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国務大臣(
小泉進次郎君) 間違いなく今回の飼養管理基準は大きな前進でありますし、より動物愛護の考え方が多くの方に広がる契機になると私は思っています。ただ、帝王切開のことが非常に今、SNS上など様々な方で
議論になっているのは承知をしていますし、私も、今回決めるに当たっては、この上限を設けるべきかどうか非常に悩みました。
ただ、まず、
環境省が帝王切開の規制をしないというのは全くの誤解です。新たな飼養管理基準の中では、獣医師以外による帝王切開を明確に禁止をして、さらに今後の繁殖などに関する獣医師の診断を義務付けています。そして、診断書の偽造などの不正行為を行うような悪質な獣医師がいれば、獣医師法に基づき、免許取消しの対象ともなります。
そして、上限がないから何度でも帝王切開をしていいというわけではありません。例えば、一度しか帝王切開を行っていないとしても、獣医師の判断によって次回以降の繁殖を禁止することができます。一律に回数を定めるよりも、個体ごとの繁殖特性や健康
状態により配慮した基準にするという考え方を持ちました。
ただ、この、何回なら大丈夫とか何回なら
影響が大きいといった
知見がまだない中で、私がこの帝王切開一律規制に悩んだ部分というのは、
日本人、私
たちが今、この犬や猫の
品種の在り方とか、どう決断しどう向き合っていくのか、大きなテーマだなと、国民的なテーマだと
思いました。
例えば、ブルドッグなど、安全に産ませるためにほとんど一〇〇%帝王切開で生まれている
品種があるんですね。ただ、多くのブルドッグを知っている我々も、ブルドッグがまさか一〇〇%帝王切開で生まれていることを知っている人いますかと。そして、ほかにも、フレンチブルドッグ、パグ、ボストンテリア、こういった犬種も帝王切開が多いというふうにされています。
そして、突き詰めていくと、仮に規制していくと、じゃ、
日本はブルドッグという犬はもう飼うべき
品種として、犬種として扱わないのかという
議論にもなり得ると
思いますし、帝王切開に限らず、例えば腰のヘルニアになりやすいダックスフンドはいいのか、それから、先天的に水頭症のリスクがあるチワワは問題ないのか、耳の軟骨異常があるスコティッシュフォールドって許されるのかと、こういった
議論にもつながってくるので、しかも、異なる
品種を掛け合わせたいわゆるミックス犬と呼ばれるような犬もいますが、掛け合わせによって、両親それぞれの
品種特有の問題が子犬に
影響するといったリスクもあると認識をしています。
ですから、これらについて一貫して言えることは、人が
品種に手を加えてきたことと帝王切開や様々な病気のリスクなどはどこまでも隣り合わせであるということです。しかし、それらのことがまだ十分に国民的に認識されていない中で、様々な犬や猫が今も家庭で愛されているという現実を考えたときに、この問題は客観的な事実と国民的な
議論の両方が伴って初めてその方向性を定めることができるんじゃないかと考えました。
ですので、仮に今後、その国民的な
議論をやった上で、ブルドッグは認められないんだとか、そういった犬種は
日本の中で認めてはいけないということが国民の
皆さんの判断であれば、私はその判断はあると
思います。
ただ、それぐらい大きな
議論につながるテーマでもありますので、今、科学的な
知見がまだ確立されていない中で、まず今回できるところは何だろうか。それは、たとえ一回の帝王切開であっても、その犬や猫の
状況を見て、もうこれ以上は駄目だということはできるように、個体によって判断できるような基準にすべきだと、そういうふうに判断をしたということが御理解いただければと
思います。