反しようという思いでやっているとは私は考えておりません。したがって、米国が同盟を軽視している表れ、このようには言えないと思いますし、同盟国同士がきちんと話し合っていけば双方にとって満足がいく形で解決ができる問題だと信じております。  いずれにしても、日米同盟抑止力対処力を高めていくと。そのためには、一つ一つの機種も含めてしっかりと日米間の連携が取れるということは重要でありまして、そういったものを通じて、日米同盟、一層強化していくために米国とも緊密に連携してまいりたいと考えております。
  139. 小西洋之

    小西洋之君 先ほど防衛大臣がありましたように、当初想定した初度費の八百七億円が約三倍に膨れ上がるということですので、やはり同盟の在り方として、在日のこの駐留経費、これよりも大きな金額ですから、昨年までのですね、しっかりと外交の問題としても取り組んでいただきたいと思います。  さはさりながらですが、私もこのFMSを全て肯定しているわけではございませんで、特にこの憲法違反の武力行使に使われるということは絶対あってはならないわけでございます。  時間になりましたので終わりますが、集団的自衛権を政府が容認した、それに使われた昭和四十七年政府見解、これはかつて九条の解釈文書として我が決算委員会に提出されたものでございますので、その中の外国武力攻撃という文言を曲解して、その中に集団的自衛権を容認する基本的な論理なるものを捏造する、これは法解釈ですらない絶対の違憲ですので、そうした武力発動は絶対に許されない、そのための装備品も許されないということを申し上げて、質疑を終わります。  ありがとうございました。     ─────────────
  140. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、石橋通宏君が委員辞任され、その補欠として岸真紀子さんが選任されました。     ─────────────
  141. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。今日はよろしくお願いいたします。  まず、スエズ運河の開発等に対する開発支援についてお伺いをいたします。  スエズ運河に関連しましては、一九七四年から現在まで、開発調査、運河や待機泊地の拡張事業、経営改善計画、また収入拡大戦略、スエズ運河庁戦略強化プロジェクトなど、JICAの実施案件として現地で又は日本国内でも支援を継続されております。現地の事業だけで合計九百三十八億一千百万円に及びます。  日本にとって、スエズ運河に関連する様々な事業、これを支援することの意義について、外務大臣にお伺いをいたします。
  142. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) スエズ運河ができる前は、喜望峰を通ってヨーロッパの国々、アジアに出なければいけなかった。バスコ・ダ・ガマの時代はそうであったわけでありますけど、スエズ運河、今やこれ開通によりまして、国際海運における要衝でありまして、日本と欧州を結ぶ主要航路であることに加えて、エジプトにとっても重要な外貨獲得源であることから、同運河に対する支援は日本のみならずエジプト及び国際社会全体にとって有意義であると考えております。  このため、委員指摘のとおり、日本はこれまでスエズ運河のインフラ改良であったり、スエズ運河庁の能力向上目的とした支援を実施してきておりまして、さらに、二〇二一年にもスエズ運河庁のマーケティング能力支援のための技術協力プロジェクト、これを実施をしてきているところであります。  先ほども、いろいろミャンマーの件でも議論があったところでありますけど、日本としてはやっぱり、その国のインフラ開発をするにしても、それが国民生活の向上につながったり、その国における能力開発、向上につながる、そういう思いでやっておりまして、このスエズに対する支援についても全く同じであります。
  143. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  このスエズ運河で、先日、コンテナ船の座礁事案がありました。  今日、資料の方を配らせていただいております。国土交通省の資料ですけれども、こちらに概要がありまして、実際には右下の図ですね、運河をこのエバーギブンという船が止めてしまうというような状況になりました。  これは、現地時間三月二十三日の午前七時四十二分頃、このメガコンテナ船エバーギブン号が紅海、レッドシーからスエズ運河に入り、同運河の十八区画で座礁をしたものです。スエズ運河内の通航が断絶をして、運河庁によれば四百二十二隻の船が足止めされたと言われております。現地時間三月二十九日の十五時頃離礁に成功、同日の十八時頃、六日半ぶりにスエズ運河の通航が再開をしました。このエバーギブン号の実質船主は日本の企業で、一万本を超えるコンテナを積載できる世界最大級のコンテナ船です。  スエズ運河庁が作成をしましたこのスエズ運河断面図によれば、この事故発生地点の運河の幅はほぼ三百メートルあるんですね。ただ、このエバーギブン号は喫水が約十六メートルあって、通航できる幅が三百メートルのうちの百二十メートルしかないと。この幅百二十メートルのところを船体幅が六十メートルで全長四百メートルのこのエバーギブン号が通過すると。かなり慎重な操船が求められます。  スエズ運河通航規則では、速力制限、速さが時速十六キロメートルとなっております。東京湾の速力制限は時速二十二キロであることと比べてもかなり低くスピードが抑えられておりまして、スエズ運河では安全を優先したルールが定められていることが分かります。  ところが、私が調べたところなんですが、この船は事故当時、時速二十五キロで航行をしておりました。あえて例えれば、軽いジョギングで通航するところを駆け足で、全速力で駆け抜けていくというようなものかと思います。  そこで確認なんですけれども、このスエズ運河における速力制限、まず、時速十六キロということで間違いないでしょうか。国交省にお伺いをいたします。
  144. 多門勝良

    政府参考人(多門勝良君) お答えを申し上げます。  委員指摘のとおり、スエズ運河庁が定めております運河通航時の航行ルール、ルール・オブ・ナビゲーションによりますと、コンテナ船の速力制限は時速十六キロメートル、約八・六ノットということになりますが、であるものと承知しております。  以上でございます。
  145. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 このスエズ運河を渡るときですね、スエズ運河庁が指名をした水先人が乗船することになっております。この船にも二名の強制水先人が乗船をしておりまして、この水先人が指示を出す場合、船長にではなく、直接操舵手に命じることになります。今回、なぜこの水先人が制限速度を大きく超えて時速二十五キロまで速力を上げるよう指示したのかという原因は不明です。  そこで、スエズ運河の強制水先人の役割と各船舶への配置について伺います。  この水先人は、スエズ運河庁の海洋トレーニングセンターで養成された方で、スエズ運河庁の指示で各船舶に乗船しているものというふうに理解してよろしいでしょうか。
  146. 多門勝良

    政府参考人(多門勝良君) お答え申し上げます。  先ほど委員指摘のとおり、スエズ運河庁が定めた運河通航時の航行ルールによりますと、船舶が運河を通航する際には水先人を乗船させることが義務となっておりまして、この水先人が運河通航時の留意事項等につきまして船長に助言をするということになってございます。  先ほど指摘いただきましたとおり、スエズ運河庁におきましては水先人向けの研修施設を整備をいたしておりまして、これはホームページ等でも当局の方から公開をしておられます。水先人の教育訓練実施しているものというふうに承知をしております。  以上でございます。
  147. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 この事故直前の水先人の行動ですね、ほかにも不可解なことがあります。  この水先人が短時間の間に、取りかじいっぱい、面かじいっぱい、取りかじいっぱいと号令を発して、操舵手が左、右、左と大かじを取ったという情報があります。これは、運航中に何らかの原因で急激な変化に見舞われ、それにより船体がどちらか一方の壁に近づいてしまって座礁を回避するために取ったとっさの措置と考えられます。  また、これに関連する情報として、当時の気象の変化です。水先人が乗船をした現地時間の午前七時十二分、このときには南の風、毎秒六メートルで比較的平穏な状況でした。ところが、十数分後、七時二十五分頃から風が強まり毎秒十八メートル前後となって、その後には砂嵐を伴う風が吹き毎秒二十六メートルと。七時四十二分頃、座礁という結果になっております。  もう一つは、船長がこの水先人に対して、天候が回復するまで航行を見合わせたいと通告をしたけれども、この水先人の方がこれを拒絶したと。このスエズ運河を渡るときには、集団で、船一隻ずつじゃなくて集団で運河を通航しなければならないということがあるんですけれども、これを理由に半ば強制的にこの船を航行させたという情報です。  この事故には明らかになっていない点が幾つもあります。今回の事故原因の特定に際しては、船舶所有者側にどこまで責任があるのか慎重に原因の究明をしなければならないと考えますけれども、いかがでしょうか。
  148. 多門勝良

    政府参考人(多門勝良君) お答えを申し上げます。  船舶事故の調査につきましては、基本的には、事故を起こした船舶の船籍国、それから事故が起こった領海等を領域とする沿岸国とが行うということになっております。  今回の事案に関する事故調査につきましては、同船舶の船籍国であるパナマ共和国、沿岸国であるエジプト・アラブ共和国が既に調査を行っているところというふうに承知しております。ただ、我が国の船主が実質保有する船舶の海難事故でもございまして、両国から事故調査への協力を求められた場合には我が国としても適切に対応していきたい、そのように考えております。  以上でございます。
  149. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 先ほどのその気象条件等も含めていろんな情報が飛び交っているところもあり、また我が国の船舶が数多く利用する運河でもありますので、頼まれた場合にはということではなく、積極的に取組をしていただきたいというふうに思います。  この事故責任の所在に関するルールについてお伺いをしたいと思います。  スエズ運河には独自のルールがあります。例えば、一つが、仮にこの水先人、強制的に置かれるこの強制水先人の過失で事故が起きた場合ですけれども、パナマ運河の場合にはパナマ政府がその責任を負担するというふうになっております。ところが、スエズ運河の場合は、水先人又は運河庁の職員の助言で生じた過失であっても船舶所有者が責任を負うと、全て船主が負うということになっております。  また、損害額です。損害額も、エジプトも批准しております船主の責任制限条約によれば三十五億円というふうになっているんですが、スエズ運河航行規則によれば、この責任が適用されずに上限がないというふうにされております。これがこのまま仮に無条件で適用されるということになってしまうのであれば、余りにも船舶所有者に不利益な条件となってしまいます。  今回の座礁事故の責任問題とは別途、今後このような事故責任に関するルールをしっかりと協議をしていく必要があると考えますけれども、外務省、いかがでしょうか。
  150. 原圭一

    政府参考人(原圭一君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、エジプトは海事債権責任制限条約の締約国でございます。海事債権責任制限条約とスエズ運航航行規則との関係につきまして、国土交通省等とも連携して確認中でございます。  また、海事分野における事故をめぐる国際的な対応につきましては、関係省庁連携して適切に対応を検討してまいりたいと考えております。
  151. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 四月四日発信の日経新聞ニュースによると、スエズ運河庁は、この離礁作業を含む損害額として十億ドル、千百億円を超えるだろうという見通しを示したというふうに報じられております。  仮に、この千百億円を超える損害、これが保険金で支払われたとしても、それが今後の保険料に影響して、それが運賃、ひいては物価に反映されかねないと。日本がこのスエズ運河を利用している頻度から考えても、日本の物価に本当に反映しかねないということを懸念をいたします。そういう点も踏まえて、これから考えていただきたいというふうに思っております。  次に、早期出航に向けた取組の要請についてお伺いをいたします。  今、このエバーギブン号は、グレートビター湖という、スエズ運河の中になるんですけれども、ここに停泊中で、エジプト当局による調査が終了するまで待機するというふうにされておりまして、船員も留め置かれております。報道によると、損害賠償の支払が終わるまで出航は認められないという趣旨もあるんですけれども、金銭的な解決ができるまでには数年単位で掛かる可能性が十分に考えられます。  漁船に対してではありますけれども、国連海洋法条約では、合理的な保証金の支払により船体を速やかに釈放するという早期釈放の制度も定められております。人道的な見地からも、このエバーギブン号の出航が速やかに認められるよう、国として尽力をしていただきたいというふうに思っています。  今回の事故、本当に一船会社だけの問題ではないと思うんですね。世界の海運業界、それに付随する保険を始めとする、それに関連する多くの業界に重大な影響を及ぼす事案だというふうに考えます。  政府には、そのような立場に立った形でこれからの取組是非進めていただきたいというふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。
  152. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 重要な御指摘だと思います。  こういった一つの事故を契機としながら、どういう関係者の間でどういう話合いをすればいいかと、また、どういうところに今後の課題になってくることがあるのかということをしっかり見極めながら、事故はない方がいいわけでありますけど、また起こり得ると、こういったことで議論していけばいいと思っておりますが、詳細は、参考人が来ていて十分準備しているようでありますから、答弁させていただければと思います。
  153. 高橋克彦

    政府参考人(高橋克彦君) ただいま委員から御指摘いただきました件に関しましては、昨日、国土交通省からの出張者と在エジプト日本大使がスエズ運河庁長官と面談した際に、エバーギブン号の早期運航再開について要請を行ったところであります。  引き続き、国土交通省と緊密に連携の上、現地の状況をしっかりと把握して適切に対応してまいります。
  154. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 国際競争力を高めていくということでも、やっぱり海運をしっかり使っていく、船舶を大型化していくというのも国策としても進めていっている事業でもあります。  そういう点では、海外どこにいても日本の船舶が安心をしてしっかりと航行することができるように、また外務省としても尽力をいただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。  では、次のテーマに移らせていただきます。  資料をもう一枚配らせていただいております。コンゴ民主共和国の資料です。  中東アフリカにコンゴ民主共和国という国があります。隣にコンゴ共和国という国がありまして、今日はコンゴ民主共和国の方、黄色で色を付けさせていただいているところですが、こちらを取り上げさせていただきます。以下、略してコンゴ民というふうに呼ばせていただきます。  このコンゴ民の東部は、金、ダイヤモンド、ウラン、コルタン、コバルトなど、膨大な鉱脈が眠っております。コルタンはスマホを含む電子機器に使用されていますけれども、全世界の埋蔵量の八〇%がこの地域にあると言われています。私たちが毎日使っているスマホのリチウム電池に使われているコバルトは、そのほとんどがコンゴ民の産出で、この国は日本にとっても決して無関係ではないことを知っていただきたいと思います。  ところが、この天然資源地域を武装集団や民兵の組織が牛耳っており、東部では二十五年間も紛争が続いております。このコンゴ民の面積は日本の約六倍、首都と地方の間には著しい格差があり、東部ではインフラ不足、貧困、医療不足、汚職の蔓延など大きな問題を抱えております。  この中で、日本はコンゴ民に対しても開発協力を行っております。二〇一九年度も無償資金協力を十八・二四億円、技術協力を十二・一億円と。外務省の方が策定をしておりますコンゴ民に対する国別開発協力方針においては、東部にもしっかりとこの支援の波及をさせていくという視点が大事であるという趣旨のことが指摘されておりますけれども、この国におけます支援に関して、東部支援の重要性について、まず外務省にお伺いをいたします。
  155. 原圭一

    政府参考人(原圭一君) お答え申し上げます。  コンゴ民主共和国は、サブサハラ・アフリカ最大の国土を有する世界有数の資源国でございます。また、我が国とは良好な関係にございます。  一九九〇年代から二〇〇〇年代初期にかけての国内紛争によりまして、東部地域では引き続き平和の定着が重要な課題となってございます。中部アフリカ地域全体の安定にとりましても、コンゴ民主共和国の発展、それから東部地域の情勢の安定は極めて重要だと考えておりまして、こうした観点から、我が国としましては、東部地域の経済格差の是正のために、現在、東部のゴマ市、ブカブ市及びブニア市に所在する国立職業訓練機構の地方の拠点に職業訓練用機材等を供与する支援を実施しているところでございます。  こうした地方における人材育成への協力を通じまして、コンゴ民主共和国の経済発展に貢献していく所存でございます。
  156. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  ただ、このコンゴ民東部は大変紛争が激しく、厳しい状況にありまして、日本の政府援助機関が東部の紛争地域に直接入っていくことができないという現状でもあるというふうに承知をしております。その状況下でどのようにして東部地区への支援につながることをしっかりとやっていくのかということで、日本としても今取組をしていただいているのがデニ・ムクウェゲ医師の活動についてのサポートだというふうに考えております。  最近上映をされました立山芽以子監督のドキュメンタリー映画「ムクウェゲ」という、このデニ・ムクウェゲさん、産婦人科医ですけれども、この方のムクウェゲというのがそのまま映画の題名になっているドキュメンタリーですが、この映画の上映でコンゴ民で起きていることが日本でも知られるようになりました。今回、立山監督から直接私もお話をお伺いをして、この国の現状に強く問題意識を持たせていただくことができました。  このムクウェゲ医師、産婦人科医ですが、のお話によれば、ここでは紛争の道具として女性への性暴力が使われていると。コンゴ民では畑仕事や家庭の中で女性が中心的な役割をしていると。女性を標的にすることで、その人間性を奪うだけでなく、家族のきずな、地域の信頼、経済構造を破壊する。恐れをなした住民が土地を放棄して逃げ出し、武装集団がその土地を手に入れ支配すると。銃や爆撃機に代わる最も効果的な戦争の武器として性暴力が用いられるということです。  このムクウェゲ先生は、産婦人科医として、生後六か月から八十歳の方まで、本当に切れ目なく続くレイプの被害者をずっと見てきたと。その中で、この問題は手術室で解決することはできないと、世界を回って悲劇を、悲劇の深刻さを訴えなければならないということで活動に立ち上がったというふうにお聞きをしております。  ムクウェゲ医師は、二度来日をしております。二〇一九年、東京大学と日本のNPOが協力してムクウェゲ先生を招聘し、安倍総理、JICAの北岡理事長とも面会をされております。広島も訪問して、戦争により甚大な被害を受けた広島とコンゴが連帯する必要性を訴えておられます。また、共にノーベル平和賞を受賞したナディア・ムラド女史と中心となって、国連事務総長の支持を得て、紛争関連の性的暴力生存者のためのグローバル基金を創設されております。日本も、この理事会メンバーとして令和二年に二億四千万円を拠出し、今年度も同額を拠出する予定です。  このムクウェゲ医師の活動に対する評価と、今後のこの基金への拠出を継続するかどうかについて、大臣の御見解をお伺いいたします。
  157. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) やはり、私、映像というものは非常に衝撃的なんだと思います。直接どういったことがそういう地域で起こっているかということをショッキングに伝えると。例えば、地図にありますそのコンゴ民の隣のルワンダ、これは一九九二年にジェノサイドが起こるわけでありますけれど、「ホテル・ルワンダ」という映画で多くの人があの悲惨なあれがどうであったかと、こういったことも知ることになったんじゃないかなと思いますが。  まず、御指摘のように、紛争下の性的暴力への取組という困難な課題に取り組んでいるムクウェゲ医師始め関係者、取り組まれてきたことに深甚なる敬意を表して、その活動を高く評価をするところであります。  紛争関連の性的暴力生存者のためのグローバル基金、二〇一九年、G7ビアリッツ・サミットにおいてその設立が奨励をされまして、我が国は、令和年度に、御指摘いただきましたように二百万ユーロ、大体二・四六億円を拠出しまして、令和年度予算においても二百万ユーロ、これを計上したところであります。また、我が国は、理事国として基金の運営、そして活動方針の決定にも参加をいたしております。  今後とも、ムクウェゲ医師とも協力をして、紛争下の性的暴力防止及び生存者支援にしっかり取り組んでいきたいと考えております。
  158. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 ありがとうございます。  このコンゴ民において、やっぱり警察力の向上というのが喫緊の課題だということもムクウェゲ医師がおっしゃっておられます。レイプをしても、犯罪を犯しても捕まることがない、何も処罰を受けないということが犯罪がやまない一つの原因であるということです。  その中で、日本は、このコンゴ民主共和国に対しても、警察力の向上に対して協力支援をされております。また、コンゴ民だけではなく、ほかのアフリカ諸国においても同様の課題を抱えているところは多く、マリ、コートジボワールに対しても日本は支援を行っています。  この点、日本は、インドネシアに対して、警察庁の協力を得て二〇〇二年頃からこれまで、長年市民警察支援の取組を行い、大きな効果を得られております。昨年一月、インドネシアのジャカルタで、茂木外務大臣のスピーチにおかれましても、インドネシア全州の約半分の州で警察指導教官を育成し、日本の知見を受け継いだインドネシア警察が、今度は東ティモールの市民警察能力向上のために研修を実施しているということが紹介されておりまして、まさに日本の代表的な人づくり支援がなされているというふうに私自身も学ばせていただいたところです。  来年開催予定のTICAD8に向けて、日本として、アフリカの治安維持のために警察力向上に対して、日本だからこそできる人づくり支援など、新たな角度での取組しっかりと進めていくべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
  159. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 私の、昨年一月、ジャカルタでの講演についても触れていただいて、また日本のインドネシアに対する市民警察支援についても評価をいただいたこと、感謝を申し上げます。  その上で、日本は、四半世紀を超える歴史を誇りますアフリカ開発会議、TICADでありますが、これを通じてアフリカのオーナーシップと国際社会のパートナーシップ、これを重視しながら、平和と安定の分野を含めてアフリカ自身が主導する発展を力強く後押しをしてまいりました。  その中で、今日はコンゴ民の話にも触れていただきましたが、開発と平和と、これは車の両輪であるとの考えに基づきまして、アフリカの治安維持に資する協力、継続してきました。私自身、二度のアフリカ訪問、大臣としてでありますが、これを通じて表明したとおり、アフリカの平和と安定に向けた新たなアプローチの下、紛争、テロ等の根本原因に対処するため、制度構築、ガバナンス強化等の支援に取り組んでいくこととしております。  コロナ禍は、アフリカ諸国国家の制度の脆弱性、これを浮き彫りにしております。また、経済状況が悪化し、国民の不満が鬱積をすれば、政情不安やテロを助長する土壌ともなりかねないと考えておりまして、こういった中、アフリカの治安維持のための支援を行うこと、政策的な意義は一層高まっていると。もちろん、貧困でなくなると、豊かな社会をつくるということが私は大前提だと思います。その上で、治安対策というのがしっかりしているということが重要だと思っております。  来年、チュニジアでTICAD8開催をされる予定でありまして、平和維持を含みますアフリカの直面する様々な課題に積極的に取り組み、日本としてもアフリカの平和と安定の実現に向けた国際的な連携強化に主導的な役割果たしてまいりたいと考えております。
  160. 伊藤孝江

    伊藤孝江君 以上で終わります。ありがとうございます。
  161. 三浦信祐

    三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。  先日行われました日中外相電話会談について伺います。  今回の日中外相電話会談が開催されることとなった経緯、そして議論の結果はどのようなものだったのでしょうか。諸懸案事項の議論は当然だとは思いますけれども、特に経済的視点における生産的な議論はあったのでしょうか。茂木大臣に伺います。
  162. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 三浦委員の御質問にお答えする前に、多分、伊藤議員、最後に締めの言葉、何かお話しになりたかったんじゃないかなと思っておりますけど、私の発言が長かったために、せっかく、何というか、心の中にこの言葉で決めてやろうという形でいたのがその機会を失ってしまったこと、改めておわびを申し上げたいと思っております。  四月の五日に、午後六時からでありますけど、一時間半にわたって王毅国務委員と電話会談行いました。率直に申し上げて、予定時間よりかなり長くなったんですけれど、率直で中身のある議論を行うことができました。  会談では、日中両国が共に責任ある大国として地域、国際社会に貢献していくことの重要性を確認しまして、来年の日中国交正常化五十周年に向けて幅広い分野交流、対話が進むことへの期待を表明したところであります。  私からは、改めて、中国海警によります尖閣領海への侵入、中国海警法、南シナ海、香港、新疆ウイグル自治区の人権状況等について深刻な懸念と伝達をし、具体的な行動を強く求めました。また、日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃、改めて求めたところであります。  さらに、日中経済関係、そして北朝鮮、ミャンマーといった地域情勢、新型コロナ、気候変動等の国際社会の課題についても率直な意見交換行うことができたと思っております。
  163. 三浦信祐

    三浦信祐君 日中間の懸案事項である安全保障上の関係性から、言うべきことは言い続けていくのが必要であります。今、国交正常化五十年ということも触れていただきましたが、毎日とは言いませんけれども、連日、尖閣諸島に中国海警が出てくるということを見て、国民が納得ができるという状況にはならない。これを何としても取り除いていくことが絶対大事だというふうに私は思っております。  事実の上で経済等の関係性は極めて重要な隣国であることは間違いありません。そのことも踏まえた上で、国内のサプライチェーンの強靱化、複線化を図ることも重要であり、政府・与党として政策を確実に進めていると私自身も承知をしております。  どんな課題があろうとも、今後、両国の外相会談は回数を重ね、時には強いメッセージの応酬があったとしても、従前を超えるコミュニケーションを図って、何度でも対話を重ねていくことが、結果として両国の国民、ひいては世界の皆さんに利益にかなうことと考えます。  歴史に残るほど徹底的に、茂木大臣、外相会談を重ねていただきたいと思いますけれども、御決意を伺います。
  164. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 元々、日中国交正常化、なかなか日中間でコミュニケーションが取れない中で、当時の公明党の竹入委員長を始め様々な活動をしていただいた、こういう対話があって初めてできたものだと思っております。そういう先輩たちの努力、こういったものを基礎にしまして、更に外相レベルを含め対話というのを継続してまいりたいと考えております。
  165. 三浦信祐

    三浦信祐君 大臣、やはりコミュニケーションを取ることが欠落をして安全保障上のエスカレートを避けるということは、政治がしっかりとやらなければいけないことであります。重ねて、茂木大臣には、是非外相会談重ねていただきたいということを強くお願いをさせていただきたいと思います。  ミサイル防衛体制について伺います。  イージス・アショア導入を断念した現下の状況で、国民の生命と財産を守るために必要なBMDを含めた防空体制を確実な状態としていくのは当然であります。防衛省自衛隊の皆様は何とかやりくりをされていると承知をしておりますが、二十四時間三百六十五日、BMDを含めた防空体制確立に対するタイムラグと、発生する防空体制上の変化について整理をしていただきたいと思います。  岸大臣、答弁を通して国民の皆様に的確な情報を届けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  166. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) イージスシステム搭載艦につきましては、現在、運用構想等々を関係者を交えて検討をしているところでございますが、可能な限り早い、早期に運用を開始できるように検討を進めてまいりたいと思います。その上で、先月イージス艦の「はぐろ」が就役をいたしました。これはイージス艦の八隻体制の最後のところで、完成をしたというところでございます。  全国の高射隊のPAC3についても、昨年からMSE化改修による能力向上を順次進めております。BMDを含めて、総合ミサイル防空能力強化に向けた取組をしっかりと進めてまいります。  防衛省としては、引き続き、シューターやセンサーの能力向上や、それらをネットワーク化することによって総合ミサイル防衛能力強化に不断に取り組んでまいります。
  167. 三浦信祐

    三浦信祐君 ありがとうございます。  そもそも、ミサイルが発射されるリスクを回避していくための外交努力が最も重要であります。特に、北朝鮮に対する明確な対応、同盟諸国を始めとした積極的な外交をこれまで以上に展開をしていくことがこの極東アジアにおける平和と安定に直結すると思います。  茂木大臣、いかがでしょうか。
  168. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 北朝鮮の弾道ミサイル、金属工学が御専門の三浦先生は私よりよく御存じかもしれませんが、能力向上しておりまして、ミサイル発射に際してはこれまでも日米日米韓で緊密に連携して対応してきております。また、北朝鮮に対して、そのたびごとに厳重に抗議を行ってきているところであります。  我が国として、安保理決議に従って、北朝鮮によります全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄、いわゆるCVIDを求めていく方針に変わりはありません。先般の日米2プラス2でも、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメント、再確認するとともに、北朝鮮に対して国連安保理決議の下での義務に従うことを求めたところであります。  北朝鮮への対応、かつては対話と圧力と、いろんな言い方もあったわけでありますが、外交面での取組、極めて重要だと考えておりまして、日米日米韓三か国で緊密に連携しながら、当然、影響力を持っている中国、そしてロシアを含みます国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進めて北朝鮮の非核化を目指してまいりたいと考えております。
  169. 三浦信祐

    三浦信祐君 ありがとうございます。  昨年の決算委員会での議論を受けまして、防衛省は、イージス・アショアに係る埋没費用を正確に把握し、可能な限り低減させるように日米間で十分協議をすることと国会から求められております。  現状の結果について、岸大臣に伺います。
  170. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 昨年の七月七日の決議でございますが、今委員からもお話がございました。今年の四月七日の当委員会におきまして、麻生財務大臣から、イージス・アショアに関し締結した契約に係る経費について、本決議の趣旨を踏まえ、可能な限り低減させるよう日米間で十分協議していく旨を御説明させていただいたところでございます。  三月末の時点におきまして、イージス・アショアとして既に支払った額は二百七十七億円となっているところですが、昨年末の閣議決定によってイージス・アショアに代えて整備をすることとされたイージスシステム搭載艦については、防衛省としては、SPY7を含むイージス・アショアの構成品についてこれを利活用していくこと、その方向で検討しておりまして、イージス・アショアに関し締結した契約に係る経費について、決議の趣旨を踏まえて可能な限り低減させるよう日米間で鋭意協議をしてまいっているところでございます。
  171. 三浦信祐

    三浦信祐君 是非国民の皆さんからお預かりしている税金でありますので、決して無駄にすることのないように不断の努力を重ねていただきたいと思います。  次に、防衛省自衛隊におけるメンタルヘルス体制、パワハラ等のハラスメント根絶への取組について質問させていただきます。  直近の防衛省内でのハラスメント懲戒処分数はどのようになっているんでしょうか。
  172. 川崎方啓

    政府参考人(川崎方啓君) お答えいたします。  令和年度防衛省自衛隊におけるハラスメントを理由に懲戒処分を受けた自衛隊員は八十二人でございます。  このうち、パワーハラスメントを理由に懲戒処分を受けた者が六十九人、セクシュアルハラスメントを理由に懲戒処分を受けた者が十三人となっております。
  173. 三浦信祐

    三浦信祐君 是非ゼロに、なくす努力は不断にしていただかなければなりません。  過酷な任務を繰り返す自衛官の皆様に対し、メンタルヘルスケアは必要不可欠であります。近年、激甚化、凶暴化する災害対応に初動段階から出動されて現場で任務に当たられている隊員各位が増えております。国民の生命と財産を守るために必要なパフォーマンスを維持するためにも、御家族の安心のためにも、自衛隊におけるメンタルヘルスへの体制は欠かせません。現状について伺いたいと思います。  また、今後、訓練のみならず、多岐にわたる任務の追加や実動増加に伴う多大なストレスが生じるリスクがあります。PTSDやうつに対するケアがあっても、事前のリスクヘッジ型の対策はまだまだ不十分だと言えます。対応を急いでいただきたいと思います。  いずれにしましても、メンタルヘルスケアの体制強化充実を図るべきだと思います。岸大臣、取り組んでいただけませんでしょうか。
  174. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 委員問題意識、大変重要だと考えております。  防衛省自衛隊におきましては、駐屯地等に臨床心理士とか部内のカウンセラーを配置し、また部外相談窓口を設置するなど、メンタルヘルスの体制を充実を図っておるところでございます。平素における活動のほかに、海外派遣等に際しても、隊員に対するメンタルヘルスケア、積極的に取り組んでいるところでございます。  また、メンタルヘルスチェックによって隊員の心の状態を把握して必要に応じたケアを実施しているほか、日常の生活におけるセルフケアや自ら助けを求める力を高めるための教育、あるいは同僚及び部下からの相談に耳を傾ける力、こうしたものを付けるための傾聴訓練によって相談しやすい環境を整えるなど、様々な形で心の病を未然に防ぐという取組実施をしているところでございます。  メンタルヘルス体制強化充実に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
  175. 三浦信祐

    三浦信祐君 ありがとうございます。是非取り組んでいただきたいと思います。  その上で、公明党は、うつ病等の精神疾患やメンタルヘルスに関する国民理解を深め、偏見や差別を減少させるために、身近な人による応急処置や初期対応による医療機関への受診につなげるために、メンタルヘルス・ファーストエイド、MHFAというふうによく言われますけれども、その考え方を用いた普及啓発の推進を訴え続けております。  昨年九月、公明党が総合的なうつ対策の充実に向けた提言をさせていただき、厚生労働省として、メンタルヘルス・ファーストエイドの考え方について、心のサポートを充実する取組を行って、本年度予算にも付いているというふうに承知をしております。  自衛隊の現場には、隊員同士の団結が必要な中で、心配を掛けたくないとの考えでメンタルヘルスについて相談しづらい環境が現実的にはまだあります。また、仮に相談を受けたとしても、どう受け止めるべきか仲間同士での受け止め方も決して確立をされているわけではありません。自衛隊の現場こそメンタルヘルス・ファーストエイドの考え方を導入すべきだと私は考えております。  厚生労働省は、この考え方について自衛隊とも連携して推進をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 赤澤公省

    政府参考人赤澤公省君) お答えいたします。  厚生労働省では、家族や同僚などそばにいる身近な方が行う心の処置でありますメンタルファーストエイドの考え方を活用いたしまして、まずは地域においてメンタルヘルスの問題を抱えている方に対して支援を行う心のサポーターを養成していきたいと考えておりまして、令和年度からそのための研修等を行っていくこととしております。  この心のサポーターが養成されていくことで、メンタルヘルスに関する理解促進、それから精神疾患の予防、早期介入につながると期待されておりまして、様々な方や疾患にも活用できるというふうに考えております。  御指摘をいただきましたことも踏まえまして、関係省庁とも連携させていただきながら取組を進めてまいりたいと考えております。
  177. 三浦信祐

    三浦信祐君 是非推進をしていただきたいと思います。  自衛隊において、特にパワハラの削減が欠かせません。通報していないケースも多数あると思われます。縦社会、命令一下、規律統制が維持されていることで任務遂行が図られているのは承知をしておりますが、今後、パワハラが生じにくい体制を整える必要があります。大切な隊員のメンタルヘルス維持なくして組織の持続は不可能であります。  最近では、認知行動療法がパワハラ発生への抑止に効果をもたらす可能性についても研究もなされているところであります。今の厚生労働省の発言も受けて、連携を密にして心のサポート、ハラスメントの根絶へメンタルヘルス・ファーストエイドの考え方を取り入れるなど、防衛省として取り組んでいただきたいと思います。岸大臣、いかがでしょうか。
  178. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 委員指摘のパワーハラスメントについて防衛省内での相談内容を見てみますと、上司からの暴言という精神的な攻撃を受けたという相談が最も多くなっております。上司によります自身の感情のコントロールというものが課題になっている、課題一つとして挙げられます。  このため、令和年度から、精神科医やカウンセラーといった部外専門家の方の協力を得て、管理職員に対して、自分の感情を分析し怒りをコントロールするなどのマネジメント能力向上を図るための教育を実施するとともに、必要に応じ、カウンセリング体験を通じてセルフチェックを行わせるなどの取組を開始したところでございます。  ハラスメントに関する悩みを抱えている隊員は、なかなかその部内の相談員には相談しにくいということを感じている者も結構いるんですね。ですから、防衛省内に設置しているパワハラホットライン、弁護士による相談窓口を設置するなど、隊員が相談しやすい環境を今整備をしています。  防衛省としては、引き続き、関係機関とも連携をし、また委員指摘のメンタルヘルス・ファーストエイドの使用も、様々な取組を取り入れながらハラスメント対策実施、推進してまいりたいと思います。
  179. 三浦信祐

    三浦信祐君 大臣、明確にお答えをいただいて、本当に感謝をしたいと思います。是非、現場でハラスメントがなくなったというのは数字で出てまいりますので、不断の努力のみならず、結果を出していただきたいというふうに思います。  FMSの削減努力について質問させていただきたかったんですけれども、また別の機会にさせていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。     ─────────────
  180. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、今井絵理子さんが委員辞任され、その補欠として本田顕子さんが選任されました。     ─────────────
  181. 浅田均

    浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  私は、まず外務大臣と、日本のプレゼンスということに関してちょっと議論させていただきたいと思います。税金が日本のプレゼンスを高めるためにどういうふうに使われているか、うまく使われているのかということです。  日本という国は、多分、良い製品を提供する国、良いサービスを提供する国という認識で国際的なプレゼンスが上がってきたという一面があると思います。他方、戦争に負けてから、戦後を考えますと、国連に加盟する、それからIMF八条国、OECDに加盟する、それからガットに加盟するですね、国際機関に入っていって国際社会の一員になっていったと。そういうところが日本のプレゼンスを高めるために非常に力があったんだろうと思っております。  それで、今日お伺いしたいのは、まず、そのプレゼンスを高めるために、今申し上げましたように国際機関に入っていく、その次は国際機関の長を取る、それから国際機関の職員の数を増やす、こういうことが考えられると思います。  そこで、外務省のホームページ見ますと、この間、大臣も答弁されておりましたけれども、来年度ですね、二〇二二年の国連安保理事会の非常任理事国を目指すというふうな発言をされております。調べますと、アジア太平洋で一議席、五十四か国ですかね、で一議席というところで、かなり厳しい選挙になると思います。  公職選挙法的なものがあるのかどうか知りませんよ。だから、戸別訪問できるとか、五十四か国を戸別訪問しよう思ったら大変やと思います。これ、私ども、知事、市長が万博を当選するためにいろんなところ回って、もちろん外務省、国の御協力も仰ぎましたけれども、いろいろ回ってお願いして、やっと当選させていただいたと。そういうことを考えますと、非常任理事国、過去十一回なったという経験はあるにせよ、なかなかそれなりの評価を得ていないと当選できないというふうに思っております。  そこで、来年度の勝算についてどうお考えなのか、もちろん負けると思っているとは言わはれへんと思うんですけど、勝算に関してどういうふうにお考えなのか、外務大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  182. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 本当、国際社会での我が国のプレゼンス、おかげさまで高まっているのは間違いないと思っております。浅田委員、冒頭、商品力と、こういう話に例えてお話をされましたが、商品が売れるかどうかと、いい商品を作ることは極めて重要ですが、同時に、どの商品棚にそれが置かれるか、極めてこれが重要になってくると考えておりまして、そういった場にいられるかどうかと。その意味で、国連の安保理非常任理事国の構成員であることは極めて重要だと考えております。  既に我が国十一回この非常任理事国としても活動しておりまして、これまでの国際社会の平和と安全への維持に貢献してきておりまして、今後も一層積極的に貢献すべく、御指摘のように、二〇二二年、安保理非常任理事国への立候補を表明をしております。  同じアジア太平洋地域からほかにモンゴルが立候補を表明しているということでありまして、表明以来三年半たつわけでありますけれど、あらゆる機会を活用して各国に対して支持要請を行ってきております。支持獲得状況などの具体的な対応については申し上げられない部分もあるんですが、各国への働きかけを通じて、既に好意的な反応も多く得ているところであります。もちろん、これは選挙ですから、選挙は投票箱が閉まるまでということで、最後の最後まで支持を獲得するということで一層の努力をしていきたいと、こんなふうに思っているところでありますが、反応としては決して悪いとは思っておりません。  また、同時に、単に支持を得るだけではなくて、様々な、クロス支持であったりとかいろんなやり取りもありますし、日本が今まで行っている貢献、こういったものについても丁寧に説明しながら、しっかりと支持が獲得できるように、ただ、厳しいと言わないと選挙駄目なんですよ、あのぐらい大丈夫だとなっちゃうと。そんな思いで取り組みたいと思います。
  183. 浅田均

    浅田均君 余計な話ですけど、投票するんですか。五十四か国が投票して決めるんですか。
  184. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  国連加盟国百九十三か国ございますが、各国一票持っております。そして、それぞれの枠に対して投票いたします。ニューヨークの国連本部で投票いたします。
  185. 浅田均

    浅田均君 ありがとうございます。  大臣、これモンゴルが対立候補であるというならば、白鵬とか鶴竜とかに頼んで、今回は俺のとこがやると、で、次あんたのとこがやったらええやんかというふうな話をされるのも手のうちではないかなと思います。アドバイスを使っていただいてもいただかなくても結構でございますが、ちょっと今思い付きましたので申し上げました。  今、日本のプレゼンスということでお話をさせていただいております。アフリカのTICADのお話先ほどありましたけれども、アフリカとか東欧ですね、バルチックとか、あるいは新たにEUに加盟した東欧の国とかいう部分が何か日本のプレゼンスが低いような私は印象を持ちます。そのほかの国は、それなりに日本人あるいは日本という国、国民に対する評価はしていただいていると思います。南米もやっぱりブラジルのサンパウロ市の存在は大きいと思いますね。だから、ああいうところはそれなりのプレゼンスあるんですけれども、何か東欧とか、まさしくバルチック、ラトビア、リトアニア、エストニアですか、ああいうところは新しい何かパワーバキュームのような感じになっていて、向こうの方々は日本人のことを、日本のことを知っているんですけど、周りに日本人がいないとまさしくプレゼンスがないんですね。アフリカにおいても同様のことを聞いております。  だから、そういうところで、何か周りを見て日本人かなと思って何か商売したら中国人やったというようなことが多くて、そこで大概中国に先手を打たれてしまうというようなことを聞いております。  だから、全方位外交でそういうところを、国連、どこも一票ですから、非常任理事国になって我が方の主張を聞いてもらおうと思えば仲間の国を増やしておく必要があるわけであって、そういう何か日本のプレゼンスが非常に低いなと思われるようなところに対してプレゼンスを高めていく必要が非常にあると私は思っておりますので、どういうふうなことをお考えでしょうか、プレゼンスを高めるために。
  186. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 基本的に、浅田委員のおっしゃること、私も同じ認識を持っております。特に、アフリカにしても東欧にしても、かつて距離的に遠いと、こういうところもあったわけでありますけれど、今、グローバル化の中で、単に物理的な距離というのは以前ほど問題ではなくなってきていると思っております。そして、アフリカについては、日本はこれまでに長年にわたり、アフリカ開発会議、TICADを通じて、アフリカ自身が主導する発展を後押しをしてきました。  恐らく、一九六〇年代から日本が東南アジアで行ってきた様々な支援というのは、単に一つ価値観を押し付けるのではなくて、東南アジアのそれぞれの国が持っている歴史とか伝統とか風習、そういったものを尊重しながらそういった取組を後押しをしていくということでありまして、アフリカでも同じようなことが言えるのではないかなと思っておりまして、例えば、直近でも新型コロナへの対応において真価を発揮しているのが、野口英世博士の名を冠しましたガーナの野口記念医学研究所でありまして、ガーナのPCR検査の一時八割までここでやっていたと、こういった感染症の拠点ともなっております。  私も、昨年末、そして今年の初め、アフリカ六か国訪問させていただいて、二か月で六か国外相が訪問したというのは初めてのことになるかと思うんですが、アフリカ等のそれぞれの国のバイ、そしてまたマルチの関係の強化に努めてきたところであります。  そして、なかなか一般の方が行っている印象はないのかもしれないんですが、青年海外協力隊であったりJICAの専門家派遣、さらには日系企業もどんどん今アフリカに進出をしておりまして、多くの日本人がアフリカの現場でアフリカの人々と一緒に事業を担っておりまして、その姿はアフリカにおいても大いに評価をされておりますし、さらには、同じODAで造った道でも、日本が造った道と違う国が造った道、どことは言いませんよ、十年たつと全然ぼこぼこさが違うんですね。やっぱり日本の道の方がしっかりしている、こういったことでも評価というのは高いんじゃないかなと思っております。  一方、中東欧についてでありますが、ここはEU市場に近いということで、EUの統合というのが本格的になって以来、日本企業の進出というのが相次いでおりまして、例えばV4と言われる国、ポーランド、ハンガリー、スロバキア、チェコ、ここは八百七十社以上が進出をしまして十三万人以上の雇用を創出をしております。ルーマニアでも百社以上で四万人の雇用が生まれているということでありまして、外務省としても、在外公館を通じて中東欧での日本企業の活動、支援をしていきたいと思っております。  もちろん、公的にも様々なイベントであったりとか周年記念等々を通じて人的な交流も深めていきたいと思っておりますし、様々な形で日本人を見る、日本企業を見る、日本との関連の行事があるということで、更にプレゼンスが高まるようなムーブメントをつくっていければと思っております。
  187. 浅田均

    浅田均君 それで、国際機関の日本人の職員の数なんですが、国連関係機関で働く日本人職員を千名とすると、二〇二五年までに一千名にするという目標を掲げておられます。  この目標が果たして達成できるのかというのと、単に国連だけでなしに、重要な国際機関、WTOとかOECDとかIAEAとかあるんですけれども、そういう国際機関での日本人の数を、職員の数をこれからも増やしていく必要があるので、どういうふうな対策を打っておられますか。
  188. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  国際機関職員は、中立的な存在であることが求められます一方で、日本人職員が世界で活躍することは日本の存在感を高め、また日本と国際機関との関係強化の観点からも重要であると考えております。このため、日本政府は、国連関係機関における日本人職員を二〇二五年までに千人とするとの目標を掲げ、国際機関で働く日本人の方々の増加に努めております。  具体的には、国際機関職員として採用されることを目指して若手の日本人を国際機関に派遣するジュニア・プロフェッショナル・オフィサー制度、それから、中堅レベルの日本人の派遣を着実に実施して、各職員に対し、また昇進の支援を行っております。これまでの取組の結果、現在、国連関係機関における日本人職員は九百十二名となっており、これは過去最多の数でございます。  今後とも、国連、国際機関で働く日本人職員の増加に向け、関係省庁とも連携しつつ、政府一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。  なお、個別の機関について御質問がございました。  国際機関の事務局が分担金の比率、人口等から国別に望ましいポスト数を試算している場合がございますが、国連事務局のほか、国際刑事裁判所、国際労働機関、国連教育科学文化機関、世界保健機関が望ましいポスト数を公表しております。そのうち、国連教育科学文化機関、ユネスコにおいては日本人職員の実数が望ましいポスト数にございますが、それ以外につきましては水準を下回っております。  引き続き、関係省庁連携して強化していきたいと考えております。
  189. 浅田均

    浅田均君 これからまた、米中貿易紛争とか、WTOに話を持っていく必要があるということが増えてくると思います。WTOなんて、前のもうガットのときからイエール大学のロースクールが学閥みたいのをつくっているとか、それほどまでにアメリカとか、日本以外の国がもう先行していますので、そういうところに対等で交渉できるスキルを持った方を育てていく必要が是非ありますので、これからもそういうところの職員さんの養成あるいは派遣に力を入れていただきたいと思っております。  それでは、ODA関係の質問に移らせていただきます。  ODAは、いっとき一兆円を超える予算がありましたが、今やもう五千億と、半分ぐらいに減ってしまっています。冒頭、日本の製品とかサービスの良さというお話をさせていただきましたけれども、人がいないと、そういうところで物があるというところで評価の対象になるわけですね。何もなかったら評価のしようがありませんから、これは日本が造ってくれた橋であるとかインフラであるとか学校であるとか、そういうところが後々残る日本の評価対象になるわけですよね。  そういう意味で、今コロナが世界的に蔓延しておりまして、そういうところで我が方がそういうODAの対象国に対してどういう協力をできるかというところが見られているんだと思います。  途上国で感染拡大防止に取り組んで、ラストワンマイル支援を実施しているというふうにJICAの方がこの間、外防委員会でおっしゃっていたんですけど、これはどのような取組なのか、教えていただけませんか。
  190. 原圭一

    政府参考人(原圭一君) お答え申し上げます。  新型コロナが収束に向かいましても、世界のどこかにウイルスが残っていれば再拡大の可能性が残ってしまいます。そのため、ワクチンの生産、分配、接種に至るプロセス全体において公平なアクセスの確保が重要であると考えております。その観点から、日本は、世界全体でのワクチンへの公平なアクセスを確保すべく、COVAXファシリティーの形成を主導し、財政的にも貢献してまいりました。  一方、COVAXファシリティーの枠組みにおきましては、途上国国内のコールドチェーンの整備は必ずしも十分に手当てされないという面がございます。ラストワンマイル支援は、このような多国間枠組みを補完するべく、これまでの日本の長年の経験と世界トップクラスの技術、設備を生かしまして、ワクチンを一人一人に届け、実際に接種を受けてもらうための支援でございます。  具体的には、冷蔵庫、クーラーボックス等の保冷設備や、国の隅々までワクチンを運ぶための車両、ボート等の輸送手段の提供、それからワクチン接種管理や機材の管理のための人材育成等を日本の強みとして進めてまいっております。三月九日に決定いたしました東南アジア、南西アジア、太平洋島嶼国の計二十五か国に対する四十五億円のコールドチェーン整備のための緊急無償資金協力は、その第一歩でございます。  人間の安全保障の理念の下、新型コロナの一日も早い収束に向けて、日本は今後ともワクチンを世界の一人一人に届けるための支援を行ってまいりたいと考えてございます。
  191. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) ラストワンマイル支援、具体的な内容について今政府参考人から答弁があったとおりなんですが、元々、ラストワンマイルというのは情報通信の世界なんかでよく使ってきたんですが、やっぱり特徴ある日本の支援、このワクチンにおいても行っていくという意味で、多分ほかの国でももしかすると使っているのかもしれませんけど、外務省でこういう言葉遣いがいいということで始めたものでありまして、しっかりこういったことも定着をさせることによって最終的にワクチンが一人一人の人が接種できると、こういう環境づくりに貢献していきたいと思っております。
  192. 浅田均

    浅田均君 時間が来ましたので終わりますけれども、大臣、これ、ラストワンマイル支援って、アフリカはMKS単位ですので、マイルというよりキロと言った方がいいと思います。  それでは、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  193. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 日本維新の会の柳ヶ瀬裕文でございます。  茂木大臣には質問がありませんので、もしよろしければ御退席いただいても結構でございますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。  サイバーセキュリティーの問題についてお伺いをしていきたいというふうに思います。  昨年の六月二十二日の参議院決算委員会におきまして、三菱電機へのサイバー攻撃について質問を行わせていただきました。その際に、高速滑空ミサイルの性能に関する情報が漏えいした疑いについて、防衛省から、流出した可能性のある情報約二万件、重複も含めると約九万件を調査しているという答弁がございました。  この点に関して、これまでに更に判明したことがあれば是非教えていただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。
  194. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 昨年一月に三菱電機から公表されました同社の社内ネットワークに対する不正アクセス事案については、外部に流出した可能性のある防衛関連情報防衛装備品の研究試作の入札に関する情報を含めて約二万件ありまして、防衛省としては現在においてもこれらの情報について安全保障上の影響に関する調査を行っているところでございます。  具体的には、防衛省におけるこの約二万件の調査は、会社において被害範囲の把握等が確実に行われました昨年度の初めから開始をしたものであります。この件数が膨大であったことから、調査を効率的に進めるため、昨年夏頃までにまず一次的な作業として約二万件全ての内容の把握を行い、その上で、現在は、特に丁寧な確認を行う作業が必要であると認められたものを中心に、二次的な作業として一つ一つ丁寧な内容確認を行っているところでございます。  調査の終了時期につきましては、現時点では具体的に申し上げられる段階ではございませんけれども、調査の目的安全保障上の影響に関わるものでありますことから、しっかり精緻に調査を行って結果を取りまとめてまいりたいと考えております。
  195. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 これは、この三菱電機のサイバー攻撃の事案というのはこれ一昨年の六月に発生した事案だということで、その次の年、去年ですね、の六月にこれ決算委員会で質問をしたところ、調査中であるということだったわけです。で、今年の四月、今ですけれども、この質問をして、いまだに調査中ということで、もう発生から二年掛かっているんですね。二年掛かっていまだに調査中と、安全保障上の影響があったのかどうかよく分からぬというのが今のお答えですよ。これはかなり心配ですね。  膨大な数だというのは分かりますし、精緻にこれを調査しなければいけないということはよく分かるんですけれども、ただ、三菱電機というのは極めて重要な、機微な情報等々を取り扱う企業でありますし、また重要なインフラを担っている企業でもあります。ここに対してのサイバー攻撃があって、それから二年間調査をしてもその実態がいまだよく分かっていないということ、これで本当に大丈夫なのかという懸念を持っているということをまずお伝えしたいというふうに思います。  それで、その上で、今年の三月に、三菱電機から、新たに昨年の十一月にサイバー攻撃を受けたということで情報流出があったということが、事案が発覚をいたしました。これに関しては、取引先に関する三菱電機の保有情報や子会社の取引先の金融口座情報が流出したということを発表がされているわけですけれども、今回、この流出した可能性がある情報防衛関連の秘密等の情報が含まれていたのか、また、含まれていない場合でも安全保障上影響を与える情報がなかったのかどうなのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  196. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  本年三月二十六日に、三菱電機株式会社は、同社が契約するクラウドサービスに対する不正アクセスにより国内の取引先の金融機関口座などの情報が外部に流出したことを公表いたしましたが、その情報の中に防衛関連情報が含まれているか否かについては、これを公表すると更なる不正アクセスを誘発することも考えられるため、現時点ではお答えは差し控えさせていただきます。
  197. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 一昨年の六月に情報漏えいがあって、それは調査中、昨年の十一月にも情報漏えいがあって、それに関してはよく分からないというのが今のお答えだというふうに思います。分かっていて言わないということなんですかね。多分、私はこれ分かっていないんだと思いますよ。  非常にこのサイバー攻撃というのが巧妙になっていて、実際にそれがどこまで侵入してきたのか検知ができないというのが今の大きな課題であります。そういった意味で、この防衛関連産業に対するサイバーセキュリティーの在り方が本当に今の状況で十分なのかどうなのか、これはしっかりと検証しなければいけないというふうに考えているところです。  この情報流出が続いているわけですけれども、こうなっている理由についてどのように分析をされているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  198. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  防衛省は、従来から、製造請負等の契約を締結した企業との間で、秘密、注意等の指定区分に応じた特約を結んでおり、また、契約前の入札に関する保護すべき情報を貸与するときには、誓約書を提出してもらい、企業において情報保全のための必要な保護措置を講じることなどの適切な取扱いを求めております。  防衛関連企業においては、こうした防衛省との契約等に基づき情報保全のための必要な保護措置を講じていると承知しておりますが、近年、防衛関連企業に対する不正アクセス事案が起きており、外部と接続していない社内のネットワークシステムで管理されている秘密等の情報が外部に流出したものではないものの、十分な保護措置が講じられていない外部と接続されたネットワークシステムにより保護すべき情報が取り扱われ、これらが外部に流出した可能性がある事案が起きていることは大変深刻に受け止めておるところでございます。  その要因につきまして防衛省として確定的に申し上げることはできませんけれども、一般論として申し上げれば、今ほど委員からも御指摘のように、企業側で保護措置を講じていたとしても、不正アクセスを行う側の情報窃取の手口がより巧妙となれば企業側のシステムに侵入されてしまうといったケースが考えられるところでございます。  いずれにせよ、保護措置の更なる強化について検討し、早期に実施していくことが必要であると考えております。
  199. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 御丁寧な答弁、ありがとうございます。  それで、二点懸念事項を伝えて、対策を打っていただきたいというふうに思うんですけれども。  一つは、この防衛関連企業との特約条項をしっかりと結んでいるということはよく存知をしているわけです。ただ、じゃ、条項を結んで、それをしっかりと遂行できるだけの能力が果たしてあるのかどうなのかといった点については疑義が残るということですね。実際、特約条項は結んでいるわけですから、情報をしっかり保全するよということは確認が取れているわけです。しかし、漏えいしてしまったというのが結果としてあるわけですから、その能力をどうやって担保していくのかということですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  200. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  今ほども申し上げましたけれども、企業におきましては必要な保護措置を講じていたとしても、不正アクセスを行う側の手口がより巧妙になれば不正アクセスが行われる可能性があることは否定できないところでございます。  このため、現在、防衛省といたしましては、防衛関連企業における保護措置強化するため、米国防省が契約企業に義務付けているサイバーセキュリティー基準、NIST・SP800―171という基準でございますが、これと同程度となるような管理策を盛り込んだ新たな情報セキュリティー基準策定するための作業を行うとともに、企業において新たな情報セキュリティー基準に適合した保護措置が講じられるような支援の在り方についても併せて検討を進めているところでございます。
  201. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。  ですから、特約条項は結んでいるんだけれども、それが実施できる体制にあるのかどうなのかというのは極めて分からないですよね。  ですから、今おっしゃったように、ちょっと先んじておっしゃっていただいたんですけれども、じゃ、ほかの他国はどういったことをしているのかといったならば、その特約条項を結ぶ条件が極めて厳しい条件となっているんですね。今おっしゃったように、アメリカではこのNISTということがございまして、このSP800シリーズというものがございます。これは、二〇一七年の十二月末までに機密を扱う防衛関連企業については義務付けをされているという基準です。この基準は日本の基準よりもはるかに高いものとなっているわけです。  じゃ、どこが高いのか、どこが違うのかといったならば、これはインシデントの防止。セキュリティーということですから、相手方が攻撃を仕掛けてくる、それに対する防御、これに関しては一定程度日本もできているということだというふうに思います。ただ、そこから先が問題で、じゃ、インシデントが発生した後、しっかりとそれを検知して復旧して対応することができるのかといったならば、そこは極めて脆弱だということが、これは各国からも日本のセキュリティーに関しては指摘をされているわけであります。  そのことは防衛省自身もよく御存じでありまして、この米国並みの対応が必要だということで検討会をずっと開いてきたんですね。ただ、じゃ、これ検討会開いてもう四年たつということなんです。四年たってもこのNISTの導入に至っていないということでありますけれども、これは、いつこれだけの高レベルの基準を日本でも導入するということになるのか、また、なぜこの基準がいまだに導入されないのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  202. 武田博史

    政府参考人武田博史君) お答えいたします。  委員指摘のように、米国防省の基準、NIST・SP800―171というものは、現在私どもが取り入れております国際標準であるISOよりも内容が強化されておりまして、委員指摘のように、インシデントの防止だけではなくて、サイバー攻撃を始めとした情報セキュリティー上のインシデントの発生以降、具体的には検知、対応、復旧も十分にカバーしている点が特徴でございます。  私ども、こうした新たな措置を企業側に負担をしていただく、お願いすることになるわけでございまして、現在、企業側と様々な話合いをしております。官民の会議におきまして意見交換をしてきました。また、その後、経団連の傘下にある各防衛関連の企業とも意見交換を重ねてきております。  昨年の十二月に岸防衛大臣が経団連の幹部の方々と意見交換をされたときに、この一年間の勉強会の内容についても報告をしておるところでございまして、引き続き、新たな負担を強いることになる防衛関連企業との丁寧な意見交換を続けてまいりたいと思っております。
  203. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。  これ、話合いをしているのはいいですし、また様々な下請企業に対して負荷を掛けるということになるということは分かりますけれども、今の基準ではこのサイバー状態、サイバー状況でセキュリティーは不十分だということで認識をされているわけですから、これを早期に導入していただきたいというふうに思いますけれども、大臣見解、お伺いしたいと思います。
  204. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 現状については、今装備庁長官から答弁があったとおりでございます。  この新たなサイバーセキュリティーの、情報セキュリティーの基準については、早期に導入をすると、こういうことが大変重要なんだというふうに思っています。一方で、企業に対しては新たなやはり義務付けということになりますので、企業との間で丁寧な意見交換をし、彼らの理解をしっかり得た上で前に進めていかなければならないと、こういうふうにも考えておるところでございます。  更に検討を進めて、早期に結果を取りまとめて具体化をしてまいりたいと考えております。
  205. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。  ただ、そうやって話合いをしている間にもう四年がたったわけですね。三菱電機の事案は二年たってもよく分からぬという状況ですよ。ですから、しっかりと検知、復旧、対応ができるということは極めて重要なことですから、それができるような新しい基準、NISTの導入、これを急いでいただきたいということを申し上げたいと思います。  もう一点、心配をしている点なんですけれども、これ、一昨年前の三菱電機への攻撃も今回の三菱電機へのサイバーアタックも、いずれもやっぱり中国を拠点としているということなんですね。一昨年前は、中国拠点の三菱電機のサーバーが攻撃を受けて同社のネットワークに侵入されたというふうに承知をされているという答弁をされています。また、今回の事案に関しても、三菱電機の中国の子会社への不正アクセスが行われて従業員のアカウント情報が盗まれた、そこから本社への不正アクセスが行われて情報が流出したというふうに存知をしているところであります。  そこで、済みません、これちょっと通告が微妙だったのでお答えできるかどうか分からないんですけれども、LINEの問題ありましたね。LINEが中国にサーバーを置いていたということで、これ個人情報上どうなんだということで今問題になっているわけでありますけれども、この中国における防衛関連企業の子会社等々若しくはサーバーの設置、これについてもどのようにお考えなのかという点についてお伺いしたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  206. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  まず、近年のサイバー攻撃は、委員指摘のとおり高度化、巧妙化しておりまして、他国に所在するサーバーを経由したり、まさに御指摘のとおりでございますが、ソフトウエアを用いて攻撃源を秘匿するなど、その多くは巧妙な手段が用いられております。  そのため、サイバー攻撃の主体を特定することは一般に容易ではございませんが、主体の特定はサイバー攻撃対応に有効であることでございますので、防衛省自衛隊におきましては、攻撃手法やマルウエアの解析、関係部局間の情報共有等により攻撃源の特定に今努めているというところでございます。
  207. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。  これ、中国のサーバーが拠点となって攻撃されたということはこれ確かな事実であります。また、その子会社への不正アクセスがあって、そこから情報が漏えいしているといったことも事実であります。これは、LINEの問題どころの問題じゃないですよ。まさに日本の機密情報が中国にある子会社、中国にあるサーバーから漏れ出ている、そこからアクセスされているという重要な問題ですから、これへの対応はもうしっかりと考えていただきたいというふうに思います。もう今日はそれ以上は答弁求めませんけれども。  あと一点、サイバー人材の確保ということについてお伺いをしたいというふうに思いますけれども、先般、AI・サイバーセキュリティ推進室長というものを防衛省としては募集をした、公募をしたと、けれども、適任者は見付からず、採用を見送ったという経緯があると存知をしているところであります。  そこでまた、防衛省は、四月の五日から、この安全保障上大きな脅威となっているサイバー攻撃への防衛能力強化するため、サイバーセキュリティ統括アドバイザー、この募集をされているということなんですけれども、報道によると、これは年収二千万円程度ということもあり得るという条件を聞いているわけですけれども、これで確かな人材を確保できるという見込みがあるのかどうなのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  208. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  防衛省自衛隊におきましては、サイバー領域における最新技術サイバー攻撃の最新動向等に関する高度な知識、スキル及び豊富な経験、実績を持つ人材を、委員指摘サイバーセキュリティ統括アドバイザーとして採用することを予定しているところでございます。  それで、このような高い能力を有するサイバー人材につきましては、官民問わず需要が多く、防衛省に専従していただくことを前提に募集した場合は必要な人材を採用できない可能性もございます。このため、現に民間企業や研究機関等に所属する人材を所属元の企業と兼業するような形が可能な非常勤職員というふうな形で採用することといたしました。この場合は、所属元の企業等と防衛省の双方から給与が支給されるということになるということでございます。  いずれにいたしましても、我々といたしましては、このような形で適切な者を採用させていただきたいと考えているところでございます。
  209. 柳ヶ瀬裕文

    柳ヶ瀬裕文君 ありがとうございます。  非常に高度な人材で、しかも希少価値が高いということですから、各企業が今争ってこの人材獲得にいそしんでおるという状況がございます。  グーグルは一億六千万円ホワイトハッカーに払うといった話もございます。つまり、高騰しているわけですね。これは必要な投資だというふうに思いますから、しっかりとした人材を得られるように投資をしていただきたいと、このことを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  210. 芳賀道也

    芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  今日四月十二日で、普天間基地返還合意から二十五年になります。岸防衛大臣に伺いたいんですが、軟弱地盤と判明してからも工事が進められている沖縄の辺野古基地、アメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所、CSISの昨年の十一月のリポートでも、この辺野古のプロジェクトの完了は難しいようだと報告されています。  大臣、本当にこの辺野古基地は完成するんでしょうか。
  211. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) シンクタンクの報告書については承知をしておりますけれども、内容の一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。  その上で、これまでも米国政府との間では累次にわたって確認をさせていただいているところでございますけれども、日米同盟抑止力の維持、それから普天間飛行場の危険性の除去、こういうことを考え合わせたときに、辺野古への移設というものが唯一の解決策であって、この方針に基づいて着実に工事を進めていくこと、このことこそが普天間飛行場の一刻も早い全面返還を実現するために必要になると、つながっていくものと、こういうふうに考えておるところでございます。  普天間飛行場の代替施設の建設事業については、沖縄防衛局においてしっかり検討を行っております。地盤改良についても、十分に安定性を確保して、護岸等の施工が可能であることを有識者で構成されている技術検討会に確認をいただいておるところでございます。また、こうした内容については米側にも説明をし、そして確認を取っているということでございます。  既に、埋立ての状況については、キャンプ・シュワブの南側については早ければ今月中にも海面から三・一メートルまでの陸地化が完了する予定です。  防衛省としては、引き続き地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現すべく、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいりたいと考えております。
  212. 芳賀道也

    芳賀道也君 国内にも軟弱地盤で完成しないのではないかという声がある、心配する声がある。その中で、アメリカの信頼できるシンクタンクがこういう発表をした。これでコメントは差し控えていただきますというと、国民安心にはつながらないと思うんですね。  是非コメントしてほしいと思いますし、岸防衛大臣は、防衛大臣になられる前に、マイケル・ジョナサン・グリーン氏と二〇一三年夏の参議院選挙の頃に面会されたと報じられています。この面会されたマイケル・ジョナサン・グリーン氏は、アメリカ政府の幾つかの役職を歴任していますが、この報告書を出した戦略国際問題研究所、CSISの日本部長も務めていたことがある。信頼できるシンクタンクなんですよ。  岸大臣大臣になる前、二〇一四年にアメリカに出張された際にも、CSISにて大臣御自身が講演されているんですよね。CSISが日本でいう単なるシンクタンクの一つではなくて、安全保障外交分野の政治家、軍人、官僚の人材を受け入れてきた組織で、日本にも複数のチャンネルを通じて影響を与えている極めて防衛上では重要な組織だということは、岸大臣御自身が御存じのはずです。  普天間飛行場を閉鎖、返還するためには辺野古基地が唯一の選択肢という見解を日本政府は繰り返していますが、このシンクタンクも含め、アメリカ側の客観評価はそれとは異なることが浮き彫りになったと言えるのではないでしょうか。  大臣、いかがでしょう。アメリカ安全保障関係者は辺野古基地への移設とすることが唯一の選択肢だとは考えていないようですが、この点について岸大臣見解是非お伺いしたい。
  213. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今委員からお話のありましたマイケル・グリーン、またCSIS、私もよく存じ上げております。もちろん、このCSIS自体はしっかりしたシンクタンクだと思いますし、マイケル・グリーンさんも、日本については、先ほどもおっしゃられた日本部長であったということもあって、日本についてはかなり知識の豊富な方だと、こういうふうに考えております。  その上で、マイケル・グリーンとも、この沖縄の件、辺野古移設の件については意見交換をさせていただいたこともあると記憶をしておりますけれども、今、最近ではこのマイケル・グリーン氏と会っているわけではないんですが、いずれにいたしましても、現在、これまで進めてきている工事の状況、今、先ほども申しましたけれども、辺野古において、キャンプ・シュワブの南側については陸地化が進んで、進めてきておるところでございます。軟弱地盤においても、技術的に技術検討会にも確認をしているところでございますけれども、こうした中で、米側にも十分説明を行って、確認を取っているところでございます。  その上で、この辺野古移設というものが今唯一の解決策であって、一日も早い全面返還、このために、またその危険性を除去することにもつながると、こういうふうに考えているところでございます。
  214. 芳賀道也

    芳賀道也君 そのアメリカの極めて優秀な、政策にも影響を与えているシンクタンクがこういうリポートを出している。しかも、辺野古移設が唯一の解決策ではないという方向性もアメリカで出てきている。やっぱりここは説明責任がありますので、大臣、コメントをしないということではなくて、今後も国民に納得のいく説明をする、そういうことをお約束していただけないでしょうか。いかがでしょう。
  215. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 私は、ずっと先ほどから、日本の政府としての考え方、これからの取り進め方、こういうことを御説明しているのでございます。そうした立場からしっかりこのプロジェクトを進めてまいりたいと、このように考えておるところです。
  216. 芳賀道也

    芳賀道也君 イージス・アショアのようにならないことを国民は望んでおります。しっかりと説明をし、決断をしてほしいと思います。  続いて、岸大臣に伺います。  辺野古基地の埋立て用の土砂に御遺骨が眠っているかもしれない土を使うということが報道されています。沖縄県南部の糸満市の土砂も使う予定だと報じられていますが、糸満市は歩兵第三十二連隊終焉の地という石碑が建つ場所です。昭和二十年の沖縄戦において、山形県や北海道、沖縄の方から成る歩兵第三二連隊、山形城址、山形の城跡、霞ケ城と呼ばれていましたので霞城公園と呼ばれていますが、ここに本隊があったということで、山形にもゆかりの深い連隊です。  激しい地上戦を繰り広げて、多くの方がお亡くなりになりました。山形でも、山形県人七百七十六名の方が犠牲になっており、山形の塔という慰霊の塔も設けられております。私も、個人的にも、それから仕事でも、沖縄に行くとこの塔にはお参りをするようにしておりますが、この多くの方が、山形、北海道、沖縄の方がお亡くなりになった。  資料一ページにあるように、今年三月、糸満市でこの歩兵三二連隊の使っていた地下ごうから八人の方の御遺骨が発見されました。戦後七十六年、ようやくDNA鑑定による遺骨収集も始まっていますが、七十六年も一体何をしていたんだろうということですけれども。  仮にそうした土砂を使う場合には、その土砂の中に沖縄戦での山形の方も、そして沖縄の方も北海道の方も御遺骨が眠っているかもしれない、こうした埋立て用の土、そして、御遺骨ですね、御遺骨が眠っているかもしれない土砂を使ってはならないと思いますが、岸大臣の御見解を伺いたい。
  217. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今委員からお話のありましたこの歩兵第三二連隊、これ連隊としては約二千五百名ということで、そのうちの二千三百七十一名が戦死をされたと、大変厳しいところでございます。  沖縄県では、太平洋戦争末期に県民を巻き込んだ凄惨な地上戦が行われました。本土から派遣された部隊の兵士も含め、軍民合わせて二十万人もの貴重な尊い命が失われたところです。特に、本島の南部一帯では多くの住民の方々が犠牲になったものと認識をしております。  その上で、変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達先は工事の実施段階で決まるものでございまして、県内と県外どちらから調達するかも含めて、現時点で確定しているものではございません。  沖縄では、今もなお厚労省と沖縄県で役割分担をして戦没者の御遺骨の収集が進められております。変更承認後の土砂の調達先は決まっておらず、御遺骨の問題は大変重要であると考えておりますので、こうしたこともしっかり踏まえて、土砂の調達先については今後しっかり検討してまいりたいと考えております。
  218. 芳賀道也

    芳賀道也君 資料で添付したこの沖縄タイムスの記事にも、インタビューされた方のコメントが載っています。七十六年たってもこれだけの遺骨が見付かる事実は重いと、まだ手付かずのところもある、遺骨が、御本人はこれコメントでは交ざったままの土砂という表現なんですが、御遺骨があるのに何か交ざったままというのは私は言い難く、御遺骨が眠る土を使って基地を造るのは故人や遺族の思いを考えると忍びない、まさに人として当然だと思うんですね。  まだ決まっていないのであれば、岸大臣是非こうした可能性のある土は使わないと約束はしていただけないんでしょうか。いかがでしょう。
  219. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 御遺骨の件でございますけれども、本当に沖縄においては凄惨な地上戦が行われた、沖縄の人々にとって筆舌に尽くし難いような困難と癒えることのない深い悲しみ、これらを胸に刻みながら、戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない、このように考えているところでございます。  その上で、繰り返しになるわけですけれども、変更承認後の土砂の調達先は決まっておりません。しかしながら、このような歴史のある沖縄において御遺骨の問題というものが大変重要であると、こういうふうに考えておりますので、こうしたことも踏まえて、土砂の調達先については今後しっかり検討してまいりたいと考えております。
  220. 芳賀道也

    芳賀道也君 こうした祖国のために命を懸けた、まさに命を懸けて守った人たちの眠る可能性のある土を使わないとなぜ言っていただけないのか、本当に悲しくなります。これはもう人としての問題ですので、是非真っ当な決断をしていただきたい、こう申し上げて、次の質問に移ります。  続いて、ミャンマーの状況も非常に心配です。子供が撃たれる、無差別に軍が発砲する、様々なニュースがあります。先ほども、日本の声明であるとか明確な制裁、そういったことがないのではないかという声が委員の中からありました、質問が。  そこで、茂木外務大臣に伺います。  現在、ミャンマーに残る邦人はどのぐらいの数いらっしゃるのか、また現地に残る邦人に必要な物資などは届いているのか、また万一最悪の場合、内戦が起こるのではないかという心配もあります。極めて危険な情勢となったとき、邦人の救出の準備はできているのでしょうか。お願いします。
  221. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) ミャンマーは、内戦が起こるという前に、もう二月一日にクーデターが起こっているんですよ。深刻な状況が生まれているので、それに対してどう対応していくかということで様々な取組を行っているところであります。まず、その点を明確にしておきたいと思います。  その上で、二月一日、クーデター後に帰国された方もいらっしゃるんですが、二月一日時点におきますミャンマーの在留邦人数、在留届出ベースで三千五百人であります。  在ミャンマー大使館から、輸入物資について、税関手続等の遅延がありますが、生活必需品を含めた物資は手に入る状態だと、このような報告を受けているところであります。在ミャンマー大使館は、随時、領事メールを発出して、現地の最新の状況を踏まえ、在留邦人に対して注意喚起と不要不急の外出を控えるように呼びかけております。  また、三月七日に続きまして先週四月九日にもスポット情報を発出しまして、改めて商用便による帰国の是非を検討してほしいと、このように呼びかけたところであります。  政府としては、平素から在外邦人の保護であったり退避が必要となる場合の様々な状況想定して必要な準備や検討を行ってきておりまして、邦人保護、この強化を行っております。  一般論として申し上げますと、邦人の退避が必要となる事態が発生する場合には、まずは極力、商用定期便利用可能なうちに在外邦人の出国、また安全地帯への移動の確保に努めることになります。商用定期便での出国が困難あるいはそれだけでは不十分な状況に至った場合には、個別具体的な状況に応じてあらゆる可能性を追求しながら、最も迅速で安全な手段を活用して邦人の退避支援に最大限努めることになります。  昨年も、新型コロナの中で世界各国で移動制限が掛かると、こういった状況で邦人の出国、帰国、外務省にとりましても最大の課題でありまして、武漢での帰国オペレーションから始まりまして、またアフリカ、少ない数の邦人が各国にいらっしゃるという状況でどうやってアフリカの邦人出国を実現するかと。十五か国、十のルートを使って、唯一定期便が飛んでいたエチオピアのアジスアベバに集まってもらいまして定期便で帰国する、こういったオペレーションも行いましたし、結果的にといいますか、全体で百一か国、一万二千名を超える方の出国、帰国と、この実現がなされたところであります。  海外に渡航、そして在留する邦人の安全の確保外務省として最も重要な責務の一つであると考えておりまして、これらの経験を踏まえて、引き続き在外邦人の安全確保に万全を期していきたいと思っております。  先ほどから議論で、制裁か支援かと、こういう話があるんですが、多分、そういうなかなか単純な議論ではないんだと思うんですね。制裁といいましても、例えば国連決議に基づいて北朝鮮に行っているような全部を締めるものからそうでないものまで様々な形があるわけでありまして、今必要なのはこの事態をどうにかすることなんですよ。勇ましく何か制裁だと騒ぐということよりも、この事態をどうやって収束させていくかと、こういったことに集中することが極めて重要だと思っております。
  222. 芳賀道也

    芳賀道也君 済みません、シンプルに聞きたいんですが、人数は把握していないということですか、それだと。今答えに入っていなかったんですが、邦人の人数、残っている、それだけお答えください。
  223. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 在留届出ベースで三千五百人ということを冒頭申し上げたと思います。
  224. 芳賀道也

    芳賀道也君 ありがとうございます。  このミャンマーなど、紛争の可能性がある地域はもちろん心配なんですけれども、昨年も国会で取り上げさせていただいたんですが、昨年から、コロナによる航空便の減便で、海外あちこちにいる邦人に今荷物とか手紙等がなかなか届かなくなっているということを取り上げました。そのときも、外務省からは外交行のうの一部も届きにくかったような時期もあるということで伺ったんですが、一年たってもやはり航空便の減便は続いていて、現地の方や現地と取引のある方から、まだなかなか一年もたっても改善されないんだと、外務省として是非リーダーシップを発揮してほしいということがあるんですが。  例えば、仙台にいらっしゃる庄子さんという、国際的な観光の仕事も長年やってきた方ですが、三月二十五日、グアム向けに書留書簡を出した。これはロサンゼルスにまず行くんですね、三月二十七日。ここで通関をして、この後、四月一日に、グアムに出したんだけど便がないのでアンカレジに行きます。アンカレジ、四月一日。四月六日、ようやくハワイのホノルルに着いて、ホノルルからグアム便を待って、四月九日の日にグアムに到着しています。半月、航空便を使って半月も掛かっているということ、こういう状況がコロナで一年たっても続いているということなんですね。  ですから、是非、所管が国土交通省だったり総務省だったりいろいろ分かれてはいるんですけれども、是非、茂木外務大臣、非常に実行力のある方と伺っていますので、リーダーシップも発揮していただいて、例えば、六月まで休止しているグアムであれば、日本航空の便、例えば補助でも出して十日に一遍は、乗客が乗らなくても、荷物も必要だ、いろんなところでそういう同じようなところがあるでしょう、これを飛ばすようにする、あるいはDHL、フェデックスなどの貨物便を利用できるようにする、韓国や台湾を経由する方法が取れないのか、こういったことも外務省が主導を取って、なかなか荷物が届かなくなっている地域、こういったものへの対策とか、そういったことも是非考えていただけないかなと思うんですが、それぞれ所管の違いもあるでしょうけど、茂木外相のお考えをお聞かせください。
  225. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 海外にいらっしゃる方にとって、様々な必要になる日本からの郵便であったりとか荷物が届かないと、大変な状況だと思います。  少しでも改善したいと思いますが、これ日本の状況だけではなくて世界各国で起こっている状況ということもあります。また、航空便につきましても、当然民間の企業が経営しながらその採算というのも考えていかなけりゃいけない。どんな形で支援ができるのかということもあるんですけれど、それが継続可能な形でどうできるかということも含めて検討していかなければいけない課題だと思っております。  別に国土交通省だとか、何というか、総務省だとか言うつもりはありません。できる限りのことはしたいと思いますけれど、なかなか今のコロナ禍において、これだけ移動制限が掛かっているとなると、すぐにと、改善できるものは改善いたしますけど、すぐにコロナ前の状況に戻るというのは、もう少し時間掛かるんじゃないかなと思っています。
  226. 芳賀道也

    芳賀道也君 海外にいらっしゃって本当に日本のために頑張っていらっしゃる方、それから、それにつながる国内の方からはそういった声が出ています。垣根を乗り越えて是非いい形で、できるだけスムーズに荷物や郵便が届くようにしてほしい、こういった検討をお願いします。  次に、様々質問を予定していたんですが、ちょっと時間がなくなってしまいましたので、最後に茂木大臣にまたお伺いしていいでしょうか。  実は、日本海の大和堆でのイカ釣り漁、大変に外国船の影響も受けていますが、これ、海外の論文なんですけれども、サイエンスアドバンシスという、科学の進歩という七月号にこうした研究載っています。北朝鮮海域の暗黒漁船船団を解明する、レーダーであるとか様々人工衛星も利用して、民間のところが、鉄製の船であれば雲が出ていてもどこにいるか判明できる、それから、赤外線なども衛星で感知して、様々な熱源を感知することによって各国の漁船の動き、違法操業も研究をして、分析しているんですね。  これから新しい時代に向けて、日本もこうした、もちろん巡視船であるとか取締り船を増強するということも必要ですけれども、こうした新しいタイプの監視も日本として進めるべきではないかと思うんですが、大臣の御見解をお伺いします。
  227. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) やはり最新の技術を使いまして、レーダーであったりとか熱感知で位置情報というのは把握できるわけでありまして、日本の排他的経済水域で操業していると、そのことは写真を見たりレーダー等々の情報で把握できて、それをもって相手側に抗議をする、また問題提起をする、その方が説得力あると思いますから、そういったことは更にやっていきたいと思っています。
  228. 芳賀道也

    芳賀道也君 さらには、この違法操業ですけれども、国連の決議に様々、ロシアであるとか中国、この北朝鮮も含んでですけれども、契約があって、例えば北朝鮮と中国が協力している、これは決議違反になるのではないかなというふうに思うところもあるんですが、この点は見解いかがでしょう。
  229. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 時間が来ておりますので、簡潔におまとめください。
  230. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) はい。  いかなる海域でも北朝鮮が漁業権の販売、移転を行うことは安保理決議で禁止されており、また合弁企業も基本的に禁止されております。  中国、ロシアを含む近隣国との間で関連安保理決議の完全な履行の重要性について確認してきており、引き続き連携してまいります。
  231. 芳賀道也

    芳賀道也君 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  232. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  昨年の外交防衛委員会で女性差別撤廃条約の選択議定書について質問いたしました。茂木大臣からは早期批准について検討を加速するという答弁もあって、期待の声が上がっております。  一方、先日発表されたジェンダーギャップ指数は百二十位、世界で、低いままでありますし、政治分野では百四十七位に落ち込みました。四月十日は女性参政権行使七十五周年であって、様々な取組がありましたけれども、こういう現状の解決を求める声が上がっております。  この解決すべき課題一つが、国連の女性差別撤廃委員会からも繰り返し勧告を受けている、夫婦が同姓を義務付けている民法の規定であります。女性の九六%が結婚で姓を変えているという実態の中で、生活や仕事など様々な問題があります。  通称使用は拡大しているといいますけれども、やっぱり国際社会では通用しない場合が多いんですね。国連の女性差別撤廃委員である秋月弘子さんも、旧姓の秋月で立候補し、委員に当選後、国連では戸籍名しか使えないことが発覚して、家族で話し合って離婚まで決意したと、世界の女性のために仕事をしようという思いと裏腹に、日本の法律で離婚しなければならない現実に悔しさを覚えたと。幸い、外務省が掛け合って、撤廃委員会の会議に旧姓での出席が認められて離婚は避けられたけれども、男性には想定できないだろうと語っておられます。  国際的な経験も豊富な茂木大臣の、この選択的夫婦別姓の必要性についての御認識をまずお聞きしたいと思います。
  233. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 御指摘の問題について、様々な意見あると思いますし、国際社会全体でいいますと、これは選択的夫婦別姓認めている国が大半であると、このように認識をいたしております。  同時に、これから少子化社会を迎えるという中で、もちろん、結婚される年代、八十歳で初めて結婚される方もいらっしゃるでしょうけど、一般的には若い方が私は多いんだと思います。そういう若い方がどういう意見を持っているかというと、この選択的夫婦別姓については賛成の意見がかなり多いんじゃないかなと、こういう認識を持っております。  いずれにしても、ジェンダー平等であったりとか女性のエンパワーメント、経済社会に多様な視点、そして新たな創意工夫をもたらし、社会の活力を生み出す大きな源であると、このように認識をいたしております。
  234. 井上哲士

    井上哲士君 国際的な経験も踏まえて御答弁をいただきました。  国連の女性差別撤廃委員会は、この問題も含む女性差別撤廃条約の日本政府のフォローアップ報告に対する評価文書を二〇一八年の十二月十七日に日本政府に送っておりました。ところが、外務省は、公表もせずに、所管する内閣府の男女共同参画室にも報告していなかったということを、先日の法務委員会やODAの特別委員会で沖縄の風の高良議員が指摘をされました。  それによりますと、高良議員が昨年九月に問い合わせた際に、外務省は英文の公表も仮訳の予定もないという対応だったと。今年三月十五日に高良議員が外務省内閣府を呼んで尋ねると、内閣府がやっと取り寄せた、翌日にホームページに掲載し、仮訳の作業に着手したという答弁でありました。  なぜ外務省は、これ二年間も内閣府に報告せずに、公表も仮訳の予定もないと、こういう対応をしていたんでしょうか。外務省、いかがでしょうか。
  235. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  御指摘の点につきましては、当該文書が発出されました二〇一八年十二月当時に関係省庁に対し迅速に情報共有すべきであったと考えております。その時点、あるいはそれ以降、不備があったものとの報告を受けております。外務省に届いた情報関係省庁である内閣府に対して迅速に共有すべきでございました。  また、昨年九月当時の御指摘については、やり取りの詳細は分かりませんけれども、通常は外務省において、女子差別撤廃委員会関連文書は内閣府と協力して原文及び仮訳の掲載に努めております。  このようなことが二度と起きないように、遅滞なく、かつしっかりとした情報発信、提供を行うよう、先般、大臣から事務方に強い指導をいただいたところでございます。事務方としましても、二度とこのようなことが起きないようにいたしたいと存じます。
  236. 井上哲士

    井上哲士君 この女性差別撤廃委員会を、私、軽視したと見られても仕方がないと思うんですね。これまでの条約の政府報告や最終見解内閣府のウエブサイトに掲載をされて、NGOなどはこのサイトを見て国連にカウンターレポートを提出をしたり意見交換などをしているわけで、知る権利ということから見ても問題だと思うんです。  結局、そういう中で、情報共有されないままに昨年末に第五次男女共同参画基本計画が閣議決定をされました。この基本計画で、この選択的夫婦別姓について、この間の世論や議論、そして社会生活の変化を踏まえて、より前向きに記載されるんじゃないかという期待の声があったわけですが、結果は逆となりました。  お手元に資料を配っておりますけれども、選択的夫婦別氏制度という言葉は一次から四次にわたる基本計画にそれぞれ明記をされましたし、基本計画策定に当たっての答申、そしてそれを受けた政府原案にもこの言葉がありました。ところが、その原案を受けて自民党の審査を経て閣議決定が行われましたけれども、そこからはこの選択的夫婦別氏という、制度という言葉そのものがなくなったわけですね。削られたと。  多くの関係者からは大変失望の声が上がっておりますけれども、これ自民党の審査は何回行われたのか。なぜこの言葉を削ったのか。自民党の審査で削られるように求められたからですか。まず、お答えいただきたいと思います。
  237. 吉川赳

    大臣政務官(吉川赳君) まず、お尋ねの与党審査でございますが、第五次男女共同基本計画の策定に当たりまして、与党審査については自民党及び公明党において合計六回開催されているものと承知をしております。  また、昨年十二月に閣議決定された第五次計画では、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方について更なる検討を進めるとされており、委員指摘の選択的夫婦別姓については、この夫婦の氏に関する具体的な制度の中に含まれておるものと承知をしております。  選択的夫婦別氏制度に関しては、これまでその導入の是非について議論をされることが多かったところでございますが、夫婦の氏に関する制度の具体的な在り方について、選択的夫婦別氏制度も含め、国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進めることとなったものであり、これまでの計画が更に議論が深まったものと政府としては承知をしているところでございます。  そしてさらに、先ほどの各党の議論の内容でございますが、それについては、本日の私の立場からお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  238. 井上哲士

    井上哲士君 与党審査は六回と言われましたけど、自民党は四回行われたと報告を受けております。  今、より踏み込んだ議論と言われ、これも含んでいるんだと、こう言われました。しかし、これ全くそんなことは通用しないですよ。  答申を受けた政府原案には、結婚に際して九六%は女性が姓を変えており、生活で様々な支障が生じていることをですね、仕事の実績や成果が引き継がれないこと、国外では旧姓の通称使用が理解されないなど、現状が具体的に書かれているんです。そして、選択的夫婦別姓を認める世論が広がって、特に十八歳から四十九歳の女性では五割超えていると、こういうことも書いてありました。これも全部ばっさり削られているんですね。そして、選択的夫婦別氏という言葉もなくなりました。  これ、踏み込んだ議論どころか、明らかな後退じゃないですか。いかがですか。
  239. 吉川赳

    大臣政務官(吉川赳君) 御指摘のとおり、文言は含まれておりませんが、先ほど答弁させていただいたとおりでございまして、国会における議論の動向を注視しながら、また司法の判断も踏まえて、更なる検討を進めるということが政府の方針でございます。
  240. 井上哲士

    井上哲士君 国会の議論の動向を踏まえるというならば、この間、国会には何度も議員立法出されて議論がされてきたんですよ。そして、様々な運動や訴訟も取り組まれてきたんですよ。それは、自民党内の中にも様々な議論があると今報道されていますよね。その一部の議論だけを優先をしてこの選択的夫婦別氏という言葉を削るということは、こういうこの間の国会の議論や様々な取組を切り捨てることにつながるんですよ。だから、多くの皆さんから声が上がっているわけです。  しかも、この選択的夫婦別姓に関する部分で、お手元の資料ありますように、第三次でも第四次でも、そして答申でも原案でも、国連の女性差別撤廃委員会の最終見解も踏まえ、あるいは総括所見等も考慮しなど明記されておりましたけど、この第五次計画では、閣議決定で女性差別撤廃委員会という言葉自身がなくなっているんですね。これ、何でですか。これも自民党の審査の中で削るという要求が出たんですか。
  241. 吉川赳

    大臣政務官(吉川赳君) まず、自民党の審査に関しては、私からお答えする立場にございません。  その上で、委員の御質問でございますが、女性差別撤廃委員会からは、女性が婚姻前の姓を保持することできるよう夫婦の氏の選択に関する法規定を改正することとの勧告を受けているものと承知をしているところでございます。  その上で、女性差別撤廃委員会の勧告の文言に関しましては、五次計画の策定に向けた議論を経た結果、当該文言は盛り込まれなかったものと承知をしておりますが、一方では勧告を含めて対応をしていくものと承知をしております。
  242. 井上哲士

    井上哲士君 議論の結果、何で削られたのかと聞いているんですよ。繰り返し勧告も行われてきた。なぜ削ったんですか。今理由になっていないですよ。
  243. 吉川赳

    大臣政務官(吉川赳君) 第五次計画の中に文言は盛り込まれておりませんが、勧告の内容を十分に踏まえて対応をしていくものと承知をしております。
  244. 井上哲士

    井上哲士君 そんなの通用しないですよ。  外務大臣にお聞きしますけど、事前の説明では、外務省閣議決定された計画で削られたことは承知していたということでありますけど、これ外相も、外務大臣も御存じだったんでしょうか。わざわざ削除をしたということは、この問題で撤廃委員会の勧告を無視する姿勢だと、こう思われても仕方がないと思いますけれども、大臣、ちゃんと答えてください、じゃ。
  245. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  第五次男女共同参画計画については、国民の間の様々な議論を踏まえて政府として決定したものでございます。閣議決定でございますので、当省としてもしっかりと関与しております。
  246. 井上哲士

    井上哲士君 知っていたわけですね。知った上で削ったんですよ。  これ、既にある文言を削るということがどういう意味を持つのかと。この基本計画の検討過程の中で、外務省が、それまでの女子差別撤廃条約選択議定書の早期締結について真剣に検討を進めるという文言から早期を削るということが大問題になりました。私、これ去年の委員会で質問をしました。  そうしますと、早期という文言を削除することで政府取組が後退したとの印象を与えることは本意でないことから、早期の文言を維持すべきと。これ、外務省の答弁ですよ。私、これは大変いい答弁だと思うんですね。つまり、今ある文言を削るということは、そういう政府の姿勢が変わったということになると外務省は認めているんですよ。  大臣、やっぱりこれを、この選択的、女性差別撤廃委員会、こういう言葉自身を削ったということは国際社会に間違ったメッセージを出すことになったんじゃないですか。いかがですか。
  247. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。  政府といたしましては、女子差別撤廃条約の誠実な履行を通じて、ジェンダー平等及び女性のエンパワーメントにつき積極的に努力していく姿勢には変わりはございません。引き続き尽力してまいります。
  248. 井上哲士

    井上哲士君 だから、ある、今ある文言を削ったらそうは見られないと、そういうことを外務省自身も認めていたわけじゃないですか。これ閣議決定したんですから、大臣、責任持って答えていただきたいんですが、いかがですか。
  249. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) 先ほど、私の基本的な考え方についてはかなり踏み込んで前向きにお答えをさせていただいたと思います。  細かい文章よりどう結果を出すかと、これが重要で、国際社会はそういったものを見ていると思っています。
  250. 井上哲士

    井上哲士君 大臣のそのお考えと、結果としてこの計画がやっぱり異なっているというのは大変残念だと思いますけれども、そういう今の答弁であれば結果で示していただきたいと。本当に多くの皆さんが期待をしているわけでありまして、これまでの議論を踏まえて、取組が後退したわけじゃないと言うんであれば、結果でそれを示していただきたいということを強く大臣に求めておきたいと思います。  内閣府の方はこれで退席で結構です。
  251. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) じゃ、吉川大臣政務官、御退席いただいて結構です。
  252. 井上哲士

    井上哲士君 続いて、核兵器の問題についてお聞きいたします。  イギリスによる保有核兵器の上限の大幅引上げに対する先日の私の質問への本会議での答弁で、遺憾だという言葉もありませんでした。核増強を合理化する英国の発表内容を容認をして、NPTの完全な履行に強くコミットし、核兵器国としての責任を真剣に受け止めているという英国の見解を述べる答弁でありました。  なぜ保有核兵器の上限を引き上げることがNPT第六条の核軍縮義務の履行にコミットしているということになるんでしょうか。
  253. 河津邦彦

    政府参考人(河津邦彦君) お答え申し上げます。  英国は、今回の変更の背景として、一部の国において核兵器の著しい増強、多様化が進められ、新たな技術の開発や核ドクトリンの脅威が高まっているなど、安全保障環境が変化しているとの認識を示しているところでございます。  一方で、同時に、英国は、核兵器のない世界という長期的な目標に引き続きコミットしている旨を明らかにしており、核軍縮を含むあらゆる側面においてNPTの完全な履行に強くコミットしており、核兵器国としての責任を真剣に受け止めていると述べているところでございます。  我が国といたしましては、これまで述べているとおり、NPTの規定に従って関係国に対して一層の核軍縮努力を促してまいります。
  254. 井上哲士

    井上哲士君 いや、そういう本会議の答弁だったから、それ踏まえて聞いているのに、繰り返しちゃ駄目ですよ。  何で自国核兵器の上限の引上げがNPTの第六条の核軍縮の義務の履行にコミットすることになるんですかと、逆行じゃないですかと聞いているんです。ちゃんと答えてください。
  255. 本清耕造

    政府参考人(本清耕造君) お答え申し上げます。  NPT第六条においては、核兵器の核軍縮交渉義務が明記されているところでございます。一九九六年以降のNPT運用検討会議の最終文書においても、例えば二〇〇〇年の運用検討会議において核兵器の全面廃絶に対する核兵器国の明確な約束は確認されましたが、全面廃絶に至るプロセスについては合意は形成されていないという、こういう状況でございます。  英国は、先ほど、核兵器のない世界を長期的な目標として引き続きコミットしている旨明らかにしております。核軍縮に含むあらゆる側面においてNPTの完全な履行に強くコミットしているということでございますので、核兵器国としての責任を真剣に受け止めていると、このように我々は考えております。  我が国としては、これまで述べているとおり、NPTの規定に従って関係国に対して一層の核軍縮を努力をお願いしていく、促していくということかと思います。
  256. 井上哲士

    井上哲士君 さっぱり分かりませんね。何で上限、核の上限の引上げが核軍縮義務の履行にコミットしているのか。  長期目標として核のない世界を掲げさえすれば核軍拡を容認するということになれば、もう際限ない悪循環に歯止め掛からなくなるんですよ。そんなことを唯一の戦争被爆国が言ってはならないと思うんですね。  しかも、更に問われるのが、アメリカの核兵器先制不使用宣言への対応であります。お手元に資料配っておりますけれども、オバマ政権時代にアメリカが打ち出そうとしたときに日本が反対をしたと、当時、アメリカ国内で報道がありましたけれども、先日、アメリカの当事者であったトーマス・カントリーマン元国務次官補が発言をされて、日本が、宣言は同盟国を守るアメリカの決意について中国に間違ったサインを送ると懸念を示したと説明をし、これが宣言を断念をした理由だったと、こう述べられております。  大変具体的な表現でありますけれども、こういう発言を日本がしたということは事実でしょうか。
  257. 有馬裕

    政府参考人(有馬裕君) お答え申し上げます。  日米両国間では、日頃から日米安全保障防衛協力に関連する様々な事項について緊密かつ幅広く意見交換を行っております。核抑止政策についても、オバマ政権時代を含め、日米間で緊密な意思疎通を行ってきているところでございます。  こうしたやり取りの詳細につきましては、まさに我が国安全保障にも関わるという事柄の性質もあり、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  258. 井上哲士

    井上哲士君 この問題、私、去年の十一月に本会議でも大臣にお聞きいたしました。その際に、全ての核兵器国が検証可能な形で同時に行わなければ有意義でないと、こういうことを言われましたし、この間もそういう答弁を繰り返されております。  しかし、九三年に南アフリカが自ら核兵器を解体をしたことを宣言しました。これが、その後、アフリカ大陸の非核地帯につながっていったんですね。そして、二〇〇九年には、政府が主導してオーストラリアと共同でつくられた核不拡散・核軍縮に関する国際委員会、これ川口順子元外務大臣共同議長を務められましたけれども、この中では、全ての核武装国は可能な限り早期に、遅くとも二五年までに明確な先制不使用宣言を行うべきだとしております。そして同時に、特にアメリカに関しては、核兵器の役割低減の取組が単独でも世界の核軍縮に非常に重要な起爆剤となると、こう指摘しているんですよ。  ですから、もちろん、全ての核兵器国が一斉にやれば、それはいいですよ。そうならなくても、アメリカがやることは起爆剤になると、過去こういうことも言ってきたわけですから、私は、やっぱりアメリカの核先制不使用宣言というのはそういう世界核軍縮の起爆剤になると、当時のこの提言からいってもそういうことになるんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  259. 茂木敏充

    国務大臣(茂木敏充君) どの国が大きい、どの国が小さいと言うつもりはありませんけれど、筒井康隆の小説に出ているようなことが実際の安全保障でどう機能するかというと、それはやっぱり違っているんじゃないかなと思います。  全ての核兵器国と言いますけど、大体、何というか、どういう国を想定しているかはお分かりいただけると思うんですけど、そういった国の間で検証可能な形で同時に行わなければ実際にはそういうことは起こらないと、そんなふうに考えておりまして、当事国の意図に関して何らの検証の方途と、これがない核の先制不使用の考え方に依存して我が国安全保障に十全を期することは、私はできないと考えております。
  260. 井上哲士

    井上哲士君 イギリスは、核の、保有核兵器の上限を示すと、増やすということについては結局理解を示すと。一方で、その核不使用宣言については、先制不使用宣言については全体でやらなければ駄目だと。こうなりますと、結局、一方通行、核のこの増強だけが広がっていくということに私なると思うんですね。  やはり保有国が具体的なことをやって迫っていくということが私は必要だと思っておりますし、結局、先制不使用も反対をするということは、使用を容認をすると、広島、長崎のような惨禍が再び起きるということを容認をすることでありますから、本来、核兵器の非人道性を最も知っている被爆国日本の政府がそのような態度を取ることは許されないということを指摘しておきたいと思います。  その上で、防衛大臣にお聞きいたしますが、防衛省にまずお聞きしますが、更に重大なのは、この日本の自衛隊米軍による核兵器使用の作戦との関係であります。  アメリカのB52戦略爆撃機と航空自衛隊共同訓練というのはいつから始まったのか、その後の実績も含めてお示しいただきたいと思います。
  261. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) お答え申し上げます。  航空自衛隊は、米空軍の戦略爆撃機が我が国周辺に飛来する機会を捉えて共同訓練実施してきているところでございますけれども、これらのうち、今委員から御質問のございましたB52爆撃機との共同訓練につきましては、防衛省の公表実績で申し上げますと平成三十年七月から行っておりまして、現在までに計五回となっております。
  262. 井上哲士

    井上哲士君 二〇一七、八年の七月二十七日からだと思いますけれども、お手元に配付している資料は、計五回のうち、二〇二〇年の二月四日に米軍のB52爆撃機とF16戦闘機、そして航空自衛隊のF2、F4戦闘機が行った訓練の写真であります。  B52は、日本が憲法上持てない、すなわち性能上専ら相手国国土の壊滅的な破壊のために用いられるいわゆる攻撃的兵器だと、日本は憲法上持てないということを繰り返し答弁をされております。こういう長距離爆撃機であり、しかも米軍保有の約六割は核兵器を搭載可能だとされております。  専守防衛のはずの自衛隊が、何のためにこの核搭載可能なB52戦略爆撃機と訓練をしているんでしょうか。
  263. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まず、専守防衛という考え方は、これは憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものでございまして、我が国防衛の基本的な方針でございます。  防衛省自衛隊は、専守防衛の下で我が国防衛を任務する組織でありますから、この任務を全うするために、各自衛隊は平素から様々な訓練実施をしております。  米軍のB52爆撃機との共同訓練はこのような訓練一つであって、戦術技量向上米軍との連携強化を図るために実施をしているものではございますし、そのような訓練実施は専守防衛に反するものではございません。
  264. 井上哲士

    井上哲士君 いやいや、日本が、こういうB52というのは専ら相手国国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる兵器、こう言っているんですよ。しかも、核兵器搭載なんですね、可能なわけですね。そういう爆撃機と専守防衛の日本の自衛隊が一緒になって共同訓練をする。専守防衛にやはり反するんじゃないですか。
  265. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) お答え申し上げます。  委員が御指摘の、まさに憲法上保有することができる装備についての考え方、これは従来から政府が申し上げていることであろうかと思いますけれども、他方、今回の、今回のと申しますか、こうした航空自衛隊とB52、米軍のB52爆撃機との共同訓練につきましては、先ほど大臣からも答弁がございましたとおり、戦術技量向上米軍との連携強化を図るために実施しているものでありまして、あくまでそういう目的で行っているものでございまして、専守防衛に反するものではないというふうに考えております。
  266. 井上哲士

    井上哲士君 一般的な米軍戦闘機との訓練ではないんですね。戦略爆撃機なんです。専ら相手国の国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる、そういう爆撃機なんですよ。しかも、核兵器搭載可能なんですね。  アメリカは、長距離爆撃機、大陸間弾道ミサイル、それから潜水艦発射弾道ミサイル、これを核の三本柱としております。アメリカ戦略軍の広報部の二〇二〇年二月二十日付けの記事では、この三本柱の各支柱の訓練を行うために、複数の地理的区域を越えて戦闘集団及び構成部隊とのイベントの調整を図ったとしております。具体的には、二〇二〇年の二月三日から十二日にかけて実施をされて、爆撃任務部隊によるB52ストラトフォートレス長距離爆撃機等の飛行とICBM及びSLBMの試験発射が行われたと、こういうふうに発表をしております。  先ほどの写真にあるこの二〇年二月の自衛隊米軍共同訓練に参加をした米軍のB52は、この核の三本柱の訓練に参加をしたものなんですね。まさにアメリカの核攻撃のための訓練に日本の自衛隊が一緒になってやる、参加をすると、こういうことが許されるんでしょうか、大臣
  267. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 先ほどからの答弁の繰り返しになりますけれども、B52との共同訓練というのは、戦術技量向上米軍との連携強化ということを図っているものでありまして、核攻撃のための訓練ということではございません。
  268. 井上哲士

    井上哲士君 じゃ、確認いたしますけれども、アメリカが核攻撃のために行う訓練自衛隊が参加することはないと、できないということでよろしいですか。
  269. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) お答え申し上げます。  一般論で申し上げますけれども、核兵器については様々な特殊性がございますので、核兵器を搭載した米軍戦略爆撃機と自衛隊機が共同訓練実施するといったようなことは、現状においては想定されないと考えております。
  270. 井上哲士

    井上哲士君 いや、アメリカは、この爆撃機や艦船に核兵器が搭載しているということを明らかにしないんですよ。そういう政策ですね。  じゃ、自衛隊は、訓練、B52と訓練するたびに核兵器積んでいませんねということを米軍と確認をしているんですか。
  271. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) お答え申し上げます。  米軍との間で共同訓練実施する際には様々な調整を行っているところでございますけれども、その調整の詳細につきましては、相手国との関係もございますのでお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  272. 井上哲士

    井上哲士君 じゃ、相手国がどう言っているかという問題なんですね。  先ほどの米戦略軍の記事では、核の三本柱の訓練実施をしたと。そして、米軍はその一部を日本の自衛隊と行った、共同取組インド太平洋地域の安全と安定を下支えする決定的な同盟と継続的な協力の重要性を強調するものと、こう明記しているんですよ。相手国であるアメリカは、日米共同訓練、B52と日本の航空自衛隊との訓練は核の三本柱の訓練の一部だったとはっきり述べているんですよ。今のお話と違うんじゃないですか。
  273. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) 先ほど来の答弁の繰り返しになる部分もございますけれども、私どもとしては、あくまで戦術技量向上、そして米軍との連携強化ということを念頭に訓練を行っているところでございます。
  274. 井上哲士

    井上哲士君 同じく、この米軍の広報のあれで言いますと、米国のミノット空軍基地から来た米空軍B52Hは、日本の三沢基地周辺で、合同爆撃任務部隊及び継続的爆撃プレゼンス任務の一つとして、グアムのアンダーセン空軍基地から来たB52Hと合流をして、そして、日本周辺で航空自衛隊所属のF2戦闘機十三機、F4戦闘機及び米空軍所属のF16戦闘機六機とともに二国間共同訓練実施したと。核の三本柱の訓練一つである爆撃任務の一つとしてこういう訓練をやったということをアメリカ側が言っているんですよ。  こういう位置付けの訓練であったということは全くアメリカは知らさないままに日本の航空自衛隊が参加をしたという、そういうことなんですか。
  275. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) 米側とは当然その共同訓練を行うに当たりまして様々な調整を行った上で行っているものでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、戦術技量向上、また連携強化といった観点から訓練を行っているというところでございます。
  276. 井上哲士

    井上哲士君 アメリカ戦略軍は、二〇一四年以降、この様々な統合軍の作戦及び能力を統合し、同期させるとともに、抑止力、保証及び集団安全保障に対するアメリカのコミットメントを示すときに定期的に爆撃任務部隊の任務を実施してきたと、こういうふうに書いてあるんですね。その一環として、核の三本柱のこの訓練一つである爆撃任務でやってきて、やったとはっきり言っているんですよ。  じゃ、もう一回聞きますけれども、そういう核の三本柱の訓練に参加をした、その一部であったということはアメリカからは何も言われないままに日本の自衛隊は参加をしたと。もし、逆に言えば、聞けばですね、そういうものだと聞かされていたら日本の自衛隊は参加をしないということでいいでしょうか。
  277. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) 先ほど来御答弁していることの繰り返しになりますけれども、私どもとしては、米軍と様々な調整を行った上でこうした共同訓練を行っておりますが、その調整の内容につきましては、相手国との関係もございますので控えさせていただきたいと思っております。  いずれにいたしましても、私どもとしては、こうした訓練は我々の戦術技量向上であるとか米軍との連携強化ということに資するものと考えて行っているところでございます。
  278. 井上哲士

    井上哲士君 アメリカと様々な調整を行っていると今おっしゃいました。  この間、政府は、アメリカ我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしていると、だから、そういう例えば核兵器に関わるような訓練、実際にはないんだということを繰り返し答弁してきましたよ。しかし、実際には、先ほど来繰り返していますように、核の三本柱のそういう訓練実施をして、その一部を日本の自衛隊とやったと言っているんですよ。アメリカは日本の立場を理解しているからあり得ないと言いながら、実際にはやっているということは、私、国民を欺くものだと思いますよ。  違うと言うんであれば、事実関係をしっかり調査をして明らかにしていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。
  279. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 自衛隊米軍との間で様々な訓練共同訓練を行っておるところでございますけれども、この委員のおっしゃるB52との共同訓練については、我々の目的としてはっきりしておりますのは、戦術技量向上、そして米軍との連携強化、これを図るために実施をしていると、こういうことであります。
  280. 井上哲士

    井上哲士君 核搭載した、ことができるB52爆撃機、専らその相手国に壊滅的な破壊のために使われるような、そういう爆撃機と一緒の技能を向上するという、どういう必要性が日本の自衛隊にあるのか。結局、アメリカのこういう核作戦の一部に組み込まれているということになるんじゃありませんか。いかがですか。
  281. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) この米軍との共同訓練ということについては、まさに日米同盟抑止力対処力強化、こういうことに資するわけでございます。そして、地域の平和と安定、こうしたものに資する共同訓練という位置付けで考えております。
  282. 井上哲士

    井上哲士君 一般的な訓練じゃないんです。B52という核兵器を搭載できるその爆撃機が核の三本柱の訓練に参加をした、その一部に日本の航空自衛隊が参加をしていると、そのことを問題にしているんですね。  唯一の戦争被爆国でありながら、イギリスの核増強を容認する、核軍縮の起爆剤になり得る先制不使用にいつも反対をする、そして、あろうことか、この米軍の核攻撃のための訓練の一部に参加するということは絶対あってはならないことであります。  今、核兵器禁止条約を求める、参加を求める地方議会の意見書は五百五十六に達しました。全地方議会の三割ですよ。ここにしっかり参加をして、核廃絶の先頭に立つこと自身が日本がやるべき役割だということを、最後、強調いたしまして、質問を終わります。
  283. 野村哲郎

    委員長野村哲郎君) 他に御発言もないようですから、外務省防衛省及び独立行政法人国際協力機構有償資金協力部門決算についての審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時七分散会