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2021-03-18 第204回国会 衆議院 経済産業委員会原子力問題調査特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年三月十八日(木曜日)     午後二時四十四分開議  出席委員   経済産業委員会    委員長 富田 茂之君    理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君    理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君    理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君    理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君       畦元 将吾君    穴見 陽一君       石川 昭政君    上野 宏史君       神山 佐市君    神田  裕君       工藤 彰三君    小林 鷹之君       佐々木 紀君    鈴木 淳司君       高木  啓君    辻  清人君       冨樫 博之君    西村 明宏君       星野 剛士君    三原 朝彦君       宗清 皇一君    八木 哲也君       落合 貴之君    菅  直人君       黒岩 宇洋君    松平 浩一君       宮川  伸君    山崎  誠君       高木美智代君    笠井  亮君       美延 映夫君    浅野  哲君       石崎  徹君   原子力問題調査特別委員会    委員長 渡辺 博道君    理事 伊藤 忠彦君 理事 江渡 聡徳君    理事 津島  淳君 理事 中村 裕之君    理事 細田 健一君 理事 長尾 秀樹君    理事 山内 康一君 理事 中野 洋昌君       井林 辰憲君    石川 昭政君       泉田 裕彦君    岩田 和親君       城内  実君    北村 誠吾君       齋藤  健君    斎藤 洋明君       土井  亨君    西田 昭二君       野中  厚君    福山  守君       古田 圭一君    星野 剛士君       三原 朝彦君    宮澤 博行君       簗  和生君    吉野 正芳君       阿部 知子君    荒井  聰君       菅  直人君    斉木 武志君       日吉 雄太君    宮川  伸君       山崎  誠君    伊佐 進一君       浮島 智子君    藤野 保史君       足立 康史君    浅野  哲君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    経済産業大臣政務官    宗清 皇一君    政府特別補佐人    (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           堀内 義規君    政府参考人    (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      松山 泰浩君    政府参考人    (原子力規制庁次長)   片山  啓君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房核物質放射線総括審議官) 山田 知穂君    参考人    (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)            小早川智明君    経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君    衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      飯野 伸夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  経済産業基本施策に関する件(東京電力柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護設備機能の一部喪失事案)      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

    富田委員長 これより経済産業委員会原子力問題調査特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  経済産業基本施策に関する件、特に東京電力柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護設備機能の一部喪失事案について調査を進めます。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林鷹之君。
  3. 小林鷹之

    小林(鷹)委員 自由民主党の小林鷹之です。  本来であれば、こうして質疑に立たせていただくのは大変ありがたいことなんですけれども、正直、今回は不本意でなりません。またか、これが多くの国民の率直な気持ちだと思います。  先月の予算委員会分科会でも、私、質疑に立たせていただきまして、そのときに、梶山大臣に、カーボンニュートラルを実現するには原発は不可欠なんだ、また、グリーン成長戦略原子力への依存度を可能な限り低減すると書かれているけれども、それはミスリーディングなんだ、そして、国民に対して正面から向き合い、もっと明確なメッセージを国として出す必要がある、私は大臣に対してそう申し上げたんです。  今回の報道に接したときに、本当にがっかりしましたし、正直、怒りが込み上げてまいりました。今日は、その気持ちを抑えつつ質疑に臨んでいます。  まず、東京電力に伺っていきます。  私たちは、福島第一原発事故を経験して以来、原発については、その再稼働を含めて、国民との信頼関係こそが基本であることを学んできたはずであります。特に、東電社員の皆さんは、この十年間、失われた信頼回復に向けて汗をかいてこられたわけです。  私の地元千葉県には原発はございません。ただ、一昨年、大きな台風被害に見舞われまして、大規模停電を含めた甚大なる被害が生じたときに、世の中から当時の対応には厳しい声がありましたけれども、その中で現場で必死になって対応に当たった多くの社員方々の姿を私は承知をしています。そういう姿がやはり信頼関係を築いていく原動力になるんだろうな、そのときはそう思っておりました。  しかし、昨年の九月にID紛失事案が起こって、その舌の根も乾かぬうちに今回の事案です。国民との信頼関係を大きく傷つけることになったと思います。この責任をどう感じていらっしゃるのか、国民皆様に対して語っていただきたいと思います。
  4. 小早川智明

    小早川参考人 東京電力ホールディングス社長小早川でございます。  柏崎刈羽原子力発電所において、ID不正使用に続き、核物質防護設備機能喪失に関して原子力規制委員会から大変厳しい評価結果の通知を受けたことにつきまして、大変重く受け止めております。また、安全対策工事の未完了を含め、地域の皆様を始め、広く社会の皆様に大変な御心配をおかけし、改めて深くおわびを申し上げます。  当社は、十年前の福島第一原子力発電所事故反省教訓に立ち、安全へのおごりや過信などについて社員全員が心の底から反省し、二度とあのような事故を起こさないと志を共有して、安全の向上に向けて、謙虚に一歩ずつ改革に取り組んでまいりました。  そうした中で今回の事案が起きてしまったことは私としても痛恨の極みであり、まず、福島事故反省教訓に立ち返り、なぜこうしたことができなかったのか、何が不足していたかなどについて、しっかり原点に立ち返り、徹底的に原因究明し、抜本的な対策を行っていくことが重要だと考えております。  こうした根本原因究明再発防止策をしっかりつくることが私の責務だと考えており、私が先頭に立ち、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  5. 小林鷹之

    小林(鷹)委員 ありがとうございます。再発防止策という言葉が空虚に聞こえてしまいますが。  次に、規制庁に伺います。  今回の案件をめぐり、明確にしなければならないと思うことは、東電特有の問題として捉えるべきなのか、あるいは我が国原子力業界全体の問題として捉えるべきなのか、その点でございます。今回のような事案、つまり重大インシデントにつながり得る問題の放置というのは、我が国の他の電力会社でも過去に起こったことがあるのか、また、これから起こることが容易に想定し得る類いのものなのか、規制庁見解を伺います。
  6. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  今回の問題の原因となったもの、これが東京電力固有のものであるのか、それとも、他の原子力事業者においても、潜在的なものも含めて、そういったものが他の事業者においても存在するのか。これは、原子力規制委員会も現在極めて高い、強い関心を持っているところであります。今回の事案検査を通じて、分析を通じて明らかにしていかなければならないこともたくさんあると思っています。  一方で、核物質防護に関わる問題も安全に関わる問題も、事案をその事業者特有のものだというふうに決めつけてかかってしまうのは危険な考え方であって、他の事業者においても問題はないのかということは大変重要ですので、現在、他の事業者においても、核物質防護上の劣化がないかどうかということに関しては調査を進めておりますし、また報告を求めているところであります。  今回の事案背景にどのような根本的な原因文化核セキュリティー文化劣化があったのか、これは、まず東京電力自身がしっかりと分析をして説明をするべきですし、また、私たちも、この検査を通じて、文化や姿勢というものは私たちが決めつけて押しつけても根づくものではありませんので、まずは東京電力がしっかりと自らを省みて分析をすることが重要であるというふうに考えております。
  7. 小林鷹之

    小林(鷹)委員 是非そこは明確にしていただきたいと思いまして、東電自体の企業のガバナンスの問題なのか、そうでないのか、これは今後の原子力産業全体の在り方にも関わってまいりますので、是非そこをしっかりと見極めていただきたいと思います。  次に、資料をお配りさせていただいていまして、資料一の上の方の表に太字で示しているんですけれども、この東電プレスリリースを読みますと、「当該箇所における不正侵入は確認されておりません。」とされているんですけれども、そもそも侵入検知設備故障していたわけですよね。なのに、どうやってそれを確認できたのか、また、一〇〇%なかったと言い切れるのか、東京電力に伺います。
  8. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  核セキュリティー観点から、様々な情報が明らかになること自体外部からの脅威になると考えられますので、確認方法の詳細につきましては差し控えさせていただきたいと思いますが、当該箇所侵入の痕跡がないことや他の防護装置により不正侵入者を確認できなかったことなどから総合的に判断させていただきました。
  9. 小林鷹之

    小林(鷹)委員 ちょっとよく分かりにくい答えですけれども、仮に一〇〇%とは言い切れないのであれば、もしそうだとすると、もっと事実に即した記述にすべきだと私は思いますよ。安全第一を旨とする原子力発電だからこそ、この事実を正確に報告すべきだと考えますので、是非そこは検討いただきたいと思います。  次に、核物質防護設備に入ることのできる社員あるいは警備員協力会社には、いわゆる炉規法の第六十八条の二で秘密保持義務がかけられています。それは懲役刑を含む罰則で担保されているんですけれども、一人一人のいわゆるバックグラウンドチェックというのは、どういう形でどの程度行われているのか、答えられる範囲で教えていただきたいと思います。
  10. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  まず、作業内容により立入り可能なエリアを区分けしております。また、常時立入りできる者に対しての証明書の発行に当たっては、対象者への個人信頼性確認を実施しております。この措置に、社員警備員及び協力会社の区別はございません。その上で、本人の入構の際に、認証装置の追加という改善策を加えております。  私からは以上でございます。
  11. 小林鷹之

    小林(鷹)委員 今、個人信頼性チェックをやられているということだったんですけれども、この配っているプレスリリースの、この資料一の下の方の太字なんですけれども、ここには、「社員警備員は、代替措置実効性がないことを認識していたにもかかわらず、改善していなかった」とされているんですね。  今、信頼性チェックをされているというふうにおっしゃいましたけれども、そういう認識の甘い人が通る程度の信頼性チェックで本当によいと思われますか。見解を教えていただきたいと思います。
  12. 小早川智明

    小早川参考人 今回の事案につきましては、現場職員意識、今先生から御質問のありましたように、なぜこういったものが是正できなかったのか、若しくは管理職現場職員との関係性、また組織ガバナンス在り方など、様々な観点からしっかりと原因究明する必要があると考えております。  今後、しっかりと今回の事案が発生した根本原因調査し、抜本的な対策を検討してまいりたいというふうに思います。
  13. 小林鷹之

    小林(鷹)委員 続いて参ります。  次に、規制庁に伺ってまいりたいと思います。  昨年、改正炉規法が施行されまして、新たな仕組みができたわけです。今回は、常駐検査官の方が抜き打ちチェックということで、東電東京電力体制の欠陥を見つけることができた。このことは、更田委員長記者会見でもおっしゃっておられましたけれども、これは非常によかったんだと思います。前進だと私も思います。  ただ、同時に、これで本当に十分なのか、これで済ませていいのか、ここについては、私、専門家ではないんですけれども、ちょっと腑に落ちないところがあるんですね。  それは、資料をお配りしておりまして、資料二の方なんですけれども、これは規制庁資料をちょっとこちらの方で少しつけ加えたものなんですが、まず、この上の方の表、色をつけてある表なんですけれども、ここで、核セキュリティー事案評価区分においては一番下の赤が最重要とされているんですけれども、今回の事案でいきなり何で赤になるのか、そこをちょっと教えていただきたいんですね。  つまり、私のような人間が普通に考えると、この表を見ると、いきなり赤になるんじゃなくて、何か事案が起きたときって、本当に特別な何かがあったらあれですけれども、白とかあるいはその次に黄色があって、最後に赤に到達すると考えてしまうんですよ。  そうすると、今回、赤ということになるとどうなるかというと、下の表六の一というところの赤で囲んだ部分をちょっと御覧いただきたいんですけれども、上の赤が一回あると、この上の「施設状態」というのが第四区分というところになるんですね。この第四区分というのは、ここに書いてあるとおり、「事業者が行う安全活動に長期間にわたる又は重大な劣化がある状態」というふうにされていまして、つまり、例えば長期間にわたる前にきちんと把握ができていれば、ここまでになることはなかったんじゃないかというふうに考えることもできるんです。  今日、資料としてはつけていないんですけれども、東京電力さんのプレスリリースを別途拝見したときに、クロノロジーがありまして、そこに、昨年の十月の十二日から十六日に東電から規制庁に二〇一九年度の報告があったともされています。事案から一年近くも見つからなかったというのは、私はちょっと不自然に感じてなりません。常駐検査官がいてよかったというのはあると思うんですけれども、そこで止まるんじゃなくて、改善すべき点を規制庁としてももっと真剣に考えるべきじゃないかと思うんですが、規制庁考え方をお伺いします。
  14. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 まず、核物質防護について規制当局が各事業者法律上要求しているものは、例えば、侵入を検知するための設備故障があったからといって、すぐに通報を求めているわけではありません。義務として課せられているのは、故障などが生じたときにその機能を補うための代替措置をしっかりと取る、これは事業者責任において行うことが義務づけられています。  東京電力のケースでいいますと、機器の故障はあったとして、それは法律上は規制当局にすぐ通報するものではなくて、自らの責任代替措置を取っていればいい。今回の事案は、故障が起きていたこと自身というよりは、故障が長い期間復旧されなかったこと、さらに、その期間における代替措置が極めて不十分なものであったことにあります。  日常の検査において核物質防護上の侵入検知というのは非常に多数にわたりますし、全体の背景になるところは私たち監視をしておりますけれども、個々の箇所における故障回復であるとか代替措置というのは、これは事業者責任としてあるものだというふうに理解をしています。
  15. 小林鷹之

    小林(鷹)委員 説明は分かりました。  ただ、私は、規制庁方々というのはそれだけ重い責任を担っていただいていると思っています。なので、東京電力に厳しく対応するだけではなくて、国民の安全と信頼を更に確保する観点から、規制庁自身に何ができるのか、何が必要なのかということを、これを機に徹底的に考えて対応いただきたいと思います。  いずれにしても、今回の件の再発防止につきましては、もう答えを求めることはいたしませんが、テクノロジーが進んだ時代ですので、人の手を介するものというのはできるだけ自動化機械化をして、ヒューマンエラーをできるだけ少なくしていく、それが私は取るべき道だというふうに思っています。  最後に、大臣に伺います。  昨年末に、自民党の新国際秩序創造戦略本部で、ここにいる山際大志郎筆頭理事始め同僚議員とともに提言をまとめまして、その中に戦略的自律性という概念を盛り込みました。  これは、端的に申し上げれば、国家の脆弱性を解消するということで、いかなる事態が生じても国民生活を維持していく、維持できるように、その基盤となる産業について、精緻なリスクシナリオを作って、そして脆弱性をあぶり出し、それを解消していく。その作業を今各省庁にお願いをしています。  エネルギー産業は、各産業の中でも最も重要な産業一つであって、原子力産業というのはその中でも一番重要な産業一つだと思います。既にきちんとしたリスクシナリオがあれば、今回のような、更田委員長言葉をかりれば、非常にお粗末な対応は起こらなかったと考えますけれども、大臣として、この原発事業所管するお立場として、今回の件は経産省の所管でなかった、所管とはまた別というふうには理解していますけれども、政治家として、また原発事業所管するお立場として、原発リスクシナリオについてどう考えておられるのか、見解を伺います。
  16. 梶山弘志

    梶山国務大臣 原子力の活用に当たりましては、核物質に関する情報の漏えいや不審者の敷地内への侵入など様々なリスクへの対応に備えることが重要であることは、私が言うまでもありません。  いかなるプラントであっても、リスクがないと安易に言い切ることはむしろ危険であります。委員御指摘のように、あらかじめリスクシナリオを想定し、それに備えた現実的な対応策を定めておくことは、極めて重要であると考えております。  今般、東京電力において核物質防護に関し最も厳しい評価となる事案が発生したことは、大変遺憾であります。核物質防護の確保は原子力事業者基本であり、深刻に受け止めているところであります。  そのため、資源エネルギー庁長官から一昨日、小早川社長に対して、原子力規制委員会監視の下、経営陣を含む組織全体で危機感を持ち、核セキュリティーに対する職員意識等根本原因究明し、抜本的な対策を講じるよう、厳しく指導をしたところであります。  また、東京電力だけでなく業界全体に対して、核物質防護対応の徹底を求めていく指導をしたところであります。  東京電力において、今後の原子力規制委員会検査にしっかりと対応していただきたいと思っておりますけれども、経済産業省としても、リスクシナリオを策定しておくことで、改めて東京電力の取組をしっかりと指導監督をしてまいりたいと思っております。  まず、検査がありますけれども、その検査で、原因究明、また原因を克服するためにどうしたらいいのか、さらには核物質防護をしっかりやるための体制というものもしっかり考えた上で、委員おっしゃるように、機械の力をかりる、また外部の力をかりることも含めて、しっかりと対応できるようにしてまいりたいと考えております。
  17. 小林鷹之

    小林(鷹)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  18. 富田茂之

    富田委員長 次に、細田健一君。
  19. 細田健一

    細田(健)委員 質問の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。両委員長を始め関係者皆様に心から御礼を申し上げます。  先ほど小林委員もおっしゃっておられましたけれども、私も、この場に立たせていただいて、ある意味本当に残念です。残念でたまりません。  本来であれば、こういう国会の諸先生方おそろいの貴重な場を使って、例えば、二〇五〇年のカーボンニュートラルの目標を踏まえて今後どうエネルギー政策を構築していくか、その中で原子力をどう位置づけるか、あるいは、日本は非常にエネルギー地政学的に脆弱な存在だと思いますけれども、弱い立場にある日本がどうエネルギー外交を進めていくか。あるいは、そういう状況の中で、中国が百基以上の原子力発電所の新設を進めるという計画を立てていて、今日午前中に自民党会議で九州の国会議員の方が、何か事故があったら本当にどうするんだ、これこそ日本安全保障政策そのものじゃないかというようなお話もありましたけれども。本来であれば、こういう国会の貴重な場を使って、そういう前向きな議論を行うべきだと思っています。  しかし、こういう不祥事対応に力を注がなければならない。これは本当に残念ですし、また、こういうことを引き起こした東京電力には猛省を求めたいというふうに思っています。  今日のテーマに移りますけれども、核物質防護設備機能の一部喪失に係る事案について、安全重要度評価、赤との暫定評価結果が公表された。東京電力がこの評価を受け入れるということで、確定するということのようでございますけれども。  まず、規制庁にお伺いをいたします。今般このようないわゆる最も最低の評価を下した理由と、今後の対応はどうなのかということを御説明ください。     〔富田委員長退席渡辺委員長着席
  20. 山田知穂

    山田政府参考人 東京電力柏崎刈羽原子力発電所では、核物質防護設備機能の一部が喪失し、実効性がある代替措置を講じていなかったことから、令和二年三月以降、複数箇所において不正な侵入を検知できない可能性がある状態となっておりました。また、組織として核物質防護設備復旧必要性を認識していたにもかかわらず、復旧に長期間を要していたことに加え、東京電力社員警備員代替措置実効性がないことを認識していたにもかかわらず、改善しておりませんでした。結果として、不正な侵入を検知できない可能性がある状態が三十日を超えている箇所複数ございました。  さらに、平成三十年一月から令和二年三月までの間においても、柏崎刈羽原子力発電所核物質防護設備機能の一部喪失複数箇所で発生し、復旧に長期間を要しておりました。  このような事案を踏まえ、重要度評価、赤との暫定評価を行ったところでございます。  今後、この暫定評価については、原子力規制委員会で確定をした上で、検査区分が変更になりまして、強化した検査を実施していくことになります。
  21. 細田健一

    細田(健)委員 本当に、何をやっているんだということなわけです。  これも先ほどお話がございましたけれども、これだけではないわけですね。ここ一年以内に、例えば、必要な安全対策工事の見落としがあったとか、あるいはID不正使用によって原子力発電施設の中枢の地区に人が入ったとか、そういう事案が続いて起こっているわけです。  今回の事案で、地元では、東電原子力発電施設はもう任せられないんじゃないか、あるいは、東電原子力発電施設を運営する資格がないんじゃないかというような声が沸き起こっておりまして、私もこれは当然のことだと思います。  まずは、東電、あるいは規制庁、そして今日、経産大臣にもお越しになっていただいていますけれども、とにかくまず徹底した原因究明をお願いしたいと思います。その結果に沿って我々地元人間にきちんと腹に落ちる再発防止策を、言葉じゃなくて、実際に我々が聞いて、これなら納得できるという再発防止策をきちんと取っていただきたいと思います。  また、規制庁も経産省も、東電任せにせずに、自分のこととして是非対応いただきたいというふうに思っております。  東京電力は、生まれ変わるぐらいの、このせりふも実は何回も聞いているんですけれども、企業風土を徹底的に見直して、全く新しい企業をつくるというくらいの気持ちで是非取り組んでいただきたいというふうに思います。  原子力発電施設の一義的な安全確保の責任というのは事業者にあるわけです。事業者が運営をしていますし、当然一番詳しいですから、まずは一義的に事業者責任があるわけなんですけれども。ですから、それだけ、より東京電力責任というのは大きいわけでございまして、是非この責任の大きさというのをきちんと腹に収めていただきたいというふうに思っています。  ここで、更田委員長に是非お伺いしたいんですけれども。委員長、今回の一連の事案東電スペシャルじゃないかというようなお話もございました。まさにマイナスからのスタートと言っていいんでしょうか、全く新しい組織をつくるような形で、企業風土も抜本的に変えるという形で東京電力は自ら省みなければならないと思いますけれども。更田委員長、これから東電はどうすべきなのかということですね、これを素直に語っていただければと思います。
  22. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  私たち規制当局ですので、企業としての東京電力在り方について、これについてコメントすべき立場にないとは思いますが、ただ、今回の事案は、重大であるからこそ、企業の姿勢であるとか管理者の姿勢、企業文化、安全文化に係るところへ深く掘り下げて分析をする必要があると思っています。  一方で、規制当局やあるいは経済産業省が、原因はこれであるとか、抜本的な対策はこうすべきであるとかというのを決めつけて、東京電力にそれを強いたところで、決してそれは東京電力に根づくものになりませんので、まずは東京電力がしっかりと自ら省みて、原因、そして姿勢に誤ったところ、足らざるところがあったというのを自らしっかり特定をすることが必要であろうと思います。また、その過程において私たちとの間のコミュニケーションが必要であれば、これはしっかり行っていきたいというふうに考えております。
  23. 細田健一

    細田(健)委員 ありがとうございました。  今のお話は腑に落ちるところもございますけれども、ただ、やはり一連の事案で感じるのは、いわゆる安全文化といいますか、安全風土といいますか、委員長もよく御認識だと思うんですけれども、そこに何か決定的に欠落しているものがあるんじゃないかというような懸念が非常に強くあるわけでして、委員長もそういう懸念は共有いただけるんじゃないかと思うんですね。  ですから、そこの部分は、まあ、確かに、当事者が考えて自ら変わるということが最も有効であるということは私もよく理解はできますけれども、ただ、それが、何といいますか、東電任せということでなく、そこは是非、ある意味寄り添ってという言葉がいいのかどうか分かりませんけれども、是非きちんと、知恵と心を働かせながら、規制庁としてもきちんと御指導いただきたいというふうに思います。それは改めて心からお願いをしたいと思います。  先ほど、地元の状況について申し上げました。  例えば、花角新潟県知事は、東京電力原子力発電事業者としての適格性について、審査をし直すべきじゃないかというふうにおっしゃっておられます。これはある意味、先ほどから申し上げているように、東京電力原子力事業者としての適格性に知事が疑問を突きつけたということだと理解をしております。知事は県民の代表ですし、また御存じのとおり安全協定の当事者でもあって、私はこれは、知事がこういうことをおっしゃっておられるというのは非常に重い意味があるというふうに思います。  これは、もう社長は十分御理解いただいていると思いますけれども、とにかく原子力事業というのは地元との信頼関係がなければ成り立ちません。地元が、東京電力頑張れ、是非きちんと事業を進めてくれということでなければ、東電原子力事業というのは一歩も前に進まないわけでございまして、そういう意味では、私は、今、原子力事業者としての東京電力というのは存続の瀬戸際にあるというふうに思っています。  社長に是非御理解をいただきたいんですけれども、私の地元、柏崎刈羽地区、長い年月、体を張って、国のエネルギー政策あるいは東京電力に期待して協力してきた方々、こういう方々は本当にたくさんいらっしゃいます。本当に数多くの方が、長年にわたって体を張って頑張ってこられました。中には親子二代にわたって、東京電力あるいは国の原子力エネルギー政策に本当に期待をし、また協力してこられた方というのがいらっしゃいます。こういう方々の思いを無にしないでいただきたいんですね。こういう方々のその思いにきちんと応えていただきたい。これが私の心からのお願いでありまして、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。  今申し上げたように、東京電力が引き続き地元原子力発電事業者としてやっていこうと思うのであれば、地元との信頼関係の再構築というのが必要不可欠であると思います。これは是非きちんと、背水の陣で取り組んでいただきたいと思いますけれども、小早川社長の決意をお伺いしたいと思います。
  24. 小早川智明

    小早川参考人 ただいまの細田先生からのお言葉一つ一つを本当に重く受け止めます。  この度は、当社に期待をしていただき、御支援、御指導いただいた地元の方の御期待も裏切ることとなり、大変重く受け止めております。  また、地元の御信頼なくしては原子力事業を続けていかれないものだと承知しております。本当に、地元皆様を始め広く社会の皆様に大変な御心配をおかけする事態となり、深くおわびを申し上げたいと思います。  当社はこれまで、社員全員福島原子力発電所事故を経験し、この事故のような重大なものを二度と起こさないという安全に対する志を共有し、改革に取り組んでまいりました。そうした中で今回のような事案が起きてしまったことは、私としても痛恨の極みでございます。  今回の事案だけでなく、ID不正使用、また工事未完了の問題などを含めて、現場である発電所自らが核セキュリティーや安全意識組織文化をしっかりと改革し、つくり直していかなきゃならない、そういうふうに考えております。そのために、まず根本的な原因究明し、現場任せにせず、組織全体として体制強化を図るなど、抜本的な対策を講じていく必要があると考えております。  また、先ほどからの繰り返しになりますが、地元皆様の御心配や御懸念を真摯にお伺いし、当社の取組についてもしっかりと丁寧に御説明してまいりたいと考えております。  今後、現場には経営資源を最大限投入し、私自身現場に足を運び、現場任せにせず、発電所の体制を一緒になってつくり直し、その実績を地元皆様にお示ししていく所存でございます。しっかりと立て直してまいりたいと思います。
  25. 細田健一

    細田(健)委員 私も地元東電社員の方とおつき合いもあり、本当に信頼回復ということで、例えば一軒一軒戸別に訪問して、いろいろな説明をしておられる、あるいは、その中でいろいろ大変なこともあるというようなこともお伺いをしているんですね。  ただ、何といいますか、やはり、こう何回もあるということは、根本的に何か理由があると思います。これは安全文化の問題かもしれませんし、あるいは、場合によっては社会のルールよりも社内のルールを優先するようなことがあるのかもしれません。  ですから、これも繰り返しなんですけれども、とにかく徹底的に、徹底的にまず原因究明をやる、その上で、それをきちんと潰していく。そういう原因を、根本的な原因に遡って、それをきちんと一つ一つ潰していくということ、そして、それを我々地元人間に腹に落ちるようにきちんと説明をいただくということ、これを本当に是非きちんとお約束をいただきたいというふうに思います。  最後大臣にお伺いをいたします。  これは、大臣自身も立地自治体の御出身で、よく御理解をいただいていると思いますけれども、これも先ほどと同じですね、国の原子力政策の遂行も、やはり地元の理解がなければ一歩も進まないというふうに思います。  今、東京電力もそうですけれども、地元信頼というものは本当に非常に崩れている、非常に危ない状況になっていると私は思います。  一義的には、確かに、立地自治体と事業者との信頼関係の構築というのは東京電力責任でありますけれども、しかし、やはり国のエネルギー政策全体に対する信頼、あるいは原子力の重要性の位置づけでありますとか、それをなぜやらなきゃいかぬのかということ、こういうことをやはり、経済産業省は省を挙げて、地元との信頼関係の構築に努めて、きっちりとやっていただかなければならないと思います。  これは本当に、大臣、是非強いリーダーシップを取っていただいて、地元との信頼関係の構築に努めていただきたいと思います。その点についての大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  26. 梶山弘志

    梶山国務大臣 細田委員おっしゃるとおり、また、私が申すまでもなく、原子力を含むエネルギー政策を進めるためには、その立地地域の方々信頼が不可欠であります。  核物質防護に関して最も厳しい評価となる事案が発生したことは大変遺憾であり、私自身、大変残念に思っているところであります。  根本的な原因究明していく、そして、現場の実態をトップを含めて組織がしっかりと同時に把握できるような体制をどうしたら構築できるかということも含めて、今後考えていかなければならないと思いますし、経済産業省としても、それぞれの立地地域の方々、また、この柏崎刈羽の方々日本エネルギー政策原子力政策を理解していただけるように、しっかりと対策をして、対応をしてまいりたいと思っております。  まずは、一義的には東電にしっかりと対応していただく。そして、私どもも、ちょうどエネルギー政策の今変わり目だと思うんですね、こういったことも含めて、しっかりと国の政策を説明していく必要性というのを十分に感じております。
  27. 細田健一

    細田(健)委員 二度とこのようなことが起きないように、また、二度と地元信頼を裏切ることがないように、東京電力、また規制庁経済産業省、それぞれ頑張っていただくよう改めて心からお願いをいたしまして、私の質疑を終わります。  ありがとうございました。
  28. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、中野洋昌君。
  29. 中野洋昌

    中野委員 公明党の中野洋昌でございます。  早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。  冒頭に、東京電力の方に質問をさせていただきます。  今回の柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護設備機能の一部喪失事案ということで報告を受けました。核セキュリティーの件でありますので、概要の報告ということで受けておりますけれども、私は、しかし、これは余りにもずさんな状況であるということで、憤りを感ぜざるを得ないと思います。  私、政務官として、原子力災害からの復興ということにも携わらせていただきました。被災をされた自治体にも何度となく足を運び、原子力災害からの復興という、まさにこの困難に立ち向かっていく被災自治体の皆様と一緒に仕事をさせていただきました。現地では、多くの東電の方も復興に携わられておりました。  現場では大変頑張っていただいているというふうに思いますけれども、しかし、今回の事案を聞くと、果たして柏崎刈羽の問題なのか、あるいは東電の全体のマネジメントの問題なのか、やはり組織の隅々まで、原子力事故を起こした事業者である、福島の復興をやっていかないといけない、こういう意識が共有をされていないのではないか、こういう思いに至らざるを得ません。  そういう中で、今回の事案をどう受け止めておられるか、東京電力にお伺いをしたいというふうに思います。
  30. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  当社は、十年前の福島第一原子力発電所事故を起こした企業でございます。本当に、その反省教訓というのを骨身にしみて、社員一同、そのときの安全に対するおごりや過信、こういったものについて心の底から反省し、二度とあのような事故を起こさないと志を共有して、しっかりと謙虚に改革に取り組んでおりました。こうした中で、今回の事案の発生につきましては、私としても痛恨の極みであります。  まずは、本当に何が間違っていたのか、何か足りなかったことがあるのではないか、こういったことも含めて、しっかりと根本的な原因究明が必要だというふうに考えております。今後しっかりと背景要因を含めて調査し、抜本的な対策をしっかり講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  31. 中野洋昌

    中野委員 抜本的な原因究明が必要という中で、やはり、先ほど来お話が出ております、どうしてこういう甘い認識というか、組織の中に安全意識というものが果たして根づいていかないのか。これは、事故を起こした後にももう幾度となくこういうお話がありまして、東京電力自身も、原子力安全文化組織全体に浸透させる取組を進めるというふうに、事故後も何度も何度も、会社自身も言っておったと思います。  しかし、その中でまたこういうことが起きてしまった、本当にそういう取組ができているのか、安全管理の体制が組めていなかったのではないか、そういう思いであります。原因究明する中で、やはり東電だけで本当にこの改革ができるのか。私は、第三者の目も入れて、これは徹底的に検証していかないといけない、そして、うみを出し切って、抜本的な対策というものを講じていかなければ、国民信頼というのは決して得られないのではないかというふうに思っております。  こうした検証あるいは対策、これについて今後どう対応されるのか、お伺いをしたいと思います。
  32. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  先生の御指摘のとおり、今後の調査、改善を行うに当たっては、第三者からの助言は大変重要だと考えております。  一方、核セキュリティーにつきましては、外部からの脅威に対して慎重に対応せざるを得ず、悩ましいものがあると考えております。  例えば、御自宅にあるホームセキュリティーみたいなものをお考えいただければと思うんですけれども、鍵がどういう形をしているかとか、センサーがどういう形をしているか、どういう防御だと有効か、何はいつ壊れてどう直るのかみたいなものというのが、こういう情報一つ一つがやはり外部脅威に対するリスク要因になるというところも考えて、こういった脅威にさらされるという可能性も含めて慎重に対応していく必要があると考えております。  こういった制約の中でもセキュリティーの強化を図っていく必要があると考えており、社外の有識者から第三者の視点での助言や、他社の好事例など取り組む仕組みについて、様々な、こういった制約の中でもしっかりと取り入れてまいりたいと考えております。今後とも、慎重に対応してまいりたいと考えております。
  33. 中野洋昌

    中野委員 規制委員会の方にもお伺いをしたいというふうに思います。  今回、東電事案、保安規定と、今回、核物質の方の防護の規定ということで、規制の種類ということで、核物質の防護の規定の方の違反であるというふうに認識をしております。これは、核セキュリティーという考え方がしっかりしているのか、核セキュリティー文化というものが、原子力を取り扱う事業者としてしっかり持っているのか、こういう観点であるというふうに思います。その中で、これがきちんとできていない、これは非常に深刻な問題であるというふうに思います。  そういう意味では、今回の事例を受けて、やはり他の原子力事業者についてもしっかりとチェックを進めていくべきではないかと思います。もちろん、今回のような深刻な違反事例というのはないかもしれません。しかし、その中で、やはり、検査の指摘事項の中で、重要度に応じて、緑から白、黄色、赤というふうに、いろいろなレベルの指摘というものもあるというふうに思います。  他の事業者核物質の防護措置の遵守状況、これについて今どうなっているのか、あるいは、今後、こうした今回の事案も受けて、しっかりとチェックを更に行っていくべきではないかと思いますけれども、対応をお伺いいたします。
  34. 山田知穂

    山田政府参考人 令和二年四月から新たな検査制度が導入、施行されておりまして、核物質防護規定違反については、重要度を評価する仕組みが導入されております。この検査制度が施行されて以降、重要度白及び赤に至った評価は、他の事業者においてはございません。  今回の東京電力柏崎刈羽原子力発電所核物質防護設備機能の一部喪失事案を踏まえ、他の事業者に対しても同様の事案がないか確認をし、同様事案がある場合は速やかに報告するところを求めているところでございますけれども、現在まで、事案発生は確認されていないところでございます。
  35. 中野洋昌

    中野委員 ちなみに、白と赤はないというお話だったんですけれども、緑の事項というのはどのくらいあるのかという数字は今ございますか。
  36. 山田知穂

    山田政府参考人 緑の事項は存在をしておりますけれども、申し訳ございません、今、数は、正確なところは数字を持っておりません。
  37. 中野洋昌

    中野委員 白と赤、重要度に応じてということで、緑というのは限定的かつ極めて小さな指摘ということではありますけれども、私、思いますのが、今回、原子力規制庁検査の中でこの東電事案というのが発見されたものでありまして、そういう意味では、しっかりと検査の中で発見をされたことは、やはりしっかり検査体制機能しているということなのかというふうにも思っております。  原子力規制庁、発足以来、新規制基準をつくり、規制という意味でしっかり強化をしていく、信頼に足る厳しい規制をしていくということもやってまいりましたけれども、それを実際に運用している原子力事業者を日常的にチェックをする、この検査も非常に大事である、こういう観点から、検査体制の強化というものも順次行ってきたということを承知しております。  今年度から、新たな原子力規制検査というものが始まっております。検査官現場常駐をする。今までは、どちらかというと、決まったタイミングでチェックリストをチェックしていくような、そういう検査であったというふうに思いますけれども、フリーアクセスである、いつでもどこでも何でも、しっかり検査チェックが届く、こういう体制検査体制の強化というのを順次図っているというふうに思っております。  他方で、これは私の認識がもし少し違うようであればそれも指摘いただきたいんですけれども、検査職員がフリーアクセスでずっと見ているものについては、あくまで保安の規定の部分、どちらかというと原子炉の運転のところをチェックされていて、核物質防護のものに関しては、どちらかというとそれを専門的にチェックをしているような形でやっておるのかなというふうに、ちょっと状況を伺って思ったものですけれども。  こうした今回の東電のような事故、それに至るまでの端緒というものは恐らくいろいろ、しっかり見ていけばあるんだというふうに思います。さっきも、緑の、非常に軽微なものというのは指摘事項としては今まで存在もしているというふうにおっしゃっておりましたので、やはり、この核物質防護というものについても、常にチェックが利くような体制、そして常に改善を図っていけるような体制というものを講じていった方が私はいいのではないかというふうに思っておりまして、そういう意味では、今後の検査在り方についても更に強化をしていくべきではないかと思うんですけれども、これについてどう考えられるか、答弁いただきます。
  38. 山田知穂

    山田政府参考人 核物質防護に関する検査につきましては、情報管理の必要性ですとか専門的能力が必要であるということを踏まえまして、原子力規制庁の本庁から検査官が参りまして、チーム検査としてこれまで検査を実施してきております。  一方、核物質防護において、事業者が自ら把握し管理している不適合事案監視をどのように行うのかについては、先生今御指摘をいただきましたとおり、セーフティーの方については検査事務所の検査官検査をしておりますけれども、核物質防護の分野におきましても改善の余地はあるというふうには考えておりまして、原子力規制事務所に所属する常駐検査官の活用も含めて検討してまいりたいというふうに考えてございます。
  39. 中野洋昌

    中野委員 なかなか、核セキュリティーになりますと、やはりチェックをする内容というのもかなり専門的になったり、通常の検査だけでもかなりの負担があったりと、どういう体制でやっていくかというのは非常に検討を様々要するものがあるかというふうには思うんですけれども、やはり、今回、規制庁の取組の大きな一つとして、検査体制の強化というのがやはり今年度からの大きな重要事項だと思いますので、これについても是非しっかりと検討していっていただきたいというふうに思います。  続きまして、更田委員長にもお伺いをしたいんですけれども、今回、私、こうした事案をお伺いしておりまして、やはり、今回、核物質防護ということなので、核セキュリティー文化というものがしっかり、果たして東京電力に根づいているものなのかどうなのか。そして、今回の事案が、現場だけの問題なのか、あるいは、そのマネジメント全体も含めて、企業全体の取組として果たして欠けていたのかどうなのか。  こういうことは、今後の様々なチェックを、検証を踏まえてでないと判断はできないのかもしれないんですけれども、今回は、特に原子力事故を起こした東京電力の問題でありますので、その事故を踏まえて、東京電力は、かつては事故現場責任で、組織内で継続的に安全を高める取組が実践されてこなかったので、これを改善していきますというふうにやってきた中でのこういうことでございます。二度と事故を起こさないために、いろいろな原子力の規制の制度もつくってきたものだというふうにも思っております。  しかし、こういう今回の事案を見ると、経営層のマネジメントとして、この核セキュリティー文化を果たして組織全体に浸透する取組というのが行えていないのではないか、こういう疑念を持たざるを得ないわけであります。そして、この原子力の規制を通じて、核セキュリティー文化がしっかり根づいているかどうかというのも、果たして本当にチェックできていたのかということも考えないといけないのではないかとも思います。  もちろん、原子炉の運転については、安全の問題で、核のセキュリティーとは少し違うとおっしゃる方もいるかもしれませんけれども、しかし、やはりこれは、片方ができていて片方ができないというよりは、どちらかができていなければ、もちろん安全の方も同じようにおろそかになっているのではないかと考えるのがやはり自然でありまして、こうした点から、本当にこの核のセキュリティーの文化組織全体に果たして浸透しているのか、あるいはそれがしっかりチェックできている規制の在り方になっているのか、こういう点について委員長としてどうお感じなのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  40. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 今回の東京電力柏崎刈羽原子力発電所における事案は、設備故障があって、その復旧必要性を認識していたにもかかわらず、復旧に長期間を要した。さらに、故障している場合は代替措置を取らなければいけないということを当然責任として理解をしていたはずで、さらに、代替措置が十分ではないという認識が一部にはあったにもかかわらず、実効性のある代替措置を取れていなかった。これがまた複数であり、かつ長期間であったことを考えれば、その背景核セキュリティー文化劣化があったというふうに考えざるを得ないというふうに思います。  一方で、今非常に難しいといいますか、原子力規制委員会にとっても大きな一つの問題意識になっておりますのは、安全に関わる事項というのは、かなりの部分、ほとんどの部分、公開で議論ができます。情報の共有もできますし、社会に向けて発信することができます。ですから、安全文化については、多くの目で見張ること、社会からの監視もありますし、私たちもコミュニケーションしやすいですので、安全の議論というのはしやすいですが、一方、核セキュリティー文化、特に核セキュリティーに関わるものの具体については、情報の共有が極めて限られる。  したがって、核物質防護そのもの、核セキュリティー、テロ対策について公開の席で議論がしづらいところ、これが、例えば組織において、核セキュリティーに関する組織の管理層において、核物質防護が盲点になってしまわないか、それから、この議論のしにくさが、核セキュリティー文化劣化をつかまえるという上で不利なことにならないか、この点については懸念を持っておりまして、今後、核セキュリティー情報の扱いであるとか、組織の中での共有の在り方、特に、これは一つ反省としては、核物質防護に対しては原子力規制庁事務局として動いておりますけれども、委員会の関与を核物質防護事例に関しては強めるべきであるというふうに考えております。
  41. 中野洋昌

    中野委員 今回の事案を受け、原因の検証、そしてうみを出し切る再発防止策、そしてまた規制の在り方も含めて、ちょっと様々またしっかり対応していかないといけない、そうする中で国民信頼をまた取り戻していかないといけない、こういうふうに強く感じております。  最後に、梶山大臣にお伺いをいたします。  東京電力福島第一原発の廃炉もまさにやっております。これは、復興の大前提で、必ず進めていかなければいけないと思っております。  こうした今回の東京電力の問題で廃炉が遅れてしまうということになると、やはり復興そのものにも大きな影響を与えかねないということで、やはり安全、着実にこれが進んでいくように、東京電力へのチェックというのも強化をしながら、経済産業大臣としてしっかり指導し、そして復興を進めていっていただきたい、このように思っております。  大臣から最後に、その点をお伺いしたいと思います。
  42. 梶山弘志

    梶山国務大臣 福島第一原発の廃炉は、福島の復興の大前提であります。引き続き、国が前面に立って、着実に進めてまいりたいと思っております。  また、福島第一原発の廃炉に当たっては、核物質防護や安全確保は最優先でもあります。これまでも、原子力規制委員会による許認可やIAEAによる定期的な調査など、第三者の目を入れながら着実に取り組んでまいりました。  また、柏崎刈羽原発において今回の核物質防護上の事案が発生したものの、原子力規制委員会において、福島第一原発の廃炉作業の安全性を確保するための規制上の対応は、引き続き従前どおりに実施されると承知をしているところであります。  東京電力が今回の事案を真摯に反省し、厳しい安全確保を徹底しながら、福島への責任を今後もしっかりと果たしていくよう、経済産業省としても厳格に指導し、またしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  43. 中野洋昌

    中野委員 以上で終わります。  ありがとうございました。
  44. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、黒岩宇洋君。
  45. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 立憲民主党・無所属の黒岩宇洋でございます。  今日は、柏崎刈羽原発、このゆゆしき事案について、主に小早川社長、お見えなので、お聞きをしていきたいと思っております。  私は新潟県選出の議員ですので、昨年のIDの不正入室、この問題でも、新潟県内ですと、地元の新聞では一面で扱われている。大変みんな驚いている。そんな状況の中で、今回は長期にわたってテロが侵入し放題だったという。これは、新聞でも一面、トップどころか、ほぼ丸々一面の記事になるわけですよ。椅子に座っている人は崩れ落ちそうになるし、こたつに入っている人は腰が抜けそうな、こんな衝撃的な問題に、私はやはり、どうは言ってもトップの責任というのは大変重要だと思っております。  その点を、事案を確認しながら質疑をしていきたいと思っております。  それでは、今回、規制庁報告では、東電は、組織として核物質防護設備復旧必要性を認識していたにもかかわらず、復旧に長時間を要していたという指摘ですけれども、小早川社長、最も長い期間、この復旧にかかった、これは長い箇所でどのくらい時間がかかって復旧したんですか。     〔渡辺委員長退席、富田委員長着席〕
  46. 小早川智明

    小早川参考人 今回の調査で、復旧に時間を要しているという、不正な侵入を検知できない期間としては三十日以上が十か所あるということが判明しておりますが、最長の期間などのことにつきましては、核セキュリティーの関係上、差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  47. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 核セキュリティーの問題。これ、少なくとも、今回の報告書の中で、昨年の三月から約一年にわたって、これは検知システム本体、これ自体にも欠陥があるし、そしてその代替措置実効性も欠落していたと。一年間ですね。  ですから、その中のどれが三十日以上で、二か月なのか半年なのかということは、今セキュリティー上おっしゃれないということだったんですけれども、私、やはり甚だ不思議なのは、一月二十七日に、業者が何らかの施工ミスかなんかでこの本体に故障を起こした、この報告をしたところから、この事案の抜き打ち検査とか、あとは実地の検査とかが始まった。三月五日には全て復旧しているんですよね。  そう考えると、一月二十七から三月五日、一か月超ですよ。この間で、少なくとも、この十か所も含めてですよ、現実には故障箇所というのは十六か所、二月の二十一日時点で報告されていますけれども、これら全てが復旧しているわけですよ、一か月ちょっとで。その程度でできる。ともすれば、もっと短い期間で復旧できるかもしれなかったのに。私、技術的なことは分かりませんけれども。しかし、一年間、今申し上げたテロが侵入できる状況が続いていた。  これは一体どうしてこういうことが起こるんですか。お答えください。分かっていて放置したのか、一体何なのか。これ、我々は全く分からないんですよ。これを分かりやすく説明してください。
  48. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  侵入検知設備故障発生に伴い、代替措置現場で講じておりました。  当時、現場では、その措置で十分という認識をしておりました。この状態が十分だと認識していたこと自体が今回の大きな問題であったと認識しております。大変重く受け止めております。  私としても痛恨の極みであり、徹底的に原因究明し、抜本的な改革を行っていくことが大変重要だと考えております。
  49. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 では、一月二十七日に一か所の故障箇所報告した、その後、二月十二日の報告の段階で新たに十二か所見つかったと。これは、今社長のおっしゃったような、判断を変えてみたら故障だった、改めて、初めてこの二月十二日の時点で、他の十二か所、これが故障だということに気づいたということですか。それでよろしいですか。
  50. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  まず、一月二十七日は、協力企業が侵入装置を誤って損傷した事案が発生し、同日、原子力規制庁報告させていただいたものでございます。  その後、二月十二日に、この一月二十七日に発生した侵入検知設備の損傷について、機能の一部が復旧した旨を原子力規制庁報告した際に、その代替措置について御説明させていただきました。その際、既に他の侵入検知設備の過去の故障状況を問われ、十二か所の故障があり、その代替措置について講じていることを説明させていただいたものでございます。
  51. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 だから、その過去の十二か所、これはこの二月十二日の時点ではまだ故障復旧していなかったんですか。していない。だったら、さっき、おかしいじゃないですか。さっきの社長の説明だと、自分たちの認識では故障じゃないと思っていた、そういうような答弁を今されていましたよね。でも、二月の十二日の時点では、これは故障だと。  だから、くどいようですけれども、二月の十二日の時点、すなわち、この時点で初めてこの十二か所は気づいたんですか。今の答弁だと違うでしょう。
  52. 小早川智明

    小早川参考人 そういうことではございません。  これは機械物でございますので、様々な、センサーが故障したり、またそれを直して復旧したりということがサイト内でも度々ございます。  その中で、一月二十七日の事案について規制庁報告した際に、既に報告してあったものの処置はどうなっているかということで、その代替措置はこういうふうにしておりますという説明をさせていただいた、こういうことでございます。
  53. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 代替措置実効性があったと勘違いをしていて、だけれども、この十二か所については、この時点でまだ故障中であるけれども、ともすれば、昨年の三月以降、この十二か所、故障はかなり長期間にわたっていたけれども、復旧を、補修、修理はしてこなかった、こういうことでよろしいですね。
  54. 小早川智明

    小早川参考人 代替措置を取っていたという説明をさせていただいたということで。  ちょっと、誤解がないように申し上げますけれども、この一年間の期間ずっと同じものが故障しているというものでもございません。
  55. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 分かっていますって。しかも、私はどのくらい故障しているか聞きたかったけれども、セキュリティーの問題で三十日以上としか答えられないと言っている。  だから、私が聞きたいのは、代替措置というのはあくまでも代替措置ですよ。今私が議論しているのは、本体の故障は、少なくとも二〇年の三月以降、どの時期か分からぬけれども、十二か所故障したということが分かっていたわけですよね。本来、この本体の復旧、三月五日には全て復旧したわけだから、一か月ぐらいで復旧できるものを、何でその一月二十七日、今の説明で聞いたら、二月の十二日時点でまだ復旧していない。  ということは、二月の十二日から三月五日の間の僅か三週間程度で復旧できるものを、何で二月の十二日まで、ともすれば、長いものだったら十一か月間、短いもので三十日以上、何でこれは復旧しなかったんですか、本体の故障をなぜ復旧しなかったのですかとさっきから聞いているんです。
  56. 小早川智明

    小早川参考人 今の先生の御質問の前に、まず、先ほどの繰り返しになりますけれども、故障発生に伴う代替措置について、現場として十分という認識でいたため、修理を、一言で言えば代替措置で十分ということで、時間をかけていたということだったというふうに認識しておりますが、この状態が十分であったということ自体は、今回の問題として、非常に重要な問題だというふうに認識をしております。  こうしたことを、どういうふうな考え方でそういうふうな判断になったのかということ自体が、今回しっかりと徹底的に原因究明する必要があるというふうに考えておりまして、例えば、ルールを遵守するような職場での喚起が十分であったか、若しくは、業務上の問題点を速やかに解決できなかったのはなぜかとか、核セキュリティーに対する意識が十分だったのか、また経営資源、リソースに対しての配慮は不足はなかったかなど、現場も含めた各層の視点で徹底的に原因究明してまいる所存でございます。
  57. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 そう言ってもらうと、要は、代替措置、実はこの代替措置が利いていなかったということが後で今回分かるわけですけれども、この代替措置が利いていたから。ただ、問題なんですよ。くどいようですけれども、代替措置というのは、これは補完機能であって、セーフティーネットなんですから。本体の故障が分かっていながら、代替措置が利いているからこれを修理しなくていいという議論ではないんですよ。当然、この本体も早急に修理をするということでしょう。代替機能というのは、名のとおり、これはある意味、補助的な機能なんだから。  この状況について、更田委員長はこうおっしゃっていますね、評価が赤になったと。これは全体を示すわけだけれども、この本体の故障についても、これは、ランダムに起きる故障とか、ランダムに起きる判断ミスじゃないと。その時々というようなものじゃないんだと。東京電力核物質防護に対する内部ルールの問題、あるいは責任者、担当者の、これは大事なことなんですよ、判断レベルの問題だと。こう規制委員長はおっしゃっているし、こう言わざるを得ない、断ぜざるを得ないわけですよ。  ここで小早川社長に聞きますけれども、では、ランダムではないというわけだから、東電としては、これは継続してきた判断のレベルの低さだというふうに小早川社長は理解していますか。
  58. 小早川智明

    小早川参考人 繰り返しになりますが、代替措置が実効的に行われてきたか、故障が速やかに復旧していたかといった管理ができていなかったことが考えられますが、今後、これらの根本原因が何だったのか、しっかりと調査し、確認してまいりたいと思います。
  59. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 小早川社長、これは一個一個、私と積み上げていきましょうよ、議論を。大事なんだから。更田委員長から指摘された、これはもう継続的な判断のレベルの低さだと言われているんですよ。  だから、私はここで一つ。このように、今言った、一年間、本体を復旧しない、分からない、ともすれば。このことで、私は、まずは東電自体の、一番目、これは危機意識の著しい欠如、これはトップと言い換えてもいいけれども、指摘をしておきます。  次に、足早に質問しますけれども、では、これは改めて確認しますけれども、規制庁報告では、二〇一八年の一月から二〇二〇年の三月までも、これは侵入検知設備機能の一部、すなわち本体の一部に故障が発生し、復旧するまでに長時間、時間を要していたと。これは本体の話です。  改めて聞きますけれども、社長、このときに代替措置実効性が保たれていたんですか。仮に保たれていなかったら、二〇一八年一月以降も、二〇二〇年三月まで、この期間もテロリストが侵入し得る状況であったという、この可能性は否定できない、こういうことでよろしいですか。
  60. 小早川智明

    小早川参考人 過去の事案につきましても、今後、詳細に状況、原因については調査いたしますが、代替措置については、恐らく、同じような形で対応していたものと考えております。  また、先生御指摘のとおり、その間のリスクが高まっていたという事実はあると考えております。
  61. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 はっきりおっしゃってください。同じようなということは、代替措置機能していなかった可能性があるし、だからテロの侵入も可能だったという状況だという可能性もある、こういうことでよろしいですね。いや、もう後ろはいいから。そういうことでしょう、さっきの答弁は。
  62. 小早川智明

    小早川参考人 まずはしっかりと調査してまいりたいと考えております。
  63. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 ちょっと待ってよ。  昨日の経産委員会の理事懇談会で、規制委員会の次長が、二〇一八年一月からのテロの侵入の状況の可能性は否定できるのかと言ったら、否定はできないと答えているんですよ。小早川社長、これは見解は違うんですか。否定できないでしょう。
  64. 小早川智明

    小早川参考人 先生の御指摘のとおり、当該期間においても侵入検知設備機能の一部喪失複数箇所発生し、復旧するまでに長時間を要していたという御指摘があり、そのとおりの事実でございます。
  65. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 どうも日本語がかみ合いませんけれども、規制庁の言うことは否定しませんね。
  66. 小早川智明

    小早川参考人 現段階では否定いたしません。
  67. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 だから、二〇一七年に小早川さんが社長に就いた直後、二〇一八年の一月からこの三月五日までテロが侵入し放題だったという可能性があるというとんでもない状況なんですよ。社長はそれをしっかりと自認をしていただきたい。  そこで、今度は代替措置について申し上げますけれども、東電全体としては代替措置実効性があると勘違いしていた、だけれども、実は現場社員の警備員はこの代替措置実効性がないことに気づいていた。こんな大事なことが、どの範囲までしか情報共有できていなかったのか、社長の元にこの情報がなぜ上がってこなかったのか、端的にお答えください。
  68. 小早川智明

    小早川参考人 お答えいたします。  前段の御指摘につきましては、今後しっかりと調査してまいります。  また、私のところに報告が上がってこなかったのは、現場でこの状態で十分だと認識していたことが原因だと考えられます。この状態が十分だと認識していたこと自体が今回の大きな問題であり、大変重く受け止め、しっかりと原因について調査してまいりたいと思います。
  69. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 どうも事実認識が違いますよ。  あなたのおっしゃる現場というのはもうちょっと中間的な話でしょう。本当の意味の、目の前の現場のこの社員の警備員は代替措置実効性がなかったということを、これ、規制庁は認定しているんですよ。  では、ここで二点目を指摘させていただきますけれども、このことも大問題なら、これがトップにも上がってこない、私は、やはり企業統治能力、コーポレートガバナンスの欠如だと、二点目、指摘をさせていただきます。  次、急ぎます。  では、この代替措置について、更田委員長はこう言っているんですよ。この代替措置、これは実効性がなかった、そのことに気づかなかったことについて、誰がどう見たって、これが代替措置になるのか、ならないだろう、非常にお粗末なもの、この点が最も規制委員会としてはつかみたいポイントなんだと。ここまでおっしゃっていますよ。不正なのか、分かっていてやらなかったのか、分かっていて意図的にやらなかったのか、知識が足りなかったのか、技術の問題なのか、なめているのかと。  社長、なめていたんですか。
  70. 小早川智明

    小早川参考人 今の御指摘も含めて、非常に重要な認識だというふうに考えておりますので、どういった根本原因で今回のような事象が発生し、判断に至ってきたのかということは、これは、実際の現場の職場だけでなく、現場現場における管理層との関係性、また、実際の当社としての経営のガバナンス、様々な視点から、本件について、なぜこのような判断に至ったかということについてはしっかりと調査し、検証してまいりたいと思います。
  71. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 さすがになめているとは言えないと思いますよ。  だから、結局、今、社長がさっきおっしゃった、本体の復旧をしなかった理由は代替措置が利いていたんだと。しかし、その補完である代替措置が、更田委員長に言わせれば、余りにもお粗末だ、誰が見たって分かると。やはり技術的な問題なんじゃないか。  三点目、指摘しておきます。東電は、残念ながら、著しい技術力の欠如だ、このことを指摘させていただきます。  では次に、さっきの報告について聞きたいんですけれども、これもおとといの記者会見更田委員長は、多くの事業者は、本体、一つでも不具合が生じたらその時点で報告してくる、多くはと。でも、東電は、さっきおっしゃったように、少なくとも二月の十二日時点で十二か所の不具合を認識していながら、去年の三月以降、全く個別に報告していませんよね。  これはCAPという、要は、一定時期に一定の不具合について、これは規制庁対応してもらうんじゃなく自分のところで直しますよぐらいのことを登録する、この行為はしていました。しかし、これは、規制庁からすれば、報告とはみなしていないわけですよ。だから、CAPに登録しているということは言い訳に使わないでいただきたい。  何でこれほどまで、実際に今のところ分かっているのは、二〇一八年一月から三年以上にわたって不具合が頻発しているのに、何でその都度報告をしないんですか。お答えください。
  72. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  侵入検知設備故障発生に伴う代替措置として、現場として十分と認識していたことが大きな原因だと考えられます。  この状態が十分だと認識していたこと自体が今回の大きな問題点であり、この点については、徹底的に今後原因究明して、抜本的な対策を考えてまいりたいと思います。
  73. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 さっき言いましたとおり、代替措置というのは単なる補完なんですよ。しかも、多くの事業者は、本体に故障がある、大変でしょう、核物質を取り扱っている原発ですよ、そこに故障があったら、監督官庁に、じゃ、報告なり相談。外部との連携とかといったことというのは大事でしょう。外部と連携することによって、規制庁がまたセーフティーネットを張り巡らせてくれるかもしれない、助けてくれるかもしれないんだから。  そう考えると、今のような答弁だと、情報を隠しているんじゃないのと。恐らく、やはり原子力事業者からすれば、故障とかというのは言いづらい。でも、これは透明性を持たなければいけない。  ですから、四点目、指摘させていただきます。私は、東電情報公開性が極めて欠如している、このことを申し上げさせていただきます。  では次に、ID不正取得。これはちょっと時間がないので。  これは驚きましたよ。最初、その目的と理由は何だろう、それこそテロでも侵入しようとしたのかと思ったら、そんなことはない。  たまたまIDカードを忘れた社員が、隣のロッカーにあった、別の、A社員がB社員のカードを持って入ろうとしたら入れなかった。それは入れないですよね。うちの赤坂の宿舎ならこれでも入れるんだけれども。そうしたら、今度は、警備員の社員に入れないと言ったら、この社員は、何とこの識別、この認証制度、認証をですよ、これを変えたというんだから。これは声紋か、指紋か、目なのか、顔なのか分からないですよ、これを変えて入っちゃった、このA社員が。翌日、そのままにしていたら、B社員が自分のカードで入ろうとしたら、今度は、識別が変えられているから入れなかったという。  とんでもないですよ。平気で、このA社員も、そして警備員も、不正な情報改ざん、識別の登録を変えちゃうという。すさまじいでしょう。  私は、これで、やはり法令遵守、残念ながら、東電はコンプライアンスが極めて欠如していると言わざるを得ない。  さて、最後のに行きますね。  では、IDカードともう一つ問題になっていた、一月十三日に東電は、これはセキュリティーの問題ではない、全体の安全対策、保安に関わる、この安全対策の工事を柏崎刈羽原発内で全て完了したとリリースした途端ですよ、次、一月二十七に、実はダンパーの工事が終わっていなかった、次に、二月十五日に、火災感知器の工事が実は終わっていなかった、二月二十六日に、今度は水を止める止水工事も終わっていなかったと。  一月十三日にリリースした時点で、社長、聞きますけれども、この三つは工事継続中だったんですよね。これが一問目。  もう一つ驚いたのが、三月三日の参議院予算委員会で、小早川社長は、このリリース後に何件未完の工事があったといったら、三件、今のことを答えたら、その日の東電のホームページでは、もう一件未完の工事があったと。  ということは、小早川社長国会で答弁するときには、本来、当然、総点検していると思いますよ。でも、その答弁している最中かもしれない、工事をしている、その工事をしているという情報がつかめていなかった、答弁する社長に上がってこなかったということでしょう。こういう理解でよろしいですか。
  74. 小早川智明

    小早川参考人 経緯を申し上げます。  七号機の安全対策工事、一月十二日に完了した旨を一月十三日に一旦公表させていただきました。しかしながら、その後、一月二十七日に、六、七号機のコントロール建屋のダンパー設置工事が完了していないことを確認して、これは未完了があるというふうに判断いたしたため、一月二十九日に本社と発電所の責任者で構成する改革チームを発足し、総点検を行ってまいりました。その過程で、一度国会で三件と申し上げましたが、新たにもう一件追加になり、現在では四件の工事未完了案件が確認されているところでございます。  本件につきましては、多岐にわたる工事の中での設計側と工事側との連携が不十分であったなどのマネジメント上の問題があるというふうに考えておりまして、現在まだ総点検を実施中でございますが、総点検完了後に、しっかりとした根本原因究明再発防止について検討し、公表してまいりたいと考えております。
  75. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 今の答弁を聞いて皆さん驚くでしょう。一月十三日に、完了、完工したとわざわざプレスリリースしたんですよ、東電なる企業は。その後、ぽろぽろ出てきて、国会質問のときも、いかに柏崎刈羽原発が広いといったって、別に、何々県の全部というわけじゃない、そこで対策工事が、止水工事とかをやっているのが分からないと言う、そして、今言った、連携不足だと言う。大丈夫ですよ、後ろの人、出てこなくて。  私は指摘します。これはもう情報管理能力の著しい欠如ですよ。こんな目で見ても分かるような情報がトップに上がってこない、国会答弁のときにすら上がってこない、これはもうむちゃくちゃだ。  そこで、今、一から六まで言いましたよ、この欠如。この欠如を生み出した組織としての最終責任者はどなたですか。
  76. 小早川智明

    小早川参考人 原子力事業の事業者としての責任者は私でございます。
  77. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 でしょう。  先ほども地元の話が出ていました。柏崎の市長は再稼働の容認派ですよ。でも、この方が、昨年の白評価のときは怒りが込み上げたけれども、赤評価で、怒るエネルギーすら湧かない、喪失感だと。そして、おととい県議会が開かれましたけれども、その後の、昨日かな、自民党の県連副会長は、知事は東電に適格性がないかもしれないとおっしゃっているようだけれども、この自民党の県連副会長、東電に適格性がないのは明らかだと。自民党の県連幹事長は、開いた口が塞がらない、東電原子力事業から撤退するかどうかの瀬戸際ではないか、地元はそう見ていると。そして、自民党県連内からは、もう東電にはつき合い切れないという、これだけ見放された表現をもらっているんですよ。  地元のこの状況を、小早川社長小早川社長が打開できると思っているんですか。
  78. 小早川智明

    小早川参考人 今回の一連の事案が起きてしまったことにつきましては、私としても痛恨の極みでございます。徹底的に原因究明し、抜本的な改革を行っていくことが私の責務であると考えております。  また、しっかりと原因究明し、その上で今後の規制委員会の検査にも真摯に対応するなど、一つ一つ実績を積み重ねてまいることが重要であると考えております。
  79. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 無理でしょう。危機意識の欠如、コーポレートガバナンスの欠如、技術力の欠如、情報公開性の欠如、コンプライアンスの欠如、情報管理能力の欠如、これを生み出しちゃったんですよ、社長。三年間でテロが入り放題の状況にしちゃった。これ、普通の企業だったら当然辞職でしょう。  さっきから徹底的とか抜本的とか強めの言葉を何度繰り返しても、行動しなかったら何も変わらない。もう一度申し上げます。社長が辞職するしか、組織は頭から腐る、従業員、職員、かわいそうですよ、組織のトップが替わるしかこの現状は打開できないんじゃないですか。しっかりと御答弁ください。
  80. 小早川智明

    小早川参考人 今回の一連の発生につきましては、大変重く受け止めております。  しかしながら、本原因について徹底的に原因究明していくこと、そして抜本的な対策を構築していくことが私の責務であると考えております。
  81. 黒岩宇洋

    ○黒岩委員 これで終わりにしますけれども、これだけ何度も何度も繰り返し、仏の顔も三度まで、四度も五度もやっている。そんな中で小早川社長の下で、真相究明すら、そんなことはおぼつかない、ましてや再発防止などとは更に更に夢のまた夢、このことを強く指摘して、私の質問を終わらせていただきます。
  82. 富田茂之

    富田委員長 次に、阿部知子君。
  83. 阿部知子

    ○阿部委員 立憲民主党・無所属の会の阿部知子です。  私は原子力特別委員会のメンバーですので、ただいま黒岩委員東京電力の電気事業者としての適格性についてお尋ねでありますが、私は主には規制委員会の規制の在り方ということを中心に伺いたいと思っております。  まず冒頭ですが、東京電力IDカードの不正使用事案についてですが、この問題は二月の十日の日に私が予算委員会更田委員長にお尋ねをした事案でありまして、いわゆる核物質防護規定違反であるというふうに委員長は明確に御答弁をされました。  引き続いて、三月の九日、環境委員会で立憲民主党の近藤昭一議員の質問にお答えになって、今回の事案と申しますものは原子炉等規制法第四十三条の三の二十七第二項において準用する第十二条の二第四項に反する違反でありますというお答えで、これが何を意味するかというと、四十三条の今度は三の二十に基づいて、事業者に対して、原子力規制委員会が許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて発電用原子炉の運転の停止を命ずる理由になり得ること、すなわち、核物質防護規定違反は原子力事業者の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて発電用原子炉の運転の停止を命ずる理由になり得ることと理解してよろしいでしょうか。
  84. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 そのとおり理解していただいて結構であると思います。正しいと思います。
  85. 阿部知子

    ○阿部委員 ただいまの黒岩議員の御質疑の中では小早川社長の適格性を問うておられましたが、私は、東電そのものが原子力事業者として運転する資格に値するかどうか、実はそのことを今日は取り上げたい。さらに、先ほど申しました規制の在り方を取り上げたいと思います。  さて、IDカード事案は白と言われておりまして、次に赤の事案が発生をいたします。先ほど来皆様お取上げですので、余り詳しくは申しませんが、二〇二〇年三月から二一年二月までの長期にわたって、三十日以上の、テロリストが幾らでも出入りできるような状態があった。先ほどの小早川社長の御答弁ですと三十日以上は十か所ということですが、いずれも三十日以上ですから年余かもしれませんし、深刻なことかと思います。  そして、小早川社長にまず冒頭、一問お伺いしたいです。  お手元の私の資料の一枚目の下段を御覧いただきますと、これは、三月の十六日に東京電力が公表されました資料の中で、いわゆる損傷ですね、核物質の防護施設の損傷に関わりまして、先ほど小林委員もお取上げですが、二〇二〇年の十月十二日から十六日に原子力規制庁に対して、二〇一九年度の核物質防護事案の不適合の発生状況について、侵入探知設備故障発生数や故障原因、処理日数の傾向を説明したとあります。どんなことを御説明になったんでしょう。
  86. 小早川智明

    小早川参考人 お答えいたします。  昨年十月の原子力規制検査において、十月十三日から十六日にかけて行われたというふうに伺っておりますが、この中で原子力規制庁へ、二〇一九年度の核物質防護事案の不適合の発生状況について、侵入検知設備故障発生数や故障原因、処理日数の傾向などを説明しております。  なお、そのとき、故障の発生数、傾向について説明しておりますが、代替措置についての説明はしておりません。  以上です。
  87. 阿部知子

    ○阿部委員 そういたしますと、先ほど来問題になっている、代替措置が十分であるかとか、あるいは処理日数、これは代替措置を取るまでと代替措置から本格措置を取るまでの日数もあろうかと思います、そういうものについては全く報告されておらないということでしょうか。確認です。
  88. 小早川智明

    小早川参考人 そのときはしていないというふうに承知しております。
  89. 阿部知子

    ○阿部委員 ここで、規制庁にお伺いいたします。それも、経産委員会の理事懇で御説明に来られた片山次長にお伺いいたします。  二〇二〇年の十月十二日から十六日、東京電力からの御説明を受けられた規制庁は、今でこそ代替措置じゃ駄目なんだと言っていますが、その当時は、そのまま、これでよしとされたんでしょうか。二〇二〇年の十月十二日、先ほど十三日の御報告だというふうにおっしゃっていますが、それを受けた規制庁は、ああ、そのとおりですか、そうですかとおっしゃったんでしょうか。片山次長にお願いいたします。
  90. 片山啓

    ○片山政府参考人 お答えいたします。  実際の検査の日付は、先ほど小早川社長から答弁があったとおり、二〇二〇年の十月十三日から十六日でございます。  その検査の中で、まず、ここに書いてございますように、全体的な不適合、東京電力の不適合管理の全体像を説明を受けたというふうに聞いておりまして、その中で、ここに書いてございます侵入検知設備についての説明もあったというふうに聞いてございます。  ただ、その際の説明につきましては、今回の事案のように個別具体的に、どこの場所にあるものがどういう機能喪失を行われているのかとか、要は個別具体的な説明を受けたわけではなく、全体的な傾向というふうにここに書いてございますけれども、まさしくそういう説明を受けたということでございます。
  91. 阿部知子

    ○阿部委員 全体的な傾向の説明を受けたとしらっとおっしゃいますが、本当にそういう規制庁の態度でいいんでしょうか。  では、処理日数、どのくらいと聞かれたんですか。それが正常に戻るまでの処理日数。原子力規制庁自身がこの核セキュリティーについての取組が、認識が薄いのではないですか。細かなことは聞かないで、ただただ聞きおいたというような、短絡的に申せば、御答弁ですが、果たして、故障原因、処理日数の傾向を説明、三十日以上長いんだとか、いや十何日だったとか、こういうことはどう聞かれたんでしょうか。お願いします。
  92. 片山啓

    ○片山政府参考人 全体的な傾向というものを聞いたということでございます。  そういう意味でいきますと、個別具体的に、設備がどういうふうに壊れているのかとか、代替措置についての説明はなかったというふうに聞いてございます。
  93. 阿部知子

    ○阿部委員 説明がなかったら聞き取るのが原子力規制庁なんだと思います。それでないと、しっかりした規制がされているとは到底思われません。  今回、三年ほどの間で、かくも長き、テロリストの侵入を許すような事態が生じていることの背景には、更田委員長にお伺いいたします、今、片山次長が御答弁のような規制庁意識もあったのではないですか。私は、今のような答弁だと、もちろん柏崎の住民の皆さんもそうですが、国民も納得できません。だって、こういうことですよと説明されて、いかにも軽く扱われて、そうですかと聞きおいて、一年以上たって今回のような事態が発覚しております。このことはどう思われますか。
  94. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  これは核物質防護に限らず、安全対策に係ることでも同じことですけれども、私たち事業者事業者責任として行うべきことを一つ一つ細かくチェックして指導する指導者ではありません。保護者ではありません。  東京電力福島第一原子力発電所事故反省教訓として、国会事故調は、事業者に寄り添ってしまった規制当局を、規制のとりことして厳しく批判をしています。規制当局事業者と一体化してしまった。事業者に何か足らざるところがあったときに、その一義的な責任規制当局が、自分たち責任があるのではないか、自分たちもそれを分担するべきではないかというのは、まさにそれこそ規制のとりこです。  私たちは、個別の事例に関しては責任を追及する立場であって、責任を分担する立場ではないと考えています。そういった意味で、個別の故障についてしっかり代替措置を取るのは一義的に事業者責任であって、今回の事例においても、これは東京電力責任を厳しく追及していきたいというふうに考えています。
  95. 阿部知子

    ○阿部委員 論点をずらしておられると思います。やはり規制庁には、しっかりした安全管理ができているかどうかを、例えば規制庁が独自に調査に入るなり、そういう時点においてチェックをなさらなければ、今のような事態が発生してまいります。  同じような事案が私は次にあると思います。  このID不正使用問題、時系列というので、二ページ目を見ていただきたいですが、これは実は、九月二十一日に発覚いたしましたいわゆるIDの不正入室の問題で、このとき、東電が事実を把握して規制庁報告をされましたが、規制庁からは規制委員会には報告されず、これは更田委員長よく御存じです、四か月後に委員長報告になるわけですが、その報告されない間に、柏崎刈羽の保安規定のいわゆる見直しが審査を合格するというプロセスが一方で進んでおります。  一方でIDの不正入室事案がありながら、この柏崎刈羽の全審査合格ということが出されていくわけですが、では、このときに規制庁が取った態度はどうであるかということで、再び片山次長にお伺いいたしますが、東電は既に九月二十一日に報告し、また、いろいろな記者会見等々の資料を集めますと、片山次長は九月二十一日には既に御存じでありましたが、その後、規制庁の長官に上げられたのはいつなのか。更田委員長には四か月後ですが、果たして長官には、次長はいつおっしゃったんでしょう。
  96. 片山啓

    ○片山政府参考人 お答えいたします。  私が報告を受けましたのは、二〇二〇年の九月二十三日でございます。これは、東京電力から九月二十一日に規制庁報告があった内容について、私は報告を受けました。  その後、九月二十九日に、当該事案について、今後、原子力規制検査に入るという報告を受けました。その後、原子力規制検査を経て、十月十二日に検査の結果の報告を受けました。そのときに、その内容は担当部門から長官にまで報告がされたというふうに承知をしております。
  97. 阿部知子

    ○阿部委員 今の御答弁ですと、その下の図の現地立入規制検査、これは二回行われておりまして、十月の八、九と十月の十三―十六ですが、この時点で原子力規制庁長官にはお話が行ったと。にもかかわらず、更田委員長のところに行くまではまた数か月あるわけです。  元々九月二十三日は、先ほど申しましたように、規制委員会の定例会合があって、柏崎刈羽の全審査の合格が出る日でありました。この日は、規制庁長官は、一方でこうしたIDの不正入手の事態を報告を受けながら、果たして規制委員会の定例会合では合格を了とされたのか。もちろん、これは更田委員長もおられたところかと思いますが、委員長は御存じなかったと。  それのみならず、その後もなお委員長には報告されず、現地の立入調査というか、調査をなさってなお、十一月に、何回か囲んでありますが、ここには原子力規制に関する東京電力ホールディングスの聞き取りが十月三十日から十一月九日まで三回行われておりますが、ここにおいてもまだ更田委員長には御報告がなかったわけです。  こうなりますと、先ほど、小早川さんに対して、東電内の情報の共有が悪いのではないかとおっしゃっていましたが、私も悪いと思いますが、それ以上に、規制庁の中で速やかな情報の伝達がなければ、国民として安心できない事態が起こると思います。  引き続いて、更田委員長にお伺いいたしますが、この間、赤の事案あるいは白の事案以外に原子力規制庁として把握されている、東京電力福島第一原発並びに第二原発並びに柏崎刈羽など、いわゆる東電事業者となっておりますものに関して、原子力規制検査等の実施要綱に基づいた検査で、今の赤と白以外に何か問題が指摘されたような事案はあるでしょうか。
  98. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 東京電力核物質防護規定の違反、それから軽微なもので監視というカテゴリーがありますけれども、これにつきましては、まず柏崎刈羽原子力発電所においては今回の二件、それから福島第二原子力発電所について軽微なものが二件ございました。
  99. 阿部知子

    ○阿部委員 皆さんのお手元、開いていただきまして、三枚目、今、更田委員長がお答えいただきましたように、福島の第二においては二件ございます。  実は、二〇一五年の九月から十月にかけて四回、これは、警備員が外部からの侵入探知の警報を止めていた、これではいかに何でも、侵入したって探知を止めていたら分かりません。そして、これは東電からの報告ではなくて、核物質防護検査規制庁の行う規制の検査によって発覚をいたしております。  先ほど、私が、赤の事案について、なぜ先んじて規制庁が発見できませんでしたかということをお伺いいたしましたが、本来は、もし事業者報告していなくてもこうやって検査によって確認をされ、そしてこれは、核物質防護規定遵守義務違反、厳重注意文書を発出となっております。今、この時代には赤とか緑とか白の区分はありません、そういう言い方をしていませんが、しかし、ここで、柏崎刈羽で大きく言って赤と白。そして、福島で、更田委員長言葉を使えば、軽微とおっしゃっています。  私は、こうやって次々と核物質防護規定違反が繰り返されているということを鑑みれば、今回、一枚目の資料につけましたが、第四区分とされている事故に対しての原子炉のありようを第五区分と、すなわち、事業者国民の健康と安全性の保護を確保するための安全活動を実施し、又は実施することができるという妥当な確信が原子力規制委員会にない状態と判断すべきだと思います。繰り返されているということでありますが、更田委員長のお考えを伺います。
  100. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 先ほどもお答えをしましたけれども、核物質防護に関して、情報の管理に注意を要するということが、規制の行動であるとかそれから広い意味での監視にどのように影響を与えているかということは、今回の事案教訓にしっかり検討するべきことだと思っています。その点は、組織内の情報の共有でもそうですし、また、核物質防護事案であるからということで一斉に一切の情報を公開できないというような姿勢というのは危険であると思いますので、情報の公開と情報の共有については今後とも検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  101. 阿部知子

    ○阿部委員 私の御質問は、いわゆる第五区分に入るのではないか、第四区分は赤が一つとか黄色が複数とかいろいろ書いてございますが、赤と白は既にあるわけで、そのほかに軽微なものでも、いわゆる核物質防護規定に反するものが繰り返されておるということから見れば、第五区分が妥当ではないかというお尋ねであります。このことは今後検討されるものと思っておりますので、指摘にとどめさせていただいて、更田委員長の御答弁に関して一言、私からも申し上げたいと思います。  実は、資料最後につけてございますのは、二〇一一年のいわゆる福島第一原発事故当時の原子力安全委員委員長班目さんが原子力学会誌で御発表の趣旨でございます。  すなわち、班目委員長は、当時、事故処理ということも含めて大変厳しい立場に立たされたと思われますが、それ以前の二〇〇九年の段階から既に、核物質防護に関わる機微情報管理の現状には大変に問題が山積しておると。すなわち、機微な情報でテロリストが狙うからといって情報公開を、逆に言うと、本当のことをなかなか伝え難い構造がそこにあり、それが恣意性を残してしまうという指摘が班目委員長の指摘であります。  私たち事故から十年たって、果たして核物質の防護に関わる姿勢がよりよいものになったのかということが問われていると思いますし、先ほど来の東電小早川社長の、取りあえずの処置をしておいてそれでよいと思っておられたこと、しかし、それは同時に、規制庁も同じように見抜けなかったこと。これは、事業者自らが言ってこないから仕方ないと更田委員長がおっしゃるのであれば、それは到底私は納得できません。  きちんとした規制庁の役割を果たしていただくことを期待して、質問を終わらせていただきます。
  102. 富田茂之

    富田委員長 次に、斉木武志君。
  103. 斉木武志

    斉木委員 斉木武志です。  今日、これまで質疑をずっと聞かせていただきまして、やはりこの問題の原因には、都合の悪い情報を見たけれども見ないふりをする東京電力の体質というものがどうも根深くあるなということを感じました。それが現場代替措置に関する認識です。  小早川社長は今日の冒頭から、代替措置で十分だと現場が認識していたということを何度も答弁されておりますが、私、本日の質問に当たって、昨日、規制庁の方とレクでお話をいたしました。言うことが百八十度逆なんですね。  規制庁が出してきているペーパーにも書いてあるとおり、また、東京電力社員警備員現場社員警備員ですけれども、代替措置実効性がないことを認識していたにもかかわらず改善していなかったと。現場社員警備員は、これじゃまずいと、検知できないということを長年認識していたにもかかわらず、社長は、現場はこれで十分だと思っていたからと言うこと。これはおかしいなと思うんですね。  更田委員長にお伺いいたします。私、規制庁の方からは、社員警備員はこれじゃまずいと思っていた方が複数名いましたという説明を受けたんですが、更田委員長はどのように、まあ、行けということを指令されましたね、抜き打ちで行ってこいと。今回得ていらっしゃる情報では、現場の声として、社員警備員はどういうふうに代替措置を認識していたんでしょうか。     〔富田委員長退席渡辺委員長着席
  104. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 ちょっと、余り詳しくはお話しできない部分があるんですけれども、認識が何に対して具体的にどうであったかということに関してはちょっとお話ししにくいところはあるんですが。  検査報告を受けて関心を持っておりますのは、足りていないと思っていた社員が声を上げられない環境にあったのか、あるいは、上げたにもかかわらずそれが通らなかったのか、更に言えば、核物質防護において、職場においての議論であるとか、あるいは、上の層という言い方はあれですが、管理者とのコミュニケーションがどうであったかというのは、まだ短期間の検査で入ったばかりでありますけれども、今後もこういったインタビューのようなことは続けて、検査で明らかにしていきたいというふうに思います。
  105. 斉木武志

    斉木委員 ということは、更田委員長としては、小早川さんは、東電社長は、現場はこれで十分な代替措置だと認識していたと今日何度も答弁していらっしゃいますが、そうではないと、十分な代替措置にあらずという御認識でよろしいんでしょうか。
  106. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 ポイントは、現場は認識していたにもかかわらず声を上げられなかったのか、あるいは、管理層にそれが伝わらなかったのか、さらには、認識というものは現場全体ではなくて現場のごく一部の方であったのか、こういったことは明らかにする必要があると思いますが、確かなのは、少なくとも現場の一部は足りていない、足らざるということを認識をしていた。  ですから、それが、核物質防護には管理者を置いておりますので、管理者に伝わっていたのか伝わっていなかったのか、あるいは所長に、更にその上にということは、しっかり聞き取りをしていきたいというふうに考えております。
  107. 斉木武志

    斉木委員 小早川社長にお聞きいたします。  ということは、更田委員長が今、現場ではそういうふうに不十分と認識していた方もいたと、社長の答弁とは百八十度違うことをおっしゃっておるんですが、社長のおっしゃる、これで十分と認識していた現場現場というのは誰のことですか。
  108. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  まず、先ほどの御質問があった経緯は、社長に報告を上げる上げないの判断をしていた者は、核物質防護に係る担当部門がございまして、その担当部門の人間は十分だと認識していたというふうに私は解釈しております。  一方、今の更田委員長からの御指摘は、現場のオペレーターの方がこの状態で十分、代替措置で足りるかということに関しては十分という認識を持っていなかったので、これはまさしく今回の検査で明らかになったことでございます。  こういったことも含めてしっかりと根本原因調査して、抜本的な改善をしていく必要があると考えております。
  109. 斉木武志

    斉木委員 検査で分かっちゃいけないんじゃないでしょうか。  外部検査規制庁に指摘をされて初めてこれでは不十分だということをその部門長が認識したということでしょうか。
  110. 小早川智明

    小早川参考人 この侵入設備故障発生の代替措置につきまして、当時、現場、済みません、現場というのがちょっと曖昧なので、当時、当社に報告するべき担当者が、十分という認識で対応し、本社との情報共有を含めて報告を怠っていたことにつきましては、大きな問題だと考えており、大変重く受け止めております。
  111. 斉木武志

    斉木委員 ただ、それは不可能だと思いますよ。  部門長はこれで十分だと思っていたわけですね。私は、小早川さんが今気づいていないのが一番盲点だと思うんですけれども、現場社員が気づいている穴、これを東電の部門長すら、現場の部門長すら認識していなかったことが最大のミスだったのではないでしょうか。
  112. 小早川智明

    小早川参考人 今の先生からの御指摘も含めて、根本原因が何であったかというのを調査することが重要だというふうに考えております。現場の部門長、部門の管理者、現場の実際の操作者、オペレーター、それぞれの立場がどういうふうな立場で認識し、どういうふうな情報をやり取りする関係性にあったかなども含めてしっかりと調査をして、根本原因を探ることが必要だというふうに考えております。
  113. 斉木武志

    斉木委員 現場はこれで十分と認識していたというふうに国会でこうやって何度も答弁してしまう小早川さん、社長としての体質が私は問題なんだと思うんですよ。  それは、やはり現場の、現場というのはまさにオペレーター、社員警備員はこれじゃ危ないということを最大三年間近く認識していた、その可能性がある。ただ、それが部門長にすら伝わっていない、要するに、平の社員だったら係長、課長までにすら上がっていないという状況が深刻だと思うんですね。その情報共有が恐らく欠落していたのではないか。コミュニケーション不足ですね。この深刻さというのは、どう経営者としてお考えですか、調査云々の前に。
  114. 小早川智明

    小早川参考人 私どもの福島反省教訓に立てば、様々な、これは済みません、現場という言葉を使うとちょっとあれなんですが、実際のオペレーターレベル、管理者レベル、それから現地の経営者レベル、また本社の経営者レベル、いろいろありますけれども、しっかりと言い出し、問いかける姿勢というのを重視してこれまで経営改革を行ってまいりましたので、こういったことが機能しなかったということであれば、それは非常に重要な問題だというふうに考えます。
  115. 斉木武志

    斉木委員 全くやはり十年前のことが風化したんですね、小早川社長の中で。  なぜ福島事故が起こったんでしょうか。それは、例えば、バックアップ用の電源が地下にあって、津波で浸水し、全て冷却機能を失ってしまったことじゃないでしょうか。そうした外部からの耳の痛い指摘、また所員からの耳の痛い指摘に耳をかさなかったコミュニケーション不足、まさに私が冒頭申し上げた、自分に都合の悪い情報を見て見ないふりをする体質というのが、第一福島、F一の教訓なのではないでしょうか。
  116. 小早川智明

    小早川参考人 福島第一の反省教訓ということに立てば、安全への過信やおごり、また組織の縦割り、事なかれ主義などが悪影響を及ぼし、安全対策に対してしっかりとした対策を打てなかったということが大きな要因だったというふうに考えております。  今御指摘のコミュニケーションの悪さというふうに断定していいかどうかも含めて、それも要因かもしれませんが、先生からの御指摘も含めて、これはちょっと臆測で申し上げるべきかどうか、これからの調査になりますけれども、やはり核セキュリティーを扱うという、情報の、慎重に扱わなければならないというような、そういった環境なども含めて、とにかく根本原因、どういうふうな環境でどういうふうな判断があったかという根本原因につきましては、しっかりと調査し、根本原因をつかんでいく必要があるというふうに考えております。
  117. 斉木武志

    斉木委員 私は、小早川さん御自身に、ちょっと胸に手を当てて反省が必要だなと思うのが、今月十一日に福島に行かれませんでしたね、社長は。本来、東京電力の社長は、事故から十年になりますけれども、毎年、少なくとも福島県には行って、現場社員に何らかの訓示は与えております。そして、福島のマスコミからも嘆く声は聞こえてきておるんですが、一切記者会見にも応じない、一方的にオンラインで訓示を現場に送り、それで済ませたと。なぜそうした耳の痛い声、マスコミの質問というのは耳の痛い声でしょう、それに耳を塞いでしまうんでしょうか。
  118. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  今年の三月十一日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府による緊急事態宣言が継続していることに鑑み、今年は本社本館からの訓示を行うことにさせていただきました。例年は、先生御指摘のとおり、福島で訓示を行い、現地でぶら下がり取材を受けるなどしておりましたが、今回は新型コロナウイルス感染症拡大の防止の観点から、慎重に対応させていただいたものでございます。  そうした観点から、このような中で、私としましては、緊急事態宣言が解除された後は、新型コロナウイルスの状況を勘案しながらではありますが、改めて福島を訪問し、福島第一原子力発電所の所員への訓示を行いたいと考えております。その際には、メディアの皆様の取材にも応じたいと考えております。
  119. 斉木武志

    斉木委員 それはすぐやるべきだったと私は申し上げさせていただきたいと思います。オンラインで訓示するんだったら、オンラインで記者会見に応じればいいじゃないですか。なぜそういうアカウンタビリティー、説明責任地元への責任、持たれなかったのか。東電の代表取締役社長としては、私は疑問を持たざるを得ないと思っております。  これは、更田委員長も、やはり今回の事案というのは、東電の体質、東電スペシャルみたいな言葉も十六日の会見でおっしゃっていましたけれども、東電固有の企業文化、やはり過去も隠蔽であるとか改ざんであるとか、規制委員会ができる前の議論を見てもそういうことがあったので、そういった東電の体質に起因するものもあるかもしれないというのは、今後精査しなきゃいけないということはおっしゃっておりました。  例えば、それは、平成十四年だと思いますけれども、まさに福島第一で、東京電力が格納容器の密閉性検査において、シールが、格納容器にはいろいろ管が通っておりますので、その密閉する部分が脆弱になっていて、空気が漏れるということはセシウムとか放射性物質が漏れます、ですので気密性を保たれているかどうかの検査、これにおいて、空気がどんどん抜けているのに、高圧空気をその分送り込んで格納容器の健全性を偽装した。これは余りにも悪質性が高いということで、当時たしか一年間運転停止の措置を受けていると思います。  今回話題になっている柏崎刈羽一号機においても、例えば平成十八年、崩壊熱を取る冷却ポンプというのがありますけれども、そこの能力が落ちていて十分な循環量を確保できないという数値があったにもかかわらず、その数値をげたを履かせて、基準適合ですというふうに言って発表して通したというような事例が、福島でも柏崎刈羽でも、東京電力自身がしている。  そういう根深い隠蔽体質、偽装体質というものを御心配なさっていると思うんですが、ここまでの現場との意思疎通の不全を見ても、委員長、規制側として、この東電の体質というものをどうお感じでしょうか。
  120. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  個別の事案をこの会社特有のものとあらかじめ決めつけてしまうのは危険ですので、他の事業者でも同じようなことがないかということはしっかり見ていきたいと思いますが、なおその上で、やはり一連の不祥事であるとかトラブルであるとかの経緯を見てまいりますと、技術力不足であるとか知識不足で起きたものは多々ありますけれども、いわゆる隠そうとか、欺こうというか、そういった、悪意と言っていいのか、そういった意図に基づくものが東京電力において続いているということに関しては、これはやはり関心を向けざるを得ないというふうに考えております。
  121. 斉木武志

    斉木委員 私も同じ考えです。この平成十四年や十八年において、まさに福島の格納容器の気密性を偽装したり、柏崎刈羽の冷却ポンプの健全性を偽装したり、そうした体質がいまだに改まっていない点が、非常に根深い、体質として継承されてしまっている、ここを今回の検査で是非チェックをしていただきたい、改めるべきところは根っこを絶っていただきたいと私は思います。  もう一つお伺いします。  委員長は、冒頭、今回の事案を受けて、全国のほかの電力会社でも同様のテロ対策の不全、これが起きていないかどうか、調査報告を求めているとおっしゃいましたけれども、私も地元は今四基稼働しているんですね、高浜の三、四、大飯三、四と。これは、稼働していない柏崎刈羽七号機と比べても喫緊の課題だと思うんですよ。  委員長は、これが終わったら、柏崎刈羽のと東電の検証が終わったらみたいなことを十六日の会見ではおっしゃったと思うんですけれども、ちょっとそれじゃ遅いと思うんですね。  今日も稼働しているリアクター、原子炉圧力容器と共存している、燃料プールと共存している我々、私もUPZの住人です、我々が枕を高くして寝られるように、やはりそういった今稼働中の九基の原発に関しても早急にこれはやるべき、立入検査をすべき、本当に絵に描いた餅になっていないか調べるべきと思うんですが、具体的に、立入検査の、いつやるかも含めて、今どういった指示を出して、どういう進捗状況でしょうか。
  122. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 まずこの東京電力事案について、しっかりとした検査調査をしたいというのはもちろんのことでありますけれども、並行して、他の事業者核物質防護が現在どのような状態にあるか、これは、私たちの能力の限りにおいて把握に努めようとしております。  また、抜き打ち検査は、やるぞやるぞと言うと抜き打ち検査になりませんので余り申し上げたくはないんですが、ただ、抜き打ち検査も計画に入れておりまして、しっかりと他の事業者の活動も見てまいりたいというふうに思います。
  123. 斉木武志

    斉木委員 これは、東電は非常に根深い、平成十四年からもこういった格納容器の健全性を偽装したりとか、そういう文化がなかなか断ち切れていないということも分かってまいりましたので、それはそれとしてやる。一方で、今現実にもう稼働しているところは早急に、地元住民としても私はお願いをしたいというふうに思っております。  東電の社長さんにまたお伺いいたしますけれども、ここまで今日質疑をさせていただいて、さすがにちょっと、十年たって、福島教訓小早川社長さんの中で風化してしまったんじゃないか。行かれませんでしたし、今日も、これから調べますであるとか、現場は十分と思っていましたと。規制委員会や規制庁は、いや、現場はまずいと分かっていましたよとおっしゃっているのに、いや、現場は十分だと分かっていましたと。  まさに自分に耳の痛いことや会社にとって都合の悪いことが全部、小早川さんの目と耳から抜け落ちてしまっている。これに危機感を覚えませんか、経営者として。安全管理の最高責任者でもあると思うんですが、いかがでしょうか。
  124. 小早川智明

    小早川参考人 まず、先生が御指摘の、定義をしっかりとした上で御説明をしていなかったことにつきましては、反省したいと思います。今後の調査の中でも、立場、それからどの立場でどういうふうであったか、正確にしっかりと調査した上で、根本的な原因究明をしたいと考えております。  私個人としましては、福島事故反省教訓が原点になっております。まさに、失われていたかということではなく、あの原点に常に立ち返り、あのときの事故反省教訓に対して、何かが不足していたのか、足りなかったのか、直っていなかったのかということをしっかりと確認し、改革に取り組んでまいりたいと思います。
  125. 斉木武志

    斉木委員 是非、今日、これは覚えていただきたい。社長の認識している現場は本当の現場ではない。現場は、オペレーターたちが認識している現実が現場です。社長の言っている現場というのは恐らく管理職でしょう。そこにデータが上がっていない、現場の声が上がっていないことこそが真の原因なんですから、そこに目を向けていただくことをお願い申し上げて、本日の質疑を終わります。  ありがとうございました。
  126. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、藤野保史君。
  127. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  東電小早川社長にお聞きします。  核物質防護設備というのは、梶山大臣のお言葉をかりれば、原発を動かす上での基本中の基本原子力発電所の運転開始当時から設置されるべきものであります。  配付資料の一を見ていただきたいんですけれども、これは東電の三月十六日のプレスリリースでありますが、今回の事案の概要を述べているんですが、右の方に黄色く塗っている部分、ここにこうあります。「なお、原子力規制庁による現地検査において、二〇一八年一月から二〇二〇年三月までの侵入検知設備故障実績についても報告を求められたことから、説明を実施した。当該期間においても、侵入検知設備機能の一部喪失複数箇所発生し、復旧するまでに長期間を要していたとの指摘があった。」ということなんですが。  社長にお聞きします。二つまとめてちょっとお聞きしますが、一つは、ここ、「二〇一八年一月から」となっているんですが、二〇一八年一月より前の期間で同様の機能喪失はあったのか、なかったのか。もう一つは、「侵入検知設備」とありますが、核物質防護設備というのはこの侵入検知設備以外にもいろいろあるとお聞きしております。この侵入検知設備以外の機能喪失はなかったのか。この二点、お答えください。
  128. 小早川智明

    小早川参考人 まず、核物質防護に関する情報につきまして、外部の脅威にさらされる可能性がありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、まず、これから、ここに記載されている以前の部分につきましてもしっかりと調査は進めてまいりたいと思います。ただ、その調査した中身も、実際に公表可能な範囲などにつきましては、今後規制当局と相談させていただきながら検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  129. 藤野保史

    ○藤野委員 なぜ私が二〇一八年一月より前のことを聞くかといいますと、規制委員会が柏崎刈羽の六、七号機に対して設置変更許可を出したのは二〇一七年十二月二十七日なんですね。事実上再稼働への合格証と言われるほど重要なのが、この設置変更許可であります。ですから、もし二〇一八年一月よりも前に同じような機能喪失があればこの設置変更許可そのものにも影響が出るのではないか、こういう話になってくるわけですね。  規制委員長にお聞きしますが、なぜ規制委員会はわざわざ二〇一八年一月からとしたんですか。
  130. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えします。  まず、私たちは、今回の事案の重要度と深刻度を評価しにいこうとしました。それには、まず二〇一八年一月からの核物質防護設備機能の一部喪失の確認をすればこの評価ができるという判断をしたために、二〇一八年一月以降の報告を求めています。
  131. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、ちょっとそれでは合理的な説明にならないと思うんですね。だって、核防護施設というのはずっとあるわけです、昔から。先ほど来お話があるように、東電というのは、繰り返し繰り返し、委員長自身東電スペシャルとおっしゃるようなところなわけですね。なぜ二〇一八年一月からなのか、これは引き続きちょっと追及していきたいと思いますが、ただ、今回の問題は、まさに東電原発を動かす資格や能力が根本的に欠けているということを示したと思います。  地元では、このトラブル隠し、二〇〇二年のが代表的ですけれども、この二〇〇二年のトラブル隠し以前から東電の企業体質は何も変わっていない、笑い事ではなく、本当に恐ろしいことだと、これは柏崎刈羽の原発に反対している地元三団体の共同代表の矢部忠夫さんがおっしゃっているんですが、笑い事じゃないんですね、本当に。  委員長にお聞きしますが、これは本当に、東電原発を運転する資格がない、能力もない。これはやはり設置変更許可を取り消すべきじゃないですか。
  132. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 まず、東電は反論の機会を要求しないということですので、暫定的な評価評価として固まったわけですけれども、その上で、検査を通じて、これから検査を積み上げて、二千時間人という長期間にわたる検査を行いますので、ここで明確にしていきたい。  今の時点で設置許可の取消しというのを考えるのではなくて、やはりその過程に応じてそういった議論というものが出てくるということも否定はしないものであります。
  133. 藤野保史

    ○藤野委員 過程に応じてそういった議論が出てくるのも否定しないというお話でありました。  配付資料の二を見ていただきたいんですけれども、そもそもなぜ核物質防護が求められているのかということなんです。  これは、原子炉等規制法第一条、まさにこの第一条です。黄色く塗ってありますけれども、核燃料物質を防護して、公共の安全を守るためにとあるわけですね。公共の安全を守る、つまり国民の安全を守ることが核物質防護の最大の目的だということであります。今回、東電にその基本的な能力がないということが明らかになった。  私、問題にしたいのは、問題は、そういう東電原発を再稼働させようと経済産業省がまさに奔走してきたことであります。  配付資料の三を御覧ください。  私の事務所で柏崎刈羽原発に関わる経産省幹部の出張記録を出してくださいとお願いしたら、経産省が出してきたものであります。実に、去年の一月から今年の一月まで八十回、関連で出張しているんです。  地元の新潟日報の二月二十六日付は、この資料、その前の日に私は質問したんですけれども、それを触れながら、こう書いているんですね。この八十回のうち半数以上は九月以降だった、この時期は、原子力規制委員会による東京電力柏崎刈羽原発七号機の再稼働に必要な全審査が合格となる局面で、政府が再稼働への地元理解を得ようと地ならしに入っていた可能性がある、こういうふうに地元で報じられているわけですね。  配付資料の四を見ていただきたいんですけれども、これは毎日新聞の記事であります。  ここに、黄色く塗っているところの上の方ですけれども、これは、十一月二十七日に保坂エネルギー庁長官が現場に行った、地元自民党県議に再稼働の必要性を力説したとあるんですね。そして、その黄色く塗っているところですが、「同日夜には新潟市中心部の居酒屋で保坂氏と県議らは地元の銘酒を酌み交わしながら親交を深め、二次会にも繰り出して深夜まで盛り上がった。」とあるわけであります。  経産大臣、お聞きしますが、この夜の飲み会で、経産省側の参加者は何人で、どなたなんでしょうか。
  134. 梶山弘志

    梶山国務大臣 資源エネルギー庁側の同席者は二人ということであります。氏名もですか。(藤野委員「三人です。氏名」と呼ぶ)氏名は、小澤首席エネルギー・地域政策統括調整官、佐々木エネルギー・地域政策統括調整官であります。(藤野委員「長官もでしょう」と呼ぶ)長官もです、当然。長官の同席者ということで、この二人。
  135. 藤野保史

    ○藤野委員 今お話しありました三名、保坂長官と小澤首席エネルギー・地域政策統括調整官、そして佐々木調整官ということであります。  配付資料の四、同じ資料ですけれども、真ん中下の方にあるんですね。「自民党県議は「今年六月に議会が判断して、夏に再稼働するというシナリオを東電や国と共有していた」と明かす。」とあります。  実は、この六月再稼働同意のシナリオというのは、毎日新聞だけが報じているのではなくて、今日はつけておりませんけれども、朝日新聞の二〇二〇年十二月二十七日付も同じように報じております。こう報じているんですね。「再稼働へ東電・国、根回し着々」、東電も経産省も、「来年六月までに再稼働への同意を取りつけるシナリオを描く。」と。まさに一致しているわけであります。  大臣、お聞きしますが、この六月の再稼働同意というシナリオは東電と経産省の共通認識だったんでしょうか。だから、それに向けて、八十回もその前の年に新潟入りして地ならししてきた、こういうことなんでしょうか。
  136. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、八十回というのは、七人の人間が延べ八十回訪問をしたということであります。  今の質問でありますけれども、再稼働につきましては、事業者自らがしっかりと地域に向き合って信頼関係を築いていくだけではなくて、国も前面に立って地元国民の理解が深まるように丁寧に取り組んでいくことが重要であります。  こうした中で、柏崎刈羽原子力発電所についても、東京電力とは、安全対策工事地元の状況について密に情報共有を行うとともに、新潟県を始め立地地域の関係者とも、原子力を始めとするエネルギー政策柏崎刈羽原子力発電所をめぐる課題について様々な形で常日頃から意見交換を行ってきているところであります。  しかしながら、御指摘のように、新潟県や東京電力との間で夏に再稼働するというシナリオを前提に取り進めてきたというものではございません。今後とも、スケジュールありきではなくて、地元を始めとする関係者と丁寧にコミュニケーションを取りながら、御理解を得られるように取り組んでまいりたいと考えています。
  137. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、幾ら言葉で否定されても、八十回去年入った、こういう事実は動かないわけですね。  それで、もう一つお聞きしますけれども、同じ配付資料の四の下の方に梶山大臣のお名前も出てくるんです。早期決着に向け勝負をかけたい経産省が用意していた切り札が、梶山弘志経産相による柏崎刈羽原発の訪問だったと。本当に思いがあるのなら総理を連れてきてほしいと保坂氏は酒の席で県議に詰め寄られることもあった。国の本気度を示すためにも経産相自らが足を運び、県民に理解を呼びかける必要があると判断し、一月中の訪問を探っていたというふうにあるわけですね。大臣が切り札だそうであります。  六月の再稼働というシナリオ、そして一月に梶山大臣が新潟入りすると。こういうシナリオをもし否定されるのであれば、その根拠を示していただきたいんですけれども。
  138. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほど申しましたように、スケジュールありきではないということ。そして、原子力に関しましては、立地地域との信頼関係というのが一番重要であります。  私は、要請があればどこにでも行くということは就任当時から言っておりまして、そういった言葉の中で出たかどうかは分かりませんけれども、こういうスケジュールありきではない中で、私が切り札となっていることはないと思っております。
  139. 藤野保史

    ○藤野委員 もう一つお聞きしたいんですが、エネ庁の幹部というのは、自民党県議とは、先ほど大臣自身がおっしゃったように、長官を先頭に会食、飲み会をしているわけですね。自民党県議とやっているわけですけれども、では、東京電力とはどうなのか。この八十回のうち八回は東京電力と経産省幹部との懇談なんです。  大臣、お聞きしますが、東電と経産省の会食、飲み会はあったのか。これはいかがですか。
  140. 梶山弘志

    梶山国務大臣 会食というものが何を指すか分かりませんけれども、視察の行程内で、昼に会議室にて弁当を食べた事実はあります。  これはもう自己負担ということで、私が行ったときでも何でも、どこに行ったときでも自己負担で、向こうで用意していただいた弁当を食べるということでありますけれども、そういった弁当を会食ということで、打合せも兼ねてやっているということであります。
  141. 藤野保史

    ○藤野委員 確認しますけれども、夜の会食というのはないという理解でいいですか。
  142. 梶山弘志

    梶山国務大臣 東電関係者とはないということであります。
  143. 藤野保史

    ○藤野委員 この配付資料の四というのは、よく調べているなと思うんですけれども、こうあるんですね。ここにはあれですけれども、これの二面というのがありまして、これはちょっとつけてはいないんですが、御紹介しますと、こうあるんです。いよいよ詰め将棋で最後の一手というところでこのルール違反、ショックは大きいと。これは経産省幹部の言葉なんですね。再稼働に奔走してきた資源エネルギー庁幹部は肩を落とす、慎重に布石を打っていた原発再稼働は逃げ水のように遠のいたというふうに描いております。  大臣、お聞きしますけれども、先ほど見たように、核物質防護がなぜ求められるのかといいますと、これはやはり国民核物質の危険から守るためなんですね。まさに国民リスクにさらさない、ここにあるわけですが、東電はまさに国民を危険にさらすリスクを長きにわたって放置してきた事業者である。大臣がおっしゃる、原子力事業者としての基本中の基本もできていない東電原発を再稼働させようということで、経産省自身が奔走してきた。この経産省の責任というのは極めて重いと思うんですが、そういう御認識はありますか。
  144. 梶山弘志

    梶山国務大臣 政府の方針は、規制委員会の審査を通ったものは再稼働を目指すということであります。そのための努力をしてきたということであります。  さらにまた、今、経済産業省の役割ということもあったと思いますけれども、私どもは、今回の事案を受けて、そして、規制委員会の長い検査があるわけでありますけれども、その検査結果を受けて、今回のような事象を二度と起こさないような体制づくりをするということ、その指導と監督が私どもの責任であると感じております。
  145. 藤野保史

    ○藤野委員 今日の質疑で、東電の体質改善とか東電の経営問題、これがるる出されました。私もこれは大変重要な指摘だったと思います。東電責任はもちろんある。  ただ、同時に、経産省が八十回も新潟入りして、まさにいろいろな関係者に根回し、地ならししてくれる、そういう姿を目の前で東電が見ているわけですよ。そんなものを見て、では、自分の体質を変えようとか、自分は生まれ変わらなきゃいけないなと本当に思うんでしょうか。  やはり経産省が再稼働ありきで、まさに奔走している、この姿そのもの、これが今回の事件のもう一つの根本にある要因だと私は思うんです。政府自身が再稼働、まさに先頭に立って進めている。その下で、東電がこういう体質、そのままになっているということじゃないんですか。  その意味で、大臣、政府の再稼働路線、推進路線、再稼働ありきの姿勢が今回の事案にも影響している、そういう認識はお持ちですか。
  146. 梶山弘志

    梶山国務大臣 私どもは、エネルギー政策、そして、原子力政策について広く国民の理解を得る努力をしていく。その一環で、そういう活動をさせていただいております。
  147. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、それはまさに東電の体質に私は大きな影響を与えていると思いますよ。何があったって、それは、自分たちができないような地ならしを経産省の幹部が地元に入ってやってくれるわけですから。多少の問題が起きて、それを改めようというマインドがそこから生まれてくるのかということですよ。  もちろん東電責任は免罪できませんし、これは厳しく今後も追及していきますし、東電には運転する資格は私はないと先ほど来申し上げておりますけれども、しかし、やはり政府の責任こそ私は問わなければならないというふうに思うんです。  東電の問題というのは何も最近になって明らかになったわけではなくて、先ほど指摘もありましたけれども、私も印象的だったのは、二〇〇二年に柏崎刈羽で原子炉内のひび割れ、これも、ひび割れの隠蔽を始め、二十九か所ものトラブルの隠蔽を起こした。この前にもいろいろあるんですけれども、先ほど言った福一の問題とか。しかし、そうした体質は前々から言われていたわけです。それを知りながら、その東電に再稼働をさせようということで、まさに一体になって進めてきた。十年前の福島第一原発事故のときも、メルトダウンがあったことすら隠蔽していた、それが東電なんです。  大臣にお聞きしますけれども、やはりそういう意味で、政府の原発再稼働路線そのもの、これが問われている。私は、この原発再稼働路線そのものをやめるべきじゃないか、こういうふうに思います。いかがですか。
  148. 梶山弘志

    梶山国務大臣 大前提は、規制委員会で安全審査に通ったものに限って再稼働を進めていくということであります。  資源のない我が国において、あらゆる手段を追求しながらエネルギーミックスを考えていくということでありますし、そのためには、まず安全が大前提でありますけれども、そういったことも含めて、我が国国民生活、そして産業というものをしっかりと維持していくことも我が省の仕事であると思っておりますし、そういったもので、安全を大前提として、そういった形で進めてまいりたいと思っております。
  149. 藤野保史

    ○藤野委員 もう時間が来ましたが、私は、東電の設置変更許可は取り消すべきだし、経産省は原発再稼働路線をやめるべきだ、このことを強く求めて、質問を終わります。
  150. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、足立康史君。
  151. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  まず、今回のいろいろな、今日急遽こういう形で連合審査ということになっておりますが、この原子力原発の問題、東電の問題は、福島第一原発事故から十年の経緯と、それから現状についての評価が問われる大変大事な機会だと思っています。  そうした観点から、この連合審査が開かれることになった直接の事案の詳細、これはほかの委員の方もやられていますので、私はもう少し俯瞰的な話をさせていただきたいと思います。  ここに、アジア・パシフィック・イニシアティブがまとめた、十年の検証委員会、民間事故調最終報告書というものがございます。小早川社長、規制委員長、経産大臣、お忙しいと思うんですけれども、御存じですか。あるいは、見られたことがある、いや読んだ、いや前書きは読んだ、いろいろあると思うんですけれども、もし御存じであれば、受け止めを含めて教えていただければと。順番はどうしようか。まず経産大臣ですかね。
  152. 梶山弘志

    梶山国務大臣 本の存在、存じ上げておりますし、全部ではありませんけれども、項目の中で、読んだこともございます。  エネルギー政策を担う経済産業省として、福島原子力発電所事故の経験、反省教訓を肝に銘じて取り組むことが原点であるということを改めて胸に刻んだところであります。
  153. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 出版後、間もなく、規制庁の片山次長が貸してくれまして、それで、特に原子力規制委員会に関わる部分というのは初めの方に書いてありますので、まだ読み切ってはおりませんけれども、初めの方は読んでおります。
  154. 小早川智明

    小早川参考人 当然内容は承知しておりますし、まだ、詳細に全部記憶しているかと問われればなかなかそこは難しいですけれども、内容については、概要については承知しております。
  155. 足立康史

    ○足立委員 今あったように、規制委員会のことも書いてあれば、東電のことも書いてあります。  特に、第二章。私はこれを拝見しました。各章ともよくできている、いろいろな本が出ていますが、相当良質な本の一つだと思います。  第二章は、東京電力の政治学ということで、私がこの本の中で一番評価する章ですが、その第二章の最後にこういう記述があります。この報告書をまとめるに当たって私たち東京電力ホールディングスの広報室を通じて、小早川社長と同社の原子力・立地本部の牧野本部長に対面のインタビューを申し入れた、しかし、同社はそれを拒否した、こう書いてあります。  受けたらいいと思うんですけれども、小早川さん、なぜ受けられないんでしょうか。
  156. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えいたします。  福島第一原子力発電所事故につきましては、政府事故調、国会事故調等の諸機関が報告書を取りまとめておりますが、当社も事故調査報告書を作成し、公表させていただいております。  また、当社は、各種報告書などから抽出された様々な教訓につきまして、設備運用面、マネジメント面からの改善としての改革プラン、原子力安全改革プランを取りまとめ、現在、社内で立てました原子力改革監視委員会による客観的な評価を受けながら改革に取り組んでおり、その進捗は、四半期ごとに一度、会見を開催してお知らせしている状況でございます。  お問合せの内容が、主に事故に関する事実関係の確認でありましたので、御質問に対しては書面にて回答させていただき、御了解をいただいたというふうに認識をしており、そういう対応をさせていただきました。
  157. 足立康史

    ○足立委員 いや、私は別にこのアジア・パシフィック・イニシアティブの回し者ではなくて、彼らとも話をしていません。私はこれを読んだだけです。  ただ、これだけ、この十年の節目でもあり、こういう、少なくとも私が拝見する限りよい分析がなされているこの成果物に、こういう形で、協力が得られなかったかのように書いてあるような連携というか協力しかできていないというのは、東電の体質を物語る一つのエピソードではないかなと思って、お聞きをしました。  東電のそういう体質等については、大変厳しい指摘も委員からありましたが、私は、加えて、やはり制度ですね、福島第一原発事故教訓を踏まえた制度改革がやはり十分ではなかったのではないかという視点から申し上げたいと思います。  今日お配りをしているカラーの資料は、私ども、そもそも日本維新の会は、維新の会というか私は、大臣、一応経産省におったことがありまして、お世話になります、ただ、原子力事業、原子力政策に携わったことは、松山さんがいらっしゃいますが、お世話になっております、携わったことはなくて、むしろ、太陽光発電とか新エネルギーを、当時は代替エネルギー対策課とか、いろいろ今と違う名前のところにおりましたが、東日本大震災が発災した二〇一一年三月の末日で辞職をさせていただいて、ここに立っているという経緯もありまして、この十年については思い入れがあります。  そういう観点から、まだ橋下徹さんが代表をやっていた頃に、二〇一五年に原発再稼働責任法案という結構大部な法律を作って、誰も相手にしてくれませんでしたが、多分相手にしてくれなかったのは大部過ぎたんじゃないかと思いまして、ちょっとアップデートする、もう少し読みやすい、発展的なアップデートをした新しい法律を、先日、三月十日に参議院に提出をさせていただいている。それが今お配りをしているものです。  再稼働についての責任、政治責任をしっかり明確にするということ、避難計画の問題、損害賠償の責任の問題、それから最終処分、これらについて、やはり無責任体制が今も続いているのではないかという観点から、僭越ながら、我々が政府ならこうするという僭越な法案を出させていただいています。  大臣、規制委員長、あるいは小早川社長、お三方に同じ問いを申し上げたいのは、今こうして連合審査会を開かなければならないような事態を招いている原因はどこにあるかです。私は、東電の体質にもあると思うが、やはり原子力発電を取り巻く制度、法令です、法律のたてつけがやはり問題があるんじゃないかと思いますが、いや、それはもう完璧だ、悪いのは東電の体質だということなのか、あるいは制度にも問題があると考えるのか。その辺、政府から答えにくいと思いますが、議事録は後で削除をしても構いませんので、率直なところをお願いしたいと思います。
  158. 梶山弘志

    梶山国務大臣 いろいろな要因があるとは思っております。これから規制委員会で大がかりな検査がされるわけでありますけれども、そういった中で、その結果を見てしっかりと対応していかなければならないと思っておりますし、直すべきものはしっかり直していく。  そして、私はいつも原子力で思うんですけれども、川の河口の遠い対岸で石を投げ合っていても仕方がない、やはりしっかり議論すべきだ、場合によっては少しけがをすることがあっても、やはり右も左も、右も左もというのは思想的なことではありませんけれども、両岸にいる人たちがしっかり議論をして直すべきところは直していく、そういう姿勢で臨んでまいりたいと思っております。
  159. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 行政機関の長としてお答えできることに限りはありますけれども、東京電力福島第一原子力発電所事故教訓一つに、それぞれの責任はやはり独立して果たされるべきであろうということがあります。規制当局としての責任、それから事業者としての責任、さらに御地元等の関係者の御理解を得るという地元のプロセス、そして国会での御議論、こういったものはやはり変な混じり合い方をするべきではないと考えておりますので、そういった意味で、大変申し訳ありませんけれども、国会で、立法府で御議論されるべき内容についてコメントを差し上げることはするべきでないというふうに考えております。
  160. 小早川智明

    小早川参考人 まず、当社は福島原子力発電所事故の当事者という立場とそれからエネルギーを安定供給する立場の二面性がございますが、いずれの立場からも、原子力発電につきましては、SプラススリーEの観点の下、エネルギーの活用という観点は非常に重要だというふうに考えております。  ただ、今更田委員長もおっしゃいましたように、事業者として安全性が確保されることが大前提でありますし、また、しっかりとした稼働をしていくためには地元の御信頼を得ることが必要だと考えております。  その上で、今般の当社が引き起こしました一連の事案につきましては大変痛恨の極みでございますし、まずは徹底的な原因究明再発防止など、安全性向上に努めるべき立場にあるというふうに考えております。  先生の御提案の法案につきましては、安全規制、地域振興、処理水の処分の在り方など、政策として議論すべき事項が様々盛り込んであると認識しておりますが、当事者である当社としましてはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思います。国会において是非御議論いただければというふうに思います。
  161. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。  大変短くてもうすぐ終わっちゃうんですが、あと一問いきたいんですが、今申し上げた私どもの提案の中の一つ、賠償責任の原賠法というのがありますね。今日は文科省にお越しいただいていますが、もう時間がないのであれですが、ほかの委員会で何度か文科省にも質問していますが、原賠法の枠組みの例えば無限責任の枠組み、これはもうこのまま変えない、変えることは検討もしていないという御答弁を確認させていただきます。  無限責任のよくないところは、結局私は無責任体制になるからだと思います。原賠法には、御承知のとおり、十六条に最終的には国が援助するからと書いてあるわけです。電力会社に無限責任を付与しながら、足りないときは国が援助するからと原賠法には書いてある。すなわち、まさに国策として国が最終的な面倒を見るということになっているものだから、何か規律づけがむちゃくちゃになっているわけです。一体、無責任体制です。  規制委員会だけは、新しくできたから、私は評価していますが、やはり、そこの制度をもう一回見直さないと。世界標準の有限責任にする。有限責任にするというのは、別に、電力会社を許してあげる、助けてあげるという意味じゃなくて、果たすべき責任、国の責任電力会社、民間会社の責任を法令の中でしっかりと位置づけていかないと、いや、最後は援助するから、で、実際援助しているわけです。  小早川社長、こういう、例えばこの賠償責任、今、無限責任です、しっかり変えるべきだと思いませんか。
  162. 小早川智明

    小早川参考人 事業者であり当事者である当社としては、コメントを差し控えさせていただければというふうに思います。
  163. 足立康史

    ○足立委員 いや、だから、東電の最大の問題は、別に東電だけではない、日本の企業みんなそうですよ、言わない。言ったらいいんですよ。こんな事態になっているのは法律が悪いんだと言わないから、ずっとそういう無責任。ごめんなさいね、政府・与党の皆様には失礼ですが、私も経産省にいましたけれども、担当したことはありませんので今言っているんですが。  やはり、福島第一原発事故教訓を踏まえれば、日本維新の会が五年以上前に提案をし、さらに、電力市場化の流れの中で、最新の政府の制度の上にもう一回位置づけ直した、新しい、かつ読みやすくなっています、枚数も減らしました、皆さんに読んでいただけるように、発電用原子炉の運転が政治主導により行われることの明確化のための改革の推進に関する法律案、これを国会に出しておりますので、是非また、この十年で終わりじゃなくて、まさに改革の次の十年をつくっていくことを国民皆様にお誓いして、また関係の皆様に御協力をお願いして、質問を終わります。  ありがとうございます。
  164. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、浅野哲君。     〔渡辺委員長退席、富田委員長着席〕
  165. 浅野哲

    浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。よろしくお願いいたします。  まず、本日、急遽、連合審査がセットされましたけれども、これまでの議論を聞いておりましてもそうであるように、本当にゆゆしき事態であるというふうに私も認識をしておりますし、通常であれば、国会の中で大臣所信そして更田委員長の所信を聞いてしっかりと議論が始まるという慣例でしたけれども、それを、かつてなかった対応をして、今回、今日を迎えているということで、是非、小早川参考人には真摯な答弁を、正確な答弁をお願いしたいと思います。  本日、私は、まず事実確認を中心にさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  まず、小早川参考人に伺いますが、今回のこの事案東京電力が公表した資料を見ますと、まず最初にどの時点で気づいたのかというと、一月二十七日に協力企業が侵入検知装置を誤って損傷させる事案が発生して、それで分かったということであります。  ここについて少し細かく教えていただきたいのですが、誤って損傷させた瞬間を目視で確認したのか、それとも、壊してしまったことを離れた場所から遠隔的に確認したのかということを教えていただけますでしょうか。要するに、遠隔地からこういった損傷をちゃんと検知できる能力を持っていたかどうかというところも含めて確認させていただきたいと思います。
  166. 小早川智明

    小早川参考人 済みません。御質問にお答えしたいと思いますが、検知した方法自体はつかんでおりますけれども、核セキュリティー情報の管理の観点から、差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  167. 浅野哲

    浅野委員 では、質問をちょっと変えます。  協力会社が装置を破損させてしまった瞬間、破損したということは既に確認されていたんでしょうか。確認できたのでしょうか、その現場で。
  168. 小早川智明

    小早川参考人 直ちに確認できていたというふうに報告を受けております。
  169. 浅野哲

    浅野委員 ありがとうございました。  では、次の質問に移りたいと思います。  今回の報告の中では、「不正な侵入を三十日を超える期間で検知できない状態になっていた可能性がある」というふうにございます。この三十日という数字だけを見ても本当に大変深刻な事態だというふうに思うわけですけれども、具体的に、一か所以上検知できない状態がどのくらいの期間、延べあったのか。三十日以上という情報は我々聞かされていても、じゃ、実際、具体的に何日だったのか、この辺りの事実確認をさせていただけますでしょうか。
  170. 小早川智明

    小早川参考人 現時点でお答えできるのは、検査をいただいた二月の時点での十五か所中十か所で三十日以上経過しているという箇所が、代替措置が不十分な状態で三十日以上経過しているという御指摘があったということで、そこの部分についての事実は確認しております。  先生からの御質問において、どのぐらいの期間でとか何か所でということについては、これからしっかりと調査をしてまいりたいと思いますが、核セキュリティーに関わることなので、先ほど別の先生の御質問にもお答えしましたとおり、どういうような故障がどういう状態で、どういうふうな故障が放置されているかとか、どういうふうな復旧に時間がかかるかなどの情報全てが、外部の脅威に対しての、外敵に対する脅威となり得ることだというふうに考えておりますので、この場での情報開示は差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  171. 浅野哲

    浅野委員 では、続いての質問をさせていただきますけれども、今回、装置の一部の機能が不全状態にあったことが分かって修復に時間がかかったということで、これまでの議論の中でも指摘をされておりましたが、復旧にどれくらいの時間をかけたのかということと、なぜそれほどかかったのかというところを改めて整理して教えていただけますでしょうか。
  172. 小早川智明

    小早川参考人 御質問にお答えします。  復旧に要する時間は、故障の状況や交換部品の調達のしやすさなどによって変わってまいりますが、具体的な復旧日数につきましては、核物質防護に対する外部侵入の脅威や脆弱性に関わる内容となることから、回答は差し控えさせていただきたいと思います。
  173. 浅野哲

    浅野委員 これまで約三問質問してきたんですが、全て核セキュリティーを理由にしっかり答えていただけていないんですけれども。  じゃ、次の質問は少し観点を変えますが、今回、こういった不正侵入を検知できないような状況がずっと見過ごされていた。なぜなのかという原因究明は今されているということなんですけれども、一つの要因として、やはり、原子力に限らず、発電事業所の従業員の方々の業務過多というのがこれまで何度も指摘されてきておりますが、今いわゆる働き方改革も進められておりますけれども、こういった業務の現場の繁忙感、これが一つの要因になっていたという可能性はどのように認識されていますでしょうか。
  174. 小早川智明

    小早川参考人 先生が御指摘の核物質防護の要員、いわゆる社員社員要員は限られておりますので、御指摘の点も踏まえまして、今後、関係者からの聞き取りなど様々な観点から調査してまいりたいというふうに思います。  現時点で、業務の繁忙によって起こったかどうかはまだ特定できておりませんので、今後しっかりと調査してまいりたいと思います。
  175. 浅野哲

    浅野委員 次の質問からは、更田委員長に、規制庁の皆さんにさせていただきますが、これまでの質疑を通して、やはり、核セキュリティー観点から答弁できない、詳細を説明できないことが一定程度あるのは理解するんですけれども、その上で、その問題の原因対策の妥当性ですとか、これからどのような形で我々に、国民や我々国会説明をするのか、これは、こういう情報の隠され方をされながら幾ら説明を受けても、理解しろという方が難しいと思います。  ですから、今後の原因究明、そしてその説明の仕方については、東京電力の方でしっかり御検討いただいて、是非納得できる説明をお願いしたいと思います。  では、続いての質問に移りたいと思いますが、規制庁に伺います。  先ほども指摘されておりましたが、平成三十年の一月から令和二年の三月までにも同様なケースがあったということであります。当時はこれは把握に至らなかったわけですけれども、今回検査の仕方が変わったという部分はこれまでも言及がありましたが、それだけが要因なのでしょうか。それ以外の原因があれば是非教えていただきたいと思います。
  176. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 まず、こういった侵入を検知する設備故障というのは、法律上は故障が起きても規制当局に通報するという義務を負わせておりません。法律上は、事業者は、十分な代替措置を取ることの義務を負ってはおりますけれども、機器の故障そのものについては通報する義務を負っておりません。  しかしながら、規制当局として、やはり核物質防護状態がどういう状態であるかというのを常に知っておくことは重要であるということから、いわゆる通達といいますか、行政指導の形で各事業者に、機器に故障があった場合には速やかに連絡をするようにという通知をしております。  そこで、これから先、ちょっと中身が申し上げにくいところはあるんですけれども、ある地点の侵入検知装置に不具合があったときに、東京電力以外の各事業者は、一部に不具合があるとすぐに個別に規制庁に対して知らせてきます。ところが、東京電力の場合は、ごく一部の場合は、CAPという、今こういう改善活動をしていますという情報の中では伝えてくるんですが、個別に連絡をするのではなくて、一部の機能喪失ではなくて、より深刻になって初めて連絡するという、これはもう東京電力の選択の問題ではあるんですけれども。  一月二十七日に私たち報告を受けたのは、一部の機能喪失よりも少し、少しといいますか、一部の機能喪失よりも深刻になった状態で連絡があったことによって、そのほかのということなのです。  したがいまして、これは個別の事業者の裁量の問題ではあるんですけれども、東京電力の場合は、一部の故障については一つ一つ規制当局に通報してくるという運用を取っていませんでした。そのために、私たちの、こういった、過去に一部の機能喪失があったと言っていることを知るのが遅れたという事実はあります。  それから、ちょっと、ついでで申し訳ありませんけれども、遠隔で確認する方法があるかというお尋ねにつきましては、核セキュリティーに関しては、情報セキュリティーの観点もありますので、遠隔で検知するようなシステムというのはむしろ禁じております。システムは外部から遮断するように要求をしております。
  177. 浅野哲

    浅野委員 追加の御説明もありがとうございました。  その上で、次の質問なんですが、先ほど委員長の方から、重要度、赤、深刻度、SL1という仮の処分が、これは暫定の処分だったわけですけれども、これが反論なしということで確定的になったという御発言がありました。  これが確定したら、じゃ、どうなるのかというところを伺わせていただきたいんですが、これが確定した場合、東京電力が有する資格や権能、できることの幅に制限が設けられたり、あるいは、これまでできたことができなくなったり、こういったことは起こるものなんでしょうか。
  178. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 今回の評価の確定そのものによって東京電力が何かできることができなくなるということはありません。
  179. 浅野哲

    浅野委員 明快な御答弁ありがとうございます。  その上で、対応区分も第四区分となるというふうにございましたけれども、第四区分となると、これまでが第二だったものが第四になるということで、より深刻度としては増すわけでありますが、東京電力の事業活動上、どのような、こちらについても同じような質問になりますが、制限が発生するのか。こちらについて簡潔にお願いいたします。
  180. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 今回は検査区分が四に移行いたしますので、私たちは二千時間人に相当する追加の検査を行います。ですので、東京電力はこの検査に応じる義務がありますので、これは東京電力にとっては大きな資源を使うということになるだろうと思います。  また、こういった深刻な評価を受けて、私たちが更に別の行政的な処分、何かを命ずる、命令を出す出さないについては、今後、引き続き、この部分は公開で議論ができますので、公開の委員会で議論をしていきたいと思います。  命令を発出した場合には、東京電力の活動を制限することになります。
  181. 浅野哲

    浅野委員 そろそろ時間が来てしまいましたので、最後大臣にお伺いしたいと思います。  今回、このような事例が発生してしまいましたけれども、これは決して東京電力固有の問題ではないと思いますし、ほかの事業所にも同じようなリスクがあると考えるのが妥当かと思います。  規制庁の方も追加の検査を求めているということだったんですが、これは経産省としても、エネルギー行政を所管する立場として、東京電力の柏崎刈羽以外の事業所についても、同様な検査をしっかりと徹底して行い、報告を聴取するべきだと考えるんですが、いかがでしょうか。
  182. 梶山弘志

    梶山国務大臣 この事案が発生をしてから、他の事業者にも、注意をするようにということで、今、経済産業省から監督、指導をしているところであります。  今委員がおっしゃったことも含めて、今後の検討課題であると思っております。
  183. 浅野哲

    浅野委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  184. 富田茂之

    富田委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後五時五十二分散会