運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2021-03-30 第204回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年三月三十日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  三月三十日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     石垣のりこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         長峯  誠君     理 事                 佐藤 正久君                 三宅 伸吾君                 小西 洋之君                 三浦 信祐君                 井上 哲士君     委 員                 宇都 隆史君                 北村 経夫君                 武見 敬三君                 中曽根弘文君                 中西  哲君                 松川 るい君                 山田  宏君                 石垣のりこ君                 白  眞勲君                 福山 哲郎君                 山口那津男君                 浅田  均君                 鈴木 宗男君                 大塚 耕平君                 伊波 洋一君    国務大臣        外務大臣     茂木 敏充君        防衛大臣     岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        神田  茂君    政府参考人        外務省大臣官房        審議官      吉田 泰彦君        外務省大臣官房        審議官      田島 浩志君        外務省大臣官房        審議官      岡田 恵子君        外務省大臣官房        参事官      遠藤 和也君        外務省大臣官房        参事官      御巫 智洋君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   本清 耕造君        外務省アジア大        洋州局長     船越 健裕君        外務省北米局長  市川 恵一君        外務省領事局長  森 美樹夫君        厚生労働省大臣        官房審議官    山本  史君        国土交通省航空        局次長      海谷 厚志君        防衛省大臣官房        審議官      村岡  猛君        防衛省防衛政策        局長       岡  真臣君        防衛省整備計画        局長       土本 英樹君        防衛省地方協力        局長       鈴木 敦夫君        防衛装備庁長官  武田 博史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び  安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び  に日本国における合衆国軍隊地位に関する協  定第二十四条についての新たな特別の措置に関  する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改  正する議定書締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 長峯誠

    委員長長峯誠君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、外務省大臣官房審議官吉田泰彦君外十五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取します。茂木外務大臣
  5. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) おはようございます。  ただいま議題となりました日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、我が国合衆国軍隊維持することに伴う一定の経費日本側による負担を図ることにより、駐留軍等労働者の安定的な雇用を維持し、合衆国軍隊の効果的な活動を確保するため、米国政府との間で在日米軍駐留経費負担に係る交渉を行いました。その結果、令和三年二月二十四日に東京において、私と駐日米国臨時代理大使との間で、この議定書に署名を行いました。  この議定書は、現行在日米軍駐留経費負担に係る特別協定有効期間を一年間延長することを規定しております。現行特別協定有効期限が本年三月三十一日までとなっておりますので、この議定書は本年度中に発効させる必要があります。  この議定書締結に基づく現行特別協定の延長は、日米安全保障条約目的達成のため我が国に駐留する合衆国軍隊の効果的な活動を確保するためのものであり、ひいては日米関係全般並びに我が国を含むインド太平洋地域の平和及び安定に重要な意義を有するものであると考えます。  よって、ここに、この議定書締結について御承認を求める次第であります。  新型コロナ米国政権交代といった事情もあり、従来よりも遅い時期での国会提出となりましたが、何とぞ御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  6. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 小西洋之

    小西洋之君 立憲・社民の小西洋之でございます。  まず冒頭、外務大臣通告ができていなくて恐縮なんでございますが、ミャンマー情勢なんですけれども、先日の国軍記念日に、報道では、これまでで最多数の市民に対する、虐殺と言ってもよろしいと思いますが、死者が出るような状況になり、また、各国からも、国際関係においても大きな非難の声が寄せられておりますが、私は、こういう事態は、国連安保理事会が所掌する国際の平和における危機などの問題として国連安全保障理事会が直ちにこのミャンマー問題について議論を、討議を行う、そのような必要があると思うんですが、そうしたことについて大臣のお考えなり、あるいは、この間、先週国会答弁をいただいてから、このミャンマー情勢についての政府見解やお取組について御説明をお願いいたします。
  8. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 先週の土曜日、三月二十七日、国軍記念日でありましたが、二月一日のクーデター発生以来最多、百名を超える死者が出る非常に深刻な状況でありまして、私も、その結果踏まえて、翌二十八日には早速外務大臣談話発表いたしまして、この暴行等に対して強く非難をすると、こういう発表をさせていただきました。  この問題につきましては、昨晩も、今来日しておりますインドネシア、ASEANの中でもミャンマー情勢をどうにか打開したいということで中心になって動いている国の一つでありますが、このルトノ外務大臣とも会談を行いまして、非常に事態深刻化をしている、こういった中でどう鎮静化に向けて動いていくのか、また、民主化プロセス、こういうことをどうやって取り戻していくのか、そのための糸口となるような対話をどうするかと、こういった議論もさせていただきました。  これ、ASEAN国々、そして、先日来日しましたブリンケン長官であったりとか、また欧州のカウンターパートともいろんな議論をしております。恐らく、国際場裏においてこのミャンマー情勢については議論が必要だと思っております。どういった形で、安保理そのものでやるのかどうするかと、いろんな議論というのは現在国連において進んでいるところでありまして、そういった国際場裏における議論であったりとか様々なものを踏まえながらもしっかり対応していきたいと、そんなふうに考えております。
  9. 小西洋之

    小西洋之君 通告外質問、ありがとうございました。  我が国固有取組はもちろん、おっしゃっていただいたように、国際社会との連携国連あるいはASEANを始めとしたあの地域一帯との連携など、様々な形で是非我が国としてリーダーシップを取りながら頑張っていただきたいというふうに思います。  では、駐留経費のこの条約等々についての質問に入らせていただきます。  まず初め、防衛大臣質問させていただきますが、先般の委員会で、配付資料の一ページでございますが、まず日米同盟とはそもそも何かというものでございますけれども、岸信介首相回顧録配付をさせていただきました。日米安保条約第三条というものがございまして、資料の五ページの私の資料の中にこの条約の本文が載っておりまして、資料二ページには、これ安保法制以前なんですけれども、外務省からのこの三条についての趣旨説明。  実は、日本国には、憲法九条、集団的自衛権を禁止している憲法九条があるので、この安保条約第三条だけがアメリカが結んでいる同盟条約の中では異なった作りになっていて、その意味としては、日本アメリカのために集団的自衛権行使しなくてよいということが実は主権国家間の約束憲法九条の制約だけではなくて主権国家間の国際約束としても締結されている。  まさに、一ページの岸信介総理の証言というのはそのことを具体的に語っているということなんですが、これについて防衛大臣の方から、前回、ちょっと質疑の最後だったんですけど、岸元首相の個人的な見解を述べたものであり、そもそもこの第三条の憲法上の規定に基づきというこの規定というのは、憲法九条とか個別の条文の、憲法上の規定に従うことを条件という条文なんですけれども、憲法九条など個別の条文のことを言ったものではないという答弁をされましたけれども、そういうお考えでよろしいでしょうか。確認で、お願いします。
  10. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 御指摘の岸元総理発言ですけれども、これたしか一九七〇年代だったと思いますが、総理を退任してしばらくたった後の一議員としての個別の見解を示したものと、こういうことであったと思います。  その上で、今御指摘の第三条の観点ですけれども、憲法上の、失礼、憲法上の規定に従うことを条件としてとの文言から明らかなように、特定憲法解釈に立ち入った規定ではなくて、我が国自身が行う憲法解釈の下で実施をされているものと考えております。
  11. 小西洋之

    小西洋之君 元総理見解を個人的な見解というふうにおっしゃられると、元岸総理も多分嘆かれているのではないかと思いますが。  この憲法上の規定に従うことを条件としてというんですが、資料五ページの私の資料、これ本、私の拙著なんですけれども、NATO条約、これ、アメリカ米韓条約や全ての同盟条約同じなんですけれども、それらの条約にはない文言なんですね。あえて日米安保条約三条だけ入れてきたと。  じゃ、その趣旨なんですが、三ページ御覧いただけますでしょうか。これはまさに、岸元首相の下で日米安保改定が行われ、その改定のときにこの第三条が初めて入ったんですが、当時の藤山国務大臣答弁ですけれども、線引いてある部分、第三条に憲法上の規定に従うことを条件としてということが書いてございます、これは日本国憲法第九条でございましてと、個別の条文第九条のことだということを国会で明言しているわけでございます。で、これは自衛力限界というものを定めたものであって、武力攻撃に対抗する能力というのは自衛力限界だと御了解いただきたいと思います。  じゃ、それが何かといったときに、次ですけれども、武力攻撃が起こりましたとき、日本に対する武力攻撃が起こったときに、実力をもってその日本に与えられた武力攻撃を排除するということが自衛力であって、つまり個別的自衛権ですね、それのみ、したがって、その限度内において行われるわけでありまして、それを我々は最小限に想定していると。だから、アメリカに対する武力攻撃を排除する集団的自衛権というのはできない、そういう憲法の規範の枠内のことしか日本はしなくていいという条約だと書いてあるんです。  質問ですが、明確に憲法上の規定に従うことを条件としてということが書いてございます、これは日本国憲法の第九条でございましてと言っているんですから、この規定憲法の個別の条文のことを言ったことではないという政府見解というのは、当時の、安保条約ですね、改定時の見解とは異なるんではないでしょうか。
  12. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 憲法上の解釈の問題となるかもしれませんけれども、先般の平和安全法制議論が行われて、その後の集団的自衛権の限定的な行使についての解釈がなされたわけであります。当然ながら、こうした日米安保条約というのも、その時々の憲法によって、の下で存在すると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  13. 小西洋之

    小西洋之君 今の答弁は、日本国憲法九条の解釈そのものが変わったんだからこの条約解釈も変わるのじゃないかということなんだと思うんですが。ただ、この安保条約ですけど、今の駐留経費のこの条約と同じく国会承認をされているわけでございます。国会が認めた九条の解釈というのは、あくまで個別的自衛権しか九条はできないと、で、憲法上の規定に従うことをというのは、まさに集団的自衛権日本アメリカのために行うことを排除すると、免責するというものですので、それを政府解釈で変えたから、あるいは安保法制という法律ができたからといって、その条約国会が認めた解釈を超えることはできないんではないでしょうか。条約法律よりも上位法、あるいは政府解釈よりも当然上位法でございますので、条約解釈閣議決定あるいは法律は超えることはできないんじゃないでしょうか。
  14. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 繰り返しでございますけれども、この第三条については、憲法上の規定に従うことを条件としてという文言になっております。これから明らかなように、我が国が行う憲法解釈の下で実施されると、このように考えているところでございます。この点で、平和安全法制は、武力行使の三要件を満たす場合には、従来の政府見解の基本的な論理に基づく必要最低限自衛のための措置として武力行使憲法上許される、許容されるとの判断するに至ったものでありますので、日米安保条約に違反するものではないと考えます。
  15. 小西洋之

    小西洋之君 私の申し上げた国会で認めた九条の解釈ですね、それに基づいてのみ条約というのは承認を受けているわけですので、それについてはお答えいただけていないというふうに思いますが。  茂木大臣、四ページにですね、資料の四ページに、河野外務大臣のこれ本会議答弁なんですけれども、今と同じ答弁ですね、第三条の憲法上の規定に従うことを条件としてというのは特定憲法解釈に立ち入った規定ではないというのは、外務大臣としても外務省としてもそのような見解でしょうか。
  16. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) そのような見解を持っております。  同時に、一九六〇年代当時と比べて、我が国を取り巻きます安全保障環境、これが大きく変わってきているのは間違いないわけでありまして、当時想定された様々な危機と今考え得る存立危機事態始め新たな事態、これは違っている中で、どう必要最低限自衛権を発揮するか、こういう観点から行っているものだと考えております。
  17. 小西洋之

    小西洋之君 安保改定の当時と安全保障環境が変わって、日本として求められる外交政策あるいは安全保障政策が変わっているというのは私も同意するところなんですが、やはり、憲法というのは国民と命、尊厳を預かるものですので、国民の命あるいは日本の平和と独立を守るために集団的自衛権が必要なのであれば、憲法改正国民投票を行い、その下で安保改定の更なる再改定条約改定を行うというのが本来あるべきだというふうに思います。  法的正当性がないままに集団的自衛権を発動して、昨年の臨時国会でも防衛大臣に御質問させていただきましたけれども、その集団的自衛権の行動の下で自衛隊員が命の危険に直面する、あるいはそれによって反撃を受けて日本国民が命の危険に直面する、そのようなことは、法の支配、立憲主義の下ではあってはならない、国民の命や尊厳が懸かるものについては憲法の定めた必要な法的手続というものが行われなければならない、そうしたことを厳しく指摘をさせていただきたいというふうに思います。  では、問いの二番なんですが、これも先日、防衛大臣にちょっと時間のない中御質問をさせていただいたものでありますけれども、日米同盟在日米軍基地を見たときにアメリカにとって計り知れないメリットがあるものではないかということでございますけれども、先般、この質問通告の中で、例えば横須賀海軍基地などが自由で開かれたインド太平洋構想において具体的にどのような意義役割を果たしているのかということも質問通告させていただいていたんですけれども、嘉手納基地横須賀基地、あるいは岩国三沢といった主要な在日米軍基地がありますけれども、それらの基地アメリカ軍事戦略上、あるいは国益上どのような意義があるものかについて答弁をお願いいたします。
  18. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 御質問の点でございますけれども、先般も御答弁申し上げたかもしれませんが、横須賀には空母ロナルドレーガンを始めとして第七艦隊プレゼンス維持をしているところであります。嘉手納飛行場には第五空軍が警戒監視等を実施しております。  こうしたこと自体在日米軍プレゼンスを示すことによって、地域の平和と安全に貢献しているということだと思います。自由で開かれたインド太平洋維持強化において重要な役割を示していると、こういうふうに思います。
  19. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと今お答え少しいただいたんですが、もう少し具体的に、その自由で開かれたインド太平洋構想において、例えばその横須賀海軍基地母港としているアメリカの第七艦隊が具体的にどのような貢献というか、アメリカから見てのそのメリットを持っているのか、もう少し具体的に答弁をお願いいたします。
  20. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 自由で開かれたインド太平洋構想ということを考えますときに、太平洋からインド洋にかけてのシーレーン等においてのロナルドレーガンを始めとする第七艦隊プレゼンス、そこにいるということで、周辺の国々との連携も取ってまいることになると思いますが、そういったことを通じて、海洋が自由であること、また開放的であること、こういうことを確保することに意義を持っているんだというふうに考えております。
  21. 小西洋之

    小西洋之君 アメリカハワイやグアムにも強力な海軍基地を持っているんですが、横須賀海軍基地が仮になければ、自由で開かれたインド太平洋構想にどのような支障が生じるんでしょうか。さっきと同じ質問ですけれども、要するに、具体的にどのような意義アメリカから見てあるんでしょうか。政府参考人でも結構ですけれども。
  22. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) まさに今、大臣からも御答弁があったとおりかと思いますけれども、まさに、こういった基地機能があるということ、それがまさに後方支援をしっかり行うことによって米軍がそのアセットを前方展開をできるということ、このことがこの地域の平和と安定に大きな役割を果たしているということであろうと思います。  横須賀基地について申し上げれば、ロナルドレーガン空母ロナルドレーガンを含む第七艦隊がいるわけでございまして、これを支える基地機能横須賀基地が提供しているということでございますし、また、個別のところを幾つ委員からも御指摘ございましたけれども、三沢基地には戦闘機の部隊ございますけれども、こうした機能がちゃんと前方展開したプレゼンス維持できるように作戦支援機能を提供しているということでございますし、また、岩国基地であれば、これは海兵隊基地でございますけれども、この海兵隊の部隊がこの地域で訓練を行う、また、あるいは不測の事態へ対応する人道支援災害救援任務等を行うといったことによって、この前方展開プレゼンスをしているということの意義が発揮をされているということであろうというふうに思っております。
  23. 小西洋之

    小西洋之君 何といいますか、じゃ、政府参考人で結構なんですけど、第七艦隊守備範囲というのはどこからどこまでになりますですか。
  24. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) 米軍自体、その各コマンドの範囲というのを示しておったと思います。今ちょっと手元に正確にございませんので、それを今申し上げる、ちょっと正確に申し上げるのはちょっとできませんけれども、幾つかの艦隊責任範囲を区切って担当分野というのを持っていたというふうに理解をしております。
  25. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと、これ通告していないんですけど、ただ、日本の国防とか、あるいは外交においても一番重要な点だと思いますので、外務省でも結構なんですが、どなたか、ある程度説明できる方、いらっしゃいますでしょうか。
  26. 市川恵一

    政府参考人市川恵一君) 手元資料ございませんので、おおよそということで御勘弁願いたいと思いますけれども、第七艦隊、西太平洋から大体インドの西側、中東のやや手前という辺りだというふうに御理解いただければと思います。
  27. 小西洋之

    小西洋之君 第七艦隊のホームページでも解説されているんですけど、今、外務省の方から御説明いただいたようなことが書いてあるというふうに思います。  つまり、ハワイの西から東シナ海、南シナ海を越えて、インド洋、そしてアラビア海峡の入口まで第七艦隊の全て守備範囲、それの母港横須賀にあり、しかも、この横須賀というのはアメリカ海軍が国外に持っている唯一の空母母港であり、かつ、今日の論点でもございますけれども、この優秀な技術者ですね、日本人の、空母の修理までできるというわけでございます。  ですので、この横須賀海軍基地がなければ、アメリカの自由の航行の作戦についても恐らくそれを有効的に実施することは不可能なんでしょうし、あるいは、防衛大臣防衛省からも答弁があったように、前方展開ですね、アメリカが軍事的な脅威だと言っている中国や北朝鮮、その他の国に対するその前方展開というのもできない。  一言で言うと、在日米軍基地がなければアメリカというのは超大国であり得ないというふうに私は理解をするんですけど、防衛大臣、いかがでしょうか、そういう理解は。
  28. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 米軍にとって在日米軍の価値というのは、今議員も御指摘をされましたけれども、大変重要な意味があるというふうに考えております。
  29. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと後ろの方で通告させていただいているんですけれども、トランプ大統領がかつて在任時に、一番初めに日本に訪日をしたときに、アメリカ軍を駐留させてくれてありがとうというような趣旨発言をしているんですけれども、この発言趣旨について、政府としてどのようにお考えになっておりますでしょうか。
  30. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) トランプ大統領、その時々によって様々な発言をされる大統領であったと思いますけれど、御指摘のトランプ前大統領の発言は、そのような在日米軍役割の重要性を踏まえた上で、日米安全保障条約の下、我が国日米同盟を強固なものとするため行っている種々の取組に対して謝意を述べたものと認識をいたしております。ちょうど平和安全法制であったり様々な取組も進んでいると、こういう、日本としてしっかり、何というか、日米同盟の対処力、抑止力を高めていく、こういう取組をしていた時期とも重なっているものだと思っております。  また、このことは、例えば二〇一九年四月の日米2プラス2共同発表において、日米安全保障体制が地域における米軍の一層のプレゼンスを促進する上での極めて重要な役割を認識したと表明されていること、また、同年六月の米国防省のインド太平洋戦略報告書においても、日米安全保障条約は、自由で開かれたインド太平洋、FOIPを実現するための重要な鍵、ア・キー・イネーブラー、このように記述されていると、このことでも明らかではないかなと思っております。
  31. 小西洋之

    小西洋之君 防衛大臣に、今の外務大臣答弁を踏まえて質問させていただくんですが、私の理解なんですが、トランプ大統領は大統領選挙のときはまさにいわゆる安保ただ乗り論みたいな主張を一生懸命していたんですが、多分大統領に着任してから日米同盟の本質について説明を受けたと思うんですね。すると、彼、商売人ですから、おっ、これって実はアメリカにとって地上最大のグッドディール、アメリカにとってこんなにいい話はないと、そういう実は二国間関係が日米同盟関係じゃないかと、そういうふうに私は思ったと思うんですね。  さっきも申し上げましたけれども、日米同盟がなければアメリカは事実上超大国であり得ない、そして、日本、親米社会ですから、かつ安定した社会ですね、そこでしっかりとした技術力を持ち、そして今日の議題である駐留経費までほかの国に例がないような負担までしていると。このような国をアメリカはこのアジアの地域で手に入れることが私はできないと思うんですね。ちょっと誤解のないような思いで例えをさせていただくんですが、仮にアメリカが百兆ドルお金を積み、あるいは、絶対あってはならないことですけれども、アメリカの軍人の血がどれほど流れようとも、在日米軍に代わるだけの在外基地アメリカはこのアジアの地域で得るということは、もうこれ私は不可能だと思います。  そうしたことを考えると、防衛大臣、もう一度なんですが、日米同盟というのはアメリカにとって死活的に重要な同盟である、そのような認識でよろしいでしょうか。
  32. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 日米関係ですね、七十五年前は戦争をしていた関係でありますが、それが今では日米同盟という形で最も強固な同盟を維持している、更に強化を、深化をしている、こういう関係にあるわけです。大統領も就任をされてからこの認識を強くされたんではないかなというふうには思っております。  その上で、米軍、長い歴史の中で様々な変化はあったとは思いますけれども、常に日米同盟によって、特にアジア近辺ですね、での前方展開、そうしたことを考えますと、また周辺国における米軍への思いというものも、地域の平和と安定、さらには繁栄に寄与していると、こういう考えを強めてきたのではないでしょうか。米軍にとってもそのことが、米軍といいますかアメリカにとってもこの日米同盟の重要さというものはよく認識していただいているものと考えます。
  33. 小西洋之

    小西洋之君 じゃ、外務大臣お願いしたいんですが、日米同盟アメリカにおいて他に劣ることのない重要な二国間関係であるはずだと、アメリカにとって日米同盟が他に劣ることがない重要な二国間関係であるはずだというような政府の認識でありますでしょうか。簡潔に答弁お願いします。
  34. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) それで結構だと思っております。  小西委員がおっしゃったことと同じことをかつてマンスフィールド大使がおっしゃっていたんじゃないかなと思いますけれど、マンスフィールド駐日大使、日米同盟は他に並ぶもののない最も重要な二国間関係である、ジ・US・ジャパン・リレーション・イズ・ザ・モスト・インポータント・バイラテラル・リレーション・イン・ザ・ワールド・バー・ナンと、こういう表現を使っていたと思います。
  35. 小西洋之

    小西洋之君 明確な答弁ありがとうございました。  では、質問の三なんですが、外務大臣。そうした他に並ぶもののない重要な二国間関係が実は日米同盟、その本質的な要素が、私、在日米軍基地アメリカにおけるメリットだと思うんですが、この在日米軍基地アメリカにおけるメリットということは、私もアメリカに駐在した経験があるんですけれども、ほとんどのアメリカ人が知らない。まず、あと、報道関係者やあるいは政府関係者、まあ政府関係者はある程度知っている人もいるんですが、かつては政治家に至っては知らない人も、理解していない人も非常にたくさんいると。  これはしっかりと我が国、やはり政府を挙げてアメリカに、私も日米同盟というのは日本の安全保障の基軸だと思います。本当に一番大事な二国間関係であるというふうに思います。であるからこそ、しっかりとその本質をアメリカに知ってもらう、そのために政府がよりしっかりとした取組を行っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  36. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) そのようにしたいと思いますし、また米側においても、責任ある立場の方々がそういった日米同盟の重要性、アメリカにとっても重要なんだということを強調しているのも間違いないと思っておりまして、先日、ブリンケン国務長官そしてオースティン国防長官、初の外遊先として日本、訪日をされたわけでありますが、その訪日に先立ちましてワシントン・ポストに二人が共同寄稿をしておりまして、なぜ同盟が米国の国家安全保障にとって不可欠であるか、また同盟が米国民にいかなる利益をもたらしているのか説明したいと、そうした上で、日米同盟米国の力を増幅させるもの、フォースマルチプライヤーと、こういう言葉を使っていますが、そのように強調していたと思っております。  もちろん、先日の2プラス2、日米外相会談、これはポンペオ長官のときからそうでありましたが、ブリンケン長官、オースティン長官についても、こちら側からも改めてその説明をし理解を得ているところでありますが、こういった、今アメリカが、バイデン大統領が同盟関係を重視する、そこの中でも日米同盟というのは最も重要である、こういう発言をしていること、また主要閣僚もそういった米国向けにもそういう発言をされている、こういったことを追い風に、米国の議会であったり、また米国内の各層への理解増進に、在米大を含め、一層取り組んでいきたいと思っております。
  37. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございます。頑張っていただきたいと思います。  我々も議員外交などがございますので、しっかりアメリカに対する健全な理解というものを取り組んでいきたいと思います。  では、質問の四番なんですが、この度の特別協定の交渉について、外務大臣、衆議院の審議で、我が国の平和と安全を確保する上で、日米がいかなる役割、任務を分担していくのか、また、その下で我が国負担規模が適切であるかを主体的に日本考える等々述べていらっしゃるんですが、この大臣答弁を拝見していると、いわゆる思いやり予算のこの思いやりという概念は、もはやこの駐留経費の問題を考えるに当たって概念として有用性を失っているといいますか、実体がないというか死語といいますか、そのように感じたんですけれども、この思いやり予算という概念は、今でも政府は採用されているんでしょうか。
  38. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 従来から、政府として、在日米軍駐留経費、ホスト・ネーション・サポートについて、これは、こういうホスト・ネーション・サポートという言葉、これを呼称しておりまして、思いやり予算という呼称は使用しておりません。思いやり予算と言われるようになった一九七八年の金丸当時の防衛大臣発言等を引っ張ってきてそういう言い方されたわけでありますけど、政府として思いやり予算、こういう言い方はしていません。  同時に、これは先ほど来説明しているように、日米双方にとって極めて重要なものであって、これが地域、世界の平和、安定、繁栄に貢献する、そういったコーナーストーンになっていると、こういう位置付けでありまして、思いやりというよりお互いの信頼関係、これによって成り立っている、そんなものだと思っております。
  39. 小西洋之

    小西洋之君 政府として思いやり予算という用語は使っていないということと、あと、いわゆる一般的な意味でのこの思いやりといった概念でこの駐留経費を、負担というのを捉えていないということでよろしいですか。今の答弁その内容だと思いますので、簡潔にお願いします。
  40. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) そのような御理解で結構です。
  41. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  では、外務省なんですが、我が国のこの特別協定なんですけれども、財政審議会に提出された資料外務省からいただいたものですが、負担割合が日本が七四・五、まあこれいろんな計算の仕方があるんだと思うんですけど、韓国は四〇%、ドイツ三三、イタリアが四一、これアメリカが自ら公表した数字だったかと思いますが、ただ、こういうのを見ていても他国にないような負担割合なんですが、仮にですね、仮にアメリカ側が大幅な負担増を求めてきたときに、何かこの対応できるような項目、余地というのはあるんでしょうか。外務省、お願いします。
  42. 市川恵一

    政府参考人市川恵一君) お答え申し上げます。  ホスト・ネーション・サポート、在日米軍駐留経費でございますけれども、日米の負担割合をいわゆる論じる前に、まず、我が国の平和と安全を確保する上で日米がいかなる役割、任務の分担をしていくかと、また、その上で我が国負担規模が適切か否かということを考えることが大事であるということ、これは大臣からも累次申し上げているとおりでございますが、一方で、その各国が負担している米軍駐留経費の内容、規模については、各国を取り巻く安全保障環境ですとか当該国が米国との間で結んでいる安全保障条約、またその中で駐留米軍がどのような役割を担っているか等の種々の要因を総合的に勘案しているものでございまして、また国によって経費範囲をどのように捉えるかということに違いがあることから、累次申し上げておりますが、単純な比較、評価は困難であるというふうに申し上げさせていただきたいと思います。  その上で、我が国のホスト・ネーション・サポートの負担規模について、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるホスト・ネーション・サポートは引き続き重要であるという点を踏まえた上で、我が国の厳しい財政状況あるいは我が国を取り巻く安全保障環境、各種要素を総合的に考慮した上で主体的に判断していきたいと思いますが、今後の将来の協定の交渉に関することにつきましては、その進め方、交渉の仕方は予断することは差し控えたいと思います。  いずれにしましても、先ほど申し上げましたような要素を勘案した上で、ホスト・ネーション・サポートが適切な内容、水準となるように対応していきたいと思っております。
  43. 小西洋之

    小西洋之君 何か非常に巧みな、政府答弁らしい、答えない政府答弁いただいたかのように思うんですが、まあ、ちょっとなかなか、政府外務省と個別に議論していると、もちろん我が国負担できるという意味ではなくて、各項目、アメリカからこういう議論があればこうすべきじゃないかというような議論も、私もまあこれは単なる意見交換ですがさせていただいたりはしたわけでございますけれども。  では、外務大臣に伺うんですが、先ほど大臣答弁いただいたように、日米関係というのは他のどの二国間関係にも例えようがないほどアメリカにとっても重要な関係であると、しかも日本は既に、各国に、はるかに大きな、比較して大きな駐留経費負担を行っていると、そういうことを考えると、来年度以降の交渉が行われるわけですけれども、これが採決されたら行われるわけですけれども、その交渉においては、もう原則アメリカはこれ以上の負担を求めるべきではないと、そのような日本としての打ち出し方をするのが主権国家同士の対等な交渉だと思うんですが、大臣見解をお願いいたします。
  44. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今後の複数年度の特別協定、この交渉におきましてどういう協議をするかと、まさにこれからでありますけれど、一言で申し上げると、できるだけ大きな視点から議論をしたい、こんなふうに思っております。  単に決められた非常に狭いエリアでどっちが持つんだと、この費用はどっちが持つとかそういう議論の前に、今我々が直面している脅威というのはどういうものであるか、その脅威にしっかり対処をして国民の生命、財産をしっかり守っていく、さらには、地域の安全、平和、そして繁栄を確保していくためにはどういった役割日本が、また米軍が果たしていくかと、こういう議論を行った上で、そこの中で、じゃ、日本はこういうことをする、アメリカにもこういうことをしてほしい、そういったことに合意をしていく、そこの中でホスト・ネーション・サポートの議論というのが詰まってくると思っておりまして、先日、ブリンケン国務長官とも、ウイン・ウインの議論をしようと、ゼロサムではなくてウイン・ウインになるような協議をしたい、このように申し上げております。
  45. 小西洋之

    小西洋之君 今大臣がおっしゃった、お互いがこういうことをしよう、ああいうことをしようという役割、任務の分担ですかね、そういう議論の中でということなんですが、私の問題意識は、日米同盟のその本質に照らして、日本はもちろんアメリカに防衛義務を負ってもらっていますので、日本にとっても非常に重大な、重要な二国間関係であると同時に、先ほど申し上げたように、アメリカにとっても死活的と言っていいと思いますが、重要な二国間関係であると。ということをやはり基軸としてやっぱり議論をしていただく必要があるというふうに思うわけでございます。  次の質問なんですが、バイデン大統領ですね、同盟国重視というのを新しい外交安全保障の戦略のたたき台というもので、指針というものでも、あるいは自らの所信表明等でも打ち出しているんですが、普通に考えると、同盟国重視を言っているバイデン大統領政権で、来年度以降の駐留経費の交渉で、アメリカが更に大幅な負担を求めてくるということはまず考え難いように思うんですが、その辺について大臣見解を、外務大臣見解をお願いいたします。
  46. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) バイデン政権が同盟国との関係の再構築、これを極めて重視をしている、また、様々な脅威に対処していくために同盟国、同志国と結束をして対処をしていく、このことが重要であると、このことを強調しているのは間違いないと思っております。  そして、日米同盟、さらには自由で開かれたインド太平洋のコミットメント、これはブリンケン国務長官、オースティン国防長官が最初の外遊先として日本に来、そしてまた、四月には菅総理が、諸般の情勢が許せば最初の外国首脳としてワシントンを訪れ、バイデン大統領との間で日米の首脳会談を行う、こういったことからも明らかだと、そのように思っております。そういった意味で、日米同盟の重要性についてはお互いの認識が一致をしていると思います。  それを踏まえながら、当然、日本にもまた米国にも厳しい財政状況というのもあるわけであります。そして、この東アジア、我が国周辺、さらにはインド太平洋地域のパワーバランスの変化というものも踏まえながら、どういった対処が必要かと、誠実に、そしてまたしっかりと議論を行っていきたいと思っております。
  47. 小西洋之

    小西洋之君 じゃ、次の質問に参りますが、来月、菅総理が訪米の予定だというふうにされておりますけれども、その目的ですね、またそこでの首脳会談で、我が国外交安全保障について、在日米軍のこの駐留経費等も含め、どのような議論を行う、政府としては見解でおりますでしょうか。外務大臣にお願いします。
  48. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) こういった、例えば首脳会談の最終的にどういうテーマにするかと、これは最後の段階で詰まっていくというのが一般的でありますし、まだ今の段階で何を最終的に一致点にしていくかと、今後詰めていくことになると思いますが、先日の日米の外相会談であったりとか2プラス2、こういった成果も十分踏まえながら、日米同盟の強化、さらには自由で開かれたインド太平洋の実現、そして新型コロナ対策であったりとか気候変動といった諸課題について、幅広く日米の連携と協力を更に進める機会になると考えております。  日米が、やはり地域の様々な問題について連携しながら対処をしている、いようとしている、さらには、今、国際社会全体が直面している問題についても、技術面でもそうでありますし、資金面でも様々な形で日米がコミットメントをしている、共同でと、そういう姿勢が示せればいいと思っております。
  49. 小西洋之

    小西洋之君 バイデン大統領は、外交の専門家であり、また知日派の方でもあると思いますんですが、先ほど来から議論させていただいているその日米同盟の本質ですね、アメリカが得ている圧倒的なメリットということについても、しっかり、健全な意味理解を、改めて認識を大統領に深めていただくような外交交渉をお願いしたいというふうに思います。  では次に、日米同盟の実態について、横田基地のことについて質問させていただきます。  昨年、立憲民主党の外交・安全保障・主権調査会と、あと外交・安保の部会で横田基地の視察を行ったんですが、我が航空自衛隊の航空総隊の司令部が在日米軍の横田基地内にあるということなんですが、他国において、いわゆる三軍、まあ海兵隊を含めても結構なんですが、それに相当するような総司令部がそこに駐留している外国軍基地内にあるというような例はあるんでしょうか。
  50. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) ただいま委員から御質問いただいた点につきまして、御通告をいただきましていろいろ確認をしておりました。  それで、ただ、なかなか他国におきます駐留米軍基地とそれから現地の国の軍司令部との位置関係でありますとか、施設管理の状況とか、必ずしも全て公開情報で明らかにされているわけではないようでございまして、なかなか確定的に申し上げることは困難ではございますけれども、例えばということで申し上げますと、韓国にございます烏山と呼ばれる空軍基地がございます。ここはアメリカの第七空軍司令部がおりますが、これと韓国の空軍作戦司令部が地理的には近接しているということかなというふうには承知をいたしております。
  51. 小西洋之

    小西洋之君 今日の質問に間に合わなかったということなんだと思いますが、引き続き調べていただいて、必要であれば大使館などにも協力を仰いで調べていただきたいと思います。  あと、防衛政策局長の名誉のために申し上げます。先ほど、第七艦隊質問をされましたけど、軍事の専門家でいらっしゃるので、慎重な答弁ということで答弁を控えられたんだというふうに受け止めをさせていただきました。  では、この航空総隊の司令部が在日米軍基地内にあるんですが、そのメリットについて簡潔に説明をいただけますでしょうか。日本アメリカ双方のメリットです。
  52. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  我が国は、防空及び弾道ミサイル防衛の中枢となる航空総隊司令部は、今委員指摘のとおり、航空自衛隊横田基地に所在しておりまして、その航空自衛隊横田基地在日米軍横田基地内に設置されております。  メリットという点でございますが、在日米軍横田基地には在日米軍司令部及び米第五空軍司令部が所在しておりまして、このような米軍の司令部と空自の航空総隊司令部を同基地内に併置することは、防空及び弾道ミサイル防衛に関する日米司令部間の連携の強化、相互運用性、いわゆるインターオペラビリティーの向上及び緊密な情報共有等に資するものと考えておりまして、日米安全保障体制上、日米双方にとっても極めて重要な意味を持つものだと考えているところでございます。
  53. 小西洋之

    小西洋之君 今、そういうメリット答弁いただいたんですが、私の問題意識、これ、この間経緯があってそのようになっているものなんですが、もちろんその経緯は私もよく知っているんですが、ただ一方で、安保法制以降、日米関係というのは非常に、言わば自衛隊とアメリカ軍の一体化というものが、法制度上も、あるいは運用上も進んでいると思いますので、そうした観点から検証というのが必要であろうかというふうに思います。  この在日米軍の横田基地内に航空総隊の司令部があることについて、自衛隊の立場からその運用管理について何か支障が生じているというようなことはないんでしょうか。あるいは、そうした支障が生じないようにするためにどのような協定やあるいは諸条件が結ばれているんでしょうか。
  54. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  航空自衛隊横田基地は、日米地位協定第二条第四項(a)の規定に基づきまして、自衛隊が使用する施設及び区域として設置されております。また、一般的には、航空自衛隊の施設及び区域の管理等に関しまして、例えば消防や衛生の要領、交通の統制などの事項について、現地の在日米軍との間で現地協定、今委員指摘の現地協定を作成することとしておりまして、横田基地においても、こうした点につきまして、双方の権限等について明確化すべく現地協定を作成しているところでございます。  このような現地協定を作成しつつ、平素から航空自衛隊と米軍との間で緊密な調整を図ることによりまして、航空自衛隊横田基地に所在する部隊は米軍との関係で円滑に任務を遂行できておりまして、何ら支障は生じていないというのが今の現状だと認識しておるところでございます。
  55. 小西洋之

    小西洋之君 今、何ら支障は生じないということなんですが、では、航空総隊の司令官ですね、司令官が、横田基地内に航空総隊の司令部があるので当然横田基地区域から出たり入ったりはされていると思うんですが、この航空総隊の司令官のこの出入りというのは、誰がどのような管理をしているんでしょう。
  56. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 米軍の横田飛行場におきましては、日米地位協定第三条に定められた施設区域のいわゆる施設管理権、いわゆる管理権に基づきまして、米側が施設区域内への立入りを含めた飛行場の運用管理を行っております。  また、このような運用管理の一環として、横田飛行場内において自衛隊が共同使用している施設で勤務する航空総隊司令部の隊員、司令官を含みますけれども、の立入り手続は、米側が身分証の確認などを行っているものというふうに承知してございます。(発言する者あり)米側が身分証の確認などを行っているものというふうに承知してございます。
  57. 小西洋之

    小西洋之君 我が航空自衛隊の航空総隊の最高指揮官、司令官の身分証を米軍が確認しているということでよろしいでしょうか、出入りのときに。
  58. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 現実に身分証明書を一つ一つ確認するかということはまた別にいたしましても、原則上、航空総隊の司令部の隊員の立入り手続というのは米側が身分証を含めた様々な確認を行っているというふうに承知してございます。
  59. 小西洋之

    小西洋之君 我々日本国国会議員も、横田基地視察のときにパスポートを、その必要な手続とかありますが、二回ぐらいパスポートの確認をさせられたというか受けたのでありますけれども、実際の運用上は支障はないということなんですが、ちょっと言い方が適切かどうかということなんですが、一つはこの国の在り方としてどうかということですね。やはり、我が国の国防力を担う自衛隊、その柱の一つである航空自衛隊の総司令部が、同盟国、大事な同盟国とはいえアメリカ軍基地内にあって、その排他的な管理権の下で実際の管理の手続の中にあるということについては、引き続きこの外交防衛委員会などでも問題意識を持って受け止めていくべきではないかというふうに考えるところでございます。  では、次の質問の方に行かせていただきますけども、あっ、今、横田基地は六ページに資料がございました。  次、七ページ以降なんですが、防衛大臣質問ですが、七ページ以降は朝日新聞の記事なんですけれども、前統合幕僚長の河野さんでしたかね、河野さん、読み方カワノさんですね、が、その著作や朝日新聞のインタビューにおいて、二〇一七年にトランプ大統領空母カール・ビンソンだとかあるいは戦略爆撃機を北朝鮮に向かって展開をして、そこに自衛隊が共同訓練を繰り広げたということがあったんですけども、いわゆる二〇一七年から一八年にかけてのその北朝鮮をめぐる危機なんですが、これについて、当時統合幕僚長であった河野氏がインタビューや自らの著作において、米軍が軍事行動に踏み切る可能性というものが現実にあるというふうに考えていたと、で、現にダンフォード、アメリカの統合幕僚議長とも頻繁にやり取りをしていたと。  具体的には、アメリカが軍事行動に踏み切ったときに、安保法制の下の行動について自分の責任で、統合幕僚監部の中で頭の体操、検討を行っていたというふうに述べているんですが、事実として、当時、河野氏ら統合幕僚監部内、あるいは防衛省自衛隊内において、アメリカが軍事行動に踏み切った際などにおける自衛隊の安保法制の運用、当然集団的自衛権行使も含みますが、そうした検討を行っていた事実というのはあるんでしょうか、防衛大臣、お願いします。
  60. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今、委員指摘の件でございますが、詳細についてはお答えは差し控えさせていただきますけれども、防衛省自衛隊においては、委員指摘の当時も含めて、防衛大臣を中心に、防衛大臣中心に、内局や各幕僚監部において様々な事態に適切に対応、対処できるように不断の検討を行ってきているということでございます。
  61. 小西洋之

    小西洋之君 詳細は差し控えるということなんですが、不断な検討を行っているということなんですけれども、ただ、安保法制を運用するかどうかというのは、それは国民にとって、国家にとって最重要事項ですから、その検討が統合幕僚監部の中、あるいは防衛大臣を中心にとおっしゃいましたけど、防衛省自衛隊の中で行われていたかどうかというのは国会で当然、答弁いただく必要があると思います。  検討されていたという事実があるのかどうかについて答弁してください。
  62. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今お話を申し上げましたけれども、内局、各幕監部において様々な事態、様々な事態に適切に対応できるように不断の検討を行ってきているということでございます。
  63. 小西洋之

    小西洋之君 ですから、その不断の検討というのは二〇一七年から一八年当時に安保法制を運用するということを考えた、検討していたのかどうか、で、様々な事態というのはアメリカ軍が軍事行動に踏み切った際に安保法制の運用ということを考えていたのか、明確に答弁してください、防衛大臣
  64. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 当時、非常に安全保障環境、厳しいものがございましたから、そういう、どのような事態になっても対処できるような形で、防衛省自衛隊の中でしっかりした議論が、検討が行われていたと、こういうことでございます。  これは、安保法制議論そのものについてどういう議論が行われていたとか、そういうことについての詳細はお控えさせていただきたいと思いますが、常にやはり我が国の平和と安全を守るために、いかなることがあっても対応、対処できるような検討を行ってまいったということでございます。
  65. 小西洋之

    小西洋之君 大分答弁いただいているんですけど、安保法制の下の自衛隊の行動についても検討をしていたということでよろしいですね。あるいは検討していなかったんでしょうか。大臣、お願いします。
  66. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 自衛隊の行動は法律に定められているとおりでございますが、そういう法体系の下でどのような対処をすべきかということについては常に不断の検討を行っているということでございます。
  67. 小西洋之

    小西洋之君 ちょっと後退したような気がするんですが、常に不断というのは、先ほどの答弁で非常な、当時は非常な危機的な状況だったというような趣旨答弁をされていたんですが、当時、非常に政府が認識する危機的な状況の中で、あの安保法制の運用の可能性、あるいは運用ということについても検討をされていたということでよろしいですね。当たり前のことを聞いています。答えてください。
  68. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 当時の情勢ですね、当時の法律も含めて、その中で自衛隊が取り得る方策について検討を進めていたということでございます。
  69. 小西洋之

    小西洋之君 まあ、明確なある程度答弁をいただいたと思います。  さっきもおっしゃっていただいたんですが、そうした部内の、統合幕僚監部の中だと思うんですが、そういう検討については、この河野統合幕僚長は総理にその都度報告をしていたというふうにあるんですが、そういう安保法制の運用等のその検討については防衛大臣また総理大臣には適宜報告がなされていたということでよろしいでしょうか。
  70. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 安保法制の運用ということに限らず、様々な事態については各幕でも、あるいは統幕でも検討し、それが防衛大臣にも適切に報告をされていたと、こういうふうに考えます。その上で総理大臣への報告が行われていたと、こういうことでございます。
  71. 小西洋之

    小西洋之君 だから、当時、その安保法制の運用の可能性あるいはその運用することの検討も含めてですね、も含めて防衛大臣総理大臣には適切な報告がなされたという理解でよろしいですか。当たり前のことを聞いています。
  72. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 当時の法律の適用される枠内で、自衛隊をどのように運用するか、運用していくか、我々がどのように対処をしていくかということについて検討し、防衛大臣の下で検討してきたということでございます。
  73. 小西洋之

    小西洋之君 今答えていただいたんですが、防衛大臣の下で検討して、で、その検討内容というのは当然、自衛隊の最高指揮官である総理にも適切な報告等はなされていたという理解でよろしいでしょうか。
  74. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) そのとおりでございます。
  75. 小西洋之

    小西洋之君 ありがとうございました。  では、また在日米軍基地等の問題なんですが、先般、同僚の白眞勲委員質問の中で、スカイツリーの周りを急旋回やら八の字飛行などをしてアメリカが軍事訓練を東京上空でやっているのではないかというような質疑がありましたが、それに対する防衛大臣答弁の中で、詳細な事実関係の確認は容易でない、報道されている飛行から時間もたっていることであり、詳細な事実関係の確認は容易でないというような答弁があったんですが、ただ、あのとき質疑で交わされていた事案なんですけれども、二〇二〇年八月二十七日なので去年の夏の話なんですが、そのアメリカ軍の訓練記録あるいは飛行記録というものがないというのは、もう率直に軍隊の在り方としてどうかと思うんですけれども、当然、自衛隊はちゃんとしたそういう訓練記録というのは付けていると思うんですが、日本政府として、在日米軍に対して東京上空などの訓練記録、飛行記録というものをちゃんと付けさせて、そして保存させるということを、保存するということを日本政府としてしっかりと要請すべきではないでしょうか。防衛大臣見解をお願いします。
  76. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 東京上空における米軍機の飛行につきましては、その昨年の八月の件も含めて、在日米軍のハイレベルも含めた形で様々やり取りをしておるところでございます。  ただ、御指摘を含めて予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、何より大切なこととしては、米軍の運用が地域の方々の生活に不安を与えるようなことがあってはならないわけでございます。環境等に与える影響を最小限にするために、関係機関が緊密に連携をし、全力を尽くしてまいりたいと考えます。
  77. 小西洋之

    小西洋之君 いや、当たり前のことだと思うんですが、訓練記録付けないとアメリカ軍としても訓練が成り立たないと思うんです、いつ、どういう訓練したかというのが分からないわけですから。アメリカにそういう飛行記録、訓練記録というものをちゃんと付けて保存してもらうということを政府として当然要請すべきだと思うんですが、簡潔に大臣見解をお願いします。検討するでも結構ですので。簡潔に。
  78. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) どのような記録等を、これを向こうにリクエストするかということは、また米軍の運用に関わることにもなりますので、そういったことも含めてどういったことができるか、これから検討してまいりたいと思います。
  79. 小西洋之

    小西洋之君 では、先般、新しいアメリカの統合参謀本部議長だったと思うんですが、公聴会のような場で、今後、中国に対して一番脅威に思っているのは台湾有事であるというような発言をなさっていたというふうに思います。  仮に、アメリカ軍が台湾有事で台湾を守るために軍事行動に踏み切った際、冒頭の議論であったように、在日米軍基地というのはその軍事展開の拠点になるわけですので、我が国在日米軍基地、すなわち日本が中国からのこの軍事的な攻撃の脅威にさらされる、そうしたことは合理的な判断として十分あり得るという見解でよろしいでしょうか。防衛大臣、簡潔にお願いします。
  80. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 台湾につきましては、先般の2プラス2においても台湾海峡の平和と安定の重要性についての認識を日米間で共有をしているところでございます。  台湾有事という仮定の質問でのお答えは差し控えますが、地域安全保障環境が厳しさを増す中で、在日米軍自衛隊は様々な事態に対応するために万全の対応を取ってきておるところでございます。  一般論としては、日米同盟に基づいて我が国に駐留する米軍プレゼンスは、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与しており、地域における不測の事態に対する抑止力として機能していると考えております。
  81. 小西洋之

    小西洋之君 いや、安倍政権、菅政権のやっぱり一番いけないところが、アメリカと、安保法制を始めとしてアメリカ軍との一体化を進める中で、この同盟のリスクについてきちんと国民に対して、国会に対して語らないことだと思うんですね。在日米軍基地、もしアメリカが軍事行動を起こせば標的になるのは軍事の常識ですので、やはりそうしたリスクを日本国日本国民日本国というのは負っているんだということをきちんと言わなければいけないと思います。  防衛省に聞きますが、北朝鮮の弾道ミサイルに対処するいわゆるペトリオット、PAC3なんですが、在日米軍が自分で持っているPAC3はどこにあるでしょうか。簡潔にお願いします。
  82. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) 米軍のPAC3が配備されている在日米軍基地につきましては、嘉手納のみでございます。
  83. 小西洋之

    小西洋之君 今答弁いただいたように、アメリカ軍は自前で、もちろんイージス艦はたくさん持っていますけれども、自前で横須賀基地あるいは三沢基地等々を守る力がないわけでございます。  じゃ、仮に横須賀在日米軍基地にこういうミサイル攻撃があった場合は、日米ガイドラインでも定められておりますけれども、そのアメリカ軍基地あるいはアメリカ軍の兵士、家族というのは誰が主担当として守ることになるのでしょうか。大臣あるいは防衛省、お願いします。
  84. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) 横須賀基地ということにせよ、我が国に対するミサイルによる攻撃ということがあったんだとすれば、それは日米で共同対処するということになろうと思いますが、我が国日本につきましては、そのときの状況によりますけれども、一般論として言えば、海上自衛隊のイージス艦を展開させて我が国全域の防護、そして状況に応じてPAC3により拠点を防護するというのが現在の体制でございます。  他方、アメリカ軍については、先ほど委員からもございましたとおり、イージス艦七隻を横須賀に配備しておりまして、こうしたものについても弾道ミサイル防衛の任務に就くことがあり得るというふうには考えます。
  85. 小西洋之

    小西洋之君 まさに今、防衛省答弁していただいたことが実は日米同盟の本質の一つだと思うんですね。  先ほど、日本が持っている技術力や思いやり予算、あっ、思いやり予算じゃないですね、駐留経費等、いろいろ申し上げましたが、我が精強な自衛隊がアメリカ軍アメリカ側の兵士、家族を実は守ることも日米同盟の本質なんですね。現にそれやっているわけでございます。横須賀の近辺には武山の航空自衛隊のPAC3の部隊があって、私は、これは横須賀アメリカ軍を守る、すなわち在日米軍基地我が国の神聖なる領土ですから、それを守る機能というのも軍事的に多分配慮して展開しているのではないかというふうに思うところでございます。  最後、先般の2プラス2で、共同発表の中で、同盟の運用の即応性及び抑止態勢を維持し、将来的な課題へ対処するため、実践的な二国間及び多国間の演習及び訓練が必要であると改めて表明したというふうに演習及び訓練について記載されているんですが、これは対中国の尖閣周辺の自衛隊、アメリカ軍の日米共同訓練も念頭に置いた共同声明の記述なんでしょうか。防衛大臣から明確な答弁をお願いいたします。
  86. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 先般の2プラス2、日米の2プラス2において、同盟の運用の即応性や抑止力態勢を維持し、将来の課題に対処するために、実践的な二国間、多国間の演習を、そして訓練が必要であるということを改めて表明したところであります。また、同日の日米の防衛相会談においても、日米同盟の抑止力、対処力を高めるために、より高度な訓練を通じて、自衛隊と米軍の双方が即応性を強化していくことが重要であると一致したところであります。  今般の発表は特定の訓練や場所を前提としたものではございませんが、自衛隊と米軍がこれまで尖閣周辺を含みます南方、南西方面で共同訓練を多数実施をしてきているところでございます。  今後も、日米が共に共同して行動しているという姿を示すということが重要であると、こういうことで考えております。
  87. 小西洋之

    小西洋之君 二〇一七年、一八年の日米の北朝鮮の共同訓練というのは、北朝鮮による日本への攻撃の口実に、防衛省からいただいた資料でも、使われていることが明らかになっているんですが、個別的自衛権、尖閣を守るという共同訓練、そうしたことは、安保法制は違憲ですけれども、憲法範囲内でしっかりやっていただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  88. 白眞勲

    ○白眞勲君 立憲民主・社民の白眞勲でございます。  先ほど、同僚小西議員から様々な課題についてお話をいただきましたけれども、ちょっと小西議員の中で気になった御発言があったので、ちょっと質問通告はしていないんですけれども、政府参考人見ると同じ方がいらっしゃるので、もしかしたら答えられるかなと。答えられなきゃもう答えられないでしようがないんですけれども。  まず、米軍機の東京都心の低空飛行について先ほど小西議員からお話があったんですけど、その際、大臣からは、米軍に問い合わせているけれども、米軍の運用に関わる問題であり、予断を持って今のところお答えは差し控えるというお話だったと思うんで、ちょっと確認ですが、それでよろしゅうございましたでしょうか。
  89. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今、米軍に対して問合せを行っているところでございます。そのことについては、運用に関わることでございますので、どのような回答があるか予断を持ってお答えはできない、こういう趣旨で申し上げたところでございます。
  90. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、事実関係はっきりしませんねということだと思うんですけれども、ちょっと私、本当に不思議に思ったのは、この首都東京で低空で飛行している、まだ米軍かどうかも分からないわけですよね。そうすると、謎の物体が数多く飛んでいるという、これゆゆしき問題なんですね。日本政府としては、この低空、首都東京の上を何か分からない物体が飛んでいるということを確認するすべはないんでしょうか。ちょっと、それお聞きしたいと思う。答えられなきゃ答えられないでしようがないんだけど。
  91. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) お答え申し上げます。  先ほどの件につきましては、現在、まさに東京上空における米軍機の飛行について、現在、在日米軍のハイレベルを含めて様々なやり取りを行っているということでございます。  その中で、確認している中でこれまで米側から知らされているものとしては、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に違反する飛行があったことは確認されていない、ただ、報道されている飛行から時間がたっていることもあり、詳細な事実関係の確認は容易ではないということでございます。それと、あと、飛行に当たっての安全確認は最優先事項であり、米軍機の飛行はICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われている、各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示したというような説明を今のところ受けているというところでございます。
  92. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、それはそれでそうなんでしょうけれども、要は、私の聞いているのは、東京の上を何か知らない物体がぶんぶん飛んでいるにもかかわらず、何か日本政府って分からないのかなということなんですよ。  だから、私が聞きたいのは、例えば、東京の上を飛んでいる物体があるから、ここに、こういうふうに何月何日にこの辺飛んでいるじゃないか、これはおたくの飛行機ですかというふうに聞くんだったら分かるんだけど、アメリカ軍に何かこの上飛んでいると聞いているということ自体が、ちょっと日本の防空の在り方という部分において非常に私は疑問に思ったんですね。  だから、確認するすべがあるのかないのか、あるいは確認しているけど答えないのか。もし、確認しているけど答えないんだったらまだ分かるけど、確認するすべがなければこれはまたやばいなと思っているんですけど、その辺、どうなんでしょうかね。
  93. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 一般的に、飛行するケースにおいては、交通当局に対して飛行計画、フライトプランを提出していると、このように了解をしているところでございます。
  94. 白眞勲

    ○白眞勲君 確かに、旅客機の場合は飛行プランがあって、なおかつ、いわゆる管制用のレーダーで、ちゃんと高度とか、場合によっては飛行機の便名とか、何かそういったものはコードがちゃんと発信されていて、それを見て航空管制官がもっとスピードを落とせとかなんとかという指令は出していますよね。だけれども、そういういわゆるものではない。もうやっぱり、東京の上を何か飛んでいるというものが、何かそのレーダーに映るものなのかなという、ちょっとその辺が分からないんですよ。  だから、本当だったらレーダーに映っていなきゃ、当たり前だと思う。レーダーに映れないんだったら、本当に未確認飛行物体が東京の上をぶんぶん飛んでいるということになりませんかね。
  95. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 基本的には、有視界飛行の際には安全の確保というのはパイロット自身が行っているものと承知をしております。
  96. 白眞勲

    ○白眞勲君 いやいや、もちろんパイロットは安全の確保はしているでしょう。そうじゃなくて、私が言っているのは、何かこう日本政府として、防衛省でもいいし、航空局でも、国交省でもいいんだけど、どこかがそういう飛行機というのは把握していないものなのか、しているものなのか、それをちょっとお聞きしているんです。防衛省で知らないんだったら、していないんだったらしていないで結構ですけど。
  97. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) その飛行については、まさにフライトプランに基づいて交通当局が把握をしているものでございます。
  98. 白眞勲

    ○白眞勲君 ということは、例えばフライトプランに、当然アメリカ軍でフライトプランを出してくれているわけじゃないんでしょうね。ですと、そうすると、変な話、この皇居の上を飛んでいるとかね、これは非常に大きな問題だと思いますよ。そういったものでも、我々としては、何月何日にこういう飛行経路で飛んでいるものがあるよねということが航空局では把握しているということなんでしょうか、ちょっとその辺よく分からないですけど。  フライトプランは分かりましたけど、要はフライトプランに載っていないものは航空局で把握しているものなんでしょうかね。ちょっと防衛省に聞くのが何なのか分かりません。防衛省で把握していないんでしょうね、きっと。その辺ちょっとお聞きしたいと思います。
  99. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 防衛省が把握しているかどうかはお答えいたしませんけれども、いずれにしても、米軍米軍のルールに従って飛行をしているものと承知をしております。
  100. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと済みません、何度も聞いて申し訳ない。それはつまり、防衛省は把握しているかどうかをお答えは差し控えるというのが正式の答弁だということでよろしゅうございますか。ちょっとその辺だけお聞きしたいと思います。
  101. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 一般的な航空機の飛行については、国交省の方で把握をしているということでございます。防衛省は、そこについては把握をしていないということでございます。
  102. 白眞勲

    ○白眞勲君 まあこの程度にとどめますけれども、じゃ、また次の議論で、次の機会に、これちょっと皆さんと一緒に議論したいなと思っています。というのは、やはり米軍機だったらまだまだ安心なんだけれども、本当にどんな飛行機が飛んでいるか、もし本当に首都東京の上で分からないということになったら、それはそれでまた大きな私は問題であるというふうに感じているところです。  それでは、次の話題に行きたいと思うんですけれども、ミサイル発射事案についてちょっとお聞きしたいと思います。  前回の当外交防衛委員会で私が質問した中で、北朝鮮側が弾道ミサイルの今回の到達距離は六百キロだと発表していると、で、こちら側の発表は四百五十キロ、北朝鮮側とは百五十キロの差があるわけなんですけれども、今回、北朝鮮側は新しく開発した新型戦術誘導弾というふうに発表しておりまして、そうしますと、この防衛省資料で見ると、この下の赤の部分、短距離弾道ミサイルAという、なのかななんていうふうに思うんですけれども、この辺、防衛省としてはいかがでしょうか。
  103. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 御指摘の北朝鮮のミサイル発射について、北朝鮮側からの発射、発表については承知をしておりますけれども、現在分析中でございます。  いずれにいたしましても、防衛省としては、現時点までに得られた諸情報を総合的に勘案すると、飛翔距離についてはいずれも四百五十キロと推定をしているということでございます。
  104. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、そうすると、この赤かどうかはまだコメントは差し控えるということでよろしゅうございますか。
  105. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) 大臣からございましたとおり、様々な点について分析中でございますけれども、今回発射したミサイルについて、これは前回の委員会でも大臣から御答弁があったかと思うんですけれども、今年の一月に軍事パレードでいろんなミサイル等が出されております。その中で、五軸のTEL、いわゆる移動式の発射台でございますが、これに載ったミサイル、これも新型ではないかというふうに言われているものでございますが、今回、北朝鮮の発射の状況、また翌日の公表した状況、その他各種の情報を見る中で、この五軸のTELに搭載されたものと同系統のものではないかというふうなところまでは現在申し上げているところでございます。
  106. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、この表でいうと赤っぽいねという話になるんですね。
  107. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) そこについては、そういったような指摘をされている方もいるということは承知しておりますが、我々として、なかなか、今の時点で断定的に申し上げることは控えたいというふうに思っております。
  108. 白眞勲

    ○白眞勲君 その場合、ここにあるこの飛翔距離六百キロ、赤の場合ね、となっていると、いわゆるこのカタログ性能を発表した可能性もあるのかなと私思っちゃったわけなんですね。  とすると、私も北朝鮮の武器輸出の実態を暴露するドキュメンタリー、これ皆さんも御覧になってみるとすごい、本当に、普通の映画の、スパイ映画よりも何かすごい、もう結構緊迫のあるすごいドキュメンタリー、私も見ましたんですが、そこでは北朝鮮が武器の輸出で外貨を稼いでいるという実態が本当にドキュメンタリーとして出てきているわけなんですね。私も本当びっくりしちゃったんですけど。  そういう中で、現在、外貨不足であえいでいると言われている北朝鮮が、ですから、そうすると、わざと北朝鮮の武器の開発力の高さを今回アピールしたのではないかという狙いもあるような感じがするんです。この辺り、防衛大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
  109. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 北朝鮮の意図というものはこちらで予断することは控えたいと思いますが、先ほどからも述べております今回の発射については、その前回のパレードで示された新しい型と同系統のものと推定されるということもあります。そういう意味で、新たな彼らの装備を示したという意味は持っているかもしれません。
  110. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、こちらからそんな意図を考えること自体が向こうの意図になっちゃうので、そこは我々も慎重にならなきゃいけないんですけれども、ただ、その北朝鮮の外貨不足とか武器の輸出ということを考えると、一つの目的、目的の一つか、目的の一つとして、この武器の輸出、販売というかな、こういったものも念頭にあったのかなというのは、何か容易に推測できるような感じがするんですけれども、もう一度防衛大臣としてのお考えをお聞かせください。
  111. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 北朝鮮がそういう意図を持って発射をしたかどうかということは、その予断を持ってお話しすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  112. 白眞勲

    ○白眞勲君 そういう中で、間違いなく北朝鮮は武器の輸出というのを、あのドキュメンタリー、本当にすごいドキュメンタリーだったので私も驚いたんですけど。ということは、もう間違いなく武器の輸出によっての外貨稼ぎをしているという感じがするんですけど。  これに対する、ちょっと外務大臣にお聞きしたいんですけれども、国際的な枠組みをより強固なものにするためには、やっぱり外務大臣としても、やっぱりこれ必要だと思うんですけれども、これ武器の輸出ですよね、これに対しては、外務大臣としてはどのようなお考え持っていますでしょうか。
  113. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) おっしゃっているドキュメンタリーは、あれですか、BBCの「ザ・モール」の話ですか。あそこでは、外貨ではなくて、多分、三角取引の中で、武器とそれから石油、これがバーターにされていたんじゃないかなと、このように理解をいたしております。ちなみに、モールですからモグラ、そして隠語で言いますとスパイということになるんだと思っております。  当然、北朝鮮につきましては、累次の安保理決議、しっかりと履行していくと、各国が徹底していくと、このことが重要だと思っています。
  114. 白眞勲

    ○白眞勲君 非常に外務大臣お忙しい中、しっかりとそういうドキュメンタリーを見ていただいたというのは敬意を表したいというふうに思っておりますし、しっかりとこの辺の取組というのは海外、ほかの国々としっかりと関係を強化していく必要があるのではないかなというふうに思っております。  あともう一点、今回の弾道ミサイル、EEZの外側に落下したということですが、それにしてもその四百五十キロというのは、先日の私、外交防衛委員会でも申し上げましたとおり、大分距離が遠くなってきているな、いわゆるEEZに近づいているなという感じがするんですけれども、大体、あとどれぐらいでEEZに近づいちゃうのかなというのは、もし分かればお答えいただきたいと思います。
  115. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今回の北朝鮮の発射について、防衛省としては、北朝鮮の東岸の宣徳付近から東方向に発射し、四百五十キロ飛翔したと、こういうふうに推定をしている旨申し上げました。  このような概要でお示しした発射地点や方角を前提に、六百キロ飛翔した場合といった仮定に基づいて、日本のEEZに相当程度近づくかどうかということについてお答えをすることは適当ではないのではないかなというふうに考えております。
  116. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、聞いていること違っていて、今回、着弾したというのかな、何というのかな、着水したというのか知りませんが、そこの部分からEEZまではどれぐらいの距離があったのかと単純に聞いているんですけど。
  117. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) そのことは我々の分析の能力にも、相手に示すことになってまいりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  118. 白眞勲

    ○白眞勲君 外務省にお聞きしたいと思いますが、日本のマスコミには余り出ていませんけれども、よく御存じのように、中国と北朝鮮の間には軍事同盟があるわけですね、中朝友好協力相互援助条約という名前だそうですけども。その核心は、相手方が一国又は連合軍の武力侵攻を受けて戦争状態になった場合、もう一方は全力を尽くして軍事等援助を提供する、これ第二条ですね、という部分ですね。つまり、北朝鮮が攻撃を受けた場合、中国軍が自動介入するという条項で、この条約、二十年ごとに改定されると。一九八一年、二〇〇一年の二度にわたって更新がなされていまして、ちょうど今年二〇二一年、更新年に当たるわけなんですね。  一般的には、この条約、二〇四一年まで再延長するだろうというふうにも見られているんですけれども、どうもこれ、韓国の報道ですと、条約修正、破棄するためには、条約満了の六か月前、つまり今年の三月十日までに相手方へ修正や破棄の意思を通知しなければならないと。ところが、どうも特段な動きはない。これ、韓国側の報道ですけど、外務省はどの程度把握していらっしゃいますか。
  119. 船越健裕

    政府参考人(船越健裕君) 北朝鮮と中国の間のやり取りにつきまして、我が方がどれだけ把握しているかにつきまして御説明することは差し控えさせていただきたいと存じますが、中朝間においては、先般、金正恩総書記と習近平主席との間での意思疎通もあったというように、緊密な意思疎通がなされていると承知しております。
  120. 白眞勲

    ○白眞勲君 今年が改定年であるということは、当然外務省として把握しているということでよろしゅうございますか。
  121. 船越健裕

    政府参考人(船越健裕君) 北朝鮮と中国の間の条約につきましてでございますので、有権的な解釈については差し控えさせていただきたいと存じます。
  122. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、これ、いや、もちろんそれは、他国同士の約束事について我が国が何だかんだという話じゃないよねって、それはそうなんだけれども、でも、我が国にとっても非常に重要な部分だと思います。  そういう部分については、せめて、こういう安保条約的なね、安保条約とは違うけど、軍事同盟条約というのかな、これがあることは把握しており、そしてこれが改定年だぐらいのことは言ってもいいんじゃないでしょうか。どうでしょうか、その辺は。それも把握していないというんだったら、それはしようがないですけど。
  123. 船越健裕

    政府参考人(船越健裕君) 北朝鮮をめぐります安全保障情勢、中国を含めた諸外国との関係については緊密に注視し、情報収集をしているところでございますが、具体的な評価については差し控えさせていただきたいと存じます。
  124. 白眞勲

    ○白眞勲君 この条約というのは、もう数年前に中国側の研究者などから、これはもう表のデータとして、軍事同盟部分は削除すべきだとの意見が発表されていますよね。最近はそのようなこともなくなっているわけなんですよ。  ですから、そういう意味においては、北朝鮮側が相当、私、今回の条約改定されるかどうかということでは非常に微妙な部分があったのが、少し疑念が払拭された可能性もあるような気もしますが、この辺は外務省として答えられますか。
  125. 船越健裕

    政府参考人(船越健裕君) 一般論として申し上げますと、昨今、中朝の間の協力、対話というのは緊密になってきているとは考えております。  個別の条約につきましての動きにつきましては、我が方がどれだけ承知しているかを含めましてお答えを差し控えさせていただきとう存じます。
  126. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちなみに、この条約というのは公開された条約なんですか、そうじゃない条約なんですか、それだけ教えてください。
  127. 船越健裕

    政府参考人(船越健裕君) 諸般のウィキペディア等において見ることができる条約であると承知しております。
  128. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、見ることができるんだったら、これ改定年度ぐらい分かるんじゃないですか。
  129. 船越健裕

    政府参考人(船越健裕君) 改定年度につきましての具体的な文言につきましては、御通告頂戴しておらないところもございまして手元にないところ、改めまして確認しまして御報告を申し上げます。
  130. 白眞勲

    ○白眞勲君 それでは、ちょっと委員会で、これ確認して報告していただけるということでございますので、委員会の方にて協議していただきたいと思います。
  131. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 後刻理事会にて協議いたします。
  132. 白眞勲

    ○白眞勲君 委員会に提出を願いたいと思います。
  133. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 後刻理事会にて協議させていただきます。
  134. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、北朝鮮側と中国側で最近非常に緊密な関係があるという御報告がありましたけれども、確かに、金正恩総書記に対して中国側が、新しい情勢の下で我々は手を携えて努力し、中朝関係を強固に発展させていきたいというメッセージを出していると。  ですから、私は、この三月十日が、ちょうどこのいわゆる軍事同盟の更新の期限過ぎた、その前はもしかしたらこれやめようかというのが中国側にあったものがなくなった、で、二十年間もう大丈夫だということで、これ安心してと言っちゃなんですけど、後ろ盾の中国がいるから、このミサイル発射したり、この後の北朝鮮側の談話でも強硬な意思を示しているというのはそういった裏付けももしかしたらあるのかなとも思えなくもないんですけど、これ、外務大臣としてはこの辺りはどのようにお考えでしょうか。
  135. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 中朝の関係、様々な見方あると思いますけれど、安全保障面だけではなくて、当然、北朝鮮にとっては、様々な貿易であったりとか、一番の相手が中国ということになる、そういった中で、コロナの影響もあって、そういったものが相当下火になってきているということは今間違いない事実ではないかなと、こんなふうに思っております。  そして、北朝鮮の場合、このコロナの影響、さらには昨年の水害、そして国連の安保理決議による制裁と、こういったことで大変厳しい経済状況にありますが、そういう中においても、ミサイル、核の能力の向上というものを進めている、このことについては大きな懸念を持たなければいけないと、そして、ミサイルの発射等々も行っていると、国連安保理決議違反のことを続けているということについては懸念を持たなけりゃいけないなと思っております。  北朝鮮がどうしてそういった行動に出るかということについては様々な分析があると思います。単純に中国があるから安心して全てのことができる、そういう見方が一般的かといいますと、私はそうではないと思っております。やはり、北朝鮮にとっては米国との間でいかに安全を確保するか、このことが最大の目標だと、こういうふうに考えるのが一般的ではないかなと思います。
  136. 白眞勲

    ○白眞勲君 確かに、外務大臣のおっしゃるとおり、この一方的な見方というのはうまくないと思います。片やアメリカとの交渉、これが一番重要な部分だと思いますけれども、北朝鮮側にとってみて、さはさりながら、やはりその後ろ盾となっている中国の動向というのも彼らは気になっていく、そういったいろいろな要素を組み合わせた形で今の行動が出ているんだろうなと私も思っております。  そういう中で、今外務大臣がコロナのこととか北朝鮮内部の経済状況の件についてもお触れになりましたけれども、これ、いろんな面白い報道が出ていて、北朝鮮の国内の外国人の数が今どんどん減っていると。この三月十八日には、国連のWFP、世界食糧計画の所長も、あるいはNGOの外国人までも北朝鮮を去ったという話もあり、あるいはチェコやナイジェリア、パキスタンの大使館も職員が離れていったり、あるいはロシア大使館員が、皆さんも映像で見られたと思うんですが、トロッコを引いて、線路を歩いて、何か一キロぐらい歩いたらしいですけど、国境まで、平壌からずっとトロッコを引いていたわけじゃないらしいんですけれども、一キロ手前ぐらいからトロッコを引き始めたという、これ写真と報道出ているわけですよ。今、平壌に残っている大使館は十三か所だと。ほとんどは最小限の職員しかいない。これほど外国人が少なくなったのはなかった。そこまで一種の鎖国状態に今なっている。  この辺りの情報というのは日本政府も把握しているんでしょうか。どうでしょうか、これは。
  137. 船越健裕

    政府参考人(船越健裕君) 今委員指摘いただきましたように、外交団等につきましての退避については、報道その他のチャネルを通じて承知しているところでございます。  また、鎖国という御指摘でございましたが、現在、中朝国境を含めて相当厳格な国境管理がなされており、また、航空便の定期便の再開等もなされていないという観点で、厳格な国境管理がなされていると承知しております。
  138. 白眞勲

    ○白眞勲君 鎖国、逆に言えば孤立化を深めているとも言えるわけで、そういう中で、中国とは友好関係がある、ということはますます中国に依存するんじゃないかなという何か感じもしまして、そうすると、このミサイル、こういったものの挑発というのは、やはり中国というのは非常に大きな要素になっていくのではないかなというふうに思うんです。  外務大臣にお聞きしたいと思いますけれども、その辺りについては外務大臣としてはどのような御見解を今お持ちでしょうか。
  139. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 北朝鮮が安保理決議違反のミサイル発射等を行う、なぜ行うかと。これは、金正恩体制、これがどう考えているかということをよく分析しないとなかなか確たることは申し上げられないんですが、一つに、今バイデン政権において北朝鮮政策のレビュー、こういったものが行われていると、それも比較的最終段階に入りつつあると、こういう段階によって何らかのシグナルを送りたい、こういう意向というのは働いているのではないかなと、このような分析が多いと思います。
  140. 白眞勲

    ○白眞勲君 やはり中国との関係をどういうふうにしていくかというのは北朝鮮問題を測る上での一つの大きな試金石にもなるような気がしますけれども、その辺りについての外務大臣としての御見解はいかがでしょうか。
  141. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 中国との関係もありますし、また中国が北朝鮮についてどう考えるかというのもあるわけでありまして、これ非核化をしたいと、これについては中国もそのように考えているわけであります。そこの中でどうするかと。当然、中国側の意向、こういったものも働いて、一方的に北朝鮮がどうしたいという問題では、そういう性格の問題ではないと思っております。
  142. 白眞勲

    ○白眞勲君 続きまして、ミャンマー情勢についてお聞きしたいと思います。  先ほど小西議員も触れましたけれども、外務大臣インドネシアの大臣ともこのミャンマー情勢については相当な活発に意見交換をされたということですが、これ、日々相当緊迫した状況が続いておりまして、というかもう悪化していますよね。犠牲者には、子供、何か二十人という、含まれているということも言われている。完全に軍隊が市民を殺りくしているとしても否定できない状況で、当然国連を始めとして国際社会非難の声も高まっています。  これ、外務大臣にお聞きしますけど、今の現状、日本政府としてはどうお考えでしょうか。
  143. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 以前から私申し上げていたと思うんですが、二十七日の国軍記念日、これはちょっと注視しなければいけないと、その前後というのはと。残念ながらそういうことになってしまったといいますか、二十七日に国軍、警察は各地での市民デモに対しまして実弾等で大規模な鎮圧を行いまして、現地の報道では少なくとも百十四名が死亡して、これはクーデター、二月一日に発生したわけでありますが、それ以降最も多い数字であったと承知をいたしております。  こういった状況を受けまして、先日の日曜日、二十八日に外務大臣談話を出したところであります。また、日本を含みます各国の参謀総長等によります共同声明も発出されているところであります。  私の談話にもあるとおり、日本政府国際社会の度重なる呼びかけにもかかわらず、ミャンマーで多数の死傷者が発生し続けている状況を強く非難をすると。また、犠牲者の御遺族に対し哀悼の意を表し、負傷者の方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。  ミャンマー国軍、警察によります市民への発砲や被拘束者に対する非人道的な扱い、報道活動に対する厳しい取締り、民主主義の重要性を唱えるミャンマー国軍の公式発表とは矛盾する行動であると思っております。事態、やはり悪化の方向に向かっているというか、少なくとも現時点で悪化しているのは間違いないというわけでありまして、ミャンマー国軍に対して日本も、暴力行為の即時停止、そして拘束されている方々の解放、さらには民主的体制の早期回復と、こういったことを強く申し入れているところでありますが、こういったミャンマーの現状に対する認識、これは昨日もインドネシアのルトノ外務大臣ともかなり時間を掛けて話をしました。  御案内のとおり、ASEANの中でもかなり、インドネシア、そしてルトノ大臣も、このミャンマー情勢についてどうにか事態を改善したいということで中心になって活動していると、こういう大臣でありまして、まずは事態鎮静化すると、そのためにどういうことが必要なんだと。同時に、対話がなければやっぱりなかなか解決の糸口は見出せないということで、どうしていくかということについて今後も緊密に連携を取っていくということで一致をいたしております。  もちろん、この問題につきましては、ASEAN諸国、例えば今議長国のブルネイ、そしてまた国境を接しておりますタイのドーン副首相、さらには、先日の日米外相会談におきましてもブリンケン国務長官等々と情報交換、意識の共有を図りながらしっかり対応していきたいと思っています。
  144. 白眞勲

    ○白眞勲君 対話が大切、そりゃそうですね。対話は非常に必要だと思います。  非常に今、詳しく外務大臣もお話しいただいたわけですけれども、まあそれにしても、外務大臣、御覧になっていると思いますが、現地から入ってくる映像って相当ひどいですよね。テレビ見ていたら、軍隊がオートバイに乗っている三人組を至近距離からもう銃を発砲していると。逃げても後ろから狙い撃ちすると。これ、もうちょっとひどい、人道的にも、もうかなり問題があるんではないか。まあ今、人道という話もありましたけれども、頭部を狙い撃ちするということをはっきりと、もうデモ隊を脅すようなことを言っているわけですね。  本日付けの日経新聞は、一連の行為はもう治安維持ではなく虐殺であるというふうに断言しております。私も何かそうじゃないかなと思うんですが、外務大臣としての御認識はどうでしょうか。
  145. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 平和的なデモに対して、その国民に発砲する、こういった行動は強く非難されなけりゃいけないと、このように思っております。  報道されていること、また報道以外でも様々な情報収集行っております。極めて事態が深刻であると、そのように受け止めております。その分、深刻であるからこそ、これまでミャンマーとも様々な関係を持ってきた、様々なチャネルを持っている日本として、どうにかできないかということを真剣に検討し、さらには働きかけも続けているところであります。
  146. 白眞勲

    ○白眞勲君 ミャンマー国内の少数民族の武装勢力がデモ隊の側に立って共に戦うことを呼びかけたとのことで、まあミャンマー軍側も少数民族側に空爆しているとの報道もあると。で、住民たちが隣国のタイに向けて避難したという報道もあるわけですね。これ、日々深刻の度合いを深めている中、対話、どういうふうにやっていくか、これ非常に知恵を絞っていかなきゃいけないなというふうに思うんですけれども、そういう中で、防衛大臣にちょっとお聞きしたいと思います。  十二か国の参謀長名の共同声明が出たということですが、これちょっと私も初めてだなと思うんですが、こういったことというのは過去にあったんでしょうか。どうなっているんでしょうか。
  147. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 三月二十八日に、我が国米国を含む十二か国の参謀長等の連名によって、ミャンマー国軍に対し共同声明を発出されました。本声明は、関係国の防衛当局が結束して、ミャンマー国軍及び関連する治安機関による民間人に対する軍事力の行使非難するとともに、ミャンマー国軍に対して暴力を停止するよう求めたものでございます。  過去にこのような形で統合参謀長が類似の共同声明を発出したという事実は承知をしておりません。あっ、失礼、我が国の統合幕僚長ですね、がこのような共同声明を発出したという事実はございません。
  148. 白眞勲

    ○白眞勲君 ミャンマー国軍側にこれ発出したんだと思うんですけれども、それでよろしゅうございますか。
  149. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 失礼しました。  これは共同声明という形で発出をされています。すなわち、公に発出をしたということでございます。
  150. 白眞勲

    ○白眞勲君 別にミャンマー国軍側に直接、例えば参謀長に向かって出したものなんでしょうか。その辺りはどうなっているんでしょうか。声明だけなんですか、それとも手紙としてそれを送ったのかどうか、その辺はどうなんでしょうか。
  151. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) これは、宛先としては書いていないんですけれども、いわゆるジョイント・ステートメント・オブ・チーフ・オブ・ディフェンスという形で出されております。
  152. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) G7でもそうですけど、こういったジョイントステートメント、共同声明というのは、誰宛てというのはございません。国際社会といいますか、公に公表する。ただ、それを受け取るのが、相手の国であったり、恐らく十二か国の参謀長名でありましたら、当然誰よりも国軍に対するメッセージにはなっていると思います。
  153. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうなんですね。  そうすると、これ国軍側からは何らかのメッセージというのはあるんですか。これを受けた形でのメッセージというのはあるんでしょうか。
  154. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) いまだそういう何か、ミャンマー国軍側から何か受け取ったということは承知をしておりません。
  155. 白眞勲

    ○白眞勲君 気になるのが、今回いろいろ報道を聞いてみますと、何かデモ隊を追いかけていたのかどうか分かりませんが、国軍側がいきなり家に入ってきて撃たれたとか、子供が外で遊んでいたときに撃たれたとか、そのような報道がありますけれども、在留の日本人の方々は今大丈夫なんでしょうか。
  156. 森美樹夫

    政府参考人(森美樹夫君) お答えいたします。  現時点で、在留日本人の方々にけが等の被害が及んでいるということは承知しておりません。
  157. 白眞勲

    ○白眞勲君 ミャンマーには今どれぐらいの日本人の方が居住されていらっしゃいますか。
  158. 森美樹夫

    政府参考人(森美樹夫君) お答えいたします。  在留届ベースになりますが、二月一日にクーデターが発生して以降帰国された方もいらっしゃいますが、二月一日の時点での在留邦人数は三千五百名となっております。
  159. 白眞勲

    ○白眞勲君 私もちょっとした、ちょっと年取っているせいか、いろいろな経験聞いているんですけれど、最初はデモも平和的に行われて、治安部隊が来ると逃げ惑うような感じのデモって多いんですけど、だんだんエスカレートしてきて、今度、デモ隊側が武装し始めると、もっとこれは騒ぎはだんだん大きくなってくる、より深刻になるような状況だと思うんですね。  今、首都ヤンゴンもそうですけれども、地方に暮らす日本人の方のことを考えますと、大使館としてもそろそろ、今のうちにと言った方がいいかな、今のうちに希望者は取りあえず、日本の大使館側でもうバス用意して、特に地方の方々はそうだと思うんですけれども、場合によっては、まあ今は定期便は飛んでいない、定期便はあるけど不定期みたいな感じでしょうから、これコロナの関係ですけれども、チャーター機を準備して早めに帰国させるということは考えていないんでしょうか。
  160. 森美樹夫

    政府参考人(森美樹夫君) お答えいたします。  今委員指摘になりました定期便でございますけれども、不定期というわけではなく、例えば全日本空輸の定期便は二週間に一度飛んでおりますし、それから第三国経由で日本に帰ってくる便もいまだ運航しております。  しかしながら、現地の情勢を踏まえまして、これまで在ミャンマー日本国大使館からは随時、領事メール等によりまして、デモ等に関する情報を発出、在留邦人に対しては注意喚起と不要不急の外出を、呼びかけておりますし、三月九日には速報的に注意を喚起するスポット情報を発出いたしまして、商用便による帰国の是非を検討してくださいということを呼びかけております。
  161. 白眞勲

    ○白眞勲君 私も、ミャンマーにある日本大使館のホームページ拝見させていただきました。情報を毎日のように連日更新して警戒を呼びかけているということで、不要不急の外出は控えるようにとも呼びかけているわけですね。  大臣、是非、しばらくこの緊迫状況というのは続く、あるいはもっとエスカレートしていく可能性もあると思われますので、それからではちょっと遅いので、そろそろ日本政府として邦人救出の検討に入るべきなんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  162. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、今、森領事局長の方からお話ししましたように、三月九日に、帰国の是非について検討してほしい、こういうスポット情報を出しているわけでありまして、これ、一般的に言いますと、受け取る側からすると、これ、是非帰ることを検討してくださいというメッセージになるわけでありまして、それで、何というか、帰ることが必要だとか、置かれている状況の中でそう思う方についてはそうされるんだと思います。  また、いろんな情報、相談についても、ミャンマー大使館、今、丸山大使始め非常に現地情勢に精通したスタッフたくさんおりますので、いろんな形の相談にも乗っております。  もちろん、デモに参加をするとかそういった形での危険な行動、これをまずはやめていただくということは極めて重要であると思っておりまして、一番ターゲットになっているのは、残念ながらそういう、平和的でありますけどデモに参加している人等々であります。  そういった中で、本当に必要な状況ということが生まれましたら、これまだ、私の知る限りで、どこか他国で、在住の外国人といいますか、自国民を救出するためにチャーター機を飛ばす、そういう検討をしている国があるかということはまだ聞いているところじゃありませんけれど、昨年一年間でも様々な形で日本として、コロナ禍の中で海外にいらして移動制限が掛かると、そういったことで帰国が困難になっている在外邦人の方々の出国、帰国については、百一か国、一万二千名を超える方の出国、帰国というのはこれまでやってきておりますので、そういった経験も生かしながら、もし必要な事態が出たら速やかに対応を検討したいと思います。
  163. 白眞勲

    ○白眞勲君 もう本当に、もちろん多分、もう外務省内で対応は検討に入っていないとおかしいと思うんですけれども、是非これは早急に、やっぱりそういった、救出というのかな、帰国のお手伝いと言った方がいいのかもしれませんが、やるべきだと思いますが、もう一回、外務大臣、ちょっとお答えください。
  164. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) かなり今、私、丁寧にお答えさせていただいたと思っておりまして、それに尽きると思います。
  165. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっと別の観点から、辺野古新基地における日米の制服組同士の合意についてお聞きいたします。  防衛大臣、一月の予算委員会で私の質問に対して、共同使用における、これは日米のですね、共同使用における陸上幕僚監部の計画図があったことはお認めになっているわけなんですけど、これは、内局まで幅広くこの件は共有されていたということでよろしゅうございますか。
  166. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 一月二十七日の参議院の予算委員会における私の発言は、白委員が、報道によりますと、陸上自衛隊の使う施設の設計図まで作成したとなっていますけどというような、報道を引用された形で御質問をされていると。それに対して私は、そのような報道があることは承知しているとの趣旨で申し述べた次第でございます。  その上で、共同施設区域、共同使用については、米軍自衛隊の間で施設の共同使用を拡大する機会を検討する意図を有するとした二〇一〇年の五月の日米2プラス2共同発表を踏まえて、これまでも様々な検討が行われているところでございます。  陸上幕僚長、陸幕監部は、これまで関係部局の一つとして共同使用に係る政府内の検討に参画をしてきております。しかしながら、共同使用は、日米双方の外務・防衛当局によって幅広い検討が行われた上で日米合同委員会による合意がなされたものであります。陸上自衛隊と海兵隊が合意を行うような性質のものではないと考えておるところでございます。
  167. 白眞勲

    ○白眞勲君 防衛大臣、私のこのときのやり取り今お話しされましたけど、私は、計画図まで作成したとなっていますけど、それどうなんですかと聞いたら、つらつらとありまして、最後に、共同使用についてそのきちっとした計画があったわけではございませんが、そういう形での、その図があったということはお話がありますけどというふうに言って認めていらっしゃるから私聞いているんですよ。その図があったとおっしゃっているじゃないですか。  だから、その図があるならば、当然合意文はあるんじゃないんですか、それが内局まで幅広く共有されているんではないですかというふうな意味合いとして聞いております。もう一度お答えください。
  168. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今のお問合せでございますけれども、あくまでこれは白委員が報道を引用されたために、そのような報道があることは承知しているという趣旨で申し上げたものでございます。図についてですね。
  169. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か私のせいにしないでもらいたいんですね。私は、報道があるけれど、本当にあったんですかと言ったら、岸大臣が、きちっとした計画があったわけではございませんが、そういう形の、その図があったということはお話がありましたとおっしゃっているから、私は、当然、お話があったのならそれは内局まで上がったんでしょうということを言っているわけでして、御答弁したことに対して私は聞いているんですよ。  何かちょっとお答えがちぐはぐしているんですけど、もう一回お答えください。
  170. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) そういう、図については、白委員が引用されましたので、そういうお話も承知をしておりますがということでございますが、一般的に、共同使用の検討に当たっては、全国の施設区域について幅広く様々な可能性について検討してきております。その際に、その際にですね、様々な図面を用いることも一般的であります。  日米間の具体的なやり取りや検討については、相手方の関係もありますのでお答えを差し控えたいと考えておりますが、そういう形での図面を用いることも一般的であるということを申し上げました。
  171. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は辺野古の新基地に対して質問をしているので、それを一般論に話を、何という、すり替えですね、すり替えをしないでもらいたいんですね。  これ、御答弁なんですよ。これ、予算委員会の御答弁で、岸大臣御自身が答弁されたことですよ。何でそれを今になってこんな後ろ向きの答弁するんですか。そういう形での、その図があったということはお話がありますけどって、そこに目の前にあるでしょう、それ多分答弁書いてあるんだから。白が聞いたからそう答えたんだって。だから、そう答えたんです、その図があったって。図があったとおっしゃっているから、私は、だったら当然これは内局に上げていますよねということなんじゃないんですか。  それと同時に、もう一つ、今御答弁で一般論としてお話しされましたけど、一般論で図面を交換することはあるかもしれないというんだったら、その一般論で図面を交換したとしても、それは内局に上げるのが当たり前じゃないですか。
  172. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今ちょっと議事録を拝見いたしまして調べましたけれども、そのときの私の答弁は、共同使用についてそのきちっとした計画があるわけではございませんが、そういう形での、その図があったということはお話がありますけれども、いずれにしても、合意をしたというような事項ではないということでございますと、このようにお答えを差し上げました。  すなわち、そのような図があったことはお話がありますけどという形で委員の、委員の御質問にお答えをしたということでございます。そのような図があったということはお話がありますけどということで御紹介をさせていただいたということでございます。
  173. 白眞勲

    ○白眞勲君 その前に私こう聞いているんですよね。もう議事録共有していますからあれですけど、計画図まで作成したかどうかと。じゃ、当時の陸幕長に聞いたんですかって聞いたんですよ、私は。そうしたら、そういう形での、その図があったということはお話がありますとおっしゃったわけですよ。つまり、陸幕長がそういう話をしてくれたんだということを言ったから内局まで上げたんですかということ。私は、聞いているのは、要は内局まで幅広く共有したかどうか、その質問について聞いているんです。違うこと答えないでいただきたい。
  174. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 共同使用に係る検討については、従来から、防衛大臣の指揮監督の下で陸上監部、陸上幕僚監部や内局を含む関係部局が省一体となって進めておるものでございます。
  175. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、内局も共有していたということでよろしゅうございますね。確認です。イエスかノーかでお答えいただきたい。  辺野古についてですよ。
  176. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 共同使用についての計画については、の検討については、内局も参画していたということでございます。
  177. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、辺野古についても共同使用については内局も参加していたということですか。
  178. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 具体的な場所についてはお控えいたしますけれども、一般論として共同使用についてはきちっとした計画が、失礼、内局も参画をしていたということでございます。
  179. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、具体的な計画図は、辺野古の計画図について私聞いているのに、何でそうやってその一般論に持っていっちゃうんですか。つまり、計画図があったということをお認めになっている以上は、当然これは内局も辺野古に関して共有していたということでよろしゅうございますねと聞いているんですよ、私は。  その一般論でもう答えないで、もうこれ以上やったらちょっともうこの委員会、私これ以上進められなくなっちゃいますよ。
  180. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 共同使用についての議論はどこということではなくて、内局も参画をしていたということでございます。(発言する者あり)
  181. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  182. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 速記を起こしてください。
  183. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) まず、予算委員会におきます防衛大臣答弁の関係でございますけれども、これにつきましては、質問の、質疑のやり取りの中で、報道によりますと陸上自衛隊の使う施設の計画図まで作成したこととなっていますけどというところから端を発しまして先ほどのやり取りになっておりまして、防衛大臣からその図があったということはお話がありますけれどもということを答弁をしておりますけれども、そのお話というのは、まさにそういう報道という形でお話があるという趣旨で申し上げたものというふうに理解をしているところでございます。
  184. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、この答弁、おかしくなりますよ、全部が。  だって、私はその前に、当時の陸幕長に聞いたんですかと聞いたら、そういう形、その図があったということはお話がありますけれどもって言っているから私は聞いているんですよ。陸幕長に聞いたのかどうかの答えとなっていないじゃないですか。すっきりしないようなことを言わないでください。  陸幕長に聞いたんですかということに対して、その図があったということはお話がありましたって言えば、当然これは陸幕長がお話があったというふうに答えるのが当たり前でしょう。それを今になってそういう否定的な、あの予算委員会において、我々は、じゃ、どういうことなんですか、それは。このお話というのは報道があったという意味だって今言いますけども、とんでもない話ですよ、それでしたら。とんでもない話だ、これは。そういうことを言わないでもらいたい。ごまかさないでいただきたい。  これ、駄目ですよ、そんなことをやったら。おかしくないですか。岡さん、そういうの駄目ですよ。
  185. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) 質疑の流れとして申し上げますと、報道に、先ほどちょっと申し上げましたけれども、委員の方から、報道によりますと、陸上自衛隊の使う施設の計画図まで作成したとなっていますけど、これは計画図はあったんですかという質問と、それから、今委員がお話しになりましたような、当時の陸幕長に聞いたんですかという御質問、この両方がある中で、大臣から先ほど述べたような趣旨でお答えになったものだというふうに理解をしております。
  186. 白眞勲

    ○白眞勲君 両方だとか言わないでもらいたい。一問一答ですよ、これは。両方聞いたんだったら、両方答えましたと言うんだったら分かりますけどね、前には非常に短い、二行ですよ、これ、議事録でいえば。  これ、当時の陸幕長に聞いたんですかと、ただそれだけ聞いているんですよ。聞いたかどうか聞いていったら、お話がありましたって言っているんじゃないですか。だったら、そういう報道がありましたけどもというふうに言うべきであって、そういうことは言わないでもらいたい。  それはちょっと非常に問題ですね。こういうごまかされたら、これ委員会やっていられなくなりますよ。駄目ですよ。これ、ちょっと統一的な見解求めないと駄目です。これ、絶対駄目。(発言する者あり)
  187. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 白委員、統一見解委員会として求める形でよろしいですか。
  188. 白眞勲

    ○白眞勲君 いえ、これは統一見解じゃないんです。  もうちゃんとこれは、後で議事録、私、皆さんにお見せしますけれども、もう一回言いますと、じゃ、これ当時の陸幕長に聞いたんですかということを聞いたわけなんですね、計画図があったことがどうかって。そうしたら、共同使用についてそのきちっとした計画があったわけではございませんがと、そこまで答えている。きちっとした計画図があったわけではございませんが、そういう形での、その図があったということはお話がありましたっておっしゃっているんです。  だから、ここまでおっしゃっているのに、今全然違うこと答弁されているとなったら、これは統一見解どころの騒ぎじゃなくて、この予算委員会、これたしか総理入りだったような気がしたんですけど、総理入りの予算委員会でこういう発言をされていて、今になって答弁ひっくり返すような、ちゃぶ台ひっくり返しみたいなことをされたら、これ議論、行かないんですよ、先に、ということですので、ということです。(発言する者あり)
  189. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 今答弁を求めるか、委員会として求めるか。  白眞勲君。
  190. 白眞勲

    ○白眞勲君 あのね、統一見解って言ったら、これをひっくり返すのが統一見解でございますになっちゃうから、それは許せません。これは責任ですよ。もし間違えるんだったら間違えたで、それは間違えたと言うんだったら間違えたでいいですけど、そのときの責任問題になりますよ、これは。  だから、私は、そういった面で、で、これ以上、これ、私も時間もあれなんで、これ以上、この先行っちゃっても、行けなくなっちゃった、これ。駄目ですよ、これじゃ。
  191. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 私のその答弁の前に、白委員からは、計画図まで作成したかどうかという御質問があったわけです。計画図まで作成したかどうか、じゃ、陸幕長に聞いたんですかと、こういう質問でございました。  これに対して、私は、共同使用についてきちっとした計画があったわけではございませんが、そういう形での、その図があったということはお話がありますけれども、いずれにしても合意をしたというような事項ではないということでございます、このように答えたわけでございます。  ですから、虚偽答弁ということではなくて、この計画図まで作成したのかどうかということに対してのお答えだったと、こういうことであります。
  192. 白眞勲

    ○白眞勲君 ここ、ちゃんと読みますと、計画図まで作成したかどうかと、これ、じゃ、これでは、これ、じゃですね、これ、じゃ、これ当時の陸幕長に聞いたんですかというのが私の質問です。私の質問は、これ当時の陸幕長に聞いたんですかということに対して、そういうお話がありましたということじゃありませんか。  これ以上、委員長、これやっても、何かまた虚偽答弁して、何かごまかし答弁しそうな感じがしてしようがない。だから、これ、ちょっとここで止めたいと思います。  次、行きます。  これは、ちょっと理事会で一度協議していただきたい。
  193. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 後刻理事会にて協議いたします。
  194. 白眞勲

    ○白眞勲君 駐留経費の関係でお聞きしたいと思いますけれども、韓国外務省、この三月十日に、在韓米軍、在韓ですね、在韓国の駐留米軍の駐留費経費負担をめぐる米韓の協議が妥結して、二年前に比べて一三・九%の増加した額で合意したとのことです。また、二二年度は対前年比五・四%増加も決められて、合計すると約二割になっちゃうんですね。  日米は、今年は現行水準に沿って一年延長ということになりました。今度は外務大臣にお聞きしたいんですけれども、来年以降、この韓国の状況を見ると、何かこういったものにも影響を受けるのではないかなという私は一つ心配というか、そういう感じもするんですけど、外務大臣、この辺どうなんでしょうか。
  195. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 第三国間の協議につきましては第三国間の協議であり、またその合意でありますから、私からコメントすることは控えたいと思いますが。  いずれにしても、今後の複数年度の協議につきましては、しっかりと我が国を取り巻く厳しい安全保障環境、さらには我が国の財政、厳しい財政状況と、こういったものも踏まえて適切な水準となるように協議を進めていきたいと考えております。
  196. 白眞勲

    ○白眞勲君 韓国側の交渉を見ますと、今、日本負担しているとされる約七五%の経費、これ約二割上げられますと九五%ぐらいになっちゃうわけなんですけど、まあそういうことはないのかなという気がするんですけど、その辺はどうでしょうか。外務大臣、お答えください。
  197. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 質問趣旨、正しく理解しているかどうかということなんですが、今後の交渉につきまして、今具体的にどの水準というのから入るのではなくて、まずは、この負担割合の前に、今後の厳しい安全保障環境に日米でどうそれぞれの役割を担っていくか、こういった議論を行った上で適正な水準というのを主体的に判断していきたいと思っております。
  198. 白眞勲

    ○白眞勲君 質問趣旨が、お答えの趣旨が分かっていないみたいなことをおっしゃいましたけれども、分かっているつもりでございます。私の質問趣旨も是非分かっていただきたいなというふうに思うんですけれども。  外務大臣は、本日、先日の本会議の際に、一層厳しさを増す地域安全保障環境我が国の厳しい財政状況等を踏まえているとしているわけですから、当然、そのHNSが適切な内容、水準となるように対応していくと、これ至極当然だというふうに私は思っておりますが、この厳しい財政状況というのはアメリカも一緒であるということになる。先ほど小西議員からも、ウイン・ウインの議論をしていこうとブリンケン国務長官におっしゃったということ、それはそうだろうなと思いますが。  私は、そういう中で、大変厳しい交渉になるんではないかな、もちろん友好的だけれども、交渉自体厳しくなるんじゃないかな、そういうふうにも思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。
  199. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 対外的な交渉は、いろんな性格ありますが、大体それぞれ同じ国益でない部分はあるわけであります。当然、何というか、交渉というものは、基本的に私は、こういった交渉においても、また通商交渉においても厳しいものになると考えております。  そういった中で、日米の関係でありますからお互いにウイン・ウインになるような形で、また日本にとってそれが適正な水準となるようにしっかり協議を進めていきたいと思っております。
  200. 白眞勲

    ○白眞勲君 最後に防衛大臣にお聞きいたします。  本会議でもお聞きしましたけれども、日中の相互通報体制、海空連絡メカニズムを、昨日、何か二十九日開催したとのことですけれども、その内容について、事務方でも結構ですが、御説明願いたいと思います。
  201. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) ただいま委員から御質問がございましたとおり、昨日、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの中にございます年次会合及び専門会合、これをテレビ会議で行っております。防衛省側は防衛政策局次長、それから国際政策課長、また中国側からは国防部の国際軍事協力弁公室副主任その他の方々が参加をされていると。  この中で様々なやり取りをいたしましたけれども、先般、本会議でも御質問がありましたいわゆるホットラインにつきましても意見交換が行われております。その中で、早期開設に向けた調整が着実に進展しているということを確認した上で、昨年十二月の日中の防衛相テレビ会談での結果も踏まえて調整を更に加速させていくということで一致をしたところでございます。
  202. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、次回会合は二〇二一年末から二二年初頭ということになっているんですけど、それでよろしゅうございますか。
  203. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) 大体年一回ということを想定してやるものでございますが、具体的な時期については引き続き調整をしていくということになろうかと思っております。
  204. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、ホットラインまだできないということになっちゃうんじゃないですか。防衛大臣、これ早くやらないと駄目だと思うんですけれども、何か来年なんという話もあるんですけど、この辺大丈夫ですか。ちょっと早くやるということを言ってください。
  205. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) これは、元々、王毅国務委員が来日された際にもホットラインを、あのときはたしか年内、ですから昨年の話ですけど、そういうような話もあったかと思います。その後の私と魏鳳和国防大臣との間の防衛大臣会合において、ホットラインの開設、敷設について加速化をしていくという合意をしたところでございます。  技術的に解決をしなければいけない点等々ございまして少々時間が掛かっているものと了解をしておりますが、今後も開設に向けて加速を、お互い、双方で加速をさせていきたいと思います。
  206. 白眞勲

    ○白眞勲君 急いでやってください。  終わります。
  207. 浅田均

    ○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  今日は、まず、茂木大臣外務大臣になられてもうかなり年月がたって、頑張っていただいていると思うんですが、茂木外交の基本姿勢というところからお尋ねしてまいりたいと思います。  ちょっと話はまた若干古くなるんですけれども、日本がサンフランシスコ講和条約を結んで、国連に加盟後に、一九五七年ですね、日本外交活動の基調を成すものとして日本外交の三原則というものを定めております。国連中心主義、それから自由主義諸国との協調、アジアの一員としての立場を堅持、これが当時定められました日本外交の三原則であります。  現実として、その後、アメリカとの関係を中心に外交が進められてきておりますので、今となっては何かちょっと奇異な感じもするんですけれど、また余り昨今語られる機会も少なくなってきておりますけれども、この原則に関する外務大臣の評価を聞かせていただきたいと思うんですがね。  何でこういう話題を持ち出してきたかと申し上げますと、今、中国問題がすごく重要になってきていますので、対中国政策として重要なのは、国連で合意されている基本的な諸原則、つまり法の支配とか人権とか民主主義、紛争の平和的解決、主権平等等をもう一度確認して、そうすることによってアメリカや東南アジア、オーストラリア、インド等の国々との結び付きを強化する。今、今日また行われますインドネシアの2プラス2というのもその路線に乗っかったものであると思いますけれども、自由主義国との協調ですよね。そして、その中に中国を迎え入れることであると。これはかつての外交三原則の現代版と言ってよいという識者もおられるから、こういうことをお尋ねしております。  茂木大臣、いかがですか。日本外交の三原則についてどういうふうな評価をされておられるんでしょうか。
  208. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、一九五七年からもう六十三年たっているわけでありまして、当然、国際社会を取り巻く環境というのは大きく変わってきている。当時でいいますと、五七年といいますと、ハンガリーの事件が起きたときでありますけれども、まさに東西冷戦構造真っただ中に入っていくと、こういう状況でありました。それが一九八九年にソ連邦が崩壊をし、冷戦構造が崩れる。そして、特にこの十年ぐらいを見てみますと、国際社会のパワーバランス、これが大きく変化をして、普遍的価値や既存の国際秩序が挑戦を受ける中で、日本外交の目的、これは当然、国益を確保し、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値観に基づいた、日本にとって、さらには価値観を共有する国々にとって望ましい国際秩序を維持し、発展をさせていくということだと考えております。  その上で、我が国が戦後一貫して平和国家としての歩みを続けてきた、これは事実でありまして、国連中心主義、そしてまた自由主義諸国との協調、アジアの一員としての立場の堅持といった基本的な立場守りつつ、国際情勢の変化に対応しながら地域及び国際の平和と安定に積極的に貢献をしてきたということでありまして、国際協調を模索するとか、様々な基本的なラインといいますか、方針変わっているわけではありませんが、当然国際環境というのは変わっておりますから、それに合わせて外交の基本的な在り方というのも対応していかなけりゃいけないと思っております。  例えば、直近でいいますと、新型コロナの世界的な感染拡大によりまして今まで以上に国際協調求められる中で、日本はこれまでも国連を始めとする多国間の枠組みというのを重視をしてきたわけであります。昨日もルトノ大臣と話をしたんですけれど、彼女も、このCOVAXファシリティーの途上国向けのAMC、中心的に活動しているメンバーでありまして、この創設であったりとか、日本が二億ドル拠出をしていると、こういったことについては高い評価もいただいているところであります。  こういった保健分野での貢献、さらに、日本は、国際社会の平和と安定に一層貢献するために、二〇二二年、国連の安保理非常任理事国選挙での当選を目指し、そこの中でしっかり活動をしていきたい、こういう思いは変わっておりません。  また、我が国が提唱しております自由で開かれたインド太平洋、これは地域において法の支配を始めとする共通の価値や原則に基づく自由で開かれた秩序を実現することによりまして地域と世界の平和と繁栄を確保するものであります。この構想を出しましたのが五年前です。二〇一六年、TICADⅥ、初めてアフリカのケニアで開催をしたときに日本が提唱したわけでありますけれど、こういったものは、間違いなく今、日米豪印、さらにはASEAN諸国、そして欧州、アフリカにも広がりつつあるということでありまして、そういった意味で、元々考えてきたこと、これは国際社会の変化によって変わってきておりますけど、基本的な流れそのものを変えているということではないと思っております。  いずれにしても、ポストコロナに向けて、こういった自由で開かれたインド太平洋、こういったビジョンの意義、重要性はますます高まっておりまして、引き続き、ASEANを始め、この考え方、共有する国々と協力を深めていきたいと思っております。
  209. 浅田均

    ○浅田均君 今、TICADに対する言及ありましたけれども、どちらかというと、アフリカなんかに対して日本は余り強くなくて、中国は先に協力とか、経済協力とかを始めていましたので、アフリカに関しては日本はちょっと後発だったかなという気がするんですけれども、緒方貞子高等難民弁務官ですね、緒方さんの努力なんかが物すごく実を結んで、その後、茂木大臣なんかがしっかり基盤を強化していただいているという意味で、そういう活動に関しては評価しております。この件に関してはまた後で質問にも入れさせていただきたいと思いますけれども。  今、環境が変わってきて、もう外交もそれに合わせてやっていくと、基本的な原則は変わっていないという御答弁をいただきまして、今そういう日本外交が一番直面している大きな課題が二つあって、一つ目が、僕らは、維新の会は、中国と戦略的互恵関係をつくろうという主張をしておりますけれども、多分、中国、何ぼ尖閣を取りに来ているとか領海に侵入しているからといっても、完全に敵対していくわけにもいかないほど貿易の関係が密接になっております。だから、そういう、言うことは言いつつも、協力できるところは協力していくと、そういう意味で私たちは戦略的互恵関係と申し上げておりますけれども、その戦略的互恵関係を維持しつつ中国の海洋進出にどう歯止めを掛けるか、これが一番重要な問題の一点です。  それから二つ目が、米中間の経済安全保障。これは、この対立にどう対応するのか、非常に難しい問題で、下手をすると米中の双方のサプライチェーンから日本が外されてしまうリスクがあるというふうに私どもは思っております。  それで、今申し上げました中国の海洋進出に対して、それから二点目は米中の経済安全保障に対してどういうふうなかじを取っていきたいというふうに外務大臣はお考えでしょうか。
  210. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 先日のこの外交防衛委員会で、ゲームチェンジャーと、こういう話があったかと思うんですが、恐らく、現在、また今後を考えたときに、性格は違いますが、中国、そしてデジタルであったり様々な技術革新、こういったものはゲームチェンジャーになり得るものだと思っております。  そして、中国に対して、浅田委員おっしゃるように、日本も深い経済関係にあるわけであります。そういった関係はしっかりと維持していかなきゃならない。また、両国間の関係の中で、また対話の中で様々な懸案あるわけでありまして、それを一つ一つ解決していくということは重要だと思っておりますが、その一方で、力による一方的な現状変更と、こういう試み、この継続であったりとか強化、さらには民主主義、法の支配、人権、こういった普遍的な価値に対する挑戦、これに対しては毅然たる対応をしていかなければいけないと思っておりまして、経済の分野がある、場合によっては、気候変動では、やっぱり最大のCO2の排出国が中国ですから、この中国の協力といいますか、中国の責任、これをしっかり果たしてくれということは働きかけていきますが、こちらで協力をするから基本的な価値で譲っても構わないということにはならない、こちらの部分は毅然と対応することが極めて重要だと、このように考えているところであります。  新技術だけでなくて、米中間には様々な今、対立といいますか、競争の側面がある、そして適切ならば協調もすると、そして必要に応じて敵対もすると、こういう言い方バイデン政権の方はしているわけですけれど、技術については少なくとも今競争というのが全体的な構図なんではないかなと思っております。  この技術に関して、恐らく、何というか、中国としては、一つは大きな中国市場の魅力、もう一つは自分の持っている5G始め様々な技術によって中国に対する依存度を強めたい、こういう考えを持っているんだと思いますけれど、このコロナで我々が経験をしたこと、学んだことというのは、特定の一国に過度に依存したサプライチェーンであったりとか様々な技術でありますけど、こういったことについては脆弱性があると、これを強化をしていかなきゃならないということでありまして、この部分におきましては、米国との間の協調、また同盟国、同志国との間の協調をしながら、サプライチェーン等々を多元化をし、強靱化をしていく、こういったことが重要だと思っております。
  211. 浅田均

    ○浅田均君 中国もゲームチェンジャーであるという御発言をいただきまして、ゲームチェンジャーであるならばゲームのルールをどう作っていくかということが非常に重要になってくると思います。その点につきましては、また休憩後に質問させていただきたいと思います。  午前中の部はこれで終わらせていただきます。ありがとうございます。
  212. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  213. 長峯誠

    委員長長峯誠君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、福山哲郎君が委員を辞任され、その補欠として石垣のりこ君が選任されました。     ─────────────
  214. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 休憩前に引き続き、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  215. 浅田均

    ○浅田均君 ちょっと午前中、白熱してきましたので、その続きをちょっとやらせていただきたいと思っております。  茂木大臣から、ゲームチェンジャーとしての中国という非常に面白い見方を御披露いただきまして、ゲームチェンジャーが出てきて新たなゲームが始まるとゲームのルールを作っていく必要があると。だから、前へ前へ先行していくと有利なんですね。ある意味、それがデファクトスタンダードになりますから。  今、中国が、法定通貨、人民元のデジタル化というのを実証実験やっています。これもやっぱり、言わば囲い込みですよね。そういう法定通貨のデジタル化ということに関して我が国は遅れていると。中国は多分、ECBも始めつつあるんですね。だから、日本がやや遅れていると。そういうところで法定通貨のデジタル化というのもやっぱりゲームチェンジャーになっていくんだろうと思っております。  それから、テスラですよね、イーロン・マスクの。これも多分ゲームチェンジャーになるだろうと。だから、電気自動車になってしまうと、組立てですから、今までのようなノウハウが必要なくなると。だから、コンポーネントを組み立てていくだけだから、この垂直でなしに水平の分業が成り立つと。次のコンピューターもそういうふうになっていくだろうというふうに考えているわけですけれども、この近未来のゲームチェンジャー、中国というお話がありましたけれども、大臣として一番注目されているところはどういうところなのか、ちょっと御披露いただきたいと思うんですが。
  216. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) ゲームチェンジャー、三つのレベルがあると思っておりまして、まず一つは、技術であったりとか、それは兵器もそうでありますけれど、それが一つの戦い方を変えたりとか秩序を変えたりと。青銅器から鉄器へ変わると、そして刀から種子島、鉄砲に変わると、こういったものもそうでありますし、新興の技術というものもそういった意味ではゲームチェンジャーの手段になってくると。  一方で、次の段階になりますと、主体として、例えば国際社会における特定の国、若しくは一つのゲームにおける特定の人物、これがゲームチェンジャーになる可能性もあると。この間はシドニー・マラソンでの高橋尚子の例を出させていただいたと思いますが、まさにマラソンのやり方を圧倒的に変えたと。これが高橋尚子の走り方だったと思います。  さらに、一番大きなものは、例えば環境が変わると。氷河期に入ることによって、それまで地球上を闊歩していた爬虫類、これが哺乳類に取って代わられると。こういう環境変化というものもゲームチェンジャーたり得るんではないかなと思っております。  そこで、重要なこと、中国について申し上げると、一国にとってだけいい国際秩序と、こういったものはやはり許容できない。それぞれの国際社会の構成員が裨益をするような、利益を得られるような国際秩序をつくっていくと。この責任ある大国として中国が行動してもらうということが極めて望ましいんではないかなと思っております。  ちなみに、デジタル人民元、これについて申し上げますと、今でもやっぱりドルの力というのは圧倒的に強いんだと思います。ですから、それに対抗する一つの手段として、デジタルの世界においてデジタル人民元と、こういったものを広める、こういった取組、中国としても進めていると、このように一般的に言われております。
  217. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございました。  ゲームチェンジャー、ゲームのルールのお話をまたやがてしたいと思います。  今日は通告に従って質問を続けていきたいと思いますが、所信、大臣所信とかですね、これはもう前総理の時代から自由で開かれたインド太平洋という表現が出てきますし、今まさにそれを実践されていて、今日のインドネシアとの2プラス2もその一環だというふうに私は捉えておりますけれども、この自由で開かれたインド太平洋というのは、先ほどの御答弁の中で一つのビジョンであるというふうな御発言もあったんですけれども、このビジョンですね、自由で開かれたインド太平洋というのは何をもって実現されたとお考えになっているんでしょうか。
  218. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 大変壮大な質問だと、このように受け止めさせていただきましたが、自由で開かれたインド太平洋、午前中も若干お話ししましたが、二〇一六年、アフリカで初の開催となりましたケニアでのTICADⅥの際に日本が提唱した考え方であります。ちなみに、そのときにケニアに公使としておりましたのが隣にいる森領事局長であります。  この考え方は、インド太平洋地域において法の支配を含む共通の価値や原則に基づく自由で開かれた秩序を実現することによって、地域全体、ひいては世界の平和と繁栄、確保していくと、こういった考え方に基づくものであります。  インド太平洋地域、世界の人口の半数を擁する世界の活力の中心、中核、成長センターでありますが、同時に各国の力と力、これが複雑にせめぎ合い、力関係の変化が激しい地域でもあるわけであります。  このインド太平洋地域において自由で開かれた国際秩序を普及、定着、強化していく、これはまさに息の長い取組だと考えておりまして、社会制度であったりとか、さらには芸術文化でも、大きな構想ほど完成というものはなかなか見通せないというか、長い時間が掛かると思っております。  英国のウィンストン・チャーチル元首相が、民主主義について、民主主義は最悪の制度であると、ただしこれまでに試みられてきたあらゆる政治制度を除けばと、こういう言葉を残しておりますが、大変意味の深い言葉だと思っております。  いずれにしても、自由で開かれたインド太平洋、我々が提唱してから五年がたちますが、間違いなくこの五年間で取組が具体化をし、世界に広がっていると考えております。  現在、米州、豪州、インド、QUADも先週、先日ですね、初めての首脳会合を開かれたところでありますし、さらにはASEANASEANもAOIPと、これを発表したところであります。さらには、私も昨年は欧州諸国、そしてアフリカも回ってまいりましたが、こういった多くの国々考えを共有するに至っておりまして、これからも、二国間はもちろんでありますが、日米豪印を含みます多国間の協力を通じて、協力が具体的な成果として現れると、それによってこの自由で開かれたインド太平洋の価値というのがより多くの国々、またその国の国民にも理解されると、こういった取組をしっかりと進めていきたいと思っております。
  219. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございます。  社会制度とか文化とかいろんなものを包含した概念であるというふうな御説明だったんですが、具体的に、超具体的に、開かれたインド太平洋インド太平洋というと、ベンガル湾から始まってマラッカ海峡を通ってですね、それで南シナ海、東シナ海ですか、太平洋と、こうつながっているわけでありますが、ここで問題なのは、マラッカ海峡と、付け加えて言うならば台湾海峡だと思うんですが、このマラッカ海峡と台湾海峡、これはその自由で開かれたインド太平洋という考え方の中に含まれるんでしょうか。
  220. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) お答え申し上げます。  自由で開かれたインド太平洋につきましては、この考えを共有するあらゆる国・地域に開かれた概念でございまして、その意味におきまして、特定の国・地域が排除されるというわけではございません。  その上で、インド太平洋そのものは、おっしゃられるとおり、地理的名称でございますけれども、自由で開かれたインド太平洋は、民主主義、法の支配、航行の自由等の基本的な概念に重きを置いたものということでございます。  その上で申し上げますと、重要なシーレーンでありますところのマラッカ海峡で航行の自由が確保されるということは、我が国のエネルギー安全保障の観点のみならず、インド太平洋地域、世界の平和と繁栄にとって極めて重要でございます。我が国としては、このような点も踏まえつつ、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を戦略的に推進してまいりたいと考えております。  また、台湾海峡につきましては、基本的な価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーが台湾でございます。大切な友人でございます。我が国としては、台湾及び台湾海峡をめぐる問題が当事者間の直接の対話により平和的に解決されることを期待しておるというところでございまして、この点につきましては、先日行われた日米の2プラス2におきましても、日米両国として台湾海峡の平和と安定の重要性について一致をしておるというところでございます。
  221. 浅田均

    ○浅田均君 私の質問に対する答弁を意訳しますと、マラッカ海峡は含まれる、で、台湾海峡は含まれないと、まあ正解だと思います。違いますか。そういう意図を持ってお答えになったというふうに理解しているんですけれども、違いますか。
  222. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) インド太平洋、これは地理的な概念でありますけれど、自由で開かれたインド太平洋につきましては、今、遠藤参事官の方からも話がありましたように、民主主義、法の支配、航行の自由等の基本的な概念、これに重きを置いた考え方である。この意味で、様々な国がこの価値観であったりとか概念に参加してくれれば、それに参加してくることは排除をしないと。また、様々な地域においてこういった価値観が挑戦を受ければ、しっかりそれには対峙をしていくと。これが我々の考え方であります。
  223. 浅田均

    ○浅田均君 ありがとうございます。  基本的価値を共有すると。だから、台湾海峡は中間線で分かれるということですよね。  この問題はこれぐらいにしておきまして、もう一つ、先ほど、午前中にも言及しましたけれども、米中間の経済安全保障という大変な問題が浮き上がっておりますけれども、この米中間の経済安全保障をめぐる応酬ですよね。具体的に言いますと、アメリカは、トランプ前大統領のときに大統領令で半導体とかレアアースなど重点四分野の供給網の見直しを指示しております。例えば、中国のファーウェイ社への半導体製品の輸出規制を発動しております。  新聞情報なんかによりますと、何社か日本企業でも影響を受けているというふうな報道がされているんですけれども、外務省として、このアメリカの大統領令の影響を受けている日本企業はどれぐらいあるのか把握されておられるでしょうか。
  224. 田島浩志

    政府参考人(田島浩志君) お答えいたします。  今委員指摘のとおり、アメリカにおいて、かねてからファーウェイに関する輸出規制などの措置が種々とられているということは承知しております。アメリカによるファーウェイに対する措置によって日本企業に具体的にどの程度の影響が出るか、外務省として評価することは困難でございますけれども、いずれにしても、我が国として、関係省庁間で協力しつつ、経済安全保障の重要性と日本企業の利益の保護を両立させるために、引き続き関連の動向を注視するとともに、アメリカと緊密に連携してまいりたいと存じます。
  225. 浅田均

    ○浅田均君 影響している会社は何社あって、影響額がどれぐらいというのは、確かにそれは数値として示すのは難しいことだろうとは思います。  ただ、この重点四分野に関して、アメリカが中国に対してそういう意思を示すということによって一番問題になるのは、サプライチェーン、供給網と言われているやつだと思うんです。要するに、中国の海洋進出の原因の一端がレアアースの獲得であるとか言われておりますので、このレアアース、希土類の元素ですね、こういうのをどこにあるかというのを見付けて、それを取りに行く、そのためにはこの海域を確保しておく必要があるという、そういう戦略が中国にあって、要するに、供給網を確保、自分のところでそういう製品をアメリカあるいはアメリカの影響下にある国からの輸出に依存せずに完成できるという体制を目指しているんだと思いますね。  だから、こういう質問しますわ。我が方に甚大な影響があると、供給網に関してですよ。コロナで一つ分かったことは、中国との行き来が途絶えると、もう製品ができなくなると。だから、サプライチェーンというのは目に見えないところでそういう形成をされていて、例えば日本と中国あるいはRCEPの国でそういうサプライチェーンが一つ形成されている。また、中国を除くRCEPあるいはTPP11とアメリカの間で日本がサプライチェーンを形成していると。だから、そのサプライチェーンをどう形成していくかというのがこれからの一番の問題になると思うんです。  アジアの一員という立場を堅持するならば、サプライチェーンはRCEPを中心にして形成し直すべきだろうということになるんだろうと思いますけれども、そうすると、アメリカの供給網、サプライチェーンからは外されてしまう可能性があると。そういうリスクに関しまして、大臣、どういうふうな御見解をお持ちでしょうか。
  226. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) サプライチェーンの概念、比較的新しくて、恐らく一九九〇年代までは例えば川上から川下へとか、そういうことは言われても、原材料から部品、製品、アフターサービスまで含めてグローバルな企業展開の中で、どこにどういう拠点を置くか、そして、拠点を置くだけではなくて、それをネットワークでどうつなぐかと、これがサプライチェーンの構築ということになってきまして、これ、一義的には企業の経営判断によるというところになるわけでありますけど、政府としては、我が国企業がより効率的で持続可能なサプライチェーンを構築することができる環境を整えるべく、TPP11に始まりまして、日EU・EPA、さらには日米貿易協定、日英EPA、RCEPなどを通じて、自由で公正な経済圏の拡大に今取り組んできたところであります。  それぞれの協定、違いありますが、基本的にはこういった自由で公正な経済圏をつくっていくということで、そういった、その何というか、基盤の下で、まさに、その何というか、企業がどのようなサプライチェーンを構築するか、またそれを多元化していくかと、すぐれて経営判断に属すものでありまして、グループAの国、グループBの国という形の分け方というよりは、まさに企業がそれぞれ作っている製品もあると思いますし、それぞれの経営判断の中で、当然、その何というか、供給が途絶えるリスクとか、様々なことを考えながら判断をしていくものだと思っております。
  227. 浅田均

    ○浅田均君 それは、サプライチェーンをどう構築していくかは企業の判断であって、一概にRCEPグループに入る、あるいはTPP11グループに入る、日米、あるいは日欧EPAに入る、それは企業側の判断であるというお答えだったと思います。  それでは、先に進めたいので、これ以下は、先般、大臣所信の中に書かれてあったことに対する質問です。七番目からですね。  QUADというのは、日米豪印というのは自由で開かれたインド太平洋というところと、それからまたインドネシアとの2プラス2とか今されておりますけれども、QUADとASEAN、あるいは欧州、中東、アフリカと具体的にどういうふうな連携協力を進めていくのか、具体的に何かお考えがおありだったら教えていただきたいんですが。
  228. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) QUADを始め、この自由で開かれたインド太平洋の実現のために考え方を共有する、こういった様々な国々との連携を進めていきたいと思っております。  その中にありまして、QUAD、初めて外相会談を行いましたのが私が外務大臣に就任しました二〇一九年九月、国連総会の際にそれを行いまして、昨年二回目、そして今年、オンラインでありましたけど三回目の外相会合を行いまして、さらには、それに引き続いて初めてのQUADの首脳会合、これを開くことになったわけであります。このインド太平洋地域において、価値観を共有しつつ様々な形で協力の中核になれるような国、これが日本であり、米国であり、豪州、インドと、こういう国になってくると思います。  また、ASEAN諸国、御案内のとおり、AOIPという独自の構想を発表しておりまして、この基本的な原則、FOIPとAOIPと共通する部分というのは極めて多いなと、こんなふうに考えているところであります。  昨年十一月には、菅総理、日・ASEAN首脳会談に出席しまして、ASEANが発出しましたこのAOIPと日本が推進する自由で開かれたインド太平洋と本質的な原則を共有していること、確認するとともに、AOIPに沿って具体的な協力案件進めることを確認をいたしました。  恐らく、例えば今でいいますと新型コロナ対策、ワクチンの供給の問題もあります。そして、やはりインフラの連結性の問題、様々な分野で協力というのは進んでいくと、こんなふうに考えているところであります。  私も、昨年来、欧州もそうですし、中東、アフリカ等々を回っておりますが、この自由で開かれたインド太平洋考え方、説明をしまして、多くの国から理解を得ているところでありますし、今年の一月にも、EUの外務理事会、日本外務大臣として初めて出席しまして、この自由で開かれたインド太平洋、これをテーマにしまして、非常に活発な、また前向きな議論が進んだと、こんなふうに考えております。
  229. 浅田均

    ○浅田均君 私も、前回の委員会で申し上げましたけれども、このQUADというのは高く評価しております。  それで、冒頭お話しさせていただきました外交三原則ですね、一番目に国連中心主義と言いつつ実は日米同盟しかなかったというところに、オーストラリアとそれからインドですよね、が入って、これは国連中心主義、多国間主義ということですから、基本的な価値観を共有する国々連携して問題に対応していくということで、QUADというのは非常に高く評価しております。また、その後、QUADでなしに、五つになるか六つになるか、広げていってほしいなというふうに思っております。  それで、これ、もう八番は質問先ほどしましたので、今、外交の基本的な方針に関しまして、あるいは現下の課題に関しましていろいろ質問させていただきましたけれども、それ以外で残っているところで、大臣所信の中でも言及されておりますし、私どもも問題意識を持っております点について何点か御質問させていただきたいと思いますが。  九番目の韓国の旧朝鮮半島出身労働者問題と慰安婦の問題ですね、これも所信の中に言及されているんですけれども、現状は、差し押さえられたとか現金化される、徴用工の問題でいいますと、差し押さえられたとか現金化される寸前のところまで来ている、そういう報道はされるんですけれども、その後どうなっているのか、現状を教えていただきたいと思います。
  230. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) お答えを申し上げます。  旧朝鮮半島出身労働者問題、慰安婦問題に関しまして、韓国による国際法違反があり、二国間合意が実施されておらず、日韓関係、かつてなく厳しい状況にあるというのは委員御案内のとおりでございます。  まず、旧朝鮮半島出身労働者問題に係る韓国大法院判決及び関連する司法手続につきましては、明確な国際法違反であり、是正措置をとるべきなのは韓国側であるということは言うまでもございません。この観点から、日本にとって受入れ可能な解決策を早期に示すよう強く求めておるというところでございます。  今、現金化の話がございましたけれども、差押え資産が現金化に至ることになれば日韓関係にとって極めて深刻な状況を招くということは明らかであって、絶対に避けなければならないという観点から、韓国側に対して強く日本側にとって受入れ可能な解決策を示すよう求めてきておるというところでございます。  慰安婦問題に関しましては、本年一月の慰安婦訴訟判決は、国際法及び日韓両国間の合意に明らかに反するものでございます。極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできません。日本といたしましては、韓国に対し、国家として自らの責任で直ちに国際法違反の状態を是正するために適切な措置を講じることを引き続き強く求めているというところでございます。この点につきましては、判決確定後直ちに発出した外務大臣談話においても明確にしておるというところでございます。  このように、日韓両国間の懸案の解決のためには韓国が責任を持って対応するという必要がございます。政府といたしましては、日韓関係を健全な関係に戻すためにも、外交当局間の意思疎通を維持しつつ、日本の一貫した立場に基づいて、引き続き韓国側に適切な対応を強く求めてまいりたいと考えております。
  231. 浅田均

    ○浅田均君 前段の徴用工ですね、朝鮮半島出身労働者問題に関しては、裁判所から通知が行って、で、受け取ったということにみなされて、それでその後の出方待ちということなんですけれども、こちらからは何かアクションを起こすとかいうことは考えていないんですか。
  232. 遠藤和也

    政府参考人(遠藤和也君) 差押え資産の現金化につきましては、先ほど申し上げましたとおり、絶対に避けなければならないというところでございます。  日本企業の正当な経済活動の保護の観点からも、引き続き関係企業と緊密に連携を取りつつ、あらゆる選択肢を視野に入れて毅然と対応してまいりたいと考えております。
  233. 浅田均

    ○浅田均君 国の役割は何ですかと聞いたら、国民の生命と財産を守ることですと常にこう答えられるんですけれども、その国民の財産が、財産権を侵害されるという、これすごく皆さん思っておられる以上に重要な問題ですので、この対応はしっかりお願いしたいと思います。  それでは、朝鮮半島に関してもう一つ重要なこの朝鮮半島の非核化というのは、まだ我が方は朝鮮半島の非核化という目標に、目標目指して歩んでいると思うんですけれども、膠着してしまっている、あるいは、トランプ大統領が韓国あるいは北朝鮮を訪問することによって、見かけ上ちょっと後退したか正常に戻ったかのような印象を与えたわけでありますけれども、また北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験をするとか、なかなか前に進んでいないような印象なんですけれども、この言わば膠着状態というか、逆に北朝鮮が態度を硬化させていると見られるような現状を打破する最初の一歩は何だとお考えでしょうか、外務大臣
  234. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、先般の北朝鮮によります弾道ミサイルの発射と、これは我が国地域の平和と安全を脅かすものでありまして、国連安保理決議違反でありまして、北朝鮮に対して直ちに厳重に抗議し、強く非難をしたところであります。  北朝鮮によります大量破壊兵器及び弾道ミサイルの廃棄をいかにして具体的に実現していくかについては、恐らくこれを実現するための全体のプロセス、これをやっぱり明確にすることが重要なんだと思っております。その上で、北朝鮮の具体的な行動を求めていくことが重要であると考えております。  様々な形で、これ米国との間でも議論をしておりますけど、この具体的な進め方と、まさに今後の対北朝鮮対応に関わってくる問題でありますので、詳細につきましては明らかにできないということは御理解いただきたいと思っております。  これからも、日米そして日米韓、三か国で緊密に連携しながら、この問題につきましては、今日の午前中の議論でもありましたが、中国であったりとかロシアを含む国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化、目指していきたいと思っております。  恐らく、米国におきまして北朝鮮政策のレビュー、これはある程度の期間といいますか、そんなに遠くなく終わるんではないかなと思っておりまして、また、そういったタイミングも見ながら、日米の外相間でもしっかり連携し、また対応について協議をしていきたいと考えております。
  235. 浅田均

    ○浅田均君 今の御答弁ですと、北朝鮮政策に関するアメリカのレビューが行われるということでありますが、私どもが心配しておりますのは、日米韓の連携と言いますけれども、日米はいいんですけれども、米韓も共同演習していますからいいんですけれども、日韓の関係ですよね。日韓の関係が、先ほど申し上げました徴用工のこととか慰安婦のことがあって、なかなか前へ進まないと。  こういう状況下で、日韓関係を何とかしていく必要があるんですけれども、この点に関しては、外務大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
  236. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 是非、旧朝鮮半島出身労働者問題と、こういう言葉を使っておりますので、御理解いただければと思っておりますけれど。  日韓、日米韓、やはり二つの、何というか、レベルといいますか、違いがありまして、対北朝鮮であったりとか、地域の平和、安定という意味では、日米韓の連携と、これ極めて重要な問題でありまして、ここにつきましては、先日、ブリンケン長官との間でも、また、日米2プラス2におきましても、三か国で連携していくと確認しておりますし、また、韓国においても、同じような形で日米韓の三か国連携というものを米側と確認をしているという形でありまして、いずれどこかのタイミングで日米韓そろってそれを再確認すると、こういった機会も出てくるんではないかなと、こんなふうに考えておりますが。  一方で、この日韓の問題、これは本当に残念なことなんですけれど、一方的に韓国の側から、国際約束、また、二国間の合意、これを破ってしまう、また、実行していないと、こういう現実があるわけでありまして、これにつきましては、韓国側にそういった措置を撤回すると、こういったことを今強く求めているところであります。  もちろん、この問題については、日韓で真摯に話をしていかなきゃならないと、日本の基本的な立場を踏まえながら外交当局間の意思疎通というのはきちっとやっていきたいと思いますが、この問題が日米韓の連携に影響することがあってはいけない。このことについては、例えば、二〇一九年の十一月だったと思いますけれど、GSOMIAが失効するというときも、最終的に韓国もそれは踏みとどまると、こういう判断もしたわけでありまして、その部分はきちんと切り分けてやっていくことが重要ではないかなと思っております。
  237. 浅田均

    ○浅田均君 もう何というか、国の存亡に関わるようなことですよね、今大臣がおっしゃったGSOMIAとか、そういうところは妥協するけど、あとはもう一切妥協しないというふうな印象を持っていますし、大臣も交渉されていた康京和さんも替わりましたですよね。だから、今の文在寅政権が替わらない限り前へ進まないんではないかという懸念を持っている国民が多いと思うんですけれども、いや、そうではありませんということでしょうか。
  238. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) なかなか韓国にとっても難しい問題なんだと思っております。  もちろん、今ある政権との間で様々な問題の解決に取り組むのが外交でありますから、それは今、文在寅政権との間で様々なことについて現状を是正するような措置、これは韓国側に求め続けていきたいと思います。
  239. 浅田均

    ○浅田均君 一番難題中の難題だと思います。この点につきましても、拉致の問題もありますんで、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  それでは、次、これカーボンニュートラルに関してですね、COP26をリードするために、このNDCと言われている数値の引上げが不可欠だと考えています。ナショナリー・ディターミンド・コントリビューション、二〇三〇年に二〇一三年レベルの二六%減ですか、これを達成するということをこの所信の中で書かれているんですけど、COP26をリードするためにはそういうその新たな提案が必要であると、これが不可欠です。  大臣、どういうふうな御見解でしょうか。
  240. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 気候問題、変動問題への対応、国際社会全体の喫緊の課題だと思っております。  日本は、二〇五〇年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを既に今宣言をしております。その上で、今注目されていますのは、浅田委員おっしゃるように、二〇三〇年の削減目標、NDCをどうしていくかということでありまして、完全に直線になるかどうかは別にしまして、全然三〇年と五〇年が屈折した線ということにもなかなかならないんだと、それでは何というか説得力がないんだと思っておりまして、総理から、本年十一月のCOP26に向けて野心的な目標を決定したい、こういう考えが示されているところであります。  今後、四月二十二日には気候変動サミットもあるわけでありまして、その後G7のサミットもあります。さらには、幾つかの一連の国際会議に向けて政府として対応方針検討する中で、削減目標、国際社会に示す時期も含めて決めていきたいと思っております。  いずれにしても、パリ協定が目指します脱炭素社会の実現のために我が国として引き続き国際社会リードしていきたいと、そんなふうに考えております。
  241. 浅田均

    ○浅田均君 これも先ほど来、茂木大臣、ゲームチェンジャーというところで、気候とかもゲームチェンジャーになり得るというお話でした。  確かに、氷河期って一万年間隔でやってきて、そういうタイムスパンで見ると、今はその第四間氷期で、次の氷河期が来るまでは暖かい時期であると、もっともっと遡ったら地球の極に氷がない時代もあったということですんでね。でも、今、こういう枠組みが決められて、それに合意して従っていこうという取決めがなされておりますので、それに向けて御努力をいただきたいと思います。  それでは、次、これも大事な問題だと思うんですけれど、さっき朝鮮半島の非核化というお話をさせていただきましたけれども、NPT、ノンプロリフェレーション・トリーティー、核非拡散条約維持強化ですね、に、これどう取り組むのかというのは非常に重要な問題で、核兵器禁止条約を横に置いておいて、今、僕らは、現実的には、NPT体制から北朝鮮なんか出たり入ったりしているし、イラクとか、あっ、イランとかですね、まあややこしい国があって、またパキスタンとか、実際、核保有しているけれどもNPTはどうなんだというふうな国もありますから、NPT体制を新たにするということで、政府がおっしゃっているように、核を持っている国と持っていない国の橋渡しをするという役割ができるのではないかと我が党は考えているんですけれども、このNPT体制の維持強化にどういうふうに取り組んでいくつもりなのか、大臣の御見解をお聞かせください。
  242. 本清耕造

    政府参考人(本清耕造君) お答え申し上げます。  核兵器不拡散条約、NPTは、国際的な核軍縮・不拡散体制の基礎でございまして、我が国はNPT体制の維持強化を重視しております。  現在、核軍縮の進め方をめぐる各国の立場は、委員指摘のとおり、残念ながら大きな違いが見られるというのが現状でございます。この中で、各国が共に取り組むことができる共通の基盤となり得る具体的措置を見出す努力を粘り強く続けていくことで、本年八月に開催が見込まれておりますNPT運用会議に向けた機運を高めていくということが重要であると考えております。  その観点から、具体的に幾つかのことを進めております。  第一に、我が国は一九九四年以降、毎年国連総会において核廃絶に向けた決議案を提出してきておりまして、昨年の決議案は、昨年十二月の本会議において核兵器国の米英を含む百五十か国の支持を得て採決されたところでございます。  第二に、核軍縮の実質的な進展のための賢人会議を開催しており、そのフォローアップ及び更なる発展を目的として、昨年の三月に、第一回会合に続き、核軍縮の実質的な進展のための一・五トラック会合を、第二回会合を本年三月九日に開催いたしました。  第三に、核軍縮の軍縮・不拡散イニシアチブ、NPDIと呼んでおりますけれども、これを通じまして外相共同声明の発出や、一層の核軍縮に向けた具体的な提案を盛り込みました作業文書の提出など、NPT運用検討プロセスに積極的に貢献してきております。  本年開催される見込みのNPT第十回の運用検討会議意義ある成果を収めるものとなるよう、引き続き国際的な議論をリードすべく積極的に貢献していく考えでございます。
  243. 浅田均

    ○浅田均君 何か、何点か再質問したいんですけれど、ほかの質問ができなくなってしまいますので、済みません、前へ進ませていただきます。  防衛大臣、お待たせしました。十六番の質問をさせていただきます。  これも、防衛大臣所信の中に、宇宙、サイバー、電磁波といった新領域で優位性を確保していくというふうにお書きになっているんですけれども、この宇宙、サイバー、電磁波といった新領域での優位性判断の基準は何とお考えでしょうか。
  244. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 今、まさに各国の軍隊がこの宇宙、サイバー、電磁波の新領域の利用を急拡大させています。その中で、しっかり我が国としても新たな領域における優位性を確保するということが大変重要でございます。  宇宙領域の優位性の確保について申しますと、部隊の通信、測位、情報収集などの能力を最大限発揮する上で死活的に重要となっている宇宙空間のより安定的な利用を確保することでございます。具体的には、SSAの強化や宇宙利用の抗堪性の強化を含む各種の施策によって能力強化に取り組んでいるところでございます。  サイバーについては、情報通信ネットワークに対するサイバー攻撃により自衛隊の組織的な活動に重大な支障が生じる事態を防止しつつ、情報通信ネットワークのより安定的な利用の確保という趣旨でございます。  具体的には、サイバー部隊の強化、サイバー人材の確保及び育成、システムネットワークの充実強化といった施策によってサイバー領域の能力の強化を目指しております。  また、電磁波領域の優位性の確保については、電磁波領域における妨害等に際しても、我が方がレーダーや通信といった電磁波の機能のより安定的な利用を確保するという趣旨であります。  具体的には、ネットワーク電子戦システムの取得や、電磁波領域に係る人材の確保、育成といった各種の施策によって電磁波領域の能力強化を図っていくということでございます。  いずれにいたしましても、防衛省としては、このような取組によって新たなこの領域における優位性を確保して、従来領域を含む全ての領域における領域横断作戦を実施しつつ、実施可能な、真に実効的な防衛力の構築を進めてまいりたいと考えております。
  245. 浅田均

    ○浅田均君 済みません。それでは、次の質問通告しています十九番に飛ばさせていただきます。  在日米軍基地への光熱水の供給元はという質問なんですが、これ、今回、重要土地取引に関する法案が出てまいりますけれども、私どもも、その重要土地取引規制法案というのを党が五年ぐらい前からずっと出させていただいていて、今回そのテーマに上がるのは非常に、やっと日の目を見たかという気がするんですけれども、これ考えますと、在日米軍基地へ電気とかガスとか、とりわけ水ですよね、これはどこから供給されているのかということは、押さえておくことは非常に重要だと思うんです。  そこで、こういう在日米軍基地日本幾つかありますけれども、そこへ電気、ガス、水、どこから供給しているのか、お尋ねいたします。
  246. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 在日米軍は、一般的に、電気は電気事業者、水道は各地方の自治体、そしてガス等の燃料は各事業者と米軍との間で直接契約をしております。これらの契約、これらの業者が供給していると承知をしております。
  247. 浅田均

    ○浅田均君 これ、法案を提案されている方々にお考えいただきたいんですけど、水道は各自治体、すなわち市町村ですよね、市町村と契約をしていると。だから、その市町村の水源の周りも非常に重要な土地であるというふうな結論に至ると思うんですけれども、その基地の周辺だけ、重要なところの周辺だけだと、こういうその何か、ライフラインといいますかね、ライフライン、電気とかガスとか水道を供給しているその一番源になるところがやられた場合どうなるのかということが一番問題になりますので、これにつきましてはまた改めて質問をしていきたいと思います。  もう時間がないんで、ODAのことについて最後質問させていただきたいと思います。  これ、大臣所信の中でもお書きになっていたと思うんですが、人間の安全保障ですね、人間の安全保障の危機である新型コロナウイルス感染症の克服、この途上国での感染拡大防止に取り組むとお書きになっているんですけれども、これはどういうふうに取り組まれるのか、取組を教えてください。
  248. 岡田恵子

    政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。  日本は、人間の安全保障への脅威である新型コロナウイルス感染症との世界的な闘いにおきまして、誰の健康も取り残さないという理念の下、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けて、国際社会と協力し、保健医療システムが脆弱な途上国に対して十五・四億ドルを超える対外支援を実施するなど、国際的な取組を迅速かつ積極的に主導してまいりました。  また、医療保健体制が脆弱な途上国におきまして、我が国は、ユニセフなどの国際機関に対する資金協力、資金拠出や、二国間の無償資金協力による医療機材の提供のほか、JICAによる技術協力など、かつてないスピードで実施してまいっております。  加えて、ワクチンへの公平なアクセスを確保すべくCOVAXファシリティーの形成を主導し、財政的にも貢献してまいりました。さらに、このような多国間枠組みを補完すべく、これまでの長年の経験を生かしまして、ワクチンを一人一人に届けるラストワンマイル支援をかつてないスピードで実施しております。  引き続き、現下の感染症危機を克服し、将来の健康危機への備えにも資する保健システムを強化し、より幅広い分野での健康安全保障を確立するための国際的な環境を整備することに取り組んでまいります。
  249. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今詳細に答弁あったところなんですけど、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、様々な取組をしてまいりましたけど、今回のコロナの世界的な感染拡大で浮き彫りになったこと、それはやっぱり途上国の医療保健体制が極めて脆弱であるということで、病院であったりとか機材、人材も含めた支援というのが必要である。それから、やっぱりワクチン、これが途上国においても公正なアクセスが確保されると、途上国に送ると、このことも重要でありまして、ここでは、COVAXファシリティー等の多国間の枠組み、日本主導しておりますが、その国に届いてから実際に接種を受けてもらう、その間のラストワンマイル、保冷の設備であったりとか運送手段、こういった提供も日本の強みとして進めていきたいと思っています。
  250. 浅田均

    ○浅田均君 最後の質問でありますが、今途上国の保健システム強化という御発言があったんですが、これ、JICAの北岡理事長がおっしゃっている世界保健医療イニシアティブというイニシアティブをJICAの方でされているんですけれども、これと同じようなもの、同じものであるというふうに理解していいんでしょうか。
  251. 岡田恵子

    政府参考人(岡田恵子君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたが、新型コロナを一日も早く収束させ、次なる危機にも備えるためには途上国の保健システムの強化が不可欠でございます。我が国は、これまで以上に機材の整備、人材育成などを通じまして各国の保健医療システム強化のための支援を実施しております。  JICAとしましても、こうした方針の下、途上国の感染症対応の中核となる都市の医療施設の整備、ネットワーク化や、感染症の検査、研究を担う人材の育成などを通じて保健医療システム強化のための支援を実施しているところでございます。
  252. 浅田均

    ○浅田均君 時間になりましたのでこれで終わらせていただきますけれども、今日の残余の質問はまた次回やらせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  253. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。  前回の委員会からゲームチェンジャーという言葉が飛び交っていまして、今日も横で浅田委員外務大臣のやり取りを興味深く聞かさせていただきました。  外務大臣は、ゲームチェンジャー、三層に分けて、技術的な要素、それから主体、あと環境と三つおっしゃいましたけど、僕はちょっとその二番目の主体、中国そのものをゲームチェンジャーというふうに定義して捉えるのはどうかなと。むしろ、中国はゲームチェンジを狙っている主体ですから、そしてその彼らがそれをどう実現するかということで手段としているのが技術であったり、例えば環境問題も、カーボンニュートラルを、言わばうまくこれを覇権奪取のために使おうとしているわけですよね。だから、ちょっと私自身は認識がそこは若干違うかもしれないので、これは後でまた議論させていただきます。  この今回の法案に絡んで、先般の予算の委嘱のときの積み残しの質問から防衛大臣にお伺いしたいんですが、衛星コンステレーションの活用に関する予算ということで、今回、全体として今年度の達成目標は何を目指しておられて、詳細を拝見すると、HGV、極超音速滑空兵器の探知・追尾システムの概念検討、一・七億円、画像解析用データ、小型衛星コンステレーションの画像を含む、の取得、百三十九億円と、こういうのが列挙されていたんですが、全体として達成目標は何で、今二つの例として申し上げたものはこれ一体何をやろうとしているのか、簡単に御答弁いただければ幸いです。
  254. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 衛星コンステレーションの導入についてでございますけれども、米国の計画への協力というものを決定しているわけではございませんが、米国との連携も念頭に置いて衛星コンステレーションを活用したHGVの探知・追尾システムの概念検討を実施をするために予算として一・七億円を計上しているところでございます。  この事業は、衛星コンステレーションによってHGVを宇宙から探知、追尾するために必要なシステム全体の構成について民間企業に検討を依頼して、その検討結果をまとめた報告書、これは二〇二二年中に提出をしていただくということでございます。  また、別の事業として、情報収集の一環として、多頻度での撮像が可能な衛星コンステレーション、小型衛星コンステレーションを含む各種の商業衛星等により撮影された画像衛星データを取得するために、二〇二一年度の予算に百三十九億円を計上しております。
  255. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 この今の質問に関連してなんですが、今日もこの間の北朝鮮のミサイルの件でやり取りがございましたけれども、大体四百五十キロ飛んだということで、これロフテッド軌道だったということでよろしいですか。
  256. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) これは、高度については百キロ以内ということでロフテッドではないと思いますけれども、更に今分析をしているところでございます。
  257. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 それは分かりました。  そうすると、今回はロフテッドじゃなかったからいいんですけれども、ロフテッドに対してどう対応するかというのは一昨年来随分議論になっていますが、今お伺いしたこの極超音速滑空兵器というのは、これは、そのロフテッドに対する対策が日本アメリカができちゃったときに、じゃ、それに代わるものとして、例えば中国なんかがDF17というのを開発しているわけですよね、ああいうものに対応するための手段だというふうに理解してよろしいですか。
  258. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) HGVについては、現在の技術ではまだ、低空を高速かつ変則的な軌道で飛翔してきますので、これを宇宙空間からであれば遅滞なく探知、追尾できる可能性があると、こういうことでございます。今の技術では米軍もなかなか追尾できる技術というものを持っていないと、こういうふうに承知をしております。
  259. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今なぜこういう質問をさせていただいているかというと、前回も、この予算の中にサイバーセキュリティ統括アドバイザーという項目が立っていて、これに〇・二億円、まあこういうアドバイザーを付けるのはいいんですが、〇・二億円というのはいかがなものかというふうに申し上げましたが、このコンステレーションに関する予算も、まあ日本が測位衛星を、アメリカや中国のような体制をつくれないということはもう明々白々なわけですから、じゃ、コンステレーションを使ってその代替インフラをつくろうという気持ちは分かるんですが、じゃ、その中で何をやろうとしているかということを予算書でどこまで明確に書くべきものなのかということです。書かれれば我々こうやって聞かなきゃいけないし、書いてしまえばもう、それはもう外に向かって全部しゃべっているわけでありますので、ちょっと世界の環境が激変しているという中で、十年前、二十年前と同じようなお作法で防衛の議論をしているということについての違和感を若干感じるということを申し上げておきます。  その上で、通告させていただいた最初の質問お伺いしますが、今回、ホスト・ネーション・サポートの予算についてでありますが、在日駐留米軍の人員数及び日本基地労働者数について、現状を御説明ください。
  260. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 在日米軍の軍人の数、人数については、様々な定義があるため一概にお答えすることは困難なんですが、一例として、先般、日米の2プラス2に先立って、アメリカの国務省が日本に駐留する米軍人が約五万五千人であるという旨発表していると承知をしております。その上で、米国から、国際社会における米軍に対する脅威によって、より厳しい考慮が必要であるとして懸念が示されて、二〇一四年以降、この情報の提供がなされていないところであります。  また、防衛省が雇用している在日米軍従業員数については、現在、二月末現在において二万五千九百一人であります。    〔委員長退席、理事三宅伸吾君着席〕
  261. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 今おっしゃった駐留米軍の人員約五万五千人というのは、これはいつ時点の数字ですか。
  262. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 失礼しました。これは2プラス2に先立って国務省が発表した数字なんですが、最新のものではあるんですけれども、ちょっと正確にいつ時点のものかというのが今把握できておりません。
  263. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 秘書官、サポートしていただいて全然構わないんですが。  私もこの在日米軍の人数、ずっと気になっていたんですが、たしか四、五年ぐらい前から最新のデータは米側からもらえないようになっているという説明を受けたんですが、そういう理解でいいかどうかということが一点と、そうであるとしたら、今おっしゃった五万五千人というのはいつ時点のことをおっしゃっているのかということです。
  264. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 確かに今、大塚委員のおっしゃったように、二〇一四年以降、情報の提供がなされていない状況であります。これは、米軍に対する脅威がある、より厳しい考慮が必要であるという懸念から細かい数字を発表していないということであります。  先ほどのこの五万五千人というのは国務省が発表した数字であって、その流れとはちょっとまた別のところで出てきた数字でありますが、現在のところ、唯一この数字だけが把握できているということでございます。    〔理事三宅伸吾君退席、委員長着席〕
  265. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 委員長にも認識を共有していただけると有り難いんですが、そういうことなんですよ。実は在日米軍の人員というのは二〇一四年から公開されていないんです。私も何度か防衛省に聞きましたが、それは防衛上の機微情報だということで、まあそれもやむを得ないなということでずっと今日まで来ているんですが、在日米軍数が分からない中でこのホスト・ネーション・サポートの予算の審議もせざるを得ないと、こういうことなんですね。  ちょっとそれを申し上げた上で、じゃ、今度は駐留米軍の土地占有面積のことをお伺いしますが、我が国における面積は幾ら占有していて、そのうち沖縄が何%ぐらいか。まあ沖縄の割合はあちこちでよく数字が出ますけれども、改めて確認させてください。
  266. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 面積でございますが、本年一月一日現在において在日米軍に提供している専用施設区域の土地面積は全国で約二百六十三平方キロメートルであります。また、全国のこの在日米軍専用施設区域の土地面積のうち、沖縄県に所在するものは約七〇%であります。
  267. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 つまり、何が機微情報でどこまでが公開できるのかという議論も、何かこう、これだけ環境が激変していると政府も閣僚の皆さんもおっしゃりながら、余りそこの整理が行われないまま防衛の議論が行われているなというのが私の印象なんですね。だから、米軍の占有面積なんていうものも、これもある意味、機微情報といえば機微情報かもしれませんよね。  中国が今のようになっていない時代の中で、よく国会でそういう議論がなされて今日まで来ています。  だけど、さっき浅田さんから土地取得規制の話が、法案の話が出ましたけど、この後、別の委員会で、この国会審議されますが、たしか米軍基地と同じぐらいの面積をもう主に中国を中心とした外国資本がもう持っちゃっていますよね、だから基地ではないですけれども。  つまり、冒頭伺った予算の件、それから今の駐留米軍の人員の件も含めて、これ、委員長、提案なんですけど、これだけ我が国を取り巻く環境が本当に変わってきたと私も思いますので、この委員会というのは、もしここで機微情報だから答えられないとか、あるいはそれは防衛の非常にセンシティブな話だから資料は提供できませんとかというものがあったとしても、ある一定のものについては、これ秘密会にしてでもいいですから、外防委員会委員に対しては一定の報告をするなり、一般の場ではこの議事録に残る形では答えられないけれども、やはり国会で外防委員会に所属する委員各位にはこれだけは報告しておくというようなものをやっぱり選別してですね、そういうやり取りをこの委員会でされたらどうかと思うんですね。  先ほどの在日米軍の駐留人員数は、これ確かに大っぴらにすると、それは戦略に関わる話なので、しからばこの平場では聞かないと。しかし、各国会一回だけはその機微情報をまとめて秘密会にして我々は報告を受けるとかですね。さっきの予算もそうです。コンステレーションの活用、予算まではいいけれども、そのディテールについては、それを聞きたいと、聞きたいけどこの場では答えられないというんだったら、それは秘密会として一回やりましょうと。ただし、聞いた我々も当然守秘義務は守らなければいけないと。  そういう委員会じゃないと本当の意味での防衛の議論ってできないような気がするなと思ってずっと参加をさせていただいているんですが、委員長において一度御検討いただきたいと思います。
  268. 長峯誠

    委員長長峯誠君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。
  269. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ありがとうございます。  そういうことを御提案申し上げざるを得ないのはなぜかといえば、まさしくゲームチェンジをしかかっているからなんですよね。日本はその真っただ中にいて、先ほど冒頭申し上げましたけれども、僕は、中国というか、国家はゲームチェンジを狙っているプレーヤーであって、巷間使われているゲームチェンジャーという言葉は、そのプレーヤーがどうやって自分たちに有利な状況をつくるかの手段として、例えば、前回であればLAWSの話が出ました。致死兵器、自律型致死兵器の話が出ました。様々なツールを使ってゲームチェンジを狙う、中国はそのプレーヤーであるというふうに思っております。  そういう観点外務大臣にお伺いをしたいんですが、最近、中国の公式文書に話語権という、漢字で書くと、話という字に、言語の語に、権利の権と書いて話語権という言葉が時々登場するようになったんですが、この言葉はいつ頃から中国の公文書や公式発言で使われるようになってきて、かつどのような意味でしょうか。
  270. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、ゲームチェンジャーについてですが、私、短く申し上げましたが、正確に言いますと大塚委員の認識と全く一緒でありまして、中国はこれまで確立されてきた国際秩序に対してゲームチェンジを意図しているということで、それに対して、適正な方向にそれが向かうように我々が結束して働きかけていくということが大切だと、こんなふうに考えているところであります。  その上で、話語権、フアユーチェンですね、フアユーチェン、これについては一九一〇年代から使われるようになった言葉でありまして、一般的に今、発言権だったりとか影響力といった意味だと解釈されていると理解していますが、単純な事実関係については参考人にお聞きいただければと思います。
  271. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 済みません、今日ちょっと参考人登録しておりませんので、もしよろしければ大臣からお答えをいただければ幸いです。
  272. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) じゃ、ちょっとここに資料がありますので。  二〇一六年三月に中国全人代で決定された第十三次五か年計画において、グローバル経済ガバナンスにおける中国の話語権を向上させる等の文脈で用いられていることがあります。それ以外、二〇一二年の十一月には、当時の胡錦濤国家主席、それが第十八回中国共産党大会において、国際事務における代表性と話語権を更に増強すると、こういうふうにも言っておりますし、二〇一六年二月には、習近平国家主席が国内の会議で、国家の文化、ソフトパワーを高め、国際的な話語権、フアユーチェン、これを強めるよう努力すると言及していると承知をいたしております。
  273. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 もし外務省の事務方の皆さんが、発言権のようなものだというようなレクチャーを大臣にされたとしたら、それは中国で使われている意味とはちょっと違うということをあえて申し上げますけれども。  経過は今大臣から御説明いただいたとおりなんですが、これ、公式文書として出始めたのは、私が調べた限りでは二〇一一年ぐらいからなんですよ。第十三次の五か年計画にも載っていますけれども、十四次にも載っていますが、十四次には話語権という言葉の上に更に三文字付いて、制度性話語権と付いているんです。制度は法律制度の制度ですね、性は性質の性ですが。  これ、どういうことかと申し上げると、胡錦濤主席のときに、胡錦濤さんは、ジョセフ・ナイさんの向こうを張って、中国もソフトパワーが大事だということを一生懸命主張されたんですね。そして、トウ小平さんの遺言と言われて、まあ最近よく報道される韜光養晦、有所作為というあの言葉がありますよね。ずうっとトウ小平さん以来約二十年間、中国の首脳はそれを踏襲してきたんですが、二〇〇九年の北京での外交団へのスピーチの際に、胡錦濤さんがそれぞれ二文字ずつ付け加えたんですよ、堅持韜光養晦、積極有所作為と。まあ中国語に詳しい方に聞くと、力を蓄えるということは引き続き堅持するけど、そろそろ積極的に打って出るぞという、こういうスピーチをされたそうであります。そこからがらっといろんなことが変わってきていますし、ちょうどそのタイミングというのはアメリカがTPPやろうと言い出したタイミングなんですね。  それから二年後に、胡錦濤さんが新しい言葉を使って考えを言わばバージョンアップしたのがこの話語権という言葉でありまして、どうもこの言葉は構造的覇権というようなことを意味しているというふうに中国語に詳しい方から聞かせていただきました。  さらにそれが、ここに至って制度性という言葉が頭に付いて、つまり単なる文化のソフトパワーじゃなくて、中国は経済が伸びてきている、そして国力の割には、国際社会においては話語権において劣位に置かれているという、こういう説明をあちこちでしているんですよ。  で、その話語権というのは何かというと、単に発言権という意味じゃなくて、国際機関における例えば人事であったり、国際機関における発言力、あるいは西側の、まあIMFや世銀に代表されるような、こういう国際金融構造がそもそもアメリカに有利にできていると、西側に。だから、それを、言わばゲームチェンジを狙うプレーヤーとしては中国の話語権の強化が必要だという文脈でずうっと使ってきているんです。で、その使い方がだんだん、まあ何というか、エスカレートというか強くなってきているんですね。それが今現在の状況を生み出している中国側の認識の背景にあるんですと私は理解しています。  ここまで私の認識を話させていただきましたが、聞いていただいた上で、外務大臣の感想なり、外務大臣としての何か御所見を伺えれば幸いです。
  274. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、使われ出した時代認識について、私も冒頭、二〇一〇年代からということで、委員二〇一一年とおっしゃったと、そこにそごはないと思っております。  それから、私が使ったのは発言権、影響力という言葉を使ったわけでありまして、外務大臣としてふさわしい言葉遣いをさせていただいたと。委員がおっしゃる、また、委員のお知り合いの中国の専門家の方が行動的覇権という言葉をお使いになったということについてはよく理解いたしました。
  275. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 いや、つまり、韜光養晦の話も、一九九〇年代終わり頃、ちょうど日本が金融機関の破綻で不良債権処理で右往左往していた時代ですね。それから、二〇〇〇年代に入って、中国がWTOに入ってきた二〇〇一年の頃とか、中国国内では韜光養晦という言葉が飛び交っていましたけれども、日本のメディアや外務省の皆さんからそういう説明を伺う機会は余りなかったんですよ。  今回のこの話語権という言葉も、中国専門家や中国の中においては、いや、主席からこういうお言葉が出たんだということでギアチェンジをされているんですけれども、果たして日本の国内、外務省のみならず国会でも、そういう状況変化が共有されているかというと、必ずしもそうではないんじゃないかという感じがしておりますので、今日あえて取り上げさせていただきました。  その上で、そういう環境変化があるからこそ、この外防委員会における議論も予算の取扱方も、そして在日米軍に関する機微情報についてもやっぱり工夫をしなきゃいけないし、それから、これは羽田新ルートのことでずっと申し上げていますが、在日米軍に対する国民感情も考えながら運営をしていかないと、いざというときにやはり決していい方向に行かない。  というのは、先日、ある大手新聞の記事を見てちょっとびっくりしましたけれども、米中対立がこれだけ先鋭化してきている中で、もちろん両国とも平和裏な展開を目指してくれると思いますよ、努力はしてくれると思います。さりながら、一般的には、先鋭化している中において、安保はアメリカ、経済は中国などと虫のいいことを言っていると、いずれどちらに付くのかと問われたときに、日本は両国から踏み絵を踏まされるという、こういう記事なんですね。大手新聞です、どことは言いません。その問題設定自体が不思議だなと思って。  羽田新ルートの話も、お分かりのとおり、横田空域があって、首都圏を米軍の管制下に置かれている国が選択の余地はないんですよ。だから、その大手新聞が、踏み絵を迫られたときに中国かアメリカかというので困るという、こういう論調を書いていること自体がちょっとびっくりするなということで。でも、一般国民の皆さんはそういう新聞を読んじゃうんですよ。  だから、何を申し上げたいかというと、羽田新ルートの話にしても駐留米軍の話にしても、やっぱり国民の皆さんには話せるところまではもう正確にきちっとした情報をお伝えする、ただし機微情報についてはこれは的確に扱うということを、ちょっと今までのやり方とは変えて工夫していかないと、はたと気が付くと大きな混乱になってしまうという懸念を感じています。  だから、羽田新ルート、こだわるわけじゃありませんが、羽田新ルートは、北から入ってくるルートは米軍の空域の問題があるので申し訳ありませんと、三・四五度で入りますとかという説明をすればいいのに、それをはっきり言わないからややこしいことになるし、今日、白さんが再度御質問になられたスカイツリーのところも、米軍のヘリが飛んでいましたまではやっぱりはっきり言った方がいいと思うんですよ。米軍のヘリが飛んでいたことは確認しました、ただ、航空法に違反していたかどうかも含めて、そういうことについては事実確認をいたしますと、これなら分かるんですよ。  何かちょっと言葉が的確じゃないかもしれませんが、子供だましのような説明政府国民に対してしていると、いざというときに国民の駐留米軍に対する感情まで意図せざる方向に持っていってしまうというリスクを感じています。  ここまで意見を申し上げましたが、防衛大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  276. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 私も地元岩国基地を抱えております。そこで米軍人が、約岩国市の一割に相当する米国人がいるわけですけれども、比較的、岩国においてはその住民感情とうまくマッチしているといいますか、米軍の皆さんも溶け込んでいる部分は実際にあります。それは、一つは米軍の努力がかなりあると思いますね。それから、市、市側の努力というのもあります。  いずれにしましても、米軍に対する理解がどれだけ進むかということによって米軍の運用自体もスムーズにいくかどうかということまでつながってきていると、こういうところは実感として持っておるところでございます。そういう意味で、米軍に対しても、常に地元に対する配慮、社会に対して適切な考慮が払われるべきだと、こういうことは常に申し上げているところでございます。  そのことに対しての理解を得るべく努めているというところでございまして、またその上で、委員おっしゃるようないろいろな事実について、オープンにできるところはしっかりオープンにしていくと、透明性を持たせていくということが何より理解を、相互理解を深めていく上では重要なんではないかなというふうに思います。
  277. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 防衛大臣から大変的確な御感想を述べていただけたと思いますので、是非そういう方向で、日本国会やジャーナリズムも交えた防衛論議というのを少し工夫をしていかないと、再三申し上げますが、これだけ世界が変わっているといって、政府もしゃべり、閣僚もしゃべり、しかし横田空域やこの米軍の訓練の話になると、誰しもがまあこうだろうと分かるような話まで全部事実と異なる説明をされると、一体何十年前の感覚で議論しているんだろうという印象を受けてしまうということを繰り返し申し上げた上で、続きの質問をさせていただきますが。  そういう文脈、そういう文脈というのは、残念ながら日本、残念ながらと言うとちょっと語弊があります。取り消します、今のは。日本は七十数年前に敗戦して、米国が戦勝国、そして日本は敗戦国で、いまだに国連に敵国条項が残っていると、国連憲章に。そういう中において、駐留米軍がいて、首都圏を取り囲むように米軍基地があって、そして航空管制権は米空軍が持っているという中にあって、選択の余地がないわけですね。これは、先人たちがそういう選択をされたので我々はそれを引き継いで、そして今この環境にどう向き合っていくかということを議論せざるを得ないんですけれども。  さて、その中で、ミャンマーやウイグルの問題が国外で起きています。これも他の委員も御質問されましたが、現時点までで日本がミャンマー問題、ウイグル問題に関して対外的に発したメッセージ及び行動について、外務大臣にお伺いします。
  278. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 外務大臣談話につきましては、二月一日、クーデターが発生した当日、そして今月の二十七日ですね、大規模な何というか発砲によりまして最多の死傷者が出た翌日に私の外務大臣談話を発出しております。また、G7におきましても二度にわたりまして懸念を表明する共同声明、これを発出いたしております。
  279. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 ミャンマーについては、先ほども話が出ました山崎統合幕僚長も名を連ねた十二か国の声明を出したということで、一歩踏み込んだなという気はしますが、ウイグルについては、欧米とその制裁措置について日本は足並みをそろえるかそろえないか、この辺は大臣はどういうお考えでいらっしゃいますか。
  280. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、新疆ウイグル自治区の人権状況について、我が国としても、国際社会における普遍的な価値である自由、基本的人権の尊重、さらには法の支配が中国においても保障されることが重要だと考えておりまして、こういった立場については中国政府にも直接伝達しておりますし、また、国際場裏におきましても、昨年十月には国連総会第三委員会におきまして、香港、新疆ウイグルに関する共同ステートメントにアジアから唯一参加したのは日本であります。そして、そこで新疆の人権状況に関する深刻な懸念を表明いたしました。また、今年に入りまして、二月二十三日、人権理事会におきまして私からも深刻な懸念を表明して、中国に対して具体的な行動を強く求めたところであります。  二点申し上げたいんですけれど、地政学的な位置関係とかいろんなことを考えて、今申し上げたように、新疆ウイグル、香港問題についても一番アジアで明確な立場を示しているのは日本であります、これは間違いなく。それはアメリカからもヨーロッパからも高く評価をされていると、これは間違いありません。  もう一点ですけれど、よく、先ほど経済と安全、安保のどちらを取るかと、こういう全く二者選択ではないんですね、こういう問題についても。経済の中でもいろんな問題ありますし、安全保障というか、それもそうであると思っておりまして、基本的に、日本としては、経済の全てとは言いませんが、中国とも安定した関係を持ちながら、一方で基本的な価値観の部分については絶対に譲ることはないと。  もし、こちらの経済であったりとか気候変動で協力が必要な部分、これは協力しつつも、だからといってその協力のために基本的な価値観について譲るところはないという考えを持っているんですけれど、制裁と、それから様々な声明であったり強い発信、メッセージと、これも完全に全てが制裁、北朝鮮のような安保理決議に基づきます全ての制裁ということは別ですけれど、今やっている制裁、例えば、仮に、日本はミャンマーに対する最大の経済援助国であります、その日本が今経済援助に対してどういう立場を取っておるかと。新規の案件ありませんと、こういう明確な立場を取っているわけでありますね。  どちらが、じゃ、ミャンマーに対して本当に効くかということを考えたら、そこは多分、判断というか、明確なんじゃないかなと思っておりまして、ここで制裁がいいんだとか勇ましいんだとやって、制裁じゃないものは勇ましくない、こういう二律的な私は議論というのはちょっと国際社会の常識から外れていると思っています。
  281. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 私は別に二律的なことを求めているわけではありません。欧米の制裁に対して日本はどういうスタンスで臨むのかということをお伺いしていまして、安保と経済がトレードオフだとも言えない部分も多々ありますので、大臣と大体認識は共有しています。  ただ、ここで、二〇一四年のクリミア併合とか二〇一八年のスクリパリの事件のことをちょっと思い出してほしいんですけれども、大臣外務大臣に御就任されたのはその後ですから、省内で説明を受けられた範囲内ないしは御存じの範囲内で結構なんですが、クリミア併合のときには欧米の動きになぜ日本は追随しなかったのか。スクリパリの毒殺未遂事件のときには、欧米は外交官をロシアから百五十人ぐらい退去させたのに、日本は一切しなかった。これは、もちろん中国とロシアは違いますよ。違うけれども、その日本の行動に対して、ちょうどその時期、特にクリミア併合のときなんかは、安倍前総理がプーチンさんと大変蜜月関係をアピールしていて、国際社会からすると、こんなときに何やっているんだという声も結構、私自身も直接言われたことがありますし、そういうことがありました。スクリパリのときも似たようなことがありました。あのときはどうして欧米と、まあ完全に同調する必要はないけれども、日本は対応を変えたのかというのは、どういうふうに引き継がれていますか。
  282. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 一つ一つのことについて、こういった、何というか、何の通告もなしでやっていただいても私は全く構わないんですけれど。  例えば、ウクライナの問題のときは、日本はG7としての制裁と、ちょうどあの頃も日ロの平和条約交渉をどう進めるかという大変な重要な時期でありましたけれど、共同歩調を取らせてもらうと、こういったこともやっているわけであります。その場面場面によってそれぞれの国が取る行動というのは必ずしも一致しない。G7でなくてファイブアイズでやるときもあります。いろんなあれによって違ってくると。  そういう状況の中で、我が国として取っている一貫した立場、また、国際社会であったりとかG7との連携、こういったものを大事にしながら一つ一つの判断というのはしてきているつもりであります。
  283. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 大臣、決して困らせるつもりでやっているつもりは全くありませんのでね。  ただ、せっかく大臣に貴重な時間を割いて国会に出てきていただいているわけですから、国会でのやり取りが多少なりとも参考になったり、その先の省をコントロールする上での何か役に立てれば僕はそれは有り難いことだと思うし、多分他の委員の皆さんも同様にお考えではないかと思うので、そこは官僚の皆さんがいろいろ準備してくださったものから議論が派生していくのは、それはやむを得ないというふうに受け止めていただいた方がいいと思います。  したがって、さっきの話語権の話もそうなんですよ。もうあんまり繰り返しませんけれども、韜光養晦も、大分もう事がはっきりしてきてからそういう話がだんだん巷間語られるようになったけれども、この話語権の話もちょっともう既に相当日本の現状認識は甘いんじゃないかなと思うので、今日あえて質問させていただいているわけであります。  大臣が、ウクライナ、クリミアの問題、そしてスクリパリのこと、もちろん急にお伺いしたので詳しく御存じないのはいいんですが、前大臣が、前大臣、去年の夏、去年、おととしかな、ファイブアイズに簡単に入れるから、椅子を持っていって入れてもらえばいいんだみたいな発言をされましたね、あの河野大臣ですよ。そんな簡単なものじゃないと私は思っていまして、ファイブアイズは当然みんな言語も一緒だし、まさしく価値観を共有しているんですよ。  だから、クリミアの問題とかスクリパリのときに日本が取ったような行動をやっていたら、それは表向きは、もちろんファイブアイズとの、日本とファイブアイズ、あるいは日韓仏とか、そういうのが形成されているというのは報道とかで知っていますけれども、それはやってくれますけれども、本音のところで本当に機微に触れる外交安保情報を共有できるかというと、その価値観に関わるようなところで共同歩調を取らなければ、それは決して同じ気持ちでは対応できないんじゃないかというふうに私は思います。私の大変数少ないそういう世界の人たちからも、いや、そこは日本はちょっと気を付けた方がいいよというふうに言われているということはお伝えをしておきたいと思います。  その上で、もうあと最後になりますので、スエズ運河の事故のこともお伺いしようと思っていましたが、昨晩無事に動きましたので良かったと思いますけれども、去年のモーリシャスの座礁原油流出事故、あれも日本、あれは日本船籍でしたかね、今回は日本所有で台湾船籍だと思いますが、日本の関わるような国際的な事故にどう対応するのかというのは、日本外交力やレピュテーションに関わると思いますので、今後もこういうことが起きたときにどう対応するのかということをお伺いして、最後にしたいと思います。
  284. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) まず、大塚委員の大変率直な、またすばらしい見識に基づきます御意見については参考にさせていただきたいと思います。  その上で、例えば韜光養晦の話ありましたが、一九八〇年代、トウ小平の下で改革・開放を進めたときに、あの沼地の深センが本当にこんな町になるかというのはほとんど中国の国内にいても想像できなかった、それがこの四十年で変わってきたということであります。そこの中で様々な動きが加速しているのは間違いないということで、外務省としてもできる限りアンテナを高くして様々な情報を入手をしながら分析も進めていきたいと思っております。  一つ一つの言葉に対する解釈というのは当然あると思いますが、そういった認識を持ちながら外務省の職員それぞれの持ち場で働いていると思いますし、決して私は外務大臣として外務省の職員をコントロールしようと思っていません。しかし、今、私の下で一致結束して様々な国際的な課題に対応し、間違いなく日本プレゼンスというのは高まってきていると、このように感じております。  その上で、三月二十三日にスエズ運河で座礁しましたエバーギブン、これは船主が手配しました大型のタグボート等によりまして、牽引作業によりまして現地時間の昨日に離礁いたしまして、運河の運航を再開をされたわけであります。  この間もスエズ運河庁を始めとするエジプト政府とも緊密に連絡を取りまして、在エジプト大使館を通じて情報収集を行ってきました。恐らく今後、賠償の問題であったりとか様々な問題が浮上するかもしれません。そういったことについても丁寧に相談に乗りながら、また協力できることはやっていきたいと思いますし、やっぱり現場にいると、そして直接向こうの政府であったりとか関係先と連絡を取れると、例えば現地の言葉も話せたりそういうコミュニケーションが取れる、これも外務省の強みだと思っていますので、そういった面も含めてしっかり協力をしていきたいと思っています。
  285. 大塚耕平

    ○大塚耕平君 終わります。
  286. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  通告よりもテーマの順番を入れ替えまして、先に米軍ヘリの低空飛行問題についてお聞きいたします。  毎日新聞が首都東京での米軍ヘリの低空飛行を連続報道いたしました。写真とともに動画も公開されております。衆議院の答弁見ておりますと、両大臣とも動画を見ておられるようであります。米軍ヘリがこの都心のビルの上をかすめるように飛んだり、スカイツリーの展望デッキ周辺を八の字を描くように飛行するなど、事故があれば大惨事になる、非常に衝撃的な映像でもありました。毎日新聞は、昨年七月以降、航空法の最低安全高度以下での飛行を十二回、その疑いがある飛行を五回、計十七回確認したとしております。  岸大臣は、三月二日に我が党の宮本衆議院議員質問に米側に確認中というふうに答弁をされました。今日の午前中も同じような答弁があったんですが、先ほど大塚委員からありましたように、例えばその日に米軍機が飛行したのは間違いないけれども高度については確認中であるとか、一体どこまで確認をできているのか、まずお示しいただきたいと思います。
  287. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 御指摘米軍の飛行については、在日米軍のハイレベルを含め、引き続き様々なやり取りを今行っているところでございます。  現時点で米軍、米側からは、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に違反する飛行があったとは確認されていない、報道されている飛行から時間がたっていることもあり、詳細な事実関係の確認が容易ではない、もちろん飛行に当たっての安全確保は最優先事項である、米軍の飛行はICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われている、各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示したとの説明を受けています。  防衛省としては、引き続き米側に対して、安全面に最大限配慮し、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう強く求めていくとともに、飛行に当たっての安全確保は最優先の課題として日米で協力して取り組んでまいりたいと考えています。
  288. 井上哲士

    ○井上哲士君 結局、事実関係よく分からないんですね。報道では、今年の一月五日の飛行もあるんですね。時間がたっているので詳細な事実が確認は容易ではないということ、全く通用しないと思います。  国土交通省来ていただいておりますが、国土交通大臣が衆議院で、この飛行があったとする日付どおりに米軍機の飛行計画が通報されていると、アメリカ側からと答弁されておりますが、その中身を確認をしたいと思います。
  289. 海谷厚志

    政府参考人(海谷厚志君) お答え申し上げます。  米軍機につきましては、航空法第九十七条及び日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律に基づきまして、飛行する場合には国土交通大臣に対しまして飛行計画の通報が必要となります。  そのうち、自衛隊飛行場から出発する航空機につきましては、航空法第百三十七条に基づきまして、飛行計画の受理等の国土交通大臣の権限が、これは防衛大臣に委任されてございます。そのため、米軍機が自衛隊飛行場から飛行する場合には、防衛大臣に対して飛行計画の通報が必要となります。  これまで、新聞紙上、新聞記事におきまして、都心上空を米軍機が飛行していたとされる日のうち、直近三か月分までを国土交通省及び防衛省の両者におきまして確認いたしました結果、これらの報道にあった全ての日において都心上空を飛行した可能性のある米軍機の飛行計画が米軍から通報されていたことが確認できております。  この旨、三月十九日、国土交通大臣から御答弁申し上げたところでございます。
  290. 井上哲士

    ○井上哲士君 報道された日付と同じ日に飛行する旨が米軍からちゃんと通報されているということなんですね。当然、米軍側には運航記録も残されているはずなわけです。ですから、分からないはずがないと私思うんですね。  その上で、そもそも航空法のこの最低高度が定めてある趣旨、そしてその概要、それからヘリが適用になるのかどうか、国土交通省、お願いします。
  291. 海谷厚志

    政府参考人(海谷厚志君) お答え申し上げます。  航空法第八十一条の規定に基づきまして、航空機は、離陸又は着陸を行う場合等を除きまして、一定以下の高度で飛行してはならないこととされております。この規制は、仮に飛行中の航空機に不具合が発生した場合でありましても、地上の人や物件等に危険を及ぼすことなく不時着等の措置がとれるような余裕を飛行高度において求めているものでございます。  具体的には、有視界飛行方式の場合には、人又は家屋の密集している地域の上空では、当該航空機から水平距離六百メートルの範囲内にある最も高い障害物の上端から三百メートルの高度以下で飛行してはならないと、そういった規定などが設けられてございます。また、この規定は、航空法又は特別法上適用が除外されていない場合には回転翼航空機、いわゆるヘリコプターに適用されます。  なお、米軍に対しては、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律によりまして、この航空法第八十一条の最低安全高度の規制は適用除外となっているところでございます。
  292. 井上哲士

    ○井上哲士君 過去、私質問した際に、元々戦闘機などが三百メーターで飛行することは想定していなくて、取材とか遊覧飛行を行うヘリコプターなどが低空飛行を行うときの安全性の確保を主な目的としているという答弁がありましたけど、そういうことで間違いないですね。
  293. 海谷厚志

    政府参考人(海谷厚志君) これは平成二十二年の当時の国土交通省の前田参考人の答弁であったと承知しておりますけれども、この答弁は、通常、計器飛行方式で飛行する航空会社の航空機が最低安全高度付近を飛行することは離着陸する場合を除いて想定しにくいと、そういうことから、最低安全高度の規制は、取材や遊覧飛行を行うヘリコプターですとか小型機ですとか、そういうものの飛行の安全の確保に関する場合が多い旨を答弁したものと、そういうふうに理解してございます。
  294. 井上哲士

    ○井上哲士君 ですから、戦闘機が地上三百メーター以下を飛ぶというのは本当にあってはならないことでありまして、むしろこれは、ヘリなどがそういう取材飛行をするときでも、これ以下は飛んではならないというものなんですね。ですから、ヘリが対象外だなんておおよそ話にならないことなわけでありますが。  外務大臣は、この間、米軍は各部隊に米軍の規則に沿った飛行を徹底するよう改めて指示しているという答弁防衛大臣もありました。ところが、重大なのは、アメリカ側が毎日新聞に対して、低空飛行訓練についての九九年の日米合意について、ヘリは含まれないと文書で回答したとされております。ですから、規則は徹底していると、部隊にといっても、その規則の中身が日米で食い違っているということであれば、この問題の解決はないんですよ。  一方、外務大臣は、九九年合意に、航空機の定義はないが、飛行において例外はないとも答弁をされています。飛行において例外がないということは、当然ヘリも含むということになるわけでありますが、ここに日米間の重大なそごがあるわけです。ですから、ハイレベルも含めたやり取りの中でこのヘリは例外ではないんだということを明確に伝えて解決することが必要だと思いますが、どのようにされるんでしょうか。
  295. 市川恵一

    政府参考人市川恵一君) お答え申し上げます。  本件につきましては米側とは様々なやり取りを行っておりますが、今般、米側からは改めて、飛行に当たっての安全確保は最優先であり、従来から米軍の飛行はICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われているとの説明を受けております。また、先ほど委員も御紹介されておりましたが、各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示が出されていると、こういった旨の説明も受けてございます。  我が国における米軍の運用に際しては、安全性が最大限確保されることは当然のことと考えておりまして、茂木外務大臣からも、シュナイダー在日米軍司令官、あるいはデービッドソン・インド太平洋軍司令官、さらには先般訪日したブリンケン国務長官など、まさに米側の最高レベルに対して累次にわたり申し入れてきております。  引き続き、飛行に当たっての安全確保は最優先課題であって、日米で協力して取り組んでまいりたいと思っております。  以上です。
  296. 井上哲士

    ○井上哲士君 安全配慮をするべきだと言って誰も反対しないと思うんですね。アメリカ側も、そんなことしませんなんて言うはずがないと思うんですよ。だから、そのときの基準でルールが一致しているのかと。幾ら規則を徹底するといっても、アメリカ側は毎日新聞に、ヘリは含まれないと、九九年合意に、文書で出していると報道されているんですね。この認識をアメリカ側にただしてこれをきちっとしないと、これ問題解決しないと思うんですね。  アメリカ側にこういう毎日新聞に文書で示したということは確認されているんでしょうか、やり取りの中で。
  297. 市川恵一

    政府参考人市川恵一君) 米側とは、先ほど申し上げましたとおり、様々なやり取りを行っております。その逐一をつまびらかにすることは差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、米側からは、ICAOのルールあるいは日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われる米軍の飛行に例外があるとは承知していないという、米側の説明に基づけばですね、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われる米軍の飛行に例外があるとは承知しておりません。
  298. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本側は例外がないと承知しているんでしょうけれども、アメリカ側も同じ認識なんですかと、違うんじゃないですかと、だったらその食い違いをたださなくちゃいけないでしょうということを聞いているんですから、ちゃんと答えてください。
  299. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 米側の認識につきましては、今、市川局長の方から答弁があったような説明を受けております。当事者であります米側からそういった説明を受けていると。マスコミの取材、どういう取材をされたのか、どんなやり取りがあったかについては承知はいたしておりません。
  300. 井上哲士

    ○井上哲士君 これ、個々の取材、口頭ではなくて文書で出したって毎日新聞書いているんですね。それをきちっと私は確かめていただいて、安全の確保ということは誰もが必要だと思っているわけですから、そこのそごがないようにするということが今必要だと思うんです。  それで、九九年の日米合意が、米軍機は日本の航空法の適用除外とした上で、日本中どこでも低空飛行訓練を可能にしております。日本の航空法の遵守というのはあくまでもアメリカ側の判断になっていると、そういうものでありますが、この合意の下で、この間、私も質問していますように、全国各地で低空飛行訓練の被害が広がっております。合意の実効性が問われていると思うんですね。さらに、今回はヘリは適用外だというアメリカ側の姿勢も明らかになりました。  当時、どういうやり取りがあったのかと、この問題について、私はしっかりした検証が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
  301. 市川恵一

    政府参考人市川恵一君) 当時から本件につきましては、低空飛行訓練等につきましては米側とは様々なやり取りを行っておりますが、米側からは今般改めて、飛行に当たっての安全確保は最優先でありまして、従来から、米軍の飛行はICAOルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われているとの説明を受けております。また、各部隊には米側の、米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示した旨の説明も受けております。  繰り返しで恐縮でございますが、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われる米軍の飛行に例外があるとは承知しておりません。当時の交渉、協議の経緯を検証する必要があるとは考えておりません。
  302. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本は例外ないと言っていても、アメリカ側は含まれないと言っているから私は言っているんであって、当時、このヘリの扱いということが議論になったのか、なっていないのか、そこはやっぱり明らかにしていただきたいと思うんですね。  当時の日米間の協議の議事録の提出を委員会に求めたいと思います。委員長、お取り計らいお願いします。
  303. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 後刻理事会にて協議いたします。
  304. 井上哲士

    ○井上哲士君 毎日の記事では、米軍は、一月五日には米海軍ヘリのシーホークが渋谷駅や六本木ヒルズ周辺を低空で旋回して、六本木の米軍ヘリポートに着陸して、僅か数十秒後に離陸する様子が書かれております。離着陸を五回繰り返したこともあって、離着陸時に乗降者もいないと、ですから要人輸送じゃないと、これはタッチ・アンド・ゴーの訓練ではないかと指摘をしております。  それから、昨年八月二十七日、神奈川方面からシーホーク二機が東京スカイツリーを中心に八の字を描くような飛行をしながら急旋回を繰り返す格好で、展望デッキ付近を六回通過したと。これは、海上で敵の潜水艦を探すための訓練か、上空で待機するための訓練ではないかという専門家の指摘もされております。  都心上空で米軍がいわゆる要人輸送ではなくて訓練をしているということは、政府としては掌握しているんでしょうか。確認されているんでしょうか。まずそのことをお聞きします。
  305. 市川恵一

    政府参考人市川恵一君) 米軍の飛行訓練、これは、パイロットの技能の維持あるいは向上を図る上で必要不可欠な要素であるということで、日米安保条約安全保障条約目的達成のために極めて重要であるというふうに考えております。  ただし、これは都心であろうとなかろうと米軍は全く自由に飛行を行ってよいというわけではないのは当然でございまして、米軍の運用に際しては、公共の安全に妥当な考慮を払い、安全性が最大限確保されるべきということは言うまでもございません。  以上でございます。
  306. 井上哲士

    ○井上哲士君 安全性の確保とか最低安全高度以下で飛んではならない、これは当たり前だと思うんですよ。しかしですね、しかし、一国の首都であって、世界有数の密集地域の上空を、他国の軍隊が仮に最低高度を守ったとしても訓練で使うということがあっていいのかと。それ、許容しているんですか、日本政府としては。
  307. 市川恵一

    政府参考人市川恵一君) 繰り返しになります。繰り返しで恐縮でございますけれども、都心であろうとなかろうと、米軍の飛行訓練というのは、パイロットの技能維持向上を図る上で必要不可欠な要素であって、安保条約目的達成のために極めて重要だということは考えておりますが、繰り返しになりますけれども、米軍の運用に際しては、公共の安全、妥当な考慮を払い、安全性が最大限確保されるべきことは言うまでもございませんし、米側に対しては、その点最大限配慮するよう、住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう強く今後とも求めていきますし、飛行に当たっての安全確保は最優先の課題として日米で認識が一致しているところでございます。
  308. 井上哲士

    ○井上哲士君 一般論じゃないんですよ。繰り返しますけれども、一国の首都の上空です。そして世界有数の人口密集地ですよ。いろんな安全配慮したって事故は起きるときは起きるんです。だから、少なくとも首都上空での米軍の訓練はやるべきでないということは、僕はそれはもう独立国として明確に言うべきだと思いますよ。外務大臣、いかがですか。
  309. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 今の議論を聞いていますと、要人輸送ではなくてタッチ・アンド・ゴーではないかということなんですけど、恐らくそれも必ずしも明確にタッチ・アンド・ゴーであるということが証明をされているということでもないんだと思います。  ただ、その上で、この飛行訓練も含めて、安全の確保というのは万全を期さなければいけないと思っておりまして、私もやっぱり、私が要請するからには、きちんとその、何というか、ハイレベルの要請をしなけりゃいけないということで、シュナイダー在日米軍の司令官、デービッドソン・インド太平洋軍司令官、さらには先日も、ブリンケン長官にもオースティン長官にもしっかり申し上げて、そういったことを徹底するように要請をしたところであります。
  310. 井上哲士

    ○井上哲士君 確かにタッチ・アンド・ゴーかどうかというのは分かりません。だけど、今の答弁あったように、首都上空での訓練は排除されていないんですよ、今の地位協定では。排除されていますか、岸大臣
  311. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 東京の上空であっても特に排除されているということではございませんので、米軍が訓練で使用することは可能でございます。  ただ、米軍の運用の詳細については、これは事の性質上、詳細については控えさせていただきたいと思います。
  312. 井上哲士

    ○井上哲士君 ですから、結局、今の地位協定の下で日本の上空どこでも勝手に米軍が訓練できるようになっていると。安全の配慮とか言われますよ。しかし、そもそもできるようになっているんですよ。そこを私は正すことが必要ですと思います。ですから、日米地位協定自身でそういう訓練の規制ができるようにするし、日本の航空法の規定を適用させるという抜本改定必要だと思いますけれども、それまで待っておられませんから、少なくとも、茂木大臣、ハイレベルでいろいろやり取りするんであれば、少なくとも首都上空でのこういう、首都上空での低空飛行であるとか訓練はやってもらっては困るということは正面から言っていただくべきだと思いますけれども、重ねて、いかがでしょうか。
  313. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 安全性の確保が最大限配慮されなければならない、最も重要だと。飛ぶ場所によって当然安全性というのは違ってくると。人口密集地であったり、そういった場所においては、よりそういったものに対する配慮というのは重要だと、そのように考えております。そういったことを踏まえて、米側に対しては、安全の確保と、万全を期すように更に求めていきたいと思っております。
  314. 井上哲士

    ○井上哲士君 都心上空での訓練はやるべきでない、やってもらっては困るということは明確に言われているんでしょうか。
  315. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 米側の個別のやり取りにつきましては控えさせていただきますが、今申し上げた趣旨でしっかりと申入れを行っております。
  316. 井上哲士

    ○井上哲士君 それは、やっぱり一国の首都の、しかも世界有数の密集地の上で他国の軍隊が訓練をしているということを容認するということは、あってはならないと思います。  かつ、そもそも都心にこの米軍ヘリポートがあること自身が問われているわけですね。米軍基地の赤坂プレスセンターがあるわけですが、これは住宅密集地であり、学校もあります。周辺住民は騒音や振動に悩まされておりますし、事故の不安ということにもさらされております。これ、戦後に米軍が接収をして、その後返還が決まったわけですけど、いまだに居座っているわけですね。都や港区は撤去、返還を要求しておりますし、港区議会も同趣旨の意見書を提出しております。今年二月四日には、区長、区議会正副議長、区議会の自民党、みなと政策会議、公明党、共産党、四会派の代表が防衛大臣に対して撤去を求める要請書も出しているんですね。  これ、応えるべきじゃありませんか。
  317. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 赤坂プレスセンターは、米軍にとって都心へのヘリコプターによる要人の迅速な輸送等を可能にしている施設であります。日米安保条約目的達成のために必要と承知をしているところです。  現時点においては返還は困難と認識をしておりますが、周辺におけるヘリコプターの運用に当たっては、騒音、航空機騒音等の周辺住民の方々への影響が最小限となるように米側に対して今後とも働きかけを行うなど、適切に対処してまいりたいと考えます。
  318. 井上哲士

    ○井上哲士君 先ほど申し上げた、元々返還することになっているものでありまして、今回こういう事態が起きているわけですから、今のような答弁ではなくて、強く求めていただきたいということを申し上げておきます。  その上で、在留米軍経費特別協定延長のことについて質問いたします。  本会議でも指摘したとおり、日米地位協定二十四条は、在日米軍維持に伴う経費米軍が全て負担することを定めておりまして、日本負担義務はありません。にもかかわらず、一九七八年から、福利費等の負担を肩代わりしたのを皮切りに、以降、米軍が、米国負担すべき経費負担を行うようになって、その総額は八兆円近くになっております。地位協定改定もせずにどうして負担義務のない経費負担するようになったのか、問われなければならない重大問題だと思います。  当時、日本政府が義務のない負担の肩代わりを始めるに当たって、アメリカ側からどういう要求があって、日本はどういう判断をしたのか、防衛大臣、いかがでしょうか。
  319. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) この我が国によります在日米軍駐留経費負担については、一九七〇年代の半ばから、我が国の物価、賃金の高騰、また国際情勢、経済情勢の変動、こういったことによって、在日米軍の駐留に関して、米国が財政上の困難に直面していること等を勘案しまして、在日米軍の円滑かつ効果的な運用及び雇用の安定を確保するために、一九七八年度から基地従業員対策等として社会保険料等の労務費を、そして一九七九年度から提供施設整備費を日米地位協定範囲内で負担することを開始したところであります。
  320. 井上哲士

    ○井上哲士君 参議院の調査室が作っていただいたこの資料にも、一九七八年六月、ブラウン米国防長官が来米した金丸防衛庁長官に対して、円高を理由により一層の在日米軍駐留経費日本側負担増を求めたと、それに対して金丸長官が、思いやりの立場で努力を払いたいと、こう答えたということが明記をされております。  まさにアメリカ側の要求に応えたわけでありますけど、その下で、七八年から福利費や管理費などの労務費、さらに七九年からは格差給や語学手当等、さらには提供施設整備費を負担するようになったわけですが、これらがその地位協定範囲内だと、負担可能だと判断した理由は一体何だったんでしょうか。
  321. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 基地従業員対策等として負担している社会保険料等の労務費については、日米地位協定第二十四条一の規定によって、米側に負担義務のある合衆国軍隊維持することに伴う経費に該当しないことから、この経費について我が国負担しているものでございます。  また、提供施設整備費については、日米地位協定第二条一の(a)に基づく施設及び区域の提供について、同協定第二十四条二において合衆国に負担を掛けないで提供するとされていることから、日本側負担施設を整備し、米側に提供しているものであります。
  322. 井上哲士

    ○井上哲士君 条文に照らしますと、とても納得できる話じゃない。拡大解釈としか私言いようがないと思うんですね。結局、説明が付かないから思いやりという言葉で負担をしたのではないかと思います。  昨年、アメリカの公文書でそのことが明らかになりまして、調査をした共同通信などが八月に報じました。それによりますと、アメリカ地位協定規定にない労務費や施設の整備費を負担するように要求して交渉が本格化したと報じられております。七七年九月二十七日の在日米国大使館による公電によると、日本外務省アメリカ側の負担要求に対して、創意工夫を凝らしても法的に容認できる余地がないと指摘をしたとしております。  つまり、日本側アメリカ負担要求は法的には認められないと当時認識をしていたということを示すものでありますが、アメリカに対してこういうふうに、公電にあるように述べたというのは事実ですね。
  323. 市川恵一

    政府参考人市川恵一君) 報じられております米側の公電でございますが、米側の公電でございますので、日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。  また、当時の日米間の協議内容の詳細を明らかにすることは差し控えたいと思います。
  324. 井上哲士

    ○井上哲士君 いや、これがその後の日本側負担のずうっと広げていくルーツになるわけですから、明確にしていただかないと困るんですね。  さらに、この公電では、日本側には地位協定に付随する他の取決めについても変更圧力が国会で強まる懸念があるために、協定改定せずに問題を解決する必要があると主張して、問題は政府解釈であって金額ではないと発言をして、拡大解釈ができれば最大限の負担をするという意向を示したと報じられております。  つまり、日本政府アメリカの特権を保障した地位協定のいろんな規定改定議論が波及することを恐れて、法的に容認できる余地がないと言っていたはずの協定を自ら拡大解釈して負担要求に応じることとしたと、こういう経過を明らかにしたものであり、重大だと思うんですね。  地位協定が全体を改定するという議論にならないように、違法と知りながら法を曲げて要求に応じることにしたと、これがそのときの経過だったということがこの公電でもはっきりするんじゃないんですか、いかがでしょうか。
  325. 市川恵一

    政府参考人市川恵一君) 繰り返しで恐縮でございますが、報じられている米側の公電について日本政府としてコメントすることは差し控えをさせていただきたいと思います。
  326. 井上哲士

    ○井上哲士君 アメリカは新たな負担日本に担わせるための重要な交渉をしているわけで、公電がありもしない事実を本国に伝えるとは考えられません。事実、その後の経過はこのとおりになっているわけであります。  これ、大変重要な問題でありますから、日本側の当時の交渉記録を提出をしていただきたいし、あわせて、米国の公電も政府の責任において入手して提出するように求めたいと思います。委員長、取り計らいお願いします。
  327. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 後刻理事会にて協議いたします。
  328. 井上哲士

    ○井上哲士君 こうして協定に反する拡大解釈負担を始めましたけれども、更に負担を拡大する上でも、それでは説明が付かなくなって始まったのが特別協定であります。  この改正議定書はただ期限を一年延長するもので、内容の見直し、負担の縮減は全く行っておりません。茂木大臣は時間が限られる中での交渉だったとしますけれども、そもそも本会議において指摘しましたように、財政審からも聖域視することなく見直せと言われているものをどうして更にそのまま延長することができるのか、財政規律を無視するのかという質問に対して、本会議では明確な答弁がありませんでした。改めて答弁を求めたいと思います。
  329. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 財政制度等審議会、おやりになって、どれぐらいの交渉能力持っているのか、私の想像を超えるところでありますが。  今回は交渉に割くことにできる時間、これが大きく制約をされたと。これ、アメリカ政権交代と、こういったこともあったわけでありまして、交渉の早期妥結を目指して米側とその後協議を行った結果、現行特別協定改定して、その有効期間を一年間延長することについて米国政府側との間で意見の一致を見たわけであります。  バイデン政権が発足してすぐの、この早いタイミングで必要な合意に至ることができたことは、日米同盟の結束に対する両国の強いコミットメントを示すとともに、日米同盟の信頼性を高め、それを国際社会に発信するものだと高く評価をしております。  そして、我が国のHNSの負担規模については、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるHNSは引き続き重要であるとの点を踏まえた上で、御指摘我が国の厳しい財政状況、財政規律の重要性や、我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素を総合的に考慮し、主体的に判断し、今後もHNSが適正な内容、水準のものとなるように対応していく考えであります。  どの水準にするかとか、どういうことにするかと、交渉においてあらかじめこちらから明らかにすると、ネゴシエーションの専門用語ではアンカリングと言います。アンカリングをすると、そこから議論が始まるんですよ。決してそれは得なことにならないと、交渉においてはと、そのようにこれまでの様々な交渉の経験から私は実感いたしております。
  330. 井上哲士

    ○井上哲士君 適切な内容、水準というふうに言われるんですけど、先ほど述べましたように、元々条約上、日本負担義務がないものなんですね。そして、そういう点でいえば、適切な内容、水準って私ないと思うんですよ。そもそも、政府も暫定的、特例的、限定的な負担だと言っているわけですから、長期に続けるのではなくて、やめるべきものだと思います。  しかも、在日米軍基地は、もう今や安保条約の極東の範囲を超えて、はるかに広い、世界的規模での米軍が自由に前方展開する拠点となっているわけですから、日本が巨額の負担をするような条約上の根拠も私は失われていると思います。  その上で、現行協定の五年間における負担実績について確認しますが、光熱水料について、これまでに負担上限額に達したことがあるのか、年度ごとに上限額と実際の日本側負担実績を防衛省、示してください。
  331. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 現行協定における光熱水料等の負担につきましては、約二百四十九億円を日本側負担の上限とし、米側の直近三か年の支払に要する経費の全部の平均に日本側負担割合である六一%を乗じた額について実績額として負担することとなっております。  その上で申し上げますと、今年度の実績はまだ確定していないため、昨年度までで、実績で申し上げれば、二〇一六年、平成二十八年度は約二百四十八億円、二〇一七年度、平成二十九年度は約二百四十七億円、二〇一八年度、平成三十年度は約二百三十二億円、昨年度は約二百十九億円と、現行協定内で負担上限に達したことはありません。
  332. 井上哲士

    ○井上哲士君 負担上限に達した年度がないわけですから、これ負担縮減の余地があると思うんですね。なぜそれを提起していないんでしょうか。
  333. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 実績だけで、事実関係で申し上げます。  この光熱水料の日本側負担と申しますのは、一九九一年、平成三年度に開始いたしました。このうち、上限額については、二〇一一年、平成二十三年度から五か年、五年間の負担額に関する特別協定以降規定されたものであり、その額は現行協定と変わらず約二百四十九億円となっております。  その上で申し上げれば、二〇一一年、平成二十三年度から二〇一五、平成二十七年度までの五か年、五年間は全ての年度において上限額に達しておるというようなことが事実関係でございます。
  334. 井上哲士

    ○井上哲士君 この間、いろんなことがあって達していないわけですよね。そうであれば、そもそもそれは縮減を求めるべきであって、やるべきことさえやっていないと言われても仕方がないと思います。  さらに、娯楽施設についてお聞きします。  この間議論になりましたけど、沖縄県名護市辺野古の新基地建設は、そもそも選挙によって示された民意を一顧だにしないで強行されようとするもので許される余地はありませんが、それにとどまらず、関連して行うとしている施設整備には更に別の問題があります。  キャンプ・シュワブ内でボウリング場やダンスホールを整備する方針が明らかにされておりますが、この計画について、施設整備の施設一件ごとの詳細な内容、それぞれの施設の建設の金額、予算計上の金額、そして、引渡し及び米国の利用開始予定の詳細について明らかにしていただきたいと思います。
  335. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  キャンプ・シュワブの陸上再編工事といたしまして既存の福利厚生施設の再配置を行っておりまして、委員指摘のボウリング場やダンスホールもその一部に含まれております。こうした工事につきましては、二〇〇六年に日米で合意されました再編の実施のための日米のロードマップに基づき、地元の負担軽減のために実施している米軍再編事業の一つとして行っているものでございます。  御指摘のボウリング場、ダンスホールは一つの施設として整備する計画としておりまして、現在、当該施設に係る用地造成工事の工事契約を約四・五億円で締結しているところでございます。今後、用地造成工事の進捗や米側との調整等を踏まえまして、適切な時期に建物の本体工事等を発注をすることといたしているところでございます。
  336. 井上哲士

    ○井上哲士君 建物工事も含めた施設建設の費用はどうなるんでしょうか。
  337. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) 先ほど、今御答弁申し上げましたとおり、御指摘施設につきましては、現在、当該施設に係る用地造成工事の工事契約を約四・五億円で締結しているところでございますが、今後、用地造成工事の進捗や米側との調整等を踏まえまして適切な時期に建物本体工事等を発注することとしており、当該施設整備に係る整備費用を明らかにすることにより公正公平な入札に支障を及ぼすおそれがあることから、大変恐縮でございますが、お答えすることは差し控えさせていただきます。
  338. 井上哲士

    ○井上哲士君 国民の税金でありますから、なかなか納得し難いんですけど。  過去、提供施設整備費においては娯楽施設を提供しないこととしておりますけれども、なぜそういうふうにしたのか、その経緯について説明してください。
  339. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 提供施設整備費による施設等の整備につきましては、二〇〇〇年、平成十二年十月、日米間で提供施設整備の案件採択基準を策定し、この中で、レクリエーション、娯楽施設等の福利厚生施設についてはその必要性を特に精査すること、そして、娯楽性及び収益性が高いと認められる施設、例えばショッピングセンターやスナック、バー等の新規採択は控えることとしてございます。  この基準は、当時の我が国の厳しい財政事情の下、提供施設整備に関する我が国負担について、国民理解を得られるものとすべきとの認識を踏まえ作成したものです。  防衛省といたしましては、我が国の財政事情が引き続き厳しい状況を踏まえ、この基準にのっとり、提供施設整備に際しての必要性の精査等をしっかりと行っていく考えでございます。
  340. 井上哲士

    ○井上哲士君 娯楽施設、収益性のある施設の建設であることについて、この提供施設整備でも再編整備でも変わりないんですね。  娯楽施設国民の税金を使うことは国民理解が得られないからやめたと、こうおっしゃいましたけれども、再編だと強調したところで娯楽は娯楽でありまして、枕言葉を付けても構わない、付ければ構わないと考える方が私はおかしいと思うんです。到底理解は得られないと思います。  提供施設整備費では娯楽施設は提供しないとしたのに米軍再編では提供をすると、これ矛盾していると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  341. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 二〇〇六年に日米で合意されました再編の実施のための日米のロードマップに示されました事業は、在日米軍の部隊や施設の再配置等を伴うものであり、この点において施設、提供施設整備と前提が異なるものでございます。  例えば、岩国飛行場への空母艦載機の移駐について申し上げますと、約三千八百人もの人員の移動がございました。このような部隊が施設の再配置等のために必要となる機能施設の整備に当たり、在日米軍在日米軍人の福利厚生を維持するための施設を含めることは、在日米軍の安定的な駐留を確保するためにも必要なものと考えております。
  342. 井上哲士

    ○井上哲士君 いやいや、提供施設整備で娯楽施設やめたのは、国民の税金を使うことは国民理解が得られないと、こう政府が言ってやめたんですよ。これ、同じじゃないですかね。  例えば、労務費の見直しでも、提供施設整備で娯楽施設や収益性のある施設の提供を行わなかったことが一つの理由とされまして、その下で、レクリエーション、娯楽施設などの福利厚生施設、働く労働者への日本負担は廃止されるべきと財政審から指摘をされて、これ廃止されたという経過があるわけですね。  こういうことを流れを見れば、私は、やっぱり再編だから娯楽施設の提供はいいんだというのは到底国民理解も得られないと思いますけれども、改めて、大臣、いかがでしょうか。
  343. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 繰り返しになりますけれども、再編の実施のための日米のロードマップに示された事業としては在日米軍の部隊や施設の再配置等を伴うものでございまして、この点において前提が異なるということであります。  先ほど例に挙げました岩国飛行場ですけれども、大変多い人数の米軍米軍関係者の移動がございました。それに伴って再配置等のために必要となる機能施設の整備に当たりましては、福利厚生を維持するための施設を含めることは在日米軍の安定的な駐留を確保するためにも必要である、このように判断したものでございます。
  344. 井上哲士

    ○井上哲士君 幾ら言われましても、やっぱり事業目的が違うからいいということには私はならないと思います。  FIPでやめた娯楽施設国民の税金を使うことは国民理解が得られないと、このことは両方同じなわけでありますから、これはやめるべきだということも最後に強く申し上げまして、時間ですので質問を終わります。
  345. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。  在日米軍駐留経費負担特別協定改定案について伺います。  この間質疑してきたように、米国軍事戦略の変革により、在日米軍基地など前方基地についても、大規模で固定的な基地から小規模で分散された基地への再編が進められています。米軍太平洋抑止イニシアチブにおける第二列島線の防衛重視、世界的な戦力態勢の見直しの実施、既に計画され、二〇二四年にも開始するグアム移転を含む在沖米海兵隊の国外移転もこうした米軍再編の一環です。  防衛省によれば、現在、沖縄県における在日米軍従業員数は合計で八千八百九十八人、うち海兵隊関連は三千百六十七人です。現在の米軍再編の計画では、在沖海兵隊は二〇二〇年代前半に要員九千名とその家族が国外に移転します。海兵隊の国外移転など、米軍再編によって駐留軍等労働者の雇用に影響が及ばないようにしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
  346. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 米軍再編に伴います在日米軍従業員の雇用への影響につきましては、現時点で再編後の労働力の需要や必要とされる業務内容などが明らかになっていないため、予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきます。  その上で申し上げれば、在日米軍従業員は、装備品の維持整備ですとか施設区域維持管理といった日々の業務を通じ、米軍の様々な活動を直接支えており、在日米軍の即応性の維持、ひいては日米同盟維持強化観点から極めて重要な役割を果たしていると認識してございます。これまでの再編の対象となった例えば厚木飛行場、厚木海軍飛行場におきましては、配置転換により雇用の継続を図ったところでございます。  防衛省といたしましては、こうした観点を踏まえ、米軍再編に伴う在日米軍従業員の雇用の安定確保については極めて重要な課題であると認識しており、引き続き雇用が継続されるよう万全を期してまいりたいと考えてございます。
  347. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 配置転換でもなるべく労働者の暮らしに影響が及ばないような、勤務可能な県内の職場を確保していただきたいと思います。  また、米軍関係の職場以外でも、跡地利用の間の管理業務や移転後の残務処理など、様々な雇用の創出の仕組みを工夫していただきたいと思います。と申しますのも、九千名の海兵隊が国外へ撤退するということになりますと、国内移動でもありませんので、雇用そのものが大きく喪失することは明らかです。しかし、直接雇用である駐留軍労働者を、やはりその方々の雇用を、この跡利用等も含めてしっかりと支えていくということをやっぱり必要とされると思います。  防衛大臣、いかがでしょうか。
  348. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 現時点で再編後の労働力の需要や必要とされている業務内容などが明らかになっていないために、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますと、米側の部隊の移動、移転等により在日米軍従業員の雇用に影響が生じる場合には、転勤場所、失礼、勤務場所や職種等に関する本人の希望を踏まえて他の施設への配置転換等により雇用の継続を図ることとしております。  いずれにいたしましても、雇用主として重要な仕事は、在日米軍従業員が雇用面においても不安なくその職務に従事できる環境を整えることであると考えます。  防衛省としては、関係各省、関係自治体と緊密に連携しつつ、米軍再編に伴う在日米軍従業員の方々の雇用の安定がしっかり確保できるように万全を期してまいりたいと思います。
  349. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 前々回の委員会でのテーマにもしましたように、米国の世界的な戦力態勢見直しは、第一列島線を最前線と位置付け、米軍にとって遠征前方基地作戦シナリオの二十四時間から七十二時間滞在する地域になってしまうことになります。中国のミサイル脅威圏にある日本から米軍が撤退する流れは必然ですから、備えが求められていると思います。そのことを含めて、いよいよ海兵隊のグアム移転を含めて動きが顕在化するわけですから、早めに備えをしていく、このことが求められていると思います。引き続き委員会では議論していきたいと思います。  次に、前回に引き続き、戦没者の御遺骨が混入している可能性のある南部の土地が辺野古埋立てに使われようとしている問題で伺います。  糸満市―八重瀬町のこの一帯は、一九四五年、沖縄戦において六月以降に戦場になった激戦地です。この前回お配りしましたパネルの写真は、(資料提示)違法な採掘現場がありますが、そのすぐ隣接して沖縄戦戦没者三万五千柱を埋葬した魂魄之塔や、あるいは九都道県の慰霊塔、慰霊地区が隣接しておるところで、今もまだ沖縄戦の犠牲者の遺骨が多く眠っている場所です。  この一帯は米須霊域と呼ばれており、沖縄県民の御遺骨が納められた魂魄之塔、沖縄で戦没された各都道府県出身者が祭られている東京之塔や、あるいはひろしまの塔、あるいは島根の塔、讃岐の塔、大分の塔、北海道の北霊の碑、奈良県の大和の塔、和歌山県の紀乃國之塔、鳥取県の因伯の塔などがすぐその周りを囲んでいるわけでございます。六月二十三日の沖縄慰霊の日には多くの戦没者遺族の方々が追悼に訪れる地域でもあります。一番近くの有川中将以下将兵自決の壕の塔は、その現場から三十メートルも離れていません。  本年一月二十二日、沖縄等米軍基地問題議員懇談会では、御遺骨が混入している可能性のある南部の土砂を埋立て用土砂に使用する計画について、厚労省担当者は、防衛省から事前に相談はなく、マスコミ報道で知ったと説明しています。戦没者遺骨収集推進法では、国の責務の一環として防衛省も遺骨収集の責務を負うわけですが、厚労省に連絡をすべきだったのではないでしょうか。  防衛省は、厚労省に対してなぜ事前に連絡をしなかったのですか。
  350. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  沖縄県におきましては、厚生労働省と沖縄県が役割分担をいたしまして御遺骨の収集が進められておりまして、開発業者及び採石業者が作業中に御遺骨を発見した場合、市町村、警察へ通報し、沖縄県が設置した戦没者遺骨収集情報センターが御遺骨を収容する仕組みが構築されていると承知しているところでございます。  その上で、変更承認申請書に記載されております土砂の採取候補地は、関係法令で認められ、現に事業が営まれている鉱山から県内で出荷することが可能であるとの回答を得た場所を取りまとめたものでございまして、こうした鉱山を候補地とすることについて厚生労働省に事前の相談が必要であったとは考えておりませんでした。
  351. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 前委員会でも明らかになりましたように、百七十七か所の今収集を予定している地区があって、その後、順次に今この調査をしています。そして、その戦跡公園内にも十二か所あるということが明らかになりました。そういう意味では、本来、沖縄防衛局がこの三千百五十九万立方メートルがあるという、南部のこのエリアの指定という時点で、やはりそこを防衛省は厚生労働省に言うべきだったと思います。  遺骨収集の責務を負っていることに自覚があるのなら、その時点で厚労省に対して相談すべきではなかったでしょうか。答弁をお願いします。
  352. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) 先ほど申し上げましたとおり、沖縄県においては、御遺骨を収集する、収容する仕組みが構築されているものと承知しているところでございますが、こうした関係機関の連携によりまして、遺骨収集推進法の趣旨、目的に即して戦没者の遺骨収集が進められていくこととなるものと考えておるところでございます。  いずれにいたしましても、変更承認後の土砂の調達先はまだ決まっておらず、御遺骨の問題は大変重要であると考えていることから、こうしたことも踏まえまして、土砂の調達につきましては今後しっかりと検討してまいるというところでございます。
  353. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 防衛省は、採石業者について、関係法令で認められた採石業者から調達すると答弁しています。今問題となっている鉱山は、沖縄戦跡公園内で、自然公園法で義務付けられた開発届も出さず、森林法の届けもなく樹木を伐採し、農地法の転用手続も取らずに道路を開設し、鉱業法に基づく五十メートル以内の公共施設の承諾も得ず開発に着手しています。現在、沖縄県では、多くの鉱山が鉱業法、森林法、自然公園法、農地法に違反して開発しているとのことも問題になっています。  鉱業法のみならず、防衛大臣にお伺いしますけど、のみならず、これらの森林法、自然公園法、農地法の法令に違反した鉱山からは調達しないということでよろしいですね。
  354. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達先につきましては、工事の実施段階で埋立工事の受注者が選定するものであり、県内と県外のどちらから調達するかも含め、現時点では確定しておりませんが、受注者において土砂の調達を行う際には、鉱業法等の関係法令で認められた採石業者を前提といたしまして調達が行われることになるというものでございます。
  355. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 先ほどから、防衛省は埋立て用土砂について、工事実施段階で決定するので、御遺骨が混入している可能性のある南部の土砂を使うとは限らないと答弁しています。  そしてまた、その問題の所在は業者にあるように、言いぶりでこれ回答していますが、そもそもこの問題は、当初、公有水面埋立申請の土砂に関する図書にはなかった本島南部の土砂を、計画変更後の土砂に関する図書で、埋立て用土砂として三千百五十九万立方メートルを採取可能と、南部で採取可能と掲示をされたことが発端になっています。  工事実施段階で選定するというのなら、現在提出している土砂に関する図書は撤回して、改めて工事の実施段階に県知事から土砂に関する図書の変更承認を得るべきではありませんか。
  356. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) ちょっと若干繰り返しになって恐縮でございますが、南部地区の採石業者におきましては、開発前に御遺骨がないかを目視で事前調査を行うとともに、御遺骨が眠る可能性があるガマのある場所は開発を行わないなど、御遺骨に配慮した上で事業が営まれていると承知しております。  繰り返しになって恐縮でございますが、先ほども申し上げましたとおり、変更承認後の土砂の調達先はまだ決まっておらず、御遺骨の問題は大変重要であると考えていることから、こうした取組を踏まえまして、土砂の調達につきましては今後しっかりと検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  357. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 決まっていないにもかかわらず、前回はゼロだった南部ですね、糸満と八重瀬の地区から三千百五十九万立方メートルという膨大なその採掘可能性をちゃんと示して皆さんは申請しているんですよ。  そういうことならば、未確定な土砂に関する図書は撤回して、確定後に土砂の部分のみ変更申請を出し直せばいいのではないでしょうか。今の設計変更はあくまでも維持する考えですか。
  358. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  委員指摘の、今回の変更承認申請で新たに沖縄県南部を土砂採取地に含めた理由という観点でございますが、今回の変更承認申請書の作成に当たりましては、現行の埋立承認申請の際の調査から相当の年月が経過しており、資材に関する状況が変わっているため、改めて最新の採石場の状況を把握する必要があったということでございます。  これを踏まえまして、調査業務を受注した業者が、沖縄県内で関係法令で認められました採石業者に対して広くアンケート調査を行い、県内で出荷することが可能であるとの回答を得た場所を取りまとめた結果、沖縄本島南部地区も含まれることになったものというふうに承知しているところでございます。
  359. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 遺骨の問題でいうならば、採石業者が幾ら配慮しても、沖縄での御遺骨と石灰岩の判別というのは専門の職員でも極めて困難と言われております。戦没者遺骨収集推進法により、遺骨の収集は国の責務、防衛省自身の責務だと規定されています。遺骨が混入している可能性のある南部戦跡の土砂を埋立てに使うべきではありません。そしてまた、その責任を業者になすりつけることなどはあってはなりません。  大臣は、土砂の調達について今後しっかり検討してまいりますとこの間答弁していますが、土砂の調達先の選定における検討課題の中に御遺骨の問題が含まれていると理解してよろしいですか。
  360. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達先は、工事の実施段階で決まるものであります。県内と県外のどちらから調達するかということも含めて、現時点で確定しているものではありません。  変更承認後の土砂の調達先は決まっておらず、御遺骨の問題は大変重要であると、先ほどからも繰り返して述べておりますが、御遺骨の問題を含めて、土砂の調達について今後しっかりと検討してまいります。
  361. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 御遺骨は沖縄県民だけの問題ではありません。今県内で最も問題にされている鉱山は、魂魄之塔、東京之塔、ひろしまの塔などに隣接しています。この地域の土砂を埋立てに使用するということは、沖縄戦で命を落とした旧軍人や全国の戦没者の尊厳にも関わる問題です。  防衛大臣、御遺骨が混入している可能性のある南部の土砂は埋立工事には使用しない、南部地区は調達候補地から外すということをお約束していただけませんか。
  362. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 変更承認後の埋立てに使用します土砂の調達先については、工事の実施段階で決まるものでございます。県内、県外、どちらから調達するかも含めて、現時点で確定しているものではございません。  さきの大戦において、大変凄惨な地上戦を経験した沖縄においては、今なお厚労省と沖縄県で役割分担をして戦没者の御遺骨の収集が進められているところでございます。  変更承認後の土砂の調達先は決まっておらず、御遺骨の問題は大変重要であるというふうに考えていますことから、こうしたことも踏まえて、土砂の調達については今後しっかり検討してまいりたいと思います。
  363. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 そもそも、沖縄防衛局の埋立変更申請に記された三千百五十九万立方メートルというのは、実際に採取可能なのか疑問です。北部の鉱山は山を切り崩して採取していますが、南部には山はなく、平地を掘り込んで石灰岩を採取しています。三千百五十九万立方メートルというのは、二キロ四方を八メートル深く掘り出さなければできない量です。普天間飛行場の面積に匹敵するんですよ。そこを八メートル掘り込んで採取するという、今あり得ないような数値を皆さんは出しているんですよね。  昨日、私は、沖縄等米軍基地問題議員懇で沖縄防衛局で説明を求めましたが、結論は、なぜこれだけの数値を出したのか、コンサルが業者にアンケートを出したものを単純に総計して足した数のようです。なぜそれじゃ、前回、当初の申請では南部はゼロだったのかというふうに指摘をしたら、そのときは、そのときのコンサルが南部を含めなかったからだと、また、あたかも何か防衛局の責任は全くないかのような言いぶりですよね。  二〇一六年の戦没者の遺骨収集の推進に関する法律が、戦没者の遺骨収集は国の責務としたことを考えれば、むしろ今回は南部を外すべきであったのではありませんか。  三月一日から六日に南部の土砂採取計画の断念を求めてハンガーストライキを行った沖縄戦遺骨収集ボランティア、ガマフヤー代表の具志堅隆松さんは、三月一日のハンスト決行趣意書でこのように言っています。  沖縄防衛局が南部指定したことにより、ふだん我々が遺骨収集をしている糸満や八重瀬の緑地帯でも採石工事が行われるのではないかと危惧していたところ、まさに的中する事態が起きてしまった。場所は、沖縄戦遺族にとって祈りの聖地と言うべき魂魄之塔のすぐ西側であって、現に我々が遺骨を掘り出しているさなかの緑地の現場が伐採され、採石場となってしまったのである。さらに、このような緑地帯で新たな採石場の開発申請がほかにも出されていることも聞いている。直近の政府による国会答弁では、採石業者に遺骨への配慮を要求するようであるが、経験と専門知識を要する遺骨収集は業者には無理である。それ以前に、遺骨収集に関して、業者ではなく国に責任があることを二〇一六年に成立した戦没者の遺骨収集促進に関する法律に明記してある。そもそも戦没者の血の染み込んだ南部の土砂を遺骨とともに軍事基地建設のための埋立てに使うなど、戦没者への冒涜であり、人間の心を失った行為である。防衛局は、南部から埋立て用土砂採取は断念すべきである。このように強く趣意書に書いています。  やはり、このあり得ない量をまず書いてしまったということをやっぱり反省しなきゃいけないと思うんですよ。平地ですよ。平地で普天間飛行場の面積を八メートル掘り込む。後どうするんですか。埋め戻しもできない状況、今違法になっているところも、これを埋め戻す予定はないんです。こっちは三十メートル、山側は三十メートル切り開く、内側は十メートル、広大な面積がぽっかり空く、その間全部緑も取っているわけですね。まさに、前回は、自然公園法が、こういうものは知事で阻止できるんだということ、そういうことは明確になりましたけれども、全体に対する責任、これはとても大きいですよ。沖縄防衛局は辺野古だけしか頭になくて、ほかはどうなってもいいんだというような考えでしか、こういう今回の三千百五十九万立方というのは、そういうふうにしか考えられないんですよ。  是非、やはりこの遺骨問題は重要な問題であるということを認識していただいて、防衛省としてしっかり考えていただくことをお願いして、今日のところはこれで終わります。  次に、先日、二〇一五年に、当時の岩田清文陸幕長と米海兵隊ニコルソン司令官が、キャンプ・シュワブ、辺野古新基地に陸自の離島専門部隊である水陸機動団を常駐させることで極秘合意していたと報じられました。辺野古の基地の目的が普天間飛行場の代替施設でないことが明らかに示されました。水陸機動団の沖縄配備は県民に更なる基地負担を押し付けるもので、絶対に認められません。  陸自水陸機動団について、六百二十名の規模の水陸機動団の三個目が二〇二三年度にも新編されるという予定です。三個目の配備先は決まっているのでしょうか。
  364. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) お答え申し上げます。  現在の防衛大綱及び中期防におきまして、現在、二個連隊体制である水陸機動連隊につきまして、一個水陸機動連隊の新編による増強や艦艇と連携した活動や各種の訓練、演習といった平素からの常時継続的な機動を行うことにより抑止力、対処力の強化を図ることといたしております。  委員指摘の増強する三個目の水陸機動連隊の配備先につきましては、三個連隊体制における運用構想や練度向上を図る等の観点から検討する必要があると考えていますが、現時点では決定しておりません。
  365. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 いや、三年以内に編成される部隊の配備先がまだ決まっていないというのはちょっと理解できないんです。本当に配備先は決まっていないんですか。
  366. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) 配備時期に関しましては、中期防で計画しております令和五年度末まで、二〇二三年度末までに部隊を新編する計画はございますが、繰り返しになりますが、どこに配備するかにつきましては現時点では決定しておりません。
  367. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 二〇二三年度中に新編される三個目の水陸機動連隊をシュワブに配備する計画はないのですか。また、ハンセンに配備する計画はありますか。
  368. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 三個目の水陸機動連隊を含めキャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセンへの水陸機動団の配備は考えておりません。また、沖縄県内の陸自駐屯地に配備することも考えておりません。
  369. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 考えていないということは確かなんですね。いま一度お願いします。
  370. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 考えていないということでございます。
  371. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 今日もありましたけど、一月二十七日の参議院予算委員会で、岸大臣は、共同使用の際の陸自施設の計画図について、「そういう形での、その図があったということはお話がありますけれども、」とお認めになっています。設計図はあったのでしょうか、なかったのでしょうか、明確にお答えください。
  372. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 一般に、共同使用の検討に当たっては、全国の施設区域について幅広く様々な可能性を検討してきております。その際に様々な図面を用いることも一般的であります。  日米間の具体的なやり取りや検討状況については、相手方との関係などもあって、お答えを差し控えさせていただきたいと考えております。
  373. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 計画図の作成を、内容を含む業務委託の契約書を開示していただくようお願いしたいと思います。
  374. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 共同使用の件についてですけども、先方、相手方のあることでございますので、開示することは差し控えさせていただきたいと思います。
  375. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 是非、委員長の方でこのような資料の提示を、開示を求めていただくようお願いしたいと思います。
  376. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 後刻理事会にて協議いたします。
  377. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄県内の米軍基地あるいは自衛基地の駐屯地に水陸機動団を配備できるのであれば、機能面での受入れ余力だけでなく、隊舎や倉庫など施設の物理的なスペースが余っているということになります。  先日も海兵沿岸連隊への再編の問題を指摘したように、現在キャンプ・シュワブに配備されている千八百人から二千人の規模の第四海兵連隊は、海兵沿岸連隊に再編後、グアムに移転されます。在沖米海兵隊のグアム移転は二〇二四年から二五年に開始され、約一年半かけて完了する方針だと言われています。少なくとも第四海兵連隊がグアムに移転すれば二千人規模の施設の空きがシュワブに生じるのではありませんか。
  378. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) キャンプ・シュワブにおきますところの、まず移転の、このグアムの移転でございますけれども、こちらにつきましては、その後の動静、そこのキャンプ・シュワブにはほかの部隊もおりますので、その後の部隊の動向というのは今後決まってくるものだというふうに承知してございますけど、今の時点で何か決められたものがあるというものではございません。
  379. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 この間、質疑でも触れたように、シュワブの第四海兵連隊は二〇二四年頃にグアムに移転し、ハンセンの第十二海兵連隊は、沖縄にも残りますが、いずれも二〇二七年までには海兵沿岸連隊に再編される予定とされています。海兵沿岸連隊の配備は沖縄の基地負担を更に過重にします。水陸機動団まで沖縄に配備を強行することは県民をないがしろにするもので、断じて容認できません。  防衛大臣に伺いますけど、今後も陸自水陸機動団をシュワブあるいはハンセンなど在沖米軍基地や在沖自衛隊駐屯地に配備することはありませんね。
  380. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 先ほどお答えをしたとおりですね、その考えはございません。
  381. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 それでは、報じられております秘密合意について、この陸幕と海兵隊の秘密合意ですけれども、岩田氏やニコルソン氏、当時の防衛大臣である中谷議員に調査をしましたか。
  382. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 施設区域の共同使用については、米軍自衛隊との間の施設の共同使用を拡大する機会を検討する意図を有するとした二〇一〇年五月の日米2プラス2の共同発表等を踏まえ、これまで様々な検討を行ってきているところです。  陸上幕僚監部は、これまで関係部局の一つとして共同使用に係る政府内の検討に参画しております。しかしながら、共同使用は日米双方の外務・防衛当局によって幅広い検討が行われた上で、日米合同委員会による合意がなされているものであり、陸上自衛隊と海兵隊が合意を行うような性質のものではございません。  その上で、共同使用は、防衛大臣の指揮監督の下で陸幕を含む関係部局が省一体となって緊密な連携の下で検討を進めてきておるところ、共同使用に係るこれまでの検討状況等について、既に陸幕長を含む関係部局から報告を受けております。当時の関係者に対する調査や確認をする必要はないと考えております。
  383. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 ニコルソン氏が当時、辺野古に建設中の基地を含め、沖縄の米軍基地自衛隊と共同使用し、いずれ自衛隊の基地になるとしたらどう思うかとか、あるいは県民の反米感情を抑えられるのではないかなどと言っていたのは沖縄で有名な話です。現に、沖縄の風会派の高良鉄美参議院議員が、琉球大学教授時代に授業のゲストとして大学に招いたニコルソン氏が同様の発言を学生たちに話すのを聞いたそうです。  せめて岩田氏、ニコルソン氏、中谷議員には事実の聞き取り調査をすべきではありませんか。
  384. 岡真臣

    政府参考人岡真臣君) 先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、この共同使用につきましては、防衛省の中で、組織としてですね、先ほど申し上げました、答弁がありましたような枠組みの下で、防衛大臣の指揮監督の下で、関係部局、その中には陸上幕僚監部も含まれているわけでございますけれども、省一体となって取り組んできているものでございまして、そういうことで、共同使用に係るこれまでの検討状況等につきましては、既に大臣の方で陸上幕僚長を含む関係部局からも報告を受けております。  そういう意味で、当時の関係者に対して改めて調査、確認をする必要はないと考えているところでございます。
  385. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 手続の、共同使用の話をしたという、いろんな検討をしたという話ではなくて、地位協定上の形式的なそういう合意じゃなくても、軍同士の秘密合意があったということは大変大問題です。  陸幕長と海兵隊司令官という軍同士が国民に秘密のまま協議していたとし、そしてまた合意していれば、シビリアンコントロールが及んでいないという非常にゆゆしき事態だと思いますが、そうは思いませんか。
  386. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) 施設区域の共同使用について、二〇一〇年五月の日米2プラス2の共同発表を踏まえ、これまで様々な検討を行ってきているところでございますが、陸幕監部はこれまで関係部局の一つとして共同使用に係る政府内の検討に参画をしてきております。  しかしながら、共同使用は、先ほども申しましたけれども、日米双方の外務・防衛当局によって幅広い検討が行われた上で日米合同委員会による合意がなされるものであります。陸上自衛隊と海兵隊が合意を行うような性質のものではございません。  その上で、共同使用に係る検討については、従来から防衛大臣の指揮監督の下で、陸上幕僚監部を含む関係部局が省一体となって進めてきておるところです。文民統制上、何ら問題はないものと考えております。
  387. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 報道されたようなことが二度と起こらないように、しっかりと指揮監督していただきたいと思います。  次に、海兵沿岸連隊配備や陸自配備の秘密合意が浮上しては県民が混乱する背景には、海兵隊のグアム移転によって沖縄から海兵隊がいなくなるのに、どの施設に駐留しているどの部隊が何人規模で転出するかがいまだに明らかになっていないからですね。  現時点で明らかになっている在沖海兵隊のグアム移転について伺います。どうなっていますか。
  388. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 在沖米海兵隊のグアム移転、グアムへの移転時期につきましては、二〇一三、平成二十五年十月の2プラス2共同発表におきまして、二〇二〇年代前半に開始されることとしておりまして、このことは、二〇一九、平成三十一年四月の2プラス2においてもこれを再確認しております。  また、沖縄からグアムには約四千名の在沖米海兵隊の要員が移転する予定であり、移転する主な部隊は第三海兵機動展開旅団司令部、第四海兵連隊、第四戦闘後方支援大隊の全部又は一部と承知しています。その上で、現時点で移転時期の詳細な日程及び部隊ごとの移転人数を含めた詳細な計画についてはまだ決定されておらず、現在日米間で協議しているところでございます。  政府といたしましては、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を早期に実現するため、可能な限り早い時期にグアム移転が完了するよう、引き続き日米間で緊密に協力しながら取り組んでまいります。
  389. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 今日もそうですけど、防衛省は、在沖縄海兵隊のグアム移転を説明する際に、現在も二〇一三年十月公表の資料を使っています。  日本政府が把握している情報はいつの時点のものですか。今は二〇二一年です。情報が古いのではありませんか。
  390. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 今現在で我々が承知しておる具体的な時期、それから主な移転する部隊については、先ほど申し上げたとおりでございます。これ以上の移転時期の詳細な日程、部隊ごとの移転人数、こうした決定についてはまだ決定されておりませんけれども、現在、日米間で協議しつつ、引き続き、緊密に協力しながら、可能な限り早期にグアム移転が完了するように取り組んでまいりたいというところでございます。
  391. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 合意しているのは、在沖海兵隊九千名とその家族の国外移転ですね。二〇一九年二月四日には、米軍グアム海兵隊事務所代表がグアム議会議長に対し、グアムにおける米軍再編について説明しました。米軍は、二〇二四年から開始し、約一年半で完了すると伝えたそうです。予算確保の問題で二五年にずれ込む見込みだとも言われていますが、その後の報道によると、沖縄からグアムに移転する隊員は約四千名とその家族二千四百人であり、隊員五千名のうち千七百人がグアムに駐留し、残りは半年ごとのローテーションをするということです。  日本政府国民の税金から三千億円以上のグアム移転経費を支出しているわけですから、当然米軍に、グアム移転はいつから開始し、どの部隊を含む何人規模の移転がいつまでに完了するかという情報を聞くべきではありませんか。防衛省は情報を把握していますか。
  392. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 今御指摘の報道等によりますと、海兵隊約五千名のグアム移転ということが記述というか報道されているわけでございますけれども、そのことで申し上げますと、二〇一二年の四月の2プラス2共同発表におきまして、要員約九千名とその家族が沖縄から国外に移転するということになってございます。御指摘のとおりでございます。その中の九千名のうち、沖縄からグアムには約四千名の在沖米海兵隊の要員が移転すると。それとはまた別途、ハワイ、米本土等からグアムに約一千名の要員が移転する予定ということを確認してございますので、報道にありましたその五千という数字は、今申し上げたこの沖縄からグアムに行く四千とハワイ、米本土からグアムに行く一千名を足したもの、この総数について述べたものというふうに認識してございます。  御指摘のとおり、このグアム移転、これの早期の実現ということについては、米軍の抑止力を維持しつつ沖縄の負担軽減が早期に実現するため、可能な限り早い時期にこのグアム移転が完了するよう、引き続き日米間で緊密に協力しながら取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  393. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 緊密に協力しながらと言いながらも新聞報道でしか情報が取れないというのでは、やっぱりおかしいですよね、三千億円も出しておきながら。  そして、その移設する後の沖縄における在日米軍施設区域に関する統合計画というのも、現在、二〇一三年四月のものです。今まで八年近く政府は辺野古を唯一と言い続けておりますけれども、しかし、統合計画の更新とか十分されていません。  移設の最初の手順として、施設区域の目的や施設配置、軍隊の運用などを記したマスタープランを作成して、この計画に基づいて受け入れることとなりますが、二〇一三年十月から現時点までの間にマスタープランが未作成の施設区域はありますか。具体的にどこがまだ作られていないか、明らかにしてください。
  394. 鈴木敦夫

    政府参考人鈴木敦夫君) 二〇一三年、平成二十五年四月に発表した沖縄統合計画は、沖縄本島中南部の人口密集地に所在する嘉手納以南の米軍施設区域のうち約一千四十八ヘクタールを超える土地の返還を進めるものでございます。  沖縄統合計画に記載のあるマスタープラン、言わば配置計画でございますが、このうち、これまでにキャンプ瑞慶覧、キャンプ・ハンセン、トリイ通信施設、嘉手納弾薬庫地区、いわゆる知花地区でございますが、このマスタープランを日米合意してございます。  他方、キャンプ・シュワブ、キャンプ・コートニー、那覇港湾施設代替施設のマスタープランについては、現時点において日米間で合意しておりませんというのが現状でございます。
  395. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 現在、辺野古新基地を造っているのがまさにシュワブですよ。その工事が進んでいて、移転計画も、どんどん建物造られているのに、そこにマスタープランがないというのは全くおかしな話だと思います。シュワブのマスタープランを早期に作成するよう求めるべきではありませんか。キャンプ・シュワブ、あるいはハンセンが空きだらけ、あるいは米海兵隊にとって不要な施設になるのではありませんか。
  396. 土本英樹

    政府参考人(土本英樹君) まず、私の方からキャンプ・シュワブ関連で御答弁させていただきます。  マスタープランにつきましては米政府において作成されるものでございまして、キャンプ・シュワブのマスタープランについては、今答弁ありましたように、現時点において日米間で合意はされておりません。  キャンプ・シュワブにつきましては、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現すべく、日米間で配置等の調整、確認ができた施設から個々に日米合意を行い、工事を実施しているところでございます。  防衛省といたしましては、引き続き米国と緊密に連携を図りながら、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいる所存でございます。
  397. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 いや、今造っているのがキャンプ・シュワブなんですよ。つまり、工事が進行しているのにマスタープランがないというのはおかしな話で、つまり、それで両大臣に伺いますけれども、そもそもその統合計画はどうなっていくのか、キャンプ・シュワブ、どんな形になっていくのか、それもないままに造っているのではおかしいと思います。是非、両大臣には、それぞれの権能でマスタープランなりをしっかり作らせるという御決意を伺って終わりとしたいと思います。よろしくお願いします。
  398. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 時間が参りましたので、簡潔にお答え願います。
  399. 岸信夫

    国務大臣岸信夫君) キャンプ・シュワブについて、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現すべく、日米間で配置等の調整、確認ができた施設から個々に日米合意を行い、工事を実施しております。  防衛省としては、引き続き米国と緊密に連携を図りながら、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいりたいと思います。
  400. 茂木敏充

    国務大臣茂木敏充君) 普天間飛行場の一日も早い返還に向けて、全力で取り組んでまいります。
  401. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  防衛大臣及び政府参考人は御退席いただいて結構でございます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  402. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  私は、日本共産党を代表して、在日米軍駐留経費負担特別協定の改正議定書承認に反対の立場から討論を行います。  日本に思いやり予算を負担する義務は全くありません。日米地位協定第二十四条は、在日米軍維持経費日本国負担を掛けずに合衆国が負担すると明確に定めています。にもかかわらず、質疑指摘したように、政府は法的に容認されないと認識しながら、米国負担要求に応じるために協定解釈を曲げて、一九七八年に思いやりだとして基地労働者の福利費などの負担に踏み切り、一九八七年には特別協定締結しました。  政府は当初、特別協定は五年間に限る、その後は廃止されると強調したにもかかわらず、この言明に反して、暫定的、特例的、限定的な措置だとしながら、負担を継続するとともに、その対象を隊舎や家族住宅等の施設整備、給与本体、光熱水料、訓練移転費へと拡大させてきました。  一九七八年以降の負担総額は、二一年度予算案計上分を含め、実に七兆八千六百六十九億円に上ります。米国の要求に応じて道理のない巨額な負担を常態化させてきたというほかにありません。  質疑の中で、日米の役割分担の下で、HNSの適切な内容、水準となるよう対応するとの答弁がありましたが、そもそも条約上、日本負担義務がないものであり、適切な内容、水準などありません。  しかも、在日米軍基地は、安保条約範囲をはるかに超えて、世界的規模で米軍が自由に展開する基地となっています。このような負担を更に続けることは容認できません。  駐留経費負担について、政府が財政規律をもないがしろにしていることは重大な問題です。政府の財政制度審議会は、現行協定国会承認に先立つ二〇一五年十二月に、聖域視することなく見直しを行い、その縮減を図る必要があると指摘していました。しかし、協定はこれに何ら答えることなく、日本経費負担をそれ以前の水準よりも増やすものとなりました。  五年前と同様に、見直しも縮減も行うことなく協定を一年延長し、更に後年度についても交渉を行うというのは、駐留経費を聖域視していることにほかならず、断じて認められません。  以上述べて、反対討論を終わります。
  403. 小西洋之

    小西洋之君 私は、立憲民主・社民を代表して、議題特別協定改正議定書について、賛成の立場から討論いたします。  我が国は、特別議定書に基づき、長年にわたり他国に例のない割合の多額の駐留経費負担していますが、米国の重大な政権交代によるこの度の暫定的延長はやむを得ないものと考えます。また、この措置在日米軍基地で働く日本人従業員の雇用と暮らしを守る観点からも必要と理解いたします。  一方で、二〇二二年度以降の駐留経費の交渉に際しては、日米同盟の本質を踏まえた、主権国家として対等な交渉姿勢で臨むことを求めます。すなわち、在日米軍基地は、アジア太平洋から中東域に及ぶ米国の軍事的プレゼンスの基盤となっており、米国は、在日米軍基地なくして、これらの地域を含めた超大国としての地位と国益を保持できません。  我が国は、社会的に安定し、親米意識が高く、また優れた技術力や人的資源があり、年間二千億にも上る駐留経費負担し、そして、精強な自衛隊が我が国領土である在日米軍基地の防衛も担っているのであります。このような国を、アメリカは世界中のどこを探しても見付けることはできないのであります。  他方、それがゆえに、日本国民は、日米同盟の下、同盟のジレンマと言うべき在日米軍基地をめぐる軍事的リスクを抱えていることは厳然たる事実であるはずです。加えて、在日米軍基地をめぐっては、日米協定の多大なる制約、辺野古基地建設、横田空域、都心を含めた各地の訓練飛行、低空飛行、米軍人等による事故、犯罪、騒音、基地問題等々、深刻な諸課題が存在します。  政府は、昨日に施行五年となった違憲立法である安保法制に基づく自衛隊の任務拡大と日米の軍事的一体化を推し進めていますが、我が国が提供している在日米軍基地が一貫して米国にとって死活的と言えるほどに重要な意義を有することを日米間でしっかりと確認することが必要であり、その上で、直面する安全保障環境の下、在日米軍基地に起因する様々な問題を直視し、米国と対等に交渉を重ね、駐留経費を含めた個別の問題を一つ一つ適切に解決していくことこそ、健全な日米同盟の在り方と考える次第です。  憲法が立脚する立憲主義、法の支配の回復と、憲法の定める平和主義、国際協調主義に基づく外交安保の実行の決意を申し上げ、本改定議定書への賛成討論といたします。
  404. 伊波洋一

    ○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  在日米軍駐留経費負担に係る特別協定改正案に反対の立場から討論いたします。  現在、国、防衛大臣に雇用され、在日米軍基地で働く駐留軍労働者は、全国で約二万五千人、うち沖縄県で約九千人弱が勤務しています。  本特別協定は、駐留軍労働者の法的身分の安定、米軍基地の再編、統合から、駐留軍労働者の雇用と生活を守るという観点から一定の意義を有していることは理解しています。しかし、当初、暫定的、限定的、特例的な措置とされてきたものが、恒久的、無限定な措置となっています。訓練移転費、提供施設整備費などを含めて、本来在日米軍負担すべきものを日本が肩代わりする正当な理由は見当たりません。  また、日本の一人当たりのGDPは、二〇一八年のOECD調査によれば、OECD平均を下回り、韓国にも抜かれています。財政状況はGDP以上に深刻な状況にあることは言うまでもありません。  こうした中で、米軍駐留経費負担割合は、日本七四・五%、イタリア四一%、韓国四〇%、ドイツ三二・六%、イギリス二七・一%と、日本が突出して大きな割合を負担しています。このような過大な負担を継続する財政力が日本にあるという幻想を捨て、現状を直視すべきです。  米国防総省による世界的な戦力態勢見直しや、在沖縄海兵隊のグアム等への移転など、米軍再編によって在日米軍の駐留の在り方は大きく変化しています。最新の米軍米国軍事戦略である海洋圧力戦略は、中国のミサイルの長射程化、高性能化を正確に評価した上で、台湾有事などの第一段階では、米軍日本を含む第一列島線から撤退し、自衛隊など第一列島線の同盟国の部隊が標的になることを求めるシナリオを想定しています。  米軍駐留による基地負担、特に沖縄など、全国で展開される米軍機による超低空での飛行訓練などを見ても、平時の在日米軍の駐留が日本の安全に寄与しているとは言えません。思いやり予算を用意してまで米軍を引き止めることが、国民の生命、財産を守るという真の意味での安全保障につながるのか。対米追従を惰性的に継続するのではなく、再検討すべきです。  以上、反対の理由を述べ、討論を終わります。
  405. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並び日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  406. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  407. 長峯誠

    委員長長峯誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会