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2021-02-25 第204回国会 衆議院 予算委員会第六分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会令和三年二月二十二日(月曜日)委員会において、設置することに決した。 二月二十五日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任された。       江藤  拓君    齋藤  健君       原田 義昭君    山本 有二君       後藤 祐一君    本多 平直君 二月二十五日  齋藤健君が委員長指名で、主査に選任された。 令和三年二月二十五日(木曜日)     午後一時開議  出席分科員    主査 齋藤  健君       岩田 和親君    江藤  拓君       鬼木  誠君    斎藤 洋明君       原田 義昭君    山本 有二君       亀井亜紀子君    後藤 祐一君       本多 平直君    屋良 朝博君       山崎  誠君    兼務 串田 誠一君     …………………………………    農林水産大臣       野上浩太郎君    環境大臣         小泉進次郎君    厚生労働大臣      山本 博司君    環境大臣        笹川 博義君    農林水産大臣政務官    池田 道孝君    防衛大臣政務官      大西 宏幸君    政府参考人    (農林水産省大臣官房総括審議官)         青山 豊久君    政府参考人    (農林水産省大臣官房総括審議官)         森   健君    政府参考人    (農林水産省大臣官房統計部長)          大角  亨君    政府参考人    (農林水産省消費安全局長)           新井ゆたか君    政府参考人    (農林水産省生産局長)  水田 正和君    政府参考人    (農林水産省経営局長)  光吉  一君    政府参考人    (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君    政府参考人    (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君    政府参考人    (水産庁長官)      山口 英彰君    政府参考人    (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君    政府参考人    (環境省地球環境局長)  小野  洋君    政府参考人    (環境省水大気環境局長)            山本 昌宏君    政府参考人    (環境省自然環境局長)  鳥居 敏男君    政府参考人    (環境省環境再生・資源循環局長)         森山 誠二君    政府参考人    (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君    政府参考人    (防衛省地方協力局長)  鈴木 敦夫君    農林水産委員会専門員   森田 倫子君    環境委員会専門員     飯野 伸夫君    予算委員会専門員     小池 章子君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   原田 義昭君     鬼木  誠君   山本 有二君     岩田 和親君   後藤 祐一君     山崎  誠君   本多 平直君     屋良 朝博君 同日  辞任         補欠選任   岩田 和親君     山本 有二君   鬼木  誠君     斎藤 洋明君   屋良 朝博君     亀井亜紀子君   山崎  誠君     後藤 祐一君 同日  辞任         補欠選任   斎藤 洋明君     原田 義昭君   亀井亜紀子君     本多 平直君 同日  第一分科員串田誠一君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  令和三年度一般会計予算  令和三年度特別会計予算  令和三年度政府関係機関予算  (農林水産省及び環境省所管)      ――――◇―――――
  2. 齋藤健

    齋藤主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。  本分科会は、農林水産省及び環境省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  令和三年度一般会計予算令和三年度特別会計予算及び令和三年度政府関係機関予算環境省所管について、政府から説明を聴取いたします。小泉環境大臣
  3. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 鬼木議員の時間もありますので、早口で失礼させていただきます。  令和三年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について、その基礎となる環境政策の基本的な考え方を御説明いたします。  環境省は今年、環境庁創設から五十年、環境省設置から二十年の節目を迎えます。この間、水俣病を始めとする公害問題から気候危機へと課題が拡大する中で、環境省は、人の命と環境を守るという環境庁設置以来不変の使命を果たすべく、社会変革担当省として、各省との連携強化し、様々な課題全力で取り組んでまいりました。  現在、コロナ危機気候危機という二つ危機に直面する中で、世界ではグリーンリカバリーなど急速な経済社会変革が進められており、脱炭素の大競争時代に突入したことを認識することが重要です。世界最大投資分野である脱炭素分野技術市場を獲得していくことは、日本成長戦略としても不可欠であると考えます。  環境省としては、コロナ前の社会に戻るのではなく、脱炭素社会循環経済分散型社会への三つ移行を加速させ、持続可能で強靱な経済社会へのリデザイン、再設計を一層強力に進めてまいります。現下の経済状況で苦労されている産業への移行支援を行いながら、移行せずに元の社会に戻ることの方がリスクは大きく、世界潮流から取り残されかねないという認識を国民の皆様、経済界社会全体と共有できるよう、全力を尽くしてまいります。  以下、昨年の進捗を振り返った上で、今後の重点政策として、四つの柱に加えて、国際連携原子力規制について述べさせていただきます。  昨年は、気候変動政策をめぐり、三つのCに風穴が空いた一年となりました。三つのCとは、石炭コール政策見直し、二〇五〇年カーボンニュートラルの宣言、そして環境省が長年検討を進めてきたカーボンプライシングです。  石炭火力発電については、昨年七月に決定したインフラ海外展開に関する新戦略骨子において、相手国の脱炭素化に向けた方針が確認できない場合などは新規輸出プロジェクトへの公的支援をしないという原則へ転換いたしました。  また、さきの臨時国会での菅総理所信表明演説において、我が国として二〇五〇年までにカーボンニュートラル実現を目指すことが宣言されました。  さらに、年末には、菅総理から梶山経大臣と私に対して、カーボンプライシングについて連携して検討を進めるよう指示がなされました。  こうした進展を踏まえ、今年は、環境政策を更に前進させるべく、四つの柱を立てました。一つ目が四本の法案二つ目が国・地方炭素実現会議三つ目カーボンプライシング四つ目福島復興です。  一つ目は、今国会提出予定の四本の法案です。  法案の一本目は、地球温暖化対策推進法改正案です。二〇五〇年までのCO2排出量実質ゼロを目指す地方自治体であるゼロカーボンシティーは既に二百七十自治体を超え、人口規模で一億人に迫ろうとしています。また、民間企業金融機関による脱炭素経営ESG金融取組も加速しています。二〇五〇年カーボンニュートラル法律に明記することにより、こうした取組方向性を確固たるものとするとともに、地域再生可能エネルギー利用促進に向けた円滑な合意形成等を図るための制度を導入したいと考えています。  法案の二本目は、プラスチックに係る資源循環促進等に関する法律案です。循環経済世界の大きな潮流となる中、我が国には、自動車部品を再生して新たな自動車を生産するカー・ツー・カーの実現に向けた取組を始め先進的な技術やソリューションがあります。今回の法案は、プラスチック製品環境配慮設計から使用後の処理まで、プラスチックのライフサイクルにわたり総合的な対策を進めることで、資源循環ビジネス活性化を図り、資源生産性向上を通じて、我が国競争力の源泉とするとともに、世界グリーン成長へ貢献するものであり、いわばサーキュラーエコノミー新法というべきものと考えています。  これらに加え、自然公園法改正案及び瀬戸内海環境保全特別措置法改正案についても提出を予定しています。  二点目は、環境省事務局を担い、官邸で開催されている国・地方炭素実現会議です。  二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた社会変革を進めるためには、今後三十年間のうち、この五年間、十年間が重要です。二〇二五年までの五年間を集中期間として、脱炭素のモデルケースを各地につくり出し、次々と先行地域を広げていく脱炭素ドミノ実現します。そのためのロードマップを策定し、環境省内、省庁間、国地方三つ縦割りを打破して、全力で取り組んでまいります。  具体的には、地域における再エネ導入倍増に加えて、二〇三五年までに新車販売電動車一〇〇%を実現する目標に向けたEV等普及加速や、脱炭素型ライフスタイル普及を進めるための措置を盛り込むべく検討を進めてまいります。  二〇三〇年の排出削減目標については、並行して検討を進める地球温暖化対策計画見直しにおいて、新たな長期目標と整合的なものとなるよう検討を行います。  三点目は、カーボンプライシングです。  今後、五年、十年でカーボンニュートラルに向けた社会変革を進めるためには、技術イノベーションのみでは間に合わず、ルールイノベーションが不可欠です。炭素への価格づけを通じて脱炭素に向けた行動変容を促し、CO2削減への努力が報われるようにするための仕組みであるカーボンプライシングは、有力な政策手法一つです。中央環境審議会での議論を進め、経済産業省連携し、幅広いステークホルダーとも対話を重ねながら、成長戦略に資するカーボンプライシング検討に取り組み、前進の年にする決意です。  四点目は、震災原発事故から十年を迎える福島復興です。  環境省の最重要課題である東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故からの復興に向け、この十年の節目に当たり、福島県内除去土壌等について、二〇四五年までの県外最終処分実現に向けた取組を前進させる決意を新たにし、再生利用県外最終処分に関する全国での理解醸成活動強化するなど、取組を進めてまいります。また、帰還困難区域を除く県内除去土壌等中間貯蔵施設への輸送について来年度末までのおおむね完了を目指すとともに、仮置場の早期解消特定復興再生拠点区域における家屋等の解体、除染福島県内外の指定廃棄物等処理などを安全第一で着実に実施します。  さらに、福島の本格的な復興再生という次のステージに向け、三つの柱を中心に取組を進めます。一つ目福島県産の再生可能エネルギー利用促進等による脱炭素に向けた取組二つ目自然資源を生かした地域魅力向上等風評対策三つ目子供たちへの震災原発事故環境再生の記憶の継承などによる風化防止です。環境省の総力を挙げて、福島県とともに未来志向環境施策推進します。  続いて、国際連携について申し上げます。  世界が脱炭素社会への移行新型コロナウイルスからの回復という二つ課題に直面する中で、元の社会に戻るのではなく、持続可能で強靱な経済社会へのリデザイン世界に発信していきます。その上で、今年の狙いは三点あります。一点目気候変動COP生物多様性COP二つCOPの成功、二点目がパリ協定に復帰したアメリカとの連携、三点目がインド太平洋の脱炭素で持続可能な社会への移行支援です。  第一に、気候変動枠組み条約COP26については、議長国のイギリスとも連携して、市場メカニズムに関するパリ協定六条のルール合意に向けて国際的な議論を牽引していきます。また、COP26までに、意欲的な二〇三〇年目標国際社会に表明します。生物多様性条約COP15については、新たな世界目標であるポスト二〇二〇生物多様性枠組議論がなされる重要な会議であり、その成果を我が国の新たな生物多様性国家戦略検討に反映するとともに、我が国発SATOYAMAイニシアティブ経験に基づき、各国の新たな国家戦略の策定に貢献するなど、国際連携推進します。  第二に、アメリカとの連携です。バイデン大統領は、就任早々パリ協定への復帰手続を取り、気候危機外交政策国家安全保障の中核に据えることを表明しました。アメリカの政権に初めて設けられた二つポスト就任したケリー気候変動特使マッカーシー国家気候担当大統領補佐官とは就任直後から対話を重ねており、四月に開催される気候サミットに向け、日本取組を発信する準備を進めるとともに、今後、具体的な日米間の協力を進めていきます。  第三に、インド太平洋については、今月合意した、インドネシアにおいて我が国が支援する化石燃料に代えてごみを燃やす廃棄物発電の第一号案件を皮切りに、環境インフラ海外展開を通じて、脱炭素で持続可能な社会への移行支援を進めてまいります。  中国については、日中韓環境大臣会合枠組み等活用しつつ、世界全体でのピークアウトを早めるための実効的な取組を促すなど、我が国として各国連携し、世界気候変動対策を主導していきます。  このほか、石綿飛散防止対策PCB廃棄物処理海ごみ対策水俣病対策動物愛護管理等も着実に推進します。  原子力規制委員会については、厳格な原子力規制活動を支える安全研究推進及び放射線モニタリング体制強化を図るとともに、原子力安全確保に係る人的基盤強化等に取り組みます。  最後に、これらの施策を実行するための令和三年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明します。  一般会計予算では総額三千二百三十二億円余を計上しております。  次に、特別会計予算につきましては、エネルギー対策特別会計総額二千十二億円余、東日本大震災復興特別会計復興庁所管予算として総額三千六百四十六億円余を計上しております。  なお、委員のお手元に配付されております環境省所管一般会計予算及び特別会計予算主要施策については、お許しを得て、説明を省略させていただきます。  よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  4. 齋藤健

    齋藤主査 この際、お諮りいたします。  ただいま小泉環境大臣から申出がありました環境省関係予算主要施策説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 齋藤健

    齋藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  6. 齋藤健

    齋藤主査 以上をもちまして環境省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 齋藤健

    齋藤主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願いいたします。  また、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。
  8. 鬼木誠

    鬼木分科員 こんにちは。自民党の鬼木誠でございます。  本日は、予算委員会分科会におきまして、小泉環境大臣質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  私も、二〇一五年に、安倍晋内閣総理大臣丸川珠代当時の環境大臣とともに、環境政務官といたしましてCOP21に参加いたしました。パリ協定の、世界ででき上がる過程に立ち会ったという経験がありますので、こうして日本においてもカーボンニュートラル、そしてカーボンプライシングというところまで議論が進んでいるところ、感慨無量でございます。  そうした中で、本日は、脱炭素地域産業振興ということで質問をさせていただきます。  お互い平和な時代に生まれた同世代の政治家である小泉大臣にも聞いていただきたいメッセージもございますので、是非、質問部分以外はリラックスして聞いていただければと思います。  それでは始めさせていただきます。  私の恩師は昭和一桁の生まれ、日本が戦争に突入し、食うにも困った時代を経て、戦後の復興期教育者として次代を担う人材を育ててこられました。そんな恩師の口癖は、日本の可住地可耕地国土の約三割、資源もない国だ、教育で人を育てることによってしか発展していくことはできないというものでした。  可住地可耕地というのは、人が住むことができる、作物を耕して作ることができる土地、それが三割しかない。山がちな国土で、平野も限られている、できる産業も限られているということであります。  この言葉は本当に日本の本質を言い当てているなとつくづく感じております。住む土地、耕す土地もなく、資源もない、どうやって国際社会と渡り合っていくのか、いや、渡り合うどころか、それ以上にどうやって食べていくのかという国家としての根源的な問いがあるわけです。  戦後、豊かになった日本人は、食料資源が手に入らなくなったらどうしようなどとはこれっぽっちも心配していません。これは先人の努力のおかげです。しかし、我々政治家は、どんなことがあっても国民を飢えさせるようなことがあってはなりません。安全保障上も、食料資源確保は常に万全を期していなければなりません。  私の母方は対馬の出身であります。この島は由緒ある国境の島であり、古来より防衛と貿易の拠点でもありました。この島には、日本安全保障に係る様々な問題が凝縮されています。代表的な出来事として、対馬土地外国人によって買収されていることが挙げられます。海上自衛隊対馬防備隊周辺土地韓国資本によって買い占められていたことから、この問題が注目されるようになりました。  今回私が問題として取り扱うのは、外国人日本土地を買うことそれ自体ではありません。なぜ日本人先祖伝来土地を二束三文で外国人に売らなければならなくなっているのか、その原因と解決法について考えたいと思っています。  なぜ外国人土地を売るのか。それは島に産業がないからです。産業がないから食べていけない、だから島から人が出ていきます。高校を出て、大学に行くため島を出る。大学を出て、島の外で就職をする。親も年を取ったし、親の面倒を見に島に帰ろうと思っても、島で働く場所がない。となれば、親も島の外で引き取ることになり、先祖伝来土地も手放すことになるわけです。  人がいなければ国土が保全できないということに、私たちは目を向けるべきです。そして、人が住むためには産業が必要だということを政治家は考えなければなりません。  かつて、山持ちは金持ち、山は資産であり財産でした。かつての日本人生活は里山とともにありました。昔話でも、おじいさんは山でまきを拾い、おばあさんは川で洗濯をしていました。  ところが、現在、山は経済的な価値を失い、資産というよりも負債、お荷物になってしまっています。所有者がお亡くなりになっても相続登記もされず、全国所有者不明土地が拡大しています。山の手入れもされず、ソーラーパネル設置のためにはげ山になり、崩落事故といった災害も起こっています。  田んぼもまたしかりであります。田んぼはかつて財産であり、稲作は産業であり、生活の糧でありました。しかし、近年、米は作り過ぎれば価格が下がるため減反が行われ、日本人の食生活米離れが進み、食料輸入依存度も高まり続けました。米が作られなくなった耕作放棄地全国に増えています。農業が廃れていけば、農村で暮らしていくことはできなくなっていきます。人が暮らせなくなった国土は保全することができなくなります。  私の問題意識として、全国の山村、離島、条件不利地においても人が持続的に暮らしていける日本にしたい、そのために、地域産業をつくることができないかと考えています。  一方で、これからの日本産業政策はどうなっていくのでしょうか。  パリ協定以来の脱炭素に向けた世界的な動き、日本においても、二〇五〇年までにカーボンニュートラルを達成することを掲げています。  心配なのは、日本経済を牽引してきた自動車産業の行く末です。中国アメリカのテスラが主導して世界自動車が全て電気自動車になれば、世界トップ技術を誇る日本内燃機関技術が水泡に帰してしまいます。部品の点数も多く雇用効果も大きい日本内燃機関の車をみすみす放棄して出遅れた競争に突入するのは、得策とは思えません。実際、日本の経産省も、二〇三〇年までに日本自動車を全て電動化するとしていますが、電動化の中にはハイブリッドもプラグインハイブリッドも含まれております。内燃機関を全て放棄するとはなっていないわけです。  世界に冠たる日本内燃技術を維持し、かつ、CO2を減らすことはできないのか。その解として私が提案したいのが、バイオエタノール活用であります。自然由来燃料カーボンニュートラルであることから、バイオエタノール燃料として車を走らせればCO2が削減できます。  海外では既にバイオエタノール車が走っております。アメリカではトウモロコシを原料としたバイオエタノール、ブラジルではサトウキビを原料としたバイオエタノールが使用されております。世界主要各国ではバイオエタノール混合ガソリンが流通しているため、これらの国に日本が車を輸出するとき、日本自動車メーカーは、当該地域バイオエタノール混合量に応じて、給油対応可能な車を製造、輸出しております。  その背景から、日本でも現時点で、ほとんどのメーカーは、E10対応、燃料に一〇%のバイオエタノールを混ぜて走ることのできる規格の車を販売いたしております。日本ガソリンの一割をバイオエタノールに替えれば、バイオエタノール製造工程にもよりますが、対ガソリン比最大一〇%、CO2を即座に減らすことができることになります。  現在、日本が一年間に排出するCO2は十二億トン、そのうち自動車が排出しているのが二億トン。六分の一になります。様々な前提によりますが、この二億トンのうちの一〇%を削減できれば、一気に二千万トンのCO2が減らせるのです。  ここで、バイオエタノール活用によって、日本内燃技術雇用を維持し、自動車由来CO2を減らすというアイデアに対して、大臣の所見をお聞かせください。
  9. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 鬼木先生から、ルーツや家族の話も含めて、思いを聞かせていただきまして、ありがとうございます。  脱炭素時代というのは、私は、言い換えれば、地産地消型の国づくりをすること、これは食の地産地消とエネルギー地産地消、両方であります。こういったことを考えれば、対馬、そして先生の御地元の九州、大きなチャンスが地方に来る時代でもあると。  そして、日本資源がないというふうに言われますが、再生可能エネルギーポテンシャル、これは日本の総発電量の二倍のポテンシャルを持っています。この、資源がないという見方を覆して、持てる潜在力をフル活用していくという見方が私はこれから大事なんだろうと考えています。  そういった中で、あらゆる分野で脱炭素化を進める上で、先生が御指摘をされたバイオエタノールを含めて、カーボンニュートラル燃料をいかに後押しできるか、これは地球温暖化対策としても重要であります。  我々も、実証事業などの取組が進んでいるのは承知をしていますし、具体的には、電動化が困難とされている重量車などに対して、将来カーボンニュートラル燃料への転換が期待される天然ガストラック導入支援、そして再エネ由来水素を直接燃料に使用する水素内燃機関開発実証、こういったことなどによって、内燃機関活用したCO2排出削減対策を進めることとしています。  御指摘のあったバイオエタノールも含めて、カーボンニュートラル燃料活用した自動車などの普及に向けて、関係省庁としっかり連携をしていきたいと思います。  一方で、国際社会、最終的に脱ガソリンという方に向かう中で、日本世界で売っていく車の方が国内販売よりも多いこと、そういった世界的な動きも見ながら、日本が決してガラパゴスの方向に行かないように、我々としても全力を尽くしていきたいと思います。
  10. 鬼木誠

    鬼木分科員 かつて、バイオエタノール各省で実証実験が行われました。米からバイオエタノールを造る事業に対しては、食べ物を燃料にするとはけしからぬと非難も浴びましたし、また、石油の売上げが減ることを懸念した業界からは、バイオエタノールに混合するガソリンを分けていただくことができないといったこともありました。そうこうしているうちに自民党の政策レビューにひっかかりまして、バイオエタノール事業は全て打切りになったという歴史があります。  打切りに当たりまして、実証事業の評価は、エネルギーとして求められる十分な量を安定供給できるのかということと、石油と価格面で競争できるのかということが指摘されたようでございます。  米由来のバイオエタノールでは、飼料米と同額の補助をもらえば、燃料米も事業として採算が成り立つというデータが取れたと聞いております。  さらに、その後、安定供給、量の問題ですが、日本にも新技術が生まれまして、バイオエタノールの採取は米からという一本足打法だけではなくて、有機物全般から取り出せるようになりました。それは、積水化学さんが開発した、全ての有機物からバイオエタノールを造ることができるという技術です。  この技術を用いれば、ごみエネルギーに変わるんです。対馬でいうなら、漂着ごみプラスチックごみ資源になります。市町村でいえば、集めて、分別して、焼却していた、コストだらけのごみ資源に生まれ変わるわけです。ごみは自治体にとってコストでしかなかった。しかも、燃やせばCO2を排出していた。それが、ごみを燃やさずにエネルギーに変えることができる。コストだったものが資源になるのです。  なぜ積水化学がこの技術を開発したかというと、石油を原料とする化学・プラスチック産業が脱石油の世界で生き残っていくためには、カーボンフリーのプラスチック原料を生み出すしかなかったんですね。日本中のごみをこの製法でバイオエタノールに変えれば、九百万トンから一千百万トンとも言われる日本プラスチック需要に全て応えることができると計算されています。  ごみバイオエタノールに転換するというこの技術の将来性について、大臣の見解をお聞かせください。
  11. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 政府としては、導入目標を設定して、様々な施策などを通じてバイオエタノールの導入を進めており、現行のエネルギー基本計画や地球温暖化対策計画の中でもバイオエタノール活用が位置づけられています。  環境省では、平成三十年度から令和四年度までの予定で、廃棄物焼却施設の排ガス中のCO2を原料として、水素を利用して反応させてエタノールを製造する事業について、岩手県久慈市に実証プラントを新設して実証を行うこととしており、現在実証プラントを建設をしているところであります。  実証事業を通じて、この技術の有効性を確認するとともに、引き続き、廃棄物焼却施設の排ガスの活用について、革新的技術の開発や実証事業を通じたスケールアップ、コスト低減を図り、実用化を進めるなど、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けた取組を進めてまいります。
  12. 鬼木誠

    鬼木分科員 さらに、私がバイオエタノール原料として着目するのが木材です。これがまた地方の振興につながります。  先ほど、山林が価値を失い、相続登記さえされない、山が荒れ果てて災害を起こす原因となっていると問題提起いたしました。山が資産に生まれ変わるには、伐採した木に価格がつくこと、経済上の出口があることが必要です。何にも使えず処分費用だけがかかっていた間伐材を、バイオエタノールに転換することによって経済的価値を生み出すことができないかと私は考えます。  幸いなことに、これから森林環境税が導入されます。これを財源に、林道を開き、製材所を造り、間伐を行い、木を運び出す。その間伐材を先ほど述べた有機分解プラントに持ち込めば、木材由来のバイオエタノールができ上がります。バイオエタノールは石油の代替燃料、代替原料になり得るので、これが市場で流通し出せば、バイオエタノールを生み出す間伐材も価値が生まれます。山が資産になる日が来るのです。もちろん、木材同様に稲わらもバイオエタノール原料となります。こうして里山にあるもの全てがサステーナブルな循環を構成していくのであります。これはまさに環境省が提唱してこられた地域循環共生圏ではないでしょうか。  バイオエタノール活用による地域循環共生圏の実現に向けて、実証モデル地区をつくっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。そして、中期的には、地域循環共生圏の全国拡大に向けて、所要の法改正、また、事業者への支援等において農水省、経産省等と連携していくことについて、大臣のイニシアチブを期待いたしますが、所感をお聞かせください。
  13. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 まさに今、鬼木先生に触れていただいたことをやっているのが、官邸につくられて環境省が事務を担っている、国・地方炭素実現会議の場であります。五年間で、カーボンニュートラルの先行的なエリア、このモデルケースづくりをしていく中で、先生が今触れられたような先進的な地域、エリアを創出をしていきたい。  似たような話ですと、例えば岡山県の真庭市は、木質チップ、これを活用して、地域の中で、いわば山をエネルギーファームというふうに捉えて、そういった資源循環、そして、資金も地域に回る形を今模索をして、非常に先進的なまちづくりをやっています。  こういった、地域が循環をする形の、環境省が言う地域循環共生圏、こういったものを一つ一つつくり上げていくことが、結果として、脱炭素ドミノを起こして、カーボンニュートラル実現に達成する、そういったことにつながると思いますので、いいアイデアを、農水省、経産省、各省連携をしてつくっていきたいと思います。
  14. 鬼木誠

    鬼木分科員 私も、このバイオエタノールについて、いろんな勉強会を立ち上げまして一生懸命研究をしてまいりました。当時、農水大臣だった江藤大臣にも提言書をお持ちいたしまして、見ていただいて、こんな課題があるんだよ、ここが乗り越えないといけないんだよ、いろんなアドバイスもいただいて、当時の経産大臣にも提言書を持っていきました。そして、今日は小泉大臣にも聞いていただきました。  本当に、カーボンニュートラル時代がやってくるという中で、循環可能な社会、そして、地域に人が豊かに暮らしていくことができる日本というものを、この循環の中でしっかりつくり上げていきたいと思いますので、是非御理解いただきまして、今後も更によろしくお願いいたします。  本日は、質疑、ありがとうございました。以上で終わります。
  15. 齋藤健

    齋藤主査 これにて鬼木誠君の質疑は終了いたしました。  次に、山崎誠君。
  16. 山崎誠

    山崎分科員 皆さん、こんにちは。立憲民主党・無所属の山崎誠でございます。  今日は、環境省小泉大臣質問できるということで、大変楽しみに参りました。是非建設的な、私は基本的に今日のスタンスは環境省応援団でございます、とにかく、今、菅政権が掲げたカーボンニュートラル、これをどう実現していくかという、これをやはり環境省のスタンスとしてしっかりと打ち出してもらいたいというのが私の第一の願いであります。  というのは、今、私、経済産業委員会にずっと長らくいますけれども、経済産業省も頑張ってやっていますけれども、やはり時代の流れ、今、グリーンリカバリー、グリーンニューディール、環境というこの言葉の捉え方がやはりまだまだ狭くて、私は、環境省的な地球規模の環境保全という大局からやはり議論をしてほしいというのがすごい思いなんですね。そういった意味でちょっと今日は質問を組み立てましたので、議論できればと思います。よろしくお願いします。  ちょっと順番が前後しますが、一つ、森林火災が今起きていて、大変心配です。栃木県の足利市の森林火災、四日間たったんですかね、まだ消えていないということで、三十世帯に避難勧告も出ているということでございます。この原因については、是非環境省的にも分析をしていただいて、乾燥が異常に進む、風が強く吹いたというようなこともありますが、やはり環境自体が変化をしている中でこういった火災も起きているのではないか。  言うまでもありませんけれども、森林は極めて大切なCO2の吸収源でもありますし、生物多様性の源でもありますから、環境省としても是非この森林火災、そして大事なのは、この後の再生についても、林野庁任せではなくて、是非環境省としても、いろんな研究あるいは取組を進めていただきたいと思っております。  ちょうど同じ栃木県の足尾町で、森づくりをずっと私も手がけております。森びとプロジェクト委員会という組織があって、ここが、足尾銅山の煙害で木が本当に枯れてしまったエリア、鉱害の大変傷が残った山を、ずっと十年以上かけてこつこつと森づくり、苗木を育て、植えてということで、森が大きく育ちました。  私は、こういう、市民参加で、そして本当に、地域の自然を生かしながら、潜在植生という言葉があります、地域の木を地域環境に合わせて植えていく、そして、要するに、元にあった自然を回復をしていくというような取組をやっております。  今お願いしました、是非、山火事の現場なども御視察いただきたいですし、その際には、こうした森づくりにも関心を寄せていただいて、是非視察などをいただきたいと思うんですが、御所見あったらお願いします。
  17. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 今、山崎先生がおっしゃった、森林というのは吸収源としても非常に重要ですし、我が国三分の二は森林ですから、この価値を、先ほど鬼木先生の方からは、産業的な、経済的な観点からもありましたが、非常に大切なものだと思っています。  一方で、環境省は昨年六月に気候危機宣言を行いました。もはや気候変動は気候危機のレベルであると。世界を見れば、アマゾン、そしてオーストラリア、カリフォルニア、様々なところで、今までだったらあり得ない規模の山火事も発生して、そして今日本で、山崎先生がおっしゃったようなことも起きている。  まだその原因というのは私は詳細には確認をしておりませんが、いずれにしても、これから、自然と共生をして経済と環境一つになる、こういった時代が来る中で、先生が取り組んでおられるこの足尾銅山跡地の森づくりのプロジェクト、宮脇先生も関わられているということで、私も、東日本大震災復興の過程で、宮城県で一緒に植樹をさせていただいたこともあります。  地域環境を再生をしたり守ったり、こういった一つ一つの活動が日本気候変動対策や自然を守る取組を支えていただいております。環境省としては、そういった取組を、ウェブページなどで活動の紹介もしながら、国民全体でカーボンニュートラルの新たな社会をつくるという取組を促していきたいと思います。
  18. 山崎誠

    山崎分科員 ありがとうございます。本当におっしゃられたとおりでございまして、エネルギーだとかそういった分野、この後議論しますけれども、大事ですけれども、それとともに、やはり地域を、環境を守っていく、そしてその中で環境のことをみんなが考える、そういうきっかけにもなってきますので。是非、資料もつけました、ありがとうございます、言及いただきましたので、参考にしていただければと思います。  それでは、一番に戻りまして、カーボンニュートラル、この目標についての議論を進めたいと思います。  冒頭申し上げたとおりでありまして、カーボンニュートラル目標設定について、私はもう大賛成でありますし、世界潮流にようやく重い腰を上げたかなということで、私どもは評価はしつつも、もっと前向きに、これからもっと前に進んでいかなければいけないと。そして、これはまさに成長戦略でありまして、決して環境は負の性格のものではないということで、こういった考え方についても大賛成です。  問題は、カーボンニュートラルを、どう持続可能で、そして成長の戦略としていいものにしていくかというお話だと思います。  私は、例えば、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略をつくった時点で、グリーンイノベーション戦略会議ですか、こういったことが起こっていく中で、環境省はどういうふうに参画したのということをお聞きしました。残念ながら、経産省主体で、事務局で、環境省も入ってやっていたのは分かります、農水省が入り、それぞれの分野で意見を出し合うというのは分かりますが、全体の組立ての中で、環境省の立ち位置というのは、私はもっと強くてもいいのではないかなというふうに思っています。  この後、この戦略から次、エネルギー基本計画に移ると思うんですよね、議論が。このエネルギー基本計画の立案に向けて環境省はどういうふうに関わるのか、どういう発信、リーダーシップを発揮していくつもりなのか、小泉環境大臣のお考えを聞きたいんですけれども。
  19. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 まず、グリーンイノベーション戦略含めて、経産省との中での環境省の関与の在り方、また存在感ということがあったと思いますが、私も環境大臣になってからいつも悩んでいるのは、気候変動対策を進めようと思ったら、エネルギー政策が思いっ切りぶつかってくるわけです。しかし、環境省は、そのエネルギー政策は所管じゃないんです。気候変動政策を、全体を取りまとめるのが環境省なんですね。  だから、どのように我々がアプローチをすると、エネルギー政策と気候変動政策を整合性のとれたもので、かつ国際社会にも胸を張って持っていくことができるのか、これは恐らく、環境省の永遠の悩みだと思っています。  そういった中で、我々としてはしっかりと、気候変動政策の観点から我々の主張をしっかりとして、一方で、環境省にしかできないことで我々の力を総動員をさせるべきだ、この資源の、我々の持っているリソースを分散させることではなくて、選択と集中が不可欠だという考え方でやってきました。我々が地方自治体に目を向けて、先行的なカーボンニュートラルのエリアを自治体と一緒につくっていくという、ある意味、草の根から自治体の皆さんと一緒に二〇五〇年の宣言を高めてきて、今一億人の規模まで迫ったこと、私はこういった環境整備も、今までなかなか日本が踏み切れなかった二〇五〇年カーボンニュートラル環境をつくったと思います。  これからも、エネルギー基本計画の議論がある中で、我々、経産省の資源エネルギー調査会、この分科会環境省からもオブザーバーという形で入っていますし、菅総理もよく政府全体で決めていくという話をしています、必要な主張をしっかり行ってまいりたいと思います。
  20. 山崎誠

    山崎分科員 率直な御意見だと思って、非常に心強く思いました。  是非、私は、菅総理大臣縦割り打破という言葉を使われていますよね、こここそ、そういう垣根は越えないといけないと思うんですよ。それで、地方から攻める。私は、攻め方としては大変すばらしい。ボトムアップで、地域地域取組を応援することで実績を上げていってしまう。実績を上げれば文句ないだろうという攻め方は、私はとても、ある攻め方だと思うんですが、心配しているのは、やはり、エネルギー基本計画のようなもので実績にキャップをかけられてしまう。例えば、再生可能エネルギー、二〇五〇年に五〇から六〇%。これはキャップではない、ないと、そういうふうに経産省の方は言うんですが、そうなっているんですよ、現実の動きを見ると。  なので、私は、やはり、エネルギー基本計画なりそうした根本的な部分、国の大きな枠組みの部分でやはり正しい方向性環境省主導で引っ張っていってもらいたい、そう強く思っています。  関連してお聞きしたいのは、地球温暖化対策計画です。これは、環境省が主導をして、これから改定をしていくということであります。  地球温暖化対策計画とこのエネルギー基本計画の関係なんですよね。事務方の方とお話をすると、並行して調整をしながら決めていくよみたいなお話でありました。  現状はそういうことなんだと思うんですが、ここは私は、小泉大臣には、遠慮しないで、この地球温暖化対策計画の中にエネルギーのあるべき姿みたいなものも思い切って書き込んでほしい。もっと言うと、温対計画が上にあって地球環境を守る、これは持続可能な地球をつくっていくという意味では大変大きな課題でありまして、それに対して、エネルギー政策というのは大事ではありますけれども、温対計画、地球を守るという中からいえば、その一部のパーツです。私は、温対計画をきちっと皆さんの方で固めて、それに従って、環境制約の中で、エネルギーはこうあるべきだ、こういうふうに使っていく、生み出して使っていくべきだ、そういう流れをつくるべきだと思うんですよ。  その発信を是非、環境省には、この際、チャンスですから、打ち出していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  21. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 我々、再生可能エネルギーについては二〇三〇年に倍増ということを言っています。これも相当なことですよ。二〇三〇年に二二から二四%と今まで言っているのを、我々、倍増だというふうに言っているんです。知事会とか経済同友会とか、あとは経団連の加盟企業の幾つかの皆さんが集まっているJCLPとか、こういった皆さんは大体四〇%から五〇%を求めています。その中で環境省は倍増と言っているわけで、まさに高い意欲を示して、この日本の中で総発電量の二倍のポテンシャルを持っているのが再生可能エネルギーですから、私は、まず基本的な立場として、この二倍のポテンシャル最大限生かすということがまず基本としてあって、政策が進められるべきであろうと。  昨日も、経済財政諮問会議に出席をして、そのことを申し上げてきました。私は、確実に、環境省が今まで言ってきたことが、環境省だけが相変わらず言っているねというところから政府全体の動きに変わってきたと思います。このカーボンニュートラルの動きも、今まで環境省が言っていてもなかなか実現をしなかったところが菅総理によって成って、カーボンプライシングについても、今まで言葉に出そうものならもうそこで土俵にも上げてもらえない、これがようやく、総理の指示の下に、経産省と環境省連携して議論できるようになりました。  それに、今、経団連の中西会長も、もう脱炭素環境が最上位だ、スリーEプラスSと言うけれども、まずは脱炭素環境だと。まるで環境大臣のような、そういう発信をされる経団連の会長は今までいなかったと思いますよ。我々環境省は、経団連と今までなかった連携合意書を交わして、定期的な意見交換を今重ねています。  こういったことで、私は、環境省、ほかの省庁と比べれば小さい存在かもしれませんが、その持てるリソースを最大活用して、政府全体、社会全体の動きに変えていくスタートが始まったと。是非これからも後押しをお願いしたいと思います。
  22. 山崎誠

    山崎分科員 大変前向きなお話だと思うんですが。  私は、そのお話の中で、例えば二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン戦略、この中身が何でこうなってしまうんだろうというふうに思うんですよ。  例えば、再生可能エネルギーの導入、参考値とはいえ、二〇五〇年、五〇から六〇%。私、これは完全に誤解しました、二〇三〇年だと思ったんです。ええっ、二〇五〇年ですかと。そして、もう一つはやはり原子力CO2回収前提の火力発電所、これも参考値ですけれども、三〇から四〇%ということ。  例えば、省エネだとか、需要サイドのもっと切り込んだ政策が何もない。例えば再生可能エネルギーも、目玉は風力発電ですよね。これではちょっとどうなんだろう、今の大臣の意気込みをのせるのであれば、もっと違ったグリーン戦略になっていたんじゃないかと。非常に残念です。  もうお話あったとおり、ポテンシャル調査、私もいつも参考にしています。環境省、何度も出してくれて、改定しながらいいものになって、要するに、導入可能性、経済性なんかも見ながらきちっとはじいた数字が、例えば発電量の二倍のポテンシャルがあるんだよと。これをうまく使わない手はない。今、大臣おっしゃっていただきましたから。これを入れたら、二〇五〇年、五〇%ではないと思うんですよ。やはりこれは八〇%なのか九〇%なのか。  残りの若干の部分というのは難しい。例えば、最終エネルギー消費でいえば、本当に高温の熱を使う産業界だとか、あるいは動力でも、運輸でも大型トラックをどうするんだとか航空機をどうする、若干残るのは分かるんですよ。  でも、大まかに言えば、ほとんどの部分は、やはり再生可能エネルギーをうまく活用することで、蓄電池なども入れれば十分にやっていけるというのは恐らく同じ共通の認識でいらっしゃると思うので、これを、このままの議論エネルギー基本計画に持っていかせないというのが、私は、今日の先ほどの小泉大臣決意の表れであってほしいというふうに思っております。  続けて、化石燃料の利用についてです。  これは、小泉大臣にとってはちょっと耳の痛いお話だと思います。石炭火力発電。横須賀、お膝元で何でこんな環境負荷の高いものを造らせるんだということはいろんなところで多分お話を聞いていると思いますが。私は、残念ながら、やはりこういう計画については何とかやめてもらいたいし、石炭火力に頼らなくても十分にエネルギー供給の絵は描けると思います。  石炭火力発電所についてのお考えをお聞きしたいんですけれども。
  23. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 このままじゃいけないと思わなかったら、安倍政権の環境大臣としてあそこまで石炭火力の政策の変更に取り組まなかったですね。  私、国際社会でも、あのCOP25に行って、本当はあのCOP25の前までに経産省や環境省、関係省庁と一緒に何とか石炭政策の見直しにこぎ着けていければ一番いいと思っていました。残念ながらそれが実らなかったので、あのCOP25の場で、石炭火力に触れる必要はなかったんですよ、だけれども私は、いや、これは世界日本に何を聞きたいかといったら石炭をどうするんだという話だから、これはあえて触れようということで触れて、御承知のように、あれだけ批判をされて。  だけれども、私は、結果よかったと思っているのは、そのことで、その後、一気に国会石炭議論が始まりましたよね。それまで、日本エネルギー政策は間違いなく原発ですよ。だけれども、国際社会、気候変動の関係からいえば絶対石炭なんですよ。この議論が始まって、ベトナムのブンアン2の話もあって、問題提起をして、そして七月に、海外に対してこれからは原則支援をしない、国内のものは経産省梶山大臣が二〇三〇年に向けて非効率なものはフェードアウトをすると。こういったところにこぎ着けることができたことが、結果として、菅総理カーボンニュートラルの宣言ができる環境をつくったと思いますよ。  ですので、石炭火力に対して、一番CO2排出の多い電源ですから、これがこのままではいけない、世界も同じような方向で今見ている、だから再生可能エネルギー、二倍のポテンシャルを生かすことが基本である。私は、その立場に変わりはありません。
  24. 山崎誠

    山崎分科員 私は、そう考えたときの新増設というのは、やはり矛盾していると思うんですよ。いや、もちろん、非効率をやめる、これはもう当然やるべきことだと思いますよ。だけれども、ここから新増設をしてしまえば、また三十年、四十年、本当、動かさないといけないですよ。それでなければ座礁資産と言われるような形になってしまうから。  これは大臣の一存でどうにもなる話ではない、大変厳しい状況の中でもがかれているんだろうということで推測をしまして、理解はできないですが、残念ながらこういう状況なのかなということです。  その中で、よくある議論で、CCS、CCUのお話です。これがあるから化石燃料を使っていけるんだという考え方。  例えば、石炭火力発電所をこれから新増設するに当たっても、これがあるので、回収すればCO2の影響を小さくできるんだという考え方がありますが、これについては、私はもっと慎重に議論すべきだと思うし、実現可能性がどうなんだろう、それがいつのタイミングで実用できるんだろう、そのときの経済合理性は本当に大丈夫なのか。  この間JERAさんにお話を聞いたら、CO2を日本で回収をしたら、それを船に積んで海外の適地に持っていって処理をしてもらうと言っています。これが経済的に成り立つのかどうか。燃料を輸入して燃やす、倍かかりますよ、単純に考えて。そういう作業を経済的に入れることができるのかどうか。そんなことも考えると、やはり今、石炭火力などは造れない、動かさないというのが、私は結論にならざるを得ないんだと思うんですね。  それから、CO2の回収のお話は、御存じだと思います、資料の四にもつけましたけれども、要するに、オーバーシュートの問題があって、例えば、二〇三〇年あるいは二〇四〇年、二〇五〇年に技術が誕生するから、技術が実用化できるから大丈夫なんだ、だから今使っているというのは、CO2をその間にどんどん出してしまえば、要するに、総量としてのCO2はその間に増えてしまって、オーバーシュート、もう戻れないところまでいってしまうよ、地球温暖化が更に先に進んでしまうよというのが基本的に国際的な考え方で、IPCCもそういう考え方を取っているわけで。  だから、CO2回収技術、将来の技術に頼って今排出を許すということは、あってはいけないと思うんですよ。そう考えると、やはり石炭火力というのは非常に負荷が高くて問題が大きいんですよ。どうですか。
  25. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 いや、先生が言っていることはよく分かります。  そして、今日、前任の原田環境大臣もいらっしゃいますけれども、歴代の環境大臣、みんなそういうことを考えていたと思いますよ。しかし、止めろといったって権限がないんですから。その中で、環境大臣として、環境省として、持てる限りのツールを活用して、世の中をより脱炭素に変えていかなければいけないという積み重ねで、ようやく、先輩方、先人たちの蓄積もあって今ここまで来たと思います。  石炭についても、私もJERAの話を聞いたことがあります。CCUSや、また水素を混ぜたりアンモニアを混ぜたり、こういったことをやるというのはコストアップ要因ですよね。このコストアップ要因も含めて、これから再エネは下がっていく一方で、本当にコストとして競争力がのるんだろうか。これはまさに事業者の判断ですよ。  でも、我々としては、原田大臣のときに、この石炭火力に対しても、環境大臣として言うべき厳しい意見はもう既に述べています。そして、これからも、その事業者の取組、これはしっかりとフォローアップをしていきます。  そういった中で、我々、どこに問題意識を持っているかというと、残念ながら、日本のこれからの電源構成別の価格の推移みたいなものも、いろんな専門家の方から話を聞くと、このままだと、ほかの再生可能エネルギーのコストと既存の石炭とかと比べたら、既存の石炭が安くあり続けた場合、再エネとかというのは十分入らないですよね、競争力を持たないですよね。だから、何が必要かというと、全体のルールを変えなきゃいけないから、カーボンプライシングという、このルールイノベーションが必要だという思いを持っています。  なので、イノベーションとか技術分野で、日本というのは物づくりが好きなので、ついついイノベーションというと物づくりのイノベーションで、いつ実現するか分からないことに頼りがちなんですけれども、私の立場は、物づくりのイノベーションも大事かもしれないけれども、それだけに頼って二〇三〇年は描けないからルールイノベーションが必要だ、それはカーボンプライシングも含めた社会ルールを変えていかなければいけない。  まさに、この石炭についても同じように、私は先生と思いは同じだと思いますので、環境省として、できることをしっかりと世の中にも伝えた上で、これから脱炭素の方向と逆行しないような方向性を、環境省としてはしっかりと見てまいりたいと思います。
  26. 山崎誠

    山崎分科員 ありがとうございます。  カーボンプライシングが私も一つの大きなツールだと思うので、そうしたものを使ってまとめていくというのは一つの大きなお話だと思います。  あとは、やはり私は、環境省としてどういう計画を作っていくか、全体の、CO2のマネジメントというか環境のマネジメントというか、そういった指針、方針を是非打ち出しながら誘導していっていただきたいなと思います。  これは、繰り返しになりますが、やはり経産省と環境省の中で、環境省に主導権を是非取っていただきたい分野ではあると思いますので、いろんな手法はあると思います、是非御活用いただければと思います。  本来は、原発のお話をいろいろお聞きをしたかったんですが、残念ながらちょっと時間がなくなりましたので。  私は、原発依存、これについても、やはり環境省としてお聞きしたかった。東京電力福島第一の原発事故除染の作業などを管轄をされている、あるいは規制行政を担当している環境省にあって、原発というものを改めて再認識していただいて、どういうふうに受け止められるのか。  今の風潮は、要するに、CO2、原発は発電するときに排出しないのでクリーンなエネルギーですというあの文句がまた戻ってきて、カーボンニュートラルのためには原発を使わなきゃという動きもあると思うんですよ。  だけれども、環境省サイドから見たら、あれだけの環境汚染をしてしまった、まだあの汚染土壌どうするか分からない、ALPS処理水どうするんだ、海に捨てるのか、究極の環境汚染の可能性がまだ残っている。使用済み核燃料をどうするんだ、こういうことを、大きな環境というサイドから見ても、やはり原発は環境に負荷を与え過ぎる。CO2も悪いけれども、放射能、原発がもたらすそうした環境汚染というのも、やはりちゃんと目をつむらずに評価をして、そして原発政策というのを決めていただきたいというふうに思っております。  時間がないので、御答弁はいただきません。  最後、私は、お父様、別人格と言わないでください、よく講演をお聞きしております。クリアに原発の問題点を指摘され、そして、原発がない、自然エネルギーでやっていけるんだというビジョンをお示しになっていて、多くの聴衆の皆さん、国民の皆さんはやはり引きつけられて、すばらしいと思っています。  何がすばらしい、やはり政治家が、本物の政治家が本気で語ることが、このエネルギーの政策、例えば原発、この問題についてきちっと判断をして、自分が責任を取る、自分が間違ったことは改めて、これをやり切るんだという意思が、やはり人を動かし国を動かし、私は産業界も動かすんだと思うんですよ。  その力のある政治家がやはり私は小泉さんだと思うので、原発についても今感じられているようなことを今すぐ、例えば石炭火力でも同じです、苦労されていると思いますけれども、是非、次の世代、次の時代の扉を今開けるときだと思いますので、小泉大臣を私も応援をして、原発をできるだけ早く止めて、そして自然エネルギーをもっとたくさん入れて、そういう持続可能で環境にも優しくて本当に日本、誇らしい、世界から褒められる、そういう国にしてまいりたいと思いますので、最後、一言どうですか。
  27. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 温かいエールをありがとうございます。  一閣僚でありますから、私が詳細に述べることは控える部分もありますが、先生と思いは同じ方向を見ているはずです。  私の中で、これだけ再生可能エネルギーの導入を増やさなければいけないと言っているのは、結果、主力電源化という、この五文字を、本当に主力にしていくだけのポテンシャルをこの国は持っているわけです、二倍あるわけですから。よく日本資源がないということを当たり前のように言われますが、私は、この環境省の持っている二倍のポテンシャルを見たときに、資源は倍あるじゃないかと。この認識を改めて多くの方に共有していただいて、そこから始めることが、結果として、日本が持てる資源を生かして、日本の中の歴史的な命題であるエネルギー安全保障の確立にも私は資する方向性だと考えています。  ですので、私が大臣になったのが二〇一九年ですけれども、あのときから比べたら、石炭も前に一歩動いた、カーボンニュートラルも動いた、カーボンプライシングが総理の指示の下で議論するようになった。着実に今までと議論の次元が変わってきましたから、この歩みを決して止めることなく、頑張っていきたいと思います。  温かいエール、ありがとうございました。
  28. 山崎誠

    山崎分科員 ありがとうございました。期待しております。  終わります。
  29. 齋藤健

    齋藤主査 これにて山崎誠君の質疑は終了いたしました。  次に、屋良朝博君。
  30. 屋良朝博

    屋良分科員 立憲民主党・無所属の屋良朝博でございます。  今日はよろしくお願いします。お時間をいただきまして、本当にありがとうございます。  私は、有機フッ素化合物の汚染の問題について質疑をさせていただきたいと思います。  ついおととい、アメリカ時間の二月二十二日ですのでこちらで二十三日なので、ついおとといですけれども、アメリカ環境保護庁、EPAが、フッ素化合物から国民の健康と環境を守るためにという目的で全米規模で本格的な対策を講じるという方針を表明し、今後二か月かけてパブリックコメントを募集する取組を始めるという発表がありました。  パブリックコメントの向かう先には、有害物質としての指定があるというふうに言われております。これは、バイデン大統領が、大統領選挙のときに、有機フッ素化合物を有害物質として指定するんだというふうな公約を掲げて、環境政策として非常に重視した課題であります。有害物質に指定されると、その汚染責任者が全ての除去作業、その費用も含めて負担を負わされるというかなり厳しい規制が行われる予定であるというふうなことでありますけれども。  このバイデン大統領の公約実現に向けた動きを、日本環境行政、とりわけ小泉大臣はどのように御覧になるのかというのをまず伺いたくて、バイデン大統領のこのチャレンジと連動すべきではないかと私は思うんですけれども、御所見をいただきます。よろしくお願いします。
  31. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 屋良先生には、以前の委員会でもこの件を御質問いただきました。  今回、アメリカバイデン大統領就任をされて、様々大統領令などを出されています。パリ協定への復帰も含めて動向を注視をしていきたいと思いますが、現時点で分かっていることは、バイデン大統領が選挙時の公約でPFASの有害物質への指定や飲料水における規制の設定など、PFASに関する取組強化していくことを公表していて、アメリカの飲料水基準を定めている環境保護庁、EPAが、飲料水中のPFASに関して、科学的な知見及び公衆衛生や環境保全のための権限に基づき取組を進めていくこととしている、そういうふうに承知をしています。  環境省としては、引き続き、アメリカを始めとするPFASに関する国際的な動向について情報収集していくこととしたいと思います。
  32. 屋良朝博

    屋良分科員 大臣、恐らくアメリカは、不可逆的にどんどんどんどん対応を強化していくだろうなというふうな状況がございます。  その動きに火をつけた一つの要因として、ドキュメンタリーフィルム、映画が公表されまして、今ここへ持ってきておりますけれども、「DARK WATERS」という映画がこの問題を、実態を明らかにしたんですよ。  これはどういう中身かというと、アメリカの化学製品大手のデュポン社の顧問弁護士が、デュポン社の工場周辺の人たちの健康被害とか障害児の出現とかといったことと、デュポン社が出している汚染物質との因果関係を暴露していくという、実話に基づいた映画なんですね。それが上映されて、国民的な関心を呼んだ。正義が貫かれたという、何とも言えない、すかっとするような中身なんですよ。  もし大臣、御覧になりたければ、私、お貸ししますので、是非御覧になってください。  その結果、デュポン社は、健康被害を訴えられた三千五百五十件の訴訟で、合計七百億円余りの支払いをして和解をするという、そんな状況にあるので、これは大きな社会問題になっている。そういう状況なので、バイデン大統領はこれを公約として掲げ、それで今、実現に向けて取り組んでいるということなんですね。  日本の暫定指針値は、論理的に言えば、アメリカが動けば日本が動かないといけないというふうな、これまでの議論の経過をたどれば、そんな状況になっているはずなんですね。国民生活を守るために一刻も早く対応すべきだけれども、アメリカ取組を、アメリカ取組だからということでそれを傍観しているのか。  日本がつくった暫定指針値が、アメリカの基準を引っ張ってきて、引用して、日本人の体重だとか一日当たりの飲料水の摂取量とか、そういったものを掛け合わせて出したのが今現在の暫定指針値、五十ナノグラム・パー・リットルなんですね。だから、アメリカが厳しくすればそれは自動的に日本も対応せざるを得ないという議論の経緯があるので、私は、これは自然に、世界的にも、ストックホルム条約で、地球上からなくしていこうという物質なので、対応しないといけないというふうに思っておりますけれども、改めて大臣のお考えをお聞かせください。
  33. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 DVDをお貸しいただけるということなので。いただけないそうなので、見たら返しますので。ありがとうございます。  水の水質環境基準については、国内やWHOなどの国際機関における毒性情報などに関する科学的知見及び国内の水環境中の検出状況、生産、使用等の実態等を踏まえて物質を選定することとされています。  PFOS及びPFOAについては、国際的にも毒性評価や目標値などの設定が行われており、一定の知見が集積しつつあるものの、毒性評価の値は各国、各機関において相当のばらつきが見られているなど、現時点で明確な値を設定することは困難でもあります。  引き続き、今先生がおっしゃったようなアメリカの動き、国際的な動向を、国内における検出状況なども注視をしつつ、必要な見直しがあれば、必要に応じて見直し検討したいと思います。
  34. 屋良朝博

    屋良分科員 申し訳ございません、このDVD、インターネットで買い求めまして、これは日本に売っていなくて、ちょっと苦労したもので、済みません、お貸しすることしかできませんので、申し訳ございません。  今大臣御答弁をされた、知見が余りというか、各国、各機関でばらつきがあるとか、WHOが確たる基準を持っていないとかという議論は、実はもうずっと前からあるんです。だけれども、もう実態が進んでいますよということで御決断いただいたのが、実はこちらにいらっしゃる原田先生なんですよ。原田先生がこの問題を、これは政府全体で取り組まぬといけないというような御認識を委員会で述べられて、それからだあっと対応が進んで、今、暫定という言葉がついていますけれども、指針値とか目標値とかというものができ上がった。  当時、同じ議論だったんです。誰もこの問題、そこまで政府が動いてくれるなんということは予想していなかったんですよ。ところが、やはり政治のイニシアチブ、これが大きく大きく事態を動かしていった。だから、日本でも正義が貫かれた瞬間だというふうに、今振り返ると思っておるんですね。  だから、原田大臣のあの一言が、このPFOSに絡む、PFOAに絡む日本環境行政を大きく動かしたと今も思っています。  その結果として、環境省全国調査をして、去年の六月にその結果を発表しているわけですよ。お配りしました資料にその結果を、一覧を載せておりますけれども、百七十一地点を調査したところ、三十七地点で暫定指針値を超えていたということです。これは一部をピックアップしたんですけれども、全国に及ぶんですね。しかも、最高値を示したのは大阪の摂津市、淀川地域なんですよ。これは指針値の三十七倍です。三十七倍というのは大変な数値でして。  これが何でアメリカでデュポン社周辺の汚染が問題になったかというと、これは発がん性物質である、しかも障害児、低体重児が生まれる可能性があるということで、みんな深刻に受け止めているということが実態でありまして、これは全国で広がっているということが環境省の調査からも裏づけられているということです。  だから、この問題を最初に政府全体で取り組むべきだという判断をなさった当時の原田環境大臣の一言が、ここまで事態を動かして、突き動かしてくれたというふうに私は信じているんですね。  だから、国が対応するように命じることができるという基準を少し、ワンランクもツーランクも上げて、今、要監視項目でしかないので、各都道府県が調査をする、しかもこれは任意なんですよ、このような状態を、やはり、早く全国的な対応ができるような仕組みをつくってあげないと、EPAがどんどんどんどん先に行っちゃって、日本はEPAの数値を使ったんだけれども全然整合性が取れないような状態になっていくというふうな状況なので、是非とも、日本環境行政を一つでも二つでも前に進めるために踏み込んだ対応をお願いしたい。  基準値、暫定を取って、指針値を基準値に上げていく、その取組を是非お願いしたいんですけれども、大臣のお覚悟とやる気というか御決意のほどを賜りたいと思います。
  35. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 改めて、今、原田大臣の御紹介がありましたが、そういった先輩たちの礎の下に、しっかりと受け継いで仕事していきたいというふうに思います。  今先生から御紹介のあったものは、十三都府県、三十七地点で環境省の定める暫定的な目標値を超過していた、そのうちの一つが、今先生が資料で御紹介された大阪摂津市のものだと思います。  今年度も追加的に全国的な存在状況を把握するために水質調査を実施しているところです。これは、約百三十地点を対象に水を採って、現在分析中であります。調査結果については、令和三年度中に公表予定であります。  また、都道府県などが対策を講じる際の参考となるPFOS及びPFOAに関する対応の手引きを厚生労働省と一緒に策定をして、昨年の六月に通知をしたところであります。  今後も、関係省庁、関係都道府県、しっかりと連携をして、有機フッ素化合物、PFASに関する知見の収集や水質調査の実施など必要な対策を講じてまいりますが、先ほども申し上げたとおり、様々国際的な動向も見て、必要な見直し等があればしっかり対応してまいりたいと思います。
  36. 屋良朝博

    屋良分科員 是非、どんどん進めて、対応が後手に回らないようにお願いしたい。これは飲み水にも含まれるわけですよ。アメリカも、飲み水の基準に合わせてこれから対策を打っていくということが早くから表明されているものですから、これは実は、僕は、待ったなしの問題じゃないのかな。  ただ、日本では、これまで対応が、WHOが基準値を設定していないよとかで、確かに環境省はこれまでもずっとサンプリング調査をやってきたんですけれども、ただ、測定値が余り実態を反映するようなものになっていなかったと僕は思っております。だからこそ、今回、環境省がやった百七十一地点の調査でこれほどの結果が出たんだろうなというふうに思っておりまして、私は、これは現時点においては高く評価している結果であります。  是非とも、大臣、政治のイニシアチブを発揮していただきたいと思います。  続きまして、沖縄の本島北部にある山原地域、それと奄美、石垣島の、西表地域を含めた世界自然遺産登録についてお伺いしたいと思います。  地元では、今年こそ是非実現をさせてもらいたいというふうな声がずっと強くなっておりますが、まずは登録に向けた取組とその見通しをお伺いしたいと思いますが、お願いします。
  37. 鳥居敏男

    ○鳥居政府参考人 お答えいたします。  世界自然遺産の審査を行います国際自然保護連合、IUCNから一旦延期の勧告が出ましたけれども、それに対応するための課題については全てクリアいたしまして、改めて申請を出し直したところでございます。  それについての審査は、今年の六月から七月にかけて行われます世界自然遺産委員会で審議をされるというふうに承知しておりますので、そこで私どもとしては登録されるように最善を尽くしていきたいというふうに考えております。
  38. 屋良朝博

    屋良分科員 是非、登録に向けて頑張っていただきたいと思います。  それで、沖縄本島北部の山原地域は、かつてというか最近までアメリカ軍が訓練場として使っていたエリアでありまして、返還に伴い支障となるような廃棄物とか汚染を除去するという支障除去作業が行われた地域でありますけれども、しかし、今も廃棄物の発見が後を絶たない状態であると。  支障除去が終わった後に発見された、あるいは回収された米軍のものと思われる廃棄物の種類やその量を把握していれば教えてください。
  39. 大西宏幸

    ○大西大臣政務官 屋良先生の御質問にお答えをさせていただきます。  沖縄県における米軍施設・区域返還に際しては、跡地利用特措法第八条第七項に基づき、返還地の有効かつ適切な利用が図られるよう、返還地を土地所有者等に引き渡す前に防衛省において土壌汚染調査等の支障除去措置を講じております。  北部訓練場の返還地においても、二〇一七年、平成二十九年十二月の引渡し前に全域を対象とした資料等調査を行った上に、支障除去措置の内容を土地所有者及び関係機関へ説明した上で、資料等調査の結果特定した地点を中心に、土壌汚染調査や廃棄物処理等を実施いたしました。  また、引渡し前の支障除去措置を進める中で確認した、一部が地中に埋まっていた状況の大型の鉄板等については、周辺に生息する希少動植物への影響を調査検討した上で実施する必要があることから、土地所有者との協議の上、周囲の環境に影響を与えることのないよう配慮しながら作業をして、今年度までに処分を完了いたしました。  さらに、土地の引渡し後も、返還地から発見された廃棄物のうち、原則、返還前の廃棄物については当省において回収し、適切に処分しているところでございます。  数字等については参考人より答弁をさせます。
  40. 鈴木敦夫

    ○鈴木政府参考人 引渡し後に発見、回収した廃棄物等といたしましては、瓶、缶、プラスチック等の混合ごみ、それからテレビ、エアコンの類い、それから大型鉄板、そして空包類になります。  このうち、混合ごみにつきましては、産業廃棄物として二〇一八年度、平成三十年度に一千三百六十キロを処理しておりまして、二〇一九年、令和元年度以降も同様の混合ごみを回収しております。テレビ、エアコンについては、計三台を二〇一八年度に家電リサイクル法に基づき処分しておるところでございます。大型鉄板につきましては、計二百六十一枚、一万四千六百七十キロを二〇一九年度から今年度にかけまして回収、搬出し、処分いたしました。空包類は、約一万五千発を回収し、処理を行っております。  防衛省といたしましては、今後の跡地利用に支障を来すことのないよう、土地所有者や関係機関と調整の上、引き続き適切に対応してまいりたいと考えてございます。
  41. 屋良朝博

    屋良分科員 物すごい量ですよね。これは、支障除去が終わった後、しかも本年度まで続いた。もしかしたら現在も続いているんじゃないのかというふうな現地からの情報もあるんですけれども、現在も続いていますか。
  42. 鈴木敦夫

    ○鈴木政府参考人 先ほど申し上げましたように、回収を終え、まだ処理は途中のものもございます。それから、我々、重要なことだと思っておりますのは、この発見された廃棄物等につきまして、今後、跡地利用に支障を来すことのないよう、関係機関が連携して速やかに処理することだと思っておりまして、新たに廃棄物等が確認された場合には、必要に応じまして予算を確保するなど、土地所有者や関係機関と調整の上、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
  43. 屋良朝博

    屋良分科員 世界遺産登録をもう数か月後に、その申請の作業が控えておるという状況の中でまだ支障除去作業が行われているというのは、これはちょっと理解しにくい状態があるので、ここは、その原因も含めて、その状況も含めて、是非今後明らかにしていっていただきたい。  ここで伺いたいんですけれども、このお配りした資料の裏側を見ていただきたいんですけれども、こんなものがまだ残っているという状況です。先ほど鉄板とおっしゃいましたけれども、鉄板が一万四千六百七十キログラム、大変な量ですよ。恐らく、米軍が雨でぬかるんだところにこれを敷いたり、あるいは土手に立てて斜面を補強したりするような鉄板、それが放置されていって、何と一万四千キログラムというような大変な量が放置されたまま、その撤去作業がようやく今年終わった状況というのは、支障除去作業としては余りにもずさんとしか言いようがない。  しかも、これは全体でもう既に五億円ぐらいかかっていますよね、追加、追加を含めると。五億円かけてまだ続いているというのが、本当にちょっと考えにくい。  これで、世界自然遺産ということで、世界に大切な自然なんだということをアピールすることが果たして可能なのかどうかというのが本当に心配になるんですけれども、これは支障除去だけでも、いつ終わるのかというめどが欲しいです。お答えいただけますか。
  44. 鈴木敦夫

    ○鈴木政府参考人 この北部訓練場におきますところの支障除去措置につきましては、土壌汚染対策法に定める手順を基に、外部有識者の監修の下、返還地全域を対象とした汚染等の蓋然性を把握するための資料等の調査を行いまして、まさに自然環境保全とのバランスを考慮しつつ、この支障除去措置を実施したものでございます。  例えば、その中で、御指摘ございました、一部地中に埋まった状態の大型の鉄板等、これについては、周辺に生息する希少動物等への影響を調査検討した上で実施する必要があることなどから、土地所有者と協議の上、周辺の環境に影響を与えることのないよう配慮しながら作業して、今年度までにその処分を完了したということでございます。  さらに、土地の引渡し後につきましても、返還地から発見された廃棄物のうち、原則、返還前の廃棄物については当省におきまして回収し、適切に処分をしてきているということでございます。  繰り返しになりますが、我々重要だと思っていますのは、今後の跡地利用に支障を来すことのないよう、関係機関が連携して速やかに処理することだと思っております。防衛省といたしましても、新たに廃棄物等が確認された場合には、必要に応じて予算を確保するなどして、土地所有者や関係機関と調整の上、適切に対応してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  45. 屋良朝博

    屋良分科員 ということは、まだめど立たずということでよろしいでしょうか。
  46. 鈴木敦夫

    ○鈴木政府参考人 私ども考えてございますのは、今現在、何かここについて今後更に廃棄しなければいけないようなものが出ておる、そういうようなまた通報というかお知らせをいただければそれに対して適切に対応してまいりたいと思ってございますけれども、現時点におきましては、大きなそうした支障があるというふうには考えてございません。
  47. 屋良朝博

    屋良分科員 小泉大臣、これは、環境省としても連携を取って、世界遺産に登録したいというふうにこれから国際機関にアピールしていくわけですから、それでこういう状況が放置されているというのは、ちょっと整合性が取れないかなと。  実は、僕も、山奥へ入って見てきたんですよ。激しいです。鉄板プレートが本年度中に除去された。僕は除去される前に行ったので、もうあっちゃこっちゃにあったんですよ。空包なんかも、普通に歩いていたら探せるような状況だったんですね、かつては。今はかなり進んでいるかもしれませんけれども。  世界自然遺産であるわけですから、ここはちょっとしっかりと。支障除去作業もたった一年しか最初行われなかったんですよ。何で一年なのと。一年だけであんなに広大な土地を、森林を支障除去できるわけないだろうというのが大方の見方だったんですね。それが案の定、こういうふうな状態になっておる、追加、追加で仕事をしているというふうなこと。それで、世界自然遺産の登録に向けた作業はもう待ったなしの状況であると。  これは少し、やはり環境省としてもコミットしていく必要があると思いますが、大臣、いかがでしょう、これまでのやり取りを聞いて、御所見をいただければ。
  48. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 大事なことは、環境省がしっかり、防衛省を含め、関係の省庁、そして自治体とも連携をして、この世界自然遺産登録、先ほど鳥居自然局長からも話があったとおり、一回延期になっていますから、もう心待ちにされている各地域の方々がいっぱいいらっしゃいます。  この廃棄物の問題については、先ほど防衛省側から答弁があったとおり、適切に対応していると。そして、今後新たに廃棄物が見つかった場合においても、先ほど防衛省側が答弁していましたが、新たに予算を確保するなどしてしっかりと対応すると。そういったことがありますので、この自然遺産登録、これに影響ないというふうに認識はしています。  しっかりと連携をして進めていきたいと思います。
  49. 屋良朝博

    屋良分科員 ありがとうございます。しっかり連携して、お願いしたいと思います。  本当に、大臣おっしゃるように、みんな待っているんですよ。一回延期されて、次の年、コロナでまた延期されてというようなことで、もうじりじりじりじりしているような状態なので、是非ともしっかりとした対応をお願いしたいと思います。  それで、もう一つ懸念がありまして、実は、米軍の訓練場、返還されていないところと隣接しているものですから、たまにヘリコプターとかオスプレイとかが飛ぶんですよね。この間、まあ、事件とか事故とかじゃなくて出来事があって、ヘリコプターが、その返還された跡地、世界自然遺産登録予定地に着陸しちゃったというのがあって、後で、パイロットが間違えましたというふうな報告があったんですけれども、そういうふうな状況が起こり得る地域なんですね。それについても、やはりアメリカとの調整が大事になってくると思うんですよ。  日米合同委員会という調整機関があります。そこに環境省も、環境部会、分科会でしたっけ、出席するようになっていると思いますので、そこは環境省の方からも、米側に対して言うべきは言う、ここは世界自然遺産なんだということで、ちょっと、そんな間違いを起こさぬでくれよと、言うべきことは言うぐらいの強い環境行政を行っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
  50. 齋藤健

    齋藤主査 小泉環境大臣。時間ですので簡潔にお願いします。
  51. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 はい。  間違えないでもらいたいと思います。  しっかりと、環境省としても、伝えるべきこと、そして役割を果たしていきたいと思います。
  52. 屋良朝博

    屋良分科員 大臣、どうもありがとうございました。  やはり、正義を貫けるような政治とか行政とかということを、私たちは多分、今、渇望していると思うんですよ。なので、是非とも強い立場の環境行政を行っていただきたいと思います。よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  53. 齋藤健

    齋藤主査 これにて屋良朝博君の質疑は終了いたしました。  次に、串田誠一君。
  54. 串田誠一

    串田分科員 日本維新の会の串田誠一でございます。  予算委員会分科会環境省質問はこれで三年連続させていただいておりまして、原田環境大臣にも御質問させていただいて、大変丁寧な御回答をいただいたわけでございます。小泉環境大臣には、分科会、これで二度目ですけれども、予算委員会でも質問させていただいて。  私は、国民の声が一番届く省が環境省なんじゃないかなというふうに思っています。昨年の数値規制も、いろいろな大変な困難な中で、非常に有意義な数字を決定していただきました。大変感謝していらっしゃる方は多いと思うんですけれども、まだまだそこにも課題がございます。  今回の改正動愛法の附帯決議、今日は中心にお聞きをしたいと思っているんですけれども。  最初に、先日、環境省が、動物の同行避難において、それの可否というものの公示というものがまだ十分ではないんじゃないか、それに対する体制整備というものも必要なのではないかというようなことがありました。これも確かに、地方自治体によっては同行避難を一覧で表示できないというような問題が現実にあるわけですね。地方自治体によってかなり様々違いがあると思っています。  そういう意味で、環境省がこういうようなことを提示していただいたということは、これは本当に大事なことだと思うんですけれども、ただ、避難をできればいいだけじゃなくて、避難先にはどんなものが用意されていなければいけないのか、こういうこともガイドラインとしてやはり示していくということが非常に大事なのではないかなと思うんですけれども、同行避難先における体制、どんなような装備が必要であるとお考えでしょうか。
  55. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 串田先生には、動物愛護、日頃から熱心にお取組をしていただいて、ありがとうございます。  今御指摘があった同行避難、これは、自治体にはその受入れ準備をお願いをしてきたところであります。  避難所においては、飼い主が自らの安全を確保しつつペットの世話を行うことができるように、行政は、関係機関、団体と連携して、災害の内容や規模に応じて受入れ体制を整備し、必要な物資の確保や動物の健康管理等を含めた支援を行うことが重要だと認識をしています。  これまでの災害では、同行避難者を受け入れ、適切な対応をした避難所の例があった一方で、ペット連れで避難をためらって自宅にとどまった方々や、同行避難者の受入れに難色を示した避難所もあったと認識をしています。  そのため、環境省としては、これまでの取組に加えて、避難所の運営に直接携わる市町村などに対して、ペット同行の避難訓練の実施などの災害への具体的な備えを確認するためのチェックリストなどを年度内に作成、配布したいと考えています。年度内ですから、来月で年度、終わりますので、すぐにやりたいと思います。  引き続き、こうした取組を通じて、災害時におけるペット連れ被災者に対して適切な対応がなされるように準備を進めてまいりたいと思います。
  56. 串田誠一

    串田分科員 ありがとうございます。  同行避難とか同伴避難というのが飼い主によって行われるというのが一つ前提になっているのかなと思うんですけれども。  この前、大きな地震がありました。ドアが壊れる場合もあるでしょう、窓が壊れる場合もあるでしょう、人間が出て行くのだけが精いっぱいという場合もある。そういう意味では、犬や猫が逃げ出してしまう、その犬や猫を、飼い主ではなくて別の人間が助けて避難所へ連れていくというようなことも私はあるのではないかなと。  そう思うと、そういう、飼い主からはぐれてしまった犬や猫をいち早く飼い主に知らせるというようなことも必要なのではないかという意味では、避難所に、例えばマイクロチップのリーダーというものを用意するとか。あるいは、この前、呼びかけたところ、熊本地震の方から御意見をいただきまして、一回、何かあったときに避難するだけじゃなくて、避難所で何度も何度も余震が続くというようなことがあって、動物たちが非常に怖がって避難所から逃げ出してしまったりするということもあるというようなこともありましたので、迷子札を用意してほしいとかいうような御意見もございました。  もちろん、うんち袋だとかいろんなものがあるかと思うんですけれども、そういうようなもの、避難場所だけを確保するのではなくて、避難所に行ったことによって、いろんな、シーツだとかも必要だと思うんですが、そういう知見のある方々のいろいろな御意見をいただきながら避難所の体制というのをつくっていただけるということをお願いをしたいと思います。  それでは、二〇一九年の改正動愛法の附帯決議についてお聞きしたいと思うんですが、非常に、そういう意味でかなり前進の数値規制ができ上がりましたが、この数値規制が実現していかないと意味がないのかなということでございます。  そこで、この附帯決議に、自治体による事業者規制の実効性確保というものを求めているんですけれども、実効性を確保するに当たって、環境大臣としてはどのようなところがポイントであるのか、お考えをお知らせいただきたいと思います。
  57. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 この数値基準、これを作るときに、やはり自治体が、最後、現場なわけですから、自治体の皆さんがしっかりと実効性を確保できる形をつくらなければいけないというのが問題意識としてありました。  ですので、悪質な事業者を排除するために、事業者に対して自治体がレッドカードを出しやすいような基準にする。その上で、これから大事なのは、この基準の具体化に加えて、自治体の指導監視の取組を支える仕組み、これが重要だと考えています。  そのため、今年六月一日の施行に向けて、環境省に自治体の相談窓口を設置をして、勧告、命令、取消処分などの事業者への対応のノウハウを蓄積して、その蓄積したノウハウを自治体に対してフィードバックするなど、具体的な対応を進めていくことにしています。  今後の施行状況を踏まえながら、引き続き、実効性の確保をしっかりと図ってまいりたいと考えています。
  58. 串田誠一

    串田分科員 そのためには現状がどういうものであるのかというのを把握するというのも非常に大切なんだろうなと思うんですが、その中に、附帯決議の二番目に、遵守をするために立入検査体制の検討ということがあるわけです。附帯決議にある以上は、現在の立入検査体制というのに何らかの十分でない部分があるのではないかなと思うんですが、課題対策環境大臣、どのようにお考えでしょうか。
  59. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 課題ということでまず申し上げると、これまでの定性的な基準による対応では、問題のある事業者に言い逃れをされたり、指導に従わない事業者に対する命令や取消処分などの厳格な指導を行いにくい、こういう課題があったものと承知をしています。  それが今回の法改正の飼養管理基準の具体化に、そして数値基準ができるところは数値基準を作る、こういったものにつながったものでありますから、新たな飼養管理基準は、自治体職員による厳格な指導監督を可能とするため、自治体職員がチェックしやすい、統一的な考え方による明確な基準としました。  実効性の確保のためには、今串田委員が御指摘の現場の立入検査が非常に重要であると考えておりまして、先ほど申し上げた相談窓口の設置による自治体の取組支援に加えて、基準の内容を自治体職員も事業者も容易に理解できるよう、今年六月の施行に向けて、現場で活用できる基準の解説書を作成する予定であります。  解説書においては、基準を満たす状態の例示や代表的な品種ごとの具体的数値などを記載する予定であり、また、自治体には研修などの機会を通じて内容を周知していくこととしており、こうした取組を通じて、自治体と連携しながら、動物取扱業の状況を着実に、かつ速やかに改善していきたいと思います。
  60. 串田誠一

    串田分科員 問題はマンパワーというところがありまして、以前質問させていただいたことがあるんですが、こういう基準があったとしても、どのような頻度で検査に行くのかという質問をさせていただいたところ、一般的には三年に一度だ、非常によくやっているところでも一年に一度だというようなことなんですね。それも、事前に連絡をして行くというようなことでありますので、連絡を受けたときだけいろいろなことをやっているというふうなことがあるのではないかということを、動物を非常に心配されていらっしゃる方々が思っている部分であります。  そういう意味で、この回数を増やすとか人員を増やすという意味で、動愛法三十八条に動物愛護推進員というのがあるんですけれども、これを活用したらどうかという意見、私も何度も聞いているんですが、環境大臣、この点についていかがでしょう。
  61. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 今先生御指摘の動物愛護推進員は、動物愛護管理法に基づき、動物の愛護と適正飼養に関する地域住民の普及啓発や災害時の動物の保護などに協力するために、都道府県などが委嘱するよう努めることとされています。  一方で、例えば、動物愛護管理法で事業者の施設などへの立入検査が認められているのは、都道府県等の職員に限定をされています。  その上で、限られた体制の中で効果的に事業者の指導などを行っていくためには、基準の明確化や相談窓口の設置などの取組と併せて、普及啓発や譲渡の支援などを中心に、動物愛護推進員やボランティア団体との役割分担や連携を図っていくことが重要だと考えています。
  62. 串田誠一

    串田分科員 職員という話が出ましたので、そういう職員も増やしていただきたいんですが。  大本の環境省の動物に関する部分というのは、動物愛護管理室というところで、総務課の中についているわけですけれども、非常に今、新型コロナによってペットを飼われる方も多くなっておりますし、ペットに対して心の支えになっているという部分も大変あるわけで、そういう意味では、動物に依存しているというか、動物との関係性が非常に高まってきている今、日本において、行政が管理室と。せめて課にした方がいいんじゃないかと。人数も十人前後ということでございますので、動物に対する行政の在り方自体がちょっと、もう少し力を入れていくという意味もありまして、室から課に変えるぐらいのことがないと、これはちょっと心もとないという声もあるかと思うんですが、その点、環境大臣として将来性はいかがでしょうか。
  63. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 ありがとうございます。  何と、平成三十年度末時点では、環境省の動物愛護管理室は五名だったんですよね。それが、令和二年度十一名、そしてさらに、令和三年度も一名増員で計上しているところで、それでも十二名ですよね。だから、私、その中で、あれだけかなり濃密な議論が必要だった飼養管理基準も含めて本当によくやってくれていると、大臣として職員をねぎらいたいし、感謝したいと思っています。双方からたたかれることも多い立場で、その中で、串田先生、数少ない、いつもエールを送っていただいている方なので、本当にありがとうございます。  ただ、この動物愛護管理室だけではなくて、本当に環境省全体、気候変動を含めた全体を考えたときに、私はもっと人が欲しいです。ただ、これは本当に政府全体の定員管理を含めたことになりますが、そういった中で最大限のパフォーマンスを国民の皆さんのために上げていきたいと思います。
  64. 串田誠一

    串田分科員 是非、政府全体として動物に対しての考えを強化していただきたいなというふうに思っております。  昨年の改正動愛法というのは施行が三段階に分かれておりまして、昨年の六月に虐待罪の法定刑が上がったわけでございます。そこで、動物虐待というのが非常に少なくなったのかというところの部分で少し心もとないところがあるのではないかなと思うんですが、六月からの重くなった法定刑がどのように生かされているのか、検挙率をお知らせいただきたいと思います。
  65. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 まず、検挙率というのは明らかになっていないんですが、検挙数については毎年警察庁が取りまとめを行っています。  最新の令和元年における動物虐待事犯の検挙数は百五事件、百二十六人となっており、平成二十六年から令和元年の五年間で約二倍となっていると承知をしています。  一方で、先生今御指摘の昨年六月の改正法による罰則強化の後の状況の変化については、警察庁の連絡によれば、暫定値ではありますが、改正法が施行された後の令和二年六月から十二月までの七か月間の検挙数が六十六事件、令和二年の一年間の検挙数は百二事件ということであり、年間を通して令和元年の百五事件とほぼ同程度というふうに見られます。  今後も、その動向を注視していく必要があると考えています。
  66. 串田誠一

    串田分科員 その数字をもって、うまく機能しているのかどうかというのは検討していかなきゃいけないのかなとは思うんですけれども、非常に、いろいろ、SNSなんかでも動物虐待に関する情報というのは多数載せられている中で、なかなか動物虐待罪というのは適用されていないという声も多くいただいているところでございます。  この点に関して、先日の予算委員会小泉環境大臣にも質問させていただきましたが、動物が日本法律においては物と同じような所有権の概念になってしまっていて、どんなに虐待をしていても、飼い主が所有者であるということから逃れられない、だから、保護団体が保護に行っても、飼い主の了解を得ない限りはその虐待されている動物を救い出せない、そういうような状況の中で、警察がなかなか動きにくいという指摘もございます。  そういう意味で、警察と連携しながら、この動物虐待罪、せっかく作ったわけですから、救っていけるような法律体制というものも是非、縦割り行政を打破しながら解決をしていただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。  次に、アニマルウェルフェアについて、今日は二本立てなんですけれども、質問させていただきたいと思います。  WAP、世界動物保護協会の二〇二〇年の畜産動物福祉評価で日本は最下位のGという状況になっているんですけれども、環境大臣としてこの事実を知っているのか、そして、それに対して、どうしてそういうふうな評価になっているのか、環境大臣としてのお考えをお聞きしたいと思います。
  67. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 今お尋ねの評価について、御指摘を受けて確認をしたところ、海外の民間団体が行った独自調査の結果であり、詳細まではまだ把握をしていませんが、特に、アニマルウェルフェアの観点から家畜の種類ごとの飼養方法などを規制した法律がない、こういう点などから低い評価がなされたものと考えています。  今回、民間団体の独自調査の結果ではありますが、こういった低い評価がなされたという事実も一つの結果として受け止めて、今後も産業動物を含む動物の適正な取扱いの確保を追求していくことが環境省の使命であると考えています。  我が国が国際的にもアニマルウェルフェアについて一定の評価がなされる国であるべきだ、そういうふうに考えていますので、これからも産業動物の適正な飼養が更に確保されるように、関係省庁と連携して対応していきたいと考えています。
  68. 串田誠一

    串田分科員 まずはそこなんですよね。連携しているかどうかということなんだと思うんですが。  実は、環境省の指針というのが、飼養、保管に関する基準というのは平成二十五年にも最終改正が行われておりますし、動物の殺処分方法に関する指針も平成十九年に環境省告示として行われているわけですね。これは中身を見ると、アニマルウェルフェアという言葉はないんですけれども、かなり寄り添った、非常に、指針として、私としては大変評価したい指針なんですよ。問題は、この指針がほかの省庁の法律に生かされていないから、先ほどの評価、法律にないという評価になるわけですよね。  そうすると、例えば、飼養及び保管に関して、これは御存じの五つの自由、あえて申し上げませんけれども、アニマルウェルフェアの五つの自由というものを生かしていくという意味で、この前も農水大臣質問させていただいたんですが、バタリーケージというのが今、採卵養鶏の、日本の九五%ですか、主流になっていて、EUでは二〇一二年にこれは禁止になった。今度、二〇二五年にはアメリカの大企業は、マクドナルドも含めまして、いろんな企業がケージフリーの卵にしようというのは、あともうわずか四年後ですよ、二〇二五年。  アメリカもそうだ、EUはもうとっくに禁止されている、日本だけがバタリーケージをまだ九五%も採用しているというような状況の中で、大臣、この指針が農水省の今の運営に生かされている、あるいは連携されているとお思いになりますでしょうか。
  69. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 我々が作ったものに対して、しっかりと各省庁、それを踏まえて対応してもらいたいというふうに思っています。  今御指摘の採卵鶏、これは飼養の九割がまさに御指摘があったようにバタリーケージということですが、このバタリーケージには、止まり木に止まったり地面をつついたりといった、鶏が本来備えている行動欲求を満たすことができないという課題があって、アニマルウェルフェアの行動発現の自由の観点からは、こういった飼い方が推奨されるものではないというふうに考えています。  一方で、鶏同士の闘争などについては平飼いよりもリスクが少ないという指摘もありますが、動物愛護を所管する環境省としては、あらゆる動物が、アニマルウェルフェアという観点から考えて、少しでも望ましい形で飼育されるように変わっていくことが重要だと考えていますので、こういった共通認識を各省とも共有できるように、我々としてもしっかりと連携をしていきたいと思います。
  70. 串田誠一

    串田分科員 いろんな理由を農水省からもいただくんですけれども、日本は別に、今鎖国しているわけじゃないわけですよね。そうなると、今度、インバウンドで四千万人だというような目標もある。その中で、EUから来られる、今度、オリパラのアスリートの人たちも、選手村でバタリーケージの卵を出さないでくれというキャンペーンも、訴えているところでございます。EUから来られる方が、EUで禁止されている卵を食べたいと思うだろうか。そういうところのホテルでは嫌だ、レストランでは嫌だという意味で、今、日本の外資系のホテルがケージフリーというのを宣言している。  まさにそういう人たちのインバウンドを取り込もうとしているわけですから、むしろ日本産業として、世界の流れというものを国が後押ししてあげないと、実は日本の畜産業というものが大変な打撃を受けるんだということを、私たちはやはり進めていく必要があるんだろうなと思うんですね。  農水委員会の面々というのは、与党、野党にかかわらず、地元の畜産業界の支援あるいは希望を持っているわけですよ。日本は自給率が低いですから、何とか畜産業を助けてあげたいという気持ちで、全然そういう意味では正しいことをずっとやってきているんだけれども、だからといって現状維持のままそれを進めるということは、むしろその地元の畜産業を大変脅かしているんだという認識。これは農水委員会ではなかなか変えられないんですね。一人の委員が、地元の畜産業を厳しい状況に、発言をするということは、これは大変やはり難しい部分があるんだろうなと思うんですね。  そういう意味では、指針を作っている環境省が、今の日本の畜産業を助けるためには、国際的な流れというものをキャッチして、それを後押ししていくんだ。それも、急激には変えられなくていいと思うんですよ。  私は、バタリーケージをやっている業者の方々には大変感謝をさせていただこうと思っています。戦後の栄養をずっと補っていて、そして安い卵をずっと提供していただいて、感謝させていただこうと思っているんです。  だからこそ、そういう業者が世界の流れによって置いていかれてしまって、見向きもされなくなってしまうのが突然やってくるというようなことは避けなきゃいけないんじゃないかなと私は思っているので、是非、連携というものを、環境大臣、もう少し具体的に進めていただけるということをお願いできないでしょうか。
  71. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 環境省と農水省、この前、私と野上大臣の間で連携合意を結びましたので、その中でも、改めて、こういったものを共有されるように取り組んでいきたいと思います。
  72. 串田誠一

    串田分科員 これは農水省だけじゃなくて、厚労省の食鳥処理に関しても、屠殺の仕方に関しても、人間の衛生面だけが法律に書いてあるんですね。アニマルウェルフェアの考え方は、苦痛を与えないということが一番大事であって、それは環境省の指針には書いてあるんですよ。ところが、厚労省の食鳥管理法に関してはこの規定が入ってないんです。ここが、世界の評価として最下位になってしまっている部分なんですよ。  ですから、こういう指針を、今、農水省だけじゃなくて、厚労省のところにも生かしていくという連携がやはり必要だと思うんですが、厚労省との間の連携もお願いできませんでしょうか。
  73. 山本博司

    山本大臣 今委員から御指摘ございました、鶏の屠殺方法につきましては、放血を十分に行える方法であれば食品衛生の観点から問題はなく、食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律、第十五条でございますけれども、ここの中には、食鳥処理場における鶏の屠殺方法は特段定められていないという状況がございます。  ただ、一般的には、鶏の首を切断して即死させ、放血しているため、結果的には、苦痛を最小限にした方法で屠殺していると考えられます。
  74. 串田誠一

    串田分科員 詳細はここでは述べませんけれども、それが現実には行われていないんです。ここは、また後、農水委員会などで質問させていただきたいと思うんですが、しっかりそこも、法律でそういうような方法というものも明記していくというようなことも必要ではないかなと思います。  そこで、残りの時間、先日の二月十日の小泉環境大臣に対する予算委員会での質疑に対して回答をいただきまして、この回答は動物愛護の方々にとっては大変な勇気をいただいたという声を、私、たくさんいただいているんですけれども、そこで、ペットを飼うのがペットショップに限らない、保護犬、保護猫という選択肢があることを多くの人に知ってほしいということを答弁としていただきました。  さあ、これをどういうような形で進めたらいいでしょうか。大臣にお聞きしたいと思います。
  75. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 そうですね、今、コロナで、ペットが今までの五年間の中でないぐらい伸びが、売れているということがありますが、ペットショップに限らず、保護犬、保護猫という選択肢があることを多くの方に知っていただくためにも、九月には動物愛護週間、これも九月二十日から二十六日、設けています。  こういった機会なども活用して、しっかり周知をしていきたいと思いますし、今、ペットショップの中でも、生体販売はもうやめる、こういったところも出てきました。そして、テレビ番組などを見ていても、保護犬、保護猫を飼っている有名な方々とか、その保護の活動をされている方とか、いろんな方がいらっしゃいますので、こういった様々な方々と一緒になって、この普及、発信も強化をしていければと思っています。
  76. 串田誠一

    串田分科員 小泉環境大臣は発信力があると思っておりますので、できるだけいろんな場面でそういったようなことを発言していただけると大変ありがたいと思います。  最後に、保護犬、保護猫、繁殖を引退した犬猫が様々なところに譲渡され、一生を幸せに全うできる社会をつくっていきたい、これは大賛成なんです。環境大臣、これはいつ頃実現できそうでしょうか。
  77. 小泉進次郎

    小泉国務大臣 今までも環境省は、犬猫の返還と譲渡、これを進めてきたところであります。  これらの取組や関係団体などの尽力によって、犬猫の殺処分数についてはこの十年間で約七分の一まで削減されてきたところであり、更なる取組強化によって、犬猫の引取り数や殺処分数の減少を図っていく必要があると考えています。  動物愛護管理基本指針では、犬猫の殺処分数について、令和十二年、つまり二〇三〇年度で、平成三十年度比五〇%減となる約二万頭まで殺処分を減らすという目標を掲げていますが、家庭への譲渡が難しい犬猫や、引取り後に死亡してしまう犬猫などもおり、これを更に殺処分数ゼロにすることは簡単なことではないというふうに思います。  しかし、カーボンニュートラル取組においても二〇五〇年にCO2排出をゼロにするという野心的な目標を掲げて取組をしようとしているのと同様に、動物愛護の分野でも、まずは、譲渡適性のある犬猫について殺処分をゼロにするといった高い目標を掲げて、その実現に向けた具体的方策を、いつまでにゼロにするのか、まずは、譲渡できるのに処分をされてしまう、こういった犬猫に対するゼロ目標、こういったものがどのようなものがいいか、しっかりと検討させていきたいというふうに考えています。  環境省としては、こうした取組を関係者の皆さんと一緒になって進めていくことで、犬猫が一生を幸せに全うできる、そんな社会をなるべく早く実現をさせたいと考えています。
  78. 串田誠一

    串田分科員 小泉環境大臣は、それ以外に、できる限り早い段階で譲渡されることが重要だ、こういうことも述べていただきました。  今日は細かな質問はしませんけれども、この前の数値規制で大変不満な部分というのも現実には残っております。その一つとしては、やはり帝王切開の回数が定められていない、あるいは、雄の引退時期が定められていない、猫の繁殖、出産回数が定められていない、こういったようなことで、おなかをずっと切り続けるわけですよね、帝王切開というのが。それが回数制限がないということで、これは引退した後も、真っ当な、幸せなその後を過ごせるだろうかというようなこと、是非また環境委員会議論させてください。  今日はどうもありがとうございました。
  79. 齋藤健

    齋藤主査 これにて串田誠一君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  80. 齋藤健

    齋藤主査 次に、農林水産省所管について政府から説明を聴取いたします。野上農林水産大臣
  81. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 初めに、予算の基礎となっている農林水産施策の基本方針について御説明申し上げます。  農林水産業は、関連産業である食品産業とともに国民の皆様に食料を安定供給し、地域の経済やコミュニティーを支え、その営みを通じて国土の保全などの役割を果たしている、まさに国の基であり、農林水産業を発展させるとともに、日本の原風景である美しく豊かな農山漁村を守っていくことが重要であると考えております。  一方、我が国の農林水産業は、人口減少に伴うマーケットの縮小や、農林漁業者の減少、高齢化の進行など、厳しい状況に直面しています。さらに、コロナ禍により、需要の減少や価格低下等の大きな影響を受けているだけでなく、デジタル技術活用の進展など、社会構造の変化にも直面しております。  こうした多岐にわたる課題の解決に向け、産業政策地域政策を車の両輪として、二〇三〇年の輸出額五兆円の目標の達成に向けた施策の抜本的強化、生産基盤の強化や担い手の育成確保、スマート技術の開発、実装、多様な人材や地域資源活用した新たな農村政策の展開、国土強靱化等の重点課題に応えられるよう、着実に取組を進めてまいります。  昨年十二月に農林水産業地域の活力創造プランで打ち出しましたポストコロナに向けた農林水産政策の強化検討も進めつつ、農林漁業者の所得の向上や農山漁村の活性化に引き続き全力で取り組んでまいります。  次に、令和三年度農林水産予算の概要を御説明申し上げます。  一般会計の農林水産予算の総額は二兆三千五十億円であり、その内訳は、公共事業費が六千九百九十五億円、非公共事業費が一兆六千五十五億円となっております。  以下、農林水産予算の重点事項については、委員各位のお許しをいただき、御説明を省略をさせていただきます。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  82. 齋藤健

    齋藤主査 この際、お諮りいたします。  ただいま野上農林水産大臣から申出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 齋藤健

    齋藤主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  84. 齋藤健

    齋藤主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  85. 齋藤健

    齋藤主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。  質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。岩田和親君。
  86. 岩田和親

    岩田分科員 自民党の岩田和親でございます。  本日、農水省の所管の分野におきまして質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げつつ、早速始めてまいりたいと思います。  まず、有明海の再生について幾つか質問をしたいと思いますが、最初に、昨年七月の豪雨によって佐賀県の早津江川に土砂が堆積をしました事案について、国の対応に改めて感謝を申し上げたいと思います。  地元の有明海漁協や自治体の要望を受けて、農水省においても、国交省など関係省庁と調整をして、スピード感を持って対応していただきました。そのおかげで、九月頃から始まるノリ漁業の準備作業に支障なくスタートすることができました。地元や漁業関係者とともに御礼を申し上げる次第です。  ただ、今回の事案は豪雨災害が直接の原因ということでありますが、そもそもこの早津江川は、干満の差が大きいという有明海の特性の関係から土砂の堆積が長年の課題でありまして、災害と関係なく、以前から繰り返し、しゅんせつの要望を私も受けていたところです。  漁業に不可欠な航路を確保するという観点から、ここはきちっと対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  87. 山口英彰

    ○山口政府参考人 お答えいたします。  令和二年七月豪雨により、早津江川の佐賀県戸ケ里漁港に堆積した土砂につきましては、水産庁の災害復旧事業等を活用し、ノリ養殖開始前に漁船の安全な航行を確保することができたところでございます。  委員御指摘のございましたように、干満差の大きい有明海や、その河川内にある漁港については、航路は漁業活動に不可欠な施設でございます。  現在、漁港管理者である佐賀市が、漁船の安全な航行のため、漁港区域を拡大し、必要な航路の設定について、佐賀県や地元漁協など関係者と検討していると聞いておるところでございます。  水産庁といたしましては、航路の確保に向け、地元の声をよく聞いた上で、必要な支援や助言等を行ってまいる考えでございます。
  88. 岩田和親

    岩田分科員 前に進んでいるということであります。是非、よろしくお願いをしたいと思います。  次に、有明海・八代海等再生特措法の改正について、今国会で年度内の議員提案と成立を目指して、議論が進んでいるところです。  平成十二年の有明海のノリ大不作をきっかけとして、平成十四年の議員立法で制定されたこの特措法は、有明海、八代海等の再生の基盤となる法律であります。  平成二十四年の法改正よりこれまでの期間、この期間を振り返って、取組について簡潔に総括をしていただけますか。よろしくお願いします。
  89. 山口英彰

    ○山口政府参考人 有明海の再生につきましては、有明海特措法に基づきまして、関係省庁及び関係県と連携して、海域環境の改善や水産資源の回復に取り組んできているところでございます。  こうした取組によりまして、ノリについては生産量が安定してきており、アサリについては資源量や漁獲量が増加するなど一定の成果が確認され、漁業者からも水産資源の回復の兆しが見えてきたとの声も上がっていると承知しております。  一方で、タイラギについては、平成二十四年以降九年連続の休漁といった厳しい状況にあるため、人工稚貝の生産技術の開発、母貝団地の造成等に取り組んでいるところでございます。  引き続き、漁業者等の御意見を聞きながら、有明海再生の取組推進してまいりたいと考えております。
  90. 岩田和親

    岩田分科員 ありがとうございます。  私も、地元の議員として、自民党の関係の会議などに出席をして、この法改正の議論に関わってまいりました。  私は、評価委員会、今お話しいただきましたけれども、地道に研究成果等を積み上げておられることを評価をしまして、こういった様々な取組が現場にしっかりと伝わるように努力をしてほしい、こういうことを訴えていたわけでありますが、この度の法改正の改正案の中で、総合調査評価委員会の所掌事務の遂行の状況を広報で分かりやすい形で公表、こういう内容が盛り込まれることになったところであります。  速やかに新たな特措法改正案を成立をさせ、有明海、八代海の再生に向け関係者が思いを一つにする、新たなスタートの機会としたいというふうに私も思っております。  では、この問いの最後に、野上大臣にお伺いしたいと思います。  有明海は、ほかにはない特徴を持った海でありますし、そしてまた様々な歴史を持った海、そして地元住民にとっては本当にかけがえのない特別な海なわけであります。  赤潮の発生やタイラギのへい死など、原因究明や解決に向けた取組が、地道な努力はしていただいていますけれども、道半ばであります。そして、残念なことでありますが、諫早湾をめぐって、地元漁民を始めとして、国への不信感が根強くあるのも厳しい現実であります。  しかし、有明海を再生させなければならないという思いは関係者の一致したものであることは間違いありません。国としては、再生の実現に向けて、地道で根気強い取組推進、調整を行っていただきたいとお願いをいたします。  先日、大臣には現地にお越しいただいて、視察や意見交換等をしていただいて、いろいろ私が申し上げたような思いを受け止められたところもあると思います。大臣の有明海再生への決意をお伺いします。
  91. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 お答え申し上げます。  お話しいただきましたとおり、昨年の十二月二十日に、私も、長崎県と佐賀県に参らせていただきまして、両県知事始め地元の皆さんと意見交換をさせていただきました。また、有明水産振興センターの方にも参りまして、タイラギを始めとした二枚貝類の人工稚魚の生産技術の開発といった取組の現場も拝見させていただきました。  関係者の皆様との意見交換におきましては、やはり、タイラギなどの漁業、これは依然として厳しい状況にあるということを改めて認識をいたしましたし、同時に、一刻も早い有明海の再生を望む思いということも強く感じさせていただきました。  農林水産省としては、令和三年度予算におきましても、有明海再生対策としまして、海域環境の調査あるいは魚介類の増殖対策、漁場の改善対策のために、今年度と同額の約十八億円を計上させていただいております。  有明海の再生、これは重要な課題だと認識をいたしております。今後とも、関係の皆様の意見を伺いながら、沿岸四県の皆様と国がしっかり連携をしてその再生に取り組んでまいりたいと考えております。
  92. 岩田和親

    岩田分科員 野上大臣の力強い御決意、ありがとうございました。地元の皆さんも大変心強く思ったものだというふうに思います。  次の質問に進めていきたいと思います。  食料安全保障に関して質問をしていきたいと思います。  新しい食料・農業・農村基本計画に、食料安全保障に関して国民運動という文言が組み込まれたことは、大変うれしく思っております。  私も、自民党の計画の改定に関わる会議に出席をしまして、特に食料の自給率等について注目をして議論に参加してきました。もちろん、食料自給率の向上又は食料安全保障に関してはこれまでも計画の重要な要素であったと思いますが、やはり、更に高めてこの計画の中心に位置づけるとともに、生産者のみならず、消費者や流通に関わる業者も含めて、国民運動として理解を深めるべきだ、このように訴えてきたところであります。  特に、今の新型コロナウイルス世界的な感染拡大は、当たり前と思っていた、おいしく安全な食べ物が好きなだけ手に入るというような状況が急に崩壊するかもしれない、こういうリスクがあることを私たちに突きつけたというふうに感じております。  基本計画の下で、農地や農業従事者を始め国産の食料を作る体制を守ること、自給率を向上させること、こういった大事なことを国民の共通の価値として更に理解、普及を進めていただきたいと思います。  現在、食料安全保障はどのように重要であるかという基本認識について、そして今後の施策の具体化に向けた意気込みを伺います。
  93. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 お話ございましたとおり、食料の安定供給というのは国家の基本的な責務の一つでありまして、このため、今お話のあった基本法におきましても、食料の安定供給につきましては、国内の農業生産の増大を図るとともに、それを基本としながら、輸入及び備蓄を適切に組み合わせることにより確保することとされております。  国内の農業生産の増大につきましては、担い手の育成、確保ですとか、農地の確保や若者の就農支援等々、生産の振興を図るということとともに、多様な人材や地域資源活用した農山漁村の活性化などの新たな農村政策の展開、あるいは日本型の直払い等々で地域を下支えをしてその実現を図っていかなければならないと思いますし、さらには、国内生産では十分に需要を満たさない小麦、大豆、トウモロコシ等につきましては、引き続き、安定した輸入が行える体制を整備をする、また、不測の事態に備えて、米や小麦、飼料穀物についても一定の水準の備蓄を確保してまいります。  今お話のありました新たな国民運動ということでございますが、やはり、基本計画におきましても、国内農業の重要性あるいは持続性をしっかり確保していくためには、国民の各層がしっかり認識を共有して進んでいくことが重要だと考えております。  これも踏まえまして、令和三年度、新たな国民運動として予算も計上されているところでありますが、やはり、官民協働によって、食育ですとかあるいは地産地消等の施策を通じて、食と農のつながりを深めて、食料自給率、そして食料安全保障の確立につなげてまいりたいと考えております。
  94. 岩田和親

    岩田分科員 ありがとうございます。  まさに国民運動という言葉にふさわしいような運動の盛り上がりと、そしてまたその成果を是非期待したいというふうに思います。  次に、同じく食料・農業・農村基本計画の中での位置づけで、小規模そして家族経営を重視するという点が盛り込まれたこと、地元でこの話をしますと、やはり生産者の方からの期待が大変集まっているというふうに感じます。  最近の農政に対する不安、不満といたしまして、どうしても大規模化、集積・集約化、効率化といった方針ばかりが目立って、小規模家族経営の農家は取り残されていくのではないかという声がありました。しかし、農業の持続可能性を考えた場合に、大規模化等だけでは行き届かない面もありまして、小規模家族経営農家への施策をどうしていくのか、私も期待をしているところです。  この小規模家族経営を重視するという文言に盛り込まれた背景について伺いたいと思いますし、そして、この小規模家族経営に対してどのような役割を期待している、このようないわゆる将来のビジョンについてどのように考えておられるのか、また、新計画の下で具体的な施策にどのように反映をさせていくのか、併せてお聞きします。
  95. 光吉一

    ○光吉政府参考人 お答えいたします。  日本の農業経営体の約九八%は家族農業経営でございまして、こうした方々が地域の農業生産や美しく活力ある農村を支えておられるものと認識しております。  このため、従来から、経営規模の大小ですとか、法人か家族経営かの別を問わず、意欲ある担い手の方を幅広く支援、育成してきているところでございます。また、中小・家族経営など多様な農業経営体が地域社会の維持に重要な役割を果たしていることに鑑みて、支援を行ってきております。このため、令和二年三月に閣議決定されました基本計画におきまして、少子高齢化、人口減少の本格化を踏まえて、改めてこのことを明確化したところでございます。  今後とも、引き続き、品目別対策ですとか、多面的機能支払い、中山間地域等直接支払いなどの支援策などを通じまして、中小・家族経営を含みます地域の農業を担う方々をしっかりと支援してまいりたいと考えております。
  96. 岩田和親

    岩田分科員 ありがとうございます。  では、次の質問に移りたいと思いますが、米政策についてお伺いをしていきたいと思います。  いよいよ令和三年産の作付の時期が迫ってきているわけであります。主食用の米からほかの作物へ、全国で六万七千ヘクタール、換算しますと三十六万トンという過去最大規模の作付転換を実現をしなければなりません。  これが実現できなければ、主食用米の需給バランスが崩れて価格が下落する事態に至り、水田フル活用を中心とした米政策の根幹が問われることになります。まさに正念場を迎えていると言えるわけであります。  そういった中で、第三次補正予算の水田リノベーション事業、これが成立をしたわけでありますけれども、これはどのような位置づけでつくられたものか、お聞かせください。
  97. 天羽隆

    ○天羽政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘のとおり、主食用米をめぐる需給環境は大変厳しゅうございます。  このような下で、需要に応じたお米の生産、販売が進みますよう、令和三年度予算でも計上されております水田活用の直接支払交付金とは別に、令和二年度第三次補正予算におきまして、新市場開拓に向けた水田リノベーション事業を計上してございます。  この中で、令和三年産の新市場開拓用米、加工用米、麦、大豆、野菜、果樹等につきまして、実需者ニーズに応じた価格、品質等に対応するために必要となります低コスト生産技術等の取組に対する支援を措置したところでございます。  農林水産省といたしましては、令和三年度当初予算であります水田活用の直接支払交付金と併せて実施することで、水田フル活用を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  98. 岩田和親

    岩田分科員 この水田のリノベーション事業は、補正予算ということもありましてスケジュールが迫ってきているということで、三月五日の要望調査の締切りに向けて各地の都道府県協議会で作業が進んでいることだというふうに思います。  こういう中で、佐賀県からも、例えば大豆の生産販売現場の実情を踏まえた対応をしてほしいとの要望があっておりました。この施策が成果を出すためには、現場での取組がきちんとかみ合うということが不可欠でありまして、国の丁寧な対応を要望したいというふうに思います。  そしてまた、目下の課題は、今も御答弁いただきましたように、今まで作付転換を余り実施していなかった地域に対して転換を促すということ、これがやはり大事だということは承知をしておりますが、佐賀県のように、これまで国の施策にのっとって先進的にこういった作付転換を実施をしてきた地域が、今後とも麦、大豆を始めとする作物に意欲を持って取り組めるように、配慮をお願いしたいというふうに思います。  以上、ちょっと要望として申し上げておきます。  麦、大豆の生産について、麦、大豆の生産を増やしていくということが重要なわけですけれども、特に大麦について伺いたいと思います。  近年の豊作で需給のミスマッチがありまして、販売に苦労しているというふうな話を聞いております。不作の後に、二〇一九年、二〇年と豊作が続いている、また、安定供給に不安がある国産大麦を需要側が敬遠をしているなどの要因があるとのことです。  国内産麦の適正かつ円滑な民間流通を確保するために、国産麦と国家貿易管理とした外国産麦の需給見通しを農水大臣が定めることになっているわけでありまして、そもそも麦の需給安定については国が責任を持って取り組むべきだと考えます。  作付転換の拡大のためにも、麦の自給率向上のためにも、こうすれば国内産向けの需要が拡大をするといった方針を国が示していただいて、その中で各生産地が努力をするという環境をつくっていくことが望ましいと考えます。  大麦の需要供給の現状と課題、そして国産の需要拡大の取組方針についてお伺いをします。
  99. 天羽隆

    ○天羽政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、国産大麦、裸麦の需給の現状についてでございますが、これまで購入希望数量が販売予定数量を上回る状況が続いておりましたが、令和元年産、二年産の豊作によりまして、供給が需要を上回る状況となってございます。  このような状況の中、大麦全体の需要のうち、国産大麦の利用がまだ少ない、特に、焼酎ですとか麦茶などの原料として国産大麦の利用がまだ少ないということから、輸入大麦から国産大麦へ切り替えていくということが課題だと考えております。  このため、令和二年度第三次補正予算におきまして、麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクトを計上してございます。この中で、国産麦を使用した商品開発、マッチング等の支援を行うこととしておるところでございます。  さらに、これも先生御指摘のとおりでございますが、輸入大麦を使用している精麦企業やらユーザー企業からは、国産大麦については作柄の変動が大きく、安定供給の面で不安があるといった指摘が聞かれるところでございます。  このため、同プロジェクトの中で、国産麦の安定供給のための保管施設の整備ですとか、国産麦の供給を円滑化するための産地等での一時保管の支援も行うこととしておるところでございます。
  100. 岩田和親

    岩田分科員 ありがとうございます。  私も、改めて、今回、麦の流通といいますか、どういうふうな形で使われていくかということを勉強させていただいたわけでありますけれども。やはり、地元でも、佐賀県はたくさん麦を作っていますが、本当に、取り入れの時期になると、天気がどうなのかということに大変神経を使われておられる生産者の声を聞くわけであります。本当にピンポイントで、そのときの天気で作、不作というふうなものが左右される、こういう大麦のことを考えると、確かに、どうやってそれを安定をさせて、そして、そのことを需要側の皆さんに理解をしていただくということが極めて大事だということであります。  様々な取組、今指摘いただきましたけれども、国産を活用するということも、まだまだその余力があるというふうにも思いますし、そしてまた、その取組、しっかりと御支援をいただきたいということを重ねてお願いをさせていただきます。  一方、一年間に十万トンもの米の消費が減っているというこの現状をほっておいていいわけはありません。米の需要縮小にストップをかけなければいけないわけでありますけれども、様々な取組を進めてもらいたいわけですが、ここでは米の輸出と食育について触れたいというふうに思います。  実は、今朝、自民党の水田農業振興議員連盟というものが開催をされまして、ここで東京大学教授の安藤光義先生のお話を伺いました。この中で、国内需要の拡大のポイントとして輸出と食育を指摘されたところでありまして、ああ、今日私が質問で取り上げるんだな、そういうことで、ちょっと意を強くして質問させていただくわけであります。  生産者の方とお話をしておりますと、こうやって米の消費が減っているという話をした後に、やはり輸出に対して大変期待が高いなということを私も感じるところであります。  米の輸出拡大については、様々な課題もまだあるというふうに賜っております。この現状と課題、そしてこれからの取組の方針についてお聞きしたいと思います。
  101. 天羽隆

    ○天羽政府参考人 お答え申し上げます。  お米の輸出でございます。  新型コロナウイルスの感染拡大が農林水産物、食品の輸出に影響を与えた中でも、二〇二〇年のお米の輸出額、これは対前年比プラス一五%の五十三億円、数量ベースでも対前年比プラス一三%の二万トン弱と、比較的堅調に推移をしておるところでございます。  このような中、昨年の十二月に取りまとめられました農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略におきまして、お米、パック御飯、米粉及び米粉製品は、今後更なる輸出拡大が期待される重点品目の一つだということで選定をされておるところでございます。  このことを踏まえまして、輸出拡大実行戦略では、令和二年度中に輸出産地をリスト化し、重点的に支援していくという旨が定められたところであり、去る二月の十六日に輸出産地のリストを公表したところでございます。  今後、輸出産地育成のためには、海外の実需者ニーズに応じました低コスト生産の取組に対する支援が重要になると考えてございまして、令和二年度第三次補正予算におきましては、新市場開拓用米の低コスト生産の取組に対する支援を措置しておるところでございます。  また、輸出事業者と産地が連携して取り組む海外需要開拓、プロモーションや、海外規制に対する取組に対する支援も行うこととしておるところでございます。  これらの取組推進によりまして、お米の輸出拡大に向けた産地の育成を図ってまいりたいと考えております。
  102. 岩田和親

    岩田分科員 ありがとうございます。  もう一点、食育についてもお聞きしたいと思いますが、食育推進基本計画の改定、この議論も今進んでいるところであります。米の需要拡大のために、改めて米を主食とした日本食文化の振興と、そして学校給食での米飯給食、日本型食生活の実践、こういう一番基本的な部分を改めて定着させていくべきだというふうに考えます。  パン食とか洋食を悪く言うつもりは全くありませんけれども、ただ、小さなときに、どうしても、味が濃いものとかそういう食事ばかりをしていますと、やはり薄い味であるとかそういうことが何か物足りなくなってしまって日本型食生活を離れてしまう、いわゆる米を中心とした食事が何か物足りないような、そういうふうに子供が感じるようになるんじゃないか、私は、長期的にも米離れにつながるんじゃないかという危惧をしておるところであります。  計画の改定議論が進んでいるところでありますけれども、食育や学校給食、どのように考えるのか、お聞かせください。
  103. 新井ゆたか

    ○新井政府参考人 食育推進基本計画におきましては、従前から、御飯を中心に多様な副菜を組み合わせ、栄養のバランスに優れた日本型食生活というものの実践を推進してきたところでございます。  新たな食育推進基本計画の案におきましては、日本型食生活推進について、更にその取組を深化させるべく、御飯を主食とした一汁三菜を基本とする和食文化の保護、継承は、食料自給率の向上環境への負荷低減にも寄与し、持続可能な食に貢献すると期待されるということを重点事項の中に位置づけるとともに、和食の栄養バランスのよさや持続可能な食への貢献について国内外への発信を強化するということを盛り込むこととしております。  引き続き、学校における米飯給食を着実に推進することに加えまして、学校以外の職場や地域等様々な場面におきまして、日本型食生活を核とした取組を進めることとしております。  新たな基本計画は、食育関係者の有識者から成る食育推進評価専門委員会で御議論いただきまして、現在、パブリックコメントを実施しているところでございます。今年度中に食育推進会議を開催いたしまして決定をしたいと考えております。
  104. 岩田和親

    岩田分科員 消費拡大まで、少し幅広に質問をさせていただきましたけれども、やはり、つまるところは、今年度、令和三年産のをどのように乗り越えていくのかということは、まさに焦眉の急なわけであります。  大臣、昨年の十二月二十一日に発表されました談話というものは、異例のものであるというふうな言われ方もしているところであります。それだけ大臣危機感が大変強いということは受け止めておるところであります。  今回、制度設計や予算措置等、今答弁いただいたような形で準備はされているわけですけれども、やはり、言うまでもなく、このことが、国からそして生産現場まで危機感を共有をして実行していくということが何よりも不可欠でありますし、そのためには、引き続き、情報発信を始めとして、リーダーシップを大臣に発揮していただくということが絶対に必要なわけであります。  令和三年産の作付への対応について、大臣決意を伺いたいと思います。
  105. 齋藤健

    齋藤主査 野上農林水産大臣。時間ですので簡潔にお願いします。
  106. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 令和三年産の主食米につきましては、今お話あったとおり、過去最大規模の六、七万ヘクタールの転換ということが必要になっておりまして、それを関係者の皆さんと危機感を共有したいという思いで大臣談話を発表させていただいたところであります。  今、施策についてはお話あったとおりでありますが、時間がないということで繰り返しはいたしませんが、こういう様々な施策を用意しましたけれども、それをやはり現場の皆様にしっかりと理解をしていただいて周知をしていくということが大変重要であると考えておりまして、今まで、全国大会、四回開催いたしましたり、地方農政局等々、現場で、ウェブでも活用しながら説明会も開いておりますが、やはり生産現場から関係者一体となってオール・ジャパンで取り組んでいくことが必要だと考えておりますので、しっかりとその取組を進めてまいりたいと考えております。
  107. 岩田和親

    岩田分科員 終わります。
  108. 齋藤健

    齋藤主査 これにて岩田和親君の質疑は終了いたしました。  次に、亀井亜紀子君。
  109. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 立憲民主党の亀井亜紀子でございます。よろしくお願いいたします。  私は、ふだん、農林水産委員会に所属しておりますので、今日の質問は本当は委員会の方で質問しようかと思っていたんですが、なかなか一般質疑の時間に恵まれませんで、この分科会を使わせていただくことにしました。農水省に対する質問環境省に対する質問と大体半々ぐらいで用意いたしましたので、よろしくお願いいたします。  初めに、農水省にお伺いいたします。  宍道湖についてなんですけれども、日本シジミ研究所というところがございまして、宍道湖のシジミについて研究をしております。この団体から、昨年三月に大臣官房統計部に対して公開質問状が提出をされまして、それに対する回答を得ております。四問ほどありましたが、ちょっと納得しかねるところがございまして質問をいたします。  今日、参考資料をお配りをしております。これは内水面漁業漁獲量のページなんですけれども。御覧いただきますと、ほとんど数字は出ていなくて、X、バッテンばっかりなんですね。こんなに数字が全部隠されていると、センサスの、統計の意味がないと思うんです。  このことについて、この団体が、二〇〇七年から急に魚種別、河川別、湖沼別の漁獲量の記載がされなくなりました、その理由をお聞きしたいと問いましたところ、理由として、対象の事業者が二以下のときには数値を秘匿することになっているというような回答を得られたんですけれども、なぜ隠す必要があるのか、どうしても理解ができませんので、この点をお伺いいたします。
  110. 池田道孝

    ○池田大臣政務官 お答えをいたします。  今委員質問の、シジミ研究所から内水面の漁業生産統計調査に関する質問状を受付をいたしました。同月の二十六日付で回答をしているところでございます。  今御指摘していただきましたように、平成十九年調査より秘匿措置を行ってきておるわけでございますけれども、この秘匿措置とは、統計の作成に用いられた個人又は法人その他の団体に関する秘密は統計法に基づき保護されることとなっているため、調査対象が一又は二の場合、その調査結果を公表しないというふうに処理をしているところでございます。  この調査につきましては、平成十九年の調査から、販売を目的とした採捕のみを対象として、遊漁による採捕を対象に含めなくなったことから、調査対象である漁協の個別情報が主たるものとなるため、この調査結果には秘匿対象となった旨を回答をしておるところでございます。
  111. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 調査対象が二以下の場合には秘匿するということにルールが変わったという、このいただいた回答書と同じ御答弁なんですけれども、でも、そこのところがやはり納得いかないんですね。  この統計、調査目的というのは、漁獲可能量、TACを設定する際の基礎資料等の水産行政に係る資料を整備することを目的としているわけですので、TACを設定するに当たって、その大本の数字であるところがみんな秘匿されていては、やはり、何を根拠としてその数値が出てくるのかが漁業者からしたらさっぱり分からないわけなんですけれども、なぜ秘匿する必要があるのでしょうか。もう一度お答えください。
  112. 池田道孝

    ○池田大臣政務官 先ほど申し上げましたように、統計法の第三条でございますが、「公的統計の作成に用いられた個人又は法人その他の団体に関する秘密は、保護されなければならない。」ということで、平成十九年の調査から遊漁分を除いて調査することにしたところでございます。
  113. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 調査対象の何を守る、隠す必要があるのか、私は納得をしかねるんですけれども、この参考資料のように、ほとんどバッテンで、数字が示されていない。二ページ目のところに宍道湖とあと島根の神西湖がありますけれども、上から下まで全部バッテンで、何一つ数字が出ていません。これは私は非常に問題だと思いますので、是非改善をお願いしたいと思います。  時間がないので、あ、何か、じゃ、お願いします。
  114. 池田道孝

    ○池田大臣政務官 御指摘のように、秘匿措置が多くなっておるために支障がある等の御意見をいただくことがあることも踏まえまして、今後は、秘匿措置の対象となり得る場合であっても、調査対象者の同意を得た上で公表をすることを検討しておりますし、今年度につきましては、その同意書も同封して送付をさせていただいております。
  115. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 是非よろしくお願いいたします。行政に対する信頼がなくなりますので、必要ない部分は是非開示していただきたくお願いを申し上げます。  次の質問ですが、これもやはり宍道湖についてです。環境省に対する質問なんですけれども。  もしかしたら海面上昇しているんじゃないかというようなことを地元の人から言われました。なぜかといいますと、宍道湖で海の魚が捕れるようになった、そういううわさが今ありまして、私も正確に確認はしていないんですけれども、例えばクロダイを釣ったというような話があるんですね。  宍道湖七珍といって、七つの珍味といいますか七珍というのがありまして、スモウアシコシと覚えます。スズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ、シラウオ、コイ、シジミ。これが捕れる分には問題ないんですけれども、クロダイというのは不思議だなと思っていまして。それで、地元の人がいわく、もしかして海面上昇していて、より多くの海水が中海から宍道湖の方に流れ込んでいるんじゃないかと言うんですね。  それで、どうでしょう、分かりませんけれども、ただ、将来的に、もし海面が本当に上昇したら、より多くの海水が流れ込んできて、汽水湖ですけれども、海水と淡水の割合が変わってきたときに、シジミの生息環境が変わってくるということはあり得ますので、今、現在の環境省の見解、海面上昇に対して、IPCCの報告書、第五次評価報告などもございますが、どのように環境省としては捉えておられるのか、質問いたします。
  116. 笹川博義

    ○笹川副大臣 今亀井先生が御指摘のとおりでありまして、このIPCCの報告書によりましても、長期的に海面の上昇傾向ということと、その速度についても速まっているという報告書の内容になっております。  また、国内においても、環境省が昨年の十二月に公表しました気候変動影響評価報告書においても、将来的に海面水位の上昇によって高波、高潮のリスクが増加するということの指摘がなされております。  先生お地元の方で御心配の宍道湖でございますが、残念ながら、宍道湖ということで、特定の水域について断定的な、ここで先生に報告するという、裏づけとなるデータがあるわけではありません。これは大変申し訳なく思っておりますが。  ただ、気象庁の観測によりますと、ここ百年余りの日本沿岸の海面水位については、数十年周期の変動が見られ、ただ、世界的な、平均的な海面水位が上がっていますよという単調的なものではないんですが、一九八〇年以降、これについてはやはり上昇傾向にあるというふうに見られます。ただ、一九六〇年に、日本近海、日本海側ですね、いわゆる観測点を増やしましたので、それに、調査結果に基づく今の御答弁ということになりますが。  もう一度申し上げますが、宍道湖というような形になると、先生に御報告するだけのデータがないということでありますが、仮に海面水位が上昇に伴うと塩分濃度が上昇されるのではないかということはやはり予測されるのではないかということでございます。
  117. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 ありがとうございます。  宍道湖のデータがないというのは理解しますけれども、日本海側ですとか、日本の海面がどの程度変化しているのかということは調査をしていただきたくお願いいたします。私も、今回の地元の指摘があって、そういうことがあり得るのかなとちょっと気になり出したところでございます。  では、次の質問ですが、今度は中海のことなんですけれども、中海漁協の方とお話をしましたら、漁業権を返してほしいと言われました。  江藤農水大臣のときに、中海の干拓事業が中止されましたが、その後の中海の状況、水質の改善について質問をいたしました。その当時も中海の漁協と話をしていたんですが。今の中海漁協は許可漁業に基づいて漁をしています。干拓が前提となっていた頃に漁業権を返上したわけで、そのままになっているんですけれども、そもそもそれを返してほしいと言われました。  改正漁業法が施行されましたから、漁業権というのは、今、知事権限になっているかと思いますが、この中海漁協が漁業権を取り戻したいと考えたときには、どのようなプロセスになるのでしょうか。お願いいたします。
  118. 池田道孝

    ○池田大臣政務官 漁業権につきましては、亀井先生おっしゃられた漁業法の改正というよりか、その改正の以前から都道府県知事が免許というふうになっておりまして、今おっしゃられる漁業権に関する要望につきましては、関係する知事の方に御相談をいただきたいというふうに考えております。
  119. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 ありがとうございます。  では、農水省の関係することではなく、あくまでもその県と漁協との関係ということで理解をいたしました。ありがとうございます。  次は、風力発電施設に関してです。  これは、島根県でも、益田市といって、日本一の清流を何度も取っている高津川という川があります。支流も含めてダムのない川として有名でして、この高津川を地元住民は誇りにしているわけなんですけれども、この支流に当たるところ、益田市の道川というところで風力発電の計画が上がっており、今、反対署名が二千名ほど集まっております。人口は五万を切っている町で二千名ほどの、今、反対署名が集まっておりまして、高津川の清流を守る会が活動しております。これは、特に野党系の人たちが反対しているというわけじゃなくて、与党も野党も関係なく反対をしております。  益田市は、条例とかガイドライン、風力発電に関して持っておりません。  もう一つ、今、鳥取市の方に、西郷・明治地区というところに大きな風力発電の整備計画がありまして、こちらの方は、一万四千百八人の署名が集まっており、鳥取の県議会の中で知事とのやり取りがありました。  こちらは、二〇一七年に計画ができたわけですけれども、地元住民に知らされたのは三年後、昨年、二〇二〇年の八月だそうです。鳥取県は県の環境アセスを持っているわけですけれども、それでも住民に知らされなかった。  鳥取の条例では、配慮書、方法書を公告縦覧し、インターネット公表しなくてはいけない、また、意見が出れば、その概要と事業者の見解を記載した書類を市町村長に送付しなくてはならないとなっているわけなんですけれども、これがなぜか機能しなくて、今、大騒ぎになっております。  知事の県議会における答弁で、知事が法律の欠陥を指摘しております。つまり、電気事業法、FIT法、全て経済産業省の権限になっている、なので、環境アセスというのは許可をするときの附帯書類、附帯事項の中に入っている環境影響評価という位置づけで、最終的な権限は国が握った形になっているのでどうにもならないというような答弁なんですけれども、このことについて、環境省はどのようにお考えでしょうか、問題意識をお持ちでしょうか。お願いいたします。
  120. 笹川博義

    ○笹川副大臣 今、亀井先生から御指摘があったのは、私も、二月九日ですかね、毎日新聞の方で取り上げられたことは承知をいたしております。それからまた、御地元でも、島根県益田市のお話もございました。  風力発電も含めて、再生可能エネルギーの事業について大事なことは、やはり地域合意形成が大きな課題になっておるというふうに認識をいたしております。  他方で、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けては再生可能エネルギーが大きな柱であることは間違いございませんので、これを活用することは国としてもしっかり取り組まなければならないというふうに思いますので。  いずれにいたしましても、地域における合意形成を円滑化しつつ地域に貢献する再エネ導入を促進する仕組みということで、今般、地球温暖化対策推進法改正案を今国会提出をさせていただきたいというふうに思っておりますので、また、そのような地元でのそれぞれの御事情も踏まえた上での議論の積み重ねということで御理解賜れればというふうに思います。
  121. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 我が党は再生可能エネルギーは導入を推進している党で、なるべく早く脱原発を実現したいと考えております。ただ一方で、やはり風力発電の導入において地元との合意形成は必須だと思っておりますし、環境破壊になってしまっては元も子もないと思います。  この風力発電の問題として指摘されているのは、結局、大型の構造物を山の上に運ぶに当たって道路を切り開くわけですよね。それが非常に、林業の林道とは異なって直線的に大きく切り開くので、林業とは共存し得ないと。そして、山を切り崩したときにその土砂が川に流れ込むことを心配しておりまして、それが今、益田の高津川でも大変問題になっているということです。  今国会で森林間伐に関する法律も出されているんですけれども、森林環境税も民有林の整備のために導入をし、間伐の法律も延長し、それでも、山の持ち主が風力発電の方がお金になるからといって、それで山を提供して大型のいわゆる道がつけられて環境破壊になっていくと、これは本当に意味がないと思いますので、環境省にはよくよく、住民との合意形成のところにきちんと法的な整備をしていただきたいとお願い申し上げます。  鳥取では、環境アセス千五百キロワット、風力発電で千五百キロワットのところから対象にしているようなんですけれども、国が今考えている方向は、何か五万キロワットというような声も聞こえてくるんですが、これは事実でしょうか。
  122. 白石隆夫

    ○白石政府参考人 お答え申し上げます。  現在、一万キロワット以上が法律におきます環境アセスの対象でございます。これについては、規制改革の観点から、少しちょっと対象範囲が厳し過ぎるのではないかという御指摘もいただいておりまして、その在り方につきましては現在部内で検討しているところでございます。
  123. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 余り規制緩和をして大規模風力発電を前提とすると、全く、再生可能エネルギーであっても環境に優しくありませんので、その辺はよくよく地域の事情を考えていただきたいということをお願いを申し上げます。
  124. 笹川博義

    ○笹川副大臣 今、亀井先生の御指摘があった鳥取、工事用の道路、これについても、環境省の方としてはアセスの段階で厳しめの注文はつけている。  ただ、もちろん、先生の御指摘のとおり、再生可能エネルギー普及させるに当たって自然を犠牲にするということは、やはりこれは大きな問題だという認識を持っておりますので、大事なことは、やはり地域合意というこの合意形成、これも大事な過程でありますので、しっかりと受け止めて、今度の提出する法案においてもまた御指導を賜れればというふうに思っております。
  125. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 よろしくお願いいたします。  海外で見た風力発電、日本は急峻な地形ですのでなかなか該当する場所がないかと思いますけれども、やはりドイツなども平らなところにありましたし、デンマークなどは洋上でしたし、本当は洋上ですとか、そういうところの方がふさわしいのではないかと私は思っておりますので、その辺も御検討いただきたく思います。  次が、トキの分散飼育についてです。  出雲でトキの分散飼育をしております。順調にこの十年ほどやってまいりまして、今、出雲市では、いずれトキを出雲で放鳥したいというふうに考えておりますが、そもそも環境省として、トキを佐渡島以外で、本土で将来的に放鳥しよう、そういう考えはありますでしょうか、伺います。
  126. 笹川博義

    ○笹川副大臣 まず、御地元の方で分散飼育に御協力、御尽力賜りまして、本当に感謝を申し上げたいと思っております。  ただ、トキの今までの現状ですと、トキ保護増殖事業計画及びトキ野生復帰ロードマップにより進めてまいりまして、佐渡においてのみ放鳥を行ってまいりましたが、本年二月、専門家から成るトキの野生復帰検討会において、次期のトキ野生復帰ロードマップの最終案を取りまとめをさせていただきました。ただ、これは、いずれにしても、本年六月をめどに正式に公表をさせていただきたいというふうに思っておりますが。  このロードマップにおいても、トキの野生復帰の最終的な目標一つであるのは、国内で複数の地域での個体群を確立をさせることが大事でありますので、その位置づけとすれば、本土での放鳥も視野に入れての取組を進めていくということになるというふうに思います。
  127. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 ありがとうございます。  それでは、放鳥に向けてのいわゆる前提条件、餌場がないといけないと思うんですけれども、例えば、大体、放鳥しようとすると、有機栽培が進んだりとか農薬を減らしていくとか、いろいろあるかと思いますけれども、環境省としての、トキの放鳥に向けた前提条件のようなものはありますでしょうか。
  128. 笹川博義

    ○笹川副大臣 大切なことは、やはりトキがそこの野生としてしっかりと生殖をしていける、この環境整備がまず第一、大事だというふうに思います。同時にまた、地域住民がトキの生息について見守る、優しく寄り添う、理解をする、このことも大きな条件だというふうに思いますので、やはりその点のところの地域住民の協力が得られるかどうか、このことも大切な条件だというふうに思いますので、そういう意味において、改めて、出雲市におかれましては、分散飼育の方にも取り組んでいただけているので、地域の皆さん方の御理解も相当数あるのではないかというふうに思っております。
  129. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 出雲市はトキに理解がありますし、可能性はあると思っております。  実は、コウノトリが知らぬ間に飛来していたといいますか、雲南市なんですけれども、サギだと思って撃ったらコウノトリだったといって大騒ぎになったことがありまして。実は、島根県に飛んできて生息していたということですので、コウノトリが生息できる環境であるならば、トキも何とか可能性があるんじゃないかと思っておりますので、では、是非、トキが飛ぶ出雲市を目指したいと思います。  最後の質問ですけれども、これは国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業についてでございます。  先日、予算委員会を見ていた地元の人は、コロナ禍で農産物の供給先が減っている中でだぶついた農産物を子供食堂などに提供するにはどうしたらいいかというような質問があった中で、この事業を紹介されていたので、それですごく期待を持って問合せがあったんですね。  そうしましたら、実際には、結構大規模にやっているところじゃないと難しいと。そもそも、申請するのに、子供食堂、二十、三十の団体が一緒になって、書類も煩雑なので、それで申請をして助成を受けるというようなつくりになっていると聞きました。  それを伝えましたら、やはりちっとも地方の目線に立っていないと。大体、島根県に二十も三十も子供食堂はありませんと言われまして、実際そうなんですけれども。  ですので、この事業というのは一体どういう発想でつくられたものなんでしょうか。今、島根県知事が聖火リレーのことで発言していろいろと話題になっておりますけれども、言いたいことは、余り地方目線じゃないわけなんですよね。地元の事情に合わない。規模が大き過ぎたりであったりとか、分かっていないですねということをよく言われるので、この事業のたてつけと、あと、そういう子供食堂等、事業規模が小さいところに対しての支援が何かありますでしょうか。お伺いいたします。
  130. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 今御指摘のありました国産農林水産物等販路多様化緊急対策事業であります。第三次補正予算で措置をさせていただきまして、学校給食ですとか子供食堂等に食材を提供する場合にも支援を実施することが可能となっているわけであります。  本事業では、一定以上の事業規模の取組を支援することとしておりますが、これは、新型コロナの影響を受けた国産農林水産物の在庫の解消ですとか価格の回復を目的としておりまして、予算の範囲内でその効果を十分に得る必要があるためであります。  一方で、地域の子供食堂につきまして、その多くがそれぞれ単体では小規模なところということでございますが、全国団体が、これは地方の小規模の取組を取りまとめて申請をするですとか、あるいは、地方取組においても、複数の施設が一体となって申請することも可能としておりますので、農林水産省にお問合せをいただければ、この事業に取り組んでおられる全国団体ですとか地方の取りまとめ団体を御紹介をさせていただくなどしまして、中小規模の事業者の方々にもこの事業に取り組んでいただけるように配慮しながら、事業を実施してまいりたいと考えております。
  131. 亀井亜紀子

    ○亀井分科員 では、よろしくお願いいたします。  実際、この事業を使い切れる規模のところがどの程度あるのか、この予算がみんな使われるのかどうか非常に気になっておりまして、小さいところにも御配慮いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。  では、時間ですので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  132. 齋藤健

    齋藤主査 これにて亀井亜紀子君の質疑は終了いたしました。  次に、斎藤洋明君。
  133. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 自由民主党の斎藤洋明でございます。  令和三年度一般会計予算等につきまして、農林水産省所管部分につきまして質問したいと思います。  まず第一に、米政策に関連して何点かお伺いしたいと思います。  昨年の令和二年産米は、米価が下落いたしました。これは、コロナによる消費の落ち込みもございましたし、作柄はまずまずだったということで、多くの生産農家が、これは米価相当厳しいということを、天候もよかったので、もう初夏の時点でかなりおっしゃっていて、マイナス四桁は避けられないのではないかという悲観的な声がかなりありました。  そういう中でJAさんには相当頑張っていただきまして、仮払金が、例えば新潟県の一般コシであればマイナス九百円ということだったんですが、このマイナス九百円という数字も、かなり頑張ってしまったというか、在庫が一定数以上ある中で、相当無理をしてマイナス九百円にとどめてもらったというのが正直な実感でございまして、令和三年産米の米価が暴落するのではないかということを非常に懸念をしております。  この点、令和二年産米の在庫は過剰であると思っていますが、この対処を誤れば、三年産米米価は大暴落してしまうのではないかという懸念を持っておりますが、この点、野上農林水産大臣に見解をお伺いしたいと思います。
  134. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 御指摘のあったとおり、令和三年産の主食用米については、やはりこれは、六・七万ヘクタール、過去最大の作付転換が必要になってくるわけでございまして、これが実現できなければ、需給と供給の安定が崩れかねない正念場と考えておりまして、先ほども申し上げましたが、そのために、一つは、大臣談話を出させていただきました。  さらに、令和三年産に向けて、第三次補正予算におきまして、新市場開拓に向けた水田リノベーション事業ですとか、あるいは麦・大豆収益性・生産性プロジェクト等々措置をさせていただきましたし、令和三年度当初におきましては、水田活用の直接支払交付金におきまして、主食用米からの転換のインセンティブを高めるために、都道府県が独自に支援する場合に、耕作面積に応じて国が追加的に支援する措置の創設を盛り込んでおりますが、先生御地元の新潟県におきましても、加工用米ですとか飼料用米等の拡大面積に応じた支援を創設されると承知をしておりまして、こうした都道府県の取組との連携も極めて重要だと考えております。  一方で、保管経費の支援の拡充ということも措置をいたしております。  さらには、先ほど少し御議論ありましたが、中食、外食向けの米の販促について、国産農林水産物等販路多様化事業、あるいは一次では販路促進緊急対策等々措置をしているところであります。  このような措置もしているんですけれども、やはり、これをしっかりと周知をして、理解をしていただいていかなければならないということで、この促進のために、全国会議、過去四回開催をしてまいりましたし、地方農政局ですとか本省による説明会なども、これはウェブも活用しながら実施をしておるところであります。  いずれにしましても、生産者団体、地方団体、あるいは、いわゆる産地、農家に至るまで、やはり、オール・ジャパンで、一体となって取り組んでいくことが重要だと考えておりまして、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
  135. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。  この点に関連しまして、先ほど亀井先生からも御質問が出ておりましたが、コロナ禍で生活が困窮している方々に、主食用米、野菜を始めとする農産品を、私は特に主食用米が非常に重要だと思っていますが、直接支援する事業を行っている地方団体や大学がございます。そういった取組をしっかり農林水産省として支援すべきだと考えておりますが、この点、御見解をお伺いしたいと思います。
  136. 新井ゆたか

    ○新井政府参考人 お答えいたします。  農林水産省におきましては、新型コロナの影響を受けた国産農林水産物を食育活動を行う子供食堂等へ供給する際の食材の調達費それから資材費等への支援、それから、食育の一環といたしまして、子供食堂等への政府備蓄米の無償交付、それから、食品ロス削減の観点から、企業等から寄附された食品を食品の支援を必要とする人々に提供いたしますフードバンクの活動におけます食品の輸送それから保管費への支援等を行っているところでございます。  他方、福祉政策の観点から、生活保護受給世帯への学校給食費の無償化等の措置は従前より行われておりますけれども、今回の新型コロナウイルスの影響によります休校の状況等を踏まえまして、一人親世帯や生活困窮世帯に限りましてお米等の現物の支給や商品券の配付を行っている地方自治体もあるということは承知をしております。  農林水産省といたしましては、これらの施策と相まって、生活に困窮されている方々への支援の輪が広がっていくよう連携を進めてまいりたいと考えております。
  137. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 是非よろしくお願いしたいと思います。  ふだんから主食用米の需要の拡大ということは非常に重要だと思っていますが、特にこの二年産米の在庫に関しましては、非常特例の措置が必要だと思っております。  今現在の施策よりももっと充実させていただきたいと私が思っておりますのは、現実にプッシュ型支援を行っております団体に話を聞きますと、もうとにかく米なんだ、副食物は結果としてちょっと後回しになってもなんだけれども、あした食べる米がないというのが一番困窮している方々の心を折ってしまうということを非常に現場で伺います。  二年産米、在庫が余っています、どうやってこれをはくのか、大変な努力をしていますという議論をしている一方で、これは私が直接聞いた話じゃありませんが、フードバンクしばたさんのところ、私の地元の団体から伺った話としまして、自分の子供が夕御飯を食べて、お代わりしたいと言うんだけれども、これを食べさせてしまうとあした食べさせる御飯がないから一杯でやめさせているというような話があったりとか、あと、米をお届けしたら、相手が、支援した先の家庭の方が黙り込んでしまったので、何か気に障ることをしたかと思って顔を見たら泣いていたというような話が実際ございます。  これを直接支援して文句を言う国民は誰もいないと思いますので、結果として、農水省が必ずしもやる必要はないと私も思っていますが、是非これはオール政府検討していただきたいと思います。  三問目に、米の新たな需要の創出という観点から、近年の米の輸出量と金額の推移を教えていただきたいと思います。
  138. 天羽隆

    ○天羽政府参考人 お答え申し上げます。  二〇二〇年の米の輸出、粒のお米でございますけれども、金額ベースで五十三億円、数量ベースで一万九千六百八十七トンとなってございまして、過去五年間で、金額ベース、数量ベース共に約二倍に増加をしております。  また、新型コロナウイルスの感染拡大が輸出に影響を与えました昨年におきましても、対前年比で見ますと、金額ベースで約一五%増、数量ベースで約一三%増と堅調に増加をしてきたところでございます。
  139. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 ありがとうございます。  輸出に向けて当局も、また、生産している方、流通に関わる方々も、それぞれの立場で最大努力していただいていることは私もよく承知をしておりますし、また、一定の成果は出ていると考えます。  しかしながら、努力をしてもどうしても突破できない物理的な壁があるのではないかと思っていまして、それが、国際穀物市場におけるそもそも米というものの潜在的なキャパシティーといいますか、そのマーケットの大きさです。  そこでお伺いしたいんですが、国際穀物市場に占める米の位置づけ、そもそもどの程度米が流通しているのか、そして、国際商品作物として、特に、米と一口に言っても長粒種、短粒種、いろいろあるかと思いますが、短粒種というのがどのぐらいポテンシャルを持っているのかということについてお考えを伺いたいと思います。
  140. 天羽隆

    ○天羽政府参考人 お答え申し上げます。  国際穀物市場における米などの位置づけでございます。  世界におけます二〇一九年、二〇年産の穀物、これは米を含んで、小麦ですとか粗粒穀物を含むわけでございますけれども、アメリカ農務省の推計でございますが、生産量は約二十七億トンと推計されております。うち米は約五億トンと、約二割を占めてございます。  また、世界におけます二〇一九年、二〇年の穀物の貿易量でございますが、これもアメリカ農務省の推計でございますが、四、五万トンと推計されております。このうち米については四千万トン程度というふうに推計をされておりまして、約一割となってございます。  さらに、米の種類についてでございます。  全世界におけるインディカ米それからジャポニカ米の二〇一七年の輸出量の合計は約五千万トンでございます。これはOECDのアウトルックからのデータでございますけれども、そのうち、多くの中短粒種が属しますジャポニカ米の輸出量は約二百三十万トンということで、その割合は約五%ということでございます。  失礼いたしました。穀物の貿易量を、私、四から五万トンと申し上げましたが、四から五億トンでございます。失礼いたしました。
  141. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 なかなか把握しているデータがないというようなお話もありましたが、よく調べていただきまして、感謝申し上げます。  お話ありましたとおり、穀物というのはかなり巨大な国際マーケットを形成していますが、そのうちジャポニカ、短粒種ということになりますと、相当狭い商品ということになってまいります。  そこで、後でちょっと提案したいこともございますが、その前に、アメリカは農家向けの補助金が充実しております、EUは環境払いですとか直接支払いが充実しているということで、販売価格が低くとも生産農家が経営できる環境があると認識しております。これが結果として、生産農家が輸出に取り組みやすい環境をつくっているのではないかと認識しますが、見解をお尋ねいたします。
  142. 森健

    ○森政府参考人 お答えいたします。  米国、EUの政策について御質問をいただきました。  米国の農業政策は、農業者の経営安定につながる政策が中心でございまして、農産物価格が低下した際の支援制度を長年にわたって講じてきておりますほか、近年は収入の減少に応じた補填制度も導入されたと承知しております。また、EUでは、共通農業政策として、国境措置や価格支持の縮小の代替措置として導入された直接支払いですとか、条件不利地域支払い、農業環境支払いなどが実施されていると承知しております。  これらの政策につきましては、農業経営の安定等が図られ、生産性の向上やニーズに応じた生産、市場開拓のために必要な取組や投資の確保につながることで、両国農業の国際競争力の維持強化にも寄与してきた面があると考えているところでございます。
  143. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 EUとアメリカは、我が国の農家とは置かれた環境がかなり異なりますので、単純に適用するような議論はできないと考えます。  その一つが、先ほど議論をさせていただいたように、国際商品作物としてどの程度汎用性のある農産物を作っているかということもありますし、また、生産環境という面では、我が国は、やはり農地の環境は必ずしも恵まれていないので、圃場整備、土地改良予算も非常に重要だということで、農家の直接支払いに全ての農林水産予算を振り向けるような議論はなかなかできないわけですけれども、それだけアメリカ、EUは恵まれた環境にあるということも踏まえて、結果として、販売価格が低下しても欧米の生産農家は経営が成り立ちやすいということと、販売価格の下落が経営の悪化に直結する日本の農家とは置かれた環境が違うんだということは認識をして政策をつくっていかなきゃいけないと思います。  私は、長期的には、環境をしっかり整えた上で、十分な国民議論の上に、このアメリカ型、EU型に近づけるような農政が必要ではないかと考えております。  次に、池田政務官に是非お伺いをしたいと思っております。  先ほど、米の国際穀物市場の状況をお伺いしましたけれども、私の地元にも、輸出をやるんだったら長粒種をやらなきゃ駄目だろうといって試験的に取り組んでいる農家もおられますし、また、販売価格をかなり下げてという努力をしている農家もおられます。  輸出を本当に米の需要創出の手段として捉えるのであれば、米の品種の選定も含めて輸出環境をしっかり整えて、欧米のように全ての農家に一律にはすぐにはできなくても、しっかり支援をした上で積極的な穀物輸出戦略を取るべきではないかと考えますが、政務官の御見解、お伺いいたします。
  144. 池田道孝

    ○池田大臣政務官 昨年十二月に取りまとめられました農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略では、今後更なる輸出拡大が期待される重点品目の一つとして、米、パック御飯、米粉・米粉商品が選定されており、二〇二五年の輸出目標を百二十五億円と設定したところでございます。  このことを踏まえまして、輸出拡大実行戦略では、令和二年度中に輸出産地をリスト化して重点的に支援していく旨が定められたところでありまして、都道府県との調整を経て、二月十六日に輸出産地リストを公表したところでありますし、斎藤先生のお地元新潟県におきましても三つの産地が含まれております。  今後、こうした輸出産地育成のためには、海外の実需者ニーズに応じた低コスト生産の取組に対する支援が重要になると考えております。新市場開拓用米の低コスト生産の取組に対する支援を措置しているところでございます。  また、輸出事業者と産地が連携して取り組む海外需要開拓、プロモーションや、海外規制に対応する取組に対する支援を行うこととしているところでございます。  これらの取組推進によりまして、米の輸出拡大に向けた産地の育成を図ってまいります。
  145. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 是非よろしくお願いします。  続きまして、今冬の豪雪被害につきまして何点かお伺いしたいと思います。  まず、ハウスの被害等につきましては、強い農業・担い手づくり総合支援交付金の中の地域担い手育成支援タイプにつきまして、支援対象を地域の中心経営体等としてございます。また、補助上限額は、経営体当たり六百万円としております。この理由を池田政務官にお伺いします。
  146. 池田道孝

    ○池田大臣政務官 令和二年から三年までの冬期の大雪によります被害につきましては、今月二日に被災農林漁業者への支援対策を公表をいたしました。  その中で、農業用ハウス等の被害に対しましては、今回の被害の状況、これまでの災害における対応状況を勘案いたしまして、総合支援交付金の地域担い手育成支援タイプの優先採択により支援をすることといたしました。これは、北陸を中心とした平成二十九年から三十年までの大雪による被害への対策と同様の支援内容となっております。  また、この事業のほかに、持続的生産強化対策事業の産地緊急支援対策により農業用ハウスの再建等を支援することといたしております。  どちらにいたしましても、こうした事業を活用していただきまして、被災されました農業者の皆様方が一日も早く経営再開できますよう、地元自治体とも連携いたしまして全力で取り組んでまいります。
  147. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 このハウスの再建支援につきましては、農家から歓迎の声が上がる一方で、その支援対象の範囲あるいは補助上限額については様々な意見が出ております。  これは、支援、補助である限りは線引きも必要な面もありますし、また、ちょっとこの質問では触れていませんが、共済に加入しているか加入していないか、共済に入っていなくても十二分な支援が受けられるのであれば、何のために共済に入るのかという話にもなります。どこかで線引きは必要なものでありますが、常に農政でつきまとうのがこの線引きの、その説明の問題です。全員が納得はできなくても、こういう理由でこういう線引きをしたんだということが明らかになるような、継続的な、不断の御説明努力を是非お願いしたいと思います。  補助上限額につきましては、もし今後同様の災害があったときにまた御検討いただきたいのが、一戸当たりのハウスの値段というのが非常に高騰しております、ちょっと立派な耐候性のハウスを建てると相当な金額になりますので、この辺りも不断のヒアリングを是非お願いいたします。  現場でこのハウスの再建に関連して伺っていることについて、ちょっとお尋ねをしたいと思います。  資材が相当足りないという話が出ております。これは当然、地域性もあろうかと思いますし、また、農協の系統組織なのか、あるいは商社系なのかによっても在庫状況が異なっていると思います。また、これはもうある程度覚悟されたことでもありますけれども、実際、ハウスを建ててもらえる事業者の手が足りなくて、とても春までに間に合わないというような声も出ております。  資材不足、労働力不足の声がこのように聞かれておりますが、農水省でどのように実態把握されているか、お伺いします。
  148. 水田正和

    ○水田政府参考人 お答えいたします。  昨年十二月からの東北地方、北陸地方を中心とした大雪によりまして大きな被害が出ました農業用ハウスの復旧に向けてでございますが、まず、委員御指摘の資材に対します対応につきましては、農林水産省では、早期の復旧に向けまして、一月十四日に通知を発出いたしまして、全農やハウスメーカーなどには資材の円滑な供給と施工を行うように依頼をしております。また、生産者団体等には必要な資材等を早期に発注するように要請をいたしたところでございます。  また、さらに、二月一日には、各県に対しまして、必要に応じて行政とJAとハウスメーカーなどから成る連絡会議を各県に設けていただいて、その関係者の間で、例えば、県内のどの地域でどれぐらい被害が出ているのか、そして農家の復旧の要望はどうなのか、そしてハウスメーカーへの受注の状況がどうなのかということを幅広く情報共有を行っていただく。そして、その中で、例えば特定の業者で資材の受注が滞留をしている、滞っているというような場合などにおいて、受注業者の分散化を図ったりしていただく。  さらには、委員御指摘いただきました労働力不足の問題でございますけれども、こういった会議の中で、施工を行うハウスメーカーの作業者の方、人工が不足するような場合に自力施工を行う、こういった対応をしたこともございますので、こういった対応策を検討するように依頼をしたところでございます。  これを受けまして、委員の御地元の新潟県におきましても、二月の十九日にこの連絡会議が開催されまして、地区ごとの被害状況等の情報が関係者の間で共有されたところでございまして、こうした情勢を踏まえて、現在、全農新潟県本部など関係者が連携をいたしまして、早期復旧に向けた対応が進められていると承知しております。  農林水産省といたしましては、引き続き、被害を受けました農業者の皆様に寄り添いながら、農業用ハウスの早期復旧に向けまして、こうした取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
  149. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 是非お願いをいたします。  資材に関しましては、鉄材については、新潟県の下越地方におきましては相当な不足、とある商社さんに関しましては全く在庫がないとおっしゃっているという状況で、かつ、元々雪に備えて育苗ハウスなんかはビニールを剥ぐことにしておりますという方もおられますし、それから、今回の雪害で、ビニールを剥がして積雪に備えた農家がかなりおられて、大雪が降った直後に注文したところには大体行き渡ったという話もあるんですが、一方で、その後発注したところはもう全然ビニールがないという話もあるようです。  この春の育苗に関しましては、ハウスが半分程度しか再建の見込みが立たないので、二回苗を取らざるを得ないということをおっしゃっている農家もありまして、かなりスケジュールに影響が出ています。是非、資材のことに関しまして、また労働力のことに関しましても、継続的にウォッチしていただきたいと思います。  次に、また池田政務官に是非お尋ねをしたいと思います。  必ずしも被害の全貌がまだ明らかではありません。果樹の枝折れなんかも含めてかなりの被害が出ているということですが、まだ全貌が必ずしもまとまっていない状況で、御支援をいただくに当たっては、年度をまたぐことになったとしてもしっかり御支援いただきたいと思っておりますが、現状はどのようになっておりますでしょうか。
  150. 池田道孝

    ○池田大臣政務官 今回の大雪によりまして被害を受けられました農林漁業者の皆様に対しましては、先ほどの枝折れ等の被害に対して、二月二日に農林水産省として決定しました支援対策によって、一日でも早い経営の再建を支えてまいります。当然、年度をまたぐということもございます。  この大雪によりましての被害は、雪が解けてから判明するものもあると考えられることから、必要に応じて繰越手続の活用も含め、年度をまたいだ来年度におきましても、支援対策により適切に支援してまいりたいと考えております。
  151. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 是非お願いいたします。それをメッセージとして発信したいと私も思っています。  と申しますのは、年度をまたいで対応していただくという話は早いうちからしていただいていると思っているんですが、実際、市町村が窓口となって意向を取りまとめているような段階では、作業スケジュールが出てくる中で、例えば、年度内に御回答をお願いしますというような調査もあるものですから、そうしますと、年度内に施工までやらないと駄目なんですかという話がかなり生産地では広まっている面もありまして、私も情報発信に努めますが、是非、引き続き情報の周知をお願いしたいと思います。  最後に、共済制度それから収入保険、ですので農業保険に関連しまして一点お尋ねしたいと思います。  近年、災害が本当に頻発しておりまして、共済や収入保険を含めた農業保険制度の重要性が非常に高まっていると認識しておりますが、農水省の見解をお伺いしたいと思います。
  152. 光吉一

    ○光吉政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のとおり、自然災害が多発する中で、農業者の皆様方には、災害に自ら備えるという観点から、収入保険あるいは園芸施設共済などの農業保険に加入していただくことが重要と考えております。  こうした中、収入保険につきましては、令和元年の制度開始から加入が増加し、令和三年は五万五千経営体となっておりますが、引き続き関係機関の連携の下で加入を伸ばしていく必要があると考えております。  また、園芸施設共済につきましては、令和元年度の加入率は六〇%でございましたが、最近頻発しております台風ですとか今回の雪害などで多くのパイプハウスが被災したこともありまして、共済加入の重要性への認識は高まっているものと考えております。  農業者の方のニーズに対応した補償ができますように、小規模な被害を補償の対象外とする場合の大幅な掛金の割引ですとか、築年数にかかわらず新築時の資産価値まで補償できる特約の導入などを行ってきておりますので、こうした措置の一層の周知に努めながら加入を促進してまいりたいと考えております。
  153. 斎藤洋明

    斎藤(洋)分科員 是非お願いします。  この園芸施設共済につきましては、いろんなバリエーションをつけていただいたことが加入促進につながったということで、現場でも非常に高い評価もあります。  収入保険につきましては一層の加入促進を是非進めていただきたいと思っていますし、作物共済との比較でまだ、例えばナラシ制度とかの方が分がいいということでそっちに行かれる農家の方もいらっしゃる、様子見していらっしゃる農家の方も多いということも承知していますが、将来的には収入保険制度に収れんしていった方がいいと私は思います。  農家も相当高齢化していまして、例えば、家族が、家族労働力であった方が病気になって入院して収穫ができなかった、減収になって、まさか収入保険で助けられるとは思わなかったというような農家の声も実際あります。  こういう、本当にどこにリスクがあるか分からない時代ですので、収入保険で、共済組合の現場でもすごく加入促進を頑張っていただいているんですが、より有利な制度をつくっていただくということと、農林水産省においてもっと全面的な宣伝をしていただきたいと思っておりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  質問は以上です。ありがとうございます。
  154. 齋藤健

    齋藤主査 これにて斎藤洋明君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日金曜日午前九時より開会し、引き続き農林水産省及び環境省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十一分散会