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2021-02-26 第204回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年二月二十六日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 齋藤  健君       畦元 将吾君    江藤  拓君       繁本  護君    西田 昭二君       原田 義昭君    細野 豪志君       山本 有二君    渡辺 孝一君       小熊 慎司君    金子 恵美君       後藤 祐一君    本多 平直君       谷田川 元君    兼務 中野 洋昌君 兼務 吉田 宣弘君    兼務 穀田 恵二君 兼務 浅野  哲君     …………………………………    農林水産大臣       野上浩太郎君    環境大臣         小泉進次郎君    農林水産大臣      葉梨 康弘君    農林水産大臣      宮内 秀樹君    国土交通大臣      岩井 茂樹君    厚生労働大臣政務官    こやり隆史君    国土交通大臣政務官    朝日健太郎君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 村手  聡君    政府参考人    (内閣総合海洋政策推進事務局次長)       田邊 靖夫君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房高齢障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君    政府参考人    (農林水産省大臣官房総括審議官)         森   健君    政府参考人    (農林水産省大臣官房輸出促進審議官)       池山 成俊君    政府参考人    (農林水産省消費安全局長)           新井ゆたか君    政府参考人    (農林水産省食料産業局長)            太田 豊彦君    政府参考人    (農林水産省生産局長)  水田 正和君    政府参考人    (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君    政府参考人    (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君    政府参考人    (経済産業省通商政策局通商機構部長)       黒田淳一郎君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小野 洋太君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      松山 泰浩君    政府参考人    (国土交通省水管理国土保全局水資源部長)    若林 伸幸君    政府参考人    (国土交通省水管理国土保全局下水道部長)    植松 龍二君    政府参考人    (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君    政府参考人    (環境省大臣官房環境保健部長)          田原 克志君    政府参考人    (環境省地球環境局長)  小野  洋君    政府参考人    (環境省水大気環境局長)            山本 昌宏君    政府参考人    (環境省自然環境局長)  鳥居 敏男君    政府参考人    (環境省環境再生資源循環局次長)        松澤  裕君    政府参考人    (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君    政府参考人    (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君    農林水産委員会専門員   森田 倫子君    環境委員会専門員     飯野 伸夫君    予算委員会専門員     小池 章子君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   原田 義昭君     西田 昭二君   山本 有二君     畦元 将吾君   後藤 祐一君     山川百合子君   本多 平直君     金子 恵美君 同日  辞任         補欠選任   畦元 将吾君     渡辺 孝一君   西田 昭二君     細野 豪志君   金子 恵美君     小熊 慎司君   山川百合子君     中谷 一馬君 同日  辞任         補欠選任   細野 豪志君     繁本  護君   渡辺 孝一君     山本 有二君   小熊 慎司君     谷田川 元君   中谷 一馬君     後藤 祐一君 同日   辞任         補欠選任   繁本  護君     原田 義昭君   谷田川 元君     本多 平直君 同日  第二分科員中野洋昌君、第四分科員穀田恵二君、第五分科員吉田宣弘君及び第八分科員浅野哲君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  令和三年度一般会計予算  令和三年度特別会計予算  令和三年度政府関係機関予算  (農林水産省及び環境省所管)      ――――◇―――――
  2. 齋藤健

    齋藤主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  令和三年度一般会計予算令和三年度特別会計予算及び令和三年度政府関係機関予算環境省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。西田昭二君。
  3. 西田昭二

    西田分科員 おはようございます。自由民主党の西田昭二でございます。  本日は、この分科会にお時間をいただき、誠にありがとうございます。  まずは、新型コロナウイルス感染症がいまだ猛威を振るう中で、連日、果敢に新型ウイルスに対して立ち向かっていただいている医療従事者関係者皆様方に心から感謝を申し上げるところでございます。また、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々、また現在も治療を受けておられる方々にもお見舞いを申し上げるところでございます。  先般より、新型コロナウイルスワクチン接種が始まりました。現在はまだ医療従事者などの限られた方々先行接種ではございますが、今後、ワクチン接種が進み、広く国民ワクチンが行き渡ることは、非常に心強く、頼もしいことだと思っております。  そんな中、二月十三日深夜、福島、宮城を中心に発生した、東日本大震災の余震とされる震度六強の地震により、私も、東京の議員宿舎におりましたが、非常に大きな揺れに驚きと脅威を感じたところでございます。  来月三月十一日で、東日本大震災から十年を迎えますが、二年前の台風被害も重なり、このような大きな地震自然災害は、その地域方々に非常に大きな恐怖心や本当に心労を与えているところでございます。  また、近年は、大規模自然災害が多く発生をしているところでございます。年初めの東北や私の地元であります北陸地方でも、豪雪災害発生し、家屋や多くの農業用ビニールハウスなどの被害が多数出ております。このような状況で大規模自然災害発生した場合に、被災者避難所の設置や運営災害廃棄物処理などは、被災した方々自治体にとって大きな更なる負担となってのしかかってまいります。コロナ感染を危惧して避難所に来ない被災者も少なくなかったと聞いております。  改めて考えていかなければならない事案だと思いますが、政府としてどのような対策を講じているのか、伺いたいと思います。
  4. 村手聡

    村手政府参考人 お答え申し上げます。  現下新型コロナ禍の下で災害発生した折には、御指摘のとおり、自治体に大きな負担発生するということとなります。  こうした発災時の負担を軽減するためにも、事前の準備を充実させる必要があると考えております。昨年四月以降、新型コロナ禍での災害に備えるための各種通知を発出し、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金も活用しながら、必要な物資備蓄訓練等に取り組んでいただくよう促してまいりました。  内閣府といたしましても、自治体取組促進するため、安全な場所にいる人は避難する必要がないこと、親戚、知人宅への分散避難の検討、危険な場所にいる人はちゅうちょなく避難することなど、避難行動における留意事項を記載したチラシを作成し、住民への配布、回覧用提供したり、避難所として活用可能な国の研修施設やホテル、旅館のリストを提供したりするなどの取組を進めてまいりました。  段ボールベッド、パーティションなどの国としての備蓄を開始するとともに、物資の調達、輸送の調整などの支援システム整備するなど、発災時にプッシュ型で迅速に必要な物資支援する体制の強化も図ってまいりました。  発災時には、このプッシュ型支援に加えて、応急対策職員派遣制度に基づく全国地方団体による応援も実施するとともに、大規模災害時には、災害救助法を適用し、財政負担の軽減も図ることとしてございます。  引き続き、自治体負担にも配意しながら、関係省庁とも連携して、避難所運営など、災害対応が円滑に実施されるよう取り組んでまいります。  以上でございます。
  5. 西田昭二

    西田分科員 ありがとうございます。  本当に、このコロナ禍において、被災者方々が安心して避難できるように、しっかりとまた対策を講じていただきたいと思います。  また、新型コロナウイルス感染症影響自然災害発生で出荷できなくなった農産物や水産物など食品廃棄についても、現下において大きな影響を与えておりますが、いわゆる食品ロスが与える影響について、政府としてどのような考え方や対策を講じているのか、伺いたいと思います。
  6. 池山成俊

    池山政府参考人 お答え申し上げます。  我が国では食品ロスが年間約六百十二万トン発生しておりまして、このうち事業系食品ロスは三百二十八万トンを占めております。このため、食料資源有効活用観点から、食品ロス削減は重要でありますので、事業系食品ロスを二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で半減させる目標を設けているところでございます。  農林水産省では、この目標達成に向けまして、納品期限の緩和など商習慣見直しでありますとか、生産流通等発生する未利用食品フードバンクへの提供ポスター等を活用した消費者啓発等により、事業系食品ロス削減推進しているところでございます。  また、委員指摘ございました、新型コロナウイルス感染症に伴い食品事業者において発生する未利用食品につきましては、昨年十二月までの間、フードバンクへの輸配送費支援を実施するとともに、現在もフードバンクに対する未利用食品に関する情報提供を行っているところでございます。  さらに、令和三年度におきましては、小売店舗等において見切り品など食品ロスにつながる商品を寄附金つきで販売する仕組み構築に向けた支援フードバンクにおける未利用食品マッチングシステム構築、さらにはAIを活用しました食品需要予測等の新ビジネスの普及に取り組むこととしておりまして、今後とも、環境省消費者庁等関係省庁と連携しつつ、取組推進してまいります。
  7. 松澤裕

    松澤政府参考人 先生から災害廃棄物処理についてお尋ねがございましたので、環境省支援について御説明申し上げます。  環境省といたしましては、災害発生した場合、本省それから全国地方環境事務所職員を派遣しまして、災害廃棄物処理体制構築に向けた支援を行っております。  一方で、それだけでは不足するケースもございますので、災害廃棄物処理の経験、知見を有する自治体職員災害廃棄物処理支援員として自治体から推薦いただきまして、現在二百名を超える方々を名簿に登録をして、災害時には、地元自治体の要請に応じて、この登録された職員を派遣する人材バンクという仕組み構築しております。  また、災害廃棄物処理事業費補助金を通じて、万全の財政支援を行っているところでございます。  さらに、先生から御指摘ございました、大雪で農業用ハウス被害が出ている、これに関しましても、環境省農林水産省で連携して処理支援を行っております。  先生指摘福島地震被害につきましても、本日、政府におきまして、令和三年福島県沖を震源とする地震に対する支援策、取りまとめられております。これに沿いまして、環境省では、全壊家屋に加えまして、特例的に半壊家屋の解体についても支援を行い、また、損壊した瓦、ブロック塀などの瓦れき災害廃棄物処理支援、被災した農業用ハウス支援、こういったものについてもしっかりと支援を行ってまいります。
  8. 西田昭二

    西田分科員 ありがとうございます。しっかりとまた対策をお願いをしたいと思います。  次に、海岸漂着物漂着ごみ等の問題について伺いたいと思います。  小泉環境大臣の御地元、神奈川県の三浦半島も同様の問題を抱えておられるかもしれませんが、私の地元であります石川県の能登半島海岸では、以前より、海外由来のものを含む大量の漂着物漂着ごみが押し寄せ、生態系を含む海岸環境の悪化や海岸機能の低下、漁業への被害等の深刻な問題が住民の生活に非常に大きな影響を与えているところでございます。  地域住民方々地元自治体石川県も漂着物漂着ごみについて様々な計画対策を立てて活動を続けておりますが、現在においても、依然として我が国海岸には国内外から多くの海岸漂着物漂着、漂流し、また、海底にも存在をしております。船舶の航行への影響漁業の操業の支障にもなっております。  さらに、近年では、海外に流出する廃プラスチックや微細なマイクロプラスチック生態系に与える影響についても国際的に取り組んでいかなければならない課題となっておりますが、美しく豊かな自然を保護するために政府としてどのような対策を講じていくのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  9. 山本昌宏

    山本政府参考人 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘ありました漂着ごみの問題、これは、生態系、人々の暮らし、それから漁業観光業海運業等産業に対して影響を与える大変重要な課題と認識しております。  まず、他国から流れてくるというところにつきましては、二〇一九年十一月に開催しました日中韓の三か国環境大臣会合を契機に、こちらは小泉大臣出席をいたしておりますが、中国との間で、海洋プラスチックごみモニタリング手法廃棄物管理を含む包括的な海洋ごみ対策に関する情報交換等を一層深化させるということを確認しまして、今その方向で取り組んでおります。  また、沿岸自治体は、日々、漂着するごみに大変な御苦労をされておりますが、そういった漂着ごみ回収処理につきましては、環境省海岸漂着物等地域対策推進事業という形で支援を行わせていただいております。  また、御指摘のありましたマイクロプラスチックの問題、こちらはまだまだ分かっていないところが多いのですが、その環境影響など未解明の部分につきましては、最新の科学的知見や国際的な動向に関する情報収集、あるいは調査研究を進めているというところであります。  また、そもそもプラスチックは流出しないというところが重要でありますので、そういった廃棄物側対策、あるいは、プラスチックから紙等にに代替していく、こういったインフラに対する施設整備支援というところも行っております。  こういった取組を通じて、先生指摘のような豊かな環境を取り戻すべく、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  10. 西田昭二

    西田分科員 ありがとうございます。  この美しい自然を守り、そしてまた後世にしっかりと残していくためにも、引き続きよろしくお願いしたいと思います。  次に、グリーン社会実現について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  菅総理の昨年の十月二十六日の所信表明演説でもありましたが、政府は、地球温暖化は全世界で、グリーン社会実現として、二〇五〇年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにする脱炭素社会カーボンニュートラル実現を目指すと、政策を挙げております。  パリ協定を踏まえ、我が国は、二〇三〇年度に温室効果ガス排出を二〇一三年度比で二六%削減する目標を掲げております。この目標達成のためには、家庭業務部門において約四割という大幅削減が必要であることから、政府は、脱炭素社会づくりに貢献する製品への買換えサービス利用ライフスタイル選択など、地球温暖化対策に資するあらゆる賢い選択を促す国民運動クールチョイス推進しているということでありますが、昨年から続く新型コロナウイルスの蔓延により疲弊している国民経済状況において、買換えなどに対する補助などを含め、国民への更なる周知、推進を目指すために具体的にどのような対策に取り組んでいくのか、伺いたいと思います。
  11. 小野洋

    小野(洋)政府参考人 お答え申し上げます。  製品サービスのライフサイクル全体の温室効果ガス排出量で見ますと、我が国温室効果ガス排出量の約六割については、住居や食事、移動などの家計での消費に起因するという分析がございます。二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けては、こうした一人一人のライフスタイルを脱炭素型に転換を図るということが必要でございます。  そうした中で、委員からも御指摘ございましたけれども、脱炭素社会づくりに貢献する製品への買換えサービス利用ライフスタイル選択など、地球温暖化対策に資する賢い選択を促す国民運動であるクールチョイス環境省として推進をいたしております。  また、現在、コロナ禍において家庭で過ごす時間が増え、エネルギー消費量が増加しているという状況にございます。こういった状況も踏まえまして、家庭の脱炭素化に向けまして、省エネ家電への買換え促進、それから補助事業等により住宅の断熱リフォームあるいはネット・ゼロ・エネルギーハウスZEH化、それから動く蓄電池としての電気自動車を再エネ電力とセットで普及を図っていくといった支援を行っているところでございます。  引き続き、消費者に対しまして、環境面はもとよりでございますけれども、健康、快適、あるいはお得というメリットの観点からも訴求をいたしまして、我慢を強いるのではなく、前向きで主体的な意識変革行動変容を促してまいりたいと考えております。
  12. 西田昭二

    西田分科員 ありがとうございます。  グリーン社会実現、二〇五〇年カーボンニュートラル実現には、まさに産官学、そして国民全体の理解と協力が必要であると私は考えております。  我が国温室効果ガス排出量の八割以上を占めているのは電力などのエネルギー分野であることからも、CO2排出量削減するためにはエネルギーの脱炭素化を進める取組が特に重要でございます。政府は、今国会に、地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案提出する予定と聞いております。  先日、二月二十一日の読売新聞の報道によりますと、太陽光などの再生可能エネルギー発電施設をめぐり景観問題などから住民の反発が相次ぐ現状を受け、環境省は、住民の合意を得ながら施設を呼び込む促進区域自治体が設定する新制度導入するとのことでありますが、この法律改正されることにより、再生可能エネルギー代表格であります太陽光発電をめぐるこれまでの森林伐採による景観破壊土砂災害などの問題、あわせて、不法投棄された太陽光パネルなどのトラブルの減少につながり、地元自治体への配慮事項として、景観や騒音の防止、地元雇用促進災害発生時の電力の供給などを設定できるよう、これまで対応に苦慮しながらも独自のルールをつくり努力してきた自治体を始め、新制度協力する自治体住民に対してどのような効果があるのか、伺いたいと思います。
  13. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 改めて、西田先生、おはようございます。  今日は、再エネに関する取組を促したい、我々は再エネ規制するのではなくて、再エネ導入拡大応援をしたい、こういった立場で今回の国会に温対法の改正案、この提出を今目指して、最終的に様々な調整をやっています。  その中で、残念なのは、一部の地域で、再生可能エネルギー導入地域とのトラブルが起きたりなどして、再生可能エネルギー規制をするという方向の条例などができていること。こういったトレンドが続いてしまえば、再生可能エネルギー導入拡大は進みませんので、私たちとしては、地域皆さんに歓迎をされる形で再生可能エネルギー導入拡大されるような新たな仕組みを温対法の改正の中に入れています。そして、そのことをもって、これから地域皆さんの中で、再生可能エネルギー時代というのは地産地消の時代が来るということです。  先生の御地元石川県でも活用できる地域資源はいっぱいあると思います。そういったことを活用する形で、エネルギーも食も、より地産地消型になって、分散型社会ができて、今、石炭、石油、LNGで海外に毎年十七兆円を払っている、このことを考えても、そのお金を少しでも国内、地域内で循環をさせていく在り方を目指していきたい。エネルギー安全保障観点からも、私は、再生可能エネルギーのポテンシャルを二倍持っている国がそれをフル活用することが基本だと考えていますので、先生の御地元でも、この法律が仮に国会提出をされた後に成立をした暁には、是非活用いただいて、私も先生の御地元の千枚田、あそこのオーナーでもありますので、こういった農地の魅力と、そして地域資源が生かされた、そんな地域社会を見るのを私も楽しみにしています。
  14. 西田昭二

    西田分科員 小泉大臣、ありがとうございました。  本当に、この温対法によって、実は、能登半島奥能登地域なんですけれども、様々な太陽光発電風力発電が進んでいるところでありますが、一部において、やはり、少しトラブルがあったり歓迎されていない話も聞くところもありますので、この新制度がしっかり生かされることによって、地方において様々なエネルギーが生かされる地域に、そしてまた国全体が一つとしてエネルギー推進につながるように、これからもよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございます。  二〇一八年度の電源構成は、火力が七七%、再生可能エネルギーが一七%、原発六%で、CO2の排出量が多い火力発電に大きく依存しているのが現在の状況でございます。二〇五〇年に実質ゼロを達成するためには、現状火力発電の廃止や高効率化を進めていきつつ再生可能エネルギー比率を大幅に引き上げるというような、エネルギー政策を大転換する必要もございます。  今年の夏に策定する予定であります第六次エネルギー基本計画において、再生可能エネルギー比率についてどのような目標が掲げられるのか。また、目標達成に向けてどのような施策を示していくのか、伺いたいと思います。
  15. 小野洋太

    小野洋太政府参考人 お答え申し上げます。  再生可能エネルギーは、低炭素ということと同時に、国産のエネルギーでございますので安全保障上も寄与できるということでございますので、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けては、これは鍵ということでございまして、最大限の導入を進め主力電源化を進めていく、これが基本方針でございます。  他方で、再エネにつきましては、出力が天候によって変動するというその問題、それから地域に偏在していますので系統で運んでこなきゃいけない系統制約の問題、それから平地が日本は限られておりますので立地が制約されるという問題、それから国民負担の増大、こういう問題がございます。  委員質問のこういう問題の解決のための施策でございますけれども、まず、出力の変動につきましては調整力の確保、これは揚水発電蓄電池導入拡大、それから系統につきましては基幹送電線利用ルール見直し、それから中長期的には系統整備を進めていくということ、それから立地につきましては克服可能な次世代の太陽電池開発支援、それから、さらに洋上風力、これは案件形成サプライチェーン形成支援を行ってまいります。  さらに、もう一つ御質問ございました再エネ比率でございますけれども、再エネの将来像につきましては、今まさに、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた具体的な道筋ということで、検討中でございます。  今申し上げましたこのような課題とその克服、これがどういうふうになるかということも踏まえつつ、議論を深めてまいりたいと考えております。
  16. 西田昭二

    西田分科員 経済産業省の総合エネルギー調査基本計画分科会では、二〇三〇年度の原子力発電の比率も論点の一つになっていると伺っております。現行の第五次エネルギー基本計画は、二〇三〇年の原発比率を二〇%から二二%とする目標も掲げております。  しかし、経済産業省が中心となり関係省庁と連携して策定し、二〇二〇年十二月二十五日の成長戦略会議で報告された二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略では、二〇五〇年の電源構成として、原子力、CO2回収前提の火力発電が三〇%から四〇%程度と、参考値が示されております。このうち原発の割合をどの程度とするのかは定かではございませんが、電力の二〇%を原発で補うためには三十基程度の稼働が必要と言われております。  しかしながら、二〇一一年の東京電力福島第一原発事故後、新しい規制基準の下で再稼働した原発は九基でございます。  原子力に対して国民皆様方の間に反対する意見が根強く存在しているのも承知はしておりますが、同時に、エネルギーは国の安全保障の根幹でございます。ベースロード電源として、位置づけとして極めて重要な原子力電源について、安全性が確保された原子力について速やかに稼働させる必要があると考えますが、引き続きグリーン社会実現に向けてどのように計画を進めていくのか、伺いたいと思います。
  17. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、まずはエネルギー需給構造の見通しであり、あるべき姿でございます、二〇三〇年エネルギーミックスの実現に向けて、着実に取り組んでいくことがまず必要だと考えてございます。  原子力に関しましては、ミックスで示された電源比率二〇から二二%の達成、これに向けまして、現在、これまで九基の原子力発電所が再稼働し、昨年十一月には女川原発二号機について地元理解表明がなされるなど、一歩ずつ取組を進めているところでございますけれども、引き続き、国民皆様方また地元皆様方の御理解を得ながら、着実に再稼働に向けた取組を進めていきたいと考えております。  委員指摘のございました二〇五〇年カーボンニュートラル、これを目指していかなければなりません。そのためには、再生可能エネルギー導入拡大、これはもう徹底的に進めていくことはもちろんのことでございますが、安全性が確認された原子力も含め、使えるものは最大限活用し、水素、アンモニアなど新しい選択肢も追求していくというのが政府基本的な考え方でございます。  昨年末、グリーン成長戦略をまとめたわけでございますが、その中で、原子力については、確立した脱炭素技術であり、安全性向上を図り引き続き最大限活用していくという方針の下、再稼働を進めるとともに、安全性に優れた次世代炉の開発を行っていくこととしているところでございます。  今後、検討を進めていくに当たりましては、島国であるこの我が国が置かれた状況等を適切に把握し、各エネルギー源の強み、弱みというものをしっかりと検討、考慮していくことが必要だと考えております。  原子力については、運転時に温室効果ガス排出しない脱炭素電源であると同時に、安定して稼働できる準国産エネルギーであるという安定供給についての強みを持ってございます。こうした原子力の特性をしっかりと認識しながら、将来のエネルギー政策方向性について議論し、結論を出していきたいと考えてございます。
  18. 西田昭二

    西田分科員 引き続き、スピード感を持って、よろしくお願いをいたします。  私も所属しております自民党電力安定供給推進議員連盟も、再生可能エネルギーを否定しているわけではございません。自民党の政策は、原子力を含めてゼロエミッション電源の最大限の活用として、様々なエネルギーについて議論をしております。  資源の乏しい島国である日本は、エネルギーについてえり好みをする余裕があるとは思えません。地球上に完璧なエネルギーが存在しない中で、本年、年初めに起こった電力の需給逼迫と電力の市場価格の高騰の話題は、コロナ禍に苦しむ多くの国民にとって大きな不安になったことは間違いございません。  近年の気候変動により、大規模自然災害や、この冬のように気温が平均を大きく下回ったり、また逆に大きく上回るような場合には、電力需要が増加することは明白でございます。安定的なエネルギーの供給は、国民の命や生活にとって大変重要でございます。  今後起こり得るかもしれないこのような事態に対して、政府はどのような対策を講じていくのか、伺いたいと思います。
  19. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  まず、年末から年初、一月上旬にかけまして生じました電力需給逼迫につきましては、現在、その原因、要因の検証作業を今審議会で進めているところでございますけれども、現時点で申し上げますと、その背景には断続的な寒波による需要増というのがまずあったわけでございますが、加えまして、LNG、結構ガス火力我が国は頼っているわけでございますが、その在庫の減少による火力発電の稼働抑制が相当程度生じていたということ、またさらに、発電所の休廃止や停止により供給力が低下傾向という事態が生じている中で、太陽光出力変動に対する対応が厳しい状況になっていたということ、様々な要因が重なったものと考えてございます。  委員が御指摘いただいたとおり、このことは、資源が乏しく周囲を海で囲まれた我が国におきまして、安定性、安定供給、経済性、環境適合、スリーEプラスSのそれぞれ全てを満たす単一の完璧なエネルギー源がないという足下の状況の中におきまして、エネルギー源の多様なバランスのよい活用ということと、それに対する十分な備え、いざというときの備えが必要だということが、我々、再認識したところでございます。  現在、審議会の中では、今後の安定供給の在り方ということ、市場の設計の在り方ということ、様々な点を議論しているわけでございますが、この燃料不足、燃料の制約という中での電力の融通若しくは確認、確保の在り方ということ、また、そういった際の広域的な運用、融通の在り方、各発電電力事業者が供給力の確保を十分にしていく方策、市場の設計、情報発信、様々なことを検討しておりますけれども、今後、こういった事態にも備えて、しっかりとした電力の安定供給が確保できるよう、検討を進めてまいりたいと考えてございます。
  20. 西田昭二

    西田分科員 ありがとうございます。  時間が参りましたので、これで終わりといたします。ありがとうございました。
  21. 齋藤健

    齋藤主査 これにて西田昭二君の質疑は終了いたしました。  次に、金子恵美君。
  22. 金子恵美

    金子(恵)分科員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。  もうすぐ、東日本大震災、原発事故から丸十年となります。この十年間、様々な自然災害被害も受けてまいりました。私たち被災地の者にとっては、十年の節目というものはありません。ただただ、本当のふるさとの復興再生のために前進したいという強い思いでいるところでございますが、コロナ禍にもありまして、大変厳しい状況の中、二月十三日深夜、東日本大震災の余震でもある福島県沖地震発生いたしました。もう心が折れそうな状態であります。  そして、廃炉作業が行われている東京電力福島第一原発の状況について見ても、この地震発災直後は、地震影響はほぼないような、そういう報道がされましたが、そういう報告、発表がされましたが、明けてみますと、地震影響を受けて、一号機、三号機原子炉格納容器における水位低下、一号機原子炉格納容器における圧力低下も起きました。一点だけ大変な問題だなと思っているのは、三号機の地震計が故障していたことを東電が放置していたということの指摘もあります。  原発の廃炉への道のりは、本当に長いものとなっています。そしてまた、さらに、今回の地震影響を受けて、恐らく今後のロードマップにもまた新たな課題が出てくるのではないかというふうにも感じているところでございます。  福島の復興再生は、やはりこの原発の廃炉というものをしっかりと成し遂げなければならないというふうに思っておりますけれども、大臣のこれまでの、福島に対してもやはりしっかりと寄り添っていただいている、そういう部分というのを私たちも拝見させていただいていましたので、是非、どのような御認識をお持ちかということをお伺いしたいというふうに思います。
  23. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 まず改めて、今回の地震におきまして被災された福島県を始めとする地域皆様方に、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  東日本大震災、原発事故、そして様々なその後の災害も含めて、そして今のコロナ禍、まるで、立ち上がろうとしても何度も倒されるような、そういう思いを持たれている方もいるのではないかなと。しかし、起き上がりこぼしというのもありますから、何度倒されても倒れない、起き上がる、まさにそういった、気持ちも含めて、復興を後押しすることが我々に求められていることだと思いますので。  今回、この福島県沖の地震に伴って、家屋の損傷などもかなり出ています。ここは環境省も、特例的ではありますが、全壊家屋だけではなくて、半壊の家屋についても支援を行うことを決定をいたしました。そして、瓦が壊れたこと、ブロック塀が壊れたこと、そして農業用のハウス、こういったことも関係省庁と連携をして支援を進めていきたいと考えています。
  24. 金子恵美

    金子(恵)分科員 今おっしゃっていただきました、全壊だけではない、半壊も、一部損傷という形で、瓦が落ちた、それに対しての対応もしなくてはいけない。新地町というところでは、町長様の言葉をおかりいたしますと、私も現地に入りまして見てまいりましたけれども、全戸被害を受けているという言い方をしています。ですので、そういった意味からも、しっかりと御対応いただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  御存じのとおり、新地町は、実は、東日本大震災、原発事故からの復興のシンボルでもありました。そういうところでも大変な被害を受けているということですので、是非寄り添い続けていただきたいと思っております。  そして、除染の問題や、これから中間貯蔵施設、そして、そこから最終処分場をどうするかという課題というのが大きなものとなっています。  そこで、十九日に大臣は内堀知事と会談をされたということで、中間貯蔵施設の汚染土などを二〇四五年までに福島県外で最終処分することに関して、来年度、二〇二一年度から、国民の理解を得るため、全国各地で対話集会を開くなどの活動を実施するとの発言をされています。  これまでも、もちろん、しっかりと約束を果たすために取り組んでいくというような、そういう御発言もしていらっしゃいますし、技術開発や実証実験なども行っているということでもありますが、これまでも、二〇一四年になりますけれども、福島県外での最終処分までの主な流れというものが示されているんですが、八つのステップというものが提示されました。  このステップのうち、一から四に関する中長期的な方針としては、これは二〇一六年の四月でありますけれども、中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略及び工程表が取りまとめられているわけです。  しかし、ステップ五から八に関する方針はまだ示されていないということから、今どの辺にいるのか。このステップ八のうち、今の取組というのはどの辺に位置づけられているのかということをお伺いしたいというふうに思います。ステップ四からステップ五に移動するのかどうか。そして、大きく工程表を作るなどして、最終処分場立地に向けて動いていくのか。そこの部分についてお伺いしたいと思います。
  25. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 ステップに関してですので、まず結論から申し上げると、今はまだステップ五ではないということが最初の結論にはなります。  その上で、少しお答えをさせていただくと、環境省としては、今、金子委員から御指摘をいただいたとおり、二〇一六年に策定した技術開発戦略及び工程表に基づいて、除去土壌などの減容に関する技術開発や、実証事業などの再生利用推進、処分場の構造の技術的検討などを進めているところで、先生指摘の八つのステップに関して言えば、ステップ一からステップ四、この検討を並行して進めているところだというふうに言えます。  さらに、工程表では、二〇二四年度を戦略目標として基盤技術の開発を一通り完了することを目指していて、その時点における技術開発の進捗や再生利用の見込みを踏まえ、最終処分場の構造や必要面積などを検討していくこととしています。そのため、ステップ五に進むのは、これらの検討が進む二〇二五年度以降だというふうに考えています。  一方で、これらのステップと並行して、県外最終処分に対する国民の、これは福島県民だけではないですから、全国民の理解の醸成が不可欠です。  ただ、一方で、残念なのは、三十年以内に最終処分というこの国と福島県の約束、これ自身、何と福島県内でも認知度が五割、そして県外を見れば二割、こういう調査の結果が出ているんです。内堀知事ともこの件についてお話をしましたが、内堀知事も、県内で五割という数字はショックだと。まさにこれは、県外に持っていくという話ですから、国民皆さんの理解なくしては進みません。  ですので、新年度になりましたら、全国のブロックで、まずは私が、東京を皮切りにと考えていますが、この事業自体の御理解、そういったことをより多くの方にしていただけるような取組を強化をしていきたい、そう考えています。
  26. 金子恵美

    金子(恵)分科員 この最終処分を完了するまでに、中間貯蔵施設搬入から三十年以内という約束をしています。中間貯蔵・環境安全事業株式会社法第三条の二に、「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずるものとする。」とあります。  確認をさせていただきたいと思います。今、ステップの話をさせていただき、そして今後の取組の話もさせていただきまして、全国的にきちんとこの事業についても発信をしていくというようなお言葉をいただきましたが、やはり、これも時間が必要です。ですけれども、約束としては、しっかりと、三十年以内、完了するというふうに言っています。  この三十年以内というところなんですけれども、二〇四五年の三月までに、福島の中間貯蔵を行っている土地というのは、完全にきれいな状態で福島の地権者の方々に返す、そこまでで完了というようなことでいいのかどうかも含めてお伺いしたいと思います。
  27. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 金子委員が御指摘されたこの条文についてでありますが、中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了する、そのために必要な措置を講ずるという意味であります。  また、必要な措置については、二〇一一年十一月に閣議決定された基本方針において、除去土壌について、可能な限り減容化を図るとともに、安全性を確保しつつ、再生利用等を検討するとされているように、減容や再生利用などの取組を含むものであります。  さらに、二〇一五年二月に、福島県、大熊町、双葉町と環境省が締結をした協定書においても、「国民の理解の下に、除去土壌等の再生利用推進に努めるものとするが、再生利用先の確保が困難な場合は福島県外で最終処分を行うものとする。」としているところであります。  環境省としては、引き続き、この最終処分の実現に向けて必要な取組をしっかりと進めていく決意であります。
  28. 金子恵美

    金子(恵)分科員 ということは、完全に中間貯蔵施設から搬出をしていって、そして、その中間貯蔵のために使っている土地をきれいにして返すというところまでいかなくてもいいということですか。
  29. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 今申し上げたとおりでありますが、中間貯蔵開始後三十年以内に、県外で最終処分を完了する、そのために必要な措置を講ずる、そういう意味であります。  とにかく、三十年以内に県外で最終処分をするために、法律に基づいた約束をしているわけですから、我々としてその約束をしっかり果たすためには、まずは中間貯蔵に持っていくということを着実に進めること、そして中間貯蔵を安全に管理した上で、その量を減らすこと、そして再生利用を進めるための理解を得ること、そして県外に持っていくための理解を得ること、これを全てやらなければこの問題は解決しませんので、その取組を一つ一つ、まさに八つのステップという話がありましたように、ステップ・バイ・ステップで、いかにこの三十年の約束を果たせるか。  我々としては、そのときの様々な方々のお気持ち、あると思いますし、この十年、様々な思いの中で御協力をいただいた大熊町、双葉町の皆さん福島県民の皆さん、いらっしゃいますから、とにかく、この約束を果たすために、我々、全力で汗をかく、そういったことも御理解をいただければと思います。
  30. 金子恵美

    金子(恵)分科員 環境省が中間貯蔵施設の用地のために当該施設の地権者との間に締結している地上権設定に関する契約書は、二〇四五年三月を超える契約はないということですが、今後も二〇四五年三月を超えるような契約や、契約の延長はしないのかどうかということも課題になってくるというふうに思います。  もし、何かしら最終処分場のようなものを造ればそれでいいんだということであれば、中間貯蔵施設の中にもまだ廃棄物が残っているという状況が残るわけですね。そうであれば、例えば、二〇四五年三月の契約が切れる状況の中であればそこは契約を延長していく、そういうことがあり得るということになるんですけれども、いかがですか。
  31. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 我々、今、法律の条文の扱いについて議論もしている中で、三十年以内にということを言っています。それは、三十年ということだけではなく、できる限り早くできれば、それにこしたことはありません。  ですので、先生、三十年以降という仮定の話を今されている、そのお気持ちは分かりますが、我々としては、これは三十年以内に何とかこの約束を果たしたい、そういう思いで、それが実現できるように、できること全てをやっていきたいと思います。
  32. 金子恵美

    金子(恵)分科員 それでは、重ねてお願いを申し上げますけれども、この法律にあるとおりに、三十年以内に最終処分を完了するということは、そもそも、この契約上も延長はない。地上権設定に関する契約書は、申し上げましたように二〇四五年三月を超える契約は現在ないということでありますので、その範囲の中でしっかりとそこまで完了していくということでお願いをしたいというふうに思います。
  33. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 延長は今のところ考えておりません。
  34. 金子恵美

    金子(恵)分科員 ありがとうございます。是非約束を守っていただきたいというふうに思います。  そこで、次に、特定復興再生拠点区域以外の帰還困難区域の除染の関係なんですけれども、これも、菅総理が昨年十月の所信表明演説においても、「将来的に帰還困難区域の全てについて避難指示を解除する決意は揺るぎません。」と述べている、そして政府としてもここは譲らないということで、揺るがない決意ということであります。  そうなんですけれども、ただ、特定復興再生拠点区域については除染等が進んでいますけれども、帰還困難区域についてはこの方針というものがきちんと定められていません。もちろん、きちんときれいに戻していくということであれば、この除染と、そして、やはり長年放置されている家屋についても恐らく解体ということになっていくんだというふうにも思います。本当のふるさとの再生ができて、そこにまた戻るということを考えていくのであれば、その方針というのを早く決定していかなくてはいけないというふうに思います。  現段階では、この帰還困難区域の中でも特定復興再生拠点区域は八%程度にすぎないということであるので、大部分は除染の対象ともなっていないという状況であります。  今後の避難指示の解除に向けて長期的なスケジュールも示す必要があるというふうにも思いますけれども、この除染そして家屋解体等の方針についての御所見を伺いたいと思います。
  35. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 今、環境省は特定復興再生拠点区域において家屋などの解体、除染を進めていて、令和二年十二月、昨年十二月時点で、解体は申請件数の約七九%、除染は予定面積の約七〇%が完了しました。引き続き、令和四年春から令和五年春の避難指示解除に向けて着実に事業を進めてまいります。  今、先生から拠点区域外の話がありました。私も度々現場の皆さんから、早く見通しを、そういった声は伺っています。一方で、それぞれ、帰還困難区域を抱える地域皆さん課題、そして思い、これは一律なものでもありません。ですから、それぞれ異なる地域課題やそれを解決するための施策、こういったものをしっかりと考えながら、できる限り各町村の意見を尊重しながら、政府全体としてできるだけ早く検討を進めていきたい。  先日、復興再生協議会もありましたが、復興大臣、経産大臣、私が出席をしました。そういった場でも、各大臣と連携しながら、この検討を早くできるように努力をしていきたいと思います。
  36. 金子恵美

    金子(恵)分科員 今後、それが決定していくと、帰還困難区域の除染をどのようにやっていくかということになりますと、そこからまた、除染をしますと決定した場合に、その廃棄物の処理についてもまた新たな課題になってくるわけです。それが現在の中間貯蔵施設で受入れが可能なのかどうかとか、さらに、それをまた最終処分という形ではどうするのかとか、いろいろな課題が次から次と出てくるというふうに思うんです。  ですので、まず方針を決めていただいて、そして実際に除染をしていただいて、その上で、じゃ、その除染から出た汚染土はどうするのか、ここまでしっかりとパッケージとして考えていかなくてはいけないということですので、よろしくお願いをします。  何か一言あればお願いします。
  37. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 先生言ったとおり、まずは中間貯蔵、この拠点区域内の除染により発生したものを持っていくということでありますけれども、一方で、拠点区域外、これを政府内で今様々検討を進めているところですが、政府全体としての、こうしていこう、そういう全体の方針が仮に決まりましたら、その全体の方針を受けて我々しっかりと対応するということだと思います。  いずれにしても、福島皆さんの十年という節目が区切りではなくて、私は新たなスタートだと思っていますので、そのためにできることをやっていきたいと思います。
  38. 金子恵美

    金子(恵)分科員 よろしくお願いいたします。  それでは、プラスチック関係の質問をさせていただきたいと思います。  昨年の七月から、国民ライフスタイル転換を図るものとして、レジ袋の有料化が開始されました。レジ袋については一定の効果があったものと認められますが、他方で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、マスクとかフェースシールド、手袋などの様々な使い捨てのプラスチック製品が感染予防のために使用されるようになっているということで、新たな課題も出てきているというふうに思います。  でも、一方で、それでも今後プラスチックの使用の抑制をしっかりと図っていくということは政府として進めていくことだと思いますが、政府は、今国会プラスチック資源環境促進法案を提出し、事業者に対して、使い捨てプラスチック削減環境配慮設計、代替品の開発などを求めるようであります。こうした取組、もちろん否定するものではない。しかし、かなり限定的になってしまうというふうにも思いますし、国全体を通じて効果的であるかということも疑問でもあります。  国民ライフスタイルの変換はある、そして国民の皆様への負担を求めるやり方には限界がある、いろんな課題がいろいろとあります。その中で、コロナ禍だから、今プラスチックを使わないでほしいとか、それをただ国民皆さんに投げかけるというのも本当に厳しい状況にもあるというふうにも言えます。  ただ、やらなくてはいけない。もうこれは世界的なプラごみ問題というのがありますから、いろいろなお考えというものをお持ちになりながらこの法案を提出されているんだというふうにも思いますが、一つ言えることは、国民皆さんや中小零細の小売業や外食産業協力を求めることも課題でありますけれども、それだけじゃ駄目なんだ、それは単に皆さん負担を大きくしているだけなんだ、じゃ、どこから、今、それでも頑張ってスタートできるかということだと思うんです。  立憲民主党はプラスチック法案を現在準備しています。プラごみゼロ法案というふうに申し上げた方がいいと思います。それは、やはりプラスチックの使用の抑制を第一に考えた上で、国民皆さんや中小零細企業への負担より先に、拡大生産者責任に基づく大企業への規制とリサイクル費用の負担を検討ということでございます。  先ほど来申し上げていますけれども、政府は、プラスチック全体の使用の抑制を図る上で、国民皆さんや中小零細の小売業や外食産業にただ単に協力を求めるということだけではなくて、大企業への具体的な数値目標や使用抑制の義務づけというものをしていくべきではないかと思いますが、そのようなお考えはございますでしょうか。
  39. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 我々が今法案を提出をする最終調整をしているものの中身は、これが国会提出をされてから具体的な議論はさせていただければと思いますが、今先生の方でも具体的な提案を準備をされている、こういったことは私はありがたく思いますし、思いとして、コロナ禍だからといって環境対策や気候変動対策の手を緩めてはならない、これは全く同感です。  特に、国際社会は、このコロナ禍でむしろ改革を大胆に、一気にやってきているんですね。日本の中だと、一部、このタイミングで大きな変化をするのかという意見もありますが、仮にそういう意見に流されたら、コロナの後の復興の姿は、大きく経済社会の構造を脱炭素型にシフトをした国と、こんなに大変なんだから今もう少し緩めないとという、仮にそれが日本だったとするとですよ、その立ち上がりは大きな差が出ると思いますね。  そうならないように、我々としては、今回、プラスチックの法案だけに限らず、温対法の改正も含めて、環境省としては異例である四本の法律提出させていただく予定ですが、そこの思いは共有しながら、建設的に議論をさせていただければと思います。
  40. 金子恵美

    金子(恵)分科員 ありがとうございます。  このようなときだからこそしっかりと対応するというお言葉は本当にありがたいと思っておりますが、それでは、今、脱炭素社会に向けてという話もありましたので、プラスチックの熱回収について質問させていただきたいと思います。  プラスチックを始めとする循環資源は、循環型社会形成推進基本法に基づいて、再使用、再生利用、熱回収という順位づけがなされているわけなんですけれども、プラスチック循環利用協会が公表している二〇一九年のプラスチック処理方法を見てみますと、プラスチック廃棄物の有効利用率は八五%と一見高く見えますけれども、その内訳は、マテリアルとケミカルを含むリサイクルが二五%、熱回収は六一%となっています。熱回収は、焼却時の廃熱を活用するという点では単純焼却よりも有効利用していると言えますけれども、決して循環しているというふうには言えません。大量生産、大量消費、大量廃棄のリニア経済そのものであります。  この循環型社会形成推進基本法が制定してから二十年経過してもなお、熱回収がプラスチック廃棄物の処理方法の六割超、そして有効利用の大半を占めるというこの現状について、どのような見解をお持ちでしょうか。二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、石油などの化石燃料を原料とするプラスチックの使用を極力減らし、そして、プラスチックを燃やす熱回収についてもゼロを目指していくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  41. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 結論から申し上げると、今後は、単純焼却や埋立てされているものなど現在未利用のものも含めて、全ての使用済みプラスチックをリサイクル中心に一〇〇%有効利用すべく強力に取組を進めていきたい、その思いは同じだと思います。  そして、先生が熱回収というふうに言っていただいていることは、まさに、そういう認識が多くの方に広がってもらいたい、これは別にリサイクルじゃないよと。  よく、このことをサーマルリサイクルというふうに言う方がいるんですけれども、これは海外で議論をすると、日本とずれてしまう。燃やしているからリサイクルじゃないじゃないかということで、何でそれをリサイクルに含めているんだ、日本はおかしいだろう、こういうことになりますから、そうじゃないよ、あくまでも、リデュース、リユース、リサイクルという順番で、どうしても仕方ないものは熱回収。  こういった中で、今後はリサイクルを進展させていきますから、熱回収の割合はこれから減っていく、そういうふうなことを私としては認識をして、今回の法案についても、プラスチックが、最初から熱回収前提ではなくて、まず、使い捨てのものはできる限りなくしていく、最終的に一〇〇%再生利用する、こういった方向に切り替えていく大きな法案を出していく、そういったことにも理解をいただければと思います。
  42. 金子恵美

    金子(恵)分科員 ありがとうございます。是非お願いいたします。  バイオプラスチックについても、二〇三〇年までに二百万トン導入という目標を掲げています。でも、実際には、日本バイオプラスチック協会が出されている数値を見ますと、二〇一九年の段階で四万六千六百五十トンということですので、まだまだ大変低い数値というふうになっています。  ただ単に量を増やせばいいということじゃなくて、やはり、原料から廃棄に至るまでの全体を通して環境によいものかどうか、様々な比較などを踏まえた上でバイオプラスチック普及促進に取り組んでいくべきだというふうに思いますが、大臣の見解をお伺いします。
  43. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 これも、先生が御指摘されたように、バイオプラスチック導入が、結果、そのライフサイクル全体で、気候変動、生物多様性、そして食料との競合、こういった観点から持続可能性が高まっていくということとつながっていかなければならない、そういうふうに考えています。  このため、政府においては、バイオプラスチック導入に向けた基本方針や必要な施策を整理したロードマップを先月策定をしました。このロードマップにおいては、バイオプラスチック導入における持続可能性の確認も盛り込んだところであります。  今後は、生産設備の導入とか技術実証への支援などによって、企業などにおける適切な導入取組を強力に後押していきたいと思いますし、今日この分科会環境省関係と農水省関連であります、その両省にまたがるところでこのバイオプラが是非もっと広がってほしいと思う一つは、農業現場で使われているマルチですよね。あれも是非、生分解性なども出てきていますから、こういった多くの農家の皆さんにとっても身近なものから広がっていくことも我々としては後押しをしたいなと思っています。
  44. 金子恵美

    金子(恵)分科員 時間が参りましたので、これで終わります。  生物季節観測については、是非気象庁と連携をとって、何かしらの形で続けていただきたいということをお願い申し上げて、終わります。  ありがとうございます。
  45. 齋藤健

    齋藤主査 これにて金子恵美君の質疑は終了いたしました。  次に、中野洋昌君。
  46. 中野洋昌

    中野分科員 公明党の中野洋昌でございます。  本日は、予算委員会の第六分科会ということで、小泉大臣、また環境省皆さんを中心に質問をさせていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  まず、冒頭、何問か、環境省が所管をいたします動物愛護の関係で質問をさせていただきたいというふうに思います。小泉大臣のところにも、何度も要望も行かせていただきました。  私、初当選以来、動物愛護の取組応援をさせていただこうということでやっております。これは、元々地元の尼崎市でお世話になっていた市会議員の方が、議員提案条例で動物愛護基金というものを設置をいたしまして、こういう取組が進められないか、こういうことでお話を受けたのがきっかけでありまして。その当初は、殺処分ゼロということもまだ環境省の方では掲げていない、そんな時期でもありました。  以来、殺処分ゼロということで、政府も進めていこうということになりまして、実際やってみると、いろんな矛盾やいろんな課題も含めてやはり様々な課題があるということで、一つ一つ対応していこう、こういう思いでやってまいりましたけれども、超党派の議員連盟にも参加をいたしまして、前回の動物愛護法の改正、これが非常に大きな改正でありましたけれども、それにも取り組んでまいりました。  当時、公明党としても、動物虐待の厳罰化ですとか、いろんなことを今回是非進めたいということで力を入れさせていただきまして、例えば、厳罰化に関して言えば、最大二年以下の懲役という動物虐待罪でありますけれども、これを何とか引き上げてほしい、こういう大きな署名などもいただきまして、最大五年以下ということで、これの引上げもできました。  また、動物取扱業の様々な規制につきましても、超党派議連の方で基準の案というものを環境省に、大臣のところにも提出をさせていただきまして、これを最大限受け止めていただいて、こういう作業も環境省の方でやっていただいている、こういうふうに承知をしております。  いよいよこの施行に向けた取組ということも進んでおります。動物虐待の厳罰化などの更なる現場での対応も含め、どういう施行に向けた状況かということを大臣の方にお伺いをしたいと思います。
  47. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 まず、中野先生におかれましては、この動物愛護、熱心に、継続的に取組をいただきまして、御尽力されてありがとうございます。  そして、先生のお取組もありまして、改正法、施行されましたが、三段階に分かれておりまして、動物虐待の罰則強化などが昨年六月の一日に施行されました。そして、このほか、ペットショップなどの動物取扱業の飼養管理基準の具体化などが今年の六月一日に、そして、販売される犬猫へのマイクロチップの装着の義務化が来年の六月一日に、こういった形で段階的に施行される予定でありますが、特に、今年の六月の一日に施行される新たな飼養管理基準については、円滑な施行に向けて、一部の規定には経過措置を設けています。ただ、これに対して三年も猶予ができたという受け止めがあるとしたら、それは大きな間違いであります。  実際に、特に従業員数については、第一種動物取扱業の繁殖犬であれば、令和四年六月から従業員一人当たり二十五頭、令和五年六月からは二十頭と段階的に基準が適用されて、令和六年六月には完全施行で十五頭、これが上限になります。  さらに、この六月から直ちに適用するものを幾つか挙げますと、犬猫の不適切な状態、例えば毛玉とかふん尿で覆われている犬猫、私も写真を見たけれども、ひどかったですね、こういったものは直接禁止するなどの動物の管理に関する基準、これは今年の六月から、そして、温度計の設置などの環境の管理に関する基準、これも今年の六月から、年一回の健康診断などの疾病等に関する基準、これも今年の六月から、帝王切開や繁殖時の獣医師の診断に関する基準、これも今年の六月、展示や輸送方法に関する基準、こういったものなどはこの六月から直ちに適用して、一部の基準の経過措置期間中においても、適正飼養を担保するために厳格な対応を行っていく方針であります。仮に遺棄や殺処分が行われるようなことがあれば、法に反する行為として刑事告発などの厳正な対処を行っていくことになります。  このように、三年待たないと義務が履行されないということは全く間違いで、環境省としては、しっかりと動物愛護の精神に立脚をした対応を進めていきたいというふうに思います。  また、昨年施行された事項のうち、特に中野議員もその実現に御尽力されたと伺っています罰則の強化、これを受けまして、環境省として、法的にも道義的にも許されない動物虐待への対応強化を図っているところです。  具体的には、虐待の通報に関する自治体の窓口を明確化して公表するとともに、通報が義務化された獣医師に対しては、通報先を整理し、獣医師会宛てに通知を発出したことや、虐待の判断基準の明確化のため、自治体などに対し、環境省と獣医師が連携して助言する体制構築することとしたこと、また、国、自治体、警察などが円滑に情報共有をして、相互に連携することによって、深刻な事態に至る前の段階で予防を図ることにいたしました。  さらに、これらの対応を円滑かつ効果的に実施するため、虐待対策のガイドラインを来年度中に策定したいと考えていまして、現在、専門家へのヒアリングなどを進めているところです。  引き続き、この法改正の趣旨を踏まえて、動物愛護の精神にのっとって、動物の適正な取扱いが更に浸透していくように、関係者との連携を進めてまいりたいと思います。
  48. 中野洋昌

    中野分科員 ありがとうございます。  大臣にも、動物の虐待であるとかまた不適切な飼養であるとか、いろんな現場の状況を詳しくお伝えさせていただいておりました。要望の際にも、実際に写真なども見ていただいて、何とかこれを取り組んでいかないといけないという、非常に大臣の熱い思いも常日頃感じながら、どういう対策を取っていけばいいのかというのをしっかりと、我々からもまた大臣にも引き続きいろんなお声を伝えさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次に、多頭飼育崩壊の対策ということで取り上げさせていただきます。  殺処分ゼロの取組を進める中で、実際に自治体やあるいは愛護団体の現場で非常に困っておりますのが、不適切な飼養をして、例えば猫など、もう本当に繁殖をしてしまって非常にひどい状態になっているという中で、譲渡なども進めているわけでありますけれども、こうした事例が出てくると、やはり保護しなければならない、そういう負担も非常に大きいということもございます。  こうした不適切な飼養、実態を見れば、社会的な孤立であったり、福祉的な支援が必要であったり、複合的な課題になっているケースも多いということで、やはり、福祉の部局と動物愛護の部局がしっかり連携をして取り組んでいかないといけないということを従来から指摘をさせていただきました。  また、実際に、具体の立入り権限のようなものが非常に弱かったということもありまして、条例で、例えば多頭の飼育を登録制にして、しっかりと指導監督というか、こうしたことができるようにしてほしいといったような要望もいただいてきたところであります。  前回の動物愛護法の改正のところでも、こうしたところについて、立入り権限でありますとか必要な措置を何とかしていこうということでさせていただいておりますけれども、具体的にどう運用していくかということがこれから非常に大事であります。  環境省の方から、今後の取組の進め方について、また現状課題も含めて、答弁をいただければと思います。
  49. 鳥居敏男

    ○鳥居政府参考人 お答え申し上げます。  多頭飼育の問題は、高齢者のほか、経済的困窮や地域から孤立といった様々な課題を抱える飼い主が引き起こす場合が多く、対応に当たっては、社会福祉分野の関係者との連携が重要です。令和元年の法改正はその大きな契機であったと考えてございます。  環境省では、平成三十一年三月に動物や社会福祉の専門家による社会福祉施策と連携した多頭飼育対策に関する検討会を立ち上げまして、多頭飼育問題に対応するためのガイドラインの策定に向けて検討を進めているところでございます。  その中では、社会福祉部局を含めた様々な機関が連携して対応することや、対応の流れを、予防、発見、発見後の対応、再発防止の四段階で整理し、早い段階で問題を探知、共有して対応に当たることが重要というふうに指摘されてございます。あわせて、実効性確保のため、情報共有や連絡先の検討に活用するチェックシート、立入検査を実施する際の留意点等も盛り込むこととしてございます。  これらを盛り込んだガイドラインを近日中に取りまとめ、年度内に、厚生労働省とも連携して、地方公共団体の動物愛護管理部局や社会福祉部局に周知を図ってまいりたいと考えております。
  50. 中野洋昌

    中野分科員 自治体の方でも、いろんな先進的な取組をしているところもあります。また、横展開という意味では、政府の方でこうしたガイドラインも含めて展開していただくことは非常に大事だと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。  続きまして、動物愛護センターなどの施設整備についてもお伺いをいたします。  実際に、例えば犬猫等の殺処分ゼロということを進めていく中で、やはりこうした施設整備というのも非常に大事な側面であるというふうに思っております。実際に保護する数ももっと増やしていっていただきたいし、また、譲渡のようなものにももっと活用できるような、そういう対応もしていきたいというふうな要望も、私の地元の尼崎市でも、そういう整備ができないかということで要望も上がってきております。  国としても、やはりこうした必要な施設整備というものを今後もしっかり支援をしていくべきである、このように考えますけれども、今後の取組について、これも環境省にお伺いをしたいと思います。
  51. 鳥居敏男

    ○鳥居政府参考人 お答えいたします。  環境省では、自治体が引き取った動物の収容や譲渡を行う施設、また、災害時におけるペット連れ被災者の一時預かり拠点施設整備に対して補助金を交付する動物収容・譲渡対策施設整備補助を平成二十一年度から実施してございます。令和二年度は計八自治体、十施設に対して補助の交付決定を行っており、各施設整備が現在進められているほか、令和三年度も、厳しい財政事情の中、引き続き事業を継続することとしております。  環境省といたしましては、こうした事業を活用しつつ、引き続き、収容、譲渡のための施設整備促進に努めてまいります。
  52. 中野洋昌

    中野分科員 是非、必要な予算をしっかり確保も続けていただいて、これはお願いをしたいというふうに思います。  そして、コロナ禍における動物の適正飼養の推進についてもお伺いをしたいと思います。  ニュースでも、コロナでペットの売上げが一時的に伸びたというような報道もございました。しかし、他方で、すぐに飼育をやめてしまうような、こういうケースも見られるところであります。  動物愛護法も、前回、様々改正をしたところではありますけれども、大事なのは、適正飼養の推進について、国民のお一人お一人により深く理解をしていただく必要というのがやはり非常に大事になってくるというふうに改めて思っているところでもございます。  そうした啓発活動のようなところの強化になってくるのかもしれないですけれども、こうした適正飼養の推進環境省としてどのように旗を振っていくのか、これも大事な観点かと思いますので、今後の考え方についてお伺いをしたいと思います。
  53. 鳥居敏男

    ○鳥居政府参考人 お答えいたします。  動物愛護管理法では、国民の間に広く動物の愛護と適正な飼養についての理解と関心を深めるため、九月二十日から二十六日を動物愛護週間と定めてございます。この期間に、関係団体が協力して、全国で毎年、普及啓発行事が実施されています。  環境省におきましては、飼い主責任の徹底を中心に、例えば、高齢者によるペットの飼育、災害時の同行避難など、特に重要と思われるテーマを取り上げ、シンポジウムの開催やパンフレットの作成、配布等により広く普及啓発を実施してまいりました。  その上で、最近は、新型コロナの影響により、ペットショップで犬猫がよく売れる一方、飼養放棄が懸念されるといった報道があることは承知してございます。  そのため、飼育放棄につながるような安易な飼育を防ぐとともに、保護犬、保護猫を迎え入れるという選択肢もあるということを、関係者と連携して、より効果的に周知をしていきたいと考えております。  あわせて、法改正を受けまして昨年改正された動物愛護管理基本指針においては、「目指す社会の姿や動物の取扱いに関する行為規範の在り方について、中長期的に検討していく必要がある。」そういうふうにされております。こういった点について、動物愛護週間等の機会を用いまして国民的な議論を進めていくとともに、国民の啓発の上で重要と考えております。
  54. 中野洋昌

    中野分科員 いろんな場面で取組を進めていただいております。  私も、ちょっとどういうことができるのか、例えば、教育の行政の中で、命を大事にする取組であるとか、そうした保護犬や猫をそこから引き取っていくような、そういう考え方など、やはり子供のうちからいろんなところを教えていくことも非常に大事かというふうに思います。  これは是非、関係各省、また連携をしたような形で何か取組ができないか、私も他省庁にも訴えていきたいと思いますので、環境省としてもいろんなまた知恵を絞ってやっていっていただきたい、改めてお願いを申し上げます。  少し話題を変えまして、奄美、琉球の世界自然遺産登録、これについてもお伺いをしたいと思います。  私、党の方でも離島振興対策本部というところで事務局次長をやっております。選挙区も特に島もないところなのに、なぜ離島振興をやっているのかというふうに聞かれることも多いんですけれども、実は、地元の兵庫県尼崎市というところが阪神工業地帯の非常に中心的なところでもありましたので、離島出身の方が実は結構多くて、特に奄美群島ですとか鹿児島方面の離島の方あるいは沖縄の方、そういった島出身の方が多い地域、そういうこともありまして、県人会ですとか、あるいは郷土会のようなものが大変盛んに行われております。  残念ながら、コロナ禍の中で、そうした郷土の皆さんが集まって、ふるさとをしのんだり、あるいは、ふるさとの現状、またいろんな報告をさせていただいたり、そして交流をさせていただいたり、こういう集まりがなかなかできなくなっているというのは正直残念なところではあります。  そうした中で、奄美、琉球の世界自然遺産登録については、非常に皆さんから大きな期待の声が寄せられておりました。本来であれば、昨年を目指してやっておったことでありましたけれども、コロナ禍の中で、大変残念ながら延期ということになってしまっております。  もし、こういうコロナの時期でなければ、大臣にも、こうした奄美群島、大変美しい自然でありますので、是非見に行っていただきたい、こういう思いもありますけれども、世界自然遺産登録というものが確実に、また早急に行われるように、環境省としても是非取り組んでいただきたいと思っております。  また、今年、自然公園の活用といったところも含めて、非常に、環境省としても、こうしたところにも力を入れるということで、今力強く取り組んでいただいております。また、自然遺産登録と併せまして、やはり地域の振興というものにも資するように、こうした活用も大事かと思いますので、これも是非、環境省に力を発揮していただきたいというふうに思っております。  こうした取組について、是非大臣の方から答弁いただきたいと思います。
  55. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 中野委員がおっしゃったように、本来であれば、昨年、心待ちにしていた方が地域でいっぱいいましたね。しかし、コロナということもありまして、ユネスコが延期、そして今年の六月、七月に開催をされるということであります。  我々としては、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島、この地域は、希少な固有種が生息するなど将来の世代に引き継ぐべき人類共通の財産であって、環境省として、引き続き、外務省を始め関係省庁地元自治体皆さんとも緊密に連携を図って、登録に向けた対応に万全を期していきたいと思います。  その上で、先生のお尋ねの地域振興、これも非常に大事なことであります。自然環境保全と両立した持続可能な利用などを通じて地域の振興や活性化が図れるように、関係省庁自治体皆さん協力をしていく。  まさに、環境省は、この国会で自然公園法の改正の動きも今していますし、その中で、保護だけではなくて利活用を進めて、地域の経済にも資するように持っていきたい、そういうふうに考えています。  私も、この地域、伺った地域も多いので、世界自然遺産登録が仮にされた暁には、また行くのを楽しみにしています。
  56. 中野洋昌

    中野分科員 ありがとうございます。  昨年、本当に、コロナという大変仕方ない状況の中ではあったんですけれども、延期になってしまったという、大変残念がっておられる皆さんも多い中でございます。必ず今年にはということで是非お願いもしたいと思いますし、また、様々、大臣には、動物愛護、あるいはこうした自然の保護とまた利活用を始め、それ以外にも脱炭素でありますとか、いろんな分野で是非リーダーシップをまた今後も発揮をしていっていただきたいというのを改めてお願いをしたいというふうに思います。  離島の振興の関係で、もう一点、甑島の支援ということで、これも併せてお伺いをしたいというふうに思います。  これも大変自然の豊かな島でありまして、甑島出身の方も、大変、私、地元で交流をさせていただいているわけでございます。実は、この甑島、昨年八月に、島をつなぐ甑大橋というのも完成をいたしました。これも私も国会で取り上げてまいりました。私の選挙区の大先輩であります、亡くなられました冬柴鉄三代議士、国交大臣時代に完成に尽力をしてきたような経緯もありまして、私も、こうした支援の力に是非なれないかということで、例えば、特定国境離島を振興する、こうした議員立法などにも取り組んできたところであります。  現在、こうしたコロナの状況でございますので、通常のような観光の振興というのは確かに難しい側面でもあるんですけれども、しかし、こうした状況だからこそ対応していける、あるいは準備をしていける、こうした取組もあろうかと思っております。逆に、リモートのような働きが増えてくると、こうした離島においてもいろんな可能性というものが出てくるのではないかというふうにも思っておりまして、是非、甑島への支援というのを引き続き国としても行っていっていただきたいと思いますけれども、交付金の担当が内閣府でございますので、これは内閣府にお伺いをしたいというふうに思います。
  57. 田邊靖夫

    ○田邊政府参考人 お答えいたします。  内閣府におきましては、平成二十九年度より、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金を通じて、特定有人国境離島地域地域社会の維持を支援しているところでございます。  特定有人国境離島地域である鹿児島県薩摩川内市の甑島列島につきましては、平成二十九年度以降、離島住民向けの航路運賃の低廉化、本土に輸送する芋類、魚介類等の農水産品に係る輸送費の支援、甑島での宿泊と体験を伴う旅行商品の造成等、滞在型観光の促進に係る支援のほか、空き店舗を活用した地元食材を提供する飲食店の創業や、キビナゴ加工場の設備導入等への支援等によりまして、雇用機会の拡充を行ってまいりました。  令和三年度におきましても、鹿児島県及び薩摩川内市の要望を踏まえまして適切に支援を行って、甑島列島の地域社会の維持を推進してまいります。
  58. 中野洋昌

    中野分科員 最後に何点か、下水あるいは浄化槽、こうした処理の関係についてお伺いをしたいというふうに思います。国交省に来ていただいております。  下水道施設の老朽化というのが今非常に深刻になっております。戦後、急速にインフラを整備してまいりました。地元の尼崎市に聞きますと、例えばポンプ場などでいえば、一九六二年以降、整備時期を集中して行っていたもの、あるいは七八年以降に集中して整備をしたもの、整備時期がかなり集中をしてやってきたこともございます。これをまとめて延命化をすると、同じように、将来、整備の時期というのがまた集中をしてしまう、こういうふうな状況でもあると思います。  全国的にも同じ、高度経済成長の中でいろんな支援を行ってきているわけでありますので、やはりこうした施設の、全体のライフサイクルも踏まえつつ、これを是非平準化していくようなマネジメントをしていっていかないのではないかというふうに思います。  こうした下水道の老朽化対策基本的な考え方、あるいは今後の進め方、これを国交省にお伺いをしたいというふうに思います。
  59. 植松龍二

    ○植松政府参考人 お答え申し上げます。  下水道は、全国で管路延長約四十八万キロ、処理場は約二千二百か所など膨大なストックを抱えており、その機能を維持するために計画的に更新することが喫緊の課題となっております。  このため、国土交通省としましては、下水道システム全体の機能維持に不可欠なものから優先順位づけを行って、計画的に更新を行うためのストックマネジメント計画を公共団体に策定していただき、この計画に基づく劣化状況の調査や更新について財政的に支援しているところでございます。  尼崎市におかれましては、平成三十一年二月にストックマネジメント計画を策定し、耐用年数の短いポンプなど、機械設備の更新を現在進めていると承知しておりますが、今後、ポンプ場の建物を含めた大規模更新の実施が必要となることから、機能停止時の影響度や施設の劣化状況に加えて、全体事業費の平準化の観点も踏まえ、ストックマネジメント計画の改定をいただくよう促してまいります。  今後も、五か年加速化対策などを活用しつつ、引き続き、国として必要な支援を行い、下水道施設の老朽化対策推進してまいります。
  60. 中野洋昌

    中野分科員 ありがとうございます。  このストックマネジメントの計画をしっかり立てていく、そして、それを支援していくということでお話をいただきまして、非常に大事な観点かと思いますので、是非、必要な予算の確保にも努めていただきたいと思います。  浄化槽の関係についてもお伺いをしたいと思います。  兵庫県でも、単独処理の浄化槽を合併処理の浄化槽に転換をしていくというのが非常に喫緊の課題にもなっております。こうした取組を進めようということで、浄化槽法の改正というのもお願いをしてまいりまして、令和二年から改正浄化槽法が施行ということで承知をしております。  まだまだかなり件数としては残っておりまして、県下においても転換の推進というものが進むように取り組んでいきたいと思うんですけれども、これは是非、国としても必要な予算を確保して後押しをしていっていただきたい、こう思いますけれども、今後の取組についてお伺いをしたいというふうに思います。
  61. 松澤裕

    松澤政府参考人 先生お尋ねございました、単独処理浄化槽の合併処理浄化槽への転換でございますけれども、単独処理浄化槽、現在、全国で約三百七十五万基まだ残っております。令和元年度末において、合併処理浄化槽の基数が約三百八十万基と、単独浄化槽の基数を始めて上回りました。引き続き、単独槽から合併槽への転換、この加速化が、水質改善あるいは防災対策のために重要と認識しております。  御指摘ございました改正浄化槽法、令和二年の四月一日から施行されております。単独浄化槽の除去、これについての指導助言権限を自治体に付与するなど、単独処理浄化槽の合併槽への転換を強力に推進する仕組みとなっておりますので、法律の施行にしっかり取り組んでまいります。  また、改正浄化槽法の施行を踏まえまして、法律と併せて、単独転換に伴う宅内配管工事の助成、こういったことを始め、合併処理浄化槽整備のための補助事業を実施し、合併槽への転換をより一層強力に推進してまいりたいと思います。
  62. 中野洋昌

    中野分科員 強力に推進をしていくということで答弁もいただきましたので、これは是非お願いをしたいと思います。  一問ちょっと質問が残っておりましたけれども、もう時間が参りましたので、最後、要望だけさせていただきます。  防災拠点についても浄化槽を設置をできないか、これは非常に災害時の対応でも重要である、こういう御指摘もありました。避難者の安心にもつながるということでございますので、是非後押しをしていっていただきたいというふうに思います。  時間が参りましたので、以上で質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  63. 齋藤健

    齋藤主査 これにて中野洋昌君の質疑は終了いたしました。  次に、畦元将吾君。
  64. 畦元将吾

    畦元分科員 本日は、予算委員会第六分科会にて質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。自由民主党・無所属の会、畦元将吾です。  このほどは、この質問に際し御協力いただきました環境省並びに関係者皆様方に改めてお礼申し上げます。誠にありがとうございます。  本日は、三十分ほどお時間をいただき、質問をさせていただきます。  改めまして、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々に哀悼の意を表させていただくとともに、治療中の皆様にお見舞いを申し上げます。また、医療従事者を始め関係者の皆様に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。  さて、東日本大震災から十年経過いたしました。改めて、この大震災で犠牲になられた方々に哀悼の意を表しますとともに、今なお避難生活を余儀なくされている皆様方に心よりお見舞い申し上げます。  この大震災によって被害を受けた東京電力福島原子力発電所に関連した質問をさせていただきます。  東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の報告によりますと、「委員会の調査によれば、三・一一時点において、福島第一原発は、地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆弱な状態であった」と記されております。地震、津波による被災の可能性、自然現象を起因とする過酷事故への対策、大量の放射能の放出が考えられる場合、住民安全保障など、それまでに備えておかなければならないこと、実施すべきことができていなかったとあります。ある意味、人災だったのかもしれません。  そこで、ちょっとお聞きしたいんですが、国内ですけれども、原子力発電所における津波、地震対策など、現状状況につきまして、原子力規制委員会にお尋ねしたいと思います。  まず最初に、東日本大震災と同じレベルの津波や地震発生した場合、国内の原子力発電所は安全なのでしょうか。東日本大震災の教訓を生かした具体的な対策を改めてお教えいただけますでしょうか。よろしくお願いします。
  65. 市村知也

    ○市村政府参考人 お答えいたします。  原子力規制委員会におきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえまして、国際原子力機関、IAEAや諸外国の規制基準も確認をいたしながら、新規制基準を策定をいたしました。  具体的には、地震、津波といった自然現象の基準を強化をいたしまして、その条件の下でも電源あるいは原子炉冷却機能といった安全機能が損なわれないことを求めるということに加えまして、安全機能が喪失してしまった場合、それでも炉心損傷あるいは格納容器の破損を防止するための過酷事故対策、いわゆるシビアアクシデント対策を求めてございます。  この中では、例えば電源について申し上げれば、厳しい地震や津波の想定に耐えるものということで非常用電源を設置をしていただくということに加えて、これらが連続七日間運転できるようにその発電所内に燃料を確保していただくということ、あるいは、更にその上でも非常用電源が失われた場合に備えて電源車あるいは追加の非常用電源発電設備の設置を求めるということをしているところでございます。
  66. 畦元将吾

    畦元分科員 ありがとうございました。  先日も、大きな地震があったときに、原子力発電所近くの住民も、大丈夫だろうかという心配をしておりましたが、今のことを聞きまして安心いたしました。ありがとうございます。  あと、もう一つ、関係することなんですが、汚染水、処理水などにおいて、東日本大震災と同レベルの地震や津波の影響で、それらが海に流出してしまう心配はないでしょうか。可能性はあるのでしょうか。例えば、福島処理水などが海に流れることはないでしょうかという質問を受けていますので、お答えいただければ幸いです。
  67. 金子修一

    金子政府参考人 御指摘のありましたように、東京電力福島原子力第一発電所には、原子炉建屋に放射性物質を多く含んだ水が、また、その水を浄化処理した水が数多くのタンクでためられております。  原子力規制委員会では、この原子炉建屋のそれぞれについては、東日本大震災と同等の地震に対しても耐震性が確保されるという東京電力の評価の妥当性を確認してきております。また、処理水をためるタンクにつきましては、地震により倒壊しないように、また、万が一漏れが発生した際にも、堰の中でその水がたまるようにするなどの対策が取られていることを確認しております。  津波に関しましては、現在、原子炉建屋にたまっている放射性物質を含む水の流出が主なリスクであると認識しておりますので、その建屋の開口部を塞いで、津波が浸入して流されないようにというような対策が取られていると承知しております。
  68. 畦元将吾

    畦元分科員 ありがとうございました。  安心いたしました。原子力規制委員会の皆様方、また関連する皆様方の御尽力に感謝いたします。私も放射線技師なもので、どうしても放射線とか被曝には興味がありましたので、ありがとうございました。  続きまして、先ほど申し上げましたとおり、大震災から十年たちましたが、福島県の農産物、海産物などにつきまして、いまだに風評被害が続いております。政府でもこれまで多種多様な対策が講じられたと思いますが、国民に正しい放射線被曝の知識を周知するということも風評被害の縮小につながると考えております。  放射線は、実際は我々に身近なものであり、食べ物や宇宙からの自然放射線を含め、病院では、皆様レントゲンと言いますが、エックス線写真検査、又は食べ物などからも放射線は出ております。例えば、骨折時とか健康診断でエックス線検査や、場合によってはCT検査、がん治療の放射線治療を受ける放射線被曝もあります。多くの国民に正しい放射線被曝を知っていただき、適正に御判断いただく必要があるのではないかと思います。十年間たってもなかなか、間違った知識が回っているのも実際なものですから、気にしております。  診療放射線技師は、学生時より放射線被曝について学習し、卒業後は医療現場で、先ほど申しましたレントゲン、エックス線検査、又はCT、PET、核医学の検査や、放射線治療などに従事しております。放射線機器を取り扱う検査を毎日しております。また、被曝線量を測らないといけないという規定も法律もできましたので、放射線被曝に関してもかなり慎重に動いております。放射線取扱主任者の認定を持っている者も少なくありません。  診療放射線技師は、全国に五万人余りいます。放射線スペシャリストである、国内において五万人の専門家のいる職種はほかになかなかないと思いますが、福島原子力発電所の事故のときには、専門職として福島県放射線技師会又は近県の放射線技師会のメンバーが依頼され、線量測定に協力していたという報告も受けています。  放射線スペシャリストでもある、また地域住民とも密接な関係もしている診療放射線技師の先生方に御協力いただき、環境省、経産省とともに、各県、各地域などで町民・市民講座、勉強会などを開催することは大変重要だと思いますが、それが風評被害縮小においても非常に有効的であるとも考えております。正しく放射線の知識を国民に広めるためにも、実行できないでしょうか。  先日、放射線技師会の会長に問い合わせたところ、放射線技師会は全面的に協力したいという回答も来ておりますので、小泉大臣の御意見をお伺いさせてください。
  69. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 畦元先生御自身が放射線技師ということで、専門的な観点から御質問いただきました。ありがとうございます。  また、日本放射線技師会の会長さんが全面的に協力したいと言っていただいていることからも分かるとおり、これまでも意見交換を行って、具体的な取組について既に検討を始めているところでもあります。その会長さんの思いも含めて、実現に向けて着実に進めていきたいと考えています。  先日、二十一日に福島の再生協議会がありました。そこで、福島県の立谷相馬市長から、東京都民への調査において、福島の子に遺伝的影響がある、そういう回答が、そう思っている人ですよ、東京都民で四割いる、これに大変心を痛めておられました。これはやはり、放射線に対する理解の不足、こういったところが大きく影響しているということで、立谷市長は、例えば高校の受験にこういう放射線の教育のこと、問題、そういったものを出すべきじゃないかということを再三言われておられます。  私も、福島の子供たち、そして福島の県民の皆さんに対する誤った放射線に対する認識が早く払拭をされるように、風評対策も全力でしっかり努めてまいりたいと思っています。
  70. 畦元将吾

    畦元分科員 小泉大臣、ありがとうございました。とても心強い御意見、感謝いたします。  本当にいまだに、たまに、福島の近くのお風呂に入ったらちくちくするというようなことを言っている方もいらっしゃるんですけれども、放射線は感じないから怖いものであって、そういうことがまだ認識されていないというのは何とか改善していきたいと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。  続きまして、ちょっと話題を変えまして、新型コロナウイルス感染症対策につきまして質問いたします。  新型ウイルス感染症の影響により、飲食店は感染拡大防止策を講じた上での営業が求められています。これに加えて、カーボンニュートラル、脱炭素社会実現に向けた対応を避けては通れない状況となっております。  このような時宜を押さえた施策として、環境省では、今年度の第一次補正予算において、高効率、省エネの形で換気できる高機能換気設備の導入支援を行い、飲食店のニーズも高く、大好評であったと私も聞いております。  今後もこのような支援を続けるべきと思いますが、小泉大臣はどのように考えていらっしゃるかお答えください。お願いいたします。
  71. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 今先生指摘いただきました高機能換気設備は、コロナ対策基本中の基本である三密の回避、これを飲食店の皆さんなどにもしっかり取り組んでいただける後押しをできないかということで、高機能換気設備の導入補助をやったものであります。  そして、この事業は、千百六十六件ありまして、予算額二十八億円を上回る約四十億円の応募がありました。昨年八月に八百六十件を採択しており、採択先は、飲食サービス業を始め、医療関係や理美容室など生活関連サービス関係、高齢者施設、宿泊施設、スポーツジムなど幅広い業種となっています。  これらの施設において、順次、高機能換気設備の導入が進んでいるものだと思いますが、この事業は、先生言ったとおり、大きなニーズがあったものですから、引き続き、不特定多数の人が集まる業務用施設に対して高機能換気設備などの導入支援するべく、令和二年度第三次補正予算の中でも措置をしています。これを速やかに執行に移して、飲食店などにおけるコロナの対策と気候変動対策、この両立が対応されるように後押しをしていきたいと思います。
  72. 畦元将吾

    畦元分科員 ありがとうございました。是非ともよろしくお願いします。  また、今、高機能換気施設なんですけれども、ちょっとこれは書かなかったんですが、いろんな機能が最近出ております。例えば、フィンランドからは、FDAを通ったものとか、HEPAフィルターは使っていないんですが、いろいろありますので、いろいろ調べていただいて、一番いいものを教えてほしいというのを結構、飲食店なんか、又は賃貸住宅さんとか学校、小学校なんかも聞いておりますので、環境省の方からもコメントしていただければ幸いと思います。よろしくお願いいたします。  さて、続きまして、私は広島出身なんですが、地元の広島大学が、本年一月に、「カーボンニュートラル×スマートキャンパス五・〇」を宣言いたしました。例えば、屋上や駐車場にPV設置とか、なかなか大学でPV、電気の設置数は少ないと思うんですが、地熱を利用したシステム導入などをするというふうに言っております。  ゼロカーボンに向けて、教育機関を含む様々な主体に、取組が進んでいますが、カーボンニュートラル実現を目指す大学の動きについての小泉大臣の所感はいかがでしょうか。よろしくお願いいたします。
  73. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 議員御指摘の、広島大学が今年の一月二十六日に、東広島市そして住友商事との間でスマートシティーの実現に関する包括協定に併せて、二〇三〇年を目標とする「カーボンニュートラル×スマートキャンパス五・〇宣言」を行ったこと、私は物すごくうれしかったです。  というのも、今までずっとこのカーボンニュートラル政府の宣言を働きかけていた中で、ようやく働きかけが実って、さらに、これを今度国民全体で動きを広めていく中で、大学や若者の皆さん、この動きが更に高まっていくことが期待される中、広島大学が初めてです。しかも、二〇五〇年のカーボンニュートラルじゃなくて、二〇三〇年、まさに環境省はずっと、この十年が勝負だと、五〇年の目標達成には。この中で、広島大学、地域皆さんとも協力をして、キャンパスももちろんですけれども、エリアをカーボンニュートラルにしていくこの取組、今後よく注目をしていきたいというふうに思います。  是非、この国会で成立を目指している瀬戸法の改正もありますが、まさに広島はそういう地域でもありますので、様々な先導的な取組が進んでいくことを期待をしています。  また、大学の動きということでいえば、二月の十八日には、日本国内の大学における自然エネルギーの活用等を促進をして、大学のゼロカーボン化の取組の輪を広げていくため、自然エネルギー大学リーグ設立に向けた準備会が立ち上げられたところでもあります。  カーボンニュートラル実現に当たっての大学の役割は、先行的なカーボンニュートラルのエリアになる役割と、さらに、人材の育成、そして大学が持っている科学的な知見、これを社会実装するなど、非常に大きいと考えていますので、今後、文科省とも連携をして、大学のゼロカーボン化の取組を始めとしたカーボンニュートラル実現に向けた大学の多様な取組を促す仕組みを検討していきたいと考えています。
  74. 畦元将吾

    畦元分科員 ありがとうございました。  関連なんですけれども、大学で、お金のある大学はいいんですけれども、かなり厳しい大学、特に専門学校も含めて、あると思うんです。その場合なんかの国の予算というか、支援的な予算というのは、具体的に何か、今後ですけれども、検討される予定はあるんでしょうか。お願いします。
  75. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 この意欲的なカーボンニュートラル、脱炭素取組を進める皆さんに対する様々な施策、これは、環境省、特にこれから、国・地方炭素実現会議という官邸に設置をした会議の中で、関係省庁との連携を今深めています。その中ででき上がってきた連携メニューそして施策、その中で対応できるものをしっかりと活用していただくように、我々としてもその政策の練り上げにまずは力を入れたいと思います。  ちなみに、一個だけ言うと、この予算の中でもカーボンニュートラルのパッケージを用意していまして、再エネ導入とか様々なものに対する支援、そして、仮に学校とかで電気自動車を購入したい、そういったことであれば、再エネ一〇〇%の調達を契約の条件に、我々、補助金の倍増、四十万円から八十万円、こういったこともやっていますので、御活用いただければと思います。
  76. 畦元将吾

    畦元分科員 ありがとうございました。  なかなか、そういうのが実現できるとどんどん進んでいくと思います。  先日、ちょっとマンションなんかを見ていましても、新しいマンションなんかでPVの設置がないところが割と多くて、友人なんかが、電気自動車を買おうかと思うんだけれども大丈夫だろうかという心配をされていまして、要は、動きがなかなか、あるあるといいましても、東京はまだいいと思うんですが、地方に行ったときになかなかない。トヨタにはありますよというけれども、トヨタの車ならいいけれどもほかの車はできないとか、いろいろ制限があるようなので、もしそういうことも、これは質問ではないんですが、一つの情報なんですけれども、そういうので、電気自動車を買おうと思ったけれども今回はやめておこうとかいうようなこともよく聞きますので、その辺りがどんどん整備していかれればどんどん進んでいくと思います。  気持ちとしては電気自動車を買いたいんだけれども買った後に不安が残るということをよく言われますので、情報としてお伝えいたします。ありがとうございました。  続きまして、COP26に向けて気象変動の国際交流にどのように取り組まれているか。いろいろテレビとかニュースでは聞いておりますが、できましたら具体的に小泉大臣の方からお聞きできれば幸いだと思います。よろしくお願いいたします。
  77. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 御質問ありがとうございます。  今年はCOP26が十一月に予定をされていて、それまでの間の様々な外交日程を見ますと、四月にアメリカが主催の気候変動サミット、そしてその後にはG7、G20、一連の、まさに今年は気候変動外交イヤーとも言ってもいい。しかも、アメリカがパリ協定に復帰をしましたし、こういったことも考えたときに、我々、このCOP26と、生物多様性はCOP15と言いますが、その二つのCOPの成功、そしてアメリカとの連携、さらに、インド太平洋の地域を脱炭素の移行支援をしていく国際的な取組、この三つをしっかりと取り組んでいきたいと思います。  交渉ということでいえば、COP26でまだ残された宿題というのがありまして、市場メカニズムのルールを決める六条というものがあります。こういったことを、日本は非常に思いを持っていますので、その残された宿題がしっかりと片づけられるような一年に向けた交渉の努力をしていきたいと思います。  一点だけ、アメリカとの動きを触れると、私は、私のカウンターパートの一人でもありますジョン・ケリー気候変動特使と、今まで一月、二月と会談を重ねています。その中で私も触れたんですが、ジョン・ケリー氏は、国務長官時代畦元先生地元の広島に、そのとき、G7のサミットですかね、外相会合、これで出席をして、広島に行かれています。私から申し上げたのは、そのとき、五年前ですかね、ケリー氏が国務長官時代の日本の気候変動政策状況と今の状況は一変していると。  その一変している日本の政策に対する理解、こういったものをしっかりしていただけるように、アメリカのみならず世界全体にしっかりと発信をしていきたいと思います。
  78. 畦元将吾

    畦元分科員 ありがとうございます。  一変したのも小泉大臣のおかげだと思っております。本当にありがとうございます。  先ほど、広島の方で「カーボンニュートラル×スマートキャンパス五・〇」をやると言いましたが、私も広島なものですから、何とか広島県の代議士として協力的に頑張っていきたいと思っております。  あと、もうちょっと時間があるので、要望というか話だけさせていただくんですが、先ほど話しました、こういうゼロカーボンに向けて実際にいこうとはみんな思うんですが、車一つ取っても、先ほど言いましたように、電気自動車の電気の問題とか、そういうのがなかなか厳しい。価格もまだちょっと車の方が高くて、国が支援してくれるから逆にそれをしたいといっても、実は、時間があるのでちょっと話しますけれども、五人ぐらいの人間から、電気自動車を買いたいんだけれどもやはり難しいと。宮崎の人と広島の人とさっき言った福島なんか。都内の人は割とあるんですが、やはり外が難しいというので、その辺りのPVの設置というのがもっといけばいい。  あと、もう一つお願いできれば、メーカーによって、使ってもいい、使ってはいけない、例えば、メルセデスはメルセデス、トヨタはトヨタ、日産は日産というふうにされると、結局、商売だから仕方ないとは思うんですが、電気自動車を買おうと思うときに、なかなかつなぐ場所がないというのが一番の悩みで、お金というよりかはPVの設置場所というのをすごく悩んでいる方が私のところに来ていますので、その辺りも、全国でやるとはおっしゃっていますけれども、なかなかちょっと厳しいところもあるとは思うんですが、協力体制が何らかの方法でできれば幸いだと思います。といって、私も具体的にどうすればいいかと言われても悩むところなんですけれども、もし何かあれば、環境省の方で考えていただければ幸いと思います。  本当にありがとうございました。私の質問は実は終わりまして、聞きたいことが全部聞けまして、かなり満足しております。  ちょっと五分ほど早いんですけれども、早めに終わらせてもらってもよろしいですか。  今日は本当にありがとうございました。感謝いたします。お忙しい中、どうもありがとうございました。
  79. 齋藤健

    齋藤主査 これにて畦元将吾君の質疑は終了いたしました。  次に、小熊慎司君。
  80. 小熊慎司

    小熊分科員 立憲民主党の小熊慎司です。私は聞きたいことがいっぱいあるので、今の五分もらいたいぐらいですけれども。  早速質問に入ります。  脱炭素社会、これは、国際的にも取り組んでいるところであって、日本の国も、この菅政権でも大きな目標を掲げています。  これは各省庁にまたがっていますけれども、結局は、これ、世界中で生き方を変えていかなければいけない問題であり、産業界もありますけれども、私は、やはりこれは環境省が、ちょっと済みません、すぐ野球の例えに、私のネタになってしまうんですけれども、エースピッチャーになって各省庁を引っ張っていくということが必要であろうかというふうにも思っています。  今、この脱炭素社会に向けて、一方で、これは外交的な問題にも狙いがあるというふうに言われていますが、国境炭素税ですね。中国に対しての、一つの国際的ないろんな圧力というか、中国を意識したものであるという側面もありますけれども、一つには、いろいろ日本も検討していかなければなりませんし。一方で、これをやると中国をやり込めるという話ではなく、日本の産業界も非常に大きな影響を受けるというふうにも指摘をされているところであります。これは、日本においても検討するみたいなことがあって、それぞれ各省庁で会議体が設けられていますが。  国境炭素税といいながら、実は国境調整措置というふうに、WTOのルール上は実はこれはちょっとそぐわないんじゃないかということで、ヨーロッパでも言葉を換えてきていますけれども、通称国境炭素税というふうに、今いろいろ議論されていますから、まず初めに、WTOのルール上、整合性に関しては日本の政府としてはどのように見解を持っているか、お聞きいたします。
  81. 黒田淳一郎

    ○黒田政府参考人 お答えを申し上げます。  ただいま委員お尋ねの国境炭素税あるいは国境調整措置でございますけれども、一般的に、輸入品に対して炭素排出量に応じた課税を行う制度であるというふうに承知しております。  これにつきまして、WTOルール上の整合性という点につきましては、外国の産品に対して国内の同種の産品よりも不利ではない待遇を与えるという、WTO協定上の原則との関係というのが一つの論点になるというふうに考えてございます。  このような制度がWTO協定に整合的であるか否かという点につきましては、現時点でWTOにおける先例はないわけでございますけれども、一般的に言えば、国内で生産される製品に対して炭素排出量に応じて課される負担と比較しまして、例えば税額の計算方法等において輸入品に不利な扱いがなされていないかなど、具体的に制度をどう設計するかということによるものと承知してございます。  現在導入を検討しているEUの動きにつきましても、そうした観点から注視をしていきたいというふうに考えてございます。
  82. 小熊慎司

    小熊分科員 狙いは、結局は脱炭素社会の世界中での実現ということにありますから、それは外交上のいろんな効果もありながらも、目的をしっかり達成していかなきゃいけないというふうに思っています。  この脱炭素社会において、これは炭素税、国内の炭素税もありますし、国境炭素税、あと、また一方で、排出量取引というものもあります。これも、どちらがいいか、一長一短ありますので。  まず、炭素税と排出量取引のそれぞれの有効性について、どのように今日本政府としては考えているのか。それぞれ一長一短あると言いましたから、それを踏まえてお答えをいただきたいと思います。
  83. 矢作友良

    ○矢作政府参考人 お答えいたします。  例えば国境調整措置についてでございますけれども、この措置につきましては、国内の気候変動対策を進めていく際に、他国の気候変動対策との強度の差異に起因してカーボンリーケージが生じることを防止するということと同時に、競争上の不公平を防止するものとされてございます。  ただ、その効果につきましては、対象とする国や製品を含めまして制度設計次第でございまして、一概には評価ができない、このように考えてございます。EUが、今年の六月に制度の詳細について公表するということにしておりまして、我が国としても注視していきたいと思ってございます。  また、排出量取引についてでございますけれども、これは、事業者ごとに排出枠を設定し、その排出権を取引することで、量に基づいて調整を行っていくという発想でございます。制度設計次第では、排出量調整が容易であるという一方で、市場取引の過程で価格が変動する、こういった性質がございまして、ビジネスの予見性が低くなる、そういう可能性もあるものというふうに承知してございます。
  84. 小熊慎司

    小熊分科員 排出量取引については、その経済的な部分もありますけれども、既にほかの国でも、実際、二酸化炭素の抑制になっていないという指摘も、課題も抱えて、それをどう制度設計を変えて乗り越えるかという点もありますので。  そもそも目的は何だといったら、脱炭素社会ですよ。その上で、それを産業界にどう当てはめていくかということで、そういう意味でも、産業界が先にエースピッチャーになってしまうと、やはり国際的な、今、取組からすると、日本は今でも遅れているわけであって、この流れは止まらないし、止めるべきではないので、やはりこれは環境省が、だからリードをしていかなければいけないというふうに思っています。今それぞれいろんな会議体や研究会が各省庁でできていて、それぞれオブザーバーを出して、人的な交流また意見の調整もしているところでありますけれども。  これは大臣にお聞きしたいんですが、だから環境省がリードすべきなんですよ。産業界のこともありますけれども、実際は今、環境に資する企業がもうかっているし、市場も拡大していて、でも、日本は遅れています。  電気自動車一つとってもそうです。テスラはばんばん走っているし。大臣はバイクは乗らないですよね。バイク乗るんですけれども、電動バイクはアメリカもあり中国もあり、レンタルで貸しているぐらいなんです。日本は世界有数のバイクメーカーがあるのに、聞いたことがない。今は、本当は違反だけれども、電動キックボードとかフル電動の自転車とかばんばん走っていて、これはまた別の議論をして、国交省と議論して規制なりなんなりしなきゃいけないんだけれども、これはほとんど中華製ですよ。  この国境炭素税も、中国をやり込めようという欧米の狙いがありながら、意外と中国、こういうものも進んじゃっていて、多分日本は先進国で一番遅れているというふうに感じますし、そういうのをどんどん開発することによって利益が伴える、今のままでいたら逆にもう産業が駄目になるというふうに持っていかなきゃいけない。それで、なっている、今。  その音頭を取るのがやはり環境省であって、しっかり産業界が、こっちの方が新しい、ブルーオーシャンがあるんだというのを示していくということで、環境省が音頭を取るべきだというふうに思うんです。そっちの方がもうかるし、そっちの方が社会のためになるし、未来のためになる。これは経産省の立場でいえば、済みません、うがった見方かもしれないけれども、やはり今の利益をどう守っていくかということになりがちだと思いますので。  これは、ただ理想を、空想論を言うんじゃない、青っちょろいことを言うんじゃなくて、やはり、そっちの方が正しい道、そっちの方が新しい産業の道、もうかる道、国益の道というのを環境省がリードすべきだと思いますが、このいろんな省庁間の立場の違い、今の意見の違いを乗り越えていくためにも、環境省のリーダーシップが必要だと思いますが、大臣、どう思いますか。
  85. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 経産省と環境省の違いの一つは、業界を抱えているか、抱えていないかですよね。業界を抱えていると、言いにくいことはいっぱいあると思うんですよ。なので、そういったところは役割分担しながら、言いにくいから環境省が言ってと、そういったことがあれば我々が言えばいいし。  ピッチャー、キャッチャーという話がありましたけれども、私と梶山大臣で、ピッチャー、キャッチャー、交代しながら、時にお互いがピッチャーをやるときもあれば、受け取るキャッチャーのときもあれば、そういった連携をしながら、やはり、この試合に勝っていかなきゃいけないわけですから。そのために、カーボンプライシングも、今一緒になって、総理の指示の下でやっています。今日来ていただいている経産省の人たちも含めて、外交の現場も今一緒になって臨んでいますから、しっかり連携してやっていきたいと思います。  環境省がリードしてという話がありましたが、私が安倍内閣環境大臣になったときに、石炭政策見直しに取り組みました。これを経産省がというのはなかなか難しいと思いますよ、石炭課を持っているんですから。だから、そういうときに、やはり環境省が、気候変動政策を取りまとめる立場から、何とかこれを一歩動かさなきゃいけないということで、問題提起をする。そういった問題提起をした場に入っていただいた経産省や財務省や外務省、そのことがあって、石炭政策見直しが去年一歩動いたわけです。  そして、カーボンニュートラルを二〇五〇年に言うべきだと、私はずっと働きかけをしていました。残念ながら、菅総理があの宣言をするまでに私の働きかけは実りませんでしたが、菅総理でそれが実って、よし、分かった、こっちの方向に行こうとなれば、みんな頭が向くわけです。なので、先日、経済財政諮問会議に出席して、経団連の中西会長も出席をウェブでされましたが、発言を聞いていると環境大臣みたいですよ。エネルギー政策も、スリーEプラスSと言っているけれども最優先は脱炭素環境だということを、中西会長が言うんですから。私、日本はやはり変わるときは変わるなと。  そして、衆議院、参議院でも気候変動決議を御採択いただいて。日本はアメリカとは違って党派的な対立はありませんからね。  この推進力を生かして、今年しっかりと脱炭素が進むように、経産省、関係省庁と連携をして進めていきたいと思います。
  86. 小熊慎司

    小熊分科員 是非、しっかりこれをやっていかないと、国際社会の中で日本は生きていけないということになりますし。  ちょっと細かい話のお願い、お願いというか、是非努力していただきたいのは、カーボンニュートラルというと文字数が多くて、環境に優しくないので、脱炭素とも今言いましたから。昨日マスコミともしゃべっていたんですけれども、片仮名が多過ぎると。また野球の話になるんですが、今の若い記者は、ワンナウトとしか書けない、一死と書けないんだと。そうすると、文字数が多くなっちゃう、環境に優しくないというのがあって。  片仮名、まあ、これは国際的な取組でもあるので、片仮名の方が共通化しているんですけれども、国民にもやはり、国民全員、一人一人が全員野球でやっていかなきゃいけないので、カーボンニュートラルというよりは脱炭素の方がすこんとくるし、カーボンオフセットって何と言われちゃうし、これはやはり、なるべく国民一人一人を意識して、産業界だけじゃなくて、とならなきゃいけないというふうに思っています。  今、産業界のところでそれを言っているのも分かりますが、ただ、国境炭素税の議論が昨年出たときは、産業界はやはりネガティブな発言、否定的な発言が多かったです。やはり、日本の今の産業界としては、え、それはどう、大丈夫かみたいな。いや、今のままの方がいい、新たな設備投資は難しいとかなっちゃうので。いや、そっちの方が未来があるよ、続くんだよということを経産省も言っていかなきゃいけないし、それが、だから、今言われたとおり、環境大臣が言って理解を求めていくということがこれは必要だというふうに思っていますので、是非更にやっていってほしいですし。  実態としては、経済界、やるといっても、いろんな細かい製品を見れば、我々の生活にあふれている製品を見れば、意外と省エネとか新しい技術がもう日本は遅れているなというのを如実に感じます。遅れているということを自覚して、更にスピードアップするというのを、もう一度確認しながら進めていただきたいというふうに思いますし、省庁間の壁はしっかり取り払っていかないと。  抵抗勢力ではないと思います、経済界。ちゃんともうかる仕組みを理解してもらえればそっちの方に一気に行きますから。今はもうその利益が出ているわけです、世界で。二番手ではやはりもうからないんです。二番じゃ駄目なんですよ。やはりトップランナーになっていかないと利益を取れていけないということになりますから、是非更に努力を重ねていただきたい。  その上で、一つの方策として、電力の問題があります。脱炭素になって、これは小泉大臣と共有すると思いますが、じゃ、原発だということでもないのに、それが息を吹き返そうとしているから、これをしっかりやめていかなきゃいけない。省エネ技術の普及はまだまだ足りていません。議員会館でもここでも、LEDになっていない。電力エネルギーミックスも、まだまだやれるところはいっぱいある。とりわけ、風力発電。日本は陸上が多かったけれども、陸上は山岳地帯が多くてなかなかうまくいかなかったんですが、洋上風力に関してはまだまだ伸び代があります。  その上で、今、政府においても洋上風力産業ビジョンを策定をしている最中で、この中で、地域分けもある程度できていますが、まだぼわっとしたものになっていますので。これは実際、じゃ、地域分けをしていくときに、海といっても全部同じような海でもないし、風のあれも違うので、どういうふうに具体的に促進区域の指定を変えていくのか。  あと、私はこれはほかの委員会でもやりましたけれども、意外とそういう地域というのは防衛省の施設とバッティングして、電波の、レーダーの邪魔するからそこは駄目とかとなっていますから、単純に、はい、東北はこのぐらい、九州はこのぐらい、大体のビジョンを基にした予想図が出ているのも、私は拝見をしています。その上で質問しています。  具体的にどういうふうに促進区域を指定していくのか、お伺いいたします。
  87. 小野洋太

    小野洋太政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘ありました洋上風力産業ビジョン、ここにおきまして、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までに浮体式を含めて三千から四千五百万キロワットの案件を形成するという導入目標がございます。現時点でまだ百五十万キロワット程度の促進区域の指定が進んでいるという状況でございますので、この導入目標実現のためには、今後とも年間に百万キロワット程度の区域指定を継続していく必要があるというふうに考えております。  したがいまして、各地域の御理解を前提にして、計画的、継続的に促進区域の指定を進めてまいりたいというふうに考えております。このため、年に一度、都道府県から新たな候補区域の情報提供を受け付けるというような取組もやっておるところでございます。  今後とも、地域関係者の御理解を前提としつつ、引き続き更なる促進区域の指定を進めてまいりたいというふうに考えております。
  88. 小熊慎司

    小熊分科員 いわゆる区域の指定をしていく、やっていく、地域の利害関係者との調整が必要になってきます。防衛省の調整政府がやるところになっていますが、実際の利害関係者調整は事業者の負担が多いんですね。でも、これをしっかりやっていく。まさに、あと、セントラル方式で日本はやっていこうとしているわけでありますから、政府がしっかり責任を持って関与してやっていくことによって促進していく。これを事業者に任せてしまうと、この利害関係者との調整で頓挫してしまうところもあるし、そこにすごい労力をかけなきゃいけなくて、進むスピードが遅くなってきます。これは私は、政治の責任としてこの調整を担っていくことによって促進がされると思いますが、この交渉、下準備などにおける地域との連携とおっしゃられましたから、その点、政府が前面に立ってやるということについてはどうでしょうか。
  89. 小野洋太

    小野洋太政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘ありましたとおり、地元調整の円滑化、これは最重要でございます。このため、まず、二〇一九年四月より、再エネ海域利用法に基づきまして、政府が関与する形で都道府県及び漁業者を含む利害関係者方々との協議会を組織いたしまして、促進区域の指定をやって、事業の円滑な実施を確保しているところでございます。  これに加えまして、洋上風力産業ビジョンで、先ほど申し上げました導入目標達成するために、継続的な案件形成を進める必要がある、こういうことで、更に開発の初期段階から政府が関与いたしまして、風況の調査をやる、それから適宜に系統確保等を行う仕組み、これがいわゆる日本版セントラル方式でございますけれども、これを検討を進めているところでございます。  具体的には、今般成立いたしました補正予算を活用いたしまして、風況、地質等に関する調査、それから、その結果を踏まえた調査の技術、手法等の確立を目指す実証事業、これをまず行います。それから、必要な系統を国があらかじめ仮確保する仕組み整備、これを進めているところでございます。
  90. 小熊慎司

    小熊分科員 調査のところは分かりました。漁業関係者等、そういったものも含め、国が前面に立ってやっていかなければなりません。  洋上風力といっても、これは大ざっぱに言えば着床式と浮体式があります。これは海の状況によって一番いい方法を選べばいいんですが、私なりに検証させていただいたら、日本はやはり浮体式の方が安定的な風を受けられるところが多いのかな。  通告した質問、三番と四が一緒になりますが。  福島でやりました、撤退が決まりました。これはやはり海域の選定に問題があったとも言われています。つまり、浮体式であれば、洋上、かなり距離を離れて風が多く吹くところにやれたのに、着床でやるような、浜に近いところに浮体式をやったので、うまい効果が出なかったというふうにも言われています。  一瞬、福島県の洋上風力が撤退となったとき、やはりこれは駄目なのかな、脆弱なエネルギー源なのかなというふうに間違ったイメージも植えてしまいましたが、これはそもそものスタートが間違っていたということで、しっかり私なりに整理をしているんですが、その失敗を政府はどのように考えていて、今後の洋上風力をやっていく上で、着床式と浮体式、どういう割合にして促進していくのかに生かしているのか、併せてお伺いいたします。
  91. 小野洋太

    小野洋太政府参考人 お答え申し上げます。  まず、福島沖についてでございますけれども、浮体式洋上風力の技術確立、それから、安全性、信頼性それから経済性を明らかにすることを目的といたしました。複数基でやるということで、世界初の本格的な実証研究ということでスタートさせていただきました。  今年度、事業の終期というふうになっておりまして、データを十分に収集いたしましたし、多くの知見を獲得したということでございまして、実証事業としては一定の成果を上げたということで終了させていただくというものでございます。  ただ、実証が終わった後の実証設備の扱いについてでございますけれども、民間事業者への払下げ等を含めて検討を行ったところなんですけれども、実証の終了後に設備を引き継げる民間事業者が見つからなかったということが実態でございまして、苦渋の決断ではありますけれども、設備を撤退するという判断に至ったものでございます。  経済産業省といたしましては、得られたデータ、ノウハウを生かしながら、福島沖を含め、我が国洋上風力導入拡大に取り組んでまいりたいと思います。  それから、政策的な洋上風力の位置づけについてでございますけれども、先ほど申し上げました、浮体式も含む、二〇四〇年までの三千万キロワットから四千五百万キロワットの目標を掲げておりますので、これに向かってやっていくわけでございますけれども、コストの低減の不確実性と導入の可能性、これはまだ分からないところがたくさんありますので、今のところは浮体式、着床式の内訳ということは明確にしておらないという状況でございます。  まず、着床式につきましては、欧州で導入拡大、それに伴うコスト低下が進んでおりますので、我が国でも案件形成、これをまず加速していきたいというふうに考えておりますけれども、これに加えまして、議員御指摘のとおり、日本は遠浅の海域が少ないということがございますので、四千五百万キロワットの高い目標達成するためには深い海域でも導入余地が大きい浮体式の早期の、まずコストの低減、これをやっていかなきゃいけないというふうに考えておりますので、コスト低減化に向けて技術開発ロードマップを作るということを今年度内に策定することとしております。  それから、第三次補正予算でも措置された二兆円のグリーンイノベーション基金、これを活用しまして、戦略的に技術開発と実証研究、これに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  92. 小熊慎司

    小熊分科員 そうですね、今出ているビジョンでは、四〇年までに最大で四千五百万キロワットになります。時間があるようでない中で技術の進展も取り組むということですが。二十年足らずの間に最大で四千五百万キロワットとなると、国内産業の育成も大事です、これは確かに。今まで、ここを日本が遅れてきたわけです。  さっきの脱炭素社会でも言いましたけれども、これは日本の産業界、ここが弱いんですよね、こういうことが。これをやっていくというのは、狙いはいいです。しかし、四千五百万キロワット、あと二十年ない中でやっていくためには、既にある技術を導入するしかないと思っています。  それで、また野球に例えて言うと、プロ野球選手に日本人を増やしたいけれども、ここ数年の試合、どうやって面白いいい試合をやるかといったら、助っ人外国人を呼ぶしかないみたいな話になっていて。そうなると、目的はですよ、それは、国内産業も育成して日本がそういう世界のリーダーに立つことも重要ですが、脱炭素またクリーンエネルギーの進展ですから。となると、もちろん国内産業を育成することをしながらも、当面はやはり、海外のコストの安い洋上風力導入もしっかりやっていくことによって、この洋上風力目標、発電量の目標達成していくということをやっていかなきゃいけないと思っています。  ですから、国内産業にこだわることで四〇年に四千五百万キロワットできないのであれば、一番大事なことは地球に優しいということですから、これは国内、国外こだわらずいい選択肢を取るべきだと思いますが、この点についてはどうですか。
  93. 小野洋太

    小野洋太政府参考人 お答え申し上げます。  洋上風力につきましては、欧州で巨大な市場を持ちましてグローバル企業が活躍をしておりまして、更にアジアにも進出するというような動きがございます。  他方で、日本の国内の産業界からは、市場拡大の見通しがないと投資をちゅうちょするというふうな声がございました。国内の強靱なサプライチェーンの形成、これは、電力の安定供給、要は国内にサプライチェーンを確保していつでもその部品を調達できるということでございますけれども、それと経済波及効果、この二つの観点からはやはり重要だというふうに考えているところでございます。  したがいまして、洋上風力産業ビジョンを策定、まず目標の提示をいたしまして、それからインフラ整備、これを行いまして国内市場を創出して、風車部品メーカーなどの国内外の投資を呼び込んでまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  94. 小熊慎司

    小熊分科員 ここで議論は次に移りますが、サプライチェーンの問題はありますけれども、国内産業であっても逆に部品メーカーが海外にあれば、これまたいろんなリスクが、課題を抱えているので、それはそれでありますけれども、是非、結果を出すということをしっかり、目標の時限どおりやっていくということを意識しながらそこは進めていっていただきたいなと思っています。  大臣にお伺いしたいんですけれども、この話をすると、やはり原発は必要だよねという議論が今も出ています、脱炭素の話をすると。先ほど言ったのは、私は、洋上風力だけではないですよ、始め、再生可能エネルギーに関してはまだまだやるべきことがある、やっていないことがあると思っています。大臣として、脱原発と脱炭素が両立するということについてはどのような考えをお持ちですか。
  95. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 基本は、今の日本の電力供給量の二倍ある再エネのポテンシャルを生かすこと、フルに生かすこと、これが、私は、日本の歴史的な命題でもあるエネルギー安全保障の確立という面においても、その可能性を生かさない手はないというふうに思います。毎年、石炭、石油、LNG、海外に十七兆円支払っているわけですから、この支払っている外へのお金をいかに国内地域に回していくか、自治体の九割、エネルギー収支は赤字ですから、だけれども、地域には資源があるわけです。そういった方向に行くのはこの脱炭素時代だというふうに私は思います。  一方で、今、菅政権の方針として、再エネ主力電源化、言い換えれば再エネを最大にする、そして、原発に対してはその依存度を最低限限りなく小さくしていく。この先にあるのは、私はやはり、冒頭に立ち返りますが、二倍あるポテンシャルをフルに発揮するということがまずある国づくりをやるべきだ、それが私の立場であります。
  96. 小熊慎司

    小熊分科員 是非、脱炭素利用して原発を進めようとする勢力に対しては、一緒になって戦っていきたいと思います。  残り一、二分ですけれども、通告した鳥獣被害対策。  これは、私、秋に地元をぐるっと回ったときに、コロナの話もありましたけれども、山間部はもう、コロナの話じゃなくて、鳥獣被害です、すごく増えています。  農水省においても環境省においても対策は取っていただいているのは分かっています。私も、自分でやろうと思って、これは環境省の所管ですけれども、十一月にわなの免許を取得をさせていただきましたが。実際は鉄砲の方がこれは効果があるんですけれども、これは人が減っている、人材確保がままならない。  環境省はイノシシなんか半減すると言っているんだけれども、ここが私とちょっと違うなと思っているんです。福島県的に言うと、四号線という真ん中を走っている国道の東は熊がいなくて、西はイノシシがいないと言われていた、冬眠しない動物ですから。雪国、私の会津には普通はいないんですけれども、近年いる。多分、豚と交配して年二回も産んでしまっている、多産になっている、倍々ゲーム、ネズミ算式で増えている。  これは半減じゃないですよ、地域によってはもうゼロですから、はっきり言えば。この人的な確保も今ままなっていない。それは、でも、環境省の免許を取るときに、適正管理という言葉を使っているんですね、農水省は駆除という言葉を使っていて、この差もちょっと哲学的な差を感じてしまっているんですけれども。  これは、もう時間がないから。  大臣、これはある意味、動物保護、命、大事です、でも、過度にする余りに、人間の生活、命すら脅かされている状況です。過度な愛護政策は、ある意味生類憐れみの令になっているような状況です。農業をやめるというだけじゃないですよ、人の命まで奪われている。あと、これは感染症の先生に、獣医学の先生に聞きましたけれども、人獣共通感染症の温床にもなりかねない。ジビエやれと、やっているのもあるけれども、御承知のように、福島県は今、駄目ですから、ジビエ。これは本当にどうしていくのかということです。  これは環境省と農水省に主にまたがっていますけれども、それを乗り越えて。予算をつけていますよって、予算がつけられて人がいないんですよ。わなじゃやはりちょっと効果がないので、じゃ、鉄砲となると、これはなかなか大変なんです。  この人材確保、市町村で責任を持ってやってくださいというのも、それはオーバーワークになっています。それを踏まえて、やはり国が、しっかり人材確保と、駆除に関してはもっと数を上げていかなきゃいけないというふうに思っていますので、これはしっかり捉えながら対策を取っていただきたいと思うし、今やっていても、それ以上に数が増えていくんです。結果が出ていないという自覚を持ってほしい。一言、何かあれば。
  97. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 まず、農水省が半減をしたい、若しくはもっと減らしたい、環境省は動物、生き物を守るためにそんなに減らしたくないというバトルがあるわけでは全くありません。これは一緒に半減目標達成をする取組をやっていて。  環境省としても、狩猟をする人がいないというこの深刻な事態を踏まえて、熟練の狩猟者が若手の狩猟者に同行する形で様々指導する狩猟インストラクター制度構築に向けた事業を令和三年度より新たに開始をする予定です。  そして、今、二〇一四年度には鳥獣保護管理法を改正をして、都道府県が認定をする認定鳥獣捕獲等事業者制度を創設をして、NPOとか民間とか猟友会とか百五十三団体が認定されていますが、更に認定事業者の数を増やしていきたいと思います。  さらに、今年度から新たに農水省、大学などと連携をして、捕獲や被害防止対策などの取組を総合的にマネジメントする専門的人材の育成確保に向けた野生動物管理教育プログラムの検討を開始をしました。  このように、我々もそこは同じ課題意識を持って取り組んでいますので、小熊先生おっしゃるとおり、地域によってきめ細かいやり取りが必要だと思いますから、我々、強化エリアみたいなものも設定をしながら、しっかりこれは結果が出ていくように頑張っていきたいと思います。
  98. 小熊慎司

    小熊分科員 是非お願いします。  今やっていますが効果が出ていないということも併せて、自治体もやっているけれども、自治体制度を使わずに、私の地元の只見町では、特別にパトロール隊をつくって自前の予算でやっていますから……
  99. 齋藤健

    齋藤主査 時間ですので、まとめていただきたいと思います。
  100. 小熊慎司

    小熊分科員 それも見ていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  101. 齋藤健

    齋藤主査 これにて小熊慎司君の質疑は終了いたしました。  次に、穀田恵二君。
  102. 穀田恵二

    穀田分科員 日本共産党の穀田恵二です。  小泉環境大臣にまずお伺いしたいと思います。  今年一月二十八日、最高裁は、京都建設アスベスト第一陣訴訟において、国の責任を断罪し、かつ、主要なアスベスト建材メーカーが石綿の危険性を知りつつ適切な警告をせず製造、販売を続けたことの共同行為責任を認めました。これは、最高裁の判決としては全国初の画期的なことだと思います。  建設アスベスト裁判では、京都第一陣訴訟が提起されてから九年七か月になります。全国各地でもその裁判過程で約七割の方々がお亡くなりになられているが、京都でも、被害者五十一人のうち三十七人が解決を見ることなくお亡くなりになっています。  ある原告の御遺族は、中皮腫を発症して僅か八か月で帰らぬ人となった夫の遺志を継いで闘い、ついに敵を討った、真面目に働いた者がばかを見るとの夫の無念を晴らせたとおっしゃっていました。  また、原告団長の娘さんは、被害原告の年齢、病気の身を案じれば国も企業も解決を急いでほしいと切々に訴えられておられます。  大臣は、国の責任及び建材メーカーの責任を断罪した今回の最高裁の決定を受け、政府の一員としてこの重さをどう受け止めているのか、答弁願いたい。
  103. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 これは、穀田先生、この訴訟が環境省の所管ではないということは御承知の上でのお尋ねだということは私も承っておりますが、厚労省などにおいて対応している、まずそれは言っておきたいと思います。  環境省が担当している石綿健康被害救済制度、これは、原因者と被害者の個別的な因果関係を明確にすることが困難という石綿による健康被害の特殊性を鑑みて、民事上の責任とは切り離して、社会全体により迅速な救済を図ることを目的に、労災補償の対象とならない方々について広く救済の対象としているところであります。  環境省としては、今後とも、こうした救済制度基本的考え方に基づいて、安定的かつ着実な制度運営を図ることによって、石綿により健康被害を受けられた方に対する迅速な救済を促進をしていく思いです。
  104. 穀田恵二

    穀田分科員 迅速な救済とおっしゃっていました。  最高裁が、首都圏の訴訟に続き、京都訴訟でも国の責任を断罪しました。国敗訴の最高裁決定を受け、先ほど厚生労働という話がありましたけれども、田村厚生労働大臣は、記者会見並びに昨日の予算委員会分科会で、責任を感じ深くおわびすると述べました。  まず、私は、政府として、全ての被害者に真摯な謝罪をすべきだ、また、最高裁判決で確定した被害者への賠償は当然のことですが、係属中の訴訟の早期の和解、解決、一人親方を含む全ての被害者の救済、先ほど救済という話がありました、一刻も早く実施すべきだと思います。  そのため、国と建材メーカーが共同で出資する建設アスベスト被害補償基金制度、これを創設し、直ちに、未提訴の方を含め、全被害者を救済できる仕組みをつくるべきだと思うんですが、先ほど救済の話をされましたから、考え方をお述べいただきたいと思います。
  105. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 まず、先ほど申し上げましたが、お尋ねのアスベスト訴訟については厚労省において今対応していると承知しています。環境関係の法規について争われているものではないことから、この件についてお答えすることは差し控えますが、我々が担当している救済制度、この救済制度の中で、労災補償の対象とならない方々について広く救済の対象としているところでもあります。  環境省としては、こういった制度、考え方、これに基づいて、安定的に、かつ着実な制度運営を図ることで、石綿により健康被害を受けられた方に対する迅速な救済を促進していく思いです。
  106. 穀田恵二

    穀田分科員 じゃ、迅速な救済をやろうと思いますと、本当にこういう制度をつくらなければならない。補償基金制度をつくってきちんとやっていくこと、しかも、迅速なとおっしゃいましたよね、一刻も猶予は許されないということをしっかり胸に刻んでやらないと、その被害方々、また御遺族の方々の思い、これがどれほど痛切かということについて思いをはせていただく必要があると思っています。  次に、琵琶湖の環境問題について質問します。  琵琶湖は、近畿圏約千四百五十万人の生活と産業活動を支えています。また、四百万年に及ぶ歴史を持つ世界有数の古代湖でもあります。琵琶湖には、六十種を超える固有種を含む一千種以上の動植物が生息しており、自然生態系の宝庫でもあります。  こうした琵琶湖であるからこそ、今皆さんに配付をしていますが、ありますように、国は二〇一五年、琵琶湖の保全及び再生に関する法律を制定し、その第三条では、琵琶湖の保全と再生のために、水質汚濁の防止及び水源の涵養、生態系の保全及び再生、景観整備及び保全に取り組み、国は必要な財政的措置を講ずるとしています。  そこで、汚染問題について聞きます。  琵琶湖総合保全整備計画、いわゆるマザーレイク21計画では、二〇五〇年の琵琶湖のあるべき姿、その第一の目標として、琵琶湖の水はあたかも手ですくって飲めるように清らかに満々としてある、こう言っています。  果たして実情はどうか。  私は、琵琶湖の北湖にある朝日漁業に足を運び、実情をお聞きしました。  皆さんにお配りしているこの写真を見ていただきたいと思います。この写真は、昨年五月四日、琵琶湖の固有種で、高級珍味であるフナずしに最も適していると言われているニゴロブナの漁に使う刺し網です。これを北湖の水深三十メートルに数時間つけたらどうなったか。これがその写真です。  琵琶湖のニゴロブナ漁で使う刺し網の糸は大変細く、魚が判別でけへんから、それでかかってしまうということなんですよね。ところが、網がこうやってすぐに汚れてしまうから、全く魚はかからない。  近年、上流部の田んぼの代かきの濁水が出る四月下旬から五月上旬の汚れが一番ひどいとのこと。この時期が実はやはりフナの漁獲時期と重なっており、ニゴロブナの収穫はここ三年連続で大変な不漁となっているという訴えがありました。  そこで、伺います。  大臣は、琵琶湖に注ぐ河川からの農業濁水の現状漁業への影響についてどう認識されておるのか、そして、この改善方策についてどのようにお考えか、お示しいただきたい。
  107. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 近年、琵琶湖の流域では、代かき、田植期間である四月から五月にかけて、水田由来と考えられる濁りが生じており、アユの遡上行動に影響を及ぼすのではないかとの指摘などがなされていると承知をしています。  このため、滋賀県においては、琵琶湖への農業濁水の流出防止対策として、河川の透視度調査を行うほか、水田からの濁水の流出防止などの取組を行う環境こだわり農業の活用などによる農業濁水対策推進していると聞いています。  先生先ほど御指摘された法律の施行後五年を踏まえて、関係省庁や関係地方公共団体で組織をされた琵琶湖保全再生推進協議会が令和二年九月に取りまとめたフォローアップ報告書において、水質汚濁防止のための措置などとして、「代かき・田植え期間に琵琶湖に流入する農業濁水は、長期的には改善傾向にあるものの、一部の河川で依然濁りが大きいことから、重点モデル地区での技術実証など一層の取組を行う。」とされたところです。  私も、琵琶湖保全再生推進協議会の共同会長を務めていますので、今後とも、この法律に基づいて、関係省庁や関係自治体と連携して、農業濁水への対策を含めて、琵琶湖の保全再生施策推進してまいりたいと思います。
  108. 穀田恵二

    穀田分科員 琵琶湖の汚染という点では、漁業者は当然ですけれども、農業者、関係者も何とか改善したいと心を痛めておられます。  私は、先日、長年琵琶湖の汚染問題を研究している方とお会いして、その原因と対策について意見交換しました。琵琶湖の固有種で二年魚、ふ化して二年というイサザの農薬汚染を一九八〇年以降ずっと研究されてこられ、イサザ体内の農薬汚染は琵琶湖周辺の圃場整備事業の進捗と明確な相関関係がある、かつては、使われた農薬の排水が時間をかけて琵琶湖に流入して自然浄化されていたけれども、琵琶湖総合開発による圃場整備が進み排水がダイレクトに川に流され、それが短時間で琵琶湖に流入することによる影響が大きいと、意見を述べられていました。  私は、その意見は賛成なんですね。したがって、対策のために二つの点が重要だと思うんです。一つは、琵琶湖に流れ込む農業排水の水質改善に取り組むこと。もう一つは、琵琶湖に短時間でダイレクトに流れ込むということをいかに防ぐか。  この点での琵琶湖の水質汚染の原因と対策についてどうお考えか、改めてお聞きしたい。
  109. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 環境省としては、琵琶湖の保全及び再生に関する法律などに基づいて、関係省庁や関係自治体と連携して、琵琶湖の植物プランクトン及びその生態系等への影響について必要な調査研究を行っていくことが重要であると認識をしています。  琵琶湖の植物プランクトンについて、かつては珪藻類が主体であったと言われていますが、最近では緑藻類が主体となるなど、水質や環境の変化などによって藻類の優占種が変化しているとの指摘がなされていると承知をしています。また、平成三十年には、琵琶湖の南端部にある南湖で植物プランクトンの特異的な増殖により水質が悪化したと認識をしています。  琵琶湖のこの法律の施行後五年を踏まえて報告書がまとめられましたが、今後も生態系の変化や水質汚濁などに関するメカニズムの解明などの調査研究を実施することとされており、環境省としても、琵琶湖の水質及び生態系の保全、再生に関する調査研究に取り組んでまいりたいと思います。
  110. 穀田恵二

    穀田分科員 私の先の方の質問にもちょっとお答えをいただいて申し訳ないんですけれども。  では、その問題について一言言っておきますと、今あったように、植物プランクトンの問題、今大臣指摘されましたよね。これは、滋賀県の水産試験場の調査では、湖中に設置する時間の短い、今述べた刺し網でも、植物プランクトンで形状が糸状のものが網に絡みついて、また、粘りのある物質を分泌することによって浮遊する泥とともに網に付着して、写真のような状態になると。  さらに、一千年以上続く琵琶湖の伝統漁法である、えり漁ですね。これは仕掛けを一定時間設置するけれども、したがって、粘りのある物質を分泌する植物プランクトンが網の上で増殖し、マット状の汚れとなることが確認されているんですね。これは洗ってもなかなか落ちひんわけですよね。  だから、植物プランクトンというのは、今、動物プランクトンが捕食できない大型のものになっているという現状だとか、今ありました、網の汚れのほか、それから、この間、琵琶湖の水道水の異臭の原因ともなっているということになっています。  私は、琵琶湖の生態系保全と水質の保全、この両方を視野に入れて、こうした植物プランクトンの変化、その琵琶湖への影響について、改めて、これは全国でいろんなところで起こっているんだけれども、この生態系、この問題が余り分かっていないんですよね。したがって、改めて調査研究する必要があると思いますが、これは簡単に一言だけ。
  111. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 先回りをして答えたみたいで、済みませんでした。  先生が言うように、この調査研究を行っていくことは非常に重要なことだと思いますので、そしてまた、琵琶湖の重要性は特に地域皆さんにとって非常に大きなものがありますから、我々としても、この法律に基づいたものでフォローアップもできて、この調査研究を、指摘もされていますし、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
  112. 穀田恵二

    穀田分科員 そこで、先ほど環境こだわり農業についてありましたので、農水副大臣にお聞きします。  先ほどあったこだわり農業というのを後押しする、国の環境保全農業直接支払交付金について若干提案したいと思うんですね。  農家の皆さんは、化学肥料や農薬を半分以下に抑える、琵琶湖への農業排水の流入を抑えるなどの相当な努力をされています。ただ、現場からは、言い方はいろいろありますけれども、労多くしてなかなか大変だよね、手間がかかる割には経営は大変やねという声が出ています。具体的には、直接支払交付金の補助金単価が低い、対象が狭い、何とかならへんかという要望が出されています。  農家の御苦労に応えて、県や市町村は道の駅での販売企画など環境こだわり農産物の販路拡大に努力されていることは、葉梨副大臣も御承知かと思うんです。国としても、環境保全型農業直接支払交付金について、メニューの単価の引上げ、交付対象の拡大など、更に支援を充実させるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  113. 葉梨康弘

    ○葉梨副大臣 穀田先生は本当によく制度仕組みを御存じのとおりだと思いますけれども、この交付金は、一応、通常の慣行栽培でかかるのと、こういった、農薬とか化学肥料を半減する取組、地球環境、温暖化を抑える、さらには生物多様性に優しい取組について、客観的に、通常の営農作業よりもかかる資材費とかそれから労賃とか、これを上乗せしているというものなものですから、この予算の仕組み自体をこの単価という意味では変えなきゃいけなくなってしまって、なかなかこれは厳しいところがあるんですが。  交付対象については、令和二年度に見直しを行いまして、地域特認ということで、例えば滋賀県からも、緩効性肥料の利用及び長期中干し、こういったものも地域特認の取組ということで認めさせていただいて、これが大体五千八百ヘクタールぐらいに広がっていると。  また、さらにそういった形で交付対象も広げる取組をしておりますので、活用していただければと思いますし、また、販促の取組も、滋賀県等としっかり連携して支援をしていきたいなというふうに思っています。
  114. 穀田恵二

    穀田分科員 この概要にもありますように、確かに一定改善されているんだけれども、現実は、何で一〇〇%いかへんかというと、今、四三%ぐらいで止まっているわけですよね。その実態や悩みもしっかり見ていただく必要があるということは言っておきたいと思うんです。  では、漁業について聞きます。  これも大変な状況でして、一九五五年当時、琵琶湖の漁獲量は一万六百十六トン、これが最大でありましたけれども、最近の資料では、二〇一七年には七百十三トン、最大時の約七%まで落ち込んでいます。  同じ期間に、各魚の種類の最大漁獲量と二〇一七年を比べますと、アユが一四%。フナが八%、ホンモロコが五%まで落ち込んでいます。特にセタシジミの落ち込みは深刻で、一九五七年に六千七十二トンだったものが、二〇一七年には五十七トン、〇・八七%まで落ち込んでいます。  セタシジミを始め、漁獲量の激減の原因をどうお考えでしょうか。
  115. 葉梨康弘

    ○葉梨副大臣 御案内のとおり、琵琶湖の漁獲量、非常に落ち込んでおりますし、また、セタシジミ、これですと、令和元年は四十一トン、平成元年が百九十トンだったものが四十一トンまで落ち込んでいるということで、原因としましては、南湖において、河川からの砂の流入の減少、砂の採取などによって砂地が減少している、砂地に泥が堆積するなど湖底環境が悪化している、そういったことが挙げられるかというふうに考えています。  この状況については、滋賀県による水産環境整備事業や、漁業者、地域住民による水産多面的機能発揮対策事業を活用して、砂地の造成、さらに湖底の耕うんなどの取組が行われておりまして、耕うんや砂地を造成したところではシジミの生息量が増加しているというデータもございます。  引き続き、関係自治体と連携しながら私どもも取り組んでいきたいというふうに思っています。
  116. 穀田恵二

    穀田分科員 考え方、二つ言っておきたいと思うんですね。  地元では、琵琶湖の生態系を映す鏡と、セタシジミについて言われているんですよね。これが最盛期の〇・八七%しか捕れない。他方、島根県の宍道湖では、確かに漁獲量は減少傾向にありますけれども、ヤマトシジミは年間約四千トン捕れます。金額にして約二十億円余です。片や、面積では宍道湖の八倍以上ある琵琶湖のシジミの漁獲量は五十七トン。宍道湖の七十分の一でしかないんですね。  シジミ漁は、小さな漁船と小さな鋤簾があればできるということになっています。  宍道湖では、徹底した資源管理を行って、週三日間は休む、休漁、そして一回の操業は四時間以内、採捕量は百キロまでとしておって、それで年収は五百から六百万あるということになっていて、二百七十人の方がシジミ漁に携わり、青年部の活動も非常に活発というふうに聞いています。  今お話あったように、砂の流入を始め、いろんなことをやっています。年間二千万個の稚貝の放流も含めて、砂地造成などをやっているけれども、残念ながら成果は上がっていないというのが県の方々の思いです。私は、宍道湖のような厳格な資源管理が必要だと。  先ほどお述べになりませんでしたけれども、私は、漁業が随分衰退している原因の一つに、やはり中長期的な琵琶湖漁業の再生のために何が必要かと。それは、この間、総合開発の在り方への真摯な反省の上に立って、総合的な生態系を守り育てる対策が必要だと思います。  先ほど述べた研究者の話とも重なるんですけれども、琵琶湖の内湖の保全、それからヨシの再生、自然の力、自然浄化力を育てる、こういうこと自身も含めて必要だ、この二つがあると思うんですが、簡潔に。
  117. 葉梨康弘

    ○葉梨副大臣 私どもとしては、資源管理の方はやはりしっかりやっていかなきゃいけないなというふうに思っています。  それと、先ほども申し上げましたように、ヨシとかいろいろあるんですが、まず当面、何もしていない湖底ですと、一平米当たり二十三個体しかないのが、これが耕うんしたり砂を造成すると三百個体以上になっていますので、これをやはりしっかり進めていくのが先決かなというふうに思っております。
  118. 穀田恵二

    穀田分科員 それはよく知っているんですけれどもね。本当に相当なお金を投入しているんだけれどもなかなか大変という現実は、知事もおっしゃっておられることはよく御存じかと思うんです。  次に、全層循環について聞きたい。  琵琶湖の全層循環というのは、表層の水と下層の水が混ざり合って、酸素が湖底にまで届く、いわゆる琵琶湖の深呼吸とも言われています。  この全層循環、すなわち琵琶湖の深呼吸ができなければ、酸素が欠乏し、漁業を始め琵琶湖の生態系に決定的な影響がある。  環境省が二〇一二年度に実施した近未来気象条件下のシミュレーションでは、この全層循環が止まるのは二〇三四年から三六年の三か年と予測しており、しかも、こうした事態が必ずしも起きるとは限らないと書いていました。  ところが、二〇一九年、二〇年と、ここ二年間、全層循環は起こらずに、関係者は、まだまだ先の話と思っていたが、猛暑の夏と暖冬が続き未完了となった、この状態が続くと琵琶湖の生態系が元に戻らなくなると、いたく心配されています。  今年、ようやく全層循環が三年ぶりに確認されたわけですけれども、事態は極めて深刻と言って過言ではありません。  大臣に聞きます。  私は、琵琶湖の全層循環が起こらないというアラームは、琵琶湖が人類に対して、早く手を打たねば手遅れになるぞ、生態系の危機だぞという警告を発しているんじゃないかと考えますが、大臣の認識を簡潔に伺いたい。
  119. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 穀田先生の言ったそのメッセージ、この思いというのは、三日月知事からも私も伺っています。まさに私も、これは気候変動も含めた生態系からのメッセージである、そういった受け止めの下、これからしっかり琵琶湖の環境再生、環境の保全に取り組んでまいりたいと思います。  この全層循環については、先生から今御指摘ありましたが、平成三十年度の冬季そして令和元年度の冬季、二年連続で全層循環が起きなかった。今年度は、二月に全層循環が完了した。つまり、起きたことが確認をされて、三年連続での全層循環の未完了、全層循環が起きないことが三年連続ということは回避をされたというふうに思いますが、引き続き、気候変動はどんどん悪化をしていますから、この気候変動政策を全体として強化をしていくということも含めて、琵琶湖の再生、保全に取り組んでいきたいと思います。
  120. 穀田恵二

    穀田分科員 同じ立場に立っていただくということだと思います。  ですから、滋賀県などが取り組んでいるCO2ゼロへの様々な取組をしっかり支援していただきたいと思います。  最後に、大戸川ダムについてお伺いします。  滋賀県甲賀市から大津市を経て瀬田川に流入する大戸川に計画されている大戸川ダムは、当初、計画当時は、治水、利水、発電を目的とした多目的ダムとして計画されましたが、途中で利水については撤退し、さらに、治水ダムとしても、二〇〇八年に滋賀、京都、大阪、三重の四府県知事が優先度が低いとして建設凍結を求め、二〇〇九年、淀川水系河川整備計画において、大戸川ダムの本体工事は当面実施しないとされたものであります。  ところが、建設再開への動きが始まっています。大戸川の目的について、国交省は下流の淀川水系の治水安全度の向上としていますが、その効果は全く限定的なものです。しかも、その本体工事は約千八十億円と莫大なものです。  そこで、数字を聞きますが、大戸川ダムが完成した場合、二百年に一度の大洪水が発生すると仮定して、淀川の基準点である枚方地点の水位は何センチ低下しますか。
  121. 岩井茂樹

    ○岩井副大臣 お答えいたします。  大戸川ダムの治水効果は、委員から御提示のありました条件である二百年に一度の洪水が発生した場合、淀川、宇治川など、延べ約七十キロ以上の区間で水位を引き下げ、その水位低下量は、御質問の枚方地点では約二十センチと推定をされております。  この結果、淀川、宇治川等におきましては、水位低下による越水の回避や、堤防への負担軽減による決壊リスクの軽減もありますし、あとは、何といっても、本河川の水位低下により排水機場の運転停止が回避されることによる、今大変問題になっている内水被害の軽減等様々な効果があることも念頭に置きながら、国交省としてはしっかりと対応していきたいと思っております。
  122. 穀田恵二

    穀田分科員 水位にして十九センチ、約二十センチということだと思うんですね。  国交省は、大戸川ダムを造り水位を十九センチ引き下げないと、淀川の水位が計画高水位を十七センチオーバーし、今、破堤、氾濫するとしています。しかし、実際の堤防の高さは十七センチどころか、計画高水位よりも約四メートル高く、実際に破堤することは想定しにくい。  さらに、菅首相は、総裁選挙に立候補した際に、想定外の豪雨災害への洪水対策、その目玉政策として掲げたのが利水ダムの活用であります。菅さんは、洪水対策の切り札とした。その後、一級河川の全九十九水系で事前放流の協定が結ばれ、洪水への対処能力は従来の二倍となったと言われています。  大戸川ダム建設予定地の下流にも、関電の利水ダム、喜撰山ダムがあって、大戸川ダムの三分の一の容量を持っています。また、かつて国交省は、利水ダムだから治水には使えない、関電がうんと言わないなどと述べてきました。これが活用できることになった。協定では、喜撰山ダムだけでも事前放流による洪水調整可能容量は四百九十七万トンとされると。したがって、ますます大戸川ダムが必要とされる根拠はなくなると思うんです。  したがって、一つだけ、もう時間もありませんので聞きたいんですけれども、治水効果に関わって、大戸川ダムの貯水量は二千万トンと予定されていますが、これは琵琶湖の水位にすると何センチ分に相当するか。数字だけ言ってください。
  123. 岩井茂樹

    ○岩井副大臣 お答えいたします。  大戸川は琵琶湖に流入する河川ではないため、大戸川ダムの貯水量と琵琶湖の水位上昇量を比較することは少し、ちょっと問題があるのかなとは思うんですが、単純に大戸川ダムの治水容量約二千百九十万立方メートルを琵琶湖の面積約六百七十平方キロメートルで割ると、約三センチメートルとなります。  実際三センチなんですけれども、少ないというお話がある中で、実は、平成二十五年の洪水の際に、琵琶湖のピーク水位から三センチメートル下がるのに実は三十五時間もかかったということもありまして、国土交通省といたしましては、大戸川ダムの治水容量、この二千百九十万立方メートルをしっかりと認識しながら、また、琵琶湖周辺の浸水被害の軽減、これに貢献するということを念頭に置きながら、流域全体をしっかりと俯瞰した治水対策を行っていきたいと思っております。
  124. 穀田恵二

    穀田分科員 流域全体は当然なんです。  問題は、大戸川ダムを造ることによって、今問題のところでいいますと、この下流での洪水を防ぐために、瀬田の洗堰、これを全閉操作や時限放流によってコントロールしているということなんですね。  だから、問題は、大戸川ダムを造ることによって、この瀬田洗堰の全閉時間を短くすることができるのか。先ほど、時間はありました。言い換えると、大戸川ダムの効果がストレートに琵琶湖の洪水調整に生かされるのかということなんですね。  この問題を研究しておられる滋賀県の土木交通部が、大戸川ダムが滋賀県内に与える効果の検証についてというレポートを発表しています。その中の、四、大戸川ダムの整備が瀬田川洗堰操作に与える影響の検証、何と言っているのか、結論部分だけお読みください。
  125. 齋藤健

    齋藤主査 国土交通省若林水資源部長。時間ですので、簡潔にお願いします。
  126. 若林伸幸

    ○若林政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘の資料は、大戸川ダムの治水効果や瀬田川洗堰操作に与える影響につきまして、滋賀県が取りまとめた報告書等を参考に、滋賀県職員が発表された論文と承知をしております。  滋賀県職員が発表された論文の瀬田川洗堰操作に与える検証にある検討の結果におきまして、大戸川ダム整備が瀬田川洗堰操作に与える影響の検証結果として、「今回検証した降雨の中で最大の規模であるH二十七豪雨を除き、全閉や制限放流の時間が短縮することが判明した。H二十七豪雨では、全閉の時間が一時間延長された。これは、大戸川ダムへの貯留によって、淀川でのピーク水位に遅れが生じ、天ケ瀬ダムの操作に影響を与え、結果として洗堰の全閉の時間延長につながったものである。」と記載されております。  なお、滋賀県が取りまとめた報告書では、御指摘の瀬田川洗堰操作に与える影響について、全閉時間が短縮されるとした上で、ただし、時間、超えるような一定規模以上の洪水では、全閉時間が長くなる場合もあったと付記されておるところであります。  また、先ほどの論文では、大戸川ダムの整備による……
  127. 齋藤健

    齋藤主査 手短にお願いします。
  128. 若林伸幸

    ○若林政府参考人 琵琶湖水位への影響の検証結果として、「大戸川ダムの整備後において、その放流量や方法により、整備前に比べて水位上昇を低減もしくは同程度に抑えることが確認された。」と記載されております。
  129. 穀田恵二

    穀田分科員 今ありましたように、水位上昇が低減若しくは同程度に抑えられるとして、しかも、全閉操作が逆に一時間延長するということになっているわけで、つまり、ダム整備による効果は微々たるものだということなんですよ。  私は、今日は数値しかやりませんでしたけれども、この基本的な数値の検証から、治水効果がさほど期待できないということだけは述べておきたいと思います。  私は、巨大なダムを築いて洪水を閉じ込め流下させるという明治以来の治水方針は、治水事業が進めば進むほど、それが破綻した場合に水害被害は甚大化するという大きな矛盾をはらんでいると思います。現在、想定を超える集中豪雨が多発する中で、その矛盾は一層顕在化していると思います。  私は、大戸川ダムまずありきではなくて、利水ダムである喜撰山ダムの事前放流を始め、これまで不十分であった堤防整備や河川掘削などの河川対策、緑のダムや水田活用などの治水対策など、流域全体で治水対策に取り組む流域治水の考え方を対策の根幹に据えるべきである。  まずダム建設ありきという方針の撤回を求めて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  130. 齋藤健

    齋藤主査 これにて穀田恵二君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  131. 齋藤健

    齋藤主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。細野豪志君
  132. 細野豪志

    細野分科員 細野豪志でございます。  今日は、無所属でありながらこうして質問の機会をいただきまして、まず心より感謝申し上げます。  今日は、主に、福島県で行われております県民健康調査事業の中の甲状腺検査の在り方について質問したいというふうに思います。  早速で恐縮ですけれども、小泉大臣環境大臣になられて時間も経過をしていますので、この調査についても十分実態は把握をされているというふうに思いますので、これまでの検査をどう評価をされているかをまずお伺いしたいというふうに思います。
  133. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 東京電力福島第一原子力発電所の事故により放出された放射性ヨウ素などの影響で小児甲状腺がんが増加するのではないかとの懸念が高まったことを受けて、住民の不安に応え、子供たちの健康を長期に見守るため、福島県が県民健康調査甲状腺検査を実施をしています。  福島県県民健康調査で見つかっている甲状腺がんについては、環境省や国連科学委員会、福島県において開催されたそれぞれの専門家会議において、いずれも現時点では放射線の影響とは認められない旨の評価がなされています。
  134. 細野豪志

    細野分科員 大臣から今明確に御答弁をいただきましたけれども、甲状腺がんは発生はしているけれども、これは被曝による影響ではないということを政府としても確認をされているということでした。  念のため環境保健部長に伺いますが、これまで五回、四回プラス今やっている調査の中で、甲状腺がんということで政府として把握をしている人数は何人なのか。そして、ほぼ同様の調査を三県、山梨県、青森県、長崎県でやっているというふうに承知をしておりますが、その数と比較をして影響をどう見るのか。そこを御答弁をいただきたいというふうに思います。
  135. 田原克志

    ○田原政府参考人 お答えいたします。  福島県の県民健康調査におきます甲状腺検査につきましては、事故当時おおむね十八歳以下だった約三十八万人を対象に実施されておりまして、令和二年六月三十日の時点で、悪性ないし悪性の疑いとされたのは二百五十二名でございます。そのうち、がんと診断されている者は二百二名でございます。  あわせて、山梨県、青森県、長崎県の三県で同様の甲状腺検査を行っております。これは平成二十四年度に行っておりまして、三歳から十八歳の四千三百六十五名の子供に対しまして検査を行っておりますけれども、その結果、一名に甲状腺がんが認められたというものでございます。  がんの割合を単純に比較をいたしますと、冒頭申し上げました福島県の調査、これは今ずっと累積をしておりますので、がんの疑いにつきまして二百五十二名というふうに申し上げましたけれども、先行調査として平成二十三年から平成二十七年までに三十万人の方に対して実施をされたものにつきましては、甲状腺がんと診断された者が百一名というふうになっておりまして、その割合というのは〇・〇三%になります。  それから、三県で行われた検査でございますけれども、先ほど申し上げました四千三百六十五人の方に対して検査を行い、甲状腺がんがお一人だということですので、その割合は〇・〇二%ということでございます。
  136. 細野豪志

    細野分科員 甲状腺がんのこの数字というのは被曝とは無関係で、福島以外の地域でも同じ割合で発生をしているということ、さらには、福島県内でも浜通りでの発生率と会津地方での発生率にほとんど有意な差はないということですから、その意味でも、その事実は明確なんだろうというふうに思います。  私がこの質問をするのは、幾つかちょっと私が過去にこれに関わっていた経緯というのがありまして、当初、この福島の健康問題をどこの省庁で扱うのかというところから、かなり議論がありました。  厚労省というのも一つの考え方だったんですけれども、私が原発担当をやっていたということも含めて、また、過去いろんな健康問題について環境省もやってきた、公害問題などで。やろうということで、受けたわけです。そして、県の調査ではあるんだけれども、国が基金を積んで、私のときに予算を執行しました。それが取り崩される形でずっと検査が行われているという意味で私にはかなり責任があるし、それをそのまま引き継いでやっていただいている環境大臣にはその自覚を是非持っていただきたいということで、今日は質問をさせていただきます。  当時の状況と今で、大分受け止めというのは変わってきました。実際に福島でがんが増えているということを懸念をする方というのは随分減ってきました。まだ一部でおられますが、そこは誤解を解く必要があるというふうに思います。そして、検査そのものに対する認識も変わってきた。  まず、大臣にちょっと考えていただきたいんですけれども、年配の方で甲状腺がんを持ったまま亡くなる方というのが一定数います。何割ぐらいいると思われますか、クイズではないので答えは結構なんですけれども。甲状腺がん以外の理由で亡くなった方で、甲状腺がんだったと後から調べる調査というのは結構行われているんですが、実は、ほとんどの調査で一割、調査によっては三割の方が甲状腺がんを持ったまま亡くなるんですね。  何が言いたいかというと、がんというと非常に、これは深刻だ、早期発見、早期治療だ、そういう思いを普通の人は持つんですけれども、事甲状腺がんに関しては、実はその原則が当てはまらない。特に、大量に発見される乳頭がんの場合については、それが重篤な状況になるというのは極めて数が少ない。若しくは、明確に、外から見ても明らかになったときに初めて検査をすれば間に合う。  一方で、是非大臣に理解していただきたいのは、検査をすると、ほとんどの子供は手術をします、心配ですから。二百二名とさっき部長が答弁をしたのはその数ですね、取らないと検査できませんから。ところが、確かにそれで、命に危険はもちろん、手術そのものは簡単な手術ですから、問題は生じないんですが、非常にマイナスが大きい。  実は、私の妻が甲状腺がんで切除をしていまして、私もそれを経験したんです。彼女の場合には非常に腫れましたので、やってよかったんですけれども、毎日薬を飲み続けなければならない、ホルモンバランスを維持をするのに。あと、当然ですけれども手術の傷痕が残りますね。そういうものを、福島の子供たちが、本当は必要がなかったかもしれないけれども手術をすることによって、今ずっと引きずっている子供が二百人以上いるということなんですね。  加えてもう一つ、非常に分かりにくいですけれども、実質的な問題として、例えば生命保険に入るとか、がん保険に入れない。ある程度の年齢になれば、それは気をつけながら生活できるかもしれないけれども、若い十代とか二十代の若者が保険に入れないというのは、これは非常に大きなマイナスなんですね。  ですから、いわゆる過剰診断の問題なんですけれども、その問題を政府としてももう一度しっかり考える。これまでは、過剰診断はないということを言ってきたんです。私は、過去の検査を否定するつもりはありません。いろんな方が努力をされて、私も関わりましたので、ここまでは不安に応えるために必要だったかもしれない。しかし、これだけいろんな事実が明らかになっている中で、過剰診断の問題に政府としても向き合うべき時期に来ている、十年は、という思いで今日は質問させていただいています。  ですから、ここからは是非政治家として御答弁をいただきたいんですが、政府としてこの過剰診断の問題にどう向き合うか、今の私の話も聞いていただいた上で、率直に御答弁いただきたいというふうに思います。
  137. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 まず、事実関係から御紹介をさせていただきます。  今回、この県民健康調査で、中間取りまとめにおいて、この調査で見つかっている甲状腺がんについて、被曝による過剰発生の可能性が完全に否定されるものではないが、過剰診断の可能性が高いということが、これまでの科学的知見から指摘をされています。  こうした過剰診断に対する対応については、福島県では、日本乳腺甲状腺超音波医学会のガイドラインに従うことにより、治療の必要性が低い病変ができるだけ診断されないようにしており、また、検査対象に送付する甲状腺検査の案内文に検査のメリットや過剰診断の可能性を含めたデメリットを記載をすることで、希望者が受診できるような取組を行っていると承知をしています。  今、細野先生から、私の歴代の前任者にも当たりますので、この課題に対するスタート段階のお話もいただきました。難しい課題だと思います。  しかし、一方で、先生も奥様のことを、また、私自身も子を持つ立場になって、今、県民健康調査で子供たちが、学校の授業という時間の中で、学校でみんなで一緒に調査を受けて、その結果、仮に診断が出た場合に手術など、そういったことにも至っている子供たちがいるということ、このことについては、子を持つ親の立場を考えれば、もしも疑わしいことがあったら、子供の命に関わることですから、早く対応したいと思うのは当然のことだと思います。  一方で、一人一人の望む形でその検査を受ける、受けない、こういったものが選択ができるという、こういった形も私は大切なことだと思いますので、今日の細野先生の御指摘、そして、今までこの問題にずっと当初から関わられてこられた、そういった思いも受け止めて、環境省としても、福島県に対して、今日の委員会のやり取りも含めて適切な助言を行ってまいりたい、連携もしていきたいと思います。
  138. 細野豪志

    細野分科員 まず一点。これまでの政府の見解を今大臣は言われましたけれども、影響が否定されるものではないが、これまでのところそういうことはない、そういう文脈なんですよね。  これは科学者が頻繁に使う言い方なんです。ちょっと、やや私は今自由な立場ですので、誤解を恐れずに言えば、およそ科学的に極めて蓋然性が高く、分かっていることについては、きちっとそのメッセージを出した方がいいと思います。国際社会からも、様々な国際機関が同様の発言をしているんですね。  もちろん、科学というのは、ある時点で一〇〇%分かるということはありません。それは甲状腺がんだけではなくて、甲状腺だけではなくて、処理水の問題なんかもそうなんですよ。全て分かるということではないけれども、およそこういうことだということでコンセンサスを得ているものに関しては、きちっと言った方がいいと思います。そこを、こういう考えもあるがこういう考えがあると言った瞬間に、両論併記になりますから。  甲状腺がんに関しては、私はこの十年間ずっと見てきたので、様々な国際的な意見や現場の声や福島の方の声も聞いてきて、結論が出ていると思うので、そこは是非大臣にきちっと説明をしていただきたいというふうに思います。  その上で、今配られているメリット、デメリットも見ましたが、重要な点がやはり書いてない。大臣、がんだと分かるということは、手術をするということなんです。逆に言うと、手術しないとがんと分からないので。手術したときのデメリットは書いてないです。私が申し上げたような、例えば、保険に入る、入らない、入れないというようなことも書いてないし、薬を飲み続けなければならないということも書いてないです。  ですから、普通は、一般的な、医療の知見のない方は、検査しますといったら、分かるから喜んでやるわけですよ。ところが、本当は死ぬまで手術しなくてもいいかも分からなかったがんで手術をして、傷を負い、薬を飲み続け、そして保険も入れない、そのデメリットが書いてないんですよ。過去は、こういうメリット、デメリットも書いてなくて、そのまま、ほぼみんなどうぞどうぞで検査していたんですが、そこからは進歩しました。ただ、この中身も含めて十分ではないということは是非大臣に分かってもらいたい。  やや細かい話ですけれども、大臣に知ってもらいたいので、幾つか指摘しますね。  まずは、福島医大から同意書が送られてきます。大体、回答するのは六割か七割です。残り三割はどういうふうな扱いになっているか、大臣、御存じですか。本当に任意の検査であれば、案内状が来て、受けますよという人はいいですよ、でも、残りの人は、それは同意していないわけだから、検査を受ける必要がないと私は思いますが、ほとんど検査を受けています。なぜなら、学校で回収するからです。小学生とか中学生で、学校で回収し、学校の授業時間帯に検査を受けるわけですね、その間することがないわけですよ。これは任意の検査と言えますか。  では、念のため部長に確認しますが、学齢期にある子供で、不同意で答えている子供はどれぐらいいますか。
  139. 田原克志

    ○田原政府参考人 お答えいたします。  同意書で不同意というふうに記載して提出された方の割合というのは公表はされておりませんけれども、甲状腺検査を受診していない方の中に、検査に不同意であった方が含まれているというふうに考えられます。  そこで、検査を受診していない方の割合を申し上げますと、平成二十六年度から二十七年度に実施された甲状腺検査、これは人数が確定しているので申し上げますと、六歳から十一歳では六・八%、十二歳から十四歳では八・二%、それから十五歳から十七歳では一六・一%でございました。
  140. 細野豪志

    細野分科員 年齢が上がるに従って、小学生、中学生、高校生と若干下がりますが、おおむね九割以上が学齢期になったら受けているんですよね。もうこれは、ほぼ全員検査です。  実際に過去受けていて、今大学生になって、医者とか看護師になっている学生ともちょっと話をしてみたんですが、彼らは、本当は受けるべきではなかった検査を受けていたというふうに自覚をしていました。つまり、学校の授業時間帯に受ける検査はそれぐらい、強制力とまでは言わないけれども、拒否をする、不同意で受けないのが難しい検査なんですよね。  この現状を変えることに、大臣、ちょっとイニシアチブを発揮していただけませんか。繰り返しになりますが、県の検査です、決定権は県にあります、福島県に。ただ、お金を出しているのは政府です。何度も言いますが、私のときに出しています。なので、非常に責任を感じている。  大臣はお子さんもいらっしゃる。私も子供がいます。ちょうどそれぐらいの年齢なんですね、私の子供の場合には。三・一一のときに小学生でしたから。私なら、率直に申し上げまして、甲状腺検査を受けさせません。なぜなら、検査を受けるメリットはほとんどない、受けることによって万が一そう診断されたときのダメージが極めて大きいことが分かっているからです。いろんな福島の方とも、政治家なんかとも話しましたけれども、きちっとこの問題を考えている人は、検査を受けないという選択をします、する方が多いです、少なくとも。  大臣、私なんかが自分の子供に受けさせたくないと言っている検査を、多くの情報を持っていない福島県民が半ば自動的に受けているという現状は、これは見過ごせないんですよ。ですから、大臣に是非そこでイニシアチブを発揮していただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。
  141. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 先生の問題意識は共有します。このやり取りも踏まえて、早速、省内の中でしっかり、何ができるかの検討に入りたいと思いますし、私からも、福島県にやっていただいているわけですから、メリット、デメリットの表記の在り方とか、そういったことについても、私の中で受け止めて、考えさせてください。
  142. 細野豪志

    細野分科員 一点、ここだけは約束していただきたいんですが、私は、本来は学校以外の場所でやるべきだと思います。希望者が無料でこれまでと同様受けられますよ、しかし、希望しない方は行かなくていいですよという任意性を確保するためには、学校以外でやるのが一番いいと思います。ただし、学校以外でやるとなると、どこでやるかとか、どういう手続を取るかで非常に難しい問題があるのは分かる。  そこで、これは折衷的なアイデアだけれども、せめて授業時間帯を外す。放課後にすれば、希望する子供だけ残ればいいわけですね。希望しない子供は帰ればいいわけです。これはできるはずです。田原部長には何度もその話をしていますが。やはり国として、任意性が担保されていない、これは問題があるというふうにお思いになるのであれば、そこまでやっていただきたい。  つけ加えてもう一つ言うと、実は、国際社会でいうと、WHOの関係団体でお医者さんが集まっているIARCという団体がありまして、そこが提案をしていまして、大臣の手元にもあるかもしれませんが、原発事故後の甲状腺に対する系統的なスクリーニングは奨励しないと明確に言っています。これは二〇一八年。たとえ原発事故後であっても、やってはいけないと提案に書かれています。  つまり、ここまでは、福島はいろいろ特殊事情があるねで来たんだけれども、こういう国際社会の目が向いていて、それは実は、福島県にも向けられているけれども政府にも向けられていて、これは本当に過剰診断で、過剰治療で、本当は手術する必要がなかった若者が受けていると明らかになった場合は、私は責任を問われる可能性すらあると思いますよ。  そこも含めて、あくまで検査は継続をするが任意なんだということを担保するためにも、せめて授業時間の検査はやめる、これは大臣としてイニシアチブを取っていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  143. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 何ができるか、考えさせてください。今のお話も聞きながら、この状況の改善として、できることは考えたいと思います。  ですので、まずは、今この検査が続けられることに対しては、細野先生も、これは続けられる中での、希望者が受けられる体制が必要で、望まない人が検査を受けないという選択肢を自然と取れる形を取ることが大事だという御指摘だと思いますので、そのことも踏まえて、我々として、対応策、何ができるかを議論したいと思います。
  144. 細野豪志

    細野分科員 大臣、ちょっとここで簡単に私も引き下がるわけにはいかない事情があって。  福島県側がなぜこういうことになっているかというと、結局、悉皆検査、みんな検査することをやらないということによって、要するに、原発事故の被曝による影響を隠しているんじゃないかと言われることを恐れるわけですよ、行政の側は。福島以外も、いろんなことがこれまであったので、一つずつ変えるのがしんどいんですよ。当事者がそういう状態にある中で、イニシアチブを取れるのは国しかないんですよね。  ですから、考えさせてくださいとおっしゃいましたけれども、ここだけは是非約束してもらいたい。授業時間中は、分かるでしょう、小学校のときに、みんな健康診断を受けているのに、一人だけ、私は受けませんと言えないじゃないですか。それは言えないんですよ。今も小学校から中学校に上がっていきますが、中学生でもなかなか難しいでしょう。  せめて授業時間中については外して放課後にする、これはやはり大臣しかできないと思いますよ。しかも、福島でそういったことをするときに、説得力のある人が誰かなんですよ。並の大臣では難しいと思います。小泉大臣だから私はやり得ると思っていますので、そこをもう一歩踏み込んで御答弁いただけませんか。
  145. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 授業中にするか、放課後にするか、それとも学校の外にするか、いずれにしても、大事なことは、望まないのに、いわゆる周りからの圧力、同調圧力に近いものの中で受けざるを得ないという環境があるとしたら、それを放置しないような対応を考えます。
  146. 細野豪志

    細野分科員 これで終わりますけれども、普通は、例えば、福島委員会の方で、実際に受けている人から話を聞くと言うんですよ。でも、受けている側からすると、一応検査してもらって、大丈夫だと確認したいわけですよね。なかなかそういう答えというのは出てこないですよ。だから、ここは政治なんですよね。  中には、やめろと言う人もいます。ただ、それは、福島で不安を持っていて、検査したいよという人のことを考えると、やはり私は続ける必要があると思っています。ただ、やはり、九割とか、小学生は九割五分の子供たちが受けているというのは、この十年間は、これは皆さんの不安に応えるという面があったかもしれないけれども、もはや国際社会はそんなこと受け入れないと思いますよ。  それぐらいまで来ているという認識だけは持って、きっちりイニシアチブを発揮をしていただきたいというふうに思います。  では、もう一言だけお願いします。
  147. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 貴重な質疑をやらせていただいて、ありがとうございました。  私の中で、細野先生の思い、特に、福島の原発事故の当初、政府の中で中心となって携わられていた方だからこそ感じること、今も続けて関与されていること、そのことには心から敬意を表しますし、私も、その当時野党でありましたが、福島の原発事故を受けて、自分の政治人生も大きく変化したと思います。  その中で、今環境大臣という立場に先生の後になって、その立場の中でできる限りのことをやって、福島の真の復興に向けて、間違ったことにならないようにしたいと思います。  今日はありがとうございます。
  148. 細野豪志

    細野分科員 今の御答弁を私は信任をしたい、信じたいというふうに思います。  最後に、残された時間で一問だけお伺いしたいのが、除染土のこれからの扱いなんですけれども。  来年度で、福島で人が住んでいるところから除染の廃棄物、除染土が全て撤去されて中間貯蔵施設に運ばれるということです。これは率直に言って、よく環境省はここまで頑張ったと思います。あれだけフレコンバッグが山積みになっていたのが生活空間からなくなるわけですから、本当に大変な御努力をされたと思いますので、心より敬意を表したいと思います。  ただ、一方で、私が懸念をしているのは、全て中間貯蔵施設に運ばれることによって固定化することを非常に恐れるわけです。  先日、内堀知事と大臣が非常に前向きな会談をされて、最終処分は福島県外だということでいろんな説明をされる、これもすばらしいことだと思います。ただ、受け取る側からすると、それを県外で受け止める方からすると、あれだけたまっているものを全部どこかに持ってくるというのは、それは非現実的だろうということになるわけですよね。  やはり、鍵は再生利用なんですよ。安全性がきちっと確認をされて、例えば八千ベクレルを下回っているものについては再生利用していくというプラン、あったのにずっとできてこなかった。いろいろ飯舘村などで努力をされていることは承知をしています。  ただ、大臣、これは何らかのインセンティブがないと進まないですよ。例えば、土木工事で様々な路盤材などで使うという方法もあるでしょう。さらには、例えば最終処分場の覆土などに使うという方法もあると思います。そういった方法を福島県内、県外でやるときに、やはりその予算については、環境省の予算でもなかなか難しいでしょう、国交省の予算でも難しいと思う。その場合は、復興庁の予算から持ってきて再生利用することをしないと、多分これは進まないですね。  大臣、是非お願いしたいのは、そういう仕組みをつくっていただけないですか。固定化は非常にまずいです。運び込まれた、あれで終わったねでは、福島との約束を果たせませんからね。  大臣が目指しておられることをやるためにも、やはり再生利用を他省とも連携をしながら形をつくる、インセンティブも含めて。これを是非お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  149. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 この再生利用の重要性についても、細野先生と思いは同じです。  減容化、つまり減らすこと、そして再生利用をすること、この二つを抜きにして県外最終処分も語れないということだと思っていますので。  私、この前、内堀知事と、最終処分に向けた福島県外の全てのブロックにおいて、しっかりこの事業を説明をする会を東京を皮切りにやっていくと申し上げましたが、まず、この県外再生利用も含めて、どのようにしたら前に進むだろうか。  私は今、環境省の中で、福島の土を活用した鉢植えを置いていて、そこに線量計を置いて、来られた方にこういう線量のものですということをお見せをしています。  本当に小さなことではありますが、この再生利用が一つ一つが実現をすることを、実現可能な方策を探る中で、今先生がおっしゃったような、多くの方に歓迎されるための仕組みづくりというものが何ができるのか、これもしっかりと検討してまいりたいと思います。
  150. 細野豪志

    細野分科員 非常に誠実な御答弁をいただいたと思います。  やはり、国交省を含めた他省と連携をして、違うところから予算を持ってくる仕組みがないと進まないと思います。これは固定化すると本当に、もうこれは今年一年、勝負だと思いますね。ずっと固定化するとその状態が続きますから、大臣にそこも是非指導力を発揮していただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  151. 齋藤健

    齋藤主査 これにて細野豪志君質疑は終了いたしました。  次に、浅野哲君。
  152. 浅野哲

    浅野分科員 国民民主党の浅野哲です。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。  昨年、菅総理カーボンニュートラル宣言をしてから、国内の産業現場は大きく変わり始めています。  先日の報道ですと、国内企業の中には、環境成果を人事の評価につなげるような企業も出てまいりました。やはりこういった動きはこれからどんどん広まっていくと思いますし、やはり国全体として、このカーボンニュートラル実現に向けた取組というのは、これはもう党派を超えて、国の一大テーマとして取り組むべきだと私も思っています。  その上で、今日は、再生可能エネルギー普及策を中心に、まず前半、質問させていただきたいと思います。  業界団体でつくる太陽光発電関係の協会があるんですけれども、この協会が今後の見通しについて出した文書をちょっと読ませていただきましたところ、やはり太陽光に関しては主力電源化を目指すわけですが、その一つの大きなテーマはFITからの自立だということでありました。  このFIT制度見直しがされて、今度FIP制度というのが始まりますけれども、この方向性としてその後太陽光がどうするかということなんですが、ビジネスモデルの転換によりコスト競争力の向上そして価値創造等を図っていくことが重要になると。そして、この業界団体の目標としては、二〇三〇年頃を目途としてFIT依存からの脱却を目指すということが書いてあります。そのためにまず取り組むべきは、自家消費主体の需給一体モデル、これの普及促進だというふうに書いてございます。  より具体的に申し上げると、それによって、発電コスト、今、一般の電力会社から買う電気料金というのはキロワットアワー当たりおよそ二十六円程度というふうに相場観がありますが、発電コスト、キロワットアワー当たり七円を達成することを目標にしたいということが書かれておりました。そして、それを実現するために、既築の住宅についても第三者保有といった形で初期投資不要のビジネスモデルを普及させていきたい、こういったことが書かれてあります。  ですので、今日はまず、発電コストというテーマと、自家消費のために新しいビジネスモデルはもう生まれつつあるんですが、そちらの二点について、まず質問させていただきたいと思います。  今、七円というふうに申し上げたんですが、実は、アメリカはもう既に先を行っております。  昨年の秋口でしょうか、カリフォルニア州の南部にあるモハーベ砂漠というところに太陽光発電施設と蓄電施設を併設をした巨大な発電プラントというのが建設をされて、今動き出そうとしています。  ここでつくられている電気というのは、何と、日本円に換算して一キロワットアワー当たり四・三円なんだそうであります。内訳としては、太陽光発電で二・二円、そして蓄電設備等で二・一円、合わせて四・三円ということなんですが、やはりもう世界はそのぐらいのレベルまで行っているわけですね。だから、日本も早くこれに追いつき、そして先を行けるような勢いで、産業界を加速させていかなければいけないんです。  まず、大臣、お伺いしたいんですけれども、自家消費の際、今現在、日本の国内では一キロワットアワーを幾らで発電できるのかというのは御存じでしょうか。事務方でも構いません。
  153. 小野洋

    小野(洋)政府参考人 お答え申し上げます。  自家消費する際のコストを太陽光の発電コストと同等というふうにみなしますと、民間企業の調査でございますけれども、事業用につきましては、二〇一九年の実績でキロワットアワー当たり十三・一円、これが二〇三〇年にはキロワットアワー当たり五・八円になるというふうに予想されております。  また、住宅用につきましては、これは別の民間企業の調査でございますが、二〇一八年度実績でキロワットアワー当たり十四・六円、これが二〇三〇年度にはキロワットアワー当たり五・七円になると予想されております。  太陽光発電設備の設置につきましては初期費用がかかりますけれども、使用期間を通して考えれば、電力を他者から購入するよりも、自ら太陽光を設置して自家消費する方がコストが安い状況に、既に現状でもなりつつあるというふうに考えております。  また、先ほど申し上げましたように、太陽光の発電コストについては今後低下が見込まれておりまして、自家消費のコストは中長期的に更に低下することが期待されるということでございます。
  154. 浅野哲

    浅野分科員 どうもありがとうございました。  二〇三〇年度の時点で五・七円から五・八円という数字が今ありましたけれども、先ほど申し上げたように、アメリカでは既に四・三円という世界になってきているんですね。ですから、まずは五・八円、五・七円の水準でいいと思います。まずは現状を変えていく、加速をしていくことが大事だと思うんです。  例えば、先ほど紹介したようなカリフォルニアでの大規模な発電施設、これはアメリカがどういう支援策を行っているかというと、投資税控除、最大三〇%の税額控除という制度支援策としては用意していて、これだけで運用しているんだそうですね。  日本は、ちょうどこの通常国会生産性向上特措法、産業競争力強化法ですか、その中で、カーボンニュートラル投資減税というのを盛り込んでおりますが、これから議論しますけれども、それの税額控除は一〇%なんです。やはり、政策面でも海外に倣って、こういったところは是非加速をさせるような働きかけを大臣にはお願いしたい、期待申し上げたいというのを申し上げさせていただきます。  その上で、今答弁の方がおっしゃっておりました、初期投資はかかるんだけれども長期で見れば十分に回収はできるんだということでありますが、その一方で、今、目の前の課題としては、そうはいっても初期投資の金額を払えない、払うのには及び腰になってしまうという現状がありまして、そういった方たちの背中を押すための新しいビジネスモデルが誕生しています。  それが、今日、資料にも準備させていただきましたPPAモデルというものになっております。パワー・パーチェス・アグリーメントということで、一定期間、まず最初に、民間企業の屋上ですとか個人の家の屋根とかにPPA業者から太陽光パネルをつけてもらう、そのつけたパネルで発電した電気を市場価格よりも少し安い価格で購入することができる、いわゆる、場所を貸す代わりに少し安く電気を売ってもらえるというようなビジネスモデルになっているんですが、まずは、これから太陽光普及させるための一つの手段として、このビジネスモデルを是非普及させていくべきではないかというふうに思っております。  そこで、次の質問ですが、このPPAモデルの普及策、どういったことを考えているのか、御答弁をいただきたいと思います。
  155. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 このPPAモデル、環境省としても、令和二年度第一次補正予算で、オンサイトPPAモデルなどによる自家消費太陽光発電設備の導入支援を行って、これまでに、二百四十五件を採択して、発電容量の合計は約六十メガワットに達したところであります。ニーズも高かったものですから、今回、第三次補正予算そして令和三年度の予算案にも計上していて、必要な見直しを行いながら、この自家消費型の太陽光導入支援を引き続き実施したいと考えています。
  156. 浅野哲

    浅野分科員 ありがとうございました。  ニーズが高いというのを今おっしゃっていただきましたが、これはまだまだこれから潜在的なニーズがどんどん出てくると思います。ですので、単発で終わらせずに、是非、これから当面の間、継続をしていただけるような対応を期待したいと思っています。  その上で、このPPAの事業者については、ただ単に設備をユーザーに貸してそれを普及させていくだけではなくて、更に次の段階になると、更に高度な役割が求められていくと私は考えています。いわゆるリソースアグリゲーターと呼ばれているような、様々な分散電源を統合制御するような事業、ビジネスモデルというのがこれから出てくるわけですけれども、そういった存在になっていくのではないか、そういった予測をしております。  例えばなんですが、国内の一般家庭の屋根に設置されている太陽光発電パネルの平均の発電容量というのはおよそ四キロワット程度というふうに言われていますが、もしこれが、仮にこれからどんどんどんどん普及していって、ある一定の地域に五十万件設置されたとすると、合計容量は二ギガワット、簡単に申し上げれば、原子力発電所二基分の出力になります。  こういったものを、PPA事業者がまずはパネルをどんどんどんどん置いていって普及させていくわけです。でも、それを個別に成り行きで管理していたのでは、系統制約の問題にもひっかかる。そこで、やはり統合制御するような技術を導入して、系統にも負荷をかけない、そして再エネ比率を高めていく、そんな役割に発展していくことが期待されていまして、是非これは、今日は余り議論しませんけれども、今、少しずつ出てきたこの新しいビジネスモデルの芽を大きな木に育てるためには、そういう長期的な視点で政府支援策を設計していただきたい、そのお願いでございます。  その上で、次の質問なんですが、これは太陽光だけですと、やはり発電した瞬間にそれを売らなければいけない、使わなければいけません。電気は保存することができませんので。それはもう皆さん御存じのとおりかと思いますが、やはりそうなると系統制約の問題とかが出てくるということであります。  そこで、これからは蓄電池を併設して発電したものをためて、必要なときに必要な量を使う、そういった賢い使い方が増えていくわけですけれども、ただ、蓄電池は高いです。一般家庭蓄電池を買おうと思っても、百万円単位の投資が必要で、なかなか買えません。  先日、環境省の方が新しくつくっていただいた電動車両の普及促進策、こちらが大変好評なわけですけれども、これは国民民主党の玉木代表も、先般の委員会の中で、小泉大臣に直接、電動車両の補助金を上げてくれというふうなお願いをさせていただいて、その後、こういった制度が発表になり、我々としても、そのスピード感、評価をさせていただいております。  ただ、この制度を見ていきますと、この制度を使うためには要件があるんですね。再エネ一〇〇%の電気を調達するようなメニューを使わなければいけないというようなことでありました。ただ、そうすると、ランニングコストの観点ではやはり上がる方向になって、一般の御家庭皆さんが幾ら、欲しいな、この制度利用したいなと思っていても、電気代が高くなるのではなということで、なかなか及び腰になってしまいやしないかというふうに懸念が持たれています。  そこで、このランニングコストを軽減するような配慮もいただきたいというのが一つ。そして、そもそもこの制度を、今回第三次補正で措置しましたが、これからもやはり、先ほどの話と同じで、続けていくべきだと思うんです。今後の予算措置を求めたいと思いますが、この二点について御答弁をいただきたいと思います。
  157. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 まず、今回の第三次補正の、我々環境省としては目玉のメニューが、この補助金を倍増させたEVとそして再エネをセットにしたものであります。  実は、補助金の条件に再エネ一〇〇%にしたというのは、恐らく日本では初めてのことだと思いますが、まさにそこに込めた思いは、先ほど浅野先生が、将来的に町の中、地域の中が仮想発電所のようにつながっていく未来像、我々も描いている姿はまさにそういった姿で、再生可能エネルギーそしてEV、ZEHのような脱炭素住宅、そしてそれを地域の中で融通し合うような、こういう自立分散型の地域社会が日本中至る所に生まれていくようなことを後押ししたいという思いがあって、EVを、自動車というよりもむしろ動く蓄電池、世の中のこれからの新しいインフラだ、こういう思いがあるので、今回、再エネとセットにしているわけですよね。  今、この事業が注目を浴びていると思いますが、補正予算だからといってこの三月で全部終わりということではありません。四月以降もこの予算は活用できますので、私たちとしては、こういった動向もしっかり見ながら、経産省そして国交省、電気自動車またFCV、こういったことの普及に向けて、連携するべき省庁がありますので、しっかり連携をしながら、これが単発になっては、二〇三五年以降の新車販売一〇〇%電動車ということにも、この単発支援じゃ全く駄目ですから、どうやってこれが継続的なものになっていくか、しっかりと汗をかきたいと思います。  そして、二点目に御質問いただいた、ランニングのところに対する何か配慮はないのかということでありますが、今回、例えば、JEPXの価格の高騰とかいろんな問題がある中で、例えば、再エネ一〇〇%電力の価格が高騰した際には電力小売事業者との契約を変更してほかの再エネ一〇〇%電力の小売メニューに切り替えることを可能とするなど、ユーザーに配慮した柔軟な対応を検討しています。  事業の円滑な実施に向けて、関係省庁とも連携しながらしっかり制度設計を行って、この電気自動車と再エネのセットの補助金の活用によって、今年、今までとは違う形で普及をしたな、そういったスタートになるように、我々もしっかりと取り組んでいきたいと思います。
  158. 浅野哲

    浅野分科員 ありがとうございました。  先ほど大臣からも触れていただきました動く蓄電池としての電動車両、私も電機業界で働いていた経験がありまして、やはりそのポテンシャルというのは強く期待をしています。  せっかく話が出ましたので少しだけ紹介させていただくと、日本で約八千万台以上ある自動車の仮に半分がこれから電動車両になった場合、一台には五十キロワットのバッテリーが積んであって、この容量の一割を、つまり五キロワット分を電力、いわゆるVPPですかに使えるというふうに仮定をすると、それだけで二百ギガワットアワーの蓄電容量が手に入る。これだけあると、町のピークシフトをするには十分な容量なんだそうであります。中長期的には、車というのは一日のうち約九割の時間が止まっているというふうにされていますし、そういった使い道に向けて。  ただ、私も非常に業界の皆さんと話をしていて思うのは、将来的な車の使い方、単なる移動手段ではない、世の中のグリッドの安定化にも寄与するようなデバイスになるんだというようなビジョンをもう少し広い皆さんに知ってもらわないと、メーカーもそうですし、営業される方、そして消費者皆さん、それぞれがそれを共有しないと、なかなかこの施策というのは本来持っている推進力を発揮できないような懸念も持っておりますので、そこは是非広報にも力を入れていただきたいと思います。  次の質問に移りたいと思います。  新しいデバイスの技術開発が今進んでおります。太陽光パネルにしても、これまではシリコンの結晶を使った発電パネルだったものが、これからは、塗布型、ペンキのように塗るとそこが発電してくれるような材料も開発されておりますし、蓄電池も様々な材料が今研究されています。  是非、今日は、とりわけその中でも、ペロブスカイト太陽電池と、あとはバイポーラ型の鉛蓄電池、こういったものを少し紹介させていただきたいと思うんですが、このペロブスカイトというのはもう大変有名です。塗布型、そして高い発電効率。ですから、例えばビルの壁、様々な曲面に塗って、そこが発電デバイスになる、そういうようなものになりますが、もう大臣も既に御存じだと思います。  もう一つ、バイポーラ型鉛蓄電池というものを今日は紹介させていただきますが、これは資料の裏面にリチウム電池との簡単な比較表をちょっとつけさせていただいております。簡単に申し上げると、設置面積当たりのエネルギー量ではリチウムよりも有利である、そしてコストが半分程度で導入できる、そんなポテンシャルを持ったデバイスなんだそうであります。  これまで、リチウムだ、そして次は全固体だという議論をしている中で、今から鉛蓄電池ですかという突っ込みも受けそうですが、これはやはり、コストの経済競争力、そして設置面積当たりのエネルギー量が高いという辺りを考えれば、非常に業界でも注目をされております。  こうした新しい技術に対してはもっと政府支援をいただきたい、これが業界の声であります。特に社会実装ですね。いろいろな技術開発をしたり実証試験をやった、だけれども実装フェーズになった瞬間にそれが頓挫する、そういったケースがたくさんこれまでも起きておりますが、実装段階でそれが頓挫しない、いわゆる死の谷をしっかりと越えていけるような支援を考えていくべきではないか、そのように思っておりますので、政府のこれに対する御見解をいただきたいと思います。
  159. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 今お話があった話はイノベーションの支援ということだと思いますが、私は、二つのイノベーションが大事だと思っているんです。  一つのイノベーションが、浅野先生が今日お話をしていただいた技術のイノベーション、物づくりのイノベーションとも言ってもいいと思います。このペロブスカイトについては、経産省が今、開発支援をしているというふうに聞いています。もう一方の方は、今政府支援というわけではないようですが、いずれにしても、民間企業の中で次の時代を見据えた開発が進められて、市場実装されることは期待をしています。  ただ、環境省の立場で申し上げると、もう一つの方のイノベーションを忘れてはならないと思っています。それは、ルールのイノベーションです。  やはり、イノベーションを物づくりのイノベーションに頼っていただけで、いつ市場実装されるか分からないものだけに過度に頼り過ぎたら、二〇三〇年までに時間は間に合いません。ですので、我々がカーボンプライシングをなぜ言っているのか。これはやはり、産業構造を含めて脱炭素方向に前向きに歯車を回していくためには、新しいルール設定をそこに入れなければこの構造というのは変わっていかないという思いと、この五年、十年が勝負なんだ、二〇五〇年まで三十年あるわけじゃないんだ、これをやはり我々としては強調したいという思いです。  ですので、この物づくりのイノベーションに対する取組というものは、もう世界の中の大競争時代ですから、これは必要です。しかし一方で、何かもしかしたら一変するような大どんでん返しの技術が生まれることを期待して、余り変わらない努力のまま何とかならないかと考えるのは大間違いでありますから、我々としては、ルールのイノベーションもしっかりと、この五年、十年をめどにやっていきたいと思います。  その思いが、今回の国会で温対法の改正、こういったことの法律改正プラスチックに対する法案も、やはり、世の中を変えていかなければいけない、法律というルールを変えていくんだ、こういった思いも御理解いただければうれしいです。
  160. 浅野哲

    浅野分科員 物づくり、技術のイノベーション、そしてルールのイノベーション、それは確かに両方大事だと思います。  今の話を伺って一つ思ったのは、確かに、規制改革、ルールのイノベーションというのは不可欠だと思います。ただ、これまで、いろいろな分野でその規制改革の議論、特にエネルギー分野でされてくる中で、度々言われてきたのは、やはり、業界で今働いている人々、技術開発をしている方々の例えば雇用ですとか産業構造に直結するようなものも多く含まれておりますので、是非そこは、具体化していった段階で再度また議論をさせていただきたいと思います。  ついでに加えると、もう一つ必要だと思うのは、やはり私は、人材、そこがやはり、いかに技術を継承して新しいイノベーションを生み出す人材を世の中に多く生み出していくか、ここも是非、これは環境省だけの問題ではないと思いますが、ここはもう省庁横断的に取り組むべき課題だと思います。  では、次の質問、テーマに移りたいと思いますが、続いては、少しテーマを変えまして、地域循環共生圏、そしてゼロカーボンシティーの制度、これについて質問をさせていただきたいと思います。  地域循環共生圏という言葉、最近出てきましたが、私も耳には何度かしたことはありましたが、詳細までは正直勉強不足でありました。改めてこれを見てみると、大変、少し概念的に広くて、一言で説明してくれと言ってもなかなか難しいものだったんですが、改めて、この地域循環共生圏とは何なのか、そして、今全国に広がっているゼロカーボンシティー、これとの関係性というのを、一度整理をして教えていただきたいと思います。
  161. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 この地域循環共生圏という言葉は、環境省が考えて、経済、社会、環境、この三つを統合的に推進をしていくことで、地域資源が有効に活用され、地域の中で循環する経済社会、それがひいては、環境の改善だったり、国民生活、地域生活などがプラスになるような考え方を持った言葉でもあります。  ただ、御指摘のように分かりにくいので、私も大臣になってから、この言葉で果たして国民皆さんに分かるものだろうか、そういった問題意識の中で、私もいろんな模索をしてきました。  例えば、今、SDGsというのが相当広がってきてはいますが、この地域循環共生圏は、地域版SDGs、ローカルSDGsとも言えるとも思いますし、私の中では、もう少し一般化した言葉で言えば、要は、エネルギーも食も、あらゆるものが地産地消型の分散型の社会をつくっていく、そういったことだと思っています。  一方で、ゼロカーボンシティーは何かというと、二〇五〇年までのカーボンニュートラルを宣言をした地域自治体、これがゼロカーボンシティーでありますので、脱炭素という観点で強いのはゼロカーボンシティー、しかし、地域循環共生圏という取組をされている自治体は、より大きな考え方で、脱炭素に限らず、経済、社会、環境、この三つを統合的に推進していくことで、単純に環境のことだけではなくて、経済のことだけではなくて、社会課題だけではなくて、地域全体の課題を同時解決をしていくという発想だと、私はそのように捉えています。
  162. 浅野哲

    浅野分科員 どうもありがとうございました。  最近、ゼロカーボンシティーの宣言をする地方自治体が増えてきました。大臣の御尽力もあったかと思いますが。それぞれ話を聞いたり情報を集めておりますと、ゼロカーボンシティーをやっているから、ローカルSDGsですか、うちの自治体は堂々と胸を張れるんだというような雰囲気も少し感じております。  ただ、今大臣が申し上げたように、ゼロカーボンシティー、脱炭素というのは、地域循環共生圏、これからの持続可能な地域社会をつくっていく上で必要なんだけれども、あくまでも一側面であるというところ、ここは全く同列に考えてしまいがちなところも少し見受けられますので、是非、整理をして分かりやすく発信をしていただきたい、理解を広げていただきたいというのが一つあります。  そこで、時間もなくなってきましたので、このゼロカーボンシティーをもっと増やしたいし、実態としてゼロカーボンシティーを早く実現しなければいけないという課題があります。  そこで、今、政府では、これまで自治体ごとにCO2排出量がどういう状況になっているかというのをまとめた自治体排出量カルテというのを作成してきております。  ただ、これはよく見ると、人口規模によって、大きい自治体は作っているんだけれども、ちっちゃい自治体については少しおろそかにされているんじゃないかというような課題を持っておりました。実際、人口が一定数以下だとしっかりとしたカルテが作られていないという実態もありました。  これは是非、今後のことを考えて、全国しっかりと、くまなくカルテを一度整理をしていただきたい。お願いでございます。どうでしょうか。
  163. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 浅野先生には、環境省がやっている自治体排出量カルテの宣伝もしていただいて、ありがとうございます。  これは、先生指摘のとおり、中核市とか十万人とか、自治体規模の比較的大きくて、ある意味行政の基盤が少し大きいところから始めていましたが、より充実をさせなきゃいけない、こういった観点から、本年度から全ての地方自治体について作成をすることとしており、来月、それを公表する予定であります。  今後とも、地方自治体取組に資するデータ、情報基盤、これをしっかりと整備をして、これからカーボンニュートラルに向けては、私は課題地方自治体エネルギー専門家はいないということだと思います、こういった、地元で根づいて地域が裨益するような再生可能エネルギー導入地域課題の解決、これを同時に進めていくためにも、このカルテのようなデータ、そして人、そしてさらに、我々のメニューを使っていただく形の物の支援、お金の支援、こういったことをどのように強化できるか、今、首相官邸の中に国・地方炭素実現会議という環境省が事務を担う会議体が設置をされて、関係省庁がそこに入って、自治体も入って、一緒に協議をやっていますので、そこで連携策をしっかりとつくっていきたいと考えています。
  164. 浅野哲

    浅野分科員 終わります。ありがとうございました。
  165. 齋藤健

    齋藤主査 これにて浅野哲君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして環境省所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  166. 齋藤健

    齋藤主査 農林水産省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。繁本護君。
  167. 繁本護

    繁本分科員 自由民主党の繁本護でございます。  今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。  また、野上大臣、宮内副大臣、太田局長、御準備を本当にありがとうございます。  今日は、コロナ禍にあえぐ水産の仲卸業者の経営の実態と、そして今後の支援の在り方について順次質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、政府は、食の産業あるいは食そのものに対するコロナ支援策を様々講じていただいております。また、感染を拡大させない、蔓延を防止するための対策もしていただいております。  この対策が、実際、食に大きな影響を与えている。二つあって、二極化していると思います。一つは、営業時間の短縮等に伴ういわゆる外食の不振ですね。一方において、外食しないわけでありますから、巣ごもり需要といいまして、家で食べる機会も増え、この影響が、生産者やあるいは飲食店といった外食産業のみならず、実は、その間にある流通に大きな影響を与えているということであります。  特に、高級なおすし屋さんでありますとか居酒屋等々の業務筋に鮮魚を卸している仲卸業者の皆さんに対する影響が非常に大きいです。晴れ食と化している高級な料理であればあるほど、そこを取引先とする仲卸業者に対するコロナ対策によるマイナスの影響が非常に大きいということであります。  まず、マクロでちょっと見てみて、全国の中央卸売市場における令和二年の水産物の取扱高は、金額ベースで見ると、対前年で約九割になっています。これは数量で見ても大体同じような傾向が出ていて、マクロで見ると、市場全体の取引量あるいは金額は一割減ぐらいかなというような感じなんですね。ところが、市場で重要な役割を果たしている仲卸にブレークダウンして見ていると、今大変な状況になっております。  この仲卸さんは、産地から市場に運び込まれる、荷受けが持ってくる荷物に対して値段をつけないといけない、そして安定供給しないといけない、買い支えないといけないんですよね。この買い支えるという重要な役割があるんですが、水産仲卸の団体であります全国水産物卸組合連合会、全水連が全国の三十の組合に対して行った一月二十八日公表のアンケート結果を見ますと、今年の一月の上半期と去年の二月の上半期の比を見た場合、ホテルへの販売は七〇%から九〇%減、そして小型飲食店への販売は五〇%から何と九〇%減という、仲卸業者さんのレベルで見ていきますと、そういう大きな影響が出ています。  荷受けさんが持ってきたものを買い支えするんだけれども、買った後に行き先がない。ダムのように荷物が、あるいは商品が止まっちゃっているというような状況が報告されているわけであります。  こういう状況を受けて、農水省にお聞きしたいんですが、この卸売市場への影響、特に仲卸業者さんに対する影響、経営状況、これをどのように実態を把握されているのか、お聞かせをください。
  168. 太田豊彦

    ○太田政府参考人 お答えをいたします。  水産仲卸の経営実態ということでございます。  新型コロナウイルス感染症の拡大による卸売市場への影響、これは青果物あるいは水産物といった品目や地域によって異なっておりますけれども、主な卸売市場の一月の取扱額を見ますと、青果物それから食肉につきましては、巣ごもり需要などから、量販店の販売を中心に比較的順調に推移しております。一方で、委員おっしゃった水産物それから花卉、花につきましても同様でございますが、前年同期と比較して大きく減少をしております。  水産仲卸業者の経営の現状につきましては、統計データとして把握できるものというのは残念ながらございませんけれども、関係団体からの聞き取りによりますと、水産物においても、量販店向けの需要は比較的堅調な一方で、ホテルや飲食店、こういった業務用向けの需要が大きく減少しており、取引先に業務用向けの割合が大きい事業者ほど深刻な影響を受けているといった実態にあるというふうに考えているところでございます。
  169. 繁本護

    繁本分科員 今、太田局長の御答弁がありましたとおり、統計データが取られていないんですよね。定性的な影響把握はおっしゃるとおりで、私が申し上げていることと一致しているんですが、現場の声をちょっとお届けしたいと思います。  京都の全魚類卸協同組合の勝村一夫理事長さんと、私、直接現場でお話をしておりますが、やはり、料亭、ホテル、旅館、すし屋など業務筋の仲卸は前年比で八割、九割減だということが、これは京都の市場でも起きています。壊滅的な状況に陥るケースもあったんだということを勝村理事長あるいは専務の北里さんからもお伺いしているんです。現場から私、宮内副大臣に思わず電話をしてしまったわけでありますが。  あと一方、京都市の中央卸売第一市場の古井幸生場長さんにもいろいろデータをまとめていただきました。  業務筋を主な取引先とする仲卸業者さん、これは鮮魚についてですね、全体で四十九あるんですけれども、三十六あります。そのうち、取扱金額が前年度比で五〇%以上減少したとお答えになった鮮魚の仲卸業者さんは、去年の四月の第一弾の緊急事態宣言が出たときの様子をちょっと振り返りますと、三十六分の二十九業者が五割以上の取引金額の減ですよ。二度目の緊急事態宣言が今出ていて、間もなく解除ですが、今年一月でいうと十二業者ございます。  観光地である京都は、やはりホテルや旅館、飲食店が多いんです。このため、こういった取引先を持っている仲卸さんは、やはり営業時間の短縮要請、これは影響をもろに受けています。経営がかなり圧迫されているわけですね。  したがいまして、御答弁にありましたようなスーパーだとか量販店筋ではなくて、いわゆる業務筋、特に、調理師さんの腕を振るわなくてはいけないような高級な鮮魚とか、本当にそういった業務筋に対する水産物の供給についてこの後も議論していきたいわけでありますが、安全、安心な食の安定供給、これを使命とする水産の仲卸業者、とりわけ、先ほど統計データがないというお話があったんですが、農水省にも、今日この私の質問を聞いていただいているマスコミ筋にも、もっとかみ砕いて、市場の中身を細かく知っていただきたいと思います。  次の質問に移ります。  さて、こういった鮮魚の仲卸業者さんにも使えるコロナ支援策がたくさんありますよね。去年からも、持続化給付金もあった、家賃支援の給付金もあった、ゼロゼロ融資もあるといった具合でございますけれども、実際、京都の、先ほど申し上げた業務筋系の鮮魚の仲卸業者さんも、利用状況を見てみますと、家賃支援給付金なら三十一事業所使っています、持続化給付金も三十二者、融資においては三十三者というふうに十分使われているように見えるんですが、これが、第二弾の緊急事態宣言のもう終盤にある今、十分足りているかどうかという大きな問題もありますね。  また、一方において、こういった対策だけじゃなくて、地方創生臨時交付金も一次補正から順次積み上げていただいて、地方公共団体がこれを活用した流通に対する支援というものも講じてもらっているんですが、農水省は、こういった支援策が鮮魚の仲卸業者さんによってどれぐらい使われて助かっているか、その実態を把握しているかどうか、御見解を教えてください。
  170. 太田豊彦

    ○太田政府参考人 お答えをいたします。  先生おっしゃったように、新型コロナ感染症拡大に対する支援策につきましては、各種施策がございます。農林水産省としても、その施策の公表時あるいは申請の受付時など、機会ごとに周知を図って、活用推進をお願いをしてきたところでございます。  御質問の持続化給付金それから制度融資、家賃支援給付金などの各種支援策の中央卸売市場の水産仲卸業者の利用状況につきましては、これも聞き取りでございますけれども、地域によりまして差があって一様ではございませんけれども、例えば東京都の中央卸売市場では、持続化給付金は約七割、制度融資につきましては約五割、家賃支援給付金につきましては約五割、それから御地元の京都市の中央卸売市場では、持続化給付金は約六割、制度融資は約九割、家賃支援給付金は約六割と、水産仲卸業者の方が利用されておりまして、利用割合は相当高くなっているというふうに認識をしております。  引き続き、こういった支援措置が有効活用されますように、丁寧に相談など対応してまいります。
  171. 繁本護

    繁本分科員 局長、御答弁ありがとうございました。  今のお話ですと、東京にしても京都にしても、給付金等々十分に使われている、五割、六割、七割使われているというお話なんですが、その数字は、いわゆる業務筋と量販店筋の区別がないですよね。今、先ほど申し上げたとおり、第二弾の緊急事態宣言のさなかにあって、去年の夏から、ゼロゼロ融資を受けて四千万借りましたといった資金がまだ十分に手元にあるかどうか、買い支えをするための資金が鮮魚の仲卸業者さんの手元にまだ十分届いているかどうかといったことも含めて、やはり農水省としても今の状況を細かく把握しておいてほしいと思うんですよ。  今、かなり影響が長引いていますから、手元資金がなくて鮮魚が買い支えできないと。一社でも二社でも三社でも、これは京都でも豊洲でも、全国の中央卸売市場、地方においても、仲卸が倒れるようなことがあったら市場の機能に大きな大きな影響が及ぼされることになりますので、お話伺っていると、やはりもっともっと細かに見ていただきたいなというふうに思っています。  また、GoToトラベルの、あるいはGoToイートの話にこの後移りますけれども、この再開の時期、あるいはその運用の在り方がまだはっきりしていません。不安材料はまだまだたくさんあるんですよね。例えば今日、今月末で宣言が解除された、お客さん、特に旅行者は、じゃ、あしたから旅に出ようというふうにはならないんですよ。解除されて、トラベルが再開して、それがいつ頃から使えるようになるのかな、じゃ、旅行の計画はどうしようかなというところから始まるので、今後の見通しについてはまだまだ不安材料が多いです。  したがいまして、どこまで行き届いているか、手元資金が十分にあるのか、これは継続的にきめ細かに見ていっていただきたいと思います。  続きまして、イートについてお尋ねいたしますけれども、一次補正の予算でこれはキャンペーンとして組んでいただきまして、本当にありがとうございます。十月から使われるようになって、京都の料亭筋も飲食店筋も大変喜んでいるところであります。その運用に当たっては、私、繁本護からもいろいろ、花街文化を支える芸妓さん、舞妓さんが料亭でしっかり働けるような環境づくりについてもお願いをして、現場の工夫、政府、京都の現場を、息を合わせて上手にやらせていただいているところで、本当に評判がいいんですね。  ところが、第三波が立ち上がって、残念ながらそれも今十分に使えない状況なんですが、やはりこのGoToイートの効果というのは、去年の秋、冬の初めにも相当ありました。その効果について、政府の認識をお聞きしたいと思います。
  172. 太田豊彦

    ○太田政府参考人 お答えいたします。  GoToイートの関係につきまして、まだこれからいろんな効果につきましては検証する必要があるところでございますけれども、まず一つ、総務省の家計調査によりますと、この一年余りの個人の外食支出、これは対前年比で、緊急事態宣言が発令されました昨年四月に三四%まで落ち込んだ後、GoToイート事業が始まった十月には九七%まで回復をしております。しかしながら、委員おっしゃったように、その後再び減少を始めまして、十二月には六九%といった傾向になっております。  もう一つ、日本フードサービス協会、こちらが調べております外食産業市場動向調査によりますと、外食産業の売上高につきましては、対前年比で、緊急事態宣言が発令された昨年四月に六〇%にまで落ち込んだ後、GoToイート事業が始まった十月には九四%にまで回復をしております。こちらも十一月以降再び減少しているところでございます。  こうした外食産業における需要の増減、これは水産仲卸を含みます飲食店の取引事業者にも及んでいるところでございます。実際、京都市中央卸売市場を始めとする各市場の水産仲卸業者の組合の方からは、GoToイート事業が開始された時期には販売金額が回復基調にあった、こういったことをお聞きしているところでございます。
  173. 繁本護

    繁本分科員 御答弁ありがとうございました。  仲卸業者さんに対する効果があったということは今御答弁いただいたんですけれども、やはり家計調査だったり外食産業市場調査がGoToイートの効果について御答弁される際のよすがになっていて、仲卸業者さんにどれぐらい効果があるか、潤っているかということについて統計を取っていないから、正直なかなかきめ細かく御理解されていないのかなという印象も受けています。  そこで、私の方で現場の声を実際聞いてみたところ、こういったグラフが手元にあるんですが、やはり、緊急事態宣言が出て取扱金額がぐっと減った業者というのは、この四月、五月で増えています。GoToキャンペーンが始まって、イートも始まって、こうなってくると、金額が減少した事業者の数もどんどんどんどん減ってきますね。十月で底を打って、十一月で底を打って、それでまた第二弾の緊急事態宣言あるいは第三波の立ち上がりがあるとともに、この取引額がぐっと減る事業者の数が増えていっているわけですよ。  この緊急事態宣言と緊急事態宣言の間に、ちゃんとこのキャンペーンの効果というものは仲卸業者さんにあったということは、これは京都の例を挙げていますが、全国の市場でも同じことが間違いなく言えると思いますから、やはりきめ細かに、統計データがないとおっしゃいますけれども、やはり農水省、責任を持ってその辺りを見てほしいと思う。イートはすごい効果があるんです。  さて、そのイートのこれからの再開の在り方についても政府のお考えを確認しておきたいなと思います。  仲卸業者さん、そして業務筋も、ホテル、飲食店、料亭、旅館、みんなGoToイートの再開を期待しているんですが、実際始まったのが去年の十月ですよね。それで、一応、政府としては、ステージ1、2、このレベルに感染状況があるときがGoToイートが使える環境としては基本であるよねということで始まったんです。  第三波が来て、実際、緊急事態宣言が二回目出された、再開しますといったときに、同じ条件で、同じやり方でGoToイートを再開していいものだろうか、これは誰しも思うことやと思うんですよ。そしてまた、新型コロナの専門家会合からも、リバウンドを防止するために様々な意見も既に出ているし、これからも出されると思うんですよね。  今回の緊急事態宣言においては、特に業務筋、いわゆる飲食店が、感染経路不明のクラスターがたくさん発生したということで、第二弾の緊急事態宣言下におけるクラスター対策、蔓延防止対策は、飲食店に重点をわざわざ置いたんですよね。  したがいまして、GoToイート、我々は本当に期待していて、待ち望んでいるんだけれども、イートを再開した後に、また同じような、感染経路が分からない、追跡できないようなクラスターが飲食店で起きては、これは困ったものなんですよ。  したがいまして、農水省がGoToイートを所管しておりますので、これからのGoToイートの再開の在り方について、宮内副大臣のお考えを是非お聞かせいただきたいと思います。
  174. 宮内秀樹

    ○宮内副大臣 お答えをさせていただきます。  委員の京都の現場の窮状のお話を直接聞いて、すぐお電話をいただきました。まさに切実なんだろうというふうに思っておりますし、特に、京都は観光地としても日本有数のところでもございますから、飲食店、特に高級魚などを扱っているようなお店は直撃しているというふうに思っておりまして、大変、その切実な思いの中で、取れる対策を打っていかなければ、こういう思いは共通しているところでございます。  今委員からもお話がありましたように、GoToイート事業については、昨年九月の新型コロナ分科会において、各都道府県におきまして、ステージ1又は2に相当すると判断される地域で実施するということを基本にしてください、ステージ3又は4に相当すると判断される地域においては慎重に対応すべきという分科会の提言がなされておるということを前提に考えなければいけないということであります。  それと、地域によって様々な事情の違いがあるということもあり、現場の一番子細な状況を把握している都道府県が判断をしていただいてこの事業を運営をしていただいているというところでございます。  これまでも節目節目で、食事券の販売の一時停止等につきまして、都道府県に地域の感染状況等を踏まえた検討を要請してきたところでございます。都道府県においては、昨年十一月以降、この考え方に沿いまして、地域の感染状況を踏まえて、飲食店の営業時間の短縮要請等と併せて、食事券の一時停止の期間を判断をしてきたところでございます。  大変悩ましい状況が続いておるわけでありますけれども、GoToイート事業は引き続き継続するということで補正予算にも盛り込んでいるところでございます。まさに感染が少し収束をしておりますので、これからは、新しい需要をどうやってつくるかというようなステージが出てくるんじゃないかなというふうに私も期待をいたしておりますので、このGoToイート事業を効果的に使っていただいて需要をつくっていただきたいというふうに思っているところでございます。  これまでも繰り返し都道府県と意見交換をしてまいりました。今、都道府県におきましては、引き続き継続してGoToイート事業をやっておる県もございます。特に、非常事態宣言の地域においてはこれからということでございますけれども、都道府県とは密接に意見交換を取りながら、前向きに使っていただけるように対応してまいりたいというふうに思っております。
  175. 繁本護

    繁本分科員 宮内副大臣の御答弁、本当にありがとうございます。  都道府県とよく相談をしながら、そこにおける感染状況を見ながら、GoToイートのクーポン券が使える、使えないといったことは、これは都道府県それぞれの判断でやっていただければいいと思うんです。  ただ、飲食店等々でお食事を楽しむという行為そのものは、先生の御地元の福岡と私の地元京都とそう変わらないと思うんですよ。  したがいまして、GoToイートのクーポンが使えるお店は、例えば、感染症対策を十分に講じている店に限る。換気もある、二酸化炭素濃度計を置くということもあるだろうし、十分な距離が取れているということもあるだろうし、アクリル板等々、それぞれの都道府県の地方創生交付金を財源にした感染症対策にも随分と、飲食店一店舗一店舗ごとに予算を投じて、自己負担も伴いながら対策を講じているところと、果たしてそこまで十分できているんだろうかというところと、正直差があるんですよね。  十分できているところではGoToイートを使ってもいいし、そうでないところはちょっと御遠慮いただきたいといったことだとか、あるいは、これはお店側の責任だけではなくて、例えば、国民、飲食する側ですよね、お客さんの側も、例えば、COCOAという接触確認アプリを入れている、あるいは「こことろ」とか京都府では使っていますし、安全追跡アプリというものも各自治体は組んでいますよね。それに協力していただける方だけがGoToイートを使っていいんですよといったことだとか、もう少しきめ細やかに、迎え入れる側も食べる側もこの感染症対策を万全に講じた際にイートが使えるようにするんだといった、これはイートを、制度を所管する農水省としても、これからメッセージとして出していただいてもいいのではないかと思いますね。  政府全体として、分科会の意見も聞きながら、これから蔓延防止対策をやっていくと思いますので、イートの運用においても、是非、全体として十分にこれからも御検討いただけたらありがたいと思います。お願い申し上げます。  さて、時間が大分なくなってきましたが、五番目の質問として、これは仲卸業者さんに対する、先ほど手元資金が十分にあるんだろうかということを触れました。今議論させていただいたGoToイートが始まるまで、あるいはトラベルが始まるまで、緊急事態宣言が二回目出て、コロナ禍も一年有余になってきた今、イートが始まったら、トラベルが始まったら、本当にみんな潤うんです、それまでの間の、今この時期の、せっぱ詰まっている、資金不足を抱えている鮮魚の仲卸業者さんに対して緊急的に何か支援策が講じられないかどうか、政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  176. 宮内秀樹

    ○宮内副大臣 お答えをさせていただきます。  飲食店への納入業者である皆さん方は大変厳しい状況であり、水産仲卸業者の皆さん方は、本当に委員のおっしゃるとおり厳しく、どうやってこれを乗り切るか、どうやってしのぐかということに、サポートできることをということで、一つは、今回、政府として、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業等により影響を受けた、売上げが五〇%以上減少した中小事業者に対しまして一時支給金、この給付をすることといたしておりますけれども、水産仲卸業者に対してもこの中に含んで、積極的に活用を周知してまいりたいというふうに思います。  それからもう一つ、やはり需要喚起をするために、第三次補正予算の国産農水産物等の販路多様化緊急対策事業ということで、販路の多様化に資する事業に対しましては前回の一次補正と同様の支援をすることといたしておりますので、これも是非お使いをいただきたいというふうに思います。  雇調金とか、それからゼロゼロ融資等々、いろんなメニューで、いろんな事業の種類によりまして活用していただきたいと思いますけれども、どういうメニューをうまく使ったらいいのかということに悩まれている方もいらっしゃると思いますので、二月の二十四日には省内に水産仲卸業者向けのサポート窓口というのを設置をさせていただきまして、それぞれの卸業者さんからの相談受付や事務手続に対する助言をしていくということを考えておるところでございます。  また、自治体や、それぞれの方々とも現場で連携を取っていただきまして、地方創生臨時交付金等々もうまくマッチングをしていただくような形で、何とかしのぐ体制をサポートしていきたいというふうに思っております。
  177. 繁本護

    繁本分科員 今、副大臣の御答弁にありました水産仲卸業者向けサポート窓口に、恐らく、本当に手元資金が足りない、買い支えができないといったような声もたくさん寄せられてくるかと思います。運転資金も含め、買い支えするための資金も含めた、ここで、二百五十億の販路拡大もすごく期待しておりますので、是非、更なる支援を検討していただきたいと思います。  もう一問、市場整備に対する予算の確保、これも極めて大事であります。是非頑張って、今後もその拡充に努力していただきたいということを御期待申し上げ、質問を終わりたいと思いますが、本当に、和食文化を支える仲卸業者さんにもっともっと是非目を向けて、これから農水省の御支援、よろしくお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  178. 齋藤健

    齋藤主査 これにて繁本護君の質疑は終了いたしました。  次に、谷田川元君。
  179. 谷田川元

    谷田川分科員 立憲民主党の谷田川元でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私は、今日は、鳥インフルエンザの関係と、そして、今政府を挙げて取り組んでいる農産物の輸出について質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。  鳥インフルエンザ、非常に猛威を振るっております。私の地元千葉県でも、十一か所の農場で発生し、何と四百五十万羽が殺処分されました。これは、千葉県の卵を産む鶏の四割近くになるんですよ。これは非常にゆゆしき事態でございます。  農水省としても、これは非常に大きな衝撃を受けたと思いますが、今回の事態をどのように受け止めているか、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  180. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 今先生からお話がありましたとおり、今般の事例、発生事例数は十一事例ということで、件数としては千葉県だけが多発しているという状況にはないものの、過去最大の規模であります百万羽を超える大規模農場での発生が続いたことを受けまして、本当に緊張感を持った対応が必要であるというふうに思っております。  私自身も、森田知事と面会をさせていただいて、率直に意見交換をさせていただきましたし、現地に農林水産省の現地対策本部を、千葉県にも、千葉市に設置をさせていただきました。また、農林水産省からも延べ四百三十人を大幅に動員するという対応もさせていただき、あるいはまた防衛省及び千葉県と防疫作業に関する意見交換等々も実施をさせていただいたところでありますが、いずれにしても、千葉県と緊密に連携をして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  181. 谷田川元

    谷田川分科員 是非、千葉県と緊密な連携を取っていただきたいと思いますが、やはり大切なのは、殺処分して、そして事業を再開しようとする生産者、これをしっかりサポートすることだと思うんです。  殺処分した鶏に対しては評価額の補償がありますが、しかし、生産者の周りには、餌を納入する業者だとか、あるいは鶏を運ぶ運送業者とかがいるんですね。そういった業者には、是非、コロナ禍での雇用調整助成金の特例措置を、今回のインフルエンザの発生農家とその取引業者にも適用していただきたいと思うが、どうか。  あと、もう一問。  先ほど自民党の方の質問でも、飲食店への取引業者の一時支給金というのが六十万、あるいは個人業者だと三十万という話がありましたけれども、同じように、鳥インフルエンザの被害を受けた生産者の取引業者にも支援金を支給することを御検討いただけないでしょうか。  二問について、御答弁、それぞれお願いいたします。
  182. こやり隆史

    ○こやり大臣政務官 まず、厚生労働省の方から雇調金について答弁させていただきます。  先生指摘のとおり、雇調金でございますけれども、経済上の理由により事業活動が縮小する、そうした事業主に対しまして、雇用を維持した場合に支給をするということになっております。  その上で、今回の新型コロナウイルス感染症における特例措置につきましては、感染症が拡大する中で、これは社会全体で営業の自粛等が強く求められている中におきまして、幅広く労働者の雇用及び生活を守るため講じた措置でございます。  したがいまして、例えば先生指摘の、家畜伝染病予防法による殺処分等によって事業活動を停止する、あるいは縮小した場合には、この特例措置については適用対象外となっております。  なお、先ほども申し上げましたように、この特例措置は、コロナウイルス感染症による幅広い営業自粛等による影響ということでございますので、直接鳥インフルエンザの影響を受けた事業主さんに対して、その要因でもってということではないですけれども、新型コロナウイルス感染症影響も受けて経済上の理由により事業活動が縮小している者については御利用いただけるというふうに理解しております。
  183. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 鳥インフルエンザによって影響を受けた関連事業者への支援ということでありますが、まず、セーフティーネット貸付けといった低利融資等の活用が可能でありますのと、金融庁から融資機関に対しまして、影響を受けた関連事業者に対しては丁寧な経営相談や適切な融資対応に応ずるよう通知を発出をしているところであります。  また、関連事業者への影響を最小限抑えるために、要件を満たせば可能になります移動制限・搬出制限区域内からの食用卵の出荷につきましても、県から国に協議があった当日に返答するなど、これは今迅速な対応を行っているところであります。  それと、委員御提案の一時支援金の支給につきましては、地域の実情に応じて、関連事業者への給付金の交付等の支援を実施している県もありまして、千葉県においても防疫措置の進捗ですとか関連事業者の状況を踏まえて考えたいとの意向だと聞いております。  引き続き、現場の声を聞きつつ、発生農家の早期の経営再建の支援を通じながら、関連事業者への影響が緩和されるように、県としっかり連携をして対応してまいりたいと考えております。
  184. 谷田川元

    谷田川分科員 こやり大臣政務官の答弁、今の制度はなかなか難しいけれどもできるだけ助けてあげたいという気持ちがにじみ出ました。是非その気持ちをほかの政府関係者にお伝えしていただいて、しっかり救済できるようにお願いしたいということを申し上げたいと思います。  同じように、農水大臣、一般社団法人千葉県農業協会の方から大臣宛てに要望書が行っていると思うんですが、やはり雇用調整助成金、特例措置してもらいたいとはっきり書いてあるんですよ。是非関係者と協議して、救われるように最善の努力をお願いしたいということを申し上げたいと思います。  さて、今回、十一か所で、千葉県で殺処分が行われたんですけれども、殺処分して焼却とか埋却、完了しているところもあるんですが、しかし、いまだに埋却する土地が見つからなくて、終了していないところがあるんですね。かなり時間を要していまして、これは風評ですけれども、もしかしたらその殺処分した鶏が元で伝染病が発生するんじゃないか、大丈夫かとか、周辺住民あるいは生産者もかなり不安に陥っています。この辺、改善する必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  185. 葉梨康弘

    ○葉梨副大臣 千葉県で鳥インフルエンザ、最初に発生しまして、私も昨年の十二月二十四日に千葉県庁に伺いまして、森田知事ともお話をしてまいりました。  基本的に、この家伝法上は、殺処分などの防疫措置というのは県の事務ということになりますので、県が一義的な責任を負うわけなんですけれども、当然、国としても必要な助言指導また支援、これは行っていかなきゃいかないということは申し上げてまいりました。  今のお話ですけれども、当初、やはりいすみ市で発生したときに、百十五万羽、百十六万羽ですから、非常に多いものですから、最初は焼却というようなお話をしていたんですが、埋却も含めて早期にやっていくようにというようなことも、その場でも知事にも申し上げました。結果的には、多少時間がかかってしまったんですけれども、埋却も併用することで少し早くなったのかなというふうに思います。  国といたしましても、まず、本当に自衛隊の皆さんに御協力いただいている部分が多いので、私もこの場をおかりして御礼を申し上げなければいけないなというふうに思います。  さらには、千葉県、香川県には、今大臣が答弁いたしましたように、農水省の現地防疫対策本部を立ち上げて、必要な人員の動員、円滑な作業についての助言、さらには机上防疫演習というのを各県で行っていただいて、事前の準備をしていただいて、こういった防疫措置を早くするようにというような指導も行っているところでございます。  特に、埋却地の確保につきましては、やはりしっかりと事前に準備をしていくことが大切ですよということも、大臣の指示もございまして、各県にも徹底をさせていただいているところです。  引き続き、よく連携を取りながら、早急な防疫措置に努めていきたいというふうに思っています。
  186. 谷田川元

    谷田川分科員 よろしくお願いします。  最新鋭の設備を誇った農場が、百万羽以上飼っていて、もう絶対感染を起こさないという確信の下に操業していて、にもかかわらず、今回、鳥インフルエンザが発生してしまったんですね。  まだ防疫調査チームの報告書というのはいすみの方しか出ていませんけれども、そのいすみの報告書を見ると、ネズミが侵入した足跡みたいなのがあるからその可能性は否定できないということのようではございますが、多古の方がいすみのやつより最新ですから、新しいですから、その多古の結果をちょっと私は注目したいと思うんですが、ただ、なかなかこれ、原因究明するのは難しいんじゃないかなとみんな思っているんですよ。それで、これ、本当に、あそこまでやったのに何でかかっちゃったんだといって生産者さんも非常に心配している。  先ほど申し上げた千葉県農業協会の要望書でも、やはり原因究明をしっかりやって、そして研究予算をしっかり確保して頑張ってもらいたいというような内容もありますよ。  つくづく思うんですが、ちょっと人間と動物では違うとおっしゃるかもしらぬけれども、コロナウイルスワクチンも、残念ながら、日本で開発しようと思ったけれども、イギリスだとかアメリカの製薬会社に頼らざるを得ない。豚熱の方は、感染しないワクチンが何か日本で開発できたそうですね。ところが、鳥インフルエンザについては、ワクチンというのは感染を防げない。鳥の病状を軽くするワクチンだというんですよね。  だから、是非これは最後のとりでとして、感染しないワクチンというのを日本市場で開発する、そのぐらいの意気込みで、是非、研究開発、調査をやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  187. 葉梨康弘

    ○葉梨副大臣 谷田川先生、もう既に事務方からもいろいろお話は聞かれておるかと思うんですが、鳥インフルエンザだけじゃなくて、インフルエンザのウイルスのワクチンというのは、感染そのものを防ぐワクチンというのは非常に難しゅうございまして、その開発、なかなかこれは難しいと。実際、そういったワクチンにおいて研究開発が進んでおる他国においても、ワクチンで鳥インフルエンザを制御しようという国は余り、余りというか皆無であるというような状況でございます。  ですから、国際的な防疫の原則としては、迅速な発見、殺処分、移動制限によって本疾病の撲滅を図ることがやはり基本ではないかなということを考えておりまして、我が国の防疫指針においても、早期発見と患畜、疑似患畜の迅速な殺処分を原則としておるところです。  しかも、鳥インフルエンザの場合は、罹患しますと、チアノーゼとか、弱ったり、必ず症状が出ますので、しっかりと早期に発見をしていくということがやはり基本ではないかなというふうに考えております。
  188. 谷田川元

    谷田川分科員 もしインフルエンザに感染しないワクチン開発されれば、これはノーベル賞級の発明だと思いますので、そのぐらいの意気込みで、是非政府を挙げてやっていただきたいなということを私は要望したいと思います。  さて、これまで、残念ながら不幸にも、口蹄疫だとか豚熱、あるいは今回の鳥インフルエンザの感染によって廃業せざるを得なくなった生産者がいると思うんですが、そういった方々が、豚小屋だとかあるいは鳥小屋、そういった施設が、その後、しっかり解体されて環境保全がなされているかどうか、それについて農水省の方で確認されていらっしゃいますか。
  189. 新井ゆたか

    ○新井政府参考人 お答えいたします。  口蹄疫、豚熱、鳥インフルエンザという家畜伝染病の発生後、農林水産省では、発生農場の経営再開に向けまして発生県と協議をいたしておりますので、経営の再開の状況については把握しているところでございます。  委員指摘のありました廃業後の施設の解体状況につきましては、網羅的な調査をしておりませんが、手当金を解体費用に充てる事例が多いというふうに聞いております。  ちなみに、鳥インフルエンザについて申し上げますと、平成十六年から平成三十年までの間に廃業された方は七戸でございまして、その後、各県から、いわゆる古い鶏舎が残っているのでどうにかしたい、何か手だてはないかといった相談は受けていないところでございます。
  190. 谷田川元

    谷田川分科員 ちょっと時間がないので、二問続けて質問します。  だから、ある程度把握されているということだけれども、全体を把握されていないので、是非全体を把握するような調査をしてもらいたいと思うんだがどうかというのが一点。  それから、私、ちょっと過去のことをいろいろ調べたんですが、補助金というのは産業振興するためにあるのであって、廃業するためにつけることはないんですよというのが一般的な考えだと聞いたんですよ。  ところが、唯一の例外があるんですね。それは、もう五十年ぐらい前になりますが、当時の日米繊維交渉において、日本がアメリカに譲歩して自主規制を行った。その結果、繊維産業が機織り機を処分せざるを得なくなった。その金がないというので、当時の田中通産大臣が、何と三年間で五百億円ぐらいの予算をつけているんですよ。ですから、当時の予算規模は今の三分の一ぐらいだと思うから、考えると、今のお金にすれば一千五百億円ぐらいのお金を投じているんですね、その繊維業界に。  そう考えた場合、不幸にして、もう天災ですよ、この鳥インフルエンザとか豚熱だとかあるいは口蹄疫とか、そういう天災に遭った人たちが廃業するときに支援金を出してもいいんじゃないか、私はそう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  191. 新井ゆたか

    ○新井政府参考人 お答えいたします。  まず、廃業された方のその後の畜舎の解体等についての調査でございますが、私どもといたしましては、これにつきまして網羅的に調査をするということではなく、経営再開を目指し、その廃業された方が手当金等で解体をしていただくというのが原則だというふうに考えております。  それから、廃業、我々、繰り返しになりますけれども、やはり経営再開をしていただくということでございまして、この疾病は構造調整ではございませんので、そのようなやめる方への支援というのはなかなか難しい。  したがいまして、今回の鳥インフルエンザも、それぞれ各県におきまして担当者を決めまして、早期の手当金支給、それから互助基金の支給といった形で、やはり経営再開に万全を期していきたいというふうに考えております。
  192. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 やはり、家畜伝染病が発生をする、大変大きな被害発生するわけでありますが、農水省では、今答弁があったとおり、まずは経営再建に向けて発生県と連携をするということでありますが、例えば、豚熱の発生が続いた際にも、発生県ごとに豚熱の経営支援チームを組んで、可能な限り、廃業ではなくて経営再建につながるような助言、支援を行ってまいったところであります。  農林水産省所管としましては、殺処分した鳥の所有者に対して、原則として評価額の全額を手当金として交付しておりまして、発生県と緊密に連携をして、交付金の、早期再建に取り組むことで、経営を再開をしているところでありますが、それでも廃業せざるを得ない農場があるというふうに思います。そういう農場につきましては、当該手当金に使途の限定はありませんので、鶏舎の解体等の費用に充てることも可能であるということでございます。  いずれにしても、現場に寄り添った対応、助言をしてまいりたいと考えております。
  193. 谷田川元

    谷田川分科員 非常に難しいのは私も承知した上で、あえて問題提起をさせていただきました。  やはり田中角栄さんという方は、今でもすごく評価、逆に再評価されているんですよね。なぜかといったら、やはり、困っている人に寄り添った、そういう政治ができた人だと思うんですよ。是非、田中角栄さんの精神というのを多くの政治家に共有していただきたいなと私は思っているんです。  それで、済みません、時間がなくなってきましたが、今政府が最も力を入れている農産物の輸出に関して質問したいと思います。  十一月にまとめた農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略、私、これを読ませていただきまして、役所の文書で、これまではっきりやりますと宣言した文書はなかなかないんじゃないかと、すごく政府のやる気を感じました。  それで、二十七品目を重点品目にしていただいた。その中で、私の地元に関して申し上げますと、香取市で、サツマイモ、カンショですね、それからしょうゆ、千葉県のしょうゆ組合が事業主体なんですが、その中に香取市のしょうゆ業者もあるんですね。  残念ながら、今、中国とか台湾等の地域に輸出できないんですよ。これは皆さん御存じのとおり、放射性物質の関係で、原発事故が起きたということで。  大臣、科学的根拠は何もないんですから、是非、関係の政府高官に対して大臣は恐らく規制を撤廃してくれという話はされていると思うんだけれども、いつどのような形でそういう話をして、相手方の反応はどうだったか、教えていただきたいと思います。
  194. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 先生指摘のとおり、輸入規制の撤廃というのは、政府にとりましても最重要課題の一つだというふうに考えております。  これまで、輸入規制導入した五十四か国・地域のうち、三十九か国・地域規制が撤廃をされてきたわけでありますが、しかし、委員の御地元の千葉県産の食品の輸入停止措置を維持している中国や台湾も含めて、いまだ十五の国、地域規制が残っているという状況であります。  そういう中で、来月には震災から十年目の節目を迎えるわけでございますので、やはり一日も早く撤廃されるように努めていかなきゃならない。しかし、今はちょっとコロナ禍なものですから、なかなか直接の行き来が難しいということもあるんですが、しかし、ウェブ会議ですとか、あるいは在外公館を通じて、様々なレベルで働きかけを行っております。  私も、農林水産大臣就任以降に、残念ながら海外出張の機会はありませんが、テレビ会議や在京大使館を通じた働きかけを行ってまいりまして、昨年十二月には、テレビ会議形式で開催されましたASEANプラス3農林水産大臣会合があったんですが、この規制を維持をしています中国、韓国、インドネシア、シンガポールに対して早期の規制撤廃を求めました。  相手国の反応の詳細は申し上げられませんが、引き続き、今、私を本部長としまして農林水産物・食品輸出本部というものがありますので、この下で、あらゆる機会を通じて粘り強く働きかけを行ってまいりたいと考えております。
  195. 谷田川元

    谷田川分科員 そうすると、今の答弁の中には私が特定した中国と台湾については話がなかったので、それはやられていないということでよろしいですね。(野上国務大臣「中国は」と呼ぶ)入っていましたか。そうですか。失礼しました。  中国は共産党支配の国なのでなかなか難しいかもしらぬけれども、台湾は民主的政治体制なんですよ。なぜ台湾が撤廃しないかというと、撤廃すると台湾の世論が反発するからだというのが新聞記事に書いてありました。そうであるならば、台湾世論に直接訴えかける、例えば日本政府がテレビコマーシャルをやって安全ですよとPRするとか、そういうことも是非考えていただきたいなというふうに思います。  それで、国内市場に依存する農水産業をこれからは成長著しい海外へ展開する、これは非常に大切な考えだと思うんですよ。今、農村部は残念ながら人口減少。しかし、これ、輸出がうまくいけば成長産業になり得るわけですよね。  そう考えますと、今回、令和三年度の予算、大体百億円と聞いていますが、令和十二年度に五兆円でしたね、五兆円を目指すわけですよね。五兆円の百億円といったら微々たるものですよ。やはりちょっと、五兆円を目指すには足りないんじゃないかと私は思っているんですよ。  そうすると、やはり、生産者のみならず世論に対しても、輸出のために大切なんだということで、国としても支援するんだということをPRして予算をどんどんどんどん増やしていく、そういうことでやっていきたいと思うんですが、世論喚起が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
  196. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 今先生からお話があったとおり、国内市場が縮小していく一方で、海外の成長の市場を取り込んでいくということは非常に重要だと考えておりまして、これは農林漁業者の所得向上にもつながるというふうに考えております。  二〇三〇年に五兆円という目標を立てたわけでありますが、マーケットインで輸出に取り組む体制が不可欠ということから、昨年十一月に拡大実行戦略を取りまとめまして、これに基づきまして各種施策推進をしてまいりたいと考えております。  そのためには、やはり今お話があったとおり、世論の理解醸成が必要であるというふうに思います。先月、関係団体ですとか輸出事業者向けに輸出拡大実行戦略の説明会をウェブで開催しまして、四百三十を超える方々に御参加をいただきました。そのほか、政府広報を通じて広く国民に対してその必要性を説明しておりますが、やはり、この輸出五兆円達成に向けて、世論の共感が得られるように、しっかりと情報発信に努めてまいりたいと考えております。
  197. 谷田川元

    谷田川分科員 私の地元のJAかとりが取り組んでいるカンショの話をちょっとしたいと思うんですが、これは、二〇一五年に森田千葉県知事がマレーシアを訪問しまして、トップセールスを行ったんですよ。その結果、取引がうまくいったんですね。それで、最初、コンテナでサツマイモとほかの野菜と一緒に送ったんだけれども、サツマイモというのは温度のみならず湿度の管理も必要なんですね。だから、ほかの野菜と一緒に送っちゃったら、サツマイモの品質が悪くなってしまった。やはり、こういうことを試行錯誤しながらやっているんですよ。  だから、国の支援というのは一年ぐらいじゃはっきり言ってなかなか実にならないんじゃないかと私は思うので、やはり継続的な支援が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
  198. 太田豊彦

    ○太田政府参考人 お答えをいたします。  委員おっしゃるように、プロダクトアウトからマーケットインに徹底的に変えるということは、生産者が国内市場向けに生産した産品の余剰品を輸出するということではなくて、最初から海外市場で求められる量や価格、品質、又は規格、こうした産品を専門的そして継続的に生産をして輸出をする体制構築というのが必要でございます。  このため、リスクを取って輸出に取り組む事業者への支援というのをやっていく必要がある。  このため、海外のニーズやそれから規制等に対応した輸出産地の形成というのが必要になりますので、二月十六日に輸出産地リストを公表したところでございます。この輸出産地は、基本的に、輸出促進法に基づく輸出事業計画、これを必要に応じて作成していただく。そうしますと、この事業計画、国の認定の仕組みでございますけれども、これが複数年にわたって、この計画に基づいて、予算上の優遇措置あるいは公庫の融資、こうしたものが受けられますので、そうした手段によって支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  199. 谷田川元

    谷田川分科員 時間がないので、続けて二問質問しますので、よろしくお願いします。  農水省に資料をもらいまして、在外公館に農水省出身者、今何人いるんだと言ったら、意外や意外、百四名もいらっしゃるんですね。私はもうちょっと少ないと思った。だけれども、十年前と比べると一名しか増えていないらしいですね。これだけ政府を挙げて輸出戦略をやるのであるんだから、やはり農水省出身者をもっと増強すべきだと思うんですが、いかがか。そして、輸出・国際局というのが新年度にできるという話ですけれども、人数は大体どのぐらいなのか。  最後の一問なんですが、先ほどちょっと申し上げましたけれども、森田知事がトップセールスをやったことが地元香取市のサツマイモの輸出につながったという話をしましたが、そういった成功事例を是非参考にしながら、大臣、やはり、日本食のファンを世界中につくる、特に若い人に。若い人は長生きしますからね、これから先長いですから。だから、そういうことをターゲットにして、例えば、輸出国に人気のあるタレントさんを広告塔にしてその人を派遣して、そこでジャパン・フェアをやってその商談をやるとか、あるいは広告塔の方にSNSを活用してもらうとか、そういったことを考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  200. 森健

    ○森政府参考人 お答えいたします。  在外公館におけます農林水産物、食品の輸出促進体制につきましては、これまでも、輸出戦略上の重点国等の公館に食産業担当の日本企業支援担当官が設置されるなど、外務省と連携して体制強化を図ってきているところでございます。  さらに、昨年十一月に取りまとめられました農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略におきましては、大使館などの役割強化の方法など国の体制強化について検討し、本年夏を目途に結論を得ることとしております。  こうした中で、在外公館に赴任しております農林水産省職員数につきましては、ここ十年を百人余で推移してきておりますが、多くの赴任者がこの食産業担当に命じられるなど、輸出促進がこれらの者の重点ミッションというふうになってきております。  引き続き、関係省庁等と連携し、大使館などにおける人員も含めた体制強化策について検討していきたいと考えております。  なお、来年度予定しております組織再編において新設する輸出・国際局、これは仮称でございますが、につきましては、三百四十四名の体制整備することを予定しております。
  201. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 御指摘のとおり、やはり日本産水産物、食品の魅力をしっかりと海外消費者に伝えていくこと、極めて重要だと思います。  現在、日本産食材サポートセンターを活用したプロモーションなども実施しておりますが、JFOODOで海外消費者向けの戦略的プロモーションを実施しておりまして、例えば日本茶の米国でのプロモーションでは、ハリウッド女優のニッキー・リードさんですとか、あるいは片づけコンサルタントとして米国でも有名な近藤麻理恵さん、こんまりさんを起用をした動画のSNS等を通じた配信なども行っております。  また、やはり若者にも訴求をするということで、現地の若者にも訴求力のある海外の星つきシェフによるオンライン調理セミナー等も実施をしておりますが、引き続き、海外消費者影響力のある方を起用したプロモーションなども通じまして、その魅力を伝えてまいりたいと考えております。
  202. 谷田川元

    谷田川分科員 最後に一言だけ申し上げたいと思います。  鳥インフルエンザのことなんですが、困っている人をできるだけ助けていただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  203. 齋藤健

    齋藤主査 これにて谷田川元君の質疑は終了いたしました。  次に、吉田宣弘君。
  204. 吉田宣弘

    吉田(宣)分科員 公明党の吉田宣弘でございます。  先日、二月十五日に国会に戻ってまいりまして、今日は第三分科会で一つ質問させていただきました。本日、二回目の質問になります。第六分科会ということで、農水省の方に質問をさせていただきます。  私は、農業政策、これは国の柱であり、また基盤であるというふうに常々考えてまいりました。言うまでもないことかもしれませんけれども、食は、人間が生存するために不可欠なものです。そして、食を生み出す根本的な営みが農業、漁業であり、また林業も含めて、その取組は人間の存在そのものに関わるというふうに思うからです。  また、経済がグローバル化し、経済的な取組が国家の主権を乗り越え行われている今の世界においては、農業、漁業、林業が経済と不可分な関係にある以上、安全保障観点からも農業を捉えておく意味では、私は、農業政策は国家の存亡にも関わる重要な分野であるというふうに思っております。例えば、食料自給率を見てみると、外国から食料が入ってこない事態を考えると、本当に恐ろしい気持ちもいたします。  いささか大がかりな前置きになりましたけれども、本日は、水稲政策と防災との関係性、また高齢化する農業事業者の農作業場の安全確保という観点から質問させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。  本日以降も、農業政策につきましては、農水省の皆様を始め、生産者の皆様、その他多くの関係の皆様から御指導いただきながら、私、全力で取り組んでいきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。     〔主査退席、江藤主査代理着席〕  さて、私が在住をしております福岡県久留米市では、三年連続で豪雨浸水被害に見舞われております。多くの人命が奪われた福岡県朝倉市、また大分県日田市を中心とした九州北部豪雨災害から数えれば、福岡県は四年連続で豪雨災害に見舞われています。昨年は、福岡県大牟田市で貴い二名の命も失われました。  様々な被害が生じておりますが、農業被害も、毎年毎年、連続して繰り返されている状況でございます。  昨年の七月の豪雨災害による福岡県の農業被害は二十二億一千万円で、そのうち園芸作物に関係する被害が十五億六千万円。この内訳は、軟弱野菜の冠水など十四億円、花卉の冠水で八千万円、果樹の土砂流入などで八千万円と、莫大な被害が出ている状況です。  園芸作物に着目するには理由がございます。それは、過去の減反政策、今の生産調整、すなわち水稲栽培に対する国の政策影響を受けて、また、このことばかりが要因ではないと思いますが、水田の面積は年々減少していると思われます。加えて、生産者の高齢化に伴う生産者の減少、それに伴う耕作放棄地の増加など、水稲栽培は衰退していると感じざるを得ません。そして、その傾向は、水稲栽培から高付加価値を持つ作物への転換に拍車がかかっている状況でないかと感じております。  これらの傾向や、これまでの国家政策、これが決して悪いということではありません。国民の米の消費に関する需要と供給の関係からすれば、全ての水田を水稲栽培だけでフル回転させれば、米の供給が需要を大きく上回り、需給バランスは即座に崩れて、水稲栽培そのものが崩壊することにつながってしまうと考えられます。  一方で、土地を水田から高付加価値作物の生産基盤に変化させれば、それだけ浸水被害に対する耐久力というものを低下させてしまいます。福岡県の久留米市は、こういった状況が見られるのではないかなと思っております。  そして、私としては、水をため込むことができる水田の持つ防災機能は極めて重要であると考えております。災害との関連で、農地利用現状について農水省はどのような認識をお持ちなのか、お聞かせいただきたく存じます。     〔江藤主査代理退席、主査着席〕
  205. 牧元幸司

    牧元政府参考人 お答えを申し上げます。  水田は、雨水を一時的に貯留し、洪水を防止、軽減する働きがございまして、防災上重要でございまして、豪雨災害が頻発する中で大変大きな役割を果たしているというふうに認識をしているところでございます。  このため、農地整備事業におきまして区画整理と併せて畦畔や用排水路の整備を行うことによりまして、水田の雨水の貯留機能、これらを向上させるとともに、水田の排水溝に堰板を設置をいたしまして水田からの雨水の流出を抑制しますいわゆる田んぼダム、こういった取組によりまして、水田の防災機能の更なる発揮に努めているところでございます。  御指摘をいただきました高付加価値作物への転換でございますけれども、これにつきましては、水田の汎用化、これは、米でも野菜でも作れるように用排水施設整備を行いまして輪作を可能にするというような整備手法でございますけれども、この汎用化を中心に転換を図っているところでございます。  このような整備を通じまして、農地の多面的機能の発揮というものを図ってまいりたいと考えております。
  206. 吉田宣弘

    吉田(宣)分科員 丁寧にお答えいただきまして、感謝を申し上げます。  防災の観点で農地利用の在り方を考えたら、本当に難しいなということを私も痛感しています。米政策というものを更に加えて考えると、正直、考えがまとまらない状況が、私の限界だというふうな気もしております。  そういった状況の中、やはり、絶対これが正しいということではなく、よりよい最適解というものを目指さなきゃいけないのかなと思いますけれども、ただ、最近の常態化した異常気象というものに農地の利用を毎年適合させるということは事実上困難なことで、できないことかと思っておりますけれども。ただ、様々な、過去の豪雨災害のデータであったり、そういった状況を踏まえて、やはり、よりベターないわゆる農地利用というものの在り方というのは模索されていく努力は必要なのではないのかなと思っております。  この点で、福岡県では、大規模かつ長時間農地が湛水した昨年、令和二年七月豪雨災害、これを踏まえて、内水氾濫が発生した山ノ井川、これは私、山ノ井川の氾濫の様子を見に行きました、久留米市城島町というところの地域なのですが、辺り一面、湖のように化しておりました。牛舎が浸水をして牛が一頭死んだというふうなことも私は聞きました。とにかくすごい湖のような状況で、農地どころじゃない有様を目の当たりにしました。そのときに、筑後川流域で筑後川に接続する川なのですが、筑後川の流れている高さよりも一メーターほど低いところに山ノ井川の水面がありました。水門を開けられないんですね。この状況で内水氾濫が山ノ井川でも起きた。これは連続して起きているという状況です。  また、大刀洗川という川もございますけれども、それらの筑後川水系に関わる支流において、流域湛水減災対策というものを進め、農地被害の軽減を図ることを目的として、土地利用状況や排水施設の能力等を調査し、流域ごとに複数の降雨パターンによる浸水想定区域や農業被害規模をシミュレーションをする事業、これを福岡県が予定をしているというふうにお聞きをしております。  シミュレーションにより得られたデータを基に、ハウスの移転など様々な減災対策に生かそうという取組は、三年連続して農業被害を受けた経験からくるもので、私は高く評価されるものであるというふうに思っております。  また、ハウスの移転にとどまらず、栽培期間が梅雨時期と重ならない品目への転換、また、梅雨時期に浸水のおそれがある低い地域での作付、また豪雨の可能性がある夏場において作付割合を減らすような調整などが、様々な方法論として検討されております。  異常気象が常態化している状況の下で、これは全国のことかと思います、福岡県に限ったことではないと思います、昨今の豪雨災害全国各地で起きている状況であると思います。  そこで、この福岡県が予定しているシミュレーション事業に対する農水省の見解をお聞かせいただきたいことと併せて、このような取組を農水省の事業の下、全国展開すべきであると考えますけれども、受け止めをお聞かせいただければと思います。
  207. 牧元幸司

    牧元政府参考人 お答えを申し上げます。  福岡県におかれましては、今委員から御指摘ございましたように、令和二年七月豪雨など、過去の豪雨災害発生した際の降雨の状況あるいは筑後川等の河川の水位状況を踏まえました湛水シミュレーションを実施をいたしまして、このシミュレーションの結果に基づきました、土地利用見直し等の湛水被害軽減に向けた計画を策定をされる予定というふうに伺っているところでございます。  この計画に基づきまして、土地改良事業によります排水ポンプ、調整池、盛土といった湛水対策、あるいは園芸作物の栽培エリアの見直しハウスの移設といったような対策を検討するというふうに伺っておりまして、これは大変先進的、積極的なお取組であるというふうに認識をしているところでございます。  農林水産省といたしましても、この福岡県の取組を参考にしつつ、都道府県を始めとする皆様方の御意見を伺いながら、農村地域の湛水被害軽減につながる手法につきまして検討していきたいと考えております。
  208. 吉田宣弘

    吉田(宣)分科員 ありがとうございます。  シミュレーションを行うには、やはり優れた科学技術というものは活用していいのではないのかなと思います。  私が知っている企業で、ドローンを飛ばしまして土地の形状を三次元空間にきれいに再現をする技術があり、そこに水を流し込むようなこともAIを使って仮想空間の中でできる、そういった技術も今存在をしておりますし、実際に、これは損害保険会社の保険の支払いの迅速化にも資するような役割を果たしているという技術もございます。様々な民間のこういった最先端の科学技術もまた駆使をしていただきながら、農業被害の軽減に努めていただきますようまたお願いを申し上げたいと思っております。  これまでの様々なやり取り、ある意味、私の独りよがりかもしれませんが、申し上げたことがございますけれども、これまでのやり取りをお聞きしての農水大臣の受け止めをお聞かせいただければと思います。
  209. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 やはり、今、豪雨災害等が激甚化をしている、頻発をしている、こういう状況であろうと思います。それから、気候も大きく変化してきているのではないかと思います。そういう中で、どのようにして防災の取組を進めていく必要があるのかということは、それぞれのつかさつかさでしっかりと検討を進めていかなきゃならないと思います。  農林水産省では、例えば、河川の流域には水田が広がっておりますし、あるいは、多くの農業用ダムですとか、ため池、排水機場等が位置しておりますので、流域全体で治水対策を進めていく上で、これらの農地、農業用水利施設が持つ洪水調節機能を活用していくということが重要であると考えております。  農林水産省では、このために、例えば、大雨が予想される際に、あらかじめ農業用ダムですとかため池の水位を下げる事前放流の取組ですとか、あるいは、水田に雨を一時的に貯留させる田んぼダムによる下流域の湛水被害リスクの低減ですとか、あるいは、農作物の湛水被害だけではなくて、市街地や集落の湛水被害も軽減、防止するための排水施設整備、活用などに取り組んでいるところであります。  近年、先ほど申し上げたとおり、豪雨災害は大変激甚化をしてきておりますので、これらの機能が適切に発揮されるように、国土交通省ですとか、あるいは地元自治体や農業関係者等とも連携をしながら、流域の治水対策ということをしっかりと進めていくことも重要だと考えております。
  210. 吉田宣弘

    吉田(宣)分科員 野上農林水産大臣、どうかよろしくお願いします。本当に、毎年毎年繰り返されると、そこに住む地域住民、また農業生産者は疲弊をしてしまっております。どうかお力をおかしくださいませ。  次に、農作業における安全対策についてお聞きしたいと思います。  今年の二月十七日付の日本農業新聞によると、農水省が十六日に公表した二〇一九年の農作業死亡事故の集計によると、一九年の農作業事故死亡者数は前年より七人増え二百八十一人、十万人当たりの事故発生者数は十六・七人で、ここ十年間で最も多かった二〇一七年と同水準になった、死亡事故が多いとされる建設業と比べても三倍の頻度になる、建設業では十万人当たりの事故死亡者数を確実に減らしてきたが、農業はむしろ増加傾向との報道がなされました。  そこで、農水省は、農作業における事故の状況についてどのように認識しているのかについてお示しをいただきますとともに、このような事故の多い状況の下で、どのような目標を持ち、どのような対応を取っているのかについて、お聞かせいただければと思います。
  211. 水田正和

    ○水田政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、農作業の事故によりまして毎年多くの方が亡くなられておられます。近年では三百人前後の方が亡くなられておられまして、年々減ってきておりましたが、令和元年は、前年よりも七人多い二百八十一人の貴い命が失われたところでございます。就業人口十万人当たりの死亡者数十六・七人で、過去最多の水準でございます。他産業は減少傾向であるのに対し、農業では増えているという厳しい状況にあるというふうに認識をしているところでございます。  また、事故の要因別に見ますと、例えば、令和元年の死亡者の方の数のうち、農業機械作業に係る事故による死亡者の数が百八十四人でございまして全体の六六%を占めておりまして、これが主な事故要因となっているところでございます。  農林水産省といたしましては、農作業安全対策の強化が喫緊の課題であると認識をしているところでございまして、昨年、主要な事故要因でございます農業機械作業に係る死亡者の数につきまして、令和二年からの三年間で、平成二十九年の二百十一人というものから令和四年には半減させる、こういう目標を立てておるところでございます。  この目標達成のため、毎年、春と秋に、地方自治体、農業者団体、農業機械メーカーなどの協力を得まして全国展開をしております農作業安全確認運動の中で、トラクターへの安全フレームの装着など、農業機械作業の安全に向けた取組推進をしているところでございます。  また、有識者などから成る農作業安全検討会というものを新たに設置いたしまして、昨日から議論を開始したところでございます。農業機械の安全対策の強化、あるいは関係法令における対応の徹底などを含め、幅広い観点から効果的な対策を講ずるべく、検討を開始したところでございます。
  212. 吉田宣弘

    吉田(宣)分科員 ありがとうございます。  今、御答弁の中で御説明があった農作業安全検討会、この検討会は、どのようなメンバー構成で、どのような観点から安全対策を検討していく御予定なのかについても教えてください。
  213. 水田正和

    ○水田政府参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、農作業死亡事故の要因別に見ますと、農業機械作業に係る死亡事故が六から七割程度を占めておるところでございます。この状態が長年続いてきているという状況でございます。  現在、農業経営におきまして農業機械の使用というのは不可欠でございます。ですので、操作ミスがあったとしても重大事故につながらないようにするといった観点が重要だと考えておりまして、農業機械自体の安全性能の向上、こういったものを図ることが極めて重要だと考えております。  このため、御指摘いただきました、新たに設置いたしました農作業安全検討会でございますが、メンバーといたしましては、学識経験者など労働安全の専門家のほか、当事者でございます農業者や農業者団体、これに加えまして、農業機械の製造事業者や流通、販売事業者の団体など、農作業安全に関係する様々な立場の方々に御参加をいただきまして、農業機械の安全対策に係る論点を含め、取組を強化すべき事項について幅広く御検討いただくこととしております。  昨日、第一回目の会合を開催したところでございますが、今後、農業機械に他分野並みの安全性能が備わっているかということ、あるいは、農業者が安全性の高い機械を選択できる環境になっているか、こういったものについて検討を重ねまして、まずは本年の春頃をめどに、農作業安全対策基本的な方向性を取りまとめてまいりたいと考えております。
  214. 吉田宣弘

    吉田(宣)分科員 ありがとうございました。  それでは、視点を今度は農業生産者に移して、二問ほど質問いたします。  事故を減らすために、やはり第一義的に注意すべき主体、これは何といっても、農機具を扱ったり、現場で農作業を行う農業生産者自身だろうと思います。生産者が事故防止のための注意を怠ったままでは、農業事故は一向に減少しないのではないでしょうか。そこで、農業事故を減らすためにも、農業生産者に意識改革を促していくことが大切であると思います。  そこで、農業生産者の事故防止に向けた意識改革のために、農水省としてどのような取組を行っていくかについて教えていただければと思います。
  215. 水田正和

    ○水田政府参考人 お答えいたします。  我が国の農業経営でございますけれども、法人でない家族経営体がその多くを占めている状況にございます。こうした形態におきましては、安全対策の責任者が曖昧になりがちという面がございまして、農作業事故を防止するためには、一人一人の農業者の方が、農作業事故を人ごとではなくて自分事と捉えていただく意識改革が重要だというふうに考えているところでございます。  このため、昨年二月に農林水産省に設置いたしました農林水産業・食品産業の現場の新たな作業安全対策に関する有識者会議におきまして、作業安全を推進するために関係者が日々留意すべき事項と実行すべき事項を具体的に整理いたしまして、規範というものを検討いただいたところでございまして、今月から現場への普及を進めているところでございます。  また、農業者の方々に、多くの悲惨な事故が身近に起こっているということ、そして、農作業事故によって農業経営の継続にも深刻な影響を及ぼすこと、こういったことを認識をしていただくために、やはり農作業事故の実例等に関する研修を受講していただくということを考えているところでございます。  このため、来年度の予算案におきましては、全国の農業者の方々を対象として研修を行う体制づくり、こういったものに必要な農作業安全指導員という方々を育成するための支援策を盛り込んでいるところでございます。  今後、こうした取組を強化することで、農業者の方々の安全に対する意識改革を積極的に促してまいりたいと考えております。
  216. 吉田宣弘

    吉田(宣)分科員 私は、意識改革で多くの方が農業事故から救われるというか、防止するというふうなことにつながると確信をしております。どうかよろしくお願いいたします。  ところで、農作業中の事故の内訳を見てみますれば、想像はしておりましたが、やはり熱中症でお亡くなりになった方も多いことが分かります。屋外で作業される農業生産者の皆様は、常に熱中症というリスクと隣り合わせの状態と言ってよいかと思います。  私も、先日、アスパラガスの生産者のハウスの中に入ったんですね。真冬ですので、すごく外は寒いですが、中に入った瞬間、物すごい蒸気と熱気で、ここに長時間いたら間違いなくちょっと体はやばくなるなというぐらい暑いハウスの中でした。そういった意味からすれば、冬でももしかすると熱中症ってあり得るんじゃないのかな、そういった思いもしたところでございます。  そこで、農水省として、熱中症から農業生産者を守るための取組、これについてお示しをいただければと思います。
  217. 水田正和

    ○水田政府参考人 お答えいたします。  農作業中の熱中症によります死亡事故でございますが、年間二十人前後で推移をしてきたわけでございますが、平成三十年には調査開始以降最も多い四十三人の方が亡くなられておりまして、また、令和元年についても、それに次ぐ二十九人となっておるところでございます。  農林水産省におきましては、農作業中の熱中症事故防止に向けまして、気温が上昇する時期、あるいは台風通過後の作業が予想される時期、こういった直前など、熱中症リスクの高い時期に、文書による通知あるいはSNSなどを通じまして、熱中症を予防するための対策について注意喚起を行ってまいりました。  熱中症に対する注意喚起をより効率的に、効果的に行うためには、リスクの高い地域の農業者の方に対して最も適切なタイミングで情報提供を行うことが有効であると考えているところでございまして、このため、令和三年度から環境省と気象庁におきまして本格運用される予定の熱中症警戒アラートというものがございますが、これと、農林水産省において運用しております農業者と農林水産省をつなぐコミュニケーションツールでありますMAFFアプリ、この二つを連携させまして、熱中症リスクの高い地域の農業者のスマートフォンに、当日の朝、アラートを発信するということとしたところでございます。  こうした新しいツールの普及も通じまして、こういったものを含めまして、農作業中の熱中症事故の防止に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  218. 吉田宣弘

    吉田(宣)分科員 どうかよろしくお願いいたします。  高齢化している生産者の状況を見ますと、やはり様々な対策を取って命を守る政策というものを徹底していっていただきたいと思いますし、農作業の事故が、ゼロを目指して頑張っていただきたいと思います。  最後に、これまでのやり取りを踏まえまして、農業事故をとにかく減らすという観点で、野上農林水産大臣の受け止めをお聞かせいただければと思います。
  219. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 農林水産省は、やはり各産業の労働力人口が減少する中で、農業の就業人口当たりの事故死亡率が他産業よりも高い実態にあるということ、大変強い危機感を抱いております。やはり、農業が若者にとって魅力ある産業となる上でも、安心して働くことのできる環境を確保していくことは極めて重要でありまして、作業安全対策の強化、あるいは緊急に、早く対応していくということが大事だというふうに思っております。  死亡事故については、今先生からお話あったとおり、究極的にはゼロを目指していくということだと思いますが、まずは、農業機械作業に係る事故が多いものですから、死亡事故全体の六割から七割がこの農業機械作業に係る事故ということを鑑みまして、この死亡者数を、令和二年からの三年間で、平成二十九年の二百十一人から令和四年には半減させるという目標達成に向けまして、農業機械メーカーを始めとする関係機関の皆様からの協力も得ながら、農作業安全対策に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  220. 吉田宣弘

    吉田(宣)分科員 どうかよろしくお願いいたします。  私の質問は以上で終わります。
  221. 齋藤健

    齋藤主査 これにて吉田宣弘君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺孝一君。
  222. 渡辺孝一

    渡辺(孝)分科員 自由民主党の渡辺孝一でございます。  今日は、大臣始め皆さん、補正予算、更には当初予算という大変タイトなスケジュールで大変苦労なさっている中、また、コロナ禍の下で農業にも大きな影響が出、いろんな意味で御苦労なさっているのかなと。  また、ここ数日に起きました地震におきましても、これから農地被害施設被害等々がもうちょっと顕著に分かるような時期も来ると思います。農業者にとってみれば農水省が頼りでございます。何とか、大臣全国の農家の方々に、もちろん漁業者や林業者の方々もいますけれども、是非温かい手で包み込むように応援していただきたいなというふうに思います。  さて、時間がありませんので、質問に入らせていただきます。  平成三十年度より、国から民間へと、米の生産調整仕組みが大きく変わりました。令和三年度の主食米につきまして、過去最大規模の六・七万ヘクタール、米にして三十六万トンと言われますが、作付転換が必要で、これを実行しなければ需要バランスが崩れると言われています。いわゆる米価が下落するというふうになると思います。  そこで、令和二年度第三次補正と三年の当初予算におきまして、三千四百億の水田フル活用の予算をつけていただき、輸出の促進や、さらには麦、大豆、加工・業務用野菜の高収益作物に対しての支援や加工用米に取り組む企業に対して応援をいただいたということは、農業関係者にとってみれば大変喜んでいるというふうに、私も地元のJAの組合長さんから聞いております。そういう環境整備について、予算獲得に私も大変評価するところでございますけれども。  ただ、その中で、中心的に生産調整に携わっている地域再生協議会というのがございます。毎年毎年、作付につきましては、そのエリアの中で、農家の方々を含めて、作付をどういうふうに調整するかということで大変苦労なさっているという話を聞いております。もちろんこの協議会には強制的な権限があるわけでもなく、あくまでも地先の農家の方々と話合いによる解決で決着をつけていると言っておりますけれども、その経過の中の話は非常に厳しい声も私は聞かせていただいております。ゴールに達するまで、百家争鳴とは言いませんけれども、やはり自分の農地を守る、あるいは、これからもしっかり米を作っていきたいという農家の方々がまだ多うございます。  そういう意味で、今回は、米の消費について的を絞って質問させていただきます。  まず一点目ですけれども、米の需要量についての変化ですけれども、特に近年では十万トン、毎年減少傾向にあるとのことでありますが、この要因について説明していただきたい。また、これらを含めた令和三年度の生産量のいわゆる見通しについて、説明をお願いいたします。
  223. 天羽隆

    ○天羽政府参考人 お答え申し上げます。  主食用米の需要量についてでございます。  主食用米の需要量につきましては、食生活の変化、高齢化などによりまして日本人一人当たりの摂取熱量が減少傾向にあること、さらには、人口が減少に転じたことに加えまして、単身世帯や共働き世帯の増加など世帯構造の変化が進み、食生活の簡便化志向がどんどん進んでいくという中で、お米を家庭で購入をして炊飯する割合が低下しているといった状況にありますことから、近年のトレンド、これは平成八年、九年から令和元年、二年までの一人当たりの消費量を算出した上でトレンドを伸ばしているわけでありますけれども、年間十万トン程度減少しているところであり、当面はこの傾向は続くのではないかというふうに考えているところでございます。  このようなトレンドの減少に加えまして、令和三年産でございますけれども、需要減少に見合った作付面積の削減も進まなかったことを加えて、令和三年産の主食用米の生産量は六百九十三万トンとする見通しをお示ししているところでございまして、委員指摘のとおり、厳しい需給の環境にございます。
  224. 渡辺孝一

    渡辺(孝)分科員 六百九十三万トンの根拠は分かりました。  しかし、現場では、このままでは一体どこまで減産しなければいけないのかという非常に大きな不安を抱いております。  これは実際の話なんですが、私も、秋になりますと、収穫の時期には各地のライスセンターを回ります。そのときに、豊作で喜べない顔をしているというのが非常に、私も見ていて苦しいというか、そして、全国の情勢云々を語る農家の方々はたくさんいらっしゃいます。  その中で、災害影響があった地区はどのぐらいの減産になったんだという、他人の不幸を喜んでいるわけじゃないですけれども、そういうことに話が行ったりして、何かちょっと本末転倒かなというような気もするんですけれども、そういう意味では、この減産がどこまで続くかということについては、確かに、今の天羽さんの話を聞いたら分かりますけれども、そこは分かるけれども納得しづらいというのが、農家の方々の本音だというふうに思います。  そこで、麦や大豆、高収益作物や加工米などへの転換の取組について、先ほど、米、水田フル活用の予算をつけていただいたところですが、それをちょっと説明をお願いいたしたいと思います。
  225. 天羽隆

    ○天羽政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど御答弁させていただいたとおり、主食用米の需要が毎年減少するということが見込まれるわけでございますので、主食用米から麦や大豆、高収益作物、さらには加工用米など、需要のある作物への転換を図ることが重要であると考えてございます。  令和三年産の主食用米につきましては、水田活用の直接支払交付金とは別に、令和二年度第三次補正予算におきまして、新市場開拓に向けた水田リノベーション事業により、麦、大豆、高収益作物や加工用米などについて、産地と実需者の連携に基づいた低コスト生産技術の導入等への支援、さらには輸出向けパック御飯の製造機械・施設等の導入に対する支援を、また、麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクトによりまして、水田での麦、大豆の産地の関係者が連携して計画的に行う団地化や、営農技術・機械の導入、安定供給の実現に向けての一時保管や保管施設整備等への支援を措置いたしておりますとともに、令和三年度の当初予算の中では、水田活用の直接支払交付金におきまして、主食用米からの転換のインセンティブを高めるために、都道府県が独自に支援する場合に、拡大面積に応じて国が追加的に支援する措置の創設などを盛り込んでございます。  農林水産省といたしましては、これらの支援措置を有効に御活用いただき、地域の実情に応じて主食用米から需要のある作物への作付転換に取り組んでいただきたいと考えてございます。
  226. 渡辺孝一

    渡辺(孝)分科員 きめ細かく制度をつくっていただいていることは理解しておりますが、それがなかなか現場の農家の方々にうまく伝わっていないんじゃないかなと。ですから、どうしてもお米に縛られるというか、なかなか踏ん切りがつかないというところも、私、聞いております。  ですから、制度政策については、本人もさることながら、農業関係である特にJA等々がしっかりと話合いをして、生産者の方々に理解を求めることが必要だと思うんですけれども、まだまだその辺のところがうまくかみ合っていないんじゃないかなというふうに思います。  北海道にも農政局がありますから、職員方々にどんどんどんどん現場に行って、農家の方々に、ある意味胸襟を開いて説明していただければ、米を作ると決めて来年度の計画を立てたときに、いきなりそれからまた替えようかといっても、一年一回勝負の北海道の水田ではなかなかその機転が働かないというところもありますので、是非、農作業が始まったこの期間にじっくり、ある意味話合いできる時間が私は持てるんじゃないかと思っています。  この食の多用化や人口減少の説明は分かりましたし、理解するんです。ただ、せっかく生産したお米を海外にも輸出して、国内の需要バランスに役立てることも、これは有効だというふうに聞いておりますが、じゃ、今現在の輸出の状況、さらには、この輸出に取り組む企業あるいは商社等々への支援というものはどのようなものがあるのか教えていただけますか。
  227. 天羽隆

    ○天羽政府参考人 お答え申し上げます。  お米の輸出の状況について御質問をいただきました。  二〇二〇年のお米の輸出額、対前年比一五%の約五十三億円、数量ベースでも対前年比プラス一三%の一万九千六百八十七トン、約二万トン弱ということで、比較的堅調に増加をしてきているということでございます。  この要因でございますけれども、昨年の初めから春頃にかけましては、香港、アメリカ、台湾などでも、いわゆる巣ごもり消費によりまして、小売需要の増加により輸出が大きく増えたということに加えまして、秋以降は、日本食レストランなどの営業が再開をしたアジアの香港、シンガポールなどを中心に輸出が大きく回復したといった要因があると考えております。  昨年十二月に取りまとめられました農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略では、今後更なる輸出拡大が期待されるということで、お米につきまして、二〇二五年の輸出目標を百二十五億円と設定しておりまして、その輸出を進めていくために、輸出産地リストを公表しておるところでございます。北海道におきましては、ホクレン農業協同組合連合会、株式会社芦別RICE、新篠津農業協同組合、北海道産米輸出促進協議会、株式会社松原米穀契約生産者組合(仮称)といった五つの産地が含まれてございます。  北海道のネームバリューは大変高うございます。特に、今申し上げたアジア諸国で極めて強い北海道ブランドのイメージが持たれておりますので、このようなものを活用しながら輸出に取り組んでいただければありがたいというふうに考えております。  このような輸出産地なり輸出を扱う事業者に対する支援でございますけれども、国際競争力の確保と農家手取りの両立を図り、大ロットで輸出向けのお米の生産に取り組む産地の育成を支援することと加えまして、各国・地域によって異なるニーズを踏まえた海外市場開拓を支援するということとしてございます。  令和二年度の第三次補正予算におきましては、新市場開拓用米の低コスト生産取組に対する支援を措置、また、お米の卸や輸出商社等の輸出事業者が産地と連携して取り組むプロモーション、中国向けの精米輸出に必要な薫蒸などに対応する取組に対する支援などを措置しておるところでございます。  これらの取組推進によりまして、お米の輸出促進を図ってまいりたいと考えております。
  228. 渡辺孝一

    渡辺(孝)分科員 ありがとうございます。  是非、企業の方々のモチベーションを上げる、そういう支援というか制度等々をこれからも充実させていただきたいというふうに思います。  農家の方々に輸出の話をすると、こんな話をします。何だ、先生、じゃ、俺にリュックに米を入れて中国に売りに行ってこいと言うのかなんという、ちょっと悪態をつく農家の方々もいらっしゃいますけれども。なかなか、生産から最後、販路等々までの流れの中で、きちっとしたサプライチェーンというか、前総理が言ったような流れができればいいんですけれども、その流れができるだけじゃなくて、それぞれ個々の関わる方々が共通認識を持って生産する、あるいは流通の作業をする、そして販売する、これがやはり皆さんがしっかりと意思統一ができた中で輸出というものに連携ができれば、私はもっともっと輸出に火がつくんじゃないかというふうに思います。是非よろしくお願いしたいと思います。  さて、このまま減少を続けるということになりますと、単純な計算でいきますと、おいおい、まさか、そうはいっても、主食の米が限りなくゼロに近づくなんということはないというふうには思っておりますが、下げ止まりというのを想定しているか、それにならないような今後の努力というのは、更に農水省には期待したいと思っております。  消費量を増やすこともこれは大変大きな仕事でございますが、食育について、特に米に限って言えば、何か具体的な対応をしていらっしゃるんでしょうか。
  229. 天羽隆

    ○天羽政府参考人 お答え申し上げます。  お米の消費の減少に対する取組、その中で食育の観点ではどうかという御質問でございました。  お米の消費拡大につきましては、昨年三月に閣議決定されております食料・農業・農村基本計画においては、このような記述がございます。「米飯学校給食の推進・定着や米の機能性など「米と健康」に着目した情報発信、企業と連携した消費拡大運動の継続的展開などを通じて、米消費が多く見込まれる消費者層やインバウンドを含む新たな需要の取り込みを進めることで、米の一人当たり消費量の減少傾向に歯止めをかける。」ということが示されておりまして、これに基づく取組を進めているところでございます。  また、食育にも関係の深い、食育の現場の一つでございますけれども、米飯学校給食についてでございます。  その実施回数なんでありますけれども、これまで横ばいを続けてまいりましたけれども、平成三十年度には週当たりの米飯学校給食の実施回数が三・五回と、僅かでありますけれども増加をいたしております。  また、御飯を主食として多様な主菜、副菜等を組み合わせた、栄養バランスに優れたいわゆる日本型食生活の実践を推進することは、健康面からも重要であるというふうに考えております。このため、いわゆる日本型食生活の推進につきまして、引き続き着実に取り組むことといたしたいとともに、お米の消費拡大につきましては、現在検討が行われております食育基本計画の案におきまして、次のような記述が検討されてございます。  一つには、御飯を主食とし、一汁三菜を基本とする和食文化の保護、継承を重点事項に位置づけ推進すること。二つ目でございます、食料・農業・農村基本計画にも掲げられている、企業等と連携した消費拡大運動を基本計画案においても新たに盛り込み展開すること。三つ目といたしまして、引き続き米飯給食を着実に実施することなどが記述されるということで検討がされているところでございます。  この新たな食育推進基本計画案につきましては、現在パブリックコメントが実施されておるところでございまして、今年度内に決定される予定というふうに承知をしております。
  230. 渡辺孝一

    渡辺(孝)分科員 大変努力なさっていることは評価いたしますし、理解するところでございますけれども、この食育に関しては、やはり、是非文科省や厚労省ともタイアップして、健康の面から、あるいは子供の健全成長の視点から、是非このお米の優位性というのを何か農水省の方面からしっかりと訴えていただけるような、そんな関係を持っていただければありがたいなというふうに思っております。  一頃、糖質ダイエットなどと称し、うちのかみさんですら毎食茶わん半分しか食べないような環境がいっときありました。これは私は非常に間違いだと思っております。というよりも、科学的なエビデンスが何もないわけですよ。太ることを心配している女性の方にとってみれば、それが痩せるという手段の一つなのかもしれませんけれども。問題は、取ったカロリー、そしてしっかりと消費するカロリーの計算バランスがよければ、こんな、お米、いわゆる糖質を取ったからといって太るわけでもないんですけれども、何かその辺の間違ったアナウンスというのが、結局その消費にも多少影響が出るのではないかというふうに思います。  農水省としては、科学的な根拠というのを、お米を食べる優位性というのを、是非研究していただければありがたいなというふうに思います。  さて、もう時間もなくなってきましたので、最後になりますけれども。  野上大臣から、令和三年度の需要に応じた生産・販売に向けてと題しまして、昨年の十二月二十一日付で農業関係者等々に向けて、いわゆる天のお言葉がございました。どこまで大臣の声が届いているのかということで、若干私も地元を歩いたときに聞きましたところ、大体、おおよそは理解はしているんですけれども、じゃ、それが実際、生産調整に取り組むかという、そのもう半歩、一歩出る、あれがまだちょっと、インパクトが受け取れなかったんですよね。  ですから、農水省の努力は、再生協の協議の結果、全国での作付目標値が決まると私も認識しておりますが、ではなぜ、これら生産の準備をしている段階から、今年度は実に十九万トンオーバーになるのではないかという報道がされました。これもまた、米農家にとってみればすごく不安な材料になっておりますけれども、この辺のところ、どういう御見解をお持ちでしょうか。
  231. 天羽隆

    ○天羽政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま委員指摘の、今年産の作付面積が過剰になるという報道は、いわゆる生産の目安について各県で定めているものを機械的に積み上げたものを根拠にした報道ではないかというふうに考えてございます。  令和三年産の生産の目安でございますけれども、これは、各都道府県で例年より早めに議論を開始していただいておりまして、昨年十二月以降、順次設定されてきているというふうに承知をしております。  この生産の目安につきましては、各都道府県がそれぞれの考え方で設定しておるわけでございまして、単純に積み上げて議論するのは適切ではないというふうに考えておりますけれども、この生産の目安が設定された時期でございますが、多くの道府県で、令和三年度水田農業関連対策、年末の補正予算ですとか当初予算についての対策が具体化、公表される前の段階で設定されたというふうに承知をしてございます。  このため、現在、三年度の対策、二年度の補正予算の中身につきまして各道府県で検討されている最中でございますけれども、私どもも機会をいただいて、主食用米の在庫数量など需給状況を踏まえつつ、各道府県で設定をされておる目安についても、見直しが必要かどうかも含めて、関係者で十分な検討を行っていただくよう御説明、御議論をしていただいているところでございます。  このようなことを通して、需要に応じた生産、販売を進めていただきたいと思っておりますけれども、今年産の作付が具体的に形になりますのは六月末の営農計画書の締切りでございますので、私どもといたしましては、引き続き、需給、価格等の動向を注視をいたしますとともに、コロナの下でありますのでウェブも活用しながら、既に四回全国会議をやっておりますけれども、全国会議なり、本省やら地方農政局、農政事務所も意見交換に伺って、ウェブの機会も通じてということでありますけれども、生産者団体、地方公共団体とも連携をして、オール・ジャパンで作付転換の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  232. 渡辺孝一

    渡辺(孝)分科員 天羽さんのお話は十二分に理解できます。ただ、数字が躍るとなかなか払拭するのは大変でありまして、農家の方々はおおむね日本農業新聞を取っていらっしゃいます、その見出しによってかなり右往左往するところ等々がございますので、是非、六月までと申し上げましたけれども、実際準備が始まるのは三月末から四月の頭になると思います。  うちの地区では、一人で、一人でというか家族で百ヘクタール所有する農家の方々もいます。そういう方々が、じゃ、一〇%、十ヘクタール、いきなり麦に替えようか、そんな簡単な営農計画ではございません。  ですから、米の需給バランスがよくなるように早く手を打っていただいて、そのことが秋のいわゆる米価にしっかり反映されるのではないかと私は思いますので、頑張っていらっしゃる方々に更に頑張ってくれと言うのは申し訳ないんですけれども、是非秋には五穀豊穣の秋を迎えて、今、ざれごとですけれども、豊作貧乏というのがもう耳にたこができるぐらい各地で、秋のライスセンター回りのときに聞かされます、もうその言葉が出てくると非常につらいので、質問の中でも申し上げたように、日本全国皆さんが、米農家の方々が豊作で喜べるように、そして、実りの秋をみんなで、国民皆さんで迎えられるような、そんな農業政策にしていただくことを心からお願いし、私の質問を終わりたいと思います。  本当に、お時間どうもありがとうございました。
  233. 齋藤健

    齋藤主査 これにて渡辺孝一君の質疑は終了いたしました。  次に、後藤祐一君。
  234. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 立憲民主党の後藤祐一でございます。  分科会最後のバッターになります。野上大臣、昨日、今日とお疲れさまでございます。齋藤主査もお疲れさまでございます。  早速質問に入りたいと思います。  まず、花卉支援、お花ですが、私の選挙区でも花を育てていらっしゃる方はいっぱいいらっしゃるんですが、この間、二月十四日のバレンタインデーに、野上大臣、大切な方に花を贈るフラワーバレンタインという取組をされて、花卉の消費量を増やすということに自ら率先されていることには敬意を表したいというふうに思います。これは非常に大切なことだと思いますので、是非、ホワイトデーですとか母の日、父の日、様々なイベントがあると思うんですけれども、これからもやっていただきたいというふうに思います。  あと、農水大臣以外のほかの大臣、とりわけ官房長官記者会見というのはやはりテレビで取り上げられることも多いですから、官房長官記者会見の後ろに花を飾っていただくと効果は大きいと思いますし、あしたは、どうやら山田さんの話があって総理の記者会見はなさそうなんですが、総理の記者会見があるときは総理も、ちょっとぶら下がりは無理にしても、こういった、政府の方が記者会見をやるときに、農水大臣のように、今、すごくいっぱい飾っていただいていますよね、是非それをやっていただきたいと思うんですが、促していただいてはいかがでしょうか。
  235. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 本当に、先生には日頃から、これまでも議員連盟等々でも花卉の振興に大変な御尽力をいただいておりまして、感謝を申し上げたいと思います。  今、花卉は、緊急事態宣言以降、やはり業務用がかなり厳しい状況にありまして、平年より低い水準で推移しております。一方で、外出自粛等もありまして、家庭内で花を飾ったりということは少しずつ増えている状況でありまして、先般も、二月十四日のフラワーバレンタインの取組につきまして、私からも、この機会に大切な人に花を贈ろうと呼びかけさせていただきました。  農林水産省でも、今、花いっぱいプロジェクト二〇二一ということをやっておりまして、花飾りですとか花贈りに取り組んでおるところでございますし、今御指摘のありました、ホワイトデーですとか母の日、父の日、このときにもしっかりと呼びかけを行ってまいりたいと思いますが、特に母の日は、去年、母の月ということで一か月間取り組んで、コロナ禍にもかかわらず、ネットを通じた受注は前年に比べて二割程度増加するという効果があったものですから、こういうことも、業界の声もよく聞きつつ、需要喚起を呼びかけてまいりたいと考えております。  今御指摘のありました、総理や官房長官、他の大臣にも呼びかけたらどうかということでございます。  御指摘いただいたとおり、現在、農林水産省は、率先して庁内で花を飾っておるところでございますが、委員の御指摘も踏まえて、更に何ができるかということを考えて、検討してまいりたいと考えております。
  236. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 是非、農水大臣経験者がお二人おられますけれども、やっておられましたね、江藤大臣のときも頑張っていただいたと思うんですが、是非、農水関係のお仕事をされている先生方はいろんなところでこれを呼びかけていただけると、あ、うちもやろうかなと思わせるきっかけとしては非常にいいと思いますので、是非よろしくお願いします。  続きまして、残土対策について聞きたいと思いますが、今日は、朝日国土交通政務官にお越しいただいております。ありがとうございます。  これは、私の選挙区で起きている話なんですが、場合によっては全国で起きているかもしれません。相模原市緑区の韮尾根という地区に牧場を造るという計画なんですが、これが完全に見せかけで、山の谷合いを全部、膨大に埋めて、三十メーターぐらいの高さの斜面を造って、そこにリニアの残土を置くというとんでもない計画が持ち上がっていて、しかもそこが、もし台風だとか地震とかになるとその下が、ちょっと町村をまたぐんですが、隣の愛川町というところになだれ込むような構造になっていて、そこが、下手をすると本当に土砂崩れで家が埋まるというような構造になっているところにとんでもない計画が、牧場を造るという名目の下に。  そこを造ると言っている人は、もう地元に住んでいないんですよ、何十年か前に住んでいたような人が、要は、リニアで、土砂を積む場所を今みんな探しているので、お金がもうかるわけですよね。こんなの認めちゃいけないということで、相模原市のアセスの手続に今あるんですけれども。この市長から、本村賢太郎さんという元衆議院議員ですけれども、地元の同意をちゃんと得るようにという意見が出て。ただ、地元はもう全員反対です。その地元の反対という署名なんかもあるんですけれども、そこで今止まっている状態なんですね。  ただ、これについては、制度的に止める仕組みというのがなかなか難しくなっていて、アセスが通ってしまうと通ってしまう。アセスというのは許可制じゃありませんので、評価書を出したら通っていってしまうわけですね。  ですから、こういった見せかけの、しかも人の命に関わるような話、しかも、二十二世紀、二十三世紀と将来にわたってのリスクを残してしまうような話なので、これはいかがなものかということを問題にしたいと思っています。  この土砂については、都道府県の条例について、例えば神奈川県は、神奈川県土砂の適正処理に関する条例というものがあるんですが、例えばこういう基準を満たしていれば土砂を置いていいというようなものは、この安全基準というのは本来国で定めるべきじゃないでしょうか。  斜度だとか、あるいは量だとか高さだとか人家との関係ですとかというのは、余り、都道府県ごとに違うというよりは、最低限こういう条件を満たさなきゃいけないというのは極めて技術的、高度な判断でやるべきなので、本来、国一律にその基準をつくるべきだと思いますし、ただ、これは根拠法が多分ありませんので、法律を作って、本来、法律に基づく許可制にして、国が、国土交通省なりがつくった基準に合致しているというものを例えば県が許可するというような法体系が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  237. 朝日健太郎

    ○朝日大臣政務官 お答えをいたします。  建設発生土は、資源有効利用促進法に基づきまして建設資材として有効利用することを基本としており、また、砂防法、宅地造成等規制法、農地法など、こういった法律を基に地方公共団体が独自に定める条例により、場所や用途に応じて盛土等の基準や罰則等が定められているところでございます。  しかしながら、建設発生土について、有効利用されずに不適切に処分される事例が見受けられることから、関係省庁の参画を得て、平成二十七年に、建設残土の崩落に関する関係省庁連絡会議を設立いたしました。  同会議における議論を踏まえ、平成二十九年八月には、建設発生土の取扱いに関わる実務担当者のための参考資料を作成し、関係法令や条例に基づく適切な取扱いをより一層促すべく、地方公共団体に周知したところでございます。  また、二十三府県が参画をし、大阪府が事務局を務める残土等にかかる土砂問題対策全国ネットワーク会議等を活用し、地方公共団体間の情報交換を促進し、実態把握に努めるとともに、不適切な建設発生土の処分を防止する取組を進めているところでございます。  今後も、こうした取組を進めつつ、関係府省や地方公共団体と連携をしながら必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
  238. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 今、根拠法がないので、そういった、国としてはこういうふうにした方がいいんじゃないかと言うぐらいしかできないですよね、参考というレベルでしか。  ですが、現実には現場でそういうことが起きておりますので、これは与野党関係ない話だと思います、人の命に関わりますので、本来は法律を作ってきちっとした許可制にする、あるいは、少なくともこのレベルは満たさなきゃいけないというようなことを、何らかの、かなり強制力のあるような基準にして都道府県なりにやってもらう、いろんなやり方はあると思いますが、是非取り組んでいただければと思います。  続きまして、同じ土砂なんですが、少し違うケースです。  これは農地に残土を置いてしまうケースでございますが、神奈川県内いろんなところで起きていて、リニアがあるので、本当に残土が、置く場所が高く売れるんですよ。それで、愛川町などには、農地に残土と思われるようなものが、五メーターぐらいの山のように積んじゃって、とんでもないことをやっているんですね。  これも、名目としては農地改良という名目で、どんな土を入れれば改良かというのはそこの土地を持っている人の判断なので、残土だろうが何だろうが、いや、これで土は改良されるんだと言ってしまえば通っちゃうというのが現実になっているんですね。  これについても地方公共団体ごとに基準が違っていて、齋藤主査のおられる千葉県なんかは厳しい基準で、一メーター以上積んじゃ駄目とか、厳しめなんです。ところが、神奈川県にはそういう基準がなくて、五メーターのものを置かれちゃったりしているんですね。真の目的は土壌改善ではなくて、残土置場にするというのが実質で、こういう山のように積むということがいろんなところで起きています。  是非これも、農地改良と言えるのはせめて高さ一メーター以内とか、あるいは、千葉県のルールは、土質は従前の耕作土と同等以上でなければならないとか、建設残土は対象外だとか、千葉県のルールはすごくいいルールなんです、例えばそういったルール全国最低これは守らなきゃいけないといった基準を設けるべきじゃないでしょうか。  これもさっきの話と一緒で、これを律する法律が多分ないので、条例レベルでやっているので、基準に反するような農地改良は禁止するという意味では、法律を作ることも含めて検討すべきではないでしょうか、農水大臣
  239. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 そもそも、農地に残土を搬入をして農地として利用しない場合は、これは農地転用に該当しますので農地転用許可を受ける必要があって、許可を受けずに行った場合は当然原状回復命令等の対象になるんですが、一方、先生指摘のとおり、農地改良の名目で農地に残土を搬入をして、表面は耕作土で覆ってその農地の体裁を整えて、実際は農地として利用しない、こういう巧妙な手口で農地転用許可を免れて農地に残土を搬入をして、これが問題になっている事例ということがあると承知しております。  また、こうした問題に対応するために、地方公共団体においては独自の基準を定めて規制を行っていると承知しておりますが、これもやはり、一時転用許可を求める場合もあれば、事前の届出を求める場合もあるということで、地方公共団体によって対応がまちまちであるということも、これは先生指摘のとおりであります。  農水省としても、この問題につきましては、農地行政上も好ましくない事態であると考えております。全国の実態や地方公共団体の御意見も踏まえつつ、農地転用許可制度の取扱いを明確化するなど、必要な対応策について、これは検討してまいりたいと考えております。
  240. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 これも恐らく、本来法律が必要な話だと思います。私は、都市農業を応援する議連なんかもやっておるんですが、こんな使われ方をしちゃうと都市農業もくそもあったもんじゃなくて、農地、隣の人なんか、もう勘弁してくれと言っているんですよね。  是非、これは規制強化、あるいは都道府県を、せめて千葉県レベルのものをほかの県も作りましょうというような話かもしれません、よろしくお願いいたします。  続きまして、高収益作物次期作交付金、去年十月に問題になったものですが、この十月の運用変更で、交付金がもらえると思ってもらえなかったという方がたくさん発生した問題です。  その後、農水省に対応を図っていただきましたが、特に農業機械を導入する場合には、今回の三次補正で措置した産地生産基盤パワーアップ事業で優先的に支援するという対応を取られていると伺っておりますが、これは実際に、お金をもらい損なった方にちゃんとお金が行っているんでしょうか。  この次期作交付金が減額あるいは交付されなくなってしまった方に、このパワーアップ事業による支援が現実に行っているのかどうか、教えていただけますか。
  241. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 御党からも昨年の十二月八日に要望書をいただいております。  今回の運用見直しによりまして交付金が減額又は交付されなくなる農業者の方々にとって、この追加措置の対象にならなかった方が今後新たに農業機械等を導入する場合には、令和二年度第三次補正予算で措置をした産地パワーアップ事業におきまして優先的に支援をすることとしておるわけでありますが、この事業につきましては、三月上旬から事業要望調査を行う予定でありまして、この中で、追加措置の対象にならなかった方々からの事業計画提出いただければ、優先的に支援することといたしておりますので、こうした取組を通じて、しっかりと現場の皆様をお支えしてまいりたいと考えております。
  242. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 これからなんですね。  十月の段階でもう、これをもらえるものだと思って機械の導入なんかをかなり始めた、あるいはもう買ってしまったという方は、そういう措置の仕方があったと思うんですけれども、ちょっと時間がかかっちゃっているので、そこはちょっと早めにやっていただきたいと思いますし、予算には限りがあるということで、もらえると思ったらもらえませんでしたというと話を進められなくなってしまうので、是非、もらえるかどうかを早く確定してさしあげるように、速やかにお願いしたいと思います。  続きまして、准組合員利用規制について聞きたいと思います。  私も、ちょっと畑、田んぼを持っていないものですから准組合員なんですけれども、このJAの准組合員の事業利用規制については、五年後条項ということで、令和三年度に検討結果が出るというふうに見込まれておりますが、現在の検討状況はどんな状況でしょうか。そして、これから実際どうしていくんでしょうか。
  243. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 准組合員の事業利用状況の在り方につきましては、現在、改正農協法の規定に基づきまして、農協の正組合員又は准組合員の事業利用に関する調査を行ってきているところでありまして、これまで二回調査を行っているわけでありますが、信用事業のうち貯金事業、また共済事業及び購買事業について正組合員の事業利用が准組合員より多い、また、信用事業のうち貸出事業のみ准組合員の事業利用が正組合員より多くなっているというところであります。  本調査につきましては、引き続き三回目の調査を行っているところでありますが、今後、改正法の規定に基づきまして検討を進めてまいりたいと考えております。
  244. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 これはむしろ齋藤農水大臣のころからかなりやっていた話だと思いますが、厳しい批判も大きいので、かつ頑張っているところもありますので、お手柔らかにというか、余り大幅に変えることなく、今までどおりやらせていただければと思います。  そういう意味では、JAさがみという私の地元も含むJAがあるんですけれども、「あつまれ准組合員!農業応援プロジェクト」と称して、動画配信した講座を見て作った花の寄せ植え、そういったもののウェブ展覧会をやったりとか、ブロッコリーツリーコンテストですとか、リモートで准組合員が参加するようなイベントを開いたりといった、いろんな努力をされておられます。  是非、准組合員の事業利用規制強化はやめておくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  245. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 今委員からお話のございましたJAさがみの取組につきましては、准組合員は農業の応援団という趣旨の下で、消費者生産者との関係強化の好事例になっていると承知をいたしております。  先ほど申し上げましたとおり、准組合員の事業利用規制の在り方につきましては、現在調査を行って、検討を加え、結論を得ることとされているところでありますが、農林水産省としましては、これらの調査結果に加えまして、平成二十七年の改正農協法の法案審議の際に、衆議院の農林水産委員会におきまして、地域のための重要なインフラとして農協が果たしている役割を十分に踏まえることとの附帯決議がなされた経緯も踏まえまして、JAグループともよく議論をしつつ検討を進めてまいりたいと考えております。
  246. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 是非、全国の声、特に准組合員がいないと成り立たない農協が都市部にはすごく多いので、そこは是非配慮をしていただきたいと思います。  続きまして、有害鳥獣対策に行きたいと思いますが、有害鳥獣対策予算、令和三年度予算案で百十一億三千四百万と増額になっていることは評価をしたいと思いますが、ただ、今回、政府全体で見ますと、デジタル関係予算というのは大幅に増えている省庁が多いです。  この有害鳥獣対策というのは、デジタル的な取組が非常に有効な分野でありまして、例えば、わなの遠隔監視の仕組みですとか、いろんなやり方が農水省でも紹介されております。  是非、デジタル予算として、もう今までの枠とはちょっと別枠ぐらいで、あの大きなおりとか高いですよね、スマート捕獲というんでしょうか、こういった取組をもっと今までとは桁違いに増やすような、大胆な大幅な増額をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  247. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 野生鳥獣による被害というのは、これはやはり数字に表れる以上に、営農意欲に影響する等々、深刻な影響を及ぼしていると思います。いろんな方と話しておりますが、有害鳥獣の被害についての話題というのは非常に多いわけであります。  委員指摘の、ICTを活用したスマート捕獲の取組、これは、例えば、遠方からわなの状況が確認できるために見回りの労力の軽減ができ、その分多くのわなを設置をすることができるほか、個体を確認した上でわなを閉鎖できることによりまして捕り逃がしを防ぐこともできる等々、人手不足への対応ですとか捕獲効率の向上に貢献できる技術でありますので、鳥獣対策交付金によりまして、導入への支援を本格化させたところでございます。  令和二年度補正予算と三年度予算につきまして、この鳥獣対策交付金は大幅に増額をして計上しているところでありまして、まずはその中でICTを活用したスマート捕獲についても支援してまいりたいと思っておりますが、地域の御要望にはお応えできるのではないかと考えておりますが、しっかりその状況を見ながら、導入促進できるように対応してまいりたいと考えております。
  248. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 わなを見回っている方々も年をどんどん取っていって、あれは大変なんですよね。夏なんか特にすごく大変で、雪のときも大変だったりするんでしょうけれども、是非、これはITを生かせる分野でございますので、今までとは桁の違う支援をお願いしたいと思います。  続きまして、ナラ枯れ対策でございますが、木のナラですね、枯れるという被害が、これは全国的にも令和二年度は対前年度比三倍ということで、神奈川県は特に十倍と、かなり広がってきています。私の地元でも相当起きていて、地方自治体では、森林病害虫等防除事業費補助金といったものを活用してナラ枯れ対策を実施していますが、お金が十分ではないということです。  この森林病害虫等防除事業費補助金について、ナラ枯れ被害対策が、増えていることに伴う必要な予算を十分に確保して、地方自治体に対する財政支援を強化すべきだと思いますが、農水大臣、よろしくお願いします。
  249. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 ナラ枯れ被害につきましては、令和二年においては被害箇所が拡大をするとともに、その被害量が大幅に増加をしていると承知をいたしております。  農林水産省では、森林の被害状況を踏まえまして、令和三年度予算におきまして、今御指摘のありました森林病害虫防除事業のうちナラ枯れ被害対策の事業につきましては、前年度から増額の予算を計上しているところでありますが、また、都道府県、市町村負担分につきましては、従前より特別交付税を措置しているところでございますが、今後、都道府県の要望も踏まえつつ、適正な対策が実施できるように支援してまいりたいと考えております。
  250. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 是非強化をお願いしたいと思います。  今日は、朝日国土交通政務官、この質問にもお答えください。  公園や緑地を対象としたナラ枯れ対策に係る補助事業といったものを創設すべきではないでしょうか。
  251. 朝日健太郎

    ○朝日大臣政務官 お答え申し上げます。  都市公園や緑地は、地域住民の皆様にとって良好な状態に整備、管理をすることが重要だと認識をしております。  地方公共団体が行う都市公園や緑地の管理に係る費用については、一般財源として地方交付税で措置をされておりますが、樹木の被害が大きく、植え替えが必要となる場合は、社会資本整備総合交付金が活用可能でございまして、その際は、被害木の伐採も含めて支援が可能となっております。  国土交通省としましても、地方公共団体の要望に応じて、予算の範囲内で支援をしてまいりたいと考えております。
  252. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 総合交付金はいろんな使い道があるので、なかなかそこをこれに充てることが、実際、難しいんですよね。是非、これは全国に広がっていますので、これ専用の補助事業をお願いしたいと思います。  続きまして、生産緑地の要件が五百平米から三百平米に国としては下がった件ですけれども、面積要件を実際引き下げるには地元の市町村の条例制定が必要なんですけれども、実際これは制定していないところが多いんですね。これを促すべきではないでしょうか、朝日政務官。
  253. 朝日健太郎

    ○朝日大臣政務官 生産緑地地区の面積要件につきましては、かつては最低面積が五百平米とされておりましたが、平成二十九年に生産緑地法を改正をいたしまして、地域の実情に応じて、市町村が条例により三百平米まで引き下げることができるように緩和をいたしました。  国土交通省では、農林水産省や農業関係団体と連携をし、説明会の開催等により、条例による面積要件の引下げを含め、地方公共団体に対し、制度の周知を積極的に図ってまいりました。  令和二年十二月末現在、生産緑地制度を活用している都市の六割に当たる百四十一都市において、条例による面積要件の引下げが行われているところでございます。  国土交通省といたしましては、引き続き、様々な機会を捉えて制度の周知に努め、市町村による条例制定の促進に取り組んでまいりたいと考えております。
  254. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 これはもう国一律に三百としてしまえばよかったんですよね。固定資産税の減収になるのが嫌だから、市町村は積極的になかなかやらないですよね。  この固定資産税減収に関して言うと、もっと根本的なことがありまして、農水大臣に伺いますが、そもそも生産緑地が指定できる市町村であるにもかかわらず生産緑地制度導入していない市町村がかなり見られますよ。これは特に都市農業を推進する上では、市町村としては大変けしからぬ状態だと思うんですが、やはり固定資産税収が減るのでなかなか重い腰が上がらないというのが実態です。  私のところなんかは、不交付団体が幾つかあるんですね。固定資産税減収に対しては交付税措置があるんですけれども、補助措置なり交付金なりといったものがありませんので、不交付団体においては、この生産緑地制度を入れるインセンティブが全くない状態なんですね。  是非、不交付団体も含めて生産緑地制度を広げていくために、交付税措置以外に、何らかの補助なり交付金なり、直接お金が行って固定資産税減収にならないような手当てが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
  255. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 この生産緑地を含む都市農地は、やはり、農産物の供給はもとより、災害時の避難場所にもなりますし、あるいは農作業の体験の場等々にもなる。そういう意味では、生産緑地を指定して都市農地を有効活用していくということは大変重要なことだと思います。  このため、農林水産省におきましては、平成三十年度に施行しました都市農地の賃借の円滑化に関する法律におきまして、賃借期間満了後に貸した農地が返ってくる仕組みを創設して、農地所有者が意欲ある都市農業者等に生産緑地地区内の農地を貸しやすくするとともに、農地を貸し付けても相続税納付猶予が継続する税制改正なども行って、生産緑地指定のメリット措置を強化したところであります。  また、農林漁村振興交付金によりまして、市町村を含んだ地域協議会等に対しまして、生産緑地における防災兼用井戸ですとか、あるいは農薬飛散防止施設等の整備などについて支援を行っているところでありますが、やはり、生産緑地の指定に当たっては、まずは地域の農業者の皆様のニーズをしっかりと高めていくということが必要でありますし、また、その手続の過程においても、農業者を始めとします地域関係者の同意が必要でありますので、農林水産省としては、まず、これらの施策を通じ、今後とも、国交省とも連携をしながら、普通交付税の交付団体あるいは不交付団体の別なく市町村による生産緑地の指定を支援をしてまいりたいと考えております。
  256. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 生産緑地制度導入されていない市町村に行くと、生産緑地、え、そんなのあるのとびっくりされるんですよね。だから、これは市町村はなかなか動きませんので、農協に、徹底的にやって、町議会議員とかをたきつけてできないかと言うんだけれども、なかなか動かないので、やはり根っこはここのところだと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  少し時間が余っているんですが、最後なので。  野上大臣、昨日、アキタフーズの話はこちらの本多議員が頑張っておられたんですけれども、処分がありました。  ちょっと私、一つ分からなかったのは、大臣は何で一か月分給与を自主返納したんですか。というのは、あれは吉川大臣のときに起きたことで、もう事件の防ぎようはないですよね、今の大臣としては。大臣が何でお給料を返さなきゃいけないかというのが何かいま一つよく分からないんです。  武田大臣は、調査が甘かったという責任は武田大臣の責任だと思います。野上大臣は何に責任を感じて自主返納したんでしょうか。
  257. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 やはり、職員が国家公務員倫理法違反で処分を受けるに至ったということから、省を代表する立場として自主返納をさせていただいたということでございます。
  258. 後藤祐一

    後藤(祐)分科員 職員が何かあると大臣はお給料を返上しなきゃいけないもんですかね。  私は、大臣が不適切なことをしていた、あるいは調査が甘かった、もうちょっと管理をしっかりしていればできたというときは責任を取ってもらいますけれども、そうでないときは堂々としているべきだと思うんですよね。やや良心の呵責があるということなんですか。  昨日、本多委員も、あるいは今井委員もやっていましたけれども、是非補助金の額はきちっと出していただいて、本件についての情報公開、そして調査を徹底していただくことをお願い申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  259. 齋藤健

    齋藤主査 これにて後藤祐一君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査は全て終了いたしました。  この際、一言御挨拶申し上げます。  分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を滞りなく終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。  これにて散会いたします。     午後四時三十二分散会