運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2021-05-18 第204回国会 参議院 環境委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  五月十八日     辞任         補欠選任      関口 昌一君     柘植 芳文君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         長浜 博行君     理 事                 滝沢  求君                 三木  亨君                 徳永 エリ君                 片山 大介君     委 員                 石井 準一君                 猪口 邦子君                 尾辻 秀久君                 関口 昌一君                 柘植 芳文君                 松山 政司君                 芝  博一君                 鉢呂 吉雄君                 竹谷とし子君                 宮崎  勝君                 柳田  稔君                 山下 芳生君                 寺田  静君                 橋本 聖子君                 平山佐知子君    事務局側        常任委員会専門        員        星   明君    参考人        社会地球化学研        究所主任研究員  水谷  広君        WWFジャパン        専門ディレクタ        ー(環境エネ        ルギー)     小西 雅子君        弁護士        駒澤大学大学院        法曹養成研究科        法曹養成専攻講        師        小島 延夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 長浜博行

    委員長長浜博行君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、社会地球化学研究所主任研究員水谷広君、WWFジャパン専門ディレクター環境エネルギー小西雅子君及び弁護士駒澤大学大学院法曹養成研究科法曹養成専攻講師小島延夫君でございます。  この際、参考人皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、水谷参考人小西参考人小島参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、恐縮ですが、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず水谷参考人からお願いをいたします。水谷参考人
  3. 水谷広

    参考人水谷広君) おはようございます。  私、社会地球化学研究所水谷と申します。今日は、この委員会にお呼びくださり、本当にありがとうございました。  今回の温対法の改正案は、実質ゼロに向けて最初第一歩と言えるようなものでありますけれども、大変すばらしいものだと考えております。ここに御列席の皆様、そしてその周辺にいらっしゃいます関係者皆様の御尽力に敬意を表したいと思います。  さて、それで、私申しましたように、この改正案実質ゼロに向けた第一歩であるという位置付けの一つのエビデンスといいましょうか、お手元資料ページ目にあります日本経済新聞の五月十一日の記事をちょっと御覧いただきたいと思います。  タイトルが、「温暖化ガス四六%削減が迫る発想の大転換」。今までのものとは違うんだと。積み上げ式目標と決別するんであると。そのところから第三パラグラフのところを読ませていただきます。「積み上げ式目標を達成しても、そのままのペースで減らし続けるだけでは五〇年に排出実質ゼロにできないのは今や周知の事実だ。」。  つまり、二〇三〇年四六%減らす、これは大英断だと思います。しかし、そういうことを続けていっても実質ゼロには届かない。どのくらい届かないのか。いろいろな推定がございますけれども、およそ一割ぐらいはどうしても減らせないだろうと言われております。どういう部門が減らせないのかと。よく代表的なこととして言われますのは、飛行機、船、海運ですね、それから鉄鋼、セメント、それから食料供給食料生産から配給、消費まで、それに安全保障、こういった部門はどうしても二酸化炭素排出を減らすことが困難で、二〇五〇年までにどうしても一割程度の二酸化炭素が残ってしまう、排出が残ってしまう、実質ゼロにならないということなんですね。  実は、私、こういう問題に関しまして十五年以上ずうっと考えてまいりました。それで、お手元資料、二枚めくりますと、この「気候を人工的に操作する」という私の本がございます。これは六年前、ちょうど中身を書いているときはまだパリ協定が発効していない、後書きを書いたときにパリ協定の話が入ってきました。私は大変びっくりしました。もうこのパリ協定を本当にやる気であるならば、二度目標、できることなら一・五度と、これをやるならば、このなお残る排出実質ゼロ、一割を何とかやっていくという、このことはもう最初の一歩でやらなきゃいけないな、そう思いました。  この私の本に関して書評を書いてくださった方の文章が、ちょうどこのページ左中央辺りにあります。その一部をちょっと読んでみますと、小惑星を砕いて宇宙にばらまいて日よけにする、人工衛星のごとき巨大日傘で太陽光を遮る、富士山よりも高いパイプで地表の熱を大気圏に逃がす、どれを見てもこれはとんでも本だというふうに皆さん思われるかもしれませんが、書いてあるように、これはとんでも本ではありません、科学的に、技術力を駆使して考案された対策ばかりなんです。  ただ、こういうものを実際、現実にどれが実行可能かということは、この本を書いてから既に六年たちました、パリ協定発効して約六年、その間に、いろいろな技術の中の実行可能なものが絞られてまいりました。そして、その絞られたものの代表的なものが植林、木を植えるということなんですね。  ちょっとページ、申し訳ありません、戻っていただいて、二ページ目、ゼロエミッション東京戦略というのがございます。これが一つの代表的な例として持ってまいりました。東京都、ゼロエミッションをすると。ちょうど中央辺りにこう書いてあります。二〇五〇年実質ゼロに向けて、なお残る排出量、先ほど申しましたようにおよそ一割だろうと推定されます。なお残る排出量については、植林などによる森林吸収バイオマスCCU、更なる革新的技術の開発などにより相殺していくことを目指します。その下にてんびんの図がありまして、こうやって相殺するんですよと書いてありますけれども。  さて、森林吸収バイオマスCCU星印、アスタリスクが付いていますけれども、これ、回収利用付きバイオマス発電、何だろうと思いますね。こういったものについて、実は一番具体的に進んでいるこのものを五ページ目の図に載せております。五ページ目、これですね。これは、二酸化炭素大気から捕集し地中海底下に貯留する、BECCS、下に英語の略称だということが書いてありますけれども、回収貯留付きバイオマス発電二酸化炭素森林に吸収させる。  実は、この森林に吸収させるというのは大変いいアイデアだと思っております。他のいろいろな、先ほどのとんでも本と言われるようないろいろな技術、言わば心理的な、こんなのとんでもないんじゃないかということも含めて、大胆にいろいろなものをカバーした中で出てきたアイデアとしては、植林は大変いいものです。  ほかにももっといろいろなアイデアありますけれども、植林はほかにもいろいろな多様な機能があり大変いいものなんですが、じゃ、パーフェクトかというと、やっぱり欠点もある。その欠点を補わなきゃいけないということなんですけれども、この場合は、植林して二酸化炭素を吸収させ、それをバイオ燃料として利用した上で、それを、もう一回出てきた二酸化炭素を捕集して圧注し、海底の下や地中に貯留するという考えです。  これは国際的には大変実行可能性を今吟味されておりまして、例えばイギリスなんかですと、ハルという工業団地、そこから出てくる二酸化炭素北海油田のところに埋め戻すと。油田ですと、油を取った後、隙間が言わばできるわけですね。その隙間の中に二酸化炭素を圧注すると。まあ言ってみれば好都合なんです。  じゃ、これが日本で可能なのかといいますと、日本が消費しているほどの化石燃料、そこから出てくる二酸化炭素を埋めるほどの大きな油泉油田はありません。どこにあるかといえば、地球をぐるっと回って北海油田にでも埋めてもらうしかないんですね。そこまで運ばなきゃいけない。それは、二酸化炭素、これは常温常圧では気体です、そして毒ガスです。こういったものを都市近郊にある発電所から輸送して、パイプラインでも船でも結構ですけれども、外国の持っている油田の中に埋めていただくと。そういうことが実際できるのかと。  それから、二酸化炭素樹木に集める件ですけれども、この樹木、大量に木を植えなければなりません。そうしますと、今度は土地の利用、木が育つ場所というのは植物にとっていい場所しかないわけですね。そのいい場所というのは当然食料生産農地にも使われるわけです。その農地との競合、こういう問題も出てまいります。こんなことを考えますと、日本にどのくらいこれができるのかというのを改めて考えてみないといけない。いいことは大前提なんだけれども、欠点をちゃんとクリアしなければいけない。  さて、そこで今一番大きな問題になるのは、出てきた二酸化炭素あるいは生産された樹木をどうやって、海や地中に埋めないで日本のところでできるものは何かないかという考えなんですね。それを考えますと、実は私、炭にしたらいいじゃないかという考えになります。  次のページをめくっていただきます。そうすると、もくもく煙を出す炭焼き、炭にするとこの炭焼き小屋のイメージが皆さんお持ちだと思うんです。だけど、今は、これはこの大きな枝や幹を切ってきて炭にするというこの炭焼き小屋じゃ大気汚染にもなっちゃうじゃないか、こういうことなんですけれども、現在は、その下にあります炭化炉というものがございまして、ここで、炭を作る装置です。この炭を作る装置は、大きな枝や幹を炭にするだけではなく、家庭から出てくる有機廃棄物、生ごみ食品残渣、こういうものを炭にすることが今はできるんです。  この下の写真右隅に、四つほど楕円形のものがございますね。これ、できた炭なんです。中に出す原料の種類によって、それぞれ異なる炭ができてきますけれども、まあ、何というんでしょう、アサガオの種みたいな、あるいはゴマ粒のような、こういった炭ができてきます。こういうものを利用して二酸化炭素削減に使いたいと、こういうことでございます。  実際に、スウェーデンのストックホルムでは、この芝刈りくず市民が集めてこれを炭にするという、ストックホルム市がやっております。そして、その芝刈りくずを炭にして、芝刈りくずですからちっちゃな炭の粒になるわけですけど、それを鉢植えなどのポットに土壌改良材として使うと、こういうことをしている。大半の市民の協力が得られ、関心も得て、二酸化炭素排出という問題にも非常に関心が持ってもらえた上で非常にメリットにもなっている、暮らしにも役立っていると。こういうことまでやっているところもあるんですね。  そこで、これ、今までだと生ごみを燃やしていると、それは言わばカーボンニュートラルということで、二酸化炭素がそのまま丸々出てきてしまいますけれども、まあそれでもいいんだというふうに考えていましたけれども、これを二酸化炭素にするのではなく炭にするということによって、出てくる二酸化炭素が減るということになります。  それで、申し訳ありませんが、ちょっと飛んで八ページ目、一枚めくっていただきますと、廃棄物中の炭素の何%が炭になるかという実データが実は関西で行われていまして、そこからのものを持ってまいりました。  実際に食品廃棄物です。写真の左、中央ちょっと下ですか、食品廃棄物写真があります。よく見る生ごみですね。プラごみ、プラスチックの中に入っている生ごみです。これを炭化します。炭にします。食品廃棄物中の炭素百キログラムの二十一キログラムが炭になります。こうやって、本来だったらば全部二酸化炭素になってしまうものを炭にすることによって、二酸化炭素排出が、この場合ですと七十七キログラム、二酸化炭素の質量で七十七キログラム減る、こういうことになるわけです。  そのページ一つ戻っていただきまして、その生ごみ植林だけではなくて、生ごみについて、どのくらい、じゃ、今現在でも炭にして二酸化炭素削減がどのくらいできるのかというのを試算してみました。  その試算、藤沢市を取ってみますと、五百十八万トンの二酸化炭素が今排出されていますけれども、そのうちの八・一%、四十二万トンは炭にすることによって削減が既に可能だと、今でも可能だということなんですね。先ほど言いました、なお残る排出量一割、それに及ぶようなものが今現在でも可能であると。更に工夫すれば一割、二割ということが十分可能だろうと。  下の方に細かく内訳が書いてございます。四十二万トンの削減できる量の、ちょっと、計画番号十四番、ごみ処理、現在焼却している可燃廃棄物、生ごみ炭化し、熱回収すると十一万トン削減できる。それから、一番最後の三十五番、市内で発生する未利用有機物、これは食品廃棄物と思ってください、これを炭化すると二十七万トンの削減になると。この生ごみ食品廃棄物フードロス、こういったものを炭にすることによって、この二つだけでほぼ四十万トンになります。そのほか、いろいろ小さく拾っていったり、ここにまだ実行されていない有機廃棄物炭化を実行すれば、優に八%を超える量がカバーできるだろうと、こういうことでございます。  最後に、その次の九ページをめくっていただきますと、実質ゼロ、大変です。でも、その実質ゼロは、この二酸化炭素の収支の図で御覧いただきますと、中央の小さな矢印流入と書いてあります。人間活動による流入三百三十億トン、これをゼロにしようということなんですね。で、炭にするということは、実は、その右にあります流出、大きな下向きの矢印、毎年七千八百八十億トンあります。この一部が森林になったり、農業で食品になったりするわけです。この七千八百八十億トンをベースに炭にしていけば、三百三十億トンの残る三十億トンばかりでなく、もっと大量の二酸化炭素大気から回収できる。  実は、大気、三兆トン、現在二酸化炭素がございますが、このうちの一兆トンは産業革命以降に人間がためたものなんです。最初は二兆トンしかなかったところに、五割分の一兆トンを加えたものですから、温暖化がこれだけ進んでいるということなんですね。この一兆トンまで、人間が炭にすることによって回収する。  最後の三行をちょっと読まさせていただきます。自然による流出七千八百八十億トンの一部を炭にするだけで、大気から大量の二酸化炭素を捕集し貯留することになる、剪定枝、作物非可食部食品残渣廃棄物芝刈りくずなどもこの対象になると。  こうやって、実質ゼロ、今は大変困難で、でもこの大英断をして第一歩を踏み出したからには、最終的にはこの実質ゼロを実現し、さらに、地球温暖化気候危機から脱出するための炭のアイデアというのもお考えいただければと思います。  以上です。どうもありがとうございました。
  4. 長浜博行

    委員長長浜博行君) ありがとうございました。  次に、小西参考人からお願いいたします。小西参考人
  5. 小西雅子

    参考人小西雅子君) よろしくお願いいたします。皆様、おはようございます。  本日は、WWFに、まさに今、日本がこの脱炭素化に向けて今までにないほど取組が進んでいる中で、このような貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。せっかくですので、本日は大量の資料を持ってまいりました。後でまた御質問などありましたらと思って持ってきております。  では、早速ですが、一ページおめくりいただいて、まず、なぜ今、日本は、四六%の削減ということを総理がおっしゃっていますが、それが必要なのかといったところから、そもそもから少しお話しさせていただきます。  人間活動により、今、一度上昇しております。早ければ二〇三〇年からもう一・五度の上昇に達すると言われております。  その次のページで見ていきますと、二〇一五年にパリ協定採択されたんですが、実はその後、二〇一八年に出されたIPCCの特別報告書で、一・五度に抑えるならば随分影響が軽減されることが分かりました。例えば、その六ページを御覧いただきますと、日本でも熱中症の被害患者非常に増えていますが、この熱波に見舞われる世界人口は一・五度なら現状の一四%増加、二度になると更に十七億人増加すると言われています。こういった影響が分かったことによりまして、次おめくりいただいて、世界の先進的な温暖化対策の国々、そしてグローバル企業温暖化対策を進めていると自負するところはこの一・五度を目指すことがトレンドになりました。  さらに、この特別報告書で分かったことが、二〇七〇年頃にゼロにするならば、そうしたら二度は達成できる。それを二十年早めて、二〇五〇年にゼロにするならば一・五度、この温度に抑えることができるということが分かりました。そのためには、二〇三〇年頃に世界全体で二〇一〇年比で四五%削減が必要であるとここで明らかになりました。  このときに重要なのが、この一・五度を達成する四つの代表的な今後の世界排出シナリオを御覧いただきますと、このP1という一番左側が、まさに二〇三〇年頃に四五%削減して、その後、ずっと二〇五〇までそのまま真っすぐ下げていくというシナリオなんですけれども、それがもし遅れて、当然二〇三〇年までは今できる範囲努力でとどめて、そしてその後頑張ればいいといったような考え方でいきますと、この黄色の範囲というのが、今まさに水谷先生が御説明になりましたバイオエナジーアンドCCSBECCSと言われるような、木が育つときにCO2吸収させてそれを回収して地中に埋め戻すCCSを使う、言わば今実用化されていない技術、そういったものにこれほど多様に頼らなければ達成できないということが示されました。ということは、一・五度真剣に目指すならば、二〇三〇年に四五%以上の削減必然ということになります。  では、じゃ、なぜ国連も含めてこの四五%以上の削減が必要なんだとこれほど昨年から今年にかけて言っているかといいますと、今パリ協定に提出されている各国削減目標というのは、全体として足してもこの二度目標おろか、まあもちろん一・五度はおろか二度にも達成できない目標レベルとなっています。ですので、パリ協定、それぞれの国が最大限にできるものを持ち寄るという制度ですので、それぞれの国が引き上げるということがすごく重要になります。  それで、もうまさに年末のCOP26に向けて各国が一斉に引き上げているんですけれども、五ページ御覧いただきますと、まさに各国目標、今ドイツが五五%から六五%に引き上げるというニュースも飛び込んでまいりました。その中で、まさに日本は四六%、そして五〇%の高みを目指すと総理が決断されたわけでございます。  なぜ五〇%の高みを目指す必要があるかというと、これは世界全体で四五%削減ですので、今、飢餓、貧困に苦しむ途上国CO2十分に出していません。そういった途上国にも余地を与えて、それで世界全体で四五なので、日本先進国ですのでもっと本当はやる必要があるからということになります。  続いておめくりいただいて、今回の地球温暖化対策推進法改正案、やはり三つポイントがあると思っております。  まずは、この二〇五〇年カーボンニュートラル温室効果ガスのゼロ、これをまさに法に位置付けることがすごく重要ということになります。これまさに、政権交代とか外部要因によってぶれない指針として日本が進んでいく、そしてまた、特に産業界地方公共団体に今後こういうふうな道を日本は進むんだよという予見可能性を与えるという意味において、今回の改正案は非常に重要だと思っております。  そして二つ目が、やはり再エネのポテンシャルというのは地域に最もありますので、地域に再エネ利用促進、今回、実施目標が新設されております。これはもう本当に必然だと思っております。また、どうしても今、再エネ、これ地域でトラブルが起きる例も目立ってきておりますので、ゾーニング、この促進地域をつくるということも非常に重要でございます。今回これが入っております。  ただし、非常に実は、自然豊かな中核都市未満というのに再エネ資源が豊富なんですけれども、この区域施策編の策定においてこの中核市未満市町村努力義務となっております。  もちろん前はなかったものが、こういうふうに市町村に向けて、こういう計画、そして実施目標促進地域つくりましょうね、努めるようにしましょうという条項が入ったこと自体はそれは大変評価できるんですけれども、この市町村に対して、やはりこの再エネ目標、そして促進地域もセットで設定してもらえるように、本来はこれ、いかに奨励していくかということが非常に重要になってきます。本当は私たちとしてはこれ義務化されるぐらいのことが望ましいとは思っているんですけれども、もちろんその各市町村、いろいろな御事情とかレベルがありますのでそれはなかなか難しいにしても、なるべくやっていただくような措置を講じるということがすごく重要だと思っております。  そして三つ目ポイント、これはもう必然ですね。企業温室効果ガス排出量の算定・報告公表制度において、電子化して、かつ、この事業所ごと排出情報というのも、これまでは一々開示請求制度が必要だったんですが、それをもうそのまま遅滞なく公開するようになるという、この改正は本当に必然だと思っております。まさに今、TCFDなどで企業の積極的な情報開示が求められておりますので、日本産業界世界機関投資家から選ばれるためにも、この改正は本当に必然だと思っております。  ということで、今回の温対法の推進法、基本的には我々も、その方向性に、このまま本当に評価に値すると思っているんですが、実は温対法改正に足りないことがこれ顕在化しているかなと思っております。  やはり、この温対法というのは基本的に環境省の足下でできることを書いた法律ですので、日本エネ起源CO2が大体九割を占めます。ですので、日本温暖化対策といえばやはりエネルギー政策ということになりますので、エネルギー政策を含めた政府全体での気候変動対策推進ということが必要ではないかと思っております。もう一つ、やはり重要な長期戦略、これを本当は法に位置付けること、フォローアップを定期的に行っていくということが重要だと思っております。また、今、日本で議論が長くされてまだ導入が正式には入っていないカーボンプライシングなどの経済措置なども、これ、もう本当にゼロを二〇五〇年目指していくためにはあらゆる施策を導入しなければならないので、これを入ったような法律が本当は必要じゃないかと思っております。  次おめくりいただいて、ということで、日本気候変動対策全体をカバーする基本法が必要ではないかと思っております。そもそも温対法というのは京都議定書時代に策定されているものですので、言わば、小さくなったお洋服を子供は大きく育っているのに何かこう無理に伸ばして着ているような、そんな状態になっているのではないかと思っております。  ですので、ここに書かせていただいたような内容で、例えばこの五年サイクルに削減計画を合わせていくこと、今適応法ございますが、緩和と適応のその関係性を包含した基本法が必要ではないかと思っております。もちろん長期戦略の策定、エネルギー政策を含む政府全体での気候変動対策推進などありますが、中でも重要なのは、このカーボンバジェットの設定とそれに沿った中長期の削減目標計画を設定していく体制になることではないかと思っております。  カーボンバジェットというのは、皆様御存じのように、炭素予算。気温上昇、CO2の累積排出量とほぼ比例して上がってまいりますので、一・五度に抑えるためには上限がございます。これをカーボンバジェットと呼んでいるんですが、これまでに二千二百ギガトンぐらい出されていると言われていますので、もう間もなく使い切ってしまうということになります。  このカーボンバジェット、次、十七ページ御覧いただきますと、既にイギリスが採用しておりまして、今日この図を持ってまいりましたが、五年ごとのカーボンバジェットに沿って目標を立てていくといった形をイギリスは採用しております。二〇三〇年少なくとも六八%削減というのを言っておりまして、つい最近、二〇三五年時点に温室効果ガス削減目標七八%というのを、このカーボンバジェットに沿った考え方でイギリスは削減目標として持っております。  ということで、今まさに二〇二一年、日本は重要な転換のチャンス、今私たち迎えているわけですけれども、本来はこの四六%削減、これを実現するエネルギーミックスの見直しが必要になってまいります。ただ、今はこれが有機的に連動する形になっていないという状況が、今の日本のこの気候変動の基本法が必要な一番大きなところかなと思っております。  今エネミックスがまさにG7の前に決定されるのではといったような状況にあるんですけれども、そのエネミックスについてWWFから提言させていただきたいことを次の十九ページに書いております。  やはりこれ、一番重要なのは、二〇三〇年に向けての温暖化対策というのは、あと九年しかないので、今ある技術、今あるインフラを最大限活用してできることをやっていくということになります。とすると、二〇三〇年、これ我々の計算、研究者と一緒に研究委託して出しているものなんですが、我々の計算では、今のエネミックスの大体二倍の省エネルギーが可能。省エネルギーというのが一番最も費用効果的な温暖化対策ですので、それを最大限今の技術の延長線上で深掘りして、それから再生可能エネルギー約五〇%に増やしていく。で、石炭、私たちも何回も計算してみたんですけれども、これなかなか石炭火力が残っているとこの四六%という数字が出てきにくいんですね。ですので、石炭火力は全廃止していくといったことをやると、この、大体、温室効果ガスで四五%、エネ起源CO2で四九%削減が可能と示されました。  これ、御関心あればこのエネシナリオ御覧いただければと思うんですが、そもそもは二〇五〇年に一〇〇%自然エネルギーどうやって賄うかということで、一番、使うエネルギーを減らしていって、自然エネルギーに変えていって、電力は比較的脱炭素化ができるんですけれども、難しい熱・燃料需要は電気の余剰電力で作ったグリーン水素で賄っていくといったことで、CO2がゼロになるといったシナリオを描いております。  次のページが二〇三〇年の電源構成で、一次エネルギーとそれから電力の割合で書いております。  もう一つおめくりいただいて、もう一つ日本長期戦略、今私たちが考えている課題について、それだけ最後にお話しさせていただきます。  これ、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略というのが昨年の十二月に出されていますけれども、これで既に、参考値、あくまでも参考値ということではありますが、二〇五〇年に日本で再エネ五、六〇%が限界とか、非常に革新的技術がこれ重視されているグリーン成長戦略になっているように見えます。  その例として、十四のこの成長分野が挙げられていますけれども、世界のメガトレンドから見ていきますと、二十五ページ御覧いただきますと、例えば、この石炭火力がアンモニア混焼していくことによって、まだ二〇四〇年にも石炭火力が残って、そのうちアンモニア混焼から専焼に向けるといったような内容になっております。石炭火力をこのアンモニアで減らしていくということが、世界のトレンドから見て果たしてそれが最も費用効率的なやり方なのかといった点においては、本当は非常に大きな議論が必要だと思っております。  どうしても日本産業界は、この脱炭素化においては先進的に進んできたというわけではありませんので、今、トランジションということがすごく取り沙汰されておりまして、まだその準備ができていない企業が脱炭素化に向かうためのトランジションにファイナンスをどうやって呼び込むかといったことがすごく中心の話題になっております。例えば自動車なども、電動車という定義になっておりますが、世界のトレンドとしてはEV、電気自動車化なんですけれども、日本の中にはハイブリッドが入っておりまして、これを今後どうしていくかといった議論が、まだ出口戦略が見えていないといった形を懸念しております。  最後に、やはり今、二〇三〇年にできることということと、それから、例えば水素ですとか、いろいろな電気自動車、水素、FCVとか、洋上風力発電とか、水素還元製鉄とか、今はできなくても将来的にできてくるものの技術開発を今は進めるということの二つを実は分けて考えることがすごく重要だと思っております。  ということで、今まさにグリーンリカバリーで、コロナ禍で非常に経済が傷んでいる中で、私たちは大きな転換期を国民が受け入れやすい状況にもなっていると思いますので、是非そういった形で温暖化対策、今後お考えいただいたら有り難いなと思います。  ありがとうございました。
  6. 長浜博行

    委員長長浜博行君) ありがとうございました。  次に、小島参考人からお願いいたします。小島参考人
  7. 小島延夫

    参考人小島延夫君) 本日は、発言する機会を与えていただき、誠にありがとうございます。  私は、簡単に自己紹介しますと、今から二十四年前にちょうどこの参議院の環境委員会環境影響評価法ができるときに公述人として意見を述べさせていただいたということがあります。それ以来ですので大変緊張しておりますが、主には私は町づくりですとか都市計画ですとかその辺のところをやっているんですけれども、縁あって今、横須賀石炭火力発電所の操業を止めるための行政訴訟の弁護団長もしております。  本日の話題としては、大きく四点話をしたいと思っていますが、主には二点の話をします。  一つは、日本における地球環境地球温暖化影響というのが極めて深刻な状態にある、その中で、特に漁業被害という問題についてちょっと認識を是非持っていただきたいというふうに考えているところです。  IPCCの報告書などでも、海洋に対する影響というのはサンゴの白化の問題は書かれているんですが、漁業被害の問題というのは余り書かれていないですね。農林被害の方も出ていますが、水産資源の被害というのは余り書かれていません。恐らくこれは、日本という国が世界の中でも最も海洋資源というか水産資源を食べ物として一番使っている国の一つだろうということに関係してくるのですけれども、実は日本における水産資源の今の状態というのは極めて深刻な状態です。  この点を痛感したのは、二〇一九年に私は五島列島の一番北にあります小値賀島という島に地方自治の問題で調査に行きました。そのときに、小値賀島というのはずっと日本のアワビの生産量の一位ぐらいを占める大変豊かな島なんですけれども、その島でほとんどアワビが捕れなくなっているという話が出ました。それで、調べてみると、二〇一三年に九州北部から山口県、島根県の西部まで至るところで極めて大規模ないそ焼けが起きて、その辺りの海藻がほとんど全滅するという状態が起きました。その影響を受けて、その地域のアワビがほとんど捕れない状態になっている。  それで、日本海側だけではなくて、実は相模湾におけるアワビ漁というのも極めて深刻な状態にありまして、今、環境大臣が出身の横須賀市などの辺り、三浦半島も実はアワビ漁が非常に盛んなところなんですけれども、このところで、ちょうど今日ちょっと紹介させていただきましたけれども、写真二つ紹介させていただきました。私の資料の三番目のところにちょっと添付してありますが、これは二〇一二年の江の島の沖の状況と二〇二〇年の江の島の沖の状況を写真で撮ったものです。二〇一二年のときではまだ海藻が生い茂って、本当に海藻の森というような状態が存在していました。ところが、二〇二〇年の三月に写真を撮ると、ほとんどこの海藻が消えて、全く砂漠のような状態になってしまっている。  どうも日本全体で見ると、やはり二〇一三年から二〇一五年頃にかけて海洋環境というのは極めて悪化した状態がありまして、先ほど二〇一三年の九州北部から島根県にかけての大規模ないそ焼けの話しましたけれども、実は次のページにちょっと、四ページのところに神奈川県の水産技術センターの業務報告を出してありますけれども、実は神奈川県では、やっぱりアワビがだんだん捕れなくなってきているということで、アワビの稚貝を放流してアワビ生産を回復する措置をずっととってきて、二〇一二年までは順調に回復してきたんですね。ところが、二〇一三年からそれがすとんと減ってしまったと。  それで、その報告書に書いてあるのを四ページのところに引用してありますけれども、二〇一六年の神奈川県水産技術センターの業務報告によりますと、芦名地区は〇・一五個平方メートルしかないと、長井では前年に続き〇・〇〇個平方メートルであると。つまり、前の年も翌年もアワビが見付からないと。この地域の漁師さんの話が下に書いてありますけど、海底のいそ場に以前は森林のように密生していたアラメやカジメ、ヒジキなどが一本も見えないと、一日潜ると前は三十個ぐらいのアワビが捕れたのが、今は一日一個捕れればいいぐらいだと。この極めて深刻な状態が今起きているんですね。  それから、次のページめくっていただくと、養殖ノリの話ですけれども、実はノリというのは日本の海洋養殖漁業においては最大の生産量を誇っているものなんですけれども、これも二〇〇七年以降急激に減少して不作状態になっています。東京湾では経営体数が変化しても二〇〇〇年頃までは生産量が維持されてきたんですが、それが大幅に減ってきていると。二〇一五年のところを見ますと、過去十年間の平均の五千六百万枚のノリ生産があったのが僅か五百万枚、一割まで減ってしまっていると。多分東京湾のノリを購入されている方なら分かると思うんですけれども、この数年間は、千葉とかあるいは横須賀の流水といったところのノリがほとんど手に入らない状態になってきている。極めて深刻な状態が起きているということです。  ちょっと時間の関係があるので飛ばしますけれども、七ページのところに回遊魚の話が出ています。これは、去年サンマが捕れないという話がありましたけれども、下の図はこれスルメイカです。日本海におけるスルメイカ生産が、漁獲高が、かつては年間一万トンとかそういうレベル、これが一九九〇年代初めまであったんですけど、現在、二〇〇〇年代の後半になってほとんどなくなってきていると。秋田から山口にわたるところでは大きく減少して、九五%以上減少してしまっていると。これは、五%減少して九五%になったんではなくて、九五%減少しているという状態であります。  もう本当に、日本というのは今まで豊かな海産資源に恵まれて、それが私たちの食文化を形成してきたと思っているんですが、それが失われようとしてきているんじゃないかと。やっぱりこれを止めるためには、今本当に真剣に地球温暖化対策を取らないと、私たちの貴重な食文化、食料というものが失われてしまうのではないかと、そういう強い危機感を感じたところです。  そういう中でいうと、昨年の十月に総理カーボンニュートラル宣言、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言をされて、それに向けて今回もこの温対法案できているということは非常にすばらしいことだと思っております。しかしながら、是非ともその中で触れていただきたいことの一つとしては、そのカーボンニュートラルを実現するために、今、小西参考人の方からもお話がありましたけれども、二〇三〇年の電源構成ではやはり石炭火力ゼロ、そういうことを考えていかなきゃいけないと。そうすると、再生可能エネルギーを飛躍的に拡大すると、二〇三〇年時点でやっぱり五〇%ぐらいのところ以上まで達成していかないと現実的には難しい状態にあるだろうというふうに思っています。  そして、それを実行するためには、この第二の話題ですけれども、やっぱり統合的な行政組織というものを考えなければいけないだろうと。日本の国内では、先ほど小西参考人の話にもありましたけれども、エネルギーについての見通しは全部経産省が作ると、それで、その経産省が作ったエネルギー見通しを受ける形で地球温暖化対策が進められると。これは、もうパリ協定の約束草案を作るときの政策過程が実際にそういう形であったわけですね。これ、順番は本来逆でありまして、削減目標を先に定めて、その削減目標に即してそのエネルギーミックスをどうするかということが議論されるべきでありますけれども、それができないと。  それで、例えば、先ほどお話にも出てきたイギリス、ドイツ、そういった国では、基本的にはエネルギー部門気候変動対策のところに統合してそういう政策を取ることができていると。やはり、そういうことを考えていかないと、実際、実効的な環境気候変動対策ができないのではないかと。  十ページ以降にですね、十ページ、十一ページのところに、その統合組織をつくる、さらには統合的な政策実行していくと。それからもう一つ重要なのが、独立の専門機関をつくって、これもイギリスの話になりますけれども、イギリスは独立の専門委員会があって、そこがどういう政策が実施可能か、それの実施状況がどこまで進んでいるか、これを全部専門機関がチェックして反映していくという仕組みになっています。やっぱりこういう仕組みを日本の国内でもつくっていかないと駄目だろうと。  それからあと、地方自治体のやっぱり取組というのが再生可能エネルギーでは決定的に重要です。  それで、この地方自治体の、十三ページ以降に地方自治体の取組をちょっと書かせていただきましたけれども、実際資源があるのはどこかというと、今回再生可能エネルギー実施目標を策定されるとされる中核市、政令市ではないんですね、もう少し地方のところにその再生可能エネルギーの資源が存在しているわけです。しかし、そこは今回努力目標にとどまっていて、義務とはなっていないんです。  ただし、ここが非常に難しいところでして、そこを義務にしたところで、じゃ、本当にできるのかという話になっちゃうわけです。現在の、今の体制を前提にして全ての市町村にその実施目標を義務としてやれというふうに言ったら、恐らく何が起こるかというと、全国の市町村から猛烈な反発が出る。この話をする前に、私、ずっとこの間、地方自治の問題で各地の農村とか漁村に行って話を聞いてきたものですから、こんなことを提言したら、私が会ってきたあの人やこの人から相当反発を食うだろうなというのを感じました。  それで、それをやるためにはどうしたらいいかということでいうと、やっぱりこれ、実は地方自治体の取組を強化するための問題というのは、地方自治体の問題というよりも、やっぱり中央政府の問題なんじゃないかと。要するに、地方自治体ができるような体制を十四ページのところに書きましたけれども、やっぱり中央政府がそういうの全体を、要するにエネルギー政策ですとか町づくりですとか農林水産政策ですとか、そういうものを統合的に考えられるような組織を中央政府のレベルでつくると。  しかも、その義務付けをするということは、千八百地方公共団体計画を作るわけです。それをチェックする仕組みというのをちゃんとつくれるのかという問題があります。今の環境省に、誠に申し訳ないですけど、環境省のスタッフで到底できるとは思えない。だから、やっぱり、これは民間の力も借りて、そういうのがチェックできるような体制をその組織の中につくっていかなきゃいけない。そういうことができて初めて地方公共団体が本気になってやり始めると思います。  それで、本当に今回の再生可能エネルギーをこれだけ拡大するためには、地方公共団体がその気になってやるというふうな形をつくり出さない限りは再生可能エネルギーの飛躍的拡大は不可能だと思います。そのために、やっぱり中央政府が組織をつくってチェックできるような体制を整えた上で、さらに地方公共団体のやる気になったところへの支援策を考えていくと。  そして、そのためには、やっぱり政策決定過程に地方公共団体に参加してもらうんですよ。それで、自分たちが参加して決定した政策だから自分たちもやりましょうというふうな形になっていく。やっぱり、そういう仕組みをつくってあげないと、下手すると、単純にこの法律で義務化だけすると、そんな勝手につくられたって俺たちは知らないよという話になりかねない。やっぱり、そうならないようにするためには、本当にそういう人たちに参加してもらって、かつ支援策を出すわけですから、今度、国民の税金をそこに投入する以上、やっぱり政策決定過程を透明化しないとなかなか納得が得られないと思います。そういうようなことを具体的に考えていくというのが必要になると思います。  それで、最後にちょっと一言だけ。メガソーラー問題というのがあります。これ、弁護士として最近いろんなところで相談が来ています、私だけじゃなくてですね。極めて深刻な問題が起きている状況です。  それで、このメガソーラーの問題は、本当に再生可能エネルギーを増やすために吸収源としても機能を果たしている森林が破壊されていきかねないという極めて深刻な問題だと思っています。それと同時に、この問題を放置すると、先ほど来申し上げているように、再生可能エネルギーを飛躍的に増やすために非常に重要な役割を果たす地方自治体が、要するに、再エネというと我々の環境を破壊するだけの何かとんでもないものだから、そういうものには余り関わりたくないという雰囲気が醸成されてしまうんですね。  やっぱりこの問題にちゃんと対処できる体制をつくっていかないと、一方でこの問題はきちんと対応しますと、だから各自治体一生懸命取り組んでくださいというふうな仕組みをつくっていかないと、やっぱり前に物事が進んでいかないというふうに思うんですね。やっぱりそこのところをきちっと考えていかなきゃいけないだろうと思っています。  その後ろの方に、私がドイツだとかアメリカだとかフランスだとかそういうところで見てきたこともちょっと書いてありますので、もし時間あればまた見ていただければ有り難いというふうに思います。  私の話は以上で終わりにさせていただきます。
  8. 長浜博行

    委員長長浜博行君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 三木亨

    ○三木亨君 自由民主党の三木亨と申します。  本日は、三人の参考人皆様方、お忙しい中、またこういう大変難しい状況の中でございますけれども、お越しいただきまして、また大変参考になるお話を聞かせていただきましてありがとうございました。  まず、私からは、三人の参考人の皆さんに本法の基本理念に対する評価についてお伺いしたいと思います。  本法では、五〇年までのカーボンニュートラルというものをはっきりともう明記しております。ただ、その実現のためにはやはり国民の理解、協力というものがもう必須になってくるわけですけれども、この基本理念の中で本法は連携すべき主体、この例示を挙げているわけですけれども、その第一に国民というものを挙げております。これ、法律の基本理念としては非常に、なかなかほかにないものではあると思います。それだけやはりここに力点を置いているというのはこの法律の特徴の一つだと思います。  こういった基本理念が国民に浸透して、国内でやはりカーボンニュートラルの実現に向けての共通認識というものが醸成され、根強くなっていけば、この各取組あるいは各種のイノベーションの促進にもつながると思いますし、また消費動向やあるいは投資の動向、こういったものの判断基準にもなると思いますので、ここで企業、大企業を中心として企業活動にも大きな影響を及ぼすと思います。  この基本理念に対する各参考人の方々の評価というものをまずお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
  10. 水谷広

    参考人水谷広君) この国民に協力を求めるというのは、本当に私、当初申し上げましたように、大転換だと思うんですね。今まで、今までですね、市民の方々、それから自治体の方々、そして企業の方々、そういう方々の方が率先してカーボンの排出削減するいろいろな努力をしてきて、それに応えてこなかったのは国だと私は認識しております。むしろ空回りさせて無駄な努力をさせてきたと、そういうことが多かったんではないかと思うんですね。  そういうことから考えますと、本当に、この国民に協力を求めるという姿勢を取られることは本当に私はうれしいんです。大賛成です。
  11. 小西雅子

    参考人小西雅子君) ありがとうございます。  まさに、この基本理念にカーボンニュートラルが入って、おっしゃるように、国民、そしてこのような国、地方公共団体、事業者、民間の団体の密接な連携というのが入ることは本当にパリ協定時代にふさわしいと思っております。特に、このパリ協定というのは、今世紀末までになるべくゼロに、なるべくじゃなくてゼロにして、かつ二度未満という、当時としては科学的に非常に忠実な、とてもこの二百か国が合意できると思えないようなものに合意できたわけですけれども、それの一番大きな後押しとなったのが国を超えた例えば都市の連携ですとか企業さんの連携とか、いろいろな団体の連携というものが国の決断を後押ししました。ですので、まさに日本法律の中にもこうしたものが入ってくるのはとてもすばらしいことだと思っております。  これは、本当に後押しがされていくことがとても必要だと思っております。例えば、その二〇一五年以降、パリ協定が入ってから日本においても、例えばSBTと言われるサイエンス・ベースド・ターゲッツ、科学に基づいて企業さんが目標を立てましょうといった取組を環境省さんが支援されたり、あるいはRE一〇〇、再生可能エネルギー一〇〇%の事業を経産省さんが支援したりとかいった、民間の取組を官が支援するといった取組も非常に進んできております。  ですので、まさにそういった本当の具体策としてこの基本理念が浸透していくことを願っております。
  12. 小島延夫

    参考人小島延夫君) この今回の基本理念というのは非常にすばらしいものだというふうには思っております。そういう点では、この基本理念に忠実にいろいろ進めていただくというのは重要だと思っております。  もし一つのことを申し上げるとすると、やっぱり基本理念の前提の中に、パリ協定の段階からIPCCの一・五度報告書を受けて、今や基本的にはこれ以上地球環境の状態を悪化させない、それが地球に住んでいる人々の命を守り、さらには貴重な資源を失わせないために欠かせない状態だと、そのためには我々は全力を尽くさなきゃいけないんだということをもしより明確にしていただければ、何のためにこれをやるのかというところを、それで、それをできたら国民の共通認識にするということを加えていただきたいと。  必ずしも、もちろん非常に積極的に取り組んでいる人も、企業も多いんですけれども、企業はここへ来て物すごい雰囲気変わっております。この点では、やっぱり菅首相の昨年十月の宣言というのは物すごい大きなインパクトがあったと思います。それが日本企業行動をこの半年ぐらいの間にがらっと変えているのは本当に事実ですので、そのインパクトは大きいと思うんですけれども、それが国民のところまで情報共有というか浸透しているかというと、ちょっと若干まだまだ不十分なところがあると思いますので、なぜ我々がそういうふうなことをやらなきゃいけないのかというところをみんなの共通理解にするというようなこともより明確にしていただけると更に有り難いなというふうには思っております。
  13. 三木亨

    ○三木亨君 ありがとうございます。  おっしゃるとおり、基本理念、これが幾らすばらしいものでも、そこを実現していく、実効性を持たせていくということが非常に重要だというお話いただきました。私もそのとおりだと思います。  そういった点でいいますと、昨今、各自治体でゼロカーボンシティ宣言、この表明が非常に相次いでおりますけれども、これは、先ほど小島参考人おっしゃられたように、実効的なものじゃなければ意味がないと、こういった課題があると思います。  本法では、地域の再エネの導入を加速していくという非常に大きな目標、野心的に取り組んでいくというふうな意気込みも感じられるわけですけれども、こればっかりじゃなくて、地域の脱炭素化を図るためには回収という観点も重要かと思います。その点では、先ほど水谷参考人がおっしゃられたBECCSというのは非常に可能性を感じるところでありますけれども、この地域で可能な温室効果ガス回収について、先ほど水谷参考人のお話のものをそのまま各地域に導入していくというのは、技術的にあるいは財政的にまだまだちょっと実現可能性としては、可能なのかどうかちょっと分かりませんが、そういった回収対策があれば、三人の参考人の先生方にお聞きしたいと思います。
  14. 水谷広

    参考人水谷広君) 脱炭素するために回収のいろいろな対策をすると。既に藤沢市の試算をちょっとお示ししましたけれども、いろいろなごみ回収というのは地方自治体の責務として行われております。それを、今はごみ処理の扱いですので、清潔に、衛生的な処理をするということで、完全に燃やして二酸化炭素にしてしまうということなんですけれども、これを先ほど申し上げたような形で炭化炉を使うと、現在の技術でも二割、これをもう少し改善していけば、理論的には恐らく五割ぐらいまで炭にすることができると考えられます。ですから、そういった意味で、既存の回収体制を利用するということはある。  でも、今までは炭という考え方をしていないので、例えば農業生産して非可食部あるいは商品にならないものは畑にそのまま戻しているとか、そういうことをしておりますね。そういうものを、更に回収体制を整備すれば、更に二酸化炭素削減炭化することができると。  また、もう一つ回収するときのやり方、分別なんですけれども、炭を作る際に、先ほどの生ごみなどですと、もういろいろなものが混じってまいります。中には厄介なものも入ってくるのは当然です。そういうものを避けるような回収体制。それから、炭化するときの前処理のやり方と。回収というよりは、ですからそれはもう炭化炉の工場側といいますか、そこでのいろいろな技術開発と。そういうものも整備していくことは必要だと思います。  新たな回収体制の整備、既存の回収の体制の利用、そして工場内での前処理のやり方、そういうものをいろいろ工夫する必要は実はたくさんあるんです。そういうことをすれば、更に一割、二割の二酸化炭素削減が十分可能だと思っております。
  15. 小西雅子

    参考人小西雅子君) ありがとうございます。  この回収という意味が吸収か、ちょっと一瞬、もし、私が勘違いしているかもしれないんですけれども、やっぱり地域で一番できることは、森林の手入れによって吸収源を増やす。これ、四六%削減の実現には、CO2だけじゃなくて、ありとあらゆるものをやらなければいけないので、その森林の吸収源を増やすということと、あと、フロンとかいわゆるCO2以外のガスというものも、これ回収が進んでいなかったりするんです。このフロンというのは、CO2の一万倍温室効果がありますので、非常に効果が無視できないものなんですね。そういったものの吸収ですとか、あと、プラスチックとかそういったものの回収とか。  これ、もちろん、最初はとにかくリデュースが先決なんですけれども、そういったもののサーキュラーエコノミーの推進といったものも温暖化対策としてその価値もあるので、そういったCO2以外のものの回収といったこともいろいろできることがあるのかなと思います。
  16. 小島延夫

    参考人小島延夫君) もう既にほかの参考人がいろいろお話しされているので、私は一点だけお話ししたいと思います。  私のレジュメの一番最後ページのところにミティゲーションという言葉が書いてあります。これは、実は、ある開発をしたりする場合に、それによって失われる価値と同等の価値をつくり出さない限りそういう開発ができないという制度でありまして、アメリカなどではノー・ネット・ロス原則という、これはお父さんのブッシュ大統領のときに、一九九〇年にアメリカで宣言された考え方ですけれども、アメリカの水質保全法の四百四条という湿地保全の条項の中にその考えが反映されています。  それから、ドイツの自然保護法もほぼそれと同じような考え方を取っていまして、これは、ある日本企業、インターナショナル企業ですけれども、バイエルン州で本社のビルを建てようとしたときに、裸の普通のところに、そこをコンクリートで覆って建物を建てようとしたときに、それは環境価値をそれだけ下げるので、新たに森を整備するということをしない限りはそういうものはしちゃいけないと言われてそういうふうな形になりました。  ですから、恐らくそのミティゲーション制度日本にある程度導入してくると、何かをやろうとするときはそれと同等の森林整備とか同等の価値を、自然環境の価値をつくり出さないかぬということになっていくので、これは既に、今申し上げたように、アメリカ合衆国とかドイツでは導入されて運営されている制度です。しかも、その整備をした会社は、企業なり自治体という開発をした人は、将来三十年にわたってそれを全部守り育てなきゃいけないんです。そのコストが保存されます。ですから、吸収源というのは、ちょっとつくっただけで後は野となれ山となれじゃ全然駄目なんですね。その後ずっと適当な管理もされていかなきゃいけない。  そういう制度が、制度的に今現存しているものとしては、今言ったようなミティゲーション制度というのがあります。そういったものを日本において導入するということも考えるというのも一つの方策かなというふうに思っております。
  17. 三木亨

    ○三木亨君 ありがとうございます。  イノベーションを待たなくても今の段階でできることも多いということを改めて認識させていただきました。要は、やるんだという気持ちで、各自治体、住民がそれを求めていけばその方法はあるということですので、しっかりとそれを国が後押しできるような法律にしていきたいという決意を述べまして、質問を終わらせていただきます。  今日はありがとうございました。
  18. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 立憲民主・社民の徳永エリでございます。  今日は三人の参考人の皆さん、大変に貴重な意見をありがとうございました。まだまだその技術開発も含めて、私たちもいろいろ勉強していかなきゃいけないなということを改めて感じさせていただきました。  今回の温対法の改正案につきましては、それぞれの参考人の方々から、高い評価とそれから御期待、そういった声をいただきました。  ただ、私も、その二〇五〇年カーボンニュートラル法律に明記していく、その実施に向けて様々な施策も含めて進めていくのは大事だというふうに思っておりますけれども、やっぱりその実効性がどれだけ担保できているのかということがすごく重要だと思っていて、正直この今回の改正案の中からはなかなか、自治体とかそれから事業者に対して、言葉はちょっと極端かもしれませんけれども、丸投げをしているような状況であって、例えば再エネに関しても、参入しやすいような環境はしっかりつくりますよと、だけど、あとは皆さんがやってくださいというようなニュアンスを感じておりまして、ちょっと心配しているところもあります。  それから、例えばその再エネを進めていく上において、環境省というのはそもそも規制官庁でありますから、ですから、自然環境の保全とか生物多様性の確保とか、こういう観点から少し心配な点があります。  そこで、改めて、御評価しているというのは分かりましたけれども、逆に、今回の改正でそれぞれの参考人の方々が懸念していることを、もしありましたらお聞かせいただきたいというふうに思います。
  19. 水谷広

    参考人水谷広君) 今のおっしゃった、その実効性のところになかなか疑問があると、特にその地方自治体などに丸投げしている印象もあるんではないかとおっしゃったんですけれども、私、実を言いますと、気候危機非常事態ネットワークという民間団体に属しておりまして、そこのニュースレターの編集委員というのをやっております。この集まり何なのかと申しますと、地方自治体に、結局現場で実質ゼロを実現することが大事であると。言わば、その国家的なところでは大きな枠組みを与えて、それをそれぞれの地方自治体に配分してこれだけの削減をやりましょうと、それを援助しますよと、こういう仕組みなんですけれども、地方自治体の現場の方から見ますと、やっぱり丸投げされていて、さてと。実際の自治体の状況はそれぞれ違います。森林の多いところもあれば、人口密集したところもあります。そういうところで、どうやってやっていくかというところが、なかなかそれぞれの地方の実情をくみ上げてもらえていないんじゃないかという心配が、私もそういう組織で編集委員やっておりまして感じます。何とかしてその地方自治体の方々を応援するような情報提供したいと、ニュースレターでもと思っておるんですけれども。  そういう流れで感じますのは、何といっても、先ほどの参考人の方の御意見もあったんですけれども、地方自治体のいろいろな意見を吸い上げて連携していくようなことを国の方からも積極的に取り組んでいただきたいなというのが非常にございます。  先ほど藤沢を例に挙げましたけれども、炭にするということで、あの場合には生ごみとか食品廃棄物で、ほとんど植林といいますか、街路樹の剪定枝みたいなものは少し入っていますけれども、一万トンレベルです、数%です。実は、藤沢市のようなところ、イメージは観光都市と思われるかもしれませんが、工業都市なんですね。そして、ほとんど森林はございません。元々ないんです。ですから、そういうところで植林と言われても、人口密集した工業都市ではそのままでは対応できない部分があるんですね。  そういったところにきめ細かい地方の意見、実情をくみ上げるようなことを国の方からも積極的にしていただいて、先ほどありました、徳永委員のおっしゃった丸投げが心配だと、これは是非心配していただきたいと思います。
  20. 小西雅子

    参考人小西雅子君) 徳永先生おっしゃるとおり、これ、やる気のある自治体さんにとっては、こういう、言わばプラットフォームみたいなこういうやり方でやってくださいということが法律に入ったということは、それは本当に前よりはずっといいとは思うんですけれども、じゃ、それを本当にやるかどうかというインセンティブづくりがここから見えないというのも本当におっしゃるとおりだと思います。  ですので、いかにやっぱり地域の自治体さんに、少なくともそういった脱炭素計画を立ててもらって、再エネ目標を立ててもらって、自らのポテンシャルと自らの地域おこしも兼ねて、かつ、その促進地域みたいなことをやっていただくかということは、いかにやっぱり国の支援とそれから都道府県レベルの支援が、どのように技術的、そして金銭的、人的に行われていくかということが本当はここに入るべきだと思っております。  特に、適応法のときもそうだったんですけれども、結局、環境省さんが回って一つ一つ汗かいて、適応法、作ってもらいますというのも、適応計画、基本的に作りなさいということになったからそういうふうになっていったわけなので、本当はここも、原則作るものとする、で、それに必要な支援は実施するみたいな、作る人は作りなさいじゃなくて、原則作るというような形で、やっぱりインセンティブをまず付けてあげてから、それから支援を受け入れるという順番になるのかなと思っておりまして、そういう形になればいいかなと。ただ、もちろん、今、たった今はこうなんですけれども、いずれは基本法が必要になるなと思っております。
  21. 小島延夫

    参考人小島延夫君) 再エネをどうやって拡大するかという話の点に絞ってお話しさせていただきたいと思います。  私も各地を回ってみますと、本当再エネに対する地方自治体の温度差というのは物すごいものがあります。例えば岩手県の北部地域で見ても、例えば雫石なんというところは再エネだけで二〇〇%以上のものをやっているんですが、その近隣自治体ではほとんど再エネには取り組んでいないというようなところがあって、かなり差があります。しかしながら、実際には、その再エネを相当増やしていくためには、まだいまだに全く再エネに取り組んでいない自治体にも相当程度取り組んでいっていただかないと、現実的には難しいだろうと思っています。  それで、そのためには、先ほど来申し上げているように、計画を作ってそれぞれの自治体で実施するということが重要なんですが、やはり地方自治体の方にしてみると、やっぱり技術と人と金の問題があるんですね。いや、再エネを増やすといっても、一体どうやってやったらいいのか分かりませんと。うちの自治体にはそんな技術はありませんと。それで、メガソーラーがやってきたら環境破壊されて嫌な感じがするだけですと。それじゃ、再エネちょっと御遠慮しますという話になっちゃうんですね。ところが、そういうことばっかりやっていると、絶対再エネ増えません。ですから、人、金、技術をちゃんと提供できるような中央の組織をつくらなきゃいけないんです。  ところが、これ、環境省の今の仕組みだと、そういうことができる部門というのは環境省にないわけですね。だから、やっぱり先ほどちょっと申し上げたように、そのエネルギー部門を経産省から統合して、環境省にと言わないでもいいんですけど、気候変動対策庁みたいのをつくって、そこが各自治体の相談に乗って、その計画作りを進めていくということをやっていかないと、多分地方自治体のそういう取組は進まないだろうというふうに思います。  そういうことを本格的に考えていかないと、この実効性というのは難しいと思います。やっぱり、地方においていかに再エネを増やすかと、そのための実効的な仕組みをどうやってつくるかというところがポイントだというふうに思っています。
  22. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 ありがとうございます。  菅総理の二〇五〇年カーボンニュートラルを受けて、地方自治体もゼロカーボンシティ宣言、次々と手を挙げています。そういう中で、やっぱり御相談をいただくのは、再エネポテンシャルが高いのは大体中核市未満なんですね。ところが、今おっしゃったみたいに、環境部局って大体ごみなんですね、扱っているのは。要するに、こういった再エネの専門家がいないということで、専門家を投入する、あるいはその育成をしていくということもしなきゃいけませんし、それから、財政的に相当厳しいので、やっぱり財政支援もしていただきたいという声を多くいただいています。  環境省に言うと、もちろん支援しますよと言うんですけれども、具体的にどこがどう支援するのかという話が全く出てこないんですね。そこをこれからしっかり詰めていかなければいけないなと思います。  それから、私たちも再エネ一〇〇%目指せというふうに言ってきたんですけれども、ここに来てちょっと心配なのは、再エネといってもメガソーラーとか太陽光発電施設、これをどんどん造ろうとしているというところなんです。例えば、再エネタスクフォースに言われて、荒廃農地、これ要件を緩和しました。要するに、太陽光パネルの設置に使えるようにしたわけですね。それから、例えば保安林とか緑の回廊、こういったところも開放しろというふうに言われていたりとか、最近は、兵庫県とか香川県、ため池の上に浮かぶ形のソーラーパネルが設置されていて、建設ラッシュ、私も写真見てびっくりしたんですけれども、とてもじゃないですけれども、景観、環境がどんどん壊されていくということの懸念がすごくあって、ところが、環境省としては環境に配慮しながらとか環境に注意しながらという言い方をして、環境をしっかり守っていきますという言葉は全然聞かれないんですね。  水谷参考人の今日いただいた資料のまとめのところに、自然に基づいた解決策というのがありました。今日、吸収源対策についてもお話をいただきましたけれども、やはりそういった観点からいうと、もちろん再エネは進めていかなければいけないけれども、守るものはしっかり守っていかなきゃいけないというふうに思っております。この点に関して、水谷参考人、どのようにお考えかお聞かせいただきたいと思います。
  23. 水谷広

    参考人水谷広君) 全くそのとおりと思っております。  先ほど、私、十五年ぐらい前から、残る一割をどうしようかということを考えて、一般的に考えれば、月のような大きな日傘を地球の上に置いて太陽の光を遮ったら地球が冷たくなるんじゃないかなんという技術まで含めて、いろいろ広範に検討しました。  六年ほど前にパリ協定の話があって、実際にこういうことは現実にもう無理だろうと、温暖化防げない状態だろうと思ったんですけれども、パリ協定で頑張るという話になって、最初私はかなり疑っておったんですけれども、それから六年間、物すごく変質しました、このUNFCCC。この結果が今や実質ゼロを目指すと、こういうわけなんですけれども、その間にいろいろな技術の中で、実際に社会が受け入れられるような、しかも実現可能で実質ゼロを目指せる、そういうものが絞られてきて、その中に一つ植林というものがあるんですね。  そのほかにも、いろいろな技術の中で、実現可能で環境にもいい、あるいは環境を侵害しない、保全できるようなものが一つのキーワードとして、今おっしゃった自然に基づいた解決策と、ネーチャーベースドソリューションズと、こういうわけですけれども、このネーチャーベースドソリューションが、今は、かつてのサステナブルにちょうど相当するような流行語といいましょうか、ちょっと曖昧なんです。曖昧なだけに皆さんがそれぞれの意味で使っていて、使いやすいものだというものになっております。  この自然に基づいた解決策の大事なところは、解決策であると同時に、他の自然を破壊しない、保全していくと、その精神が大事なんですね。実は、アステロイドのところから一つ隕石を拾ってきまして、それを粉々に砕くと地球の周りがうっすら曇ると、そうするとやっぱり地球が冷えるんじゃないかと、そんな話もあったりするんですけれども、それはもう最初から、それってほかのところがどんなことになるのか考えていないんですかと言いたくなるようなアイデアなんですね。  そういうものは排除されまして、今は自然に基づいた解決策、これを取っていくときの大事な精神は、温暖化を解決するだけではなくて、そのほかのことに十分配慮できる政策、考え方であるということなんです。
  24. 徳永エリ

    ○徳永エリ君 今日特に水谷参考人がおっしゃっていた、削減とかあと抑制とかということではなく、回収ということを考えると、やっぱり吸収源対策の議論って余りされていないなという気がするんですね。そういった意味ではその自然の要素というのは非常に重要だと思いますし、それから、再エネの促進区域を設定していくということですけれども、それと同時に、やっぱり地域でしっかり話し合っていただいて、保護区域というのもつくっていかなければいけないなと思います。  国で何か一つ方針が決まると一気に行ってしまう。その一気に行ってしまったことの弊害が後々出てくるので、ここは、もう目標は決まったわけですから、いろんな点で丁寧にやっぱり進めていかなければいけないなと思いますし、小島参考人からもお話がありましたように、やっぱり省庁横断型の専門にやる機関というのも非常に必要だと思いますので、いろんな意見を出し合いながらいい方向に向かっていけばいいなと思いながら、まだまだお聞きしたいことがあるんですが、時間が参りましたので終わらせていただきたいと思います。  今日はどうもありがとうございました。
  25. 竹谷とし子

    竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子でございます。  三人の先生方、本日は大変貴重なお話をいただき、誠にありがとうございます。  それぞれの先生方に少しずつテーマに沿った違う質問をさせていただきたいと思います。まとめて質問を述べさせていただきます。  まず、水谷参考人から、地方自治体でできるこの炭、炭化をすることによる脱炭素、地方自治体で取り組める大変身近な、そして日常的に出てくる食品等の廃棄物を処理する過程で脱炭素になるという、そういうお話を伺いまして、これ全国展開していく価値のあるものなのではないかというふうに感じました。  その際に、地方自治体に対してどのような、やりたいという地方がある場合にどのような支援があれば進むのかということについて伺いたいと思います。  また、技術開発を行えば、炭化炉の改善で更に脱炭素が進むというお話がありました。これについてももう少し、どのようにすればそれが進むのかということについて伺いたいと思います。  そして、小西参考人のお話の中で伺いたいところたくさんあったんですけれども、お話の中で触れるお時間がなかったのだと思いますけれども、資料の中にサステナブルファイナンス、日本の課題ということでお示しをいただいております。  身近なところで取り組める、今ある技術での脱炭素とともに、これからイノベーションをしていく、また、ライフスタイルをもう根幹から変えていくといったことも必要になってくると思いますけれども、そうしたことを後押しをしていくために企業が活動をしていく。その際に新しい投資が必要になってくるわけですけれども、そのためにファイナンス、サステナブルファイナンス、海外でもしっかり基準を作って、何がグリーンか、サステナブルな経済活動なのか、そうした定義をしっかりと作って、それを伸ばしていく方向にお金が回っていくようにということを海外、特にEUはしっかり定義しながらやっているわけでございますけれども、日本ではまだ定義がないという御指摘をいただいております。  このサステナブルファイナンスについての日本の課題について、小西参考人にお話を伺えればと思います。  小島参考人からは、地域の再エネ導入に関して非常に重要な御指摘いただきました。特に、再エネ地域の中で推進をするべきである、しかしながら、その際には環境影響など地域の中でも問題が生じてくるというコンフリクトについて明示をしていただきました。  小島先生はいろんな地域の再エネ導入も調査をされて見ておられるということで、地方自治体が中心となるような、資料の十五枚目のところに、地方自治体が中心となるような地域主体の再生可能エネルギー開発への支援、十分な情報提供含むということで書いていただいております。地方自治体が中心となるような再エネの開発への支援を国として進めていくために、更に何をすればいいかということについて御教示をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  26. 水谷広

    参考人水谷広君) どうもありがとうございました。この炭にするということが、今からでも地方自治体それぞれに適用できるのではないかとおっしゃってくださって、大変うれしく思いました。  この廃棄物というか、地方で炭にしていくというときに、廃棄物などからできる、これはもう、規模の大小にかかわらず、どこの自治体でもごみの収集ということは行われておりますから。そして、それを市民に、これが実際に地球温暖化を防ぐための大きなファクターになるんだということを周知していただければ、市民が喜んで協力するということになるんですね。  先ほどちょっと申し上げましたように、ストックホルムでは、実際に芝刈りくず、それが処分に困って出しているわけですけれども、それが炭になって、今度は土壌改良材として庭にまけるんだということで、大変もう市民にはハッピーな状況にもなっているわけです。  そこで、問題点ということになりますと、まあ二つあります。法律的な問題と技術的な問題、どちらもやっぱりお答えしないといけないと思います。  法律的な問題でいいますと、これは生ごみを処理して、あるいは剪定枝を処理してということは、これはごみの処理と。衛生的な処理をしなければいけないということで、通常ですと完全に二酸化炭素までに燃やして、二酸化炭素は気体ですから目に見えません、空気中に行ってしまえば、ああさっぱりと、こういうことになるわけです。ところが、炭にしますと、これは固体で、真っ黒なやつがその辺にたまっているわけですね。これは、今度はごみ処理で出てきた廃棄物という扱いになります。それで、それはそれで厄介なものなんですね。  ですから、実は、有機の生ごみなどを処理するのに、燃焼炉で二酸化炭素にする選択と炭化炉で炭にする選択と両方あるときに、自治体の人たちがどちらの炉を採用しようかとすると、大部分は燃焼炉、みんな二酸化炭素にしちゃう方に流れているんです。それは、出てくる炭が廃棄物としてまた処理しなきゃならない厄介なものになっているからです、法律上。こういうところの法律の整備が大事だと思います。  もちろん、そのごみ処理で衛生的な処理というのは、もうそれは欠かせません。感染症、そんなものが起きたら困るわけですから。でも、それはそれの上で法律をちゃんと整備して、炭化炉、こういうものが選択の中に入るようなものも必要だろうと思います。  技術的な方、技術的な方では、この私の資料の八ページにありますこの廃棄物中の炭素の何%が炭になるかというデータで、食品廃棄物、生ごみ袋に入った四百四十七キログラムのうち、炭素が百キログラムあります。この場合には、百キログラムのうちの二十一キログラムは炭になるんですと。今でも収率二割で炭を得ることができるんです。その分、二酸化炭素の量に換算しますと三百七十キログラムの二酸化炭素削減できるんだということですけれども、実はちょっとみそがあります。  この上のグラフの図の中央部、御覧いただくと、追加炭素化石燃料九キログラム炭素と、こう書いてある。実は、この処理していく間に熱処理をしたりするために化石燃料九キログラムを燃やしております。この九キログラムの化石燃料を燃やしているのは、技術をきちっとしまして、右上にあります棒グラフの循環熱利用十二キログラムカーボンというのがございますね、この十二キログラムカーボンの循環熱利用をする、をこの追加炭素に回すようなことも十分できるわけです。  こういった炭化の仕組みの技術開発、これは一つの例ですけれども、たくさんの技術開発をやっていく、これも必要なことだと思います。でも、どれもこれも、空にパラソルを浮かべるような、とんでもないと言ったらおかしいんですけれども、まあとんでもないんですかね、そういう対策、イノベーションと言われる中で実現できるのかできないのか。この日経の記事の一ページ目、下の方に、第三パラグラフの下の方、二行目、三行目、まだ見ぬ技術も総動員して劇的に排出を減らす、実現できる保証はないが。実現できる保証がないのは困るんです。ちゃんとやってくれなきゃいけないんです。  そういう意味では、確かに炭化技術、まだ不足している部分もありますけれども、既に七、八割方の実行、実現はできているわけですから、あとちょっと加えればいい。二〇三〇年、二〇五〇年にその工夫をやれるようになると私は思っております。
  27. 小西雅子

    参考人小西雅子君) サステナブルファイナンス、御質問ありがとうございます。  これ、今、日本のこのまさに課題は、先生おっしゃったように、これ、実際に日本には何がグリーンかという定義がなくて、結局、先行しているEUがEUタクソノミーとかいって先に立てられてしまうと、事実上それが世界のスタンダードになっていってしまうというところにあります。  日本は、やっぱり遅れてその二〇五〇ゼロとかいって、その後すぐ二か月後にグリーン成長戦略とか、非常に急速にキャッチアップしているので、事実上そのグリーン成長戦略が日本の一種のゴールみたいな形になってしまっていて、そのゴールを見ると、石炭火力がまだずっと二〇四〇年も使われていたり、電動車、日本の独自の定義があったりとかすると、そこに向かっていくということ自体がまるで日本の脱炭素化のトランジションだということで、日本独自の、世界から見て、メガトレンドから見てどうかなというようなトランジション戦略、それを日本のトランジションファイナンスの定義としてそれに資金を集めていくというふうにした場合、やっぱりそのガラパゴス化が一番懸念されるところだと思っております。  結局、金融は世界規模で動くので、その世界機関投資家からの資金を集めるといった場合、それで日本の脱炭素に向かっているトランジションとして認めてもらえるかといったところが大きな課題だと思っております。  それの一つの解決策としては、やっぱり先ほどの、三木先生もおっしゃったような連携が重要だと思っておりまして、ここの四十四ページに書いておりますネットゼロ・アセットオーナー・アライアンスとか、これ国連の主導のものなんですけれども、こういったものの、まだいろいろな連携しているのが、例えばWWFも入っていたり、このクライメート・アクション・ワンハンドレッドというこのものも、インフルエンスマップさんというような一種独立系の研究機関がデータプロバイドしているんですね。  ですので、そういった国際NGOとか独立系研究機関とか、いろいろなそういったものの知見を取り入れるべく、もう政策の中に、そこの中での連携でグローバルスタンダードを当初から日本の中の政策に取り入れていくということが一つの解決策になるのではないかなと思っております。  以上です。
  28. 小島延夫

    参考人小島延夫君) まず、地方自治体の導入を進めるためには、やはり地方自治体が具体的に参加しているというイメージを持てる仕組みをつくってあげた方がいいと思うんですね。  これ実は、やっぱり環境省が所轄するとそういうところが必ずしも意識が十分行かないんですけれども、総務省が行う場合ですと、地方自治体政策を進めるときは必ず地方六団体に意見を聞いて物事を進めていくという仕組みを取っているものですから、もし本当に地方自治体に本格的に参加いただくということであれば、ちゃんと地方六団体に声を掛けて、そこに参加いただきながら話を進めていく。特に、地方六団体の中でも全国市長会と全国町村会というところは、それぞれの議会も重要だと思いますけれども、そこに参加いただくと、これ全国にちゃんと全部根回しが行って話が進んでいきますから、やっぱりそこのところに話をしてそこのところの意見を求めて物事を進めていくという手続を取るか取らないかによって、やっぱり地方自治体への浸透は全く変わってくると思います。  この点は、恐らく総務省なんかが進められているときには常識なんですけれども、多分、環境省が進めるとなると、そういうところがすぽっと抜けて地方自治体の反発を招くということになりかねないので、そこは注意して進められた方がいいかなという感じは思います。  それともう一つ、具体的な施策として、先ほども申し上げたように、地方自治体にやれと言っても何も分からないので、やっぱりそういう人たちに技術や情報を提供できるような人の集まり、要するに、そういう再エネ支援の民間の人々の集まりをつくって、そういう人を適宜派遣していくというような仕組みをつくっていくというのは僕はすごい重要だと思います。  それで、それを先ほど来申し上げているように地方自治体主導で進めるというのがすごく重要でして、例えば、荒廃農地と一般には言われますけれども、耕作放棄地、これ、耕作放棄地を進めるといっても、耕作放棄地というのは、メガソーラーは、決して手を出すのはそんな簡単な話じゃないんです。耕作放棄地というのはまばらに存在するんですよね。メガソーラーというのは、大きなところを一遍に開発するからメリットが出るので、まばらに存在するものを開発するというのはなかなか難しいわけです。そうすると、やっぱり地方自治体が主導になってやらなきゃいかぬと。  あと、今注目されているものの一つとしてソーラーシェアリングという、農地を使いながらソーラー発電を、太陽光発電をするという仕組みがありますけど、こういうことを進めるためには、市町村のそれぞれの農業委員会の許可が必要になってくるわけです。そうすると、農業委員会がそういうことに理解を示さなかったら一歩も前に進まないという状況になりますので、やっぱりその辺のところをちゃんと地方自治体に話をして、こういう仕組みを進めていくと。それで、どうやったらそういうのが進められるよと。それで、しかも、それが地方自治体が主導でやることによって地方自治体に財政収入になっていくと。  今、先進的なところというのは、大体その地方自治体の通常の税収と同じぐらい若しくはその半分ぐらいの収入をこの売電収入から得ているというところもありますから、これちゃんと進めると、地方自治体については物すごく大きな収入源にもなるんですよ。ところが、やっぱり皆さんやらないのは、何をやったらいいか分からない、どうやったらいいか分からない、そういう状態ですので、そこのところがちゃんとできるような形にしたらいいと思います。  それで、これも環境省さんに申し上げることになるんですけど、環境省さんは皆さんやるのを支援しますといっても、じゃ、支援する人がいるんですかという話なんですよね、そこの周りに。だから、やっぱりそういう人のデータベース作ってちゃんと支援できるような体制を整備するということをしないと、やっぱり物事は前に進まないと思います。
  29. 片山大介

    ○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。  今日は、三人の先生方、本当に貴重な御意見ありがとうございました。  それでは、順番にちょっと聞きたいと思います。  まず、水谷先生からで、先生の言われた植林など自然に基づいた解決策という、私もこの考え方すごく大切だと思います。ただ、今、政府の目標が二〇三〇年度の目標で一三年度比四六%減で、なかなかこの先生のお考えは長期的なスパンなのかなというふうに思うんですが、そこら辺はどのようにまずお考えでしょうか。
  30. 水谷広

    参考人水谷広君) そうです。もちろん長期的なものです。  地球温暖化問題は、これは世代を超えた問題なんですね。今、若者が老人、私のような老人に抗議の声を上げています。私たちが享受してきた楽ちんなエネルギー多消費、物質多消費の生活、これのツケが次の世代に回る、これを考えなきゃいけないと思います。今日、明日、もちろん大事です。でも、私が意識的に考えておりますのは、次の世代にわたる問題であると。いろいろな技術の問題も、次の世代、それを考えた上で対策を練らなけりゃいけないと。当面のことだけに考えて後に禍根を残すというのは、たくさん実は例があるんです、科学技術の歴史の中で。そこから学んで、長期的なことをまず考えておかなければいけないと私は思っております。
  31. 片山大介

    ○片山大介君 ありがとうございました。  それで、次に、小西さんと、あと小島さんにお伺いしたいんですが、今回のその温対法の改正案、一番の目玉というかメーンは地方自治体にきちんと再エネの取組をしていただくということなんですが、実行計画、言われたとおり、確かにこれは努力義務にとどまっています。それで、今この策定の、今の最新のデータだと、たしか市町村は二五%ぐらいしか作っていないわけですよね。それで、一方、そのゼロカーボンシティは、自治体の数としては三百六十六かな、ですけれども、人口規模では、実際はもう一億人を超えているんですよね。  だから、このギャップというのは何なのかと。このギャップを埋めないと、努力義務として策定してほしいといっても、なかなかやっぱり作ってくれないのかなと思うんですが、ここら辺は、また何が必要なのかも含めてお答えいただければと思いますが。
  32. 小西雅子

    参考人小西雅子君) おっしゃるとおり、ここはやはり努力義務なので、私ども、二〇一四年から、後ろにおります市川がずっとゾーニングなどを地域で、例えば鳴門市とかでやってきてはいるんですけれども、その後やっぱり拡大しようと思ったときに一番ネックになるのが、そもそもそれが、やるインセンティブがないんですね。  ですので、もちろんそのキャパがないということも大きいんですけれども、再エネ目標というもの、そもそもそれが一種、義務化されない限りは、わざわざそのゾーニングもするという意欲もなかなか湧かないですし、結局、いかに、そもそもの上からの指示があって、インセンティブがあって、そこに初めて支援を受けようという、そういうインセンティブも湧いてくるんだと思っております。  ただ、前の適応法のときからいっても、やっぱり法律の中に書き込まれると地方自治体さんの意識はすごく大きく変わるのかなという気もしております。ですので、今回はこれだけ新設されて、かつ市町村にこういったことということを、A、B、C、D、Eみたいな形でこういうのを作りましょうとなっていますので、本当は、先ほど申し上げたみたいに、原則として市町村も作るものとするみたいな形になるのが本当は理想で、それができないところだけ除外するという形になるのが一番理想だとは思うんですけれども、それが今回の中でこのままでいくとするならば、いかにやっぱりそれを措置していくかということが重要だと思っております。  ですので、もちろん、いろいろな支援事業とかすることはもちろんだとは思うんですけれども、それだけにとどまらなくて、今先生おっしゃったように、ゼロカーボンシティは、宣言が、国が出す前に出して、それを力で国に出してもらおうといったことで最初始まってきていたので、やっぱり積極的な自治体さんがよりそこを立てています。ただ、そこと再エネが必ずしも全然リンクしていないので、まさにそういったところの、先進的な地域からこの再エネ目標をもう設定していくんだという一種モメンタム。パリ協定も、結局、さんざん交渉を経て義務化されないまま、まあ一種、いろいろみんなで頑張りましょうという自主的なものにとどまっているんですけど、それでも各国はすごく今やっています。ですので、そういった形で、この中に入ったということを力にして、いかにあとは進めていける措置をここに入れていけるかが勝負かなと思っております。
  33. 小島延夫

    参考人小島延夫君) 二つ申し上げたいと思います。  一つは、今、小西参考人も言われたように、やはり中央の作る計画との連携性、連携をちゃんとする必要があるだろうというふうに思います。その点では、実はこのやっぱりカーボンニュートラルを実現するためには、二〇五〇年の目標だけじゃなくて二〇三〇年の目標をきちんとこの法律の中に書き込んで、そうすると、その二〇三〇年の目標ができるということは、それをブレークダウンしていかなきゃいけないですよね。それで各自治体にブレークダウンして、各自治体がどういうことをやらなきゃいけないと、それを受ける形で各自治体の実行計画を全部検証すると、そういう仕組みをつくっていかなきゃいけないと思います。  それで、何か同じような話をしてばかりいて申し訳ないんですけど、そうすると、その上の計画と連携した各自治体の計画になっているかというところまでちゃんと検証、チェックしなきゃいかぬですよね。そうすると、先ほど申し上げましたように、千八百自治体がその計画を作ってきて、それをちゃんとチェックする体制がなきゃいかぬ、今、環境省さん、できますかという話なんですよ。各自治体に義務化して各自治体に頑張ってもらうだけではなくて、それをやっぱり国がきちんと支援していく。支援していくということは、単に気合と根性で支援するわけじゃなくて、やっぱりその実際に人を配置してやっていくということがすごく重要だろうというふうに思っています。  それとの関係でいうと、ゼロカーボンシティ宣言は非常に大きな宣言ではあるんですけど、あれは基本的には宣言だけなので、それをどう実行計画に落としていくかというのが重要だというふうに思っております。
  34. 片山大介

    ○片山大介君 ありがとうございました。  それで、次に聞きたいのが、今回のその改正法で地域の再エネの取組は進むと思うんですが、やはり、先ほど小西先生がおっしゃったように、日本温室効果ガスの九割はエネルギー起源のCO2なんですけれども、エネルギー全般に対してどう取り組んでいくかというのは余りこれに盛り込まれていないですよね。やっぱりこれの問題は、小島先生も言われたように、やっぱり総合的、統合的なことができていない、エネルギー政策温暖化対策は別々に日本では行われていると思うんです。この弊害をどのように感じていらっしゃるかというのと、あと、なかなか省庁再編はできるものではないですが、簡単に、どのようにしていけばいいのかというのを、じゃ、これもお二人それぞれお伺いできれば、もし水谷先生もおっしゃれれば三人どうぞ、お願いします。
  35. 水谷広

    参考人水谷広君) ちょっとだけお話しさせていただきます。  やっぱりこのエネルギーは大変重要です。それで、このエネルギーが地下資源、石炭とかから得られるようになって、そして鉄ができて、鉄道ができて、物が運べて、世界的な流通のルートができたと。いわゆる産業革命なんですけれども、そういったもので近代の社会、現代の社会が成立しているというのが始まりなんですね。  ですから、このエネルギーは大変大事で、かといって、もうもはや化石燃料に依存できないというところで、そのことは十分認識した上で、他の環境政策との連携をきちっと図っていくと、その知恵の絞りどころだろうと思っております。
  36. 小西雅子

    参考人小西雅子君) もうおっしゃるとおり、日本温暖化対策って本当に、特に二〇三〇年に向けては肝が本当にエネルギーになりますので、本当は温暖化対策推進法という名の下にこのエネルギーのことを議論できない形になっているということ自体が大きな弊害だと思っております。ですので、本来はやはり包括的に省庁を超えてこの気候変動対策、そしてまた吸収源対策エネルギー対策も含めた議論の場がちゃんと法律に基づいてできるということがすごく重要だと思っております。  やっぱり今のままだと、例えばエネルギー長期戦略の問題とかにしても、官邸に有識者会議とかができても永続的ではないですね。実際に、例えば温対法のこの話にしても、気候変動に関する諮問委員会みたいな、気候変動委員会みたいなものが存在していないので、環境省と経産省の審議会にそれぞれちょっと質問、意見をもらう程度みたいな形になっているので、これ、今脱炭素化というのは経済全体に関わる事態で、昔の京都議定書のときとは違いますよね、フェーズが。日本もいよいよコミットしましたので、もう経済全体を見ていくというのがこの気候変動対策ということになるので、その時代にふさわしい基本法というものが本当に次の課題として大きくあるんだと思っております。
  37. 小島延夫

    参考人小島延夫君) 今、小西参考人が言われたように、やっぱり、もし仮に、先ほど申し上げたように、気候変動対策庁みたいなものができればベストですけれども、それができないとしても、気候変動委員会のような独立の専門機関をつくることはできないかと、最低限でもですね。それで、そこが例えばエネルギー政策、それからインフラの政策、そういったものも含めて全体を見ていくと、気候変動という観点から。それで、それが政策決定のプロセスで検証していくし、実際、その実施状況もそこがチェックしていくと。そういうような組織だけでも最低限つくれれば、相当ばらばらに物事が進んでいるという状態は改善されるんじゃないかなというふうに思うんですね。  大体、今の日本エネルギー気候変動対策のうまくいっていないところというのは、必ずしも統合していないところなんですね。エネルギー部門ですとか、あとは実は運輸の部門も余りうまくいっていないんですけれども、これは全部それぞれがばらばらにやっているからなんですね。だから、そういうところを少なくとも、省庁として統合することはできなかったとしても、専門委員会的なもので統合してチェックするというような仕組みをつくれないかというふうには思います。
  38. 片山大介

    ○片山大介君 ありがとうございます。  それで、あとは電源構成のことでちょっと聞きたいんですけれども、今ちょうど見直しをしていて、もう新聞ではかなりいろいろと、まあ推測記事というんですか、出てきていますけれども、この中で原子力についてなんですが、原子力は大体今の二割程度、そのまま据置きじゃないかと言われています。  これ、カーボンニュートラルの実現に向けて、この原子力に対する評価というのはどのようにお考えなのか、これも簡単で、それぞれお三人から聞ければと思いますが。
  39. 水谷広

    参考人水谷広君) 私は、原子力がもたらす放射性廃棄物の問題は、原則的には十万年管理しなきゃいけないと言われておりますので、原子力を利用するのは反対です。  原子力、十万年といいますと、十万年前のここの日本列島に何人の日本人がいたか御存じですか。御存じですか。一人もいないんです。日本列島には日本人は一人もいなかったんです。その時間を、逆に十万年先まで誰が責任を持ってやれるというんですか。次世代といいましたけど、次世代どころの騒ぎではないです。しかも、その放射性廃棄物、きちっと管理しなければ大変なことを起こすわけです。私が申し上げている炭、これはもう何億年も、何億年も地下に黙って何の管理もされずに安全におったやつです。そういうものとはまるで違います。  原子力発電、例えばもっと直近のことを考えて、二〇五〇年実質ゼロにすると、今現在ある原子力発電所を再稼働すると、寿命を過ぎたけれどももうちょっと動かそうと、それはそれで当面のこととしては結構かもしれません。でも、二〇五〇年、二〇六〇年、そういうちょっとした先のことを考えると、もう寿命が尽きた原子力発電所以外の新設の原子力発電所を造らなければならなくなります。この新設の原子力発電所を造るためにどのくらいの物質とどのくらいのエネルギーを使うのかと、どのくらいの気を遣って管理していかなきゃいけないのか、そういったこと。そして、実際に事故が起きました。そういう教訓をきちっと踏まえて原子力の扱いをしていただきたいと思います。
  40. 小西雅子

    参考人小西雅子君) WWFも、原発はもう今新増設しない、このまま稼働三十年で終えていくといったエネルギーシナリオの前提にしております。  それの理由としては、一番は、再エネがこれだけ安くなって、これだけ可能性がもう世界中である中で、もう原発に経済的優位性はないですね。そのときに、気候変動対策のために、これほどリスクがあって、核廃棄物の問題もまだ解決されていないエネルギー源を今後も継続するという合理的妥当性はないと思っております。  これは、再エネのポテンシャルとの議論と相反する両輪だと思っておりまして、日本で再エネのポテンシャルが二〇五〇でも五、六〇%と考える風土だから原発が必要だという発想になるんだと思いますが、世界のメガトレンドをやっぱりもっと見ていくべきだと思っております。
  41. 小島延夫

    参考人小島延夫君) 私も原子力発電は三〇年までに全て操業を止めるべきであり、当然新増設もすべきでないというふうに考えています。  理由は皆さんおっしゃったところですけれども、再エネとの関係で申し上げると、今現実に原子力発電に備えるために電線の一定容量がそこで確保されてしまっているんですね。そのために再エネが接続できないとか、そういうような状態が起きています。ですから、逆転した状態なんです。  しかも、再エネと原子力発電というのはすごく相性が良くないんですね。原子力発電というのは変動性が非常に難しいものですから、再エネの変動に応ずることができない。そういう点でも親和性が非常に低いものですから、再エネをこれから進めていこうということを考えるのであれば、やはりなおのこと、原子力発電は早急にやめるということを考えるべきだろうというふうに思っております。
  42. 片山大介

    ○片山大介君 ありがとうございました。
  43. 柳田稔

    ○柳田稔君 国民民主党の柳田でございます。今日はどうもありがとうございました。  まず、小島先生にお伺いをしたいんですけれども、私、選挙区広島なんですよ。何年かに一遍大洪水が起きて、道路を直さないといけない、農地を直さないといけないと、いろんな要望が地方自治体に来るわけですね。その中でも、地方自治体の仕事としては、まず図面描かないといけませんよね、道路にしても農地にしても。それを発注しないといけないんですが、図面描く人が地方自治体いないんですよ。で、どうするかというと、外注しちゃうんですね。それもまた問題があって、まず一番目に、県の仕事を外注が取っちゃうんですよ。その次が市町なんですよ。すると、どんどん遅れていって、苦情を受けるのは市町の人たちなんです。それぐらい地方自治体というのはマンパワーがないのかなと実は思っているんですね。  そこで、ここで今度は環境のことを頑張ってやろうと環境省から地方自治体に指示が行くわけですよ。どうしたものかなと。先ほど先生がおっしゃるように、人はいない、金はない、技術はないところにやれと言ったって難しいよねと実感しております。でも、実感していてもやらないといけませんよね、これは。そのときに、おっしゃるように、環境省にはマンパワーも予算も技術もない。どこにあるのかと聞くと、技術は経産省とか、金は財務省とか、ばらばらだと。それを一本化しなきゃならないという点についてもう少し強い意見を聞かせてもらいたいのと、県の役割ですね、これがちょっと、教えてもらえればと思うんですよ。よろしくお願いします。
  44. 小島延夫

    参考人小島延夫君) 最初に御指摘いただいた、人がいないという話と県の役割というのは、実は非常に関係性が強いというふうに思っております。実際、地方自治体でも、周辺部の自治体はおっしゃるとおり非常に厳しい状況にあります。そういうところでは、やっぱり県による支援というのはすごく重要な役割を持っていて、特に技術的な関係でも県の支援は非常に重要だと思っています。  昨今、都道府県の役割がどんどんどんどん小さくなって、都道府県自体が力を失っているんですが、やっぱり都道府県が持っている力というものは決して無視できないものがあって、道路を造ったり壊れたところを直したりと、そういうような整備の力という点では、やっぱり県の技術力をちゃんと確保していくというのはすごく重要だと思っています。それで、そういう点では、やっぱり県の役割を明確に位置付けて、それでもって県も一緒になって市町村を支援していくという仕組みをつくるというのはすごく重要だと思っています。  それからもう一つ、さっきの統合の話との関係でいくと、太陽光発電を実際に例えば進めるということを考えたときに、農地とかそういうところに関わってくる可能性というのは高いんですけれども、これは上に行くと基本的には農水省の管轄なんですよね。そうすると、農水省がそういうのに理解を示さない限り、これ実際上の運営が前に進んでいかないんです。ですから、やっぱりその実際担当する農水省の方と政策的なすり合わせをして物事を進めていくという体制を現場に下ろしていく。  それで、あと、地方自治体がやっぱりインセンティブが非常に少ないというところでいうと、地方自治体にどういうふうに収入として跳ね返ってくるかということの青写真をきちっと描くということと、もう一つはやっぱり、もしこれをやらなかった場合に自分たちが何が起きるかと。先ほど冒頭お話あったように、広島、ここのところずっと毎年、今までにないような豪雨に遭っています。あの二〇一八年の西日本豪雨を始めとして大変な被害が起きていますけれども、これはやはり基本的には気候変動の大きな影響があると言われています。だから、これ以上、私たちの住んでいる市町村の豪雨災害による被害を防ぐためにも、今私たちが対策を取らなきゃいけないんだと、やっぱりそこのところが共通認識として生まれるかどうかですね。  ドイツのバイエルン州の小さな村でエネルギー自給率六〇〇%というところを見てまいりましたけれども、やっぱりそこの村長さんが言われるのは、今の状態の中で私たちがこのエネルギーに取り組まなかったら私たちの貴重な環境が本当に破壊されてしまうんだということを、熱を持って、小さな村の人口たしか数百人からのところだったと思いますけれども、そういうことを語られるんですね。やっぱり、そういう認識を共通に持つことによって物事は変わっていくと思います。  ですから、その辺のところを、そういう共通認識を持つことと、県の支援をすることと、それから実際上その支援に当たれるような人をそのどこかの組織に統合するということを考えていかなきゃいけないというふうには思っております。
  45. 柳田稔

    ○柳田稔君 言うはやすしで行うは難しと。  地方に住んでいる人たちは、自分の生活が先なんですよね。温暖化、何それと。俺の御飯の金をくれというのが先なんです、大体が。そういう中で、市町において意識付けするというのは本当に難しいんじゃないかなと。ところが、十年で四六%削減ですよね。本当に至難の業だなという実は実感していまして、もっと何かないのかなという気がするんです、私は。  おっしゃったように、首長というのは大きな権限持っていて、首長がこれが最重要課題だと言うと、行政そっち向いてくれるんですね、ある程度。ところが、首長さんの中で温暖化と言う人、めったに聞きませんよね。だから、何かもっと特効薬ないかなと、十年で効果が出るようなという気が実はしています。  今の話聞いていて、小西先生、どう思われます、この地方自治体の実態について。
  46. 小西雅子

    参考人小西雅子君) もう本当は我々もどういう形が一番再エネを進めるのかということを考えなければいけないんですけれども、まだそれを、考えがまとまっておりません、もう正直なところ。  一つ参考例としては、例えばドイツのように、国の再エネ目標というものを例えば各都道府県に割り振って、その割り振った数値に行くまで市町村にゾーニングをしていってもらってすり合わせていくみたいな、そういったことが一つ考えられるのかなと思うんですけれども、本当に私たち、エネルギーシナリオ、統括的に全体的にということはやっているんですけれども、実際の現場でどうやって動かせば一番いいのかといったところには、申し訳ないんですけど、まだ妙案持ち合わせていないんです。
  47. 柳田稔

    ○柳田稔君 ありがとうございます。  なかなか難しい課題で。でも十年ですからね、もう。とすると、この二、三年でちゃんとした仕組みをつくって、実行に移し始めないといけないと。で、効果が出るのが十年先かなと。なかなか大きな課題で、やらなきゃならないけど頭をひねるという感じがしていまして、また何か知恵がありましたら教えていただければと思います。  今度、小西先生に、資料の燃料アンモニア産業の成長戦略とか自動車・蓄電池産業の成長戦略とかいうペーパーですが、これをもう少し説明してもらいたいんですよ。というのは、先ほどは地方自治体だったんですが、今度はこれ産業に関する大きなことが書かれてあるので、できましたら説明をもう少し詳しくお願いします。
  48. 小西雅子

    参考人小西雅子君) ありがとうございます。  私たちの一番これを見たときの最初の印象は、これは本当に革新的技術イノベーションをとても重視している計画だなということで、足下の本当はすぐに導入していけること、脱炭素化のためにとても今本当は必要なことという分野が入っていないなと思いました。  これ、例としてアンモニアとそれからこれ持ってきたのは、特に、このアンモニアって元々水素と窒素を結び付けたものですので、水素を何で作るか。まず、今水素はグリーン水素、グレー水素、ブルー水素なんという言い方で言われていますけれども、その水素に更に窒素をくっつけて、さらに多分、日本以外から運んでくるといった、こういった非常に効率的に半分以下になってしまうようなもので、それでも石炭火力を使い続けていくという選択をする、これが費用効果的に日本の将来の姿として果たして得策なのかということは本当は正面切って議論するべきなんだと思うんです。  でも、今はまるで脱炭素化というと、それこそ水素をどこかから、海外から運んでくるとか、あるいはアンモニアとかいったことがすごく取り沙汰されていて、それの、実際、足下すぐできる例えば石炭火力をやめていくとか、もっと例えば鉄鋼でいえば電炉化を進めていく、電化を進めていくといった、そういったことの議論に集中するのではなく、こういった一種、日本独自のものに行く懸念があるなと思ってこの成長戦略を見ておりました。  こちらの電動車もそうなんですけれども、日本はやっぱりハイブリッドがとても強くて、当面はやはりハイブリッドでいくんだと思うんです。なぜなら、日本の電気使った電気自動車は決して脱炭素化に優しくはないので、日本ではそうならざるを得ない。けれども、世界のトレンドから見た場合、既に欧米とかはもう再エネがどんどん五〇、六〇となっていく、二〇三〇年にはもう一〇〇になっていくような国もある中では、やはり電気自動車というものが一つの解になります。  そのときもやっぱり同じように、これ、エネルギー、電気のままで使うというのが一番エネルギーを変換しないで済むので効率的なので、なるべくこの熱・燃料需要を電化していくというのが脱炭素化社会において一つ非常に重要なテーマなんですけれども、そこにおいても日本は一種、独自の路線を行くということを、本当はこれ基本法とかがあって、この長期戦略というのもきちっと話し合う諮問機関もあってという形で進んでいったら、こういったことだけで話し合われないんじゃないかなと、そう思いました。
  49. 柳田稔

    ○柳田稔君 環境省にお伺いすると、これから具体的なことをいろいろ決めていきますというふうに実は聞いています。どう進めていくのかなと。  実は私、製鉄会社の出身なんですよ。やり玉に上がっているわけです、高炉が。で、高炉を水素でとかおっしゃるので、環境省さんが、そんな話ができるかなと思ったりしているんですよ。まあなかなか難しい技術課題もあって、解決しないといけないんだけど、国の予算も欧米に比べると大分少ないですよね。一年二年の話じゃないですよ、十年ぐらいのことを考えると、この辺も相当考えていってやっていただかないと、日本から製鉄業が消えちゃうのかなと。あと、カーボンプライシングの話もあるので、トータルでいくとなかなか厳しい産業になって、鉄も海外から輸入する国に成り果てるのかなと思わぬでもないので。  私の立場からいうと、産業界から見た目というのはありますので、その辺も考えてもらえればと思います。  以上です。     ─────────────
  50. 長浜博行

    委員長長浜博行君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、関口昌一君が委員を辞任され、その補欠として柘植芳文君が選任されました。     ─────────────
  51. 山下芳生

    ○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  三人の参考人の皆さん、ありがとうございます。  まず、小島参考人にお尋ねします。  私もこの間、環境影響評価、アセスの在り方について当委員会で取り上げてまいりました。先生の先ほどの意見陳述では、もう時間がなくて、資料最後のアセスの部分については全くお述べにならなかったと思うんですが、アセスの在り方について改めてお考えを聞かせていただけますでしょうか。
  52. 小島延夫

    参考人小島延夫君) 環境アセスメント制度というのは、一九六九年にアメリカで国の法律として最初にできたものでありますけれども、これは、実質的には、自然保護のようになかなか定量化できない保護対策を現実的に実行するためにどうしたらいいかということで、その調査の手続を尽くすということによって、調査、予測、評価の手続を尽くすということによって環境保護を実際上実現するという目的でつくられたものです。  それで、それをどうやって実現するのかということでいうと、アメリカの国家環境政策法は代替案作成というのを一つの大きな内容としていまして、これは要するに、環境影響をできるだけ減らすというためには、いろんな案を作って、その案を比較検討することによってどういう案がいいのかということを目に見えるような形にしていく、それによって今やろうとしている施策が適切なものなのかどうかを判断していく。そういう意味では、代替案検討というのは非常に重要な意味を持っています。  それから、当然のことながら、この環境アセスメントは、ある施策を実行するかどうかということの段階で決めるわけですから、もう施策を実行することがある程度固まった段階ではなくて、できるだけ早い段階でその判断をするというのがすごく重要になります。実際問題言って、やっぱりある程度実施することが決まった段階で環境影響評価で止めるということになると、いろんなロス、手戻りの問題が発生しますので、やっぱり早期の段階においてきちんと検討するというのはすごく重要。しかも、それを実質化するという点では、代替案検討をきちっとやるということがすごく重要になっています。  残念ながら、日本の場合は、配慮書の問題ということで、早期の段階の検討はある程度入ったんですが、この代替案検討のところがいま一歩曖昧な形になっている結果、なかなかその辺の本来なされるべき環境アセスメントが現実的には機能していないという部分があります。  そうはいいながらも、最近の事例でも、メガソーラーの乱開発などで環境影響評価の過程で意見が出て止まるというようなことも出ていますので、やっぱり環境影響評価制度というのは極めて重要なものだというふうに思っております。
  53. 山下芳生

    ○山下芳生君 ありがとうございます。  もう一度、もう一問、小島参考人に伺いたいんですけれども、先生、自己紹介でも述べられたように、横須賀石炭火力行政訴訟の弁護団長もされているということですが、私も横須賀火力発電所の問題を含んで石炭火力について度々当委員会で取り上げてまいりましたが、この温暖化対策気候変動対策気候危機を回避するという点で石炭火力の問題をどう考えればいいのか、どう考えておられるのか、小島参考人意見を伺いたいと思います。
  54. 小島延夫

    参考人小島延夫君) この点は、もう政府の資料でも当然出ているんですけれども、どんなに高効率化しても、現在の石炭火力であれば天然ガスの倍以上の二酸化炭素排出するという形になります。これは、最新の技術を使ってもそういう形になってしまいます。ですから、やっぱり石炭火力を進めるということは、明らかに二〇三〇年四六%削減、あるいは二〇五〇年カーボンニュートラルということに矛盾する政策にならざるを得ないと。これは、いかなる形でも進めることはできないのではないかというふうに思っています。  これ、現実に諸外国で見ると、もう大体重立ったヨーロッパ諸国は二〇二〇年代の前半に全廃するということを言っていますので、もう本当に世界のトレンドの中で完全に遅れてしまう状況になる。  それで、実際問題を言うと、メガバンクにしても、そういう投資機関を含めてほとんどのところがこの世界のトレンドの中で作業していますから、そういう中でいうと、日本だけこういうことをやってそこに何かお金を出してくれということをやると、逆にその銀行が、日本でそういう制度に融資したことによってほかの国での営業がしにくくなるということになりかねないと。日本でおたくの銀行はこういうところに融資しているじゃないかという話になったら、世界、ほかの国での活動ができにくくなるんじゃないかということになりますので、もうそういうようなことは早急にやめた方がいろんな意味でプラスになるんじゃないかと思っています。環境影響に及ぼすだけではなくて、やっぱりもう本当にビジネスの世界でも大変困難を来すことになるんじゃないかと思っています。
  55. 山下芳生

    ○山下芳生君 ありがとうございます。  関連して、小西参考人にも伺いたいと思うんですけれども、先ほど意見陳述の中で、二〇三〇年四六%削減を実現し、更に五〇%を目指すには、二〇三〇年石炭全廃止が必要だと。これが残っていると、つまり石炭火力が残っているとということだと思いますが、四六%は出てこないと、そうおっしゃいました。もう石炭火力全廃なしに、菅総理が四六%と世界に約束したこの三〇年目標はできないんだと。これ、もう少し詳しく御説明いただけますか。
  56. 小西雅子

    参考人小西雅子君) 私たちも、このエネルギーシナリオ、研究者と一緒にずっと作ってきているんですけれども、最初やっぱり、どれぐらいできるかという数字を出したときに、石炭火力全廃かつ産業界における石炭使用をガスに転換しなければ、このCO2で四九%という数字が出てこなかったですね。ですので、かくも石炭というものは日本においてCO2削減策としては効果のあるものかということを自分たちで再確認することになりました。  今まさにおっしゃったように、幾ら高効率でもガスの二倍を出しますので、二〇三〇年、それでも石炭火力使うならば、全部CCSを義務化するべきではないかと思っております。これ、CO2四九%で、ほかの六ガスの関係でいくとどうしてもそれが数字が四五とかに落ちてきてしまいますので、ほかをすごく頑張ったとしても、この石炭火力というもの、もちろん電源に占めるものだけではないんですけれども、残っていると、どうやって日本は四六%できるのだろうかとちょっと思っております。
  57. 山下芳生

    ○山下芳生君 関連して、小西参考人にもう率直な御意見伺いたいんですけれども。  一部報道では、日本政府は二〇三〇年に石炭火力を全体の二割程度残そうと、そういうふうにしようとしているんだという報道もあるんですけど、事ここに来てまだ石炭にしがみつくという政府の在り方がもしあるとすれば、言いたいこと、是非どうぞ。
  58. 小西雅子

    参考人小西雅子君) やっぱり日本産業界にとって、例えば電気料金とかあと日本の系統が果たして石炭火力全部なくなってできるのかといったら、現実性もすごく重要だと思っておりまして、私たち実際に、一時間ごとのアメダスの観測所を使っての、三百六十五日コンピューター走らせまして、実際、石炭火力ゼロでも、今、日本地域間連系線の容量がそれぞれ制限がありますので、それの中で可能かどうかということをやってみました。その結果、今の地域間連系線、もう既に増量が予定されているところは入れていますけど、それ以外なしで十分、今の既存のガス火力、今大体三〇%から五〇%の稼働率なんですが、それを六〇から七〇に上げることによって、石炭火力ゼロでも現状のインフラのままでいけるということが分かったんですね。  今、実はコストを計算しておりまして、五月二十八日に発表するんですけれども、総合の電源価格自体も、再エネ、燃料価格要らなくなりますので運転資金が減っていくので、そんなに電気料金も我々の計算では上がらないんですね。とすると、もうこれは決意の問題かなという気はいたします。  かつ、先ほど小島参考人がおっしゃったように、非常に日本は石炭火力の推進において、国連でも唯一、一番存在感を発揮しているのはそこといった、今はもちろん違うと思いますよ、四六%言って、ゼロ言ったので。でも、本当にCOP25まではそうでしたので、この外圧は今後もとても強いと思うべきなので、日本の産業にとってそれが得策なのかということの視点からも考える必要があるんじゃないかなと思っております。
  59. 山下芳生

    ○山下芳生君 ありがとうございました。  水谷参考人に伺いたいと思います。  先ほどの資料最後に、CO2海底下地中に貯留するBECCS、残念ながら日本には海底下地中の貯留は向いていないというふうに述べておられますので、この点御説明いただきたいことが一点と、対応して、炭にして貯留するのは日本に向いているんだということのこの根拠といいますかね、それから、どういうふうにすれば、それがいつぐらいにこの社会に普及するようになるんだろうという辺りもお聞かせいただければと思います。
  60. 水谷広

    参考人水谷広君) 先ほどの小西参考人のお話の中で、石炭火力発電は駄目なんですと、ちょっと勘弁するならばCCSが付いていなきゃいけないんですと、こうおっしゃいました。僕は、そのCCSは、付く火力発電所というのはないと思っています。少なくとも日本国内ではない。  なぜかと。その向いていないというのは、日本の火力発電所、どこにあるかと。燃やせる天然ガスでも、石油、石炭、こういうものを海外から持ってこれるところに置いてあるんです。つまり港ですよね。水辺のところにある。水辺のところは、他の生き物も含めて暮らしやすい場所なんです。そこにある。もちろん、人がたくさん張り付いているんで、そこに電力供給するのでいい場所でもあるわけですよ、火力発電所場所としては。ただ、それは、今までのやり方で、出てきた二酸化炭素、目に見えないガスなんで、全部大気に放出して、それで済んでいたからなんです。  ところが、今度この二酸化炭素をケアしなきゃいけないと。で、CCSですと、カーボン・キャプチャー・シークエストレーションと。二酸化炭素を捕まえる、ガスなんですよ、それを捕まえて、液体、固体にして、それで地中海底かに埋めると。先ほど申しましたように、近くに大きな油田があって、ばりばりばりばり油や天然ガスを取っている、そういうところで空いた穴に埋めるという発想は、イギリス、北海油田とか、ノルウェーとか、それはそれなりに頑張っていただいたらいいと思うんです。日本に、日本が大量に輸入している化石燃料の掘り出している場所があるのかと。みんな輸入しているんです。そこへどうやって運ぶのかと。大体、入ってきた石炭、これが二酸化炭素になるとずっと重くなっちゃうんですよ。入ってきたやつの三倍、四倍のものを運び出さなきゃいけないんです。  で、言いましたように、決して無臭、無害なガスではないんです。濃度が高くなれば毒ガスなんです。死んでいる方もいるんです。ニオス湖なんてカメルーンにある湖は、天然に二酸化炭素が湖の下にたまっていると。それが、あるときびゅうっと噴き出したと。湖畔の村が全滅して、最初に、全滅して、何で死んでいるんだろうという謎、誰もいなくなった村、何で死んだんだと。そこを地球化学の人が調べて、二酸化炭素が湖底から噴き出したんで死んだんだということが分かったんです。  同じようなことで、安易に日本の近海で、おお、ここ良さそうとかいって無理やり埋めて、それで二酸化炭素が噴き出したらどうするんですか。決してCCSは安易には頼れません。日本には向いていない。  それに比べると、御質問いただいたように、炭は向いているんです。昔から作っています。利用しています。作り方もあります。炭化炉もある。今は大気汚染をするような作り方をせずに、立派な樹木で備長炭作るだけではなくて、食品廃棄物、残渣、フードロス、そういったものから炭を作る。そして、その炭はずっと安全に置いておくことができるわけです。何のケアも要らない、放射性廃棄物とは先ほど申し上げたように全然違う性質のものです。固体です。  しかも、言ってみれば、炭素の化合物としては一番コンパクトで一番軽いもので、これほどいいものは言わばないんですね、炭素の形態としては。二酸化炭素、石油、石炭に比べるとはるかに扱いやすいものです。  いつかと。これは、それこそ、小西参考人小島参考人もおっしゃっていますけど、温対法の対策をどうやってやるかというその決意の問題ですよ、決意の問題。特別なイノベーションは必要ないんです。やる気だけです。
  61. 山下芳生

    ○山下芳生君 ありがとうございました。
  62. 寺田静

    ○寺田静君 今日は、参考人皆様、どうもありがとうございました。  寺田と申します。よろしくお願いいたします。  一番先に水谷参考人にお伺いをしたいと思います。  昨年の四月に発行されましたBIOCITYに掲載された論説に大変強く共感をいたしました。先ほどもお話の中でありましたけれども、若者の世代が怒りの声を上げているということでした。  私もフライデーズ・フォー・フューチャーの皆さんとお話をしたことがありますけれども、やはりこの若い世代の声というものを大切に聞いていかなければいけないんだとは思うんですけれども、なかなか日本の社会の中では、文化的に、歴史的にというか、女子供の言うことは余り聞き入れられないというか、さしたることではないというか、鼻で笑って、どうやってそんなことをやるんだというような感じで冷笑されるようなところがあるんだと思うんですね。  今、先日、若者世代と対話をしましたときに、この気候正義という考え方、その世代の不公平感であるとか、そうしたことがどの程度国会で広がっているのかということを問われて、残念ながら、私はほとんどまだ理解がないんではないかというふうに答えざるを得ませんでした。  そこで、小泉大臣は大変熱心に若者世代の声を聞かれていますし、また、私のお隣にいる橋本聖子先生も若者世代と夫婦別姓の件で対話をされたりしておるのを拝見をしておりましたけれども、なかなかまだまだ国会議員の多くには、この若者世代の声を真剣に聞くというところは私は浸透していないんではないかというふうに感じております。  そこで、水谷参考人に、この気候正義とは何かというところ、そして、特に環境政策において若者の意見を取り入れることの重要性を、皆さん、この場に国会議員が二十人ぐらいおりますので、このところを説いていただきたいというふうに思います。
  63. 水谷広

    参考人水谷広君) どうもありがとうございます。  BIOCITYに書いた私の文を読んでいただいて、大変うれしいです。  あの中で述べていますけれども、今その世代、若い世代が怒りの声を上げていると。私のような旧世代の人間がいろいろな楽ちんな生活をしてきたと、資源、エネルギーをたくさん使って、そのツケを全員、全部若い世代に回すと、そういうことで怒りの声を上げている。それを冷笑する人がいるんだったら、それはとんでもないということだと思っています。  何も知らないじゃないかと言うかもしれませんけど、若いんです、まだこれから学ぶんです。私のような人間は、もう何十年か生きてきて、それなりにいやが応でもいろんな知恵が付いてきています。そういう知恵はないかもしれない。でも、彼らは、サイエンスにベースして物事を考えましょうと、IPCCの報告書など読んで、その結果行動しているんですよね。単なるでたらめなことを言っているわけではないんです。もちろん、そういう人たちに正しい情報を更に与えるということは大事です。まだ欠けているところもあるでしょう。だけど、それをあざ笑うようなのは、とんでもないことですよ。  私、先ほどの私のプレゼンテーションの機会のときにはお話ししませんでしたが、資料の三ページ目に、「地球とうまくつきあう話」というのを私書きました。これは一九八七年のことです。まさに、このUNFCCC、気候変動枠組条約とかリオ・サミットとか、そういう時代のときなんですね。  ちょうどそれの直前ぐらいの頃でして、このとき提案したのは、先ほど柳田委員がちょっとおっしゃっていましたけど、首長の権限は非常に重要なんだけど、温暖化を語る人はいないんだと、一体どうしたらいいだろうと。まさに私もそれにずうっと悩んでおりまして、もう今の世代はどうしようもない人たちだと、自分も含めてですが、どうしようもない人たちだ。誰も関心は持たない、全部次の世代に放り出して、今の、おなかいっぱい腹が膨れるだけのものを食って、楽ちんな生活をしているのが私たちだと。もうこんなことではどうしようもないので、私はこの「地球とうまくつきあう話」で提案しました。もう人間が変わらなきゃいけない、人種が変わらなきゃいけない、ホモサピエンスなんて言っているのはばかだから、ホモ・サピオテンプスでなきゃいけないんだと。どういう意味かと、それは時間をちゃんと知るということなんですね。  ほかの動物は、例えば馬さんをちょっと例に挙げてはいけないんですけど、目の前にニンジンがぶら下がると、もうニンジンに夢中でそれにかぶりつこうと、それしか考えないと。目の前のことしか考えない。今のホモ・サピオテンプスは、科学を知っているというのが名前を自分で勝手に付けているけれども、実は何にも知らない、時間のことを知らない。ただのほかの馬と同じだと、他の動物と同じなんだと。それじゃどうしようもないと。だから、人種が変わらなきゃいけない。新しい人間が生まれてこなきゃいけないということを書きました。  それで、その後、アメリカで熱波が起きたんです。そして、アメリカの議会が、こんな感じかもしれませんが、参考人を呼んで、ジェームズ・ハンセンというNASAの人を呼んで、何でこんな熱波が起きているんだという話をやって、それは二酸化炭素なんですって彼が答えたところからこの問題が始まったんですね。  それで、僕もそういった地球温暖化というのが世間で取り上げられるようになって、おお、いよいよこれは新しい人間が生まれてくるんだと内心期待しておりました。ところが、何ですか、もうそれから四十年ぐらいですか、たって、ずうっと失望の連続でした。  今、若者が怒りの声を上げているのは、僕にはすっごくうれしいんです。もしかしたら僕の勘違いかもしれないけど、ホモ・サピオテンプス、時間の幅を考えて、長い時間のスケールで物事を考えられる、本当に他の生き物と違った次元の人間が出てくるんじゃないかと、そう期待しているんです。  で、気候正義ですか。それは、もうそれは決まっていますよ。いろいろそれは茶々というか文句を言うところはあるに決まっているんです、何だって。でも、基本は、私たちが楽しんだ生活、それが次の世代には継承できない、むしろ、私たちが楽しんだ生活のツケ、ごみを次の世代に処理させるんだと。いつそれが噴き出してきていつ害を及ぼすかと、それをずうっとケアしながら、じいさん、ばあさんの使ったごみを管理する、そういう人生になると。それを何世代も続けると。そんなのどう考えたって不正義です。
  64. 寺田静

    ○寺田静君 ありがとうございます。  最近私も本を見ておりましたら、ドイツではこういう持続可能でない社会に子供を産むことが責任ある行動なのかということを考えて子供を持たないという人も出てきているというふうに書かれていて、本当に今おっしゃったことにすごく共感をしているところです。  先ほど三人の参考人の方から、原発はもうなしなんだと、どういう側面から考えてもなしなんだということをそれぞれのお考えの中で教えていただきました。それであれば、やはりこの再エネのところを何としても推進をしていかなければいけないんだろうと思うところなんですけれども、次に、小島参考人に御意見をお伺いしたいと思います。  私の住んでいる秋田県ですけれども、再エネがすごく有望なところだというふうに言われています。ただ、なかなか今地方で、どこもそうだと思うんですけれども、再エネ、自分たちの自然環境を破壊するみたいなところで反対運動が起きているということもあって、私もそこに頭を悩ませております。  その自然エネルギーのポテンシャルがあるんだということを聞いたときはすごくいいことだと思ったんですけれども、ただ、やはり、住み慣れた土地の景観が変わってしまうとか、あるいは渡り鳥、ハクチョウが飛んできますけれども、そういうところに影響はないのかと心配するような方たちが反対の声を上げております。  様々、私もいろんな方からお話を伺ってきましたけれども、一つ、ドイツには、環境省が財団を通してお金を出しているという自然保護とエネルギー転換の専門センターというところがあって、その地域で起きている一つ一つの反対運動、紛争のようなものを解決をするための組織があるというふうに聞きました。こうしたものがあれば、地域で起きている、誤解からくるようなものも含めて、紛争を早く解決をしていくことがかなうのかなというふうに思いますけれども、再エネのこれからの更なる普及のために、このドイツのような組織も含めて、何か解決の手段があるんではないかなと思うんですが、何か御存じのことがあれば、このドイツの例でも結構ですので、教えていただければと思います。
  65. 小島延夫

    参考人小島延夫君) 先ほど柳田議員の質問のときに十分答えられなかったことも含めてちょっとお話ししたいと思うんですが、やはり地域の再エネを進めるときには、地域の資源で地域に利益を還元するということがすごく重要だと思うんですね。ですから、やっぱり地方自治体が中心になってやると。今メガソーラーが問題になっているのは、地域の資源をどこかに持っていっちゃうということになるから問題が非常に深刻化するんだと思います。  ですから、今度、それこそ今秋田のお話が出ていたので、実は私、弁護士会の方でも公害対策環境保全委員会委員をやっておりますが、秋田の弁護士会から秋田では洋上風力絶対反対だという文書を送ってこられて、さあどうしたものかということになっていますけれども、これは、もう洋上風力も結局、本当に地元に還元するような仕組みになるのかと。どこかの大きな業者がやってきて、貴重な沖の漁業資源の大切なところに、資源を、そこの洋上風力やった発電を、結局別のところに利益が持っていかれてしまって、地元に還元しないんじゃないかと。やっぱりその辺りが非常に大きな問題なんだろうというふうに一つは思っております。  だから、やっぱり基本的には地域にその利益が還元していく、それで、自分たちのエネルギーは自分たちで自給して、かつそれを売電して地域収入にしていくと。そういうことによって自治体が潤っていくと。そういうことがあれば、その自治体に住みたいという人も増えていって、地域おこしにもつながっていくと。やっぱりこういう仕組みをつくるということがすごく重要だと思っています。  ただ、一方で、今ドイツの話が出ましたけれども、やっぱりドイツというのは物すごく厳格な自然保護法制があるんですね。そういう自然保護法制があるだけではなくて、自然保護のスタッフが物すごい数います。例えばバイエルン州の、バイエルン州という州だけの自然保護に従事している職員だけで五百人いるんですね。それで、僕は最近の状況知りませんけれども、昔は大体、環境庁の時代ですと、環境庁の職員の数が大体五百人と言われていましたから、日本全体で五百人しかいないところと、バイエルン州の実際に自然保護見ているところで五百人スタッフがいると。それで、バイエルン州で何らかの開発が起きようとすると、その自然保護、環境部局の人間がそこの現場に行って全部チェックしていくんです。  だから、太陽光発電が造られたときには、必ず太陽光発電のパネルの周りは全部生け垣で覆われて、見た目は太陽光発電がぱっと見えないような形になると。これは、そのミティゲーションでいうところの最小化というプロセスで、環境影響を最小化する事業をやる。それで、風力なんかもコウモリが飛ぶ地域だったらもう絶対建てない。だから、もう本当にそういう点では厳格な規制があるので、それによってある程度環境破壊が防がれている中なので、ある意味、その再エネ推進しても大丈夫だという安心感を地方自治体が持っていくんですね。  ただ、日本の場合はそれがないんです、残念ながら。先ほど環境アセスメントの話しましたけど、環境アセスメントの前に、身近な普通の環境を保全する法律がないんです。里山を保全する法律がありますかというと、ないんです。ですから、その辺のところに好き勝手に変なもの建てたとしても、なかなかそれを規制する法律がない。唯一、森林法があるんですが、これも非常に緩い形になってしまっているという形なので、この辺のところの整備をちゃんとするということがすごく重要だというふうに思っています。
  66. 寺田静

    ○寺田静君 どうもありがとうございます。  最後、もう時間がないので手短にですけれども、今のようなお話も踏まえて、私自身、衰退する地方にいる中で、なかなかこの地球全体の環境考えてということを、皆さんを説得する言葉を持っていないんですね。そのところに何かアドバイスを小西参考人からいただけたらと思います。
  67. 小西雅子

    参考人小西雅子君) 実際に説得する言葉、もうたくさん既に国民運動みたいな形で言われていると思うんですね。  私は実は、先ほどの柳田先生からも言われたこととも重なるんですけど、私は社会の仕組みを変えていくことが重要だと思っています。すなわち、環境に別に関心がなくても、地域で幸せに暮らしていても、何も考えなくても自然と環境配慮の行動をするような、そういった社会の仕組みに変えていくことが重要だと思っておりまして、まず第一にカーボンプライシングだと思っております。それが入ってくると、やはり省エネが進んで、やはり省エネが進んだ製品に価格競争力が付いていくという形になるので、実際には、国民の心に訴えることも重要なんですが、社会の仕組みによって誰もが意識しなくてもその方向に向かっていくことが重要じゃないかなと思っております。  済みません、直接のお答えじゃないんですが。
  68. 寺田静

    ○寺田静君 ありがとうございました。  終わります。
  69. 平山佐知子

    平山佐知子君 無所属の平山佐知子です。  今日は、本当に三人の参考人皆様、貴重なお時間をありがとうございました。  これまでも多くの方が議論して、私も同じ問題意識だなと思ったことが、やっぱりいかに地方で実効性を持って前に進めることができるのか、二〇五〇年カーボンニュートラルのためにということで、小島参考人の話にもありましたけれども、国も統合的にというか、そして民間も個人もみんな同じ共通認識を持って前に進めることがやっぱり大切だと思っていまして、今すぐに国民の皆様も一人一人個人としても行動変容ができるのかどうか、それに私は懸かっているかなというふうに考えています。  ただ一方で、やっぱり先ほど来からもあるように、実行に移すのというのはやっぱりなかなか難しい、国民の皆様一人一人にやっぱり自覚と覚悟を持って行動変容をしていただくというのは、なかなかやっぱり実際問題難しいなと考えています。水谷参考人のおっしゃるように、やっぱり便利な社会を捨ててまで、じゃ、地球温暖化防止のために何か行動を起こすのかというと、かなり大きな覚悟がやっぱり必要になってくると思うんですね。  以前、事前に読ませていただいた水谷先生の、参考人資料も、記述も読ませていただきましたけれども、例えば、あのグレタさんたち若い世代が気候ストライクをすることに対して、ニューヨーク市では教育局がデモ参加のための学校欠席をもう認めたり、また、イギリスでは議員の方がグレタさんに、あなたの訴えに応じないような政治家には歴史が厳しい判断が下すでしょうというようなお話をしたとか、そういう記述があって、私はそれを読んで、日本とやっぱり随分社会全体の温暖化防止に対する思いの強さというか、それが違うなと感じました。  例えば日本では、私、実際の経験上、例えば地方で自分の暮らすところに行って、いろんな方々に訴えて、地球温暖化防止今すぐやらなきゃいけないんだよと、行動変容しないとこういう未来の子供たち、未来の世代に大きな問題を残すことになりますよというふうに訴えても、何か余り響かないというか、ぽわんという空気が流れるような、実際、私もその場にいると、訴えていても響いていないなという感覚がありますし、SNSとかを使ってあらゆる方法でやらなくてはいけないという小西参考人の話もありましたけれども、あらゆる方向からいろんなことをやっていかなくてはいけないという状況の中で、発信をしても、やっぱり中には、今生きている私たちの世代には余り関係ないから面倒なことには手を出したくないというか、やりたくないという方が実際残念ながら多いように思います。  そんな中で、じゃ、どうしていけばいいのかと私なりにもいろんなことを考えているんですが、せっかく今日は三人の方お越しいただいていますので、どうやったら一人一人にもうちょっと自分事として捉えていただきながら、行動変容をしながらですね、未来の地球環境についても考えてもらえるのかどうかというのをもし、これまで話した中で重なる部分もあるかもしれませんけれども、アイデアとか御意見とか具体的な事例が、もしこういうふうにやったらどうかという御意見がありましたら、それぞれお伺いをしたいなと思います。
  70. 水谷広

    参考人水谷広君) どうも私の書いたものをちょっと引用してくださってありがとうございます。  あれを書きながら感じるのは、やっぱり日本というのはどうも変わっていると。少なくとも先進国、たくさんのエネルギーと資源を使って豊かな生活を成立させている国々の中でちょっと変わっているなと。リーダーの意識が違うと。その結果が、やっぱり社会の雰囲気が違って、どっちが、何というんですか、鶏と卵かもしれませんけれども、社会の雰囲気が変わって、そこから若い子供たちが、若い子供たちっておかしいですかね、皆さん、若い人たちが旧世代に抗議の声を上げて、またそれをリーダーが受け入れてきちっとした発言をすると、そういう現状を見て、さあ、どうしてこうなるんだろうと。  実は、先ほど申し上げましたように、私、「地球とうまくつきあう話」を書いたときに、もう今の世代はどうしようもないので、新しい種類の人間が生まれてこなきゃしようがないんだと、言わば放り出したようなところもあるわけです。だけど、その気持ちというのは、要するに、基本的な物事の考え方を変えない限り、根底が腐っていたら上に立つ者はみんな崩れちゃうんだと、根底が変わらなきゃいけないんだと。それは、言うはやすしです。先ほどちょっとおっしゃっていたけど、言うはやすしだけれども、そうでなければ大きな本当の変革は起きないだろうと。  私、ちょっと前までは大学で教員生活を送っておりました。もちろん、大学ですから私も若い人たちにそういうことをいろいろ語りかけてきました。でも、なかなか成果が上がらない。やっぱり日本の大学でしたのでなかなか発言しようとしない。一つ感じましたのは、大クラスの段階で各個人個人の発言を自由にさせるということ自体がもうなかなかしにくいんですね。それを小さなクラスにしますと結構発言しようという学生さん出てくるんですけれども、そういう機会をできるだけつかみたいなと思いながらなかなか実現できなかったのが、私のまあ一つの悔いです。ですから、言うことは言ったけれども、それを実践する知恵は結局私にはなかったというちょっと情けないお話なんですけれども。  ただ、先ほど言いましたように、やっぱりもう今までだと既成の体制というのがいろいろあって、便利さを供給してくれる組織というのがあるわけですね。いろんなものがあって、そこで利益を生み出していると。そうすると、その利益を生み出す体制をちょっとでも崩すのはそういう人たちにとっては嫌なわけです。だから、何につけ、何につけ、この便利さを捨てることになってしまうんですよと言って脅すんですね、ある意味。  実際に便利さを捨てる必要は必ずしもあるとは言えないんです。環境をきちっと保全しながら便利さは相変わらず保つことができる、その可能性は今まで追求していないんですよ。だって、環境なんて要らないものだったわけですから、目の前からごみがなくなればそれでよかったわけで。たくさんのエネルギーと物質を使って、安いエネルギー、安い物質、それをどうやって手に入れるか、そればっかりとは言ってはいけないのかもしれませんけど、それが主体の科学技術の発展が二百年間あったわけです。その科学技術の視点を変えれば、決して便利さを捨てる必要はないかもしれないんですね。そこをきちっと追求してほしいと、そう思います。そして、それを次世代に継承していくと。それが一つの私の、私自身は実現できなかった方向性だと思っています。
  71. 小西雅子

    参考人小西雅子君) ありがとうございます。  確かに、講演でもう本当にこれが必要なんだと言ってもなかなか響かないということは、本当に私も特に地域に行けば行くほど感じるときがあります。  一つ思うのは、やっぱり今、先ほどもおっしゃっていましたけど、広島ですごく洪水が増えて、例えば千葉の房総半島の洪水とか、今までにない異常気象が来ていて、これだけやっぱり三十五度を超える日が当たり前になって、そのうち気象庁、四十度を超える日に名前を付けなければならない日が来るかもしれません。  こういったひしひしと感じる影響というのは、これはもう誰もが、日本の方も既にもうお感じになっていらっしゃることとは思います。ですので、一種それがウエークニングコールになるかなという気はするんですが、一つは、今までもそうなんですけど、こういうことが起きていて温暖化だよ、だからこうしなきゃいけないんだよと知れば人は行動が変わるという、ちょっと一つ私たちはそういうふうに感じるところがあるんですが、それって私は少し幻想かなと思っておりまして、知っても行動変容しない方の方が多いんですね。  とすると、やっぱり、先ほども言ったんですけれども、社会の仕組みを変えることが重要だと思っています。先ほどから、ちょっと私、最初にここに来たとき、今日私、水筒忘れちゃったので、どうしよう、ペットボトルだったらと思ったら、当然、環境委員会はそうじゃない。しかも、ここにFSCなんですね。すなわち、生物多様性にきちっと配慮した紙で作っているというパック作られています。もしここにペットボトルしかなかったら私はペットボトルを飲まざるを得ないんですけど、これがあったら、きちっと生物多様性に配慮して、かつ、このプラスチックじゃないものを飲むことができる。すなわち、政策の誘導でできることはとても大きいと思うんですね。  ですので、それによって社会の仕組みを変えて、カーボンプライシングを入れ、こういった生物多様性配慮のガイドラインももう義務化しみたいなことで広げていくことによって、普通の人が何も考えないでもこの環境を配慮した行動を取るようになるように社会の仕組みを変えていくということが一番重要なんじゃないかなと思っております。  以上です。
  72. 小島延夫

    参考人小島延夫君) 私が付け加えることはほとんどないと思うんですが、この間、私がやってみたところで非常に受けが良かったのは、実は、先ほど少し話したお魚の話をすると皆さん、何となく地球温暖化といっても他人事、先ほど言ったように、洪水が現実に起きているじゃないかと、猛暑で人が熱中症で亡くなっているじゃないかという話をしても、何となくぴんとこない感じの方々が、今そこで食べているイカが、サンマがみんな、ノリが駄目になっちゃうかもしれませんよと、そういえば最近なくなったよねとか、みんなそういう話になって、一気に話に乗ってくるんですね。だから、やっぱり皆さんが実感として感じられるような話題を提供して、そういうふうになるんだったら何とかしようというふうに持っていくというのは一つ重要なポイントだと思います。  それともう一つは、今、小西さんが言われた、参考人が言われたように、やっぱりそういうものを選択すると何らかのメリットがある、そういう仕組みをつくっていくというのはすごく重要だと思っています。地球温暖化の問題もそうですが、日本というのは先進国の中で有機農産品が物すごく進んでいない国なんですね。あれ、何で日本だけこんなに進んでいないのか謎なんですけれども、本当少ないんですよ。それで、これも多分、何かいろんな制度の問題が僕はあると思っているんです、表示含めてね。表示とか価格問題とかそういうこともあると思うので、やっぱりカーボンプライシングを含め、そういった形で、経済の在り方としてそういうものをしていくのが有効であると、そういうことを考慮しないと逆に企業活動なんかもしにくいと。  ドイツなんかでやっぱり進んでいるのは、断熱を物すごく厳しく制限していますよね。それで、基本的には、ドイツの場合は、断熱性能をすごく厳格にして、新築の断熱の場合は一切補助金出さないですから、その断熱基準を満たすとなると物すごくコストが高くなるので。しかしながら、従来建てている建物をリフォームして断熱性能を持たせる場合にはちゃんと政府の補助金が出るんですよね。だから、みんなが建物を壊さずに古い建物をリフォームして断熱性能のいいものにどんどん変えていくと、そういう方向に誘導しているんです。そうすると、やっぱり建物を壊して新しいものを建てるというのは、それ自体がそのエネルギーを非常に使うプロセスなわけですね。  だから、そのプロセスを変えていってそういう形にしているというところがありますので、やっぱり国民の生活の仕方を変えるといっても、家の断熱性能そのものの基準もここへ来て新しく作りましたけれども、やっぱりそういう方向に誘導するような政策。それで、今の日本の政策は新築もリフォームも全く同じ、そこの間に差を付けていませんよね。そうしたら、みんな、古いものを直すよりも新しい建物、今ある建物全部壊して新しいものを造る。もうこういう非効率な、二酸化炭素排出量を増やすとしか思えないような行動に誘導しちゃっているわけですよ、政策的に。だから、そこのところを変える必要があるのかなというふうには思っております。
  73. 平山佐知子

    平山佐知子君 ありがとうございます。  時間が来ますので、もう本当に非常に、仕組みを変えることはまさに私たちのやることですし、今の身近な海産物の変化等も私もずっと問題意識を持ってやっているところなので、しっかりとこれからもやっていきたいなという励みにもなりますし、アイデアになりまして、御意見ありがとうございました。
  74. 長浜博行

    委員長長浜博行君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会