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2021-04-20 第204回国会 参議院 外交防衛委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      上田 清司君     大塚 耕平君  四月二十日     辞任         補欠選任      鈴木 宗男君     片山 大介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         長峯  誠君     理 事                 佐藤 正久君                 三宅 伸吾君                 小西 洋之君                 三浦 信祐君                 井上 哲士君     委 員                 宇都 隆史君                 北村 経夫君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 中西  哲君                 松川 るい君                 山田  宏君                 白  眞勲君                 福山 哲郎君                 山口那津男君                 浅田  均君                 片山 大介君                 鈴木 宗男君                 大塚 耕平君                 伊波 洋一君    国務大臣        外務大臣     茂木 敏充君        防衛大臣     岸  信夫君    大臣政務官        内閣大臣政務        官        和田 義明君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  近藤 正春君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       三貝  哲君        内閣官房内閣審        議官       木村  聡君        外務省大臣官房        審議官      赤堀  毅君        外務省大臣官房        審議官      吉田 泰彦君        外務省大臣官房        参事官      遠藤 和也君        外務省大臣官房        参事官      有馬  裕君        外務省国際法局        長        岡野 正敬君        外務省領事局長  森 美樹夫君        海上保安庁総務        部長       宮澤 康一君        防衛省大臣官房        長        芹澤  清君        防衛省防衛政策        局長       岡  真臣君        防衛省統合幕僚        監部総括官    加野 幸司君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○防衛省設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 長峯誠

    委員長長峯誠君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、上田清司君が委員辞任され、その補欠として大塚耕平君が選任されました。     ─────────────
  3. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  防衛省設置法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官貝哲君外十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小西洋之

    小西洋之君 立憲民主・社民の小西でございます。  まず、日米首脳会談について質問をさせていただきたいと思います。  台湾の問題が共同声明に明記をされたということが多方面で反響を呼んでいるところでございます。  まず、事実関係確認ですけれども、共同声明においてアメリカとともに確認している自由で開かれたインド太平洋、この自由で開かれたインド太平洋には台湾及び台湾海峡は入るのでしょうか、外務大臣答弁をお願いいたします。
  7. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今回の日米共同声明、全体のボリュームでいいますと日本語の方は六ページにわたるものでありますが、そこの中の最初のページの下から五行目から三ページ目の三分の二ぐらいが御指摘の自由で開かれたインド太平洋と、この項目でありますが、自由で開かれたインド太平洋、これは小西委員も御案内のとおり、民主主義や法の支配、航行の自由等の基本的な概念に重きを置いたものでありまして、この考え共有するあらゆる国・地域に開かれた概念でありまして、その意味におきまして、自由で開かれたインド太平洋、これは特定の国・地域を排除するものではありません。
  8. 小西洋之

    小西洋之君 特定の国・地域を排除するものではないというような発言がありましたけれども、先ほど御指摘をいただいた、この首脳会談共同声明を見ておりますと、台湾に関するところは、外務省国会議員の事務所の方に提出したものでいくとページで二ページなんですが、台湾の問題が記載があるそのパラグラフの冒頭にインド太平洋地域及び世界の平和と繁栄とありまして、恐らく台湾というのはインド太平洋に当たるんであろうというふうに考えるところでございます。  では、続けての質問外務大臣に伺いますけれども、この日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促すと記したこの度の共同声明によって、何か日本アメリカに対してコミットメントをしているのかどうか。具体的には、台湾海峡有事、まああってはならないことですけれども、有事の際に、日本安保法制に基づく自衛隊行動を行うようなことをアメリカ約束コミットメント、あるいは意思共有といったレベルも含めて、そういうことがなされているのかどうか。  つまり、今回の共同声明によって、台湾に関する日本方針、そうしたものについて何か変化が生じているのかどうか、そのことについて答弁をお願いいたします。
  9. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) もう小西委員も読んでいただいているのでよくお分かりだと思いますけれど、ここに書いてあります台湾問題をめぐる日米考え方、そして台湾海峡の在り方ということに触れているわけでありますが、台湾をめぐる問題について、我が国として、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待する、これは従来からの一貫とした立場でありまして、これが変わっているわけではありません。  こうした観点から、今回の首脳会談においては、台湾海峡の平和と安定の重要性、これ、日米プラス2でも共同声明といいますか、発表した内容でありますが、これを強調し、両岸問題の平和的解決を促すことについて改めて首脳間で確認したものであります。
  10. 小西洋之

    小西洋之君 今の答弁ですけれども、日本はこの両岸問題について、当事者間で平和的に解決をということが日本考えであると。一方で、台湾海峡について、平和の安定のこの重要性というのを2プラス2に重ねて強調しているということなんですが、要するに、今回の首脳同士のこの共同声明において、先ほどの質問なんですが、日本は何かアメリカとの関係で、安保法制の下の自衛隊行動も含めてですね、何か二国間でコミットメントを新しくした、そういうことがあるんでしょうか。あるいは、従来と何も変わっていないということでしょうか。そこのところをはっきりとお願いいたします。私は何も変わっていないんではないかというふうに思いますが。
  11. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 共同声明につきましては、書かれていることがその内容だと、そのように思って、共同声明につきましては、書かれていることそのものがこの内容だと考えております。  もちろん、この共同声明を作成するに当たりまして、さらには、日米首脳会談、二時間半にわたっておりますから、様々なやり取りと、また情報認識確認等々、両首脳間でやっておりますが、そういったやり取りも含めて、それを集約したものが共同声明であると、このように理解をいたしております。
  12. 小西洋之

    小西洋之君 書かれていることそのとおりというと、まあ書かれている言葉には趣旨があるはずでございますので、もう一度伺いますけれども、今回のこの共同声明によって、日本アメリカとの関係で、この台湾問題について何か行動するようなことを約束、あるいはそうした意思共有をしているんでしょうか。あるいは、従来と、アメリカとの関係において、この台湾問題については変わっていないと、そういう理解でよろしいでしょうか、その意思共有あるいはコミットメントの面において。
  13. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 様々なやり取りを行っております。また、今の台湾海峡をめぐる認識軍事バランス変化等々も含めて、現状認識というのを確認をしていることは確かでありますが、我が国の従来からの立場我が国の従来からの立場考え方というのは変わっておりません。
  14. 小西洋之

    小西洋之君 その従来からの立場考え方は変わっていないというのは、当事国間で平和的な解決を、日本としては考え、という姿勢であるということと、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するといったことでしょうか。従来からの考え方は変わっていないというのは、先ほどからの私の質問ですけれども、何か日米の間でコミットメント、あるいは何か今後の方針行動についての意思共有というものが具体的になされているわけではないと、そういう理解でよろしいでしょうか。
  15. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 従来からの立場というのは、小西委員が二つおっしゃった中の前者であると考えております。その立場は変わっていないという中で、様々なやり取りはありますけれど、そこで何らかの、具体的に日米間でこうしようということを決めたということではございません。
  16. 小西洋之

    小西洋之君 まあ、明確に日米間でどうしようということを決めたわけではないというふうに答えていただいてはいるとは思うんですが、ちょっと関連で、問いの四番、外務大臣に伺いたいと思うんです。  配付資料の一番ですが、外務省の元事務次官竹内氏が今回の共同声明について、ルビコン川を渡った日本というコメントを出しているところでございます。菅首相に覚悟があったかは不明だが、今回の中国への意思表明ルビコン川を渡ったとも言えると。今後、中国の、まあ読み上げはあえて控えますけれども、対応ということも考えられるというようなことが書いてあるところですが。  結果としてですね、大臣に伺いますが、今回の共同声明の結果として、この竹内事務次官が言っているように、台湾問題において日本は全く、外交的に、あるいは国際環境、特に中国との関係ですが、中国との関係で全く違う状況に変わっている、結果として全くこれまでとは違う状況に変わっていっていると、そういう理解でよろしいのでしょうか。私はそうではないと思うんですが、いかがでしょうか。
  17. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 竹内次官、大変立派な次官であったと思っております。たしか昭和四十三年の入省で、谷内さん、田中さんより一年年次が上だったんじゃないかなと理解をいたしておりますが、この文章を読む限り、ルビコン川を渡ったと、この認識は間違っています。ルビコン川を渡るというのは、当時、何というか、ユリウス・カエサルがガリア提督であったんですね。ガリア提督というのはガリア、今のフランスが自分の領地ですから、そのガリア提督ローマ領土内に入ってはいけないと。ルビコン川を渡りますとローマ帝国内に入りますから、それをルビコン川を渡ると言うわけでありまして、領土内に入る、このことをルビコン川を渡ると言うわけでありまして、そういった意味では、大変尊敬する先輩でありますが、竹内さんのこの少なくとも表現は間違っていると思います。
  18. 小西洋之

    小西洋之君 教養深い大臣の巧みな答弁ではあるんですが。  質問通告に書かせていただいているんですが、この結果論として、今回の共同声明は、日中関係次元が異なる変容をもたらすもの、あるいはもたらしているものというふうにお考えでしょうか。
  19. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 必ずしもそういった認識を持っておりませんけれど、今、これは東シナ海、南シナ海含めて、力による現状変更の試み、これがなされているのは残念ながら中国側ということでありまして、何らかの変化を求めているとしたら中国側であると。我々はそれに対して、民主主義であったり法の支配基本的人権の尊重と、我々がこれまで共有してきた国際的秩序、これを維持し強化すると、こういう立場であります。
  20. 小西洋之

    小西洋之君 防衛大臣にも、今外務大臣に伺った質問ですが、今回の共同声明によって、日本アメリカとの間でこの台湾問題について、何らかの軍事的な行動ですね、それについてアメリカとの関係で何かコミットメントを新しく行っている、あるいはそうしたことについての新しい意思共有がなされている、そういうことではないという理解でよろしいでしょうか。
  21. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 台湾に関する我が国認識といたしましては、先ほど外務大臣から御答弁があったとおりでございます。その上で、両岸関係台湾の置かれた状況を見ますと、非常に軍事バランスとして中台間では中国の側に傾いている、そうした状況について我々としては注視をしていきたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
  22. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと今お答えいただいているのかどうかあれなんですが、じゃ、ちょっと具体的な中身、更にですね。  この共同声明の中に、拡大抑止に関する記述がございます。日米両国は共にから始まって、で、点々々と行って、最後、拡大抑止強化することにコミットメントしたと。これ念のためですが、この文章上は、日米両国は共に、つまり互いに拡大抑止強化するというと、拡大抑止文言意味からすると、日本アメリカ要請を受けて集団的自衛権を行うといったようなこともコミットメントしているように読めるんですが、そういうことではないという理解でよろしいでしょうか。
  23. 有馬裕

    政府参考人有馬裕君) お答え申し上げます。  一般的に拡大抑止とは、ある国が有する抑止力をその同盟国等にも提供することであると考えております。その上で、日米間におきましては、米国がその核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ我が国に対して拡大抑止を提供することを確認してきております。その意味で、今般の日米共同声明に言う拡大抑止は、日本米国から要請を受けて集団的自衛権を行使することを含むものではないというふうに考えております。
  24. 小西洋之

    小西洋之君 明確な答弁、ありがとうございました。  では次、防衛大臣に、あるいは防衛省でも結構ですけれども、共同声明の中には、日本同盟及び地域安全保障を一層強化するために自らの防衛力強化することを決意したという、これまでにない表現だと思うんですが、入っているところでございます。この文言趣旨と、ここに書いてある日本が自らの防衛力強化することがどのように同盟又は地域安全保障の一層強化に資すると考えているのかについて説明をお願いいたします。
  25. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 我が国を取り巻く安全保障環境が非常に厳しさを増す中で、我が国として自らを守る体制強化し、自ら果たし得る役割拡大を図っていくということが大変重要であります。  同時に、これこそが日米同盟の下での我が国役割を十全に果たし、その抑止力対処力を一層強化していくという道であって、また、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえて、安全保障協力を戦略的に進めていくための基盤であると考えております。  日米首脳会談共同声明においては、このような認識を踏まえて、日本同盟及び地域安全保障を一層強化するために自らの防衛力強化するとの我が国の決意が明記されたものと承知をしておりますが、また、どのような場合に日本防衛力強化同盟地域安全保障の一層強化に資するかとの点について、日米同盟抑止力はこれまでも地域の平和と安定の維持に役割を果たしてきており、安全保障環境が厳しさを増す中で、その一層の強化のため、引き続き我が国防衛力強化する必要があると考えております。
  26. 小西洋之

    小西洋之君 では、重ねて、防衛大臣あるいは防衛省でも結構ですけど、共同声明における日米同盟を一層強化することにコミットするという文言、あるいは、日米両国は、点々々と行って、抑止力及び対処力強化するという文言は、それぞれ、これによって日本がどのような軍事的取組を行っていくことを定めた、あるいは想定しているものなんでしょうか。
  27. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 一層厳しさを増す地域安全保障環境を踏まえて、日米同盟抑止力対処力強化に向けたコミットメント確認をしているというところでございますが、我が国を取り巻くこの安全保障環境、急激に厳しさを増す中で、我が国領土領海領空をあらゆる手段で守り、日米の、日米同盟抑止力対処力の一層の強化に向けて、我が国自身防衛力強化に取り組むことが必要であります。  今般の首脳会談においては、領域横断的な分野における防衛協力に加えて、拡大抑止強化、サイバーセキュリティーの強化等様々な協力確認されたと承知をしております。  我が国としては、日米防衛協力を更に深めながら、自らを守る体制を抜本的に強化し、その果たし得る役割拡大を図り、もって日米同盟抑止力対処力を一層強化していく考えでございます。
  28. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと答弁が抽象的なような気はするんですが、抽象的だと思うんですが。  防衛大臣に伺いますが、四月の十七日に沖縄の与那国島視察に行かれていますけれども、この目的は何なのでしょうか。これは、この首脳会談共同声明台湾海峡の問題が盛り込まれることあるいは盛り込まれたことを意識し、前提としているものなのでしょうか。また、この与那国島への視察に当たっては、政府内、特にお隣にいらっしゃる外務大臣と事前に調整がなされてのものなのでしょうか。
  29. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 与那国駐屯地は、我が国領海領空の境界の近傍に位置をしております。また、南西地域防衛上極めて重要なところでありますことから、私はこれまで、できるだけ早く現地を訪問し、所在している部隊の現状を実際に把握するとともに、任務に精励している隊員を激励したい、このようにずっと考えておったところでございます。今回、その日程が整ったため視察を行ったというところでございます。
  30. 小西洋之

    小西洋之君 今、外務大臣等との調整について、この後お答えいただきたいと思いますが、まあそういう調整をなされた上でのことであるかというのと、今の答弁だと、今回与那国に行かれたのは日米首脳会談とは関係ないと、防衛大臣としての独自日程であると、そういう理解でよろしいでしょうか。
  31. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今申しましたように、その与那国重要性に鑑み計画をしていたところであります。そういう意味において、今回の首脳会談と直接的な関わりはないものでございます。  また、外務大臣とのそういう意味での調整とか、そういうことは行っておりません。
  32. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっとその関連なんですが、これからお尋ねする質問の、係る私の問題意識なんですが、私は、今回の共同声明ですね、この台湾問題について日中の国交回復から初めて首脳会談の文書に入ったということはもとより、やはり場合によっては、先ほどの竹内事務次官発言ではないですけれども、我が国外交安全保障環境次元を超えた形で変えてしまう危険というものがあるのではないかというふうに心配をしているところでございます。  北朝鮮が日本に対する軍事的な安全保障上の脅威で、日米同盟を基軸にそれを対処するということは私たち立憲民主党も賛同する姿勢でありますけれども、中国中華人民共和国というのは、それは次元の違う大国でございますので、その中国核心的価値、もうここだけは自分たちは譲れないというふうに繰り返し明言している、また中華人民共和国の成立の歴史的な経緯から見てもそうなんでしょう、そうした問題について日本アメリカと何か連携をして、共同して具体的な行動、特に新聞では安保法制のメニューの検討だ、なことも言っておりますけれども、私からすると、新聞というのが社会的な公器としての使命を果たしていないというふうに思うんですけれども。  そうした問題意識質問させていただきたいんですが、防衛大臣、よろしいですか。そうすると、いろんな大臣行動によって、安全保障上のメッセージの出し方というのはあると思います、あると思います。ただ、このタイミングでですね、日米首脳会談のこのタイミング防衛大臣が、我が国の国防をつかさどる防衛大臣与那国に行く、台湾とはまさにもうすぐ近くですから、百数十キロですから、そうした行動について政府内で調整もなされていないというのは、私は極めて、率直に言うとなかなか理解ができない、場合によっては軽率と言われても仕方がないような行為だと思うんですが、それについてはいかがでしょうか。大臣台湾に対する思いというのは、私、仄聞させていただいてはおります。ただ、そうしたこととは別にして、我が国安全保障について非常に大きな影響が起き得る行為というふうにはお考えにならないんでしょうか。
  33. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 与那国に訪問した理由というのは、先ほど私が述べたとおりであります。与那国駐屯地重要性、そうしたことに鑑み、任務に精励している隊員を激励したいと、このように考えたことでございまして、その日程を従来より調整をしておりましたが、それが整ったためにこのタイミングでの視察ということになったわけでございます。
  34. 小西洋之

    小西洋之君 では、防衛大臣に伺いますけれども、この今回の共同声明を受けて、台湾海峡有事を想定して、今後、日米共同訓練を行うあるいは行うということを想定している、そうしたことはあり得るんでしょうか。
  35. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今回の首脳会談において、台湾をめぐる状況について意見交換がされ、台湾海峡の平和と安定の重要性や両岸の、両岸問題の平和的解決を促す、こういうことについて確認をされたわけでございますけれども、まさに今回、私も現地を訪問いたしまして、台湾自体は見えませんでしたけれども、その距離感といいますか、伺いました西崎というところから約百十キロ余りのところに台湾が存在をしている、こういう状況を身近に感じて、非常に近いところに位置をしているというところは実感をしたところでございます。  その上で、この両岸関係については当事者間の平和的解決ということを期待するということが我が国の基本的な立場として変わっていないわけでございますが、昨今の中台をめぐる軍事バランス状況ですね、非常にバランスとして中国側に傾いており、また年々その差が広がっている、そういうような状況から、我々としてもこの状況をしっかり注視をしていきたい、こういうふうに考えております。  特定状況というものを想定したものではございません。南西地域を含む我が国安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとって台湾の情勢の安定というものが重要である、こういうふうに考えましたので、また、地域の、当事者間の直接の対話、それから地域の安定に寄与するということを期待するという立場に変わりはないものでございます。
  36. 小西洋之

    小西洋之君 いや、大事な問題なのであえて聞きますが、さっきの質問なんですが、台湾海峡有事を想定した日米共同訓練などというものが想定としてもあり得るんでしょうか。ないのであれば、ないとはっきり言っていただけますでしょうか。
  37. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 失礼しました。  いかなる事態においても、我が国領土領海領空、そして国民の命、平和な暮らしをしっかり守り抜くということはまさに政府の責任であります。  防衛省自衛隊としても、あらゆる事態において我が国の法令の範囲内で適切に対応できるように不断に検討しており、事柄の性質上、その内容について詳しく申し上げることは控えますが、いずれにいたしましても、我が国の平和と地域の安定のため日米間で共同訓練を行ってまいります。
  38. 小西洋之

    小西洋之君 いや、ちょっとこういう問題というのは、今おっしゃったようなその共同訓練の一般論答弁で対応するような質問ではないように思うんですが。  ちょっと外務大臣、よろしいですか。外務大臣外務大臣、問いの十三番なんですが、問いの十三ですね、十三の関連で、よろしいですか、ゆっくりしゃべりますので。そもそも、そもそも、さっき実は聞けていないんですが、今回の共同声明にこの台湾海峡に関するこのくだりを入れた趣旨ですね、入れた趣旨が何かということをお答えいただいて、その上で問いの十三番ですけれども、日本は、台湾問題をめぐる米中双方の軍事的、軍事力行使の自制を求めて、武力紛争を回避するためにどのような主体的かつ戦略的な外交を行っていくつもりかについて答弁をお願いいたします。
  39. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ごめんなさい、問いの何番がどれだか分からないんですけど、質問いただいたことにお答えすればよろしいんじゃないかなと思いますけれど。  恐らく、先ほど来、小西委員の御質問伺っておりまして、事態のエスカレーション、この台湾海峡をめぐってこういったことが起こってはいけないと、こういったことを懸念をされているんではないかな、このように感じているところでありますが、例えば、岸大臣視察にしましても、視察の目的は大臣直接御答弁をされているところであります。これは、防衛省外務省調整するというより、まさにその、何というか、防衛大臣として視察をするという問題でありまして、その事実については承知をいたしております。  一方の台湾の問題、もうこれ2プラス2でも、この東アジアをめぐります様々な安全保障環境変化、そしてそこの中で日米がどういう認識を持っているかと、こういったことについて、それぞれ尖閣、東シナ海、また南シナ海、台湾海峡、こういったことについて記述をしているわけでありまして、特に急に、これが、何というか、四月の十六日でありますけど、三月の十六日、一か月前の2プラス2でも何というか言及している内容について触れたと、このように考えておりまして、これに対しまして、中国側、十八日の未明に発出した外交部の報道官、この発表を見ますと、台湾については、台湾中国領土であると、こういうこれまでの立場を述べるにとどめていると、このように考えております。
  40. 小西洋之

    小西洋之君 日本の、アメリカ中国の間の台湾問題をめぐるその軍事的な緊張を防ぎ、またそれを解決するための主体的な日本としての外交の取組について質問をさせていただいたところではあるんですが、ちょっと時間ですので、重要な問題ですのでまた機会を改めたいと思いますが、ちょっと私の認識を申し上げますと、今日質問通告をしてはいたんですが、あえて質問はしないようにいたしますけれども、台湾有事アメリカ中国台湾をめぐる有事が生じた際に、日本安保法制に基づく後方支援であれ、あるいは存立危機事態、集団的自衛権行使であれ、すれば、日本にある在日米軍基地というのは元々、台湾有事におけるその米国の武力の最大の基盤ですので、その在日米軍基地は当然攻撃を、中国の攻撃対象になると私は、もうこれは軍事の常識だと思います。  日本安保法制に基づく行動を取らなくても、米中の台湾有事が生じただけで在日米軍基地が攻撃を受ける、そうした対象、危険が生じ、かつそれは日本国民の命に対する危険が生じるということだと思います。  また、中国との間には領土問題、尖閣をめぐるその領土問題はありませんが、中国は公船を繰り出したりして国際法違反の領海侵犯等を行っていると。それに対しては海上保安庁が常に優勢の体制を保つ、また防衛省自衛隊ともきちんとした連携、また警察とも連携をしているというふうに思います。  そうした尖閣諸島問題などもある中で、やはりこの中国の問題というのは、台湾との問題については極めて慎重に、冷静沈着に運んでいかなければいけないのではないか。私も、中国現状を力で変更するような、国際法に反するような様々な行動については、日本日米同盟を基軸に、あるいは多国間の連携の枠組みをつくって対処していく。安保法制に基づく軍事行動は違憲ですが、ただ、一定のその抑止というものは、アメリカと、あるいは多国間と連携というのは私も必要ではないかというふうに考えております。  ただ、さっきのルビコンを渡ったではないですが、非常に危なっかしい。と申しますのは、前回ここの委員会質問させていただきましたけれども、二〇一七年、一八年のアメリカと北朝鮮の核、ミサイルをめぐっての危機、トランプ大統領が空母機動艦隊や戦略爆撃機を飛ばしたりしたときですが、あのとき、河野統合幕僚長は、アメリカの軍事力行使に伴う日本集団的自衛権行使を検討していたと。それに対して防衛大臣安保法制の運用というものを検討し、総理大臣にも報告をしていたというような答弁をこの委員会でなさっております。  もしそのようなことが中国との関係で起きれば、それはもう北朝鮮とは全く次元の違う話でございますので、我が委員会でしっかりとそうした国民の命を預かる外交安保の問題についてはきちんと議論をしていきたいと思います。  では、ちょっと時間が迫ってまいりましたので、次は、防衛省設置法、自衛隊法の改正の方に行きます。  問いの三番なんですけれども、外務省政府参考人で結構ですが、今後このACSAは、今回日印ACSAですが、日印ACSA以外にも他国と今ACSAを結ぶ予定がないのかどうか、これちょっと簡潔にお願いいたします。
  41. 赤堀毅

    政府参考人(赤堀毅君) 現時点においてACSAの交渉開始が具体的に検討されている国はございません。
  42. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  では、防衛省政府参考人で結構ですけれども、今回自衛隊法改正で措置されているインド軍との共同訓練ですが、この目的には、法理として安保法制の後方支援やあるいは集団的自衛権行使など安保法制に基づく自衛隊法第六章の行動は排除されていない、含まれているということでよろしいでしょうか。
  43. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) 改正後の自衛隊法第百条の十六に規定します訓練につきましては、条文の規定上、どのような目的、内容の訓練を行うかについては限定を付しておりません。したがいまして、御指摘行動を想定をした共同訓練も、法理としてはという御質問でございますが、排除はされていないということでございます。
  44. 小西洋之

    小西洋之君 防衛省政府参考人、これ防衛省から説明いただいているんですけれども、法理としては排除されていないとともに、今後運用としてやりませんというようなことは答弁としては言えないということでよろしいでしょうか。
  45. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) 御質問の点につきまして、現時点において自衛隊とインド空軍が御指摘のような行動を前提とした共同訓練を実施する予定はないというところでございます。
  46. 小西洋之

    小西洋之君 予定はないんですが将来においてやらないとは、やらないという方針にはないということでよろしいでしょうか。
  47. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) 今の時点で予定はございませんし、そういう意味では何かそういうことを考えているということはございません。
  48. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  次、防衛省政府参考人で結構なんですけれども、問いの五番ですね、インド軍も参加するこのマラバールという大規模訓練を自衛隊は参加して行っているところでございます。昨年、その前の年ですかね、直近の例などを見ていると、インドの、インド海軍の空母も出てきているんですね。アメリカも当然空母を出しているんですけれども、インド海軍の空母とともに自衛隊が行っている共同訓練の目的というのは一体何でしょうか。これは例えば重要影響事態の後方支援あるいは集団的自衛権行使だとか、まあ安保法制に基づく行動の何かを目的としているんでしょうか。
  49. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) ただいま委員から御指摘がございましたとおり、昨年の十一月にベンガル湾それからアラビア海の北部におきまして、日米印豪の共同訓練、マラバールを実施したところでございます。  この共同訓練につきましては、自衛隊の戦術技量の向上やインド軍との連携の強化等を目的として実施しておりますので、それ以外に何か特定行動といったことを念頭に置いたものではございません。
  50. 小西洋之

    小西洋之君 常識で考えて、空母を相手にやる訓練というのは何らかの特定の軍事行動の目的が当然あるはずなんですけれども、空母ですからね。そこははっきり答えていただけますか。  どういう行動を、例えば、に資することを想定して行われていた訓練なんでしょうか。
  51. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、特定行動と、特定自衛隊行動といったことを念頭に置いたものではなくて、自衛隊の戦術技量の向上、それからインド軍との連携の強化といったことを目的として実施したものでございます。
  52. 小西洋之

    小西洋之君 では、問いの二番に戻りますけれども、今回の日印ACSAの締結のこの主眼ですね、日印ACSAが適用される自衛隊の様々な行動を今回法改正で入れていますけれども、一番これをやりたいというのでやったのは共同訓練というのは、説明政府から受けているんですけれども、共同訓練ということでよろしいでしょうか。
  53. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) この日印のACSAにつきまして、どういった場面で使われるかと、適用されるかということについて申し上げると、これまで日印間でいろんな取組が行われている中では二国間やあるいは多国間の共同訓練を活発に実施してきておりますので、まずは、こうした共同訓練における物品、役務の提供に際して日印ACSAが適用されることが考えられるというふうに思っております。
  54. 小西洋之

    小西洋之君 じゃ、もう防衛省、引き続いて問いの一番なんですけれども、このACSAなんですけど、決済手段の簡便化と言っていますが、燃料だとかなんとか、いろいろお互い渡し合うときに、これ単なる決済手段の簡便化じゃなくて、ACSAがなければそういう提供がもう実効的にできないと、そういう実効化あらしめるものだということで、理解でよろしいでしょうか。
  55. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) ACSAにつきましては、委員からも御指摘がございましたけれども、締約国それぞれの国内法令の規定に基づいて実施される物品、役務の提供に際して、その実施に必要となる決済手続等の枠組みを定めるものでございます。  このACSAがなければ、例えば、相手国に対して物品の無償貸付けということは行うことができないと、そういう場合には、物品を融通する訓練等の個別の場面に応じて、物品の提供に関わる貸付料等の適正な対価について相手方とその都度交渉した上で徴収する必要が生じるといったことになります。  また、相手国から提供された物品の決済手段として物品を提供するといったようなこともできなくなるということで、このまさにACSAによって必要な物品の提供を円滑に行う、あっ、もしなければですね、必要な物品の提供を円滑に行うことが困難となるというところでございます。
  56. 小西洋之

    小西洋之君 終わります。  ありがとうございました。     ─────────────
  57. 長峯誠

    委員長長峯誠君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、鈴木宗男君が委員辞任され、その補欠として片山大介君が選任されました。     ─────────────
  58. 白眞勲

    ○白眞勲君 おはようございます。立憲・社民の白眞勲でございます。  まず、ミャンマーについてお聞きしたいと思います。  邦人がミャンマー国内で拘束されたという報道があるわけですけれども、外務省にお聞きいたしますが、現在どういう状況でありますでしょうか。お答えください。
  59. 森美樹夫

    政府参考人(森美樹夫君) お答えいたします。  十八日夜、ヤンゴン在住の四十代の邦人ジャーナリストの方がヤンゴン市内の自宅において逮捕され、現在、ヤンゴン市内のインセイン刑務所に拘束されております。  在ミャンマー大使館では、随時、領事メールを発出し、現地の最新状況を踏まえ、在留邦人に対し注意喚起と不要不急の外出を控えるよう呼びかけているところでございます。
  60. 白眞勲

    ○白眞勲君 その拘束された邦人の方に対して面談を大使館側としては要求しているということらしいんですけれども、その辺りはどうなっているんでしょうか。
  61. 森美樹夫

    政府参考人(森美樹夫君) 現在、在ミャンマー日本国大使館におきましては、ミャンマー当局と連絡を取りながら必要な領事的対応、すなわち面談を含む邦人の、拘束された邦人の方のケアを行っているところでございます。
  62. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっとミャンマーの状況はよく分かりませんけど、普通、拘束されると弁護士さんを付けたり、拘束されているわけですよね、ですから、当然これから、何か報道によると裁判にかけられるというような話もあるんですけど、そういったいわゆる対応というのは、ミャンマー大使館として、あるいはミャンマーの国内の情勢として、今のこの、まあ戒厳令になっているんでしょうかね、戒厳令下という中ではそういったことというのはどうなっているのかなと、ちょっとその辺をお聞かせいただきたいと思います。
  63. 森美樹夫

    政府参考人(森美樹夫君) 現時点で判明いたしておりますのは、先ほど申し上げたとおり、邦人が拘束された、で、この罪状として、ミャンマー刑法第五百五条の(a)によって措置をとったという言い方をミャンマー当局がしておるということでございまして、これに伴いましてどのような対応が取れるかということを大使館としても鋭意検討しておるところでございます。
  64. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、その弁護士を付けたりということは可能なんでしょうか。
  65. 森美樹夫

    政府参考人(森美樹夫君) 現時点で、弁護士を付けて訴訟措置に移行、訴訟手続に移行するのかどうかというところも含めましてまだ情報が不十分なところがございますので、情報の収集を行っておるところでございます。
  66. 白眞勲

    ○白眞勲君 アメリカ政府は三月三十日に、ミャンマーに駐在する緊急対応要員を除く政府職員とその家族を対象として出国命令を出したという報道がありますし、また、ドイツ、ノルウェーなどもミャンマー在住の自国民に出国を促しているということであります。  これ、茂木外務大臣にちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、日本も、前回も私、この件についてお聞きしたんですけれども、日本も、情勢が鎮静化するまでは、あるいは定期便が飛んでいるうちに、ミャンマー在住の邦人に対してはできる限り出国を促すべきではないか。あるいは、アメリカ政府がしたような、政府職員、緊急対応要員を除いた政府職員に対する、あるいはその家族を対象とした出国命令ということは出すおつもりあるのかどうか、この辺についてお聞かせください。
  67. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、弁護士云々の話がありましたが、邦人ジャーナリストについては早期解放を求めると、これが基本であると思っておりまして、それに向けた働きかけ、これを行っているところであります。  それから、在留邦人の帰国につきましては、既に三月三日に一度、また四月、失礼、三月の九日に一度、さらに四月の九日にもう一回スポット情報を発出しまして、改めて、商用便によります早期の帰国の是非、検討してほしいと、このように呼びかけているところであります。
  68. 白眞勲

    ○白眞勲君 政府職員につきましてはどういう御対応をするおつもりがあるかどうか、これについてはどうでしょうか。
  69. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今、こういうミャンマーの状況、深刻化していると、そういった中でミャンマーには在留の邦人の方々もいらっしゃる。そういう方々との様々な連絡を取ったり、情勢について情報を収集すると、様々な作業があるわけでありまして、そういった仕事に、丸山大使始め館員の皆さん、全力で当たってもらっております。もちろん、その館員にとっても、自分の安全の確保、これを図りながら、邦人の皆さんの安全確保のために最大限の努力をする。  今後の対応につきましては、まさに情勢がどうなっていくかと、こういったものを見ながら、状況の推移を見ながら検討していきたいと思っております。
  70. 白眞勲

    ○白眞勲君 普天間飛行場代替施設の関係防衛大臣防衛省にお聞きしておりますけれども、前回質問させていただきましたが、その続きまたちょっとやりたいと思っています。  今日、もう一度確認のために、岸大臣、この前、普天間飛行場代替施設の恒常的な使用、つまり司令部などを置かないとせんだって明言されたわけですけど、もう一度確認です。それでよろしゅうございますね。
  71. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 在日米軍、自衛隊による施設・区域の共同使用の検討に当たっては、特定地域を排除することなく、沖縄を含む日本全国の施設・区域について幅広く様々な可能性を検討してきておるところでございます。  具体的なやり取りは、検討状況については、相手方の関係もあり、また情報保全という問題もあって、一時的か恒常的かを問わず、従来よりお答えを差し控えているところでございますが、その上で、普天間飛行場の代替施設については、従来より自衛隊の部隊が常駐するような恒常的な共同使用、すなわち自衛隊の配備は考えておらず、その考えにこれからも変更はございません。
  72. 白眞勲

    ○白眞勲君 ありがとうございます。  今おっしゃったように、普天間飛行場代替施設は例外的というんでしょうか、今までは、言えないんだけれども、恒常的か一時的かも含めて言わないけれども、これに対しては恒常的にこれからも将来的にも使用は考えていないということだと思うんですけれども、沖縄の基地の負担軽減という観点からという理由でよろしゅうございますね。この例外的な恒常的な使用を考えていないという理由です。
  73. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まず、これは、現在、普天間飛行場においては自衛隊による恒常的な共同使用が行われていないということ、沖縄の基地負担の軽減等の観点から、普天間飛行場の有する機能のうち、オスプレイなどの運用機能のみを代替施設に移駐する、移設することとしていること等を総合的に勘案したものであって、普天間飛行場代替施設の事業の重要性、また普天間飛行場の機能の一部のみを移転するものである旨の、地元に御説明して御理解を求めているという観点等から対外的に明らかにしているものでございます。
  74. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か今、茂木大臣、手を挙げたような感じしたんですけど、そうじゃないんですね。(発言する者あり)ああ、そういうことですね。  今後、自衛隊が訓練のために一時的に普天間飛行場代替施設を使用することについてはどういうふうになっていますでしょうか。
  75. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 普天間飛行場につきましては、令和二年度の日米共同統合演習及び令和二年度の方面隊実動演習において、陸上自衛隊が一時的な共同使用を行っているところでございます。
  76. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、今の普天間飛行場の共同使用じゃなくて、普天間飛行場代替施設の共同使用、一時的な共同使用についてお聞きしておりますが。
  77. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 共同使用に係ります日米間の具体的なやり取り、また検討状況については、相手方の関係もありますし、情報保全もあって、一時的か恒常的かを問わず、従来よりお答えを差し控えさせていただいておるところでございます。  普天間飛行場の代替施設の一時使用についても、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  78. 白眞勲

    ○白眞勲君 そこがこの前引っかかったところでして、要は、歴史的な経緯とか沖縄基地負担の軽減、あるいはオスプレイだけを移転するということから恒常的な使用は考えていないというお答えでしたよね。  そういう中で、じゃ、一時的にはどうなんだといったら、それは言えないというのは変な話でして、やっぱりそれは一時的にせよ恒常的にせよ、やはりこれは基地負担軽減という、今防衛大臣のお答えになった論理的な帰結としては、これは考えていないというのが当然な理由になりませんか。その辺どうなんでしょうか。
  79. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今、白委員のお問合せでございますが、私は、それおかしくは、答弁として矛盾するものではないと考えております。あくまでも、普天間の代替施設の一時使用についてはお答えを差し控えさせていただいておるということでございます。  一般的には、恒常的か一時的かも含めてお答えをしていないところでございますが、この普天間の代替施設については、これまでの経緯もあり、恒常的な使用というものは考えていないということを述べさせていただいたところでございます。
  80. 白眞勲

    ○白眞勲君 今の防衛大臣の御答弁ですと、要は普天間飛行場、これちょっと、普天間飛行場と普天間飛行場代替施設という、この辺のちょっと今お話、ちょっとまた後で議事録訂正していただければと思うんですけれども、ちょっとそこは混乱しちゃいけないんですけれども、要は、普天間飛行場代替施設については、恒常的な使用はこれはノーであると、やらないと、しかし、一時的については言えないという形ですよね。  で、先ほど御答弁で、普天間飛行場は共同使用を何回かしたことがあるという御答弁があるということからすると、これは逆に言うと、普天間飛行場代替施設、つまりキャンプ・シュワブというか辺野古の方はこれからは一時的な使用というのは考えられるというふうになり得るんじゃないんでしょうか。その辺はどうでしょうか。
  81. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 共同使用に係ります検討については、部内検討、また情報保全などもありまして、一時的か恒常的かを問わず、従来よりお答えを差し控えておるところでございます。  普天間飛行場の代替施設における一時的な共同使用についても、何ら具体的に決まったことがあるわけではなくて、お答えを差し控えさせていただきたいと考えます。
  82. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、あり得るということではないですか、まあお答え差し控えるとは言っているけれど。恒常的な使用は明確にノーと否定をされているけれども、一時的な使用についてはお答え差し控えますと言えば、それは一般的な国民からすれば、やはりそれは一時的な使用はあるんだろうね、いわんや、普天間飛行場、今のね、今の普天間の基地でも実際に一時的な使用はやっているということを今おっしゃっているわけですから、ということになると思うんですけれども。  ところで、一時的な使用の前には沖縄県などには連絡はするものなんでしょうか。日本政府に連絡はするものなんでしょうか。お聞かせください。
  83. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) その共同使用が合同委員会で合意された場合においては公表されるということでございます。
  84. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、公表はするけれども許可を得るものではないということでよろしゅうございますか。どこか役所とかその地域の村、何というのかな、市とか地方自治体ですね、に対して、これから日本自衛隊が一時的にせよ入りますよということを言う、連絡というのはするものなのかどうか、それをお聞かせください。
  85. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) これは日米間で合意をするものでございます。その上で地元にはお知らせをするというものでございます。
  86. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、お知らせはするけれども、向こうからやっちゃ困るんだけどねということについては別にもう、まあ何というかな、言い方はあれですけど、要は通告をするということだけであって、向こうから困るんだよねと言われても、それに対しては、まあ、そうですかぐらいしか言えないということなんですか。
  87. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 地元の皆さんとの間においては、これは意思疎通を平素からしっかり取ってこの基地の運用について御理解をいただくということは大変重要なことではございますけれども、この件については、先ほど申しましたけれども、日米合同委員会で合意をし、地元の皆さんにはお知らせをするという立場でございます。
  88. 白眞勲

    ○白眞勲君 岸防衛大臣は、三月三十日の当外交防衛委員会において、三個目の水陸機動連隊を含めてキャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンへの水陸機動団の配備は考えておりません、また、沖縄県内の陸自駐屯地に配備することも考えておりませんと明確に否定した答弁をされたわけですけれども、将来的にもそうなんですか。
  89. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) この三個目の水陸機動連隊の配置先や新編時期は現在検討中であります。  いずれにいたしましても、同部隊を含めて沖縄県内への水陸機動団の配備というものは考えていないということでございます。    〔委員長退席、理事三宅伸吾君着席〕  まず、水陸機動団については、その母体について、母体となっている西部方面普通科連隊が長崎県佐世保市の相浦駐屯地に所在していたということも踏まえて、平成三十年三月に相浦を中心に部隊を編成したというところがございます。その上で、今中期防において、現在の二個の水陸機動連隊に加えて三個目の連隊を現在中期防期間内、すなわち令和五年度までに新編するという計画になっております。  一方で、その配置、配備場所については現在検討中でございますけれども、水陸機動団が行うこととしている上陸作戦については、水陸両用車であるAAV7による上陸、またボートによる隠密潜入、陸自オスプレイによる空中機動、こうした三つの経路から行うことを想定しているところでございます。  AAV7を運用する陸自、ああ、戦闘上陸大隊を長崎県の崎辺分屯地及び大分県の玖珠駐屯地に配置していること、それから陸自オスプレイの配備を佐賀空港にお願いをしていること、この関係でこれらの部隊との緊密な連携を可能とし、AAV7などの訓練基盤及び整備基盤を十分に確保するとの観点を考慮する必要もあることからも、水陸機動団、あっ、水陸機動連隊の三個目については沖縄県内に配備するということは考えていないところでございます。
  90. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、AAV7というお話をされたわけですけれども、その訓練となるとなかなか、長崎県佐世保で訓練ってなかなか難しいんじゃないかな。やっぱりキャンプ・シュワブというのは非常に適切、適正な土地でもあるんじゃないのかな。あるいは、そこにもう海兵隊もいるということもあると、やっぱり一時的な使用というのは辺野古、ああ、ごめんなさい、普天間基地、普天間飛行場代替施設で行われる可能性あるということになりませんか。
  91. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今委員がおっしゃられたようなことが、必ずしもその計画があるということではないというふうに申し上げたいと思います。
  92. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、もちろん計画はないでしょう。計画はないけれども、あのAAV7というのは海からたしか上がっていったりするところがあるわけだから、訓練場としてはやっぱり海に面していない訓練場じゃどうにもならないわけでして、そういったことを考えると、やはり辺野古、いわゆる辺野古崎、あの辺の、キャンプ・シュワブか、の演習とかああいうところというのは非常に重要なポイントになるんじゃないかなと思うんですが、その辺どうでしょうか。
  93. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) AAV7自体の配備先が、戦闘上陸大隊の長崎県の崎辺分屯地、また大分県の玖珠駐屯地に配置をしているということでございます。そういう意味で、AAV7とその機動連隊が駐留する場所が離れていない方がいいということであると考えています。
  94. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私が申し上げたのは駐留する場所じゃありません。訓練する場所について聞いているわけなんですけど、どうなんでしょうか。
  95. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 駐留先も訓練先も、いずれにしても、現在所在している場所に近いところが望ましいというふうに考えております。
  96. 白眞勲

    ○白眞勲君 あと、私の質問にちょっと答えていただいていないようなんですけれども、将来的に水陸機動連隊はこの沖縄県内に配備することは考えていないということでよろしゅうございますか。将来的にです。
  97. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 水陸機動連隊の配備については将来についても考えておりません。展開といいますかね、訓練等についてはまたお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、配備については考えていないということでございます。
  98. 白眞勲

    ○白眞勲君 将来的にも考えていないという明確な答弁をいただいたわけですけれども、まあ訓練については別よということだということですね。  先日の答弁の解釈についてここでちょっと聞きたいと思っているんですけれども、一月二十七日の、お手元の資料の二ページ目の真ん中の段ですね。ちょっと済みません、本当に、資料、お配りしていますか。していますよね。はい、している。  で、この真ん中の赤線の引っ張った、計画図まで作成したかどうかと、これ、じゃ、これ当時の陸幕長に聞いたんですかということに対して、岸大臣は、そういう図があったというお話がありますと、ここが一番大きなポイントになったわけなんですね。で、私はその後に、赤線は引いていませんけど、その後の私の発言で、やっと、やっと認めていただきましたというふうになっているわけですね。  で、ここで、このお手元の資料の、今度、済みません、一番最後のページですね、の一段目の丸なんですけれども、ここで、そのような、一番最後のページの一番上の丸ポチの下から三行目ぐらい、そのような報道があることは承知しているとの趣旨で、そういう形の、その図があったというお話がありますということで、要は、この私が言っているこの話がありますというのは、陸幕長の話ではなくて、報道がありますという趣旨なんだというふうなお答えであったわけで、それで正式なペーパーも来ているわけなんですけれども。  三月三十日も、岡防衛局長が、その話というのは、まさにそういう報道という形でのお話がある趣旨で申し上げたという御答弁があるわけなんですが、だったらなぜその場で否定しなかったんですか、防衛大臣。私、その後に確認取っているわけですよね、その図があったということですねと。それで、何で否定しなかったんでしょうか。
  99. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 一月二十七日の参議院予算委員会における私の答弁は、今お話があったように、報道を引用する形で、白委員からの質問に対するやり取りの中で、そのような報道があるということは承知しているとの趣旨を述べたものでございます。  計画図の存在自体を認めたものではございませんが、当該答弁により白委員に対して誤解を与え、防衛省としても、質疑後速やかに補足の説明をするべく対応しなかったということは大変遺憾でございます。  今後の質疑においては、質疑者の質問趣旨を踏まえた答弁を行ってまいりたいと考えます。    〔理事三宅伸吾君退席、委員長着席〕
  100. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私、別に謝ってほしいために言っているわけじゃありませんで、これは、一月二十七日の、当委員会ではございません、予算委員会、テレビ入り、総理入りの御答弁でそういうお話をされたわけなんですけれども、ちょっと後ろの方、よろしゅうございますか。ちょっと、聞いてもらいたいんですけれども。  そういうことで、ですから、これ、これまたちょっといろいろ、国対間のやり取りになるのか筆頭間のやり取りになるのかよく分かりませんけれども、理事会のやり取り、これ予算委員会答弁が間違っているということになっているわけなんですよ。ですから、これまたちょっと、どういうやり方があるのかということは考えていかなきゃいけないなと思っているんですけれども。  では、ちょっとここで聞きたいのは、この答弁にそごがあったというまあ御判断なんですけれども、これ、いつ気付いたんですか。(発言する者あり)
  101. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  102. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 速記を起こしてください。
  103. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 済みません。  その場でというよりは、後日だと思いますが、ちょっと精査をさせていただきたいと思います。
  104. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、それはおかしいはずですね。当然、その場、そのときにすぐに分かんなきゃいけない話です、これは。僕は確認取っているわけですよ、これ、御存じのように。その図があったということですというふうに確認取っているのに、じゃ、そのときには分からなかったということなんですか。
  105. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) そのときにすぐにその修正をするとか訂正をするとか、そういうことが必要だという判断に至らなかったということでございます。  白先生の質問が、その後、次にわたっていた部分もございます。シビリアンコントロールのお話もあったというふうに思いますけれども、そういうことで、このことに対する修正をその場で行わなかったということは大変遺憾に感じ、考えております。
  106. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、まさにそうなんですね。  私、その御答弁を受けた上で、その図があったということをお認めになったと。幕陸長、あっ、陸幕長か、陸幕長からそういう話があったということをお認めになったので、これは文民統制上問題ではないんですかということを私はお聞きしているわけでして、それに対して、防衛大臣の方から、この文書で言うと赤線の部分ですね。防衛大臣として、そういうことについては逐一情報もいただいているということでございますと言っているわけなんですよ。  つまり、これを見てもう認めているんですよ。その図があったことを防衛大臣はその時点で認めているからこういう答弁になっているんじゃないんでしょうか。違いますか。
  107. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) そういうことではございません。防衛大臣として、そういうことについて逐一情報もいただいているということでございますというふうには答弁をしております。
  108. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、そういうことだと思いますよ。だって、そういう、そういうことって、防衛大臣として、この赤線の部分、そういうことについては逐一情報もと。じゃ、そういうことってどういうことなんですか、これ。このそういうことというのは、防衛大臣としては何を意味しているんですか。
  109. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 委員からは文民統制のことについて御質問がございましたが、そういうことについて逐一報告をいただいておるということでございます。
  110. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと、もう一回御答弁願います。
  111. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 元々、白先生の御質問が、密約があったんではないかという御質問から、基本的な認識から始まっているところでございますけれども、その中で、きちんと現場の指揮官同士が様々な意見交換をするのは、これは当たり前。しかし、制服のみで、大臣が、内局が知らないうちに制服がこんな重要なことを決めてしまったら、これは文民統制上極めて問題である、そういうふうに思いますがということではありますけれども、これは大臣が知らなかったのかという御質問だというふうに解して、そのことについては報告を受けていますということを、逐一情報を、情報もいただいているということを御答弁したものでございます。
  112. 白眞勲

    ○白眞勲君 いえ、私が聞いたのはそういうことではないのは、この文章見れば分かると思いますよ。その図があるという話があったから逐一そういう情報ももらっている。  だから、私が聞きたいのは、要は、その図があったということを防衛大臣知らなかったのかと、簡単に言えばね。それで、それは文民統制上問題があるんじゃないんですかというふうに私がお聞きしましたところ、防衛大臣の方からは、いや、そういったこと、つまり、その図があったということも逐一情報はいただいているということでございますというふうに私は取ったんですけれども、違うんですか、これは。
  113. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まず、その図があったかどうかということについては、いずれにいたしましてもお答えを差し控えさせていただきたいと思います。  その上で、ただいまも私が申しましたように、委員からそのような御質問があったので、そのことについては逐一情報を聞いていますという旨で答弁をしたところでございます。
  114. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、だから、逐一情報をもらっているから、その図があったというそういう情報ももらっているというふうに解釈したわけですよ。  ちょっと時間がもうすぐなので、ちょっと先に進みます。これまた次やります。  ちょっと一つ聞きたいんですけれども、安保法制により新設された自衛隊法第九十五条の二に基づき、米軍の部隊との共同訓練実施されていますけれども、二〇二〇年十月十九日の日本とオーストラリア、日豪防衛相会談後に発出された共同声明において、両大臣は、自衛隊法第九十五条の二に係る自衛隊に、自衛官による豪州軍の、豪州軍ってオーストラリア軍ですね、オーストラリア軍の武器等の警護任務の実施に向けた体制構築に必要な調整を開始するよう事務当局に指示をしたと記述されています。  これ、オーストラリア軍を武器等防護の対象とする理由はどうしてでしょうか。
  115. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) ちょっと済みません。
  116. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  117. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 速記を起こしてください。
  118. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 失礼しました。  自衛隊法第九十五条の二に基づく警護の対象国については、条文上、米国以外の国についてはあらかじめ特定しておりませんが、自衛隊と連携して我が国防衛に資する活動に現に従事する部隊であり、また自身のアセット警護を要請するという性質を踏まえれば、防衛分野において我が国と緊密な協力関係にある国におのずから限られます。  豪州は、我が国と同じく、インド太平洋地域における米国同盟国であります。自由、民主主義等の基本的価値と戦略的価値、あっ、利益を共有する特別な戦略的パートナーです。豪州、日豪の防衛協力についても様々な分野で進展しており、豪州は自衛隊法第九十五条の二に基づく警護を実施する相手国としてふさわしい関係に今至っていると考えております。
  119. 白眞勲

    ○白眞勲君 防衛大臣、本年三月九日の当委員会における大臣所信で、共同訓練等の手段を活用し、普遍的価値、安全保障上の利益を共有する国々と密接、緊密に連携しつつ、戦略的な安全保障協力を推進すると、あるいは豪州や、豪州、オーストラリアですね、インド、英、仏などの欧州諸国といったパートナー国との協力を一層強化する旨を述べていらっしゃいます。  最近では、四月上旬に日仏米豪印共同訓練や日豪加、カナダの加ですね、共同訓練、相次いで行われていますけど、我が国防衛するために必要な能力を向上するための共同訓練を行う国がアメリカ、オーストラリア以外に拡大していますけれども、アメリカ、オーストラリア以外、米豪ですね、米豪の以外の国の軍隊について、武器等防護の対象とするつもりでいるのか、していくのか、その辺お答えください。
  120. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 現時点では米豪以外には考えていないというところでございます。
  121. 白眞勲

    ○白眞勲君 また継続してやっていきたいなと思うんですけど、じゃ、ニュージーランドの防衛大臣と昨日も何か電話会談されたよう、あっ、電話じゃない、テレビ会談されたみたいですけれども、これも一緒だということでよろしゅうございますね。
  122. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) そのとおりでございます。  各国と防衛協力、そういったことを更に積み重ねていく中で信頼感、信頼をまず醸成していくということ、その上で様々な訓練について考えていくということになってまいります。
  123. 白眞勲

    ○白眞勲君 最後に、オーストラリア軍を武器等防護の対象とするのは、オーストラリアが我が国と密接な関係にある他国に当たるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  124. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 自衛隊法第九十五条の二に基づきますこの警護が実施可能となるのは、当該国の軍隊等が自衛隊と連携して我が国防衛に資する活動に現に従事する場合に限られます。さらに、当該国にとっては、自国の軍隊の安全を自衛隊部隊に委ねるということにも、ということも踏まえると、その対象は我が国と緊密な防衛協力関係にある国ということになります。  豪州については、インド太平洋地域における米国同盟国であって、基本的価値を共有する、また戦略的利益を共有する特別な戦略的パートナーであります。日豪防衛協力は様々な分野で進展していることを踏まえて、警護を実施する相手国としてふさわしい関係に至っているものと判断しています。豪州軍の活動のうち警護の対象となるのは、自衛隊と連携して我が国防衛に資する活動に該当するかの判断は個別に行ってまいります。  他方、存立危機事態における我が国と密接な関係にある他国については、一般に、外国から、外部からの武力攻撃に対し、共通の危険として対処しようとする、対処しようという共通の関心を有し、我が国と共同して対処しようという、する意思を表明する国を指すものと考えていますが、武力攻撃が発生した時点で個別具体的な状況に即して判断されることになるため、豪州についても現時点で判断はしておりません。  したがって、自衛隊法第九十五条の二に基づく警護の実施を豪州と調整するに当たって、豪州を存立危機事態における我が国と密接な関係にある他国と判断したものではございません。
  125. 白眞勲

    ○白眞勲君 また継続してやっていきたいと思っています。  終わります。
  126. 浅田均

    ○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  内閣法制局長官、前回は大変失礼いたしました。今回は質問させていただきますが、ちょっとお待ちくださいね。  先ほど白委員の方からもう既に質問がありましたけれども、ミャンマーでの邦人記者拘束事件について残りの部分をお伺いしたいと思っています。  先ほどの御答弁で、大使館として情報収集中であり、どのような対応が可能かを探っていると。大臣の方からは、早期解放を求めるというのが基本であるという御答弁をいただきました。  これ、この人は二回目なんですね。二月二十六日に拘束されているけれど、即日に解放されたということであります。今回、これ、刑務所の名前がインセイン、インセイン刑務所ってこれ英語的に理解すると何かえげつない名前ですよね、こんな名前付けるの。地名だったらいいんですけど。インセイン刑務所に拘束されているということで、政治犯が多く収容されているというふうに報道されておりますけれども、二回目の拘束ということで解放されるのは当然長くなると私どもは思っているんですけれども、外務省の御見解はいかがでしょうか。
  127. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 一昨日の夜、ヤンゴンに在住の四十代の邦人ジャーナリストがヤンゴン市内の自宅で拘束及び逮捕されまして、ヤンゴン市内、市内の北西部にあるんですが、このインセイン刑務所に拘束されておりまして、ミャンマー側には当該邦人の早期解放を求めているところであります。  なお、ミャンマー当局によりますと、当該邦人にけが等はないということであります。また、当局によりますと、虚偽の事実を流布したとしてミャンマー刑法の第五百五条(a)違反を根拠に逮捕、拘束したというようなことであります。  ただ、いかなる行為がこの五百五条の(a)に違反したかは明らかではないところでありまして、確かに前回二月の末のときは、こういったどのあれに違反したとかいうことよりも、もうその日のうちに解放と、こういったことの働きかけがうまくいきましたけれど、今回拘束が続いておりまして、いずれにしても、日本としては、当該邦人の早期解放と、これを強く求めていきたいと思っております。
  128. 浅田均

    ○浅田均君 この方は個人的に私は知っておりまして、物すごく正義感の強い方ですので、ほかの邦人でもし逮捕、拘束された方があるとすれば、その人とは特別に扱ってほしいというわけではないんですけれども、そういうことをお含みおきの上、早期解放に御尽力をいただきたいと思います。  それでは、お待たせしました、法制局長官、前回、海上保安庁法の二十五条についてお尋ねしようと思っておりましたところ、時間切れになりました。  この海上保安庁法二十五条、これ読み上げさせていただきますと、「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」と書かれてあります。  私どもの素朴な理解として、これは例えば憲法九条が改正されて日本も軍隊を持っているよというふうな状況になって初めて問題となる条項ではないかというふうに思っております。だから、削除しても別に差し支えないというのが私どもの考え方なんですが、そもそも何でこういう条項が入っているのか、法制局長官の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  129. 近藤正春

    政府特別補佐人(近藤正春君) ただいまのお尋ねにつきましては、海上保安庁法の個別の規定の解釈ということで、一義的には同法を所管する海上保安庁よりお答えいただくべきものと考えておりますけれども、当局の把握している限りであえて申し上げれば、同法のその第二十五条の規定について、これ解釈規定でございますけれども、海上保安庁からは、過去の国会質疑において、海上保安庁の警察機関たる地位を明らかにしたものである旨の答弁がなされているものと承知しております。
  130. 浅田均

    ○浅田均君 警察、防衛機関というのではなしに警察機関であるということを明確にするためにこういうことを書かれてあると。そもそも、海上保安庁という組織が警察機関であるとするならば、こういう条項を入れる必要は僕はないと思うんですけれども、いかがですか。
  131. 近藤正春

    政府特別補佐人(近藤正春君) 先ほど二十五条についての削除の話も御質問の中にございましたけれども、その規定の必要性あるいは削除するかどうかとかいう問題につきましては、その当該条文が規定された趣旨ですとか意義、あるいは現在果たしている機能などを踏まえまして、そういう規定の必要性あるいはそうしたものを仮に削除した場合における影響等など、その個別の規定に則して具体的に検討する必要があると思っておりまして、そういう意味では、その海上保安庁法の個別の規定についての必要性について、今の御質問に対してこの場ですぐお答えするということは非常に難しゅうございまして、それは個別に検討する必要があるというふうに考えております。
  132. 浅田均

    ○浅田均君 分かりました。ありがとうございます。  それでは、保安庁の方来ていただいていると思いますので、海上保安庁法の二十五条を削除することにより海上保安庁にとってはどういうふうな不都合が生じるのか、教えていただけませんでしょうか。
  133. 宮澤康一

    政府参考人(宮澤康一君) お答えいたします。  海上保安庁では、海上保安庁法に基づき、海上の安全及び治安の確保を図るという任務を果たすため、領海警備、海上における法令違反の取締り等の業務を行っているほか、船舶交通の安全確保、海難救助、海洋調査、海上防災、海洋環境の保全等の業務を担っているところです。  海上保安庁法第二十五条は、海上保安庁がこうした業務を行うに当たり、警察機関として、非軍事的性格を保ちつつ、事態をエスカレートさせることなく業務を行うことを明確化したものです。  海上保安庁としては、法令にのっとり、我が国領土領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と緊密に連携し、事態をエスカレートさせないよう、冷静にかつ毅然として対応を続けてまいります。
  134. 浅田均

    ○浅田均君 冷静に毅然と対応はいただきたいんですけど、私の質問は、二十五条を削除することにより海上保安庁に何か不都合なことはありますかという質問なんです。
  135. 宮澤康一

    政府参考人(宮澤康一君) お答え申し上げます。  繰り返しとはなりますが、海上保安庁法第二十五条は、海上保安庁がその多岐にわたる業務を行うに当たり、警察機関として、非軍事的性格を保ちつつ、事態をエスカレートさせることなく業務を行うことを明確化したものであり、海上保安庁法の重要な規定であると認識しているところでございます。
  136. 浅田均

    ○浅田均君 重要な規定というのは、削除はまかりならぬということですよね。
  137. 宮澤康一

    政府参考人(宮澤康一君) お答えいたします。  繰り返しで大変恐縮ですが、海上保安庁法第二十五条は、警察機関として、非軍事的性格を保ちつつ、事態をエスカレートさせることなく業務を行うことを明確化したものでありまして、明確化をしたというこの規定は、海上保安庁法の重要な規定であると認識しているところでございます。
  138. 浅田均

    ○浅田均君 もうあれやね、これ、千日手ですよね、こういうのはね。続けるか諦めるかどっちかなんですけれども、私は、ちょっと別の観点から続けさせていただきます。  今御答弁の中にもありました海上保安庁法の二条、ここでは海上保安庁の任務、職掌というものが、所掌事務というものが書かれてあります。今御答弁の中に一部引用されましたけれども、改めてこれ読ませていただきますと、海上保安庁は、法令の海上における励行、海難救助、海洋汚染等の防止、海上における船舶の航行の秩序の維持、海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕、海上における船舶交通に関する規制、水路、航路標識に関する事務その他海上の安全の確保に関する事務並びにこれらに附帯する事項に関する事務を行うことにより、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務とするというふうに書かれてあるんですね。  だから、ここに仮に海上における主権侵害行為の鎮圧、海上における犯罪の予防及び鎮圧という言葉があるんですけれども、ここに海上における主権侵害行為の鎮圧を加えるということについて、これ、法制局長官、お答えいただけますでしょうか。
  139. 近藤正春

    政府特別補佐人(近藤正春君) ただいま御質問の海上保安庁法の第二条、所掌事務について規定してあるところでございますけれども、各省庁の所掌事務規定についての改正につきましては、まさしくその所管省庁の方で、既存の業務の遂行状況に鑑みましてその改正の必要性とか合理性を個別に検討して判断すべきものということでございまして、まずはやはり海上保安庁の方で個別に御検討いただいた上で私どもに御相談があるということでございますので、ちょっと私どもから直接お答えすることは差し控えたいと思います。
  140. 浅田均

    ○浅田均君 後で相談する人に先に尋ねてしまいまして、申し訳ございません。  それでは、最初に聞くべき海上保安庁にお伺いいたしますが、その所掌事務ですね、任務の中に海上における主権侵害行為の鎮圧、例えばですよ、ということ、条項を、条文を加えることについて、海上保安庁としてはどういうふうにお受け止めになりますか。
  141. 宮澤康一

    政府参考人(宮澤康一君) お答えをいたします。  海上保安庁においては、海上保安庁法第二条において、先ほど先生読み上げられた中にも入っておりましたけれども、その第二条において、任務として海上における船舶の航行の秩序の維持を規定するとともに、第五条第十二号において、所掌事務として海上における船舶の航行の秩序の維持に関することを規定しております。  海上保安庁では、こうした規定に基づき、領海において無害通航に当たらない航行を行っている外国政府船舶に対する退去要求等のいわゆる領海警備業務を的確に実施しているところでございます。  いずれにいたしましても、先ほど述べましたとおり、海上保安庁としては、法令にのっとり、我が国領土領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と連携し、事態をエスカレートさせないよう、冷静にかつ毅然として対応を続けてまいります。
  142. 浅田均

    ○浅田均君 その任務の中に海上における主権侵害行為の鎮圧という文章を入れたら何か困りますか、助かりますか。
  143. 宮澤康一

    政府参考人(宮澤康一君) お答えいたします。  若干繰り返しになりますが、我々がやってございます領海警備、こちらについては、先ほど申し上げました第二条の任務の中にございます海上における船舶の航行の秩序の維持、それから第五条十二号の所掌事務の方で海上における船舶の航行の秩序の維持に関すること、こういうものが規定をされておりまして、これらの規定に基づいて領海警備業務を的確に実施していると、こういうところでございます。
  144. 浅田均

    ○浅田均君 若干の繰り返しではなしに、かなりの繰り返しなんですが。  もう一度、私どもの問題意識として、海上自衛隊と海上保安庁のシームレスな連携が成立していると、だから領海警備、領域警備においても安心なんだという御見解、政府の御見解なんですけれども、今の現状ではそれが薄いのではないかと。だから、もうちょっと海上保安庁の役割を多く、強くして、もうちょっと、何というかな、今ですと海上自衛隊がやっているようなことも引き受けることによって、その言わば重複部分をつくることによって海上保安庁がもう少し活躍できるのではないかという意識を持っております。だから、今の海上保安庁法の任務の中に海上における主権侵害行為の鎮圧というものを入れてみたらどうかなというふうに思っているわけです。  これに対して海上保安庁の御見解をお聞かせくださいというふうに聞き続けているわけですけれども、これが最後です。もう一回お願いします。
  145. 宮澤康一

    政府参考人(宮澤康一君) お答え申し上げます。  先ほど先生おっしゃいましたシームレスな対応というところにつきましては、武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには、警察機関たる海上保安庁と自衛隊との連携が極めて重要でありまして、平成二十七年五月に、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、海上警備行動、治安出動等の発令手続の迅速化のための閣議決定がなされました。  また、海上保安庁においては、平成二十八年十二月に関係閣僚会議で決定された海上保安体制強化に関する方針に基づき、尖閣諸島周辺海域を含む我が国周辺海域の領海警備体制強化に取り組んでいるほか、自衛隊との情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組を一層推進しているところでございます。  先生御質問の所掌事務等につきましては、繰り返しになりますが、現在規定されている海上における船舶の航行の秩序の維持、こうした規定というところ、それに基づき領海警備業務を的確に実施をしているところでございまして、引き続きこうした規定に基づいて業務を実施していくと、こういう所存でございます。
  146. 浅田均

    ○浅田均君 質問には直接には答えていただけていないんですけれども、まあ早い話、不要であると、余計なことはするなというふうに受け止めましたので、そういうふうに理解させていただきます。これもあれですよね、後でまた、法制局長官は質問されても答えようがないんですよね、これ。答えようがあるように持っていきたいと思いますので、その節はよろしくお願い申し上げます。    〔委員長退席、理事三宅伸吾君着席〕  前回は無害通航について質問させていただきまして、有害通航に対する危害射撃は可能であるというふうな御答弁をいただきました。前回御答弁内容は、国際法上許容される範囲内において海上保安庁法第二十条第一項で準用する警察官職務執行法七条の要件に該当する場合には、警察比例の原則に基づき武器を使用することは排除されないと認識しておりますという御答弁をいただきました。  ここで、茂木大臣に非常に重要なことを教えていただいて、警察比例の原則というのが出てまいります。これ、またちょっと、ハンムラビ法典まで御指摘いただきましたので、私、「ギルガメシュ」は読んでいたんですが、ハンムラビ法典というのは目には目をぐらいしか知らなかったので、若干勉強させていただきました。  その成果を御披露したいという思いはあるんですけれども、そこに至る前に、この有害通航に対する危害射撃の可能性ということで、これを明記すべきではないかと私は思っております。保安庁に聞いても、多分その必要はないという答えが返ってくるし、何か、難しいですね、質問委員会だから質問する場ですので、答弁はほぼ予測できるんですけれども、あえて質問させていただきます。
  147. 宮澤康一

    政府参考人(宮澤康一君) お答えいたします。  先ほど先生おっしゃいましたとおり、先日の委員会で御答弁申し上げた内容と重複しますが、一般論として申し上げれば、外国政府船舶への対応については、個別具体のケースに即して総合的に判断すべきであり、一概にお示しすることは困難です。  ただし、国際法上許容される範囲内において海上保安庁法第二十条第一項で準用する警察官職務執行法第七条の要件に該当する場合には、警察比例の原則に基づき武器を使用することは排除されないと認識しております。
  148. 浅田均

    ○浅田均君 こういうところで外務大臣に文句を言ってもしゃあないんですけど、弁証法というのは適用されないんですね。発展がない。同じことの繰り返しですわね。ここから次の次元にアウフベーヘンするという、まあないんでしょうね。しゃあないですわね、お役人ですから。  それでは、愚痴を言っていても仕方ないんで、私、今、海上保安庁法の二十五条を取っ払えとか、二条に主権侵害行為の鎮圧を加えよとか申し上げておりますのは、先ほど申し上げましたように、海上保安庁の役割をもう少し強化すべきではないかと思っております。でないと、海上自衛隊とシームレスな連携があって、決定も電話ですぐできるようにしたとか、継ぎ目がなく海上保安庁と海上自衛隊の連携はされているというふうに常にお答えになるんですけれども、何か、本当にユーチューブとか、海上保安庁の方々どういうことをされているのか拝見する、あるいは海上自衛隊の方々どういうことをされているのか拝見する。例えば、海上保安庁の船が何かソナーブイとかいうのを投げ込んでその周りの状況、情報を収集すると。ああいうのは自衛隊でもやるべきではないかと思っておりますし、そういう、重複するというのかな、情報収集なんかでは保安庁と海上自衛隊が共にやってその情報交換をやるというふうな流れに持っていった方が海上保安庁を強くする。  海上保安庁というのは、言わば外国との窓口というか、軍同士が衝突しないように、そこに言わば緩衝材として、クッションとしてあるというのが一つの役割だと思うんです。だから、そこにもう少し今役割を加えて強化することによって、偶発的な、何というかな、戦闘行為を防げるのではないかというふうに思っているからこういう発言をさせていただいているわけです。  そこで、防衛大臣にお尋ねいたしますけれども、防衛大臣としてのお立場から見られて、シームレスな連携をしている海上保安庁の役割をもう少し強化すべきではないかと私は思っているんですけれども、防衛大臣としての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  149. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 武力攻撃に至らない侵害の対処については、領海領土の治安の維持は警察機関が第一義的な責任を、対応の責任を有しています。  現在、海上保安庁は、尖閣諸島周辺海域において中国海警局に所属する船舶が日本の漁船に接近しようとする動きを見せた場合に、周囲に巡視船を配備し、安全の確保に万全を期しています。  防衛省としても、海上保安庁の体制強化政府全体で取り組むべき重要課題と認識をしております。平成二十八年に関係閣僚会議で決定した海上保安体制強化に関する方針に基づき、引き続き大型巡視船の整備などが着実に進められているものと承知をしております。  防衛省として、海上保安庁を含む関係機関と連携をしつつ、国民の生命、財産、領土領海領空を守るべく、引き続き万全を期してまいります。
  150. 浅田均

    ○浅田均君 今、体制強化のため保安庁の能力がもう少し充実というか、もう少し強いものにしていくということに賛成である旨の御答弁いただきまして、よく見ておられるなと思っております。  そういうところの保安庁の役割を、情報収集だけに関しましても自衛隊ともっと一緒にやるとか、そういう協力関係、まさしくシームレスでなしに一体となっている部分があってもいいと思うんですね。だから、もしそういうことになるとすると、さっき申し上げました二十五条の扱いということについて問題になってくるんだと思いますけれども、防衛大臣がそういう御見解であるということを聞かせていただいて安心しております。    〔理事三宅伸吾君退席、委員長着席〕  それで、もう一つ、これ国連海洋法条約とそれから領海法のことについて、これまで、前回質問させていただいておりましたけれども、海上保安庁を強くするという前に、領海法ということについての改正も必要ではないかという思いがしております。  そこで質問ですが、二〇〇六年に日中で、日本中国で漁業協定の取決めを行っております。北緯二十七度以南は新たな規制措置を導入しない、現実的には自国の漁船を取り締まり、相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行うということになっておりまして、ただし尖閣列島はこの水域に入りますね。  このこういう取決め、これ改正がされておりまして、私はごく最近のやつ、平成三十年のやつまでは確認しているんですけれども、こういうことにした、二十七度以南は新たな規制措置を導入しないと、EEZの中においては他国の漁船であっても入ってきてお魚捕ってもいいよと、海洋資源取るのはいいですよと。ただ、その取決めが必要なんですね。それがないところは外国の船もやってきてお魚も捕れると。  だから、尖閣の周辺に中国の船がお魚を捕りに来るというのは、これはとんでもないことだと思っていたんですけれども、よくよく調べると、そういう規定はされていない地域にやってきていると。だから、そういう外国の漁船が漁を禁止されてはいないところで漁をしていると。で、それを取り締まるために海警局の船がやってくるというのは、中国にとってはそんなに不自然なことではないというふうにも受け止められます。  中国というのは、領海法の規定があって、十二海里は自分のところの領海であると、ここの領海においては国際海洋法条約の適用除外であるという決まりをちゃんと設定しているんですね。これに対抗していくために、我が国もそういう領海法を規定する、あるいはこの日中漁業協定での取組を改めるということが必要になるんではないかと思いますけれども、これは外務省ですか、外務省の御見解をお聞かせください。
  151. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。  委員指摘の日中漁業協定でございますけれども、一九九七年署名されまして、二〇〇〇年に発効いたしまして、現在も有効ということでございます。御指摘のとおり、この協定におきましては、暫定措置水域及び北緯二十七度以南水域というものが設定をされておるというところでございます。  一方、今御指摘のございましたところにつきまして申し上げさせていただきますと、この日中漁業協定、それぞれの排他的経済水域における漁業秩序を確立するために締結されたというものでございまして、領海は適用対象外となっておるというところでございます。  何度も御答弁申し上げているところですけれども、尖閣諸島、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土でございます。現に、我が国、これを有効に支配しているというところでございまして、尖閣諸島をめぐって解決すべき領有権の問題、そもそも存在しないというところでございます。  そうした尖閣諸島周辺の十二海里、当然に我が国領海でございますので、特段何らかの形で日中共同で管理するというような水域とは考えておりませんですし、中国側の漁船が入ってくるということは当然認められないというところでございます。  最後、もう一点だけ申し上げさせていただきますと、中国、国連海洋法条約を批准しておりますけれども、必ずしも領海接続水域法が国連海洋法条約に拘束されない旨を定めた規定あるいは宣言等については承知をしておらないというところでございます。  その上で申し上げさせていただければ、中国につきましては、国連海洋法条約を批准する際に、その条約で規定される領海内での無害通航に関する規定につきまして、沿岸国がその法律、規定にのっとって外国軍艦による領海の通過に対して事前の当該国の許可を取得するあるいは当該国に通知をすることを要求する権利を妨げないという旨の条約批准時の宣言を発出しておるというふうに承知しております。
  152. 浅田均

    ○浅田均君 ちょっと聞き漏らしたかもしれないんですけど、日中漁業協定は今も生きておるということで、北緯二十七度以南は新たな規制措置を導入しないというふうに決めた、それ根拠を御存じだったら教えてほしいんですけれど。
  153. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。  今おっしゃられたいわゆる北緯二十七度以南の水域というところでございますけれども、この協定、日中間の漁業秩序を構築するためのものということでございまして、この水域設定いたしましたのは、この水域における漁業実態が複雑かつ錯綜しているためということでございます。
  154. 浅田均

    ○浅田均君 よく地図見て勉強したいと思いますので、複雑かつ錯綜しているというところをもう少し詳しく御説明いただけませんでしょうか。
  155. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。  この一九九七年に署名されました日中の漁業協定でございますけれども、一九九六年に日中両国双方が国連海洋法条約を批准し、排他的経済水域という制度が導入されるという状況の下におきまして、新たな漁業秩序をつくるべく協定として結ばれたというところでございます。その以前におきましては、一九七五年当時に署名をされました旧日中漁業協定に基づきまして漁業秩序の維持というものが図られてきたというところでございます。  そうした中におきまして、この水域におきましては従来から非常に漁業実態が複雑かつ錯綜しておるというところを踏まえまして、いわゆる二十七度以南の水域というものを設定させていただいたということと承知しております。
  156. 浅田均

    ○浅田均君 早い話、いろんな国の漁師さんがやってくるという理解でいいんですか。
  157. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。  繰り返しで誠に恐縮でございますけれども、従来より、まさにこの水域における漁業実態、複雑かつ錯綜しているという形で御答弁申し上げさせていただいてきておるという次第でございます。
  158. 浅田均

    ○浅田均君 そうしたら、この領海法の改正ですね、中国が国連海洋法条約を批准したときに、自分のところの領海はこれに、この適用外であるというふうにしているような同様の措置というのは、日本にとっては必要ないというふうにお考えでしょうか。
  159. 岡野正敬

    政府参考人(岡野正敬君) 中国領海の扱い、領海法における扱い、それは国連海洋法条約との関係ですけれども、先ほど遠藤参事官から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、特に領海を除外するとか特別扱いをするというような概括的な規定があるわけではありません。軍艦の通航について、無害通航、それについては独自の解釈を取っていて、彼らが解釈を宣言しているということでございます。
  160. 浅田均

    ○浅田均君 この点ももう少し勉強して、また質問をさせていただきたいと思っております。  茂木大臣、大変申し訳ありません、警察比例の原則、これやりたかったんですけれど、もう時間になってしまいましたので、これもまた次回にやらせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  終わらせていただきます。ありがとうございました。
  161. 大塚耕平

    大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚でございます。  今、浅田委員の御質問とその質疑を拝聴していまして、要するに、台湾の問題や尖閣の問題、新たな事態がどんどん深化しているために、日本の法制をどのようにそれに適合させていくのかという観点で質疑が行われているわけで、いや、まさしく国会の役割だと思います。  私も今日はそういう観点で防衛大臣と少し議論をさせていただきたいんですけれども、今日、たまたま朝、NHKのニュース見ていましたら、JAXAとか政府の研究機関など約二百の機関がハッカーによるサイバー攻撃を受けて、このサイバー攻撃をしていた集団は中国人民解放軍の指示の下で行っていたと、で、しかも、そのハッカー集団との橋渡し役になっていた中国籍の男性はもう国外に出ていますので、警視庁が、警視庁公安部がこの中国籍の者を書類送検するという報道、これNHKで行われていました。どうも一般紙でも一部取り扱われているようなんですけれども、ニュースによると、警視庁公安部の書類送検のその容疑としては私電磁的記録不正作出、供出の疑いと、これは犯罪用語なので私もよく分かりませんけれども、そういうことで今日報道されております。  まず、この報道は、大臣は既に報告を受けられましたですか。事実関係だけで結構ですが。
  162. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まだ、直接報告を受けておりません。
  163. 大塚耕平

    大塚耕平君 是非報告を受けてほしいんですが。  つまり、これは、もちろん警視庁公安部が取り扱うべき犯罪でもありますが、要するに、JAXAとか政府機関が中国人民解放軍の指示の下に動いたハッカー集団によってサイバー攻撃を受けたと、こうはっきりニュースも言っているわけですから、これはもう外交、安全保障の問題であるという捉え方を私はしているんですが、大臣も、今聞いていただいた情報からで結構なんですが、どのようにお感じですか。
  164. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まさに、そういう宇宙、サイバー、電磁波といった新領域の分野ですね、こうしたことが非常に重要になっておりますし、その分野で優位性を確保していくこと、また、これまでの陸海空の分野の領域と併せて領域横断作戦をしっかり遂行できるその力を有していくということがこれから大変に求められているところだと思います。安全保障において、そのような分野に対してもしっかり対応していく必要があると考えております。
  165. 大塚耕平

    大塚耕平君 そういう意味で、今回のこの法案もサイバー領域や宇宙領域における防衛力強化のための施策が幾つか入っているわけで、結構なことだと思うんですが、まずサイバー攻撃の類型を大臣ないしは防衛省として、あるいは自衛隊としてどのように整理しておられますか。
  166. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 類型ということでございますが、近年、サイバー攻撃の形態は高度化、巧妙化しております。他国に存在するサーバーを経由したり、ソフトウエアを用いて攻撃源を秘匿したりするということなど、その多くは巧妙な手段が用いられておるところです。  このサイバー攻撃には様々な類型がございますが、サイバー攻撃の基本的な手段としては、情報システムからデータを盗むためのメール等を使ってのマルウエアを送り込むもの、また情報システムのデータを改ざんするため、情報システムのソフトウエアの不具合や設定の不備を悪用し情報システムの管理者権限を奪うもの、また情報システムの利用を妨害するためにコンピューターが処理し切れないほどの大量の通信を発生させるもの、こういったものがございます。  防衛省自衛隊においては、サイバー防衛隊等が情報通信ネットワークを防衛、防護するために二十四時間体制で監視をし、このようなサイバー攻撃への対処を行っております。
  167. 大塚耕平

    大塚耕平君 今日の報道で見た事案は、NHKの説明によると、JAXA等をハッキングしたと。そして、NHKが解説をしていたわけではないんですが、専門家のコメントとして映像が流れていましたが、つまりサイバーや宇宙に関わる情報は、中国が喉から手が出るほど欲しがっているからこういうことになると、こういう解説をしておられました。  情報を取りに来るだけの段階のものと、実際にそのサイバー、まあ情報を取るのも攻撃ですけれども、更に進んだ攻撃として、人的被害が及ぶようなものが生じた場合はどうするんだということで、衆議院のやり取りなんかを拝見していますと、岡局長答弁として、例えばアメリカ国防省などが言っているところでは、武力行使とみなされるようなサイバー攻撃もあると。これは、例えば原子力発電所のメルトダウンを引き起こすようなもの、人口密集地域の上流のダムを決壊させるようなもの、航空管制システムの不具合をもたらして航空機の墜落をさせるようなもの、こういうサイバー攻撃は武力行使に概念的に当たると。防衛省としてと言わずに、アメリカ国防省が言っているのはと、こういう言い方をしているんですが。  いろんなことが今後想定されるし、既に起きているかもしれないんですが、そうすると、サイバー攻撃と、安保国会でも随分私も議論させていただきましたが、重要影響事態、武力攻撃事態、存立危機事態との関係をどういうふうに現時点では整理しておられますか。
  168. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) サイバー攻撃の態様については、その手法や対象などは様々なものがございます。いかなる事態が重要影響事態や武力攻撃事態、存立危機事態に該当するかについては、実際に発生した事態の個別具体的な情報、状況に即して政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、一概にはお答えできない、お答えすることは困難であると考えております。
  169. 大塚耕平

    大塚耕平君 さっきの浅田委員質疑もそうなんですけれども、安全保障に関わるような問題は、まさしく仮定の議論はなかなか難しいというのも分かりますし、一概には想定できないというのも分かるけれども、何か起きてしまったときに、それはできるだけそれに対処できるような法制を用意しておくことだし、もし用意できていなければ、それはまさしく超法規的にどういう対応をしなくてはならないのかとか、本当に難しい判断だと思います。  私は、安保国会のときに、中谷当時の大臣とも随分議論させていただいて、非常に印象に残っていて、サイバー攻撃、まあ宇宙領域に関する攻撃も同じなんですけれども、二〇一五年当時、あのときの議論から派生して、やっぱりまたちょっと検討しなくてはいけない点が顕著に出てきたなと今思っているんですが、何回か議論させていただいたうち、中谷さんと、平成二十七年、二〇一五年の八月二十六日に武力攻撃事態法の三条の四項についてやり取りをさせていただきました。  これ、三条の四項をちょっと読ませていただきますと、「存立危機事態においては、存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。」と、こう書いてあるわけですね。  で、中谷さんと議論したのは何かというと、海外派兵は日本はいたしませんと、この議論は随分行われました。で、いや、それは分かりましたと、しかし、この三条四項が成立をすると、「その速やかな終結を図らなければならない。」と、「その」というのは何ですかという議論をしたんですよ。  つまり、存立危機事態に当たるような攻撃を日本に仕掛けてくるような状況に遭遇したり、あるいは確度の高い情報に接したときには、その速やかな終結を図るためには、場合によっては策源地に打撃を与えないとこの法律の義務を果たせないじゃないですかという問いかけをしました。その前に、中谷さんは何度も策源地の攻撃能力は持っていませんというふうにおっしゃるので、いや、そうすると、策源地の攻撃能力は持っていないのに、存立危機事態になったらその速やかな終結を図るのがもし自衛隊防衛省の義務だとしたら、策源地に打撃を与える力を持っていないというのは法律違反ですよねという、こういう議論だったんですよ。  それで、今日、限られた時間で大臣と議論したいのは、サイバー攻撃も、今日報道で見たような情報を取りに来るというのもこれも許されない話ですけれども、さっき御紹介した、岡局長が言っておられるような人的被害が想定されるようなサイバー攻撃が発生したときに、そのサイバー攻撃の策源地に日本として何らかの手を打たないと、結局その攻撃を止められないわけですよね。  したがって、そのサイバー攻撃に対処するという観点においては、日本は策源地攻撃能力を持つという理解でよろしいですか。
  170. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 大綱におきまして、有事において、我が国への攻撃に際して当該攻撃に用いられる相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力、またサイバー防衛能力の抜本的強化を図ることとしております。この能力を用いることによって、相手方の攻撃、武力攻撃に用いられるシステムが物理的に破壊されたり、破壊と同視し得る程度に機能を喪失したりする場合もあり得ると考えています。  しかしながら、こうした行為は、あくまでも武力行使の三要件を満たす場合に限って自衛のための必要最小限度の範囲で行うものであって、憲法第九条が禁止する武力行使には当たらないものであると考えております。
  171. 大塚耕平

    大塚耕平君 つまり、あの二〇一五年の議論のときには、例えばミサイルとかですね、そういうことが想定されたときのミサイルの発射地点などに対する策源地攻撃能力は日本は持っていないという、こういう御答弁だったんですよ。それでいいんですかという問いかけをすると、海外派兵はできないというこの答弁にまたループのように入っていって、この繰り返しだったんですね。  ところが、今の御説明を聞くと、サイバー攻撃の策源地に対しては、場合によってはそのサイバー攻撃を行っているハード等々について物理的な被害が及ぶことも、それはやり得るという御答弁だったという理解でよろしいですね。
  172. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) おっしゃるところなんですけれども、その場合についても武力行使の三原則というものがございますから、その範囲内でということ、条件になると考えております。
  173. 大塚耕平

    大塚耕平君 これ、是非論を今日はしているつもりはなくて、いや、まさしくその今起きていることと今の法制とこれまでの御答弁、あるいは政府防衛省の公式見解とのそごについて議論しているんですよ。  だから、通常兵器の場合は、二〇一五年の議論以降、繰り返し場面場面で似たような議論が行われていますけれども、武力行使の、自衛権行使の三要件に該当しても、通常兵器の場合には策源地攻撃能力を持っていないし、海外派兵はしませんという、こういう組立てだったんですね。しかし、このサイバー攻撃に関しては、今の話だと、三要件を満たせば、つまり策源地を攻撃できる能力を持つということでいいですね。  いや、私は持たないとまずいと思うんですよ、サイバー空間においては。だって、これ、ミサイルが例えば日本に飛んできたら、それは当たり前のことに個別的自衛権行使しなきゃいけないですよ。で、ミサイルじゃないから、サイバー攻撃を現に受けていて、そうすると、それに対するカウンターとしては当然策源地攻撃能力を持つということで私はいいんじゃないかなと思っているんですが。  つまり、今日、私は大臣は重要な御答弁をしてくださっていると思っているんですが、通常兵器の武力衝突に関してはまだ二〇一五年の枠組みの、議論の枠組みから出ていないものの、しかし、出ていないという中でいいのかというのがさっきの浅田委員質疑領海警備の話なんかではあったわけですが、まあそれはちょっと横に置いておいて、サイバー攻撃に関しては今までの組立てとはちょっと違うという事態に既になっているという大臣の御認識だということでよろしいですね。
  174. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まさに、そのサイバー、新しい、新たな領域ではありますけれども、このサイバーというものの特殊性ということを考えますと、大綱において、有事において、我が国への攻撃に際して当該攻撃に用いられる相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力、サイバー防衛能力の抜本的強化を図ることとしておるところです。この能力を用いることで相手方の武力攻撃に用いられるシステムが物理的に破壊されたり、破壊と同視し得る程度に機能が喪失したりする場合もあり得ると、こういうふうに考えておるところです。  こうした行為はあくまでも武力行使の三要件を満たす場合であって、自衛のための必要最小限度の範囲で行うものであります。憲法第九条が禁止する武力の行使には当たらないと考えております。
  175. 大塚耕平

    大塚耕平君 今日の時点ではそういう御答弁だと思いますし、あと限られた時間で更問いしても多分それこそ同じ御答弁の繰り返しになると思うんですが、そのサイバー攻撃に関してはもう既にこれまでの議論の枠組みでは整理し切れない事態に陥っているし、今日のニュースを見ていてもそうなんですけれども、現にもう既に遭遇している、そして、そのサイバー攻撃を受けるということが、それはもう既に国内に、まあミサイルで言えば着弾しているという状態だという理解で臨んでいただかないとこれはまずいですよというのが私の問題意識です。  まあ何しろ今日のNHKのニュースですよ。中国人民解放軍の指示の下に、ティックというサイバーハッカー集団ですけれども、ティックがサイバー攻撃を仕掛けたというふうにもう明確にニュースになっていますので。そして、そのティックというハッカー集団にそのサーバーのIDとかアクセス権とか、そういうものを提供したのが、さっき申し上げた書類送検された中国籍のSEで、この者が五つぐらいのサーバーと契約をしてその契約情報をハッカー集団に渡して、ハッカー集団がそれを基にその犯罪というか情報にアクセスしていたということで、これは、言ってみれば策源地が国内だったかもしれませんが、海外から直接サイバー攻撃仕掛けられたときには策源地はまさしく海外なんですよ。  さっきの御答弁だと、前半ではそういうことが起きないようにその防御をするというくだりが前半で、後半は場合によっては物理的にそういうことができないようにすることもあり得るということで、前半は当然のこととして、後半は、これまで積み上げられてきている武力行使の、あるいは自衛権行使のその三要件に当てはまる場合は、策源地をしっかり、策源地に対して対処するという方向で、防衛大臣として、この局面、こういう法律も通すわけですし、そういうかじ取りをすべく省内に指示をすべきだと私は思いますが、いかがですか。
  176. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) まず、国民の命を守る、そして平和な暮らしを守っていく、このことを達成するために、我々としてはあらゆる状況というものに備えていかなければならないんだと思います。  その中で、憲法や法律遵守というのは当然のことでありますけれども、サイバーという新たな領域において、これは個別具体的に様々なケースがあると思いますが、一概には申し上げることはできないと思いますが、その中でしっかり状況に備えて、まずそこは武力行使の三要件の部分もしっかり踏まえた上でということでございますけれども、しっかりした体制を取っていかなければいけないと思います。  そういう意味においては、これまでと同じような考え方に固執していたのでは難しい場面も出てくるのではないかなというふうに思います。国民の生活をしっかり守っていく、命を守るために何が必要か、そのことをしっかり考えてまいらねばならないと考えております。
  177. 大塚耕平

    大塚耕平君 私自身も、可能な限り外交的努力で、そして武力衝突的事態にならないようにするのが国の指導者の役割だというふうに思っていますので、まずはそういう努力を総理以下皆さんにもしていただきたいんですが、まあしかし、二〇一五年のときの議論はホルムズ海峡とかインド洋の議論は随分しましたけれども、台湾海峡でこれだけ現実的な緊張感が増している状況とか、そしてサイバー攻撃が現に行われてNHKがニュースで中国人民解放軍の指示までしゃべっちゃう事態になってきているわけですから、岡局長にも伝えておいていただきたいんですが、原子力発電所のメルトダウンやダムの決壊や航空管制システムの不具合を起こすようなそういうサイバー攻撃をされれば、それは当然のごとく日本として対処することが必要であって、アメリカ国防省の資料によればなどという枕言葉は要らないので、せめてここは少し、今後同じような質問をされたら岡局長に枕言葉は要らないぞということぐらいのことはお伝えいただきたいなということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  178. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  米国の衛星コンステレーション構想への参加についてお聞きいたします。  防衛省は、新型ミサイルの探知、追尾を目指して多数の小型人工衛星を打ち上げる衛星コンステレーションによる極超音速滑空体、HGVの探知・追尾システムの概念検討として今年度予算に一・七億円を計上したほか、次世代の赤外線センサーの研究に十二億円計上しております。お手元の資料にあるとおりであります。  現行の中期防には、情報収集、通信、測位等の各種能力を向上させるため、様々なセンサーを有する各種の人工衛星を活用した情報収集能力を引き続き充実とあります。ただ、この衛星コンステレーションは明示的には記載をされておりません。  そこでお聞きしますけれども、これはいかなる計画であるのか、また、防衛省は、国防上のどのような必要があり、いかなる目的のために概念検討を行うこととしたのか、まず御説明ください。
  179. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 米国で進展しておりますこの衛星メガコンステレーション計画が実現すれば、地上レーダーでは探知が困難で、低空を高速かつ変則的な軌道で飛翔するHGVなどを宇宙空間から遅滞なく探知、追尾できる可能性があります。  このような認識の下で、米国との連携も念頭に、衛星コンステレーションを活用したHGVの探知・追尾システムの概念検討を実施するために令和三年度予算に約一・七億円を計上しております。現時点では衛星コンステレーションの導入や米国の計画への協力を決定しているわけではありません。  以上です。
  180. 井上哲士

    ○井上哲士君 これは米国から参加を打診されたと報道されておりますけれども、打診されてこういう予算を組んだということでよろしいですね。
  181. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) 米国とは宇宙面での協力ということについて様々なやり取り従来行っておりますけれども、その詳細については先方との関係がございますので控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、今回のこの予算の要求ということについては防衛省としての判断で行ったものでございます。
  182. 井上哲士

    ○井上哲士君 アメリカは、二〇一九年のミサイル防衛見直しでHGVや極超音速ミサイル等の先進的ミサイルに対処するための宇宙配備衛星の重要性を打ち出して、その年の三月に宇宙開発庁を設置をいたしました。この宇宙開発庁がその年の夏に発表して現在設計を進めているのが国家防衛宇宙アーキテクチャー、NDSAであります。小型の人工衛星一千機以上を高度三百から一千キロの低軌道に投入し、二〇二二会計年度中に三十機の実証機を配置し、その後、二四会計年度に初期戦闘能力を獲得し、二〇二五年までに五百五十機程度を軌道上に配置することを想定しているとされております。  お聞きしますが、この米国宇宙開発庁長官の今年二月の発表によれば、この構想の特徴の一つは、小型の衛星を高密度で配置することによって衛星群は七つの層から構成されるということになっていますが、この七つの層とは具体的にどういうものと承知をされているのか、説明をしてください。
  183. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) アメリカ側で公表されている資料によりますと、今委員から御指摘の七つのレイヤー、階層というんでしょうか、これから構成されるコンステレーションということを説明をしておりまして、具体的に申し上げますと、通信を担うトランスポートレイヤー、弾道ミサイル等の探知、追尾を担うトラッキングレイヤー、地上、海上の移動目標の偵察、監視等を担うカストディーレイヤー、戦闘管理や指揮統制機能等を担うバトルマネジメントレイヤー、測位を担うナビゲーションレイヤー、宇宙の脅威の監視等を担うディターレンスレイヤー、地上施設などで構成されるサポートレイヤーといった形で、七つのレイヤーから構成されると記載されているものと承知しております。
  184. 井上哲士

    ○井上哲士君 今、七つの層の一つとしてHGVを含む先進的なミサイルを探知、追跡を目的とするトラッキングレイヤーというのがありましたけれども、防衛省がこの米国と連携をして行うこの一・七億円の概念検討は、このトラッキングレイヤーに対応したものだということでよろしいでしょうか。
  185. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) 御指摘のトラッキングレイヤーにつきましては、弾道ミサイル等の探知、追尾を担う層であると、そういう説明になっているものと承知をしております。  一方、防衛省として令和三年度予算に先ほどお話がございました約一・七億円を計上している事業につきましては、衛星コンステレーションを活用したHGVの探知・追尾システムの概念検討ということで行う事業でございますので、弾道ミサイル等の探知、追尾といった点でこの両者が共通していることは事実でございますけれども、いずれにいたしましても、現時点では米国の計画への協力を決定しているわけではございませんので、それ以上仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  186. 井上哲士

    ○井上哲士君 これはしかし、日本で単独でできるわけじゃありませんで、明らかにアメリカからの打診に基づいて検討がされているわけですね。  昨年八月に米宇宙軍のレイモンド作戦部長が安倍前総理と面会をしております。そこで、日本は最も重要なパートナーだと考えており、今後、更に具体的な協力を進めていきたいと表明をいたしました。その後にこれ予算計上をされたわけで、まさにアメリカの計画に沿ったものと言えると思います。  ロシアは二〇一八年にアバンガルドというHGVの試射、開発を完了して、一九年十二月に実戦配備したことをプーチン大統領に国防相が報告をしています。ハドソン研究所の研究員の指摘によれば、アメリカの国防関係者は、このロシアの極超音速兵器が実戦配備される時期を二〇二五年頃と見積もっていたと。そこからしますと、このロシアの配備の時期がアメリカの想定よりも早まったということになるわけですね。  アメリカが対処を必要とするようなこうしたHGVなどの極超音速の新兵器の開発がロシアや中国で急いで進められたのはなぜなのか、大臣はどういう御認識でしょうか。
  187. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 御指摘の極超音速兵器は、マッハ五を超える極超音速で飛翔し、弾道ミサイルと比べ低い軌道を長時間飛翔し、高い機動性を有することなどから探知や迎撃がより困難になるとの指摘があり、ロシアや中国が開発を行っているものと承知をしております。  こうした兵器について、米国はミサイル防衛の見直しの中で、既存のミサイル防衛システムへ挑むものと認識を示していると承知をしております。  また、プーチン大統領は二〇一八年三月に行いました年次教書演説の中で、アバンガルドを米国を始めとするミサイル防衛システム配備への対抗手段の一つとして紹介したと承知をしております。  極超音速兵器は将来の戦闘様相を一変させるいわゆるゲームチェンジャー技術の一つであります。防衛省としては、こうした最新兵器の動向を注視しているところであります。
  188. 井上哲士

    ○井上哲士君 ロシアは八〇年代に極超音速兵器の研究を始めたとされますが、アメリカ議会の調査局の報告書は、ロシアの取組を加速させたのは、アメリカによる二〇〇一年のABM条約の脱退と弾道ミサイル防衛計画、BMDだと分析をしています。  今、二〇一八年三月のプーチン大統領の演説に触れられましたが、その中で、米国は弾道弾迎撃ミサイルの継続的な制限なしの数の拡大、質の改良、新たな発射領域の創出を許している、我々が何もしなかったら最終的にロシアの核ポテンシャルは完全に無価値に終わると、つまり我々の全てのミサイルは造作なく迎撃される可能性があるということだと、こう述べていますね。  つまり、結局、アメリカのBMDはこの相手の弾道ミサイルを無力化することで米軍の核を含む先制攻撃を可能にするものであるかもしれませんが、結局、それを打ち破る対抗策として新たな兵器の開発を相手側が進めるということになっているわけですね。中国の兵器開発の加速についても同様の指摘がされておりまして、結局、大国間の新たな軍拡を招いて危機を増大させることになっていると思うんですね。  これは日本でも同じことでありまして、日本はこのBMDに協力、参加して現在までに二兆五千億円を超える巨額の軍事費が注ぎ込まれました。これだけの巨額をつぎ込んだ国はないわけでありますが、結局、BMDが他国の対抗策を招いて軍拡の悪循環をもたらして危険を増大させているということについて、大臣認識はいかがでしょうか。
  189. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 弾道ミサイル防衛システムは、弾道ミサイル等が発射されない限り実際に活用されることはなく、弾道ミサイル等による攻撃に対し国民の命そして財産を守るために必要な、純粋に防御的な手段であります。我が国の安全を確保する上で不可欠なものです。  このような純粋に防御的な手段であるBMDシステムに対する他国の対応の意図等について、我が国としてはコメントすることを差し控えますが、防衛省としては我が国防衛に万全を期してまいります。
  190. 井上哲士

    ○井上哲士君 純粋に防衛的手段ということは本当に繰り返し答弁をされてきたわけでありますが、結局相手の対抗策を招いて軍拡の悪循環をもたらしているという、この事実を直視をすることが重要だと思います。  岸大臣は、昨年十二月二十一日の記者会見で、この衛星コンステレーションについて、日本側の協力の余地について更に検討を進めていきたいというふうに述べられておりますが、この協力の余地とは具体的にどういうことでしょうか。アメリカとの共同の研究開発などもその対象となっているんでしょうか。
  191. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 御指摘協力の余地との表現については、一般論として、令和三年度予算に計上した研究、調査研究についての衛星メガコンステレーション計画を進める米国との連携も念頭に置いている旨を表したものでございます。  いずれにしても、現時点では防衛省として今後どのような対応を行っていくかについて決定しているわけではなく、本調査研究の成果も踏まえつつ検討を進めてまいります。
  192. 井上哲士

    ○井上哲士君 これ、予算に計上した上でこの協力の余地と言っているんですね。  じゃ、ちょっと追加して聞きますけど、例えば衛星でカバーする地域日本が分担をするということも検討されているんでしょうか。
  193. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) 先ほど大臣からも答弁がございましたとおり、今回、まさに今回のその調査研究によりまして概念検討を行うということになります。これは、今回の予算を執行する過程でいろんなやり取りを、この委託をしてくれるところとの間でやり取りをすることになりますので、現時点で何らかのことが決まっているということは全くございません。
  194. 井上哲士

    ○井上哲士君 今回の法案で新設をされる宇宙作戦群は、この構想には今後どのように関わっていくことになるんでしょうか。
  195. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) 先ほど来申し上げておりますように、これはまだ概念検討の段階でございますので、具体的にどのような取組になるかということについて決まったものがあるわけではございません。そういう意味で、今の御質問についても現時点で何か具体的にお答えできることがあるわけではないというところでございます。
  196. 井上哲士

    ○井上哲士君 これからの検討だということで、それじゃ可能性として聞きますけれども、例えば、先ほど挙げた宇宙開発庁長官の発表では、国家防衛宇宙アーキテクチャーのもう一つの特徴として、段階的な開発を行うこととしておりますけれども、このHGVの探知、追尾以外の層への協力ということも可能性としてはあるということでよろしいでしょうか。
  197. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) 先ほど来申し上げているような概念検討をまだこれから始めようという段階でございますので、その先のことについて、仮定のお話についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  198. 井上哲士

    ○井上哲士君 しかし、現実にこの検討に入っているわけですね。アメリカのこの構想のコストは、報道では一兆円以上と言われております。この構想に協力すれば防衛費の一層の増大を招くことになるのではないか。大臣認識、いかがでしょうか。
  199. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 現時点では米国の計画への協力を決定しているわけではございません。その意味で、仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきます。  いずれにいたしましても、一般論として、事業に関する検討を行う際にはコストも含めた検討が必要であると考えております。効率的な防衛予算の執行に努めてまいります。
  200. 井上哲士

    ○井上哲士君 検討して実際始まれば、これは国民にかぶさってくるわけですね。やっぱり際限のない軍事費の増額を招きかねません。  今までアメリカ協力して弾道ミサイル防衛に二兆五千億円以上の巨費を、巨額の国費を費やしたけれども、先ほど来教示していますように、結果としてはむしろそれを打ち破る新たな脅威の出現を呼び込んだということを重く受け止めるべきだと重ねて申し上げたいと思います。  この衛星コンステレーションには別の重大な問題があります。衛星の役割が新型ミサイルを探知、追尾するだけにとどまらないと言われている点です。そうなれば、先ほど政府はミサイル防衛について、純粋に防御的なものと説明されましたけれども、これまでも説明してきましたけれども、それが通らなくなる話なんですね。  読売新聞の報道によりますと、アメリカ国防総省は昨年六月四日に開かれたアメリカ議会関係者向けのセミナーで、我々が二番目に追求しているのは移動する地上・海上目標に照準を合わせることだと強調したと報道をされております。  つまり、アメリカの目指すところは、この衛星群センサーを防御にとどまらず攻撃の目にもしようというものなわけですね。すると、日本がこの計画に参加をすることで、この攻撃の目を得るということになるんではありませんか。いかがでしょうか。
  201. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) アメリカ側が公表している資料の中に、今の報道と関連しますが、陸上及び海上目標の捕捉に関する記述があることは承知しておりますけれども、その詳細についてまで我々として承知しているわけではございません。  その上で、先ほど来申し上げてございますように、今回の調査研究、これはHGVなどの探知、追尾といったことについての検討を目的とするものでございまして、アメリカの計画へ参加すればという御質問ではございますが、そういったアメリカの計画への協力も決定しているわけではございませんので、御指摘の点も含めて仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  202. 井上哲士

    ○井上哲士君 決まっていないからこそ今ただしているんですよ。こんなことにどんどんどんどん突っ込んでいっていいのかと。決まってからいろんな問題が起きる前に今ただしているわけですから、きちっとお答えいただきたいと思うんですね。  報道でも、この小型衛星網は、偵察のための光学望遠鏡や測位システムを積む衛星も含む、ミサイルの追尾だけでなく艦船や航空機、陸上部隊の動きも把握できると、こういうふうに様々指摘をされております。  そこで、お聞きしますが、政府はこの間、「いずも」にF35Bを搭載を可能とする空母化であるとか、スタンドオフミサイルなど北朝鮮や中国にも届く射程の長いミサイル等の保有を進めてきました。  こうした装備はいわゆる敵基地攻撃能力の保有につながるではないかと指摘をいたしますと、政府は、この敵基地攻撃能力は一連のオペレーションであって、相手国の領域において移動式ミサイル発射機の位置をリアルタイムに把握をする、それとともに、地下に隠蔽されたミサイル基地の正確な位置を把握することなど、こういうことが必要なんだと繰り返し答弁をされてきました。だから、こういう装備を持つだけで敵基地攻撃能力にはならないんだというのが皆さんの答弁だったんですね。  しかし、この衛星コンステレーションによってこういう攻撃の目を持てば、この間の長射程の装備と一体で敵基地攻撃能力を保有につながっていくんではありませんか。大臣、いかがですか。
  203. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 令和三年度予算に計上しました調査研究費はあくまでもHGV等の探知、追尾についての検討を目的とするものでございます。  いずれにしましても、米国の計画への協力を決定しているわけではないことから、御指摘の点も含めて仮定の御質問にお答えすることは差し控えたいと思います。
  204. 井上哲士

    ○井上哲士君 安倍前総理が昨年六月にこのイージス・アショアの配備手続の停止を決めた後に発言したことが、昨年の七月二十日付けの読売に出ております。  それによりますと、安倍総理は、衛星で、前総理はですね、衛星で何もかも丸裸にする、ミサイルを正確に撃ち込むことができるとなればそれが抑止力になると関係者に発言をしたと、こういうふうに報道されているんですね。  その後の月末に宇宙基本計画が改定をされて、衛星コンステレーションの検討が盛り込まれたという経過なんですよ。  安倍前総理が衛星で何もかも丸裸にする、ミサイルを正確に撃ち込むことができることにつながる計画だということをこの発言が示しているんじゃないですか。まさにそれが衛星コンステレーションへの参加ということにつながってきているんじゃないですか。いかがですか。
  205. 岡真臣

    政府参考人(岡真臣君) このコンステレーションというお話でございますけれども、私どもとしては、まさにHGVといった新たな空から来る脅威に対してこれにどう対応するのか、それに当たって、これを探知、捕捉するのにどういう方法があるのかということを検討する必要があるだろうというふうに考えたわけでございます。  その上で、まだこれはなかなか具体化をしている段階ではございませんけれども、先ほど来申し上げましたように、概念検討という形で、どういった形のものが考えられるかといったところからまず考えてみようということで調査研究を行うということをしたものでございまして、そういう意味で、先ほど来申し上げておりますように、アメリカの計画に参加するといったことを決めているわけでもございません。  その上で、まさにこういった新たな空からの脅威に対してどう対応するかを考えていく上での資を得るためにこういった検討をしようというふうに考えているものでございます。
  206. 井上哲士

    ○井上哲士君 だからそれを、その過程の中で、安倍前総理が衛星で何もかも丸裸にする、ミサイルを正確に撃ち込むことができるとなればそれが抑止力になると、こういう発言をされた、こういう流れを問題にしているわけです。  安倍前総理は、イージス・アショアの配備中止にかこつけて、迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのかということで、いわゆる敵基地の攻撃能力の保有について、次の政権への検討を求めたわけですね。替わる政権が次の政権に注文を付けるというのも異例なわけでありますけれども、こういう流れを見れば、まさに敵基地攻撃能力の保有という思いの中でこういう構想への参加が検討されていると、そういうことになるんじゃありませんか。岸大臣、いかがですか。
  207. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 昨年九月の安倍総理の談話につきましては、抑止力の検討についてしっかり政府内で進めるという形であります。  今回の調査研究については、あくまで令和三年度の予算に計上したものはHGV等の探知、追尾について検討を目的とするものでございます。米国の計画への協力を決定しているものではないことから、御指摘の点も含めて、仮定の質問にお答えすることは控えさせていただきます。
  208. 井上哲士

    ○井上哲士君 従来の迎撃だけでいいのかと、敵基地攻撃能力持たなければ抑止力にならないという発言を受けて流れが進んでいるわけで、実際には、菅政権は何ら決定をしないままに攻撃の目にもなり得るこういう小型衛星群の計画に参加しようと、なし崩し的に敵基地攻撃の保有に進むなと思います。  中止を求めて、時間ですので質問終わります。
  209. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  改正法案については、対中国抑止のために自衛隊を増強し、米国の軍事戦略に沿ってアジア版NATOを目指す日米豪印QUAD、四か国の軍事同盟に法的な裏付けを与えるものであり、国民の安全保障にはつながらないものです。  前回に続いて、重要土地調査法案について伺います。  北海道千歳市や長崎県対馬市で外国人、外国資本による土地買収が行われたことから、これを規制する法整備が求められたことがこの法案の端緒です。  日本は、WTO協定のサービス貿易に関する一般協定、GATSの加盟の際に留保しなかったために、原則として外国人による土地取引を規制できません。  有識者会議において、有識者会議に内閣官房が出した資料にあるように、米豪韓はGATSにおいて土地取引に関する留保を行っており、国内法で外国人、外国資本による土地取引を規制しています。  一方、配付資料二枚目のように、イギリス、フランスは、日本と同様、GATSにおいて留保を行っていないため、これまで外資による土地取引に規制がなされていませんでした。しかし、この資料にもあるように、英国は、土地を保有する外国企業に対し、実質的な所有者や管理者を政府に登録し、年次更新を求める外国企業登録法案の制定を目指して調整しています。  GATSは十四条の二で、軍事施設のため直接又は間接に行われるサービスの提供に関する措置を例外的に規制できるという安全保障のための例外規定があります。英国の外国企業登録法案にもこうした背景があるのではないかと考えますが、英国の詳細な事情は答弁できないでしょうから、一般論としてお聞きします。  一般論として、外国人、外国資本に対して日本の国内法で土地取引を規制する場合に、GATSの十四条の二の安保例外を使って制度化する余地はないのでしょうか。
  210. 吉田泰彦

    政府参考人(吉田泰彦君) お答えいたします。  WTOのサービス貿易一般協定、いわゆるGATSにおきましては、サービスの貿易について外国人や外国企業に対して日本人と同等の待遇を与える義務、いわゆる内国民待遇義務が規定されております。この観点から、日本人を対象とせず、外国人、外国企業のみを対象とした土地取得の規制を行う場合には、このGATSとの整合性に留意する必要がございます。  御指摘安全保障のための例外に関しては、GATSに規定されており、こうした例外規定に基づき一定の措置をとることは妨げられないというものであります。  ただし、いかなる措置がこれらの例外に該当し得るかについては、当該措置の具体的内容、必要性等を踏まえ、個別の規定に照らして検討し、ケース・バイ・ケースで判断する必要があると考えております。  なお、国際約束上、日本人及び外国人の双方を対象として合理的目的及び手段で土地の取引を規制することは可能と考えております。
  211. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 GATSにおいて可能であるという言いぶりですけれども、英国も可能ですから、日本も可能なはずですよ。さらに、より安全保障の観点が出ているのですから、そのことも検討すべきだと思います。  では、なぜ今回の法案では、規制の対象を外国籍、日本国籍の区別はなく、内外無差別に規制を適用することになったのですか。政策論として、自国民も調査対象にする必要があるということですか。
  212. 和田義明

    大臣政務官(和田義明君) お答え申し上げます。  小此木大臣の下に設置した有識者会議の提言では、今般の政策対応の目的は、安全保障の観点から土地の不適切な利用の是正又は未然の防止であり、土地の所有者の国籍のみをもって差別的な取扱いをすることは適切でないというふうな御指摘をいただいております。また、我が国の法律に基づいて設立された会社であっても、実質的な所有者や支配人が日本人ではないケースもあるとされているところでございます。  このため、今般の法案では、有識者会議の提言を踏まえ、外国資本だけには限定しない内外無差別の形で、まずは安全保障上のリスクのある土地等について所有、利用の実態を調査することにしております。
  213. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 配付資料③の衆議院外務委員会での答弁で、土地、建物の利用については、我が国資本あるいは外国資本にかかわらず適切に対応する必要があるとしています。  同様に、自然人について外国籍、日本国籍を問わずということではないですか。
  214. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) 御答弁申し上げます。  先ほど政務官からも御答弁させていただきましたけれども、今般の法案では、安全保障上のリスクにつきましては、その主体が日本法人であるあるいは外国法人であると否は問わず適切に対処するという観点から、内外無差別の制度設計にさせていただいたところでございます。  以上でございます。
  215. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 法人の場合はそうですけど、人間の場合、人の場合は、外国籍及び日本国籍を問わずということなんでしょう。同等な理解でいいですか。
  216. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) 御指摘のとおり、日本人の方であっても外国人の方であってもこの法案の対象ということでございます。
  217. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 同様に、内外無差別の形で土地等の所有、利用の実態を調査して、必要に応じて利用規制を行うということでよろしいですね。
  218. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) 御指摘のとおりでございます。
  219. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 和田政務官に伺います。  そうなりますと、日本政府は、基地周辺住民、自国民を安全保障のリスク、潜在的なスパイと見ているということではありませんか。
  220. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  先ほど政務官からも答弁させていただきましたけど、有識者の会議の提言におきましては、我が国の法律に基づいて設立された法人であっても実質的な所有者や支配人が日本人ではないケースということもありますという御提言をいただいているところでございます。したがいまして、重ねての答弁になりますけれども、安全保障上のリスクに適切に対応する観点から、内外無差別の形で今回の制度設計をさせていただいたということでございます。  以上でございます。
  221. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 いや、そのWTO規定を理由にしていますけれども、実際これ、内閣府が出しているんです、提案、提出しているんですよね。要するに、有識者の意見というよりは、政府としての意図として、今、先ほど、衆議院の外務委員会での答弁で示したものに補足させてもらいましたけれども、人も含めて、自国民も外国人も含めて同様なリスクではないかということを検証する調査というような回答をしたわけですから、内外無差別ということを理由じゃなくて、そもそもそこにいらっしゃるのは多くはもう自国民なんですよ。  基地の周辺にいる人たちがリスクではないかという調査ということでいいですよね。
  222. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  安全保障上のリスクのある土地等につきまして、まず所有、利用の実態を調査するということで、その対象といたしましては、日本人、外国人の方、日本法人、外国法人、内外無差別の形で制度設計をさせていただいているところでございます。  以上でございます。
  223. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 この法律が防止を目的とする機能阻害利用行為にはこれまで実例がないことが前回の内閣官房や防衛省答弁で明らかになりました。そもそも、法の目的、手段を基礎付ける社会的な事実である立法事実が存在しないのではありませんか。
  224. 和田義明

    大臣政務官(和田義明君) お答え申し上げます。  内閣官房として、これまで本法案が想定する機能阻害行為があったという事実が明らかにされたというふうなことは承知はしてございません。  防衛関係施設周辺や国境離島等において、経済的合理性を見出し難い外国資本による土地の取得が発生していることについて地方議会で懸念が示されるなど、国民の間に不安が広がっているものと考えております。  そのため、これらの懸念が現実になってからでは安全保障上取り返しが付かない、何かあってからでは遅いというようなリスクに対する懸念がございまして、本法案は、これらの実態を把握するための調査及び必要に応じた利用規制を行うことで可能な限りの予防策を講じるためのものでございます。
  225. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 確かに自治体から意見書が出されました。そういう不安を持ったからですね。しかし、地方自治体が懸念している外国人の森林や農地の買収はこの法律では何ら規制が及ばず、既存の法律で規制され、土地の購入目的なども明らかになっています。そもそも、自治体は基地や原発周辺の住民をスパイ視することを求めていません。  防衛施設、関係施設など重要施設の周囲一キロや国境離島等は、注視区域などに指定されます。法案四条二項で、基本方針に、指定に関し、経済的社会的観点から留意すべき事項を定めると規定していますが、これはどういったことを想定しているんですか。
  226. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  経済的社会的観点から留意すべき事項につきましては、閣議決定をいたします基本方針において具体的に明らかにすることとさせていただいておりますけれども、現時点では、例えば重要施設周辺に密集市街地が形成されている場合の当該区域におきます社会経済活動への影響でありますとか、あるいは施設機能の阻害行為の兆候などの把握の困難性など重要施設の周辺の実情、さらには重要施設自体の形状でありますとか、あるいは周辺区域におきます地形、国有地の所在状況等を勘案し、区域指定の要否、区分、範囲を判断することを想定しているところでございます。  その上で、実際の指定に当たりましては、閣議決定させていただきます基本方針の中で改めて指定の考え方を決定をさせていただきまして、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、個別の区域ごとに指定の要否、区分、範囲を判断すると、こういう仕組みでございます。  以上でございます。
  227. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 防衛本省が所在する市ケ谷には自衛隊の司令部機能もありますが、周辺一キロの新宿区は東京都内でも特に人口密集地です。また、首都圏には横田基地、赤坂プレスセンター、港区南麻布のニューサンノー米軍センター、横須賀基地、厚木基地、キャンプ座間、相模総合補給廠などがあります。この法律の区域指定がなされれば、大きな混乱を引き起こすことが予想されます。  同様に、沖縄県の普天間飛行場は、一キロ圏内はほぼ宜野湾市全域と重なるので、注視区域に十万人を超える宜野湾市民の八割から九割が入り、調査対象となり得ます。過大な基地負担を負わされた上に調査対象とされるなど、余りにもひど過ぎます。  配付資料四のように、朝日新聞の報道では、市ケ谷は特定の団体に配慮して区域指定はしないが、米軍施設周辺は米軍と協議して指定すると書かれています。伺いますけれども、市ケ谷が区域指定されない一方で、普天間が区域指定されるなどというおかしなことは起こらないと考えていいですね。
  228. 和田義明

    大臣政務官(和田義明君) お答え申し上げます。  注視区域等の指定に当たりましては、閣議決定する基本方針の中で指定の考え方を決定し、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、施設ごとに指定の要否を判断することになってございます。このため、現時点におきまして、御指摘の市ケ谷の駐屯地、基地周辺や普天間の米軍基地周辺を含め、具体的にどの施設の周辺を指定するかといったことはまだ決まってございません。国会での御議論等を踏まえつつ、安全保障をめぐる内外情勢等を勘案して、政府として適切に判断してまいりたいと思います。
  229. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 国境離島、有人国境離島の区域ですが、内閣から提供された有人国境離島の資料によれば、沖縄島を含め沖縄県全体が国境離島に含まれます。沖縄県全体がこの法案の国境離島として区域指定され、調査対象とされる可能性もあるのですか。
  230. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  有人国境離島法第二条に規定しております有人国境離島地域には、沖縄島を始めまして石垣島、宮古島など、沖縄県の島々が含まれてございます。これらは、本法案に規定いたします国境離島等に含まれるものでございます。本法案の有人国境離島地域離島におきましては、領海基線近傍の一定の範囲あるいは領海警備等の活動の拠点となります港湾施設及び行政機関の施設等の周辺につきまして、必要最小限の範囲で区域指定することを考えてございます。したがいまして、本法案において沖縄県全域を区域指定するところまでは想定しておらないところでございます。  いずれにいたしましても、実際の指定に当たりましては、法律上の要件及び基本方針に規定する指定の考え方に基づきまして個別に評価を行います。その上で、土地等利用状況審議会の意見を伺いまして、指定の要否等を判断するということとさせていただいているところでございます。  以上でございます。
  231. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 もう七十五年前の沖縄戦の前二、三年ぐらいで、沖縄の島々も、壕も掘られて、全部戦争のためにそういう警戒態勢になったわけです。今お話ししている、港湾があれば指定するということになれば、多くの島々が同様の話になるわけですよね。  同じような施設あるいは同じような国境離島であっても、一方が区域指定され、人権も侵害され、経済的な侵害も被る一方、他の区域は指定を免れるとなると、憲法上の平等原則に反するのではありませんか。
  232. 和田義明

    大臣政務官(和田義明君) お答え申し上げます。  注視区域等の指定は、個々の重要施設や離島ごとに法律上の要件や経済的、社会的観点からの留意事項を含む基本方針に照らして個別に判断し、公平中立な立場委員で構成する土地等利用状況審議会の意見を伺った上で、指定の要否、区分を個別に決定することといたしてございます。その結果、調査や利用規制、事前届出の対象になる、ならないの違いが生じたとしても、それは適切な手続によって評価された安全保障上のリスクの違いに応じた合理的な取扱いの違いであり、憲法上の平等原則に反するものではないと考えております。  なお、内閣官房で開催した有識者会議の提言でも、我が国安全保障の確保のために私権を一定の範囲で制約することは、公共の福祉による制約として許容され得るとされております。
  233. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 答弁安全保障上のリスクはまだ承知していないと言いながら、まあよく安全保障のリスクを使っていますね。  重要施設の周辺や国境離島で区域が指定されれば、注視区域の住民が政府による監視対象となり、特別注視区域であれば土地等の取引も事前届出の対象となって、地価や家賃の下落、外国人投資家の投資回避や投資引揚げなど、具体的な経済的損失も生じかねません。  区域指定に際して、政府による経済的な補償はなされるのでしょうか。
  234. 和田義明

    大臣政務官(和田義明君) お答え申し上げます。  地価は、景気動向、当該土地の用途、周辺におけるインフラの整備状況など、様々な要因を背景として不動産市場で決定されるものでございます。本法案による措置に伴う影響だけを抽出して地価への影響を評価することは極めて困難でございまして、政府による補償もなじまない事案であると考えております。  本法案の対象区域で通常の生活を送る住民や事業活動を行う企業にとって、本法案に基づく調査や事前届出制度が実施されたとしても、土地等の使用、収益、処分について制約を受ける可能性は小さいというふうに考えております。このため、本法案に基づく措置が地価に直接的な影響を及ぼす可能性は限定的であると考えております。  不動産鑑定士等専門家からも、本法案に基づく措置が地価に直接的な影響を及ぼす可能性は限定的であると考えられる旨の見解をいただいております。
  235. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 補償はしないということですよね。  区域指定により住民のプライバシーが侵害され、不動産の賃貸借や取引が低調になって地価が下がり、外国人投資家による観光投資も抑制されるなど、地域の暮らしや経済に大きな打撃となります。  地域住民に大きな影響を与える区域指定について、なぜ自治体から意見を聞く立て付けになっていないのでしょうか。事前に地方自治体の意見を聞くべきではありませんか。
  236. 和田義明

    大臣政務官(和田義明君) お答え申し上げます。  我が国安全保障のための措置は、国が責任を持って判断し、実施することが必要でございます。したがいまして、本法案に基づく区域指定につきましても、法律上は地方公共団体に意見を聞く手続を設けてございません。  しかし、その一方で、本法案に基づく措置を実施するに当たりましては、地方公共団体の理解協力を得ていくことは重要であると考えておりますことから、注視区域等で指定を行う前には関係する地方公共体としっかりと意見交換を行ってまいりたいと思います。
  237. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 区域指定がなされれば、土地、建物所有者、賃借人等を対象に氏名、住所、国籍等や利用状況を悉皆調査する現地・現況調査が行われます。注視区域、特別注視区域に対する調査に当たって、重要施設等を所管する省庁の支分部局に現地・現況調査を依頼する可能性があるとの説明ですが、事実ですか。  また、それぞれ重要施設、米軍基地、自衛隊基地、海保施設、原発や、国境離島、国境離島の役場、港湾などについて、具体的にどの省庁の支分部局が調査を分担することになるのでしょうか。
  238. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  注視区域等に関する調査につきましては、内閣府に新設する部局が一元的に対応することを予定しているところでございます。  その上で、現地・現況調査等を行うに当たりましては、必要に応じまして施設等の所管省庁及びその地方支分部局に協力を依頼することも想定しているところでございますけれども、協力の必要性の有無でありますとか、あるいはどのような場合にどのような形で協力いただくかということを含め、具体的な調査の進め方につきましては今後関係省庁と相談しつつ検討させていただきたいと、このように考えてございます。  以上でございます。
  239. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 現地・現況調査を実施しようとすれば、沖縄防衛局など現在の所管省庁の支分部局では不十分であり、地方の区域ごとに専従の調査担当者が必要となるのではありませんか。
  240. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  重ねての答弁になって恐縮でございますけれども、施設等の所管省庁及びその地方支分部局による協力を含め、具体的な調査の進め方については今後検討させていただくことにしておるところでございます。  御指摘ございました、地方の区域ごとに専従の調査担当者が必要といった趣旨が必ずしも明らかではないわけでございますけれども、法律に基づきます調査の執行部局でございます内閣府においてどのような体制を構築するのか、また、施設等の所管省庁等に協力を求めます場合に、どの所管省庁等と執行部局との間の役割、その、失礼しました、その所管省庁と執行部局との間の役割分担をどうするか、さらに、その所管省庁にどのような体制を整備していただくかといったような点も含めまして、必要な体制や他省庁等との連携の在り方については、法律成立後、施行に向けてしっかりと検討させていただきたいと考えてございます。  以上でございます。
  241. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 調査の項目は何を予定していますか。
  242. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  本法律に基づく調査では、関係省庁等の協力も得ながら、例えば、不動産登記等の公簿の収集によります氏名、住所、国籍等といった土地等の利用者や利用実態の把握、あるいは、現地・現況調査や土地等の利用者等からの報告徴収によります土地等の利用実態の把握、特別注視区域におきましては、事前届出を通じました買手の利用目的等の把握などを行うところを想定しているところでございます。  以上でございます。
  243. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 氏名、住所、国籍を把握して、個人が特定できたとしても、重要施設等の機能阻害行為を行うかどうかは明らかになりません。  調査項目として、思想信条、家族、交友関係、海外渡航履歴、職歴、就労状況などの収入や金の出入りなども含まれているのではありませんか。
  244. 木村聡

    政府参考人(木村聡君) お答え申し上げます。  重要施設等の機能を阻害する行為が行われるおそれがあるか否かは、土地等の利用者やその利用状況を総合的に勘案して判断することとさせていただいているところでございます。そのためには、内閣府が行う調査に加えまして、防衛関係施設等の重要施設を所管する関係省庁や当該施設を運営する事業者などから機能阻害行為の兆候等に係ります情報提供をいただき、その内容も参考にさせていただくということを予定してございます。  本法案に基づきます調査は、対象区域内である土地等の利用状況を把握するために行うものでございます。このため、調査の一環として内閣総理大臣関係行政機関の長等に提供を求めることができる情報は、土地等の利用者やその利用目的等を特定するために必要な情報として第七条に列挙しております氏名、住所等とさせていただいているところでございます。  また、内閣総理大臣は、対象区域内にあります土地等の利用者その他の関係者に対しまして報告又は資料の提出を求めることができるとさせていただいているところでございますが、これは、当該土地等の利用に関し行える旨の限定が付されていることから、その対象は土地等の利用と関係のある事項に限られているところでございます。  このため、本法律に基づく調査におきましては、対象区域内にあります土地等の利用者その他の関係者について、御指摘のございました、例えば思想信条に関する情報を収集して調べることは想定しておらないところでございます。  以上でございます。
  245. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 残りが少しあるんですけど、後でまた続けますけれども、要するに、今回、言われていることだけ調べて、そこがそういう施設であるかどうかって、判断しにくいでしょう。多分、様々な情報機関やそういったまさにスパイ、まあCIAみたいなことを今やろうという話ですよね。こういう法律を内閣から提出して、実際、戦時体制を想定するような状況をつくり出そうという、それしか思い浮かばないんですよね、実態もないわけですから。  この件については、これから参議院に入ってくるわけですけれども、やはりかなりの議論をする必要があると思いますし、また私も引き続き質疑させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  246. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  247. 小西洋之

    小西洋之君 立憲民主・社民を代表して、私は、防衛省設置法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論をいたします。  本設置法は、宇宙・サイバー領域における優位性の獲得のためのものであり、その趣旨については、専守防衛のための自衛力の整備等の観点からは、我が党としても我が会派としても賛同することができる立場ではございます。  また、この度の自衛隊法改正についても、日本の友好国であり、外交安全保障上も重要な国であるインドについて、特にこれは対中国との観点からは特別の意味を今日的にもまた将来的にも有するものと考えているところでございますが、そのインドのインド軍との大規模災害等々の対処等々についてはその意義を認め、賛同することができるところでございます。  一方で、本日質疑をさせていただいたところでございますが、インド軍とのこの共同訓練等につきましては、法理として憲法違反である集団的自衛権行使等が排除されず、が目的として排除されず、今後の運用についてもそれを行わないという確認ができず、むしろこの間のインド軍とのマラバール等の共同訓練の目的について答弁は得られないなど、やむを得ず反対をせざるを得ません。  そもそも、防衛省設置法のこの審議につきましては、自衛官の定数のこの変更、これは、我が国の全ての行政組織の中で自衛隊だけがこの定数は法律による規律を受ける、まさに国会による防衛省自衛隊へのシビリアンコントロールの要中の要のものでございます。そして、その定数変更と何ら関係のないこの日印ACSAをセットにして、一本化とした法案として提出されること自体が立法府の観点においては遺憾であります。  今後、こうした法案提出がないことを求めまして、我が会派の討論といたします。
  248. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  会派を代表して、反対の討論を行います。  本法案は、防衛大綱、中期防に基づいて、宇宙、サイバー及び電磁波領域の新たな領域における自衛隊体制強化を図ろうとするものです。昨年発足した宇宙作戦隊と今年度新編予算の宇宙領域における指揮系統を担う部隊を束ねる宇宙作戦群を新編するため約五十名を、また自衛隊サイバー防衛隊の新編に約百三十名をそれぞれ増員するとしています。これらは、領域横断的な作戦を打ち出した日米ガイドラインの具体化にほかなりません。  今、米国中国、ロシアの間では、質疑でも指摘したように、相手国の軍備に対抗するための軍備の拡張を図る動きが激しさを増し、新たな兵器による危険が生まれています。ガイドラインに基づく自衛隊体制強化は、圧倒的な軍事優位性を維持強化しようとするアメリカの軍事戦略に日本を一層深く組み込むものであり、容認できません。米国の戦略の下で軍事的役割拡大させることに力を注ぐのではなく、関係国間で軍縮努力がなされるよう日本として努力することこそが求められます。  日印ACSAの関連規定は、インド軍への平時の物品、役務の提供権限を整備するものです。これにより、憲法違反の安保法制と一体で、平時から有事に至るあらゆる段階でACSAを通じた日印間の軍事協力が可能となります。自由で開かれたインド太平洋の名の下、同盟国やパートナー国を巻き込みながら軍事体制強化を進める米国の対中軍事戦略に沿って、二国間、多国間の共同訓練拡大し、中国に対する軍事的牽制と圧力を強めるものとするものです。軍事に軍事で対抗することは、地域の緊張を高め、際限のない軍拡競争を引き起こすものであり、断じて容認できません。  東アジアに平和的環境をつくるための外交努力を強めることを求め、討論を終わります。
  249. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  私は、会派を代表して、防衛省設置法の一部改正法案に反対の立場から討論します。  現在の米国の軍事戦略では、日本中国の攻撃にさらされ、それに耐えることが求められています。  米国では、二〇一〇年にはエアシーバトル構想が提起され、これに対し、二〇一二年にはオフショアコントロール戦略が提起され、両者の間で論争が繰り広げられましたが、その後、二〇一九年に海洋圧力戦略が提起され、現在の米国インド太平洋軍戦略はおおむねこの海洋圧力戦略に基づいています。  これらの戦略では、中国台湾侵攻の第一段階で、米軍は、南西諸島、台湾、フィリピンなど第一列島線から、小笠原、グアム、サイパン、パプアニューギニアなどの第二列島線に撤退して退避し、中国のミサイル射程内にある自衛隊など第一列島線の同盟国部隊は中国からのミサイル攻撃にひたすら耐えることが求められています。戦闘の第二段階で、徐々に米軍が第二列島線から反撃に転じていくというシナリオは、以上の戦略に共通したものです。  米国の西太平洋における覇権を維持するためのこのような軍事戦略は、自衛隊員の命を犠牲にして、日本国民、特に南西諸島住民の生命、財産を危険にさらすという点で日本安全保障政策としては妥当性を欠くものです。  こうした米軍のアジア太平洋戦略に応じる形で安倍政権が提唱したのが自由で開かれたインド太平洋構想であり、これに沿って今回の自衛隊強化、日印ACSAが提起されています。  先日の菅・バイデン会談を受けた日米共同声明で、日中国交正常化以前の一九六九年の佐藤・ニクソン会談以来、初めて台湾への言及がなされました。  一九七二年の日中国交正常化、日中共同声明では、第三項で、日本政府中華人民共和国立場を十分理解し、尊重することを明記し、以降累次の日中首脳会談で繰り返しこのことを確認しています。さらに、一九七八年の日中平和友好条約を締結して、日中両国の恒久的な平和友好関係を発展させることを約束して今日に至っています。  日本の対中国外交の基本方針を根本的に転換することには慎重であるべきです。尖閣問題は尖閣の範囲で解決すべきであり、日中関係の基礎を壊してはなりません。  今回のような方針転換は、日本中国の間の南西諸島における軍事的緊張関係を高め、南西諸島の住民や自衛隊の生命を危険にさらします。ただでさえ在日米軍基地の七割が集中する沖縄県民に、台湾有事を想定した米軍機の超低空飛行訓練など、更なる基地負担を押し付けるものです。  法案は、憲法違反の安保法制の一環として、中国を軍事的に抑止するために自衛隊を増強し、日印ACSAを名目に、インドとの間の事実上の軍事同盟関係を通じて、米国の軍事戦略に沿ったアジア版NATOを目指す日米豪印のQUAD、四か国軍事同盟に法的な位置付けを与えるものです。  しかし、このまま米国を中心とする対中国抑止に傾倒していくことが、日本の国民の生命、財産の保障につながるか、慎重な検討が必要です。困難ではあっても、軍事偏重の対中抑止政策を改め、外交的努力を最優先して東アジアの平和と安定をつくり出すことこそ、日本政府に求められています。  このことを訴えて、反対の討論といたします。
  250. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  防衛省設置法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  251. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  252. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会