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国務大臣(
茂木敏充君) まず、一九五七年からもう六十三年たっているわけでありまして、当然、
国際社会を取り巻く環境というのは大きく変わってきている。当時でいいますと、五七年といいますと、ハンガリーの事件が起きたときでありますけれども、まさに東西冷戦構造真っただ中に入っていくと、こういう
状況でありました。それが一九八九年にソ連邦が崩壊をし、冷戦構造が崩れる。そして、特にこの十年ぐらいを見てみますと、
国際社会のパワーバランス、これが大きく変化をして、普遍的価値や既存の
国際秩序が挑戦を受ける中で、
日本外交の目的、これは当然、国益を確保し、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値観に基づいた、
日本にとって、さらには価値観を共有する
国々にとって望ましい
国際秩序を
維持し、発展をさせていくということだと
考えております。
その上で、
我が国が戦後一貫して平和国家としての歩みを続けてきた、これは事実でありまして、
国連中心主義、そしてまた自由主義諸国との協調、アジアの一員としての立場の堅持といった基本的な立場守りつつ、
国際情勢の変化に対応しながら
地域及び
国際の平和と安定に積極的に貢献をしてきたということでありまして、
国際協調を模索するとか、様々な基本的なラインといいますか、方針変わっているわけではありませんが、当然
国際環境というのは変わっておりますから、それに合わせて
外交の基本的な在り方というのも対応していかなけりゃいけないと思っております。
例えば、直近でいいますと、
新型コロナの世界的な感染拡大によりまして今まで以上に
国際協調求められる中で、
日本はこれまでも
国連を始めとする多国間の枠組みというのを重視をしてきたわけであります。昨日もルトノ
大臣と話をしたんですけれど、彼女も、このCOVAXファシリティーの途上国向けのAMC、中心的に
活動しているメンバーでありまして、この創設であったりとか、
日本が二億ドル拠出をしていると、こういったことについては高い評価もいただいているところであります。
こういった保健分野での貢献、さらに、
日本は、
国際社会の平和と安定に一層貢献するために、二〇二二年、
国連の安保理非常任理事国選挙での当選を目指し、そこの中でしっかり
活動をしていきたい、こういう思いは変わっておりません。
また、
我が国が提唱しております自由で開かれた
インド太平洋、これは
地域において法の支配を始めとする共通の価値や原則に基づく自由で開かれた秩序を実現することによりまして
地域と世界の平和と繁栄を確保するものであります。この構想を出しましたのが五年前です。二〇一六年、TICADⅥ、初めてアフリカのケニアで開催をしたときに
日本が提唱したわけでありますけれど、こういったものは、間違いなく今、日米豪印、さらには
ASEAN諸国、そして欧州、アフリカにも広がりつつあるということでありまして、そういった
意味で、元々
考えてきたこと、これは
国際社会の変化によって変わってきておりますけど、基本的な流れそのものを変えているということではないと思っております。
いずれにしても、ポストコロナに向けて、こういった自由で開かれた
インド太平洋、こういったビジョンの
意義、重要性はますます高まっておりまして、引き続き、
ASEANを始め、この
考え方、共有する
国々と協力を深めていきたいと思っております。