○安達澄君 そうですね、
是非懸念を払拭していただくよう、よろしく
お願いいたします。
次に、ちょっと
法案とは違うんですけれども、
特許行政といいますか、に関する
質問として、IPランドスケープについてお聞きします。一般にはちょっと聞き慣れない言葉ですけれども、二〇一七年辺りからですかね、日経新聞等に取り上げられて、徐々にですけど、そういう
知財部門とかでは浸透している言葉かと
思います。
その話をちょっとする前に、一つエピソードというか、これよく言われている話でもありますけど、アップルのスティーブ・ジョブズ氏がよく言っていた言葉で、
日本ほど新しいビジネスをスタートしやすい国はないというふうによくおっしゃっていたそうです。なぜなら、優れた
技術がもう既に
日本にあるから、しかも、そのほとんどが無名の
中小企業にあるというふうに言っていたそうです。だから、スティーブ・ジョブズ氏がやることは、それを、アイデアを出して、いろんなものを組み合わせて形にするだけだから、自分に必要なのはもう本当、鉛筆と机と電話一本だけだという話があります。
ちょっとそれを前提にいろいろお話をさせていただきますけれども、さっき言ったIPランドスケープ、IPというのはインテレクチュアルプロパティー、
知的財産ですね、そしてランドスケープというのは一目で見渡せる景色、展望、つまり、
知的財産や
技術を
企業の
経営戦略や
事業戦略の立案や見える化に生かすと、そういった
取組かと
思います。もうちょっとほかに分かりやすい言い方があればいいなとは思うんですけれども、ちょっとそれはおいておいて、
知財というと、どうしても守りというイメージがありますけれども、それを攻めに転換するのがこのIPランドスケープの発想だと
思います。
二〇〇二年に当時の小泉総理
大臣が
知財立国を宣言されまして、ただ、それから二十年たつんですけれども、残念ながら今もって
日本は
知財立国とはちょっと言えない
状況にあるかと
思います。
財界からも同じような指摘があります。三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長、今度東京電力の新しい会長にも就任されましたけれども、その小林氏が、先月、四月の二十六日の日経産業新聞のコラムで、
日本企業の
知的財産に関する
戦略、グローバル
競争の
観点で
課題があるというふうにして、次のように述べています。
知財のうち、国境を越えた
特許出願、商標
出願、この二つを人口百万人当たりで国際比較すると、
特許の
出願については
日本は他国に比べて圧倒的に多いんですね。一方で、商標登録は極めて低水準で推移していると、アメリカ、イギリス、ドイツなどはこれが逆だというふうにおっしゃっています。
つまり何を言いたいかというと、
日本は持っている
特許の
技術を商標で
保護されるような商品につなげる
開発が弱い、
技術を社会実装してお金になるサービスや商品を生み出す能力が相対的に低いというふうに小林氏はおっしゃっています。リチウムイオン電池でノーベル賞を受賞された旭化成の名誉フェローの吉野彰氏も、有名な言葉ですけれども、もう
日本は川上は強いけれども川下が弱いというふうにおっしゃっていました。
本来はその
経営やビジネスの強力な手段であるはずの
特許や
技術が、実際には数を増やすことにちょっととどまってしまっている、もったいないなというふうに
思います。自分たちの
強みがどこにあるのか、せっかくのその
強みや
技術をどう
経営や商品、サービスに生かすのか、この当たり前の発想を今更ながらですけどやっぱり大事にしていかないといけないと
思います。
ただ、
企業の
知財部門の方々は、この守りから攻めへのIPランドスケープの考え方を
経営層に理解してもらうのにとても苦労しているのが実態であります。というのも、
知財というと、どうしても
企業のバックオフィス的なところもあって、なかなか大きな声で、しかも力業でぐいぐいとリードしていくのがやっぱりなかなかやりにくい立場にあるというふうに認識しています。
そこで、必要なのが旗振り役だと思うんですね。
経済産業省は、例えばデジタルトランスフォーメーションであったりとか、グリーンもそうですし、ダイバーシティーなど、これまでもいろんなスローガンを掲げて産業界に呼びかけています。
そこで、お聞きしますけれども、
特許庁も、
経済産業省としっかり
連携しつつ、リーダーシップを発揮して、産業界に
是非このIPランドスケープという
取組を普及させていくべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。